JP5946088B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、照明フィルタと光源とを有する照明装置に関する。
オフィスや、一般家庭、商業施設等で利用される照明には多様な用途があり、その用途に応じて照明色を変化させることが求められている。特に、色温度に関して多くの検討がなされており、例えば蛍光灯では数種類の色温度の異なる製品が販売されている。しかし、これらのものでは、製品毎に色温度は固定されており、ニーズに合わせて色温度を変えることはできなかった。これに対し、近年照射光の色温度を変化させる技術の検討が進み、多くの製品が既に市場に投入されている。
例えば、色温度の異なる複数の蛍光灯や白熱灯を組み合わせ、その発光強度比を変化させることによって色温度を制御するものや、LEDの赤・青・緑を具備し、その発光強度比を制御する手法などが利用されている。LEDについては、異なる色温度の光源を組み合わせることも試みられている。
上記とは別の調光手段として、単一の光源を利用し、光源と照射対象との間に配設するフィルタを検討した例がある。例えば特許文献1では、エレクトロクロミック材料として青−透明で色変化が可能である酸化タングステンを利用した照明フィルタが開示されている。しかしながら、フィルタに酸化タングステンを適用するにはスパッタ法などの製膜法を利用する必要がある。また、この材料を用いた装置は通常サイクル耐性が高いとは言いがたい。さらには、酸化タングステンはその色変化が青−透明のみであるため、所望の色変化を実現する際にも制約が生じる。また、特許文献2においてもエレクトロクロミック材料を利用した照明装置に関する言及があるが、透過光の観測データやその材料の具体的な言及はない。
特開平4−133204号公報 特開平6−111615号公報
本出願人は、上記の従来技術の課題に鑑み、LED(半導体発光素子)を光源とする照明装置において、透過する光の波長域を調節することができる照明フィルタを適用して、照射光の色を制御することを提案した(特願2011−044802号明細書参照)。
本発明は、上記本出願人が新たに提案した照明装置に改良を加え、さらに視感透過性の向上を実現する(第一の課題)、あるいは、より優れた耐久性を発揮する(第2の課題)照明装置の提供を目的とする。
上記の課題は以下の手段により達成された。
〕所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、
前記照明フィルタは、鉄・ニッケル(Fe・Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層[LA1]と、プルシアンブルー型金属錯体を含有する補助電気化学応答性材料層[LA2]とを有し、
前記補助電気化学応答性材料層[LA2]に含まれるプルシアンブルー型金属錯体は微粒子化された亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体であり、その平均粒子径が300nm未満であることを特徴とした照明装置。
〕前記亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体の微粒子の平均粒子径が100nm未満である〔〕に記載の照明装置。
〕所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、
前記照明フィルタは、鉄・ニッケル(Fe・Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層[LA1]と、プルシアンブルー型金属錯体を含有する補助電気化学応答性材料層[LA2]とを有し、
前記補助電気化学応答性材料層[LA2]に含まれるプルシアンブルー型金属錯体は微粒子化された亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体であり、その亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体微粒子について、フェロシアン化ナトリウムのモル数を、亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体微粒子に含まれる金属原子のモル数に対し、9.5%以下としたことを特徴とした照明装置。
〕上記照明装置において、照明フィルタの電気化学応答性材料層[LA1]への印加電圧を調整することで、前記照射光が前記照明フィルタを透過してなす透過光の色を変化させることができることを特徴とした〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の照明装置。
〕上記照明装置は、波長550nm付近に発光ピークを持つLED(半導体発光素子)を光源として有するものであり、当該光源から発した光について前記ピークの半値幅が130nm以上となるよう、前記照明フィルタにより黄色味がかった電球色と白色との間でその透過光の色を変化させることができることを特徴とした〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の照明装置。
本発明の照明装置は、LED(半導体発光素子)を光源とし照明フィルタを適用して照射光の色を制御することができる照明装置において、改良された高い視感透過性を発揮する、あるいは耐久性の向上を実現するという効果を奏する。
本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示した正面図であり円内は照明フィルタの拡大図である。 実施例で作製した照明フィルタ試験体(シミュレーション)の透過スペクトル示すグラフである。 参考例の照明フィルタ試験体(単層膜)におけるサイクリックボルタモグラムである。 実施例の照明フィルタ試験体(単層膜)におけるサイクリックボルタモグラムである。 白色LED光源の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例で作製した照明フィルタを用いたときの発光スペクトル(シミュレーション)を示すグラフである。
本発明の照明装置は、所定の色の照射光を発する光源と、その透過光の色を電気的に制御して変化させることができる照明フィルタとを有する。第1の実施形態においては、前記照明フィルタの電気化学応答性材料層にNi/Fe−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子を適用し、これを好適化することで、視感透過率の向上を図ることができる。他方、本発明である第2の実施形態においては、上記補助電気化学応答性材料層にZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子を適用し、これを好適化することで、耐久性の向上を図ることができる。以下では、上記各実施形態に関して説明する前に、両実施形態に共通する照明装置および照明フィルタの基本構成について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の照明装置については、光源及びフィルタの種類を変えその組み合わせを適宜選定することにより、様々な光色の変化領域で、所望の色変化を電気的に制御するものとすることができる。本発明の照明装置の一実施形態を図1に模式化して示す。ここに示すとおり、本実施形態による光色可変照明装置100は照明対象200と光源10の間に、光色可変照明フィルタ20を配設し、そのフィルタ20の色の変化、つまり透過光の光学的透過率スペクトルの変化にプルシアンブルー型錯体を利用する。以下、本実施形態に基づき本発明について詳しく説明する。
[光源]
光源は、所定の色の照射光Rを発光するものであれば制限はないが、白熱灯、蛍光灯、LED(半導体発光素子)などが好ましく、特に蛍光灯あるいはLEDが好ましい。ただし、照明フィルタとの組合せを考慮する場合には、フィルタの材料や構造の変更により多様な発光の光学的スペクトルを電気制御により変化させることができるものであることが好ましい。
[照明フィルタ]
本実施形態における照明フィルタの層構成を模式的に図1の円内に拡大して示す。照明フィルタ20は、第1透明絶縁層1[LC1]、第1透明電極層2[LB1]、第1電気化学応答性材料層3[LA1]、電解質層4[LD]、第2電気化学応答性材料層5(補助電気化学応答性材料層)[LB2]、第2透明電極層6[LB2]、第2透明絶縁層7[LC2]の7層からなる。ただし、照明フィルタの構造はこの例に限定して解釈されるものではなく、例えば紫外光透過を防止するための紫外線遮断フィルムや、赤外線透過を防止するための赤外線遮断フィルムなど、他の機能を追加するために別の層を設けることもできる。
○透明電極層
第1透明電極層2[LB1]および第2透明電極層6[LB2]は、導電性を持ち、所望の光、特に可視光が透過すればよく酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズなどの酸化物導電体、導電性ポリマーなどが利用できる。また、光学透過率が低く光が透過しない金属材料をメッシュなどのグリッド状に配線することにより光学的透過率と導電性を両立させた構造でもよく、さらにはそのようなグリッド状金属配線構造と、酸化物導電体などの透明電極層の両方を具備した構造でもよい。透明電極層の厚みについては、光学的透過率が十分に高ければ特に制限はないが、2μm以下であることが好ましく、特に300nm以下であることが好ましい。光学的透過率については、可視光の波長範囲内で最も低い領域で80%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。ただし、グリッド状金属配線構造のような厚みに比例して光学的透過率が低下しない場合には、膜厚の制限はない。
○透明絶縁層
第1透明絶縁層1[LC1]および第2透明絶縁層7[LC2]は、所望の光、特に可視光が透過すればよく、ガラス、高分子フィルムなどが利用できる。この透明絶縁層は、漏電などを防ぐことを目的としたもので、他の手法によって漏電を防ぐことができれば必ずしも設置する必要はない。透明絶縁層の厚みには特に制限はないが、10μm〜5mmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜2mmの間であることがさらに好ましい。光学的透過率については、可視光の波長範囲内で最も低い領域で80%以上であることが好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
○第1電気化学応答性材料層
第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型錯体層)3[LA1]はプルシアンブルー型錯体の薄膜からなる。その製造法及び構造に制限はなく、溶媒に分散するナノ粒子の分散液を塗布あるいは印刷することによって製造してもよく、金属塩及びヘキサシアノ金属塩が溶解している液体に所望の基板を浸し、電気化学的にその表面にプルシアンブルー型錯体を析出させる電解析出法によって作製されていてもよい。溶媒に分散するナノ粒子としては、トルエンなどの有機溶媒に分散するナノ粒子や、水やアルコールに分散するナノ粒子などが利用できるこれらの製造法については攪拌抽出法が挙げられ、例えば特開2006−256954号公報、国際公開2007/020945パンフレット、国際公開2008/081923号パンフレット、国際公開2009/157554号パンフレットに記載の方法などが利用できる。
本実施形態においては、第1電気化学応答性材料層[LA1]に含有されるプルシアンブルー型錯体として、Ni/Fe−Feプルシアンブルー型金属錯体が適用され、その微粒子を用いることが好ましい。
第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型錯体層)[LA1]の膜厚については、必要な光学的透過率の変化を実現するように設定されていれば特に制限はないが、本実施形態においては50nm〜2μmが好ましく、80nm〜0.5μmがより好ましい。なお、プルシアンブルー型錯体層は、プルシアンブルー型錯体以外の材料を含んでいてもよい。例えば、光学的透過率が高い材料の場合にはより厚い膜厚にする必要があるが、その場合は導電性高分子など光学的透過率を低下させない材料などを添加してもよい。また、膜の耐久性向上のためにバインダーなどを含有させることや、光学的透過率を変調させるために顔料や染料を含有させることも可能である。さらには複数のプルシアンブルー型錯体の多層膜や混合膜であってもよい。
プルシアンブルー型金属錯体超微粒子の平均粒子径は、特に断らない限り、その円相当直径(電子顕微鏡観察により得た超微粒子の画像より、各粒子の投影面積に相当する円の直径として算出した値)をいう。このとき少なくとも30個の超微粒子の粒子径を上記のようにして測定した平均値とする。そのほか、超微粒子の粉体の粉末X線回折(XRD)測定から、そのシグナルの半値幅より算出した平均径より見積もってもよい。また、直方体状の粒子の場合には、三方向の粒子径の平均によって平均粒子径とする。
製膜時の分散液における前記プルシアンブルー型金属錯体の濃度は特に限定されないが、3質量%以上であることが製膜効率が良い点で好ましい。
○第2電気化学応答性材料層(補助電気化学応答性材料層)
第2電気化学応答性材料層5[LA2]は、第1電気化学応答性材料層3[LA1]が酸化・還元する際に放出される際に、逆反応、すなわちエレクトロクロミック層の酸化時には還元反応を、エレクトロクロミック層の還元時には酸化反応を起こすことで電気的バランスを保つために具備される。第2電気化学応答性材料層[LA2]を配設することで、高いサイクル耐性など安定動作を実現できる。
本実施形態において、第2電気化学応答性材料層[LA2]に利用される材料は、Zn−Feプルシアンブルー型錯体である。これ以外にも、酸化タングステンや酸化セリウムなどの電気化学応答性酸化物、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などの導電性高分子材料などと組み合わせてもよい。また、第2電気化学応答性材料層[LA2]も、第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型錯体層)[LA1]と同様に、他の部材と組み合わせてもよい。
第2電気化学応答性材料層[LA2]における、前記Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の粒径などについては、後記第2実施形態の項で詳しく述べる。
第2電気化学応答性材料層[LA2]の膜厚については、必要な光学的透過率の変化を実現するように設定されていれば特に制限はないが、前記LA1層と同様に本実施形態においては50nm〜2μmが好ましく、80nm〜0.5μmがより好ましい。平均粒径の測定方法および製膜時の錯体の濃度などは、前記LA1層で説明したものと同様である。
○電解質層
本実施形態において電解質層4[LD]としては、エレクトロクロミック材料の酸化・還元時に、エレクトロクロミック材料とのイオンの授受が可能であればよく、電解液やゲル状電解質、固体電解質、イオン液体などが利用できる。電解液を利用する場合には、溶媒に支持電解質を分散させたものが利用できる。この場合支持電解質は、プルシアンブルー型錯体ナノ粒子の電気化学反応においてエレクトロクロミック層を出入りするイオンを含むことが必要であり、陽イオンとしてカリウムイオン、ナトリウムイオン、セシウムイオン、ルビジウムイオン、アンモニウムイオン、Liイオン、Hイオンが好ましく、特にKイオン、Naイオン、NH イオンが特に好ましい。対イオンである支持電解質中の陰イオンについては、支持電解質が溶媒に溶解すればよく、例えばPF イオン、BF イオン、ClO イオン、(CFSOイオン等が挙げられる。
溶媒は、支持電解質が溶解し、高分子含有材料と混合すればよく、例えば、炭酸プロピレン、アセトニトリル、トルエン、水などが挙げられる。ただし、デバイスが100℃以上でも動作するなどの耐熱性を保持する必要がある場合には、炭酸プロピレンなどの沸点が十分に高い溶媒を利用することが好ましい。支持電解質を溶媒に溶解させた電解液の濃度は、プルシアンブルー型錯体ナノ粒子の電気化学反応が起これば特に制限はないが、0.01モル/リットル〜5モル/リットルが好ましく、特に0.1モル/リットル〜2モル/が特に好ましい。
ゲル電解質を利用する場合には、その一つとして上記電解液を別途高分子含有材料と混合させたものが利用できる。この場合、高分子含有材は、上記支持電解質を溶解させた溶媒と混合した際に上記イオンの伝導性が、活物質における反応が起こる程度に確保できればよい。例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、グルーラボ株式会社製GLX14−25(商品名)、PEO:Poly(ethylene oxide):ポリエチレンオキサイド、PPO:Poly(propylene oxide):ポリプロピレンオキサイド、PAN:Poly(acrylonitrile):ポリアクリロニトリル、Poly(methyl methacrylate):ポリメチルアクリロレート、PVC:Poly(vinyl chloride):ポリビニルクロライド、PVdF:Poly(vinylidene fluoride):ポリビニリデンフロライド、MEEP:Poly[bis(methoxy ethoxyethoxide)-phosphazene]:ポリビスメトキシエトキシメトキサイド−フォスファゼン)や、その誘導体などが利用出来る。電解液と高分子含有剤の混合比に特に制限はない。ここで、高分子化合物の比率を増すことによって、得られる高分子含有電解質の粘度を向上させることができるため、デバイスの製造方法によって適した粘度を得られるように混合比を制御することができる。また、ポリエチレンオキサイドなどを利用すれば、混合後に溶媒を蒸発させることによって溶媒を含まない高分子含有電解質を作製することができる。また、国際公開第2009/157554号パンフレットに記載の様に電解質層を具備することなく電圧印加による色変化が十分に生じる場合には電解質層を設置する必要はない。
電解質層の膜厚については特に制限はないが、一般的な材料の適用を考慮すると5μm〜2000μmが好ましい。
[照明フィルタの構造]
本実施形態の照明フィルタ20は平面平板状であるが、これに限定される必要はない。例えば、絶縁体層として高分子等からなるフィルム(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)を利用すると、柔軟な素子を作製することができ、曲面状の素子なども製造できる。また、正方形状を取る必要は無く、照明装置の形状に合わせて形状を決定することが可能であり好ましい。
また、照明フィルタ20を構成する各層がすべて同じ形状を取る必要もない。例えば上記のように透明導電層については不透明な金属をメッシュ状に配置することも可能である。さらには、エレクトロクロミック層は必要な透過光制御に必要な場所のみに設置することも可能であり、さらには光源から放射される光の一部のみを透過させる構造であってもよい。また、エレクトロクロミック層と電気化学応答層が同じ形状である必要もない。例えば、電気化学応答層の形状を制御し、透過光が電気化学応答層を通過しない様な形状も可能である。
[第1の実施形態]
本実施形態においては、電気化学応答性材料層[LA1]の鉄・ニッケル(Fe・Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型金属錯体について、その構成成分のモル比が、鉄(Fe)20〜60%、ニッケル(Ni)40〜80%とされており、好ましくは、鉄(Fe)30〜50%、ニッケル(Ni)50〜70%とされていることである。これにより、照明フィルタにおいて優れた視感透過率を達成することができる。
このようにして、Ni/Fe−Feプルシアンブルー型金属錯体の組成を変化させる方法は特に限定されないが、攪拌抽出法において、供給するニッケルイオンと鉄イオンとの量を調節することで行うことが好ましい。ニッケルイオンないし鉄イオンの供給源としては、硝酸塩、硫酸塩などが挙げられる。攪拌抽出法については、前記公報などを参照することができる。その概略は後述する。
本実施形態におけるNi/Fe−Feプルシアンブルー型金属錯体は、以下の式(A)のように表記することができる。

(Fe1−xNi[Fe(CN) ・・・ (A)

前記のように、本実施形態においては、このxを0.4〜0.8とし、0.5〜0.7とすることが好ましい。ただし、本発明においては、その効果を奏する範囲で、前記錯体が格子欠陥を含んでいたり配位水を含んでいる、または一部の遷移金属の配位数が異なっているなどして、上記組成にずれがあってもよい。また、さらにアルカリ金属(A)を所定の組成で有していてもよい。
上記視感透過率とは、CIE1931色度図により算出される値(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)である。本実施形態にいては、この値が、40%以上であることが好ましく、60%であることがより好ましい。性能上上限値はなく、高いほど望ましいが、97%以下が現実的である。
[第2の実施形態]
本実施形態においては、前記補助電気化学応答性材料層[LA2]に含まれるプルシアンブルー型金属錯体が微粒子化された亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体であり、その平均粒子径を300nm未満とする。この平均粒径は100nm以下であることが好ましい。下限値は特にないが、3nm以上であることが実際的である。なお、平均粒径の測定方法は前記で述べたことと同様である。
本実施形態においては、この平均粒径を上記の範囲とすることにより、照明フィルタの耐久性を向上させることができる。この理由は定かではないが、本実施形態の照明フィルタに電圧を印加し調光を行うことを繰り返したとき、その電気化学応答性材料層[LA2]に含まれるZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子においては、電子やイオンの授受が行われることが考えられる。その詳しい作用機構は不明であるが、このときに微粒子を構成する結晶に歪みが生じその一部が破損されることが推定される。それにより、錯体が有する電気化学的な活性が低下し、色変化の性能が劣化していくことが考えられる。これに対し、上記のように、本実施形態によれば、Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子をより微細な粒子として採用することができるため、上記のような結晶の破損による影響がより小さくなったと考えられる。
本実施形態の第二の構成は、Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の表面に吸着したフェロシアン化ナトリウムの吸着率を低減するものであり、その吸着率をZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子に含まれる金属原子モル数に対し、フェロシアン化物イオンのモル数が9.5%以下とするものである。この吸着率は、さらに9.0%以下であることが好ましく、8.8%以下であることがより好ましい。この下限値は特に限定されないが、3%以上であることが実際的である。
ここで、上記吸着率について補足すると、下記のように説明することができる。Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体と、そこに吸着したフェロシアン化ナトリウムとを仮に組成式として表示すると下記式(B)のように記載することができる。

Zn[Fe(CN)・n Na[Fe(CN)] ・・・ (B)

[Aはアルカリ金属原子である。xは0〜2の数である。yは1〜0.3の数である。]
このようにして示した仮の組成式でいうと上記で定義される吸着率は、n/(1+y)×100[%]で表すことができる。本実施形態においては、この吸着率が上記の範囲に制限されている。
本実施形態においては、この吸着量を上記の範囲とすることにより、照明フィルタの耐久性を向上させることができる。このような効果のある理由は定かではないが、表面に残留するフェロシアン化ナトリウムが電圧の印加に応じて劣化要因として作用していることが予想される。
[攪拌抽出法]
撹拌抽出法は、後述する逆ミセル法に用いられるような特殊な化合物によらずに、多様な保護配位子を表面に配位させた微粒子を簡便に大量合成できる点で好ましい。その具体的な手順を示すと、例えば、金属原子M1を中心金属とする金属シアノ錯体(陰イオン)の溶液と、金属原子M2を中心金属とする金属陽イオン溶液とを混合し、金属原子M1及び金属原子M2から成るプルシアンブルー型金属錯体の結晶を析出させ、次いで必要により保護配位子Lを溶解させた溶媒に前記プルシアンブルー型錯体結晶を加え、撹拌し、溶媒を除去することにより、固体粉末超微粒子集合体を得ることができる。
撹拌抽出法においては、金属原子M1を中心金属とする金属シアノ錯体(陰イオン)を含有する水溶液と、金属原子M2の金属陽イオンを含有する水溶液とを混合し、金属原子M1及び金属原子M2を有するプルシアンブルー型金属錯体の結晶を析出させる。本実施形態においては、金属原子M1として、鉄(Fe)が採用される。上記第1実施形態についてはM2として鉄(Fe)およびニッケル(Ni)が採用され、第2実施形態においてはM2として亜鉛(Zn)が採用される。
金属原子M1を中心金属とする陰イオン性金属シアノ錯体の水溶液中での対イオンは特に限定されないが、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン等が挙げられる。金属原子M2の金属陽イオンの水溶液中での対イオンは特に限定されないが、Cl、NO 、SO 2−等が挙げられる。
このとき、金属シアノ錯体と金属陽イオンとの混合比は特に限定されないが、モル比で
「M1:M2」が1:1〜1:1.5となるように混合することが好ましい。
前記第1実施形態においては、M2に適用される、鉄とニッケルとの比率は、適宜所望のプルシアンブルー型金属錯体の組成に応じて調節すればよく、基本的にはその化学量論量で調節すればよい。
上記のプルシアンブルー型金属錯体には、保護配位子Lを吸着させてもよい。保護配位子としては、ピリジル基もしくはアミノ基を錯体結晶との結合部位としてもつ化合物の1種もしくは2種以上を用いることが好ましく、なかでも炭素原子数4以上100以下の化合物を用いることがより好ましい(重量平均分子量でいうと2000以下であることが好ましく、50以上1000以下であることがより好ましい。)。このとき保護配位子Lを溶解する溶媒は配位子Lとの組み合わせ等により決めることが好ましく、配位子Lを溶媒に十分に溶かすものを選ぶことがより好ましい。溶媒として有機溶媒を用いるとき、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、エーテル、酢酸ブチル等が好ましい。2−アミノエタノール等の水に溶解する配位子を用いるときには、溶媒として水を使用することもでき、水分散性のプルシアンブルー型金属錯体超微粒子を得ることもできる。また、このとき溶媒としてアルコールを用いることも好ましい。
[照明装置の制御等]
本実施形態の照明装置においては、照明フィルタの電気化学応答性材料層[LA1]への印加電圧を調整することで、前記照射光(R)が前記照明フィルタを透過してなす透過光(R)の色を変化させることができる。典型例を挙げれば、波長550nm付近に発光ピークを持つLED(半導体発光素子)を採用して、当該光源から発した光について前記ピークの半値幅が130nm以上となるよう、前記照明フィルタにより黄色味がかった電球色と白色との間でその透過光の色を変化させることができる。上記の半値幅は、さらに130nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがより好ましい。この上限値は特にないが、300nm以下であることが実際的である。
照明フィルタへの電圧印加の態様は特に限定されないがプルシアンブルー型金属錯体の応答電圧を考慮すると、0.1V〜3.0Vの範囲で電圧を変化させて調節することが実際的である。本実施形態によれば、先に述べたように電圧印加の持続を要しないことに加え、上記のように低い電圧で操作が可能であるため、エネルギー消費量が極めて小さく生活用途をはじめとした昨今の環境ニーズに好適に対応することができる。
本実施形態の照明フィルタ及びこれを用いた照明装置によれば、例えば、白色の蛍光灯と黄色味を帯びた電球色とを、光源やフィルタを交換せずにフィルタに対する印加電圧を調節することで容易に切り替えたり変化させたりすることができる。リビングなどでくつろぎたいときや、食材を美味しく見せたいときには、黄色味がかった電球色として落ち着いた光に調光することができる。他方、読書のときなどにはより明るい白色の蛍光灯色とすることができる。つまり、このような場面やニーズに応じた照明色の切り替えや変更を例えば手元のリモコンスイッチ等によりすることができ極めて利便性が高い。
さらに本実施形態の照明装置の利点を挙げると、その使用におけるエネルギー消費が小さくて済むということである。プルシアンブルー型金属錯体の呈色の変化は一時的な電圧の印加で可能であり、その後電圧の印加を止めても、その色味は維持される。したがって、所定の色に維持しておくために、電圧を印加しつづける必要がない。つまり、所定の電圧を一時的に印加して所定の色に呈色させ調光すると、その後電圧を切ってもその色は保持される。次いで端子間を短絡させて別の色もしくは元の色に変化させてもよい。所定の色味を維持するため電圧を印加しておかなければならないものに比し、大幅な省エネルギー化が可能であり、近時この製品に求められる環境適合性に優れるものである。
本実施形態では、プルシアンブルー型錯体を照明フィルタ用のエレクトロクロミック材料として利用する。前記LA1層にNi/Fe−Feプルシアンブルー型錯体を適用し、LA2層にZn−Feプルシアンブルー型金属錯体を適用した照明フィルタでいうと、その色相が、電圧の印加により、橙色から青色を経て、無色に変化する。ただし、その色相変化に限定されるものではなく、金属組成を変化させるなどして、色相を調節してもよい。特に、この金属元素の変更は、材料製造時に利用する試薬の種類を変更するだけでほぼ同じ工程で製造が可能であるため、多様な色変化を起こす光学フィルタを同様の工程で製造が可能となる。
また、プルシアンブルー型錯体は、酸化・還元による色変化に対してのサイクル耐性が非常に高く、照明装置として配設した場合に、通常求められる耐用期間との関係でみればほぼ永久的にその機能を利用することができ、交換などの作業も不要となる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
参考例A・参考例1)
国際公開2008/081923号パンフレットに記載の方法により、第1電気化学応答性材料層[LA1]としてFe/Ni−Feプルシアンブルー薄膜を、第2電気化学応答性材料層[LA2]としてZn−Feプルシアンブルー型錯体薄膜を配設した色変化フィルタ1を作製した。色変化フィルタ1においては、第1透明電極層[LB1]及び第2透明電極層[LB2]にITO薄膜、第1透明絶縁層[LC1]及び第2透明絶縁層[LC2]にガラス、LD層に0.1M KN(CFSOの炭酸プロピレン溶液を利用した。
照明フィルタ試験体s11(参考例)は具体的には以下の方法で作製された。
・Fe/Ni−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の層の形成
硝酸ニッケル6水和物2.792g及び硫酸鉄7水和物を4.003gを水80mLに溶解した溶液と、フェリシアン化カリウム5.268gを水48mLに溶解した溶液を一気に混合し、10分間攪拌した。析出した(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー錯体型錯体の沈殿物を遠心分離で取り出し、これを水で5回、メタノールで3回洗浄した。得られた沈殿物0.5gにフェロシアン化ナトリウム10水和物0.1557g(総金属の10%)を水20mLを溶解した溶液を加えた。この懸濁液を三日間攪拌したところ、若干緑がかった青色の分散液へと変化した。このようにして水分散性の(ニッケル、鉄)−鉄プルシアンブルー型 錯体のナノ粒子分散液を得た。X線回折法で粒径を評価したところ、平均粒径:8.5nmであった。
この水分散液を0.1g/mLに調製したものを用い、ITOガラス上にスピンコート法により塗布することでFe/Ni−Feプルシアンブルー型錯体薄膜を作製した。この時の回転条件としては1000rpm10秒、1500rpm10秒とした。
・Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の層の形成
塩化亜鉛約5gを水100mLに溶解した溶液に塩酸を少量加え、pH=約2〜3とした水溶液と、フェロシアン化ナトリウム約10gを水100mLに溶解した溶液を混合し、3分間攪拌した(温度25℃、攪拌速度2200rpm))。析出した亜鉛−鉄プルシアンブルー錯体型錯体の沈殿物を遠心分離で取り出し、これを水で5回洗浄した。得られた沈殿物にフェロシアン化ナトリウム10水和物約0.6g(総金属の10%)を水10mLを溶解した溶液を加えた。濃度が0.05g/mlになるように調製し、この懸濁液を7日間攪拌したところ、白色の分散液へと変化した。このようにして水分散性の亜鉛−鉄プルシアンブルー型錯体のナノ粒子分散液を得た(平均粒径は約300nm)。
この水分散液を0.1g/mlに調製したものを用い、ITOガラス上にスピンコート法により塗布することでZn−Feプルシアンブルー型錯体薄膜を作製した。この時の回転条件としては1000rpm10秒、1500rpm10秒とした。
・照明フィルタの性能評価
参考例では、照明フィルタとしたときの上記プルシアンブルー型錯体微粒子の性能について、シミュレーションにより評価した。具体的には、LA1として、Fe/Ni−Feプルシアンブルー型金属錯体層、LA2がZn−Feプルシアンブルー型金属錯体層を使用していると仮定し、各サンプルの実測透過スペクトルの積により、フィルタの透過スペクトルを算出している。すなわち、フィルタの透過スペクトルはLA1LA2の透過スペクトル(実測)の積で計算しており、照明装置の発光スペクトルは、光源の発光スペクトルに、上述の計算によって得られたフィルタ透過スペクトルをかけて算出した。
想定される装置構成は下記のとおりである。
前記二種類のプルシアンブルー型錯体薄膜を配設したITOガラスをそれぞれ第1電気化学応答性材料層[LA1]−第1透明電極層[LB1]−第1透明絶縁層[LC1]構造の電極体及び、第2電気化学応答性材料層[LA2]−第2透明電極層[LB2]−第2透明絶縁層[LC2]構造の電極体として利用することで色変化フィルタs11を得る。具体的には、二枚のプルシアンブルー型錯体層を配設したITOガラス電極体について、プルシアンブルー型錯体薄膜側を内側として対向させ(LA1がFe/Ni−Feプルシアンブルー型金属錯体層、LA2がZn−Feプルシアンブルー型金属錯体層となるようにした。)、その間に電解液(0.1M ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムの炭酸プロピレン溶液)を注入、電解質層[LD]とした上で熱硬化フィルム(デュポン社サーリンフィルム)を用いて封止することで所望の構造が得られる。
上記試験体s11に対して、LA1層のFe/Ni−Feプルシアンブルー型金属のFe/Niの比率が下表1のようになるようにした以外同様にして、色変化フィルタの試験体101〜103(参考例)のシミュレーションを実施した。このとき図5に示す光源発光スペクトルを用いた。ここでいうシミュレーションにおいては、フィルタの透過スペクトルとして、LA1層及びLA2層の透過スペクトルの、それぞれの波長における値の積として計算した。
* 第1の実施態様の範囲
以上の結果より、第1の実施形態に係る照明フィルタとすることにより、プルシアンブルー型金属錯体微粒子を用いる特定の照明フィルタにおいて、参考例のもの(s11)に比し、一層高い視感透過率を達成することができることが分かる。なお、図2には、各試験体(シミュレーション)の透過スペクトルを載せている。
(実施例・参考例2)
前記の試験体s11のLA2層(単層膜)を実際に作製し、これを試験体s21(参考例)と称した。
上記で得られたZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の縣濁液を、遠心18000回転で粒子を分離したものを用いた試験体201(実施例)、遠心9000回転で粒子を分離したものを用いた試験体202(実施例)を作製した。なお、遠心分離の装置としては、ベックマンコールター社製OptimaL−90K(商品名)を用いた。
上記の試験体について下記の耐久性試験を行った。具体的には以下のとおりにサイクル耐性試験を実施した。各試験体を、0.1g/mLの濃度になるよう純水に溶解させ、3000rpm10秒、3500rpm10秒の条件でスピンコート塗布を行い、ITOガラス状に成膜した。成膜した試験体/ITOガラスガラス基板を作用極として、電気化学測定を実施した。電解液はKTFSI(カリウムトリフルオロメタンスルホニルイミド) 0.1M 炭酸プロピレン溶液を使用し、標準電極はカロメル飽和電極、対極は白金線を用いた。作用極の反応面積は1cm四方とした。
サイクルは、1.4V、0.4Vを各15秒間矩形的に電圧印加を行い、1サイクルとした。耐久性向上指数は、サイクル後にクロノクーロメトリーを+1.4Vで200秒印可し、注入電荷量を測定し、その電荷量をサイクル数で割ったものと定義した。
耐久性向上指数(ΔQ/cycle)はフィルタが劣化していく速度を評価指標となるものである。したがって、この値が小さい方が耐久性に優れると言える。本発明の第2の実施形態に係る照明フィルタは、より高い耐久性をしめすことが分かる。また、試験体s21のサイクリックボルタモグラム(図3)と、試験体202のサイクリックボルタモグラム(図4)とを示している。この結果から分かるとおり、本発明の照明フィルタ(試験体202)においては、よりシャープな電気化学的応答性が得られていることが分かる。
(実施例・参考例3)
実施例におけるS21をここではs31(参考例)とした。この試験体におけるZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の、フェロシアン化ナトリウム吸着率を下記のようにして同定した結果、下表のとおりに算定された。
次いで、前記試験体s31のZn−Feプルシアンブルー型金属錯体の微粒子をその調製後に後述の通り、遠心分離器で余剰フェロシアン化物イオンを除去した。これを用いて照明装置の試験体301を作製した。このときのZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子について、同様にしてフェロシアン化ナトリウム吸着率を同定した結果、下表のとおりであった。また、アセトンで洗浄しても同様の効果が得られた。
それぞれの試験体について、実施例と同様にして耐久性向上性試験を行ったところ、下表のとおりの結果となった。
上記の結果より、本実施形態に係る照明フィルタにより、より高い耐久性が実現されることが分かる。
<フェロシアン化ナトリウム吸着率の測定>
作製したZn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の粉末を純水に件濁させ、含まれるZn−Feプルシアンブルー型金属錯体のモル量が5.156mmolになるよう調整した。ここにフェロシアン化ナトリウムを1.547mmolを添加、攪拌した。これは、Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の金属原子数に対する添加したフェロシアン化物イオンの個数比として10%の量になる。
次いで、前記攪拌後の液を超遠心分離器で15000回転1時間処理することで、固液分離することで洗浄を行った。洗浄を行った分散液を塗布し、作製した塗布膜は電気化学反応時の劣化が著しく軽減される。
4回行った洗浄時に発生する洗液はそれぞれ42.5ml、42.5ml、40.5ml、40.5mlであった。ここに硝酸鉄含有量を0.04molに調整した水溶液を混合した。この量は、硝酸鉄が過剰になるように設定されており、これにより上澄み液中のフェロシアン化ナトリウムを実質的に全量反応させ、プルシアンブルー錯体として生成させる。プルシアンブルー錯体の生成により青色に着色した試験液の吸光度を、あらかじめ作成しておいた検量線と対比し、そこに含まれる量を同定する。その結果、各洗液に含まれるフェロシアン化ナトリウムの濃度(総量)はそれぞれ、3.2701mmol/L(0.1390mmol)、0.5305mmol/L(0.0225mmol)、0.2409mmol/L(0.0.0098mmol)、0.1850mmol/L(0.0075mmol)であった。これより、洗液中のフェロシアン化物イオンの合計は0.1788mmolとなり、添加した表面処理剤のうち、11.56%が洗浄により脱離したことがわかる。
結果として、Zn−Feプルシアンブルー型金属錯体微粒子の金属原子数に対する最終的に表面に吸着したと考えられるフェロシアン化物イオンの個数%は、8.8%となる。
(実施例・比較例4)
光源に図5、図6に示した発光スペクトルを使用し特願2011−044802に記載の通りのシミュレーション(下記参照)を行い、色温度の変化を見積もった。図5の発光スペクトルを使用した場合、550nm付近のピークの半値幅は120nmであり、低色温度は4236Kであった。一方、図6に示した発光スペクトルの550nm付近のピークの半値幅は185nmであり、低色温度は3812Kであった。
この結果から、本発明の照明フィルタによれば、フィルタの電圧印加による調節により、電球色に近いものとするよう照射光を制御することができる。なお、本発明の照明フィルタは、電圧の印加をやめても照明フィルタの色が持続される。そのため、所望の照射光として維持するに際し、電圧を印加しつづける必要がなく、消費エネルギーの抑制も好適に達成しうる利点を有する。
<色温度の計算>
まず参考文献1に基づき,フィルタの分光透過率分布 T(λ),試料光源の分光分布 S(λ)より(1)(2)式をもちいて,三刺激値X,Y,Zを算出した。
次に,三刺激値より(3)式をもちいて,試料光源源のCIE 1960 UCS色度座標を求めた。
その後,参考文献2 「相関色温度の計算方法」 に基づき,相関色温度を算出した。
(参考文献)
参考文献1:JISハンドブック61巻「色彩」2004年版,日本規格協会,p506〜507JIS Z 8724 「色の測定方法−光源色」 4.3 三刺激値の計算方法
参考文献2:JISハンドブック61巻「色彩」2004年版,日本規格協会,p549 JIS Z 8725 「光源の分布温度及び色温度・相関色温度の測定方法」 5.3 相関色温度の求め方
1 第1透明絶縁層[LC1]
2 第1透明電極層[LB1]
3 第1電気化学応答性材料層(プルシアンブルー型金属錯体層)[LA1]
4 電解質層[LD]
5 第2電気化学応答層(補助電気化学応答性材料層)[LA2]
6 第2透明電極層[LB2]
7 第2透明絶縁層[LC2]
10 照明
20 照明フィルタ
200 照明対象

Claims (5)

  1. 所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、
    前記照明フィルタは、鉄・ニッケル(Fe・Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層[LA1]と、プルシアンブルー型金属錯体を含有する補助電気化学応答性材料層[LA2]とを有し、
    前記補助電気化学応答性材料層[LA2]に含まれるプルシアンブルー型金属錯体は微粒子化された亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体であり、その平均粒子径が300nm未満であることを特徴とした照明装置。
  2. 前記亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体の微粒子の平均粒子径が100nm未満である請求項に記載の照明装置。
  3. 所定の色の照射光を発する光源と該照射光が透過する照明フィルタとを具備する照明装置であって、
    前記照明フィルタは、鉄・ニッケル(Fe・Ni)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体を含有する電気化学応答性材料層[LA1]と、プルシアンブルー型金属錯体を含有する補助電気化学応答性材料層[LA2]とを有し、
    前記補助電気化学応答性材料層[LA2]に含まれるプルシアンブルー型金属錯体は微粒子化された亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体であり、その亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体微粒子について、フェロシアン化ナトリウムのモル数を、亜鉛(Zn)−鉄(Fe)プルシアンブルー型錯体微粒子に含まれる金属原子のモル数に対し、9.5%以下としたことを特徴とした照明装置。
  4. 上記照明装置において、照明フィルタの電気化学応答性材料層[LA1]への印加電圧を調整することで、前記照射光が前記照明フィルタを透過してなす透過光の色を変化させることができることを特徴とした請求項1〜のいずれか1項に記載の照明装置。
  5. 上記照明装置は、波長550nm付近に発光ピークを持つLED(半導体発光素子)を光源として有するものであり、当該光源から発した光について前記ピークの半値幅が130nm以上となるよう、前記照明フィルタにより黄色味がかった電球色と白色との間でその透過光の色を変化させることができることを特徴とした請求項1〜のいずれか1項に記載の照明装置。
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