JPWO2007135912A1 - インクジェット捺染方法およびインクジェット捺染物 - Google Patents

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Abstract

裏抜けがなく、かつ得られる画像濃度が高い染色物を得るためのインクジェット捺染方法を提供する。インクジェット記録方式を用いて、顔料、アニオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクA)、および、インクAの顔料と同色の中性および/または塩基性処理された顔料、カチオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクB)を、布帛の同じ場所に印字して画像を形成した後、加熱することを特徴とするインクジェット捺染方法。

Description

本発明は、裏移りが防止でき、かつ画像濃度に優れるインクジェット捺染方法およびインクジェット捺染物に関する。
従来、捺染方法においては、手描きやスクリーン印刷方式が主体であったが、最近では、極めて簡単に、そして、長尺の布帛に対しても連続して染色が可能なインクジェット記録方法を利用することが多くなっている。
また、利用されるインクも、着色剤として、鮮明で再現できる色域も広い反面、耐光性が低く、布帛に対する定着や水洗、廃液処理などの後工程が煩雑となる染料に替えて、顔料を用いた水性インクが注目されるようになってきている。
そのような顔料型水性インクを用いるインクジェット捺染方法としては、例えば、水溶性の多価金属イオンやカチオン系樹脂等のカチオン系化合物を含有する処理液で処理した布帛を、顔料型水性インクで染色する方法(例えば、特開平07−119047号公報、特開2000−226781号公報参照)等が提案されている。
しかし、これら方法では、捺染物の色濃度が十分とはいえず、また、見栄えのする画像が得られないという問題を有している。
本発明の課題は、裏抜けがなく、かつ得られる画像濃度が高い染色物を得るためのインクジェット捺染方法および該インクジェット染色方法で得られる染色物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、布帛に、同一色のカチオン性とアニオン性のインクジェット捺染用水性顔料インクを印字して画像を形成し、加熱することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記インクジェット捺染方法を提供する。
(1)インクジェット記録方式を用いて、顔料、アニオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクA)、および、インクAの顔料と同色の中性および/または塩基性処理された顔料、カチオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクB)を、布帛の同じ場所に印字して画像を形成した後、加熱することを特徴とするインクジェット捺染方法。
(2)前記インクBが、さらに一般式(1)で示される複素環式化合物を含むインクジェット記録用インクである前記(1)項に記載のインクジェット捺染方法。
Figure 2007135912
〔式中、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基を表す)、またはSを表す。Yはアルキレン基を表す。mは0〜5の整数、nは0〜5の整数を表し、m+n=1〜5である。R1は水酸基、アルキル基またはアリール基を表す。pは0〜7の整数を表し、p個のR1は同一または異なっていてもよい。CはXと一緒になって複素環を構成する炭素原子を表し、qは3〜9の整数を表す。炭素原子CはC=O基を形成していてもよく、また隣接する2つの炭素原子間の結合は単結合であっても、2重結合であってもよい。m+n+p+q≦(複素環を構成する原子の総数−1)である〕。
(3)前記(1)または(2)項に記載のインクジェット捺染方法でえられることを特徴とするインクジェット捺染物。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、インクジェット記録方式を用いて、顔料、アニオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクA)、および、インクAの顔料と同色の中性および/または塩基性処理された顔料、カチオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクB)を、処理液で処理されていない布帛の同じ場所に印字して画像を形成した後、加熱することを特徴とするインクジェット捺染方法に関する。ここで、インクAで使用する顔料とインクBで使用する顔料が同色とは、両顔料の色相が実質的に同一であることをいう。
<本発明のインクジェット捺染方法において使用する構成材料>
まず、布帛としては、従来から使用されているいずれのものでもよいが、例えば、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロンもしくはポリエステル繊維からなる布帛、これら繊維の2種以上からなる混紡布帛等が使用できる。
次に、インクジェット捺染用水性顔料インク(A)としては、顔料、アニオン性水性樹脂、塩基性化合物、水性媒体を含む2〜16mPa・sの粘度のインクジェット捺染用アニオン型水性顔料インクが好ましく使用できる。なお、インクジェット捺染用アニオン型水性顔料インクの粘度は、インクジェット捺染用アニオン型水性顔料インクを印字する装置により適宜選択される。
ここで、顔料としては、従来公知の無機または有機顔料がとくに制限なく使用でき、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等の有機顔料が例示できる。顔料としては中性のもの、酸性処理したもの、塩基性処理したものなど、いずれであってもよい。
また、アニオン性水性樹脂としては、インクジェット分野で一般的に使用されている酸価30〜300mgKOH/gのものを好ましく使用することができる。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合等が挙げられる。
塩基性化合物は前記アニオン性水性樹脂を水性媒体に溶解または分散させるために使用される。かかる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の有機塩基性化合物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その中でも、乾燥性と吐出安定性の面から不揮発性のアミン系塩基性化合物が好適である。
また、水性媒体としては、特に限定はなく、従来からインクジェット分野で一般的に使用されている水、または水と水混和性溶剤との混合物を使用することができる。上記水混和性溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等が例示でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット捺染用水性顔料インク(A)において、画像濃度の点から、顔料は5〜30質量%含有させることが好ましい。アニオン性水性樹脂は、顔料100質量部に対して、30〜150質量部が好ましい。
また、本発明のインクジェット捺染用水性顔料インク(A)には、必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、成膜助剤等の各種添加剤を添加することもできる。
次に、インクジェット捺染用水性顔料インク(B)としては、中性または塩基性処理した顔料、カチオン性水性樹脂、水性媒体を含む2〜16mPa・sの粘度のインクジェット捺染用カチオン型水性顔料インクが好ましく使用できる。なお、インクジェット捺染用カチオン型水性顔料インクの粘度は、インクジェット捺染用カチオン型水性顔料インクを印字する装置により適宜選択される。
ここで、中性顔料、塩基性処理した顔料としては、従来公知の中性または塩基性処理した無機または有機顔料が特に制限なく使用でき、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等の有機顔料が例示できる。得られるインクジェット捺染用カチオン型水性顔料インク(B)の安定性の低下や粘度が高くなる点から、インクジェット捺染用カチオン型水性顔料インク(B)では酸性処理した顔料は使用しないのが好ましい。
また、カチオン性水性樹脂としては、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン−エピクロルヒドリン反応物、ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、カチオンデンプンまたはその酸中和物、3級アミノ基含有モノマー〔N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等〕と非極性モノマーとの共重合体の酸中和物、4級アンモニウム塩基含有モノマー〔N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有モノマーをメチルクロライド、エチルクロライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の四級化剤で四級化反応して得られるモノマー〕と非極性モノマーとの共重合体等が例示できる。これらのカチオン性樹脂の中でも、3級アミノ基含有モノマーと非極性モノマーとの共重合体の酸中和物、4級アンモニウム塩基含有モノマーと非極性モノマーとの共重合体が好ましい。上記酸中和物の製造に使用する酸としては、塩酸、亜硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、炭素数1〜5のカルボン酸、乳酸、グリコール酸等のオキシ酸等が挙げられる。
また、水性媒体としては、特に限定はなく、従来からインクジェット分野で一般的に使用されている水、または水と水混和性溶剤の混合物を使用することができる。上記水混和性溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等が例示でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。
本発明のインクジェット捺染用水性顔料インク(B)において、画像濃度の点から、顔料は5〜30質量%含有させることが好ましい。カチオン性水性樹脂は、顔料100質量部に対して、30〜150質量部が好ましい。
上記構成材料を含有する本発明のインクジェット捺染用水性顔料インク(B)には、一般式(1)で示される複素環式化合物を含有させることができる。それによって、画像濃度がより高い染色物を得ることができる。
Figure 2007135912
〔式中、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基を表す)、またはSを表す。Yはアルキレン基を表す。mは0〜5の整数、nは0〜5の整数を表し、m+n=1〜5である。R1は水酸基、アルキル基またはアリール基を表す。pは0〜7の整数を表し、p個のR1は同一または異なっていてもよい。CはXと一緒になって複素環を構成する炭素原子を表し、qは3〜9の整数を表す。炭素原子CはC=O基を形成していてもよく、また隣接する2つの炭素原子間の結合は単結合であっても、2重結合であってもよい。m+n+p+q≦(複素環を構成する原子の総数−1)である〕。
一般式(1)において、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル、s−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられる。Yとしては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基などの炭素原子数1〜4のアルキレン基が挙げられる。R1で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル、s−ブチル基、t−ブチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられる。R1で示されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などの炭素原子数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。R1で示されるアリール基としては、フェニル基、置換フェニル基(置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる)等が挙げられる。
本発明の前記一般式(1)で表される複素環式化合物は、カルボン酸基を有する複素環式化合物であれば、環を構成する炭素原子数、あるいは、導入しうる置換基が前記一般式(1)に包含される限り、どのような構造を有するものであってもよい。一般式(1)で表される複素環式化合物に含まれる複素環は、単環であっても、2環以上の複素環であってもよい。通常5員環ないし10員環である。かかる複素環としては、例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、ピロール環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロリドン環、ピロン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環、インドール環、キノリン環、ベンゾフラン環等が挙げられる。一般式(1)で表される複素環式化合物の具体例としては、2−ピロリドン−5−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸等の化合物が挙げられる。これらカルボキシル基を有する複素環式化合物は、通常カルボン酸塩の形態で使用される。かかるカルボン酸塩の形成に使用する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の有機塩基性化合物を挙げることができる。
前記複素環式化合物は、インクジェット捺染用水性顔料インク(B)中に0.01〜20質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.1〜12質量%の範囲である。
また、本発明のインクジェット捺染用水性顔料インク(B)には、必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、成膜助剤等の各種添加剤を添加することもできる。
<本発明のインクジェット捺染方法>
次に、本発明のインクジェット捺染方法について、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明のインクジェット捺染方法は、
(1)布帛に、インクジェット記録用ヘッドで、インクジェット捺染用水性顔料インク(A)を印字する第一工程、前記インク(A)が印字された前記布帛上に、インクジェット捺染用水性顔料インク(B)を印字する第二工程、上記第一工程及び第二工程により画像形成がなされた布帛を加熱する工程を少なくとも備える。あるいは、
(2)布帛に、インクジェット記録用ヘッドで、インクジェット捺染用水性顔料インク(B)を印字する第一工程、前記インク(B)が印字された前記布帛上に、インクジェット捺染用水性顔料インク(A)を印字する第二工程、上記第一工程及び第二工程により画像形成がなされた布帛を加熱する工程を少なくとも備える。
本発明のインクジェット捺染方法では、まず、処理液で処理されていない布帛に、インクジェット記録用ヘッドでインクジェット捺染用水性顔料インク(A)またはインクジェット捺染用水性顔料インク(B)を用いて、記録信号に対応した印字を行なう。次いで、同じインクジェットプリンタを用いて、前記インク(A)が印字されている場合は、印字された布帛上に、インクジェット捺染用水性顔料インク(B)を印字し、前記インク(B)が印字されている場合は、印字された布帛上に、インクジェット捺染用水性顔料インク(A)を印字することにより画像形成することができる。
このように、本発明のインクジェット捺染方法では、先にアニオン型水性顔料インク(A)を印字した場合には、その上にカチオン型水性顔料インク(B)を印字するのが好ましく、一方先にカチオン型水性顔料インク(B)を印字した場合には、その上にアニオン型水性顔料インク(A)を印字するのが好ましい。もし、アニオン型水性顔料インク(A)を印字した上にアニオン型水性顔料インク(A)を印字した場合、あるいはカチオン型水性顔料インク(B)を印字した上にカチオン型水性顔料インク(B)を印字した場合は、裏移りが生じる傾向がある。
なお、上記インクジェットプリンタとしては、公知のインクジェットプリンタを用いて行うことができる。例えば、インクジェット記録用ヘッドの室内にインクに記録信号を対応したエネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる装置が挙げられる。
本発明の画像形成がなされた布帛を加熱する工程は、画像が形成された布帛を100〜180℃で加熱し、布帛へ画像を定着させる。この布帛への加熱は、アイロン、ドライヤー、乾燥器等の公知の加熱手段を適宜用いて行うことができる。
このような工程からなる本発明のインクジェット捺染方法により得られ染色物は、裏抜けがなく、かつ得られる画像濃度が高い捺染物となる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
インクジェット捺染用水性白色インク(A)の調製
<スチレン−アクリル共重合体溶液の調製>
重量平均分子量10,000、酸価200mgKOH/gの固形スチレン−アクリル共重合体30部をトリエタノールアミン20部と水50部の混合溶液に溶解させて固形分30%のスチレン−アクリル共重合体溶液を得た。
<インクジェット捺染用水性白色インクベース(A)の調製>
前記スチレン−アクリル共重合体溶液50部に水20部を加え混合し、酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、さらに中性酸化チタン(CR−90、石原産業(株)製)30部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用水性白色インクベース(A)を得た。
<インクジェット捺染用水性白色インク(A)の調製>
インクジェット捺染用水性白色インクベース(A)66.7部に、グリセリン20部、ブチルカービトール4部、アセチレノールE100(アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)の1部、水8.3部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性白色インク(A)を得た。
インクジェット捺染用水性白色インク(B)の調製
<インクジェット捺染用水性白色インクベース(B)の調製>
ポリ(ジアリルアミン−アクリルアミド)共重合体(PAS−J−81L、日東紡(株)製、固形分25%溶液)60部に水10部を加え混合し、酸化チタン分散用樹脂ワニスを調整し、さらに中性酸化チタン(CR−90、石原産業(株)製)30部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、インクジェット捺染用水性白色インクベース(B)を得た。
<インクジェット捺染用水性白色インク(B)−1の調製>
前記インクジェット捺染用水性白色インクベース(B)66.7部に、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水6.3部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性白色インク(B)−1を得た。
<インクジェット捺染用水性白色インク(B)−2の調製>
インクジェット捺染用水性白色インクベース(B)66.7部に、ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩5部、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水1.3部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性白色インク(B)−2を得た。
<インクジェット捺染用水性白色インク(B)−3の調製>
インクジェット捺染用水性白色インクベース(B)66.7部に、フランカルボン酸ナトリウム塩5部、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水1.3部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性白色インク(B)−3を得た。
インクジェット捺染用水性ブラックインク(A)の調製
<スチレン−アクリル共重合体溶液の調製>
重量平均分子量10,000、酸価200mgKOH/gの固形スチレン−アクリル共重合体30部をトリエタノールアミン20部と水50部の混合溶液に溶解させて固形分30%のスチレン−アクリル共重合体溶液を得た。
<インクジェット捺染用水性ブラックインクベース(A)の調製>
前記スチレン−アクリル共重合体溶液66.7質量部に水13.3部を加え混合し、カーボンブラック分散用樹脂ワニスを調整し、さらに酸性処理カーボンブラック(MA100、pH3.5、三菱化学(株)製)20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ないインクジェット捺染用水性ブラックインクベース(A)を得た。
<インクジェット捺染用水性ブラックインク(A)の調製>
インクジェット捺染用水性ブラックインクベース(A)50部に、グリセリン20部、ブチルカービトール4部、アセチレノールE100の1部、水25部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性ブラックインク(A)を得た。
インクジェット捺染用水性ブラックインク(B)の調製
<インクジェット捺染用水性白色インクベース(B)の調製>
ポリ(ジアリルアミン−アクリルアミド)共重合体(PAS−J−81L、日東紡(株)製、固形分25%溶液)80部のカーボンブラック分散用樹脂ワニスに、塩基性処理カーボンブラック(Printex90、pH9、デグサ社製)20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ないインクジェット捺染用水性ブラックインクベース(B)を得た。
<インクジェット捺染用水性ブラックインク(B)−1の調製>
インクジェット捺染用水性ブラックインクベース(B)50部に、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水23部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性ブラックインク(B)−1を得た。
<インクジェット捺染用水性ブラックインク(B)−2の調製>
インクジェット捺染用水性ブラックインクベース(B)50部に、ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩5部、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水18部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性ブラックインク(B)−2を得た。
<インクジェット捺染用水性ブラックインク(B)−3の調製>
インクジェット捺染用水性ブラックインクベース(B)50部に、フランカルボン酸ナトリウム塩5部、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水18部を撹拌混合してインクジェット捺染用水性ブラックインク(B)−3を得た。
処理液の調製
<処理液(A)の調製>
ポリ(ジアリルアミン−アクリルアミド)共重合体(PAS−J−81L、日東紡(株)製、固形分25%溶液)60部、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水13部を撹拌混合して処理液(A)を得た。
<処理液(B)の調製>
ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩15部、グリセリン20部、ブチルカービトール4部、アセチレノールE100の1部、水60部を撹拌混合して処理液(B)を得た。
<処理液(C)の調製>
ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩5部、ポリ(ジアリルアミン−アクリルアミド)共重合体(PAS−J−81L、日東紡(株)製、固形分25%溶液)40部、グリセリン20部、ブチルカービトール7部、水28部を撹拌混合して処理液(C)を得た。
上記で得られたインクジェット捺染用白インク(A)、インクジェット捺染用白インク(B)−1、(B)−2、(B)−3、インクジェット捺染用ブラックインク(A)、インクジェット捺染用ブラックインク(B)−1、(B)−2、(B)−3について、東機産業(株)製R115型粘度計(RE107)を用いて25℃で粘度を測定したところ、10〜13mPa・sの範囲であった。
実施例1〜5、比較例1〜4の捺染物
黒の布帛(綿100%、無地)に、インクジェット捺染用白インク(A)、インクジェット捺染用白インク(B)−1、(B)−2、(B)−3、処理液(A)〜(C)を用いて、表1の組合せとなるようにSPECTRA社製のプリンターを用いて印字し、実施例1〜5および比較例1〜4の捺染物を得た。
実施例6〜10、比較例5〜8の捺染物
白の布帛(綿100%、無地)に、インクジェット捺染用ブラックインク(A)、インクジェット捺染用ブラックインク(B)−1、(B)−2、(B)−3、処理液(A)〜(C)を用いて、表1の組合せとなるようにSPECTRA社製のプリンターを用いてベタ印字し、実施例6〜10および比較例5〜8の捺染物を得た。
<捺染物の評価>
<実施例1〜5、比較例1〜4の捺染物の画像濃度>
実施例1〜5、比較例1〜4の捺染物のベタ部について、色差計(DR−321、ミノルタ(株)製)を用いて明度(L*)を測定し、その値を表1に示した。
<実施例6〜10、比較例5〜8の捺染物の画像濃度>
実施例6〜10、比較例5〜8の捺染物のベタ部について、マクベス反射濃度計RT−918を用いて反射濃度を測定し、その値を表1に示した。
<裏移り>
実施例1〜10、比較例1〜8の捺染物のベタ部について、捺染物の裏までにインクが移っているかどうかを目視にて観察した。
○:インクが捺染物の裏まで移っていないもの
×:インクが捺染物の裏まで移っているもの
Figure 2007135912
本発明によれば、裏抜けがなく、かつ得られる画像濃度が高い染色物を得るためのインクジェット捺染方法および該インクジェット染色方法で得られる染色物が提供される。

Claims (3)

  1. インクジェット記録方式を用いて、顔料、アニオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクA)、および、インクAの顔料と同色の中性および/または塩基性処理された顔料、カチオン性水性樹脂、水性媒体を含むインクジェット記録用インク(インクB)を、布帛の同じ場所に印字して画像を形成した後、加熱することを特徴とするインクジェット捺染方法。
  2. 前記インクBが、さらに一般式(1)で示される複素環式化合物を含むインクジェット記録用インクである請求の範囲第1項に記載のインクジェット捺染方法。
    Figure 2007135912
    〔式中、XはO、NH、NR(ここで、Rはアルキル基を表す)、またはSを表す。Yはアルキレン基を表す。mは0〜5の整数、nは0〜5の整数を表し、m+n=1〜5である。R1は水酸基、アルキル基またはアリール基を表す。pは0〜7の整数を表し、p個のR1は同一または異なっていてもよい。CはXと一緒になって複素環を構成する炭素原子を表し、qは3〜9の整数を表す。炭素原子CはC=O基を形成していてもよく、また隣接する2つの炭素原子間の結合は単結合であっても、2重結合であってもよい。m+n+p+q≦(複素環を構成する原子の総数−1)である〕。
  3. 請求の範囲第1項または第2項に記載のインクジェット捺染方法でえられることを特徴とするインクジェット捺染物。
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