JPWO2007020945A1 - 色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置 - Google Patents

色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置 Download PDF

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Abstract

超微粒子を含有させた分散液により、透明導電性構造層(10C)の片側に色可逆変化薄膜層(3)を形成した色可逆変化表示装置用電極体(10A)であって、前記色可逆変化薄膜層(3)の片側に電解質層(4)を設け、その外側に対極導電性構造層(10B)を設け、前記透明導電性構造層(10C)及び対極導電性構造層(10B)に電圧を印加して、前記色可逆変化薄膜層(3)の色を制御して変化させうる色可逆変化表示装置用電極体(10A)。

Description

本発明は、色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置に関する。また、本発明は、色変化特性をもつプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の分散液により形成した超微粒子薄膜層を有する色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置に関する。
電圧を印加することによって物質の色を自由に制御して変化させることができれば、電子ペーパー等の省電力型のディスプレイや、光の透過率を調節できる調光ガラスといった光学機能装置に適用することができる。電子ペーパーでは、Ntera社が実用化に向けてビオロゲン分子を用いた素子を開発している。そのようなディスプレイは、高いコントラスト比が実現でき、紙印刷物の代替品として期待される。また、スーパーマーケットなどの価格表示板、時計の文字盤、公共の場での情報表示など、多数の実用的用途においてその開発が期待される。しかし、ここで用いられているビオロゲンは、青色発色のみであり、カラー化はできない。
また、調光ガラスは無色透明−有色を操作可能なガラスのことで、明るい場所では透明に、暗い場所では有色にできるサングラス等、多くの用途が考えられている。一部実用化もなされている。しかし、この分野においても現在用いられている色材では、その材料特性から有色時の色は限られる。
エレクトロクロミック現象を用いたカラー化の可能性は、いくつかの材料で検討されている。1つはフタル酸などの有機分子を用いる方法である。この場合、カラー化は実現されるものの、電圧印加時のみ色の操作が可能である等、表示素子や調光素子としての利用には難点がある。
もう1つの可能性として、プルシアンブルー(Fe[Fe(CN))に代表される、プルシアンブルー型金属錯体がある。プルシアンブルー型金属錯体の結晶構造を図23に示して説明する(プルシアンブルー型金属錯体結晶220とは、プルシアンブルーの結晶構造を基本とし、遷移金属及びシアノ基の置換や欠陥の存在、空隙への各種イオン、水の侵入したものを含むものである。)。その構造について詳しくいうと、NaCl型格子を組んだ2種類の金属原子M、金属原子M(それぞれ図中の金属原子221及び、金属原子224)の間が、炭素原子222及び窒素原子223からなるシアノ基により三次元的に架橋された構造をとっている。その1つの現象としてエレクトロクロミック現象がある。しかしながら、これらの金属錯体を用いて実用上性能の高い色変化装置とするには、高品質膜の製造や、微細化に問題があった。これを解決するために、その改良を試みた以下の報告があるが、それぞれ下記のような問題を抱えていて、未だ実用化に至っていない。
非特許文献1では界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(HTAC))を用いて調製したプルシアンブルー抽出混合液が開示されている。これにより、印刷技術を用いた製膜及び微細化が期待される。しかしながら、高価な界面活性剤を多量に必要とするため工業的規模の製造に適さない。加えて、配位力のある保護分子は開示されておらず、通常このような混合液からプルシアンブルーを微粒子粉末材料として分離し、それを別の溶媒に再分散させることはできない。また、その混合液をエレクトロクロミック材料として用いようとしても、該混合液を有機溶媒からなる電解質層と隣接させたとき、該混合液が電解質層に溶出・分散してしまうため、利用できる材料は限定されてしまう。
同様の目的として、プルシアンブルー錯体の粒子を溶媒に分散させて、エレクトロクロミックデバイスの作製を試みた例がある。例えば、特許文献1では、水溶性高分子化合物をバインダーとしたプルシアンブルー分散体を電極層とし、エレクトロクロミック特性を確認している。しかし、これは特殊なバインダー(ポリビニルアルコールなどの特定の水溶性高分子化合物)の分散体である。プルシアンブルー結晶微粒子は特殊な必須のバインダーと一体化しており、一般的な工業生産で必要とされる有機溶媒(トルエン等)は利用できず、その用途は限定されてしまう。しかも、上記バインダー高分子化合物は重合度100以上のものであり、高分子を除去することが困難であり、エレクトロクロミック性能、特に反応速度等に問題を生じる可能性が高い。
非特許文献2は、レイヤー・バイ・レイヤー(Layer by Layer)法で、保護配位子を有さない露出したプルシアンブルー型錯体のナノ粒子を、一層ずつ層形成していく製法を採用している。しかし、この方法では、一層作成するのに4ステップ、30分を要するなど、工業的規模の製造を行うことは非現実的である。また、この製法でも溶媒は水に限られ、その用途が限られてしまう。とくに、印刷技術をはじめとした、一般的な有機溶媒(トルエン等)による塗布製膜法を利用することはできず、工業利用や微細加工への応用は困難である。
また最近、低分子量化合物により被覆したプルシアンブルー型金属錯体を微粒子として得る方法が検討されている(非特許文献3〜6参照)。ここでは、微粒子の合成方法が概略的に述べられており、その粒子サイズや磁性等が開示されているが、これを用いてエレクトロクロミック素子を作製することの記載はない。
特開平01−219723号公報 N.Toshimaら、ケミストリーレターズ(Chemistry Letters)、1990,p485 D.M.Delongchampら、ケミストリーオブマテリアルズ(Chem.Mater.)、2004,16,p4799 山田真美ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc)、126(2004)pp.9482−9483 栗原正人「錯体化学とその実用化の接点を追い求める」,日本化学会東北支部主催(第22回 無機・分析化学コロキウム)平成17年7月1日・2日,予稿集 山田真美「逆ミセル法を用いたプルシアンブルー型Fe/Cr−CN−Co錯体ナノ微粒子の合成と物性挙動」,本科研費総括班主催,日本化学会後援(第3回『分子スピン』シンポジウム)平成17年1月8日・9日,予稿集,32・33頁 N.Bagkarら、ジャーナルオブマテリアルズケミストリー(Journal of Materials Chemistry)、2004,14,p1430
本発明は、カラー化を実現しうる色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置の提供を課題とする。詳しくは、単なる微粒子ではなく超微粒子を用いることによって、薄膜層の色を電気的に制御して可逆的に変化させることのできる高性能色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置の提供を課題とする。また、多大な時間や工数を要する製法によらなくても、精密薄膜化、超微細加工などを施すことができ、むらのない画像を実現しうる高性能色可逆変化表示装置用電極体及びその製造方法、並びに色可逆変化表示装置及び色可逆変化調光装置の提供を課題とする。
本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)超微粒子を含有させた分散液により、透明導電性構造層の片側に色可逆変化薄膜層を形成した色可逆変化表示装置用電極体であって、前記色可逆変化薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に対極導電性構造層を設け、前記透明導電性構造層及び対極導電性構造層に電圧を印加して、前記色可逆変化薄膜層の色を制御して変化させうることを特徴とする色可逆変化表示装置用電極体。
(2)前記超微粒子が、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子であることを特徴とする(1)記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(3)前記超微粒子が、下記金属原子Mと金属原子Mとを有するプルシアンブルー型金属錯体結晶にピリジル基もしくはアミノ基を含有する化合物を保護配位子として1種または2種以上配位させた平均粒子径200nm以下の超微粒子であることを特徴とする(1)又は(2)記載の色可逆変化表示装置用電極体。
[金属原子M:バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、ロジウム、オスミウム、イリジウム、パラジウム、および銅から選ばれる少なくとも1つの金属原子。]
[金属原子M:バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、およびカルシウムから選ばれる少なくとも1つの金属原子。]
(4)前記保護配位子の炭素原子数が4以上100以下であることを特徴とする(3)記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(5)前記保護配位子が下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されることを特徴とする(3)又は(4)記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数8以上のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。)
(式中、Rは炭素原子数8以上のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。)
(式中、Rは炭素原子数6以上のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。)
(6)前記置換基R〜Rがアルケニル基であることを特徴とする(5)記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(7)前記色可逆変化薄膜層中の保護配位子化合物の含有量が、質量比でプルシアンブルー型金属錯体の10倍以下であることを特徴とする(3)〜(6)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(8)前記色可逆変化薄膜層が、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子を含有させた分散液をスピンコート法、スプレー法、インクジェット法、及び印刷法から選ばれる製膜法により製膜した均一厚液体製膜層であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(9)前記分散液が撹拌抽出法により調製したプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の分散液であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(10)前記色可逆変化薄膜層の製膜時及び/又はその後、加熱処理及び/又は洗浄処理を施して前記保護配位子を除去したことを特徴とする(3)〜(9)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(11)前記色可逆変化薄膜層に電気化学特性制御剤及び/又は発色特性制御剤を含有させたことを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(12)前記色可逆変化薄膜層を、前記超微粒子を含有させた層と、電気化学特性制御剤及び/又は発色特性制御剤を含有させた層とを少なくとも有する多層薄膜層としたことを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
(13)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体の前記色可逆変化薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に対極導電性構造層を設けたことを特徴とする色可逆変化表示装置。
(14)前記色可逆変化表示装置用電極体が、透明絶縁層の片側に透明導電性膜を設け、該透明導電性膜のもう一方の片側に色可逆変化薄膜層を設けた電極体であり、
前記対極導電性構造層が対極絶縁層の片側に対極導電性膜を設けた構造層であり、
前記色可逆変化薄膜層と前記対極電極膜との間に電解質層を配置するようにしたことを特徴とする(13)に記載の色可逆変化表示装置。
(15)前記透明導電性構造層及び対極導電性構造層を薄板状としたことを特徴とする(13)又は(14)記載の色可逆変化表示装置。
(16)前記電解質層と対極導電性構造層との間に対極修飾層を設けたことを特徴とする(13)〜(15)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置。
(17)電解質層の周縁を封止材でシールしたことを特徴とする(13)〜(16)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置。
(18)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の電極体の前記色可逆変化薄膜層を、超微粒子を分散させた分散液により図柄及び/又は文字パターンに形成し、該薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に対極導電性構造層を設けた色可逆変化表示装置であって、前記図柄及び/又は文字を電気的に制御して表示することを特徴とする色可逆変化表示装置。
(19)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の電極体の前記色可逆変化薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に透明の対極導電性構造層を設けた色可逆変化調光装置であって、透過光を電気的に制御して調光することを特徴とする色可逆変化調光装置。
(20)(1)〜(12)のいずれか1項に記載の電極体を製造するに当り、撹拌抽出法もしくは逆ミセル法により保護配位子を有するプルシアンブルー型金属錯体の超微粒子を分散させた分散液を調製し、透明導電性構造層の片側に前記分散液を塗布して色可逆変化薄膜層を製膜することを特徴とする色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
(21)前記保護配位子をアミノ基もしくはピリジル基を含有する化合物とし、スピンコート法、スプレー法、インクジェット法、及び印刷法から選ばれる製膜法により前記分散液を塗布製膜することを特徴とする(20)記載の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
(22)前記色可逆変化薄膜層の製膜時及び/又はその後、洗浄及び/又は加熱することにより保護配位子を除去することを特徴とする(20)又は(21)記載の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
(23)前記プルシアンブルー型金属錯体の金属原子M及び/又はMを、それぞれ2種以上の金属の組み合わせとし、その金属組成を変化させて前記錯体の光学特性を調節し、電気的制御により所望の色みに変化させうる超微粒子とすることを特徴とする(20)〜(22)のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体及びそれを用いた色可逆変化表示装置の好ましい態様の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の色可逆変化表示装置用電極体に用いられるプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の構造を模式的に示す説明図である。 プルシアンブルー結晶及びその超微粒子の粉末X線回折の結果を示す図であり、(I)は標準試料のピーク位置を示し、(II)は得られた試料の測定結果を示す。 プルシアンブルー結晶及びその超微粒子のFT−IR測定結果を示す図である。 プルシアンブルー超微粒子分散液の紫外可視吸収スペクトルである。 有機溶媒分散型プルシアンブルー超微粒子の透過型電子顕微鏡像の図面代用写真である。 水分散型プルシアンブルー超微粒子の透過型電子顕微鏡像の図面代用写真である。 コバルト鉄シアノ錯体超微粒子(溶媒:トルエン)のUV−visスペクトルである。 金属原子Mの組成(鉄―ニッケル組成)を変化させて得たプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の吸収スペクトルである。 コバルト鉄シアノ錯体超微粒子の透過型電子顕微鏡像の図面代用写真である。 プルシアンブルー型金属錯体超微粒子分散液の粒度分布測定結果を示すグラフである。 本発明の好ましい色可逆変化表示装置用電極体の超微粒子薄膜層の膜厚測定結果を示すグラフである。 本発明の好ましい色可逆変化表示装置用電極体のサイクリックボルタンメトリーの測定結果である。 本発明の別の好ましい色可逆変化表示装置用電極体に電圧を印加したときの吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 本発明のさらに別の好ましい色可逆変化表示装置用電極体に電圧を印加したときの吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 ハート型のプルシアンブルー型金属錯体超微粒子薄膜を有する本発明の色可逆変化表示装置用電極体を示す図面代用写真である。 (a−1)は本発明の色可逆変化表示装置用電極体の構造例を模式的に示す平面図であり、(a−2)はそのA−A線断面図である。 (b−1)は封止材の構造例を模式的に示す平面図であり、(b−2)はそのB−B線断面図である。 (c−1)は対極導電性構造層の構造例を模式的に示す平面図であり、(c−2)はそのC−C線断面図である。 (d−1)は本発明の色可逆変化表示装置の構造例を模式的に示す平面図であり、(d−2)はそのD−D線断面図である。 本発明の好ましい色可逆変化表示装置に異なる電圧を印加したときの吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 本発明の好ましい色可逆変化表示装置において超微粒子薄膜層にフェロセンコートしたときの応答時間短縮効果を示すグラフである。 本発明の別の好ましい色可逆変化表示装置の電圧印可による透過率の経時変化を示すグラフである。 KBrペレットにFeHCF−OA微粒子分散液を滴下した試料に各処理を施したときの赤外分光スペクトルの変化を示すグラフである。 本発明の色可逆変化表示装置用電極体に加熱処理を施したときの応答性の向上を示すサイクリックボルタンメトリー測定結果である。 プルシアンブルー型金属錯体の結晶構造を模式的に示す説明図である。
図中、主要な符号は以下のとおりである。
10 色可逆変化表示装置
10A 色可逆変化表示装置用電極体
10B 対極導電性構造層
10C 透明導電性構造層
1 透明絶縁層
2 透明導電性膜
3 色可逆変化薄膜層
4 電解質層
6 対極導電性膜
7 対極側絶縁層
21 プルシアンブルー型金属錯体(微結晶)
22 配位子L
31 プルシアンブルー結晶のX線回折測定結果
32 水分散型プルシアンブルー超微粒子のX線回折測定結果
33 有機溶媒分散型プルシアンブルー超微粒子のX線回折測定結果
41 プルシアンブルー結晶の赤外線吸収スペクトル
42 水分散型プルシアンブルー超微粒子の赤外線吸収スペクトル
43 有機溶媒分散型プルシアンブルー超微粒子の赤外線吸収スペクトル
51 プルシアンブルー超微粒子(トルエン分散液)の紫外可視吸収スペクトル
52 プルシアンブルー超微粒子(水分散液)の紫外可視吸収スペクトル
121 色可逆変化表示装置用電極体に1.5Vの電圧を印加したときの吸収スペクトル
122 色可逆変化表示装置用電極体の電圧印加前及び−1.0Vの電圧を印加したときの吸収スペクトル
150A 色可逆変化表示装置用電極体
150B 対極導電性構造層
150C 色可逆変化表示装置
150D 透明導電性構造層
151 透明絶縁層
152 透明導電性膜
153 色可逆変化薄膜層
154 封止材
155 対極導電性膜
156 対極側絶縁層
157 電解質
220 プルシアンブルー型金属錯体
221 金属原子M
222 炭素原子
223 窒素原子
224 金属原子M
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体及びそれを用いた色可逆変化表示装置の好ましい態様の1例を図1に示す。図1に示すように、本発明の色可逆変化表示装置用電極体10Aは、透明導電性構造層10Cの片側に超微粒子を含有させた分散液により形成した色可逆変化薄膜層3を設けた色可逆変化表示装置用電極体10Aである。そして、前記色可逆変化薄膜層3の開放面側に電解質層4を設け、その外側に対極導電性構造層10Bを設け、前記透明導電性構造層10C及び対極導電性構造層10Bに電圧を印加して、前記色可逆変化薄膜層3の色を可逆的に制御して変化させうるものである。なお、本発明において導電性構造層とは、基板等の絶縁層の片側に導電性膜を設けたもののみならず、絶縁層を含まず導電性材料からなる導電体もしくは導電層のみのものを含む意味に用いる。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体においては透明導電性構造層10Cが透明絶縁層1及び透明導電性膜2からなることが好ましい。また対極導電性構造層10Bが対極絶縁層7及び対極導電性膜6からなることが好ましい。
透明絶縁層1は、透明かつ絶縁性であれば材料は特に限定されないが、例えば、ガラス、石英、透明絶縁体ポリマー(ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート)などが利用できる。
透明導電性膜2は、透明かつ導電性があればその材料は特に限定されないが、酸化インジウム錫(ITO)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化スズカドミウム、その他透明かつ金属的な導電性を示す物質などを利用することができる。
色可逆変化薄膜層3はナノ微粒子(ナノメートルオーダーの粒子)を含有させた分散液により形成した薄膜層である。このナノ微粒子及び薄膜層の詳細については後述する。
電解質層4は、固体あるいは液体の電解質からなり、その具体的な材料としては例えば水(電解水)などを用いることが好ましい。電解質層4には、後述する電気化学特性制御剤や発色特性制御剤等を含有させてもよい。
対極導電性膜6には、金、銀、銅、アルミニウム、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛、導電性ポリマーなどを用いることができる。
対極側絶縁層7は導電性でない固体材料であれば材料を問わない。例えば、ガラス、石英、ポリエチレンテレフタレートに代表される絶縁性ポリマー、セラミック、酸化物、ゴム等を用いることができる。
さらに、対極修飾層を必要に応じて電解質層と導電性構造層(もしくは対極導電性膜)との間に設けることができ、電気化学特性制御剤や発色特性制御剤(フェロセン等)からなる層とすることが好ましい。対極修飾層は素子特性向上のための層として、各種材料からなる層として設けることができる。また、この対極修飾層に含有させる物質として後述するプルシアンブルー型金属錯体超微粒子などのエレクトロクロミック特性をもつ材料を用いることもできる。
また、封止材を必要に応じて設けることができ、電解質の流出を防止できる絶縁材料を用いることが好ましく、例えば、各種の絶縁性プラスチックス、ガラス、セラミック、酸化物、ゴム等を用いることができる。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体及びそれを用いた色可逆変化表示装置の形状は特に限定されず、目的に応じた形状に成形して作製することができる。また各層は同じ形状を取らなくてもよい。その大きさは特に限定されず、大画面表示用の素子とするときには、面積でいえば例えば、1〜3mとすることができる。一方、カラー表示用の超微細画素として作製するときには、例えば、1.0×10−10〜1.0×10−1とすることが好ましく、1.0×10−8程度とすることが好ましい。後述するように色可逆変化薄膜層を、分散液を塗布して製膜した均一厚塗布製膜層とすることができ、大画面の画素であっても、超微細化画素であっても、むらの無い鮮明な表示を可能とする。
さらに例えば、所望の形状の図柄や文字パターン等の表示をするときに、色可逆変化薄膜層を所望の形状として色表示領域をデザインしてもよく、色可逆変化薄膜層自体は広範に作製しその下の導電性構造層(あるいは導電性膜)を所望の形状として色表示領域をデザインするようにしてもよい。なお本発明の色可逆変化表示装置においては、図柄や文字パターンの色可逆変化表示のみならず、装置全体の彩色を変化させて、居住室内や店舗の壁面色を自在に変化させることもでき、またその壁面の色模様を調節し制御するものであってもよい。
対極導電性構造層(対極導電性膜、対極側絶縁層等)を透明の材料として(具体的には、上記透明導電性膜及び透明絶縁層の材料を用いることができる。)色可逆変化調光装置することもできる。
そのほかさらに具体的な応用例としては、スーパーの商品価格表示など、セグメント式のディスプレイを製造する場合には、例えば図1の色可逆変化表示装置を多数組み合わせたものとして製造することができる。電子ペーパー用途など、多数のピクセルを含む素子を形成する際には、この色可逆変化表示装置からなる素子を格子状に配列させたものを形成することが好ましい。その際の表示制御には、パッシブマトリクス方式、アクティブマトリクス方式などの通常の制御法を用いることができる。また、様々な柄を印刷技術を用いて作成し、家具、建物、車体等の人工物の表面に設置すれば、その表示―非表示の制御を行うことにより、設置したものの見た目を変更することができる。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体はナノ微粒子を含有させた分散液により形成した超微粒子薄膜層を色可逆変化薄膜層として有する。ナノ微粒子としては、例えばエレクトロクロミック性を呈するプルシアンブルー型金属錯体超微粒子が挙げられる。
プルシアンブルー型金属錯体は分子設計により所望の組成の錯体にすることにより、あるいは酸化還元反応等を利用して、電気化学的に色を制御して変化させることができる。例えば、濃青色であるプルシアンブルーFe[Fe(CN)は、還元することで無色になる。また、Ni[Fe(CN)やIn[Fe(CN)]は黄色を示すし、Co[Fe(CN)]は赤色を示す。このように、プルシアンブルー型金属錯体はその錯体構造を適宜設計することにより様々な色に変化するものを合成することができる。本発明の色可逆変化表示装置用電極体においては、このような色制御性を有する超微粒子が用いられ、またそれらを酸化あるいは還元することにより無色化することも好ましい。本発明の電極体においては、これらの錯体設計等による微粒子の発色制御により、カラー化を実現することができる。また、色濃度を還元(酸化)する量によって連続的に変化させることもでき、これにより多階調化することもできる。発色の制御については、複数の異なる発色を持つ微粒子を混合させることによっても可能であるし、また単一の微粒子中の遷移金属位置に、複数種類の金属を混合させることでも可能である。
また、本発明の色可逆変化表示装置においては、電圧を印加して色を変化させ、その後電圧の印加をやめても変化後の色表示が記録され維持される色表示記憶型表示装置として機能させることができる。色表示の記憶時間は用いられる超微粒子材料や電圧印加時間にもよるが、例えば電圧印加をやめて装置を開放した後、例えば約1秒以上の間目視で同一色模様が維持して確認されることが好ましい。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体に用いることができるプルシアンブルー型金属錯体超微粒子は、図2により模式的に説明することができる。すなわち、この超微粒子20においては、プルシアンブルー型金属錯体微結晶21の表面に配位子L(22)が配位している。ただし同図は、超微粒子の結晶及び配位子について、その大きさの関係を示すものではない。また、配位子は図に示したように結晶表面に直立していても、倒れこんでいても、あるいはその他の状態であってもよい。
超微粒子調製時の配位子Lの配位量は特に限定されず、超微粒子の粒子径や粒子形状にもよるが、例えば、プルシアンブルー型金属錯体の結晶の中の金属原子(金属原子M及びMの総量)に対して、モル比で5〜30%程度であることが好ましい(超微粒子薄膜層中の配位子量については後述する。)。このようにすることで、プルシアンブルー型金属錯体のナノ微粒子を含有する安定な分散液とすることができ、液体製膜による精度の高い超微粒子薄膜層を作製することができる。
プルシアンブルー型金属錯体21は、上述のように、その結晶格子中に欠陥・空孔を有していてもよく、例えば鉄原子の位置に空孔が入りその周りのシアノ基が水に置換されていてもよい。このような空孔の量や配置を調節して光学特性を制御することも好ましい。
本発明において、「超微粒子」とは、薄膜形成時においてナノ微粒子(ナノメートルオーダーに超微細化された粒子)であり、かつ、多種の溶媒にナノ粒子状態で分散、単離・再分散しうる粒子、すなわちディスクリートな粒子をいう(分散体もしくは分散液から単離できないものや、単離・再分散できないものは含まない。)。その平均粒子径は200nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
本発明において、粒子径とは、特に断らない限り、保護配位子を含まない一次粒子の直径をいい、その円相当直径(電子顕微鏡観察により得た超微粒子の画像より、各粒子の投影面積に相当する円の直径として算出した値)をいう。平均粒子径については、特に断らない限り、少なくとも30個の超微粒子の粒子径を上記のようにして測定した、その平均値をいう。あるいは、超微粒子の粉体の粉末X線回折(XRD)測定から、そのシグナルの半値幅より算出した平均径より見積もってもよい。
ただし、溶媒に分散させた状態では、複数のナノ粒子が集団で二次粒子として運動し、測定法によってはより大きな平均粒子径が観測される場合もある。分散状態で超微粒子が2次粒子となっているとき、その平均粒径は200nm以下であることが好ましい。なお、超微粒子膜として製膜した後の処理などにより、保護配位子が外れるなどしてさらに大きな凝集粒子となっていてもよく、それにより本発明が限定して解釈されるものではない。
プルシアンブルー型金属錯体超微粒子を含有させた分散液の調製方法としては、撹拌抽出法、逆ミセル法、フェリチンなどをテンプレートとして用いる方法が挙げられる。以下に、本発明において好ましく採用される撹拌抽出法と逆ミセル法について詳しく説明する。ただし、本発明はそれらにより限定されるものではない。
<撹拌抽出法>
撹拌抽出法は、後述する逆ミセル法に用いられるような特殊な化合物によらずに、多様な保護配位子を表面に配位させた微粒子を簡便に大量合成できる点で好ましい。その具体的な手順を示すと、例えば、金属原子Mを中心金属とする金属シアノ錯体(陰イオン)の溶液と、金属原子Mを中心金属とする金属陽イオン溶液とを混合し、金属原子M及び金属原子Mから成るプルシアンブルー型金属錯体の結晶を析出させ、次いで保護配位子Lを溶解させた溶媒に前記プルシアンブルー型錯体結晶を加え、撹拌し、溶媒を除去することにより、例えば粒子径50nm以下の固体粉末超微粒子集合体を得ることができる。
撹拌抽出法についてさらに具体的に説明すると、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子分散液は、下記(A)及び(B)を含む工程で調製され、その微粒子は下記(A)〜(C)を含む工程で得られる。さらに、その好ましい態様として、有機溶媒分散型超微粒子とする際には工程(B)を工程(B1)とし、水分散型超微粒子とする際には工程(B)を工程(B2)とする。以下、それぞれの工程について詳しく説明する。
工程(A)は、金属原子Mを中心金属とする金属シアノ錯体(陰イオン)を含有する水溶液と、金属原子Mの金属陽イオンを含有する水溶液とを混合し、金属原子M及び金属原子Mを有するプルシアンブルー型金属錯体の結晶を析出させる工程である。
金属原子Mとしては、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)等が挙げられ、少なくともそれらのいずれか1つであることが好ましい。
金属原子Mとしてはバナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ランタン(La)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)、バリウム(Ba)、ストロチウム(Sr)、カルシウム(Ca)等を挙げることができ、少なくともそれらのいずれか1つであることが好ましい。
中でも金属原子Mとしては鉄、クロム、もしくはコバルトが好ましく、鉄が特に好ましい。金属原子Mとしては鉄、コバルト、ニッケル、バナジウム、銅、マンガン、もしくは亜鉛が好ましく、鉄、コバルト、もしくはニッケルがより好ましい。
金属原子Mを中心金属とする陰イオン性金属シアノ錯体の水溶液中での対イオンは特に限定されないが、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン等が挙げられる。金属原子Mの金属陽イオンの水溶液中での対イオンは特に限定されないが、Cl、NO 、SO 2−等が挙げられる。
金属原子MもしくはMとして2種以上の金属を組み合わせてもよい。2種類の金属の組み合わせについていうと、金属原子Mについては、鉄とクロムとの組み合わせ、鉄とコバルトとの組み合わせ、クロムとコバルトとの組み合わせが好ましく、鉄とクロムとの組み合わせがより好ましい。金属原子Mについては、鉄とニッケルとの組み合わせ、鉄とコバルトとの組み合わせ、ニッケルとコバルトとの組み合わせが好ましく、鉄とニッケルとの組み合わせがより好ましい。このとき、組み合わせた金属の組成を調節して、得られるプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の物性を制御することが好ましく、その光学特性を制御することがより好ましい。
このとき、金属シアノ錯体と金属陽イオンとの混合比は特に限定されないが、モル比で「M:M」が1:1〜1:1.5となるように混合することが好ましい。
工程(B)は、保護配位子Lを溶媒に溶解させた溶液と、工程(A)で調製したプルシアンブルー型金属錯体結晶とを混合する工程である。
保護配位子としては、ピリジル基もしくはアミノ基を錯体結晶との結合部位としてもつ化合物の1種もしくは2種以上を用いることが好ましく、なかでも炭素原子数4以上100以下の化合物を用いることがより好ましく(質量平均分子量でいうと2000以下であることが好ましく、50以上1000以下であることがより好ましい。)、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物の1種もしくは2種以上を用いることが特に好ましい。
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数8以上(好ましくは炭素原子数12〜18)のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。R、Rはアルケニル基であることが好ましく、その炭素―炭素二重結合の数に上限は特にないが、2以下であることが好ましい。アルケニル基を有する配位子Lを用いると、極性溶媒(配位子が脱離する場合があるメタノール、アセトンを除く、例えばクロロホルム)以外の溶媒に分散しにくい場合でも、その分散性を向上させることができる。具体的には、アルケニル基を有する配位子を用いることで、配位子が脱離しなければ無極性溶媒(例えば、ヘキサン)にも良好に分散しうる。このことはR及びRにおいても同様である。
一般式(1)で表される化合物の中でも、4−ジ−オクタデシルアミノピリジン、4−オクタデシルアミノピリジン等が好ましい。
一般式(2)中、Rは炭素原子数8以上(好ましくは炭素原子数12〜18)のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表わす。Rはアルケニル基であることが好ましく、その炭素−炭素二重結合の数に上限は特にないが、2以下であることが好ましい。一般式(2)で表される化合物の中で、アルケニル基を有する配位子としてはオレイルアミンが好ましく、アルキル基を有する配位子としてはステアリルアミンが好ましい。
一般式(3)中、Rは炭素原子数6以上(好ましくは炭素原子数12〜18)のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基であり、Rは(好ましくは炭素原子数1〜60の)アルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基である。Rはアルケニル基であることが好ましく、その炭素−炭素二重結合の数に上限は特にないが、2以下であることが好ましい。
なお、一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物は、本発明の効果を妨げなければ置換基を有していてもよい。
このとき保護配位子Lを溶解する溶媒は配位子Lとの組み合わせ等により決めることが好ましく、配位子Lを溶媒に十分に溶かすものを選ぶことがより好ましい。溶媒として有機溶媒を用いるとき、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、エーテル、酢酸ブチル等が好ましい。2−アミノエタノール等の水に溶解する配位子を用いるときには、溶媒として水を使用することもでき、水分散性のプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を得ることもできる。また、このとき溶媒としてアルコールを用いることも好ましい。
このとき用いる溶媒の量は特に限定されないが、例えば、質量比で「配位子L:溶媒」を1:5〜1:50とすることが好ましい。また混合する際に撹拌することが好ましく、それによりプルシアンブルー型金属錯体の超微粒子が有機溶媒中に十分に分散した分散液が得られる。
配位子Lの添加量は、工程(A)で作製したプルシアンブルー型金属錯体の微結晶に含まれる金属イオン(金属原子M及びMの総量)に対して、モル比で「(M+M):L」が1:0.2〜1:2程度であることが好ましい。
工程(B1)は、有機溶媒分散型の超微粒子を調製するに当り、配位子Lを有機溶媒に溶解させた有機溶液と、工程(A)で調製したプルシアンブルー型金属錯体結晶とを混合する工程である。なお、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子の生成速度を高めることができる点で、この工程において水を加えることが好ましく、その添加量は質量比で「溶媒:水」が1:0.01〜1:0.1であることが好ましい。
工程(B2)は、水分散型の超微粒子とするに当り、水溶性の配位子Lをアルコール(アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールが挙げられ、メタノールが好ましい。)及び/又は水からなる溶媒に溶解させた溶液と、工程(A)で合成したプルシアンブルー型金属錯体結晶とを混合する工程である。
ここでアルコール分離後に得られる固体物に水を加えると、プルシアンブルー型金属錯体の超微粒子を水中に分散した水分散液とすることができる。また、配位子Lの水溶液に直接、工程(A)で調製したプルシアンブルー型金属錯体結晶を加え、撹拌することによっても、プルシアンブルー型金属錯体の超微粒子を水中に分散させた分散液を得ることができる。ただし、得られるプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の安定性及び収率の点からアルコール溶媒を用いることが好ましい。
工程(C)はプルシアンブルーを溶媒から必要に応じて分離する工程であり、例えば、プルシアンブルー型金属錯体の超微粒子がその溶媒に分散している場合は溶媒を減圧留去して分離することができ、分散していない状態として濾過や遠心分離により溶媒を除去してもよい。このとき、工程(B1)を経て混合液を得た場合には、有機溶媒を除去することにより超微粒子集合体の固体粉末が得られる。工程(B2)を経て混合液を得た場合は、アルコール及び/又は水からなる溶媒を除去分離して水分散性の超微粒子集合体を固体粉末として得ることができる。このようにして、所望の超微粒子を調製時の溶媒から独立・分離して得ることができ、必要に応じて別の溶媒に再分散させることができる。
また、上記プルシアンブルー型金属錯体超微粒子を含有させた分散液を調製するに際し、適宜添加剤を加えてもよく、添加剤の作用によりプルシアンブルー型金属錯体超微粒子に異なる物性を付与することもできる。例えば、アンモニア、ピリジン、それらを組み合わせたものなどを光学特性調整剤としてプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の製造時に添加して、その添加の有無や量により生成物の光学特性を制御することが好ましい。このとき、工程(A)において光学特性調整剤を添加することが好ましい。光学特性調整剤の添加量は特に限定されないが、金属原子Mに対して、モル比で10〜200%となるよう添加することが好ましい。
さらにまた、先にも述べたとおり、金属原子M及び/又はMとして2種以上の金属を組み合わせて用いることができ、その金属の組成を調節することでプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の光学特性を変化させ微妙な色みの違いを制御して表示することができる。具体的には、例えば(Fe1−xNi[Fe(CN)として金属原子Mに鉄とニッケルを組み合わせて用い、その組成(式中の「x」)を調節して制御することが好ましい。
このとき工程(A)において目的の金属を含有する原料化合物を、混合比を変えて加えることで、目的の金属組成を有するプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を得ることができる。なお、撹拌抽出法については、特願2006−030481号明細書、国際特許出願第PCT/JP2006−302135号明細書などを参考にすることもできる。撹拌抽出法により得られたプルシアンブルー型金属錯体は、各種の溶媒に(本発明において「溶媒」とは「分散媒」を含む意味に用いる。)、優れた分散安定性を示し(例えば、数ヶ月以上経っても安定な分散状態を保つことができる。)、薄膜化に適し、優れたエレクトロクロミック素子を作製することができる。
<逆ミセル法>
逆ミセル法は、アルキル保護剤で覆われた錯体超微粒子の分散液を調製する方法であり、以下に示す3工程からなる。
(i)金属原子Mを中心金属とする金属シアノ錯体(陰イオン)を含む第一逆ミセル溶液と、金属原子Mを中心金属とする金属錯陽イオンを含む第二逆ミセル溶液とをそれぞれ調製する工程。
(ii)第一逆ミセル溶液と第二逆ミセル溶液とを混合する工程。
(iii)工程(ii)で得られた混合液に長鎖アルキル保護剤Lを添加し、必要に応じて得られたナノ結晶を単離する工程。
逆ミセル法で用いることができる金属原子M、金属原子M、対イオン、及び保護配位子Lは、それぞれ撹拌抽出法で説明したものと同じであり、その好ましいものも同じであるが、以下に上記各工程についてさらに具体的に説明する。
工程(i)
この工程では、金属原子Mを中心金属とする金属錯陰イオンを含む第一逆ミセル溶液と、金属原子Mの陽イオンを含む第二逆ミセル溶液とをそれぞれ調製する。
第一逆ミセル溶液として予めMを中心金属とする金属錯陰イオンを含む第一溶液を調製することが好ましく、この第一溶液は上記の金属錯陰イオンを水に溶解させることによって得られる。第一溶液の濃度(溶液の全量に対する金属原子のモル数)は、0.1〜1mol/Lであることが好ましい。次いで、第一溶液と逆ミセル化剤の溶解した有機溶媒(シクロヘキサン、ヘキサン、イソオクタン等)とを混合することによって第一逆ミセル溶液が得られる。逆ミセル化剤の種類としては、AOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネート ナトリウム塩)または、NP−5(ポリエチレン グリコール モノ4−ノニルフェニルエーテル)が挙げられる。逆ミセル化剤の使用量は第一溶液が逆ミセルとして可溶化するような濃度とすればよいが、一般的には水と逆ミセル剤とのモル比(w = [Water]/[AOT or NP−5])を5〜50とすることが好ましい。
第二逆ミセル溶液の場合は、金属原子Mの陽イオンを含む第二溶液を第一溶液のときと同様に調製し、これと逆ミセル化剤の溶解した有機溶媒とを混合することによって第二逆ミセル溶液を得ることができる。第二溶液は、金属原子Mを含む金属塩(CoCl、Fe(NO等)の水溶液であることが好ましい。第二溶液の濃度(溶液全量に対する金属原子のモル数)、逆ミセル化剤の種類・使用量、有機溶媒の好ましい範囲は、第一逆ミセル溶液の場合と同様である。有機溶媒の体積は特に限定されないが、10〜100ml程度が好ましい。
工程(ii)
この工程では、第一逆ミセル溶液と第二逆ミセル溶液とを混合する。この混合によって金属錯体ナノ結晶が形成される。ナノ結晶の生成速度は、上記溶液の濃度、逆ミセル化剤の濃度等によって調節することができる。混合方法は特に限定されず、通常の混合装置を使用できる。両者の混合割合は、モル比で金属錯陰イオン:金属陽イオン=1:0.7〜1.3程度となるようにすることが好ましい。
工程(iii)
この工程では、工程(ii)で得られた混合液に保護配位子化合物を添加する。保護配位子については撹拌抽出法において詳しく述べたとおりである。
これらの微粒子合成法により、所定の保護配位子によって保護されたナノメートルスケールの金属錯体の超微粒子を含有させた分散液を調製できる。分散液の濃度は特に限定されず標準的には例えば50mg/ml程度の分散液が挙げられるが、膜厚、表示色の濃さ、用途などを考慮して適宜所望の濃度に調節して用いることができる。
次に色可逆変化薄膜層について説明する。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体において、色可逆変化薄膜層は、上記のような超微粒子分散液により形成して薄膜状にした液体塗布膜層をいい、それに後述する洗浄や加熱等の処理を施してもよい。薄膜内では、個々の超微粒子が製膜時の形状を維持していなくてもよく、また配位子Lが除去調節されていてもよい。また、光学特性や電気化学特性向上のために別種材料を含有させてもよい。具体的には例えば、フェロセン、ナフィオン等の電気化学特性制御剤及び/又は発色特性制御剤を含有させてもよく、また電気化学特性制御剤及び/又は発色特性制御剤を含有させた層と、ナノ微粒子を含有させた層とから少なくともなる多層薄膜層としてもよい。色可逆変化薄膜層の形成は分散液の塗布製膜法によることが好ましく、具体的には、スピンコート法、スプレー法、インクジェット法、及び印刷法(スクリーン印刷法、転写法、凸版印刷法、ソフトグラフィー印刷法など)が挙げられ、なかでもスピンコート法もしくは印刷法によることが好ましい。色可逆変化薄膜層の厚さは特に限定されないが、1×10−8〜1×10−6mであることが好ましく、2×10−8〜5×10−7mであることがより好ましい。さらに、色可逆変化薄膜層は均一厚であり、表面凹凸を抑えたものであることが好ましい。このようにすることで画像むらを抑えた色表示が可能となる。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体においては、保護配位子を配位させたプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を含有させた分散液を用いて、色可逆変化薄膜層を塗布製膜するとき、又はその後、洗浄及び/又は加熱等の処理を施すことが好ましい。具体的には、例えば、アセトンなどの処理剤による洗浄処理、加熱処理(好ましくは100〜150℃の加熱処理)などが挙げられる。この処理により、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子の保護配位子の量を除去調節して、例えば、色変化に対する電気化学応答性を向上させることができる。このように製膜時には所望の保護配位子を用いて溶媒に超微粒子を安定に分散させて製膜することができ、その後エレクトロクロミック性能(応答速度や繰り返し耐性等)を向上させるために配位子Lを除去調節することができる。これにより、製造品質の向上と製品品質の向上とを両立して実現することができる。
色可逆変化薄膜層は、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子を含有させた分散液を塗布製膜して作製することができるが、同層に含まれることとなる保護配位子Lは、プルシアンブルー型金属錯体に配位していても、その配位結合がはずれた自由分子であってもよい。超微粒子薄膜層に含まれる保護配位子Lの量は特に限定されず、製膜時もしくは製膜後に上述の洗浄処理、加熱処理等により調節除去されてもよい。多すぎるときには例えば、保護配位子の含有量をプルシアンブルー型金属錯体に対して10倍(質量比)以下とすることが好ましく、より減量して素子性能を制御するときには上記含有量を1倍以下(質量比)とすることがより好ましく、1/10以下(質量比)とすることが特に好ましい。なお保護配位子Lの含有量に下限は特にないが、例えば上記処理等により除去したときに不可避的に(例えば、上記質量比で1/100程度)残留していてもよい。なお、色可逆変化薄膜層及びそれを製膜するための分散液には平均重合度50以上の高分子化合物を含まないことが好ましい。
本発明の色可逆変化表示装置用電極体及びそれを用いた色可逆変化装置はカラー化を実現することができ、その性能は従来のものより格段に優れる。また、色可逆変化薄膜層の色を電気的に制御して可逆的に変化させることができる。
本発明の色可逆変化表示装置は、必要に応じて保護配位子を配位させた超微粒子を用いたため、水や各種有機溶媒にナノサイズでありながら均一かつ安定に分散し、精度の高い均質で均一厚の薄膜層が実現され、むらのない繊細な画像表示や微妙な色みの制御を可能とする。さらに、超微粒子に配位させた保護配位子は製膜時もしくは製膜後に適宜に除去して電気化学応答性等を調節することができる。さらに、製膜時の製造品質と色可逆変化表示性能に関する製品品質とを両立して実現することができる。
また、本発明の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法によればその加工時間や工数が低減され、簡便に、かつ精度よく、精密薄膜化加工や超微細化加工などを施すことができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定して解釈されるものではない。
(調製例1)
(A)プルシアンブルーバルク体の合成
(NH[Fe(CN)] 1.0gを水に溶解した水溶液と、Fe(NO・9HO 1.4gを水に溶解した水溶液とを混合し、プルシアンブルーの微結晶を析出させた。遠心分離により、水に不溶性のプルシアンブルー微結晶を分離し、これを水で3回、続いてメタノールで2回洗浄し、減圧下で乾燥した。
作製したプルシアンブルーバルク体を粉末X線回折装置で解析した結果を図3(II)のチャート31に示す。これは標準試料データベースから検索されるプルシアンブルーのピークと一致した(図3の(I)に示したピーク図参照)。また、FT−IR測定においても、2070cm−1付近にFe−CN伸縮振動に起因するピークが現れており(図4のスペクトル41参照)、この固形物がプルシアンブルーであることを示している。
(B1)有機溶媒分散型プルシアンブルー超微粒子分散液の調製
配位子Lとして、長鎖アルキル基を含む配位子オレイルアミンを溶解させたトルエン溶液5mlに水0.5mlを加えた。(A)で合成したプルシアンブルーのバルク体0.2gを上記の溶液に加えた。一日撹拌するとプルシアンブルーの微結晶がすべてトルエン相に分散した濃青色の分散液が得られた。水とトルエン相を分離し、濃青色のトルエン相を濾過すると、プルシアンブルー微粒子の分散液が得られた(このときのFT−IR測定の結果を図4のチャート43に示す。)。この分散液の紫外可視吸収スペクトル測定結果を図5のスペクトル51に示す。680nm付近のピークはプルシアンブルーのFe−Fe間電荷移動吸収として知られており、この微粒子分散液がプルシアンブルーを含んでいることがわかる。また、この保護配位子としてオレイルアミンを有するプルシアンブルー超微粒子の分散液を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図6に示す。これより、平均粒子径10〜15nm程度の超微粒子が合成されていることを確認した。このときプルシアンブルーのバルク体は、水には残らず、ほぼすべてトルエン相に超微粒子として抽出できた。
(C1)プルシアンブルー超微粒子集合体の固体粉末の分離、再分散
(B1)で得られた分散液のトルエンを減圧乾固することで、固体粉末をほぼ定量的に得た。得られた固体粉末は、ジクロロメタン、クロロホルム、もしくはトルエンといった有機溶媒に簡単に再分散し、濃青色の透明な分散液となった。
得られたプルシアンブルー超微粒子固体粉末を粉末X線回折装置で解析した結果、標準試料データベースに含まれるプルシアンブルーのピーク位置と一致した(図3のチャート33参照)。なお低角側のピークは過剰に含まれたオレイルアミンによるブロードなバックグラウンドである。
(調製例2)
(A)プルシアンブルーバルク体の合成
調製例1と同様にしてプルシアンブルーバルク体を合成した。
(B2)水分散型プルシアンブルー超微粒子分散液の調製
配位子Lとして、2−アミノエタノールを溶解させたメタノール溶液5mlに、(A)で合成したプルシアンブルーのバルク体0.2gを加え3時間程度撹拌してプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の分散液を調製した。この超微粒子は、撹拌後もメタノールに溶解することなく固体物として存在していた。このときのFT−IR測定の結果を図4のチャート42に示す。
(C2)プルシアンブルー超微粒子集合体の固体粉末の分離、再分散
(B1)で得られた分散液のメタノールを除去して固体粉末αを分離して得た。その固体粉末αに水を加えるとすべて分散し、濃青色透明な分散液βとなった。
得られた保護配位子として2−アミノエタノールを有するプルシアンブルー超微粒子の分散液β(溶媒は水)を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図7に示す。これより、平均粒子径10〜15nm程度の超微粒子が合成されていることを確認した。また、この分散液の紫外可視吸収スペクトル測定においても、有機溶媒超微粒子分散液の場合と同様680nmにプルシアンブルーを示すピークが観測された(図5のスペクトル52参照)。これらの測定結果より、プルシアンブルー超微粒子の水分散液が得られたことが分かる。
操作手順(B2)で得られた固体粉末αを、粉末X線回折装置で解析した結果(図3のスペクトル32参照)からプルシアンブルーのピークが確認された。ピーク半値幅解析の結果、結晶の平均粒子径は約10nm〜20nmであった。このことより、固体粉末αはプルシアンブルーナノ粒子の集合体であることが分かる。
(調製例3)
フェリシアン酸カリウム、K[Fe(CN)] 0.329g(0.999mmol)の水溶液1.5mlにアンモニア水NH(28.0%、14.8N)0.1mlを加え、そこに硝酸コバルトCo(NO・6HO 0.437g(1.50mmol)の水溶液1.0mlを加え、3分程度撹拌した。その後、遠心分離によって赤色の沈殿物としてプルシアンブルー型金属錯体結晶を得た。この結晶沈殿物を水で3回、メタノールで1回洗浄した。収量は0.631gであり、収率は105%であった(100%を超えているのは、乾燥が不十分で、水を含んでいるための誤差だと考えられる。)。
オレイルアミン0.443g(1.66mmol、総金属量の100%(モル比))のトルエン溶液3.0mlに、先の合成で得られたプルシアンブルー型金属錯体結晶(コバルト鉄シアノ錯体結晶)の凝集体0.204g(0.340mmol)を加え、1日程度撹拌した。こうしてプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を分散液中に得た。このアンモニアを添加した条件で得たものを分散液試料γとした。
次いで分散液試料γ中のトルエンを減圧乾固して除去することにより、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子を凝集固体として分離して得た。
上記の分散液試料γに対して、遠心分離を行い、上澄みを一部取り出し、トルエンで希釈してUV−vis光学測定を行った。この試料の可視域における吸収極大値は480nmに存在し(図8参照)、これはアンモニアを添加しないで得たものの極大位置520nmと異なった。この違いは目視により区別しうる程であり、アンモニアを添加しないものは紫がかっていたが、アンモニアを添加して得たものは赤の色みが増していた。
この結果より、アンモニアの添加によって、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子の光学スペクトルを変化させ、光学特性を制御しうることが分かる。
(調製例4)
((Fe0.2Ni0.8[Fe(CN)の合成)
[Fe(CN)](0.658g(2.00×10−3mol))の水溶液(2ml)を、FeSO・7HO(0.167g(6.00×10−4mol))の水溶液(0.4ml)とNi(NO・6HO(0.698g(2.40×10−3mol))の水溶液(1.6ml)の混合溶液に撹拌しながら加えた。沈殿物を蒸留水で3回遠心洗浄し、メタノールで1回遠心洗浄後、風乾させて目的の金属組成を有するプルシアンブルー型金属錯体結晶を得た。
(Fe0.4Ni0.6[Fe(CN)の合成)
[Fe(CN)](0.658g(2.00×10−3mol))の水溶液(2ml)を、FeSO・7HO(0.334g(1.20×10−3mol))の水溶液(0.8ml)とNi(NO・6HO(0.523g(1.80×10−3mol))の水溶液(1.2ml)の混合溶液に撹拌しながら加えた。沈殿物を蒸留水で3回遠心洗浄し、メタノールで1回遠心洗浄後、風乾させて、目的の金属組成を有するプルシアンブルー型金属錯体結晶を得た。
((Fe0.6Ni0.4[Fe(CN)の合成)
[Fe(CN)](0.658g(2.00×10−3mol))の水溶液(2ml)を、FeSO・7HO(0.500g(1.80×10−3mol))の水溶液(1.2ml)とNi(NO・6HO(0.349g(1.20×10−3mol))の水溶液(0.8ml)の混合溶液に撹拌しながら加えた。沈殿物を蒸留水で3回遠心洗浄し、メタノールで1回遠心洗浄後、風乾させて、目的の金属組成を有するプルシアンブルー型金属錯体結晶を得た。
((Fe0.8Ni0.2[Fe(CN)の合成)
[Fe(CN)](0.658g(2.00×10−3mol))の水溶液(2ml)を、FeSO・7HO(0.667g(2.40×10−3mol))の水溶液(1.6ml)とNi(NO・6HO(0.174g(5.98×10−4mol))の水溶液(0.4ml)の混合溶液に撹拌しながら加えた。沈殿物を蒸留水で3回遠心洗浄し、メタノールで1回遠心洗浄後、風乾させて、目的の金属組成を有するプルシアンブルー型金属錯体結晶を得た。
合成した4種の(Fe1−xNi[Fe(CN) 0.10gに、それぞれ水0.2mlを加え、オレイルアミン0.090g(3.4×10−4mol)のトルエン溶液2mlと混ぜ、一日撹拌してプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の分散液を得た。遠心分離を行い、トルエン層を分離して、目的の金属組成を有する超微粒子を分離して得た。得られたプルシアンブルー型金属錯体超微粒子について、それぞれ、その吸収スペクトルを測定した。図9にその結果を示す。図9中、曲線91は上記化学構造式においてx=0.8のプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の結果を示し、曲線92はx=0.6のものの結果を示し、曲線93はx=0.4のものの結果を示し、曲線94はx=0.2のものの結果を示す。
この紫外可視吸収スペクトルから、Niの含有量に依存してFe−Fe間電荷移動吸収帯の波長が系統的に長波長側にシフトしていることが分かる。また、400nm付近にFe−CN−Niに由来する吸収帯の強度が系統的に増大した。この結果から、一つのナノ結晶(超微粒子)中に、NiとFeが均一に分布していることを示しており、組み合わせた金属の金属組成(x)の調節により微妙な色みの変化を制御することができることが分かる。なお、得られた超微粒子(の粉体)に対して、NiとFeが不均一に一つの結晶内に分布している場合や、あるいは、それが、Ni[Fe(CN)とFe[Fe(CN)の超微粒子のそれぞれの単なる混合物である場合では、上記のFe−Fe間電荷移動吸収帯の波長が系統的なシフトは観測されない。
(調製例5)
次に金属原子M、M、配位子L、分散媒を下表のとおりに代えた以外、試料1〜16については調製例1と同様にして、試料17〜19については調製例2と同様してプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を作製し、表中に記載した分散媒に分散させた分散液を得た。なお、試料20は調製例3で得た超微粒子、試料21は調製例4で得た超微粒子、試料22は調製例1のオレイルアミンを酢酸ブチルに代えた以外同様にして調製した超微粒子分散液を示す。この結果が示すとおり、多様なプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を製造することができることが分かる。
表中のすべての製造例において、工程(A)で合成した錯体結晶は、ほぼすべて錯体微粒子に転換された。すなわち、錯体結晶を合成するための材料を過不足ないよう仕込み比を調整すれば超微粒子の収率をほぼ100%とすることができる。
工程(A)のプルシアンブルー型金属錯体結晶を製造する工程においては、上記のものに限らず、別の原料化合物を用いることができる。例えばプルシアンブルーの場合、(NH[Fe(CN)]とFe(NO・9HOとの混合に限らず、K[Fe(CN)] 1.0gを水に溶解した水溶液とFeSO・7HO 0.84gを水に溶解した水溶液との混合や、Na[Fe(CN)]・10HO 1.0gを水に溶解した水溶液とFe(NO・9HO 0.83gを水に溶解した水溶液とを混合することによっても同様に目的とするプルシアンブルー型金属錯体超微粒子が得られる。また、これまで示したとおり金属原子M及びMはFeに限定されず、図10には[Fe(CN)3−とCo2+とから製造したコバルト鉄シアノ錯体超微粒子の透過型電子顕微鏡画像を示した。
調製例1で調製したプルシアンブルー型金属錯体超微粒子分散液(FeHCF−OA)及び表1の試料No.16のプルシアンブルー型金属錯体超微粒子分散液(NiHCF−OA)について、それぞれ粒度分布測定(日機装マイクロトラックUPA−EX150使用)を行った結果を図11に示す。粒径のピークは30〜40nmに存在し、電子顕微鏡等で得られる粒径より大きい。これは、溶媒中で複数の粒子が凝集して運動しているためであり、二次粒子の粒径を示している。
(実施例1−1)
表1試料No.1の分散液、詳しくはFeHCF−OA超微粒子(M=Fe、M=Fe、L=オレイルアミンからなるプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を、以下「FeHCF−OA超微粒子」という。)の粉末104mgをトルエン4mgに分散させた分散液を調製した。その分散液を、スピンコート法を用いてITO被膜したガラス基板(縦25mm、横25mm、厚さ1mmの矩形ガラス基板)上に室温で製膜して色可逆変化薄膜層とし、本発明の色可逆変化表示装置用電極体を作製した。このときスピンコートは、基板上に分散液を滴下後、30秒間、回転速度400rpmで回転させ、引き続き10秒間1000rpmで回転させて行った。
触針式膜厚測定機を用いてこの薄膜層の膜厚測定を行った。図12の距離d<250μmの部分は色可逆変化薄膜層が存在する部分であり、d>250μmの部分が薄膜層を除去した部分である。これより、薄膜層の膜厚は約250nmであり、その膜厚の場所依存性は10〜20nmにとどまっており、均一厚塗布膜層が得られることが分かる。
この電極体について、サイクリックボルタンメトリー測定を行った結果を図13に示す。参照電極はSCE、対極は白金電極、電解質は0.1M NaSOを用いた。これより、電気化学反応により、薄膜層の酸化還元状態を操作できることが分かる。また、ITO被膜部つまり電極に接している部分のみ超微粒子の色が変化した。電圧印加による色変化を確認した結果、1.5Vの電圧を印加したときには無色透明を示し、1.0Vの電圧を印加したときには青色を示した。
(実施例1−2)
表1の試料No.16の分散液、詳しくはNiHCF−OA超微粒子(M=Fe、M=Ni、L=オレイルアミンからなるプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を、以下「NiHCF−OA」超微粒子という。)の粉末102mgをトルエン1mgに分散させ分散液を調製した。その分散液を、スピンコート法を用いて室温にてITO被膜したガラス基板(縦25mm、横25mm、厚さ1mmの矩形ガラス基板)上に製膜して色可逆変化薄膜層とし、本発明の色可逆変化表示装置用電極体を作製した。スピンコートは、基板上に分散液を滴下後、回転速度300rpmを20秒間、500rpmを20秒間、1000rpmを10秒間、続けて回転させて行った。得られたスピンコート膜は均一厚の超微粒子薄膜層であった。
この電極体についても、実施例1−1の場合と同様に電気化学反応により、薄膜の酸化還元状態を制御できた。また、電圧印加による吸収スペクトルの変化を図14に示す。電圧を印加する前及び−1.0Vの電圧を印加したときには450nm付近の吸収を示さず(図14の点線122で両条件のスペクトルは重なっている。)、1.5Vの電圧を印加することにより光学特性が大きく変化し450nm付近の吸収を示した(図中の実線121参照)。なお、以下、特に断らない限り、電圧は正(+)のときは透明電極を正極としたとき、負(−)のときは透明電極を負極としたときを示す。450nm付近に吸収がある場合物質は黄色く見える。このピークの有無により、黄色−透明の色変化を電気的に制御できることが分かる。
(実施例1−3)
表1の試料No.16の分散液、詳しくはNiHCF−OA超微粒子粉末102mgをトルエン1mlに分散させ分散液を調製した。その分散液を、スピンコート法を用いて室温にてITO被膜したガラス基板(縦25mm、横25mm、厚さ1mm)上に製膜して色可逆変化薄膜層とし、本発明の色可逆変化表示装置用電極体を作製した。このときのスピンコートは基板上に分散液を滴下後、回転速度300rpmを20秒間、500rpmを20秒間、1000rpmを10秒間、続けて回転させて行った。その後、100mgフェロセンを、2mlのエタノールに溶解させ、その溶液を用い、スピンコートを用いて室温にて上記NiHCF−OA超微粒子薄膜上に製膜した。フェロセン液を滴下後のスピンコートは、回転速度500rpmを30秒間、1000rpmを10秒間、続けて回転させて行った。
この電極体を用いて、電圧印加を行った際の吸収スペクトルの変化を図15に示す。電圧印加前の吸収スペクトルを点線で示し、1.5Vの電圧を印加したときの吸収スペクトルを実線で示し、−1.0Vの電圧を印加したときの吸収スペクトルを破線で示している。この結果より、フェロセンを併せてコートしても、エレクトロクロミック特性に劣化は見られないことがわかる(ただし、後述のように、フェロセンをコートすることにより、応答速度が著しく向上する。)。
(実施例1−4)
表1の試料No.1の分散液、詳しくはFeHCF−OA超微粒子粉末104mgをトルエン4mgに分散させ分散液を調製した。次いで、直径約8mmの円に内接する程度の大きさのハート形の凸型ゴム製支持体に、上記で調製した分散液を塗布し、ITO被膜したガラス基板上に押下接着して色可逆変化薄膜層とした。図16に示すとおり、基板上に支持体と同じ形状の超微粒子薄膜を有する本発明の色可逆変化表示装置用電極体を作製することができた。これにより、所望の形状の色可逆変化薄膜層を有する電極体を簡便に作製することができることが分かる。
(実施例2−1)
図17−1〜17−4に示した手順で、以下のようにして本発明の色可逆変化表示装置を作製した。
実施例1−1で作製した色可逆変化表示装置用電極体を準備した(図17−1(a−1)はその電極体を模式的に示した平面図であり、(a−2)はそのA−A線断面図である。)。この色可逆変化表示装置用電極体150Aは、透明ガラス基板151、ITO導電性膜152、及び色可逆変化薄膜層153からなる。次いで、厚さ100μmのポリエステルシートに穴を空けたものを封止材154として用意した(図17−2(b−1)はその封止材を模式的に示した平面図であり、(b−2)はそのB−B線断面図である。)。さらに、金属薄膜(ITO導電性膜)155を絶縁体(ガラス基板)156の上に設けた対極導電性構造層150Bを作製した(図17−3(c−1)はその対極導電性構造層を模式的に示した平面図であり、(c−2)はそのC−C線断面図である。)。
上記の色可逆変化表示装置用電極体150Aと封止材154とを接着し、封止材154の穴の部分に電解質として、1mMのNaSO水溶液157を注入した。その後、上記対極導電性構造層150Bを接着することによって、図17−4に示した色可逆変化表示装置150Cを得た(図17−4(d−1)は上記で作製した色可逆変化表示装置を模式的に示した平面図であり、(d−2)はそのD−D線断面図である。)。
上記で作製した色可逆変化表示装置の透明金属導電性膜152及び金属導電性膜155を電極とし、電圧印加することによって装置の光学特性制御試験を行った。図18に上記FeHCF−OA超微粒子を用いたエレクトロクロミック素子の電圧印加前後の吸収スペクトル(電圧依存性)を示す。電圧印加前(図中の実線)は500nm以上に大きな吸収があり装置は青色を示していた。−2.5Vの電圧印加によりこの吸収が大きく減少した(図中、破線)。結果として装置は透明に変化した。さらに1.5Vの電圧を印加すると吸収ピークが回復し、装置は青色に戻った(図中、点線)。この結果から、本発明の色可逆変化表示装置は電圧印加により青−透明の色変化を制御して操作できることが分かる。また、この色可逆変化表示装置の表示画像はむらのない鮮明なものであった。さらに、1.5Vの電圧印加の後、電圧を切り装置を開放したところ、青色表示は維持され少なくとも半日程度は同表示が記録されていた。
(実施例2−2)
実施例2−1で作製した色可逆変化表示装置に用いた色可逆変化表示装置用電極体に代えて、実施例1−3の色可逆変化表示装置用電極体(ただし、NiHCF−OAをFeHCF−OAにした。)を用いた以外、実施例2−1と同様にして本発明の色可逆変化表示装置を作製した。このFeHCF−OA層の上にフェロセン層を製膜した多層膜を用いた装置について、色変化の測定試験を行った結果、色変化速度が大幅に向上した。図19はその結果を示す(各色可逆変化表示装置における波長700nmの吸収係数の時間変化を示す。)。フェロセン層が存在しない実施例2−1で作製した素子の場合(図中の破線)、吸収係数変化がほぼ終了するのに約1秒を必要とした。これに対し、フェロセン層が存在する場合(図中の実線)、約200ミリ秒で色変化がほぼ完了した。この結果から、超微粒子層に、電気化学特性制御剤を含有させる、ないしはその層との多層膜構造とすることで、色可逆変化表示装置の表示性能を向上させることができることが分かる。また、この色可逆変化表示装置の表示画像はむらのない鮮明なものであった。
(実施例2−3)
実施例2−1で作製した色可逆変化表示装置に用いた色可逆変化表示装置用電極体に代えて、実施例1−2で作製した色可逆変化表示装置用電極体を用いた以外、実施例2−1と同様にして本発明の色可逆変化表示装置を作製した。このNiHCF−OA超微粒子層を具備するエレクトロクロミック素子についてもその吸収及び透過スペクトル測定を行った。その結果、この装置においても、電気化学変化を示し電圧印加による吸収及び透過スペクトルの変化がみられた(但し、電位の基準が異なるため、エレクトロクロミック現象が起こる電圧は異なっていた。)。図20は電圧を2.0V印可したときの波長420nmにおける透過率を示す。電圧を印可することによって、透過率が減少し、色が濃くなっていることがわかる。
(実施例2−4)
原料として塩化鉄6水和物、フェロシアン化ナトリウム10水和物を用いて、調製例1と同様の撹拌抽出法によりFeHCF−OA超微粒子を合成し、その超微粒子0.0676gをトルエン1mlに分散させて超微粒子分散液を得た。その超微粒子分散液を用いて、実施例1−1と同様にしてスピンコート(500rpm10秒後、1000rpm30秒)して色可逆変化薄膜層とし、本発明の色可逆変化表示装置用電極体を作製した。この電極体を10分間アセトン中に静置し洗浄処理を施した。
このときの超微粒子の状態を確認するため、KBrペレットに上記のFeHCF−OA微粒子を滴下したものについて、アセトン処理の前後で赤外分光測定を行った。その結果を図21に示す。このとき4000cm−1の測定値に原点を修正後、CN伸縮に起因するピークで規格化を行った。2900cm−1付近のピークは保護分子であるオレイルアミンのCH伸縮に帰属されるものであり、2080cm−1付近のピークはプルシアンブルーのCN伸縮に帰属される。オレイルアミンのCH伸縮のピーク強度が、プルシアンブルーのCN伸縮のピーク強度に比べてアセトン処理によって減少していることがわかる。
上記アセトン洗浄処理した色可逆変化薄膜層を有する色可逆変化表示装置用電極体について、サイクリックボルタンメトリー測定を行った。その結果、処理前のものは電気化学応答性をほとんど示さなかったが、アセトン処理を施したものは電気化学応答を示した。この結果より、アセトン洗浄処理が本発明の色可逆変化表示装置用電極体の電気化学応答性を向上させることが分かる。
(実施例2−5)
原料として塩化鉄6水和物、フェロシアン化ナトリウム10水和物を用いて、調製例1と同様の撹拌抽出法によりFeHCF−OA超微粒子を合成し、その超微粒子0.0676gをトルエン1mlに分散させて超微粒子分散液を得た。その超微粒子分散液を用いて、実施例1−1と同様にしてスピンコート(500rpm10秒後、1000rpm30秒)して色可逆変化薄膜層とし、本発明の色可逆変化表示装置用電極体を作製した。この電極体を2時間高温下(50℃、100℃、150℃)にそれぞれ静置し加熱処理を施した。
このときの超微粒子の状態を確認するため、実施例2−4と同様にして作製したKBr試料を100℃もしくは150℃で加熱処理をし、それぞれ、赤外線分光測定を行った。このときの結果を図21に併せて示している。アセトン処理のとき以上に、オレイルアミンのCH伸縮の相対的ピーク強度が減少していることが分かる。
上記の電極体を用い、サイクリックボルタンメトリー測定を行った結果を図22に示す。150℃に静置したものについては、電気化学応答性が明確に向上した(図中の実線)。100℃で処理したものにおいても電気化学応答性が向上した(図中の破線)。これに対し、50℃で処理したものでは電気化学応答性は向上しなかった(図中、一点鎖線)。この結果より、加熱処理を施すことにより、本発明の色可逆変化表示装置用電極体の電気化学的応答性を向上させることができることが分かる。
産業上の利用の可能性
本発明の色可逆変化表示装置用電極体は、上述のとおり、そのプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の光学特性を制御して得ることができ、多彩な色や微妙な色みを調節して表示しうる色可逆変化表示装置とすることができる。そしてその色可逆変化表示装置は、非発光表示の場合には、シアン、イエロー、マゼンタに対応させて表示することもできるし、発光(透過光)表示の場合には、R、G、Bに対応させて表示することもできる。
さらにまた、本発明の色可逆変化表示装置用電極体においては、スピンコートなどの安価であり、かつ超微細加工に適し、均一膜厚を実現しうる製膜法が利用できるため、デバイスの製造コストの改善、品質の向上、表示画質の向上が見込める。さらには、簡便なプロセスでの製造が可能なため大量生産にも適している。また、発色材料として超微粒子を用いたため、絶縁体などの構造材料に柔軟な材料を利用したとき、屈曲可能なフレキシブル画像表示装置とすることもできる。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。

Claims (23)

  1. 超微粒子を含有させた分散液により、透明導電性構造層の片側に色可逆変化薄膜層を形成した色可逆変化表示装置用電極体であって、前記色可逆変化薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に対極導電性構造層を設け、前記透明導電性構造層及び対極導電性構造層に電圧を印加して、前記色可逆変化薄膜層の色を制御して変化させうることを特徴とする色可逆変化表示装置用電極体。
  2. 前記超微粒子が、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子であることを特徴とする請求項1記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  3. 前記超微粒子が、下記金属原子Mと金属原子Mとを有するプルシアンブルー型金属錯体結晶にピリジル基もしくはアミノ基を含有する化合物を保護配位子として1種または2種以上配位させた平均粒子径200nm以下の超微粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の色可逆変化表示装置用電極体。
    [金属原子M:バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、ロジウム、オスミウム、イリジウム、パラジウム、および銅から選ばれる少なくとも1つの金属原子。]
    [金属原子M:バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、およびカルシウムから選ばれる少なくとも1つの金属原子。]
  4. 前記保護配位子の炭素原子数が4以上100以下であることを特徴とする請求項3記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  5. 前記保護配位子が下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されることを特徴とする請求項3又は4記載の色可逆変化表示装置用電極体。
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数8以上のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。)
    (式中、Rは炭素原子数8以上のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。)
    (式中、Rは炭素原子数6以上のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表す。)
  6. 前記置換基R〜Rがアルケニル基であることを特徴とする請求項5記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  7. 前記色可逆変化薄膜層中の保護配位子化合物の含有量が、質量比でプルシアンブルー型金属錯体の10倍以下であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  8. 前記色可逆変化薄膜層が、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子を含有させた分散液をスピンコート法、スプレー法、インクジェット法、及び印刷法から選ばれる製膜法により製膜した均一厚液体製膜層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  9. 前記分散液が撹拌抽出法により調製したプルシアンブルー型金属錯体超微粒子の分散液であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  10. 前記色可逆変化薄膜層の製膜時及び/又はその後、加熱処理及び/又は洗浄処理を施して前記保護配位子を除去したことを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  11. 前記色可逆変化薄膜層に電気化学特性制御剤及び/又は発色特性制御剤を含有させたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  12. 前記色可逆変化薄膜層を、前記超微粒子を含有させた層と、電気化学特性制御剤及び/又は発色特性制御剤を含有させた層とを少なくとも有する多層薄膜層としたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体の前記色可逆変化薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に対極導電性構造層を設けたことを特徴とする色可逆変化表示装置。
  14. 前記色可逆変化表示装置用電極体が、透明絶縁層の片側に透明導電性膜を設け、該透明導電性膜のもう一方の片側に色可逆変化薄膜層を設けた電極体であり、
    前記対極導電性構造層が対極絶縁層の片側に対極導電性膜を設けた構造層であり、
    前記色可逆変化薄膜層と前記対極電極膜との間に電解質層を配置するようにしたことを特徴とする請求項13に記載の色可逆変化表示装置。
  15. 前記透明導電性構造層及び対極導電性構造層を薄板状としたことを特徴とする請求項13又は14記載の色可逆変化表示装置。
  16. 前記電解質層と対極導電性構造層との間に対極修飾層を設けたことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置。
  17. 電解質層の周縁を封止材でシールしたことを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置。
  18. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電極体の前記色可逆変化薄膜層を、超微粒子を分散させた分散液により図柄及び/又は文字パターンに形成し、該薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に対極導電性構造層を設けた色可逆変化表示装置であって、前記図柄及び/又は文字を電気的に制御して表示することを特徴とする色可逆変化表示装置。
  19. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電極体の前記色可逆変化薄膜層の片側に電解質層を設け、その外側に透明の対極導電性構造層を設けた色可逆変化調光装置であって、透過光を電気的に制御して調光することを特徴とする色可逆変化調光装置。
  20. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電極体を製造するに当り、撹拌抽出法もしくは逆ミセル法により保護配位子を有するプルシアンブルー型金属錯体の超微粒子を分散させた分散液を調製し、透明導電性構造層の片側に前記分散液を塗布して色可逆変化薄膜層を製膜することを特徴とする色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
  21. 前記保護配位子をアミノ基もしくはピリジル基を含有する化合物とし、スピンコート法、スプレー法、インクジェット法、及び印刷法から選ばれる製膜法により前記分散液を塗布製膜することを特徴とする請求項20記載の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
  22. 前記色可逆変化薄膜層の製膜時及び/又はその後、洗浄及び/又は加熱することにより保護配位子を除去することを特徴とする請求項20又は21記載の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
  23. 前記プルシアンブルー型金属錯体の金属原子M及び/又はMを、それぞれ2種以上の金属の組み合わせとし、その金属組成を変化させて前記錯体の光学特性を調節し、電気的制御により所望の色みに変化させうる超微粒子とすることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の色可逆変化表示装置用電極体の製造方法。
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