JPWO2007136029A1 - 回転型電気部品 - Google Patents

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慎一 溝渕
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Abstract

本発明の回転型電気部品では、コイルバネ10と、コイルバネ10を保持すると共に軸受部材4に回転不能に保持され、軸線Sと直交する方向を回転軸とする2つのローラ12a,12bを有する保持部材11と、保持部材11の2つのローラ12a,12bが係脱するクリック係合部64を有する回転部材6とで、回転部材6の回転動作に従って保持部材11の2つのローラ12a,12bがクリック係合部64の凹凸部66と係脱しながら転動するクリック機構が実現されている。

Description

本発明は、操作軸の回転動作にクリック感を与える回転型電気部品に関する。
従来、種々の回転型電気部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図13は、特許文献1に記載された回転型電気部品を示す断面図、図14及び図15はその一部分を構成する各部材を示す斜視図である。図13〜図15において、合成樹脂の成型品から成る取付基体300は、円形の孔300aを有する底壁300bと、内側に円柱状の凹部300cを形成する側壁300dと、底壁300bの裏面において、孔300aの周囲に設けられた凹凸部300eとを有している。また、取付基体300には、底壁300bの上面に一部が露出し、また、一部が側壁300dから外部に突出するように、薄い金属板から成る複数の導電板320が埋設されている。導電板320の底壁300b上面に露出した部分は接点320aと成っており、また、側壁300dから突出した部分は先端部分が垂直下方に折り曲げられた端子部320bと成っている。
また、回転体340は、合成樹脂から成り、中心部に非円形の貫通孔340eを有する。図15に示すように、回転体340は、円形状の鍔部340aと、先端に一対の割部340bを有する筒部340cと、鍔部340a内に設けられた突起340dとを備えている。さらに図13に示すように、貫通孔340eの内壁には段部340fが設けられている。また、図14に示すように、金属板からなる摺動子360は、切り起こしされて形成された接片360aと、孔360bとを有している。この摺動子360は、回転体340の突起340dを孔360bに挿通して、突起340dの先端をカシメて回転体340に取り付けられている。そして、回転体340は、摺動子360を取付基体300の底壁300b上の接点320aに対向させ、且つ、鍔部340aが凹部300cに収納された状態で、筒部340cが取付基本300の孔300aに挿通される。
また、図14に示すように、金属板又はプラスチック等から成るリング状の板バネ380は、環状の溝380aを設けて外環部380bと内環部380cとを形成し、その外環部380bには凸部380dを設けると共に、内環部380cにおける孔380fの内周縁部に一対の折り曲げ部380eが設けられている。そして、この板バネ380は、折り曲げ部380eを回転体340の割部340bに位置させて、孔380f内に回転体340の筒部340cを挿通し、筒部340cの端部を加熱された治具(図示略)で外方に広げ、広げられた部分で内環部380cの一面に係止し、内環部380cの他面を取付基体300の裏面に当接して、板バネ380と回転体340が取付基体300に取り付けられる。
そして、取り付けられた際は、図13に示すように摺動子360の接片360aが導電板320の接点320aに接触し、また、板バネ380の凸部380dが取付基体300の裏面に設けられた凹凸部300eに弾性力で押し当てられてクリック部が形成される。摺動子360を取り付けた回転体340、導電板320を設けた取付基体300及び板バネ380とで回転型電気部品の1つであるパルススイッチを構成している。なお、この回転型電気部品は可変抵抗器などでも良い。そして、軸390を回転させると、それに伴って回転体340が回転し、回転体340の回転によって、摺動子360が導電板320の接点320a上を摺動して、所望のパルス信号を得ると共に、板バネ380が取付基体300の裏面に摺接しながら回転体340と共に回転し、凸部380dが凹凸部300eに対して係脱を繰り返して軸390の操作者にクリック感を得える。
特開平10−154446号公報(従来技術)
しかしながら、上記従来の回転型電気部品においては、軸390を回転させたときのクリック感触を、取付基体300の裏面に設けられた凹凸部300eと板バネ380の凸部380dとで得ているが、この構造では明瞭な節度感を得にくいという問題がある。また、板バネは耐久性に問題があり、長期使用によってクリック感触が低減して行くという問題もある。
本発明の目的は、クリック感が強く、明瞭な節度感を得ることができ、しかも長期使用によるクリック感触の低減を最小限に抑えることができる回転型電気部品を提供することである。
本発明の回転型電気部品は、操作軸と、前記操作軸を回転可能に保持する貫通孔を設けた軸受部材を有する筐体と、一面側に複数の凹凸部が形成され、前記操作軸の回転に伴って該操作軸と一体的に回転する回転部材と、前記回転部材の凹凸部に対向配置され、前記回転部材の回転に伴って前記凹凸部と係脱を繰り返すローラと、前記筐体側に操作軸の軸線方向へ移動可能に保持され、前記回転部材の凹凸部に対向配置した前記ローラを回転可能に保持した保持部材と、前記保持部材を介して前記ローラを前記回転部材の凹凸部に弾性的に付勢するコイルバネと、前記回転部材の回転を検出する回転検出手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、回転部材の回転動作に従って保持部材によって保持されたローラが回転部材の凹凸部に係脱しながら回転移動(転動)するので、板バネを使用した従来技術と比べてクリック感触が強く、明瞭な節度感が得られる。また、コイルバネは、板バネと比べて耐久性があることから、長期使用によるクリック感触の低減を低く抑えることができる。
また本発明は、上記回転型電気部品において、前記ローラが前記操作軸の回転軸船を挟んで対向する位置に一対設けられたことを特徴とする。
この構成により、保持部材が保持する一対のローラを、操作軸の回転軸線を挟んで対向する位置に設けることで、バランスのよいクリック動作が得られる。
また本発明は、上記回転型電気部品において、前記軸受部材は、前記貫通孔が中心部に形成されて前記回転部材側の端部が開口すると共に前記コイルバネの少なくとも一端側部分が外周に緩嵌される筒状部を有し、前記保持部材を回転規制した状態で保持することを特徴とする。
この構成により、コイルバネが伸縮方向以外の方向に変形したりせず、付勢力の略全てがローラに与えられるので、常に一定の操作感覚が得られる。
また本発明は、上記本発明の回転型電気部品において、前記保持部材の外壁であってローラ保持位置とは異なる位置に径方向外側に突出する凸部を設け、前記軸受部材の内壁に前記凸部を前記操作軸の軸線方向へ案内する案内凹部を設けたことを特徴とする。
この構成により、ローラを保持する保持部材の操作軸の軸線方向への移動が円滑になり、良好なクリック感触が得られる。
また本発明は、上記本発明の回転型電気部品において、前記操作軸は、前記軸受部材の貫通孔に挿入される挿入端側の端部近傍に軸線方向に対して直交する方向に突出した突出部が形成され、前記回転部材は、前記保持部材との間に前記ローラを挟むように前記軸受部材と対向配置され、前記操作軸の前記突出部を挿通可能な開口部を有し、前記開口部から前記操作軸が挿通される挿入孔が形成され、前記開口部から前記挿入孔に挿入された操作軸を前記開口部の端部から第1の距離までは軸線方向への移動を可能とすると共に該軸線を中心とした旋回は規制されており、前記第1の距離からさらに所定距離挿入した第2の距離までの間は前記軸線を中心とした旋回を可能とし、所定角度旋回した位置で挿入方向とは逆方向に前記操作軸を所定距離引き戻したところで当該引き戻し方向及び両回転方向への旋回が規制される旋回用空間が形成されたことを特徴とする。
この構成により、軸受部材、コイルバネ、保持部材、ローラ及び回転部材を組み合わせ、操作軸を軸受部材側(前方側)から挿通して回転部材の旋回用空間において第1の距離から第2の距離の間で旋回させ、所定角度旋回したところで引き戻す。これにより、軸受部材と回転部材との間にコイルバネ、保持部材、ローラが保持された状態で仮止めすることができ、組立て中に、コイルバネやローラがばらばらになることがなくなり、作業効率が良くなり、生産性の向上が図れる。
上記本発明の回転型電気部品において、前記回転部材の旋回用空間は、一方向における旋回方向側の側面に沿って形成され前記開口部の端部から前記第1の距離の位置が下端となる第1の凸状部と、該旋回方向側の側面とは対向する側面に沿って形成され前記開口部の端部から前記第2の距離の位置が下端となり所定角度旋回した前記突出部が当接可能な当接面を形成する第2の凸状部と、前記第1の凸状部と第2の凸状部との間であって前記第1の凸状部の下端部よりも前記開口部側に落ち込んだ位置に形成され前記所定角度旋回した位置から前記操作軸を引き戻した際に前記突出部が当接可能に対向する当接面となる係合面とを有することが望ましい。これにより、さらに組立ての作業効率が良好なものとなり、コイルバネやローラを確実に仮止めすることができる。
また本発明は、上記本発明の回転型電気部品において、前記回転検出手段は、前記回転部材の他面側に設けられた摺動接点と、前記摺動接点が摺接する導電パターンとからなることを特徴とする。
一実施の形態に係る回転型電気部品の断面図である。 上記一実施の形態の回転型電気部品の分解斜視図である。 上記一実施の形態における内側軸の斜視図である。 上記一実施の形態における内側軸の側面図である。 上記一実施の形態における内側軸の下端部を示す底面図である。 上記一実施の形態における軸受部材とコイルバネと保持部材の斜視図である。 上記一実施の形態における回転部材の表面側(一面側)の平面図である。 上記一実施の形態における回転部材の側面図である。 上記一実施の形態における回転部材の裏面側を示す底面図である。 図9に示すA−A線矢視断面図である。 図9に示すB−B線矢視断面図である。 上記一実施の形態における回転部材をエンコーダ接点ケース側から見た斜視図である。 従来の回転型電気部品の断面図である。 従来の回転型電気部品の回転体と摺動子と取付基体と板バネの斜視図である。 従来の回転型電気部品の回転体を取付基体側から見た斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、回転型電気部品としてエンコーダスイッチを例示するが、回転型電気部品の一つである可変抵抗器にも適用可能である。
図1は本発明の一実施の形態に係る回転型電気部品の断面図であり、図2は本実施の形態の回転型電気部品の分解斜視図である。外側軸1と内側軸2からなる操作軸3が軸受部材4に回転及び押圧操作可能に支持されている。軸受部材4に挿入される後方側における内側軸2の一端部には押圧部材5が圧入固定されている。回転部材6の後面(他面側)にはリング状の金属板からなる摺動接点としての摺動部材7が固定されている。回転部材6は第1のケースとなるエンコーダ接点ケース8の凹部8aに対して軸線Sを中心とする回転方向に回転自在に保持される。
軸受部材4から外方に突出する前方側である内側軸2の他端部はスピードナット9にて外側軸1に固定されている。軸受部材4の内部にはコイルバネ10が保持部材11に保持された状態で収容されている。保持部材11は操作軸3の軸線Sを挟んだ対向位置に一対のローラ支持部111a,111bが一体形成されており、また、ローラ支持部111a,111bと90°の角度差を隔てて一対の凸状部112a,112bが対向する位置関係で保持部材本体に一体形成されている。ローラ支持部111a,111bには、ローラ12a,12bが回転自在に支持されている。
円板状で金属の板バネからなり中央部が膨出した2枚の可動接点13a,13bが二枚重ねた状態で第2のケースとなるプッシュ接点ケース14に設置されている。プッシュ接点ケース14は、エンコーダ接点ケース8の後面に配置される。軸受部材4、エンコーダ接点ケース8及びプッシュ接点ケース14は、外形寸法が略同一の長方形をなしており、中間に保持部材11と回転部材6を挟み込んだ状態で取付板15により一体化されている。軸受部材4、エンコーダ接点ケース8及びプッシュ接点ケース14で筐体が構成されているが、プッシュスイッチ機能を有しない場合は軸受部材4、エンコーダ接点ケース8で筐体が構成される。
次に、上記回転型電気部品の各部の構成について詳細に説明する。
図3は内側軸2の斜視図、図4は内側軸2の側面図、図5は内側軸2の下面図である。図3〜図5に示すように、前方側となる内側軸2の上端部(他端部)に断面が非円形をなす柱状の嵌合部21が形成され、この嵌合部21の端面に突起22が一体形成されている。内側軸2において軸受部材4に回転及び押圧操作可能に支持される上端部寄りの中間領域には、嵌合部21よりも大きな直径の円柱状をなす軸支持部23が形成されている。また、軸支持部23よりも小さな直径の円柱状をなす軸本体部24の下端部に係合部25が一体形成されている。係合部25は、軸本体部24の下端面から軸支持部23方向の所定位置に掛けて一対の平行平面25c、25dが形成されている。平行平面25c、25dは軸本体部24の外周面から軸中心側に所定量だけ切削することにより形成されている。平行平面25c、25dに挟まれた軸本体部24の外周面であって、軸本体部24の下端面から所定距離の位置に、軸線方向と直交する外方へ延出した突出部である一対のフランジ25a,25bが形成されている。フランジ25a,25bは所定の厚さを有すると共に先端部が円弧状になされている。軸本体部24の下端面には押圧部材5に圧入される突起部26が設けられている。
図1及び図2において、操作軸3の外側軸1は、内側軸2を収納可能な大きさであって、図中下側となる一端部が開口した円筒状に形成され、図中上側となる他端部の中央部には内側軸2の嵌合部21が嵌合する嵌合孔1aが形成されている。この嵌合孔1aに内側軸2の嵌合部21が挿入された状態で、嵌合部21の上端部に形成された突起22にスピードナット9が嵌め込まれることで、内側軸2が外側軸1に固定される。
図6に、軸受部材4、コイルバネ10及び保持部材11をエンコーダ接点ケース8側から見た斜視図を示す。図1及び図6に示すように、軸受部材4は、図1において上方側の一端部から中央部にかけて一定の肉厚の筒状に形成され、中央部から他端部手前までは徐々に肉厚が厚くなるテーパ状に形成された円筒軸受部41と、円筒軸受部41の他端部に一体形成されたケース取付板42とから構成される。ケース取付板42の平面形状は、エンコーダ接点ケース8及びプッシュ接点ケース14の平面形状とほぼ同じ形状及び寸法に設定されている。円筒軸受部41は、内側軸2の軸支持部23の外周を回転及び軸線S方向に移動自在に支持するのに適した直径の貫通孔43が形成されている。円筒軸受部41において肉厚にした中央部から他端部手前に掛けての内壁に貫通孔43を中心とした溝部41aが形成されており、この溝部41aと貫通孔43との間に残った円筒状の壁材により筒状部41bが形成されている。筒状部41bの外周にコイルバネ10が緩嵌状態で挿通される。溝部41aは、筒状部41bの外径を変えることなく、コイルバネ10の挿入端側(図1における上方側)に相当する領域ではコイルバネ10の外径よりも若干大きい内径となり、コイルバネ10の挿入端とは反対側の領域ではコイルバネ10の外径に保持部材11の上端部の厚さまで加味した内径に設定されている。図1に示すように、溝部41aのコイル挿入端領域には、図示上方に位置するコイルバネ10の一端側部分が装填され、溝部41aの残りの領域にはコイルバネ10の他端側部分と保持部材11の上端部分が挿入されている。
図6に示すように、収納空間41cを形成する円筒軸受部41の内壁面には、案内凹部44a,44bと案内凹部45a,45bが90度間隔で形成されている。案内凹部44a,44bは保持部材11の側面に一体形成された凸状部112a,112bとわずかなクリアランスを有して嵌合する大きさに形成されており、案内凹部45a,45bは保持部材11の側面に一体形成されたローラ支持部111a,111bとわずかなクリアランスを有して嵌合する大きさに形成されている。ケース取付板42の対向する2辺には、図2に示す取付板15の足151a,151b及びスナップ足152aからなる側面部153aと足151c,151d及びスナップ足152bからなる側面部153bを嵌め込むための凹部46a,46bが形成されている。また、ケース取付板42の対角線上に位置する2つの角部47a,47bにはケース固定用凸部48a,48bが設けられている。
図1及び図6に示すように、保持部材11は略円筒状の壁部11aを有する短筒状をなしており、その外周面にローラ支持部111a,111b及び凸状部112a、112bが形成されている。短筒状をなす保持部材11の内壁下端部には中心軸方向に延出してなる段差部11bが形成されている。段差部11bはコイルバネ10の外径より短い開口径に設定されている。保持部材11の上端開口より挿入したコイルバネ10の下端部(他端部)を段差部11bで保持するようになっている。保持部材11の上端開口よりコイルバネ10を挿入してその他端部を段差部11bに当接させ、ローラ支持部111a,111bを軸受部材4の案内凹部45a,45bに挿入すると共に凸状部112a、112bを案内凹部44a,44bに挿入し、コイルバネ10の上端部(一端部)から筒状部41bを挿入した状態となっている。一方、ローラ12a,12bは、それぞれ車輪12cとローラ軸12dとで構成されており、例えば金属材を切削加工により車輪12cとローラ軸12dとを一体に切り出したものを用いることができる。但し、車輪12cにローラ軸12dが回転自在に挿入されたものを用いることもできる。ローラ軸12dの軸線方向は、操作軸3の軸線S方向に対して直交している。ローラ支持部111a,111bは、車輪12cを回転可能に収容する車輪収容部111cが形成されている。また、ローラ支持部111a,111bの回転部材6側の端面には、保持部材11の中心点を通ると共にローラ支持部111a,111bを横切る線分に対して平行に、ローラ軸12d用の半円状の軸受溝111dがそれぞれ形成されている。各軸受溝111dが対応するローラ12a、12bの各ローラ軸12dの軸受けとして機能するが、ローラ12a、12bを回転部材6側(凹凸部66)に押圧することで抜け止め防止及び組立作業の簡素化が図られている。
図7から図12は回転部材6の構成図である。図7は回転部材6を軸受部材4側から見た平面図、図8は回転部材6の側面図、図9は回転部材6をエンコーダ接点ケース8側から見た底面図、図10は図9のA−A線矢視断面図、図11は図9のB−B線矢視断面図、図12は回転部材6をエンコーダ接点ケース8側から見た斜視図である。回転部材6は、挿入孔61が形成された円筒部62と、円筒部62の一端部に一体形成されたクリック係合部64とを有する。図7に示すように、円筒部62の挿入孔61は、内側軸2の軸本体部24及びフランジ25a,25bを含めた平面形状と対応した略同一形状の開口部61aを有し、開口部61a(挿入孔61)に突出部であるフランジ25a,25bが挿入可能となっている。クリック係合部64は、半円柱形状の凸部63が円筒部62の外周に放射状に形成されている。クリック係合部64において、隣接する凸部63間が凹部65となるので、凸部63と凹部65とを併せて凹凸部66と呼ぶこととする。この凹凸部66は軸受部材4と対向する側の面である回転部材6の一面側に設けられたものとなっている。図1に示すように、円筒部62は保持部材11の段差部11bが設けられた壁部11aの円形状の開口に軸支されてガタ無く挿入可能な直径に設定されている。円筒部62の端面上に筒状部41bの下端部が当接している。また、円筒部62の下端部外周に形成されるクリック係合部64がローラ12a,12bの軌道上に配置されるようにされている。保持部材11の軸受溝111dによってローラ軸12dが支持された車輪12cを、半円状の軸受溝111dとは反対側から凹凸部66によって支えるように構成されている。ローラ12a,12b自体は保持部材11を介してコイルバネ10により回転部材6側へ付勢されるので、所定の押圧力で凹凸部66に押し付けられた状態となっている。したがって、操作軸3による回転部材6の回転動作に従って保持部材11に設けられた2つのローラ12a,12bが凹凸部66と係脱を繰り返しながらローラ軸12dを中心として回転移動(転動)するクリック機構を構成する。ローラ12a,12bはコイルバネ10の付勢力でクリック係合部64の凹凸部66に押し付けられた状態で該凹凸部66と係脱しながら転動することから、板バネを使用した従来技術と比べてクリック感触が強く、明瞭な節度感が得られる。また、コイルバネ10は、板バネと比べて耐久性があるので、長期使用によるクリック感触の低減を低く抑えることができる。
本実施の形態では、内側軸2の一端部に設けた係合部25を、回転部材6の開口部61aから所定距離だけ挿入し、その後に回転部材6の内部空間(旋回用空間67)において軸線Sを中心に所定方向に90度回転させてから僅かに引き戻すと、左右両方向の回転が規制される共に引き戻し方向の移動も規制されるように構成している。具体的には、回転部材6の挿入孔61は、開口部61aの軸受部材4(筒状部材41b)と対向する前方側の端部(円筒部62の端面)からの所定距離L1(図10参照)まで断面が開口部61aと同一形状となっている。図7に示す辺M1,M2から垂直下方に延びた内壁は開口部61aの端部から第1の距離となる距離L2(図10参照)のところで途切れて、フランジ25a、25bが辺M3,M4方向となる図7において反時計回転方向(図9では時計回転方向)へ旋回可能な旋回用空間67が形成されている。旋回用空間67には、内側軸2が90度一方向へ回転したところでフランジ25a、25bの旋回を規制する当接面である旋回規制面67aが形成されている。挿入孔61の内壁の辺M1,M2に相当する領域に開口部61aの端部から距離L2(図10参照)まで第1の凸状部67−1がそれぞれ形成され、辺M3,M4に相当する領域に開口部61aの端部から第2の距離となる距離L3(図10参照)まで第2の凸状部67−2がそれぞれ形成されている。第2の凸状部67−2の第1の凸状部67−1との対向面で旋回規制面67aが形成される。第1の凸状部67−1(L2)よりも第2の凸状部67−2(L3)の方が長い寸法となるように設定している。また、互いに対向する第1の凸状部67−1と第2の凸状部67−2との間に形成され、回転部材6の図1における上方側(前方側)に位置する旋回用空間67の天井部(係合面)67bを第1の凸状部67−1の端部よりも開口部61aの上端部側(図1の上方側)に落ち込んだ凹部形状としている。旋回用空間67の天井部67bは当接可能に対向するようになるフランジ25a、25bの寸法に相当する奥行きを有する。
上記回転部材6の内部構造において、内側軸2の挿入端側に位置する係合部25を回転部材6の挿入孔61の開口部61aの上端部側から挿入し、内側軸2の挿入端側の先端部を挿入孔61内の第1の凸状部67−1の下端まで押し込む。内側軸2の先端部のフランジ25a、25bが第1の凸状部67−1の下端まで来ると、本例では図7において反時計回り方向の旋回が可能になり、旋回用空間67の内周壁にガイドされながら旋回規制面67aに当接するまで所定角度(本例では90度)旋回させる。フランジ25a、25bの旋回方向の側面が旋回規制面67aに当接したところで、そのまま旋回規制面67aに沿って内側軸2を旋回用空間67の当接面となる天井部67bに当接するまで引き戻す。第1及び第2の凸状部67−1,67−2は天井部67bよりも突出しているので、時計回転及び反時計回転のいずれの方向であってもフランジ25a、25bの側面が第1及び第2の凸状部67−1,67−2によって規制された係合状態となる。このとき、コイルバネ10の弾性力が軸受部材4と保持部材11(及び回転部材6)とを引き離す方向に作用するので、操作軸3が軸受部材4の貫通孔43に挿入された状態において、フランジ25a、25bと旋回用空間67の天井部67bとは係合する方向の力を受けて強固に係合することとなる。このように、操作軸3の内側軸2の下端に係合部25を形成し、回転部材6の挿入孔61内に上記係合構造を形成することで、軸受部材4、コイルバネ10、保持部材11、ローラ12a,12b及び回転部材6を内側軸2(操作軸3)によって容易に一体化でき、組立て中にコイルバネ10やローラ12a,12bがばらばらになることを防止でき、組立て効率の向上が図れる。また、組立て後において、操作軸3の軸受部材4からの引き抜き強度を十分に大きなものとすることができる。
また、回転部材6のクリック係合部64は、エンコーダ接点ケース8の円形の凹部8aに対してガタなく回転可能に嵌るような直径に設定されている。クリック係合部64のエンコーダ接点ケース8側の下面側における開口部68の周囲に沿ってリング状溝部69が形成されている。図12に示すようにリング状溝部69には、4つの突起部70が周方向に沿って90度間隔で形成されており、これらの突起部70によって回転部材5の他面側に設けられたリング状溝部69に摺動部材7(図1参照)がカシメ固定されている。摺動接点である摺動部材7は複数(本例では4つ)の摺動子71を有する。各摺動子71が後述するエンコーダ接点ケース8の底面に形成された導電パターンと摺接する。
図2に示すように、エンコーダ接点ケース8には、押圧部材5が挿通される貫通孔81が中央に形成されている。貫通孔81の周囲を円環状に囲む底部82が形成され、当該円環状の底部82に上記導電パターン82aが形成されている。摺動部材7と導体パターン82aとで回転検出手段を構成しており、図1に示す端子82bをケース側壁から外部に突出させている。導電パターン82aと端子82bとは導通接続されている。円環状の底部82の周囲は底部82から垂直上方に延びる内壁83が形成される。内壁83は回転部材6の大径部であるクリック係合部64の厚さとほぼ同じ高さに設定されていて、円環状の底部82に配置した回転部材6がガタなく回転自在に保持されるようになされている。エンコーダ接点ケース8は略長方形状をなしており、上面の4つの角部には、孔84a〜84dが形成されている。また、エンコーダ接点ケース8の対向する2辺には、取付板15の足151a,151b及びスナップ足152aからなる側面部153aと足151c,151d及びスナップ足152bからなる側面部153bを嵌め込むための凹部85b,85aが形成されている。組立て時は、軸受部材4の下面に形成された2つのケース固定用凸部48a,48bが、4つの孔84a〜84dのうち一方の対角線上に位置する2つ(例えば、孔84aと孔84d)に圧入される。
図2に示すように、プッシュ接点ケース14の上面には可動接点13a,13bが設置される円形凹部141が形成されている。円形凹部141の中央部及び周縁部に固定接点142,143が設けられている。可動接点13a,13bを円形凹部141に設置することにより、図1に示すように可動接点13a,13bの周縁部と固定接点143とが導通接触する。プッシュ接点ケース14の対向する2辺には、取付板15の足151a,151b及びスナップ足152aからなる側面部153aと足151c,151d及びスナップ足152bからなる側面部153bを嵌め込むための凹部144b,144aが形成されている。
プッシュ接点ケース14の上面の2つの角部には突起部145a,145bが形成されている。当該突起部145a,145bが、エンコーダ接点ケース8の2つの孔84a,84bに圧入され、エンコーダ接点ケース8とプッシュ接点ケース14とが位置決め固定される。また、プッシュ接点ケース14の側面146から端子147a,147bが外部に取り出されている。各端子147a,147bはプッシュ接点ケース14の円形凹部141に形成した固定接点142,143と導通している。
図2に示すように、取付板15は、中央部に軸受部材4の円筒軸受部41の直径よりも大きくケース取付板42の一辺よりも短い開口部154を有する。取付板15の対向する2つの側面部153a,153bからは足151a〜151d及び先端部分が内側に曲がったスナップ足152a,152bが下方に延びている。取付板15を、その開口部154に軸受部材4の円筒軸受部41を通してケース取付板42の上面に係合させ、軸受部材4の後面にエンコーダ接点ケース8及びプッシュ接点ケース14を組み付けた状態で、側面部153a,151の足151a〜151dをプッシュ接点ケース14の下面側に折り曲げて全体を一体化させる。このように、取付板15で筐体を構成する軸受部材4、エンコーダ接点ケース8及びプッシュ接点ケース14を上下から強固に挟み込むことにより、部材間のガタを取り除くことができる。
上述した構成において、操作軸3を軸線Sを中心として任意方向に回転させると、内側軸2の係合部25と係合した回転部材6が回転する。回転部材6のクリック係合部64の凹凸部66に対して、軸受部材4側に回転が規制された状態で軸線S方向に移動可能に保持された保持部材11に軸支されたローラ12a,12bが保持部材11を介してコイルバネ10により弾性的に押圧されている。したがって、回転部材6が回転するとコイルバネ10から一定の押圧力を受けたローラ12a,12bが凹凸部66上を回転移動(転動)する。ローラ12a,12bが回転部材6の凹凸部66と係脱を繰り返すことで操作軸3にはトルク変化がクリック感として伝えられる。
回転部材6が回転することにより、各摺動子71がエンコーダ接点ケース8の底面82に形成された導電パターン82aと摺接し、端子82bから検出信号が出力され回転検出に用いられる。
また、操作軸3がプッシュ操作されると、操作軸3が軸受部材4及び回転部材6に保持された状態で図1中下方に移動して押圧部材5が可動接点13a,13bを押圧する。可動接点13a,13bが変形して固定接点142に接触すると、固定接点142,143が可動接点13a,13bを介して導通し、端子147a,147bからオン信号が出力される。
本実施の形態によれば、コイルバネ10から一定の押圧力を受けたローラ12a,12bが凹凸部66上を転動しながら移動するので、板バネに設けた突起部を凹凸部に摺接させながら移動させるクリック機構に比べて、より滑らかな回転動作と大きなクリック感とを同時に実現でき、明瞭な節度感を得ることができる。しかも、板バネを用いたクリック機構では、大きなクリック感を得ようとして板バネの変形量を大きくすると長期使用に耐えられないが、ローラ12a,12bをコイルバネ10で押圧力する構造であれば板バネに比べて耐久性能を大幅に向上できる。
また、軸受部材4の内壁部に筒状部41bを形成してコイルバネ10を挿通するとともに、コイルバネ10から付勢力を受ける保持部材11をローラ押圧方向に移動可能に支持して回転方向の移動を規制するので、コイルバネ10が伸縮方向以外の方向に変形したりせず、付勢力の略全てが保持部材11を介してローラ12a,12bに与えられるので、常に一定の操作感覚が得られる。
また、保持部材11においてローラ12a,12bを保持する部分とは異なる位置即ち軸線Sを挟んで対向する位置に、径方向外側に突出する凸状部112a,112bを設け、この凸状部112a,112bを軸線S方向に移動可能に案内する案内凹部44a,44bを軸受部材4に設けたので、ローラ12a,12bを保持する保持部材11の軸線S方向への移動が円滑になり、良好なクリック感触が得られる。
また、保持部材11において、操作軸3の軸線Sを挟んで対向する位置に一対のローラ12a,12bを配置するので、バランスのよいクリック動作を実現できる。
また、内側軸2の一端部に設けた係合部25を、回転部材6の開口部61aの端部から所定距離だけ挿入し、その後に回転部材6の内部空間において軸線Sを中心に所定方向に90度回転させてから僅かに引き戻すと、時計回り方向と反時計回り方向の両方向の回転が規制される共に引き戻し方向の移動も規制されるように構成したので、組立て時に、コイルバネ10や2つのローラ12a,12bを保持した状態で仮止めでき、組立て中にコイルバネ10やローラ12a,12bがばらばらにならず、作業効率が良くなり、生産性向上が図れる。
なお、上記実施の形態では、ローラ12a,12bは、車輪12cとローラ軸12dとが一体となったものであったが、別体であっても構わない。
また、上記実施の形態では、保持部材11に2つの凸状部112a,112bを設けたが、この数に限定はなく、1個でも3個以上であっても構わない。また同様に、一対のローラ12a,12bを1組設けたが、2組以上設けても構わない。この場合、当然であるが、ローラ組数に合わせてローラ支持部111a,111bの組数を増やす必要がある。
また、以上の説明ではプッシュスイッチ機能を備えているが、プッシュスイッチ機能は必ずしも必須要素ではない。

Claims (7)

  1. 操作軸と、
    前記操作軸を回転可能に保持する貫通孔を設けた軸受部材を有する筐体と、
    一面側に複数の凹凸部が形成され、前記操作軸の回転に伴って該操作軸と一体的に回転する回転部材と、
    前記回転部材の凹凸部に対向配置され、前記回転部材の回転に伴って前記凹凸部と係脱を繰り返すローラと、
    前記筐体側に操作軸の軸線方向へ移動可能に保持され、前記回転部材の凹凸部に対向配置した前記ローラを回転可能に保持した保持部材と、
    前記保持部材を介して前記ローラを前記回転部材の凹凸部に弾性的に付勢するコイルバネと、
    前記回転部材の回転を検出する回転検出手段と、
    を備えたことを特徴とする回転型電気部品。
  2. 前記ローラが前記操作軸の回転軸線を挟んで対向する位置に一対設けられたことを特徴とする請求項1に記載の回転型電気部品。
  3. 前記軸受部材は、前記貫通孔が中心部に形成されて前記回転部材側の端部が開口すると共に前記コイルバネの少なくとも一端側部分が外周に緩嵌される筒状部を有し、前記保持部材を回転規制した状態で保持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転型電気部品。
  4. 前記保持部材の外壁であってローラ保持位置とは異なる位置に径方向外側に突出する凸部を設け、前記軸受部材の内壁に前記凸部を前記操作軸の軸線方向へ案内する案内凹部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の回転型電気部品。
  5. 前記操作軸は、前記軸受部材の貫通孔に挿入される挿入端側の端部近傍に軸線方向に対して直交する方向に突出した突出部が形成され、
    前記回転部材は、前記保持部材との間に前記ローラを挟むように前記軸受部材と対向配置され、前記操作軸の前記突出部を挿通可能な開口部を有し、前記開口部から前記操作軸が挿通される挿入孔が形成され、前記開口部から前記挿入孔に挿入された操作軸を前記開口部の端部から第1の距離までは軸線方向への移動を可能とすると共に該軸線を中心とした旋回は規制されており、前記第1の距離からさらに所定距離挿入した第2の距離までの間は前記軸線を中心とした旋回を可能とし、所定角度旋回した位置で挿入方向とは逆方向に前記操作軸を所定距離引き戻したところで当該引き戻し方向及び両回転方向への旋回が規制される旋回用空間が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の回転型電気部品。
  6. 前記回転部材の旋回用空間は、一方向における旋回方向側の側面に沿って形成され前記開口部の端部から前記第1の距離の位置が下端となる第1の凸状部と、該旋回方向側の側面とは対向する側面に沿って形成され前記開口部の端部から前記第2の距離の位置が下端となり所定角度旋回した前記突出部が当接可能な当接面を形成する第2の凸状部と、前記第1の凸状部と第2の凸状部との間であって前記第1の凸状部の下端部よりも前記開口部側に落ち込んだ位置に形成され前記所定角度旋回した位置から前記操作軸を引き戻した際に前記突出部が当接可能に対向する当接面となる係合面とを有することを特徴とする請求項5記載の回転型電気部品。
  7. 前記回転検出手段は、前記回転部材の他面側に設けられた摺動接点と、前記摺動接点が摺接する導電パターンとからなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の回転型電気部品。
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