JPWO2007139100A1 - 土壌汚染及び/または水質汚染の判定方法 - Google Patents

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Abstract

作物を栽培することを計画された土壌やその水源について、その土壌や水源が作物の生育に悪影響を与える汚染源によって汚染されているかを簡便に判定する方法を提供する。土壌汚染及び/または水質汚染の判定方法であって、1)検定植物を判定しようとする土壌に植えて/又は検定植物に判定しようとする水を与えて1〜14日間栽培すること、2)栽培した検定植物の組織から核酸を回収すること、3)回収した核酸において、土壌及び/または水に含まれる汚染源と検定植物との接触によって発現が変動する検定植物由来の遺伝子の発現を確認することを含む、前記判定方法。本発明の方法は、微生物等の汚染源を検体から単離する必要がない、単離した微生物等の感染性を別の方法で検証する必要がない、短時間に多数の検体について判定を行うことができる、一度の操作で感染性ないし有害性まで判定することができる、などの利点を有する方法である。また判定は特異的な遺伝子の発明の有無によって行われるので、顕微鏡観察等の特別な熟練操作は特に必要とせず、また判定の信頼性が高い。

Description

本発明は、作物を栽培することを計画された土壌やその水源について、その土壌や水源が作物の生育に悪影響を与える汚染源によって汚染されているかを簡便に判定する方法を提供する。
ある土壌または水源が作物の栽培に適しているか、あるいは作物を土壌に植えて、あるいは水源の水を利用して栽培を行うことが可能かどうかを調べるために、その土壌や水源が作物の生育に悪影響を与える微生物、ウイルス、線虫、重金属や有機物質などに汚染されているか否か、又はその土壌や水源が植物の生長にとって望ましい量の植物栄養源を含んでいるか否か、を確認することは、極めて重要な作業である。
これまでは、作物の生育に悪影響を与える微生物、ウイルス、線虫、重金属や有機物質などの汚染源を直接検出する方法が主に使用されてきた。例えば、土壌に生育する線虫を直接的に顕微鏡等で観察したり(非特許文献1)、土壌や水源から微生物を単離し、適当な培地上で増殖させてその存在を確認したり(非特許文献2)、あるいは特定の生物が有するDNAをPCR法などによって増幅させて確認したりして(非特許文献3)、汚染源の有無を判定する方法が知られている。また、土壌や水源中の重金属や有機物質などについては、ガス又は液体クロマトグラフ、マススペクトルなどの分析化学的手法を用いて検出することが行われている(非特許文献4)。
しかしながら、線虫等の直接観察は卓越した技術者による経験的な判断を必要とし、多数の検体を迅速に検査するためには適さない方法である。また微生物の単離等は、検体から菌体を分離・培養して、さらに検定植物に感染させて病原性を確認するまでに例えば2ヶ月程度の長時間を要するなどの問題を抱えている。PCRを利用した方法は、時間的な問題を解消するけれども、非特異的産物(ノイズ)を提示することがしばしば認められている。また、PCR法は単に汚染源の存在のみを結果として与えるだけで、その汚染源の現実的な毒性、感染性ないし有害性については全く情報を与えない方法である。そのため、PCR法は、感染性の有無の決定に別の検定植物を用いた判定方法を必要とする。
また、分析化学的手法は、重金属や有機汚染物質などの非生物的汚染源を種類ごとに正確に定量することを可能とするが、通常、測定対象に応じて適正な検体の前処理を行う必要がある。またこの方法は、測定設備を有する施設を要求するので、調べようとする土壌や水源をその場で検査することは極めて難しい方法である。さらにこの方法は、汚染源の存在を確認するのみであり、汚染源の毒性、感染性ないし有害性を提示する方法ではない。そのため、有害性等の判定のために、測定結果を既知の有害物質データベースと照らし合わせたり、検定植物などを用いて確認試験をしたりなどが必要となる。
近年、汚染源によって発現が制御される特定のプロモーターにレポーター遺伝子を連結した遺伝子を有する形質転換植物を用意し、その種子を土壌に播いて形質転換植物を生育させた後に、レポーター遺伝子の発現の有無を確認して、土壌汚染源の検出を行う方法が報告されている(特許文献1)。
しかしこの方法は、特定の形質転換植物を用意しなければならないこと、その様な形質転換体の種子を土壌環境に播く必要があること、感染した植物個体を種子から栽培して回収するのに長期間を要することなどから、土壌汚染の判別方法としては非実用的である。
線虫学実験法 2004年、日本線虫学会 原秀紀、小野邦明 タバコ立ち枯れ病の発生生態に関する研究. 第一報病原細菌の検出・定量用培地. 岡山タバコ試報第42巻、第127−138頁 Clapp, JPら、MOLECULAR ECOLOGY、2000年、第9巻、第9号、第1223-1232頁 テクノ東京21、2003年、9月号、第126巻、第2‐3頁、東京都産学労働局 特表2005−534292号公報
本発明は、土壌や水源の現場でも行うことができ、汚染源の存在の有無だけではなく、その汚染源の有害性ないし感染性も的確に判定することのできる、新たな汚染土壌や汚染水の判定方法を提供する。また、本発明は、土壌や水源に含まれる植物栄養源の状態を簡便に判定できる方法を提供する。
本発明者らは、植物が汚染源と接触したときに汚染源毎に異なって定まる特定の遺伝子群の発現が植物組織において変動することに着目し、検定植物を汚染源に直接接触させることでこの遺伝子群発現の変動を生じさせ、これを確認することで、汚染源の有無を判定することができることを見出し、以下の各発明を完成した。
(1)土壌汚染及び/または水質汚染の判定方法であって、1)検定植物を判定しようとする土壌に植えて/又は検定植物に判定しようとする水を与えて1〜14日間栽培すること、2)栽培した検定植物の組織から核酸を回収すること、3)回収した核酸において、土壌及び/または水に含まれる汚染源と検定植物との接触によって発現が変動する検定植物由来の1以上の遺伝子の発現を確認することを含む、前記判定方法。
(2)検定植物がナス科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、バラ科、及びユリ科よりなる群から選ばれる一種以上である、(1)に記載の判定方法。
(3)核酸がRNAである、(1)に記載の判定方法。
(4)汚染源が植物病原性線虫、植物病原性微生物、植物病原性昆虫、植物病原性ウイルス、重金属、及び有機汚染源より選ばれる一種以上である、(1)に記載の判別方法。
(5)遺伝子の発現の確認を、DNAアレイを用いて行う、(1)に記載の方法。
(6)DNAアレイがナイロンメンブレンを用いたマクロアレイである、(5)に記載の方法。
(7)検定植物から抽出した核酸に放射性標識もしくは非放射性標識を付して使用する、請求項1に記載の方法。
(8)土壌及び/又は水に含まれる植物栄養源の過不足の判定方法であって、1)検定植物を判定しようとする土壌に植えて/又は検定植物に判定しようとする水を与えて1〜14日間栽培すること、2)栽培した検定植物の組織から核酸を回収すること、3)回収した核酸において、土壌及び/または水に含まれる植物栄養源の過不足によって発現が変動する検定植物由来の1以上の遺伝子の発現を確認することを含む、前記判定方法。
(9)検定植物がナス科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、バラ科及びユリ科よりなる群から選ばれる一種以上である、(8)に記載の判定方法。
(10)核酸がRNAである、(8)に記載の判定方法。
(11)植物栄養源は窒素、リン又はカリウムである、(8)に記載の判別方法。
(12)遺伝子の発現の確認を、DNAアレイを用いて行う、(8)に記載の方法。
(13)DNAアレイがナイロンメンブレンを用いたDNAマクロアレイである、(12)に記載の方法。
(14)検定植物から抽出した核酸に放射性標識もしくは非放射性標識を付して使用する、(8)に記載の方法。
本発明の方法は、微生物等の汚染源を検体から単離する必要がない、単離した微生物等の感染性を別の方法で検証する必要がない、短時間に多数の検体について判定を行うことができる、一度の操作で感染性ないし有害性まで判定することができる、などの利点を有する方法である。
また、判定は特異的な遺伝子の発現の有無によって行われるので、顕微鏡観察等の特別な熟練操作は特に必要とせず、判定の信頼性は高いものである。
実施例1で使用したDNAマクロアレイの模式図である。図中の1〜16は1:SubC29 P-rich protein、2:hypothetical protein Zinnia elegans TED4、3:Wound-induced protein Sn-1、4: PR protein STH-2、5:homeotic protein VAHOX、6:gibberellin-regulated protein RSI-1、7:protease inhibitor multicystatin、8:putative receptor like kinase、9:Protease Inhibitor type II (Short)、10:Protease Inhibitor type II (long)、11:dof zinc finger、12:BURP-domain containing protein、13:pectinesterase にそれぞれ対応するプローブDNAのスポットであり、14〜16はそれぞれ14:elongation factor-1 α、15:β-tubulin、16:actinである。 健全トマト(左端)と感染トマト(中:3日目、右:7日目)から回収したRNAについてDNAマクロアレイで発現を解析したときのハイブリダイズしたスポットを示す写真である。 感染トマトと健全トマトについて、DNAマクロアレイ上のスポットの強度を表したグラフである。 実施例1のトマトの根についてDNAマクロアレイで解析したときのスポット(左:感染トマト、右:健全トマト)を示す写真である。 実施例1のトマトの葉についてDNAマクロアレイで解析したときのスポット(左:感染トマト、右:健全トマト)を示す写真である。 図3−a、bの各マクロアレイ上のスポットの強度を表した図である。 実施例1のトマトの葉についてBT/BCIP基質を用いた化学発色によるDNAマクロアレイで解析したときのスポットを表す図である。 CDP-Star基質による化学発光とNBT-BCIP基質による化学発色で得られたシグナルの相関を示すグラフである。 フザリウムに感染したトマト(左端)、健全トマト(中)及び線虫感染トマト(右)から回収したRNAについてDNAマクロアレイで発現を解析したときのハイブリダイズしたスポットを示す写真である。□で囲ったスポットはWater Channel遺伝子のスポットである。 リン含有水耕培養液(+P)、リン非含有水耕培養液(−P)で栽培したイネの根と地上部(葉)から回収したRNAについてDNAマクロアレイで発現を解析したときのハイブリダイズしたスポットを示す写真である。□で囲ったスポットは、上がOsIPS1の、下がOsPI1の各スポットである。
本発明で判定する汚染は、主に農業用作物の生育に支障を来すおそれのある汚染を対象とするが、農業用作物の生育に支障を来すものでない汚染であっても、検定植物において一定の遺伝子の発現を誘導するような汚染であれば、本発明における判定対象とすることができる。
例えば、本発明の方法は、ダイズシストセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモネコブセンチュウ等の植物病原性線虫、Fusarium,Rhizoctonia,Pythium,Pseudomonas,Xanthomonas等の植物病原微生物、テンサイそう根病、ムギ縞萎縮病等の土壌伝搬性ウイルス、ネキリムシ等の土壌性昆虫、カドミウム、ヒ素、鉛、水銀等の重金属、ダイオキシン、PCB、化学肥料、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの有機汚染源による土壌汚染及び/又は水質汚染を判定することができる。また本発明の方法は、植物の生育にとって重要な栄養源、特に窒素、リン、カリウムの含有量が、その植物を植えようとする土壌や水耕栽培用の水において欠乏しているのかあるいは過剰なのかを判定することができる。
本発明の方法は、検定植物を判定しようとする土壌に植えて/又は検定植物に判定しようとする水を与えて1〜14日間栽培することを、工程の一つとする。
検定植物としては、トマト、ジャガイモなどのナス科植物、シロイヌナズナなどのアブラナ科植物、ムギ、イネなどのイネ科植物、メロンなどのウリ科植物、ダイズなどのマメ科植物、イチゴなどのバラ科、又はユリなどのユリ科などを利用することができる。好ましくは、汚染源のない環境下で根、茎ならびに葉を有する植物個体にまで生育させたこれらの植物を利用する。
土壌汚染又は土壌中の植物栄養源の状態を判定する場合には、判定しようとする土壌に検定植物を直接植えてもよく、また適当なポットに判定しようとする土壌を回収し、これに検定植物を植えてもよい。ポットで検定植物を培養する際には、適当なプラスチック製の、例えばポリエチレン製のあるいはポリプロピレン製のバッグに入れた土壌をポッドに置き、このバッグに入れた土壌に検定植物を植えることが好ましい。ポッドに直接置いた土壌で植物を栽培すると、ポッドから植物を回収する際に根切れを起こすことがしばしばあり、植物に不要なストレスと当該ストレスに反応する遺伝子発現の変動を与えるおそれがあるが、バッグに入れた土壌で植物を栽培することによって、植物を回収する際の根切れによる遺伝子発現の変動を防止することができる。
水質汚染を判定する場合には、汚染源のない土壌に検定植物を植え、ここに判定しようとする水を加えて栽培すればよい。また判定しようとする水を用いた水耕栽培を行ってもよい。水に含まれる植物栄養源の状態を判定する場合は、その水を用いた水耕栽培を行うことが好ましい。なお、判定しようとする土壌や水源の汚染源に影響を与えない範囲であれば、検定植物の栽培に好適な肥料や添加物を適宜判定しようとする土壌や水に加えてもよい。
検定植物の栽培は、1〜14日間、好ましくは3〜14日間継続して行う。栽培条件は、検定しようとする土壌や水源、それらの周囲環境、気候、検定植物等に応じて適宜定めればよく、その様な条件設定は当業者の通常の能力によって行うことができる。
本発明の方法は、判定しようとする土壌及び/又は検定しようとする水を用いて栽培した検定植物の組織から核酸を回収することを、工程の一つとする。
回収される組織は、検定植物のいずれの組織でもよいが、好ましくは根、葉、又は茎である。本発明の方法において、判定しようとする土壌ないし水と直接接触する組織は主に根であるので、汚染源の影響を受けて遺伝子発現の変動が観察される組織も根であると想定されたが、意外にも、僅か3〜7日の栽培であっても、その様な遺伝子発現の変動は葉や茎でも観察されることが確認された。したがって、本発明の方法は、栽培後の検定植物の葉を摘み取って回収するだけで土壌汚染の判定を行うことができるという、優れた作業性を有する発明であるということができる。 回収する核酸はDNAでもRNAでもよいが、遺伝子発現の変動を観察するという目的からすれば、RNA、特にmRNAを含む全RNAを回収することが好ましい。DNAあるいはRNAの植物組織からの回収は、当業者に公知の種々の方法(例えばMolecular cloning - A Laboratory Manual, 3rd ed., chapter7, protocols 1-2に記載の方法)を利用して行うことができる。
本発明の方法は、土壌及び/または水に含まれる汚染源と検定植物との接触によって発現変動が生じる検定植物由来の遺伝子を検出することを、工程の一つとする。
本発明者らは、ジャガイモシストセンチュウ(Potato Cyst Nematode)に感染したトマトにおいて特異的に発現変動が生じる遺伝子を網羅的に解析し、その結果、表1に示す特定の遺伝子の発現変動が生じることを確認した。
従って、トマトを土壌等に植えて栽培した後に、トマトにおいて上記の遺伝子群の発現を検出することにより、トマトがジャガイモシストセンチュウに感染したことを確認することができ、その結果、土壌は感染性のジャガイモシストセンチュウによって汚染されていたと判定することができる。この様に、本発明の方法の好適な一態様は、土壌等に検定植物であるトマトを植えて栽培した後、検定植物において上記の遺伝子の発現変動が生じているかどうかを確認することで、土壌等がジャガイモシストセンチュウに汚染されているかどうかの判定を行う方法である。
上記の例はトマトとジャガイモシストセンチュウとの例であるが、その他にも、線虫、重金属、病原菌などの、ある特定の汚染源とこれに接触ないし感染した植物において特異的に発現変動が生じる遺伝子については、既に多数の例が報告されている。以下はその非限定的な例示である。
(1)線虫について
・Jammes, F., Lecomte, P., De Almedia Engler, J., Bitton, F., Martin-Magnitte, M-L., Renou, J.P., Abad, P. and Favery, B., Genome-wide expression profiling of the host response to root-knot nematode infection in Arabidopsis., Plant J. 44, 447-458, 2005.
・Khan, R., Alkharouf, N., Beard, H., MacDonald, M., Chouikha, I., Meyer, S., Greffenstette, J., Knap, H. and, Matthews, B., Microarray analysis of gene expression in soybean roots susceptible to the soybean cyst nematode two days post invasion., J. Nematol., 36, 241-248, 2004.
・Puthoff, D., Nettleton, D., Rodermel, S.R. and Baum, T.J., Arabidopsis gene expression changes during cyst nematode parasitism revealed by statistical analyses of microarray expression profiles., Plant J., 33, 911-921, 2003.
・Klink, V.P., Alkharouf, N., MacDonald, M. and Mattews, B., Laser capture microdissection (LCM) and expression analyses of Glycine max (soybean) syncytium cinining root regions formed by the plant pathgen Heterodera glycines (soybean cyst nematode)., Plant Mol. Biol., 59, 965-979, 2005.
(2)重金属について
・Krizek, B.A., Prost, V., Joshi, R.M., Stoming, T. and Glenn, T.C., Developing transgenic arabidopsis plants to be metal-specific bioindicators. Environmental Toxicology and Chemistry, 22, 175-181, 2003.
・Weber, M., Harada, E., Vess, C., Roepenack-Lahaye, E. v. and Clemens, S., Comparative microarray analysis of Arabidopsis thaliana and Arabidopsis halleri roots identifies nicotianamine synthase, a ZIP transporter and other genes as potential metal hyperaccumulation factors., The Plant Journal, 37, 269-281, 2004
(3)病原性微生物について
・Rep, M., Dekker, H.L., Vossen, J.H., de Boer, A.D., Houterman, P.M., Speijer, D., Back, J.W., de Koster, C.G., Cornelissen, B.J.C., Mass spectrometric identification of isoforms of PR proteins in xylem sap of fungus-infected tomato. Plant Physiology, 130, 904-917, 2002
・Iqbal, M.J., Yaegashi, S., Ahsan, R., Shopinski, K.L. and Lightfoot, D.A., Root response to Fusarium solani f. sp. glycines: temporal accumulation of transcripts in partially resistant and susceptible soybean., Theor. Appl. Genet., 110, 1429-1438, 2005
本発明においては、上記に例示した汚染源とそれにより発現変動が生じる1以上の遺伝子との組み合わせのいずれも利用することができる。また上記の例示に制限されず、その他の汚染源とそれにより発現変動が生じる遺伝子の公知の組み合わせも利用可能である。
また、後述する実施例においても実証されているように、調べようとする汚染源を用いて適当な検定植物を人為的に感染させ、その結果発現変動が生じる遺伝子をマイクロアレイやディファレンシャルディスプレイ法などの公知の手法を用いて予め特定することによって、植物において発現変動が生じる遺伝子が未知である汚染源についても、本発明を適用することができる。
また、土壌及び/又は水に含まれる植物栄養源の過不足を判定する方法は、土壌及び/または水に含まれる植物栄養源の過不足によって発現が変動する検定植物由来の1以上の遺伝子の発現を確認することを含む。例えば、リン欠乏状態に置かれたイネ(Oryza sativa)では、遺伝子OsPI1 の発現が亢進することが知られている(Wasaki ら、New Phytologist、2003年、第158巻、第239-248頁)。本発明者らはさらに、リン欠乏状態に置かれたイネ(Oryza sativa)において、下記に示される遺伝子の発現の亢進をマイクロアレイを用いて確認した。
上記の遺伝子のうち、OsIPS1遺伝子、OsSAP1遺伝子及び/又はOsGMR1遺伝子は、リンの欠乏状態の判定に利用可能である。
また、種々の植物栄養素の欠乏培地あるいは植物栄養源を過剰に含む培地で検定植物を栽培して、その結果発現変動が生じる遺伝子をマイクロアレイやディファレンシャルディスプレイ法などの公知の手法を用いて予め特定することによって、検出すべき遺伝子を特定しておくことが好ましい。
上記のように特定された遺伝子の検出は、ノーザンハイブリダイゼーションやPCRなどの、遺伝子発現を検出することのできる公知の方法を利用して行うことが可能である。特に本発明では、特定された遺伝子の全部あるいは一部の塩基配列からなるプロープを担持させたDNAアレイの利用が好ましい。
DNAアレイは、自体公知の検出手段であり、数千〜数万種類のDNAを担持したチップないし平板の形態で利用され、また商業的に生産されている(例えばGenomics, gene expression and DNA arrays,Nature, 2000年、第405巻、第827−836頁参照)。 本発明では、かかるDNAアレイを利用することができる。特に、本発明では検出すべきDNAの種類と数が予め特定されていることから、その様な遺伝子のみを特別に担持させたDNAアレイを適時使用することにより、簡便かつ正確な判定を行うことができる。
本発明で使用するDNAアレイは、前項で述べた特定の遺伝子の塩基配列の全部又は一部の塩基配列からなるプローブDNAをPCR法あるいはDNAシンセサイザー等を用いて合成し、これをスライドガラスやメンブレン等に担持させることで、簡便に調製することができる。あるいは、Affymetrix社のGeneChipの様な平板上で上記のプローブDNAを合成することで得られるDNAアレイも、本発明で利用することができる。 また、プローブDNAの合成の際に、色素、蛍光物質、放射性同位体元素その他の適当な標識化合物を利用して、プローブDNAをラベル化することができる。プローブDNAのラベル化に代えてあるいはプローブDNAのラベル化と同時に、サンプル中の核酸をラベル化してDNAアレイ上のプローブDNAとハイブリダイズさせて検出を行ってもよい。DNAアレイ上でハイブリダイスした核酸の検出は、用いた標識の種類に応じて公知の方法を採用して行い、さらに必要に応じて定量化すればよい。
DNAの合成法、標識化合物の種類、該標識化合物を用いたDNAの標識化の手法、さらにはスライドガラスやメンブレン上にDNAを担持させる方法などは、いずれも当業者に公知の方法を利用して行うことができる。
本発明で好適に利用されるDNAアレイとしては、株式会社ラボ(http://www.labo.co.jp/)が製造するメンブレンを用いたマクロアレイを挙げることができる。このマクロアレイは、ナイロン製メンブレン上に、複数種類(10〜200種類程度)のcDNAのPCR産物を等間隔で担持させたDNAアレイである。スポッターを用いた作製法(特許第3305295号)によりプローブDNA溶液が定量的にスポットされており、アレイ間の高い均一性が特長である。このDNAアレイは、検体中のDNAとプローブDNAとのハイブリダイゼーションの有無を、発色反応によって検出するので、パーソナルコンピュータなどに接続して使用するスキャナーを用いて、DNAアレイ上のハイブリダイゼーションの有無を確認することができる。通常のDNAマイクロアレイでは、複雑な機構を有する検出機器の使用が必要となるが、上記のナイロンメンブレンを用いたマクロアレイはその様な複雑な検出機器を必要とせず、極めて簡便かつ安価に分析を行うことができる点で有利である。また、複雑な検出機器を必要としないことから、土壌や水源現場で分析を行うことも可能である。
また、多数の汚染源について、それらの汚染源に応じて発現が変動する遺伝子群について詳細な発現解析を行い、さらに汚染の種類間でクロスして変動する遺伝子などについても把握した上で、かかる汚染源とそれに応じて発現が変動する遺伝子群に関するデータベースを構築することもできる。遺伝子群の発現パターンの変化は、上記に説明したマクロアレイによれば着色によって検出できるため、肉眼での簡易判定も可能であるが、適当なスキャナーを用いてこの着色で表されるパターンを読み取り、これを適当な解析プログラムによって前記データベースと照合した上で、土壌汚染の有無ならびに汚染源の特定を含めた総合判定を行うシステムを構築することもできる。このシステムは、判定の精度ならびに信憑性を著しく高め、誤診を最小限にする。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<予備試験>
汚染源としてジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostchiensis、Potato Cyst Nematode、PCN)を、検定植物としてトマト(強力米寿)をそれぞれ選択し、人工的に孵化させたPCNに感染させたトマトをポジティブコントロール(感染トマト)として、PCNへの感染によって発現変動が生じる遺伝子を特定する予備実験を行った。
a)感染トマトの作製
PCNを温室で栽培したジャガイモで増殖させ、シストから卵を分離した後、トマト根浸出液中でふ化させ、2期幼虫を獲得した。トマト(強力米寿)を22℃、16時間照明にてポットで栽培し、播種後30日で上記のPCNの2期幼虫をトマトの根元に1万頭程度接種して、感染トマトを作製した。また、水を接種したトマトをネガティブコントロールトマト(健全トマト)として準備した。
PCNないし水を接種後、3日目、7日目、14日目に感染トマトと健全トマトのそれぞれの根を回収し、発現解析に用いた。
b)全RNAの回収
回収した根2gを乳鉢に入れ、液体窒素を加えて凍結させ乳棒で破砕した後、TRIZOL Reagent(Invitrogen)を用いて、そのプロトコルに従って全RNAを抽出した。
c)遺伝子解析
土壌診断の指標となり得る遺伝子を同定するために、トマトcDNAマイクロアレイTOM1(CGEP)とSAGE(Serial Analysis of Gene Expression)による網羅的な遺伝子発現解析を行った。前者はボイストンプソン研究所から提供された、TOM1マイクロアレイのホームページ記載の方法(http://ted.bti.cornell.edu/array/interface/protocol/protocol.html)、後者はインビトロジェン社から提供されたプロトコルに従って実行した。
cDNAマイクロアレイ解析は、b)の全RNAから逆転写反応によりcDNAを合成後、各々cy3とcy5で蛍光標識した。マイクロアレイ解析は、NCトマトからのサンプルのcy3標識cDNAとPCトマトからの各サンプルのcy5標識cDNAの混合液を調製し、それを1枚のマイクロアレイ上でハイブリダイズする、いわゆる2色法で行われた。得られた数値の標準化は、global normalizationにより行い、さらにDyeバイアスを補正するためにLowess法を適用した。蛍光色素のシグナル強度と発現比を参考にして、線虫感染によって有意な発現変化を示す遺伝子を選定した。
SAGEにより、感染トマトの14日目のサンプルと健全トマトの14日目のサンプルの遺伝子発現が比較された。SAGEライブラリーは、I-SAGE long Kit(Invitrogen)を用いて、そのプロトコルに従って構築された。シークエンシング反応はBigDye Terminator cycle sequencing ready reaction kitを用いて行い、その反応液はDNAシークエンサーABI PRISM 3100(Applied Biosystems)により解析された。シークエンスデータの解析は、SAGE解析ソフトSAGE2000 ver.4.5(Invitrogen)を用いて行われた。そのソフトで抽出されたタグ配列のアノテーションのために、Sol Genomics Network(SGN)のcDNA and EST databaseでその配列をBLAST検索した。17bpのタグ配列と完全に一致する配列を含む遺伝子が同定された後、その遺伝子配列中でタグ配列が正しい方向に向いているかどうか、及び制限酵素NlaIIIの切断部位の下流に位置しているかが確認された。同定された遺伝子の健全トマトサンプルと感染トマトサンプルのタグの数が比較された。
上記の網羅的発現解析の結果を基に、線虫感染により発現が変化する遺伝子12種類を選抜した。以下に遺伝子名とSGNのUnigene IDを示す。
Protease Inhibitor type II (SGN-U212876)
Wound-induced protein Sn-1 (SGN-U216965)
hypothetical protein Zinnia elegans TED4 (SGN-U214087)
SubC29 P-rich protein (SGN-U213037)
PR protein STH-2 (SGN-U214460)
BURP-domain containing protein (SGN-U217045)
protease inhibitor multicystatin (SGN-U220775)
putative receptor like kinase (SGN-U224043)
pectinesterase (SGN-U213347)
homeotic protein VAHOX (SGN-U213417)
dof zinc finger (SGN-U224743)
gibberellin-regulated protein RSI-1 (SGN-U213623)
上記の遺伝子の一部について、回収した核酸に対して半定量PCRやノーザンブロッティングによる発現解析を行い、網羅的な発現解析の結果と同じく、PCN感染による発現変化が生じていることを確認した。
d)診断用遺伝子のクローニング
土壌診断の指標として、マクロアレイにスポットされるプローブDNAのクローニングを行うために、c)で特定した12種の遺伝子の各塩基配列に特異的なPCR用プライマーセットを設計した。Takara RNA PCR Kit (AMV) ver.1.1を用いて、上記プライマーセットを用いて全RNAからRT−PCRによりプローブDNAを増幅後、pGEM T Easy vector(Promega)にTAクローニングした。このプライマーセットによって増幅されるプローブDNAの塩基配列は次の通りである。
Protease Inhibitor type II long(配列番号1)
GCCTTGTACTATGGAATGTGGTCATCTTGGGTTTGGGATATGCCCACGTTCACAAGGAAGTCCGCAGAATCCCATATGCACCAATTGTTGTTCAGGTTTTAAAGGTTGCAATTATTATAGTGTTAATGGGACTTTTATTTGTGAAGGACAATCTGACCCAAGAAAACCAAAACCTTGCCCCTTAAATTGTGATCCACATATTGCCTATTCAAAGTGTCCCCGTTCAGGAGGAAAGACGTTTATTTATCCCACTGGATGTACCACGTGTTGCACGGGATACAAAGGCTGCTACTATTTCGGTAAAGATGGCAAGTTTGTTTGTGAAGGAGAGAGTGATGAACCCAAGGTATGTACCATGGAATGTGACCCTAGAGTTGCATACATGATTTGTCCATCTTCTGGATTGGCCAAACTTAGCCAAGTTTGTGTTAATTGTTGCACTGCAGGGGACGGTTGCAAACTCTATGGATATGATGGATCTTTAATTTGTACTGGGGAGCCTCAGAGCTACATATCT
Protease Inhibitor type II Short(配列番号2)
GCCTTGTACTATGGAATGTGGTCATCTTGGGTTTGGGATATGCCCACGTTCACAAGGAAGTCCGCAGAATCCCATATGCACCAATTGTTGTTCAGGTTTTAAAGGTTGCAATTATTATAGTGTTAATGGGACTTTTATTTGTGAAGGACAATCTGACCCAAGAAAACCAAAACCTTGCCCCTTAAATTGTGATCCACATATTGCCTATTCAAAGTGTCCCCGTTCAGGAGGAAAGACGTTTATTTATCCCACTGGATGTACCACGTGTTGCACGGGATACAAAGGTTGCTACTATTTCGGTAAAAATGGCAAGTTTGTTTGTGAAGGAGAGAGTGATGAACCCAAGGAGAGGGTTGCAAACTCTATGGATATGATGGATCTTTAATTTGTACTGGGGAGCCTCAGAGCTACATATCT
Wound-induced protein Sn-1 (配列番号3)
AGGCAAGTTGATCGCTTCAGTAGAAGTAAAGTGTGGAGGACACTTGGTTCACGATATATTTCATACCAAGACTCATCATATATCCAATATATGCCCTAGCAAAATCCAAAATTTCGAGATTCATGAAGGTGATTCCGTAAAAGTTGGTTCAGTCGTTAGCTGGAAATATAACGATGATGGAAAGGATAAGATTTCAAAGCAAATGATTGAAGCCATCGATCATGAAACCAAAACAATCACTTGGAAATTGATTGGTGGAGATCTGTTAGAGTTGTACAATTCCTTCACTATTATCACATCATGTGACCACGAATGGACTACATGGACATTTCTGTATGAGAAGAAAACTGAAGACATACCAGAGCCTCTCGTTCTCTTGGGTTTTGTCCTTCACGTTACAAAAGATATCGAAGGTCACCTTCTCAAGTAATAAAACATCAATGCTACTCAATGGCTCATAGCCCTATTTATACATATGCAATATATATATATATATATATATTGTACACACAAATATGTATGTGTGTGTGTGTGATATTGACTAGCTAGTTCTGTCTAGCTAGCTAGTGTGT
hypothetical protein Zinnia elegans TED4 (配列番号4)
AGTGAATTGCTTGTCACGGAGGCCGTGACATGCAGTGTTACAGAGCTAGTTCCATGTGCCGCGGCGATCCTGTCATCACAACCACCCTCTAAGGAATGTTGCAATAAGTTGAAAGAGCAAAAGCCTTGTCTTTGTGGATATCTTAAGAATCCAAGCCTTAAGCAATATGTCAACTCTCCTAATGCCAAAAAAGTTGCTAAAACTTGTGGAGTATCCACTCCAAGTTGTTAGGATTCTAACAAATAAAAATTCACAAATGATGATCATTCATGGATGACCAGAAAACGCCTTTCGTTTTCCACACTTCCTCAAAGTGTCTA
SubC29 P-rich protein(配列番号5)
GTGAGTGCATGTGGCACTTGTCCAGGTCCTAAACCAAAGCCGAAGCCAAAGCCAAAGCCAAAGCCAACCCCGAGCCCTAGCTCAAAAGGCAAATGCCCTATTGATACACTAAAATTAGGTGTTTGTGCTAATGTTCTTGGAAATTTGCTTGGAGTAGTACTTGGAAATCCACCAAAGAAACCTTGTTGCTCTCTAATTGAAGGACTTGTTGATCTAGAGGCTGCTCTTTGTCTTTGCACTGCCATTAAAGCAAATATTCTTGGGATTAACCTAAATGTCCCTCTTTCTCTAAGCCTTCTTCTTAATGTTTGTGGCAAAAAAGCTCCATCTGGCTTTCAATGCCCTAAGTGAACAAACAAACAATAGCTACTACGTCTCAGTCCCAAATAAGTTGGGGTCAGCTATATGAATGTTCATTCTATCACTACTATATAGTTTGATTTGAGTTTTTTGGATTTTTAATTTTGTTTTGCTTATGAGCAATGTTCAAGTG
PR protein STH-2(配列番号6)
GAAACCACAACACCAGTTGCCCCTACTAGGTTGTTCAAAGCTTTGGTTGTTGATTCTGATAATCTTATTCCTAAGTTGATGCCACAAGTTAAAAATATTGAGGCTGAGGGAGATGGAAGTATCAAAAAGATGAACTTTGTTGAAGGTTCACCAATCAAGTACTTGAAGCACAAGATTCATGTTGTTGATGACAAGAATTTGGTGACCAAATATTCAATGATTGAAGGAGATGTTCTTGGAGACAAACTTGAGTCAATTTCCTATGACCTAAAATTTGAAGCTCATGGAAATGGAGGATGTGTTTGCAAGTCTATAACTGAGTATCACACAAAAGGTGATTATGTGTTGAAGGATGAAGAACATAATGAAGGCAAAAAACAAGCCATGGAACTTTTCAAGATTGTTGAAGCATACCTCCTCGAGAATCCTTCTGTCTACGCTTAAGTGATGAAATAAGAATCAGGTCCACACGTGTT
BURP-domain containing protein (配列番号7)
CTCTACAAGAAGTGAGCGACAAACAAGAAGAAAACAAGCATCAACAAGTAAAAACAGCAAAGGCACATATCCATTCATCATCCCATATGGATCATATTGATCCTTCTTTAAGAGTTTTCTTCCTAATAAATGATCTAAAGATAGGGAAAACAATAACTGTCTCCTTCCCAAGAAGAGATCTTTCTTCTTCTCCGAGTTTCTTGCCAAAAGAAGAAGCTGATTCCATTCCATTTTCACAAAAGGAACTCCCAAACCTCCTTCAACGTTTCTCATTCTCTCGAAACTCTCCACAGGGGAAAGCCATGGAAGACACACTGAGAGAATGTGAGGCTCCACATATTAAGGGAGAGACAAAGTACTGTGCCACATCCGCGGAGGCAATGCTTGATTTTGTTCAAGGAATCATGGGAGAGAAAACTCAATTCAAAGCTCTGTCCACAACTCATTTCTCAAACTCAACTCCCCCACTTCAAGAGTATACTATTTTGGATGCTCCTCAAGAAGTAGAAACTCCCAAGATGGTGGCATGTCATACCA
protease inhibitor multicystatin (配列番号8)
TGGGTGAAGGAATGGGAGGACTTCAAAAAAGTTGTAGAATTCAAGCTTGTTGGTGATGATAGTCCAAATCCTGGGGGCATTACCAATGTTCCATTCCCAAACCTCCCCCAGTTCAAAGATCTTGCTCGTTTTGCTGTTCAAGATTATAATAAGAAAGAGAATGCTCATTTGGAGTTTGTAGAAAATTTGAATGTGAAGGAACAAGTTGTTGCTGGAATAATATACTATATAACGCTTGTGGCAACTGATGCTGGAAAGAAGAAAATATATGAGACCAAGATTTTGGTGAAGGGATGGGAGAATTTCAAGGAAGTTCAAGAATTCAAGCTTGTTGGTGATGCCACTAAGTGAAATGA
putative receptor like kinase(配列番号9)
GGGAATACTAGTAGATGGACAGGAAATCGCTGTGAAGAGGCTTTCCAAGAGTTCTGGACAAGGATTGAATGAATTCAAAAAATGAAGTGAAGCTGATAGCAAAACTTCAGCATCGAAATCTCGTAAAGCTCGTTGGAAGTTGTATTGATGATGAAGAGAAGATGTTGATCTACGAATACATGGCTAATAGGAGCTTGGATTCTTTTGTTTTTGGTTTGTATCTTTAGAGAAGAGTTCCTATAGCTATCCTGTTAGCCCTGAATGAAAGTTTTAGTTAGAGAACTGGACTAACTTAACTCTAAACTGCTAGAGCGAACAAGGCGTAAACAATTGGGCTGGTCAAAGTTCTTCCAGATCATCGATGGAATTGCACGTGGGCGTCTCTACCTTCATCAGGATTCGAGATTGCGAATTATGCACATAG
pectinesterase (配列番号10)
CCTCACAACCCATCAGTGTAAGCGACACCAGTAGATTTTAACCATGCTGCTCCTTGAATCAGCTGACCCACAGTGAACTTTGTGGCCTCGGATGTTGTTAAAGCTTTATGATAACCAGGCCAGTTAACTCTCTTACTAATGCCAGCACCAGCTCCTTTGTTCATGTACTCACCATAATACAGTGTTTTCAATGCAAAATCACCGTCCCATTCTGACCAACCTGCTGGATCAATATGGTCTCCAATGTTGGACTGCATGTACACTGTCCTCGAATACGCTTTCCATGGTCTGC
homeotic protein VAHOX (配列番号11)
GTAGAATTCGAAGCTATGATGGCTCCAGGGATTCTCTATGGTGGTTCTTCTAATTTCGATGGCGTTTTTACTCAAAAACAGAGAGACGTGTTTTCTTCATCTACTGCACCGAAAGGGCATCTTGGTTCCCTTTTTGCCCCTGCCTCTTCTTCTTCTAATTTCTTGGGATCCAGTTCCATGGTGAGTTTTCGCGGTGTTAATGGAGGGAAGAGATCATTCTTTGATTCGTTCGATCAGGATGACAATGAAGCTGATGAATTGGGGGAATATCTTCATCAAGCGGAGAAGAAGAGGCGACTTACTGACAACCAAGTTCAGTTTCTTGAGAAGAGTTTTGGGGAAGAGAACAAACTTGAACCAGAAAGGAAAGTTCAGCTTGCTAAAGAACTTGGTCTGCAGCC
dof zinc finger (配列番号12)
ATGCTAGCACAGAAACCCTAGAAGCTTACTTTAATCAAGCTAGCTTCCCTAATCTCAAAATAATCCTAGTACAAATTAACAACAATATAACCAGATCAACTATATCTTCTACCATATATGTTAGTACGTACTTAGTTCTAATTAAACATGAACAAACAAATTATTAGTAACCTAAGCACGTATAACAACAACATACTCAACCCAGTGTAATCCCACGCCTGGAGTCTGGATTAACGTGAAAAAGAAAAAAGAGATTTGTGTGCACATTGTTCATGTTTCTTTAATTTACCAAGATCCTCCAGTACCACTTATCATCCCACTCCAATATAAACCAGCAGTTGAATTATTATTCTCCTGTCCCTTAGTCAGGTGATCAACTTGATTTGTACTTGAAAGTTGCTTTAATCCTCCTAGAGGGAACATTATTCTTGCACCTGATCCA
gibberellin-regulated protein RSI-1 (配列番号13)
GGCAAAGAGTGGTTACAATGCTAGCTTCTTGTTACTTATCTCAATGTTCTTGATTTTGCTCACTTTCTCTAACGTGGTCGAGGGTTACAACAAGCTCCGCCCAACAGATTGCAAGCCAAGATGTACTTATAGATGCTCAGCAACATCACACAAGAAGCCATGTATGTTCTTTTGTCAAAAATGTTGTGCAACATGTTTATGTGTTCCTAAAGGAGTTTATGGCAACAAACAATCATGCCCTTGTTACAACAATTGGAAGACTCAAGAAGGAAAACCTAAATGCCCTTAATTAATTAAAATATTAATAATTAGGGAAATTAATCTTTTTTTCCCAATAATTAATGGAAAAGATTAAGAGTACTATAGCTATATGGTCATATTGTGTCTTGTATTGCATTAAATTGATTTGGAGTAATTTTGATGTAATGTTTTAAGCATTTTGTATTTCTCTACTTGTGTTATCATGTTGTCTGAGCTGAGTTGTAGTACTGGAGC
4)DNAマクロアレイの作製 (図1)
DNAアレイに担持させるプローブDNAは、上記の各遺伝子のプラスミドクローンをテンプレートとしてPCRにより増幅後、各々0.5μg/μlの濃度に調整された。調製されたプローブDNAは、HYDRA-HTS(Robbins)により、ナイロンメンブレンbiodine plus nylon membrane(Pall)に0.2μlずつ、各クローンにつき2スポットずつ分注された。プローブDNAをメンブレンに固定するため、スポット後のメンブレンをろ紙に挟んだ状態でオーブンで120℃30分処理した後、メンブレンに対してUV cross-linker(UVP)にて120mJ/cm2のUV照射を行った。
5)mRNAの精製
b)で抽出された全RNA50μgから、MagExtractor-mRNA-(TOYOBO)を用い、そのプロトコルに従ってmRNAを精製した。
6)ビオチン標識されたcDNAの増幅と精製
上記で精製したmRNAから、Gene Navigator cDNA amplification system ver.2(TOYOBO)を用い、そのキットのプロトコルに従い、アンカー配列付加オリゴdTプライマーから逆転写酵素ReverTra Aceを用いてcDNAを合成したPCR反応により、ビオチン標識cDNAを増幅した。増幅cDNAをエタノール沈殿により精製した後、dATPを加え、Terminal deoxynucleotidyl Transferase(TdT)によって、1st strand cDNAの3’末端にdA tailを付加した。そのdA tailを付加されたcDNAをテンプレートとして、アンカー配列付加oligo(dT)プライマーとアンカー配列プライマーを加えて、DNAポリメラーゼKOD dashを用いたPCRを行った。このPCR反応液にbiotin-16-dUTPを添加しておくことで、ビオチン標識されたcDNAを増幅した。ビオチン標識cDNAは、エタノール沈殿により精製後、再蒸留水100μlで溶解した。
7)ハイブリダイゼーション
DNAマクロアレイをハイブリダイゼーションボトル(Thermo Hybaid)にセットし、再蒸留水5mlを加え、ハイブリダイゼーションオーブン(Iwaki)で68℃10分間洗い、ハイブリダイゼーションバッファーPerfectHyb(TOYOBO)5mlで68℃1時間プレハイブリダイゼーションを行った。前述のビオチン標識cDNA溶液50μlを100℃5分で変性後、PerfectHyb 5mlに添加して、68℃14時間ハイブリダイゼーションを行った。2×SSC、0.1%SDS洗浄液で68℃10分間の洗浄を3回洗浄行い、さらに0.1×SSC、0.1%SDS洗浄液で68℃5分間の洗浄を3回行った後、Phototope-Star detection kit(New England Biolabs)を用いて化学発光により検出した。その化学発光シグナルはFluor-S MultiImager(BioRad)により画像化した。
8)数値化・診断
TIFFフォーマットで得られたマクロアレイ画像データのスポットをDNAチップ発現解析用ソフトウェアImaGene(biodiscovery社)により数値化した。内部標準遺伝子としてactin(SGN-U213638)、β-tubulin(SGN-U212618)、elongation factor-1 α(SGN-U212845)を同じアレイ上にスポットした。これらの遺伝子は、そのシグナル強度の値で各スポットのシグナル強度値を割って標準化するのに利用した。
9)感染トマトの遺伝子発現パターンの解析
人工的にPCNに感染させて、各々3日目と7日目のトマトと健全なトマトを含んだ3種類の検体について、上記6)〜8)で説明したDNAマクロアレイを用いた発現解析を行った(図2−a)。
その結果、健全トマトは2つのPCN感染トマトの発現パターンと比較して、DNAマクロアレイ上の各遺伝子の発現量が最も少なかった。線虫感染後3日目の感染トマトの発現パターンは、健全トマトに比べてprotease inhibitor typeIIの発現が顕著な増加を示した。線虫感染後7日目トマトでは、protease inihibitor typeIIの他にも、さらにSubC29 P-rich protein、STH-2の発現量の増加が見られた(図2−b)。これらの結果の再現性は非常に高いものであった。
<実施例1>
北海道倶知安町の圃場から採取された土壌200gに、汚染されていない土壌で栽培して調製したトマト(強力米寿、根、葉、茎を有する植物個体)を植え、22℃、16時間照明で、ポットにて14日間栽培した。
栽培後のトマトの根から、上記予備試験における操作に準じてRNAを回収し、DNAマクロアレイを用いて解析した(図3−a)。その結果得られた圃場土サンプルの根の発現は、予備試験における感染トマトの7日目サンプルと同様の発現パターンを示した(図3−a、図3−c)。また栽培後のトマトの葉から回収したRNAについても発現解析を行い、根における発現パターンと同様の発現パターンが確認された(図3−b、図3−c)。この結果、北海道倶知安町の圃場から採取された土壌がPCNにより汚染されていることを確認した。
<実施例2>
実施例1で回収した葉について、Phototope Star detection Kit (New England Biolabs)による化学発光検出に使用されたマクロアレイフィルター(図3−b)を、Wash溶液1(0.5%SDS、12.5mMNaCl、2.5mM sodium phosphate)で10分間2回洗浄を行い、さらにWash溶液2(10mM Tris-HCl、10mMNaCl、1mMMgCl、pH9.5)で5分間3回洗浄を行った。洗浄したフィルターについてNBT/BCIP基質(Roche)を用いた化学発色による検出を行い、その化学発光シグナルはFluor-S MultiImager(BioRad)により画像化された(図4)。TIFFフォーマットで得られたマクロアレイ画像データのスポットをDNAチップ発現解析用ソフトウェアImaGene(biodiscovery社)により数値化した。化学発光と化学発色の数値化データは、高い相関(相関係数0.99)を示した(図5)。
<実施例3>
トマト(強力米寿)をポットに播種して22℃、16時間照明14日間栽培後、トマト萎凋病菌であるフザリウム菌(Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici, race2)をトマト苗の根元に接種した。接種後、前記の条件でさらに7日間栽培した後にトマトの根を回収し、TRIzol(invitrogen)を用いて、そのプロトコルに従って全RNAを抽出し、RNeasy plant mini kitのRNeasyスピンカラムを用いて精製した。非変性アガロースゲル電気泳動、Agilent 2100バイオアナライザ及び分光光度計等により、精製全RNAの収量(濃度)の測定及び純度を確認した。
純度確認後の全RNAをサンプルとして、DNAマイクロアレイ(Filgen Array tomato13K)を用いた網羅的な発現解析を行った。RNAの増幅と標識の工程及び、ハイブリダイゼーションから得られたシグナル強度の標準化は、前記予備試験に記載した線虫感染サンプルのマイクロアレイ解析と同様の方法で行った。このマイクロアレイによる網羅的な発現解析の結果、フザリウム感染により発現が変化する遺伝子として、PR-1a(Unigene ID:Les.54)、PR-5(Unigene ID:Les.3683)、chitinase(Unigene ID:Les.122)、XTH3(Unigene ID:Les.4353)、water channel(Unigene ID:les.12273)の5種類を選抜した。
選抜した5種類の遺伝子由来のRNAの増幅及び標識を、illumina total prep RNA amplification kit(Ambion)を用いて、そのプロトコルに従って行い、そのPCR増幅断片をナイロンメンブレンにスポット、固定化して、cDNAマクロアレイを作製した。このcDNAマクロアレイには、上記5種類の遺伝子由来のDNAと、コントロールDNAとしてtubulin及びactinのcDNAを、それぞれダブルでスポットした。
このcDNAマクロアレイを用いて、フザリウム菌接種後7日目のトマトと陰性コントールとして健全トマトの根について発現解析を行った。その結果を図6に示す。図6の各スポットのシグナル強度は、その遺伝子のmRNA発現量を示す。cDNAマクロアレイのハイブリダイゼーションからシグナルの数値化・標準化の工程は、前記<予備試験>に記載した線虫診断用cDNAマクロアレイの解析時と同様の方法で行った。
図6に示される様に、Water Channel遺伝子(図中□で囲んだスポット)のシグナルは、健全トマト(コントロール)及び比較対象として用意した線虫感染トマトと比較して、フザリウム菌感染トマトにおいて明らかに強く、その発現量の差は明瞭であった。また、PR-1a遺伝子とPR-5遺伝子の発現も、健全トマト(コントロール)及び線虫感染トマトと比較して、フザリウム菌感染トマトにおいて亢進していることが確認された。この様に、本発明の方法は、Water Channel遺伝子、PR-1a遺伝子及び/又はPR-5遺伝子の検定植物における発現量を調べることで、フザリウム感染を線虫感染と区別して検出することが出来、フザリウム菌の感染をもたらす土壌汚染を明らかにすることができることが示された。
<実施例4>
イネ(Oryza sativa L.品種:キタアケ)の種子を1 mM CaCl2溶液中で暗所にて48時間エアレーションを行い、発芽処理を行った。1 mM CaCl2溶液を満たしたバットの上に網を浮かべ、その上に発芽したイネ種子を載せて前培養を行った。草丈が10〜15 cm程度になったところで、下記の組成からなるリン含有水耕培養液とリン非含有水耕培養液に前培養後のイネ種子を移植し、各培養液を毎日交換しながら、10日間栽培した。
全ての栽培は人工気象器(28℃、相対湿度60%、24時間明期)で実施した。栽培終了後、根部と地上部に分けて採取し、液体窒素につけて凍結後-80℃で保存した。
凍結した試料約0.5 gをそのままマルチビーズショッカー(安井器械)を用いて粉砕し、Plant RNA Isolation Mini Kit (Agilent Technologies社) を用いて抽出した全RNAをサンプルとして、イネオリゴマイクロアレイ(Agilent Technologies社)を用いた網羅的な発現解析を行った。Low RNA Input Linear Amplification & Labeling Kit (Agilent Technologies)を用いて、全RNAからCy3およびCy5標識されたcRNAを合成し、RNeasy Mini Kit (Qiagen)を用いて精製した後に、プロトコルに従って標識cRNAを用いて60℃で16時間ハイブリダイゼーションを行い、6 x SSC, 0.005% TritonX-102と0.1 x SSC, 0.005% Triton X-102を用いて洗浄後、マイクロアレイスキャナ (Agilent Technologies)を使用して搭載された各遺伝子の発現量を定量した。RNAの増幅と標識の工程及び、ハイブリダイゼーションから得られたシグナル強度の標準化は、前記予備試験に記載した線虫感染サンプルのマイクロアレイ解析と同様の方法で行った。
このマイクロアレイによる網羅的な発現解析の結果、リン欠乏状態に置かれることで発現が変化する遺伝子として、下記の遺伝子を選抜した。
また、既知のリン欠乏誘導性遺伝子としてOsPI1 を、コントロールとしてイネのactin遺伝子をそれぞれ選択して、上記の8種類の選抜遺伝子に追加した。
選抜した8種類の遺伝子由来のRNA、OsPI1遺伝子由来のRNA、コントロールとしてactin遺伝子由来のRNAの増幅及び標識を、illumina total prep RNA amplification kit(Ambion)を用いて、そのプロトコルに従って行い、そのPCR増幅断片をナイロンメンブレンにスポット、固定化して、cDNAマクロアレイを作製した。このcDNAマクロアレイには、上記8種類の選抜遺伝子のcDNA、OsPI1遺伝子由来のcDNA、コントロールのactinのcDNAを、それぞれダブルでスポットした。上記のRNA試料の増幅及び標識は、illumina totalprep RNA amplification kitを用いて、そのプロトコルに従って行った。また、cDNAマクロアレイのハイブリダイゼーションからシグナルの数値化・標準化の工程は、線虫診断用cDNAマクロアレイの解析時と同様の方法で行った。
このマクロアレイを用いて、リン含有水耕培養液で10日間培養したイネ及びリン非含有水耕培養液で栽培したイネそれぞれの根と地上部から抽出した全RNAを解析した(図7)ところ、リン非含有水耕培養液で培養したイネの根において、OsIPS1(図中上の□)とOsPI1(図中下の□)の強い発現の亢進が観察され、またOsSAP1とOsHADPでも発現の亢進が観察された。OsIPS1とOsPI1は、地上部でもリンの欠乏による発現の亢進が確認された。また、地上部特異的にOsPMの発現の抑制が確認された。
この様に、本発明の方法は、OsIPS1遺伝子、OsPI1遺伝子、OsSAP1遺伝子、OsHADP遺伝子及び/又はOsPM遺伝子の検定植物における発現量を調べることで、栽培培地におけるリン不足を明らかにすることができることが示された。また、検定植物の組織として、根のみでなく、地上部の組織も利用可能であることが示された。地上部組織での診断は、根に比べて組織の採取やRNA抽出が容易なため、根組織での診断より有利である。

Claims (14)

  1. 土壌汚染及び/又は水質汚染の判定方法であって、1)検定植物を判定しようとする土壌に植えて/又は検定植物に判定しようとする水を与えて1〜14日間栽培すること、2)栽培した検定植物の組織から核酸を回収すること、3)回収した核酸において、土壌及び/または水に含まれる汚染源と検定植物との接触によって発現が変動する検定植物由来の1以上の遺伝子の発現を確認することを含む、前記判定方法。
  2. 検定植物がナス科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、バラ科及びユリ科よりなる群から選ばれる一種以上である、請求項1に記載の判定方法。
  3. 核酸がRNAである、請求項1に記載の判定方法。
  4. 汚染源が植物病原性線虫、植物病原性微生物、植物病原性昆虫、植物病原性ウイルス、重金属、及び有機汚染源より選ばれる一種以上である、請求項1に記載の判別方法。
  5. 遺伝子の発現の確認を、DNAアレイを用いて行う、請求項1に記載の方法。
  6. DNAアレイがナイロンメンブレンを用いたDNAマクロアレイである、請求項5に記載の方法。
  7. 検定植物から抽出した核酸に放射性標識もしくは非放射性標識を付して使用する、請求項1に記載の方法。
  8. 土壌及び/又は水に含まれる植物栄養源の過不足の判定方法であって、1)検定植物を判定しようとする土壌に植えて/又は検定植物に判定しようとする水を与えて1〜14日間栽培すること、2)栽培した検定植物の組織から核酸を回収すること、3)回収した核酸において、土壌及び/または水に含まれる植物栄養源の過不足によって発現が変動する検定植物由来の1以上の遺伝子の発現を確認することを含む、前記判定方法。
  9. 検定植物がナス科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、バラ科及びユリ科よりなる群から選ばれる一種以上である、請求項8に記載の判定方法。
  10. 核酸がRNAである、請求項8に記載の判定方法。
  11. 植物栄養源は窒素、リン又はカリウムである、請求項8に記載の判別方法。
  12. 遺伝子の発現の確認を、DNAアレイを用いて行う、請求項8に記載の方法。
  13. DNAアレイがナイロンメンブレンを用いたDNAマクロアレイである、請求項12に記載の方法。
  14. 検定植物から抽出した核酸に放射性標識もしくは非放射性標識を付して使用する、請求項8に記載の方法。
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