JPWO2007040087A1 - 酢酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

周期表VIII族金属触媒、ヨウ化物塩、ヨウ化メチル及び水の存在下、連続的にメタノールと一酸化炭素を反応させて酢酸を製造する方法において、その反応液を連続的に抜き出して反応条件よりも圧力の低い蒸発工程に導入し、低沸点成分と周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分に分離し、分離した周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分を、反応器に戻すまでの領域で、周期表VIII族金属に対して0.1モル倍以上の水素を導入し、80℃以上の温度で、反応器に戻るまでに少なくとも6秒間の接触をさせる。この方法によれば、反応器の水素分圧を必要以上に高めることなく反応器での触媒の活性を高め、シフト反応を抑制して副生成物の生成を減少させ、酢酸を工業的に効率よく高い生産性で製造できる。

Description

本発明はメタノールと一酸化炭素から酢酸を製造する方法に関する。
酢酸は基礎化学品の一つであり、石油化学工業、高分子化学工業、有機化学工業、医薬農薬製造工業において重要な化学品である。酢酸の製造方法としては様々な方法があるが、それらのなかでも、メタノールと一酸化炭素から酢酸を製造する方法は工業的に最も優秀な方法である。
この方法の改良法として、反応液中の水の濃度を下げることが提案されている(特公平4−69136号公報、特公平7−23337号公報)。すなわち、反応液中の水分濃度を下げることにより、酢酸の生産性を高め、且つ、副生成物の発生量を低減できる技術が開示されている。これらの技術では、水の濃度が10重量%以下ではロジウム触媒の安定性が低下するため、アルカリ金属ヨウ化物、4級化アンモニウム塩、4級化ホスホニウム塩などを添加することが有効であることも開示されている。さらに、反応液中の水の濃度が10重量%以下では反応速度が有意に低下するため、5〜30重量%のヨウ化リチウムを添加し、反応速度を増大させる技術も開示されている。
通常、メタノールと一酸化炭素から酢酸を製造する工業的な方法においては、メタノールと一酸化炭素を反応液を含む反応器に連続的に導入して反応させ、その反応液を連続的に反応器から取り出し、反応器よりも低い圧力の蒸発槽(例えば、フラッシャー)で蒸発する成分(低沸点成分)と蒸発しない成分(高沸点成分)に分離する。低沸点成分には助触媒の一つであるヨウ化メチル、原料のメタノールから発生する酢酸メチル、反応液に含まれる水、生成物であり反応溶媒である酢酸が主に含まれる。高沸点成分には、低沸点成分に含まれる成分の蒸発しきれずに残ったヨウ化メチル、酢酸メチル、水、酢酸のほかに、触媒であるロジウム錯体、ロジウムの安定化剤であるヨウ化リチウムなどが含まれる。
しかしながら、水の濃度を10重量%以下に減少させた時には、工業的に行われる連続反応の場合に反応速度が徐々に低下する弊害があることがわかった。これは、主触媒であるロジウムが反応に活性な1価から不活性な3価に変化するために起るものである。水分の多い反応条件下では原料である一酸化炭素と水とがシフト反応を起こし、水素と二酸化炭素が発生する。ここで発生する水素は3価のロジウムを1価に変換する作用を有している。すなわち、水素の発生量が多いと不活性な3価のロジウムが速やかに1価に変換されるために触媒の活性が保たれる。一方、水分が少ない反応条件では水素の発生量が少なく、そのため3価のロジウムが速やかに1価に変換される度合いが小さくなり、触媒活性とともに反応速度が徐々に低下してしまう。さらに、3価のロジウムが不溶性のヨウ化ロジウムに変化して沈降してしまうという問題もある。
水分を低下させることによる上記のような弊害に対して、反応系に水素を仕込み、反応系における水素分圧をある一定の圧力以上に保つことによりロジウムの3価を1価に変換する速さを保ち、反応活性を維持することができることが開示されている(特公平8−5839号公報)。しかしながら、反応器に水素を仕込み水素分圧を高く保つことは、反応液中の水濃度を下げることによって得られるメリットの一つである副生成物減少という効果をなくしてしまう。すなわち、反応液中の水分を減らすことで、一酸化炭素と水のシフト反応が抑制されて水素分圧が低下し、それによって、プロピオン酸やギ酸、ハイドロカーボンといった水素化反応によって生成する副生成物の減少効果がなくなってしまう。すなわち、水の濃度が10重量%以下の反応条件でロジウムの活性を維持しようとして水素分圧を一定の圧力以上に保つために水素を反応器に供給すると水素分圧に比例してギ酸、プロピオン酸、ハイドロカーボンなどの副生成物が増加する。
また、蒸発工程で分離したロジウムを含む高沸点成分を、少なくとも水素分圧0.1気圧以上の水素及び0.1気圧以上の一酸化炭素で処理した後、反応器に戻し、循環使用する方法が開示されている(特許第3213392号)。この実施例では、触媒循環液相当液に大気圧の水素と一酸化炭素の混合ガスを導入し、140℃に加熱して30分間の処理を行っている。この処理時間は工業プロセスとしては大きな処理容器が必要となる処理時間である。
特公平4−69136号公報 特公平7−23337号公報 特公平8−5839号公報 特許第3213392号
従って、本発明の目的は、反応器の水素分圧を必要以上に高めることなく反応器での触媒の活性を高め、シフト反応を抑制して副生成物の生成を減少させ、酢酸を工業的に効率よく高い生産性で製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ロジウム化合物等の周期表VIII族金属触媒を用いてメタノールと一酸化炭素から酢酸を製造する方法において、反応器よりも一酸化炭素の分圧が低い蒸発槽(例えば、フラッシャー)又は周期表VIII族金属化合物を含む触媒液が蒸発槽から反応器に戻される間において、周期表VIII族金属(例えばロジウム)が不活性な3価になることを見いだした。そして、触媒液に含まれる3価の周期表VIII族金属を、蒸発槽から反応器に戻すまでの領域で、消費されていくので必ずしも分圧としては高くない特定量の水素と、特別な容器を設置するまでもなくパイプラインだけでも効果が出せるような極めて短い時間の接触で反応させて、3価に変化した周期表VIII族金属を1価に変換することにより、反応器の水素分圧を必要以上に高めることなく反応器での触媒の活性を高め、且つ、シフト反応を減少させ、アセトアルデヒド、プロピオン酸、ギ酸、ハイドロカーボンなどの副生成物の発生を減少させることができ、また、クロトンアルデヒドなどの不飽和化合物の蓄積も減少させることができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、周期表VIII族金属触媒、ヨウ化物塩、ヨウ化メチル及び水の存在下、連続的にメタノールと一酸化炭素を反応させて酢酸を製造する方法において、その反応液を連続的に抜き出して反応条件よりも圧力の低い蒸発工程に導入し、低沸点成分と周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分に分離し、分離した周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分を、反応器に戻すまでの領域で、周期表VIII族金属に対して0.1モル倍以上の水素を導入し、80℃以上の温度で、反応器に戻るまでに少なくとも6秒間の接触をさせることを特徴とする酢酸の製造方法を提供する。
前記周期表VIII族金属触媒にはロジウム触媒が含まれる。この酢酸の製造方法は、反応液中の水濃度が0.1〜10重量%の条件で反応を行う場合に特に大きな利益が得られる。反応液中の周期表VIII族金属触媒の濃度は金属として300〜3000重量ppm程度であるのが好ましい。ヨウ化物塩としては、例えばヨウ化リチウムが用いられる。
本発明によれば、蒸発器から取り出した触媒液を、反応器にリサイクルする前の段階で水素と接触させて触媒の活性化を行うため、反応器の水素分圧を必要以上に高めることなく反応器での触媒の活性を高めることができる。従って、水素に起因するアセトアルデヒド、ギ酸、プロピオン酸、ハイドロカーボンなどの副生成物の生成や、アセトアルデヒドの二次副生物であるクロトンアルデヒドなどの不飽和化合物の生成が増大することがない。また、触媒の不活性化の原因とされる水分の低減を行っても触媒の再利用(再生)が可能となるので、反応系における水分低減による酢酸の生産性向上が実現できる。さらに、この水分低減により、シフト反応(CO+H2O→CO2+H2)が抑制されるので、この反応で生成する水素に起因する前記副生成物の生成を低減させることができる。また、触媒液中の周期表VIII族金属に対して0.1モル倍以上の水素を用いるため、触媒を極めて短時間で活性化できることから、大きな設備は不要であり、従ってコストをかけることなく触媒活性化及び酢酸の生産性向上を実現できる。
本発明では、周期表VIII族金属触媒、ヨウ化物塩、ヨウ化メチル及び水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を製造する。原料となるメタノールと一酸化炭素は、それぞれ、連続的に反応器に仕込まれる。反応器は気液混合槽で、撹拌機を有する撹拌混合槽でも、撹拌機を有しない液循環式の混合槽あるいは気泡塔形式の反応器でもよい。反応温度は、通常150〜230℃、好ましくは170〜220℃である。反応圧力は、全圧で、通常、1.5〜5MPa、好ましくは2〜3.5MPaの範囲である。
主触媒として周期表VIII族金属触媒、助触媒としてヨウ化メチル、安定剤および助触媒としてヨウ化物塩が用いられる。周期表VIII族金属には、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金が含まれる。これらのなかでも白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)が好ましく、特にロジウムが好ましい。
周期表VIII族金属触媒は反応液中で通常周期表VIII族金属錯体として存在する。従って、周期表VIII族金属触媒としては、反応条件下で反応液に溶解する周期表VIII族金属錯体又は該周期表VIII族金属錯体を生成可能なものであればどのようなものであってもよい。具体的には、周期表VIII族金属錯体としては、ロジウム触媒を例にとると、RhI3、[Rh(CO)22-等のロジウムヨウ素錯体、ロジウムカルボニル錯体などが好ましく用いられる。周期表VIII族金属触媒の使用量は、反応液中の濃度で、金属として、一般に300〜3000重量ppm(例えば300〜2000重量ppm)で用いられるが、周期表VIII族金属の濃度が高すぎると該金属のヨウ化物(例えばヨウ化ロジウム)の沈降が起きやすいので、500〜2000重量ppmの範囲で高い生産性を発揮させるのが好ましい。
ヨウ化メチルは、反応液中の濃度で5〜20重量%の範囲で使用することが好ましい。ヨウ化メチルの濃度が高いと反応は促進されるが、ヨウ化メチルの回収、反応器への循環の工程の設備の大きさと使用するエネルギーの量から経済的に最も有利な濃度が選択される。反応液中には原料のメタノールと酢酸の平衡により0.1〜30重量%の酢酸メチルが存在している。
本発明の方法においては、反応液中の水の濃度は、例えば0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で制御される。水の濃度が低いほど、シフト反応による水素の発生量が少なくなり、ギ酸、プロピオン酸、ハイドロカーボンなどの副生成物の生成量が減少して有利であるが、反応速度の低下や周期表VIII族金属触媒の不安定化を招きやすくなる。これに対しては、反応促進と周期表VIII族金属触媒の安定化のためにヨウ化物塩が用いられる。このヨウ化物塩は、反応液中でヨウ化物イオンを生成するものであればいかなるものであってもよく、例えば、LiI、NaI、KI、RbI、CsI等のアルカリ金属ヨウ化物塩;BeI2、MgI2、CaI2等のアルカリ土類金属ヨウ化物塩;BI3、AlI3等のアルミニウム族金属ヨウ化物塩などが例示される。また、ヨウ化物塩は、上記金属ヨウ化物塩以外に、有機物ヨウ化物塩でもよく、例えば、第四級ホスホニウムヨウ化物塩(例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類のヨウ化メチル付加物又はヨウ化水素付加物等)、第四級アンモニウムヨウ化物塩(例えば、第三級アミン、ピリジン類、イミダゾール類、イミド類等の含窒素化合物のヨウ化メチル付加物又はヨウ化水素付加物等)などが挙げられる。これらの中でも、特にLiI(ヨウ化リチウム)等のアルカリ金属ヨウ化物塩が好ましい。ヨウ化物塩の使用量としては、反応液中のヨウ化物イオンとして、例えば0.07〜2.5mol/L、好ましくは0.25〜1.5mol/L程度であり、反応液中の濃度としては、3〜40重量%、好ましくは4.5〜30重量%程度である。
反応の溶媒としては、生成物である酢酸を用いるのが一般的であるが、反応および分離、精製に悪影響を及ぼすものでなければどのような溶媒でもよい。
反応液は反応器から連続的に抜き取られ、通常バルブ、配管を通じて、反応条件より圧力の低い蒸発槽(例えば、フラッシャー)に導かれる。蒸発槽の圧力は、例えば0.05〜0.3MPaG(ゲージ圧)程度である。この蒸発工程では、反応器から抜き出された反応液のうちの低沸点成分、すなわちヨウ化メチルと酢酸メチルの大部分、水と酢酸の一部が取り出され、低沸分の回収工程、製品酢酸の精製工程へと導かれる。低沸分の回収工程ではヨウ化メチル、酢酸メチルおよび水が分離され、それぞれ通常ポンプによって反応器に循環される。蒸発槽で蒸発しなかった周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む液成分(循環触媒液)も、通常ポンプで反応器に循環される。
本発明においては、蒸発工程で分離された周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分を、反応器に戻すまでの領域(好ましくはポンプにより圧力の高められた領域)で、周期表VIII族金属に対して0.1モル倍以上の水素を導入し、80℃以上の温度で、反応器に戻るまでに少なくとも6秒間の接触をさせる。この操作により、反応器に戻される循環触媒液に含まれる不活性な3価の周期表VIII族金属(例えばロジウム)が活性な1価の周期表VIII族金属(例えばロジウム)に変換、再生される。
水素接触処理に供する循環触媒液中の周期表VIII族金属触媒(不活性なものも含む)の濃度は、金属として、例えば370〜5000重量ppm、好ましくは600〜3300重量ppm程度である。
水素の使用量は周期表VIII族金属(例えばロジウム)に対して0.1モル倍以上(例えば0.1〜10モル倍)であり、好ましくは0.1〜5モル倍、さらに好ましくは0.5〜5モル倍である。本発明では、周期表VIII族金属に対して特定量以上の水素を用いることから触媒の活性化が速やかに進行するため、小さな装置や設備で実施することができる。水素の使用量が周期表VIII族金属に対して0.1モルよりも少ない場合は、触媒の活性化が充分に行われなかったり、接触時間を充分に確保するため大きな設備が必要となる。水素としては純粋な水素ガスでも反応器から排出されるガスのような、水素のほかに一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、メタンなどを含む混合ガスであってもよい。混合ガスを使用する場合の水素の含有比率は特に限定されないが、通常0.05容積%以上、好ましくは1.0容積%以上、さらに好ましくは5.0容積%以上である。また、循環触媒液と水素とを接触させる際の圧力(全圧)は、例えば0.05MPa以上(例えば0.05〜5MPa)、好ましくは0.1MPa以上(例えば0.1〜5MPa)程度であり、反応圧力とほぼ同じ圧力であってもよい。循環触媒液と接触させるために用いる水素含有ガスの水素分圧(接触領域の入り口での水素分圧)は、通常0.0025MPa以上(例えば0.0025〜5MPa)、好ましくは0.01MPa以上(例えば0.01〜5MPa)程度である。循環触媒液と水素とを接触させる際の温度は、80℃以上(例えば80〜230℃)であり、好ましくは100〜200℃の範囲である。温度が80℃未満では触媒の活性化が不十分となったり、接触時間を充分に確保するため大きな設備が必要となる。循環触媒液と水素との接触時間は、6秒以上(例えば6〜600秒)であり、好ましくは30〜300秒である。接触時間が6秒未満では触媒の活性化が不十分となる。なお、接触時間が長すぎる場合には、大きな処理容器が必要となるので、接触時間としては600秒以内が好ましい。
循環触媒液と水素とを接触させる領域は、一般的な気液混合手段、例えば、ジャケット付き配管、スタティックミキサー等の静止型混合器などで構成できる。水素接触処理を施した後の循環触媒液は、そのまま反応器に供給してもよく、また気液分離を行って液体のみを反応器に供給してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。圧力の単位において、Gはゲージ圧を示す。ロジウム錯体中の1価のロジウムの割合(%)は、赤外線吸収スペクトルにより求めた。より具体的には、テトラフェニルホスホニウムクロリド水溶液を用いてロジウム錯体を沈殿させ、沈殿物を分離して乾燥し、FT−IRを用いて測定した。1970cm-1付近に1価のロジウムを含む錯体、2080cm-1付近に3価のロジウムを含む錯体、2040cm-1〜2030cm-1付近に1価と3価のロジウムを含む錯体に起因するピークが検出されるので、ピーク高さ或いは面積から1価のロジウムの割合を算出した。
実施例1
全て3価のロジウムの錯体([Rh(CO)24-)を含む触媒組成液(ロジウム触媒濃度:ロジウムとして700重量ppm、溶媒:酢酸86重量%、水2重量%、ヨウ化リチウム12重量%)を28.8mlの加熱ジャケットを備えた容器に連続的に導き、水素と一酸化炭素の比率が1対3の混合ガスを、ロジウムに対する水素の倍率が2.3モル倍となる量で供給し、圧力2.8MPaG、表1に記載の温度で53秒間接触させた。赤外線吸収スペクトルの測定による1価のロジウムの生成の割合(%)を表1に示す。
Figure 2007040087
実施例2
全て3価のロジウムの錯体を含む触媒組成液(ロジウム触媒濃度:ロジウムとして700重量ppm、溶媒:酢酸86重量%、水2重量%、ヨウ化リチウム12重量%)を28.8mlの加熱ジャケットを備えた容器に連続的に導き、水素と一酸化炭素の比率が1対3の混合ガスを、ロジウムに対する水素の倍率が1.1モル倍となる量で供給し、圧力2.8MPaG、温度125℃で53秒間接触させた。赤外線吸収スペクトルの測定による1価のロジウムの生成の割合は72%であった。
実施例3
内容積1Lの反応器に連続的に反応原料のメタノール(0.21kg/h)と一酸化炭素、ロジウム触媒及びヨウ化リチウムを含む触媒液、およびヨウ化メチル(0.28kg/h)、酢酸メチル(0.095kg/h)、水(0.008kg/h)からなる低沸成分を供給して、反応圧力3.0MPaG、水素分圧29kPa、反応温度196℃で反応させ、反応液(水濃度:0.45重量%、酢酸メチル濃度:4.7重量%、ヨウ化メチル濃度:14.5重量%、ロジウム触媒濃度:ロジウムとして930重量ppm、ヨウ化リチウム濃度:11.7重量%)を2.07kg/hの流量で蒸発槽に導いて、低沸成分と生成した酢酸を蒸発させ、蒸発しない触媒液(ロジウム触媒濃度:ロジウムとして1480重量ppm)をポンプで昇圧して1.30kg/hの流量で反応器に循環させた。ここでは、触媒液が反応器に入る前に、該触媒液と、水素と一酸化炭素の比率が1対3の混合ガス(6.7Nl/h)とを、反応器に至るまでのジャケット付き配管中で、圧力3.0MPaG、温度135℃で53秒間接触させた。ロジウムに対する水素の倍率は4.0モル倍であった。
酢酸の生成速度は22.1mol/L/hであり、アセトアルデヒドの生成速度が5.5mmol/L/h、シフト反応で生成する二酸化炭素の生成速度が10.8mmol/L/h、メタンの生成速度が39mmol/L/hであった。また、赤外線吸収スペクトルの測定による1価のロジウムの反応器出口での割合は40%であった。
比較例1
内容積1Lの反応器に連続的に反応原料のメタノール(0.20kg/h)と一酸化炭素、ロジウム触媒及びヨウ化リチウムを含む触媒液、およびヨウ化メチル(0.26kg/h)、酢酸メチル(0.096kg/h)、水(0.007kg/h)からなる低沸成分を供給して、反応圧力3.0MPaG、水素分圧30kPa、反応温度195℃で反応させ、反応液(水濃度:0.59重量%、酢酸メチル濃度:5.2重量%、ヨウ化メチル濃度:13.6重量%、ロジウム触媒濃度:ロジウムとして780重量ppm、ヨウ化リチウム濃度:11.3重量%)を2.04kg/hの流量で蒸発槽に導いて、低沸成分と生成した酢酸を蒸発させ、蒸発しない触媒液(ロジウム触媒濃度:ロジウムとして1225重量ppm)をポンプで昇圧して1.30kg/hの流量で反応器に循環させた。
酢酸の生成速度は21.4mol/L/hであり、アセトアルデヒドの生成速度が8.5mmol/L/h、シフト反応で生成する二酸化炭素の生成速度が9.9mmol/L/h、メタンの生成速度が43mmol/L/hであった。また、赤外線吸収スペクトルの測定による1価のロジウムの反応器出口での割合は15%であった。
実施例4
内容積1Lの反応器に、一酸化炭素91Nl/h、及び後述の触媒循環液、蒸留塔からの循環液、さらに反応器と蒸留塔のオフガスを内径40mm、段数10段のオールダーショウ型塔を用いてメタノールと5℃で向流接触させて、オフガス中のヨウ化メチル、アセトアルデヒド等を吸収させたメタノール溶液を反応原料として、0.11kg/hの流量で供給して、反応圧力2.7MPaG、水素分圧28kPa、反応温度186.5℃で反応させ、反応液(水濃度:1.8重量%、酢酸メチル濃度:5.5重量%、ヨウ化メチル濃度:12.4重量%、ロジウム触媒濃度:ロジウムとして600重量ppm、ヨウ化リチウム濃度:9.8重量%)を1.96kg/hの流量で蒸発槽に導いて、低沸成分と生成した酢酸を蒸発させ、蒸発しない触媒液(ロジウム触媒濃度:ロジウムとして820重量ppm)をポンプで昇圧して1.44kg/hの流量で反応器に循環させた。ここでは、触媒液が反応器に入る前に、該触媒液と、水素と一酸化炭素の比率が1対1の混合ガス(0.95Nl/h)とを、反応器に至るまでのジャケット付き配管中で、圧力2.7MPaG、温度90℃で53秒間接触させた。ロジウムに対する水素の倍率は1.8モル倍であった。また、蒸発槽で蒸発した成分から蒸留塔で低沸成分(ヨウ化メチル、酢酸メチル、水など)と生成量の酢酸とを分離し、アセトアルデヒドやブチルアルデヒドなどを含む低沸成分を0.33kg/hの流量で反応器に循環した。
酢酸の生成速度は12.2mol/L/hであり、シフト反応で生成する二酸化炭素の生成速度が13.7mmol/L/h、メタンの生成速度が8.5mmol/L/hであった。また、反応液中のブチルアルデヒドの蓄積濃度は48重量ppm、クロトンアルデヒドの蓄積濃度は2.5重量ppmであった。赤外線吸収スペクトルの測定による1価のロジウムの反応器出口での割合は45%であった。
実施例5
内容積1Lの反応器に、一酸化炭素97Nl/h、及び後述の触媒循環液、蒸留塔からの循環液、実施例4と同様の方法で反応器と蒸留塔のオフガス中のヨウ化メチルやアセトアルデヒド等を吸収させたメタノール溶液を反応原料として、0.11kg/hの流量で供給して反応圧力2.7MPaG、水素分圧34kPa、反応温度184.2℃で反応させ、反応液(水濃度:1.9重量%、酢酸メチル濃度:5.7重量%、ヨウ化メチル濃度:12.0重量%、ロジウム触媒濃度:ロジウムとして600重量ppm、ヨウ化リチウム濃度:9.7重量%)を2.05kg/hの流量で蒸発槽に導いて、低沸成分と生成した酢酸を蒸発させ、蒸発しない触媒液(ロジウム触媒濃度:ロジウムとして840重量ppm)をポンプで昇圧して1.45kg/hの流量で反応器に循環させた。ここでは、触媒液が反応器に入る前に、該触媒液と、水素と一酸化炭素の比率が1対1の混合ガス(1.16Nl/h)とを、反応器に至るまでのジャケット付き配管中で、圧力2.7MPaG、温度135℃で53秒接触させた。ロジウムに対する水素の倍率は2.2モル倍であった。また、蒸発槽で蒸発した成分から蒸留塔で低沸成分(ヨウ化メチル、酢酸メチル、水など)と生成量の酢酸とを分離し、アセトアルデヒドやブチルアルデヒドなどを含む低沸成分を0.34kg/hの流量で反応器に循環した。
酢酸の生成速度は12.3mol/L/hであり、シフト反応で生成する二酸化炭素の生成速度が11.0mmol/L/h、メタンの生成速度が13.5mmol/L/hであった。また、反応液中のブチルアルデヒド及びクロトンアルデヒドの蓄積濃度はそれぞれ37重量ppm及び2.0重量ppmであった。赤外線吸収スペクトルの測定による1価のロジウムの反応器出口での割合は63%であった。
本発明によれば、反応器の水素分圧を必要以上に高めることなく反応器での触媒の活性を高めることができ、シフト反応を抑制して副生成物の生成を減少させることができるので、酢酸を工業的に効率よく高い生産性で製造できる。

Claims (5)

  1. 周期表VIII族金属触媒、ヨウ化物塩、ヨウ化メチル及び水の存在下、連続的にメタノールと一酸化炭素を反応させて酢酸を製造する方法において、その反応液を連続的に抜き出して反応条件よりも圧力の低い蒸発工程に導入し、低沸点成分と周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分に分離し、分離した周期表VIII族金属及びヨウ化物塩を含む高沸点成分を、反応器に戻すまでの領域で、周期表VIII族金属に対して0.1モル倍以上の水素を導入し、80℃以上の温度で、反応器に戻るまでに少なくとも6秒間の接触をさせることを特徴とする酢酸の製造方法。
  2. 周期表VIII族金属触媒がロジウム触媒である請求の範囲第1項記載の酢酸の製造方法。
  3. 反応液中の水濃度が0.1〜10重量%の条件で反応を行う請求の範囲第1項又は第2項記載の酢酸の製造方法。
  4. 反応液中の周期表VIII族金属触媒の濃度が金属として300〜3000重量ppmである請求の範囲第1項〜第3項の何れかの項に記載の酢酸の製造方法。
  5. ヨウ化物塩がヨウ化リチウムである請求の範囲第1項〜第4項の何れかの項に記載の酢酸の製造方法。
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