JPWO2006135096A1 - 部位特異的にタンパク質にチロシンアナログを導入する方法 - Google Patents

部位特異的にタンパク質にチロシンアナログを導入する方法 Download PDF

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Abstract

目的の遺伝子に変異を導入することなく、アンバーコドン等ストップコドン以外の、アミノ酸をコードするコドンにチロシンアナログを含む変異タンパク質の製造方法を提供することを1つの課題とする。(イ) 酵母由来のチロシンtRNAに変異を導入し、AGU用に改変し、(ロ) 酵母由来のチロシルtRNA合成酵素の変異体を利用し、(ハ) 大腸菌細胞抽出液タンパク質合成系から全種類tRNAを選択的に分離し、全種類tRNAからAGU用のtRNAのみを除去し、AGU用tRNA以外を再度大腸菌由来無細胞タンパク質合成系に戻す。上記tRNATyr改変体及びチロシルtRNA合成酵素の変異体を用いて、AGU用tRNAを除いた大腸菌由来の無細胞タンパク質合成系により、非天然アミノ酸含有タンパク質を合成できることを見い出した。

Description

本願発明は、任意の天然アミノ酸を非天然アミノ酸に代えた非天然アミノ酸含有タンパク質を合成方法に関する。より具体的には、タンパク質をコードする遺伝子の特定部位のコドンに非天然アミノ酸を導入するように翻訳する、非天然アミノ酸含有蛋白質の製造方法に関する。
非天然アミノ酸含有タンパク質の調製方法としては次のような方法が知られている。
(1)サプレッサーtRNAを用い、本来3つある終始コドンの1つ(アンバーコドン)を非天然アミノ酸コドンとして、部位特異的に非天然アミノ酸を組み込む方法が開発された(非特許文献1:Science,244,182−188(1989))。本方法は、遺伝子中の非天然アミノ酸を導入したい部位のコドンをサプレッサーtRNAに対応するコドンに変異させ、かかる変異遺伝子を用いて、サプレッサーtRNAと非天然アミノ酸を化学的に結合された非天然アミノ酸結合tRNAの存在下で無細胞タンパク質翻訳を行わせることにより調製された。
その後、変異遺伝子を用いて、サプレッサーtRNAと非天然アミノ酸を化学的に結合された非天然アミノ酸結合tRNAをXENOPUS卵母細胞へ注入し、非天然アミノ酸を部位特異的に含むタンパク質が合成されている(非特許文献2:JBC vol.271,pp.23169)。
また、サプレッサーtRNAを利用する方法では、非天然アミノ酸の導入率が限られるということで、種々のtRNAの一部に非天然アミノ酸を結合させる方法(特許文献1参照)がある。この製造法は、無細胞タンパク質合成系下で、特定のアミノ酸に対応するアイソアクセプティングtRNAのうち、一部のもののみを非天然アミノ酸と結合させたものと、タンパク質構成アミノ酸(以下標準アミノ酸もしくは天然アミノ酸と呼ぶこともある)とを用いてタンパク質合成を行って、非天然アミノ酸を特定のコドングループに組込むものである。
更に、最近では、特定のアミノアシルtRNA合成酵素とtRNAを組み合わせて用いることにより、tRNAを再利用しつつ、非天然アミノ酸含有タンパク質(以下非天然アミノ酸タンパク質とも呼ぶ)を合成することが行われている。メタノコッカス属由来のチロシルtRNA合成酵素(TyrRS)を非天然アミノ酸に特異的に変異させた変異体酵素と内生tRNAを用いて大腸菌内で非天然アミノ酸含有タンパク質の合成を行っている(非特許文献3:Science vol.292,pp.498−500)。
本願発明者らも、すでに、チロシンアナログと、サプレッサーtRNAと、前記チロシンアナログをサプレッサーtRNAに結合させるアミノアシルtRNA合成酵素変異体とを含有するタンパク質合成系に、鋳型を加えてタンパク質合成させる方法を発明している。本方法は、チロシンアナログとして、アジドチロシン、アセチルチロシン、アミノチロシン又はドーパを導入できるものである(特許文献2:特開2004−261160)。
一方、従来より、タンパク質のX線結晶構造解析には、例えば非特許文献4に開示されている方法により製造されたセレノメチオニン置換タンパク質が用いられている。このセレノメチオニン置換タンパク質を製造する際には、まず、大腸菌のメチオニン要求株と目的タンパク質の遺伝子が挿入されているプラスミドを準備して形質転換を行った後、抗生物質を含むアガロースゲルプレートを用いて目的タンパク質を発現する単一コロニーを単離する。次に、単離された形質転換体をメチオニンの代わりにセレノメチオニンを含む培地中で培養することにより目的タンパク質を発現させて精製するものである。
特許第3317983号 特開2004−261160号 Science,244,182−188(1989) JBC vol.271,pp.23169 Science vol.292,pp.498−500 清水敏之、岡田健吾、箱嶋敏雄、第17章 X線結晶構造解析セレノメチオニン置換タンパク質の発現と調製、「基礎生化学実験法3 タンパク質I.検出・構造解析法」、株式会社東京化学同人、第1版第1刷 2001年2月15日、p.189−190。
上述したように、サプレッサーtRNAと、前記アミノ酸アナログをサプレッサーtRNAに結合させるアミノアシルtRNA合成酵素をタンパク質合成系に利用する方法は、非天然アミノ酸タンパク質を効率的に生産する上で望ましい。しかしながら、現在までのところ、導入できる非天然アミノ酸の種類に限定があり、チロシンのアナログ(類縁体)、アラニンのアナログなどに限られ、アンバーコドン特異的な非天然アミノ酸の導入であるため、目的タンパク質遺伝子にアンバーコドン変異を導入する必要があるなどの問題点があげられる。
そこで、本願発明は、目的の遺伝子に変異を導入することなく、アンバーコドン等ストップコドン以外の、アミノ酸をコードするコドンにチロシンアナログを含む変異タンパク質の製造方法を提供することを1つの課題とする。
本願発明者らは、ストップコドン以外のアミノ酸をコードするコドンにチロシンアナログを含む変異タンパク質の製造方法を開発するための要件を検討した。
たとえば、SerコドンAGU/AGC(AGY)をチロシンアナログ用に割り当てようとすると、以下の問題が生じる。
(1)AGU又はAGCをチロシンアナログ用に割り当てた新規tRNA、つまりアンチコドンにACU/GCUを有し、チロシンアナログを結合させることができる新規tRNAを合成する必要がある。通常、AGU、AGC(AGY)コドンは、アンチコドンGCUのtRNA1種類のみを利用して両方とも読まれている。通常アンチコドンACUのtRNAは存在しない。したがって、以下では、単にAGU用ということもあるが、これは、AGU/AGC用、つまりAGY用のことである。
(2)上記新規tRNAをチロシンアナログでアミノアシル化する必要がある。そこで、上記新規tRNAをチロシンアナログでアミノアシル化する新規変異酵素(新規チロシンアナログtRNA合成酵素)を作成する必要がある。
(3)前記新規変異酵素は、前記無細胞タンパク質合成系にもともと存在するtRNAを認識してはならない。また、上記新規tRNAは無細胞タンパク質合成系にもともと存在するアミノアシルtRNA合成酵素の基質となってはならない。
(4)また、大腸菌細胞抽出系等の上記無細胞タンパク質合成系にもともと存在しているAGU用のtRNASer(アンチコドンGCU:なお、上記したように通常アンチコドンACUは存在しない)を除かないとチロシンアナログが結合した新規tRNAとSerが結合したtRNAが上記AGU又はAGCコドンを巡って競合することになる。他方、AGU用以外のtRNASerは、そのまま使用するので、除いてはならない。
そこで、発明者らは、既に発明者らが見出している非天然アミノ酸(チロシンアナログ)をサプレッサーコドン特異的に導入する技術を開発しているので、これを利用することにより、つぎのような解決手段を見出した。
たとえば、大腸菌細胞抽出液によるタンパク質合成系においては、
(イ)酵母由来のチロシンtRNA(tRNATyr)に変異を導入し、AGY用(アンチコドンACU又はGCU)に改変し(改変型tRNATyrと呼ぶ)、
(ロ)酵母由来のチロシルtRNA合成酵素の変異体(TyrRS変異体とも呼ぶ)を調製し、
(ハ)大腸菌細胞抽出液によるタンパク質合成系から全種類tRNAを選択的に分離し、全種類tRNA混合物からAGU用のtRNAのみを除去し、AGU用tRNA以外を再度タンパク質合成系に戻した無細胞タンパク質合成系を調製する。
上記改変型tRNATyr及びTyrRS変異体を用いて、AGU用tRNAを除いた大腸菌由来の無細胞タンパク質合成系により、チロシンアナログの存在下、鋳型DNAより非天然アミノ酸含有タンパク質を合成できる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−174097号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、大腸菌細胞抽出液から全種類tRNAを除去する条件の検討結果を示す。:大腸菌細胞抽出液に対しその5倍量のQ−sepharoseHP樹脂をスピンカラムに詰め1000rpm×3min 4℃で遠心した。Buffer S30に0〜0.7M酢酸カリウムを加えた溶液を用意し、それぞれを用い樹脂を平衡化した。大腸菌細胞抽出液をロードし、素通りを回収した。各条件における回収物を7M尿素を含む10%ポリアクリルアミドゲルにて泳動し、核酸を染色した。
図2は、各濃度の酢酸カリウムで処理した大腸菌細胞抽出液を用いてタンパク質合成を行った結果を示す。:大腸菌細胞抽出液(S30)を酢酸カリウム0.4〜0.6Mの濃度で処理した場合、全種類tRNAの混合物(以下tRNAMixと呼ぶこともある)を反応液に加えた場合にのみタンパク質の合成が確認できることから、この範囲であれば大腸菌細胞抽出液(S30)からタンパク質合成能を低下させず、全種類tRNAを除けることが確認できたことを示す。
図3は、tRNASer(AGY)除去処理を行ったtRNAMix(tRNAMix−Ser(AGY))と、回収したtRNASer(AGY)の純度の確認を示す。
図4は、ノーザンハイブリダイゼーションによるtRNASer(AGY)の検出結果を示す。
図5−1は、チロシン受容の測定結果を示す。:各サンプルについて5分後、10分後、15分後の放射能の値とチロシンの比活性値からpmol/ODを算出することにより、WTのtRNATyrとtRNATyr改変体とのチロシン取り込みを比較した結果を示す。。各tRNATyr改変体は、それぞれのアンチコドンにより示されている。
図5−2は、図5−1と同様である。
図5−3は、図5−1と同様である。
図5−4は、図5−1と同様である。
図5−5は、図5−1と同様である。
図6−1は、アンチコドンに対応するアミノ酸受容の測定結果を示す。:tRNATyr改変体のアンチコドンに対応する14Cアミノ酸を用いて、5分後、10分後、15分後の放射能を測定し、tRNA Mixを用いたそのアミノ酸の取り込みと比較した。tRNATyr改変体は、それぞれのアンチコドンにより示されている。
図6−2は、図6−1と同様である。
図6−3は、図6−1と同様である。
図6−4は、図6−1と同様である。
図6−5は、図6−1と同様である。
図6−6は、図6−1と同様である。
図6−7は、図6−1と同様である。
図6−8は、図6−1と同様である。
図7は、上段のグラフはチロシン受容能、下段のグラフはアンチコドンに対応するアミノ酸受容能をあわせて示す。
図8は、酵母TyrRS変異体(D321R TyrRS)を用いたtRNATyr改変体のチロシン受容能を示す。
図9は、酵母TyrRS変異体(D321Q TyrRS)を用いたtRNATyr改変体のチロシン受容能を示す。
図10は、酵母TyrRS変異体(D321N TyrRS)を用いたtRNATyr改変体のチロシン受容能を示す。
図11は、酵母TyrRS変異体(D321K TyrRS)を用いたtRNATyr改変体のチロシン受容能を示す。
図12は、GFPuv遺伝子中AGUコドンにチロシンが導入できたことを示す。
本願発明には、無細胞タンパク質合成系を用いて、コドン特異的に非天然アミノ酸を導入する非天然アミノ酸含有タンパク質合成方法に関する。
より具体的には、本願発明には、(I)以下の(イ)−(ニ)の工程により調製されるコドン特異的に非天然アミノ酸を導入する非天然アミノ酸含有タンパク質合成系を包含する。
(イ)基本となる無細胞タンパク質合成系に含まれるアミノアシルtRNA合成酵素の基質とはならないチロシンtRNA(tRNATyr)について、チロシンtRNAのアンチコドン部位を特定のアンチコドン(a)へと変異を導入し、特定のアンチコドン(a)に対応するコドン用のtRNAに改変した改変型tRNATyrを調製する工程。
(ロ)前記改変型tRNATyrをアミノアシル化することができるチロシルtRNA合成酵素の変異体(TyrRS変異体)を調製する工程。
(ハ)前記無細胞タンパク質合成系から全種類tRNAを選択的に分離し、全種類tRNA混合物(tRNAMix)から前記特定のアンチコドン(a)を有するtRNAのみを除去し、前記特定のアンチコドン(a)を有するtRNA以外を再度無細胞タンパク質合成系に戻す工程。
(ニ)上記改変型tRNATyr及びTyrRS変異体を前記処理された無細胞タンパク質合成系に添加する工程。
本願発明は、(II)上記した非天然アミノ酸含有タンパク質合成系に、目的のタンパク質をコードする遺伝子及びチロシンアナログを添加し、前記アンチコドン(a)に対応するコドンに特異的にチロシンアナログを導入する非天然アミノ酸含有タンパク質を合成する方法を包含する。
また、本願発明は、無細胞タンパク質合成系を用いて、遺伝子を改変することなく、コドン特異的にアミノ酸を変更した非天然タンパク質合成方法に関する。
具体的には、
(イ)基本となる無細胞タンパク質合成系に含まれるアミノアシルtRNA合成酵素の基質とはならないチロシンtRNA(tRNATyr)について、チロシンtRNAのアンチコドン部位に変異を導入し特定のアンチコドン(a)に改変し、特定のアンチコドン(a)に対応するコドン用のチロシンtRNAに改変する工程、
(ロ)前記改変型tRNATyrをアミノアシル化することができるチロシルtRNA合成酵素の変異体(TyrRS変異体)を調製する工程、
(ハ)前記無細胞タンパク質合成系から全種類tRNAを選択的に分離し、全種類tRNA混合物(tRNAMix)から前記特定のアンチコドン(a)を有するtRNAのみを除去し、前記特定のアンチコドン(a)を有するtRNA以外を再度無細胞タンパク質合成系に戻す工程、及び
(ニ)上記改変型tRNATyr及びTyrRS変異体を前記処理された無細胞タンパク質合成系に添加する工程により調製された非天然アミノ酸含有タンパク質合成系に、目的のタンパク質をコードする遺伝子及びチロシンアナログを添加し、前記アンチコドン(a)に対応するコドンに特異的に非天然アミノ酸を導入する非天然アミノ酸含有タンパク質を合成する方法を包含する。
基本となる無細胞タンパク質合成系
本発明で用いる無細胞タンパク質合成系としては、鋳型としてのmRNAからの翻訳を行わせるインビトロ翻訳系、又は鋳型としてのDNAから転写及び翻訳を行わせるインビトロ転写翻訳系の両者とも利用可能である。これらインビトロタンパク質合成系としては、従来は、細胞を破砕し、S30を中心に、20種類のアミノ酸並びにエネルギー源としてのATP及びGTPを添加し、更に、エネルギー再生系を加えた系が用いられてきており、特に大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球から調製したもの、さらに純粋に各構成成分から再構成された再構成タンパク質合成系が広く用いられてきている。本発明では、どのような無細胞タンパク質合成系であっても、用いることができる。更に最近では翻訳、必要に応じ転写に必要な成分をそれぞれ精製し、混合することにより構築された系も用いることができる。又は、前記両者の系を混合することにより構築されたものも用いることができる。
また、非天然アミノ酸の導入に負に働く因子(例えば核酸分解酵素、蛋白質分解酵素、解離因子、酸化・還元酵素等)を破壊(欠損)、又は免疫沈降等により取り除いた細胞抽出液も好適に用いられる。
無細胞タンパク合成系としては、例えば、リボソーム、開始因子、伸長因子、解離因子、アミノアシルtRNA合成酵素、tRNA、アミノ酸、ATP、GTP、CTP、UTP、RNA polymerase、及び緩衝液等を含む系、あるいは、タンパク質合成に最低限必要な因子から構成された系があげられる。
1.無細胞タンパク質合成系からの全種類tRNAの抽出分離方法
従来より、バルクのtRNAは、細胞を適当な緩衝液に懸濁し直接フェノール処理し粉砕し、振とう抽出し、遠心分離後、水相に可溶性の区分からエタノールで核酸を沈殿し回収され、1M NaClに溶解し、不溶物(rRNA)を除去し、再度エタノールで核酸を沈殿し、酢酸ナトリウムに溶解後、イソプロピルアルコールで析出するDNAを除去し、再度酢酸ナトリウムに溶解後、tRNA含有RNA分画を析出させ、セファデックスG−100又はDEAE−セファデックスなどのカラムで精製し、入手されている。イオン交換樹脂なども用いられることもある。
本発明の方法においては、調製した無細胞タンパク質合成系から、他の成分を失活させることなく、全種類tRNAを除去することが必要である。たとえば、細胞を破砕した細胞抽出液を、種々の樹脂を用いたクロマトグラフィーにより分離することにより、全種類tRNAが除去できる。クロマトグラフィーとしては、陰イオン樹脂、たとえば、Q−sepharoseHP、DEAE樹脂等を用い、塩存在下で前記樹脂に細胞破砕液をロードし、tRNAを樹脂に吸着させることにより、前記細胞破砕液より、全種類tRNAを分離することができる。
塩としては、種々の塩、たとえば、塩化カリウム、酢酸カリウムなどが用いることができるが、好適には酢酸カリウムを用いることができる。
2.全種類tRNAの混合物からの特定コドン用tRNAの除去
全種類tRNAの混合物(tRNAMix)から、特定のアミノ酸用のtRNAを分離することは、たとえば、RP−HPLC逆相高速液体クロマトグラフィーなどを用いて行われてきた。具体的には、たとえば、tRNAPheは、まずフェニルセファロース疎水性クロマトグラフィーを用い、次に逆相高速液体クロマトグラフィーを用いる方法(Nuc.Acid.Res Vol.28,e64)などを用いることができる。また、高速液体クロマトグラフィーには、DEAE−5PW、BD−5PW、ヒドロキシアパタイト、NEOSORB又はLC−N−7などのカラムのほか、通常高速液体クロマトグラフィーには用いられていない、DEAE−TOYOPEARL、又はブチル−TOYOPEARLなども用いることができる(「新生化学実験講座2核酸I分離精製」日本生化学会編、東京科学同人)。特定のアミノ酸をすべて、非天然型アミノ酸に改変する場合は、これらの方法を用いることができる。
他方、同じアミノ酸用のtRNAの内、特定のコドン用tRNAのみを分離する場合には、特定コドン用のそれぞれのコドンに対応したプローブを用いて分離することができる。
たとえば、アンチコドン部分を含むtRNA配列に十分に相補的な配列を含むプローブを用いて目的とするtRNAを採取することができる。プローブは、プローブの回収に好適な手段たとえば、プローブを支持体(オリゴ−セルロース、オリゴ−セファロース、origotexなど)に共有結合したもの、又はビオチン化しものとアビジン若しくはストレプトアビジンを支持体と結合させたもの(アビジンーセファロース、ストレプトアビジンーセルロースなど)と結合させて回収することもできる。このようにして、非天然型アミノ酸の導入に不必要な、非天然型アミノ酸用に割り当てるセンスコドンに相当するアンチコドンを持つ通常のtRNAを除去することができる。
例えば、タンパク質にチロシンアナログを導入する場合には、アンチコドンが、ACU、UAA、GCG、GCU、GGA又はUGUの通常のtRNAを除去することができる。なお、上述したように、通常は、ACUはもともと存在しない。
3.tRNATyr及び改変型tRNATyr(tRNATyr改変体とも呼ぶ)の調製
任意のコドンにチロシンアナログを割り当てるために、tRNATyrを、標的とするコドンに対応するアンチコドンを有するように改変し、標的コドン用改変型tRNATyrとする。そしてこの改変した標的コドン用改変型tRNATyrがチロシンアナログを受容できるように、チロシルtRNA合成酵素を変異させる。なお、この場合、上記の無細胞タンパク質合成系に存在する内在性の酵素の基質となってはならない。通常利用されている大腸菌由来の無細胞タンパク質合成系に用いる場合には、例えば、酵母細胞質由来など真核生物由来のtRNAを用いることができる。また、小麦胚芽由来の無細胞タンパク質合成系など真核生物由来無細胞タンパク質合成系の場合は、酵母ミトコンドリア由来、もしくは原核生物由来のtRNAを用いることができる。
具体的には、まず、チロシンアナログを導入しようとする遺伝子において、当該チロシンアナログ導入予定位置のアミノ酸をコードするコドンを同定する。そしてtRNATyrのアンチコドンを当該チロシンアナログ導入予定位置のコドンに対するアンチコドンに改変する。
より具体的には、たとえば、酵母細胞質tRNATyr(tRNATyr)をコードする遺伝子(例えば、配列番号3)をPCR法により増幅させる。
PCR産物を6%ポリアクリルアミドゲルで精製後、適宜なベクター、たとえば、pGEMEX−1 vectorにライゲーションする。ベクターに組み込まれたものを、変異配列を持つプライマーとPCRを利用したクイックチェンジ法により、アンチコドン部位を野生型(AGU)から目的のアンチコドンに変異させる。
上記変異体を組み込んだベクターを鋳型に転写法により改変型tRNATyrを調製する。まず、(Kao,C.,Zheng,M.and Rudisser,S.1999 RNA,5,1268−1272)に従い3’末端のCCAでストップさせるためのプライマーを設計する。
これらのプライマーを用いてPCR反応を行う。ここで得られた改変型tRNATyrは余分な配列を持っているので活性型の改変型tRNATyrを得るにはRNasePで余分な配列を切らなければならない。RNasePは活性中心であるM1RNAとC5タンパク質からなる酵素であり、M1RNA又はM1RNA及びC5タンパク質を上記した余分の配列を含む改変型tRNATyr回収物に加え、37℃で1hr反応させる。電気泳動後、ゲルを切り出し、ゲルエリューションにより、アンチコドン部分を改変したtRNATyr改変体が回収できる。
なお、チロシンアナログ用の改変型tRNATyrには、少なくとも3’末端がACCAの配列を有することが望ましい。例えば、チロシン又はチロシンアナログ用の改変型tRNATyrは、アンチコドンが、ACU、UAA、GCG、GCU、GGA又はUGUであることが望ましい。
4−1.前記tRNATyr及び改変型tRNATyrをチロシン化又はチロシンアナログ化する変異型チロシルtRNA合成酵素(チロシルtRNA合成酵素変異体もしくはTyrRS変異体とも呼ぶ)の調製
変異を導入するチロシルtRNA合成酵素(TyrRSとも呼ぶ)としては、無細胞タンパク質合成系に内在するtRNAを認識しないことが必要であることから、たとえば、大腸菌由来の無細胞タンパク質合成系を用いるのであれば、酵母由来のTyrRS、人など他の真核生物由来のTyrRS、古細菌由来のTyrRSなどをあげることができる。以下、酵母由来TyrRS及びTyrRS変異体の調製について、具体的に説明するが、他の生物由来のものも同様にして行うことができる。なお、酵母由来TyrRSのアミノ酸配列に対して60%以上、好適には80%以上、更に好適には90%以上、更に好適には95%以上、更に好適には99%以上の同一性を有し、且つチロシルtRNA合成活性を有するタンパク質に変異を導入することができる。
4−2.酵母由来チロシルtRNA合成酵素及び変異型チロシルtRNA合成酵素の調製
前記チロシルtRNA合成酵素変異体は、前記チロシンアナログ(以下Yアナログとも記載する)を前記標的アンチコドンを有する改変型tRNATyrに特異的に結合させる酵素(チロシンアナログtRNA合成酵素と呼ぶこともある)である。このアミノアシルtRNA合成酵素変異体としては、前記チロシンアナログを基質とするものであれば特に限定されないが、無細胞タンパク質合成系に内在するtRNAを認識しないことが必要であり、標準型アミノ酸に対する基質特異性が低くなりやすく有用であることから野生型のチロシルtRNA合成酵素を改変したチロシルtRNA合成酵素変異体(TyrRS変異体)、たとえば、特開2004−261160号に記載のものも用いることができる。
具体的には、野生型のチロシルtRNA合成酵素としては、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来チロシルtRNA合成酵素が挙げられる。本酵素をコードする遺伝子を配列番号2に示す。この酵母由来チロシルtRNA合成酵素の変異体、即ち酵母TyrRS変異体としては、配列番号1で表されるアミノ酸配列の43番目のTyrがGlyに置換されたY43GチロシルtRNA合成酵素変異体(Y43G TyrRS)、配列番号1で表されるアミノ酸配列の81番目のHisがValに置換されたH81VチロシルtRNA合成酵素変異体(H81V TyrRS)、配列番号1で表されるアミノ酸配列の186番目のGlnがValに置換されたQ186VチロシルtRNA合成酵素変異体(Q186V TyrRS)、配列番号1で表されるアミノ酸配列の186番目のGlnがThrに置換されたQ186TチロシルtRNA合成酵素変異体(Q186T TyrRS)、又は配列番号1で表されるアミノ酸配列の186番目のGlnがIleに置換されたQ186IチロシルtRNA合成酵素変異体(Q186I TyrRS)が挙げられる。また、前記Y43G TyrRS、H81V TyrRS、Q186V TyrRS、Q186T TyrRS若しくはQ186I TyrRSの1〜364番目のアミノ酸配列からなる変異体も同様の酵素活性があることから用いることができる。更に、N末の最初のMetは欠失していてもよい。結局、配列番号1で表されるタンパク質に対して1以上のアミノ酸が欠失、付加、及び/又は置換されたタンパク質であって、(321番目のアミノ酸残基を含み、)チロシルtRNA合成活性を有するものであればよい。更に、好適には、配列番号1で表されるタンパク質に対して1以上50以下のアミノ酸が欠失、付加、及び/又は置換されたタンパク質であって、(321番目のアミノ酸残基を含み、)チロシルtRNA合成活性を有するものが挙げられる。更に好適なものとしては、配列番号1で表されるタンパク質に対して1以上10以下のアミノ酸が欠失、付加、及び/又は置換されたタンパク質であって、(321番目のアミノ酸残基を含み、)チロシルtRNA合成活性を有するものが上げられる。
また、tRNATyr導入したアンチコドンへの変異の種類により、上記TyrRSおよびTyrRS変異体には、さらに別の変異を導入し、アミノアシル化効率を改善することすることができる。たとえば、上記アンチコドンをセリンのAGU等、他のアミノ酸のアンチコドンに改変したtRNATyrをチロシルアナログ化するためには、321番目のアスパラギン酸をアルギニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、グルタミン酸などに改変したD321R TyrRS、D321N TyrRS、D321Q TyrRS、D321K TyrRS、及びD321E TyrRSなどを用いることができ、特に好適には、D321R TyrRSを用いることができる。
そこで、改変型tRNATyrをチロシンアナログ化する変異型チロシルtRNA合成酵素としては、配列番号1について言えば、チロシンアナログ(非天然アミノ酸)の導入を考慮した場合、基質アミノ酸(チロシン)認識部位は43位、81位、126位、174位、177位、181位、186位であり、この部位が変異の対象となることから、43位、81位、126位(S126T)、174位、177位、181位、及び又は186位、と321位の変異又はその組み合わせ変異を配列番号1の酵素に導入した変異型チロシルtRNA合成酵素が上げられる。具体例としては、(Y43G,D321R)TyrRS、(H81V,D321R)TyrRS、(Q186V,D321R)TyrRS、(Q186T,D321R)TyrRS若しくは(Q186I,D321R)TyrRSの1〜364番目のアミノ酸配列が挙げられ、好ましくは、43位と321位の変異を組み合わせ、81位と321位の変異の組み合わせ、186位と321位の変異の組み合わせが挙げられ、43位126位321位の変異の組み合わせも重要である。
なお、配列番号1に上記した変異を導入した配列に対して(1)60%以上、好適には80%以上、更に好適には90%以上、更に好適には95%以上の同一性を有し、且つ改変型tRNATyrをチロシンアナログ化できるTyrRS変異体、並びに(2)1又は数個のアミノ酸が置換、付加及び/又は欠失した配列で示される、改変型tRNATyrをチロシンアナログ化できるTyrRS変異体も用いることができる。
なお、無細胞タンパク質合成系を用いて、遺伝子を改変することなく、コドン特異的にアミノ酸を変更したタンパク質合成を目的とする場合には、配列番号1において321番目のアスパラギン酸をアルギニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、グルタミン酸などに改変したD321R TyrRS,D321N TyrRS,D321Q TyrRS,D321K TyrRS,及びD321E TyrRSなどを用いることができ、特に好適には、D321R TyrRSを用いることができる。更に、前記D321R・D321N・D321Q・D321K・D321Eの変異を導入した配列番号1に対して、
(1)60%以上、好適には80%以上、更に好適には90%以上、更に好適には95%以上の同一性を有し、且つ改変型tRNATyrをチロシル化できるTyrRS変異体、並びに
(2)1又は数個のアミノ酸が置換、付加及び/又は欠失した配列で示される、改変型tRNATyrをチロシル化できるTyrRS変異体も用いることができる。
また、TyrRS変異体をコードする遺伝子配列としては、配列番号2のものにおいて、第961から963番目の塩基を改変したもの、具体的には、配列番号47〜51で示される塩基配列が挙げられる。 更に、TyrRS変異体をコードする遺伝子としては、配列番号47〜51で示される塩基配列に対して、
(1)60%以上、好適には80%以上、更に好適には90%以上、更に好適には95%、更に好適には、99%以上以上の同一性を有し、且つ改変型tRNATyrをチロシル化できるTyrRS変異体をコードする塩基配列、又は
(2)ストリンジェントな条件下で、前記配列番号47〜51で示されるDNAの相補鎖に対してハイブリダイズすることができ、改変型tRNATyrをアミノアシル化できるTyrRS変異体をコードする塩基配列で示されるものも用いることができる。
なお上記ストリンジェントな条件下としては、例えば、次のような条件を挙げることができる。120℃で20分間処理してDNAを結合させたHybond N+ ナイロンメンブレン(アマシャムファルマシア)をリン酸塩緩衝液(0.5M NaHPO、1mM EDTAおよび7% SDS)中、65℃で5分間処理し、プレハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは同緩衝液中に配列番号48−51で表される遺伝子を添加後、65℃で17時間行う。ハイブリダーゼーション後のメンブレンは室温で20分間、0.1% SDSを含む2x SSC(standard saline citrate;1x SSCは150mM NaCl、15mM sodium citrate、pH7.0)で処理下後、0.1% SDSを含む1x SSC中65℃で20分間の洗浄を2回行う。さらに0.1% SDSを含む0.1x SSC、65℃で20分間処理し洗浄を完了する。X線フィルムへの感光は−80℃で24時間行う。
なお、ストリンジェントな条件としては、また、次のような一般的方法によることもできる。DNA又はDNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2x SSC溶液(1x SSC溶液は、150mMNaCl、15mM クエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning:A laboratory Mannual,2ndEd.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.,1989(以下、モレキュラークローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley & Sons(1987−1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
さらに、このTyrRS変異体としては、精製が容易であること等から、前記TyrRS変異体のC末端にヒスチジンタグ等のタグ(tag)が結合したものを用いるとよい。なお、前記Y43G TyrRSについては、S.Ohno et.al.,Changing the amino acid specificity of Yeast tyrosyl−tRNA synthetase by genetic engineering,J.Biochem.130,417−423(2001)に開示されている。また、前記TyrRS変異体はいずれも、ナンセンスサプレッサーtRNATyr(sup.tRNATyr)(アンバー、オーカー又はオパール)を基質とする。
前記鋳型は、前記sup.tRNATyrが認識する終止コドンを、部位特異的突然変異(site−directed mutagenesis)等により人為的に翻訳領域に配したポリヌクレオチドであり、DNA又はmRNAの形態で用いられる。前記DNAとしては、転写に必須な配列を含む二本鎖DNAが挙げられ、種々のベクターやプラスミド等に導入して利用するのが最も簡便である。なお、前記翻訳領域の3’末端に位置する終止コドンは、前記sup.tRNATyrが認識する終止コドンとは異なる塩基配列のコドンが配される。
5.チロシンアナログ
本発明者らによる先願(特開2004−261160)に記載のチロシンアナログを利用できる。
具体的には、Yアナログとしては、アジドチロシン(azido−tyrosine)、アセチルチロシン(acetyl−tyrosine)、アミノチロシン(amino−tyrosine)又はドーパ(DOPA;3,4−dihydroxy−phenylalanine)が用いられる。これらのYアナログは、下記化1又は化2に示される構造を有している。
但し、R1はアジド基、アセチル基、アミノ基又は水酸基。
但し、R2はアジド基、アセチル基又はアミノ基。
即ち、化1に示されるYアナログは、チロシンの側鎖を構成するフェノール性芳香族環の3(メタ)位に置換基R1としてアジド基(−N)、アセチル基(−COCH)、アミノ基(−NH)又は水酸基(−OH)を有している。化2に示されるYアナログは、チロシンの側鎖を構成するフェノール性芳香族環の2(オルト)位に置換基R2としてアジド基、アセチル基又はアミノ基を有している。なお、これらのYアナログの置換基は、メタ位又はオルト位のいずれに結合されていても構わないが、側鎖の端部側に位置しYアナログ修飾体にする反応が進行しやすいことからメタ位に結合されているのが好ましい。また、これらのYアナログは、L型又はD型のいずれの光学異性体であっても構わないが、タンパク質合成効率が高いことからL型であるのが好ましい。
Yアナログ修飾体は、前記Yアナログの側鎖(フェノール性芳香族環の2位又は3位)に修飾物が結合した有機化合物である。前記修飾物は、修飾基と、その修飾基に結合した反応基とを備えている。前記反応基としては、オルトアルコキシカルボニルアリールジアリールホスフィン(トリアリールホスフィン(triarylphosphine)誘導体)、ヒドラジン(hydrazine)、コハク酸イミドエステル(succimidyl ester)、イソチオシアン酸(isothiocyanate)塩、塩化スルホニル(sulfonyl chloride)、アルデヒド(aldehyde)、又はカルボン酸や酸ハライド若しくはその酸無水物が挙げられる。前記修飾基は、特に限定されないが、実用的な用途拡大が容易であることから、蛍光物質、疎水性の巨大分子、親水性物質、電荷を有する物質、水素結合能を有する物質、化学反応性を有する物質、生理活性物質(酵素等)、生体構成物質(タンパク質、糖鎖、ポリヌクレオチド、脂肪酸等)、ビオチン(Biotin)、抗体又はその一部等が好適に用いられる。また、修飾基として、ポリエチレングリコール等のドラッグデリバリーシステム(DDS)に用いられる機能性担体を用いてもよい。
このYアナログ修飾体は、Yアナログの置換基と、前記修飾物の反応基とを化学的又は生物化学的に結合(共有結合)させることにより得られる。
前記置換基と反応基との組合わせとしては、置換基がアジド基の場合には反応基としてはトリアリールホスフィン誘導体となる。また、置換基がアセチル基の場合には反応基がヒドラジンとなり、置換基がアミノ基の場合には反応基がコハク酸イミドエステル、イソチオシアン酸塩、塩化スルホニル、アルデヒド、又はカルボン酸や酸ハライド若しくはその酸無水物となる。これら置換基と反応基との反応は化学的反応である。また、前記Yアナログがドーパの場合には、そのフェノール性芳香族環の3位及び4位の水酸基をドーパオキシダーゼ(DOPAoxidase)による酵素反応を利用しつつ反応基としてのアミノ基と結合(生物化学的反応)させることにより、修飾物が結合してYアナログ修飾体となる。これらのYアナログの置換基を修飾する反応は、生理的条件下(例えば大腸菌や酵母等の一般細菌又は単細胞生物が生存可能な条件下)で行うことが可能となっている。
6.チロシンアナログをコドン特異的に含む非天然アミノ酸含有タンパク質の製造
非天然アミノ酸含有蛋白質は、本発明者らによる先願(特開2004−261160)の方法に準じて行うことができる。
例えば、上記した1.「無細胞タンパク質合成系からの全種類tRNAの抽出分離方法」により、全種類tRNAが除去された無細胞タンパク質合成系に、上記2.「tRNAMixから特定コドン用のtRNAの除去」により、特定コドン用のtRNAが除去された残りのtRNAを添加してなる無細胞タンパク質合成系に、3.「改変型tRNATyrの調製」で調製された特定コドンにチロシンもしくはチロシンアナログを割り当てる改変型tRNAtyr、4.「改変型tRNATyrをチロシン化もしくはチロシンアナログ化するされたチロシルtRNA合成酵素変異体の調製」で調製されたTyrRS変異体、及び前記5.のチロシンアナログの存在下で、鋳型mRNA又は鋳型DNAを元に非天然アミノ酸(アミノ酸アナログ)を含有する非天然タンパク質を製造することができる。
言い換えれば、
(1)非天然アミノ酸を含有させたいタンパク質又はタンパク質をコードする遺伝子中で置換させたいアミノ酸に対応するコドンを選択する。望ましくは、ロイシン、アルギニン、セリン、スレオニンに対するコドンで、UUA、CGC、AGU、CGA、ACA、アンチコドンが、ACU、UAA、GCG、GCU、UGUを選択することが望ましい。該選択されたアンチコドンを有するtRNAを、使用する無細胞タンパク質合成系から除去し、残りのtRNAを該無細胞タンパク質合成系に再度添加する。
(2)tRNATyr改変体については、チロシン受容能も高く、本来対応するアミノ酸は全く受容しないtRNATyr改変体が望ましい。具体的には、アンチコドンが、ACU、UAA、GCG、GCU、UGUであるtRNATyr改変体を選択することが望ましい。当該tRNATyr改変体を、前記無細胞タンパク質合成系に添加する。
(3)改変型tRNATyrをチロシンアナログ化する変異型チロシンtRNATyr合成酵素としては、配列番号1に対し43位、81位、126位(S126T)、174位、177位、181位及び186位から選ばれる1以上の変異、と321位の変異の組み合わせ変異を導入した変異型チロシルtRNATyr合成酵素が上げられる。具体例としては、(Y43G,D321R)TyrRS、(H81V,D321R)TyrRS、(Q186V,D321R)TyrRS、(Q186T,D321R)TyrRS若しくは(Q186I,D321R)TyrRSの1〜364番目のアミノ酸配列が挙げられ、好ましくは、43位と321位の変異を組み合わせ、81位と321位の変異の組み合わせ、186位と321位の変異の組み合わせが挙げられ、43位126位321位の変異の組み合わせも重要である。
(4)上記(1)で調製した無細胞タンパク質合成系に(2)のtRNATyr改変体および(3)の改変型tRNATyrをチロシンアナログ化する変異型チロシンtRNATyr合成酵素を添加し、チロシンアナログの存在下で、非天然アミノ酸を含有させたいタンパク質をコードする遺伝子を加えて、非天然アミノ酸(チロシンアナログ)含有タンパク質を合成することができる。
例えばより具体的には、GFPuv遺伝子(Clonetech)中AGUコドンにチロシンアナログを導入するためには、(1)tRNAを除いた大腸菌S30抽出液(S30/−tRNA)、(2)tRNA混合物からセリンに割り当てられているコドンのうち特定のコドン(AGY)を読み取るtRNASer(AGY)を除いたtRNA混合物(tRNAMix−Ser(AGY))、(3)AGUコドンにチロシンを割り当てた改変型tRNATyr及び(4)(Y43G、D321R)TyrRS変異体を利用すればよい。
[参考例1] C5タンパク質の調製
C5タンパク質遺伝子(rnpA)は大腸菌JM109株のゲノムDNAからPCRによって増幅した。NdeIとXhoIサイトを付加するために、使用したプライマーはそれぞれ5’−GGG GCT GCA GCA TAT GGT TAA GCT CGC ATT TCC CAG−3’(SEQ ID No:4)と5’−GGG GCT CGA GCC TGG GCG CTC GGT CCG CTG−3’(SEQ ID No:5)(下線部がNdeIとXhoIサイト)である。PCRしたフラグメントはpET21a(+)にクローニングした(これをpETC5と呼ぶ)。pETC5をトランスフォーメーションした大腸菌BL21(DE3)株は1リットルのLB培地でOD600が0.5−0.8になるまで培養し、0.5mMのIPTGによって発現誘導した。4時間保温した後、発現菌体は集菌、冷凍した。冷凍された菌体は50mlの50mM Tris−HCl(pH7.6),5mM EDTA,10%Glycerol 1M NaCl溶液で懸濁し、超音波破砕機(バイオラプター、トウショウデンキジャパン)で破砕した。30,000xgで30分遠心した後、上清は50%飽和硫酸アンモニウム沈殿処理を行った。17,000xgで15分遠心した後、上清は80%飽和硫酸アンモニウム沈殿処理を行った。17,000xgで15分遠心して回収した沈殿は、バッファーA(50mM 酢酸ナトリウム(pH6.5),5mM EDTA,0.25M NaCl)に溶解し、その溶液をさらにバッファーAに対して透析した。透析したタンパク質溶液は、10mlのSPセファロースカラム(アマシャム)を用いて精製を行った。流速2ml/minでNaClの直線濃度勾配(0.25−1.0M,トータル200ml)で溶出操作を行った。C5タンパク質を含むフラクションを回収、アミコンウルトラで濃縮、20mM Tris−HCl(pH7.6),1mM MgCl,40mM KCl,6mM 2−mercaptoethanol and 50% Glycerolに対して一晩透析し、−30℃で保存した。
(結果)
C5タンパク質遺伝子の挿入が確認されたpETC5を用いて、C5タンパク質の発現を行った。発現確認のため少量のS30画分をNi−NTA agaroseを用いて精製したものを15%アクリルアミドゲルを用いて、SDS−PAGEで行った。結果はElutionに見られるバンドが一つであった。
[参考例2] M1RNAの調製
M1RNAのゲノム(rnpB)は、大腸菌JM109株のゲノムDNAからPCRで増幅した。プライマーは、EcoR IサイトとT7プロモーターを融合させるために5’−GGG GGA ATT CTA ATA CGA CTC ACT ATA GAA GCT GAC CAG ACA GTC GC−3’(SEQ ID No:6)(下線部)そしてBamH Iを組み込むために5’−GGG GGG ATC CGG ATG ACG TAA ATC AGG TGA AAC TG−3’(SEQ ID No:7)を用いた。PCR後の断片はpUCM1を作成するために、pUC19プラスミドにクローニングした。M1 RNAのin vitroでの転写のためのテンプレートは、T7プロモーター領域(TAATACGACTCACTATA(SEQ ID No:43))とハイブリダイズするT7プライマーとM1 RNAの3’末端領域と相補的なプライマー(5’−AGG TGA AAC TGA CCG ATA AG−3’(SEQ ID No:8))によって、pUCM1からPCR増幅で調製した。In vitro転写は、(Sampson,J.R.and Uhlenbeck,O.C.1988 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85 1033−1037)に従って行った。転写後、反応混合物は、1mlのQセファロースカラム(アマシャム)で精製した。0.5ml/minの流速で、NaClの直線グラジェント(0.4−1.0M,トータル20ml)によって溶出操作を行った。M1 RNAは溶出液からエタノール沈殿によって回収した。
(結果)
M1 RNA遺伝子の挿入が確認されたpUCM1からPCR増幅を用いて鋳型の調製を行った。これを用いM1 RNAの転写調製を行った。確認を6%アクリルアミドゲルを用いて行った。結果、目的の長さに相当するバンドが確認できた。
[実施例1]
大腸菌細胞抽出液から全種類tRNAを除く方法
1−1.大腸菌細胞抽出液の調製
グリセロールストックされた大腸菌Q13株(RNase I欠損株)を白金耳で、LBプレートに画線培養した。現れたコロニーの一つをLB培地に植菌して37℃で一晩振とう培養し、これを前培養液とした。本培養は、2×TY培地(Tryptone 16g/l、Yeast extract 10g/l、NaCl 5g/l)の10%に相当する容量の前培養液を移し、37℃で振とう培養した。600nmの吸光度が0.4になったところで培地を冷やした。5,000rpmで10min遠心して集菌した。上清をできるだけ取り除き、菌体量を測定し、2倍量のBuffer S30(20mMHepes−KOH(pH7.5)、20mM 酢酸アンモニウム、10mM 酢酸マグネシウム、10mM β−Mercaptoethanol)に菌体を懸濁した。懸濁液と同容量のガラスビーズ(B.BRAUN社製、φ0.45mm)を入れたガラス管(岩城硝子社製)に移し、MSK cell homogenizer(B.BRAUN社)で細胞を破砕した。破砕液を30,000×gで30min遠心し、その上清を大腸菌細胞抽出液とした。これを小分けし、液体窒素で凍結させて保存した。
1−2.大腸菌細胞抽出液からの全種類tRNAの除去
大腸菌細胞抽出液に対しその5倍量のQ−sepharoseHP樹脂をスピンカラムに詰め1000rpm×3min 4℃で遠心した。Buffer S30に0M,0.1M,0.2M,0.3M,0.4M,0.5M,0.6M,又は0.7M 酢酸カリウムを加えた溶液(8種類)を用意し、それぞれを用い樹脂を平衡化した。大腸菌細胞抽出液をロードし、素通りを回収した。7M 尿素を含む10%ポリアクリルアミドゲルにてtRNAの除去を確認した。(図1)
2−1.全種類tRNAを除去した大腸菌細胞抽出液を用いたタンパク質合成
以下の反応組成に全種類tRNAの混合物(tRNAMix)を加えない場合と、加えた場合とでタンパク質(GFPuv)合成を行い、電気泳動によって全種類tRNA除去とタンパク質合成能力を確認した。
結果を図2に示す。
大腸菌細胞抽出液(S30)を酢酸カリウム0.4〜0.6Mの濃度で処理した場合、全種類tRNAの混合物(tRNAMix)を加えた場合にのみタンパク質の合成が確認できることから、この範囲であれば大腸菌細胞抽出液(S30)から全種類tRNAを除けることが確認できた。
[実施例2]
全種類tRNAの混合物(tRNAMix)から特定の配列を持つtRNAを除く方法
以下では、アンチコドンとしてGCUを持つtRNASer(AGY)を全種類tRNAの混合物(tRNAMix)から除去する方法について記載するが、特定の配列を持つtRNAに応じたDNAプローブを用い同様の操作にて特定の配列を持つtRNAを除去することができる。なお、通常、セリンに割り当てられているAGU及びAGCの両者、つまりAGYは、アンチコドンがGCUのtRNASer(tRNASer(AGY))1種類のみを利用して、両方が読まれている。tRNAMixからtRNASer(AGY)が除去されたtRNAMixを、tRNAMix−Ser(AGY)と呼ぶ。
(1)ビオチン化DNA結合樹脂の作製
1.5mlのろ過チューブのフィルター容器3本(A,B,Cとする)に50μlのストレプトアビジンアガロース懸濁液(樹脂量25μl)を加え、6000xgで10秒ほど遠心し、緩衝液を除いた。400μlの20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)をフィルター溶液に加え、樹脂を懸濁した。その後、6000xgで遠心し、緩衝液を除いた。この操作を2度繰り返した。ビオチン化オリゴDNAプローブ(配列CGG TGA GGC GGG GAT TCG AAC CCC GGA TGC−biotin)800pmol相当を、20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.6)で400μlに希釈し、これを3倍量(total 1200μl)作っておく。このDNA溶液の吸光度を測定しておき(0.619 A260unit/ml)、これをストレプトアビジンアガロース樹脂が入ったフィルター容器に各々400μlずつ加え、たびたび振りながら室温で10分ほど放置した。これを6000xgで遠心し、結合しなかったDNAプローブを除いた。A,B,Cのチューブから抜けてきたDNA溶液の吸光度も測定した。
結果は次の表2のとおりであった。
(2)固相化プローブ法によるtRNAの回収
35A260unitのE.coli全種類tRNAの混合物(tRNAMix)に×12Buffer A,B,Cを各々200μl加え、RNaseFree水で400μlとした。
なお、12Buffer A、B、及びCの組成を以下に示す。
65℃で5分間、tRNA溶液を保温した。先に作製したフィルター容器A,B,Cに、各々対応するtRNA溶液を加え、さらに65℃で2分間保温した。その後25℃までゆっくり冷やし、目的のtRNAを樹脂に結合させた。6000xgで10秒ほど遠心し、結合しなかったtRNA溶液を取り除いた。抜けてきたtRNA溶液の吸光度も測定し、tRNA量を算出した。
400μlの3x SSCをフィルター容器に加え樹脂を攪拌し、6000xgで10秒程度遠心して3x SSCを除き、樹脂を洗った。抜けてくる3x SSCの吸光度が0.01A260unit/ml以下になるまでこの操作を繰り返した。あらかじめ65℃で保温しておいた0.1x SSC 200μlをフィルター容器に加え、65℃で5分間保温した。溶液が冷えないうちに6000xgで10秒程度遠心。tRNA溶液を回収した。この操作をもう一度繰り返した。回収されたtRNA溶液の吸光度を測定した。
(3)回収したtRNASerの純度の確認
各Bufferを用いて回収したtRNAの純度および、全種類tRNAの混合物(tRNAMix)からの回収率を確認するため、15%アクリルアミド7M Ureaゲルを用いた電気泳動にて確認した。(図3)
固相化プローブ法によるtRNASer(AGY)の回収量は、吸光度測定の結果より、TMACl>NaTCA>NaClであった。
更に、図3より、電気泳動のレーン(2)、(3)、(4)を比較すると、(2)、(3)、(4)の順にtRNASerだと思われる位置のバンドの濃さが減少している。(tRNASerのバンドの位置の特定は(5)〜(7)より)
この結果は、先の吸光度からの回収量の特定の結果を支持する。
さらに、ノーザンハイブリダイゼーションによるtRNASer(AGY)の検出結果(図4)でも、tRNASer(AGY)のバンドの濃さは(2)、(3)、(4)の順に減少している。
以上の結果より、TMAClを用いた調製法が適当と思われる。
[実施例3]
改変したアンチコドンを有するtRNATyrの調製
3−1.QuikChangeによる改変型tRNATyr遺伝子を含むプラスミドDNAの調製
上記プライマー1及びプライマー2は以下[表7]に示される組み合わせ(例えば、TNT−F及びTNT−Rのように対応するフォワードプライマーとリバースプライマーのセット)から選択された。
なお、配列中のRはA又はGを示す。
(R’ AorG)
なお、配列中のRはA又はGを示す。
(R’ AorG)
上記組成で反応液を調製し、PCRにより改変型tRNATyr遺伝子を含むプラスミドDNAを増幅させた。PCRに用いた改変前の野生型tRNATyr遺伝子を含むプラスミドDNAは、5’−GGG GTC TAG ACT CTC GGT AGC CAA GTT GGT TTA AGG CGC AAG ACT GTA AAT CTT GAG ATC GGG C−3’(SEQ ID No:44)と5’−GGG GAA GCT TGG TCT CCC GGG GGC GAG TCG AAC GCC CGA TCT CAA GAT TT−3’(下線部は相補的な配列:SEQ ID NO:45)をアニーリング処理後、Klenow fragmentにより2本鎖を形成させ、Xba I,HindIIIサイトを利用してpGEMEX−1(プロメガ社)に組み込み作製した。
PCR産物にDpn1を0.5μl加え、1時間保温し、コンピテントセルDH5alphaに投入し形質転換をおこなった。そして生じたコロニーからプラスミドDNAを調製した。得られたプラスミドDNAの配列を、日立のシーケンサー(SQ5500E)で確認した。
3−2.転写反応とプロセシングによる野生型および改変型tRNATyr47種類の調製
3−2−1.転写用鋳型DNAの調製
なお、5’−T7プライマー、3−’OMEプライマー次の通りである。
5’−T7プライマー:5’GGGGCTGCAGTAATACGACTCACTATA3’(SEQ ID No:33)
3−’OMEプライマー:TGmGTCTCCCGGGGGCGAGT(SEQ ID No:34)
上記の組成で反応液を調製し、PCRを行うことにより転写に必要な部位の増幅を行った。
PCR産物をフェノール・クロロホルム処理し、エタノール沈殿して、乾燥させ−30℃で保存した。
3−2−2.転写反応とプロセシング
なお、10×TDM Buffer、10×SB Buffer、及び10×NTP Bufferの組成は下記の通りである。
上記の組成で、上記(2)で得た転写用鋳型DNAを用い、反応時間は1時間、反応温度は42℃で転写反応を行った。
反応後、M1 RNAを80pmol,C5タンパク質を80pmol加え、37℃で1時間保温しプロセシング反応を行った。
転写とプロセシングが正しく行われていることが確認できたら反応液にEDTA(0.5M)を反応液の1/20量加え15000rpmで5min遠心した後、エタノール沈殿した。
3−3.Gel Elution法によるRNAの精製
プロセシング後のRNA乾燥物を50μlのUreaLSに溶解し、15000rpmで5min遠心した後、上清を10%ポリアクリルアミドゲル(7M Urea)で電気泳動した。ゲルから切り出した後、DEPC処理Gel Elution Bufferを450μl加え、一晩振とう後エタノール沈殿し、乾燥させdHO 50μlに溶解し、tRNA溶液を調製した。
なお、DEPC処理Gel Elution Bufferは以下のように調製した。
100mlで上記の組成になるように調製し、ジエチルピロカーボネート(DEPC)を100μl加えた。一晩攪拌後、オートクレーブにかけジエチルピロカーボネート(DEPC)を分解、除去した。
結果を以下の表に示す。
3−4.改変型tRNAを用いてチロシン受容能の測定とそのアンチコドンに対応するアミノ酸受容能の測定
(1)チロシン受容能の測定
各tRNATyrのチロシン受容能を測定するために14Cチロシンを使ってアミノアシル化反応を行った。下記の反応組成で酵素を除いた状態で反応液を30℃で5min程度保温した後、酵素を加え30℃でインキュベートし、0、5、10、15minの各時間で5% TCAを湿らせておいた濾紙にスポットし、5% TCAに浸した。各時間の反応液をスポットし終わったら、5% TCAをいったん捨て、新たな5% TCAをビーカーに加え10min間振とうした。これを2回繰り返したら100%エタノールを加えて軽く振とうし、電熱灯下で乾燥させた。その後、シンチレーターに浸し、液体シンチレーションカウンターでカウントを測定した。シンチレーターは、Dotite DPO 4g、Dotite POPOP 0.1gをトルエンで比に調製した。
放射能の値とチロシンの比活性値からpmol/ODを算出することにより、WTのtRNATyrとtRNATyr改変体とのチロシン取り込みを比較した。
ポジティブコントロールとして改変型tRNAの変わりにWTtRNAtyrを0.09A260unit用いた。
結果を図5−1から図5−5に示した。(改変型tRNAについては、アンチコドンにより示されている。)
(2)アンチコドンに対応するアミノ酸受容能の測定
アミノ酸受容能の測定
改変したtRNATyrのアンチコドンに対応するアミノ酸受容活性を測定するためにそれぞれの14Cアミノ酸を使ってアミノアシル化反応を行った。下記の反応組成で酵素を除いた状態で反応液を30℃で5min程度保温した後、酵素を加え30℃でインキュベートし、0、5、10、15minの各時間で5% TCAを湿らせておいた濾紙にスポットし、5% TCAに浸した。各時間の反応液をスポットし終わったら、5% TCAをいったん捨て、新たな5% TCAをビーカーに加え10min間振とうした。これを2回繰り返したら100%エタノールを加えて軽く振とうし、電熱灯下で乾燥させた。その後、シンチレーターに浸し、液体シンチレーションカウンターでカウントを測定し、全種類tRNAの混合物(tRNAMix)を用いたそのアミノ酸の取り込みと比較した。シンチレーターは、Dotite DPO 4g、Dotite POPOP 0.1gをトルエンで1Lに調製した。
ポジティブコントロールとしてtRNA改変体の代わりにtRNAMixを0.6A260unit、トリプトファンの場合はtRNAMixを3.0A260unit用いた。
なお、5×AAMは以下の通りである。
結果を図6−1から図6−8に示した。
更に、図5及び図6をあわせて、図7の上段にチロシン受容能の測定結果、下段にアミノ酸受容能の測定結果をしめした。
TyrRSはアンチコドンの1文字目のGを強く認識することから、チロシン受容能の高い改変体はアンチコドンの1文字目がGであるものが多い。また、アンチコドンUGU、UAAで受容能が高かった理由としては、tRNATyrのアンチコドン部位の両隣の塩基、すなわち35番目と39番目の塩基に注目すると、35番目から37番目の塩基配列はUGU、37番目から39番目の塩基配列はUAAであり、TyrRSがアンチコドン部位だけでなく、その両隣を含めた3塩基を認識して、チロシンが受容されることにより、受容能が高くなることが考えられた。
今回得られた結果からアンチコドンが、UAA、GCG、GCU、UGUのtRNATyr改変体については、チロシン受容能も高く、本来対応するアミノ酸であるロイシン、アルギニン、セリン、スレオニンは全く受容しないことから、有用な非天然アミノ酸運搬用tRNAとして利用できる可能性がある。これらの改変型tRNATyrを非天然アミノ酸用に遺伝暗号表に割り当てても、まだロイシン、アルギニン、セリン、スレオニンのコドンはまだ余っていることから、数種類の非天然アミノ酸を遺伝暗号表に割り当てることも可能になるだろう。
[実施例4]
改変したアンチコドンを有するtRNAをアミノアシル化する酵素の調製
(1)D321R TyrRS、D321N TyrRS、D321Q TyrRS、D321K TyrRS、及びD321E TyrRS変異体発現用ベクターの作製
(1−1)PCR法を用いた部位特異的変異の導入による酵母チロシル−tRNA合成酵素変異体遺伝子の作製
pET−Full−yYRStagをtempleteとし、以下のような変異体用プライマーを合成し、pET−to−pQE−5’(CCCCGAATTCTAACTTTAAGAAGGAGAT(SEQ ID No:35))と−プライマーの組み合わせ、pET−to−pQE−3’(CCCCAAGCTTTGTTAGCAGCCGGA(SEQ ID No:36))と+プライマーの組み合わせでPCR反応を行いアガロースゲルとガラスパウダーにより精製を行った。ただし3’側プライマーと+プライマーの組み合わせにより生じたPCR産物は3% GTGアガロースゲルを使い、目的のバンドを切り出し−80℃でゲルを凍結し濾過エッペンドルフチューブによりDNA断片を回収した。−側のPCR産物と+側のPCR産物を合わせエタノール沈殿を行い、以下のようにKlenow fragment反応液を調製した後95℃で5分保温し、その後氷中に移し急冷(氷中5分)した。この反応溶液にKlenow fragmentを6units加え37℃で1.5時間反応した。さらにこのKlenow fragment反応液の一部を用いて以下のようにFull length PCR反応液を調製しFull length PCR反応を行った。このPCR産物をアガロースゲルにより精製を行い、部位特異的変異を導入された酵母TyrRS変異体遺伝子を得た。
用いたプライマーは次のとおりである。
D321R用−プライマー/27mer:ACCAATTTTTAGGCGAGGTGGGGACAA(SEQ ID No:37)
D321R用+プライマー/27mer:TTGTCCCCACCTCGCCTAAAAATTGGT(SEQ ID No:38)
D321N・D321Q用−プライマー/27mer:AACACCAATTTTGTTAGGTGGGGACAA(SEQ ID No:39)
D321N・D321Q用+プライマー/27mer:TTGTCCCCACCTCAGAAAATTGGTGTT(SEQ ID No:40)
D321K・D321E用−プライマー/27mer:ACCAATTTTTAGTTTAGGTGGGGACAA(SEQ ID No:41)
D321K・D321E用+プライマー/27mer:TTGTCCCCACCTGAACTAAAAATTGGT(SEQ ID No:42)
(2)ベクターの構築
前述の方法に従い、PCR法により部位特異的変異を導入された酵母TyrRS変異体遺伝子をpUC19に導入し、DNAシークエンサーで配列を確認した。配列の明らかにされた各酵素変異体遺伝子を発現ベクターのpET21−a(+)に乗せ換えpETD321変異体ベクターを構築した。
(3)D321変異体の発現と精製
6xHis−Tagを融合して発現させた酵母TyrRS変異体を、アフィニティークロマトグラフィーとイオン交換カラムクロマトグラフィーにより以下のような操作で精製を行った。
集菌した菌体を15mlのbufferAに懸濁し、懸濁液を超音波破砕機を用いて20秒超音波処理を行い、40秒静置し冷却するという操作を30回繰り返し菌体を破砕した。破砕液をAvantiTM J−25 I(BECKMAN製)で30,000xgで30分間遠心分離してS30(上清)を得た。あらかじめbufferAで平衡化しておいたNi−NTA樹脂(1ml)に、得られたS30をロードし280nmの吸収がおちつくまでbufferAで洗浄した。以下のようなElution bufferを加え280nmの吸収がみられるサンプルを回収した。さらなる精製として、回収したサンプルをあらかじめ0.05M KClで平衡化した陽イオン交換カラムSP−Sepharose HP 1ml(アマシャムファルマシア製)にロードした。0.05Mから1M KClまでの濃度勾配、流速1ml/分で目的タンパク質の分離を行った。溶出液は0.5分(0.5ml)ごとに分取した。分画したサンプルを10%SDS PAGEにより分析し、目的タンパク質を含むフラクションを回収した。アミコンウルトラを用いて約1mlに濃縮したサンプルを透析チューブに入れ、透析外液をstock bufferにして透析した。タンパク質濃度は228.5−234.5nmで測定する方法により算出した。なお、bufferA及びB、Elution buffer、並びにstock bufferの組成を以下に示す。
(4)アミノアシル化測定
酵母TyrRS変異体を用いたtRNATyr改変体のチロシン受容能の測定
酵母tRNATyrのアンチコドンを各種アミノ酸をコードしているコドンに対応するように改変させたtRNATyr改変体を、以下の組成で37℃でアミノアシル化させた。
計測は10分後に行い9μlをサンプリングした。また、ポジティブコントロールとして、大腸菌で発現させて得たtRNATyrとアンバーサプレッサーtRNATyrを各0.01A260unit用いたもの、ネガティブコントロールとしてtRNAを入れないものを用意し実験を行った。
得られた結果を図にまとめると図8から図11に示される通りとなる。太い斜め線(左上から右下方向の斜線)をアミノアシル化能力が高い、細い斜め線(左上から右下方向根の斜線)をアミノアシル化能力が次に高い、薄く太い十文字線をアミノアシル化能力がその次に高い、点線がアミノアシル化能力が低い、塗りつぶされている部分がアミノアシル化能力一番低い(ほとんどない)で示した。結果として、D321RはコドンとしてCGG,GAG,GGGを認識するtRNA以外の幅広いtRNAを基質として認識し、アミノ酸を受容させることが可能であることがわかった。
[実施例5]
セリン用コドンへのチロシンの導入
各実施例に記載の方法にて調製した全種類tRNAを除いた大腸菌S30抽出液(S30/−tRNAMix)、全種類tRNAの混合物(tRNAMix)からtRNASer(AGY)を除いたtRNA混合物(tRNAMix−Ser(AGY))、アンチコドンをGCUに改変した改変型tRNATyr及びD321R TyrRS変異体を利用して、GFPuv遺伝子中AGUコドンにチロシンの導入を行った。なお、セリンに割り当てられているAGU及びAGCの両者、つまりAGYが、アンチコドンがGCUの改変型tRNATyr1種類により読まれる。ただし、GFPuv遺伝子には、AGCのコドンは存在しない。
反応条件は、ヘペス緩衝液(Hepes−KOH(pH7.5)55mM)、酢酸マグネシウム(10.7mM)、酢酸アンモニウム(27.5mM)、ジチオスレイトール(DTT 1.7mM)、ヌクレオチド三リン酸(ATP 1.25mM,GTP 0.83mM,UTP 0.83mM,CTP 0.83mM)、クレアチンリン酸(80mM)、クレアチンキナーゼ(0.21mg/ml)、T7 RNAポリメラーゼ(本発明者らが単離 0.1mg/ml)、全種類tRNA混合物からtRNASer(AGY)を除いたtRNA混合物(tRNAMix−Ser(AGY))(本発明者らが実施例2に準じて単離 3.4A260unit/ml)、標準型アミノ酸20種(each 1mM)、ホリン酸(68μM)、酢酸カリウム(210mM)、ポリエチレングリコールwt.8000(4%)、TyrRS変異体(D321R TyrRS)(本発明者らが作製 0.02mg/ml)、改変型tRNATyr本発明者らが実施例3に準じて作製 0.2A260unit/ml)、鋳型DNA(20μg/ml)、全種類tRNAを除いた大腸菌S30抽出液(S30/−tRNA)及び脱イオン水を、括弧内に記載された終濃度となるように試験管内に入れて混合した後、30℃で1時間インキュベートした。
反応後ゲル電気泳動を行い、蛍光イメージャーにて解析した。
結果を図12に示す。図12より、全種類tRNAを除いた大腸菌S30抽出液(S30/−ttRNAMix)に全種類tRNAの混合物(tRNAMix)を加えたものは合成物が確認でき(左から2レーン目)、tRNASer(AGY)を除いたtRNA混合物(tRNAMix−Ser(AGY))を加えた場合は合成が確認できなかった(左から3レーン目)。また、S30/−tRNAMix、tRNAMix−Ser(AGY)、改変型tRNATyr、及びTyrRS変異体(D321R)全てを加えた場合、合成が確認できた(左から4レーン目)。このことから、セリン用コドンAGUコドンをチロシンに割り当てることが可能となった。また、我々はチロシンアナログを導入するための変異体の作製にも成功しており、これと組み合わせることで、AGUコドンに非天然アミノ酸(チロシンアナログ等)を導入できる。
本発明により、変異アミノ酸を導入しようとするタンパク質をコードする遺伝子を変異させる必要なく、確実にコドン特異的に変異アミノ酸を入れた非天然アミノ酸蛋白質を効率的に製造できるようになった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
[配列表]

Claims (12)

  1. 無細胞タンパク質合成系に、
    (1)タンパク質をコードする遺伝子、
    (2)改変型tRNATyr、および
    (3)前記改変型tRNATyrをチロシンアナログ化することができる変異型チロシルtRNA合成酵素
    を添加して、前記タンパク質中の特定部位のアミノ酸を非天然アミノ酸に変異させた非天然アミノ酸含有タンパク質を製造する方法。
  2. 前記改変型tRNATyrがアンチコドンを前記タンパク質中の前記特定部位をコードするコドンに対応させた請求項1記載の非天然アミノ酸含有タンパク質を製造する方法。
  3. 前記無細胞タンパク質合成系が、前記タンパク質の非天然アミノ酸に変異させる特定部位のアミノ酸コドンに対応する天然のtRNAを選択的に減少又は除去された無細胞タンパク質合成系を用いる請求項1又は2記載の非天然アミノ酸含有タンパク質を製造する方法。
  4. 変異させる特定部位のアミノ酸コドンに対応するtRNAを固定化プローブDNAを用いて無細胞タンパク質合成系から減少又は除去された請求項3記載の方法。
  5. 前記無細胞タンパク質合成系が、非天然型アミノ酸の導入に不必要な因子を選択的に減少又は除去された無細胞タンパク質合成系を用いる請求項1又は2記載の非天然アミノ酸含有タンパク質を製造する方法。
  6. 前記無細胞タンパク質合成系が、タンパク質合成に最低限必要な因子から構成され、非天然型アミノ酸の導入に不必要な因子を選択的に減少又は除去された無細胞タンパク質合成系及び/又は非天然型アミノ酸の導入に必要な因子を1又は数種類含むタンパク質合成系を用いる請求項1又は2記載の非天然アミノ酸含有タンパク質を製造する方法。
  7. 変異型チロシルtRNA合成酵素がD321R変異体である請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
  8. 改変型tRNATyrのアンチコドン部分がコドンAGY用に変更された改変型tRNATyrである請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
  9. 変異型チロシルtRNA合成酵素が、以下の(1)、(2)又は(3)のいずれかからなる変異体である請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
    (1)配列番号1で示される酵母由来チロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列のアミノ酸残基長100以上の部分配列に対して、1又は数個のアミノ酸が置換、付加及び/又は欠失した配列で示される、改変型tRNATyrをチロシンアナログ化できる変異型チロシルtRNA合成酵素
    (2)配列番号1で示されるチロシルtRNA合成酵素のアミノ酸配列に対し、1又は数個のアミノ酸が置換、付加及び/又は欠失した配列で示される、改変型tRNATyrをチロシンアナログ化できる変異型チロシルtRNA合成酵素
    (3)配列番号1で示される酵母由来チロシルtRNA合成酵素と同一性が90%以上のアミノ酸配列で示され、改変型tRNATyrをチロシンアナログ化変異型チロシルtRNA合成酵素
  10. 改変型tRNATyrが以下の(1)、及び/又は(2)からなる改変型tRNATyrである請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
    (1)酵母tRNATyrの塩基配列において、アンチコドン部位及び/又はその他塩基が変更された塩基配列で表される改変型tRNATyr
    (2)tRNATyrの塩基配列において、少なくとも3’末端にACCAの配列を有する塩基配列で表される改変型tRNATyr
  11. 改変型tRNATyrが以下の(1)又は(1)及び(2)からなる改変型tRNATyrである請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
    (1)酵母tRNATyrの塩基配列において、アンチコドン部位が、ACU、UAA、GCG、GCU、GGA、及びUGUから選択されるいずれかのアンチコドンである改変型tRNATyr
    (2)少なくとも3’末端にACCAの配列を有する改変型tRNATyr
  12. 無細胞タンパク質合成系に、
    (1)タンパク質をコードする遺伝子、
    (2)改変型tRNATyr、および
    (3)前記改変型tRNATyrをチロシル化することができる変異型チロシルtRNA合成酵素を添加し、前記タンパク質中の特定部位のアミノ酸を他のアミノ酸に変異させた非天然タンパク質を製造する方法。
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