JPWO2007049800A1 - 文書作成支援装置 - Google Patents
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Abstract
論理的かつ合目的的な文書を作成するに際して、発想の的確な文書化を支援し、文書作成の過程においても発想の熟成を促しつつ発想の主旨や目的からの逸脱を防止し、発想者みずからが納得できる文書を作成するように誘導することができる文書作成支援装置を提供する。文書作成支援装置が、発想の目的または効果の文書化を支援する▲1▼目的効果記述支援手段と、発想の図式化を支援する▲2▼図式化支援手段と、図式化された発想内容を要素に分割し各要素ごとの構成と各要素の相互関係とを記述した文節を作成することを支援する▲3▼文節作成支援手段と、文節を統合し文法的に適正な文を作成することを支援する▲4▼構文支援手段と、記述された文を前記目的または効果に整合させる整合支援手段とを有する。
Description
本発明は、例えば特許出願関連文書など論理的かつ合目的的な文書の作成が容易、迅速かつ的確に遂行できるように支援する文書作成支援装置に関する。
従来、特許出願書類のうち例えば特許請求の範囲、明細書、要約書などの文書は添付図面等を含めて発明者自身が作成するか、あるいは発明者から直接・間接に委託を受けた受託者が発明者の思想や主旨を聴取しながら作成していた。しかしこれらの特許関連文書は厳密かつ厳格な書式に則って作成しなければならないばかりでなく、特許請求の範囲等は一発明につき体言止めの一文として記述することが求められる等の制約があり、発明思想の文書化に当たっては専門的な文書作成能力が要求された。一般に、文書作成の専門家でない発明者が自己の発明思想をこの種の文書により表現することは極めて困難であり、そのため誤った、あるいは不正確な作文によって本来得べかりし発明の権利を失うことにもなりかねなかった。またこの種の文書作成を専門家に委託したとしても、受託者は一般に当該分野において発明者と同等の専門知識や技術的背景を持たず、しかも両者の意思の疎通も多くの場合十分とは言えないのみならず、専門家が作成した文書を発明者自身がチェックする際にもこれを読解して調整する能力や時間が不足する場合が多いため、発明の主旨が変質、歪曲、無意味化された文書がそのまま出願され、本来得べかりし発明の権利が変質したり無効になったりする場合も少なくなかった。
また、この種の文書を作成するに当たって、発明者自身が文書や図面を作成するのであればその過程で発明の構成や内容が次第に熟成され、それによって発明の完成度が高まるという効果があるのに、他者に委託してしまってはその機会が失われ、発明が未成熟なまま文書化され出願されるという場合も少なくなかった。
特許出願文書等の作成に当たってコンピュータの能力を活用しようとする試みは従来からも数多く公開されている。例えば参考文献1および参考文献2参照。それらの提案内容を分類してみると、第一に参考文献の検索であって、コンピュータを用いてさまざまなデータベースから迅速かつ的確に必要なテータを検索し適切な形態で表示する方法が提案されている。また特許出願文書等に求められる書式を提示し、その書式に則って適正な文書を作成するためのフォーマットを提供する方法も提案されている。さらに、ヒトが入力した文書を自働解析し、その文書や用語が文法的に適切であるかどうかをコンピュータによって評価する方法も提案されている。
参考文献1 特開2003−288407号公報。
参考文献2 特開平09−034968号公報。
しかしヒトが何かを発想したとき、発想者の文書能力に拘わらずその発想の的確な文書化を直接的に支援し、文書作成の過程でも発想の熟成を促しつつその主旨や目的からの逸脱を防止し、発想者みずからが納得できる文書を作成するように誘導するような手段は従来知られていなかった。
また、この種の文書を作成するに当たって、発明者自身が文書や図面を作成するのであればその過程で発明の構成や内容が次第に熟成され、それによって発明の完成度が高まるという効果があるのに、他者に委託してしまってはその機会が失われ、発明が未成熟なまま文書化され出願されるという場合も少なくなかった。
特許出願文書等の作成に当たってコンピュータの能力を活用しようとする試みは従来からも数多く公開されている。例えば参考文献1および参考文献2参照。それらの提案内容を分類してみると、第一に参考文献の検索であって、コンピュータを用いてさまざまなデータベースから迅速かつ的確に必要なテータを検索し適切な形態で表示する方法が提案されている。また特許出願文書等に求められる書式を提示し、その書式に則って適正な文書を作成するためのフォーマットを提供する方法も提案されている。さらに、ヒトが入力した文書を自働解析し、その文書や用語が文法的に適切であるかどうかをコンピュータによって評価する方法も提案されている。
参考文献1 特開2003−288407号公報。
参考文献2 特開平09−034968号公報。
しかしヒトが何かを発想したとき、発想者の文書能力に拘わらずその発想の的確な文書化を直接的に支援し、文書作成の過程でも発想の熟成を促しつつその主旨や目的からの逸脱を防止し、発想者みずからが納得できる文書を作成するように誘導するような手段は従来知られていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、例えば特許出願関連文書など論理的かつ合目的的な文書の作成が容易、迅速かつ的確に遂行できるように支援し、文書作成の過程においても発想の熟成を促しつつ発想の主旨や目的からの逸脱を防止し、発想者みずからが納得できる文書を作成するように誘導することができる文書作成支援装置を提供することにある。
以下、本発明の文書作成支援装置により作成された文を、作成中の未完成文書も含めて包括的に「文書データ」という。
以下、本発明の文書作成支援装置により作成された文を、作成中の未完成文書も含めて包括的に「文書データ」という。
本発明の請求項1は、対象と目的とを有する発想の文書化を支援する装置であって、前記発想の目的または前記発想がもたらす効果の文書化を支援する目的効果記述支援手段と、前記発想の図式化を支援する図式化支援手段と、前記により図式化された発想内容を複数の要素に分割し各要素ごとの構成と前記各要素の相互関係とを記述した文節を作成することを支援する文節作成支援手段と、前記文節を統合し文法的に適正な文を作成することを支援する構文支援手段と、前記により記述された文を前記目的または効果に整合させる整合支援手段とを備えたことを特徴とする文書作成支援装置を提供する。
前記請求項1の発明における目的効果記述支援手段は、発想対象、目的および効果の文書化を支援する手段である。ここで「対象」とはそのことについて記述しようとする主題となる事項である。
一般に、対象と目的を有する発想(以下「合目的発想」という)は、文書化に際して、特にそれが長文になったり構成が複雑になると、しばしば発想目的が歪曲されたり、結果的に本来の対象や目的から逸れてしまったりすることが起こり得る。そこで合目的発想を文書化するには、先ずその発想対象、目的および効果を執筆者みずからが文書により明確に認識し、かつ文書データを完成させる過程で随時その文書化された対象・目的・効果を参照し、必要なら文書データを合目的的に訂正させることが必要である。また、文書作成の過程で対象・目的・効果それ自体がさらに望ましい方向に熟成され変化する場合もある。目的効果記述支援手段はこのような対象・目的・効果の熟成にも柔軟に対応し、またその熟成結果を後の文書作成作業に反映させることができるように構成されている。
目的効果記述支援手段は発想対象、目的および効果を的確な文書(以下それぞれ「目的文」「効果文」という)として表現することを支援するものであり、その具体例としては例えば、コンピュータ画面上で対話方式等により適切な対象の呼称を提示し、目的記述や効果記述を誘導し、または複数の類型文を表示して選択方式または選択補正方式等により的確な文を作成させる等の手段を挙げることができる。
前記請求項1の発明における図式化支援手段は、発想を図式によって表現する作業を支援するものである。ここで「図式」とは、空間的または時系列的な形態や性状を表現する図面、イメージ集合の相互関係を示す概念図、表形式の図面、化学式等の文字・符号または表を要素として用いた式図、工程図、情報経路図、配線図、樹形図、動画、ポンチ画、写真等を含むものであって、形状、寸法、比率、量、質等に必ずしも定量的もしくは限定的な厳密さを要求するものではない。印刷物や手描きを含むアナログ形態の図式であっても、スキャナやタブレット等のA/D変換手段を用いてデジタル化することによって本装置の図式データとして使用することができる。
一般に前記の合目的発想は、言語的な手段によって表現できるばかりでなく、図式的な手段によっても表現が可能であり、特に初期の曖昧かつ漠然とした発想は、文書によるよりも図式的な表現手段によってより具体的かつ明示的に表現できる。しかも図式的に表現することによってその発想の完成度を一層高めることができる。従って図式化支援手段は発想の明確化と熟成に特に有効である。
図式化支援手段の具体例としては例えば、A/D変換手段との接続やコンピュータ画面上での一般的な作図機能に加え、発想の分野を絞り込むことにより既存のデータベース(以下「DB」という)の図面を検索し加工可能に表示したり、分野別辞書機能によって組合わせおよび加工が可能な基本図形を表示する等の手段を挙げることができる。
前記請求項1の発明における文節作成支援手段は、図式化された発想内容を複数の要素に分割し、各要素ごとの構成と、各要素の相互関係とを記述した文節を作成する作業を支援するものである。ここで「文節」とは、各要素の構成および相互関係を個別に表現した文書をいう。
一般に前記の合目的発想は複数の要素の組合わせからなる。そこで本発明においては、文書データの作成に当たって、先ず、図式化された発想を複数の要素に分割し、分割された個々の要素の構成と、当該発想におけるそれらの相互関係とを文書形式で記述するよう促す。
文節作成支援手段の具体例としては例えば、作成された図式の必要な要素や部分に符号や名称を付与し、各要素ごとに、付与された符号や名称を用いて適切な文節が作成できるように修正可能なモデル文型を表示し、また作成された文節の言語的チェックを行う等の手段を挙げることができる。ただしここでいう文節は必ずしも文法的に完成されたものでなくてもよい。また発想内容によっては、文節が一つだけであってもよい。
前記請求項1の発明における構文支援手段は、前記各文節を統合して文法的に適正な文書データを作成する作業を支援するものである。これによって、当面の文書(一次文書)が作成できる。
構文支援手段の具体例としては例えば、当該発想の属する分野および、その発想がモノの構成なのか方法なのか情報手段なのかといった発想の態様を予め確認し、その分野と態様に対応したモデル文型を提示し、そのモデルに即して自動的にまたは手作業により前記文節の挿入を行い、かつ文法チェックを行いながら文としての意味的な整合が得られるように修正を促す、等の手段を挙げることができる。これによって因果律に則った論理的的確性を備えた文書データが作成できる。
前記請求項1の発明における整合支援手段は、前記により作成された文書データ(一次文書)を前記の目的文、効果文と照合することによりその合目的性と実効性ならびに対象名の的確性を再度評価し、必要ならその目的・効果に整合するように文書データを修正することを支援するものである。これによって最終的に合目的的でありしかも余分な要素を含まず因果律に則った論理的的確性を有する文書データが作成できるようになる。またこの整合過程は発想の熟成を促す期間としても重要である。
整合支援手段の具体例としては例えば、コンピュータ画面上に作成中の文書データと目的文、効果文とを並列表示し、また類語や類文を参考表示して用語や文法上の修正を促す等の手段を挙げることができる。
請求項2の発明は、前記発想に類似する既存の文書または図式を資料として検索し表示すると共に、この資料を前記の図式または文の作成に利用できるようにした資料引用手段を提供する。
一般に多くの発想は全く独立的に発生するものではなく、複数の既存の情報や記憶を組合わせることによってもたらされる。その情報がデジタル化された文書または図式として入手可能であれば、それを検索してコンピュータ画面上に資料または類型として表示させ、これから作成しようとする文書または図式の参考または下書きとして利用することは文書作成上きわめて有利である。また当該分野における用語や言い回し等は一般にある程度慣用的に決まっているので、類語・類句が適宜検索できるシステムを連動させることによって文書データの作成が効率化されると共に不要な用語の混乱が防止できる。このような類型検索表示システムや類語辞書等は市販されているものもあるので、例えばこれらを取込手段を介して本発明の文書作成支援装置に接続することによって目的を達成することもできる。
これらの資料または類型を文書データや図式作成の下書きとして利用できれば、本発明による文書作成は極めて効率化される。このためには資料を本発明の目的に沿って変形、加工する手段も必要になる。このような資料加工手段の具体例としては例えば、一般的な文編集機能または図式編集機能に加え、類語/類図辞書機能の付与等を挙げることができる。
請求項3の発明は、前記図式化支援手段により作成された図式の各要素または要素群に符号または名称を付与することを支援する符号付与支援手段を提供する。これによって発想を構成する各要素および合目的発想の対象や全体像を的確に認識しかつ記述できるようになる。
符号付与支援手段の具体例としては例えば、コンピュータ画面上で執筆者が図式の各要素から例えばドラッグ・アンド・ドロップにより線を引き出すとその先端に自動的に連番が付与され、また同一画面上に、当該符号に対応する名称記載欄が表示され、この名称記載欄に執筆者が適宜名称や記号を記入できるようにする等の手段を挙げることができる。
請求項4の発明は、前記発想の対象分野または発想の態様を分類することを支援する分類支援手段を備えると共に、分類された領域において用いられる用語または図式を表示する分野別類語辞書、もしくは外部の前記分野別類語辞書からデータを導入する取込手段を備えたことを特徴とする。一般に、合目的発想は大まかな類型に分類可能である。本装置を例えば特許出願書類の作成に用いる場合であれば、発想の対象分野が例えば化学薬品か自動車かというような対象物の業種的な区分(「対象分野」)と、発想の技術的な態様がモノの構造なのか製造方法なのか情報処理なのかといった観点からの分類(「技術態様」)が特に重要になる。これらの対象分野と態様との組み合わせによって、発想内容を表現する文型に類型(モデル文型)を作成することが可能になるからである。このような分類を支援する分類支援手段としては、例えば国際特許分類表に沿った対象分野を大分類から小分類へ階層的に配列した対象分類表または階層的類語辞書、およびモデル文型に対応する態様分類表を提示するなどの手段を挙げることができる。
また一般に、前記の対象分野および態様が決まれば、当該発想を表現する文に用いられる用語は多くの場合自ずからある範囲に限定される。そこで、分類された領域において用いられる用語または図式を表示する分野別辞書、もしくは外部の前記分野別辞書からデータを導入する取込手段が備えられていれば、目的効果の文書化に際しても発想の図式化に際しても文書データの作成に際しても作業の効率化に寄与し得るとともに、図式、用語等に関して他の関連文書例えば一連の出願書類群等との表現の統一化を図ることもできる。
請求項5の発明は、前記発想の対象分野または発想の態様に対応するモデル文型を選択可能に提示し、選択されたモデル文型に対応して前記文節作成支援手段により作成された各文節の構文的配位を決定する作業、または文における既知項と新規発想項の区分に応じて前記各文節の配位を決定する作業を支援する文節配位支援手段を備え、前記構文支援手段は、前記文節配位支援手段により配位が決定された前記各文節をそれぞれの配位に即して前記モデル文型に挿入して文を作成するように支援することを特徴とする。
文節作成支援手段で作成された複数の文節を構文支援手段によって統合して文書データを作成するには、特に関係代名詞のような言語機能を持たない日本語にあってはそれに対応する文法的処理が必要になる。日本語における合目的文の基本構成は、主部−補部−述部という語順(順位)からなるが、これらの各部にはそれぞれの要素または要素の相互関係を記述する副次的文節(従文節)が内包される場合もあり、その従文節がさらに他の副次的文節を内包する場合もあり、文中で各文節が階層化されている。またそれらの文節が文の中でどのような助詞や助動詞等を伴うのかによっても語順は変化する。さらに、例えば文が[特許請求の範囲]等であれば、いわゆる「おいて書き」と称して既存の構成を既知項として前段に配置し、発明の構成を発明項(新規発想項)として後段に配するという二段構えのスタイルをとる場合もある。
ところで合目的文は、それを発表する場面に応じて一定範囲の文形式をとる場合が多い。文節作成支援手段で作成した複数の文節を構文支援手段において一文に構成しようとするとき、本発明の装置が当該発想の対象分野または発想の態様に適応する複数のモデル文型を保有していれば、それを提示することによって執筆者はその中から好適と思われるモデル文型を選択することができる。モデル文型が選択されれば、それに即して前記各文節の構文的配位が決定できるようになる。文節配位支援手段はこの配位の決定を支援する。各文節の配位が決定されれば、次の構文支援手段において、各文節をそれぞれの配位に即して前記モデル文型に自動的にまたは手作業で挿入することにより文が作成できることになる。モデル文型としていわゆる「おいて書き」と称する二段構えのスタイルが選択された場合は、各文節をまず既知項と新規発想項とに区分しその上でそれぞれの文型に即して配位すればよい。
文節配位支援手段としては、まず発想の対象分野または発想の態様に対応する好適なモデル文型を提示することが挙げられる。次に選択されたモデル文型に対応して執筆者が各文節の配位を決定する際の指針を提供することが挙げられる。構文支援手段は決定された配位に則って前記文節をモデル文型に挿入する。この挿入は、文節の配位が予め決定されているので、本発明の装置が自動的に行うこともできる。
請求項6の発明は、前記対象、目的または効果の上位概念化を促す上位概念化支援手段と、この上位概念化された対象、目的または効果に整合するように前記の文を調整させる上位概念文作成支援手段とを備えたことを特徴とする。
特許出願文書等では、当初の具体的事例に係わる対象、目的、およびその目的を達成する手段を可能な限り上位概念化して権利範囲の拡大を図るのが一般的である。従って本発明の装置にもその機能を付加することが好ましい。目的効果上位概念化支援手段は発想の対象、目的または効果を上位概念化することを支援するものであり、上位概念文書作成支援手段は前記により上位概念化された対象に対して目的または効果が達成できるように文書データを調整するための支援を行う。上位概念化するための支援手段としては、例えば対象や要素の上位分類名称を提示するような階層的類語辞書を備える等を挙げることができる。
請求項7の発明は、前記発想の対象分野または発想の態様に対応して、下位概念の用語とその上位概念の用語とを階層的に関連づけて配置した階層的類語辞書、もしくは外部の前記階層的類語辞書からデータを導入し得る取込手段を備えたことを特徴とする。
このような階層的類語辞書は前記の各手段または文作成過程、例えば目的効果記述支援手段、符号付与支援手段、分類支援手段、文節作成支援手段、および構文支援手段においても常時利用可能であるが、特に上位概念文作成支援手段等において、より適切な用語または句が選択でき、好適な文書データが効率よく作成できるようになる。この階層的類語辞書は、例えば請求項4に示したような分野別の用語や慣用句を収集した分野別辞書、分野別の図式要素を収集した図式辞書、分野別の語句の意味を解説した分野別語句辞典、対象分野または態様分類の一覧表、または装置内外のデータベース等と連結、合体または統合したものであってもよい。
請求項8の発明は、前記発想に係わる従属発想の文書化を支援する従属文作成支援手段を備えたことを特徴とする。 一般にある発想は合目的的な一文によって完結するものではなく、付随的な、あるいは並立的な他の発想を伴って一連の発想群として成立する。このような発想群を因果律に則って系統的に配列した図式は、特許業界では「クレームツリー」等と呼ばれている。請求項9の発明は、このような一連の発想群を系統的に配列し、その順列に沿って個々の従属発想を他と関連づけながら文書化する作業を支援するものである。
従属文作成支援手段の例としては、例えば作成中または作成された文書データから対象名、要素名、または要素の相互関係を抽出し、それぞれの抽出項に新たな発想がある場合は前記文書作成手順に沿って文書化を支援する等の手段を挙げることができる。
請求項9の発明は、前記文書が特許または実用新案の出願に係わる文書を作成するように特化されたことを特徴とする。
本発明の文書作成支援装置は一般に、何かの目的を有する任意の発想の文書化に適用することができる。例えば商品や機能の説明書、操作説明書、各種解説書、各種報告書や届け書等の作成に際しても有効である。しかし特に、特殊な書式の下で明確な対象と目的の提示と達成手段の厳密な記述が要求される特許または実用新案の出願に係わる文書(以下「出願文書」という)の作成に際して、好適な文書が作成できるように内容を特化した構成を有するものであることが好ましい。
請求項10の発明は、特許または実用新案の出願に係わる文書(出願文書)を作成する文書作成支援装置であって、表示画面上に、発明または考案(以下単に「発明」という)を構成する要素についてそれぞれ記述することができる複数の移動可能な要素セルからなる要素階層表を表示し、前記の各要素セルには、それぞれ、要素の名称を記入する名称欄と要素の特性を記述する特性欄とを設け、執筆者が前記要素セルのそれぞれの欄に所要の文書データを記入すると共に各要素セルを、それぞれの並立従属関係を表現するツリー状の階層構造に配位するように支援する要素配位支援手段と、前記各要素の相関関係を文書データとして記述することを支援する相関記述支援手段と、執筆者が各要素の配位と相関関係とを決定した後、前記要素階層表の階層構造に対応するモデル構文図式を提示すると共にこのモデル構文図式に従って前記文書データを自動的に組み替え、執筆者がこのモデル構文図式に従って文書を作成できるように支援する作文支援手段と、を備えたことを特徴とする。
ここで、「ツリー状の階層構造」とは要素の並立従属関係を表す組織図である。例えば要素Aが要素Bと要素Cからなる場合、要素Aは上位に、要素Bと要素Cは要素Aに従属する下位に並立する配置となる。また要素Dと要素Eから要素Fが形成される場合は要素Dと要素Eが上位に並立し、その両者を結ぶ下位に要素Fが配置される。「要素の特性」とは、当該発明を説明するのに必要なそれぞれの要素の構成、形態、性状、組成、動作、作用、効果等を意味する。また「要素の相関関係」とは、前記要素の特性を利用してもたらされる要素間の相互的な構成関係、および相互作用または共同効果を意味する。
上記請求項10の発明になる文書作成支援装置は、要素配位支援手段と相関記述支援手段と作文支援手段とを備えている。このうち要素配位支援手段では、表示画面に要素階層表が表示される。この要素階層表には複数の要素セルが配列されている。要素セルの配列はタテヨコに行列配置とされていることが好ましい。これらの要素セルは要素階層表中で任意に位置を移動または交替することができる。また、それぞれの要素セルには要素の名称を記入する名称欄とその要素の特性を記述する特性欄とが設けられている。
執筆者はこの要素セルに所要の文書データ、つまり要素名と特性を記入すると共に各要素セルを、要素の並立従属関係を表現するツリー状の階層構造に配位する作業を行う。この作業は、執筆者が各要素の並立従属関係を考慮して適当な階層位置にある要素セルの名称欄に要素名を記入することからはじめてもよく、また例えば第1順位にあるそれぞれの要素セルに全ての要素の名称を並立的に記入した後に、要素セルの配置換えを行ってツリー状の階層構造を構築してもよい。名称欄に要素名を記入するに際しては、例えばポップアップ式に、同義語辞書等からより適切な、または汎用的な名称を提示し、それを採用させることもできる。特性欄の記述は文節形式であっても文形式であってもよい。
次に、相関記述支援手段においては、各要素の相関関係を文書データとして記述することを支援する。各要素の相関関係は一般に、要素間の相互的な構成関係(係わり具合)と要素間の相互作用または共同効果(係わり結果)とからなるので、これらを例えば相互構成表および相互作用表に分けて執筆者に記述を促す等の手段が好適である。要素の相関関係の記述は文節形式であっても文形式であってもよい。
作文支援手段においては、前記要素階層表の階層構造に対応するモデル構文図式を提示すると共にこのモデル構文図式に従って前記文書データを自動的に組み替え、執筆者がこのモデル構文図式に従って文書を作成できるように支援する。モデル構文図式は、その構文順序に従って文章を組み立てれば、例えば出願文書の少なくとも主要部分が正確かつわかりやすく作文できるという指針になるもので、要素階層表の階層構造に対応するものとして本装置が内蔵している。例えば階層構造が「本発明の対象Xが要素Aと要素Bとからなり、要素Aは要素Cと要素Dとからなる」という場合であれば、「▲1▼本発明の対象Xは、要素Aと要素Bとからなる。▲2▼要素Aは要素Cと要素Dとからなる。▲3▼要素Aは特性aを有し、要素Bは特性bを有し、要素Cは特性cを有し、要素Dは特性dを有する」・「要素間の相互構成(係わり具合)の記述」・「要素間の相互作用または共同効果(係わり結果)の記述」という構文順序が表示画面に提示される。それと同時に本装置は、前記の要素階層表と相関関係の記述を元にモデル構文図式に従って前記文書データを組み替え、自動的に概略の文章を作成する。
執筆者はこれに文法上の編集操作を加えるだけでほとんど自動的に、発明の説明にとって主要部分となる文または文章が作成できる。この際、作文補助手段として、上記作文構成に対応する既存の文書データを画面に表示し、執筆の下敷きや参考に供することもできる。
さらに必要に応じて発明の前提条件(いわゆる「おいて書き」)や先行技術、発明の目的効果等を文書化して付加し、書式を整えれば、当該発明の説明文書が完成できる。文書形式は単文、複数文からなる文章形式、あるいは箇条書き形式等いずれであってもよい。
請求項11の発明は、前記請求項10記載の文書作成支援装置において、表示画面上に前記要素階層表と共に、発明または考案を構成する要素の名称または符号が付与された図面を表示し、執筆者がこの図面上の名称または符号を前記要素階層表の要素セルに導入すると、その要素セルの名称欄に当該要素の名称が表示されるようにしたことを特徴とする。
請求項11の発明は請求項10の発明と類似しているが、表示画面上に、要素階層表と共に当該発明に係わる図面を表示するところが異なる。
一般に、出願文書に掲載される図面には、発明の説明に必要な各要素ごとに名称または符号が付与されている。図面の要素に符号のみが付与されている場合は、予め符号と名称との1対1の対応が成立している必要がある。執筆者がこの図面上の要素名または符号をポイントし、例えばドラッグ・アンド・ドロップによって要素階層表の適当な要素セルにドロップすると、その要素セルの名称欄に図面の要素名または要素名と符号が記入されるようになっている。要素名を記入した後に要素セルの階層順位を変えたい場合は、当該要素セルを例えばドラッグ・アンド・ドロップにより適当な順位に移動させればよい。要素階層表に要素名が入力された後は請求項10に示したと同様な手順で出願文書を作成することができる。
請求項11では、発明に必要な各要素とその順位の確認が図面上で行えるので、要素の見落としや順位の誤認が防止でき、図面と本文との対応も明確になり、発明の趣旨をより的確に文書化できるようになる。
請求項12の発明は、出願文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面に、作成文書の元となる1以上の文書を表示する元文書表示手段と、表示された前記元文書の全体または指定範囲を自動的に1文ごとに改行して配列する文列作成手段と、配列された各文を、出願文書として予め規定された各項目の欄または不採用欄に重複可能に振り分けることを支援する振り分け支援手段と、前記各項目欄ごとに集められた文書データを編集統合して前記各項目欄に適する文書を作成することを支援する欄別作文支援手段と、を備えたことを特徴とする。
前記請求項12の発明は、既存の出願文書はいうまでもなく、例えば研究論文や発明ノート等、特許出願以外の目的で作成された文書や未完成の明細書原案等でも、それを元として、出願文書を作成する際に適用できる文書作成支援装置に係わる。
本発明ではまず元文書表示手段により、出願文書の元となる1以上の文書を表示画面に表示する。元文書表示手段は、例えば外部または内部のデータベースから検索条件を指定して元となる単独または複数の文書を検索し表示する。またはアナログ文書をスキャナ等で読み取りデジタル化して表示してもよい。必要なら表示された文書の全部または一部を編集したり消去したりして表示画面上で元文書を調整することもできる。
文列作成手段は、前記元文書の全体または指定範囲を自動的に1文ごとに改行して配列する。すなわち、元文書を自動的に文単位に改行分別する。この分別には例えば文末の〔。〕等の指標が用いられる。また、自動分別された文が長文であったり、文意が錯綜しているような場合は、執筆者が手作業で1文をさらに複数の文節等に分割することもできる。
振り分け支援手段は、まず表示画面に、例えば〔請求項1〕〔発明の名称〕〔技術分野〕〔背景技術〕〔発明が解決しようとする課題〕〔課題を解決するための手段〕〔発明の効果〕〔発明を実施するための最良の形態〕〔産業上の利用可能性〕等、出願文書として予め規定された項目の欄および不採用欄を表示する。執筆者は、例えば先に文単位に分別されたデータを1文ずつ、または複数の文を一括選択し、または文の部分を範囲指定し、ドラッグ・アンド・ドロップ等によって上記のいずれかの項目欄または不採用欄に振り分ける。この操作は複数の項目欄の間で重複してもよい。また、各欄に振り分けた文または文の指定範囲は、随時に他の欄に移動や複写が可能である。
欄別作文支援手段は、各欄に集められた文またはその断片を欄単位で編集し、かつ修正または補足して前記各項目欄に適する文書が作成できるように支援する。例えば、当該発明と類似した他の出願文書を表示画面に呼び出し、参照や引用の資料とすることができる。また各項目欄に適した文体や構文形式を図式として提示し執筆の指針として提供してもよい。
本発明の文書作成支援装置は、出願文書全体の作成に利用できるばかりでなく、例えば研究論文から〔発明を実施するための最良の形態〕すなわち実施例のみを作成する場合等にも有効である。
請求項13の発明は、前記請求項12の欄別文書作成支援手段において、当該項目欄の文書データと共に、既存文書の相当する項目欄に記載された文書データを提示し、執筆者が前記既存文書の提示部位を参照または引用しながら前記文書データの編集統合ができるように支援する参考文書提示手段を備えたことを特徴とする。
前記請求項13の文列作成手段は元文献を機械的に文単位に分別するだけなので、項目分類支援手段で各項目に振り分けて得られた文列も、当該発明の主旨に沿うものとは必ずしもなっていない。そこで、次の欄別文書作成支援手段で発明の主旨に沿う文書を効率よく作成するには、当該文書に近似した既存文書を検索し利用することが好ましい。請求項13の発明はこの要求に応えるものである。すなわち例えば、内部または外部に用意されたデータベースから近似した既存文書、例えば同一グループの一連の出願文書のうちで当該発明に近似したものを選択表示して参照、引用の便に供してもよく、さらに、欄別文書データのうち、表示した既存文書に記載がない用語、文節、文等のデータに着色等の標識を付与すれば、執筆者は既存文書を下敷きとし、この標識データを用いて既存文書を部分的に修正したり削除して、当該発明に適応する文書を容易に作成することができる。
請求項14の発明は出願文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面に表示された用語、文節、文または文章に対して、発明または考案の対象と目的が属する分野ごとに類型として予め用意された用語、文節、文または文章を提示し、執筆者がこの類型を参照または引用することで複数文書間の用語または文書スタイルを統一または類型化するように支援することを特徴とする。
多くの発明は単独でなされるものではなく、発明群を形成する。このとき各発明を記載する出願文書において、同一事項に対する用語や、表現形式はできるだけ統一または類型化しておくことが好ましい。請求項14の発明は、文書作成支援装置の内部または外部に当該分野の用語、文または文章の類型を予め用意し、執筆者が当該発明の記載に好適と思う類型データを随時参照または引用できるようにする。特に、執筆者またはその周辺がすでに作成した一連の出願文書は、随時に参照または引用できるように用意されていることが好ましい。このようにして用語や文型を統一しておけば、他の関連文書との情報共有性が向上すると共に、例えば外国語に翻訳する際にも、マニュアル翻訳、機械翻訳いずれの場合も誤訳や誤認が減少し、正確さと効率を向上させることができる。
請求項15の発明は、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の文書作成支援装置において、前記各文書作成支援手段が作動するように構築された文書作成支援プログラムを提供する。
この文書作成支援プログラムによって、請求項1〜請求項14に記載された本発明の文書作成支援装置は、執筆者の要求に応じて円滑に作動できるようになる。
前記請求項1の発明における目的効果記述支援手段は、発想対象、目的および効果の文書化を支援する手段である。ここで「対象」とはそのことについて記述しようとする主題となる事項である。
一般に、対象と目的を有する発想(以下「合目的発想」という)は、文書化に際して、特にそれが長文になったり構成が複雑になると、しばしば発想目的が歪曲されたり、結果的に本来の対象や目的から逸れてしまったりすることが起こり得る。そこで合目的発想を文書化するには、先ずその発想対象、目的および効果を執筆者みずからが文書により明確に認識し、かつ文書データを完成させる過程で随時その文書化された対象・目的・効果を参照し、必要なら文書データを合目的的に訂正させることが必要である。また、文書作成の過程で対象・目的・効果それ自体がさらに望ましい方向に熟成され変化する場合もある。目的効果記述支援手段はこのような対象・目的・効果の熟成にも柔軟に対応し、またその熟成結果を後の文書作成作業に反映させることができるように構成されている。
目的効果記述支援手段は発想対象、目的および効果を的確な文書(以下それぞれ「目的文」「効果文」という)として表現することを支援するものであり、その具体例としては例えば、コンピュータ画面上で対話方式等により適切な対象の呼称を提示し、目的記述や効果記述を誘導し、または複数の類型文を表示して選択方式または選択補正方式等により的確な文を作成させる等の手段を挙げることができる。
前記請求項1の発明における図式化支援手段は、発想を図式によって表現する作業を支援するものである。ここで「図式」とは、空間的または時系列的な形態や性状を表現する図面、イメージ集合の相互関係を示す概念図、表形式の図面、化学式等の文字・符号または表を要素として用いた式図、工程図、情報経路図、配線図、樹形図、動画、ポンチ画、写真等を含むものであって、形状、寸法、比率、量、質等に必ずしも定量的もしくは限定的な厳密さを要求するものではない。印刷物や手描きを含むアナログ形態の図式であっても、スキャナやタブレット等のA/D変換手段を用いてデジタル化することによって本装置の図式データとして使用することができる。
一般に前記の合目的発想は、言語的な手段によって表現できるばかりでなく、図式的な手段によっても表現が可能であり、特に初期の曖昧かつ漠然とした発想は、文書によるよりも図式的な表現手段によってより具体的かつ明示的に表現できる。しかも図式的に表現することによってその発想の完成度を一層高めることができる。従って図式化支援手段は発想の明確化と熟成に特に有効である。
図式化支援手段の具体例としては例えば、A/D変換手段との接続やコンピュータ画面上での一般的な作図機能に加え、発想の分野を絞り込むことにより既存のデータベース(以下「DB」という)の図面を検索し加工可能に表示したり、分野別辞書機能によって組合わせおよび加工が可能な基本図形を表示する等の手段を挙げることができる。
前記請求項1の発明における文節作成支援手段は、図式化された発想内容を複数の要素に分割し、各要素ごとの構成と、各要素の相互関係とを記述した文節を作成する作業を支援するものである。ここで「文節」とは、各要素の構成および相互関係を個別に表現した文書をいう。
一般に前記の合目的発想は複数の要素の組合わせからなる。そこで本発明においては、文書データの作成に当たって、先ず、図式化された発想を複数の要素に分割し、分割された個々の要素の構成と、当該発想におけるそれらの相互関係とを文書形式で記述するよう促す。
文節作成支援手段の具体例としては例えば、作成された図式の必要な要素や部分に符号や名称を付与し、各要素ごとに、付与された符号や名称を用いて適切な文節が作成できるように修正可能なモデル文型を表示し、また作成された文節の言語的チェックを行う等の手段を挙げることができる。ただしここでいう文節は必ずしも文法的に完成されたものでなくてもよい。また発想内容によっては、文節が一つだけであってもよい。
前記請求項1の発明における構文支援手段は、前記各文節を統合して文法的に適正な文書データを作成する作業を支援するものである。これによって、当面の文書(一次文書)が作成できる。
構文支援手段の具体例としては例えば、当該発想の属する分野および、その発想がモノの構成なのか方法なのか情報手段なのかといった発想の態様を予め確認し、その分野と態様に対応したモデル文型を提示し、そのモデルに即して自動的にまたは手作業により前記文節の挿入を行い、かつ文法チェックを行いながら文としての意味的な整合が得られるように修正を促す、等の手段を挙げることができる。これによって因果律に則った論理的的確性を備えた文書データが作成できる。
前記請求項1の発明における整合支援手段は、前記により作成された文書データ(一次文書)を前記の目的文、効果文と照合することによりその合目的性と実効性ならびに対象名の的確性を再度評価し、必要ならその目的・効果に整合するように文書データを修正することを支援するものである。これによって最終的に合目的的でありしかも余分な要素を含まず因果律に則った論理的的確性を有する文書データが作成できるようになる。またこの整合過程は発想の熟成を促す期間としても重要である。
整合支援手段の具体例としては例えば、コンピュータ画面上に作成中の文書データと目的文、効果文とを並列表示し、また類語や類文を参考表示して用語や文法上の修正を促す等の手段を挙げることができる。
請求項2の発明は、前記発想に類似する既存の文書または図式を資料として検索し表示すると共に、この資料を前記の図式または文の作成に利用できるようにした資料引用手段を提供する。
一般に多くの発想は全く独立的に発生するものではなく、複数の既存の情報や記憶を組合わせることによってもたらされる。その情報がデジタル化された文書または図式として入手可能であれば、それを検索してコンピュータ画面上に資料または類型として表示させ、これから作成しようとする文書または図式の参考または下書きとして利用することは文書作成上きわめて有利である。また当該分野における用語や言い回し等は一般にある程度慣用的に決まっているので、類語・類句が適宜検索できるシステムを連動させることによって文書データの作成が効率化されると共に不要な用語の混乱が防止できる。このような類型検索表示システムや類語辞書等は市販されているものもあるので、例えばこれらを取込手段を介して本発明の文書作成支援装置に接続することによって目的を達成することもできる。
これらの資料または類型を文書データや図式作成の下書きとして利用できれば、本発明による文書作成は極めて効率化される。このためには資料を本発明の目的に沿って変形、加工する手段も必要になる。このような資料加工手段の具体例としては例えば、一般的な文編集機能または図式編集機能に加え、類語/類図辞書機能の付与等を挙げることができる。
請求項3の発明は、前記図式化支援手段により作成された図式の各要素または要素群に符号または名称を付与することを支援する符号付与支援手段を提供する。これによって発想を構成する各要素および合目的発想の対象や全体像を的確に認識しかつ記述できるようになる。
符号付与支援手段の具体例としては例えば、コンピュータ画面上で執筆者が図式の各要素から例えばドラッグ・アンド・ドロップにより線を引き出すとその先端に自動的に連番が付与され、また同一画面上に、当該符号に対応する名称記載欄が表示され、この名称記載欄に執筆者が適宜名称や記号を記入できるようにする等の手段を挙げることができる。
請求項4の発明は、前記発想の対象分野または発想の態様を分類することを支援する分類支援手段を備えると共に、分類された領域において用いられる用語または図式を表示する分野別類語辞書、もしくは外部の前記分野別類語辞書からデータを導入する取込手段を備えたことを特徴とする。一般に、合目的発想は大まかな類型に分類可能である。本装置を例えば特許出願書類の作成に用いる場合であれば、発想の対象分野が例えば化学薬品か自動車かというような対象物の業種的な区分(「対象分野」)と、発想の技術的な態様がモノの構造なのか製造方法なのか情報処理なのかといった観点からの分類(「技術態様」)が特に重要になる。これらの対象分野と態様との組み合わせによって、発想内容を表現する文型に類型(モデル文型)を作成することが可能になるからである。このような分類を支援する分類支援手段としては、例えば国際特許分類表に沿った対象分野を大分類から小分類へ階層的に配列した対象分類表または階層的類語辞書、およびモデル文型に対応する態様分類表を提示するなどの手段を挙げることができる。
また一般に、前記の対象分野および態様が決まれば、当該発想を表現する文に用いられる用語は多くの場合自ずからある範囲に限定される。そこで、分類された領域において用いられる用語または図式を表示する分野別辞書、もしくは外部の前記分野別辞書からデータを導入する取込手段が備えられていれば、目的効果の文書化に際しても発想の図式化に際しても文書データの作成に際しても作業の効率化に寄与し得るとともに、図式、用語等に関して他の関連文書例えば一連の出願書類群等との表現の統一化を図ることもできる。
請求項5の発明は、前記発想の対象分野または発想の態様に対応するモデル文型を選択可能に提示し、選択されたモデル文型に対応して前記文節作成支援手段により作成された各文節の構文的配位を決定する作業、または文における既知項と新規発想項の区分に応じて前記各文節の配位を決定する作業を支援する文節配位支援手段を備え、前記構文支援手段は、前記文節配位支援手段により配位が決定された前記各文節をそれぞれの配位に即して前記モデル文型に挿入して文を作成するように支援することを特徴とする。
文節作成支援手段で作成された複数の文節を構文支援手段によって統合して文書データを作成するには、特に関係代名詞のような言語機能を持たない日本語にあってはそれに対応する文法的処理が必要になる。日本語における合目的文の基本構成は、主部−補部−述部という語順(順位)からなるが、これらの各部にはそれぞれの要素または要素の相互関係を記述する副次的文節(従文節)が内包される場合もあり、その従文節がさらに他の副次的文節を内包する場合もあり、文中で各文節が階層化されている。またそれらの文節が文の中でどのような助詞や助動詞等を伴うのかによっても語順は変化する。さらに、例えば文が[特許請求の範囲]等であれば、いわゆる「おいて書き」と称して既存の構成を既知項として前段に配置し、発明の構成を発明項(新規発想項)として後段に配するという二段構えのスタイルをとる場合もある。
ところで合目的文は、それを発表する場面に応じて一定範囲の文形式をとる場合が多い。文節作成支援手段で作成した複数の文節を構文支援手段において一文に構成しようとするとき、本発明の装置が当該発想の対象分野または発想の態様に適応する複数のモデル文型を保有していれば、それを提示することによって執筆者はその中から好適と思われるモデル文型を選択することができる。モデル文型が選択されれば、それに即して前記各文節の構文的配位が決定できるようになる。文節配位支援手段はこの配位の決定を支援する。各文節の配位が決定されれば、次の構文支援手段において、各文節をそれぞれの配位に即して前記モデル文型に自動的にまたは手作業で挿入することにより文が作成できることになる。モデル文型としていわゆる「おいて書き」と称する二段構えのスタイルが選択された場合は、各文節をまず既知項と新規発想項とに区分しその上でそれぞれの文型に即して配位すればよい。
文節配位支援手段としては、まず発想の対象分野または発想の態様に対応する好適なモデル文型を提示することが挙げられる。次に選択されたモデル文型に対応して執筆者が各文節の配位を決定する際の指針を提供することが挙げられる。構文支援手段は決定された配位に則って前記文節をモデル文型に挿入する。この挿入は、文節の配位が予め決定されているので、本発明の装置が自動的に行うこともできる。
請求項6の発明は、前記対象、目的または効果の上位概念化を促す上位概念化支援手段と、この上位概念化された対象、目的または効果に整合するように前記の文を調整させる上位概念文作成支援手段とを備えたことを特徴とする。
特許出願文書等では、当初の具体的事例に係わる対象、目的、およびその目的を達成する手段を可能な限り上位概念化して権利範囲の拡大を図るのが一般的である。従って本発明の装置にもその機能を付加することが好ましい。目的効果上位概念化支援手段は発想の対象、目的または効果を上位概念化することを支援するものであり、上位概念文書作成支援手段は前記により上位概念化された対象に対して目的または効果が達成できるように文書データを調整するための支援を行う。上位概念化するための支援手段としては、例えば対象や要素の上位分類名称を提示するような階層的類語辞書を備える等を挙げることができる。
請求項7の発明は、前記発想の対象分野または発想の態様に対応して、下位概念の用語とその上位概念の用語とを階層的に関連づけて配置した階層的類語辞書、もしくは外部の前記階層的類語辞書からデータを導入し得る取込手段を備えたことを特徴とする。
このような階層的類語辞書は前記の各手段または文作成過程、例えば目的効果記述支援手段、符号付与支援手段、分類支援手段、文節作成支援手段、および構文支援手段においても常時利用可能であるが、特に上位概念文作成支援手段等において、より適切な用語または句が選択でき、好適な文書データが効率よく作成できるようになる。この階層的類語辞書は、例えば請求項4に示したような分野別の用語や慣用句を収集した分野別辞書、分野別の図式要素を収集した図式辞書、分野別の語句の意味を解説した分野別語句辞典、対象分野または態様分類の一覧表、または装置内外のデータベース等と連結、合体または統合したものであってもよい。
請求項8の発明は、前記発想に係わる従属発想の文書化を支援する従属文作成支援手段を備えたことを特徴とする。 一般にある発想は合目的的な一文によって完結するものではなく、付随的な、あるいは並立的な他の発想を伴って一連の発想群として成立する。このような発想群を因果律に則って系統的に配列した図式は、特許業界では「クレームツリー」等と呼ばれている。請求項9の発明は、このような一連の発想群を系統的に配列し、その順列に沿って個々の従属発想を他と関連づけながら文書化する作業を支援するものである。
従属文作成支援手段の例としては、例えば作成中または作成された文書データから対象名、要素名、または要素の相互関係を抽出し、それぞれの抽出項に新たな発想がある場合は前記文書作成手順に沿って文書化を支援する等の手段を挙げることができる。
請求項9の発明は、前記文書が特許または実用新案の出願に係わる文書を作成するように特化されたことを特徴とする。
本発明の文書作成支援装置は一般に、何かの目的を有する任意の発想の文書化に適用することができる。例えば商品や機能の説明書、操作説明書、各種解説書、各種報告書や届け書等の作成に際しても有効である。しかし特に、特殊な書式の下で明確な対象と目的の提示と達成手段の厳密な記述が要求される特許または実用新案の出願に係わる文書(以下「出願文書」という)の作成に際して、好適な文書が作成できるように内容を特化した構成を有するものであることが好ましい。
請求項10の発明は、特許または実用新案の出願に係わる文書(出願文書)を作成する文書作成支援装置であって、表示画面上に、発明または考案(以下単に「発明」という)を構成する要素についてそれぞれ記述することができる複数の移動可能な要素セルからなる要素階層表を表示し、前記の各要素セルには、それぞれ、要素の名称を記入する名称欄と要素の特性を記述する特性欄とを設け、執筆者が前記要素セルのそれぞれの欄に所要の文書データを記入すると共に各要素セルを、それぞれの並立従属関係を表現するツリー状の階層構造に配位するように支援する要素配位支援手段と、前記各要素の相関関係を文書データとして記述することを支援する相関記述支援手段と、執筆者が各要素の配位と相関関係とを決定した後、前記要素階層表の階層構造に対応するモデル構文図式を提示すると共にこのモデル構文図式に従って前記文書データを自動的に組み替え、執筆者がこのモデル構文図式に従って文書を作成できるように支援する作文支援手段と、を備えたことを特徴とする。
ここで、「ツリー状の階層構造」とは要素の並立従属関係を表す組織図である。例えば要素Aが要素Bと要素Cからなる場合、要素Aは上位に、要素Bと要素Cは要素Aに従属する下位に並立する配置となる。また要素Dと要素Eから要素Fが形成される場合は要素Dと要素Eが上位に並立し、その両者を結ぶ下位に要素Fが配置される。「要素の特性」とは、当該発明を説明するのに必要なそれぞれの要素の構成、形態、性状、組成、動作、作用、効果等を意味する。また「要素の相関関係」とは、前記要素の特性を利用してもたらされる要素間の相互的な構成関係、および相互作用または共同効果を意味する。
上記請求項10の発明になる文書作成支援装置は、要素配位支援手段と相関記述支援手段と作文支援手段とを備えている。このうち要素配位支援手段では、表示画面に要素階層表が表示される。この要素階層表には複数の要素セルが配列されている。要素セルの配列はタテヨコに行列配置とされていることが好ましい。これらの要素セルは要素階層表中で任意に位置を移動または交替することができる。また、それぞれの要素セルには要素の名称を記入する名称欄とその要素の特性を記述する特性欄とが設けられている。
執筆者はこの要素セルに所要の文書データ、つまり要素名と特性を記入すると共に各要素セルを、要素の並立従属関係を表現するツリー状の階層構造に配位する作業を行う。この作業は、執筆者が各要素の並立従属関係を考慮して適当な階層位置にある要素セルの名称欄に要素名を記入することからはじめてもよく、また例えば第1順位にあるそれぞれの要素セルに全ての要素の名称を並立的に記入した後に、要素セルの配置換えを行ってツリー状の階層構造を構築してもよい。名称欄に要素名を記入するに際しては、例えばポップアップ式に、同義語辞書等からより適切な、または汎用的な名称を提示し、それを採用させることもできる。特性欄の記述は文節形式であっても文形式であってもよい。
次に、相関記述支援手段においては、各要素の相関関係を文書データとして記述することを支援する。各要素の相関関係は一般に、要素間の相互的な構成関係(係わり具合)と要素間の相互作用または共同効果(係わり結果)とからなるので、これらを例えば相互構成表および相互作用表に分けて執筆者に記述を促す等の手段が好適である。要素の相関関係の記述は文節形式であっても文形式であってもよい。
作文支援手段においては、前記要素階層表の階層構造に対応するモデル構文図式を提示すると共にこのモデル構文図式に従って前記文書データを自動的に組み替え、執筆者がこのモデル構文図式に従って文書を作成できるように支援する。モデル構文図式は、その構文順序に従って文章を組み立てれば、例えば出願文書の少なくとも主要部分が正確かつわかりやすく作文できるという指針になるもので、要素階層表の階層構造に対応するものとして本装置が内蔵している。例えば階層構造が「本発明の対象Xが要素Aと要素Bとからなり、要素Aは要素Cと要素Dとからなる」という場合であれば、「▲1▼本発明の対象Xは、要素Aと要素Bとからなる。▲2▼要素Aは要素Cと要素Dとからなる。▲3▼要素Aは特性aを有し、要素Bは特性bを有し、要素Cは特性cを有し、要素Dは特性dを有する」・「要素間の相互構成(係わり具合)の記述」・「要素間の相互作用または共同効果(係わり結果)の記述」という構文順序が表示画面に提示される。それと同時に本装置は、前記の要素階層表と相関関係の記述を元にモデル構文図式に従って前記文書データを組み替え、自動的に概略の文章を作成する。
執筆者はこれに文法上の編集操作を加えるだけでほとんど自動的に、発明の説明にとって主要部分となる文または文章が作成できる。この際、作文補助手段として、上記作文構成に対応する既存の文書データを画面に表示し、執筆の下敷きや参考に供することもできる。
さらに必要に応じて発明の前提条件(いわゆる「おいて書き」)や先行技術、発明の目的効果等を文書化して付加し、書式を整えれば、当該発明の説明文書が完成できる。文書形式は単文、複数文からなる文章形式、あるいは箇条書き形式等いずれであってもよい。
請求項11の発明は、前記請求項10記載の文書作成支援装置において、表示画面上に前記要素階層表と共に、発明または考案を構成する要素の名称または符号が付与された図面を表示し、執筆者がこの図面上の名称または符号を前記要素階層表の要素セルに導入すると、その要素セルの名称欄に当該要素の名称が表示されるようにしたことを特徴とする。
請求項11の発明は請求項10の発明と類似しているが、表示画面上に、要素階層表と共に当該発明に係わる図面を表示するところが異なる。
一般に、出願文書に掲載される図面には、発明の説明に必要な各要素ごとに名称または符号が付与されている。図面の要素に符号のみが付与されている場合は、予め符号と名称との1対1の対応が成立している必要がある。執筆者がこの図面上の要素名または符号をポイントし、例えばドラッグ・アンド・ドロップによって要素階層表の適当な要素セルにドロップすると、その要素セルの名称欄に図面の要素名または要素名と符号が記入されるようになっている。要素名を記入した後に要素セルの階層順位を変えたい場合は、当該要素セルを例えばドラッグ・アンド・ドロップにより適当な順位に移動させればよい。要素階層表に要素名が入力された後は請求項10に示したと同様な手順で出願文書を作成することができる。
請求項11では、発明に必要な各要素とその順位の確認が図面上で行えるので、要素の見落としや順位の誤認が防止でき、図面と本文との対応も明確になり、発明の趣旨をより的確に文書化できるようになる。
請求項12の発明は、出願文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面に、作成文書の元となる1以上の文書を表示する元文書表示手段と、表示された前記元文書の全体または指定範囲を自動的に1文ごとに改行して配列する文列作成手段と、配列された各文を、出願文書として予め規定された各項目の欄または不採用欄に重複可能に振り分けることを支援する振り分け支援手段と、前記各項目欄ごとに集められた文書データを編集統合して前記各項目欄に適する文書を作成することを支援する欄別作文支援手段と、を備えたことを特徴とする。
前記請求項12の発明は、既存の出願文書はいうまでもなく、例えば研究論文や発明ノート等、特許出願以外の目的で作成された文書や未完成の明細書原案等でも、それを元として、出願文書を作成する際に適用できる文書作成支援装置に係わる。
本発明ではまず元文書表示手段により、出願文書の元となる1以上の文書を表示画面に表示する。元文書表示手段は、例えば外部または内部のデータベースから検索条件を指定して元となる単独または複数の文書を検索し表示する。またはアナログ文書をスキャナ等で読み取りデジタル化して表示してもよい。必要なら表示された文書の全部または一部を編集したり消去したりして表示画面上で元文書を調整することもできる。
文列作成手段は、前記元文書の全体または指定範囲を自動的に1文ごとに改行して配列する。すなわち、元文書を自動的に文単位に改行分別する。この分別には例えば文末の〔。〕等の指標が用いられる。また、自動分別された文が長文であったり、文意が錯綜しているような場合は、執筆者が手作業で1文をさらに複数の文節等に分割することもできる。
振り分け支援手段は、まず表示画面に、例えば〔請求項1〕〔発明の名称〕〔技術分野〕〔背景技術〕〔発明が解決しようとする課題〕〔課題を解決するための手段〕〔発明の効果〕〔発明を実施するための最良の形態〕〔産業上の利用可能性〕等、出願文書として予め規定された項目の欄および不採用欄を表示する。執筆者は、例えば先に文単位に分別されたデータを1文ずつ、または複数の文を一括選択し、または文の部分を範囲指定し、ドラッグ・アンド・ドロップ等によって上記のいずれかの項目欄または不採用欄に振り分ける。この操作は複数の項目欄の間で重複してもよい。また、各欄に振り分けた文または文の指定範囲は、随時に他の欄に移動や複写が可能である。
欄別作文支援手段は、各欄に集められた文またはその断片を欄単位で編集し、かつ修正または補足して前記各項目欄に適する文書が作成できるように支援する。例えば、当該発明と類似した他の出願文書を表示画面に呼び出し、参照や引用の資料とすることができる。また各項目欄に適した文体や構文形式を図式として提示し執筆の指針として提供してもよい。
本発明の文書作成支援装置は、出願文書全体の作成に利用できるばかりでなく、例えば研究論文から〔発明を実施するための最良の形態〕すなわち実施例のみを作成する場合等にも有効である。
請求項13の発明は、前記請求項12の欄別文書作成支援手段において、当該項目欄の文書データと共に、既存文書の相当する項目欄に記載された文書データを提示し、執筆者が前記既存文書の提示部位を参照または引用しながら前記文書データの編集統合ができるように支援する参考文書提示手段を備えたことを特徴とする。
前記請求項13の文列作成手段は元文献を機械的に文単位に分別するだけなので、項目分類支援手段で各項目に振り分けて得られた文列も、当該発明の主旨に沿うものとは必ずしもなっていない。そこで、次の欄別文書作成支援手段で発明の主旨に沿う文書を効率よく作成するには、当該文書に近似した既存文書を検索し利用することが好ましい。請求項13の発明はこの要求に応えるものである。すなわち例えば、内部または外部に用意されたデータベースから近似した既存文書、例えば同一グループの一連の出願文書のうちで当該発明に近似したものを選択表示して参照、引用の便に供してもよく、さらに、欄別文書データのうち、表示した既存文書に記載がない用語、文節、文等のデータに着色等の標識を付与すれば、執筆者は既存文書を下敷きとし、この標識データを用いて既存文書を部分的に修正したり削除して、当該発明に適応する文書を容易に作成することができる。
請求項14の発明は出願文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面に表示された用語、文節、文または文章に対して、発明または考案の対象と目的が属する分野ごとに類型として予め用意された用語、文節、文または文章を提示し、執筆者がこの類型を参照または引用することで複数文書間の用語または文書スタイルを統一または類型化するように支援することを特徴とする。
多くの発明は単独でなされるものではなく、発明群を形成する。このとき各発明を記載する出願文書において、同一事項に対する用語や、表現形式はできるだけ統一または類型化しておくことが好ましい。請求項14の発明は、文書作成支援装置の内部または外部に当該分野の用語、文または文章の類型を予め用意し、執筆者が当該発明の記載に好適と思う類型データを随時参照または引用できるようにする。特に、執筆者またはその周辺がすでに作成した一連の出願文書は、随時に参照または引用できるように用意されていることが好ましい。このようにして用語や文型を統一しておけば、他の関連文書との情報共有性が向上すると共に、例えば外国語に翻訳する際にも、マニュアル翻訳、機械翻訳いずれの場合も誤訳や誤認が減少し、正確さと効率を向上させることができる。
請求項15の発明は、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の文書作成支援装置において、前記各文書作成支援手段が作動するように構築された文書作成支援プログラムを提供する。
この文書作成支援プログラムによって、請求項1〜請求項14に記載された本発明の文書作成支援装置は、執筆者の要求に応じて円滑に作動できるようになる。
本発明の文書作成支援装置は合目的発想を文書化するに際して、先ず当該対象と目的と効果を明確に文書化するので、得られた目的文・効果文を文書データ作成中に随時参照でき、かつ目的からの逸脱を防止するように調整できるので完成された文書データの内容が目的・効果から逸脱または歪曲することがない。また文書作成に際して発想を図式化することで発想の目的および構成を視覚的に認識し、次いでその図式の部分を文書化して文節を作成し、その文節を組合わせて文書データを作成し、さらに整合支援手段によって文書データを目的・効果に整合させるという手順で文書作成作業を支援するので、執筆者が作文に不慣れであっても円滑に合目的文書が作成できるようになる。さらに発想者が直接図式を作成したり文書データを作成したりできるので発想を熟成させることができ、より的確で有利な内容を含む文書が作成できるようになる。
本発明の文書作成支援装置は出願文書を作成するに際して、構成要素とその相関関係を解析しモデル構文図式を提供して作文を支援するものであるので、文書の作成が容易、迅速かつ的確に遂行できるようになる。
本発明の文書作成支援装置は出願文書を作成するに際して、既存の文書を元にして書式に則った文書が作成できるよう支援するものであるので、出願文書の作成が容易、迅速かつ的確に遂行できるようになる。
本発明の文書作成支援装置は出願文書を作成するに際して、構成要素とその相関関係を解析しモデル構文図式を提供して作文を支援するものであるので、文書の作成が容易、迅速かつ的確に遂行できるようになる。
本発明の文書作成支援装置は出願文書を作成するに際して、既存の文書を元にして書式に則った文書が作成できるよう支援するものであるので、出願文書の作成が容易、迅速かつ的確に遂行できるようになる。
第1図は、コンピュータ内に収蔵された本発明の文書作成支援装置の一実施形態を示す構成図。
第2図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示された一作業場の画像。
第3図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示された他の一作業場の画像。
第4図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第5図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第6図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第7図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第8図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第9図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第10図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第11図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第12図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第13図は、前記文書作成支援装置の一文書作成支援装置の他の一実施形態においてディスプレイに表示された一作業場の画像。
第14図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示された他の一作業場の画像。
第15図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第16図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第17図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第18図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第19図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第20図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第21図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第22図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第23図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第24図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第25図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第26図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第27図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第28図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第2図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示された一作業場の画像。
第3図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示された他の一作業場の画像。
第4図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第5図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第6図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第7図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第8図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第9図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第10図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第11図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第12図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第13図は、前記文書作成支援装置の一文書作成支援装置の他の一実施形態においてディスプレイに表示された一作業場の画像。
第14図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示された他の一作業場の画像。
第15図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第16図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第17図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第18図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第19図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第20図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第21図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第22図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第23図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第24図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第25図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第26図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第27図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
第28図は、前記文書作成支援装置の一実施形態においてディスプレイに表示されたさらに他の一作業場の画像。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。以下の実施形態は本発明の構成を単に説明するためのものであり、いかなる観点からも本発明を制限するものではない。
(実施形態1)
図1はコンピュータ内に収蔵された本発明の文書作成支援装置の一例を示す構成図である。この構成における文書作成支援装置(以下「本装置」という)は、[特許請求の範囲]を含む特許出願書類を作成する際の支援を行う目的に特化されたプログラムを有している。
本装置は、ディスプレイ画面上に基本的に八つの「作業場」、すなわち図1に示すように、▲1▼目的効果記述作業場、▲2▼図式化作業場、▲3▼文節作成作業場、▲4▼構文作業場、▲5▼整合作業場、▲6▼書式確定作業場、▲7▼従属項形成作業場および▲8▼従属文作成作業場を表示することができる。これらの作業場は必要に応じて任意の1以上をディスプレイ画面に呼び出すことができ、また各作業場の画面は拡大・縮小・移動・重複・部分表示・並列表示が可能であり、かつ各作業場間でデータの授受が可能である。本装置は上記作業場とは別に、▲9▼資料室を有している。
上記のそれぞれの作業場および▲9▼資料室の機能の概略を以下に説明する。
▲1▼目的効果記述作業場は、発明の対象、発明目的および効果を執筆者(発明者と同一人でも異なっていてもよい)が文書データとして表現し、かつその対象分野と技術態様を規定する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲2▼図式化作業場は、執筆者が発明の内容を図式として表現する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲3▼文節作成作業場は、図式化された発明内容を複数の要素に分割し、各要素ごとの構成と、各要素の相互関係とを個別に記述して文節を作成する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲4▼構文作業場は、前記の文節を統合し文法的に適正な文を作成する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲5▼整合作業場は、作成された文書データを前記目的効果と照合しながら執筆者が評価し、必要なら目的や効果に整合するように文書データに修正や変更を施す作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲6▼書式確定作業場は、前段までに得られた文書データを必要なら上位概念化し、また請求項を作成するため体言止めの定型文に再構成するなどして文を確定する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲7▼従属項形成作業場は、前記確定文が書類[特許請求の範囲]の請求項である場合に任意的に呼び出される作業場であって、前記確定文(請求項1)から各要素および要素の相互関係を抽出して表示し、当該要素に関して従属的な発明がある場合はその内容を執筆者に記載させる作業場である。
▲8▼従属文作成作業場は、発明があった前記要素を記述対象(従属主体)として個別に従属請求項を作成する作業場である。この作業が終わった後で、画面は再び▲6▼書式確定作業場に戻り、書類[特許請求の範囲]の全文が表示され、総体的な調整・確認ができるようになっている。
▲9▼資料室は、前記各作業場において作業に必要な各種の文書データや図式データを辞書やDB(データベース)ファイルとして収蔵していると共に、取込手段を介して外部DBからデータを導入する機能、および任意の文から形態素を抽出して表示する形態素抽出機能も有している。▲9▼資料室はディスプレイ画面上に単独でまたは他の任意の作業場と並存して開くことができ、開かれた資料室内で、収蔵データや外部から導入したデータを検索し、必要なデータを抽出し、必要に応じて編集・改造することができ、得られたデータを随時に前記の任意の作業場に転送することができる。
ディスプレイ画面の一隅には各作業場を示すアイコンが並列表示され、何れかのアイコンをクリックすることで任意の作業場が呼び出せると共に、画面上に現存する作業場がアイコンの形状や地色の相違等によって明確に識別できるようになっている。
次に各作業場の詳細な構成を説明する。ここでは便宜上、ある特定の発明を文書化する事例を示すが、この事例はあくまでイメージを提供するためのものであって、それ自体の内容、妥当性および表現は本発明と無関係である。
図2は、ディスプレイに表示された▲1▼目的効果記述作業場である。ここでは、対話形式により目的文および効果文の記述を誘導する。
先ずQ101で、発明の目的を記述する枠(A101)を提示し、執筆者に、発明対象と発明目的とを記入させる。この段階では思いつきの用語を用いてよい。
Q102で、発明の効果を記述する枠(A102)を提示し、執筆者に、発明の効果を記入させる。
Q103で、発明対象が含まれる分野を執筆者に選定させる。例えば国際特許分類等に準じて画面上に対象分野の名称を大分類から小分類へ枝分かれ的に掲示して対象分野を絞り込むように支援する。ここでは▲9▼資料室(図示せず)が保有する階層的類語辞書を呼び出し、大分類の「機械装置」から順次対象を絞り込んで最小分類の「送風機」に到達するように誘導する。分類項目は一つでなくてもよい。
Q104で、当該発明の技術態様がモノの構造、構成、製造方法、使用方法、情報処理、その他のいずれであるかを執筆者に択一的に選択させる。発明の技術態様は、後にモデル文型を呼び出す際等に特に重要になる。
Q105で、用語の調整を行う。すなわちA101、A102に記述された文について形態素解析を行い、それぞれの形態素について▲9▼資料室内の類語辞書等から類似と判断される語句(群)を抽出・掲示して執筆者に適切な用語を選択させる。本事例では[扇風機]に代わって「冷風機」が執筆者によって選択された。これに伴ってA101の「扇風機」は自動的に「冷風機」に変換される。(図2では変換後の対象名を括弧内に示した。)
Q106で、発明の対象・目的・効果・分類の確定を求める。A106の「確定」をクリックすることで発明対象の名称と目的文、効果文および分類項は決定されたことになるが、これらは後の作業中に変更も可能である。
図3は、▲2▼図式化作業場および▲9▼資料室の一部である。ここでは発明イメージ(発想対象)の図式化を行う。
Q201において、図式が簡単な式や表の場合は執筆者が画面に直接描いてもよいが、多くの場合は▲9▼資料室を呼び出し、この中に収蔵された類語辞書、図形・符号辞書、内蔵DBまたは外部DBから発明イメージに近似する図式または図式要素を検索・選択し、またはスキャナやタブレット等のA/D変換手段を用いてアナログ図式をデジタル化して取り込み、文書編集機能、図面編集機能、辞書機能等を用いて発明イメージに適合する図式をA201の空枠内に作成する。
Q202で図式を確定する。
Q203で、図式に示された本発明の対象および各要素に符号と名称を付与する。具体的には、図式上の指定しようとする要素をポイントするか枠状に囲み、そこから引出し線を引き出し、画面の適当な空白部でクリック(ドラッグ・アンド・ドロップ)すると、その位置に、自動的に連番が付された空欄が提示される。この空欄に執筆者が名称を入力すると各要素の符号数字と名称との対応が得られ、この対応はA203で図面上に示されるばかりでなく、A204−2の一覧表にも表示される。
Q204では、まずA204−1に掲示された選択肢から符号呼称の選択が求められる。本事例では「01,02,03、…」の符号呼称が選択された。
Q204のA204−2には、呼称が選択された符号と共にA203に連動した名称の一覧表が自動的に作成される。またそれぞれの名称について、▲9▼資料室内の類語辞書から関連する語群が表示され、執筆者に必要なら用語の変更を促す。A204−2において決定された符号と名称のセットは、A201の図式をはじめ全ての作業場に反映され、文書データ作成中に符号か名称かの何れか一方を入力すれば任意的に他の一方または両方が表示されるようになっている。ここで設定された符号と名称のセットは、特に訂正されない限り文書データの完成まで維持される。ただし符号や名称を変更したい場合は任意の作業場で随時に変更でき、その変更内容は全ての作業場のデータに反映される。また初期値への復元も可能になっている。
図4は、▲3▼文節作成作業場の一例である。ここでは前記により図式化された発想対象を複数の要素に分割し、各要素ごとの構成と相互関係を文書形式で記述して文節を作成する。
画面には図式A201が掲示される。
Q301で、各要素の形状や機能の記述を求める。A301では、A204−2の各要素の符号と名称が自動的に表示される。これらの要素のうちで発明の構成に係わる要素は「構成要素」として執筆者にチェックさせる。このチェックは後の構文作業において必要になる。
要素の記述中、必要に応じて類語辞書機能から用語が検索でき、入力された文書データからは形態素(単語)が抽出でき、また各単語をマークするとこれに対してポップアップ式に用語候補が提示され、必要に応じて変更ができるようになっている。例えば本事例では最初の発想における「噴入口」が再検討され「噴射ノズル」に変更されている。この変更は直ちに他の作業場にも反映される。(ただし、作業経過を示すために図面では変更を遡及していない。以下同様。)
Q302で、要素間の構成上の関係が求められる。執筆者は2以上の要素の相互関係をA302に記入する。▲9▼資料室の類語辞書機能や形態素抽出機能は引き続き作動している。
Q303で、A303の表に要素の相互作用を記述させる。この項は発明の目的と効果を結びつける構成であるから、必要ならA101(目的文)、A102(効果文)を呼び出して参照することができる。
Q302(要素間の構成上の関係)とQ303(要素の相互作用)は、明確に区別できない場合もある。この場合は執筆者の大まかな判断で振り分けても、後に修正の機会があるので差し支えない。
この▲3▼文節作成作業場における作業によって、構文に必要な文節は用意されたことになる。この作業の途中で、執筆者は発想を熟成させることができる。
図5は▲4▼構文作業場の一部(配位作業場)である。ここでは選択されたモデル文型に沿って前記文節を配位する作業を支援する。
Q401では、発明の対象分野(「冷風機」)および技術態様(「構造」)が再確認される。
Q402では、機械装置の構造の記述に好適な二つの基本文型をモデル文型として提示し、執筆者に選択を求める。すなわち、本事例では、モデル文型として、
(a)「発明の対象が構成要素(AとBとCと…)を有し、その相互関係は〜である」
という要素並列形文型、
(b)「〜である既成の対象において、発明事項は〜である」
という既成前置形文型(いわゆる「おいて書き」形式)、および
(c)自由文型
が選択肢として提示される。いずれを採用しても文書化は可能であるが、執筆者は他の関連明細書との書体統一、書きやすさ、わかりやすさ等を考慮して、この事例では(a)要素並列形文型を選択した。(c)自由文型を採用した場合は、執筆者がA301、A302、A303のデータを用いて独自に作文することになる。
Q403では、(a)要素並列形文型の選択に伴い、各文節の配位が自動的に行われる。配位順は、第1位が発明の対象、第2位が構成要素、第3位が対応する構成要素の形状や機能、第4位が各要素の構成関係、そして第5位が相互作用である。これらのデータはすでにA301、A302、A303にそれぞれ分別して与えられているので、執筆者が改めて入力しなくても自動的に転記される。その上で必要なら執筆者がドラッグ・アンド・ドロップ等によって入れ替えや変更等を行うこともできる。
Q404で各文節の配位を確定する。
図6は▲4▼構文作業場の一部(作文作業場)である。ここでは前記モデル文型(a)と各要素の配位とを組み合わせて助詞、助動詞つきの文を作成する。
Q405では、基本文型に沿って本装置が自動的に各文節を配列し自動作文する。これは各文節の配位がA403のように確定しているので機械的に行うことができる。
Q406では、執筆者に整理・訂正を求める。これは、上記の機械的配列では記述内容が重複したり、配位順が不適切であったり、助詞・助動詞・動詞活用形等文法的記述事項に不適正が生じている可能性があるからである。またこの段階でも余分な事項や不足の事項が発見されれば削除・補足が可能である。本事例では例えば「風を作り出す…」が「風を起こす…」と訂正されたり、また重複を排除し説明順序を変更して文を簡潔化する等の整理・訂正が行われている。
図7は、▲5▼整合作業場の一例である。ここではA406の文書データを目的・効果と整合するように調整する。
ディスプレイ画面には目的文(A101)、効果文(A102)、および図式(A201)が改めて掲示される。これは作成された文が発明の目的および効果から逸脱しないように看視するためである。
Q501では、A406の文が目的・効果および図式に照らして逸脱や過不足なく表現されているか、文法的な不具合がないか、重複が多く冗長になっていないか等をチェックし必要なら訂正を促す。この整合作業によって、A406の文内容が万一目的から逸脱していたとしても、同時に掲げられている目的文(A101)、効果文(A102)、および図式(A201)を参照し、執筆者は気づいて訂正することができる。
Q502では調整完了の確認を求めるが、文をいじりすぎてかえっておかしくなった場合は初期値に戻して再調整できるようになっている。
図8は、▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは権利範囲の拡張、および請求項への文体変更を行う。
Q601では、A501の文について権利範囲の拡張を行う。特に、上位概念化が可能と判断した語句を執筆者がマークするとポップアップ式に候補語句が表示される。執筆者は必要なら選択して上位概念の語句に置換する。例えば本事例では「冷風機」がその上位概念と考えられる「送風機」に、「液化炭酸」がその上位概念と考えられる「液化ガス」に、「炭酸ガス」が「排気」に、「供給・停止および噴射量の調節」が「流量調節」に、また「ボンベ」が「液化ガス容器」に、等の変更が行われている。(図面では変更を遡及せず。)その上で、この置換により全体の文構成や意味が崩れないか見直しを促す。得られた文書データ(A601)は明細書の本文中や要約書にほぼそのまま適用が可能である。
Q602では、A601の文書データを[特許請求の範囲]の[請求項1]の書式に書き改める。すなわち「…を特徴とする(発明対象)。」という体言止めの定型文に変換する。この変換は一次的には本装置がA601の文書データを基に自動的に行う。併せて、任意的に、要素に付記した符号を消去し「前記」等の慣用前置語を付属する。
Q603で[請求項1]としての文の完成を確認する。
図9は、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここでは従属項を作成するための表A701−1と表A701−2が作成される。
Q701で、従属項を作成するための要素の抽出を行う。ここではA301に表示された各要素、およびA302に表示された各要素の相互関係がA701−1、A701−2に、「副対象」として表示される。これらのうちで従属項を作成する必要がある項目には請求項順位を示す識別番号(▲1▼、▲2▼…)を執筆者に付与させる。これは、後に[請求項2]、[請求項3]…等として識別する必要が生じるからである。
Q702で、必要なら前記従属発明を表現する図式の作成を支援する。この場合も▲2▼図式化作業場と同様に▲9▼資料室を呼び出し、この中に収蔵された類語辞書、図形・符号辞書、内蔵DBまたは外部DBやスキャナ等のA/D変換機器から発明イメージに近似する図式を検索・選択し、または手描き入力し、文書編集機能、図面編集機能、辞書機能等を用いて発明イメージに適合する図式が作成できるよう、また図式の各要素には図1と整合する符号、名称を付与するように支援する。
図10は、図9に引き続き、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここではさらに下位の従属項を作成するための表A703が作成される。ただし本事例の場合は下位従属項がないので記入されていない。
Q704で従属項形成作業の終了が確認されると画面は▲8▼従属文作成作業場に移る。
図11は、▲8▼従属文作成作業場の一例である。ここでは前記の表A701−1、A701−2、A703の記入に基づいて従属項が作成される。
Q801では、特許請求の範囲の従属項を作成するのか普通文を作成するのかが確認される。
Q802では、表A701−1、A701−2、A703の記入内容から従属項は1項のみであることを判断してその階層と内容から自動的に請求項の書式に則った文案を[請求項2]としてA802に表示する。
Q803で、必要なら執筆者が文を訂正し、A803で確定すると画面は自動的に▲6▼書式確定作業場に戻る。
図12は、再び表示された▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは、[特許請求の範囲]の書式に則って主発明が[請求項1]として、また従属発明が[請求項2]として記載されている。必要なら再度文書データを訂正する。この際、執筆者のみによらず、できれば明細書作成の経験者や専門家に読んでもらって問題ないか確認することを薦める。その上で出願文書として確定する。
A201やA702で作成された図面は、明細書用の図面として直ちに利用することができる。またここで[特許請求の範囲]の作成が終了した段階で引き続き、作業中に得られた文書データおよび図面を転用して[要約書]等を作成するプログラムに移行することもできる。
(実施形態2)
本実施形態は、図1に示した文書作成支援装置を化合物の製造方法の発明に適用し、[特許請求の範囲]の請求項を作成する場合の一例を示している。ここで採用されている事例はあくまでイメージを提供するためのものであって、それ自体の内容、妥当性および表現は本発明と無関係である。
図13は、ディスプレイ画面に表示された▲1▼目的効果記述作業場である。
先ずQ101で、発明の目的を記述する枠(A101)を提示し、執筆者に、発明対象と発明目的とを記入させる。ここではカルボン酸アミドの製造時の着色防止が記入された。
次にQ102で、発明の効果を記述する枠(A102)を提示し、執筆者に発明の効果を記入させる。
次にQ103で、発明対象が含まれる対象分野を選定させる。ここでは▲9▼資料室(図示せず)が保有する階層的類語辞書を呼び出し、大分類の「化学」から順次対象を絞り込んで最小分類の「カルボン酸アミド」に到達することができる。
次にQ104で発明の技術態様を、構造、構成、製造方法、使用方法、情報処理、その他の項目から選択させる。発明の対象分野および技術態様の選択は後にモデル文型を呼び出す際、特に重要になる。
次にQ105で、用語の調整を行う。すなわちA101、A102の記載の中で、▲9▼資料室内の類語辞書等に照らして不適切と思われる語句は指摘すると共に、相当する語句(群)の候補を表示して執筆者に選択させる。例えば本事例では「カルボン酸アミド」が「カルボキシル酸アミド」に変更された。(図面では変更を遡及せず。)
図14は、ディスプレイ画面に表示された▲2▼図式化作業場および▲9▼資料室の一部である。ここでは発明イメージを化学式で表す図式化作業を行う。
Q201において、まず▲9▼資料室を呼び出し、この中に収蔵された有機化学に対応する化学式の断片(官能基群)を選択し、図1を作成する。図1はまた、内蔵DBまたは外部DBから類似方程式を検索・抽出し、これを加工して作成することもできる。
Q203で、図式に示された各化学式に符号と名称を付与する。具体的には、指定しようとする化学式を包囲し、その囲いから引き出し線を引き出し、、画面の適当な空白部でクリック(ドラッグ・アンド・ドロップ)すると、その位置に、自動的に連番が付され空欄が表示される。この空欄に執筆者が名称を入力すると各化学式の符号番号と名称との対応が得られる。この対応はA203で図面上に示されるばかりでなく、A204−2の一覧表としても表示される。
Q204では、まずA204−1に掲示された選択肢から符号呼称の選択が求められる。ここでは図式が化学式であるところから「式(1)、式(2)、式(3)、…」の符号呼称が選択されている。
Q204のA204−2には、呼称が選択された符号と共にA203に連動した名称の一覧表が自動的に作成される。またそれぞれの名称について、▲9▼資料室内の類語辞書から関連する語群が表示され、執筆者に必要なら用語の変更を促す。A204−2に記載された符号と名称のセットは、A201の図式をはじめ全ての作業場に反映され、文書データ中に符号か名称かの何れか一方を入力すれば任意的に他の一方または両方が表示されるようになっている。ここで設定された符号と名称のセットは、特に訂正されない限り文書データ完成まで維持される。ただし符号や名称を変更したい場合は任意の作業場で随時に変更でき、その変更内容は全ての作業場のデータに反映される。また初期値への復元も可能である。(図面では変更を遡及せず。)
図15は、▲3▼文節作成作業場の一例である。ここではそれぞれの化学式についての限定条件と化学式間の相互関係を記述して文節を作成する。
Q301で、各化学式についての限定条件の記述を求める。ここでは、A204−2の各要素の符号と名称が自動的に表示される。これらの要素のうちで発明の構成に係わる要素は「構成要素」として執筆者にチェックさせる。このチェックは後の構文作業において必要になる。記述中、入力された単語に対してポップアップ式に用語候補が提示され、必要に応じて変更ができるようになっている。
Q302で、化学式間の相互関係を記述させる。執筆者は4物質の相互関係をA302に記入する。この間も▲9▼資料室の類語辞書機能は作動している。
Q303で、それら物質の相互作用を記述させる。この項は発明の目的と効果を結びつける構成であるから、必要ならA101(目的文)、A102(効果文)を呼び出して参照することができる。
図16は▲4▼構文作業場の一部(配位作業場)である。ここでは選択されたモデル文型に沿って前記文節を配位する作業を支援する。
Q401では、A103、A104の分類結果からこの発明が「有機化合物の製造方法」に係わるものであることを本装置が自動的に判断して執筆者にその確認を求める。
Q402では、化学的方法の記述に好適な二つの基本文型をモデル文型として提示し、執筆者に選択を求める。すなわち、実施形態2の事例では、モデル文型として、
(a)「発明の対象が構成要素(AとBとCと…)を有し、その相互関係は〜である」
という要素並列形文型、
(b)「〜である既成の対象において、発明事項は〜である」
という既成前置形文型(いわゆる「おいて書き」形式)、および
(c)自由文型
が選択肢として提示される。いずれを採用しても文書化は可能であるが、執筆者は他の関連明細書との書体統一、書きやすさ、わかりやすさ等を考慮して、この事例では(b)既成前置形文型を選択した。(c)自由文型を採用した場合は、執筆者がA301、A302、A303のデータを用いて独自に作文することになる。
Q403では、(b)既成前置形文型の選択に伴い、各文節の配位を行う。配位順は、A403−1第1位が発明の対象、A403−2第2位が既成の要素、A403−3第3位が既成要素の相互関係、A403−4第4位が発明に係わる要素、そしてA403−5第5位がその相互関係・作用であって、これらの配位表は例えばA301、A302、A303からの転記(ドラッグ・アンド・ドロップ)によって執筆者が容易に作成することができる。
図17は▲4▼構文作業場の一部(作文作業場)である。ここでは前記モデル文型(b)と各要素の配位とを組み合わせて助詞、助動詞つきの文を作成する。
Q405では、基本文型に沿って本装置が自動的に各文節を配列し自動作文する。これは各文節の配位がA403−1〜A403−5において確定しているので機械的に行うことができる。
Q406では、執筆者に整理・訂正を求める。これは、上記の機械的配列では記述内容が重複したり、助詞・助動詞・動詞活用形等文法的記述事項に不適正が生じている可能性があるからである。またこの段階でも余分な事項や不足の事項が発見されれば削除・補足が可能である。本事例では例えばA405では発明の対象項が「式(4)のカルボキシル酸アミド(式中、目的物)…」という余分な事項を含むのに対しA406では「カルボキシル酸アミド…」と整理されている。
図18は、▲5▼整合作業場の一例である。ここではA406の文書データを目的・効果と整合するように調整する。ディスプレイ画面には目的文(A101)、効果文(A102)、および図式(A201)が改めて掲示される。これは作成された文が発明の目的および構成から逸脱しないようにするためである。
Q501では、A406の文が目的・効果および図式に照らして逸脱や過不足なく表現されているか、文法的な不具合がないか、重複が多く冗長になっていないか等をチェックし必要なら訂正を促す。この整合作業によって、A406の文内容が万一目的から逸脱していても執筆者は気づいて訂正することができる。またここでは、式番号を文中での出現順に従って自動的に改変している。
Q502では調整完了の確認を求めるが、文をいじりすぎてかえっておかしくなった場合は初期値に戻して再調整できるようになっている。
図19は、▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは権利範囲の拡張、および請求項への文体変更を行う。
Q601では、A501の文について権利範囲の拡張を行う。特に、上位概念化が可能と判断した語句を執筆者がマークするとポップアップ式に候補語句が表示される。執筆者は必要なら選択して上位概念の語句に置換する。その上で、この置換により全体の文構成や意味が崩れないか見直しを促す。得られた文書データ(A601)は明細書の本文中や要約書にほぼそのまま適用が可能である。本事例では例えば発明の対象が「カルボキシル酸アミドの製造方法」から「有機酸誘導体の製造方法」と変更され、また各化学構造式の制限条件も拡張されている。(図面では変更を遡及せず。)
Q602では、A601の文書データを[特許請求の範囲]の[請求項1]の書式に書き改める。すなわち「…を特徴とする(発明対象)。」という体言止めの定型文に変換する。また文中に[化 ]という式図挿入枠を設けて化学式を挿入し書式を整える。この文体変換は一次的には本装置がA601のデータを基に自動的に行う。
図20は、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここでは従属項を作成するための表A701−1と表A701−2が提示される。
Q701で、従属項を作成するための要素の抽出を行う。ここではA301に表示された各要素、およびA302に表示された各要素の相互関係がA701−1、A701−2に、「副対象」として表示される。これらのうちで従属項を作成する必要がある項目には請求項順位を示す識別番号(▲1▼、▲2▼…)を付与させると共にその発明内容を記入させる。この識別番号は後に作成される[請求項2]、[請求項3]…の従属発明に対応するものとなる。
Q702で、必要なら前記従属発明を表現する図式の作成を支援する。本事例では従属する図式がないので空欄である。
図21は、図20に引き続き、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここではさらに下位の従属項を作成するための表A703−▲1▼、表A703−▲2▼が作成される。ただし本事例の場合は下位従属項がないので記入されていない。
図22は、▲8▼従属文作成作業場の一例である。ここでは前記の表A701−1、A701−2の記入に基づいて従属項が作成される。
Q801では、識別符号▲1▼の従属項に対して特許請求の範囲の[従属項]とするかどうかが確認される。
Q802では、表A701−1の記入内容から自動的に請求項の書式に則った文案を[請求項2]としてA802に表示する。
Q803では、識別符号▲2▼の従属項に対して特許請求の範囲の[従属項]とするのかどうかが確認される。
Q804では、A802と同様に請求項の書式に則った文案を[請求項3]としてA804に表示する。
Q805で確定すると画面は自動的に▲6▼書式確定作業場に戻る。
図23は、再び表示された▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは、[特許請求の範囲]の書式に則って主発明が[請求項1]として、また従属発明が[請求項2][請求項3]として記載されている。必要なら再度文書データを訂正し、出願文書として確定する。
(実施形態3)
本実施形態は、請求項10および請求項11の発明に対応するものである。
図24は、ディスプレイの一表示画面を示している。この表示画面は「要素配位作業場」と名づけられ、図面と要素階層表とが並列表示されている。図面には、当該発明を説明するための図形が描かれ、図形には当該発明を説明するに必要な要素に番号が付けられている。この図形は、前段の作業で作成したものであってもよく、または内外の図形データベースから呼び出したものであってもよい。図中の番号は、予め要素名称と1対1の対応が装置内に保存されている。要素階層表には複数の要素セルがタテヨコに行列配置されている。行(ヨコ)方向は左から順に発明の対象、第1階層、第2階層、…というように構成要素の従属順位が示されている。列(タテ)方向はそれぞれの従属順位における並立関係が示される。
この画面で執筆者は、図面中の任意の番号をポイントし、ドラッグ・アンド・ドロップで要素階層表の適当な要素セルにドロップする。「適当な要素セル」とは、執筆者が予想する階層位置にある空欄の要素セルであり、その位置に不都合が生じればいつでもドラッグ・アンド・ドロップにより要素セルの移動や変更が可能である。要素セルに要素番号をドロップすると、要素セルの名称欄にその要素の名称または名称と番号が入力される。ある上位階層の要素セルに複数の並立要素セルが従属する場合、対応する上位セルと下位セルをマウス等で範囲指定すれば、ツリー状の線でそれらの要素セルが結ばれ、従属並立関係が明示される。下位階層の並立要素数が増えれば上位階層にある次の並立要素はその分だけ下方に自動的にズリ下がるので枝状の線が錯綜することはない。
執筆者は、各要素セルの特性欄に、当該発明を説明するのに必要なそれぞれの要素の構成、形態、性状、組成、動作、作用、効果等を文書データとして記入する。一特性ごとに改行して箇条書きにすることが好ましい。要素セルは、通常の罫線枠と同様にデータ量に応じて記載面を拡大縮小できる。
図25は「相関記述作業場」を示している。ここでは、前記各要素の相関関係を文書データとして記述する作業を行う。この画面では「相互構成表」と「相互作用表」とが表示されている。執筆者はまず前作業場の図面および要素階層表を参照しながら相互構成表の「要素の組み合わせ」欄に構成上関連する要素名を記入する。要素名の記入は、前作業場の図面または要素階層表から複写または挿入して行うこともできる。次にその要素組み合わせの構成上の関係を「どういう構成関係?」欄に箇条書きで記入する。次に執筆者は相互作用表の「要素の組み合わせ」欄に作用上関連する要素名を記入し、かつ「どういう相互作用?」欄に箇条書きで相互作用または共同効果を箇条書きで記入する。
図26は「作文作業場」を示している。ここではまずモデル構文図式が提示される。このモデル構文図式は図24に示した要素階層表の構成に対応するもので、本実施形態の装置内には要素配位の様々なパターンに対応する複数のモデル構文図式が内蔵されている。一方、提示されたモデル構文図式の各欄に対応して「推奨構文」の欄が設けられている。ここには図24、図25に記載された文書データが前記のモデル構文図式に従って自動的に配置される。自動配置された推奨構文は、そのままの順序で並べれば、若干の文法的修正を施すだけで、発明を説明する主要な文章となり得る。また必要あれば、上記の全文を接続詞等で連結し1文形式に作文することもでき、またたとえば請求項のように体言止めの1文とすることもできる。さらに必要なら、発明の前提条件を示す、いわゆる「おいて書き」のような文章を前置することもできる。
(実施形態4)
本実施形態は、請求項12、請求項13および請求項14の発明に対応するものである。
図27は、ディスプレイの一表示画面を示している。この表示画面は「振り分け作業場」と名づけられ、「元文書欄」「文列欄」および「振り分け欄」が並列表示されている。
執筆者はまず「元文書欄」に出願文書作成の元となる文書を呼び出す。この文書は特許文献に限らず、文書データであれば研究論文や各種説明文等どんな文書形態のものであってもよく、さらに研究ノートや発明ノート、あるいは明細書原案や未完成の明細書等であってもよい。アナログ文書であれば、スキャナ等で読み取りデジタル化して元文書とすることができる。またこの文書は本装置が保有するデータベースから呼び出してもよいし、外部のデータベースから選択して呼び出してもよい。さらに、元文書は複数あってもよい。ただしこの場合は同時処理ではなく、順次に処理することが好ましい。執筆者は必要なら表示された元文書の全部または一部を編集したり消去したりして表示画面上で元文書を調整することもできる。
執筆者が元文書の全体を文列処理するかまたは範囲指定して処理するかを決定し確認すると、本装置は自動的に文の分別作業を開始し、〔。〕や〔?〕等の文末指標を検索して機械的に単文を識別し、「文列欄」に、一文ずつ改行して配列する。自動分別された文が長文であったり、文意が錯綜しているような場合は、執筆者が手作業で1文をさらに複数の文節等に分割することもできる。
次に振り分け作業を行う。本実施形態では振り分け欄に予め、特許出願書類の書式として定められた項目、例えば〔請求項1〕〔技術分野〕〔背景技術〕〔発明が解決しようとする課題〕〔課題を解決するための手段〕〔発明の効果〕〔発明を実施するための最良の形態〕書類名〔要約書〕等の項目欄、および不採用欄が表示されている。執筆者は文列欄に表示された文を、内容を判断してドラッグ・アンド・ドロップ等によってこれらの項目欄に振り分ける。図27の矢印で示したように1文を複数の欄に振り分けてもよい。また文F、G、H、Iのように文群をまとめて振り分けることもできる。
図28は「欄別作文作業場」を示している。振り分け作業場における振り分け作業が終了すると、表示画面は欄別作文作業場に切り替わる。ここでは2列の欄が表示されている。第1の欄は「編集欄」であって、図27に示した振り分け欄の内容がそのまま表示される。執筆者は編集欄に記載された文群を項目欄ごとに整理統合し編集して作文を行う。第2の欄は「引用データ欄」であり、必要に応じて各種の情報を呼び出して作文作業を支援する。例えば、関連する図面や表を表示することができる。また請求項13に示したように、当該発明と近似した他の出願文書を呼び出せば、同一画面上でこれを参照したり引用したりしながら作文できるので、作文が効率化できる。また引用データ欄には、請求項14に示したように、当該分野で一般的に使用される用語やモデル文節、モデル文型等を表示して作文を支援することもできる。このようにすれば他の出願文書類と用語や表現の統一が図れるので、翻訳等に際しても有利な出願文書が作成できる。図28に示した具体例では、引用データ欄に同一発明者が先に出願した関連発明の明細書が表示されている。執筆者はこのデータを参照し、例えば図27の振り分け欄に記載されていた「超電導効果」の用語を「超伝導性」と変換して他文書間の用語の統一を図り、また〔技術分野〕の欄は引用データの文をそのまま転用して作文作業を簡略化している。
(実施形態1)
図1はコンピュータ内に収蔵された本発明の文書作成支援装置の一例を示す構成図である。この構成における文書作成支援装置(以下「本装置」という)は、[特許請求の範囲]を含む特許出願書類を作成する際の支援を行う目的に特化されたプログラムを有している。
本装置は、ディスプレイ画面上に基本的に八つの「作業場」、すなわち図1に示すように、▲1▼目的効果記述作業場、▲2▼図式化作業場、▲3▼文節作成作業場、▲4▼構文作業場、▲5▼整合作業場、▲6▼書式確定作業場、▲7▼従属項形成作業場および▲8▼従属文作成作業場を表示することができる。これらの作業場は必要に応じて任意の1以上をディスプレイ画面に呼び出すことができ、また各作業場の画面は拡大・縮小・移動・重複・部分表示・並列表示が可能であり、かつ各作業場間でデータの授受が可能である。本装置は上記作業場とは別に、▲9▼資料室を有している。
上記のそれぞれの作業場および▲9▼資料室の機能の概略を以下に説明する。
▲1▼目的効果記述作業場は、発明の対象、発明目的および効果を執筆者(発明者と同一人でも異なっていてもよい)が文書データとして表現し、かつその対象分野と技術態様を規定する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲2▼図式化作業場は、執筆者が発明の内容を図式として表現する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲3▼文節作成作業場は、図式化された発明内容を複数の要素に分割し、各要素ごとの構成と、各要素の相互関係とを個別に記述して文節を作成する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲4▼構文作業場は、前記の文節を統合し文法的に適正な文を作成する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲5▼整合作業場は、作成された文書データを前記目的効果と照合しながら執筆者が評価し、必要なら目的や効果に整合するように文書データに修正や変更を施す作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲6▼書式確定作業場は、前段までに得られた文書データを必要なら上位概念化し、また請求項を作成するため体言止めの定型文に再構成するなどして文を確定する作業場であり、その作業を支援するさまざまなツールが提供される。
▲7▼従属項形成作業場は、前記確定文が書類[特許請求の範囲]の請求項である場合に任意的に呼び出される作業場であって、前記確定文(請求項1)から各要素および要素の相互関係を抽出して表示し、当該要素に関して従属的な発明がある場合はその内容を執筆者に記載させる作業場である。
▲8▼従属文作成作業場は、発明があった前記要素を記述対象(従属主体)として個別に従属請求項を作成する作業場である。この作業が終わった後で、画面は再び▲6▼書式確定作業場に戻り、書類[特許請求の範囲]の全文が表示され、総体的な調整・確認ができるようになっている。
▲9▼資料室は、前記各作業場において作業に必要な各種の文書データや図式データを辞書やDB(データベース)ファイルとして収蔵していると共に、取込手段を介して外部DBからデータを導入する機能、および任意の文から形態素を抽出して表示する形態素抽出機能も有している。▲9▼資料室はディスプレイ画面上に単独でまたは他の任意の作業場と並存して開くことができ、開かれた資料室内で、収蔵データや外部から導入したデータを検索し、必要なデータを抽出し、必要に応じて編集・改造することができ、得られたデータを随時に前記の任意の作業場に転送することができる。
ディスプレイ画面の一隅には各作業場を示すアイコンが並列表示され、何れかのアイコンをクリックすることで任意の作業場が呼び出せると共に、画面上に現存する作業場がアイコンの形状や地色の相違等によって明確に識別できるようになっている。
次に各作業場の詳細な構成を説明する。ここでは便宜上、ある特定の発明を文書化する事例を示すが、この事例はあくまでイメージを提供するためのものであって、それ自体の内容、妥当性および表現は本発明と無関係である。
図2は、ディスプレイに表示された▲1▼目的効果記述作業場である。ここでは、対話形式により目的文および効果文の記述を誘導する。
先ずQ101で、発明の目的を記述する枠(A101)を提示し、執筆者に、発明対象と発明目的とを記入させる。この段階では思いつきの用語を用いてよい。
Q102で、発明の効果を記述する枠(A102)を提示し、執筆者に、発明の効果を記入させる。
Q103で、発明対象が含まれる分野を執筆者に選定させる。例えば国際特許分類等に準じて画面上に対象分野の名称を大分類から小分類へ枝分かれ的に掲示して対象分野を絞り込むように支援する。ここでは▲9▼資料室(図示せず)が保有する階層的類語辞書を呼び出し、大分類の「機械装置」から順次対象を絞り込んで最小分類の「送風機」に到達するように誘導する。分類項目は一つでなくてもよい。
Q104で、当該発明の技術態様がモノの構造、構成、製造方法、使用方法、情報処理、その他のいずれであるかを執筆者に択一的に選択させる。発明の技術態様は、後にモデル文型を呼び出す際等に特に重要になる。
Q105で、用語の調整を行う。すなわちA101、A102に記述された文について形態素解析を行い、それぞれの形態素について▲9▼資料室内の類語辞書等から類似と判断される語句(群)を抽出・掲示して執筆者に適切な用語を選択させる。本事例では[扇風機]に代わって「冷風機」が執筆者によって選択された。これに伴ってA101の「扇風機」は自動的に「冷風機」に変換される。(図2では変換後の対象名を括弧内に示した。)
Q106で、発明の対象・目的・効果・分類の確定を求める。A106の「確定」をクリックすることで発明対象の名称と目的文、効果文および分類項は決定されたことになるが、これらは後の作業中に変更も可能である。
図3は、▲2▼図式化作業場および▲9▼資料室の一部である。ここでは発明イメージ(発想対象)の図式化を行う。
Q201において、図式が簡単な式や表の場合は執筆者が画面に直接描いてもよいが、多くの場合は▲9▼資料室を呼び出し、この中に収蔵された類語辞書、図形・符号辞書、内蔵DBまたは外部DBから発明イメージに近似する図式または図式要素を検索・選択し、またはスキャナやタブレット等のA/D変換手段を用いてアナログ図式をデジタル化して取り込み、文書編集機能、図面編集機能、辞書機能等を用いて発明イメージに適合する図式をA201の空枠内に作成する。
Q202で図式を確定する。
Q203で、図式に示された本発明の対象および各要素に符号と名称を付与する。具体的には、図式上の指定しようとする要素をポイントするか枠状に囲み、そこから引出し線を引き出し、画面の適当な空白部でクリック(ドラッグ・アンド・ドロップ)すると、その位置に、自動的に連番が付された空欄が提示される。この空欄に執筆者が名称を入力すると各要素の符号数字と名称との対応が得られ、この対応はA203で図面上に示されるばかりでなく、A204−2の一覧表にも表示される。
Q204では、まずA204−1に掲示された選択肢から符号呼称の選択が求められる。本事例では「01,02,03、…」の符号呼称が選択された。
Q204のA204−2には、呼称が選択された符号と共にA203に連動した名称の一覧表が自動的に作成される。またそれぞれの名称について、▲9▼資料室内の類語辞書から関連する語群が表示され、執筆者に必要なら用語の変更を促す。A204−2において決定された符号と名称のセットは、A201の図式をはじめ全ての作業場に反映され、文書データ作成中に符号か名称かの何れか一方を入力すれば任意的に他の一方または両方が表示されるようになっている。ここで設定された符号と名称のセットは、特に訂正されない限り文書データの完成まで維持される。ただし符号や名称を変更したい場合は任意の作業場で随時に変更でき、その変更内容は全ての作業場のデータに反映される。また初期値への復元も可能になっている。
図4は、▲3▼文節作成作業場の一例である。ここでは前記により図式化された発想対象を複数の要素に分割し、各要素ごとの構成と相互関係を文書形式で記述して文節を作成する。
画面には図式A201が掲示される。
Q301で、各要素の形状や機能の記述を求める。A301では、A204−2の各要素の符号と名称が自動的に表示される。これらの要素のうちで発明の構成に係わる要素は「構成要素」として執筆者にチェックさせる。このチェックは後の構文作業において必要になる。
要素の記述中、必要に応じて類語辞書機能から用語が検索でき、入力された文書データからは形態素(単語)が抽出でき、また各単語をマークするとこれに対してポップアップ式に用語候補が提示され、必要に応じて変更ができるようになっている。例えば本事例では最初の発想における「噴入口」が再検討され「噴射ノズル」に変更されている。この変更は直ちに他の作業場にも反映される。(ただし、作業経過を示すために図面では変更を遡及していない。以下同様。)
Q302で、要素間の構成上の関係が求められる。執筆者は2以上の要素の相互関係をA302に記入する。▲9▼資料室の類語辞書機能や形態素抽出機能は引き続き作動している。
Q303で、A303の表に要素の相互作用を記述させる。この項は発明の目的と効果を結びつける構成であるから、必要ならA101(目的文)、A102(効果文)を呼び出して参照することができる。
Q302(要素間の構成上の関係)とQ303(要素の相互作用)は、明確に区別できない場合もある。この場合は執筆者の大まかな判断で振り分けても、後に修正の機会があるので差し支えない。
この▲3▼文節作成作業場における作業によって、構文に必要な文節は用意されたことになる。この作業の途中で、執筆者は発想を熟成させることができる。
図5は▲4▼構文作業場の一部(配位作業場)である。ここでは選択されたモデル文型に沿って前記文節を配位する作業を支援する。
Q401では、発明の対象分野(「冷風機」)および技術態様(「構造」)が再確認される。
Q402では、機械装置の構造の記述に好適な二つの基本文型をモデル文型として提示し、執筆者に選択を求める。すなわち、本事例では、モデル文型として、
(a)「発明の対象が構成要素(AとBとCと…)を有し、その相互関係は〜である」
という要素並列形文型、
(b)「〜である既成の対象において、発明事項は〜である」
という既成前置形文型(いわゆる「おいて書き」形式)、および
(c)自由文型
が選択肢として提示される。いずれを採用しても文書化は可能であるが、執筆者は他の関連明細書との書体統一、書きやすさ、わかりやすさ等を考慮して、この事例では(a)要素並列形文型を選択した。(c)自由文型を採用した場合は、執筆者がA301、A302、A303のデータを用いて独自に作文することになる。
Q403では、(a)要素並列形文型の選択に伴い、各文節の配位が自動的に行われる。配位順は、第1位が発明の対象、第2位が構成要素、第3位が対応する構成要素の形状や機能、第4位が各要素の構成関係、そして第5位が相互作用である。これらのデータはすでにA301、A302、A303にそれぞれ分別して与えられているので、執筆者が改めて入力しなくても自動的に転記される。その上で必要なら執筆者がドラッグ・アンド・ドロップ等によって入れ替えや変更等を行うこともできる。
Q404で各文節の配位を確定する。
図6は▲4▼構文作業場の一部(作文作業場)である。ここでは前記モデル文型(a)と各要素の配位とを組み合わせて助詞、助動詞つきの文を作成する。
Q405では、基本文型に沿って本装置が自動的に各文節を配列し自動作文する。これは各文節の配位がA403のように確定しているので機械的に行うことができる。
Q406では、執筆者に整理・訂正を求める。これは、上記の機械的配列では記述内容が重複したり、配位順が不適切であったり、助詞・助動詞・動詞活用形等文法的記述事項に不適正が生じている可能性があるからである。またこの段階でも余分な事項や不足の事項が発見されれば削除・補足が可能である。本事例では例えば「風を作り出す…」が「風を起こす…」と訂正されたり、また重複を排除し説明順序を変更して文を簡潔化する等の整理・訂正が行われている。
図7は、▲5▼整合作業場の一例である。ここではA406の文書データを目的・効果と整合するように調整する。
ディスプレイ画面には目的文(A101)、効果文(A102)、および図式(A201)が改めて掲示される。これは作成された文が発明の目的および効果から逸脱しないように看視するためである。
Q501では、A406の文が目的・効果および図式に照らして逸脱や過不足なく表現されているか、文法的な不具合がないか、重複が多く冗長になっていないか等をチェックし必要なら訂正を促す。この整合作業によって、A406の文内容が万一目的から逸脱していたとしても、同時に掲げられている目的文(A101)、効果文(A102)、および図式(A201)を参照し、執筆者は気づいて訂正することができる。
Q502では調整完了の確認を求めるが、文をいじりすぎてかえっておかしくなった場合は初期値に戻して再調整できるようになっている。
図8は、▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは権利範囲の拡張、および請求項への文体変更を行う。
Q601では、A501の文について権利範囲の拡張を行う。特に、上位概念化が可能と判断した語句を執筆者がマークするとポップアップ式に候補語句が表示される。執筆者は必要なら選択して上位概念の語句に置換する。例えば本事例では「冷風機」がその上位概念と考えられる「送風機」に、「液化炭酸」がその上位概念と考えられる「液化ガス」に、「炭酸ガス」が「排気」に、「供給・停止および噴射量の調節」が「流量調節」に、また「ボンベ」が「液化ガス容器」に、等の変更が行われている。(図面では変更を遡及せず。)その上で、この置換により全体の文構成や意味が崩れないか見直しを促す。得られた文書データ(A601)は明細書の本文中や要約書にほぼそのまま適用が可能である。
Q602では、A601の文書データを[特許請求の範囲]の[請求項1]の書式に書き改める。すなわち「…を特徴とする(発明対象)。」という体言止めの定型文に変換する。この変換は一次的には本装置がA601の文書データを基に自動的に行う。併せて、任意的に、要素に付記した符号を消去し「前記」等の慣用前置語を付属する。
Q603で[請求項1]としての文の完成を確認する。
図9は、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここでは従属項を作成するための表A701−1と表A701−2が作成される。
Q701で、従属項を作成するための要素の抽出を行う。ここではA301に表示された各要素、およびA302に表示された各要素の相互関係がA701−1、A701−2に、「副対象」として表示される。これらのうちで従属項を作成する必要がある項目には請求項順位を示す識別番号(▲1▼、▲2▼…)を執筆者に付与させる。これは、後に[請求項2]、[請求項3]…等として識別する必要が生じるからである。
Q702で、必要なら前記従属発明を表現する図式の作成を支援する。この場合も▲2▼図式化作業場と同様に▲9▼資料室を呼び出し、この中に収蔵された類語辞書、図形・符号辞書、内蔵DBまたは外部DBやスキャナ等のA/D変換機器から発明イメージに近似する図式を検索・選択し、または手描き入力し、文書編集機能、図面編集機能、辞書機能等を用いて発明イメージに適合する図式が作成できるよう、また図式の各要素には図1と整合する符号、名称を付与するように支援する。
図10は、図9に引き続き、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここではさらに下位の従属項を作成するための表A703が作成される。ただし本事例の場合は下位従属項がないので記入されていない。
Q704で従属項形成作業の終了が確認されると画面は▲8▼従属文作成作業場に移る。
図11は、▲8▼従属文作成作業場の一例である。ここでは前記の表A701−1、A701−2、A703の記入に基づいて従属項が作成される。
Q801では、特許請求の範囲の従属項を作成するのか普通文を作成するのかが確認される。
Q802では、表A701−1、A701−2、A703の記入内容から従属項は1項のみであることを判断してその階層と内容から自動的に請求項の書式に則った文案を[請求項2]としてA802に表示する。
Q803で、必要なら執筆者が文を訂正し、A803で確定すると画面は自動的に▲6▼書式確定作業場に戻る。
図12は、再び表示された▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは、[特許請求の範囲]の書式に則って主発明が[請求項1]として、また従属発明が[請求項2]として記載されている。必要なら再度文書データを訂正する。この際、執筆者のみによらず、できれば明細書作成の経験者や専門家に読んでもらって問題ないか確認することを薦める。その上で出願文書として確定する。
A201やA702で作成された図面は、明細書用の図面として直ちに利用することができる。またここで[特許請求の範囲]の作成が終了した段階で引き続き、作業中に得られた文書データおよび図面を転用して[要約書]等を作成するプログラムに移行することもできる。
(実施形態2)
本実施形態は、図1に示した文書作成支援装置を化合物の製造方法の発明に適用し、[特許請求の範囲]の請求項を作成する場合の一例を示している。ここで採用されている事例はあくまでイメージを提供するためのものであって、それ自体の内容、妥当性および表現は本発明と無関係である。
図13は、ディスプレイ画面に表示された▲1▼目的効果記述作業場である。
先ずQ101で、発明の目的を記述する枠(A101)を提示し、執筆者に、発明対象と発明目的とを記入させる。ここではカルボン酸アミドの製造時の着色防止が記入された。
次にQ102で、発明の効果を記述する枠(A102)を提示し、執筆者に発明の効果を記入させる。
次にQ103で、発明対象が含まれる対象分野を選定させる。ここでは▲9▼資料室(図示せず)が保有する階層的類語辞書を呼び出し、大分類の「化学」から順次対象を絞り込んで最小分類の「カルボン酸アミド」に到達することができる。
次にQ104で発明の技術態様を、構造、構成、製造方法、使用方法、情報処理、その他の項目から選択させる。発明の対象分野および技術態様の選択は後にモデル文型を呼び出す際、特に重要になる。
次にQ105で、用語の調整を行う。すなわちA101、A102の記載の中で、▲9▼資料室内の類語辞書等に照らして不適切と思われる語句は指摘すると共に、相当する語句(群)の候補を表示して執筆者に選択させる。例えば本事例では「カルボン酸アミド」が「カルボキシル酸アミド」に変更された。(図面では変更を遡及せず。)
図14は、ディスプレイ画面に表示された▲2▼図式化作業場および▲9▼資料室の一部である。ここでは発明イメージを化学式で表す図式化作業を行う。
Q201において、まず▲9▼資料室を呼び出し、この中に収蔵された有機化学に対応する化学式の断片(官能基群)を選択し、図1を作成する。図1はまた、内蔵DBまたは外部DBから類似方程式を検索・抽出し、これを加工して作成することもできる。
Q203で、図式に示された各化学式に符号と名称を付与する。具体的には、指定しようとする化学式を包囲し、その囲いから引き出し線を引き出し、、画面の適当な空白部でクリック(ドラッグ・アンド・ドロップ)すると、その位置に、自動的に連番が付され空欄が表示される。この空欄に執筆者が名称を入力すると各化学式の符号番号と名称との対応が得られる。この対応はA203で図面上に示されるばかりでなく、A204−2の一覧表としても表示される。
Q204では、まずA204−1に掲示された選択肢から符号呼称の選択が求められる。ここでは図式が化学式であるところから「式(1)、式(2)、式(3)、…」の符号呼称が選択されている。
Q204のA204−2には、呼称が選択された符号と共にA203に連動した名称の一覧表が自動的に作成される。またそれぞれの名称について、▲9▼資料室内の類語辞書から関連する語群が表示され、執筆者に必要なら用語の変更を促す。A204−2に記載された符号と名称のセットは、A201の図式をはじめ全ての作業場に反映され、文書データ中に符号か名称かの何れか一方を入力すれば任意的に他の一方または両方が表示されるようになっている。ここで設定された符号と名称のセットは、特に訂正されない限り文書データ完成まで維持される。ただし符号や名称を変更したい場合は任意の作業場で随時に変更でき、その変更内容は全ての作業場のデータに反映される。また初期値への復元も可能である。(図面では変更を遡及せず。)
図15は、▲3▼文節作成作業場の一例である。ここではそれぞれの化学式についての限定条件と化学式間の相互関係を記述して文節を作成する。
Q301で、各化学式についての限定条件の記述を求める。ここでは、A204−2の各要素の符号と名称が自動的に表示される。これらの要素のうちで発明の構成に係わる要素は「構成要素」として執筆者にチェックさせる。このチェックは後の構文作業において必要になる。記述中、入力された単語に対してポップアップ式に用語候補が提示され、必要に応じて変更ができるようになっている。
Q302で、化学式間の相互関係を記述させる。執筆者は4物質の相互関係をA302に記入する。この間も▲9▼資料室の類語辞書機能は作動している。
Q303で、それら物質の相互作用を記述させる。この項は発明の目的と効果を結びつける構成であるから、必要ならA101(目的文)、A102(効果文)を呼び出して参照することができる。
図16は▲4▼構文作業場の一部(配位作業場)である。ここでは選択されたモデル文型に沿って前記文節を配位する作業を支援する。
Q401では、A103、A104の分類結果からこの発明が「有機化合物の製造方法」に係わるものであることを本装置が自動的に判断して執筆者にその確認を求める。
Q402では、化学的方法の記述に好適な二つの基本文型をモデル文型として提示し、執筆者に選択を求める。すなわち、実施形態2の事例では、モデル文型として、
(a)「発明の対象が構成要素(AとBとCと…)を有し、その相互関係は〜である」
という要素並列形文型、
(b)「〜である既成の対象において、発明事項は〜である」
という既成前置形文型(いわゆる「おいて書き」形式)、および
(c)自由文型
が選択肢として提示される。いずれを採用しても文書化は可能であるが、執筆者は他の関連明細書との書体統一、書きやすさ、わかりやすさ等を考慮して、この事例では(b)既成前置形文型を選択した。(c)自由文型を採用した場合は、執筆者がA301、A302、A303のデータを用いて独自に作文することになる。
Q403では、(b)既成前置形文型の選択に伴い、各文節の配位を行う。配位順は、A403−1第1位が発明の対象、A403−2第2位が既成の要素、A403−3第3位が既成要素の相互関係、A403−4第4位が発明に係わる要素、そしてA403−5第5位がその相互関係・作用であって、これらの配位表は例えばA301、A302、A303からの転記(ドラッグ・アンド・ドロップ)によって執筆者が容易に作成することができる。
図17は▲4▼構文作業場の一部(作文作業場)である。ここでは前記モデル文型(b)と各要素の配位とを組み合わせて助詞、助動詞つきの文を作成する。
Q405では、基本文型に沿って本装置が自動的に各文節を配列し自動作文する。これは各文節の配位がA403−1〜A403−5において確定しているので機械的に行うことができる。
Q406では、執筆者に整理・訂正を求める。これは、上記の機械的配列では記述内容が重複したり、助詞・助動詞・動詞活用形等文法的記述事項に不適正が生じている可能性があるからである。またこの段階でも余分な事項や不足の事項が発見されれば削除・補足が可能である。本事例では例えばA405では発明の対象項が「式(4)のカルボキシル酸アミド(式中、目的物)…」という余分な事項を含むのに対しA406では「カルボキシル酸アミド…」と整理されている。
図18は、▲5▼整合作業場の一例である。ここではA406の文書データを目的・効果と整合するように調整する。ディスプレイ画面には目的文(A101)、効果文(A102)、および図式(A201)が改めて掲示される。これは作成された文が発明の目的および構成から逸脱しないようにするためである。
Q501では、A406の文が目的・効果および図式に照らして逸脱や過不足なく表現されているか、文法的な不具合がないか、重複が多く冗長になっていないか等をチェックし必要なら訂正を促す。この整合作業によって、A406の文内容が万一目的から逸脱していても執筆者は気づいて訂正することができる。またここでは、式番号を文中での出現順に従って自動的に改変している。
Q502では調整完了の確認を求めるが、文をいじりすぎてかえっておかしくなった場合は初期値に戻して再調整できるようになっている。
図19は、▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは権利範囲の拡張、および請求項への文体変更を行う。
Q601では、A501の文について権利範囲の拡張を行う。特に、上位概念化が可能と判断した語句を執筆者がマークするとポップアップ式に候補語句が表示される。執筆者は必要なら選択して上位概念の語句に置換する。その上で、この置換により全体の文構成や意味が崩れないか見直しを促す。得られた文書データ(A601)は明細書の本文中や要約書にほぼそのまま適用が可能である。本事例では例えば発明の対象が「カルボキシル酸アミドの製造方法」から「有機酸誘導体の製造方法」と変更され、また各化学構造式の制限条件も拡張されている。(図面では変更を遡及せず。)
Q602では、A601の文書データを[特許請求の範囲]の[請求項1]の書式に書き改める。すなわち「…を特徴とする(発明対象)。」という体言止めの定型文に変換する。また文中に[化 ]という式図挿入枠を設けて化学式を挿入し書式を整える。この文体変換は一次的には本装置がA601のデータを基に自動的に行う。
図20は、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここでは従属項を作成するための表A701−1と表A701−2が提示される。
Q701で、従属項を作成するための要素の抽出を行う。ここではA301に表示された各要素、およびA302に表示された各要素の相互関係がA701−1、A701−2に、「副対象」として表示される。これらのうちで従属項を作成する必要がある項目には請求項順位を示す識別番号(▲1▼、▲2▼…)を付与させると共にその発明内容を記入させる。この識別番号は後に作成される[請求項2]、[請求項3]…の従属発明に対応するものとなる。
Q702で、必要なら前記従属発明を表現する図式の作成を支援する。本事例では従属する図式がないので空欄である。
図21は、図20に引き続き、▲7▼従属項形成作業場の一部分を示している。ここではさらに下位の従属項を作成するための表A703−▲1▼、表A703−▲2▼が作成される。ただし本事例の場合は下位従属項がないので記入されていない。
図22は、▲8▼従属文作成作業場の一例である。ここでは前記の表A701−1、A701−2の記入に基づいて従属項が作成される。
Q801では、識別符号▲1▼の従属項に対して特許請求の範囲の[従属項]とするかどうかが確認される。
Q802では、表A701−1の記入内容から自動的に請求項の書式に則った文案を[請求項2]としてA802に表示する。
Q803では、識別符号▲2▼の従属項に対して特許請求の範囲の[従属項]とするのかどうかが確認される。
Q804では、A802と同様に請求項の書式に則った文案を[請求項3]としてA804に表示する。
Q805で確定すると画面は自動的に▲6▼書式確定作業場に戻る。
図23は、再び表示された▲6▼書式確定作業場の一例である。ここでは、[特許請求の範囲]の書式に則って主発明が[請求項1]として、また従属発明が[請求項2][請求項3]として記載されている。必要なら再度文書データを訂正し、出願文書として確定する。
(実施形態3)
本実施形態は、請求項10および請求項11の発明に対応するものである。
図24は、ディスプレイの一表示画面を示している。この表示画面は「要素配位作業場」と名づけられ、図面と要素階層表とが並列表示されている。図面には、当該発明を説明するための図形が描かれ、図形には当該発明を説明するに必要な要素に番号が付けられている。この図形は、前段の作業で作成したものであってもよく、または内外の図形データベースから呼び出したものであってもよい。図中の番号は、予め要素名称と1対1の対応が装置内に保存されている。要素階層表には複数の要素セルがタテヨコに行列配置されている。行(ヨコ)方向は左から順に発明の対象、第1階層、第2階層、…というように構成要素の従属順位が示されている。列(タテ)方向はそれぞれの従属順位における並立関係が示される。
この画面で執筆者は、図面中の任意の番号をポイントし、ドラッグ・アンド・ドロップで要素階層表の適当な要素セルにドロップする。「適当な要素セル」とは、執筆者が予想する階層位置にある空欄の要素セルであり、その位置に不都合が生じればいつでもドラッグ・アンド・ドロップにより要素セルの移動や変更が可能である。要素セルに要素番号をドロップすると、要素セルの名称欄にその要素の名称または名称と番号が入力される。ある上位階層の要素セルに複数の並立要素セルが従属する場合、対応する上位セルと下位セルをマウス等で範囲指定すれば、ツリー状の線でそれらの要素セルが結ばれ、従属並立関係が明示される。下位階層の並立要素数が増えれば上位階層にある次の並立要素はその分だけ下方に自動的にズリ下がるので枝状の線が錯綜することはない。
執筆者は、各要素セルの特性欄に、当該発明を説明するのに必要なそれぞれの要素の構成、形態、性状、組成、動作、作用、効果等を文書データとして記入する。一特性ごとに改行して箇条書きにすることが好ましい。要素セルは、通常の罫線枠と同様にデータ量に応じて記載面を拡大縮小できる。
図25は「相関記述作業場」を示している。ここでは、前記各要素の相関関係を文書データとして記述する作業を行う。この画面では「相互構成表」と「相互作用表」とが表示されている。執筆者はまず前作業場の図面および要素階層表を参照しながら相互構成表の「要素の組み合わせ」欄に構成上関連する要素名を記入する。要素名の記入は、前作業場の図面または要素階層表から複写または挿入して行うこともできる。次にその要素組み合わせの構成上の関係を「どういう構成関係?」欄に箇条書きで記入する。次に執筆者は相互作用表の「要素の組み合わせ」欄に作用上関連する要素名を記入し、かつ「どういう相互作用?」欄に箇条書きで相互作用または共同効果を箇条書きで記入する。
図26は「作文作業場」を示している。ここではまずモデル構文図式が提示される。このモデル構文図式は図24に示した要素階層表の構成に対応するもので、本実施形態の装置内には要素配位の様々なパターンに対応する複数のモデル構文図式が内蔵されている。一方、提示されたモデル構文図式の各欄に対応して「推奨構文」の欄が設けられている。ここには図24、図25に記載された文書データが前記のモデル構文図式に従って自動的に配置される。自動配置された推奨構文は、そのままの順序で並べれば、若干の文法的修正を施すだけで、発明を説明する主要な文章となり得る。また必要あれば、上記の全文を接続詞等で連結し1文形式に作文することもでき、またたとえば請求項のように体言止めの1文とすることもできる。さらに必要なら、発明の前提条件を示す、いわゆる「おいて書き」のような文章を前置することもできる。
(実施形態4)
本実施形態は、請求項12、請求項13および請求項14の発明に対応するものである。
図27は、ディスプレイの一表示画面を示している。この表示画面は「振り分け作業場」と名づけられ、「元文書欄」「文列欄」および「振り分け欄」が並列表示されている。
執筆者はまず「元文書欄」に出願文書作成の元となる文書を呼び出す。この文書は特許文献に限らず、文書データであれば研究論文や各種説明文等どんな文書形態のものであってもよく、さらに研究ノートや発明ノート、あるいは明細書原案や未完成の明細書等であってもよい。アナログ文書であれば、スキャナ等で読み取りデジタル化して元文書とすることができる。またこの文書は本装置が保有するデータベースから呼び出してもよいし、外部のデータベースから選択して呼び出してもよい。さらに、元文書は複数あってもよい。ただしこの場合は同時処理ではなく、順次に処理することが好ましい。執筆者は必要なら表示された元文書の全部または一部を編集したり消去したりして表示画面上で元文書を調整することもできる。
執筆者が元文書の全体を文列処理するかまたは範囲指定して処理するかを決定し確認すると、本装置は自動的に文の分別作業を開始し、〔。〕や〔?〕等の文末指標を検索して機械的に単文を識別し、「文列欄」に、一文ずつ改行して配列する。自動分別された文が長文であったり、文意が錯綜しているような場合は、執筆者が手作業で1文をさらに複数の文節等に分割することもできる。
次に振り分け作業を行う。本実施形態では振り分け欄に予め、特許出願書類の書式として定められた項目、例えば〔請求項1〕〔技術分野〕〔背景技術〕〔発明が解決しようとする課題〕〔課題を解決するための手段〕〔発明の効果〕〔発明を実施するための最良の形態〕書類名〔要約書〕等の項目欄、および不採用欄が表示されている。執筆者は文列欄に表示された文を、内容を判断してドラッグ・アンド・ドロップ等によってこれらの項目欄に振り分ける。図27の矢印で示したように1文を複数の欄に振り分けてもよい。また文F、G、H、Iのように文群をまとめて振り分けることもできる。
図28は「欄別作文作業場」を示している。振り分け作業場における振り分け作業が終了すると、表示画面は欄別作文作業場に切り替わる。ここでは2列の欄が表示されている。第1の欄は「編集欄」であって、図27に示した振り分け欄の内容がそのまま表示される。執筆者は編集欄に記載された文群を項目欄ごとに整理統合し編集して作文を行う。第2の欄は「引用データ欄」であり、必要に応じて各種の情報を呼び出して作文作業を支援する。例えば、関連する図面や表を表示することができる。また請求項13に示したように、当該発明と近似した他の出願文書を呼び出せば、同一画面上でこれを参照したり引用したりしながら作文できるので、作文が効率化できる。また引用データ欄には、請求項14に示したように、当該分野で一般的に使用される用語やモデル文節、モデル文型等を表示して作文を支援することもできる。このようにすれば他の出願文書類と用語や表現の統一が図れるので、翻訳等に際しても有利な出願文書が作成できる。図28に示した具体例では、引用データ欄に同一発明者が先に出願した関連発明の明細書が表示されている。執筆者はこのデータを参照し、例えば図27の振り分け欄に記載されていた「超電導効果」の用語を「超伝導性」と変換して他文書間の用語の統一を図り、また〔技術分野〕の欄は引用データの文をそのまま転用して作文作業を簡略化している。
本発明に係る文書作成支援装置は特許出願関連文書の作成に有利に使用できるばかりでなく、例えばモデル文型等のデータを差し替えるだけで産業上の明確な目的を有する文書、例えば製品カタログ、操作マニュアル、説明書、案内書、報告書、届出書等の作成にも有効に使用できる。
Claims (15)
- 対象と目的とを有する発想の文書化を支援する装置であって、前記発想の目的または前記発想がもたらす効果の文書化を支援する目的効果記述支援手段と、前記発想の図式化を支援する図式化支援手段と、前記により図式化された発想内容を複数の要素に分割し各要素ごとの構成と前記各要素の相互関係とを記述した文節を作成することを支援する文節作成支援手段と、前記文節を統合し文法的に適正な文を作成することを支援する構文支援手段と、前記により記述された文を前記目的または効果に整合させる整合支援手段とを備えたことを特徴とする文書作成支援装置。
- 前記発想に類似する既存の文書または図式を資料として検索し表示すると共に、この資料を前記の図式または文の作成に利用できるようにした資料引用手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 前記図式化支援手段により作成された図式の各要素または要素群に符号または名称を付与することを支援する符号付与支援手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 前記発想の対象分野または発想の態様を分類することを支援する分類支援手段を備えると共に、分類された領域において用いられる用語または図式を表示する分野別類語辞書、もしくは外部の前記分野別類語辞書からデータを導入する取込手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 前記発想の対象分野または発想の態様に対応するモデル文型を選択可能に提示し、選択されたモデル文型に対応して前記文節作成支援手段により作成された各文節の構文的配位を決定する作業、または文における既知項と新規発想項の区分に応じて前記各文節の配位を決定する作業を支援する文節配位支援手段を備え、前記構文支援手段は、前記文節配位支援手段により配位が決定された前記各文節をそれぞれの配位に即して前記モデル文型に挿入して文を作成するように支援することを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 前記対象、目的または効果の上位概念化を促す上位概念化支援手段と、この上位概念化された対象、目的または効果に整合するように前記の文を調整させる上位概念文作成支援手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 前記発想の対象分野または発想の態様に対応して、下位概念の用語とその上位概念の用語とを階層的に関連づけて配置した階層的類語辞書、もしくは外部の前記階層的類語辞書からデータを導入し得る取込手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 前記発想に係わる従属発想の文書化を支援する従属文作成支援手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 特許または実用新案の出願に係わる文書を作成するように特化されたことを特徴とする請求項1記載の文書作成支援装置。
- 特許または実用新案の出願に係わる文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面上に、発明または考案を構成する要素についてそれぞれ記述することができる複数の移動可能な要素セルからなる要素階層表を表示し、前記の各要素セルには、それぞれ、要素の名称を記入する名称欄と要素の特性を記述する特性欄とを設け、執筆者が前記要素セルのそれぞれの欄に所要の文書データを記入すると共に各要素セルを、それぞれの並立従属関係を表現するツリー状の階層構造に配位するように支援する要素配位支援手段と、前記各要素の相関関係を文書データとして記述することを支援する相関記述支援手段と、執筆者が各要素の配位と相関関係とを決定した後、前記要素階層表の階層構造に対応するモデル構文図式を提示すると共にこのモデル構文図式に従って前記文書データを自動的に組み替え、執筆者がこのモデル構文図式に従って文書を作成できるように支援する作文支援手段と、を備えたことを特徴とする文書作成支援装置。
- 表示画面上に前記要素階層表と共に、発明または考案を構成する要素の名称または符号が付与された図面を表示し、執筆者がこの図面上の名称または符号を前記要素階層表の要素セルに導入すると、その要素セルの名称欄に当該要素の名称が表示されるようにしたことを特徴とする請求項10記載の文書作成支援装置。
- 特許または実用新案の出願に係わる文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面に、作成文書の元となる1以上の文書を表示する元文書表示手段と、表示された前記元文書の全体または指定範囲を自動的に1文ごとに改行して配列する文列作成手段と、配列された各文を、出願文書として予め規定された各項目の欄または不採用欄に重複可能に振り分けることを支援する振り分け支援手段と、前記各項目欄ごとに集められた文書データを編集統合して前記各項目欄に適する文書を作成することを支援する欄別作文支援手段と、を備えたことを特徴とする文書作成支援装置。
- 前記の欄別作文支援手段において、当該項目欄の文書データと共に、既存文書の相当する項目欄に記載された文書データを提示し、執筆者が前記既存文書の提示部位を参照または引用しながら前記文書データの編集統合ができるように支援する参考文書提示手段を備えたことを特徴とする請求項12記載の文書作成支援装置。
- 特許または実用新案の出願に係わる文書を作成する文書作成支援装置であって、表示画面に表示された用語、文節、文または文章に対して、発明または考案の対象と目的が属する分野ごとに類型として予め用意された用語、文節、文または文章を提示し、執筆者がこの類型を参照または引用することで複数文書間の用語または文書スタイルを統一または類型化するように支援することを特徴とする文書作成支援装置。
- 請求項1〜請求項14のいずれかに記載の文書作成支援装置において、前記各文書作成支援手段が作動するように構築されたことを特徴とする文書作成支援プログラム。
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