JPWO2007091359A1 - ばらつきシミュレーション・システム、ばらつき決定モデル方法と装置ならびにプログラム - Google Patents

ばらつきシミュレーション・システム、ばらつき決定モデル方法と装置ならびにプログラム Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、ばらつきを詳細に考慮したシミュレーションを効率的に実施することができる、ばらつきシミュレーション・システムを提供することである。複数の対象デバイスについて、その特性のばらつきを統計的に分析した結果を取得するばらつき分析部100と、対象デバイスを模擬するシミュレーション用モデルについて、特性がパラメータの変動に対してどのような応答を示すかを分析した結果を取得するモデル分析部200と、ばらつき分析部100とモデル分析部200によって得られた結果をつき合わせ、モデルによって対象デバイスのばらつきを再現するためのパラメータのばらつかせかたを決定するフィッティング実行部300と、フィッティング実行部300によって決定された、パラメータのばらつかせ方の情報を出力する結果出力部500とを備える。応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する。

Description

本発明は、ばらつきシミュレーション・システム、ばらつきシミュレーション方法およびばらつきシミュレーション・プログラムに関し、特に電子回路における特性ばらつきを効率的に模擬するのに好適なばらつきシミュレーション・システム、ばらつきシミュレーション方法およびばらつきシミュレーション・プログラムに関する。
CMOS回路などの電子デバイスを用いた回路の設計において、回路シミュレーションが広く利用されている。回路シミュレーションにおいては、電子デバイスの特性(例えば電流対電圧特性、容量対電圧特性など)を、数式(モデル式、通常複数の式から成る)によって記述する。これら数式は、パラメータと呼ばれる変更可能な定数群を含む。回路シミュレーションを実行するには、まず、モデル式が、実際のデバイス特性を、ほぼ正確に再現するように、これらモデルのパラメータの値を決定しなければならない。この作業を「パラメータ抽出」と呼び、こうして決定されたパラメータの一式、あるいはそれに対応した特定デバイスのモデルを、本明細書では「デバイス・モデル」または、単に「モデル」と呼ぶことにする。なお、モデル式によって規定される、デバイス特性の表現の仕方を、特定デバイスのモデルとは区別して「モデル基盤」と呼ぶことにする。
電子デバイスの特性には、製造上のばらつきによる特性の変動、言い換えれば、不確定性が存在する。従って、回路の設計は、デバイス特性がある程度変動しても回路が正常に動作するようなされる必要がある。
この問題に対応するため、特に、大規模な論理回路の設計においては、デバイスのばらつきを以下のように取り扱うのが通例である。すなわち、平均的なデバイスのモデルに加えて、考え得る最大限に特性が変位した「コーナー・モデル」を準備する。例えば、駆動能力が最も高くばらついたデバイス(これを使用すると動作が速くなる)と、駆動能力が最も低くばらついたデバイス(これを使用すると動作が遅くなる)を想定し、それぞれについて、デバイス・モデル(高速モデルと低速モデル)を用意する。そして、これら高速モデルと低速モデルのいずれのモデルを用いても動作するように、余裕(マージン)を持たせて、回路を設計することで、デバイス特性がばらついても安定に動作する回路を実現する。
上記したコーナー・モデルによる方法は、ばらつきを簡便に取り扱う方法であるが、ばらつきが回路に与える影響を、より精密に検討する以下のような手法が、例えば非特許文献1、非特許文献2に開示されている。まず、ばらつきによって特性がそれぞれ異なるN個のデバイス(試料)を用意し、それらの特性を測定する。
特に非特許文献1では、ばらつき現象を考慮したデバイス・シミュレーションによって、N個のデバイスを生成しており、測定は、計算機によって模擬している。
次に、それぞれのデバイスに対して、パラメータ抽出を行い、N個のデバイス・モデルを得る。
最後に、N個のモデルそれぞれを用いて、回路シミュレーションを行い、回路特性がどのようにばらつくかを検討する。
または、非特許文献2に記載されたように、得られたN個のデバイス・モデルのパラメータを統計的に処理して、モデルのパラメータのばらつき方を調べ、その情報に基づいて統計的なシミュレーションを実施しても良い。
B. J. Cheng他著、「Integrating ‘atomistic’, intrinsic parameter fluctuations into compact model circuit analysis」、33rd Conference on European Solid-State Device Research (ESSDERC 2003) 予稿集、2003年9月16日、pp.437-440。
J. Carroll他著、「FET Statistical Modeling Using Parameter Orthogonalization」、IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol.44、1996年、pp.47-55。
上記した非特許文献1および2に開示された従来の手法は、下記記載の問題点を有している。
非特許文献1および2に記載の方法は、ばらつきを、コーナーモデルによるよりも、詳細に考慮したシミュレーションを実行することを目的とする。そして、その準備として、ばらつきにより特性が異なるN個のデバイスそれぞれについて、デバイス・モデルを得ている。
デバイス・モデルを決定するためのパラメータ抽出作業は、通常、試行錯誤によるフィッティング作業となり、大きな労力を要する。労力が大きなパラメータ抽出作業を多数回(N回)繰り返すことは、大きな負担であり、このことが、ばらつきを詳細に考慮したシミュレーションの実現の障害となっていた。
本発明の目的は、上記した問題を解決し、ばらつきを詳細に考慮したシミュレーションを効率的に実施することができる、ばらつきシミュレーション・システム及び方法並びにプログラムを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、大略、以下の通りの構成とされる。
本発明に係るばらつきシミュレーション・システムは、物理現象を反映する特性値の統計的性質が、前記物理現象を模擬するモデルによって再現されるように、前記モデルによって模擬された特性値の所定のパラメータに対する応答情報を基に、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする。
本発明に係るばらつきモデル決定装置は、物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出する手段と、前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答を分析する手段と、前記応答の分析結果を基に、前記統計的性質が、前記モデルによって再現されるように、所定のパラメータのばらつき方を決定する手段と、を有する。
本発明に係るばらつきモデル決定方法は、コンピュータ・システムを用いてばらつきモデルを決定する方法であって、
物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出する第1の工程と、
前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答を分析する第2の工程と、
前記応答の分析結果を基に、前記統計的性質が、前記モデルによって再現されるように、所定のパラメータのばらつき方を決定する第3の工程と、
を有する。
本発明に係るコンピュータ・プログラムは、
物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出する第1の処理と、
前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答を分析する第2の処理と、
前記応答の分析結果を基に、前記統計的性質が、前記モデルによって再現されるように、所定のパラメータのばらつき方を決定する第3の処理と、
を実行させるプログラムよりなる。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、前記統計的性質を主成分分析によって決定する、ことを特徴とする。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、前記所定のパラメータを変位させたときの模擬された特性値の変位を計算することで前記応答情報を決定する。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段は、応答行列と変換行列の積を特異値分解した結果と、特性値の主成分分析した結果と、を一致させるようにして、所定のパラメータのばらつき方を決定する。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、前記決定された所定のパラメータのばらつき方に基づき、シミュレーションを実行するシミュレーション実行部をさらに有する。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、特性値と、模擬された特性値がともに同一の変換を受ける。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、前記所定のパラメータのばらつき方を、直接解法により決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、原因パラメータと、前記モデルに含まれるパラメータと、を関係付ける係数又は変換行列を、前記主成分分析の結果への回帰分析により決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで変換行列を決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定するようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、直接法の結果を初期値として、探索法をさらに行うようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するよう、所定のパラメータのばらつき方を決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列の試行値に所定の制約条件を課すようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するよう、変換行列の試行値に所定の制約条件を課す、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、パラメータの主成分分析により変換行列の試行値を決定する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、モデルのパラメータを、他のパラメータの関数とみなすパラメータ変換を行う、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、原因パラメータの数が、変化させるモデルのパラメータの数より少ない、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、前記変換行列は、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する行列よりなる。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、
Rをn’行m列の応答行列、
Vを特性値に関するn’行n’列の共分散行列、
GをM次元ベクトルの標準偏差1に規格化された原因パラメータをm次元ベクトルのモデルパラメータへ変換するm行M列の変換行列、
LをVのM列の固有ベクトルを固有値の大きさの順に1列目から並べたn’行M列の行列、
Σを対角要素にVの固有値λ、λ、・・・λMの平方根√λ、√λ、・・・√λMを配置したM行M列の対角行列とし、
等式VL=LΣが成り立ち、
RG=LΣUT(ただしUはユニタリ行列、Tは転置)なる関係が少なくとも近似的に成立する行列Gを決定することでばらつきモデルを決定するにあたり、
Uを任意のユニタリ行列として、
RGの各列がLΣUTの各列に近似的に一致するようにGの各列を決定するという直接法で求める、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、線形回帰分析により、G=(RTR)-1TLΣ
にて変換行列Gを求める、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、
Uを任意のユニタリ行列とし、
線形回帰分析により、G=(RTR)-1TLΣUT
にて変換行列Gを求める、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、直接法で得られた規格化された変換行列Gに対して、RG=LΣ T(ただし、L1は各列が長さ1のn’行M列の直交行列、ΣはM行M列の対角行列、U1はM行M列のユニタリ行列)に特異値分解する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、直接法で得られた規格化された変換行列Gを、試行値とし、RG(ただし、Gは前記試行値のG)を特異値分解し、実際のばらつきと再現したばらつきの主成分ベクトルLΣとLΣの一致の度合いを調べ、所定の一致条件を満たす場合、行列Gの試行値を求めるGとし、不一致の場合、Gの別の試行値を選択して再試行する、探索法により、Gを求める、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、
Rをn’行m列の応答行列、
Vを特性値のn’行n’列の共分散行列、
GをM次元ベクトルの標準偏差1に規格化された原因パラメータをm次元ベクトルのモデルパラメータへ変換するm行M列の変換行列、
LをVのM列の固有ベクトルを固有値の大きさの順に第1列から並べたn’行M列の行列、
Σを対角要素にVの固有値λ、λ、・・・λMの平方根√λ、√λ、・・・√λMを配置したM行M列の対角行列とし、
等式VL=LΣが成り立ち、
RG=LΣUT(ただしUはユニタリ行列、Tは転置)なる式を解くにあたり、
Gの試行値を選択し、
RとGの積を、
RG=LΣ T(ただし、L1は各列が長さ1のn’行M列の直交行列、ΣはM行M列の対角行列、U1はM行M列のユニタリ行列)に、特異値分解し、
実際のばらつきと再現したばらつきの主成分ベクトルLΣとLΣの一致の度合いを調べ、所定の一致条件を満たす場合、行列Gの試行値を求めるGとし、不一致の場合、Gの別の試行値を選択して再試行する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、原因パラメータの標準偏差を1に規格化して処理を行う、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、
規格化された変換行列をGとするとき、G=G’S'(ただし、S'は対角要素に原因パラメータの標準偏差σ、σ、・・・σMを配置したM行M列の対角行列)なる関係を満足するG'を変換行列とする、構成としてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、
規格化された変換行列Gを、
G=G'' SU T
(ただし、G''は各列が長さ1のm行M列の直交行列、UはM行M列のユニタリ行列、Sは対角要素に特異値s1、s2、・・・、sMを配したM行M列の対角行列)、に特異値分解し、変換行列の各列が長さ1で互いに直交するようにG''を変換行列として選択する、ようにしてもよい。
本発明のばらつきモデル決定装置、方法、プログラムにおいては、モデルパラメータの共分散行列Vについて、
pp=LpΣp 2 (ただし、LpはVpの固有ベクトルを固有値の大きさの順に1列目から並べたm行m列の直交行列、Σpは対角要素にVpの固有値μ1、μ、・・・μの平方根√μ1、√μ、・・・√μを配したm行m列の対角行列)に特異値分解し、
pΣp、またはLpΣpのうち固有値の大きい一部の列を選択して得られる行列、を規格化された変換行列Gの試行値とする、ようにしてもよい。
本発明によれば、ばらつきを考慮した回路シミュレーションを実施するのに必要な、ばらつきモデルを、高速に決定することができる。
本発明による第1の実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するためのデバイス特性の具体例である。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するためのデバイス特性の具体例である。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するための変換されたデバイス特性の具体例である。 発明による第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。 発明による第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するための、主成分の標準偏差の具体例である。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するための、主成分の方向ベクトルの具体例である。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するための、主成分の標準偏差の具体例である。 本発明による第1の実施形態の動作を説明するための、主成分の方向ベクトルの具体例である。 本発明による第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
符号の説明
100 ばらつき分析部
200 モデル分析部
300 フィッティング実行部
400 シミュレーション実行部
500 結果出力部
901、902 ばらつきシミュレーション・システム
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態に係る、ばらつきシミュレーション・システム901は、ばらつき分析部100と、モデル分析部200と、フィッティング実行部300と、結果出力部500と、を備えている。
ばらつき分析部100は、複数の対象デバイスについて、その特性のばらつきを統計的に分析した結果を取得する。
モデル分析部200は、対象デバイスを模擬するシミュレーション用モデルについて、その特性がパラメータの変動に対してどのような応答を示すかを分析した結果を取得する。
フィッティング実行部300は、ばらつき分析部100とモデル分析部200によって得られた結果をつき合わせ、モデルによって対象デバイスのばらつきを再現するためのパラメータのばらつかせかたを決定する。
結果出力部500は、フィッティング実行部300によって決定された、パラメータのばらつかせ方の情報を出力する。
本発明の第1の実施の形態において、ばらつき分析部100は、ばらつきによって特性が変動している複数(N個とする)の対象デバイスについて、その特性データ(例えば電流対電圧特性、容量対電圧特性)を取得する。この特性データは、実際に作成されたN個のデバイスを測定することで、得ることができる。あるいは、ばらつき現象を考慮したプロセス・シミュレーション等を用いて計算機上にN個の模擬デバイスを形成し、デバイス・シミュレーションによって、これら模擬デバイスの特性を計算することによって、特性データを得ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態において、上記した測定、あるいはプロセス/デバイス・シミュレーションは、別途実施し、その結果得られた特性データを、ばらつき分析部100に与えるようにしても良い。あるいは、上記した測定、あるいはプロセス/デバイス・シミュレーションの機能を、ばらつき分析部100が包含するようにしても良い。
ばらつき分析部100は、上記した統計データを抽出する前に、必要に応じて、特性データを任意の関数を用いて変換する、特性変換を行うようにしてもよい。
ばらつき分析部100は、上記したデバイスの特性データ(必要に応じて特性変換を施した後のデータ)について、統計分析を行い、統計データを抽出する。この抽出手続きとしては、例えば主成分分析を用いることができる。
モデル分析部200は、対象デバイスの代表的な特性を再現する回路シミュレーション用デバイス・モデル(中心モデル)を取得する。このモデルは、例えば、多数のデバイスの中から中心的な特性を示すデバイスを1個選択し、これに対して、従来のパラメータ抽出手続きを実行することによって、決定することができる。
このパラメータ抽出手続きは、別途実施し、その結果得られたパラメータの組をモデル分析部200に与えるようにしても良い。あるいは、このパラメータ抽出手続きを実行する機能をモデル分析部200に包含するようにしても良い。
モデル分析部200は、所定の一つまたは複数のパラメータの変動に対して、回路シミュレーションによって計算されるデバイス特性がどれだけ変動するかを決定する。すなわち、モデル分析部200は、パラメータの変化に対するデバイス特性の応答を計測する。ただし、ばらつき分析部100において、上記した特性変換を実施する場合には、同一の特性変換を施した後のデバイス特性について応答を決定する。
上記した所定のパラメータとしては、中心モデルを構成する回路シミュレーション用モデル・パラメータから選択して用いることができる。あるいは、必要に応じて、パラメータ変換を実施し、元々の回路シミュレーション用パラメータとは異なるパラメータとしても良い。
以上により、所定のパラメータに対する変換後の特性データの応答を表現する応答行列を得る。
以上の説明では、モデル分析部200が自らデバイス・モデルを取得し、それを用いてモデルの応答を計算する構成としたが、モデルの応答をなんらかの手段で取得できるならば、その手法は、かかる構成に限定されない。すなわち、モデル分析部200は、任意の手段で、モデルの応答を取得できれば良い。
モデルの応答の決定は、あるデバイス・モデルに対して一回実施し、その結果を保存しておけば、繰り返し実施する必要はない。よって、すでにモデルの応答が知られている場合、それをモデル分析部200が読み込むようにすれば良い。
また、モデルの応答を決定する一連の作業のうち一部(例えばパラメータを変動させたシミュレーションの実行)または全部を別途実施しておき、その結果をモデル分析部200が読み込んで利用するようにしても良い。
フィッティング実行部300は、ばらつき分析部100によって求められたデバイス特性のばらつき方が、上記したシミュレーション用モデルによってほぼ再現されるように、上記した所定のパラメータのばらつき方を決定する。このとき、モデル分析部200により決定された、シミュレーション用モデルの応答に関する情報を利用する。
上記した所定のパラメータのばらつき方の決定は、ばらつきの原因と看做される一つまたは複数のパラメータ(以後、「原因パラメータ」と呼ぶ)のばらつきの大きさと、前記所定のパラメータと原因パラメータとを関係付ける関数式と、を決定することにより達成できる。
次に、図1及び図2等を参照して、本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。本発明の実施形態は多様であるが、説明を容易にするため以下では、具体例を取り上げながら説明する。
ばらつき分析部100は、N個のデバイス特性データを取得する。これは、例えば、ユーザの指示に基づいて、特性データが格納された所定のファイルを読み込むことで実現する。このような特性データは、例えば別途実デバイスを測定し、その結果を所定の形式でファイルに保存しておくことで用意することができる。
典型的かつ好ましいデバイス特性データの一例は、所定の複数(n個とする)のバイアス条件における測定データ値(電流値、容量値など)から成る。この場合、バイアス点数nに、デバイス個数Nを乗じた数の要素を有する数値リストである。ここで、i番目のバイアス条件における測定値を確率変数と看做し、これをyiと記載することにする。N個の各デバイスに対するyiの具体的値は、確率変数yiの標本値と看做す。
以上のようなデバイス特性データの実例を、図2及び図3に示す。図2と図3は、同じデータを示しているが、縦軸が、図2では、線形目盛り、図3では、対数目盛りとなっている。
図2及び図3は、nチャネルMOSFETのドレイン−ソース間電流IDSを測定したものであって、バイアス条件としては、ドレイン−ソース間電圧VDSを1V、基板−ソース間電圧VBSを0V、ゲート−ソース間電圧VGSを、-0.2Vから1.0Vまで0.05V刻みで変化させている。多数の曲線は、それぞれ別々の同一に設計されたMOSFETの特性を表しており、これらが広がりを持っているのは、ばらつきの結果である。
グラフの各曲線は、VGSの刻み幅が小さいため、連続的に見えるが、実際は、横軸方向に、25点の離散的なデータから成っている(すなわちn=25である)。
この例では、i番目のバイアス条件におけるIDSが、確率変数yiであり、ばらつきによってyiの標本値であるN個のIDS測定値は、統計的にばらつく。
ばらつき分析部100は、さらに必要に応じて、確率変数に特性変換を施す。式で書くと、変換後の確率変数をyi’として次式(1)の変換を行う。

Figure 2007091359
(1)
最も単純な特性変換の方法は、各yiを所定の定数で除したものをyi’とする方法である。
この定数としては、yiの平均値やyiの標準偏差値を用いることができる。これにより特定のiにおけるばらつきが過大に、あるいは過小に評価されないよう、各iにおけるデータの重みを調整することができる。
図3の実例に対する、一つの好ましい変換式は、次式(2)で与えられる。

Figure 2007091359
(2)
ここで、aとbは、定数である。
図4に、a=0.3mA、b=1nAとして、この変換を施した後のyi’のVGSとの関係を示す。
式(2)の変換が好ましい理由は、以下の通りである。
図2を参照すると、VGSが大きいとき(MOSFETが導通状態のとき)のIDS(すなわちyi)の変動は大きいが、VGSが小さいとき(MOSFETが遮断状態のとき)のIDS(すなわちyi)の変動は、図面上ほとんど判別できない。
従って、yiそのものについて統計分析を行うと、遮断状態でのばらつきの情報がほとんど失われる。
一方、縦軸を対数目盛りとした図3を参照すると、遮断状態であっても、微小な漏れ電流が存在し、その大きさが対数目盛りで大きく変動していることがわかる。
このような遮断状態でのばらつきを精度良くシミュレーションしたい場合に、確率変数として、yiそのものを用いるのは、適切ではない。
一方、図4を参照すると、式(2)の変換を施した結果、yi’が導通状態と遮断状態でほぼ同等の変動を示している。
従って、式(2)を用いると、導通状態でのばらつきと、遮断状態でのばらつきを同等の重みで取り扱うことができる。
以上のように、変換式(1)は、ばらつきについて重視すべきバイアス条件において、yiの変動が大きくなるように、適宜選べば良く、場合によっては、変換を行わなくても良い(すなわちyi’= yiとする)。
図2及び図3の例についてみると、式(2)は、導通状態と遮断状態を同等に重視する場合に適し、遮断状態のばらつきを無視しても構わない場合には、変換を行わなくても良い。
このように、特性変換の方法を指定することで、デバイス特性のどの部分のばらつきを重視してシミュレーションを実施するか、というシミュレーション方針をユーザが決定することができる。
特性変換後の確率変数の数n’は、nと等しくなくても良い。例えば、測定されたデータのバイアス点数nが不必要に大きく、後の処理に支障がある場合には、この変換時に、データを、適宜、間引いても良い。
また、変換後の確率変数を、しきい値電圧やオン電流(所定の導通バイアス状態でのIDS)など、測定データから抽出可能な任意の特徴量としても良い。
ばらつき分析部100は、確率変数yi’に関して、統計的分析を行い、統計的特徴を抽出する。
その手法としては、主成分分析法を利用することができる。具体的には、まず、次式(3)の特性値の共分散行列Vを計算する。

Figure 2007091359
(3)
ここで、確率変数上の横線は、その下の確率変数について平均をとることを表す。
さらに、共分散行列Vの固有値と固有ベクトル(次式(4)を満足する)を適当な固有値分解アルゴリズムによって求める。

Figure 2007091359

(4)
ここで、λ1, λ2, … は固有値であり、対応して左右両辺にある列ベクトルが、その固有値に対応する固有ベクトルである。
固有値は、大きいほうからこの順でソートしておく。固有ベクトルの長さは1に規格化しておくものとする。固有値と固有ベクトルの組は、最大でn’個存在する。
このとき、次式(5)で与えられるz1は、確率変数の組yi’(i=1、2、...n’)の第一主成分と称され、その分散は、λ1に等しいことが知られている。

Figure 2007091359
(5)
また、次式(6)は、第二主成分であり、二番目に大きい分散λ2を持ち、以下同様に高次の主成分が定義される。

Figure 2007091359
(6)
異なる主成分どうしは、共分散がゼロ(互いに無相関)になる。
第i固有ベクトルは、第i主成分の方向を表す方向ベクトルであり、これに第i主成分のばらつきの大きさ(標準偏差、すなわちλiの平方根)を乗じたものを、「第i主成分ベクトル」と呼ぶことにする。異なる主成分ベクトルどうしは互いに直交するという性質がある。
主成分分析結果の一例を、図7及び図8に示す。図7において、横軸は主成分次数、縦軸は規格化された標準偏差(分散の平方根)である。
図7及び図8に示す例は、図2乃至図4に示した例において、他のバイアス条件を追加した全150のバイアス点(VDSは1V、0.525V、0.05Vのいずれか、VBSは0V、-0.5Vのいずれか、VGSは-0.2Vから1Vまで0.02V刻みのいずれか、であってこれらを任意に組み合わせたバイアス条件)でのデータを用いて計算した結果である。
図7において、「実測」と表記された白棒グラフが、実測データから得られた第一から第十までの主成分の標準偏差(分散の平方根、ただし第一主成分での値で規格化した)を示している。
また、バイアス点(横軸)と固有ベクトル成分の関係を示す図8において、「実測」と表記された実線のプロットが、実測データから得られた、第一から第三までの主成分に対応する固有ベクトルの成分を表している。ただし、見やすいように、第二主成分では、0.4、第三主成分は、0.8だけ、プロットを上方に移動している。
式(4)に示されるように、この例における固有ベクトルは、n’=n=150個の成分を有するベクトルとなる。
モデル分析部200は、必要に応じて中心モデルを取得する。
デバイスの特性は、ばらつきによって変動するが、このばらつき範囲の中心に位置する、言い換えれば、典型的なデバイスの特性に対応するデバイス・モデルが、中心モデルである。
中心モデルは、多数のデバイスの中から中心的な特性を示すデバイスを1個選択し、これに対して、従来のパラメータ抽出手続きを実行することで、得ることができる。
次に、モデル分析部200は、取得した中心モデルを基に、モデルに含まれる所定のパラメータに対する、回路シミュレーションによるデバイス特性値の応答を調べる。このとき、モデル分析部200は、必要に応じて、回路シミュレータを駆動して結果を取得する。回路シミュレータをばらつきシミュレーションシステム901に包含するか、外部に用意するかは適宜選択することができる。
モデル分析部200は、m個の所定パラメータのそれぞれを、中心から所定量だけ変位させ、このときの回路シミュレーションによって計算されるデバイス特性値の変位を調べる。変位させるこれら所定パラメータは、実測されたばらつきを模擬するために、統計的にばらつかせるパラメータであって、任意に選択してよい。応答を調べるデバイス特性値は、ばらつき分析部100で用いるデバイス特性値に相当するものとする。
例えば上記した実例に即するなら、実測したのと同じバイアス条件でシミュレーション計算された電流対電圧特性を用いる。
また、ばらつき分析部100にて特性変換を行う場合は、これと同一の特性変換を行った後の特性値を用いる。
選択した所定パラメータに対するデバイス特性値の応答は、m個の入力からn’個の出力が得られる変換であり、行列として表現することができる。
j番目のパラメータpjを、所定変位量Δpjだけ変位させたときの、i番目の変換された特性値yi’の変位を計算し、これをΔpjで除したものをrijとする。ただし、i = 1,…,n’、j = 1,…,mである。
rijは近似的にyi’のpjによる偏微分に相当する。rijを第i行j列の要素とする行列Rを応答行列と定義する。

Figure 2007091359
(7)
上記した実例に沿って説明すると、例えば、ゲート長LGを所定パラメータの一つとするとき、まずLGを、ΔLG/2だけ小さくした状態で、回路シミュレーションによって、MOSFETの電流対電圧特性を計算して、各バイアス点における電流IDS(すなわちyi)を計算し、さらに、式(1)あるいは式(2)による変換を行って、yi’を計算する。
また、LGをΔLG/2だけ大きくした状態で、同様の計算を行って、yi’を計算する。
さらに、後者の計算によるyi’から、前者の計算によるyi’を差し引いてyi’の変位を求め、これをΔLGで除して式(7)の行列要素を決定する。
なお、yi’の変位を計算する場合、pjを中心値から正負両方向(-Δpj/2と+Δpj/2)に変位させて計算するのが良い。
以上の説明では、モデル分析部200が自らデバイス・モデルを取得し、それを用いてモデルの応答を計算するとしたが、モデルの応答をなんらかの手段で取得できるならば、その手法はこれに限定されない。すなわち、モデル分析部200が任意の手段でモデルの応答を取得できれば良い。
例えば、モデルの応答を決定する一連の作業のうち一部または全部を別途実施しておき、その結果を読み込んで利用することも可能である。より具体的には、モデル分析部200が上記した応答行列Rの各要素を直接読み込むようすることができる。
このほか、モデル分析部200が応答行列の各要素を計算するのに必要なデータ一式を読み込むようにすることができる。例えばモデル分析部200は、パラメータpjを所定変位量+Δpj/2と−Δpj/2だけ変位させたときの特性値yiの、すべてのiとjの組合せにおける値一式を読み込み、これらデータを元に応答行列Rの各要素を計算するようにすることができる。
フィッティング実行部300は、以上により決定された情報を基に、ばらつき分析部100によって求められたデバイス特性のばらつき方が、シミュレーション用モデルによってほぼ再現されるように、上記した所定パラメータのばらつき方を決定する。
実際のばらつきをシミュレーション用モデルで再現するために、ここで「原因パラメータ」という概念を定義する。
原因パラメータとは、その統計的変動がデバイス特性の変動をもたらす原因となっていると看做されるパラメータである。
原因パラメータの数は任意に選択でき、その数が多ければ、より精密にばらつきを再現できる可能性がある。
互いに異なる原因パラメータは、互いに無相関にばらつくように選ぶのが良い。
なお、本明細書では、特記しない場合、単にパラメータと記載した場合は、原因パラメータではなく、モデルのパラメータを意味する。
原因パラメータの数(M個とする)は、通常n’より小さいか等しくする。
回路のシミュレーションを行う場合、ばらつき空間の次元は、デバイスあたりの原因パラメータが増すほど増加し、回路解析の難度が増す。
従って、原因パラメータの数は、必要最小限とすることで、ばらつきを考慮したシミュレーションの実行がより容易となる。特に、大規模な系をシミュレーションする場合、原因パラメータの数は2以下であることが望ましく、特に1であればさらに望ましい。
一方、変化させるモデルのパラメータの数n’は、多くてもあまり支障がないので、ばらつきモデルの精度を増すため、必要に応じて増やすのが良い。典型的には2個から数十程度とするのが良い。
原因パラメータを互いに無相関となるよう選ぶことにより、原因パラメータを乱数によって決定するモンテカルロ・シミュレーションの実行が容易となる。
特別な場合として、モデルのパラメータのいずれかが原因パラメータであっても良い。
さらに、モデルのパラメータと原因パラメータとは次式のような数式によって関係付けられるものとする。

Figure 2007091359
(8)
ここで、xiが原因パラメータである。原因パラメータが統計的にばらつくと、式(8)に基づいてモデルのバラメータがばらつき、さらにモデルによって表現される特性値がばらつく。
上記した所定のパラメータのばらつき方の決定は、原因パラメータのばらつきの大きさと、前記所定パラメータと原因パラメータとを関係付ける関数式(8)と、を決定することにより達成される。
所定のパラメータのばらつき方を規定する情報を、「ばらつきモデル」と呼ぶこととする。
フィッティング実行部300は、原因パラメータのばらつきの大きさと、前記所定パラメータと原因パラメータとを関係付ける関数式(8)と、決定することで、ばらつきモデルを決定する(図5のステップS3)。
式(8)は一般的であり、その決定に任意性がありすぎる。そこで、実用的には、式(8)を線形近似して、次式の形に限定するのが好適である。


Figure 2007091359
(9)
ここで、G(変換行列と呼ぶことにする)は、定数を要素とする行列である。また、Δは中心値からの変位であることを表す。
これにより、式(8)の決定は、行列Gの各要素の決定に帰着される。
説明を簡単にするため、以降において特記しない場合、原因パラメータは、中心値がゼロであるものとして説明を行う。
すなわち、Δxi=xiであるものとする。xiの中心値をこのように限定することによって一般性は失われない。
なぜなら、式(9)はxiに任意の定数を加算しても影響を受けないからである。
さらに、以降において特記しない場合、原因パラメータxjのばらつきの大きさ(標準偏差)は1に規格化されているものとして説明を行う。
原因パラメータのばらつきの大きさを、このように、1に限定することによって、一般性は失われない。なぜなら、第j番目の原因パラメータの標準偏差がKであったとき、この原因パラメータを1/K倍して、その標準偏差を1に規格化し、同時に、行列Gの第j列をK倍すれば、式(9)によるモデルのパラメータのばらつき方が変化しない。すなわち、上記した、原因パラメータのばらつきがKである表現と、1である表現とは等価であって、原因パラメータのばらつきが1である場合に、他の場合を代表させることができる。なお、変換行列Gが、特に標準偏差が1に規格化された原因パラメータに対応することを明確にしたい場合に、Gを規格化された変換行列と呼ぶこととする。
フィッティング実行部300は、式(9)の行列Gを例えば以下のように決定することができる。
式(4)は、第M番目までの主成分に着目すると、以下のような行列表記ができる。

Figure 2007091359
(10)
この表記を用いると、次式によりGを決定することができる。

Figure 2007091359
(11)
ここで、上付きのTはその左側の行列に掛かって、転置を意味する。上付きの-1はその左側の行列に掛かって、逆行列を意味する。行列R+は、行列Rの擬似逆行列と呼ばれる。
行列LとΣは、ばらつき分析部100により用意される。
行列Rは、モデル分析部200により用意される。これらの情報を基に、フィッティング実行部300は式(11)によって変換行列Gを決定することができる。
結果出力部500は、フィッティング実行部300により、決定されたばらつきモデルの情報を出力する。
典型的には、変換行列Gの要素の一覧を出力する。この他に、行列Rや行列LΣの情報、フィッティングの精度などの参考情報を適宜出力することが望ましい。
結果出力部500による出力情報に基づき、モンテカルロ・シミュレーションなどの回路シミュレーションを適宜実行することができる。
以上に述べた動作の流れ図を図5に示す。応答行列Rの決定ステップS1、特性値の統計分析(主成分分析)を実行するステップS2、ばらつきモデルを決定するステップS3、結果を出力するステップS4よりなる。
以下に、フィッティング実行部300の動作を、図6を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
図6(A)は、図5において、ばらつきモデルを決定するステップS3を、さらに詳細に記載したものである。
原因パラメータx1、x2、...、xMを要素とする列ベクトルをxと略記する。
また、特性値Δy1’、Δy2’、...、Δyn’を要素とする列ベクトルをyと略記する。
原因パラメータの変動によって特性値がばらつくという状況は、線形近似すると次式で記述できる。

Figure 2007091359
(12)
ここで、Aはn’行M列の行列である。これを用いると、式(3)で定義される共分散行列Vは、次式のように変形できる。

Figure 2007091359
(13)
ここで、前述したように、xの各要素は平均ゼロ、標準偏差が1に規格化されているとしている。これを用いて、主成分分析を表す式(10)は、以下のように変形できる。

Figure 2007091359
(14)
ここで、行列Uは、任意のM行M列のユニタリ行列である。ユニタリ行列とは、列/行ベクトルの長さがすべて1かつ互いに直交する正方行列であり、長さを変えない座標の回転操作に対応する。変形においては、Lとその転置の積が単位行列に、Uとその転置の積が単位行列に、なることを利用している。
以上より、行列Aが次式を満足するならば、実測されたばらつきが、原因パラメータのばらつきによって再現されることが判る。

Figure 2007091359
(15)
一方、式(7)および式(9)より以下の関係がある。

Figure 2007091359
(16)
ただし、パラメータの変位Δp1、Δp2、...、Δpmを要素とする列ベクトルをΔpと略記した。
以上より、ばらつきモデルの決定は、

Figure 2007091359
(17)
なる関係が近似的に成立する行列Gを決定するという問題に還元される。
この問題を解くための、本発明による一つの方法は、試行錯誤を用いた最適値探索を行う方法である。これを「探索法」と呼ぶことにする。この方法は以下の手順を行う(図6(A)参照)。
ステップ1:
行列Gの試行値を適宜選択する(図6(A)のステップS11)。
ステップ2:
RとG(試行値)の積を次の形に変形する。

Figure 2007091359
(18)
ここで、
L1は各列が長さ1で互いに直交する行列(n’行M列)、
Σ1は対角行列(M行M列)、
U1はユニタリ行列(M行M列)
である。
行列を式(18)右辺の形に変形することは、「特異値分解」と呼ばれる(図6(A)のステップS12)。
ただし、L1、Σ1、U1はRGが決まると一意に決定される行列であって、式(17)におけるL、Σ、Uとは一般には異なる。
ステップ3:
LΣとL1Σ1とが近似的に一致するかを調べる(図6(A)のステップS13)。
所定の一致条件を満足していれば(図6(A)のステップS14のYES)、ステップ1で選択した行列Gの試行値を所望のGとして決定する(図6(A)のステップS15)。所定の一致条件を満足していなければ、ステップ1に戻る(図6(A)のステップS14のNO)。
式(17)において、Uは、任意のユニタリ行列である。
また、U1は特異値分解の定義よりユニタリ行列であることが保証されるから、UとU1の一致については考慮する必要がない。
上記した近似的一致の判定は、適当な評価関数を用いて行えばよい。その望ましい一例としては、LΣの第i列ベクトル(第i主成分ベクトル)と、L1Σ1の第i列ベクトルと、の差(距離)の自乗を所定のiの範囲で加算したものが挙げられる。
この評価関数は、フィッティングの誤差に相当する。このとき、iの範囲としては、例えば1から、ばらつきモデルによって再現したい最大の主成分次数まで、とすれば良い。
通常、M個の原因パラメータを使用すると、最大第M次の主成分までを再現できる可能性がある。従って、iの範囲としては1からMまでとするのが自然である。
ステップ3においては、この評価関数が所定の誤差範囲内で最小値に到達した(最適解に到達した)ことをもって一致条件とすれば良い。
上記した方法では、着目する全主成分の誤差を単一の評価関数により表現し、これを最小化する、全体最適化問題を解いている。
そのために、評価関数の計算のたびに繰り返し特異値分解を行っている。特異値分解は、一般には直接解法では解けず、反復法によらなければならない。このため、上記した最適化はいわゆる非線形最適化の問題となる。最適化アルゴリズムは一般に試行錯誤を含む。
上記した全体最適値探索を行うと、ばらつきモデルが再現するばらつき(主成分ベクトルがL1Σ1)と、実際のばらつき(主成分ベクトルがLΣ)が、最も良く一致するG(式(17)を近似的に最もよく成立させるG)を探し出すことが可能である。
しかしながら、この方法には、決定すべき未知数が増えたときに、探索時間が長くなる傾向がある。
探索アルゴリズムとして、評価関数を逐次的にたどって、最適値を探索する準ニュートン法や滑降シンプレックス法などの手法を採用すれば、探索時間は比較的抑えられるが、真の最適点のほかに局所的に評価関数が極値をとる局所最適点が存在した場合、局所最適点を誤って真の最適点と判定してしまう恐れが高まる、という他の問題もある。
一方、局所最適点に陥りにくいシミュレーテッド・アニーリング法や、遺伝的アルゴリズムなど、試行錯誤にランダム性を取り入れた方法を用いると、探索時間が長くなる。
本発明による他の方法は、解くべき最適化問題を複数の小さな問題に分割し、直接解法により近似解を得る。直接解法を用いることで、上記した探索を不要とすることができる。これを「直接法」と呼ぶことにする。この直接法は、図6(B)にその処理ステップが示されている(ステップS21のGをLΣより直接計算)。
式(15)に着目すると、Uは任意のユニタリ行列であってよく、Uの選択によってばらつきモデルが再現するばらつきは変化しない。従って、ある結果をもたらすばらつきモデルを規定するGは一意ではない。しかしながら、実用上は、ばらつきモデルによって実際のばらつきが再現されれば、支障がないから、等価なGの中からいずれか一つのGを決定できれば良い。
そこで、Uを単位行列とし、次式を近似的に満足するGを決定できればよい。

Figure 2007091359
(19)
次に、式(19)の両辺の一致を、各列ごと独立に行う。すなわち、各列ごとの部分最適化によって、Gを決定する。具体的には、LΣの第1列(第1主成分ベクトル)が、RGの第1列と近似的に一致するように、Gの第1列を決定する。
次に、LΣの第2列(第2主成分ベクトル)が、RGの第2列と近似的に一致するよう、Gの第2列を決定する。
以下、必要とする次数の列までこれを繰り返す(行列演算としては、一度に計算できる)。
ここで、Gの各列は、ばらつきの各々の主成分とほぼ対応するように決定される。
上記したGの第j列の決定は、線形回帰分析の手法を応用することで実施することができる。
式(19)において、第j列を決定する条件部分のみを書き下すと、次式のようになる。

Figure 2007091359
(20)
式(20)において、右辺を目的変数の実現値のリスト、Rの要素を説明変数の実現値のリスト(ある列が一つの説明変数に対応)と考えれば、線形回帰分析の問題と形式上全く同じ式の形をしている。
このとき、左右両辺の第i行の値どうしの、差異の自乗をi=1からn’まで加算した自乗誤差を最小化するよう、g1j、g2j、...、gmjを決定する方法は、線形回帰分析における最小自乗法の公式として知られている。
これを用いると、Gの第j列ベクトルを次式により与えればよい。

Figure 2007091359
(21)
式(21)を第1列から第M列までまとめて行列で表すと、式(11)が得られる。
なお、以上においては、式(17)のUを単位行列として説明したが、Uを他の任意のユニタリ行列としても良い。Uを任意のユニタリ行列としても、表現されるばらつきは変化しない。
よって、式(11)を次式(22)としてもよい。

Figure 2007091359
(22)
これによって得られるGは変化するが、式(11)と等価なばらつきモデルが得られる。
式(18)の特異値分解によって得られるL1Σ1は、変換行列Gによって規定されるばらつきモデルが、再現する主成分ベクトルを与える。
直説法においても、得られたGによるばらつき再現の誤差を確認するため、図6に示すように、式(18)による特異値分解を少なくとも1回実行することが望ましい(図6(B)のステップS22参照)。
図7及び図8に、本発明の直接法による主成分の再現結果を示す。モデル基盤としては業界で一般的に利用されるBSIM4を用いた。可変とするモデルのパラメータとしては、L、W、TOX、VTH、VOFF、U0、VSAT、K1、NDEP、RDSW、の10個を選択した(m=10)。原因パラメータの数も10個としてフィッティングを行った(M=10)。
図7において、「フィッティング」と表記された灰色棒グラフが、実測データに対してフィッティングされた第一から第十までの主成分の標準偏差(分散の平方根、ただし第一主成分での値で規格化した)を示している。
すなわち、式(11)によって決定されたGを用いて、式(18)の特異値分解を行い、その結果得られたΣ1の第1乃至10対角成分を示している。
図8において、「フィッティング」と表記された、○、△、□のプロットが、実測データに対してフィッティングされた、第一から第三までの主成分に対応する固有ベクトルの成分を表している。すなわち、式(11)によって決定されたGを用いて、式(18)の特異値分解を行い、その結果得られたLの第1乃至3列ベクトルの要素を示している。
一方、対応する「実測」のプロットは、式(10)のΣの第1乃至10対角成分、およびLの第1乃至3列ベクトルの要素を示している。
図7と図8より、本発明の方法により、実測されたばらつき方を良好に再現したばらつきモデルが決定できることが判る。
図9及び図10に、上記した探索法による、主成分の再現結果を示す。
図9において、「フィッティング」と表記された灰色棒グラフが、実測データに対してフィッティングされた第一から第十までの主成分の標準偏差(分散の平方根、ただし第一主成分での値で規格化した)を示している。
すなわち、式(18)の特異値分解を試行錯誤により、繰り返し行い、その結果得られた、誤差を最小とする最適なΣ1の第1乃至10対角成分を示している。
図10において、「フィッティング」と表記された、○、△、□のプロットが、実測データに対してフィッティングされた、第一から第三までの主成分に対応する固有ベクトルの成分を表している。すなわち、式(18)の特異値分解を試行錯誤により繰り返し行い、その結果得られた、誤差を最小とする最適なLの第1乃至3列ベクトルの要素を示している。
なお、図9において、「実測」と表記された白棒グラフ、および図10において「実測」と表記された実線のプロットは、それぞれ図7および図8と同一である。
図7および図8と、図9および図10とは、ほとんど一致しており、両者とも良好なばらつき再現を達成している。ただし、この結果を得るのに要した計算時間は大幅に異なる。
この例においては、フィッティングによって決定すべき行列Gの要素の数は100個と非常に多い。探索法では、このように未知数が増えると、所要時間が急激に増し、この例では、パーソナル・コンピュータにて、数時間を要した。一方、直接法による計算時間は事実上ゼロ(数秒以下)であった。
なお、決定すべき未知数が数個まであれば、両方法の所要時間に大差はなく、探索法であっても1分以下程度で探索は終了する。
本実施例では、本発明によるばらつき再現能力を示すため、原因パラメータを10個用いて高次の主成分までフィッティングを行った。
ただし、実用上は、より少ない原因パラメータ数としても良い。この場合、高々原因パラメータ数までの主成分までしか再現することができない。しかしながら、高次の主成分は順次小さくなっていくから、原因パラメータの数を制限しても、実用上多くの場合支障がない。
直接法と探索法の結果を詳細に調べると、両者で、結果が微妙に異なっている。
フィッティング誤差の評価関数は、
・探索法では0.0971であるのに対し、
・直接法では0.1119であった。
すなわち、探索法によるほうが、直説法よりも誤差がわずかに小さく、探索法のほうがより良いフィッティングが得られている。
直接法では、主成分ごとに最適な解(部分最適解)を求めている。こうして得られる部分最適解を集めたものは、着目する全主成分に対する真の最適解(全体最適解)とは一般には異なる。一方、探索法では、真の最適解を直接探索するから、真の最適解に到達することが可能である。結果として、直説法による解は、探索法に劣る場合がある。しかしながら、結果の差異はわずかであり、実用上問題にならないレベルである。
さらに誤差を減少させるため、直接法によって得られた変換行列Gを出発点(Gの最初の試行値)として、さらに探索法を適用して、全体最適化を行っても良い。これにより、最初から探索法を行うよりも短時間で、探索法と同等に小さい誤差を実現することができる。
特別な場合として、応答行列Rに逆行列が存在する場合がある。n’行m列の応答行列Rに逆行列が存在するためには、n’がmに等しく、Rが正方行列であることが必要である。Rに逆行列が存在する場合、Rの擬似逆行列は、Rの逆行列と一致する。そして、式(11)によって決定されるRは、式(19)を厳密に満足する。あるいは、式(22)によって決定されるRは、式(17)を厳密に満足する。
さらに、直接法と探索法とは、原理的には同一のばらつきモデルを得られる。従って、Rに逆行列がある場合、直接法は、探索法に比べて特に優位となる。
本発明によるばらつき・モデルの決定は、個々のデバイスのパラメータ抽出を行わないという点で、従来法より極めて高効率であるが、中でも直説法は、フィッティング実行部300の動作を高速化するため、特に高効率である。
通常、集積回路においては、多種多様な寸法のデバイスが利用される。それらは、通常、ばらつき方が同一ではなく、それぞれについて異なるばらつきモデルが必要とされることが多い。よって、多種多様なデバイスに対応したばらつきモデルを決定するために、フィッティング実行部300は、極力高速に動作することが好ましい。
あるばらつきモデルの表現の仕方は一意ではなく、種々の等価な表現方法がある。どのような表現方法をとるかは、以下に例示するように、適宜選択することができる。
本明細書では、説明の都合上、多様な表現方法のうち適切なものを選択して説明を行っているが、このような選択は本発明の範囲の限定を意図したものではない。
すでに述べたように、原因パラメータのばらつきの大きさは1である必要はない。原因パラメータx1、x2、...の標準偏差をすべて1とする代わりに、σ1、σ2、...とし、変換行列Gを次式(23)のようにG’に置き換えれば、等価なばらつきモデルが得られる。

Figure 2007091359
(23)
逆に、変換行列G'を次式(24)によりGに置き換え、同時に原因パラメータの標準偏差をすべて1に規格化すれば、等価なばらつきモデルが得られる。このときGは、規格化された変換行列である。

Figure 2007091359
(24)
探索法の説明において、原因パラメータの標準偏差を1と仮定し、探索においては、規格化した変換行列Gの要素を変化させながら探索するとした。しかし、変換行列G’の要素に加えて、原因パラメータの標準偏差σ1、σ2、...までも試行値として変化させることで探索法を実施しても良い。このときは、式(18)における規格化された変換行列Gを式(24)により与えればよい。
ただし、このとき、決定すべき未知数の数がM個増加するが、これによって互いに等価なモデルの表現法の数が増大したに過ぎず、モデルの表現の自由度が増すわけではない。すなわち、M個の余分な自由度は冗長であって、このまま探索を実行すると、無駄に広い次元の解空間を探索することとなって好ましくない。そこで、探索する決定すべき未知数に適宜制約を設けることが望ましい。
一つの望ましい方法は、式(24)において、G’の各列ベクトルを長さ1で互いに直交するという制約を設けることである。下記する式(25)に関わる説明を参照すると、これによってモデルの表現の自由度が減少することはない。
式(18)などより、Gの右側から任意のM行M列ユニタリ行列を掛けても、等価なばらつきモデルとなる。よってすでに述べたように、式(11)の代わりに式(22)を用いても良い。
特に、Gを特異値分解すると、次式(25)のように変形できる。
Figure 2007091359
(25)
ここでG’’は各列が長さ1で互いに直交する行列(m行M列)、U2はユニタリ行列(M行M列)、s1乃至sMは特異値である。
式(25)より、G’’を変換行列とし、原因パラメータの標準偏差をs1、s2、...、sMとすれば、Gを変換行列とし、原因パラメータの標準偏差が1である場合と等価なばらつきモデルが得られる。よって、各列が長さ1で互いに直交する行列となるように、変換行列を選択することができる。
探索法においては、探索の実行時に行列Gの要素、あるいは行列G’の要素に任意の制約を課すことが容易である、という利点がある。
これは、試行する行列G、あるいはG’と原因パラメータの標準偏差値とを、常に所定の制約を満足する範囲で選択し、探索を実行することによって実現される。
例えば、モデルのパラメータは互いに無相関である、という条件を課したいのであれば、式(24)においてG’を単位行列に固定して探索を実行すればよい。
例えば、モデルのあるパラメータ(例えばゲート長L)のばらつきの大きさが、事前の測定によって既知であったとする。この場合、そのパラメータの標準偏差が、既知の値に固定されるという条件を課して探索を実行すればよい。
このように、探索法は、モデルのパラメータの統計的性質が所定の条件を満足する範囲で解を得たい場合において、特に有用である。
モデルのパラメータの統計的性質が所定の条件となるGを選択するには、以下のようにすれば良い。
モデルのパラメータの統計的性質は、モデルのパラメータの共分散行列Vpによって規定できる。Vpを、式(3)以下と同様に主成分分析する。すなわち、Vpを固有値分解し、次式を得る。

Figure 2007091359
(26)
ここで、Lpは、Vpの固有ベクトルを左から固有値が大きい順に並べたm行m列の行列、μ1乃至μmはVpの固有値である。
これは、形式的には、特性値に対して行った主成分分析と同じであり、式(26)は、式(10)に類似するが、ここでは、主成分分析の対象が特性値ではなく、パラメータである点が異なる。
こうして得られたLpΣpを規格化されたGとすると、モデルのパラメータの共分散行列は、Vpと一致する。
すでに説明したように、特性値の共分散行列Vを固有値分解して得られるLΣが、式(12)におけるA=RGと一致するなら、特性値のばらつき方が再現される。
AとG、yとΔpとが形式上対応することを考慮すると、全く同様に、パラメータの共分散行列Vpを、固有値分解して得られるLpΣpをGとすると、モデルのパラメータのばらつき方が再現される。
Vpの要素は、すべてパラメータの統計量(分散と共分散)であるから、パラメータが所定の統計的性質を満足するように、Vpの要素を設定することは容易である。
LpΣpをGとすると、Gはm行m列の行列となる。あるいは、LpΣpの列のうち、適宜大きさが大きいM列のみを選択して、Gをm行M列としても良い。このようにLpΣpの列を部分的に省略すると、パラメータのばらつき方の再現の忠実度は劣化するが、原因パラメータの数を削減することができる。
デバイス・モデルのパラメータの、共分散行列Vpの要素の一部に制約(例えばゲート長Lの分散を所定値に固定する、ゲート長と移動度の間の相関係数を所定値に固定する、など)を課しながら、Vpの要素を試行値として適宜選択し、Vpを固有値分解して、LpとΣpを求めれば、モデルのパラメータの統計的性質が所定の条件となるGを選択することができる。
こうして選択したGを、探索法においてGの試行値とすれば、モデルのパラメータの統計的性質が所定の条件を満足する解を、容易に探索することができる。
本発明を適用するにあたって、モデルのパラメータを予め任意のパラメータの関数として表現しておき(パラメータ変換)、前記任意のパラメータを新たにモデルのパラメータとみなして、本発明を適用しても良い。
例えば、ばらつきの物理的原因と、それに対するモデルのパラメータの振る舞いが事前に判明している場合、この原因を記述するパラメータを前記任意のパラメータとして用いることができる。
図11を参照すると、本発明の第2の実施の形態に係るばらつきシミュレーション・システム902は、ばらつき分析部100と、モデル分析部200と、フィッティング実行部300と、シミュレーション実行部400と、結果出力部500と、を備えている。
シミュレーション実行部400は、ばらつきモデルに基づいて、適宜、回路シミュレーションを実行する。回路シミュレーションの典型的な利用方法は、モンテカルロ実験である。すなわち、乱数を用いて、原因パラメータを所定の分布関数で統計的にばらつかせながら、回路特性を繰り返し計算し、回路特性がどのようにばらつくかを検討する。特に詳細な分布関数の指定が無い場合、上記した分布関数は、標準偏差が所定値である正規分布とするのが合理的である。
より具体的には、
ステップ1:
原因パラメータを乱数を用いて中心値からランダムに変位した原因パラメータの組x1, x2、...、xMを決定する。
ステップ2:
上記した原因パラメータの組から式(8)や式(9)を用いて変位したモデルのパラメータ p1, p2, ..., pmを決定する。
ステップ3:
決定された変位したデバイス・モデルを用いて、適宜、回路シミュレーションを実行し、回路特性を調べる。
以上を一回の試行として、所定回数の試行を繰り返すことで、得られた結果から回路特性がどのようにばらつくかを知ることができる。
上記した回路シミュレーションの実行には、ばらつきモデルに加えて、
・デバイス・モデル(望ましくは中心モデル)と、
・シミュレーション実行条件(デバイスを含んで成る回路の構成情報、シミュレーションするバイアス条件)、
などの情報がさらに必要である。
これらのシミュレーションの実行条件については、一般的な回路シミュレーションにおいてなされる方法を用いて、適宜、シミュレーション実行部400が取得できるようにすれば良い(図示されない)。
原因パラメータは、真に物理的なばらつきの原因と対応するよう選択されることが好ましいが、原因パラメータは必ずしもそのように選択される必要はない。観測されるばらつきをシミュレーションによって再現することが可能であるなら、本発明の目的は達成できるのであって、そのとき原因パラメータが全く物理的に意味を持たない単なるフィッティング・パラメータであっても、本発明は有効である。ただし、原因パラメータが物理的意味を有するように選択されれば、ばらつき現象の物理的理解を得ることができる点で好ましい。
本発明は、使用するシミュレーション用のモデル基盤に、特段の制約がない、という特徴を有する。本発明によれば、モデル基盤の詳細な内部情報を直接には利用せず、パラメータの変化に対するデバイス・モデルの応答を利用することで、ばらつきモデルを決定する。このため、本発明においては、モデル基盤を自在に入れ替えることができる。
ユーザは、既存のモデル基盤(例えば業界標準として普及しているもの等)を適宜選択して、本発明と組み合わせることが可能である。結果として、既存の設計環境や資産を変更する必要がないため、ばらつきシミュレーションの実行環境を低コストで構築することが可能である。この特徴を生かすために、本発明によるばらつきシミュレーション・システムは、使用するモデル基盤をユーザが任意に選択できるよう構成することができる。
以上の説明では、電子デバイスを含む回路シミュレーションへの適用例、特に、MOSFETの電流対電圧特性への適用例を基に説明した。しかしながら、本発明の根幹を成す手法は、適用対象となるデバイス、及びデバイス特性の種類によって制限を受けず、モデルによって表現可能な、任意のデバイス特性に対して適用可能である。
従って、デバイス特性を表現する量が、電流、電圧、キャパシタンス、インダクタンス、抵抗、のいずれであって良い。また、電流、電圧、キャパシタンス、インダクタンス、抵抗から派生する量であっても良い。例えば、MOSFETにおいて、ドレイン端子の電流をゲート端子の電圧で微分した相互コンダクタンスや、ドレイン端子の電圧をドレイン端子の電流で微分した出力抵抗、などでも良い。また、例えば、バイポーラ・トランジスタにおいて、コレクタ端子の電流をベース端子の電流で除したエミッタ接地電流増幅率や、コレクタ端子の電流をエミッタ端子の電流で除したベース接地電流増幅率、などでも良い。
さらに、デバイス特性を表現する量は、交流信号の振幅と位相の情報を併せ持つ、複素電圧、複素電流であっても良い。また、これらから派生する量、例えば複素アドミタンス、複素インピーダンス、Sパラメータ、Yパラメータ、Zパラメータ、hパラメータ、などでも良い。
さらに、デバイス特性を表現する量は、光学デバイス(発光ダイオード、半導体レーザ等)における、光の強度、光の位相、屈折率、透過率、反射率などの光学的量、またはそれらから派生する量であっても良い。
また、デバイス特性を表現する量は、機械デバイスにおける、変位量、曲げ量、移動速度、摩擦力などの機械的量、またはそれらから派生する量であっても良い。
またデバイスの種類としては、MOSFETのほか、MISFET、MESFET、JFET、バイポーラ・トランジスタ、各種ダイオード(発光ダイオード、半導体レーザ、太陽電池などを含む)、サイリスタ、CCDなど、任意の半導体デバイスであっても良い。また、半導体デバイス以外の任意のデバイス、例えば液晶表示デバイス、プラズマ表示デバイス、電界放出型表示デバイス、有機発光表示デバイス、真空管増幅デバイス、真空管発光デバイス、各種MEMS用デバイス(アクチュエータ、センサなど)、などであっても良い。
回路シミュレーションは、電子デバイスの特性という物理現象を数式によってモデル化している。同様に任意の現象を数式によってモデル化する場合であって、さらに該現象のばらつきをモデルで再現する必要がある場合においても、電子デバイスに対する場合と同様にして、本発明を適用することが可能であることは、上記した説明からも、明らかである。
本発明による手法は、N個のデバイス個々についてパラメータ抽出を行い、その後にパラメータの統計的性質を調べるのではなく、逆に、まずN個のデバイスの特性値の統計的性質を調べた後、この統計的性質を再現するように、デバイス・モデルのパラメータのばらつき方を決定する。決定にあたっては、デバイス・モデルのパラメータに対する応答がどうなっているかという情報を利用する。
これにより、N回のパラメータ抽出作業を行うことなく、パラメータのばらつき方を1回のフィッティングで決定することができる。これによりばらつきを詳細に考慮した回路シミュレーションを実施するための、ばらつきを表現するためのモデル(ばらつきモデル)を、効率的に決定することができる。
本発明は、電子デバイスを用いた回路の設計に適用できる。特に集積回路の設計に好適である。
本発明はこれに限らず、任意の現象を数式によってモデル化する場合であって、さらに該現象のばらつきをモデルで再現する必要がある場合においても、電子デバイスに対する場合と同様にして適用することが可能である。
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。

Claims (70)

  1. 物理現象を反映する特性値の統計的性質が、前記物理現象を模擬するモデルによって再現されるように、前記モデルによって模擬された特性値の所定のパラメータに対する応答情報を基に、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とするばらつきシミュレーション・システム。
  2. 物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出するばらつき分析部と、
    前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答情報を取得するモデル分析部と、
    前記応答情報を基に、前記統計的性質が前記モデルによって再現されるように、前記所定のパラメータのばらつき方を決定するフィッティング実行部と、
    を有する、ことを特徴とするばらつきシミュレーション・システム。
  3. 物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出する手段と、
    前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答情報を取得する手段と、
    前記応答情報を基に、前記統計的性質が前記モデルによって再現されるように、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段と、
    を有する、ことを特徴とするばらつきモデル決定装置。
  4. コンピュータ・システムを用いてばらつきモデルを決定する方法であって、
    物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出する第1の工程と、
    前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答情報を取得する第2の工程と、
    前記応答情報を基に、前記統計的性質が、前記モデルによって再現されるように、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する第3の工程と、
    を有する、ことを特徴とするばらつきモデル決定方法。
  5. コンピュータに、
    物理現象を反映する特性値について統計的性質を抽出する第1の処理と、
    前記物理現象を模擬するモデルによって模擬された特性値について所定のパラメータへの応答情報を取得する第2の処理と、
    前記応答情報を基に、前記統計的性質が、前記モデルによって再現されるように、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する第3の処理と、
    を実行させるプログラム。
  6. 前記統計的性質を抽出する手段は、前記物理現象を反映する特性値について、主成分分析を用いて統計的性質を抽出する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  7. 前記応答情報を取得する手段は、前記模擬された特性値の、前記所定のパラメータへの応答を分析することで、前記応答情報を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  8. 前記応答情報を取得する手段は、前記所定のパラメータを変位させたときの模擬された特性値の変位を計算することで、前記応答情報を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  9. 前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段は、応答行列と変換行列の積を特異値分解した結果と、特性値の主成分分析した結果と、を一致、又は近似的に一致させるようにして、所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  10. 前記決定された所定のパラメータのばらつき方に基づき、シミュレーションを実行するシミュレーション実行部をさらに有する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  11. 前記特性値と、模擬された特性値がともに同一の変換を受ける、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  12. 前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段は、前記所定のパラメータのばらつき方を、直接法により決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  13. 前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段は、原因パラメータと、前記モデルに含まれるパラメータとを関係付ける係数又は変換行列を、前記主成分分析の結果への回帰分析により決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  14. 応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  15. 応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  16. 応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  17. 応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  18. 前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段は、前記直接法の結果を初期値として、探索法をさらに行い、前記所定のパラメータのばらつき方を求める、ことを特徴とする請求項12記載のばらつきモデル決定装置。
  19. 前記所定のパラメータのばらつき方を決定する手段は、パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するように、前記所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  20. 変換行列の試行値に所定の制約条件が課せられる、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  21. パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するように、変換行列の試行値に所定の制約条件が課せられる、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  22. パラメータの主成分分析により、変換行列の試行値を決定する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  23. モデルのパラメータを、他のパラメータの関数とみなすパラメータ変換を行う、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  24. 原因パラメータの数が、変化させるモデルのパラメータの数よりも少なく設定されている、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  25. 前記変換行列は、M次元ベクトルの原因パラメータを、m次元ベクトルのモデルパラメータへ変換するm行M列の行列よりなる、ことを特徴とする請求項9、13、14、15、16、17、20、21のいずれか一に記載のばらつきモデル決定装置。
  26. Rをn’行m列の応答行列、
    Vを特性値に関するn’行n’列の共分散行列、
    GをM次元ベクトルの標準偏差1に規格化された原因パラメータをm次元ベクトルのモデルパラメータへ変換するm行M列の変換行列、
    LをVのM列の固有ベクトルを固有値の大きさの順に1列目から並べたn’行M列の行列、
    Σを対角要素にVの固有値λ、λ、・・・λMの平方根√λ、√λ、・・・√λMを配置したM行M列の対角行列とし、
    等式VL=LΣが成り立ち、
    RG=LΣUT(ただしUはユニタリ行列、Tは転置)なる関係が少なくとも近似的に成立する行列Gを決定することでばらつきモデルを決定するにあたり、
    Uを任意のユニタリ行列として、
    RGの各列がLΣUTの各列に近似的に一致するようにGの各列を決定するという直接法で求める、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  27. 線形回帰分析により、G=(RTR)-1TLΣ
    にて変換行列Gを求める、ことを特徴とする請求項26記載のばらつきモデル決定装置。
  28. Uを任意のユニタリ行列とし、
    線形回帰分析により、G=(RTR)-1TLΣUT
    にて変換行列Gを求める、ことを特徴とする請求項26記載のばらつきモデル決定装置。
  29. 直接法で得られた規格化された変換行列Gに対して、
    RG=LΣ T(ただし、L1は各列が長さ1のn’行M列の直交行列、ΣはM行M列の対角行列、UはM行M列のユニタリ行列)に特異値分解する、ことを特徴とする請求項26記載のばらつきモデル決定装置。
  30. 直接法で得られた規格化された変換行列Gを、試行値とし、
    RG(ただし、Gは前記試行値のG)を特異値分解し、
    実際のばらつきと再現したばらつきの主成分ベクトルLΣとLΣの一致の度合いを調べ、所定の一致条件を満たす場合、行列Gの試行値を求めるGとし、不一致の場合、Gの別の試行値を選択して再試行する、探索法により、Gを求める、ことを特徴とする請求項26記載のばらつきモデル決定装置。
  31. Rをn’行m列の応答行列、
    Vを特性値のn’行n’列の共分散行列、
    GをM次元ベクトルの標準偏差1に規格化された原因パラメータをm次元ベクトルのモデルパラメータへ変換するm行M列の変換行列、
    LをVのM列の固有ベクトルを固有値の大きさの順に第1列から並べたn’行M列の行列、
    Σを対角要素にVの固有値λ、λ、・・・λMの平方根√λ、√λ、・・・√λMを配置したM行M列の対角行列とし、
    等式VL=LΣが成り立ち、
    RG=LΣUT(ただしUはユニタリ行列、Tは転置)なる式を解くにあたり、
    Gの試行値を選択し、
    RとGの積を、
    RG=LΣ T(ただし、L1は各列が長さ1のn’行M列の直交行列、ΣはM行M列の対角行列、U1はM行M列のユニタリ行列)に、特異値分解し、
    実際のばらつきと再現したばらつきの主成分ベクトルLΣとLΣの一致の度合いを調べ、所定の一致条件を満たす場合、行列Gの試行値を求めるGとし、不一致の場合、Gの別の試行値を選択して再試行する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  32. 原因パラメータの標準偏差を1に規格化して処理を行う、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  33. 規格化された変換行列をGとするとき、G=G’S'(ただし、S'は対角要素に原因パラメータの標準偏差σ、σ、・・・σMを配置したM行M列の対角行列)なる関係を満足するG'を変換行列とする、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  34. 規格化された変換行列Gを、
    G=G'' SU T
    (ただし、G''は各列が長さ1のm行M列の直交行列、UはM行M列のユニタリ行列、Sは対角要素に特異値s1、s2、・・・、sMを配したM行M列の対角行列)、に特異値分解し、変換行列の各列が長さ1で互いに直交するようにG''を変換行列として選択する、ことを特徴とする請求項3記載のばらつきモデル決定装置。
  35. モデルパラメータの共分散行列Vについて、
    pp=LpΣp 2 (ただし、LpはVpの固有ベクトルを固有値の大きさの順に1列目から並べたm行m列の直交行列、Σpは対角要素にVpの固有値μ1、μ、・・・μの平方根√μ1、√μ、・・・√μを配したm行m列の対角行列)に固有値分解し、
    pΣp、またはLpΣpのうち固有値の大きい一部の列を選択して得られる行列、を規格化された変換行列Gの試行値とする、ことを特徴とする請求項31記載のばらつきモデル決定装置。
  36. 前記第1の工程は、前記統計的性質を主成分分析によって決定する、ことを特徴とする、請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  37. 前記第2の工程は、前記所定のパラメータを変位させたときの模擬された特性値の変位を計算することで前記応答情報を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  38. 前記第3の工程は、応答行列と変換行列の積を特異値分解した結果と、特性値の主成分分析した結果と、を一致または近似的に一致させるようにして、所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  39. 前記特性値と、模擬された特性値がともに同一の変換を受ける、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  40. 前記所定のパラメータのばらつき方を、直接法により決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  41. 原因パラメータと、前記モデルに含まれるパラメータと、を関係付ける係数又は変換行列を、前記主成分分析の結果への回帰分析により決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  42. 応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  43. 応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  44. 応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  45. 応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  46. 前記直接法の結果を初期値として、探索法をさらに行う、ことを特徴とする請求項40記載のばらつきモデル決定方法。
  47. パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するように、所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  48. 原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列の試行値に所定の制約条件が課せられる、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  49. パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するように、変換行列の試行値に所定の制約条件が課せられる、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  50. パラメータの主成分分析により変換行列の試行値を決定する、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  51. モデルのパラメータを、他のパラメータの関数とみなすパラメータ変換を行うことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  52. 原因パラメータの数が、変化させるモデルのパラメータの数よりも少ない、ことを特徴とする請求項4記載のばらつきモデル決定方法。
  53. 前記第1の処理は、前記統計的性質を主成分分析によって決定する、ことを特徴とする、請求項5記載のプログラム。
  54. 前記第2の処理は、前記所定のパラメータを変位させたときの模擬された特性値の変位を計算することで前記応答情報を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  55. 前記第3の処理は、応答行列と変換行列の積を特異値分解した結果と、特性値の主成分分析した結果と、を一致または近似的に一致させるようにして、所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  56. 前記決定された所定のパラメータのばらつき方に基づき、シミュレーションを実行するシミュレーション処理を実行させる、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  57. 特性値と、模擬された特性値がともに同一の変換を受ける、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  58. 前記所定のパラメータのばらつき方を、直接法により決定することを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  59. 原因パラメータと、前記モデルに含まれるパラメータと、を関係付ける係数又は変換行列を、前記主成分分析の結果への回帰分析により決定する、ことを特徴とする請求項5載のプログラム。
  60. 応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  61. 応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、任意のユニタリ行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  62. 応答行列の擬似逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  63. 応答行列の逆行列と、主成分ベクトルから成る行列と、を掛けあわせることで、原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  64. 前記直接法の結果を初期値として、探索法をさらに行う、ことを特徴とする請求項58記載のプログラム。
  65. パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するように、所定のパラメータのばらつき方を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  66. 原因パラメータをモデルパラメータへ変換する変換行列の試行値に所定の制約条件が課せられる、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  67. パラメータの統計的性質の少なくとも一部が所定の条件を満足するように、変換行列の試行値に所定の制約条件が課せられる、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  68. パラメータの主成分分析により変換行列の試行値を決定する、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  69. モデルのパラメータを、他のパラメータの関数とみなすパラメータ変換を行う、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
  70. 原因パラメータの数が、変化させるモデルのパラメータの数より少ない、ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
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