JPWO2007058286A1 - 基板の洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents

基板の洗浄方法及び洗浄装置 Download PDF

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Abstract

電子基板を洗浄した後の廃液処理にかかる負荷の低い基板の洗浄方法、及び、基板洗浄装置、及び、これらにより得られる基板を提供する。亜酸化窒素(N2O)を含む溶液に酸、及び/又は、塩基を添加した薬液を電子基板に接触させる薬液接触手段と、薬液を接触させた状態の電子基板に紫外光を照射する光源とを有する基板洗浄装置により、電子基板に付着した異物に、薬液を付着させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を酸、及び/又は、塩基、と反応させることにより電子基板から除去することとした。

Description

本発明は、基板の洗浄方法、及び、基板洗浄装置、及び、これらにより得られる基板に関するものである。
近年の電子機器の小型化に伴い、電子機器を構成する各電子素子も微細化が進んでいる。このような電子素子の微細化は、半導体基板などの電子基板上に微細な半導体装置を形成することにより実現されている。
このような半導体装置は、その構造が微細かつ複雑であるため、製造工程中に発生したパーティクル(粒子状異物)や、金属、有機物などの微小な物質やイオンが半導体基板に付着しただけでも、半導体装置の特性が劣化するおそれがある。
そのため従来より、半導体装置の製造工程中には、半導体基板の表面からこれらパーティクル、金属不純物、有機物などを除去するための洗浄工程が複数回設けられていた。
この洗浄工程では、上記したパーティクルなどの異物を溶解除去可能な性質を有する薬液に半導体基板を浸漬した後、純水などにより薬液と異物とを洗い流すようにしていた。
このとき用いる薬液としては、一般に過酸化水素水溶液やオゾン水溶液などの酸化力の強い水溶液と、除去する異物の種類に応じて選択した酸や塩基などとを混合した薬液を用いていた。
そして、洗浄を行う際には、まず過酸化水素やオゾンなどにより異物を酸化させ、その後、酸化させた異物を酸又は塩基により溶解させることにより半導体基板の洗浄を行っていた。(たとえば、特許文献1参照。)
特開平11−243085号公報
ところが、上記従来の基板の洗浄工程では、以下に記載するような問題が生じるおそれがあった。
すなわち、過酸化水素水溶液やオゾン水溶液に酸や塩基などを添加した薬液を用いた場合、過酸化水素やオゾンは人体や環境に対して有害であるため、洗浄後の廃液に対して過酸化水素やオゾンを分解して無害な状態にする廃液処理を行わなければならず、この廃液処理や、そのための設備にかかる費用により基板洗浄に要するコストが増大するおそれがあった。
また、特に薬液にオゾン水溶液を用いた場合には、オゾンの酸化力の強さにより薬液を供給及び排出するための配管や、洗浄装置自体が腐食劣化してしまうため、洗浄設備の定期的な補修や装置交換などを行わなければならず、これによっても基板洗浄要するコストが増大するおそれがあった。
そこで、本発明では、電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸を添加した薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を前記酸と反応させることにより電子基板から除去することとした。
また、前記記載の基板の洗浄方法において、異物は、金属であることを特徴とする。
また、本発明では、電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に塩基を添加した薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を塩基と反応させることにより電子基板から除去することとした。
また、前記記載の基板の洗浄方法において、塩基により電子基板と異物とを共に負に帯電させ、電子基板と異物との間に反発応力を生じさせることを特徴とする。
また、本発明では、電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸及び塩基を添加した薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を酸、及び/又は、塩基と反応させることにより電子基板から除去することとした。
また、前記記載の基板の洗浄方法において、酸化された異物と、薬液中に生じたイオンとを結合させることにより、異物を電子基板から除去することを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板の洗浄方法において、異物を酸化させる際に、電子基板表面に酸化膜を形成することを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板の洗浄方法において、紫外光の光源として、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプを用いることを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板の洗浄方法において、異物と薬液との接触は、電子基板に薬液をスピンコートすることにより行うことを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板の洗浄方法において、電子基板の形状に応じて紫外光の照射方向を変更することを特徴とする。
また、本発明では、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸、及び/又は、塩基を添加した薬液を電子基板に接触させる薬液接触手段と、薬液を接触させた状態の電子基板に紫外光を照射する光源とを有し、電子基板に付着した異物に、薬液を付着させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を酸、及び/又は、塩基と反応させることにより電子基板から除去することを特徴とする基板洗浄装置を提供することとした。
また、本発明では、前記記載の基板洗浄装置において、光源は、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプであることを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板洗浄装置において、薬液接触手段は、電子基板を支持すると共に水平方向に回転させる回転手段と、回転する電子基板に薬液を塗布、又は、噴霧する薬液供給手段とを備えたスピンコード装置により構成したことを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板洗浄装置において、光源は、電子基板への紫外光の照射方向を変更可能に構成したことを特徴とする。
また、本発明では、前記記載の基板の洗浄方法により洗浄した基板を提供することとした。
本発明によれば、以下に記載するような効果を奏する。
すなわち、電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸を添加した薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を酸と反応させることにより電子基板から除去することとしたため、電子基板洗浄後の廃液には、過酸化水素やオゾンといった人体や環境、洗浄設備に対する悪影響を及ぼすような化合物が含まれることがなく、亜酸化窒素は無害なので、廃液処理やそのための設備に要するコストを削減することができる。
また、異物は、金属であることを特徴とするため、人体、環境、洗浄装置への悪影響が低い薬液を用いた洗浄でありながら、電子基板における金属汚染問題を好適に解消することができる。
また、電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に塩基を添加した薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を塩基と反応させることにより電子基板から除去することとしたため、洗浄に用いた薬液の廃液処理にかかるコストを低減しながらも、電子基板に付着した有機物やシリコン、シリコン化合物などの異物を好適に除去することができる。
また、塩基により電子基板と異物とを共に負に帯電させ、電子基板と異物との間に反発応力を生じさせることを特徴とするため、電子基板から異物を容易に分離することができ、さらに、一端剥離した異物が電子基板に再度付着することを防止することができる。
また、電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸及び塩基を添加した薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を酸、及び/又は、塩基と反応させることにより電子基板から除去することとしたため、電子基板に付着した複数種類の異物を同時に除去、洗浄することができる。
また、酸化された異物と、薬液中に生じたイオンとを結合させることにより、異物を電子基板から除去することを特徴とするため、電子基板から分離しにくい異物を容易に電子基板から分離することができる。
また、異物を酸化させる際に、電子基板表面に酸化膜を形成することを特徴とするため、電子基板表面に形成される酸化膜が薬液から電子基板を守る保護膜として機能し、電子基板表面を傷つけることなく異物を電子基板から確実に除去することができる。
また、紫外光の光源として、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプを用いることを特徴とするため、紫外光照射による亜酸化窒素の酸化力を最も高めることができる波長の光を照射することができる。
また、異物と薬液との接触は、電子基板に薬液をスピンコートすることにより行うことを特徴とするため、電子基板表面全体に均等に薬液を接触させることができるので、電子基板上の任意の位置に付着している異物を確実に除去することができ、さらに、スピンコート時に回転する電子基板の遠心力によって、電子基板から分離した異物を好適に電子基板表面から排除することができる。
また、電子基板の形状に応じて紫外光の照射方向を変更することを特徴とするため、表面に凹部が形成された電子基板を洗浄する際に、電子基板の真上方以外の方向から紫外光を照射することにより、凹部以外の電子基板表面を好適に洗浄することができる。
また、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸、及び/又は、塩基を添加した薬液を電子基板に接触させる薬液接触手段と、薬液を接触させた状態の電子基板に紫外光を照射する光源とを有し、電子基板に付着した異物に、薬液を付着させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を酸、及び/又は、塩基と反応させることにより電子基板から除去することを特徴とする基板洗浄装置を提供することとしたため、薬液を供給及び排出するための配管が薬液により劣化することがなく、装置寿命を可及的に延長することができ、さらに、薬液として用いる亜酸化窒素は紫外光を照射しない限り酸化力を発生しないので、廃液処理を簡略化することができ、洗浄装置における廃液処理部を簡易な構造及び低コストにより実現することができる。
また、光源は、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプであることを特徴とするため、亜酸化窒素の酸化力を最も高く引き出すことができる波長の紫外光を薬液に照射することができ、異物除去の効率を高めることができる。
また、薬液接触手段は、電子基板を支持すると共に水平方向に回転させる回転手段と、回転する電子基板に薬液を塗布、又は、噴霧する薬液供給手段とを備えたスピンコード装置により構成したことを特徴とするため、電子基板表面全体に均等に薬液を接触させることができ、電子基板表面の任意の位置に付着している異物を確実に除去することができ、しかも、スピンコート時に回転する電子基板に生じる遠心力によって、電子基板から分離した異物を好適に電子基板から排除することができる。
また、光源は、電子基板への紫外光の照射方向を変更可能に構成したことを特徴とするため、表面に凹部が形成された電子基板を洗浄する際に、電子基板の真上以外の方向から電子基板に対して紫外光を照射することによって、凹部以外の電子基板表面を好適に洗浄することができる。
また、洗浄工程におけるコストを削減できると共に、環境に易しい洗浄工程により製造した基板を提供することができる。
メチレンブルーの酸化分解を行った実験装置の模式図である。 光照射時間とメチレンブルーの吸光度との関係を示すグラフである。 光照射時間とメチレンブルーの吸光度との関係を示すグラフである。 光照射なしでの放置時間とメチレンブルーの吸光度との関係を示すグラフである。 光照射を開始してからの経過時間とメチレンブルーの吸光度との関係を示すグラフである。 紫外線光を照射したときの亜酸化窒素水溶液の吸収スペクトルを示すグラフである。 除去対象に対応する亜酸化窒素水溶液の添加物を示す表である。 基板に付着する異物を示す説明図である。 第1実施形態を示す基板の断面図である。 第1実施形態を示す基板の断面図である。 第1実施形態を示す基板の断面図である。 第2実施形態を示す基板の断面図である。 第2実施形態を示す基板の断面図である。 第2実施形態を示す基板の断面図である。 第3実施形態を示す基板の断面図である。 第3実施形態を示す基板の断面図である。 第3実施形態を示す基板の断面図である。 第3実施形態を示す基板の断面図である。 第3実施形態を示す基板の断面図である。 基板洗浄装置を示す説明図である。 基板洗浄装置を示す説明図である。 KrIエキシマランプの特性を示す説明図 KrIエキシマランプの特性を示す説明図 基板洗浄装置の変形例を示す説明図である。 パーティクル除去に関する実験結果を示す表である。 金属汚染除去に関する実験結果を示す表である。 パーティクルと金属汚染除去に関する実験結果を示す表である。
符号の説明
1 Si基板
1a Si基板
1b Si基板
1c Si基板
2 Al−Cu配線層
2a Al−Cu配線層
3 キャップ層
3a キャップ層
3b キャップ層
4 絶縁膜層
5 レジスト
6 サイドウォールポリマー
7 レジスト硬化層
7a レジスト硬化層
8 アッシング残渣
8a アッシング残渣
9 エッチング残渣
9a エッチング残渣
10 エキシマランプ
10a エキシマランプ
10b エキシマランプ
11 実験装置
12 容器
13 高圧水銀ランプ
14 メチレンブルー水溶液
15 W配線層
16 薬液
16a 薬液
16b 薬液
16c 薬液
16d 薬液
17 ゲート酸化膜
18 ポリシリコン膜
19 タングステンナイトライド膜
20 タングステン膜
21 シリコン窒化膜
22 レジスト
23 ポリメタルゲート
24 サイドウォールポリマー
25 レジスト硬化層
26 エッチング残渣
27 アッシング残渣
28 絶縁膜層
29a 第1エッチングストッパ層
29b 第2エッチングストッパ層
29c 第3エッチングストッパ層
30a 第1低誘電率層
30b 第2低誘電率絶縁層
20c 第3低誘電率絶縁層
31 Cu埋込配線
32a 第1キャップ層
32b 第2キャップ層
33 反射防止膜
34 レジスト
35 サイドウォールポリマー
36 レジスト硬化層
37 アッシング残渣
37a アッシング残渣
38 エッチング残渣
38a エッチング残渣
39 保護膜
40 バリヤー層
41 Cu層
42 金属汚染物
43 スラリー残渣
44 低誘電膜劣化部
90 基板洗浄装置
91 薬液貯留容器
91a 支持体
100 基板洗浄装置
101 テーブル
102 回転軸
103 薬液供給手段
104 容器
105 廃液管
106 廃液バルブ
107 タンク
108 ノズル
109 ランプ支持手段
110 ガイドレール
X Si基板
L KrIエキシマランプ
S 薬液
本発明に係る基板の洗浄方法は、半導体集積回路を形成するための半導体基板、液晶ディスプレイや有機EL(electroluminescence)ディスプレイの表示部を構成するガラス基板、通常の電子回路を形成するためのプリント基板など、電子機器に用いられる電子基板に対して適用できるものであり、電子機器の製造工程において電子基板表面に付着して、電子機器の特性を劣化させるようなパーティクル(粒子状異物)、金属、有機物、自然酸化膜、などといった複数種類の異物を、基板表面に物理的・化学的損傷を与えることなく洗浄・除去ことができるものである。
すなわち、本発明に係る基板の洗浄方法では、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に、基板に付着している異物の種類に応じて選択した酸、及び/又は、塩基を添加した薬液を用意する。
この薬液に含まれている亜酸化窒素は、特定の紫外光を照射したときにだけ酸化力を励起する性質を備えている。
ここで、光触媒の酸化力評価方法として広く知られているメチレンブルーの酸化分解法を用いて、亜酸化窒素水溶液の酸化力について説明する。
メチレンブルーは水溶液の状態で青色を呈し、酸化されることで青色が消失して無色になる。光触媒の酸化力評価ではメチレンブルー(10ppm)水溶液の665nmの吸光度変化を測定するのが一般的である。また、メチレンブルー(10ppm)水溶液の665nmの吸光度が初期の1割程度にまで減少するためには、光触媒では数十分〜数百分程度の時間を要するのが一般的である。
図1は、メチレンブルーの酸化分解を行った実験装置の模式図である。実験装置11は、上方の一面が開放された容器12と、容器12の真上に配置される光源としての高圧水銀ランプ13とを含む。容器12はテフロン(登録商標)加工されている。高圧水銀ランプ13は、少なくとも240nm以下の波長を含む光を発生し、出力は1200Wである。高圧水銀ランプ13は、その光が容器12の全面を照射するように、容器12に近接して配置される。容器12内に、メチレンブルー(10ppm)と亜酸化窒素が溶解しているメチレンブルー水溶液14が充填される。
図2は、実験装置11によるメチレンブルーの酸化分解実験結果を示すグラフであり、亜酸化窒素が約1000ppm溶解している。該グラフは、横軸に光照射時間(分)、縦軸にメチレンブルー水溶液の665nm吸光度を示す。ここである物質に入射された光の強度をIi、そこから出射された光の強度をIoとすると、光の透過率(T)は数式1によって表される。そして、そのときの吸光度は数式2によって表される。
Figure 2007058286
Figure 2007058286
図2のグラフから、1分間の照射時間で約5割程度のメチレンブルーが分解され、3分間の照射時間で約9割程度のメチレンブルーが分解していることが確認された。
図3は、実験装置11において、メチレンブルー(10ppm)とヘリウム(He)(含有量約16ppm)が溶解している水溶液を用いてメチレンブルーの酸化分解実験を行った結果を示した、光照射時間(分)とメチレンブルー水溶液の665nm吸光度の関係を示すグラフである。
ヘリウム(He)は、よく知られた不活性ガスであり、665nmにおいて光を吸収しないことが分かっている。今回は、亜酸化窒素溶解水との比較を行う上で、使用する水中に溶解してしまっている空気成分(N,O,COなど)を追い出すために、水中に強制的にヘリウム(He)を溶解させた。
図3に示したグラフからも明らかなように、亜酸化窒素を溶解している水を使った場合の図2に示した結果とは異なり、1分間の照射時間ではほとんど分解が認められず、3分間の照射時間でもメチレンブルーはあまり分解していないことが確認された。つまり、図2と図3との比較から、亜酸化窒素に対して光を照射することで、メチレンブルーを酸化分解できることが確認された。
図4は、実験装置11において、高圧水銀ランプ13を点灯しない状態で、メチレンブルー水溶液14をただ放置した時間とメチレンブルー水溶液14の665nm吸光度との関係を示すグラフである。メチレンブルー水溶液14にはメチレンブルーと亜酸化窒素が溶解しているが、240nm以下の波長の光を照射しない状態では、60分間放置しても、665nm吸光度は変化しないことが確認された。つまり、図2と図4との比較から、亜酸化窒素に対して光を照射しなければ、メチレンブルーは酸化分解されないことが確認された。
図5は、実験装置11において、高圧水銀ランプ13によってメチレンブルー水溶液14に紫外光の照射を開始した後、0.5分が経過した時点で、メチレンブルー水溶液14への紫外光の照射を停止した状態とし、その時点から更に1分間が経過した時点で再びメチレンブルー水溶液14に紫外光が照射した状態へと戻した場合のメチレンブルー水溶液14の665nm吸光度の変化を示すグラフである。
図5に示したグラフから、紫外光の照射を開始するとともに水溶液中のメチレンブルーが分解するが、紫外光の照射を停止した状態にしてからの1分間にはメチレンブルーの分解も停止した状態となっており、その後、紫外光が照射した状態に戻ると同時にメチレンブルーの分解の始まることが確認された。このことから、紫外光の照射時間を選択することによって、物質の酸化時間を制御することが可能であることが確認された。
以上の実験は、全て24℃付近の室温にて実施したものである。この結果から、紫外光の照射時間を選択することで、物質の酸化時間を制御することが可能なことが確認された。なお、原子状酸素の寿命は極めて短く、また紫外光の照射を停止すると同時に原子状酸素の発生は停止するため、実質的には、紫外光の照射を停止することが酸化を停止することを意味している。
また実験では、亜酸化窒素を解離するための光源として、高圧水銀ランプ13を使用したが、240nm以下の波長の光を発生するものであれば、高圧水銀ランプ13以外の光源を使用することが可能である。ランプ出力として1200Wを用いたが、これ以外の出力で行っても酸化分解は可能である。一般に同一のランプを用いた場合、出力によって酸化分解の速度が影響を受ける。つまり、ランプ出力が小さいと酸化分解の速度は低下し、逆にランプ出力が大きいと酸化分解の速度は上昇する。所望の酸化分解速度に応じて、適宜ランプ出力を選択するようにしてもよい。
図6は、実験装置11を用い、紫外線光を照射したときの亜酸化窒素水溶液(亜酸化窒素含有量約1000ppm)の吸収スペクトルを示したものである。容器12内にメチレンブルーは入っていない。横軸は、測定範囲200〜340nmの波長帯域を示し、縦軸は吸光度を示している。曲線C1〜C3は亜酸化窒素(NO)の吸光度を示し、C3が3分間照射、C2が1分間照射、C1が照射なしを示している。グラフからも明らかなように、240nm以上の波長の光では、吸光度がゼロであり、光が全く吸収されていない。言い換えれば、光エネルギーの照射による亜酸化窒素の解離が行われないことがわかる。
表1は、図6に示した波長205nmにおける吸光度から求めた亜酸化窒素の濃度変化を示すものである。なお、照射時間がゼロの濃度を飽和濃度(水温25℃での値)として、各々の吸光度の相対値を掛け算にて算出したものである。3分間の照射により亜酸化窒素の濃度がかなり減少しているのがわかる。
Figure 2007058286
また、図6に示した実験結果から、実質的にオゾン(O3)の副生物の検出はされなかった。すなわち、オゾンの最大波長(λmax)は260nmであるが、そこでの吸光度は検出限界以下であった。
そして、このような性質を持つ亜酸化窒素を含んだ薬液を電子基板に塗布、又は、噴霧、又は、薬液中に電子基板を浸漬することによって、電子基板に付着している異物に薬液を接触させると共に、薬液に紫外光を照射することによって薬液中の亜酸化窒素に酸化力を励起させ、この酸化力により異物を酸化する。
その後、酸化させた異物を、薬液中の酸や酸が電離して生じたイオン、又は、塩基や塩基が電離して生じたイオン、又は、酸と塩基との中和により生じた塩が電離して生じたイオンと反応させることにより、異物の一部若しくは全部を溶解させて電子基板から分離・除去するようにしている。
このとき、上記したイオンと異物とを反応させる場合には、異物とイオンとが結合することにより電子基板から異物が分離される。
このように、本発明の基板の洗浄方法では、特定波長の紫外光を照射しなければ酸化力を発揮しない亜酸化窒素を酸化剤として用いるようにしたため、電子基板を洗浄した後に紫外光の照射を停止すれば、亜酸化窒素は酸化力を失い、人体や環境、洗浄設備に対して無害な状態となる。
これにより、酸化剤として過酸化水素やオゾンを使用していた従来のように、電子基板の洗浄を行った後の薬液に対して、過酸化水素やオゾンを分解して無害な状態にするための廃液処理が不要となり、廃液処理に要するコストや廃液処理を行うための処理装置に要するコストを削減することができるので、基板洗浄工程を比較的低コストにて実現することができる。
また、亜酸化窒素は、水に溶解した状態で比較的安定な状態を保つ性質を備えているため、従来酸化剤として使用されていたオゾンのように、比較的短時間で分解し酸化力が低下することがなく、容易に長期間保管しておくことができる。
また、上記のように紫外光を照射しなければ酸化力を生じないので、オゾンを酸化剤として使用していた従来の薬液のように、薬液を電子基板に供給するための配管や、洗浄後の薬液を排出するための配管を劣化させることがない。
そのため、配管を定期的に交換する必要もなく、基板洗浄装置の耐用年数を可及的に延長することができる。
また、この基板の洗浄方法では、酸を添加した薬液を用いる場合の除去対象となる異物は、金属からなるパーティクルや、電子基板に付着した金属汚染物としており、異物を構成する金属の種類に応じて、塩酸、フッ酸、硝酸、硫酸などの複数種類の酸から適宜選択して添加するようにしている。
これにより、パーティクルや金属汚染物を上記した酸により溶解(分解)して効果的に電子基板から分離することができる。
また、酸と同様に、薬液に添加する塩基の種類に関しても、除去対象となる異物の種類に応じて適宜選択するようにしており、これら、酸や塩基の選択に関しては、図7の表に示すように、除去対象がパーティクルと有機物である場合にはアンモニアを添加し、除去対象が金属汚染物である場合には塩酸を添加し、除去対象が有機汚染物と金属汚染物である場合には硫酸を添加し、除去対象が自然酸化膜と金属汚染物である場合にはフッ酸を添加し、除去対象が酸化膜である場合にはフッ酸とフッ化アンモニウムとを添加するようにしている。
なお、図7におけるパーティクルとは、金属、有機物、電子基板の構成部材、酸化物など複数種類のものがあり、その形状が粒形状の異物を示し、汚染物とはイオンレベルの異物を示している。
また、亜酸化窒素を含んだ水溶液に塩基を添加した薬液を用いて電子基板の洗浄を行う場合には、薬液が塩基性水溶液であることに由来して、電子基板の表面と異物の表面における界面動電位(ゼータ電位)の値が、共に比較的大きな負の値となる。
すなわち、電子基板と異物とが共に負に帯電することとなり、電子基板と異物との間に反発力が生じ、この反発力の作用によって異物は電子基板から分離しやすい状態になり、しかも、一旦電子基板から分離した異物は電子基板に再付着しにくい状態となるのである。
また、この基板の洗浄方法では、亜酸化窒素に紫外光を照射して異物を酸化させる際に、同時に電子基板を酸化させることにより電子基板の表面に比較的薄い酸化膜を形成するようにしている。
このように電子基板の表面に酸化膜を形成することによって、薬液中の酸や塩基で異物を溶解する際に、酸や塩基の溶解作用により電子基板の表面が侵食されることを防止することができる。
また、亜酸化窒素に酸化力を励起させるために照射する紫外光の光源としては、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプを用いるようにしている。
このクリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプは、消灯状態から点灯状態への立ち上がり特性、また、点灯状態から消灯状態への立下り特性が良好であり、点灯と消灯を切替えることによって酸化反応を所望のときのみ行うことができる。
また、KrIエキシマランプによって照射される紫外光は、亜酸化窒素によって吸収され易く酸素によって吸収されにくいので、亜酸化窒素の分解能に優れ、酸化反応が効率よく行われるとともに、オゾンの発生が少なく、高効率で洗浄が行われ、またオゾン対策のための装置が必須でなく、洗浄装置の構造が容易化され、洗浄装置の設計上の自由度が高く、洗浄装置が小型で低コストとされる。
また、異物と洗浄用の薬液とを接触させる方法としては、スピンコートにより行うようにしている。
すなわち、電子基板を水平面上で高速に回転させながら、電子基板表面の回転軸近傍に薬液を塗布、又は、噴霧する。そして、回転する電子基板の遠心力を利用して薬液を回転軸の中心側から電子基板の周縁部の方向へ延ばすことにより電子基板表面全体に薬液を接触させるようにしている。
こうすることにより、異物の付着した電子基板表面全体に均等に薬液を伸ばすことができ、洗浄むらの発生を防止することができ、さらに、回転する電子基板の遠心力により電子基板表面から分離した異物が電子基板の周縁部側へ押しやられ、その後、電子基板から完全に除去される。
また、スピンコートにより電子基板の表面に薬液を接触させた後、洗浄が終了するまでの間、電子基板表面へ継続的に薬液の供給を行えば、電子基板へ順次未反応の亜酸化窒素を供給し続けることができるので洗浄効率が向上する。
また、薬液の供給を噴霧により行えば、1回の洗浄に用いる薬液の量を節約することができ、洗浄コストを削減することができる。
また、異物と薬液とを接触させる方法としては、上記したスピンコートに限定するものではなく、薬液を満たした洗浄槽に異物の付着した電子基板を浸漬させることにより行ってもよく、好適には、洗浄槽へ未反応の薬液を順次供給し、反応済みの薬液を洗浄槽から排出するようにする。
このようにして電子基板の洗浄を行う場合には、洗浄に要する薬液の量が増加するが、1度の洗浄により複数枚の電子基板の洗浄を行うことができるので、電子基板1枚に要する洗浄コストに換算すると多大なコスト増にはならない。
以下、半導体装置の製造プロセスにおけるSi(シリコン)基板の洗浄に本発明を適用した場合を例に挙げ、本発明に係る基板の洗浄方法の具体的な実施形態を説明する。
一般に、半導体装置は、Si基板上に様々な半導体や導体、絶縁体などの層を積層し、各層に極めて微細なパターニングを施すことによって製造するものであるため、基板上に微細な埃や汚染物質が付着しただけでも、それが製品の特性を劣化させる原因となり、製品の歩留まりを低下させてしまうおそれがある。
そのため、半導体装置の製造は、通常、クリーンルームと呼ばれる室内の空気から可能な限り埃などの汚染物質を排除するような空調管理がなされた空間で行われる。
しかし、クリーンルームといえども完全に室内への汚染物質の進入を除去することは不可能であり、また、製造プロセス中にクリーンルーム内で発生した汚染物質などを完全に室外へ排出することは不可能であり、除去し切れなかった汚染物質がSi基板に付着することがある。
この製造プロセス中でSi基板に付着する汚染物質は、単一種類の物質ではなく、図8に示すように、Si基板Xに金属や金属イオンなどの金属汚染物質42や、Si基板Xを研磨した際に生じたポリシリコンなどの粒(パーティクル)P、Si基板Xにパターニング処理を施す際に用いるレジスト膜の残渣などによる有機汚染物Zなどがある。
そのため、半導体装置の製造プロセスでは、汚染物質の発生が予想される各製造プロセスの後には、その都度Si基板を洗浄する工程が設けられている。
ここで、半導体装置の製造プロセスにおけるSi基板の洗浄方法の第1〜第3実施形態を説明する。なお、以下の説明では、Si基板上に積層した各種層を含めた電子基板全体を単に基板と称することとする。
(第1実施形態)
第1実施形態では、半導体装置の製造プロセスにおいて、Si基板上に形成した絶縁膜層に所定のパターンエッチングを行うことによりコンタクトホールを形成し、このコンタクトホールにW(タングステン)の配線層を埋め込む工程で基板に付着した異物を洗浄する方法について、図9及び図10に示す基板の断面模式図を参照して説明する。
図9(a)は、Si基板1上にAl(アルミニウム)−Cu(銅)配線層2と、キャップ層3と、絶縁膜層4とが順に積層された状態を示す基板の断面模式図である。
この図9(a)に示す状態の基板の表面に、図9(b)に示すようにレジスト5を積層し、このレジスト5に対してフォトリソグラフィー処理を行うことにより所定のパターニングを施して、図9(c)に示すように、レジスト5の所定位置に開口を形成する。
次に、図9(d)に示すように、レジスト5をマスクとして絶縁膜層4にドライエッチング処理を行うことにより、キャップ層3の表面まで達するコンタクトホールを形成する。
このときのドライエッチングにより、図9(e)に示すように、コンタクトホールの内周面にサイドウォールポリマー6が形成されると共に、レジスト5の表面にレジスト硬化層7が形成される。
次に、レジスト5に対してアッシング(灰化)処理を行うことにより、レジスト5を基板表面(絶縁膜層4の表面)から剥離するが、このとき、図9(f)に示すように、アッシング処理により生じた灰化したレジストの残渣(以下「アッシング残渣8」という。)が基板表面に付着し、コンタクトホールの内周面には、ドライエッチング処理の際に付着したサイドウォールポリマー6がエッチング残渣9として付着した状態となる。
ここで基板に付着したアッシング残渣8やエッチング残渣9は、上記したように半導体装置の特性を劣化させる原因となるので除去する必要があるため、この段階で基板の洗浄を行う。
このとき、図9(g)に示すように、KrI(クリプトン・ヨウ素)エキシマランプ10を用いて基板表面に紫外光を照射した状態で、基板表面全体に洗浄用の薬液をスピンコートすることにより、アッシング残渣8やエッチング残渣9などの異物に薬液16を接触させる。
このときのスピンコートでは、薬液16の温度を室温とし、薬液16の供給量を毎分1リットルとし、Si基板1の回転数を1000rpmとして、60秒間洗浄を行う。
また、ここでは除去対象となる異物が金属汚染と有機物レジスト成分を含んだアッシング残渣8やエッチング残渣9であるため、洗浄用の薬液として、亜酸化窒素溶液に酸であるH2SO4(硫酸)を添加した薬液16を用いるようにしている。
薬液16に照射する紫外光としては、亜酸化窒素の酸化力を高めるために好適な波長191nmの紫外光をKrIエキシマランプにより照射するようにしている。
このとき、紫外光照射によって生じた亜酸化窒素の強力な酸化力によってアッシング残渣8及びエッチング残渣9を酸化させると共に、異物の付着していない部分の基板表面に酸化被膜を形成する。
その後、酸化したアッシング残渣8及びエッチング残渣9が薬液16中の硫酸と反応して溶解し、基板から除去されて図9(h)に示す状態となる。
この状態で、基板を30秒間純水でリンスした後、30秒間窒素ガスでブローすることにより基板を乾燥させる。
次に、図10(i)に示すように、洗浄後のコンタクトホールにW(タングステン)配線層15を形成した後、このW配線層15上に所定形状にパターニングされたキャップ層3aとAl−Cu配線層2aと、キャップ層3bとを形成する。
このようにW配線層15上にAl−Cu配線層2aを形成する場合には、まず、W配線層15を形成した基板の表面全体にキャップ層3aと、Al−Cu配線層2aと、キャップ層3bとを順次所定の厚さで積層し、その後、キャップ層3bの表面にレジスト5aを形成する。
そして、W配線層15の上部にのみレジスト5aが残るように位置合わせをしたパターニング処理を行い、この残したレジスト5aをマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、不要な部分のキャップ層3a、3b、Al−Cu配線層2aを除去することによって、図10(i)に示すようなAl−Cu配線層2aを形成するようにしている。
また、この工程においても、図10(i)に示すように、エッチング処理によるエッチング残渣9aがAl−Cu配線層2aの側面に付着する。なお、図中の符号7aは、エッチング処理により生じたレジスト硬化層である。
ここで、再度アッシング処理によりレジスト5aの除去を行うが、レジスト5aを除去した後には、図10(j)に示すように、エッチング残渣9a及びアッシング残渣8aが基板(Al−Cu配線層2aの側面と、キャップ層3b上面)に付着した状態となるため、ここでも再度基板の洗浄を行う。
このとき、図10(k)に示すように、KrI(クリプトン・ヨウ素)エキシマランプ10を用いて基板表面に紫外光を照射した状態で、基板表面全体に洗浄用の薬液をスピンコートすることにより、アッシング残渣8aやエッチング残渣9aなどの異物に薬液16aを接触させる。
このときのスピンコートでは、薬液16aの温度を室温とし、薬液16aの供給量を毎分1リットルとし、Si基板1の回転数を1000rpmとして、60秒間洗浄を行い、その後、基板を30秒間純水でリンスした後、30秒間窒素ガスでブローすることにより基板を乾燥させる。
また、ここで行う洗浄では、洗浄対象となる異物が図9(f)に示した異物と同様のアッシング残渣8aとエッチング残渣9aであるため、洗浄に用いる薬液16aも図9(f)に示した亜酸化窒素を含んだ溶液に硫酸を添加した薬液を用いるようにしている。
ただし、ここでは、図9(f)で示した洗浄工程とことなり、図10(k)に示すように、基板に対して紫外光を斜め上方から照射することによって、Al−Cu配線層2aの形成位置が多少ずれている場合であっても、W配線層15が薬液16aにより侵食されることを防止するようにしている。
すなわち、上記したように、W配線層15上にAl−Cu配線層2aを形成する場合には、図9(i)に示すように、レジスト5aとW配線層15とを正確に位置合わせする必要があるが、このとき、図11における左側の基板のように、多少の位置合わせずれが生じる場合がある。
この場合、従来のように酸化剤として過酸化水素やオゾンを含んだ薬液を使用して基板の洗浄を行うと、図11における右側の基板のように、W配線層15が侵食されて配線層としての機能を失い製品の歩留まりが低下するといった問題が生じる。
これは、従来の酸化剤が常時酸化力を持っているため、W配線層15と従来の薬液との接触面では酸化反応が継続し、酸化した部分のW配線層15が従来の薬液中の添加剤により溶解されてしまうためである。なお、図11では、説明を簡単にするため、絶縁膜層4よりも下層側の各層については、説明を省略している。
しかし、本実施形態で用いる薬液16aでは、酸化剤として亜酸化窒素を用いており、この亜酸化窒素は特定の紫外光を照射しなければ酸化力を発揮しない。
そのため、図10(k)に示すように、紫外光を基板の斜め上方から照射させることによって、W配線層15の表面は若干酸化溶解されたとしても、溶解された部分のW配線層15の内部までは紫外光が到達しないため、酸化及び溶解反応がそれ以上進行することがなく、W配線層15の過剰な溶解を防止することができ、製品の歩留まり低下を防止することができる。
こうして図10(k)に示すような基板の洗浄を行うことにより、図10(l)に示すような異物のない基板にすることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、半導体装置の製造プロセスにおいて、Si基板上にポリメタルゲート電極を形成する際に、基板に付着した異物を洗浄する方法について、図12及び図14に示す基板の断面模式図を参照して説明する。
図12(a)は、Si基板1a上に、ゲート酸化膜17と、ポリシリコン膜18と、タングステンナイトライド膜19と、タングステン膜20と、シリコン窒化膜21とが順に積層された状態を示す基板の断面模式図である。
この図12(a)に示す状態の基板の表面に、図12(b)に示すようにレジスト22を積層し、このレジスト22に対してフォトリソグラフィー処理を行うことにより所定のパターニングを施して不要な部分のレジスト22を除去することによって、図12(c)に示すように、基板表面(シリコン窒化膜21の表面)の所定位置にのみレジスト22を残す。
次に、この基板上に残したレジスト22をマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、図12(d)に示すように、不要な部分のゲート酸化膜17と、ポリシリコン膜18と、タングステンナイトライド膜19と、タングステン膜20と、シリコン窒化膜21とを除去することにより、ポリメタルゲート23の上部にレジスト22を残した状態の構造を形成する。
このとき行うエッチング処理により、ポリメタルゲート23の側面には、図12(e)に示すように、サイドウォールポリマー24が形成され、レジスト22の表面にはレジスト硬化層25が形成される。
次に、アッシング処理を行うことにより、ポリメタルゲート23の上部に残ったレジスト22を除去する。
このとき、図12(f)に示すように、アッシング処理により生じたアッシング残渣27が基板表面に付着し、ポリメタルゲート23の周面には、ドライエッチング処理の際に付着したサイドウォールポリマー24がエッチング残渣26として付着した状態となる。
ここで基板に付着したアッシング残渣27やエッチング残渣26は、上記したように半導体装置の特性を劣化させる原因となるので除去する必要があるため、この段階で基板の洗浄を行う。
このとき、図13(g)に示すように、KrI(クリプトン・ヨウ素)エキシマランプ10aを用いて基板表面に紫外光を照射した状態で、基板表面全体に洗浄用の薬液16bをスピンコートすることにより、アッシング残渣27やエッチング残渣26などの異物に薬液16bを接触させる。
このときのスピンコートでは、薬液16bの温度を室温とし、薬液16bの供給量を毎分1リットルとし、Si基板1aの回転数を1000rpmとして、60秒間洗浄を行う。
ここでは、除去対象となる異物がパーティクルであるアッシング残渣27やシリコン化合物であるエッチング残渣26であるため、洗浄用の薬液として、亜酸化窒素溶液に塩基であるアンモニアを添加した薬液16bを用いるようにしている。
また、薬液16bに照射する紫外光としては、亜酸化窒素の酸化力を高めるために好適な波長191nmの紫外光をKrIエキシマランプ10aにより照射するようにしている。
このとき、紫外光照射によって生じた亜酸化窒素の強力な酸化力によってアッシング残渣27及びエッチング残渣26を酸化させると共に、異物の付着していない部分の基板表面に酸化被膜を形成する。
その後、酸化したアッシング残渣27及びエッチング残渣26が薬液16b中のアンモニアと反応して溶解し、基板から除去されて図13(h)に示す状態とし、この状態で、基板を30秒間純粋でリンスした後、30秒間窒素ガスでブローすることにより基板を乾燥させてポリメタルゲート23を形成するようにしている。
また、この第2実施形態における基板の洗浄方法では、KrIエキシマランプ10aにより基板へ紫外光を照射する際、図13(g)に示すように、基板に対して紫外光を真上方向から照射することによって、ポリメタルゲート23を構成しているタングステン膜が薬液16bにより侵食されることを防止するようにしている。
すなわち、上記した方法により基板の洗浄を行う場合に、従来のように酸化剤として過酸化水素やオゾンを含んだ薬液を使用して基板の洗浄を行うと、図14に示すように、タングステン膜20が侵食されてポリメタルゲートの抵抗値が増大して低抵抗ゲートとしての機能を失い製品の歩留まりが低下するといった問題が生じる。
これは、従来の酸化剤が常時酸化力を持っているため、タングステン膜20と従来の薬液との接触面では酸化反応が継続し、酸化した部分のタングステン膜20が従来の薬液中の添加剤により縦方向と横方向とで同じ速度で溶解されてしまうためである。
しかし、本実施形態で用いる薬液16bでは、酸化剤として亜酸化窒素を用いており、この亜酸化窒素は特定の紫外光を照射しなければ酸化力を発揮しない。
そのため、紫外光を基板の真上方向から照射させることによって、エッチング残渣26及びアッシング残渣27の溶解速度は縦方向の方が横方向よりも早くなるため、タングステン膜20が横方向に溶解しにくい。
また、たとえばタングステン膜20が多少横方向に溶解されたとしても、そのときには、タングステン膜20の上に形成しているシリコン窒化膜21がタングステン膜20から若干ひさし状にせり出すことになるため、タングステン膜20に接触している部分の薬液16bには紫外光が当たらないため、亜酸化窒素は酸化力を発揮せず、それ以上タングステン膜20が横方向に溶解されることがないので、タングステン膜20の過剰な溶解を防止され、製品の歩留まり低下を防止することができる。
こうして図13(g)に示すような基板の洗浄を行うことにより、図13(h)に示すような異物のない基板にすることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、半導体装置の製造プロセスにおいて、Si基板上にデュアルダマシン法を用いて配線層を形成する際に、基板に付着した異物を洗浄する方法について、図15及び図19に示す基板の断面模式図を参照して説明する。
ここで、デュアルダマシン法とは、基板の下層側に予め形成した埋込配線と、後に基板の上層側に形成する配線層とを接続するためのビアホールと、基板の上層側に配線層を形成するためのトレンチ(溝)とを連結させて形成し、ビアホールとトレンチとの内部に同時に導電部材を充填することによって製造工程数を減少させながら多層配線層を形成することができる方法のことである。
図15(a)は、Si基板1c上に、絶縁膜層28、第1エッチングストッパ層29a、第1低誘電率層30a、第1キャップ層32a、第2エッチングストッパ層29b、第2低誘電率絶縁層30b、第3エッチングストッパ層29c、第3低誘電率絶縁層30c、第2キャップ層32bが順次積層された状態を示す基板の断面模式図であり、第1エッチングストッパ層29aと第2エッチングストッパ層29bとの間の所定位置には、Cu埋込配線31が形成されている。
この図15(a)に示す状態の基板に、図15(b)に示すように反射防止膜33とレジスト34と順次積層し、このレジスト34に対してフォトリソグラフィー処理を行うことにより所定のパターニングを施して不要な部分のレジスト34除去することによって、図15(c)に示すように、レジスト34の所定位置(ビアホール形成位置)に開口を形成する。
次に、図15(d)に示すように、レジスト34をマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、第1エッチングストッパ層29aの表面にまで達するビアホールを形成する。
このときのドライエッチングにより、図15(e)に示すように、ビアホールの内周面にサイドウォールポリマー35が形成されると共に、レジスト34の表面にレジスト硬化層36が形成される。
次に、レジスト34に対してアッシング(灰化)処理を行うことにより、レジスト34を基板表面(反射防止膜33の表面)から剥離するが、このとき、図15(f)に示すように、アッシング処理により生じた灰化したレジストの残渣(以下「アッシング残渣37という。)が基板表面に付着し、ビアホールの内周面には、ドライエッチング処理の際に付着したサイドウォールポリマー35がエッチング残渣38として付着した状態となる。
ここで基板に付着したアッシング残渣37やエッチング残渣38は、上記したように半導体装置の特性を劣化させる原因となるので除去する必要があるため、この段階で基板の洗浄を行う。
このとき、図16(g)に示すように、KrI(クリプトン・ヨウ素)エキシマランプ10bを用いて基板表面に紫外光を照射した状態で、基板表面全体に洗浄用の薬液16cをスピンコートすることにより、アッシング残渣37やエッチング残渣38などの異物に薬液16cを接触させる。
このときのスピンコートでは、薬液16cの温度を室温とし、薬液16cの供給量を毎分1リットルとし、Si基板1cの回転数を1000rpmとして、60秒間洗浄を行う。
ここでは、除去対象となる異物が金属汚染とシリコン化合物を含んだアッシング残渣37やエッチング残渣38であるため、洗浄用の薬液として、亜酸化窒素溶液に酸であるHF(フッ酸)を添加した薬液16cを用いるようにしている。
また、薬液16cに照射する紫外光としては、亜酸化窒素の酸化力を高めるために好適な波長191nmの紫外光をKrIエキシマランプ10bにより照射するようにしている。
そして、特にここでは、図16(g)に示すように、基板に対して紫外光を斜め上方から照射することによって、Cu埋込配線31の表面が薬液16cにより侵食されること、及び、ビアホール内周面における第2、第3低誘電率絶縁層30b、30cが劣化することを防止するようにしている。
すなわち、従来のように酸化剤として過酸化水素やオゾンを含んだ薬液を使用して基板の洗浄を行うと、図14に示すように、Cu埋込配線31が侵食され、後に基板の上層側に形成する配線層との間にコンタクト不良が発生ると共に、ビアホール内周面における第2低誘電率絶縁層30bと第3低誘電率絶縁層30cに低誘電膜劣化部44が形成されて製品の歩留まりが低下してしまう。
これは、従来の酸化剤が常時酸化力を持っているため、Cu埋込配線31及び第2、第3低誘電率絶縁層30b、30cと、従来の薬液との接触面では基板の洗浄中に継続的に酸化反応が起こり、酸化した部分のCu埋込配線31が従来の薬液中の添加剤により溶解され、ビアホール内周面の第2、第3低誘電率絶縁層30b、30cの特性が劣化されてしまうためである。
しかし、本実施形態で用いる薬液16cでは、酸化剤として亜酸化窒素を用いており、この亜酸化窒素は特定の紫外光を照射しなければ酸化力を発揮しない。
そのため、図16(g)に示すように、紫外光を基板の斜め上方から照射させることによって、紫外光がビアホールの内部部まで到達することを防止し、ビアホール底部に形成されているCu埋込配線31の表面における酸化及び溶解反応を抑制すると共に、ビアホールの内周面における第2、第3低誘電率絶縁層30b、30cの特性劣化を抑制して製品の歩留まり低下を防止することができる。
こうして図16(g)に示すような基板の洗浄を行うことにより、酸化したアッシング残渣37及びエッチング残渣38が薬液16c中のHF(フッ酸)と反応して溶解し、基板から除去されて図16(h)に示す状態となる。
この状態で、基板を30秒間純粋でリンスした後、30秒間窒素ガスでブローすることにより基板を乾燥させる。
その後、図16(i)に示すように、Cu埋込配線31の表面を保護する保護膜39を形成した後、この保護膜39及び反射防止膜33を被覆するようにレジスト34aを形成する。
次に、レジスト34aに対してフォトリソグラフィー処理を行うことにより所定のパターニングを施して不要な部分のレジスト34aを除去することによって、図16(j)に示すように、レジスト34aの所定位置(トレンチ形成位置)に開口を形成する。
次に、レジスト34aをマスクとしてドライエッチング処理を行うことにより、第3エッチングストッパ層29cの表面にまで達するトレンチを形成し、その後、レジスト34a及び保護膜39に対してアッシング(灰化)処理を行うことにより、図13(k)に示すようにレジスト34aを基板表面(反射防止膜33の表面)から剥離する。
このとき、図16(k)に示すように、アッシング処理により生じた灰化したレジストの残渣(以下「アッシング残渣37aという。)が基板表面に付着し、トレンチの内周面には、ドライエッチング処理の際に付着したサイドウォールポリマーがエッチング残渣38aとして付着した状態となる。
ここで基板に付着したアッシング残渣37aやエッチング残渣38aは、上記したように半導体装置の特性を劣化させる原因となるので除去する必要があるため、この段階で基板の洗浄を行う。
このとき、図17(l)に示すように、KrI(クリプトン・ヨウ素)エキシマランプ10bを用いて基板表面に紫外光を照射した状態で、基板表面全体に洗浄用の薬液16cをスピンコートすることにより、アッシング残渣37aやエッチング残渣38aなどの異物に薬液16cを接触させる。
このときのスピンコートでは、薬液16cの温度を室温とし、薬液16cの供給量を毎分1リットルとし、Si基板1cの回転数を1000rpmとして、60秒間洗浄を行う。
ここでは、除去対象となる異物が金属汚染とシリコン化合物を含んだアッシング残渣37aやエッチング残渣38aであるため、洗浄用の薬液として、図16(g)にしめす洗浄工程で用いた薬液と同様の薬液16c、すなわち、亜酸化窒素溶液に酸であるHF(フッ酸)を添加した薬液16cを用いるようにしている。
また、薬液16cに照射する紫外光としては、亜酸化窒素の酸化力を高めるために好適な波長191nmの紫外光をKrIエキシマランプ10bにより照射するようにしている。
そして、ここでも基板に対して紫外光を斜め上方から照射することによって、基板表面の異物だけを好適に除去できるようにしている。
このとき、紫外光照射によって生じた亜酸化窒素の強力な酸化力によってアッシング残渣37a及びエッチング残渣38aを酸化させると共に、異物の付着していない部分の基板表面に酸化被膜(図示略)を形成する。
その後、酸化したアッシング残渣37a及びエッチング残渣38aが薬液16c中のフッ酸と反応して溶解し、基板から除去されて図17(m)に示す状態となる。
この状態で、基板を30秒間純粋でリンスした後、30秒間窒素ガスでブローすることにより基板を乾燥させる。
次に、図17(n)に示すように、保護膜39を除去した後に、ビアホール及びトレンチの内周面にバリヤー層40を形成し、その後、バリヤー層40を形成したビアホールとトレンチとに同時にCuを充填することにより、基板上層側の配線層となるCu層41を形成する。
次に、Cu層41の表面に対してCMP(Chemical Mechanical Polishing)を行うことにより、第2キャップ層32bの表面を露出させると共に、Cu層41の表面を平坦化する。
このとき、図17(o)に示すように、基板表面(第2キャップ層32b及びCu層41の表面)には、研磨されたCuの残渣が金属汚染物42として付着すると共に、CMPで用いる研磨剤の残渣(以下「以下、スラリー残渣43」という。)も付着するため、ここでも基板の洗浄を行う。
このとき、図18(p)に示すように、KrI(クリプトン・ヨウ素)エキシマランプ10bを用いて基板表面に紫外光を照射した状態で、基板表面全体に洗浄用の薬液16dをスピンコートすることにより、アッシング残渣37aやエッチング残渣38aなどの異物に薬液16dを接触させる。
このときのスピンコートでは、薬液16dの温度を室温とし、薬液16dの供給量を毎分1リットルとし、Si基板1cの回転数を1000rpmとして、60秒間洗浄を行う。
ここで行う洗浄では、洗浄対象となる異物が図18(o)に示すように、金属汚染物42と、スラリー残渣43であり、このスラリー残渣43もアルミナなどの金属であるため、洗浄に用いる薬液16dとして、亜酸化窒素を含んだ溶液に硫酸を添加した薬液16dを用いるようにしている。
また、薬液16cに照射する紫外光としては、亜酸化窒素の酸化力を高めるために好適な波長191nmの紫外光をKrIエキシマランプ10bにより照射するようにしている。
そして、ここでも基板に対して紫外光を斜め上方から照射することによって、基板表面の異物だけを好適に除去できるようにしている。
このとき、紫外光照射によって生じた亜酸化窒素の強力な酸化力によって金属汚染物42及びスラリー残渣43を酸化させると共に、異物の付着していない部分の基板表面に酸化被膜(図示略)を形成する。
その後、酸化した金属汚染物42及びスラリー残渣43が薬液16d中の硫酸と反応して溶解し、基板から除去されて図18(q)に示す状態となる。
この状態で、基板を30秒間純粋でリンスした後、30秒間窒素ガスでブローすることにより基板を乾燥させる。
このように、本発明に係る基板の洗浄方法によれば、様々な半導体装置の製造プロセスにおける様々な基板洗浄工程に適用することができ、基板表面に付着した異物以外の構成要素の特性劣化を抑制しながら、異物を効果的に除去できる。
しかも、本基板の洗浄方法に用いる薬液は、従来用いていた薬液のように過酸化水素やオゾンといった基板洗浄装置に対する負荷の大きな酸化剤の代わりに、特定波長の紫外光を照射したときのみ酸化力を発生する亜酸化窒素を酸化剤として用いるようにしたため、洗浄装置の寿命を可及的に延長することができる。
さらに、亜酸化窒素は、紫外光を照射していない状態では、人体や自然環境に対して安全な性質であるため、洗浄後の薬液に対して酸化剤の廃液処理を行う必要がなく、これまで廃液処理に要していた費用を削減することができる。
(洗浄装置の説明)
ここで、第1〜第3実施形態における基板の洗浄方法を実現するための本発明に係る基板洗浄装置の一実施形態について図20〜図24を参照して説明する。
ここで、図20は、基板洗浄装置100を示す側面部分断面図であり、図21は、基板洗浄装置100を上方からみた平面図であり、図22及び図23は、KrIエキシマランプの特性を示す説明図であり、図24は、基板洗浄装置の変形例を示す断面模式図である。
図20に示すように、基板洗浄装置100は、半導体基板であるSi基板Xをその上面に保持するテーブル101と、テーブル101とSi基板Xとの間に負圧を発生させてSi基板Xを吸着する図示しない吸着手段と、テーブル101を回転可能に支持する回転軸102と、回転軸102を回転駆動する図示しないモータと、テーブル101に保持されたSi基板Xに所定波長の紫外光を照射する光源として機能するKrIエキシマランプLと、テーブル101上のSi基板Xに、当該Si基板Xを洗浄するための薬液Sを供給する薬液供給手段103と、テーブル101を覆うように配設され薬液供給手段103によってSi基板Xに塗布される薬液Sが外部に飛散することを防止するとともに余剰の薬液Sを貯める容器104と、容器104に貯められた薬液Sを外部に排出する廃液管105と、廃液管105を通じて排出された薬液Sを貯えるのに十分な容量を持っている図示しない廃液貯蔵部と、廃液管105に配設され104内の薬液Sを廃液貯蔵部に排出するか否かを切り換える廃液バルブ106とを有しており、半導体装置の製造プロセス中においてSi基板Xに付着する金属汚染物質、有機物汚染物質、パーティクル、などの様々な異物を洗浄除去するための装置である。
薬液供給手段103は、薬液Sを、Si基板Xを洗浄するのに十分な量貯える薬液貯蔵部としてのタンク107と、タンク107内の薬液Sをテーブル101上のSi基板Xに塗布するノズル108とを有している。なお、タンク107内部を雰囲気よりも高圧に維持しておくと共に、ノズル108を塗布口の径が微小なものに交換すれば、Si基板Xに対して薬液Sを霧状にして噴霧することができ、こうすることによって使用する薬液Sの量を減少させ、基板洗浄に要するコストをさらに低減することができる。また、ノズル108は、Si基板X面と平行に回動自在に設けるようにしている。
また、タンク107には、Si基板Xを洗浄するための薬液Sとして、亜酸化窒素溶液に、除去対象となる異物の種類に応じて選択した酸、及び/又は、塩基を添加した薬液Sを貯蔵するようにしている。なお、ここでは、タンク107を1個だけ設けるようにしているが、複数種類の薬液Sを用いる場合には、複数個のタンク107を設け、各タンク107にそれぞれ異なる薬液Sを貯蔵し、除去する異物に種類に応じて適宜タンク107を選択してSi基板Xに噴霧するようにする。
また、吸着手段はSi基板Xを真空吸着し、テーブル101が回転する際にもSi基板Xがテーブル101に保持されるようになっている。
このように、この基板洗浄装置100では、吸着手段と、モータと、回転軸102と、テーブル101とが、洗浄対象となるSi基板Xを回転させる回転手段として機能し、Si基板Xを1000rpmの回転数で回転させることができるように構成している。
そして、これら回転手段と薬液供給手段103とからなるスピンコート装置は、Si基板Xに薬液Sを接触させる薬液接触手段として機能する。
また、光源として機能するKrIエキシマランプLは、亜酸化窒素の酸化力を非常に高いレベルまで高めることができる191nmの波長の紫外光を照射するものである。
特に、このKrIエキシマランプLは、図17に示す亜酸化窒素水溶液のUV吸収スペクトル(Brit.J.Anaesth.,44,310(1972)より引用)の特徴に基づいて本発明者らが開発したものであり、これを基板洗浄装置100に採用したものである。
図22から分かるように、亜酸化窒素水溶液のUV吸収スペクトルは、190nm付近において吸光度で0.7を超えるピークを示す。なお、図22において、横軸が波長を表し縦軸が吸光度を示す。同図のUV吸収スペクトルは、100%亜酸化窒素により平衡に達した水の吸収スペクトルを表し、参照セルとしてヘリウムにより平衡された水を用いている。
これに対して、従来より広く使用されている低圧水銀ランプの発光波長は185nmを中心とするものであり、185nmの波長での吸光度は、亜酸化窒素水溶液のUV吸収スペクトルのピークである0.7を大きく下回る約0.05となるため、効率が極めて低い。
一方、亜酸化窒素水溶液のUV吸収スペクトルがピークを示す190nm付近を中心とした波長で発光する光源としては、アルゴン−フッ素を用いた誘電体バリア放電ランプいわゆるフッ化アルゴンエキシマランプが知られている。フッ化アルゴンエキシマランプは193nmを中心とした波長で発光する。
一般に、エキシマランプは、立ち上がり、立下りがよいという、本発明にかかる酸化反応に適した特性を有している。
しかしながら、フッ化アルゴンエキシマランプは、石英管が、これに封入されるフッ素によって劣化しやすい。すなわちフッ化アルゴンエキシマランプは、フッ素と石英管との相性が悪く、寿命が短いという問題がある。また、図22から明らかなように、亜酸化窒素水溶液のUV吸収スペクトルはピーク付近で急峻であるため、190nmに近いといえども、193nmの波長では、吸光度がピークの値に比べて大きく低下する。
そこで、本発明者等は、190nmに極めて近い191nmの紫外波長で発光するKrIエキシマランプLを開発し、基板洗浄装置100に採用したものである。KrIエキシマランプLは、固体のヨウ素を気化させて所定量を量り取り石英管に封入する方法により製造したものである。
KrIエキシマランプLの発光波長191nmの亜酸化窒素水溶液の吸光度は、亜酸化窒素水溶液のUV吸収スペクトルのピークにおける吸光度に近い約0.65となるため、効率が良い。したがって、亜酸化窒素の光解離による酸素原子の発生を考えると、たとえば低圧水銀ランプの発光波長185nmにおける吸光度が約0.05であることから、KrIエキシマランプLは低圧水銀ランプに比べると10倍を超える効率で酸素原子を発生させることが可能であって、従来の光源に比べて酸素原子の発生効率が極めて高い。
KrIエキシマランプは、立ち上がり、立下りがよいという、本発明にかかる酸化反応に適した、エキシマランプに一般の特性を有しているうえ、石英管が、封入したヨウ素によって劣化しにくく、ヨウ素と石英管との相性が良いため、寿命が長いという利点がある。
また、KrIエキシマランプLによって発せられる波長191nmの紫外光は、低圧水銀ランプによって発せられる波長185nmの紫外光とほぼ同一の、亜酸化窒素を分解して酸化反応を行うのに十分大きなエネルギーを持つ。
さらに、KrIエキシマランプLは、発光によるオゾンの発生が少ないという優れた特性を持つことも分かった。
図23に、酸素のUV吸収スペクトル(J.Chem.Phys.,21,1206(1953)より引用)を示す。かかるスペクトルにおいて、波長175nm付近から波長200nm付近の領域では、非常に細かな吸収係数の周期的変動が見られる。かかる領域は、シューマンルンゲ帯と呼ばれるものである。
KrIエキシマランプLによって発せられる191nmの波長は、シューマンルンゲ帯中に含まれており、5−0バンドと4−0バンドとの間のいわば谷の部分に相当し、吸収係数が小さい。よって、酸素分子による吸収が少なく、酸素分子の解離、及びそれに引き続くオゾンの発生が少ない。
環境負荷となるオゾンの発生が少ないため、KrIエキシマランプLの取り扱いは容易である。
この点、例えば、低圧水銀ランプによって発せられる紫外光の波長185nmは、シューマンルンゲ帯中の8−0バンド上に位置し、吸収係数が大きい。よって、低圧水銀ランプと亜酸化窒素溶液との間に大気が存在すると、紫外光のエネルギーが酸素分子に吸収されやすく、多量にオゾンが発生するため、オゾン対策のための装置を要し、酸化反応の効率が低く、これを備えた装置の構造の複雑化、設計上の問題、大型化、高価格化を招くこととなる。
これに対し、KrIエキシマランプLには次のような利点がある。
すなわち、KrIエキシマランプLと亜酸化窒素溶液との間に大気が存在しても、KrIエキシマランプLから発せられた紫外光のエネルギーが酸素分子に吸収されにくく、よって紫外光が亜酸化窒素溶液に至るまでに弱まりにくく、高効率で亜酸化窒素を分解できる。また大気による影響が少ないからKrIエキシマランプLの配設位置の自由度が高い。オゾン対策のための処理チャンバー等の密閉装置などの装置を省略または簡略化できる。
よって、基板洗浄装置100の酸化反応の効率が高く、構造が簡単で設計の自由度が高く、小型で低廉なものとすることができる。
また、このKrIエキシマランプLは、テーブル101に対する紫外光の照射角度を任意に変更することができる。
すなわち、この基板洗浄装置100は、KrIエキシマランプLを摺動自在に支持するガイドレール110を備えており、このガイドレール110は、その基端側がテーブル101におけるSi基板Xの載置面と直交する方向に立設された状態で、先端側がSi基板Xの載置面に並行となるように屈曲した形状となっている。
そして、KrIエキシマランプLは、ガイドレール110に摺動自在なランプ支持手段109を介してガイドレール110に取付けられている。
このように構成したことにより、本実施形態の基板洗浄装置100が備えるKrIエキシマランプLは、テーブル101の真上方向からSi基板Xへ紫外光を照射することができる他、テーブル101上のSi基板Xに対して斜め上方から紫外光を照射することができる。なお、紫外光を照射する際のKrIエキシマランプLの位置は、半導体装置の各製造プロセスに応じて、それぞれ好適な位置を予め設定しておくようにする。
このような構成の基板洗浄装置100にあっては、図21に示すように、Si基板Xをテーブル101上に載置して吸着手段を作動させて保持し、ノズル108を薬液Sの吹き付けに適した所定位置まで回転させ、テーブル101を回転させながら薬液Sをノズル108から塗布してSi基板Xに均一に付着させると同時に、KrIエキシマランプLを発光させて紫外光を照射する。Si基板Xにおける薬液Sの付着量は、ノズル108からの薬液Sの噴射量、噴射時間を調整することで調整される。
ここで、KrIエキシマランプLは、Si基板Xの左半分に対して紫外光を照射しているが、Si基板Xは、テーブル101と共に高速で回転しているため、Si基板Xの表面全体に対して均等に紫外光を照射することができる。
また、Si基板Xに対して、斜め上方から紫外光を照射する場合も、少なくとも、S基板の一端縁から回転の中心付近まで紫外光が到達できるようにKrIエキシマランプLの位置を設定しておけば、Si基板の表面全体に対して、斜め上方から紫外光を照射することができる。
そして、紫外光照射領域の薬液S中に溶存している亜酸化窒素が解離して原子状酸素(O)が生成され、この原子状酸素がSi基板に付着した異物を強力に酸化すると共に、この酸化させた異物を薬液Sに添加した酸や塩基と反応させて分解することによってSi基板Xの洗浄が行われる。この洗浄には、異物が分解される場合のみならず、異物が薬液S中の添加物と反応する過程においてSi基板Xからはがれる等して分離されることも含む。
また、Si基板Xに塗布する薬液Sの量は、洗浄の過程で消費される亜酸化窒素の量等に応じて調整するようにしている。
また、異物がすべてSi基板Xから除去されると洗浄が終了し、洗浄されたSi基板Xが得られる。洗浄後、分解される過程においてSi基板Xからはがれた異物の分解カスがSi基板Xに再付着している可能性がある場合等には、かかる分解カスをSi基板Xから完全に除去するなどのために必要に応じてSi基板Xを薬液Sや純水等で洗浄等する。その後、必要に応じてSi基板Xに付着している薬液Sを乾燥したり、エアを吹き付けたりする等して除去する。エアの吹き付けは、分解カスの除去にも有効である。薬液Sの除去は、テーブル101の回転によって行っても良い。
かかる洗浄により、Si基板Xの表面上に付着していた、単に水で洗ったり、布で拭ったりするだけでは洗浄することが困難な金属汚染物や有機汚染物、パーティクルなどといった汚れが完全に分解され、高度な洗浄が行われる。
また、亜酸化窒素は安全であるため、洗浄後に薬液Sに溶存している亜酸化窒素を必ずしも処理する必要はない。
容器104に溜まった薬液Sは、適時、廃液バルブ106を開くことで、廃液管105を通じて廃液貯蔵部に排出される。
ノズル108は、紫外光の照射の妨げにならないように配慮する必要がある場合には、薬液Sの噴霧に必要なときだけ所定位置を占める状態とすることができる。
このように、この基板洗浄装置100では、スピンコートによりSi基板Xに対して継続的に薬液Sを供給しながら、Si基板に接触している薬液Sに紫外光を照射してSi基板Xの洗浄を行うようにしているため、薬液Sが実質的に交換されながら洗浄を行うこととなり、薬液S中の亜酸化窒素の濃度を低くしても、十分な洗浄性能を担保することが可能である。
以上、基板洗浄装置100の一実施形態について説明したが、本発明に係る基板洗浄装置は、これに限定されるものではなく、例えば、図24に示す基板洗浄装置90のように、薬液Sを貯留可能な薬液貯留容器91と、その上方に配設したKrIエキシマランプLとのみより構成することができる。なお、図24中の符号91aは、薬液に浸漬した基板を支持する支持体である。
すなわち、基板洗浄装置は、少なくとも亜酸化窒素溶液に酸、及び/又は、塩基を添加した薬液を基板に接触させる薬液接触手段と、薬液を接触させた状態の基板に紫外光を照射する光源とを備えていれば実現することができ、基板に付着した異物に、薬液を付着させると共に、薬液に紫外光を照射することにより、異物を酸化させ、当該酸化させた異物を薬液に添加した酸、及び/又は、塩基と反応させることにより基板から除去することができる構造であれば、その構造は、任意に変更することができる。
また、本発明による基板洗浄装置における亜酸化窒素ガスの供給、亜酸化窒素の溶解方法、濃度検出、廃液処理は次のようにすることができる。
亜酸化窒素ガスは、高圧容器に充填された液化ガス等の圧縮ガスのガスボンベにより供給可能であり、これを洗浄装置近傍に設置することができる。工場や製造所の大型高圧容器から集中配管を利用して供給することもできる。洗浄装置にカセット式ガスボンベのような小型容器を装着し供給しても良いし、洗浄装置内や洗浄装置近傍又は作業場内に亜酸化窒素生成装置を設け、この生成装置で生成した亜酸化窒素を直接、洗浄装置内のタンクや処理槽に供給しても良い。
また、亜酸化窒素ガスは次のようにして生成することができる。工業的な方法として、(1)酸素あるいは空気を使用して金属酸化物触媒存在下でアンモニアを200℃〜500℃で加熱し生成するアンモニア酸化法、(2)硝酸アンモニウムを熱分解する、もしくは硝酸ソーダを硫酸アンモニウムの混合物を加熱し生成する硝酸アンモニウム分解法、(3)スルファミン酸を二段階以上に分割し供給したり、硫酸を添加しながら、スルファミン酸と硝酸を反応させる方法を、実用的な規模で用いることができる。
また、少量生産の場合は、ガスクロマトグラフィ等に用いられるガラスキャピラリ内にオゾンガスと窒素ガスを通すことにより亜酸化窒素を生成させることができ、少量の亜酸化窒素ガスを効率よく生成するのに適している。
亜酸化窒素ガスを溶媒中へ溶解する方法としては、(1)プラスチック製ないしはセラミック製の多孔材よりなる散気板または散気管を溶媒中に没するように設置し、前述のガスボンベや発生装置などから、この散気板または散気管に亜酸化窒素ガスを供給し、溶媒中にバブリングさせる方法、(2)エジェクターを使用し、加圧された溶媒をエジェクターのノズルより噴出させ、発生した負圧を利用して亜酸化窒素ガスを溶媒中に吸込ませ溶解させるもの、加圧された棚段塔、充填塔、シャワー塔、気泡塔などを用いて亜酸化窒素ガスと溶媒を接触させ溶解させるもの、耐圧容器中で加圧された亜酸化窒素ガスに接した溶媒を攪拌し、溶解させるもの、小型耐圧容器中で加圧された溶媒と亜酸化窒素ガスを高速攪拌混合し、溶解させるもの等のように機械的に混合し、溶解する方法、(3)ポリテトラフルオロエチレンのような疎水性樹脂からなる多孔質膜中空糸にて、樹脂の疎水性と孔の気体透過性を利用して気体を液体に溶解させる、または非多孔質ガス透過膜中空糸にて、樹脂内部にて気体の溶解・拡散機構を利用して樹脂を透過した気体を液体に溶解させることにより、任意の圧力で、気泡を発生させることなく亜酸化窒素ガスを溶媒中に溶解させる中空糸膜を用いた溶解方法等がある。
更にこれらの方法に、超音波や勾配を有する磁場を併用し、亜酸化窒素ガスの溶媒中への溶解量、溶解速度を向上させることができる。
本発明にかかる洗浄装置に必要な亜酸化窒素ガスの濃度や亜酸化窒素含有液の量を考慮すると、亜酸化窒素ガスを無駄なく、効率よく、短時間で溶媒中に溶解する方法として中空糸膜を使用するのが好ましい。
ここで、溶媒中の亜酸化窒素の濃度管理、検知法について説明する。
溶媒中の亜酸化窒素は、前述の所定の方法により亜酸化窒素ガスを溶媒に溶かし込み、その溶かしこみ時間やガスの供給圧力などを管理することで概ね一定の濃度を維持することが可能である。そのため、洗浄装置内に溶媒中の亜酸化窒素濃度を検出し、記録、管理する必要がないという利点がある。
しかし、濃度を厳密に管理する必要が生じた場合、次のように亜酸化窒素濃度の検出、管理等を行うことができる。(1)作用極と対極、必要に応じて再生極の2つ以上の電解電極と、電極間を仕切るイオン交換膜と、ハロゲンイオンを含む電解液を有する電解セルを用い、亜酸化窒素を電解するときに流れる電流、あるいはその時の全クーロン数を測定する電解セルによる電解法、(2)所定波長を有する紫外光を、亜酸化窒素含有溶媒に貯留したセルに照射し、セルを挟んで光源に対向する位置に配置された受光系によって吸光度を測定する分光測定法、(3)JISのK0102に規定されているTN(全窒素)分析法、(4)亜酸化窒素含有溶媒中に不活性ガスを圧送散気させる等して、溶媒内に溶存する亜酸化窒素を気相中へ移動させて、非分散型赤外線吸収法、紫外光吸光高度法や酸素イオン伝導性の固体分解質による電気化学式の測定センサを用いて気相中の亜酸化窒素濃度を測定する方法、などを使用することができる。本発明の基板洗浄装置の溶液を供給する際、あるいは、Si基板を浸漬している容器内の溶液管理に使用することができる。
また、亜酸化窒素の廃液処理に関して説明すると、処理後の溶媒中には、多くとも数百ppm程度の亜酸化窒素が残留するのみであり、処理後のリンス水や他の工程の廃水との混合により、廃液中の亜酸化窒素はきわめて少なくなる。そのために、基本的には、洗浄装置内に亜酸化窒素を分解、除外するための機構を設ける必要がないという利点がある。
また、廃液中の亜酸化窒素以外の成分を処理するために、中和処理、活性汚泥処理、電解処理などを実施する場合には、亜酸化窒素がこれらの処理を阻害することはないことから、廃液中の亜酸化窒素を処理することなく汚泥処理等を実施することが可能である。更に、亜酸化窒素を含有した廃液を他の作業場や廃棄物処理場などに輸送する場合にも、亜酸化窒素は、過酸化水素などの酸化剤のような異常分解を起こすことがないため、廃液中の亜酸化窒素を輸送前に処理する必要はないという利点を有する。
ただし、他の工程との関係や作業場全体の環境管理との関係により、洗浄装置内にて亜酸化窒素を分解し、洗浄装置からの亜酸化窒素の排出量を低減する必要がある場合には、排水中の亜酸化窒素の分解法としては、次のようなものがある。(1)廃水に一定時間紫外光を照射して分解する方法、(2)白金などの貴金属をアノードとして電気分解する方法、(3)触媒存在下での水素ガスとの反応により還元分解する方法、(4)嫌気状態で亜酸化窒素内の酸素を用いて呼吸する微生物を利用して微生物分解、などであり、必要に応じてこれらの方法を洗浄装置に適用することができる。
また、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、亜酸化窒素の溶媒は、上述の水に限るものでなく、紫外光照射によって解離された原子状酸素が生成される機能が損なわれず、生成された原子状酸素を消費しなければ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、アセトニトリル、ヘキサン、ジオキサン、グリセリン、n−ペンタン、ジクロルメタン等の有機溶媒であっても良い。溶媒の種類によって、亜酸化窒素の最大可溶量が異なる。最大可溶量は大きいほうが好ましいため、溶媒の選択にはかかる最大可溶量も考慮される。
また、Si基板に対する亜酸化窒素溶液の付着性向上の観点から、同溶液に粘性を向上させる増粘剤を添加しても良い。増粘剤としては、原子状酸素が生成される機能が損なわれず、生成された原子状酸素を消費しないものが好適である。
なお、洗浄の過程でSi基板からはがれた有機物の分解カスが生じることがあるが、薬液Sは紫外光の照射領域全体で酸化性能を発揮するため、分解カスが薬液S中を漂っても、紫外光の照射領域内であれば分解が進む。一方、Si基板の、有機物を除去したい部位には紫外光が照射されている。そのため、分解カスがかかる部位近くを漂う場合には紫外光が照射されることとなり、紫外光の照射によって分解される。そのため、分解カスがSi基板に再付着することは抑制されている。
また、上記第1〜第3実施形態では、説明を簡単にするため、薬液に添加する酸として、塩酸、硫酸、フッ酸など、塩基としてアンモニアなどを例に挙げて説明したが、実際には洗浄対象となる異物の種類に応じて適宜、少なくとも酸又は塩基の一つ以上を添加する必要がある。
具体的に列挙すると、酸としては、例えば、硫酸、オルトリン酸、縮合リン酸、ポリリン酸、塩酸、ホウ酸、炭酸、フッ化水素酸、硝酸、青酸などの無機酸、もしくは蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸などのカルボン酸類、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,4−トルエンジスルホン酸などのスルホン酸類などの有機酸のいずれかの酸を含む溶液とすることができる。
アルカリとしては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等のアルカリ性塩類、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンなどの無機アルカリ、もしくはモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、イソプロピルアミン、イソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、エチレンジアミン等の第1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、モルホリン、N−モノメチルトルイジン(ピラジン)、ジイソプロパノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1−メチルイミダゾール、N−ジエチルトルイジン、トリイソプロピルアミン、トリイソプロパノールアミン、等の第3級アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド(コリン)、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム水酸化物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミンなどの有機アルカリのいずれかのアルカリを含む溶液とすることができる。
酸やアルカリの溶液は、上述の酸とアルカリからなる塩基を、亜酸化窒素を溶解した溶液に添加した後、同じもしくは異なる酸またはアルカリを添加し、pHを調整することにより、得ることも出来る。
更に基板の表面あれやエッチングの制御、濡れ性向上、油性汚染やパーティクル汚染の除去性向上、金属汚染の低減を目的として、基板表面の汚染レベル、パーティクルや有機物汚染の種類、基板表面に要求される清浄度レベル、コスト、紫外線透過性、紫外線安定性等から総合的に判断し、亜酸化窒素溶液に任意の界面活性剤、錯化剤、有機溶剤等を添加しても良い。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、両性、ノニオン系の界面活性剤が挙げられるが、中でもアニオン系、両性、ノニオン系の界面活性剤が好ましい。特にアニオン系の界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いても良いし、異種の2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。中でもアニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤の組み合わせは汚染洗浄効果の点から好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型など、両性界面活性剤としてはアミノ酸型、ベタイン型など、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型などが挙げられる。
また、アニオン系界面活性剤の中ではスルホン酸型(−SO3−基を有する)、硫酸エステル型(−OSO3−)が好ましい。具体的には−SO3−基または−OSO3−基を少なくとも1つ有する化合物が好ましく、これらは単独で使用しても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ノニオン系界面活性剤の中では、ポリエチレングリコール型としてはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、ポリオキシエチレン・ポリオキシブチレンブロックポリマーなどが挙げられる。多価アルコール型としてはグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの界面活性剤のうち、汚染除去性に優れ、なおかつ、生分解性が優れる点で、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、ポリオキシエチレン・ポリオキシブチレンブロックポリマーなどが用いられる。
また、本発明に用いる亜酸化窒素を溶解させた溶液中の界面活性剤の濃度は、洗浄剤に対して通常0.0001〜0.5重量%、好ましくは0.0003〜0.1重量%である。
また、本発明に用いる亜酸化窒素を溶解させた溶液へ添加する界面活性剤は、塩又は酸、いずれの形態で添加してもよい。塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、第一、第二、もしくは第三アミン塩等を挙げることができる。半導体デバイスやディスプレイデバイス製造工程における基板表面の洗浄においては、金属汚染がトランジスタ性能に悪影響を与えることを考慮すると、使用する界面活性剤においても金属塩を含まない、酸の形態、あるいはアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の形態が好ましい。
錯化剤としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
(1)ドナー原子である窒素とカルボキシル基及び/又はホスホン酸基を有する化合物例えば、グリシン等のアミノ酸類;イミノ2酢酸、ニトリロ3酢酸、エチレンジアミン4酢酸[EDTA]、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン4酢酸[CyDTA]、ジエチレントリアミン5酢酸[DTPA]、トリエチレンテトラミン6酢酸[TTHA]等の含窒素カルボン酸類;エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)[EDTPO]、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)[NTPO]、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)[PDTMP]等の含窒素ホスホン酸類などが挙げられる。
(2)芳香族炭化水素環を有し、且つ該環を構成する炭素原子に直接結合したOH基及び/又はO−基を二つ以上有する化合物例えば、カテコール、レゾルシノール、タイロン等のフェノール類及びその誘導体などが挙げられる。
(3)上記(1)、(2)の構造を併せ持った化合物(3−1)エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸[EDDHA]及びその誘導体例えば、エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸[EDDHA]、エチレンジアミン−N,N’−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)酢酸〕[EDDHMA]、エチレンジアミン−N,N’−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−クロルフェニル)酢酸〕[EDDHCA]、エチレンジアミン−N,N’−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−スルホフェニル)酢酸〕[EDDHSA]などの芳香族含窒素カルボン酸類;エチレンジアミン−N,N’−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスホン酸〕、エチレンジアミン−N,N’−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−ホスホフェニル)ホスホン酸〕などの芳香族含窒素ホスホン酸類が挙げられる。
(3−2)N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸[HBED]及びその誘導体例えば、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸[HBED]、N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸[HMBED]、N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−5−クロルベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸などが挙げられる。
これらの錯化剤は単独、または2種以上を任意の割合で使用してもよい。亜酸化窒素を溶解させた溶液中の錯化剤の濃度は汚染金属不純物の種類と量、基板表面に要求される清浄度レベルによって任意に選択すればよいが、一般的には通常1〜10000重量ppm、中でも5〜1000重量ppm、特に10〜200重量ppmが好ましい。
有機溶剤としては、特に亜酸化窒素を溶解させた溶液が水溶液である場合、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、ホルムアミド、モノメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、モノエチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、アセトアミド、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、モノエチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシスルホン、テトラメチレンスルホン等の硫黄化合物系溶剤が挙げられる。これらの中で好ましくは、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアルド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルが使用される。
上記有機溶剤は、単独でも2種類以上組み合わせても使用できる。上記有機溶剤の濃度は、通常1〜45重量%の濃度で使用されるが、有機溶剤の使用及び濃度については、汚染物の種類と量、配線材料のエッチング抑制の要求されるレベルによって任意に選択すればよい。
また、本発明に用いるアルカリ性洗浄剤においては、更にその他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、有機硫黄含有化合物(2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプトイミダゾリン、2−メルカプトエタノール、チオグリセロール等)、有機窒素含有化合物(ベンゾトリアゾール、3−アミノトリアゾール、N(R)3(Rは炭素数1〜4のアルキル基)、N(ROH)3(Rは炭素数1〜4のアルキル基)、ウレア、チオウレア等)、水溶性ポリマー(ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等)、アルキルアルコール系化合物(ROH(Rは炭素数1〜4のアルキル基))などの防食剤、硫酸、塩酸などの酸、ヒドラジンなどの還元剤、水素、アルゴン、窒素などの溶存ガスなどが挙げられる。
なお、酸やアルカリの中にも青酸やアンモニアなどのように錯化剤として作用するものもあり、また界面活性剤の中には有機酸であるものも多く、上述の酸、アルカリ、界面活性剤、錯化剤などの分類は、添加した際の代表的な効果を示すものではあるが、本発明の形態に添加された際の各物質の効果を限定するものではなく、上述の物質には、副次的な洗浄効果が含まれる場合がある。
以下、本発明に係る基板洗浄装置及び基板の洗浄方法を適用した、パーティクル(粒子)除去、金属汚染除去、パーティクルと金属汚染除去の実験結果について説明する。
(1)パーティクル除去
ここでは、「亜酸化窒素のみ」と「亜酸化窒素+紫外光照射」と「亜酸化窒素+水酸化アンモニウム+紫外光照射」とによる基板の洗浄結果を比較し、亜酸化窒素溶液に塩基を添加した状態で紫外光を照射する基板洗浄の優位性について示す。
この実験では、0.5%のフッ酸溶液に室温、2分間浸漬した後、1分間水洗したベアシリコンウエハを0.05μm〜3μmで平均粒径約0.3μmのSi34粒子を0.05mg/L分散させた酸性水溶液に10分浸漬した。浸漬後のシリコンウエハを1分間水洗し、スピン乾燥機を用いて乾燥させた。その後、光学式表面検査装置により、シリコンウエハ表面に付着した微粒子を測定し、0.2μm以上のSi34粒子が5000〜8000個/8インチウエハ付着していることを確認した。
このSi34粒子が付着したシリコンウエハを、枚葉式洗浄装置を用いて、図25に示す通りの条件で洗浄し、パーティクルの除去を行った。枚葉式洗浄装置におけるシリコンウエハの回転数は1000rpm、洗浄液量は1リットル/分、洗浄時間は60秒、液温は室温とし、洗浄後に30秒間純水でリンスした後、30秒間N2ブローしながら乾燥を行った。なお図20において、「NH4OH」有りの場合は28%アンモニア水と水を容量比1:20で混合した水溶液を使用したことを、「N2O」有りの場合は液中に1000ppmの亜酸化窒素が含まれていることを、また界面活性剤有りの場合は液中に50ppmのポリオキシエチレンラウリルエーテルを添加したことを示している。
洗浄後に得られた洗浄済みシリコンウエハ表面の面あれ状態とシリコンウエハ表面に残留するパーティクル数の測定から求めた除去率より、洗浄効果を評価した。実施例1、2においては、シリコンウエハ表面に面あれも発生せず、パーティクルの除去が確認されたが、比較例1〜5においては、パーティクルは除去されず、また比較例6〜9においては、激しい面あれが発生し、パーティクルの除去率を評価することは出来なかった。
(2)金属汚染除去
ここでは、「亜酸化窒素のみ」と「亜酸化窒素+紫外光照射」と「亜酸化窒素+フッ酸+紫外光照射」とによる基板の洗浄結果を比較し、亜酸化窒素溶液に酸を添加した状態で紫外光を照射する基板洗浄の優位性について示す。
この実験では、0.5%のフッ酸溶液に室温、2分間浸漬した後、1分間水洗した8インチベアシリコンウエハを、金属イオン(Fe、Cr、Cu)を含有したAPM洗浄剤に浸漬した。このAPM洗浄剤は、28重量%のアンモニア水、31重量%の過酸化水素水、及び水を、容量比1:1:5の割合で混合したものに、金属イオン含有水溶液を添加して、Feを20ppb、Crを10ppb、そしてCuを1ppm含有する金属イオン含有APM洗浄剤を調整した。浸漬後のシリコンウエハを超純水で10分間水洗し、スピン乾燥機により乾燥し、金属で汚染されたシリコンウエハを作成した。このシリコンウエハ上にある金属(Fe、Cr、Cu)の分析は全反射蛍光X線分析法により実施し、汚染されたシリコンウエハ及び洗浄後のシリコンウエハ共に同じ方法で行った。各金属の汚染量は、Fe:1000〜3000×1010atoms/cm2、Cr:500〜1000×1010atoms/cm2、Cu:3000〜5000×1010atoms/cm2であった。
この金属汚染されたシリコンウエハを、枚葉式洗浄装置を用いて、図26に示す通りの条件で洗浄し、金属汚染の除去を行った。枚葉式洗浄装置におけるシリコンウエハの回転数は1000rpm、洗浄液量は1リットル/分、洗浄時間は60秒、液温は室温とし、洗浄後に30秒間純水でリンスした後、30秒間N2ブローしながら乾燥を行った。なお、図21中、「HF」有りの場合は溶液中に0.5%フッ化水素酸が含まれていることを、「N2O」有りの場合は液中に1000ppmの亜酸化窒素が含まれていることを示している。
洗浄後に得られた洗浄済みシリコンウエハ表面に残留する金属量の測定から求めた除去率より、洗浄効果を評価した。
実施例1においては、Fe、Cr、Cuの全てを除去することができたが、比較例1〜3では全ての元素が除去できず、比較例4ではCrが除去できたが、Fe、Cuが除去できず、比較例5〜7ではFeが除去できたが、Cr、Cuは除去できなかった。
(3)パーティクルと金属汚染除去
この実験では、0.5%のフッ酸溶液に室温、2分間浸漬した後、1分間水洗した8インチベアシリコンウエハを、金属イオン(Fe、Al)を含有したAPM洗浄剤に浸漬した。このAPM洗浄剤は、28重量%のアンモニア水、31重量%の過酸化水素水、及び水を、容量比1:1:5の割合で混合したものに、金属イオン含有水溶液を添加して、Feを20ppb、Alを1ppb含有する金属イオン含有APM洗浄剤を調整した。浸漬後のシリコンウエハを超純水で10分間水洗し、スピン乾燥機により乾燥し、金属で汚染されたシリコンウエハを作成した。汚染されたシリコンウエハ及び洗浄後のシリコンウエハ共に同じ方法で行った。その方法は、ウエハ表面に、0.1重量%のフッ酸と1重量%の過酸化水素を含む水溶液を接触させて回収した。そして誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を用いて回収した金属量を測定し、基板表面濃度(atoms/cm2)に換算し、分析結果とした。更に、これら金属の濃度を全て合計した値を「全金属濃度(atoms/cm2)」とした。金属の汚染量は、Feが1000〜3000×1010atoms/cm2、Alが400〜600×1010atoms/cm2であった。
また0.5%のフッ酸溶液に室温、2分間浸漬した後、1分間水洗したベアシリコンウエハを0.05μm〜3μmで平均粒径約0.3μmのSi3N4粒子を0.05mg/L分散させた酸性水溶液に10分浸漬した。浸漬後のシリコンウエハを1分間水洗し、スピン乾燥機を用いて乾燥させた。その後、光学式表面検査装置により、シリコンウエハ表面に付着した微粒子を測定し、0.2μm以上のSi3N4粒子が5000〜8000個/8インチウエハ付着していることを確認した。
この金属汚染されたシリコンウエハとSi3N4粒子が付着したシリコンウエハを、枚葉式洗浄装置を用いて、表に示す通りの条件で洗浄し、金属汚染とパーティクルの除去を行った。枚葉式洗浄装置におけるシリコンウエハの回転数は1000rpm、洗浄液量は1リットル/分、洗浄時間は2分、液温は60℃とし、洗浄後に30秒間純水でリンスした後、30秒間N2ブローしながら乾燥を行った。
なお、図27中、「NH4OH」有りの場合は28%アンモニア水と水を容量比1:20で混合した水溶液を使用したことを、「N2O」有りの場合は液中に1000ppmの亜酸化窒素が含まれていることを、「H22」有りの場合は液中に1.5wt%の過酸化水素が含まれていることを、更に「錯化剤」有りの場合は液中に40ppmのEDDHAが添加されていることを示している。
また、ここでの「調合後時間」とは各物質を混ぜた後60℃に加温した状態で保管した時間を示す。なお亜酸化窒素を溶解させた溶液への紫外光照射は洗浄時のみ実施され、保管時には紫外光は照射されない。
また、実施例においては調合直後の効果が、調合後30分経過しても維持されているのに対し、比較例においては調合後30分が経過した段階で金属汚染除去能が失われている。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
本発明は、半導体や電子機器に用いられる基板の表面に付着した金属や有機物等の不純物を洗浄除去する際に利用可能であり、低コストで、しかも、環境負荷の少ない方法にて洗浄除去が可能である。

Claims (15)

  1. 電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、前記異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸を添加した薬液を接触させると共に、前記薬液に紫外光を照射することにより、前記異物を酸化させ、当該酸化させた異物を前記酸と反応させることにより前記電子基板から除去することを特徴とする基板の洗浄方法。
  2. 前記異物は、金属であることを特徴とする請求項1に記載の基板の洗浄方法。
  3. 電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、
    前記異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に塩基を添加した薬液を接触させると共に、前記薬液に紫外光を照射することにより、前記異物を酸化させ、当該酸化させた異物を前記塩基と反応させることにより前記電子基板から除去することを特徴とする基板の洗浄方法。
  4. 前記塩基により前記電子基板と前記異物とを共に負に帯電させ、前記電子基板と前記異物との間に反発応力を生じさせることを特徴とする請求項3に記載の基板の洗浄方法。
  5. 電子基板に付着した異物を除去することにより洗浄を行う基板の洗浄方法において、
    前記異物に、亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸及び塩基を添加した薬液を接触させると共に、前記薬液に紫外光を照射することにより、前記異物を酸化させ、当該酸化させた異物を前記酸、及び/又は、塩基と反応させることにより前記電子基板から除去することを特徴とする基板の洗浄方法。
  6. 前記酸化された異物と、前記薬液中に生じたイオンとを結合させることにより、前記異物を前記電子基板から除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板の洗浄方法。
  7. 前記異物を酸化させる際に、前記電子基板表面に酸化膜を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の基板の洗浄方法。
  8. 前記紫外光の光源として、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の基板の洗浄方法。
  9. 前記異物と前記薬液との接触は、前記電子基板に前記薬液をスピンコートすることにより行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の基板の洗浄方法。
  10. 前記電子基板の形状に応じて前記紫外光の照射方向を変更することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の基板の洗浄方法。
  11. 亜酸化窒素(NO)を含む溶液に酸、及び/又は、塩基を添加した薬液を電子基板に接触させる薬液接触手段と、前記薬液を接触させた状態の前記電子基板に紫外光を照射する光源とを有し、前記電子基板に付着した異物に、前記薬液を付着させると共に、前記薬液に紫外光を照射することにより、前記異物を酸化させ、当該酸化させた異物を前記酸、及び/又は、前記塩基、と反応させることにより前記電子基板から除去することを特徴とする基板洗浄装置。
  12. 前記光源は、クリプトン−ヨウ素(KrI)エキシマランプであることを特徴とする請求項11に記載の基板洗浄装置。
  13. 前記薬液接触手段は、前記電子基板を支持すると共に水平方向に回転させる回転手段と、前記回転する電子基板に前記薬液を塗布、又は、噴霧する薬液供給手段とを備えたスピンコード装置により構成したことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の基板洗浄装置。
  14. 前記光源は、前記電子基板への前記紫外光の照射方向を変更可能に構成したことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の基板洗浄装置。
  15. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の基板の洗浄方法により洗浄した基板。
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