JPWO2007043531A1 - 抗腫瘍剤及び放射線併用療法感受性診断用遺伝子マーカー並びにその利用 - Google Patents

抗腫瘍剤及び放射線併用療法感受性診断用遺伝子マーカー並びにその利用 Download PDF

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Abstract

本発明は、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線併用療法の感受性を迅速に、かつ正確に診断するための手段を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド;前記遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして用いられるポリヌクレオチド;前記遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド並びに該ポリペプチドを認識する抗体;前記プローブまたはプライマー用ポリヌクレオチド、或いは抗体を利用した診断薬、診断キット、及び前記併用療法感受性の診断方法、を提供する。

Description

本発明は、抗腫瘍剤及び放射線併用療法感受性診断用遺伝子マーカー並びにその利用に関し、詳しくは、がん患者等の被験者から採取された生体試料中の特定のポリヌクレオチドの有無を調べることを特徴とする、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法に対して感受性を有するか否か、言い換えれば、上記抗腫瘍剤及び放射線併用療法を施すことが被験者のがん治療に有効か否かを迅速に診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド、並びにその利用に関する。
がん治療における化学療法においては、さまざまな抗腫瘍剤が開発されている。特に、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤(特許文献1〜4参照)は、いわゆるティーエスワン(TS−1)、エスワン(S−1)等として、癌、特に食道癌や胃癌において高い治癒率を誇り優れた抗腫瘍剤として広く利用されている。
また、上記抗腫瘍剤を、放射線療法と組み合わせることによる優れた癌治療方法が知られている(非特許文献1)。
特公平5−64123号公報 特公平5−80451号公報 特許第2538422号公報 特許第2614164号公報 International Journal of Clinical Oncology,Vol.9,No.6,2004
このような上記抗腫瘍剤及び放射線併用療法は、癌の画期的な治療法として普及しつつあるが、被験者によって治療の有効性に個人差があるという問題もあった。すなわち、根治する場合もあれば、ある程度効く場合もあり、一方、あまり効果がない場合やまったく効かない場合もあった。
このように、上記抗腫瘍剤及び放射線併用療法に対する感受性には、個人差があることが知られているものの、感受性を規定する因子は未だ具体的に解明されていない。よって、感受性の相違の診断は、併用療法実施後の経過を長期間診察して行うしかなく、感受性の低いまたは感受性のない被験者の場合は、治療効率および経済的な面で不利であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線併用療法の感受性を迅速に、かつ正確に診断するための手段の提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた。その過程で、腫瘍細胞移植マウスにおいて上記抗腫瘍剤及び放射線併用療法を実施した場合、治療を行わなかった場合、抗腫瘍剤のみ投与した場合、及び放射線療法のみ実施した場合のそれぞれについて遺伝子の発現量を比較したところ、併用療法を実施した場合のみ特異的に発現量が変化するポリヌクレオチドが存在することに着目した。そして、これらのポリヌクレオチドの中からの解析を重ねた結果得られた新規なヒト由来ポリヌクレオチドが、上記抗腫瘍剤及び放射線併用療法感受性を迅速且つ正確に診断するための遺伝子マーカーとして有用であることを見出した。
そして、本発明者らは、上記遺伝子マーカーとしてのポリヌクレオチドに対しプライマーやプローブとして用いられるポリヌクレオチドや、該ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、並びに該ポリペプチドを認識する抗体は、上記併用療法感受性をより迅速かつ正確に診断するために有用であることを見出した。
さらに、本発明者らは、上記プライマーやプローブ、抗体を含む診断薬や診断用キットは、感受性の診断をより簡便に行うことができるものであることも見出した。
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、以下の〔1〕〜〔13〕からなる。
〔1〕下記の(A)または(B)で表されるポリヌクレオチド。
(A)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(B)前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(C)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
(D)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
〔2〕 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能する、下記の(A)〜(D)で表されるポリヌクレオチド。
(A)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(B)前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(C)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
(D)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
〔3〕 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するにあたり、上記〔1〕または〔2〕記載のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして用いられるポリヌクレオチド。
〔4〕 下記の(1)〜(4)で表されるポリヌクレオチドである上記〔2〕記載のポリヌクレオチド。
(1)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列内のすくなくとも連続する10塩基を含むポリヌクレオチド
(2)前記(1)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(3)前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ、上記〔1〕記載のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するポリヌクレオチド
(4)前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ、上記〔1〕記載のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するポリヌクレオチド
〔5〕 配列番号71〜142のいずれかに記載の塩基配列を含む上記〔2〕または〔3〕記載のポリヌクレオチド。
〔6〕 上記〔1〕または〔2〕記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。
〔7〕 上記〔6〕記載のポリペプチドを認識する抗体。
〔8〕 上記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリヌクレオチド、もしくは〔7〕記載の抗体を少なくとも含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断薬。
〔9〕 上記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリヌクレオチド、もしくは〔7〕記載の抗体を少なくとも含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断用キット。
〔10〕 被験者から採取された生体試料中の上記〔1〕または〔2〕記載のポリヌクレオチドの有無を調べることを特徴とする、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断方法。
〔11〕 下記の工程(I)〜(III)を含む上記〔10〕記載の診断方法。
(I)被験者から採取された生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドと上記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドとを結合させる工程
(II)工程(I)においてポリヌクレオチドに結合したRNAまたは相補的ポリヌクレオチドの有無を、上記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドを指標として測定する工程
(III)工程(II)の測定結果から、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する工程
〔12〕 被験者から採取された生体試料中の上記〔6〕記載のポリペプチドの有無を調べることを特徴とする、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断方法。
〔13〕 下記の工程(i)〜(iii)を含む上記〔12〕記載の診断方法。
(i)被験者から採取された生体試料から調製されたポリペプチドと上記〔7〕記載の抗体とを結合させる工程、
(ii)工程(i)において抗体に結合したポリペプチドまたはその部分ペプチドの有無を、該抗体を指標として測定する工程
(iii)工程(ii)の測定結果から、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する工程
本発明によれば、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を迅速かつ正確に診断することができる。よって、癌患者に対し併用療法を実施すべきか否かの早期決定が可能であると共に、癌治療の効率化を図ることができる。
図1は、実施例におけるcDNAライブラリの作成から計算機解析までの手順の概略を示す図である。 図2は、実施例における配列アノテーション処理の手順の概略を示す図である。 図3は、実施例におけるクローンへのゲノムのマッピング及びそれによるクラスタリングの手順の概略を示す図である。 図4は、実施例における放射線処理群及び併用処理群の増幅量の、コントロール群の増幅量に対する比率を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
なお、本発明における生物化学的なあるいは遺伝子工学的な手法を実施するにあたっては、例えば、Molecular Cloning: A LABORATORY MANUAL,第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,New York(2001)、新遺伝子工学ハンドブック(村松正實ら編、羊土社、実験医学別冊、第3版、1999年)、タンパク質実験の進め方(岡田雅人、宮崎香編、羊土社、第1版、1998年)、タンパク質実験ノート(岡田雅人、宮崎香編、羊土社、第2版、1999年)、タンパク質実験ハンドブック(竹縄忠臣編集、実験医学別冊、初版、2003年8月15日)、PCR実験ノート(谷口武俊編集、羊土社、第1版、1997年)などの種々の実験マニュアルの記載が参照される。
本発明は、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーに関するものである。
ここで、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法とは、上記抗腫瘍剤を用いた化学療法と放射線療法の併用による癌治療法を意味する。
ここで、本発明が対象とする併用療法に用いられる抗腫瘍剤は、テガフール、ギメラシルおよびオテラシルカリウムを、薬学的に許容される担体と共に含有し、且つ、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1のモル比で含有することを特徴とするものである。
ここで、テガフール(tegafur)は、生体内で活性化を受けて活性本体である5−フルオロウラシル(5−FU)を放出することが知られている公知の薬剤である。その製造方法については特に限定されず、公知の方法、例えば特公昭49−10510号公報に記載されている方法に従うことができる。
ギメラシル(2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジン)は、5−FUの抗腫瘍効果を増強させる作用を発揮する公知の化合物である。その製造方法については特に限定されず、公知の方法に従って製造されたものを用いることができる。
オテラシルカリウム(オキソン酸(oxonic acid)カリウム)は、上述のテガフールによる炎症等の副作用を抑制するものである。オテラシルカリウム自体は公知の化合物である。
薬学的に許容される担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の賦形剤を例示できる。
このような抗腫瘍剤としては、市販品を用いることができ、具体的には、大鵬薬品工業株式会社から製造販売されている市販品「ティーエスワン カプセル20」「ティーエスワン カプセル25」(尚、「ティーエスワン」は、本願出願人の一人である大鵬薬品工業株式会社の登録商標である。)を用いることができる。
上記抗腫瘍剤の投与単位形態としては、非注射剤形態であれば特に限定されず、治療目的に応じて選択でき、具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等の非経口剤を例示でき、これら投与剤は、この分野で通常知られた慣用的な製剤方法により製剤化される。
上記抗腫瘍剤の投与方法は、例えば、経腸投与、経口投与、直腸投与、口腔内投与、経皮投与等の非注射投与であれば特に制限されず、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤は、経口投与される。坐剤は直腸内投与される。軟膏剤は、皮膚、口腔内粘膜等に塗布される。
上記抗腫瘍剤の投与条件は、用法、年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択できる。通常、経口投与の場合、成人に対して、テガフールの量が0.1〜100mg/kg/日程度、好ましくは1〜30mg/kg/日程度、ギメラシルの量が0.1〜100mg/kg/日程度、好ましくは1〜50mg/kg/日程度、オテラシルカリウムの量が0.1〜100mg/kg/日程度、好ましくは1〜40mg/kg/日程度の範囲となる量を目安とするのがよい。これら本発明製剤は1日に1回又は2〜4回程度に分けて投与することができる。坐剤の場合、通常、成人に対して、テガフール量として、1〜100mg/kg程度を、1日1〜2回、6〜12時間の間隔をおいて、直腸内に挿入して投与する。
一方、放射線療法とは、X線等の放射線を患部に対し照射することによるがんの治療法である。放射線の照射条件は、年齢、性別、疾患の程度等により適宜選択できる。例えば、放射線療法は1コースで20〜30回(約4〜6週間)に分けて行われ、コース全体で40〜60Gyとなるように設定できる。また、照射部位は腫瘍組織が含まれる部位であれば特に制限されないが、腫瘍部位に対して局所照射を行うことが好ましい。
上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法の対象は癌患者である。癌の種類に関しては、特に限定はなく、例えば、頭頸部癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮頸癌等が挙げられる。これらのうち、頭頸部癌、肺癌、膵臓癌が好ましく、肺癌が特に好ましい。
上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法の実施条件は、年齢、性別、疾患の程度等の条件により適宜設定することが可能である。
一方、併用療法感受性とは、併用療法が施された癌患者における治療効果の個人差を意味する。すなわち、併用療法により高い治療効果が得られる場合は、感受性が高いとされ、一方、十分な治療効果が得られない場合やまったく治療効果が得られない場合には、感受性が低いとされる。
また、併用療法感受性を診断するとは、上記併用療法に対する感受性の有無または程度(レベル)を何らかの基準に基づき評価、特定、検知、判断、予測することを意味するものとする。
また、遺伝子マーカーとは、生体の感受性を判断するための遺伝的な指標または素因を意味する。つまり、本発明において、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとは、該併用療法を施した結果、感受性に対応して遺伝子の発現量が変化する等の遺伝的な指標または素因となるものを示すものである。
本発明は、このような所定の抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーに関するものであり、該マーカーとして機能するポリヌクレオチド(遺伝子マーカーポリヌクレオチド)、該ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、該ポリペプチドを認識する抗体、遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプライマーまたはプローブとなりうるポリヌクレオチド(プローブまたはプライマー用ポリヌクレオチド)、並びにこれらを利用した所定の抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断方法を提供するものである。これらに関し、以下詳細に説明する。
[1]遺伝子マーカーポリヌクレオチド
本発明は、第一に、新規なポリヌクレオチドを提供するものである。本発明のポリヌクレオチドは、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド(以下、遺伝子マーカーポリヌクレオチドという。)として有用である。
本発明のポリヌクレオチドは、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能することができる。これは、各ポリヌクレオチドの発現量が、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を有する患者においては、該併用療法を実施する前後で特異的に変化する性質を持つことに起因するものである。すなわち、本発明のポリヌクレオチドの発現量は、併用療法感受性を有する癌患者において、かつ、上記併用療法が施された場合にのみに変化する。
ここで、併用療法が施された場合の発現量の変化は、発現量の増加と低下の両者を含む。すなわち、第一の例として、遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現量が併用療法実施後に実施前と比較して増加する場合、発現量が増加するときには併用療法感受性が高いと診断され、発現量の増加しない(発現量に変化なし)ときに併用療法感受性が低いと診断される。一方、第2の例として、遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現量が、併用療法実施後に実施前よりも低下もしくは全く発現しない場合、低下もしくは発現しない際には併用療法感受性が高いと診断され、逆に発現量が低下しない(発現量に変化なし)際には併用療法感受性が低いと診断される。併用療法実施後の発現量の変化は、定量PCRなどにより確認することができる。
尚、このような発現量の変化の態様は、マーカーを構成する塩基配列により相違する他、同じマーカーであっても、発現させる際の条件、対象となる生体、癌種等により相違することがある。
本発明のポリヌクレオチドの構造に関し、RNAかDNAかの別、その塩基長、一本鎖か二本鎖の別、環状か線状の別、などについては特に限定されない。また、DNAの場合、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAの別を問わない。さらに、RNAの場合、全RNA、mRNA、rRNA、および合成RNAの別も問わない。さらにまた、一本鎖の場合は、センス鎖であっても、アンチセンス鎖であっても良く、二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでも良い。そして、機能領域の別を問うものでもなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン、またはイントロンを含むものであっても良い。
このような本発明のポリヌクレオチドとして、具体的には、下記の(A)〜(D)で表されるものを例示することができる。
(A)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
(B)前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(C)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
(D)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
上記(A)ポリヌクレオチドは、配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列を含むものであり、該塩基配列のみからなるものであってもよい。これらのポリヌクレオチドは、後述の実施例に示すように、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法を実施する前後でその発現量が特異的に変化するものの中から配列データの解析により、ヒト由来でありかつ新規であることが確認されたものである。このうち、配列番号1〜7、9〜15、17〜21、23〜36は、定量PCRにおける特異性に優れるので、マーカーとしての検出が容易であり、好ましい。
このうち、配列表の配列番号1〜33に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドは、併用療法感受性が高い(有る)場合に発現量が増加する性質を持つ可能性があるポリヌクレオチドとして選抜されたものである。また、配列番号34〜36に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドは、併用療法感受性が高い(有る)場合に発現量が低下するもしくは全く発現しない性質を持つ可能性があるポリヌクレオチドとして選抜されたものである。一方、配列番号37〜70記載の塩基配列は、上記のうち配列番号1〜9、11〜24、26〜36のそれぞれに記載の塩基配列から予測されるmRNA配列をDNAとして表した塩基配列である。
上記(B)ポリヌクレオチドは、前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むものである。すなわち、前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列のその一部に含むものであっても良いし、かかる相補的な塩基配列のみからなるものであっても良い。
上記(C)ポリヌクレオチドは、前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するものである。
ハイブリダイゼーションは、常法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を言う。例えば、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度で洗浄しても、ハイブリダイズ状態を維持する条件が挙げられる。
このような(C)ポリヌクレオチドとして、具体的には、例えば、前記(A)および(B)記載のポリヌクレオチドと少なくとも70%、好ましくは90%、より好ましくは95%、特に好ましくは97%の相同性(homology)を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドを挙げることができる。塩基配列の相同性は、相同性検索、配列アラインメントプログラム、BLAST、FASTA、ClustalWなどにて計算することができる。
上記(D)ポリヌクレオチドは、前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するものである。
ここで、欠失、置換、挿入、および/または付加しても良い塩基の数は、1または複数個、例えば1〜100個程度、好ましくは1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個である。欠失、置換、挿入、および/または付加しても良い塩基の位置は、とくに限定されない。このような(D)ポリヌクレオチドとして、具体的には、例えば、前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドと少なくとも70%、好ましくは90%、より好ましくは95%、特に好ましくは97%の相同性(homology)を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドを挙げることができる。塩基配列の相同性の計算については、上記(C)にて説明した条件と同様とすることができる。
このような本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドは、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法を実施する前後における発現量の変化の検出対象とされることにより、遺伝子マーカーとしての機能を発揮する。発現量の変化を判断するには、被験者における併用療法実施前の発現量や併用療法に対し非感受性または感受性の別の患者における発現量を予め数値化するなどして基準としておき、これらとの統計学的有意差を算出して行うことができる。
本発明は、このような遺伝子マーカーポリヌクレオチドの有無を調べることを特徴とする、上記併用療法感受性の診断方法をも提供するものであり、その内容は下記[5]において詳述するとおりである。
また、本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現量の検出は、被験者から生体試料を採取し、該生体試料中における遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現産物、例えばRNAやこれと相補的なDNAの量を測定することにより行うことができる。係る検出においては、上記遺伝子マーカーポリヌクレオチドを基に設計されたプライマーやプローブを用いることが簡便である。
本発明は、このような感受性診断にあたり有用なプライマーやプローブとして有用なポリヌクレオチドをも提供するものであり、その内容は下記[2]において詳細に説明される通りである。
また、本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現量の検出は、被験者から採取された生体試料から調製された遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの量を測定することによっても実現可能である。係る検出においては、該ポリペプチドを認識する抗体を用いることが簡便である。
本発明は、このような感受性診断にあたり有用なポリペプチドや抗体をも提供するものであり、その内容は下記[3]において詳細に説明される通りである。
そして、本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドは、常法により得ることができる。例えば、下記[2]において詳述されるプライマーを用いたPCR法により増幅することができる。
[2]本発明のプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチド
本発明は、第二に、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するにあたり、上記[1]で説明された本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして用いられるポリヌクレオチド(以下、プローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドという。)を提供するものである。
本発明のプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドは、上記[1]の本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドを検出又は増幅できるものであれば良く、例えば、サザンハイブリダイゼーション、DNAチップ用等のプローブまたはRT−PCR等のPCR用のプライマーとなりうるものであれば良い。特に、遺伝子マーカーポリヌクレオチドの全部または一部に特異的に結合することのできるポリヌクレオチドであることが好ましい。その形態に関し、RNAかDNAかの別、その塩基長、一本鎖か二本鎖の別、環状か線状の別については特に限定されない。また、DNAの場合、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAの別を問わない。さらに、RNAの場合、全RNA、mRNA、rRNA、および合成RNAの別も問わない。さらにまた、一本鎖の場合は、センス鎖であっても、アンチセンス鎖であっても良く、二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでも良い。そして、機能領域の別を問うものでもなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン、またはイントロンを含むものであっても良い。
本発明のプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドは、上記[1]の本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドから設計することができる。
例えばプローブとして用いる場合には、上記[1]の本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドのうちの標的とするポリヌクレオチドのうち少なくとも10塩基以上を有するポリヌクレオチドを用いることができる。
一方、プライマーとして用いる場合には、例えばPCR法で遺伝子増幅を行った場合、増幅産物が上記[1]の本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドの、少なくとも10塩基対以上を含むような1対のポリヌクレオチドとして設計すればよい。具体的には、一方のプライマーが上記[1]の本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドのうちの標的とするポリヌクレオチドのうち少なくとも10塩基以上を含むように設計すれば、もう一方のプライマーは、その標的となるポリヌクレオチドの相補鎖において前記プライマーと相補的な配列より、5’側の任意の配列から選べばよい。プライマーの塩基長は上記[1]の本発明の遺伝子マーカーポリヌクレオチドと特異的に結合可能なものであれば特に限定されないが、好ましくは10塩基から150塩基の核酸断片である。
本発明のプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドとして、具体的には、下記の(1)〜(4)で表されるものを例示することができる。
(1)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列内のすくなくとも連続する10塩基を含むポリヌクレオチド
(2)前記(1)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(3)前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するポリヌクレオチド
(4)前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するポリヌクレオチド
上記(1)ポリヌクレオチドは、配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列内のすくなくとも連続する10塩基を含むものである。ここで、上記(1)ポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合は、10〜150塩基、中でも10〜100塩基、特に15〜50塩基を含むことが好ましい。一方、プローブとして用いられる場合は、10塩基以上、より好ましくは20〜300塩基を含むことが好ましい。
上記(2)ポリヌクレオチドは、前記(1)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むものである。すなわち、前記(1)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列のその一部に含むものであっても良いし、かかる相補的な塩基配列のみからなるものであっても良い。ここで、当該(2)ポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合は、10〜150塩基、中でも10〜100塩基、特に15〜50塩基を含むことが好ましい。一方、プローブとして用いられる場合は、10塩基以上、より好ましくは20〜300塩基を含むことが好ましい。
上記(3)ポリヌクレオチドは、前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するものである。
ハイブリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は前記[1]の(C)において説明したのと同様である。
このような(3)ポリヌクレオチドとして、具体的には、例えば、(1)および(2)記載のポリヌクレオチドと少なくとも70%、好ましくは90%、より好ましくは95%、特に好ましくは97%の相同性(homology)を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドを挙げることができる。塩基配列の相同性の計算については、上記[1]にて説明した条件と同様とすることができる。
ここで、当該(3)ポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合は、10〜150塩基、中でも10〜100塩基、特に15〜50塩基を含むことが好ましい。一方、プローブとして用いられる場合は、10塩基以上、より好ましくは20〜300塩基を含むことが好ましい。
上記(4)ポリヌクレオチドは、前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するものである。
ここで、欠失、置換、挿入、および/または付加しても良い塩基の数は、好ましくは1または複数個、より好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜5個である。このような(4)ポリヌクレオチドとして、具体的には、例えば、(1)および(2)記載のポリヌクレオチドと少なくとも70%、好ましくは90%、より好ましくは95%、特に好ましくは97%の相同性(homology)を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドを挙げることができる。塩基配列の相同性の計算については、上記[1]にて説明した条件と同様とすることができる。
ここで、当該(4)ポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合は、10〜150塩基、中でも10〜100塩基、特に15〜50塩基を含むことが好ましい。一方、プローブとして用いられる場合は、10塩基以上、より好ましくは20〜300塩基を含むことが好ましい。
本発明のプライマーまたはプローブ用ポリヌクレオチドとして、具体的には配列番号71〜142のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを挙げることができる。特に、下記のように配列番号71〜142記載の各塩基配列からなるポリヌクレオチドは、上記遺伝子マーカーポリヌクレオチド、特に配列番号1〜36に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドのプローブ及びプライマーとして有用であり、好ましくはプライマーとして有用である。
ポリヌクレオチドf01a(配列番号71)、r01a(配列番号72);ポリヌクレオチドf02a(配列番号73)、r02a(配列番号74);ポリヌクレオチドf03a(配列番号75)、r03a(配列番号76);ポリヌクレオチドf04b(配列番号77)、r04b(配列番号78);ポリヌクレオチドf05a(配列番号79)、r05a(配列番号80);ポリヌクレオチドf06a(配列番号81)、r06a(配列番号82);ポリヌクレオチドf07a(配列番号83)、r07a(配列番号84);ポリヌクレオチドf08b(配列番号85)、r08b(配列番号86);ポリヌクレオチドf09a(配列番号87)、r09a(配列番号88);ポリヌクレオチドf10a(配列番号89)、r10a(配列番号90);ポリヌクレオチドf11a(配列番号91)、r11a(配列番号92);ポリヌクレオチドf12a(配列番号93)、r12a(配列番号94);ポリヌクレオチドf13a(配列番号95)、r13a(配列番号96);ポリヌクレオチドf14a(配列番号97)、r14a(配列番号98);f15b(配列番号99)、r15b(配列番号100);ポリヌクレオチドf16a(配列番号101)、r16a(配列番号102);ポリヌクレオチドf17a(配列番号103)、r17a(配列番号104);ポリヌクレオチドf18a(配列番号105)、r18a(配列番号106);ポリヌクレオチドf19a(配列番号107)、r19a(配列番号108);ポリヌクレオチドf20a(配列番号109)、r20a(配列番号110);ポリヌクレオチドf21a(配列番号111)、r21a(配列番号112);ポリヌクレオチドf22b(配列番号113)、r22b(配列番号114);ポリヌクレオチドf23b(配列番号115)、r23a(配列番号116);ポリヌクレオチドf24a(配列番号117)、r24a(配列番号118);ポリヌクレオチドf25a(配列番号119)、r25a(配列番号120);ポリヌクレオチドf26a(配列番号121)、r26a(配列番号122);ポリヌクレオチドf27a(配列番号123)、r27a(配列番号124);ポリヌクレオチドf28a(配列番号125)、r28a(配列番号126);ポリヌクレオチドf29a(配列番号127)、r29a(配列番号128);ポリヌクレオチドf30a(配列番号129)、r30a(配列番号130);ポリヌクレオチドf31b(配列番号131)、r31b(配列番号132);ポリヌクレオチドf32a(配列番号133)、r32a(配列番号134);ポリヌクレオチドf33a(配列番号135)、r33a(配列番号136);ポリヌクレオチドf34a(配列番号137)、r34a(配列番号138);ポリヌクレオチドf35a(配列番号139)、r35a(配列番号140);ポリヌクレオチドf36a(配列番号141)、r36a(配列番号142)。
これらの各ポリヌクレオチドは、配列番号1〜36に記載の塩基配列を含む遺伝子マーカーポリヌクレオチドのうち、各ポリヌクレオチド名中の番号に対応する配列番号の遺伝子マーカーポリヌクレオチドから設計されたものである。各ポリヌクレオチド名中「f」が含まれているものはフォワードプライマーとして、「r」が含まれているものはリバースプライマーとして用いることができる。すなわち、各ポリヌクレオチドは、上記列挙中のセミコロンによる区切りごとに、プライマー対として、対応する遺伝子マーカーポリヌクレオチドのためのプライマーとして用いることができる。これらのうち、配列番号71〜84、87〜100、103〜112、115〜142のいずれかの塩基配列を含む遺伝子マーカーポリヌクレオチドの中から適宜選択して用いることが好ましい。また、配列番号37〜70に記載の塩基配列を含む遺伝子マーカーポリヌクレオチドからも、上記配列番号1〜36記載の塩基配列から配列番号71〜142の塩基配列を設計したのと同様に、プライマーポリヌクレオチドを設計することができる。
このような本発明のプライマーまたはプローブ用ポリヌクレオチドは、上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドの合成及び発現量の検出に有用であるので、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の迅速かつ正確な診断に寄与するものである。
本発明は、このような感受性診断の方法を提供するものであり、その内容は、後述の[5]において説明される通りである。
また、本発明のプライマーまたはプローブ用ポリヌクレオチドを感受性診断薬やキットに含めることにより、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断をより簡便に行うことができる。
本発明は、このような感受性診断のための診断薬およびキット、ならびに診断方法をも提供するものであり、その内容は、後述の[4]において説明される通りである。
[3]本発明のポリペプチドおよび抗体
本発明は、第三に、前記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、および該ポリペプチドを認識する抗体を提供するものである。
本発明のポリペプチドは、前記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるものであれば良く、前記[1]で説明された(A)〜(D)ポリヌクレオチドに対応する特定のアミノ酸配列で示されるポリペプチドのほか、該ポリペプチドと実質的に同等の機能を示すことを条件として、その変異体、誘導体、成熟体およびアミノ酸修飾体などを包含する。変異体としては、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、および人為的に欠失、付加、置換されることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないポリペプチドと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げることができる。また、アミノ酸修飾体には、天然に存在するアミノ酸修飾体、天然に存在しないアミノ酸修飾体が包含され、具体的にはアミノ酸のリン酸化体が挙げられる。
本発明のポリペプチドは、前記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドを基にして常法により得ることができる。例えば、該ポリヌクレオチドをクローニングし、ベクタープラスミドにライゲーションした後、大腸菌等の宿主細胞へ形質転換し、得られる形質転換細胞を培養し、培養物中から回収することにより得ることができる。
また、被験者などのヒトの細胞または組織から常法により精製して製造することもできる。例えば、被験者の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
さらに、固相合成法、液相合成法等のペプチド合成法に準じて製造することもできる。
本発明のポリペプチドは、前記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであることから、被験者から採取された生体試料から調製された遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの量を測定することにより発現量の検出が可能である。すなわち、遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの発現量が、併用療法実施後に実施前よりも増加する場合には、増加すれば併用療法感受性が高いと診断され、ポリペプチドの量が増加しない(変化なし)ときに併用療法感受性が低いと診断される。一方、遺伝子マーカーポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの発現量が併用療法実施後に低下もしくは全く発現しない場合には、低下もしくはまったく発現しないときに併用療法感受性が高いと診断され、逆に低下が確認されない(発現量に変化なし)ときに併用療法感受性が低いと診断される。
このような本発明のポリペプチドの量の検出においては、該ポリペプチドを認識する抗体を用いることが簡便であり、本発明は、このようなポリペプチドを認識する抗体をも提供する。
本発明の抗体としては、その形態に特に制限はなく、上記本発明のポリペプチドのいずれかを抗原とするモノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体のいずれであっても良い。また、本発明のポリヌクレオチドのアミノ酸配列のうち少なくとも連続する10アミノ酸、中でも15アミノ酸、特に20アミノ酸からなる部分アミノ酸配列を有するポリペプチドに対して抗原結合性を有する抗体であっても良い。
抗体は常法に従って製造することができる。例えば、ポリクローナル抗体の場合は、常法に従って大腸菌で発現し精製した上記ポリペプチドを用いて、或いは常法に従ってこれらの部分アミノ酸配列を有するよう合成したポリペプチドを用いて、実験動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、例えばモノクローナル抗体の場合は、常法に従って大腸菌等で発現し精製した上記ポリヌクレオチドを用いて、或いは常法に従ってこれらの部分アミノ酸配列を有するよう合成したポリペプチドを用いて、実験動物に免疫し、該実験動物から得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマ細胞を合成し、該細胞中から得ることができる。
このように、本発明のポリペプチドおよび抗体は、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の迅速かつ正確な診断に寄与するものであり、併用療法感受性の診断薬や診断用キットとして広く活用することができるものである。
本発明は、このような抗体を用いた感受性診断の方法を提供するものであり、その内容は、後述の[5]において説明される通りである。
また、本発明の抗体を感受性診断薬やキットに含めることにより、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断をより簡便に行うことができる。
本発明は、このような感受性診断のための診断薬およびキット、ならびに診断方法をも提供するものであり、その内容は、後述の[4]において説明される通りである。
[4]診断薬及び診断用キット
本発明は、第四に、上記[2]で説明されたプライマー又はプローブ用ポリヌクレオチド、もしくは上記[3]で説明された抗体を少なくとも含むことを特徴とする診断薬、並びに診断キットを提供するものである。
本発明の診断薬並びに診断キットは、上記[2]で説明されたプライマー又はプローブ用ポリヌクレオチド、もしくは上記[3]で説明された抗体を少なくとも含むものであり、公知の診断薬や診断用キットにおいて用いることのできる他の材料、例えば、上記ポリヌクレオチドや抗体の生体試料に対する反応に用いるための緩衝液や酵素を含むことができ、さらに簡便に診断を行うためには、被験者からの生体試料の調製や増幅産物の検出に使用される試薬類を含んでいてもよく、常法に従い、適宜の剤形とすることができる。
従って、本発明の診断薬又は診断キットを用いることにより、被験者の生体試料中に含まれる遺伝子マーカーポリヌクレオチド、又は該ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを検出することによって、該被験者の上記併用療法に対する感受性を診断することができる。
[5]本発明の診断方法
本発明は、第五に、被験者から採取された生体試料中の上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチド、或いは上記[3]で説明されたポリペプチドの有無を調べることを特徴とする、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断方法をも提供するものである。
被験者は、既に上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法が施されている癌患者であっても、未実施の癌患者であってもよい。
癌の種類については前記した抗腫瘍剤及び放射線の併用療法により治療できる癌種であれば特に限定はなく、例えば、頭頸部癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮頸癌等が挙げられ、頭頸部癌、肺癌、膵臓癌が好ましく、肺癌が特に好ましい。
生体試料は、被験者自身のものであり腫瘍を含む可能性がある試料であれば特に限定されず、体液(血液、尿等)、組織、その抽出物及び採取した組織の培養物などが例示できるが、採取の容易さから、血液、特に血清であることが好ましい。
また、生体試料の採取方法は、生体試料や癌種に応じた方法により適宜選択することができる。
本発明の診断方法に適用される生体試料は、既に上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法が施されている癌患者から採取されたものであってもよく、併用療法未実施の癌患者から採取されたものに上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法を施したものであってもよい。
被験者において既に上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法が施されている場合の生体試料の採取を行う時期は、併用療法の効果が発揮されることが見込まれる時間であることが好ましい。通常は、併用療法実施後30分〜5時間、好ましくは1時間〜3時間である。
本発明の診断方法においては、上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドの有無、或いは上記[3]で説明されたポリペプチドの有無を調べる。まず、上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドの有無を検出対象とする場合について、以下に説明する。
本発明の診断方法において上記[1]で説明された遺伝子マーカーポリヌクレオチドの有無を調べるにあたり、前記[2]で説明されたプローブまたはプライマー用のポリヌクレオチドを利用して、ノーザンブロット法、RT−PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーション法等の公知の方法を利用して、下記の工程(I)〜(III)を含む方法により実施することができる。
(I)被験者から採取された生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドと上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドとを結合させる工程
(II)工程(I)においてポリヌクレオチドに結合したRNAまたは相補的ポリヌクレオチドの有無を、上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドを指標として測定する工程
(III)工程(II)の測定結果から、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する工程
工程(I)においては、被験者から採取された生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドと上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドとを結合させる。
該生体試料からのRNAの調製や、RNAからの転写された相補的ポリヌクレオチドの調製は、常法により行うことができる。
RNAとプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドとの結合は、常法により両者の全部または一部が結合し易い条件を考慮して行うことができる。
工程(II)においては、工程(I)においてプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドに結合したRNAまたは相補的ポリヌクレオチドの有無を、上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドを指標として測定する。測定は、工程(I)において、あらかじめプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドを放射性同位元素や蛍光物質などの標識物質で標識しておいてからRNAや相補的ポリヌクレオチドと結合させることにより、該標識物質に由来するシグナルを放射線検出器や蛍光検出器で測定して行うことができる。
このような本発明の診断方法は、ノーザンブロット法、RT−PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーションなどを利用して行うことができる。
ノーザンブロット法を利用する場合には、上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドをプローブとして用いて、被験者から採取された生体試料から調製されたRNA中の遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現の有無やその発現レベルを検出することができる。
具体例を挙げると、まず、被験者から調製されたRNAをナイロンメンブレン等にトランスファーしておき、これにあらかじめ標識しておいたプローブとハイブリダイズさせる(工程(I))。続いて、形成されたポリヌクレオチドとRNAの二本鎖の有無を、該プローブの標識に由来するシグナルを指標として測定する(工程(II))。なお、市販ノーザンブロット法用キットを利用して、該キットのプロトコルにしたがって実施することも可能である。
RT−PCR法を利用する場合には、上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドをプライマーとして用いて、被験者から採取された生体試料から調製されたRNAから調製したcDNA中の遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現の有無やその発現レベルを検出することができる。
具体例を挙げるとまず、被験者由来のRNAから調製したcDNAを鋳型として、上記プライマーをこれとハイブリダイズさせて、常法に従いPCRを行い(工程(I)に相当)、得られた増幅二本鎖DNAを検出する(工程(II)に相当)ことができる。なお、市販RT−PCR用キットを利用して、該キットのプロトコルにしたがって実施することも可能である。
DNAチップ解析法を利用する場合は、上述したプローブまたはプライマー用ポリヌクレオチドを1本鎖または2本鎖のプローブとして適当な担体に固定させてなるDNAチップを用いて、被験者から採取された生体試料から調製されたRNA中の遺伝子マーカーポリヌクレオチドの発現の有無やその発現レベルを検出することができる。
具体例を挙げると、まず、被験者から調製されたRNAをナイロンメンブレン等にトランスファーしておき、これにあらかじめ標識しておいたプローブとハイブリダイズさせる(工程(I))。続いて、形成されたポリヌクレオチドとRNAの二本鎖の有無を、該プローブの標識に由来するシグナルを指標として測定する(工程(II))。
工程(III)においては、前記工程(II)の測定結果から、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する。測定の結果からの併用療法感受性の診断は、工程(II)において測定されたRNAまたは相補的ポリヌクレオチドの測定値を、被験者における併用療法実施前や併用療法に対し非感受性または感受性の別の被験者において同様に測定されたRNAまたは相補的ポリヌクレオチドの測定値や同様の測定値を予め数値化するなどして基準としておき、これらと比較して統計学的有意差を算出することにより行うことができる。
具体的には、上記したように、併用療法が施されると発現量が増加する遺伝子マーカーポリヌクレオチドを指標とした場合、発現量の増加が確認された際は併用療法感受性が高いと診断され、発現量の増加が確認されない(発現量に変化なし)際には併用療法感受性が低いと診断される。一方、併用療法が施されると発現量が低下する遺伝子マーカーポリヌクレオチドを指標とした場合は、発現量の低下もしくは全く発現しないことが確認された場合には併用療法感受性が高いと診断され、逆に発現量の低下が確認されない(発現量に変化なし)場合には併用療法感受性が低いと診断される。
次に、本発明の診断方法において前記[3]で説明されたポリペプチドの有無を検出対象とする場合について、以下に説明する。
本発明の診断方法において上記[3]で説明されたポリペプチドの有無を調べるにあたり、前記[3]で説明された抗体を利用したウェスタンブロット法のほか、酵素免疫法(EIA)、ラジオアイソトープ免疫法(RIA)、蛍光免疫法などの免疫学的検出法等によることができる。また、抗体とポリペプチドまたは部分ペプチドとの免疫反応は、競合法、サンドイッチ法のいずれでもよいが、このうちサンドイッチ法、特に固相抗原または固相抗体を用いたELISAが好ましい。
このようなポリペプチドを検出対象とした場合の診断の具体例としては、下記の工程(i)〜(iii)を含む診断方法を挙げることができる。
(i)被験者から採取された生体試料から調製されたポリペプチドと上述した抗体とを結合させる工程、
(ii)工程(i)において抗体に結合したポリペプチドまたはその部分ペプチドの有無の有無を、該抗体を指標として測定する工程
(iii)工程(ii)の測定結果から、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する工程
工程(i)においては、被験者から採取された生体試料から調製されたポリペプチドと抗体とを結合させる。生体試料からのポリペプチドの調製は、公知の分画、精製方法を適宜組み合わせて行うことができる。
工程(ii)においては、工程(i)において抗体に結合したポリペプチドまたはその部分ペプチドの有無を、該抗体を指標として測定する。測定は、工程(i)において、あらかじめ抗体を放射性同位元素や蛍光物質などの標識物質で標識しておいてからポリペプチドと結合させることにより、該標識物質に由来するシグナルを放射線検出器や蛍光検出器で測定して行うことができる。
工程(iii)においては、前記工程(ii)の測定結果から、上記抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する。測定結果からの併用療法感受性の診断は、工程(ii)において測定されたポリペプチドの測定値を、被験者における併用療法実施前や併用療法に対し非感受性または感受性の別の被験者において同様に測定されたポリペプチドの測定値や同様の測定値を予め数値化するなどして基準としておき、これらと比較して統計学的有意差を算出することにより行うことができる。
具体的には、上記したように、併用療法が施されると発現量が増加する上記[3]のポリペプチドを指標とした場合、発現量の増加が確認された際は併用療法感受性が高いと診断され、発現量の増加が確認されない(発現量に変化なし)際には併用療法感受性が低いと診断される。一方、併用療法が施されると発現量が低下する上記[3]のポリペプチドを指標とした場合は、発現量の低下もしくは全く発現しないことが確認された場合には併用療法感受性が高いと診断され、逆に発現量の低下が確認されない(発現量に変化なし)場合には併用療法感受性が低いと診断される。
本発明の診断方法を実施することにより、被験者における上記併用療法の感受性が診断でき、それにより上記併用療法の継続可能性及び/または実施可能性を予測できる。
すなわち、被験者において既に上記併用療法が施されている場合、本発明診断方法により得られる併用療法感受性から、さらに上記併用療法を継続するべきか否かを判断できる。
また、被験者において上記併用療法が未実施である場合、本発明診断方法により得られる併用療法感受性から、上記併用療法を実施するべきか否かを予測できる。
継続可能性及び/または実施可能性が高い患者についてのみ上記併用療法を実施することにより、該患者は適正な治療を受けることができ、ひいては、医療全体における治療効率および経済的な面からも有用である。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
以下の手順に従い、遺伝子マーカーとして機能する可能性の高いポリヌクレオチドの調製、検索を行った。
1.30種の検体群の調製
ヌードマウス皮下移植ヒト肺癌株から、30種の検体群を、以下の条件で調製した。尚、本実施例において使用したヌードマウス皮下移植ヒト肺癌株は併用療法感受性陽性であることが予め確認されている。
〔被験液の調製〕
下記の試験において被験液として用いたS−1薬液は、以下のようにして調製した。
すなわち、まず、テガフール、ギメラシルおよびオキソン酸カリウムをそれぞれ0.83mg/ml、0.25mg/ml、0.82mg/mlになるように0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)溶液に懸濁し、室温で約10分間攪拌した。その後、氷冷下で超音波処理して、用量8.3mg/kg/dayのS−1薬液を得た。なお、このS−1薬液の用量は、マウスに14日間経口投与したときの最大無毒性用量である。
〔放射線の照射条件〕
下記の試験における放射線(X線)の照射条件は、以下の通りとした。
日立メディコ社製のMBR−1505R2型放射線照射装置を用いて、マウスあたり1回の照射が2Gyおよび5Gyとなるように照射条件(照射位置)を設定し、マウスの右大腿部に移植したヒト腫瘍株に対して局所照射を行った。照射の際、全身照射を避けるため、鉛で作られた収納箱にマウスを入れて右足のみ放射線に暴露されるようにした。
〔投与試験〕
生後5〜6週齢のBALB/cA−nuマウスの右大腿部に、前もって同系統のマウス背部皮下に移植して増殖させていたヒト肺癌株(LC−11およびLu−99)を摘出して生理食塩液中で約2mm角にハサミで細片化したものを、移植針を使って皮下移植して、少なくとも1〜2週間飼育した。その後、各群(1群6匹)の腫瘍体積の平均および標準偏差(S.D.)ともできる限り均等になるように4群に分けた後、それぞれを対照群(Control)、放射線単独群(X ray)、薬剤単独群(S−1)および薬剤と放射線併用群(S−1+X ray)と位置づけ、さらに、処置期間により3群又は4群に分け計30検体群として、各群に薬剤投与および放射線照射を開始した。表1に30検体群それぞれの由来株、処置内容及び処置期間との対応関係を「●」で示した。
薬剤投与群、および薬剤と放射線併用群には、体重1kgに対し上記のS−1薬液をそれぞれ8.3mlの割合で、1日1回、表1に示す処置期間経口投与用ゾンデを用いて経口投与した。放射線照射群、および薬剤と放射線併用群には、試験開始の1日目と8日目において、S−1薬剤を投与した後の約1時間以内に、上記放射線の照射条件で説明した方法に従って2Gyを照射した。対照群(非放射線照射、非薬剤投与群)および放射線照射単独群の担癌マウスには、0.5%HPMC液のみを、S−1薬液の場合と同じ条件に従って表1に示す処置期間経口投与した。
Figure 2007043531
そこで、各群から、試験開始の2日目、9日目、12日目、および15日目の腫瘍組織を採取し、表1に示す由来株別、処置内容別、および処置期間別に分類される30種類の検体として、以下の工程に供した。
2.cDNAライブラリ作製部
2.1 概略
がん細胞株・処置方法及処置時間別に分類される30種の検体群(表1参照)について、各群からRNAを抽出し、polyA+RNAを調製した。
その後、30検体群から処置方法別に混合グループを調製し、Control群(非放射線照射、S−1非投与)、S−1処理群(非放射線照射、S−1投与)、および放射線処理群(放射線照射、S−1非投与)、および併用処理群(放射線照射、S−1投与)として4つのcDNAライブラリを作成した。
2.2 Total RNA抽出
前述の工程1で得られた30種の検体群(表1)を、それぞれ、液体窒素中にて凍結し、凍結状態のままで破砕し粉末化した。その後、Trizol Reagent(Invitrogen社)を、粉末50mgあたり1mL添加してホモジェナイズし、Total RNA(以下、RNA試料という。)を抽出した。抽出は、同製品のプロトコルに従って行った。
2.3 Proteinase K処理
工程2.2で得られたRNA試料中のRNA分解酵素を不活化するために、RNA試料をProteinase K処理した。すなわち、RNA試料1mgに対し、Proteinase K(Invitrogen社)を0.5μg加え、37℃で1時間反応させることでRNA分解酵素を不活化させた後、60℃に10分間加熱してProteinase Kを失活させた。
その後、フェノール処理およびエタノール沈澱により得られたRNA試料をさらに以下の工程に供した。
2.4 DNase I処理
精製RNA試料に混入している可能性のあるゲノムDNAを除去するために、工程2.3で得られた試料をDNA分解酵素(DNase I:タカラバイオ社)処理した。すなわち、精製RNA試料1mgに対し、DNase Iを1ユニット加え、37℃で30分反応させた。反応終了後、フェノール処理およびエタノール沈澱によりRNAを回収した。
こうして回収されたRNAを、DNase I処理済のTotal RNA試料として、以下の工程に供した。
2.5 polyA+RNA抽出
mRNAのpolyA配列とオリゴdTとの親和性を利用して、工程2.4で得られたDNase I処理済のTotal RNA試料からpolyA+RNAを抽出した。オ
リゴdTはOligotex−dT30(タカラバイオ社)を利用し、mRNAの吸着及抽出を行なった。なお操作手順は同製品のプロトコルに従って行った。mRNAは抽出後、エタノール沈澱により精製した。
こうして30種類の検体群(表1参照)から得られたpolyA+RNAを、表2の「混合グループ」に示すように、Control、S−1処理、放射線処理、S−1および放射線併用処理の処置別に、各検体群について2μgずつ混合調製し、4つの混合グループ(Control群、S−1処理群、放射線処理群、併用処理群)とした。30種類の検体群と4つの混合グループとの関係を、表2に示す。なお、表2中の「●」は、各検体群の由来株、処置内容及び処置期間の対応を示すものである。
Figure 2007043531
2.6 First strand合成・cDNAライブラリ作成の概略
工程2.5にて混合調製された4つの各混合グループ(表2)のpolyA+RNAを鋳型として、オリゴdTプライマーを使用し、First strand合成およびcDNAライブラリ作成を行った。cDNAライブラリ作成までの以下の一連の操作は、cDNA Construction Kit(タカラバイオ社)を利用して、同製品の操作マニュアルに従って実施した。
こうして4混合グループのそれぞれから得られた4種のcDNAライブラリを、以下のように命名した。すなわち、Control群はTH05C、S−1処理群はTH05S、放射線処理群はTH05X、併用処理群はTH05SXと呼ぶ(図1参照)。
2.7 Not I+EcoR1切断cDNAの作製・精製
工程2.5にて混合調製された4つの各混合グループのpolyA+RNAそれぞれを鋳型に、cDNA Construction Kit(タカラバイオ社)の操作手順に従い、制限酵素Not I認識配列を含むオリゴdTプライマーと5−methyl dCTPを使用したFirst strand合成、DNA polymerase I、E.coli RNase H、E.coli DNA Ligaseを使用したSecond strand合成、及びT4 DNA polymeraseを用いた末端構造の平滑化を行なった。ついでこれに対し、Kitに付属のEcoRI−Sma I AdaptorをT4 DNA Ligaseにより連結させた。こうして得られたcDNA断片の両末端には制限酵素NotI、EcoRIの認識部位が存在する。このcDNA断片に対し制限酵素Not I(5ユニット)とEcoRI(5ユニット)で37℃、1時間の処理を行なった。その後、ゲルろ過カラム(インビトロジェン社、商品名:cDNA Size Fraction Column)を用いて、同製品操作マニュアルに従いサイズ分画を行い、電気泳動と260nmの吸光度を指標として500bp付近のcDNAを抽出した。更に、エタノール沈澱を行って、その両末端がNot IおよびEco RIで切断されているcDNA断片を精製した(以下、精製cDNA試料)。
2.8 ベクターの準備
pBlueScript II KS(−)(ストラタジーン社)ベクターを、制限酵素Not IおよびEcoR1で処理した。1%アガロースを用いた電気泳動を実施後、ベクターを切り出し、精製を行った。
2.9 ベクターとcDNAのLigationと形質転換(図1)
工程2.7にて得られた4種の精製cDNA試料を各々、工程2.8にて準備したベクターに、Ligation High(TOYOBO社)を用いて、同製品の操作マニュアルに従い、Ligationし、挿入した。得られた4種のLigation産物はそれぞれ大腸菌DH5α(TOYOBO社)に形質転換し、寒天培地に塗沫し37℃で一晩培養後、大腸菌のコロニーを形成させた。培地組成は、15gバクトアガー/L、10gトリプトン/L、5gイーストエキストラクト/L、100μgアンピシリン/mLとした。個々のコロニー(大腸菌クローン)は、それぞれ1種類のcDNA断片が挿入された(組み込まれた)ベクターを保持している。こうして、4種cDNAライブラリに対しそれぞれ形質転換と大腸菌コロニーの形成を行なうことにより、4種類のライブラリ由来のクローンが得られた。
3 DNAシーケンス
3.1 概略
前述の工程2で得られた4種のライブラリ由来のクローンを対象としてシーケンシングを実施した。すなわち、各ライブラリ由来の大腸菌クローンを整列化した後、ベクタープライマーを利用してPCR増幅を行なうことで、挿入されているcDNA断片を増幅した。その後、増幅cDNA断片を精製し、これを鋳型としたシーケンス反応を行い、配列決定を行った。
3.2 コロニーピックアップ・培養(図1)
工程2.9にて得られた寒天プレート毎に、寒天プレート上に生じたコロニーを、コロニーピック装置Q−PIX(Genetix社)を使用して、予めLB培地分注済みの96マルチウェルプレートに植菌・整列化する。37℃にて一晩震とう培養した。これは整列化して再培養することで各クローン間における増殖のばらつきを押さえ、以下の作業における各ウェル間の差を低減させるためである。これ以降の一連の反応は、96マルチウェルプレートを利用して行なった。
3.3 鋳型の直線化(図1)
工程3.2で得られたマルチウェルプレートの各ウェル内の培養液を、98℃3分間加熱処理し、大腸菌の細胞膜を破壊した。菌の加熱処理済み液(ライゼート液)に含まれるプラスミドDNAを鋳型として、pBlueScript II KS(−)ベクターのマルチクローニング部位近傍配列由来配列のプライマー(KS−F、KS−R)を利用してPCR反応を行い、挿入cDNA断片を増幅した。PCRの反応液組成は、菌ライゼート液;10μL、10XPCRバッファー;5μL、プライマー;各10pmol、dNTPs;各20nmol、EX Taq(タカラバイオ社);1ユニットに対し滅菌水を添加して50μLとした。
また、PCRのサーマルサイクルは、94℃・30秒→60℃・30秒→70℃・1分を30回繰り返した。
3.4 シーケンス反応(図1)
工程3.3にて増幅・精製したcDNA断片を鋳型としてシーケンス反応を行った。標識には、BigDyeターミネータv1.1(アプライドバイオシステムズ社)を使用し、同製品の操作マニュアルに従い反応を行った。
シーケンス反応産物は、SephadexG−50(Amersham社)を使用して、同製品の操作マニュアルに従い精製した。
3.5 泳動・配列決定(図1)
工程3.4において得られた精製シーケンス反応産物について、ABI3730x1(アプライドバイオシステムズ社)を使用して、同製品の操作マニュアルに従い、泳動・配列決定を行なった。
その結果、TH05SX(併用処理群)、TH05S(S−1処理群)、TH05C(Control群)およびTH05X(放射線処理群)のそれぞれのライブラリ毎にクローンの配列データを得た。
4.配列アノテーション処理
4.1 概略
上記DNAシーケンス部において得られた各クローンの配列データについて、まず、品質トリミング、ベクタートリミング、クロスコンタミネーションの確認(検出・排除)等からなる一連の配列クリーニング処理を行ない、挿入配列の切り出し(抽出)を行なった。次に、得られた挿入配列を基に配列アノテーション処理を行ない、各クローンが既知遺伝子であるか、あるいは新規遺伝子であるかの判定を行うと共に、由来遺伝子種および由来生物種(ヒトかマウスのいずれか)の特定を行なった。
配列アノテーション処理の手順の概略を図2に示す。
4.2 配列クリーニング処理
4.2.1 概略
配列アノテーション処理の前に、配列クリーニング処理を行い、上記DNAシーケンス部において得られた各クローンについて、シーケンサーから出力された配列データを処理し、配列アノテーション処理の対象としてのcDNA断片の抽出を行った。cDNA断片の配列を同定するにあたり、クローニングベクターの配列を取り除く必要があるので、例えば、Chou HH,Holmes MH.;DNA sequence quality trimming and vector removal.Bioinformatics.2001 Dec;17(12):1093−1104.の記載を参考にして、ベクタートリミング処理(vector trimmingあるいはvector removal)を行うと共に、低品質配列の除去のための品質トリミング処理(quality trimming)、クロスコンタミネーションの検出・排除をも併せて行なった。
4.2.2 品質トリミング処理
各配列データについて、読み取り配列の先頭と終端付近に存在する品質の不安定な塩基配列を、それぞれ両側から取り除き、配列として確度の高い部分を抽出した。
4.2.3 ベクタートリミング処理
クローニングベクター(pBluescript II KS(−))の配列を取り除くことにより、cDNA断片を抽出した。このとき、想定されるクローニング部位が見当たらない、あるいはクローニング部位にcDNA断片の配列が確認できない、等の不具合を持つ配列データを、この処理段階で排除した。
4.2.4 クロスコンタミネーションの検出・排除
ベクタートリミング処理により抽出されたcDNA断片の配列の品質を評価し、クロスコンタミネーションの有無を判定した。すなわち、複数のクローンが混入している恐れのある配列データについて、この処理の段階で検出・排除し、以後の配列アノテーション処理の対象から排除した。
4.3 配列アノテーション処理
4.3.1 概略
配列クリーニング処理の結果、品質に問題がないと判定されたcDNA断片からなる配列データについて、遺伝子および生物種の由来を特定すべく、以下の手順で配列アノテーション処理を行った。
ここで、出発材料として、ヌードマウス皮下移植ヒト肺がん株、いわゆるxenograft組織を用いたため、ヒト由来のクローンの配列データだけでなくマウス由来のクローンの配列データが混在しているおそれがあるため、ヒトおよびマウスのいずれに由来する配列であるかの生物種判定も併せて行なった。
本処理においては、ヒト既知遺伝子mRNA配列データベースおよびマウス既知遺伝子mRNA配列データベースを使用した。なお、本処理において使用した既知遺伝子配列データベースは、2004年10月8日版のGenBank,RefSeq,LocusLinkである。
4.3.2 既知遺伝子配列データベースとの相同性(homology)検索(遺伝子名の特定)
前述の工程4.2で得られたcDNA断片の配列データについて、NCBIより入手可能なヒト既知遺伝子配列データよびマウス既知遺伝子配列データに対して、転写物(mRNA)での相同性検索を行なった。得られた検索結果を分析して4.2で得られたcDNA断片の配列データが対応付く遺伝子を特定した。この段階で遺伝子が単一生物種の単一遺伝子種に一意に特定された配列は、遺伝子だけでなく由来生物種も決定できたものと判断され、その結果がアノテーションされた。
このアノテーションを用いて、各cDNAライブラリ由来のクローンからヒトの遺伝子であり、かつ既知遺伝子ではないと判断できた配列データ、すなわち新規遺伝子候補となるクローンの配列データが得られた。
5.ゲノムデータをもちいた新規遺伝子の同定(図3)
5.1 概略
上記工程4において、公開データベースに登録されたmRNAと比較し、既知の遺伝子に対応するクローンの配列データを除いたが、当該工程では、ゲノムのレベルで公開データベースの既知遺伝子の位置とクローンの配列データのクラスターの位置を照合し、既知遺伝子に対応するクローンの配列データを除き、新規遺伝子候補を選別する。
5.2 ゲノムデータへのマッピング解析
工程4で得られた新規遺伝子候補となる各クローンの配列データの中から、ヒトゲノムのデータにユニークにマッピングされるクローンを抽出した。すなわち、各クローンの配列データをクエリーとして、Eバリューを1e−100に設定したBlast処理を実施し、クローンの配列データとゲノム配列に相同性が98%以上有り、且つ、1つの染色体又はミトコンドリアの1方向の1遺伝子座部位のみにマッピングされているクローンを抽出した。ヒトゲノムデータとしては、データベースNCBI reference Build35.1(各染色体とミトコンドリアの代表ゲノム配列)を用いた。ゲノムデータへのマッピング解析については、McGinnis S.,Madden T.L.;“BLAST:at the core of a powerful and diverse set of sequence analysis tools.“Nucleic Acids Res.2004;32:W20−W25.の記載が参照される。
5.3 新規遺伝子候補抽出
上記工程5.2で得られたクローンの配列データについて、ゲノム上のクラスターを計算する。得られたクラスターのゲノム上の位置情報は、新規遺伝子候補の遺伝子座部位と予測できる。クラスターを構成するクローン(新規遺伝子候補)の中で、ゲノムのデータにマップされる部分が最も長いクローンをクラスターの代表配列とする。
これらの解析の結果、TH05SXのライブラリのみから獲得されたが他の3つのライブラリからは獲得されなかったクローンは、33個(配列表の配列番号1〜33参照)であり、一方、TH05SXのライブラリのみから獲得されなかったが他の3つのライブラリのいずれからも獲得されたクローンは、3個(配列表の配列番号34〜36参照)であった。前者のクローン33個は、S−1及び放射線併用療法実施後に特異的に発現量が増加する遺伝子マーカーとして有用であり、一方、後者のクローン3個は、上記併用療法実施後に発現量が低下する遺伝子マーカーとして有用性が高いものと考えられる。
更に、mRNAの全長を予測するため、Exon,Intronの部分の高精度解析を実施し、N端trancateおよびC端trancateを評価して、mRNAの配列が取れていない部分を予測した。予測されたmRNAが全長遺伝子からの転写物であり得るか否かを判断し、予測されたmRNA配列中のアンビギュイティーコードを解消し、コンサーブド・ドメインの存在を確認し、さらにGenome上でのユニーク性を確認した上で、最終的な予測アミノ酸配列を決定した。その結果得られた、各クローン(配列表の配列番号1〜9、11〜24、26〜36参照)から予測される全長mRNA配列に対応するDNA配列は、それぞれ、配列表の配列番号37〜70に示すとおりであった。尚、mRNA配列自体の配列は、配列番号143〜176に示すとおりである。
実施例2
実施例1において獲得された36個のクローン(配列番号1〜36)が実際に、定量PCR法で増幅できるか、確認実験を実施した。定量PCRには、実施例1で用いたヒト肺癌細胞株LC−11由来のDay2(試験開始から2日目)のDNase I処理済みのトータルRNA5μgを用いた。表1にあるように、Day2においては、S−1処理群のゼノグラフトサンプルについて、RNA調製を行わなかったので、control群、放射線処理群、および併用処理群のそれぞれ由来のDnase I処理済みのトータルRNA5μgを用いた。
1.プラスミドDNA調製
実施例1で得られた各検体群のグリセロールストックより細胞を培養し、プラスミドDNAを抽出した。プラスミドDNA抽出用試薬はWizard plus Minpreps(プロメガ社)を用いた。
2.first strand cDNA合成
実施例1で得られたDay2におけるLC−11株のcontrol群、放射線処理群、および併用処理群のそれぞれ由来のDNase I処理済みトータルRNA 5ugを鋳型にしてそれぞれ個別にfirst strand cDNA合成を行った。試薬はOligo(dT)12−18 primer(インビトロジェン社)500ng、SuperScript II RT(インビトロジェン社)200Uを用い20ulスケールにて反応を行った。
3.プライマー設計、合成
実施例1で得られた36個のクローンの配列(配列番号1〜36)をプライマー設計ソフトウェアに適用してプライマーペアの候補(配列番号71〜142)を得た。すなわち、配列番号1のクローンに対応するプライマーf01a(配列番号71)、r01a(配列番号72);配列番号2のクローンに対応するプライマーf02a(配列番号73)、r02a(配列番号74);配列番号3のクローンに対応するプライマーf03a(配列番号75)、r03a(配列番号76);配列番号4のクローンに対応するプライマーf04b(配列番号77)、r04b(配列番号78);配列番号5のクローンに対応するプライマーf05a(配列番号79)、r05a(配列番号80);配列番号6のクローンに対応するプライマーf06a(配列番号81)、r06a(配列番号82);配列番号7のクローンに対応するプライマーf07a(配列番号83)、r07a(配列番号84);配列番号8のクローンに対応するプライマーf08b(配列番号85)、r08b(配列番号86);配列番号9のクローンに対応するプライマーf09a(配列番号87)、r09a(配列番号88);配列番号10のクローンに対応するプライマーf10a(配列番号89)、r10a(配列番号90);配列番号11のクローンに対応するプライマーf11a(配列番号91)、r11a(配列番号92);配列番号12のクローンに対応するプライマーf12a(配列番号93)、r12a(配列番号94);配列番号13のクローンに対応するプライマーf13a(配列番号95)、r13a(配列番号96);配列番号14のクローンに対応するプライマーf14a(配列番号97)、r14a(配列番号98);配列番号15のクローンに対応するプライマーf15b(配列番号99)、r15b(配列番号100);配列番号16のクローンに対応するプライマーf16a(配列番号101)、r16a(配列番号102);配列番号17のクローンに対応するプライマーf17a(配列番号103)、r17a(配列番号104);配列番号18のクローンに対応するプライマーf18a(配列番号105)、r18a(配列番号106);配列番号19のクローンに対応するプライマーf19a(配列番号107)、r19a(配列番号108);配列番号20のクローンに対応するプライマーf20a(配列番号109)、r20a(配列番号110);配列番号21のクローンに対応するプライマーf21a(配列番号111)、r21a(配列番号112);配列番号22のクローンに対応するプライマーf22b(配列番号113)、r22b(配列番号114);配列番号23のクローンに対応するプライマーf23b(配列番号115)、r23a(配列番号116);配列番号24のクローンに対応するプライマーf24a(配列番号117)、r24a(配列番号118);配列番号25のクローンに対応するプライマーf25a(配列番号119)、r25a(配列番号120);配列番号26のクローンに対応するプライマーf26a(配列番号121)、r26a(配列番号122);配列番号27のクローンに対応するプライマーf27a(配列番号123)、r27a(配列番号124);配列番号28のクローンに対応するプライマーf28a(配列番号125)、r28a(配列番号126);配列番号29のクローンに対応するプライマーf29a(配列番号127)、r29a(配列番号128);配列番号30のクローンに対応するプライマーf30a(配列番号129)、r30a(配列番号130);配列番号31のクローンに対応するプライマーf31b(配列番号131)、r31b(配列番号132);配列番号32のクローンに対応するプライマーf32a(配列番号133)、r32a(配列番号134);配列番号33のクローンに対応するプライマーf33a(配列番号135)、r33a(配列番号136);配列番号34のクローンに対応するプライマーf34a(配列番号137)、r34a(配列番号138);配列番号35のクローンに対応するプライマーf35a(配列番号139)、r35a(配列番号140);配列番号36のクローンに対応するプライマーf36a(配列番号141)、r36a(配列番号142)。
なお、ソフトウェアのパラメーター設定はTaKaRa Ex Taq R−PCR version 2.1(タカラバイオ社)付属のプロトコールに従った。挙げられた候補の中から、タカラバイオ社およびアプライドバイオシステムズ社が推奨するプライマー設計指針の両者を考慮してプライマーペアを選択した。選んだプライマーはblast検索にかけて、他の遺伝子配列が増幅しないことを確認した。プライマー合成はインビトロジェン社に依頼した。合成したプライマーの配列は表3に記載した。表3中のNo.は、各プライマーに対応するクローンの配列番号を示す。
Figure 2007043531
4.プライマー特異性確認
定量試験を実施し、上述のようにして作成した各プライマーが、対応するクローンを特異的に増幅させるかどうかを確認した。定量試験はアプライドバイオシステムズ社の装置(ABI7500)と試薬の組み合わせで行った。具体的な反応系は以下の通りとした。すなわち基本試薬にPower SYBR Green PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)を用い、プライマーはそれぞれ終濃度200nMとした。鋳型は、プラスミドDNAを5段階に系列希釈したもの、すなわち10pmol/ul、1pmol/ul、100fmol/ul、10fmol/ul、1fmol/ulに希釈したもの、およびfirst strand cDNA(併用処理群由来)の50倍希釈液をそれぞれ1ul用いた。反応液量は50ulとした。PCRプログラムは95℃、1min→(95℃、15sec→60℃1min) x 45cycleの後、defaultのdissociation curve作成プログラムを追加した。プライマーの合否はdissociation curveにより判定した。
その結果、36個のクローンのうち、配列番号8、16、22については、副産物の増幅が多く特異的な増幅が確認できなかった。これは、配列番号8のクローンについては実施例1のEST解析で得られた配列長さが197塩基と短いこと、配列番号16、22のクローンについては配列中に繰り返し配列が多いこと、が原因と考えられる。一方、配列番号8、16、22を除く33個のクローンは特異的な増幅が確認できた。
5.定量PCR
次に、定量PCRにおける、各クローンの増幅量を定量した。反応系は検量線用プラスミドDNAサンプルとfirst strand cDNAサンプルの鋳型量が異なるほかは、上記プライマー特異性確認における反応系と同様とした。具体的にはプラスミドDNAを6段階に系列希釈したもの、すなわち100pmol/ul、10pmol/ul、1pmol/ul、100fmol/ul、10fmol/ul、1fmol/ulをそれぞれ1ul添加したサンプルにより検量線を作成し、first strand cDNAを10倍希釈したサンプル1ul中のコピー数を定量した。なお1枚の96穴PCRプレート中で、検量線用プラスミドDNAサンプルおよびfirst strand cDNAサンプルについて各2反応ずつPCR反応を行い、これをもってN=2とした。
内部標準用の遺伝子としてヒトGAPD(GAPDH;グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)を選択した。この遺伝子を検出するためのプライマーはタカラバイオ社より販売している既製品を用いた。尚、本発明者らは、このプライマーを用いてマウスfirst strand cDNAを鋳型にしてPCRを行った場合、DNAの増幅が起こらない事を事前に確認した。
また、Ct値(Cycle Threshold)の設定は、装置ABI7500に付属のソフトウェアで「auto」の設定を選択した。検量線の作成と各サンプル中のコピー数の算出も同ソフトウェア上で行った。コピー数の計算式は以下の通りで、2本鎖プラスミドDNAのコピー数が算出される。プラスミドDNAのサイズは実際には遺伝子ごとにまちまちだが、一律3,500bp(pbluescript II KS−:3,000bp,insert平均鎖長;500bp)として計算した。GAPDについてのみ4,700bp(pCR2.1:4,200bp,insert:500bp)として計算した。
<計算式>
2本鎖DNAのモル数は
[X(mol)]=[2本鎖DNA(pg)]x10−12/[MW(Da)]
=[2本鎖DNA(pg)]x10−12/[鎖長(bp)]/660
であるから
[2本鎖DNAコピー数]=[X]x6.02x1023
表4は、Day2におけるLC−11株のcontrol群、放射線処理群、および併用処理群の33個のクローン(36個のクローンのうち配列番号8、16、22を除く)および内部標準遺伝子のGAPDについて算出された2本鎖DNAコピー数を示す。尚、表4中に示す数値は、2回(N=2)の定量PCR解析で得られたデータを平均した数値である。
Figure 2007043531
表4に示す2本鎖DNAコピー数の結果を、各細胞当たりのGAPDHの発現量は同じであるとの仮定のもとに、GAPDHの発現量で補正した。放射線処理群と併用処理群のそれぞれの発現量control群における発現量に対し、比率をとった結果を図4に示す。
以上のように、33個のクローンは特異的な増幅が確認できた。このように、実施例1で選抜された各クローンは、それらの発現量が併用療法実施後に変化することから、併用療法感受性マーカーとして有用であることが明らかとなった。また、配列番号37〜70についても、これらは配列番号1〜9、11〜24、26〜36から予測される配列であることから、上記各クローンと同様にプライマーを設計すればマーカーとして有用であることが充分に類推できる。
本発明によれば、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を迅速かつ正確に診断することができる。よって、癌患者に対し併用療法を実施すべきか否かの早期決定が可能であると共に、癌治療の効率化を図ることができる。

Claims (13)

  1. 下記の(A)または(B)で表されるポリヌクレオチド。
    (A)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (B)前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (C)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
    (D)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
  2. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能する、下記の(A)〜(D)で表されるポリヌクレオチド。
    (A)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (B)前記(A)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (C)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
    (D)前記(A)または(B)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するための遺伝子マーカーとして機能するポリヌクレオチド
  3. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断するにあたり、請求項1または2記載のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして用いられるポリヌクレオチド。
  4. 下記の(1)〜(4)で表されるポリヌクレオチドである請求項3記載のポリヌクレオチド。
    (1)配列表の配列番号1〜70のいずれかに記載の塩基配列内のすくなくとも連続する10塩基を含むポリヌクレオチド
    (2)前記(1)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (3)前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつ、請求項1記載のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するポリヌクレオチド
    (4)前記(1)または(2)記載のポリヌクレオチドにおいて、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入、および/または付加した塩基配列を含み、かつ、請求項1記載のポリヌクレオチドのプローブまたはプライマーとして機能するポリヌクレオチド
  5. 配列番号71〜142のいずれかに記載の塩基配列を含む請求項3または4記載のポリヌクレオチド。
  6. 請求項1または2記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。
  7. 請求項6記載のポリペプチドを認識する抗体。
  8. 請求項3〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチド、もしくは請求項7記載の抗体を少なくとも含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断薬。
  9. 請求項3〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチド、もしくは請求項7記載の抗体を少なくとも含む、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断用キット。
  10. 被験者から採取された生体試料中の請求項1または2記載のポリヌクレオチドの有無を調べることを特徴とする、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断方法。
  11. 下記の工程(I)〜(III)を含む請求項10記載の診断方法。
    (I)被験者から採取された生体試料から調製されたRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドと請求項3〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドとを結合させる工程
    (II)工程(I)においてポリヌクレオチドに結合したRNAまたは相補的ポリヌクレオチドの有無を、請求項3〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドを指標として測定する工程
    (III)工程(II)の測定結果から、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する工程
  12. 被験者から採取された生体試料中の請求項6記載のポリペプチドの有無を調べることを特徴とする、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性の診断方法。
  13. 下記の工程(i)〜(iii)を含む請求項12記載の診断方法。
    (i)被験者から採取された生体試料から調製されたポリペプチドと請求項7記載の抗体とを結合させる工程、
    (ii)工程(i)において抗体に結合したポリペプチドまたはその部分ペプチドの有無を、該抗体を指標として測定する工程
    (iii)工程(ii)の測定結果から、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合抗腫瘍剤及び放射線の併用療法感受性を診断する工程
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