本発明は、照明装置及びそれを用いた投写型表示装置に関する。
近年、大画面表示が可能な投写型表示装置(プロジェクタ)の光源として、これまでの放電型の水銀ランプよりも長寿命化を実現することのできる発光ダイオードなどの固体光源が注目されている。この投写型表示装置の照明装置には、明るい部屋でも高画質を実現するために、より明るい照明が求められている。
そこで、光源から出射された光を、より効率良く画像表示素子へ伝搬させるために、照明装置の光学系における光損失を少なくする検討が行われている。また、スクリーン上に拡大投影される画像における面内均一性を高めるために、画像表示素子を照明する光束の面内均一化がより重要となっている。
これらの課題に対して、光源から放射される光を効率よく集光し、照明光束の均一化が可能な手法が、例えば特許文献1に提案されている。図9は、特許文献1に記載されている従来の光学系の概略図を示している。
この光学系は、3色の異なる単色光を出射する光源である発光ダイオード801−803の出射端面側に、ガラスやアクリルなど光学的に透明な光学ブロック811−813が配置されている。光学ブロック811−813は、発光ダイオード801−803側の入射端の断面積よりも大きな出射端を持っており、各断面の形状が被照明物の形状と相似形になっている。
この構成では、発光ダイオード801−803から出射した光は、まず光学ブロック811−813内に入射する。その後、色合成プリズム861等で色合成され、コンデンサーレンズ821、881、偏光ビームスプリッタ882を経て、被照明物である光変調素子883を照明する。光変調素子883によって変調された光は、投写手段884によってスクリーン(図示せず)に投写される。
光学ブロック811−813の側面に入射した光は、光学ブロック811−813内の側面で全反射する。これは、光学ブロック811−813が、周辺の空気よりも高い屈折率の物質であるためである。
この場合、光学ブロック811−813への入射角度が小さい光は、光学ブロック811−813の出射端に達するまでに、光学ブロック811−813内での反射回数は少なく、入射角度の大きな光は反射回数が多くなる。
したがって、光学ブロック811−813の出射端に到達する光は、反射回数の異なる光が重畳された状態となる。このため、光学ブロック811−813の出射端は、入射端面時よりも均一性がかなり改善されることとなる。
このように、光束を重畳する現象を発生させる光学要素は、インテグレータと呼ばれている。光学ブロック811−813のような例は、入射端と出射端とで大きさが異なるテーパ形状をしている光学部材であることから、テーパ型ロッドインテグレータと呼ばれている。
このテーパ型ロッドインテグレータ811−813の出射端から出射される均一性の高い光束は、被照明物である光変調素子883との間に配置したレンズ系によって相似形に伝搬されるため、被照明物である光変調素子883を均一に照明することになる。
また、照明光束の均一化が可能な別の手法が、例えば特許文献2に提案されている。図10は、特許文献2に記載されている従来の光学系の概略図を示している。この光学系は、光源である発光ダイオード901−903から出射された光は、まずレンズ911−913によって平行光化される。この平行光化した幅広い光束は、プリズム961−963と光学薄膜971−972とで構成された3色合成プリズムで色合成される。
色合成された光は、複数のレンズが同一面内に配置されたレンズアレイ933と呼ばれる光学素子で分割される。この分割光は、レンズ941、981、偏光ビームスプリッタ982を経て、その分割された1つ1つの光束が、被照明物である光変調素子983上で重畳して光変調素子983を照明することになる。光変調素子983によって変調された光は、投写手段984によってスクリーン(図示せず)に投写される。
なお、均一性を得るために、レンズアレイ933内のレンズ数を100−200個程度とし、光源からの光束を100−200分割することが一般的である。
このとき、光源側に配置されたレンズアレイを第1レンズアレイ931、被照明物側のレンズアレイを第2レンズアレイ932と呼ぶ。第1レンズアレイ931を構成する個々の第1レンズの形状は、前記のテーパ型ロッドインテグレータの出射端と同様に、被照明物の形状と相似形である。第1レンズアレイ931の1つ1つのレンズで分割された光束が、対応する分割数を有する第2レンズアレイ932の第2レンズによって、各々被照明物のところに重畳されながら結像される。このことにより、被照明物である光変調素子983を均一に照明することができる。
このように、インテグレータとして、レンズアレイを用いた構成であっても、被照明物である光変調素子を均一に照明することができる。
しかしながら、前記のような従来の光学系には、以下のような問題があった。図9に示すような光学系では、発光ダイオード801−803から出射された光が、各々テーパ型ロッドインテグレータ811−813へ入射する。この入射光は、各ロッドインテグレータ811−813内での反射によって、ある程度均一性が改善され、各出射開口から出射する。その後、各色の光源から放射された光束の光軸が一致するように、色合成プリズム861等で色合成され、被照明物である光変調素子883を照明することになる。
その際、1つ1つの発光ダイオード801−803の発光面内の発光むらがある場合や、発光ダイオード801−803から放射される角度による光強度分布が異なる場合がある。
さらに、より大きな光出力を得るために、発光ダイオードの発光部分である半導体チップを複数個、1つのパッケージ内に納めた構成や、1つの半導体チップを1つのパッケージ内に納めたものを複数個並べて配置させた発光ダイオード群を光源として用いる構成がある。
このような構成においても、発光する半導体チップの明るさのばらつきや、チップ間またはパッケージ間のすき間などによって、光源の発光面に発光むらが生じる場合があり、個々の半導体チップのばらつきから各発光部から放射される角度による光強度分布が異なってしまう場合もある。
このとき、各テーパ型ロッドインテグレータ811−813の長さが短いなどの理由で、ロッドインテグレータ811−813内での反射回数の差が少ないと、出射光束の均一化が不十分となる。この場合、光変調素子883を照明する光束は、各色毎に異なる面内明るさむらを持つことになる。
このため、白色表示時のように、3つの光源801−803から放射された光を重畳させる場合、光変調素子883面上で、3つの異なる色の明るさむらの分布が異なり、白色表示時の面内色むらを発生させるという問題があった。
また、前記のような、白色表示時の面内色むらは、発光ダイオード801−803と、テーパ型ロッドインテグレータ811−813と、色合成プリズム861との光軸が僅かにずれた場合であっても発生する。このため、極めて精度の高い光学系の調整および保持装置が必要になり、周辺温度による保持装置の変形にも対応が必要であるといった問題があった。
さらに、このような色むらを発生させないように、テーパ型ロッドインテグレータ811−813の出射端から出射される光束の均一性を高めるには、テーパ型ロッドインテグレータ811−813内の側面で全反射される光線の最大反射回数が多くなるほどよい。
光源から出射された光束を100−200分割する一般的なレンズアレイと同様に均一性を得るためには、ロッドインテグレータ内において反射される最大反射回数が5−10回程度必要であり、十分な均一性を得るには10回を越える必要がある場合が多い。そのため、ロッドインテグレータの光軸方向における光路長が長い、つまり長い光学ブロックが必要となる。
しかしながら、長いテーパ型ロッドインテグレータはコストが高くなり、また、断面積に対して過度に長いと、細長くなり、保持した場合に折れ等の可能性が高くなる。
また、図10に示すような光学系では、発光ダイオード901−903から出射された光を集光するレンズ911−913は、発光ダイオード901−903から出射される光を効率よく取り込んで、その後の光学系へ出射させる必要がある。これと同時に、レンズ911−913から出射される光の平行度を高めて、レンズアレイ933以降の光学系における光損失を少なくする必要がある。
発光ダイオード901−903から出射される光を効率よく集光するには、発光ダイオード901−903とレンズ911−913との間の距離を近づけた方がよい。他方、レンズ911−913から出射される光の平行度を高めるには、発光ダイオード901−903とレンズ911−913との間の距離を離した方がよい。すなわち、平行度を高めることと効率よく集光することとの両立は、困難であった。
以上のように、発光ダイオードのような固体光源から出射される光を所定の被照明面に照明する照明装置において、より高い効率、かつ高い均一性の照明システムを、安価で、保持等で破損する可能性の少ない部品を使用して構成することは困難であった。
特開2000−180962号公報
特開2004−70018号公報
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、照明すべき領域において、面内の明るさに関する均一性を高めた状態であっても、光源である固体光源から出射された光束を、より効率よく利用できる照明装置及びそれを用いた投写型表示装置を提供することを目的とする。
前記目的を達するために、本発明の照明装置は、光源と、前記光源からの光が入射する第1のインテグレータと、前記第1のインテグレータから出射された光が入射する第2のインテグレータとを備えたことを特徴とする。
次に、本発明の投写型表示装置は、前記照明装置を備えた投写型表示装置であって、前記照明装置からの照明光を変調して画像を形成する画像表示手段と、前記画像表示手段によって変調された光をスクリーン上に投写する投写手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の実施の形態1に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態2の第1の例に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態2の第2の例に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態3に係る投写型表示装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態4に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態5に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態6に係る投写型表示装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態7に係る投写型表示装置を示す概略構成図。
従来の照明装置の一例を示す概略構成図。
従来の照明装置の他の一例を示す概略構成図。
本発明の照明装置、投写型表示装置によれば、光の利用効率を高めつつ十分な均一性を得ることができる。より具体的には、第1のインテグレータに加え、第2のインテグレータを備えたことにより、第1のインテグレータの開口形状を最適設計することができ、光の利用効率を高めることができる。さらに、第1のインテグレータの長さを短くしても、第1のインテグレータによる光の均一性の不足分を、第2のインテグレータにより補い、被照明面では高い均一性を確保することができる。
また、3色の光源を備えた第2の照明装置、第1、第2の投写型表示装置によれば、前記の効果に加えて、色合成の際に発生する色むらを第2のインテグレータで均一化することができる。
前記照明装置においては、前記第1のインテグレータから出射された光を集光するレンズ手段が、前記第1のインテグレータと、前記第2のインテグレータの間に設けられていることが好ましい。この構成によれば、第1のインテグレータから出射し、第2のインテグレータに入射する光束の平行度を高めることができる。
また、前記光源は、第1の色の光を出射する第1の光源と、第2の色の光を出射する第2の光源と、第3の色の光を出射する第3の光源とで構成され、前記第1のインテグレータは、前記第1の光源からの光が入射する第1光源用第1のインテグレータと、前記第2の光源からの光が入射する第2光源用第1のインテグレータと、前記第3の光源からの光が入射する第3光源用第1のインテグレータとで構成され、さらに、前記第1の色の光と、前記第2の色の光及び前記第3の色の光が色合成された光とを合成する第1の光学薄膜と、前記第2の色の光と、前記第3の色の光とを合成する第2の光学薄膜とを備えており、前記第2のインテグレータに、前記第1の光学薄膜で合成された光が入射することが好ましい。この構成によれば、色合成の際に発生する色むらを第2のインテグレータで均一化することができる。
前記第1、第2の照明装置においては、前記第1のインテグレータがロッドインテグレータであることが好ましい。この構成によれば、簡単な構成で光束の均一性を向上させることができる。
また、前記第1のインテグレータがロッドインテグレータであり、前記ロッドインテグレータは、入射端より出射端の開口形状が大きいテーパ型ロッドインテグレータであることが好ましい。
また、前記第1のインテグレータが、ロッドインテグレータであり、前記光源から出射された光のうち、被照明領域に到達する有効な光線が、前記第1のインテグレータ内において反射される最大反射回数が10回以下であることが好ましい。この構成によれば、ロッドインテグレータの長さを短くでき、コストを抑えつつ保持等による破損を防止できる。
また、前記第2のインテグレータは、レンズアレイであることが好ましい。
また、前記第2のインテグレータは、ロッドインテグレータであることが好ましい。
また、前記第2のインテグレータは、前記光源側に配置された第1レンズアレイと、被照明物側に配置された第2レンズアレイとで構成されたレンズズアレイであり、前記第1のインテグレータの出射開口形状と、前記第2レンズアレイ上に形成される光源像とが相似形であることが好ましい。
また、前記光源は、複数個の発光部により形成されているものでもよい。この構成によれば、より大きな光出力を得ることができ、かつ光の利用効率を高めつつ、十分な均一性を得ることができる。
また、前記投写型表示装置においては、前記光源は、第1の色の光を出射する第1の光源と、第2の色の光を出射する第2の光源と、第3の色の光を出射する第3の光源とで構成され、前記第1のインテグレータは、前記第1の光源からの光が入射する第1光源用第1のインテグレータと、前記第2の光源からの光が入射する第2光源用第1のインテグレータと、前記第3の光源からの光が入射する第3光源用第1のインテグレータとで構成され、前記第2のインテグレータは、前記第1光源用第1のインテグレータから出射された光が入射する第1光源用第2のインテグレータと、前記第2光源用第1のインテグレータから出射された光が入射する第2光源用第2のインテグレータと、前記第3光源用第1のインテグレータから出射された光が入射する第3光源用第2のインテグレータとで構成され、前記画像表示手段は、前記第1光源用第2のインテグレータからの照明光を変調して画像を形成する第1光源用画像表示手段と、前記第2光源用第2のインテグレータからの照明光を変調して画像を形成する第2光源用画像表示手段と、前記第3光源用第2のインテグレータからの照明光を変調して画像を形成する第3光源用画像表示手段とで構成され、前記第1光源用画像表示手段によって変調された光と、前記第2光源用画像表示手段によって変調された光と、前記第3光源用画像表示手段によって変調された光とを合成する色合成プリズムをさらに備え、前記投写手段は、前記色合成プリズムから出射された光をスクリーン上に投写することが好ましい。この構成によれば、色合成の際に発生する色むらを第2のインテグレータで均一化することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る照明装置を示す概略構成図である。発光ダイオード1は所定の発光面を有する光源である。発光ダイオード1から出射される光が入射する位置に、第1のインテグレータであるテーパ型ロッドインテグレータ(以下、「テーパロッド」という。)11が配置されている。
テーパロッド11から第2のインテグレータであるレンズアレイ33までの間に、レンズ手段であるリレーレンズ21が配置されている。レンズアレイ33から出射された光は、集光レンズ41で集光され被照明面51を照明する。
発光ダイオード1から出射される光線の角度は、0−90度である。発光ダイオード1に、テーパロッド11の入射端を近づけるほど、多くの光をテーパロッド11に取り込むことができる。このため、テーパロッド11の入射端は、発光ダイオード1に近接または光学的に透過率が高い接着剤等を介して接着することが望ましい。
しかしながら、発光ダイオード1の表面の電極や配線ワイヤーが、発光ダイオード1の出射面側にある場合がある。また、発光ダイオード1は、樹脂やガラス等でパッケージされている場合が多い。このような場合は、テーパロッド11の入射端は、発光ダイオード1に可能な限り間隔を近づけて配置することが望ましい。
テーパロッド11は例えばガラス製であり、発光ダイオード1から入射した光は、テーパロッド11に入射した後、テーパロッド11内部を通過、または全反射しながら、出射端に達する。発光ダイオード1からの光のうち、テーパロッド11への入射角度が小さい光は、出射端に達するまでの反射回数は少なくなる。一方、テーパロッド11への入射角度の大きな光は、反射回数が多くなる。
このため、テーパロッド11の出射端に到達する光は、反射回数の異なる光が重畳された状態となる。このことにより、テーパロッド11の出射端は、入射端よりも均一性が向上することになる。テーパロッド11が長くなるほど、大きな角度で入射した光の反射回数が大きくなる。この場合は、より多くの反射回数が異なる光が重畳されるため、出射端での均一性が増すことになる。一方、テーパロッド11を長くすると、テーパロッド11のコストが高くなり、保持等で折れるなどの可能性もある。
本実施の形態は、テーパロッド11に加え、被照明面において分割光束を重畳する光学手段であるレンズアレイ33を用いている。このことにより、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の開口形状を最適設計することができ、光の利用効率を高めることができる。
さらに、テーパロッド11を短くしコストを抑え破損等も防止するとともに、短いテーパロッド11による光の均一性の不足分を、レンズアレイ33により補い、被照明面では高い均一性を確保するようにしている。
すなわち、本実施の形態によれば、従来の長いテーパロッドのみを用いた場合や、レンズアレイだけの場合よりも、光の利用効率を高めつつ十分な均一性を得ることができる。以下、具体的に説明する。
まず、従来の長いテーパロッドのみによる照明装置では、テーパロッドの出射端は被照明面と共役の関係である。このため、テーパロッドの出射端の形状と、被照明面の形状とは相似形である必要がある。さらに、テーパロッドの入射端と出射端とが相似形である場合、テーパロッド内での縦方向と横方向の反射回数が等しくなるため、出射光束の外形が、ほぼ円形となり、後の光学系との整合が良く、高い効率が得られる。
つまり、テーパロッド以降の光学系において、効率の良い照明システムを構成するには、発光ダイオードの形状に関わらず、テーパロッドの出射端および入射端の形状は、被照明面の形状と相似形にすることが重要となる。しかしながら、発光ダイオードの形状と被照明面の形状とが大きく異なる場合、被照明面の形状と、テーパロッドの出射端及び出射端の形状とを相似形にすると、発光ダイオードから出射した光の形状は、テーパロッドの入射端の形状と大きく異なることになる。
すなわち、この構成は、発光ダイオードから出射する光の形状と、テーパロッドの入射端の形状との関係については、光損失を発生し光の利用効率を低下させる関係になっていることになる。このように、長いテーパロッドだけでは、発光ダイオードの形状と被照明面の形状とが大きく異なる場合、高い光の利用効率が得られないことがある。
本実施の形態に係る照明装置によれば、発光ダイオード1の形状と被照明面51の形状とが大きく異なる場合であっても、高い光の利用効率が得られることになる。これは、本実施の形態では、テーパロッド11の出射端の形状を被照明面51の相似形にする必要がなく、テーパロッド11の入射端及び出射端の形状は、発光ダイオード1からできるだけ多くの光を、より効率よく集光される最適な形状とすることができるためである。
このことについて具体的に説明する。本実施の形態では、テーパロッド11の出射端と被照明面51とが共役関係にはなっていない。本実施の形態では、レンズアレイ33における光源側に配置された第1レンズアレイ31の個々の第1レンズ31aが、被照明面51と共役関係になっている。また、テーパロッド11の出射端の開口形状は、被照明面51側に配置される第2レンズアレイ32上に形成される光源像とほぼ相似形となる共役関係にある。すなわち、テーパロッド11の出射端の開口形状は、被照明面51の形状に制約されずに、自由に設計することが可能になる。
このため、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の入射端の開口形状を決定し、出射端の開口形状を入射端の開口形状と相似形にするといった設計が可能になる。すなわち、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の開口形状を最適設計することができ、光の利用効率を高めることができる。
ここで、レンズアレイ33は、光源側に配置された第1レンズアレイ31を構成する個々の第1レンズ31aにより、第1レンズアレイ31に入射する光束は、分割される。各第1レンズ31aを通過した分割光束は、第2レンズアレイ32内の対応する各第2レンズ32aによって、第1レンズ31aの形状と相似形の照明を被照明面51に重畳させることになる。このことにより、被照明面51を均一に照明することができる。
この場合、第1レンズアレイ31の第1レンズ31aの形状は、被照明面51の形状と相似形にすればよい。したがって、本実施の形態によれば、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の開口形状を最適設計しても、第1レンズ31aの形状は、テーパロッド11の開口形状による制約を受けることはない。このため、テーパロッド11の開口形状の最適設計による光の利用効率を高めることと、レンズアレイ33による照明の均一性を高めることを両立させることができる。
また、第1レンズアレイ31に入射する光束は、できるだけ平行な光線であることが望ましい。このため、テーパロッド11から出射された光の平行度を高めるためのリレーレンズ21が、テーパロッド11と第1レンズアレイ31の間に配置されている。
また、レンズアレイ33を用いた場合、被照明面51側の第2レンズアレイ32は、第1レンズアレイ31の対応する第1レンズ31aから出射された分割光束を、被照明面51に到達させるだけでよい。このため、第2レンズ32aの形状は、被照明面51の形状に、特に制約を受けないため、光学系の絞りの形状や、機構的な構造に合わせて、形状を設計することができる。
なお、光源から出射された光束を100−200分割する一般的なレンズアレイだけの照明装置と同様に均一性を得るためには、光源から出射された光のうち、リレーレンズ等の光学系を通して被照明領域に到達する有効光線の、ロッドインテグレータ内において反射される最大反射回数が5−10回程度、十分な均一性を得るには10回を越える必要である場合が多い。
本実施の形態によれば、レンズアレイ33によっても均一性向上の効果を発揮するので、発光ダイオード1の直後のテーパロッド11は、短くすることができる。具体的には、テーパロッド11の最大反射回数を10回以下であっても、レンズアレイ33による均一性向上の効果があるので、装置全体では反射回数が10回以上のテーパロッド11を用いたのと同様の均一性を得ることも可能になる。したがって、本実施の形態によれば、テーパロッド11の最大反射回数を10回以下と小さくでき、5回以下や3回以下のテーパロッド11とすることも可能になる。
以下、テーパロッド、発光ダイオード、レンズアレイ、リレーレンズ及び集光レンズについて説明を補足するが、これらの補足説明は、以下の各実施の形態においても同様である。
テーパロッド11は、ガラス製の例で説明したが、周辺の空気よりも高い屈折率を持った光学的に透明な物質であればよく、ガラス以外に、アクリル樹脂やその他の材料を用いてもよい。
また、テーパロッド11は、ミラー片4枚で囲んだ中空のロッドインテグレータであっても同様の効果が得られる。この場合は、ロッドインテグレータ内を通過する際に、ロッドインテグレータ側面に入射した光は、全反射ではなく鏡面反射されながら、出射端に達することになる。
また、光源の発光ダイオードは、より大きな光出力を得るために、発光ダイオードの発光部分である半導体チップを複数個、1つのパッケージ内に納めた構成や、1つの半導体チップを1つのパッケージ内に納めたものを複数個並べて配置させた発光ダイオード群であってもよい。
このような構成において、発光する半導体チップの明るさのばらつきや、チップ間またはパッケージ間のすき間などによって、光源の発光面に発光むらが生じる場合があり、個々の半導体チップのばらつきから各発光部から放射される角度による光強度分布が異なってしまう場合がある。
このように、光源を複数の発光部で形成したときに発光むらや光強度分布むらが生じる場合においても、単一発光体内における発光むらや、角度による光強度分布むらと同様に扱えるため、光の利用効率を高めつつ、十分な均一性を得ることができる。
また、光源は発光ダイオードに限るものではなく、レーザ光源、有機EL素子、その他の所定の発光面を有する光源であればよい。
また、被照明面51側に配置される第2レンズアレイ32の各レンズ32aの開口形状は、テーパロッド11の出射端の開口形状と同様に、被照明面51の形状に制約されず、自由に設計することが可能である。
また、テーパロッド11とレンズアレイ33との間に、リレーレンズ21を配置した例で説明した。リレーレンズ21は、前記の通り発光ダイオード1から出射され、第1レンズアレイ31に入射する光束の平行度を高めるために設けられている。このため、リレーレンズ21は、必ずしも配置する必要はなく、配置する場合は2個以上のレンズで構成してもよい。
また、第2レンズアレイ32と被照明面51との間に集光レンズ41を配置した例で説明した。集光レンズ41は、前記の通り、第2レンズアレイ32の各レンズ32aから出射された光束を被照明面に集光するために設けられている。このため、第2レンズアレイ32の各レンズ32aを所定の量だけ偏芯させることによっても、同様の効果が得られる。したがって、集光レンズ41は必ずしも必要はなく、配置する場合は2個以上のレンズで構成してもよい。
(実施の形態2)
図2は実施の形態2の第1の例に係る照明装置を示す概略構成図である。実施の形態1との重複部分については、説明を省略し異なる部分について詳しく説明する。本実施の形態では、それぞれ異なる色の光を出射する3つの光源が用いられており、赤色発光ダイオード101と、青色発光ダイオード102と、緑色発光ダイオード103とが用いられている。
各発光ダイオード101−103からレンズアレイ133直前の部分までの光学系を、各発光ダイオード101−103の光学系に用いている。さらに、各色の光束を合成するために、3色合成プリズムを配置している。3色合成プリズムは、色合成プリズムである第1−第3のプリズム161−163と、第1−第2の光学薄膜171−172(ダイクロイックフィルター)とで構成されている。
第1のプリズム161及び第2のプリズム162は、三角プリズムであり、第3のプリズム163は台形プリズムである。第1のプリズム161は、3色合成された光が出射する出射面を有している。第1のプリズム161の、第2のプリズム162との対向面には、緑色の光のスペクトルと赤色の光のスペクトルとの間にカットオフ波長を有する第1の光学薄膜171(ダイクロイックフィルター)が形成されている。第1の光学薄膜171と第2のプリズム162との間には空気層(図示せず)が介在している。
また、第2のプリズム162の、第3のプリズム163との対向面には、青色の光のスペクトルと緑色の光のスペクトルとの間にカットオフ波長を有する第2の光学薄膜172(ダイクロイックフィルター)が形成されている。第2の光学薄膜172と第3のプリズム163とは接着されている。
そして、赤色の光と、青色、緑色、赤色の3色の光が3色合成された光とが第1のプリズム161内を伝搬し、青色の光と、青色の光と緑色の光が色合成された光とが第2のプリズム162内を伝搬し、緑色の光のみが第3のプリズム163内を伝搬する。このように、第1−第3のプリズム161−163は、3色合成された光の出射側から緑色発光ダイオード103側に向かって、この順番で配置されている。
図2に示すように、緑色発光ダイオード103から出射された緑色の光は、比較的短いテーパロッド113で集光され、第3のプリズム163内に入射し、第2の光学薄膜172が形成されている面に到達する。また、青色発光ダイオード102から出射された青色の光は、比較的短いテーパロッド112で集光され、第2のプリズム162内に入射し、第1の光学薄膜171と第2のプリズム162との間の空気層によって全反射されて、第2の光学薄膜172が形成されている面に到達する。
青色発光ダイオード102から出射された青色の光と緑色発光ダイオード103から出射された緑色の光とが到達する面に形成されている第2の光学薄膜172は、入射する光の入射角依存性によって第2の光学薄膜172のカットオフ波長がシフトしてしまう。
すなわち、光軸から周辺側に離れるにつれて、入射角の変化も大きくなり、光軸上と周辺部とでは、分光特性が異なることになる。例えば、第2の光学薄膜172に入射する光の入射角が10度程度ばらつくと、第2の光学薄膜172のカットオフ波長のシフト量は約20nm程度になる。
このように、光学薄膜に入射する光線の入射角によって、カットオフ波長がシフトすることによって、光学薄膜を透過した光は、色むらを有する光線となってしまう。このことは第1の光学薄膜171でも同様であり、光学薄膜を透過した光は、色むらを有する光線となってしまう。
長いテーパロッドのみによって集光された後、3色合成される従来の図9の構成では、光学薄膜通過時に発生する色むらを有する光が、均一化されることなく、被照明面883にそのまま照射されるため、被照明面883において色むらが発生してしまう。
また、従来の図10の構成は、3色合成系の後にレンズアレイ933が設けられているので、被照明面983における色むらは均一化されるものの、発光ダイオード901−903から出射した光を、効率よく集光することは困難になる。
本実施の形態は、実施の形態1と同様に、テーパロッド111−113の長さを短くしている。さらに、実施の形態1と同様に、発光ダイオード101−103から出射される光を、より高い効率で集光できるように、テーパロッド111−113の入射端及び出射端の形状を最適な形状としている。
本実施の形態では、3色合成プリズムなどの光学薄膜による3色合成を行った後に、レンズアレイ133を設けることにより、光学薄膜171−172の通過時に発生する色むらを有する光がそのまま照明されることを防止している。このことにより、色むらが均一化された照明光束を被照明面に伝搬することが可能となる。
図3は、実施の形態2の第2の例に係る照明装置を示す概略構成図である。図2と同一構成のものは、同一符合を付して説明は省略する。図3の構成は、3色合成プリズムに代えて、ダイクロイックミラー271、272によって、3色の光源からの光合成をする構成である。
ダイクロイックミラー272は、発光ダイオード103から出射される緑色光を透過し、発光ダイオード102から出射される青色光を反射し、緑色光と青色光とを合成する。ダイクロイックミラー271は、ダイクロイックミラー272で合成された緑色光と青色光との合成光を透過し、発光ダイオード101から出射される赤色光を反射して、3色の光を合成する。この第2の例によっても、第1の例と同様の効果が得られる。
以下の表1に、図2に示した構成の実施例に係る光学系と、テーパロッドのみで均一化を図る比較例とのシミュレーション結果を示す。実施例、比較例共に、被照明領域に到達する有効な光線は、テーパロッドにおける最大反射回数は5回である。
表1において、光利用効率は実施例を100%としている。各色毎の画面左右の照度ばらつきは、投写レンズを用いて画像をスクリーン上に投写したときの画面左右の照度ばらつきであり、中央を100%としている。
表1から分かるように、実施例は比較例に比べ、光利用効率が約5%高くなっている。また、画面左右方向の照度ばらつきは、実施例、比較例共に見受けられる。しかしながら、実施例は3色間についてみると、ほぼ同等の均一性があり、左右の偏りが少ない。
他方、比較例は、実施例よりばらつきの幅が小さいものもあるが、逆に大きいものもあり統一性が無い。さらに、中央に対する左右方向の偏りが3色で大きく異なっている。すなわち、比較例では3色重畳時となる白色表示時では、面内の色むらが大きくなることが分かる。
ここで、表1のシミュレーション結果は、実施の形態2の効果を確認するものであるが、実施の形態1と実施の形態2とでは、3色合成の構成を除けば同様の構成を備えている。このため、光利用効率が優れている点、中央に対する左右方向の偏りがみられない点は、実施の形態1の効果でもあるといえる。
以下、3色合成プリズム、光源について説明を補足するが、これらの補足説明は、以下の各実施の形態においても同様である。
3色合成プリズムは、光源の配置や光学薄膜は、前記の例に限るものではなく、3色の光源からの光が合成されるような構成であればよい。
また、光源として、赤色発光ダイオード101、青色発光ダイオード102及び緑色発光ダイオード103を用いているが、3つの異なる色の光を出射する光源は発光ダイオードに限るものではない。例えば、3つの異なる色の光として、白色光から分離した色純度の高い(スペクトル幅の狭い)単色光を用いることもできる。
また、3つの異なる色の光は、青色、緑色、赤色の3色の光だけに限るものではなく、例えば、青みがかった緑色の光、緑色の光、黄みがかった緑色の光等の、スペクトルの近い3色の光を用いることもできる。すなわち、用いる光は、異なる3つのスペクトルを有していればよい。
さらに、3つの異なる色としているが、色合成部分のダイクロイックミラーや色合成プリズムなどの形状や透過・反射分光特性を変更することで、青色、緑色、赤色に加えて、青緑色や、黄色、橙色など、3色以上の光源を用いて、色合成してもよい。
(実施の形態3)
図4は実施の形態3に係る投写型表示装置を示す概略構成図である。図4に示すように、本実施の形態の投写型表示装置は、照明装置100とフィールドレンズ381とからなる光学手段と、照明系と投写系の光を分離するビームスプリッタ382と、照明装置からの照明光を変調して画像を形成する画像表示手段としての画像表示素子383と、画像表示素子383によって変調された光をスクリーン(図示せず)上に投写する投写手段としての投写レンズ384とを備えている。照明装置100には、前記実施の形態2の図2に示した照明装置が用いられており、同一符号を付している。
以下、図4に示した投写型表示装置の動作について説明する。まず、照明装置100により、赤色発光ダイオード101と、青色発光ダイオード102と、緑色発光ダイオード103とから出射された3つの異なる色の光が、テーパロッド111−113によって効率よく集光され、3色合成プリズムに入射する。
この3色合成プリズム内で、合成される各色の光は、同一光軸上の光として出射される。照明装置100から出射された合成光は、ビームスプリッタ382によって反射されて画像表示素子383に照明され、当該画像表示素子によって照明光を変調して画像を形成する。
この場合、照明装置100から出射された各色の光源からの光が、画像表示素子383に均一に照明される。画像表示素子383によって変調された光は、ビームスプリッタ382をそのまま透過し、投写レンズ384によってスクリーン上に投写される。
このとき、3つの異なる色の光を出射する、赤色発光ダイオード101と、青色発光ダイオード102と、緑色発光ダイオード103とを同時に点灯させれば、画像表示素子383は白色光で照明され、各発光ダイオードのみを点灯させれば、画像表示素子383は各単色光で照明される。これにより、画像表示素子383で形成された画像がスクリーン上にフルカラーの映像として映し出される。
本実施の形態の投写型表示装置においては、照明装置100として実施の形態2の図2に示した照明装置が用いられているので、より明るく、しかも明るさむらや色むらの少ない均一な照明がなされた画像をスクリーン上に投写することができる。
なお、照明装置は図2の構成に限るものではなく、例えば、実施の形態1の図1の構成、実施の形態2の図3の構成でもよい。
また、本実施の形態においては、フィールドレンズ381や3色合成プリズムからなる光学手段、及び照明系と投写系の光を分離するビームスプリッタ382を含む構成の投写型表示装置を例に挙げて説明しているが、照明装置によって画像表示素子383が照明されていればよいので、光学手段、ビームスプリッタ等を含まない構成とすることもできる。
このような構成の例として、図1や図3の被照明領域51(151)の部分に、透過型画像表示素子(例えば透過型の液晶)を配置し、その後方(光源とは逆側)に投写レンズを配置した構成が考えられる。
また、本実施の形態においては、画像表示素子383を1つだけ含む構成を例に挙げて説明しているが、3つの画像表示素子を含む構成であってもよい。
(実施の形態4)
図5は、実施の形態4に係る照明装置を示す概略構成図である。図5の構成は、実施の形態1の図1に示した照明装置に対して、レンズアレイ33に代えてロッドインテグレータ431を用いている。図1と同一構成は同一番号を付して説明を省略する。
第2のロッドインテグレータ431は、ガラス製であり、第2のロッドインテグレータ431内の全反射による均一性向上を主な目的としている。実施の形態1の図1の構成のように、第2のインテグレータとしてレンズアレイ33を用いた場合は、均一性を向上するには、第1レンズアレイ31を構成する第1レンズ31aの個数を多くすればよい。この場合、個々のレンズの大きさが極端に小さくなった場合、レンズ成形が困難になることがある。
本実施の形態のように、第2のロッドインテグレータ431を用いた場合、レンズアレイとは異なり、第2のロッドインテグレータ431に入射した光の全反射の回数の差によって、均一性の向上を図ることができる。コストは少し高くなるものの、第2のロッドインテグレータ431の長さを長くするだけで、均一性を向上することが可能になる。
また、断面積に対してロッド長が長い形状、つまり細長い場合は、レンズ系の設計変更だけで、照明システム全体の効率をほとんど低下させることなく、ロッドの断面積を大きくすることができ、保持等で折れるといったリスクにも対応できる。
すなわち、本実施の形態のように、比較的短いテーパ型の第1ロッドインテグレータ11と、第2のロッドインテグレータ431とを共に用いることによっても、効率よく、容易に均一性の向上が可能となる。
以下、第2ロッドインテグレータについて説明を補足するが、これらの補足説明は、以下の実施の形態5においても同様である。
第2ロッドインテグレータ431は、ガラス製に限るものではなく、第1のロッドインテグレータ11と同様に、周辺の空気よりも高い屈折率を持った光学的に透明な物質であればよい。このため、例えばアクリル樹脂やその他の材料を用いてもよい。
さらに、ミラー片4枚で囲んだ中空のロッドインテグレータであってもよい。この場合は、ロッドインテグレータ内を通過する際に、ロッドインテグレータ側面に入射した光は、全反射ではなく鏡面反射されながら、出射端に達することとなるが、同様の効果が得られる。
(実施の形態5)
図6は、実施の形態5に係る照明装置を示す概略構成図である。図6の構成は、実施の形態2の図2に示した照明装置に対して、レンズアレイ133に代えてロッドインテグレータ531を用いている。図2と同一構成は同一番号を付して説明を省略する。
本実施の形態は、図2の構成と同様に、テーパロッド111−113の長さを短くしている。さらに、実施の形態1と同様に、発光ダイオード101−103から出射される光を、より高い効率で集光できるように、テーパロッド111−113の入射端及び出射端の形状を最適な形状としている。
本実施の形態についても、図2の構成と同様の効果が得られる。すなわち、3色合成プリズムなどの光学薄膜による3色合成を行った後に、ロッドインテグレータ531を設けることにより、光学薄膜171−172の通過時に発生する色むらを有する光がそのまま照明されることを防止している。このことにより、色むらが均一化された照明光束を被照明面に伝搬することが可能となる。
なお、3色合成プリズムではなく、図3の構成のように、ダイクロイックミラーなどによって、2色の光が合成される光学フィルターを2個以上用いることで、3色の光源からの光が合成されるような構成であってもよい。
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6に係る投写型表示装置を示す概略構成図である。図7の構成は、照明装置500として、前記実施の形態6の図6に示した照明装置が用いられており、同一符号を付している。また、フィールドレンズ681、ビームスプリッタ682、画像表示素子683、投写レンズ684については、図4と同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施の形態の投写型表示装置においては、照明装置500として実施の形態5の図6に示した照明装置が用いられているので、より明るく、しかも明るさむらや色むらの少ない、より均一な照明がなされた画像をスクリーン上に投写することができる。
なお、本実施の形態においては、照明装置500として実施の形態5の図6に示した照明装置を用いているが、照明装置としては必ずしもこの構成の照明装置に限定されるものではない。例えば、実施の形態4の図5で説明した構成の照明装置などであっても、同様の効果を得ることができる。
(実施の形態7)
図8は、実施の形態7に係る投写型表示装置を示す概略構成図である。図8の構成は、照明装置としては実施の形態1の図1に示した照明装置が、3色の光源に対して、それぞれ1つ用いられている。より具体的には、各照明装置は、赤色発光ダイオード701を備えた照明装置、青色発光ダイオード702を備えた照明装置、緑色発光ダイオード703を備えた照明装置である。各照明装置は、図1と同一構成のものは、同一符号を付している。
各照明装置の被照明面に、画像表示素子751−753と、これらの3つの画像表示素子751−753から出射した光を合成する色合成プリズム763と、投写レンズ773とを備えている。
この構成によれば、照明装置として前記実施の形態1の構成が用いられているので、より明るく、しかも明るさむらの少ない、より均一な照明がなされた画像をスクリーン上に投写することができる。
さらに、各発光ダイオード701−703の発光面内の発光むらや、発光ダイオードから放射される角度による光強度分布が異なる場合であっても、画像表示素子751−753を照明する光束は、各色ともに面内明るさむらが少なく、白色表示時の面内色むらも少なくすることができる。
また、発光ダイオード701−703と、テーパ型ロッドインテグレータ11と、色合成プリズム763の光軸が僅かにずれた場合であっても、画像表示素子751−753を照明する光束は、各色ともに面内明るさむらが少ない。このため、従来の画像表示素子を3つ用いた3板式投写型表示装置で構築されている3つの画像表示素子と色合成プリズムの調整精度があれば、白色表示時の面内色むらも少なくすることができる。
以上のように本発明によれば、光源から放射された光を、より高い効率で集光しつつ、均一性の高い照明ができるので、例えば被照明面に明るさむらの少ない画像が要求されるプロジェクタに有用である。
本発明は、照明装置及びそれを用いた投写型表示装置に関する。
近年、大画面表示が可能な投写型表示装置(プロジェクタ)の光源として、これまでの放電型の水銀ランプよりも長寿命化を実現することのできる発光ダイオードなどの固体光源が注目されている。この投写型表示装置の照明装置には、明るい部屋でも高画質を実現するために、より明るい照明が求められている。
そこで、光源から出射された光を、より効率良く画像表示素子へ伝搬させるために、照明装置の光学系における光損失を少なくする検討が行われている。また、スクリーン上に拡大投影される画像における面内均一性を高めるために、画像表示素子を照明する光束の面内均一化がより重要となっている。
これらの課題に対して、光源から放射される光を効率よく集光し、照明光束の均一化が可能な手法が、例えば特許文献1に提案されている。図9は、特許文献1に記載されている従来の光学系の概略図を示している。
この光学系は、3色の異なる単色光を出射する光源である発光ダイオード801−803の出射端面側に、ガラスやアクリルなど光学的に透明な光学ブロック811−813が配置されている。光学ブロック811−813は、発光ダイオード801−803側の入射端の断面積よりも大きな出射端を持っており、各断面の形状が被照明物の形状と相似形になっている。
この構成では、発光ダイオード801−803から出射した光は、まず光学ブロック811−813内に入射する。その後、色合成プリズム861等で色合成され、コンデンサーレンズ821、881、偏光ビームスプリッタ882を経て、被照明物である光変調素子883を照明する。光変調素子883によって変調された光は、投写手段884によってスクリーン(図示せず)に投写される。
光学ブロック811−813の側面に入射した光は、光学ブロック811−813内の側面で全反射する。これは、光学ブロック811−813が、周辺の空気よりも高い屈折率の物質であるためである。
この場合、光学ブロック811−813への入射角度が小さい光は、光学ブロック811−813の出射端に達するまでに、光学ブロック811−813内での反射回数は少なく、入射角度の大きな光は反射回数が多くなる。
したがって、光学ブロック811−813の出射端に到達する光は、反射回数の異なる光が重畳された状態となる。このため、光学ブロック811−813の出射端は、入射端面時よりも均一性がかなり改善されることとなる。
このように、光束を重畳する現象を発生させる光学要素は、インテグレータと呼ばれている。光学ブロック811−813のような例は、入射端と出射端とで大きさが異なるテーパ形状をしている光学部材であることから、テーパ型ロッドインテグレータと呼ばれている。
このテーパ型ロッドインテグレータ811−813の出射端から出射される均一性の高い光束は、被照明物である光変調素子883との間に配置したレンズ系によって相似形に伝搬されるため、被照明物である光変調素子883を均一に照明することになる。
また、照明光束の均一化が可能な別の手法が、例えば特許文献2に提案されている。図10は、特許文献2に記載されている従来の光学系の概略図を示している。この光学系は、光源である発光ダイオード901−903から出射された光は、まずレンズ911−913によって平行光化される。この平行光化した幅広い光束は、プリズム961−963と光学薄膜971−972とで構成された3色合成プリズムで色合成される。
色合成された光は、複数のレンズが同一面内に配置されたレンズアレイ933と呼ばれる光学素子で分割される。この分割光は、レンズ941、981、偏光ビームスプリッタ982を経て、その分割された1つ1つの光束が、被照明物である光変調素子983上で重畳して光変調素子983を照明することになる。光変調素子983によって変調された光は、投写手段984によってスクリーン(図示せず)に投写される。
なお、均一性を得るために、レンズアレイ933内のレンズ数を100−200個程度とし、光源からの光束を100−200分割することが一般的である。
このとき、光源側に配置されたレンズアレイを第1レンズアレイ931、被照明物側のレンズアレイを第2レンズアレイ932と呼ぶ。第1レンズアレイ931を構成する個々の第1レンズの形状は、前記のテーパ型ロッドインテグレータの出射端と同様に、被照明物の形状と相似形である。第1レンズアレイ931の1つ1つのレンズで分割された光束が、対応する分割数を有する第2レンズアレイ932の第2レンズによって、各々被照明物のところに重畳されながら結像される。このことにより、被照明物である光変調素子983を均一に照明することができる。
このように、インテグレータとして、レンズアレイを用いた構成であっても、被照明物である光変調素子を均一に照明することができる。
特開2000−180962号公報
特開2004−70018号公報
しかしながら、前記のような従来の光学系には、以下のような問題があった。図9に示すような光学系では、発光ダイオード801−803から出射された光が、各々テーパ型ロッドインテグレータ811−813へ入射する。この入射光は、各ロッドインテグレータ811−813内での反射によって、ある程度均一性が改善され、各出射開口から出射する。その後、各色の光源から放射された光束の光軸が一致するように、色合成プリズム861等で色合成され、被照明物である光変調素子883を照明することになる。
その際、1つ1つの発光ダイオード801−803の発光面内の発光むらがある場合や、発光ダイオード801−803から放射される角度による光強度分布が異なる場合がある。
さらに、より大きな光出力を得るために、発光ダイオードの発光部分である半導体チップを複数個、1つのパッケージ内に納めた構成や、1つの半導体チップを1つのパッケージ内に納めたものを複数個並べて配置させた発光ダイオード群を光源として用いる構成がある。
このような構成においても、発光する半導体チップの明るさのばらつきや、チップ間またはパッケージ間のすき間などによって、光源の発光面に発光むらが生じる場合があり、個々の半導体チップのばらつきから各発光部から放射される角度による光強度分布が異なってしまう場合もある。
このとき、各テーパ型ロッドインテグレータ811−813の長さが短いなどの理由で、ロッドインテグレータ811−813内での反射回数の差が少ないと、出射光束の均一化が不十分となる。この場合、光変調素子883を照明する光束は、各色毎に異なる面内明るさむらを持つことになる。
このため、白色表示時のように、3つの光源801−803から放射された光を重畳させる場合、光変調素子883面上で、3つの異なる色の明るさむらの分布が異なり、白色表示時の面内色むらを発生させるという問題があった。
また、前記のような、白色表示時の面内色むらは、発光ダイオード801−803と、テーパ型ロッドインテグレータ811−813と、色合成プリズム861との光軸が僅かにずれた場合であっても発生する。このため、極めて精度の高い光学系の調整および保持装置が必要になり、周辺温度による保持装置の変形にも対応が必要であるといった問題があった。
さらに、このような色むらを発生させないように、テーパ型ロッドインテグレータ811−813の出射端から出射される光束の均一性を高めるには、テーパ型ロッドインテグレータ811−813内の側面で全反射される光線の最大反射回数が多くなるほどよい。
光源から出射された光束を100−200分割する一般的なレンズアレイと同様に均一性を得るためには、ロッドインテグレータ内において反射される最大反射回数が5−10回程度必要であり、十分な均一性を得るには10回を越える必要がある場合が多い。そのため、ロッドインテグレータの光軸方向における光路長が長い、つまり長い光学ブロックが必要となる。
しかしながら、長いテーパ型ロッドインテグレータはコストが高くなり、また、断面積に対して過度に長いと、細長くなり、保持した場合に折れ等の可能性が高くなる。
また、図10に示すような光学系では、発光ダイオード901−903から出射された光を集光するレンズ911−913は、発光ダイオード901−903から出射される光を効率よく取り込んで、その後の光学系へ出射させる必要がある。これと同時に、レンズ911−913から出射される光の平行度を高めて、レンズアレイ933以降の光学系における光損失を少なくする必要がある。
発光ダイオード901−903から出射される光を効率よく集光するには、発光ダイオード901−903とレンズ911−913との間の距離を近づけた方がよい。他方、レンズ911−913から出射される光の平行度を高めるには、発光ダイオード901−903とレンズ911−913との間の距離を離した方がよい。すなわち、平行度を高めることと効率よく集光することとの両立は、困難であった。
以上のように、発光ダイオードのような固体光源から出射される光を所定の被照明面に照明する照明装置において、より高い効率、かつ高い均一性の照明システムを、安価で、保持等で破損する可能性の少ない部品を使用して構成することは困難であった。
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、照明すべき領域において、面内の明るさに関する均一性を高めた状態であっても、光源である固体光源から出射された光束を、より効率よく利用できる照明装置及びそれを用いた投写型表示装置を提供することを目的とする。
前記目的を達するために、本発明の照明装置は、光源と、前記光源からの光が入射する第1のインテグレータと、前記第1のインテグレータから出射された光が入射する第2のインテグレータとを備え、前記光源は、第1の色の光を出射する第1の光源と、第2の色の光を出射する第2の光源と、第3の色の光を出射する第3の光源とで構成され、前記第1のインテグレータは、前記第1の光源からの光が入射する第1光源用第1のインテグレータと、前記第2の光源からの光が入射する第2光源用第1のインテグレータと、前記第3の光源からの光が入射する第3光源用第1のインテグレータとで構成され、さらに、前記第1の色の光と、前記第2の色の光及び前記第3の色の光が色合成された光とを合成する第1の光学薄膜と、前記第2の色の光と、前記第3の色の光とを合成する第2の光学薄膜とを備えており、前記第2のインテグレータに、前記第1の光学薄膜で合成された光が入射することを特徴とする。
次に、本発明の投写型表示装置は、前記照明装置を備えた投写型表示装置であって、前記照明装置からの照明光を変調して画像を形成する画像表示手段と、前記画像表示手段によって変調された光をスクリーン上に投写する投写手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の照明装置、投写型表示装置によれば、光の利用効率を高めつつ十分な均一性を得ることができる。より具体的には、第1のインテグレータに加え、第2のインテグレータを備えたことにより、第1のインテグレータの開口形状を最適設計することができ、光の利用効率を高めることができる。さらに、第1のインテグレータの長さを短くしても、第1のインテグレータによる光の均一性の不足分を、第2のインテグレータにより補い、被照明面では高い均一性を確保することができる。また、色合成の際に発生する色むらを第2のインテグレータで均一化することができる。
また、3色の光源を備えた第2の照明装置、第1、第2の投写型表示装置によれば、前記の効果に加えて、色合成の際に発生する色むらを第2のインテグレータで均一化することができる。
前記照明装置においては、前記第1のインテグレータから出射された光を集光するレンズ手段が、前記第1のインテグレータと、前記第2のインテグレータの間に設けられていることが好ましい。この構成によれば、第1のインテグレータから出射し、第2のインテグレータに入射する光束の平行度を高めることができる。
前記第1、第2の照明装置においては、前記第1のインテグレータがロッドインテグレータであることが好ましい。この構成によれば、簡単な構成で光束の均一性を向上させることができる。
また、前記ロッドインテグレータは、入射端より出射端の開口形状が大きいテーパ型ロッドインテグレータであることが好ましい。
また、前記ロッドインテグレータは、前記光源から出射された光のうち、被照明領域に到達する有効な光線が、前記第1のインテグレータ内において反射される最大反射回数が10回以下であることが好ましい。この構成によれば、ロッドインテグレータの長さを短くでき、コストを抑えつつ保持等による破損を防止できる。
また、前記第2のインテグレータは、レンズアレイであることが好ましい。
また、前記第2のインテグレータは、ロッドインテグレータであることが好ましい。
また、前記第2のインテグレータは、前記光源側に配置された第1レンズアレイと、被照明物側に配置された第2レンズアレイとで構成されたレンズズアレイであり、前記第1のインテグレータの出射開口形状と、前記第2レンズアレイ上に形成される光源像とが相似形であることが好ましい。
また、前記光源は、複数個の発光部により形成されているものでもよい。この構成によれば、より大きな光出力を得ることができ、かつ光の利用効率を高めつつ、十分な均一性を得ることができる。
また、前記投写型表示装置においては、前記光源は、第1の色の光を出射する第1の光源と、第2の色の光を出射する第2の光源と、第3の色の光を出射する第3の光源とで構成され、前記第1のインテグレータは、前記第1の光源からの光が入射する第1光源用第1のインテグレータと、前記第2の光源からの光が入射する第2光源用第1のインテグレータと、前記第3の光源からの光が入射する第3光源用第1のインテグレータとで構成され、前記第2のインテグレータは、前記第1光源用第1のインテグレータから出射された光が入射する第1光源用第2のインテグレータと、前記第2光源用第1のインテグレータから出射された光が入射する第2光源用第2のインテグレータと、前記第3光源用第1のインテグレータから出射された光が入射する第3光源用第2のインテグレータとで構成され、前記画像表示手段は、前記第1光源用第2のインテグレータからの照明光を変調して画像を形成する第1光源用画像表示手段と、前記第2光源用第2のインテグレータからの照明光を変調して画像を形成する第2光源用画像表示手段と、前記第3光源用第2のインテグレータからの照明光を変調して画像を形成する第3光源用画像表示手段とで構成され、前記第1光源用画像表示手段によって変調された光と、前記第2光源用画像表示手段によって変調された光と、前記第3光源用画像表示手段によって変調された光とを合成する色合成プリズムをさらに備え、前記投写手段は、前記色合成プリズムから出射された光をスクリーン上に投写することが好ましい。この構成によれば、色合成の際に発生する色むらを第2のインテグレータで均一化することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る照明装置を示す概略構成図である。発光ダイオード1は所定の発光面を有する光源である。発光ダイオード1から出射される光が入射する位置に、第1のインテグレータであるテーパ型ロッドインテグレータ(以下、「テーパロッド」という。)11が配置されている。
テーパロッド11から第2のインテグレータであるレンズアレイ33までの間に、レンズ手段であるリレーレンズ21が配置されている。レンズアレイ33から出射された光は、集光レンズ41で集光され被照明面51を照明する。
発光ダイオード1から出射される光線の角度は、0−90度である。発光ダイオード1に、テーパロッド11の入射端を近づけるほど、多くの光をテーパロッド11に取り込むことができる。このため、テーパロッド11の入射端は、発光ダイオード1に近接または光学的に透過率が高い接着剤等を介して接着することが望ましい。
しかしながら、発光ダイオード1の表面の電極や配線ワイヤーが、発光ダイオード1の出射面側にある場合がある。また、発光ダイオード1は、樹脂やガラス等でパッケージされている場合が多い。このような場合は、テーパロッド11の入射端は、発光ダイオード1に可能な限り間隔を近づけて配置することが望ましい。
テーパロッド11は例えばガラス製であり、発光ダイオード1から入射した光は、テーパロッド11に入射した後、テーパロッド11内部を通過、または全反射しながら、出射端に達する。発光ダイオード1からの光のうち、テーパロッド11への入射角度が小さい光は、出射端に達するまでの反射回数は少なくなる。一方、テーパロッド11への入射角度の大きな光は、反射回数が多くなる。
このため、テーパロッド11の出射端に到達する光は、反射回数の異なる光が重畳された状態となる。このことにより、テーパロッド11の出射端は、入射端よりも均一性が向上することになる。テーパロッド11が長くなるほど、大きな角度で入射した光の反射回数が大きくなる。この場合は、より多くの反射回数が異なる光が重畳されるため、出射端での均一性が増すことになる。一方、テーパロッド11を長くすると、テーパロッド11のコストが高くなり、保持等で折れるなどの可能性もある。
本実施の形態は、テーパロッド11に加え、被照明面において分割光束を重畳する光学手段であるレンズアレイ33を用いている。このことにより、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の開口形状を最適設計することができ、光の利用効率を高めることができる。
さらに、テーパロッド11を短くしコストを抑え破損等も防止するとともに、短いテーパロッド11による光の均一性の不足分を、レンズアレイ33により補い、被照明面では高い均一性を確保するようにしている。
すなわち、本実施の形態によれば、従来の長いテーパロッドのみを用いた場合や、レンズアレイだけの場合よりも、光の利用効率を高めつつ十分な均一性を得ることができる。以下、具体的に説明する。
まず、従来の長いテーパロッドのみによる照明装置では、テーパロッドの出射端は被照明面と共役の関係である。このため、テーパロッドの出射端の形状と、被照明面の形状とは相似形である必要がある。さらに、テーパロッドの入射端と出射端とが相似形である場合、テーパロッド内での縦方向と横方向の反射回数が等しくなるため、出射光束の外形が、ほぼ円形となり、後の光学系との整合が良く、高い効率が得られる。
つまり、テーパロッド以降の光学系において、効率の良い照明システムを構成するには、発光ダイオードの形状に関わらず、テーパロッドの出射端および入射端の形状は、被照明面の形状と相似形にすることが重要となる。しかしながら、発光ダイオードの形状と被照明面の形状とが大きく異なる場合、被照明面の形状と、テーパロッドの出射端及び出射端の形状とを相似形にすると、発光ダイオードから出射した光の形状は、テーパロッドの入射端の形状と大きく異なることになる。
すなわち、この構成は、発光ダイオードから出射する光の形状と、テーパロッドの入射端の形状との関係については、光損失を発生し光の利用効率を低下させる関係になっていることになる。このように、長いテーパロッドだけでは、発光ダイオードの形状と被照明面の形状とが大きく異なる場合、高い光の利用効率が得られないことがある。
本実施の形態に係る照明装置によれば、発光ダイオード1の形状と被照明面51の形状とが大きく異なる場合であっても、高い光の利用効率が得られることになる。これは、本実施の形態では、テーパロッド11の出射端の形状を被照明面51の相似形にする必要がなく、テーパロッド11の入射端及び出射端の形状は、発光ダイオード1からできるだけ多くの光を、より効率よく集光される最適な形状とすることができるためである。
このことについて具体的に説明する。本実施の形態では、テーパロッド11の出射端と被照明面51とが共役関係にはなっていない。本実施の形態では、レンズアレイ33における光源側に配置された第1レンズアレイ31の個々の第1レンズ31aが、被照明面51と共役関係になっている。また、テーパロッド11の出射端の開口形状は、被照明面51側に配置される第2レンズアレイ32上に形成される光源像とほぼ相似形となる共役関係にある。すなわち、テーパロッド11の出射端の開口形状は、被照明面51の形状に制約されずに、自由に設計することが可能になる。
このため、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の入射端の開口形状を決定し、出射端の開口形状を入射端の開口形状と相似形にするといった設計が可能になる。すなわち、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の開口形状を最適設計することができ、光の利用効率を高めることができる。
ここで、レンズアレイ33は、光源側に配置された第1レンズアレイ31を構成する個々の第1レンズ31aにより、第1レンズアレイ31に入射する光束は、分割される。各第1レンズ31aを通過した分割光束は、第2レンズアレイ32内の対応する各第2レンズ32aによって、第1レンズ31aの形状と相似形の照明を被照明面51に重畳させることになる。このことにより、被照明面51を均一に照明することができる。
この場合、第1レンズアレイ31の第1レンズ31aの形状は、被照明面51の形状と相似形にすればよい。したがって、本実施の形態によれば、発光ダイオード1の形状に合わせて、テーパロッド11の開口形状を最適設計しても、第1レンズ31aの形状は、テーパロッド11の開口形状による制約を受けることはない。このため、テーパロッド11の開口形状の最適設計による光の利用効率を高めることと、レンズアレイ33による照明の均一性を高めることを両立させることができる。
また、第1レンズアレイ31に入射する光束は、できるだけ平行な光線であることが望ましい。このため、テーパロッド11から出射された光の平行度を高めるためのリレーレンズ21が、テーパロッド11と第1レンズアレイ31の間に配置されている。
また、レンズアレイ33を用いた場合、被照明面51側の第2レンズアレイ32は、第1レンズアレイ31の対応する第1レンズ31aから出射された分割光束を、被照明面51に到達させるだけでよい。このため、第2レンズ32aの形状は、被照明面51の形状に、特に制約を受けないため、光学系の絞りの形状や、機構的な構造に合わせて、形状を設計することができる。
なお、光源から出射された光束を100−200分割する一般的なレンズアレイだけの照明装置と同様に均一性を得るためには、光源から出射された光のうち、リレーレンズ等の光学系を通して被照明領域に到達する有効光線の、ロッドインテグレータ内において反射される最大反射回数が5−10回程度、十分な均一性を得るには10回を越える必要である場合が多い。
本実施の形態によれば、レンズアレイ33によっても均一性向上の効果を発揮するので、発光ダイオード1の直後のテーパロッド11は、短くすることができる。具体的には、テーパロッド11の最大反射回数を10回以下であっても、レンズアレイ33による均一性向上の効果があるので、装置全体では反射回数が10回以上のテーパロッド11を用いたのと同様の均一性を得ることも可能になる。したがって、本実施の形態によれば、テーパロッド11の最大反射回数を10回以下と小さくでき、5回以下や3回以下のテーパロッド11とすることも可能になる。
以下、テーパロッド、発光ダイオード、レンズアレイ、リレーレンズ及び集光レンズについて説明を補足するが、これらの補足説明は、以下の各実施の形態においても同様である。
テーパロッド11は、ガラス製の例で説明したが、周辺の空気よりも高い屈折率を持った光学的に透明な物質であればよく、ガラス以外に、アクリル樹脂やその他の材料を用いてもよい。
また、テーパロッド11は、ミラー片4枚で囲んだ中空のロッドインテグレータであっても同様の効果が得られる。この場合は、ロッドインテグレータ内を通過する際に、ロッドインテグレータ側面に入射した光は、全反射ではなく鏡面反射されながら、出射端に達することになる。
また、光源の発光ダイオードは、より大きな光出力を得るために、発光ダイオードの発光部分である半導体チップを複数個、1つのパッケージ内に納めた構成や、1つの半導体チップを1つのパッケージ内に納めたものを複数個並べて配置させた発光ダイオード群であってもよい。
このような構成において、発光する半導体チップの明るさのばらつきや、チップ間またはパッケージ間のすき間などによって、光源の発光面に発光むらが生じる場合があり、個々の半導体チップのばらつきから各発光部から放射される角度による光強度分布が異なってしまう場合がある。
このように、光源を複数の発光部で形成したときに発光むらや光強度分布むらが生じる場合においても、単一発光体内における発光むらや、角度による光強度分布むらと同様に扱えるため、光の利用効率を高めつつ、十分な均一性を得ることができる。
また、光源は発光ダイオードに限るものではなく、レーザ光源、有機EL素子、その他の所定の発光面を有する光源であればよい。
また、被照明面51側に配置される第2レンズアレイ32の各レンズ32aの開口形状は、テーパロッド11の出射端の開口形状と同様に、被照明面51の形状に制約されず、自由に設計することが可能である。
また、テーパロッド11とレンズアレイ33との間に、リレーレンズ21を配置した例で説明した。リレーレンズ21は、前記の通り発光ダイオード1から出射され、第1レンズアレイ31に入射する光束の平行度を高めるために設けられている。このため、リレーレンズ21は、必ずしも配置する必要はなく、配置する場合は2個以上のレンズで構成してもよい。
また、第2レンズアレイ32と被照明面51との間に集光レンズ41を配置した例で説明した。集光レンズ41は、前記の通り、第2レンズアレイ32の各レンズ32aから出射された光束を被照明面に集光するために設けられている。このため、第2レンズアレイ32の各レンズ32aを所定の量だけ偏芯させることによっても、同様の効果が得られる。したがって、集光レンズ41は必ずしも必要はなく、配置する場合は2個以上のレンズで構成してもよい。
(実施の形態2)
図2は実施の形態2の第1の例に係る照明装置を示す概略構成図である。実施の形態1との重複部分については、説明を省略し異なる部分について詳しく説明する。本実施の形態では、それぞれ異なる色の光を出射する3つの光源が用いられており、赤色発光ダイオード101と、青色発光ダイオード102と、緑色発光ダイオード103とが用いられている。
各発光ダイオード101−103からレンズアレイ133直前の部分までの光学系を、各発光ダイオード101−103の光学系に用いている。さらに、各色の光束を合成するために、3色合成プリズムを配置している。3色合成プリズムは、色合成プリズムである第1−第3のプリズム161−163と、第1−第2の光学薄膜171−172(ダイクロイックフィルター)とで構成されている。
第1のプリズム161及び第2のプリズム162は、三角プリズムであり、第3のプリズム163は台形プリズムである。第1のプリズム161は、3色合成された光が出射する出射面を有している。第1のプリズム161の、第2のプリズム162との対向面には、緑色の光のスペクトルと赤色の光のスペクトルとの間にカットオフ波長を有する第1の光学薄膜171(ダイクロイックフィルター)が形成されている。第1の光学薄膜171と第2のプリズム162との間には空気層(図示せず)が介在している。
また、第2のプリズム162の、第3のプリズム163との対向面には、青色の光のスペクトルと緑色の光のスペクトルとの間にカットオフ波長を有する第2の光学薄膜172(ダイクロイックフィルター)が形成されている。第2の光学薄膜172と第3のプリズム163とは接着されている。
そして、赤色の光と、青色、緑色、赤色の3色の光が3色合成された光とが第1のプリズム161内を伝搬し、青色の光と、青色の光と緑色の光が色合成された光とが第2のプリズム162内を伝搬し、緑色の光のみが第3のプリズム163内を伝搬する。このように、第1−第3のプリズム161−163は、3色合成された光の出射側から緑色発光ダイオード103側に向かって、この順番で配置されている。
図2に示すように、緑色発光ダイオード103から出射された緑色の光は、比較的短いテーパロッド113で集光され、第3のプリズム163内に入射し、第2の光学薄膜172が形成されている面に到達する。また、青色発光ダイオード102から出射された青色の光は、比較的短いテーパロッド112で集光され、第2のプリズム162内に入射し、第1の光学薄膜171と第2のプリズム162との間の空気層によって全反射されて、第2の光学薄膜172が形成されている面に到達する。
青色発光ダイオード102から出射された青色の光と緑色発光ダイオード103から出射された緑色の光とが到達する面に形成されている第2の光学薄膜172は、入射する光の入射角依存性によって第2の光学薄膜172のカットオフ波長がシフトしてしまう。
すなわち、光軸から周辺側に離れるにつれて、入射角の変化も大きくなり、光軸上と周辺部とでは、分光特性が異なることになる。例えば、第2の光学薄膜172に入射する光の入射角が10度程度ばらつくと、第2の光学薄膜172のカットオフ波長のシフト量は約20nm程度になる。
このように、光学薄膜に入射する光線の入射角によって、カットオフ波長がシフトすることによって、光学薄膜を透過した光は、色むらを有する光線となってしまう。このことは第1の光学薄膜171でも同様であり、光学薄膜を透過した光は、色むらを有する光線となってしまう。
長いテーパロッドのみによって集光された後、3色合成される従来の図9の構成では、光学薄膜通過時に発生する色むらを有する光が、均一化されることなく、被照明面883にそのまま照射されるため、被照明面883において色むらが発生してしまう。
また、従来の図10の構成は、3色合成系の後にレンズアレイ933が設けられているので、被照明面983における色むらは均一化されるものの、発光ダイオード901−903から出射した光を、効率よく集光することは困難になる。
本実施の形態は、実施の形態1と同様に、テーパロッド111−113の長さを短くしている。さらに、実施の形態1と同様に、発光ダイオード101−103から出射される光を、より高い効率で集光できるように、テーパロッド111−113の入射端及び出射端の形状を最適な形状としている。
本実施の形態では、3色合成プリズムなどの光学薄膜による3色合成を行った後に、レンズアレイ133を設けることにより、光学薄膜171−172の通過時に発生する色むらを有する光がそのまま照明されることを防止している。このことにより、色むらが均一化された照明光束を被照明面に伝搬することが可能となる。
図3は、実施の形態2の第2の例に係る照明装置を示す概略構成図である。図2と同一構成のものは、同一符合を付して説明は省略する。図3の構成は、3色合成プリズムに代えて、ダイクロイックミラー271、272によって、3色の光源からの光合成をする構成である。
ダイクロイックミラー272は、発光ダイオード103から出射される緑色光を透過し、発光ダイオード102から出射される青色光を反射し、緑色光と青色光とを合成する。ダイクロイックミラー271は、ダイクロイックミラー272で合成された緑色光と青色光との合成光を透過し、発光ダイオード101から出射される赤色光を反射して、3色の光を合成する。この第2の例によっても、第1の例と同様の効果が得られる。
以下の表1に、図2に示した構成の実施例に係る光学系と、テーパロッドのみで均一化を図る比較例とのシミュレーション結果を示す。実施例、比較例共に、被照明領域に到達する有効な光線は、テーパロッドにおける最大反射回数は5回である。
表1において、光利用効率は実施例を100%としている。各色毎の画面左右の照度ばらつきは、投写レンズを用いて画像をスクリーン上に投写したときの画面左右の照度ばらつきであり、中央を100%としている。
表1から分かるように、実施例は比較例に比べ、光利用効率が約5%高くなっている。また、画面左右方向の照度ばらつきは、実施例、比較例共に見受けられる。しかしながら、実施例は3色間についてみると、ほぼ同等の均一性があり、左右の偏りが少ない。
他方、比較例は、実施例よりばらつきの幅が小さいものもあるが、逆に大きいものもあり統一性が無い。さらに、中央に対する左右方向の偏りが3色で大きく異なっている。すなわち、比較例では3色重畳時となる白色表示時では、面内の色むらが大きくなることが分かる。
ここで、表1のシミュレーション結果は、実施の形態2の効果を確認するものであるが、実施の形態1と実施の形態2とでは、3色合成の構成を除けば同様の構成を備えている。このため、光利用効率が優れている点、中央に対する左右方向の偏りがみられない点は、実施の形態1の効果でもあるといえる。
以下、3色合成プリズム、光源について説明を補足するが、これらの補足説明は、以下の各実施の形態においても同様である。
3色合成プリズムは、光源の配置や光学薄膜は、前記の例に限るものではなく、3色の光源からの光が合成されるような構成であればよい。
また、光源として、赤色発光ダイオード101、青色発光ダイオード102及び緑色発光ダイオード103を用いているが、3つの異なる色の光を出射する光源は発光ダイオードに限るものではない。例えば、3つの異なる色の光として、白色光から分離した色純度の高い(スペクトル幅の狭い)単色光を用いることもできる。
また、3つの異なる色の光は、青色、緑色、赤色の3色の光だけに限るものではなく、例えば、青みがかった緑色の光、緑色の光、黄みがかった緑色の光等の、スペクトルの近い3色の光を用いることもできる。すなわち、用いる光は、異なる3つのスペクトルを有していればよい。
さらに、3つの異なる色としているが、色合成部分のダイクロイックミラーや色合成プリズムなどの形状や透過・反射分光特性を変更することで、青色、緑色、赤色に加えて、青緑色や、黄色、橙色など、3色以上の光源を用いて、色合成してもよい。
(実施の形態3)
図4は実施の形態3に係る投写型表示装置を示す概略構成図である。図4に示すように、本実施の形態の投写型表示装置は、照明装置100とフィールドレンズ381とからなる光学手段と、照明系と投写系の光を分離するビームスプリッタ382と、照明装置からの照明光を変調して画像を形成する画像表示手段としての画像表示素子383と、画像表示素子383によって変調された光をスクリーン(図示せず)上に投写する投写手段としての投写レンズ384とを備えている。照明装置100には、前記実施の形態2の図2に示した照明装置が用いられており、同一符号を付している。
以下、図4に示した投写型表示装置の動作について説明する。まず、照明装置100により、赤色発光ダイオード101と、青色発光ダイオード102と、緑色発光ダイオード103とから出射された3つの異なる色の光が、テーパロッド111−113によって効率よく集光され、3色合成プリズムに入射する。
この3色合成プリズム内で、合成される各色の光は、同一光軸上の光として出射される。照明装置100から出射された合成光は、ビームスプリッタ382によって反射されて画像表示素子383に照明され、当該画像表示素子によって照明光を変調して画像を形成する。
この場合、照明装置100から出射された各色の光源からの光が、画像表示素子383に均一に照明される。画像表示素子383によって変調された光は、ビームスプリッタ382をそのまま透過し、投写レンズ384によってスクリーン上に投写される。
このとき、3つの異なる色の光を出射する、赤色発光ダイオード101と、青色発光ダイオード102と、緑色発光ダイオード103とを同時に点灯させれば、画像表示素子383は白色光で照明され、各発光ダイオードのみを点灯させれば、画像表示素子383は各単色光で照明される。これにより、画像表示素子383で形成された画像がスクリーン上にフルカラーの映像として映し出される。
本実施の形態の投写型表示装置においては、照明装置100として実施の形態2の図2に示した照明装置が用いられているので、より明るく、しかも明るさむらや色むらの少ない均一な照明がなされた画像をスクリーン上に投写することができる。
なお、照明装置は図2の構成に限るものではなく、例えば、実施の形態1の図1の構成、実施の形態2の図3の構成でもよい。
また、本実施の形態においては、フィールドレンズ381や3色合成プリズムからなる光学手段、及び照明系と投写系の光を分離するビームスプリッタ382を含む構成の投写型表示装置を例に挙げて説明しているが、照明装置によって画像表示素子383が照明されていればよいので、光学手段、ビームスプリッタ等を含まない構成とすることもできる。
このような構成の例として、図1や図3の被照明領域51(151)の部分に、透過型画像表示素子(例えば透過型の液晶)を配置し、その後方(光源とは逆側)に投写レンズを配置した構成が考えられる。
また、本実施の形態においては、画像表示素子383を1つだけ含む構成を例に挙げて説明しているが、3つの画像表示素子を含む構成であってもよい。
(実施の形態4)
図5は、実施の形態4に係る照明装置を示す概略構成図である。図5の構成は、実施の形態1の図1に示した照明装置に対して、レンズアレイ33に代えてロッドインテグレータ431を用いている。図1と同一構成は同一番号を付して説明を省略する。
第2のロッドインテグレータ431は、ガラス製であり、第2のロッドインテグレータ431内の全反射による均一性向上を主な目的としている。実施の形態1の図1の構成のように、第2のインテグレータとしてレンズアレイ33を用いた場合は、均一性を向上するには、第1レンズアレイ31を構成する第1レンズ31aの個数を多くすればよい。この場合、個々のレンズの大きさが極端に小さくなった場合、レンズ成形が困難になることがある。
本実施の形態のように、第2のロッドインテグレータ431を用いた場合、レンズアレイとは異なり、第2のロッドインテグレータ431に入射した光の全反射の回数の差によって、均一性の向上を図ることができる。コストは少し高くなるものの、第2のロッドインテグレータ431の長さを長くするだけで、均一性を向上することが可能になる。
また、断面積に対してロッド長が長い形状、つまり細長い場合は、レンズ系の設計変更だけで、照明システム全体の効率をほとんど低下させることなく、ロッドの断面積を大きくすることができ、保持等で折れるといったリスクにも対応できる。
すなわち、本実施の形態のように、比較的短いテーパ型の第1ロッドインテグレータ11と、第2のロッドインテグレータ431とを共に用いることによっても、効率よく、容易に均一性の向上が可能となる。
以下、第2ロッドインテグレータについて説明を補足するが、これらの補足説明は、以下の実施の形態5においても同様である。
第2ロッドインテグレータ431は、ガラス製に限るものではなく、第1のロッドインテグレータ11と同様に、周辺の空気よりも高い屈折率を持った光学的に透明な物質であればよい。このため、例えばアクリル樹脂やその他の材料を用いてもよい。
さらに、ミラー片4枚で囲んだ中空のロッドインテグレータであってもよい。この場合は、ロッドインテグレータ内を通過する際に、ロッドインテグレータ側面に入射した光は、全反射ではなく鏡面反射されながら、出射端に達することとなるが、同様の効果が得られる。
(実施の形態5)
図6は、実施の形態5に係る照明装置を示す概略構成図である。図6の構成は、実施の形態2の図2に示した照明装置に対して、レンズアレイ133に代えてロッドインテグレータ531を用いている。図2と同一構成は同一番号を付して説明を省略する。
本実施の形態は、図2の構成と同様に、テーパロッド111−113の長さを短くしている。さらに、実施の形態1と同様に、発光ダイオード101−103から出射される光を、より高い効率で集光できるように、テーパロッド111−113の入射端及び出射端の形状を最適な形状としている。
本実施の形態についても、図2の構成と同様の効果が得られる。すなわち、3色合成プリズムなどの光学薄膜による3色合成を行った後に、ロッドインテグレータ531を設けることにより、光学薄膜171−172の通過時に発生する色むらを有する光がそのまま照明されることを防止している。このことにより、色むらが均一化された照明光束を被照明面に伝搬することが可能となる。
なお、3色合成プリズムではなく、図3の構成のように、ダイクロイックミラーなどによって、2色の光が合成される光学フィルターを2個以上用いることで、3色の光源からの光が合成されるような構成であってもよい。
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6に係る投写型表示装置を示す概略構成図である。図7の構成は、照明装置500として、前記実施の形態6の図6に示した照明装置が用いられており、同一符号を付している。また、フィールドレンズ681、ビームスプリッタ682、画像表示素子683、投写レンズ684については、図4と同様の構成であるので、説明を省略する。
本実施の形態の投写型表示装置においては、照明装置500として実施の形態5の図6に示した照明装置が用いられているので、より明るく、しかも明るさむらや色むらの少ない、より均一な照明がなされた画像をスクリーン上に投写することができる。
なお、本実施の形態においては、照明装置500として実施の形態5の図6に示した照明装置を用いているが、照明装置としては必ずしもこの構成の照明装置に限定されるものではない。例えば、実施の形態4の図5で説明した構成の照明装置などであっても、同様の効果を得ることができる。
(実施の形態7)
図8は、実施の形態7に係る投写型表示装置を示す概略構成図である。図8の構成は、照明装置としては実施の形態1の図1に示した照明装置が、3色の光源に対して、それぞれ1つ用いられている。より具体的には、各照明装置は、赤色発光ダイオード701を備えた照明装置、青色発光ダイオード702を備えた照明装置、緑色発光ダイオード703を備えた照明装置である。各照明装置は、図1と同一構成のものは、同一符号を付している。
各照明装置の被照明面に、画像表示素子751−753と、これらの3つの画像表示素子751−753から出射した光を合成する色合成プリズム763と、投写レンズ773とを備えている。
この構成によれば、照明装置として前記実施の形態1の構成が用いられているので、より明るく、しかも明るさむらの少ない、より均一な照明がなされた画像をスクリーン上に投写することができる。
さらに、各発光ダイオード701−703の発光面内の発光むらや、発光ダイオードから放射される角度による光強度分布が異なる場合であっても、画像表示素子751−753を照明する光束は、各色ともに面内明るさむらが少なく、白色表示時の面内色むらも少なくすることができる。
また、発光ダイオード701−703と、テーパ型ロッドインテグレータ11と、色合成プリズム763の光軸が僅かにずれた場合であっても、画像表示素子751−753を照明する光束は、各色ともに面内明るさむらが少ない。このため、従来の画像表示素子を3つ用いた3板式投写型表示装置で構築されている3つの画像表示素子と色合成プリズムの調整精度があれば、白色表示時の面内色むらも少なくすることができる。
以上のように本発明によれば、光源から放射された光を、より高い効率で集光しつつ、均一性の高い照明ができるので、例えば被照明面に明るさむらの少ない画像が要求されるプロジェクタに有用である。
本発明の実施の形態1に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態2の第1の例に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態2の第2の例に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態3に係る投写型表示装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態4に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態5に係る照明装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態6に係る投写型表示装置を示す概略構成図。
本発明の実施の形態7に係る投写型表示装置を示す概略構成図。
従来の照明装置の一例を示す概略構成図。
従来の照明装置の他の一例を示す概略構成図