JPWO2007119512A1 - 光学素子及び光学用樹脂レンズ - Google Patents

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Abstract

本発明は、吸湿クラックを防ぎ、成形時に熱分解による着色もなく、硬度が改良され、温度に対する屈折率の変化の小さい光学素子を提供を提供する。この手段として、吸水率が0.05質量%以下である熱可塑性のプラスチック樹脂中に、平均粒子径が1.0〜30nmの無機微粒子を分散させた熱可塑性樹脂材料を用いて成形したことを特徴とする光学素子を特徴とする。

Description

本発明は、光ピックアップ装置の光ピックアップレンズ等に用いられる小型の光学素子に関する。
近年、望遠鏡レンズや顕微鏡レンズ等として用いられる大型の光学素子からCD(Compact Disc)やDVD(Digital Video Disc)等の光ピックアップレンズとして用いられる小型の光学素子まで、大小様々なプラスティックの光学素子が製造・販売されている。これら光学素子は、通常、用途に応じた特定の樹脂を所定の金型に射出して成形する所謂「射出成形」工程を経て製造される。
光学素子は一般的に、吸水性が低いほうが良い。なぜなら、吸水性が高い樹脂の場合、高湿下で吸水し、光学的性質、例えば屈折率が変化する。
本発明者は、疎水性樹脂で作製した光学素子を高湿下におくと、吸水性樹脂では見られなかったのに高温高湿から急激に室温に戻すと吸湿クラック発生するという問題を発見した。ここで言う吸湿クラックとは、光学素子内部に、75μm程度の、亀裂が無数に入る状態で、目視でキラキラ見え、光学特性に影響を与え、透明性が落ちて、問題となる。
吸湿クラックの起きるメカニズムは、高温高湿下では、樹脂と樹脂の隙間に水蒸気が入り込む。そこから一気に室温に戻すと、吸水性樹脂の場合、水蒸気は樹脂の中を四方八方に拡散移動しながら表面に行き蒸発するが、疎水性樹脂の場合、樹脂の中に拡散できず行き場を失った水蒸気が隙間で一気に凝集する。その力で、隙間が広がり、樹脂に亀裂が入ると考えられる。
このクラックを防ぐ為、現状では、親水性化合物(有機物)を添加している光学素子も(例えば特許文献1参照)ある。しかし、クラックは防げるものの、有機物であるため、成形中に熱分解して着色、という新たな問題が発生する。
特開2002−105131号公報
本発明の目的は、吸湿クラックを防ぎ、成形時に熱分解による着色もなく、硬度が改良され、温度に対する屈折率の変化の小さい光学素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.吸水率が0.05質量%以下である熱可塑性のプラスチック樹脂中に、平均粒子径が1.0〜30nmの無機微粒子を分散させた熱可塑性樹脂材料を用いて成形したことを特徴とする光学素子。
2.前記熱可塑性のプラスチック樹脂が、下記一般式(1)で表される重合体からなることを特徴とする前記1記載の光学素子。
Figure 2007119512
(式中、x、yは共重合比を示し、50/50≦y/x≦95/5を満たす実数であり、nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。また、R1は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の2+n価の基であり、R2は水素原子、および、炭素・水素からなり炭素数1以上10以下の構造群から選ばれる1種ないし2種以上の1価の基であり、R3は炭素数2〜10の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、QはCOOR4(R4は水素原子、および、炭素・水素からなり炭素数1以上10以下の構造群から選ばれる1種ないし2種以上の1価の基である)で表される構造群から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基である。)
3.前記無機微粒子が、酸化ケイ素微粒子又は酸化アルミ微粒子であることを特徴とする前記1又は2記載の光学素子。
4.前記無機微粒子が表面疎水化処理されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の光学素子。
5.前記1〜4のいずれか1項記載の光学素子からなることを特徴とする光学用樹脂レンズ。
本発明により、吸湿クラックを防ぎ、成形時に熱分解による着色もなく、硬度が改良され、温度に対する屈折率の変化の小さい光学素子を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。
《無機微粒子》
本発明において用いる無機微粒子は、光学的に透明な(光透過性を有する)もの、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子等が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ケイ素微粒子、酸化アルミ微粒子、リン酸アルミ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、酸化ケイ素微粒子、酸化アルミ微粒子である。
これらの微粒子は、1種類の無機微粒子を用いてもよく、また複数種類の無機微粒子を併用してもよい。
本発明において用いる無機微粒子の形状は、球状、楕円状、扁平状、ロッド状などいずれの形状であっても良いが、特に球状のときに本発明によって得られる効果を有効に発現できる。また、粒子径の分布に関しても特に制限されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好適に用いられる。
本発明において用いる無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、金属塩の熱分解、金属塩や金属アルコキシドの加水分解などの方法がよく知られている。金属塩の熱分解としては、金属塩もしくはそれらの溶液を噴霧し、加熱分解することにより得られる。金属塩や金属アルコキシドの加水分解としては、予め金属塩や金属アルコキシド溶液を作製し、この溶液に水を添加することで、加水分解重合を進行させることにより得られる。
本発明において用いる無機微粒子は、平均粒子径が1.0〜30nmの無機微粒子である。平均粒子径は1nm以上、20nm以下がより好ましく、さらに好ましくは1nm以上、10nm以下である。平均粒子径が1nm未満であると、無機微粒子の分散が困難であるため所望の性能が得られない恐れがあり、平均粒子径が30nmを超えると、得られる熱可塑性材料組成物が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が70%未満となる恐れがある。平均粒子径は、無機微粒子体積を球換算した場合の直径を表す。測定粒子個数は、無機微粒子の電子顕微鏡写真の粒子を無差別に100個以上選択し、個々の無機微粒子の粒径の算術平均を平均粒子径とする。
また、無機微粒子のプラスチック樹脂中での含有量は、該樹脂に対して1〜50容量%の範囲が好ましく、更に、10〜30容量%がより好ましい。
本発明に係る無機微粒子は、その表面に表面処理が施されていることが好ましい。表面処理する方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
無機微粒子の表面処理に用いる表面処理剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルフェノキシシラン、シクロペンチルトリメトキシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物等が挙げられ、更に、シランに代わってアルミニウム、チタン、ジルコニア等を用いることもでき、その場合は例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロキシド等である。
また、イソステアリン酸、ステアリン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンプロピオン酸、オクチル酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸などの脂肪酸やそれらの金属塩、さらに有機リン酸系表面処理剤のいずれの表面処理剤が使用可能であり、これらを単独、または二種以上を混合して用いることができる。
これらの化合物は、反応速度などの特性が異なり、表面処理の条件などに適した化合物を用いることができる。また、1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよい。さらに、用いる化合物によって得られる表面処理微粒子の性状は異なることがあり、材料組成物を得るにあたって用いる熱可塑性のプラスチック樹脂との親和性を、表面処理する際に用いる化合物を選ぶことによって図ることも可能である。表面処理の割合は特に限定されるものではないが、表面処理後の無機微粒子に対して、表面処理剤の割合が10〜99質量%であることが好ましく、30〜98質量%であることがより好ましい。
《熱可塑性プラスチック樹脂》
本発明の一般式(1)について述べる。
前記一般式(1)において、R1は、好ましくは、炭素数2〜12の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の二価の基であり、さらに好ましくは、下記一般式(2)で表される二価の基である。
Figure 2007119512
式中、pは、0乃至2の整数である。
最も好ましくは、一般式(2)において、pが0または1である二価の基である。R1の構造は1種のみ用いても、2種以上併用しても構わない。
一般式(1)において、R2の例としては水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基等が挙げられるが、好ましくは、水素及び/または−CH3であり、最も好ましくは水素である。
3の例としてはこの基を含む構造単位の好ましい例として、n=0の場合、例えば、下記一般式(a)、(b)又は(c)を挙げることができる。
Figure 2007119512
式中、R1は上述した通り。最も好ましくは、一般式(a)である。
尚、一般式(1)において、nは好ましくは0である。
また、共重合のタイプは本発明において全く制限されるものではなく、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互共重合等、公知の様々な共重合タイプを適用することができるが、好ましくはランダムコポリマーである。
また本発明で用いられる熱可塑性のプラスチック樹脂は、本発明の成形方法によって得られる製品の良好な物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は限定されないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であり、それ以上共重合させた場合、光学物性を損ない、高精度の光学部品が得られない恐れがある。また、共重合の種類は限定されないが、ランダムコポリマーが好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは50,000〜250,000の範囲である。重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと成形物の複屈折が大きくなる。
本発明に係る一般式(1)で表される重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、通常2.5以下、好ましくは2.3以下、より好ましくは2以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械強度と耐熱性が高度にバランスされる。
本発明に係る一般式(1)で表される重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50℃〜250℃、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは90℃〜180℃である。
次いで、本発明に係る一般式(1)で表される重合体の製造方法について説明する。
本発明に係る一般式(1)で表される重合体の製造方法としては、(方法1)芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法、(方法2)脂環式ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、必要に応じて水素化する方法等が挙げられる。
上記の方法で本発明に係る一般式(1)で表される重合体を製造する場合には、芳香族ビニル系化合物または脂環式ビニル系化合物(a′)と共重合可能なその他のモノマー(b′)との共重合体で、共重合体中の化合物(a′)由来の繰り返し単位が、D=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、E=(炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位数/炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))とした時、DがEの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である連鎖構造を有する共重合体の、主鎖、及び芳香環やシクロアルケン環等の不飽和環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法により効率的に得ることができる。Dが上記で規定する条件を外れると、得られる一般式(1)で表される重合体の低複屈折性が劣る。
本発明においては、上記各製造方法の中でも、上記(方法1)に記載の方法がより効率的に一般式(1)で表される重合体を得ることができる点で好ましい。
上記水素化前の共重合体としては、更に、芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位の連鎖の数平均分子量をFとしたときの、D/Fが一定の範囲であるのが好ましい。具体的には、D/Fが好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3以上、8以下、最も好ましくは1.7以上、6以下の範囲である。D/Fがこの範囲外では、得られる一般式(1)で表される重合体の低複屈折性が劣る。
上記化合物(a′)由来の繰り返し単位の連鎖の重量平均分子量および数平均分子量は、例えば、文献Macromorecules 1983,16,1925−1928に記載の芳香族ビニル系共重合体の主鎖中不飽和二重結合をオゾン付加した後還元分解し、取り出した芳香族ビニル連鎖の分子量を測定する方法等により確認できる。
水素化前の共重合体の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、それから得られる一般式(1)で表される重合体の成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
上記(方法1)において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(方法2)において使用する脂環式ビニル系化合物の具体例としては、例えば、シクロブチルエチレン、シクロペンチルエチレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘプチルエチレン、シクロオクチルエチレン、ノルボルニルエチレン、ジシクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレン、α−t−ブチルシクロヘキシルエチレン、シクロペンテニルエチレン、シクロヘキセニルエチレン、シクロヘプテニルエチレン、シクロオクテニルエチレン、シクロデケニルエチレン、ノルボルネニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、及びα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル系化合物及び脂環式ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる一般式(1)で表される重合体の強度特性に優れる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー;1−シアノエチレン(アクリロニトリル)、1−シアノ−1−メチルエチレン(メタアクリロニトリル)、1−シアノ−1−クロロエチレン(α−クロロアクリロニトリル)等のニトリル系モノマー;1−(メトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸メチルエステル)、1−(エトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸エチルエステル)、1−(プロポキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸プロピルエステル)、1−(ブトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、1−メトキシカルボニルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、1−エトキシカルボニルエチレン(アクリル酸エチルエステル)、1−プロポキシカルボニルエチレン(アクリル酸プロピルエステル)、1−ブトキシカルボニルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、1−カルボキシエチレン(アクリル酸)、1−カルボキシ−1−メチルエチレン(メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの鎖状ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記化合物(a′)を重合する方法は、格別制限はないが、一括重合法(バッチ法)、モノマー逐次添加法(モノマー全使用量の内の一部を用いて重合を開始した後、残りのモノマーを逐次添加して重合を進めていく方法)等が挙げられ、特にモノマー逐次添加法を用いると、好ましい連鎖構造を有する炭化水素系共重合体が得られる。水素化前の共重合体は、前述のDの値がより小さい程、及び/又は、D/Fが大きな値を示す程、よりランダムな連鎖構造を有する。共重合体がどの程度のランダム性を有しているかは、芳香族ビニル系化合物の重合速度と共重合可能なその他のモノマーの重合速度との速度比で決まり、この速度比が小さい程、よりランダムな連鎖構造を有していることになる。
前記モノマー逐次添加法によれば、均一に混合された混合モノマーが重合系内に逐次的に添加されるため、バッチ法とは異なり、ポリマーの重合による成長過程においてモノマーの重合選択性をより下げることができるので、得られる共重合体がよりランダムな連鎖構造になる。また、重合系内での重合反応熱の蓄積が小さくてすむので重合温度を低く安定に保つことがでる。
モノマー逐次添加法の場合、まずモノマーの全使用量のうち、通常、0.01〜60質量%、好ましくは0.02〜20質量%、より好ましくは0.05〜10質量%のモノマーを初期モノマーとして予め重合反応器内に存在させた状態で開始剤を添加して重合を開始する。初期モノマー量をこのような範囲にすると、重合開始後の初期反応において発生する反応熱除去を容易にすることができ、得られる共重合体をよりランダムな連鎖構造にすることができる。
上記初期モノマーの重合転化率を70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上になるまで反応を継続すると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。その後、前記モノマーの残部を継続的に添加するが、添加の速度は重合系内のモノマーの消費速度を考慮して決定される。
通常は、初期モノマーの重合添加率が90%に達するまでの所要時間をT、初期モノマーの全使用モノマーに対する比率(%)をIとしたとき、関係式[(100−I)×T/I]で与えられる時間の0.5〜3倍、好ましくは0.8〜2倍、より好ましくは1〜1.5倍となる範囲内で残部モノマーの添加が終了するように決定される。具体的には通常0.1〜30時間、好ましくは0.5時間〜5時間、より好ましくは1時間〜3時間の範囲となるように、初期モノマー量と残りモノマーの添加速度を決定する。また、モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。モノマー添加終了直後の全モノマー重合転化率を上記の範囲とすると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。
重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等、特別な制約はないが、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系共重合体の機械的強度を考えると、アニオン重合法が好ましい。
ラジカル重合の場合は、開始剤の存在下で、通常0〜200℃、好ましくは20〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用
可能である。
アニオン重合の場合には、開始剤の存在下で、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100質量部に対して200〜10,000質量部となるような割合で用いられる。
上記アニオン重合の開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
重合反応においては、重合促進剤やランダマイザー(或る1成分の連鎖が長くなるのを防止する機能を有する添加剤)などを使用できる。アニオン重合の場合には、例えば、ルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記のラジカル重合やアニオン重合により得られた重合体は、例えば、スチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法で回収できる。また、重合時に、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素添加工程に使用することができる。
以下、不飽和結合の水素化方法について、更に詳細に説明する。
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、通常0.01〜80質量%、好ましくは0.05〜60質量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体に対して、質量基準にて、通常、0.01〜100部、好ましくは0.05〜50部、より好ましくは0.1〜30部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環の炭素−炭素二重結合、不飽和環の炭素−炭素二重結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
《熱可塑性のプラスチック樹脂と無機微粒子の混合》
本発明の光学素子の原料である複合材料は、溶融中の熱可塑性のプラスチック樹脂(以後単に熱可塑性樹脂または樹脂ともいう)に対して、無機粒子を添加、混練することで複合材料を作製する製造方法(溶融混練法)や、溶媒に溶解した樹脂と、無機粒子を混合し、その後有機溶媒を除去する複合材料の製造方法が好ましい態様である。
本発明において、特に複合材料は溶融混練法で作製することが望ましい。熱可塑性樹脂を無機粒子の存在下で重合したり、熱可塑性樹脂存在下で無機粒子を作製することも可能であるが、樹脂の重合や無機粒子の作製において、特殊な条件が必要になるからである。溶融混連法では、既成の手法で作製した樹脂や無機粒子を混合することで複合材料を作製できるため、通常安価な複合材料の作製が可能になる。
溶融混練において、有機溶剤の使用も可能である。有機溶剤の使用で、溶融混練の温度を下げることができ、樹脂の劣化が抑制しやすくなる。その場合、溶融混練後に脱揮を行い、複合材料中から有機溶剤を除去することが好ましい。
溶融混練に用いることのできる装置としては、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉式混練装置またはバッチ式混練装置を挙げることができる。また、単軸押出機、二軸押出機等のように連続式の溶融混練装置を用いて製造することもできる。
処理後の粒子と熱可塑性樹脂の混合方法として、具体的な混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ポリラボシステム(HAAKE社製);ナノコンミキサー(東洋精機製作所社製);ナウターミキサーブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂材料の製造方法において、溶融混練を用いる場合、熱可塑性樹脂と無機粒子を一括で添加し混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。この場合、押出機などの溶融混練装置では、段階的に添加する成分をシリンダーの途中から添加することも可能である。しかし、溶融混連で樹脂を加熱する場合、酸化防止剤のように樹脂の熱劣化を防止する材料をまず加えることが好ましい。その後無機粒子を加えると、溶融混練の温度が上昇することが多く、酸化防止剤なしでは樹脂の劣化が顕著になるためである。一方、耐光安定剤は、熱劣化を起こして着色する場合が多い。そのため溶融混連プロセスでは、出来るだけ後の工程で添加されることが好ましい。そのため少なくとも一部は無機粒子添加後に加えられる。
本発明において、溶融混練による複合化を行う場合、無機粒子は粉体ないし凝集状態のまま添加することが可能である。あるいは、液中に分散した状態で添加することも可能である。液中に分散した状態で添加する場合は、混練後に脱揮を行うことが好ましい。
液中に分散した状態で添加する場合、あらかじめ凝集粒子を一次粒子に分散して添加することが好ましい。分散には各種分散機が使用可能であるが、特にビーズミルが好ましい。ビーズは各種の素材があるがその大きさは小さいものが好ましく、特に直径0.1mm以下、0.001mm以上のものが好ましい。
無機粒子は表面処理された状態で加えられることが好ましいが、表面処理剤と無機粒子を同時に添加し、樹脂との複合化を行うインテグラルブレンドのような手法がありどのような手法を用いることも可能である。
《光学用樹脂レンズの作製方法》
次いで、本発明の光学素子の一つである光学用樹脂レンズの作製方法について説明する。
本発明に係る光学用樹脂レンズは、まず、樹脂組成物(樹脂単独の場合もあれば、樹脂と添加剤との混合物の場合もある)を調製し、次いで、得られた樹脂組成物を成形する工程を含む。
本発明に係る光学用樹脂レンズは、まず、樹脂組成物(樹脂単独の場合もあれば、樹脂と添加剤との混合物の場合もある)を調製し、次いで、得られた樹脂組成物を成形する工程を含む。
本発明の熱可塑性樹脂材料の成形物は、前記樹脂組成物からなる成形材料を成形して得られる。成形方法としては、格別制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成形物を得る為には溶融成形が好ましい。溶融成形法としては、例えば、市販のプレス成形、市販の押し出し成形、市販の射出成形等が挙げられるが、射出成形が成形性、生産性の観点から好ましい。
成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば、射出成形における樹脂組成物(樹脂単独の場合または樹脂と添加物との混合物の両方がある)の温度は、成形時に適度な流動性を樹脂に付与して成形品のヒケやひずみを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成形物の黄変を効果的に防止する観点から150℃〜400℃の範囲が好ましく、更に好ましくは200℃〜350℃の範囲であり、特に好ましくは200℃〜330℃の範囲である。
本発明に係る成形物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、本発明の光学素子の一つである光学用樹脂レンズとして用いられるが、その他の光学部品としても好適である。
《光学用樹脂レンズ》
本発明に係る光学用樹脂レンズは、上記の作製方法により得られるが、光学部品への具体的な適用例としては、以下のようである。
例えば、光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。
光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《樹脂材料の調製》
下記の粒子をポリラボシステム(HAAKE社製)を用いて、下記樹脂に対して20容量%の量を溶融混練する事によって、粒子が20容量%含有した無機有機複合熱可塑性材料を得た。
なお、表1に記載の材料の詳細は、以下の通りである。
APL5014DP:三井化学社製、APL5014(上記2該当化合物)
吸水率:0.05質量%
ZEONEX 330R:ゼオン社製、(環状オレフィン系重合体)(上記2該当化合物)
吸水率:0.01質量%
帝人パンライト AD5503:帝人社製 (ポリカーボネート樹脂)
吸水率0.2%
シリカ:日本アエロジル社製 RX300 平均粒径7nm
アルミナ:大明化学工業株式会社製 TM−300(γアルミナ) 平均粒径7nm
ステアリン酸:和光純薬工業株式会社製
Figure 2007119512
《光学素子の作製》
得られた複合材料を160℃、13.3Paの減圧下でプレスし、Φ11mm、厚さ3mmの成形体(但し、硬さの試料は、Φ30mm、厚さ6mmを作製)とした後、表面を研磨して光学素子を作製し、本発明に係る実施例及び比較例試料No.1〜9とした。これらを以下の光学物性測定に用いた。
《光学素子の評価》
光学素子の吸水率
得られた試料を、85℃dry環境(0%RH)に3日間置き、質量測定して(得られた値をAグラムとする)から、60℃90%RHに3週間置き、質量測定した(得られた値をBグラムとする)。光学素子の吸水率は下記の数式により算出した。
光学素子の吸水率=(B−A)/A×100
(クラック)
得られた試料を、85℃90%RH48時間投入後、室温3時間放置後に目視と光学顕微鏡にて100倍にして観察し、下記の評価をした。
○:クラックが認められない
×:クラックのあるもの。
(成形中の着色)
各樹脂組成物をそれぞれ溶融し、加熱成形する際、目視により下記の評価をした。
○:着色が認められない
×:着色が認められる。
(屈折率の変化率dn/dT)
得られた試料を、最小偏角法を用いた自動屈折計(カルニュー光学社製:KPR−200)を用い波長588nmで測定温度を25℃から60℃変化させて屈折率を測定し、屈折率の変化率dn/dTを測定し、下記の基準に従って、屈折率の温度依存性を評価した。
dn/dTの絶対値が、0以上、9.0×10-5以下であれば、実用の範囲が広がり、9.0×10-5を超えている場合は現行同等である。
(硬さ(ロックウェル硬度))
JIS K7202−2に基づく方法で測定し、以下の関係式でロックウェル硬度を求めた。
HR=130−e
HR:ロックウェル硬さ
e:0.002mmを一単位として表した、試験加重除去後のくぼみの深さ
得られたHRから、以下の評価を行った。
A:90以上
B:90未満
Figure 2007119512
表1から、本発明の試料はいずれも吸湿クラックが少なく、成形時に熱分解による着色もなく、硬度が改良され、温度に対する屈折率の変化の小さい光学素子であることが判る。

Claims (5)

  1. 吸水率が0.05質量%以下である熱可塑性のプラスチック樹脂中に、平均粒子径が1.0〜30nmの無機微粒子を分散させた熱可塑性樹脂材料を用いて成形したことを特徴とする光学素子。
  2. 前記熱可塑性のプラスチック樹脂が、下記一般式(1)で表される重合体からなることを特徴とする請求の範囲第1項記載の光学素子。
    Figure 2007119512

    (式中、x、yは共重合比を示し、50/50≦y/x≦95/5を満たす実数であり、nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。また、R1は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の2+n価の基であり、R2は水素原子、および、炭素・水素からなり炭素数1以上10以下の構造群から選ばれる1種ないし2種以上の1価の基であり、R3は炭素数2〜10の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、QはCOOR4(R4は水素原子、および、炭素・水素からなり炭素数1以上10以下の構造群から選ばれる1種ないし2種以上の1価の基である)で表される構造群から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基である。)
  3. 前記無機微粒子が、酸化ケイ素微粒子又は酸化アルミ微粒子であることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項記載の光学素子。
  4. 前記無機微粒子が表面疎水化処理されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載の光学素子。
  5. 請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項記載の光学素子からなることを特徴とする光学用樹脂レンズ。
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