JP6814533B2 - タンパク質を製造するための翻訳系、及びタンパク質の製造方法 - Google Patents
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Description
また、無細胞翻訳系や大腸菌等においても、普遍遺伝暗号と異なる新しい遺伝暗号を用いれば、遺伝子の取り扱いに注意を要するタンパク質も安全に合成することができる。
そのため、普遍遺伝暗号とは異なる新しい遺伝暗号にしたがう、既存の生物と直交する遺伝子、すなわち既存の生物においては機能性のタンパク質をコードしない遺伝子を用いてタンパク質を製造する方法が求められていた。
すなわち、タンパク質をコードする核酸におけるこれらのアミノ酸のコドンを入れ替える一方、それぞれのアミノアシルtRNAにおけるアンチコドンとアミノ酸の関係を入れ替えたところ、普遍遺伝暗号とは異なる新遺伝暗号にしたがって、所望のアミノ酸配列を有するタンパク質を発現させることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕所定のアミノ酸配列を有するポリペプチドを、普遍遺伝暗号とは異なる暗号にしたがって発現させる翻訳系であって、
前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリン、ロイシン、及びアラニンのうち少なくとも2つのアミノ酸をコードするコドンを入れ替えた配列を有する鋳型核酸と、
(i)前記入れ替え後のコドンに対するアンチコドンを有し、且つ入れ替え前のコドンがコードするアミノ酸が結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)前記入れ替え後のコドンに対するアンチコドンを有し、入れ替え前のコドンがコードするアミノ酸に対応するアミノアシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA若しくはこれをコードする核酸と、該アミノ酸と、該アミノアシルtRNA合成酵素若しくはこれをコードする核酸と、
を含む翻訳系;
〔2〕上記〔1〕に記載の翻訳系であって、
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンとロイシンのコドンを入れ替えた配列を有し、
(i)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(iii)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系;
〔3〕上記〔1〕に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンとアラニンのコドンを入れ替えた配列を有し;
(i)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(iii)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系;
〔4〕上記〔1〕に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、ロイシンとアラニンのコドンを入れ替えた配列を有し;
(i)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(iii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系;
〔5〕上記〔1〕に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンのコドンをロイシンのコドンに、ロイシンのコドンをアラニンのコドンに、アラニンのコドンをセリンのコドンに入れ替えた配列を有し;
(i)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;
(iii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(v)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(vi)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系;
〔6〕上記〔1〕に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンのコドンをアラニンのコドンに、アラニンのコドンをロイシンのコドンに、ロイシンのコドンをセリンのコドンに入れ替えた配列を有し;
(i)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;
(iii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(v)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(vi)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系;
〔7〕上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の翻訳系を含む細胞;
〔8〕上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の翻訳系を含む生物;及び
〔9〕所定のタンパク質を製造する方法であって、
上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の翻訳系において、前記鋳型核酸から前記所定のタンパク質を発現させる工程を含む、方法
に関する。
また、本発明に係る翻訳系を遺伝子組換え微生物や遺伝子組換え植物などの遺伝子組換え生物に応用すれば、自然界の植物に改変された遺伝子が伝播して有害なタンパク質が発現されることも防ぐことができる。
上記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリン、ロイシン、及びアラニンのうち少なくとも2つのアミノ酸をコードするコドンを入れ替えた配列を有する鋳型核酸と、
入れ替え後のコドンに対するアンチコドンを有し、且つ入れ替え前のコドンがコードするアミノ酸が結合したアミノアシルtRNAと、を含む。
なお、本明細書において、普遍遺伝暗号表にしたがって解読される遺伝子を普遍遺伝子、普遍遺伝暗号表にしたがってmRNAを解読するtRNAを普遍tRNAと呼ぶこともある。
このような核酸は、通常の核酸合成方法によって合成することができる。
例えば、本発明の翻訳系は、大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物由来の培養細胞等を用いた翻訳系とすることができる。例えば、大腸菌の場合、そのゲノムの既存のtRNA遺伝子を、入れ替え後のコドンに対するアンチコドンを有し、入れ替え前のコドンがコードするアミノ酸に対応するアミノアシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA遺伝子に置き換えることで、翻訳系を得ることができる。アミノアシルtRNA合成酵素とtRNAに結合させるアミノ酸は、本来大腸菌が有するものを利用することができる。タンパク質を得るためには、所定のポリペプチドをコードする核酸配列において、セリン、ロイシン、及びアラニンのうち少なくとも2つのアミノ酸をコードするコドンを入れ替えた配列を有する鋳型核酸を挿入した発現ベクターにより、当該大腸菌を形質転換する。
その他のアミノ酸については、自然界において結合するtRNAと結合させてアミノアシルtRNAとして翻訳系に加えてもよく、自然界において結合する各アミノ酸に対応するtRNA若しくはこれらをコードする核酸と、アミノアシルtRNA合成酵素若しくはこれらをコードする核酸と、各アミノ酸と、を翻訳系に加えてもよい。後者の場合、アミノアシルtRNA合成酵素により、アミノ酸と対応するtRNAが結合して、アミノアシルtRNAが産生される。
本実施例で用いた新遺伝暗号1及び2の概要を図2に示す。普遍遺伝暗号(図2A)では、Alaは、GCUコドンとGCCコドンに、LeuはCUUコドンとCUCコドンに、Serは、UCUコドンとUCCコドンにそれぞれコードされている。
新遺伝暗号1(図2B下段)では、Alaは普遍遺伝暗号と同様にGCUコドンとGCCコドンにコードされ、LeuはUCUコドンとUCCコドンに、Serは、CUUコドンとCUCコドンにそれぞれコードされている。新遺伝暗号1を用いて翻訳を行うために、tRNASerとtRNALeuのアンチコドンループを交換したtRNAを作製した(図2B上段)。
新遺伝暗号2(図2C下段)では、AlaはCUUコドンとCUCコドンにコードされ、LeuはUCUコドンとUCCコドンに、Serは、GCUコドンとGCCコドンにそれぞれコードされている。新遺伝暗号2を用いて翻訳を行うために、tRNAAlaとtRNASerとtRNALeuのアンチコドンループを図のように交換したtRNAを作製した(図2C上段)。以下に具体的な実験方法を記載する。
2−1.再構成無細胞翻訳系の調製
クレアチンキナーゼ、クレアチンホスファターゼ、及び大腸菌tRNAはRoche Diagnosticsより購入した。ミオキナーゼは、Sigma-Aldrich社より購入した。リボソームは、Clemonsらの方法(Clemons, W. M. et al. J. Mol. Biol. 310, 827-843, doi:10.1006/jmbi.2001.4778 (2001).)に準ずる方法を用いてE. coli A19株から精製した。翻訳のための化合物及びタンパク質も公知の方法にしたがって調製した(Josephson, K., Hartman, M. C. T. & Szostak, J. W., J. Am. Chem. Soc. 127, 11727-11735, doi:10.1021/ja0515809 (2005).; Baggott, J. E., Biochem. J. 308, 1031-1036 (1995).; Shimizu, Y. et al. Nat. Biotechnol. 19, 751-755, doi:10.1038/90802 (2001).)。これらの翻訳因子はIshizawaらの方法(Ishizawa, T., Kawakami, T., Reid, P. C. & Murakami, H., J. Am. Chem. Soc. 135, 5433-5440 (2013).)にしたがって保存し、最終濃度は、下表のとおりとした。
常法により、C5タンパク質の遺伝子を含むpET21aプラスミドで、大腸菌(E. coli Rosetta 2)を形質転換した。形質転換された大腸菌を100 μg/mLのアンピシリン、20 μg/mLのクロラムフェニコール、及び1%(w/v)のグルコースを含むアガープレート上で懸濁し、37℃で一晩インキュベートした。大腸菌の培養物は、37℃で、100 μg/mLのアンピシリン、20 μg/mLのクロラムフェニコール、及び1%(w/v)のグルコースを含むLB培地(40mL)で、OD590が約2.0を超えるまで増殖させた。大腸菌の培養物20 mLを、100 μg/mLのアンピシリン、20 μg/mLのクロラムフェニコール、及び1%(w/v)のグルコースを含むLB培地(500mL)に加え、OD590が0.79になるまで37℃で増殖させた。0.5 mMのIPTGを加えてC5タンパク質の発現を誘導し、25℃で一晩インキュベートした。4℃で2分、9000rpmの遠心分離で細胞を回収し、600μLエタノールに溶解させた12 mgのフッ化フェニルメチルスルホニルを含む70mLのB1バッファ(300 mM KCl, 50 mM Tris-HCl pH 8.0, 5 mM imidazole pH 7.5, 0.2 mM DTT, 10 mM MgCl2, 1 M NH4Cl, 0.25% (v/v) Tween20)に再懸濁した。細胞を6分間の超音波処理で破砕し、細胞破砕物を13,000 rpm、15分、4℃で遠心分離した。上清を回収し、21 gの(NH4)2SO4を加え、13,000 rpm、5分、4℃で遠心分離した。沈殿物を10 mLのB1バッファに溶解させた。C5タンパク質は、Ni-アフィニティカラムで精製し、溶出バッファ(300 mM KCl, 20 mM Hepes-K pH 7.5, 250 mM imidazole pH 7.5, 0.2 mM DTT, 10 mM MgCl2, 1 M NH4Cl, 0.25% (v/v) Tween20)で溶出させた。C5タンパク質の濃度を280nmの吸光度で測定した後、20%グリセロール中、-80℃で保存した。
伸長反応(10 μL)は以下の条件で行った:1×PCRバッファ(10 mM Tris-HCl pH 8.4, 100 mM KCl, 0.1% (v/v) Triton X-100, 2 mM MgSO4, 0.2 mM each dNTP (dATP, dTTP, dGTP, dCTP)), 各1 μMのeX.F primer, 各1 μMのeX.R primer, 1.6 nM Phusion DNA polymerase(下表参照)。
pre-tDNAGln、pre-tDNAPro、及びpre-tDNATrpを調製するために、最初のPCR(800μL)を次の条件で行った:1 × PCR buffer、0.5 μM T7pro-leader.F36、各0.5 μMのPCR1.R primer、1.6 nM Phusion DNA polymerase、2.5% (v/v) of the extension mixture(上表参照)。他のtDNAの調製のために、最初のPCR(200μL)を次の条件で行った:1 × PCR buffer、0.5 μM T7ex5.F22、各0.5 μMのPCR1.R primer、1.6 nM Phusion DNA polymerase、2.5% (v/v) of the extension mixture。
上記溶液を94℃で3分加熱した後、94℃で20秒、50℃で20秒、72℃で30秒を12サイクル繰り返しDNAを増幅した。
2回目のPCR(3.2 mLのtDNALys、2.4 mLのpre-tDNAGln、pre-tDNAPro、pre-tDNATrp、1.6 mLのその他のtDNAs)は次の条件で行った:1 × PCR buffer、1 μM T7ex5.F22、各1 μMのPCR2.R primer、1.6 nM Phusion DNA polymerase、0.5% (v/v)の最初のPCR溶液(表3、4参照)。
この溶液を94℃で3分加熱した後、94℃で20秒、50℃で20秒、72℃で30秒を12サイクル繰り返してDNAを増幅した。
in vitro転写(tRNALys:24 mL、pre-tRNAGln:12 mL、pre-tRNAPro、pre-tRNATrp、及びその他のtRNA:8 mL)は次の条件で行った:1 × T7 buffer(40 mM Tris-HCl pH 8.0、1 mM spermidine、5 mM KCl、0.01% (v/v) Triton X-100、10 mM DTT)、22.5 mM MgCl2、各3.25 mMのNTP (ATP, TTP, GTP, CTP)、5 mM GMP、0.3 μM T7 RNA polymerase、約20% (v/v)の2回目のPCR溶液。反応溶液を37℃で12時間インキュベートした。pre-tRNAGln、pre-tRNAPro、及びpre-tRNATrpはRNase P (下記参照)で切断した。他のtRNAは、16 μLのDNase I (10 u/μL)及び16 μLの3 M MgCl2と混合し、37℃で36時間インキュベートした。フェノール/クロロホルム抽出後、400 μLの0.5 M EDTA pH8.0、及び800 μLの3 M NaClを溶液に加えた。8 mLの2-プロパノールを加えてtRNAを沈殿させた。沈殿物を10mLの0.3M NaClに溶解させ、8 mLの2-プロパノールを加えて沈殿させた。70%エタノールによる洗浄後、tRNAを超純水500μLに溶解させた。各tRNAの濃度を260 nmの吸光度で測定した。in vitro転写されたtRNAのすべての配列を下表に示す。
最初のPCR(50μL)は次の条件で行った:1 × KOD -Plus- PCR Buffer (TOYOBO)、1.5 mM MgSO4、各0.2 mMのdNTP、0.25 μM pGEM-Tseq.R20、0.25 μM M1RNA.R22、8 ngのM1 RNA template plasmid、0.05 U/μLのKOD DNA polymerase (TOYOBO)。
この溶液を、94℃で3分加熱した後、94℃で15秒、55℃で30秒、68℃で1分を25サイクル繰り返して、DNAを増幅した。
2回目のPCR(1.6 mL)は次の条件で行った:1 × PCR buffer、0.5 μM T7ex5.F22、0.5 μM M1RNA.R22、1.6 nM Phusion DNA polymerase。
この溶液を94℃で3分加熱した後、94℃で30秒を、50℃で30秒、72℃で1分を25サイクル繰り返し、DNAを増幅した。
in vitro転写(8 mL)は、次の条件で行った:1 × T7 buffer、30 mM MgCl2、20% (v/v)の2回目のPCR溶液、0.3 μM T7 RNA polymerase。
tRNAの精製と同様の方法でM1 RNAを精製した。M1 RNAの濃度は、260nmの吸光度で測定した。
M1 RNAを、次の条件でリフォールディングさせた:7.5 μM M1 RNA、1× T7 buffer、100 mM NH4Cl。
溶液を94℃で1分加熱し、0.5℃/秒で37℃まで冷却し、5分インキュベートした。5 mMのMgCl2と5 μMのC5タンパク質を加えた後、溶液を25℃で5分インキュベートした。得られたRNase P溶液1080μL、500 μLの3 M NH4Cl、30 μLの3 M MgCl2、及び240 μLのDNase I (1 u/μL, Roche)を、12 mLのpre-tRNAGln、pre-tRNAPro又はpre-tRNATrp溶液に加えた。溶液を37℃で12時間インキュベートした。前述の方法でtRNAの精製を行った。tRNAの濃度は260 nmの吸光度で測定した。
ペプチド発現のためのDNA鋳型は、以下の方法で調製した。伸長反応(5μL)を次の条件で行った:1 × KOD PCR Buffer (TOYOBO)、1.5 mM MgSO4、0.2 mM each dNTP、1 μM T7esD6MYYY.F55、1 μM MYYYxDDuaaAS.R38 [5′-CGAAG CTTAG TCGTC X GTAGT AGTAC ATGTT TTTCT-3′; (x, X) = (gcu, AGC), (cgu, ACG), (aau, ATT), (gau, ATC), (ugu, ACA), (cag, CTG), (gag, CTC), (ggu, ACC), (cau, ATG), (auu, AAT), (cuu, AAG), (aag, CTT), (aug, CAT), (uuu, AAA), (ccu, AGG), (ucu, AGA) (acu, AGU), (ugg, CCA), (uau, ATA), or (guu, AAC)]、(下表参照)、0.05 U/μL のKOD DNA polymerase。
PCR(200μL)は次の条件で行った:10 mM Tris-HCl pH 8.4、50 mM KCl、0.1% (v/v) Triton X-100、2 mM MgCl2、各0.25 mMのdNTP、0.5 μM T7ex5.F22、0.5 μM each MYYYxDDuaaAS.R38、0.05% (v/v)の伸長したDNA、1% (v/v) Taq DNA polymerase。
94℃で40秒、60℃で40秒、72℃で40秒を12サイクル繰り返しDNAを増幅した。フェノール/クロロホルム抽出後、DNA産物をエタノール沈殿により回収し、20μLの超純水に溶解させた。
ストレプトアビジン遺伝子は、Eurofins Genomicsが合成した。対応する遺伝暗号にしたがって、遺伝子をそれぞれCGC.stv、NGC1.stv、及びNGC2.stvと名付けた。
ストレプトアビジン遺伝子の配列は図8に示す。
最初のPCR(5μL)は次の条件で行った:1 × KOD -Plus- PCR Buffer、1.5 mM MgSO4、各0.2 mMのdNTP、2 ngのCGC.stv、NGC1.stv、又はNGC2.stv template plasmid、1 μM T7g10M.F48、1 μM CGCStv.R20、NGC1Stv.R20、又はNGC2Stv.R20、0.05 U/μL のKOD DNA polymerase。
この溶液を、94℃で3分加熱した後、94℃で20秒、55℃で30秒、68℃で1分を15サイクル繰り返しDNAを増幅した。
2回目のPCR(10μL)は、次の条件で行った:1 × KOD -Plus- PCR Buffer、1.5 mM MgSO4、各0.2 mMのdNTP、0.025% (v/v)の最初のPCR溶液、1 μM T7g10.F26、1 μM CGCStv.R20、NGC1Stv.R20、又はNGC2Stv.R20、0.05 U/μLのKOD DNA polymerase。
この溶液を94℃で3分加熱した後、94℃で20秒、55℃で30秒、68℃で1分を15サイクル繰り返してDNAを増幅した。
3回目のPCR(8 mL)は、次の条件で行った:1 × PCR buffer、0.05% (v/v)の2回目のPCR溶液、1 μM T7g10.F26、1 μM CGCStv.R20、NGC1Stv.R20、又はNGC2Stv.R20、1.6 nM Phusion DNA polymerase。
この溶液を94℃で3分加熱した後、94℃で20秒、55℃で30秒、72℃で1分を12サイクル繰り返してDNAを増幅した。フェノール/クロロホルム抽出後、DNA産物を2-プロパノール沈殿で回収し、200μLの超純水に溶解させた。
20種類のタンパク質性アミノ酸を含まない再構成無細胞翻訳系を公知の方法にしたがって調製した。in vitro転写されたtRNAfMet、tRNAAsp、tRNATyr、及びtRNAXaaを混合し、5倍に希釈した。95℃で3分間加熱した後、エタノール沈殿によりtRNAを沈殿させ、超純水に溶解させた。
翻訳(1μL)は次の条件で行った:20% (v/v)のDNA template solution、各250 μMの19のタンパク質性アミノ酸(Asp以外)、50 μM [14C]-Asp、及び1.5 μ/μLのネイティブtRNA又は各12 μMのin vitro転写されたtRNAfMet、tRNAAsp、tRNATyr、及びtRNAXaa。
翻訳の正確性の解析では、xコドンを割り当てられたアミノ酸を、各反応液のDNA鋳型から除いた。他の成分の濃度は上記表2に示す。
上記溶液を、37℃で2時間インキュベートした。得られた産物をトリシン−SDS PAGE及びオートラジオグラフィ(FLA-5100, Fuji)で解析した。また、[14C]-Aspに代えてAspを用いて同様の実験を行い、得られた産物を公知の方法にしたがってautoflex II(BRUKER DALTONICS)で測定した。
普遍遺伝暗号、新遺伝暗号1、及び新遺伝暗号2のために、in vitro転写された21のtRNAを調製した。in vitro転写(1.5μL)は、次の条件で行った:20% (v/v)のストレプトアビジン遺伝子、各250 μMの19のタンパク質性アミノ酸(Asp以外)、50 μM [14C]-Asp、及び1.5 μg/μLのネイティブtRNA又は各12 μMのin vitro転写されたtRNA。
この溶液を37℃で2時間インキュベートした。得られた産物をトリシン−SDS PAGE及びオートラジオグラフィで解析した。また、[14C]-Aspの代わりにAspを用いて同様の実験を行い、得られた産物を、0.01%(w/v)のBSAを含むTBST(25 mM Tris-HCl pH 7.5、150 mM NaCl、0.1% Tween20)で20倍に希釈した。希釈後の産物2μLを、ニトロセルロース膜(GE Healthcare UK Ltd.)にスポットし(トリプリケート)、0.2% (w/v) BSAを含むTBSTで10分間ブロッキングした後、0.2% (w/v) BSAを含むTBST中の15μgのビオチン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(Invitrogen。3回限外ろ過したもの)で30分標識し、TBSTでの洗浄を5分ずつ3回行った。ビオチンに結合したストレプトアビジンを検出するため、ニトロセルロース膜をLuminata(商標) Western HRP Substrate (MILLIPORE)と共にインキュベートした。Ez-Capture MG (ATTO)を使用して蛍光を測定した。各スポットの蛍光強度はImage Jを用いて解析した。
3−1.in vitro転写したtRNAの調製及び翻訳反応における活性の評価
in vitro転写により20種類のタンパク質性アミノ酸に対応するtRNA(表5)を調製した。また、3つのtRNA(tRNATrp, tRNAGln, tRNAPro)について、これらのtRNAは1位と72位の塩基がアミノアシルtRNA合成酵素による認識に関与しているため、追加のRNase P13処理を行い調製した。原則として、in vitro転写したtRNAは、Escherichia coli K12株のネイティブtRNAの配列を基にして設計し、いくつかのtRNAには次のような変異を加えた。tRNALys UUU及びtRNAGlu UUCのU34のチオウリジン誘導体が翻訳に重要であることから、tRNALys UUU及びtRNAGlu UUCのwobble position 34をUからCに置換した。これにより、アミノアシル化のKcat/Kmは著しく低下するものの、正しいコドンの翻訳活性が回復することが知られている。また、tRNAAsn GUUの1U72AとtRNAIle GAUの1A72Uを1G72Cに、tRNAfMet CAUの1Cを1Gに変異させることにより、RNase Pを操作しないでこれらのtRNAをin vitro転写で調製した。さらに、tRNAArg ACGのA34をG34に変異させることにより、tRNAArg GCGを調製した。図2B及び2Cに示すコドンシャッフル型遺伝暗号(codon-shuffled genetic code)1及び2を用いた翻訳系を構築するために、アンチコドンのみでなく、アンチコドンループ全体を交換したキメラtRNAAla、tRNALeu、及びtRNASerも調製した。この設計は、 tRNAによる翻訳の正確性には、アンチコドンループの塩基配列が重要であるという知見に基づく。
再構成型翻訳系における、これらのin vitro転写されたtRNAの正しいコドンの解読能力を調べるために、次のペプチド発現アッセイを行った。すなわち、in vitro転写されたtRNAfMet CAU、tRNAAsp GUC、tRNATyr GUA、tRNAXaa、及びペプチドの鋳型5′-UTR-ATG-(TAC)3-NNN-(GAC)2-TAA-UTR-3′(UTRは非翻訳領域を示し、XaaはNNNコドンに対応するアミノ酸を示す。)(図4A)。[14C]-Aspを加えて正しい NNNコドンをtRNAXaaで解読すると、[14C]-Aspで標識されたぺプチドMet-(Tyr)3-Xaa-(Asp)2が産生される。実際、トリシンSDS PAGEとオートラジオグラフィを用いた解析により、ペプチドが、それぞれの鋳型DNAから発現したことが確認された(図4B)。
NNNの位置がTACコドンである鋳型を除いて、ゲルには1本のバンドが見られた。TACコドンの場合には、期待されたメインのバンドのほかに、tRNATyr GUAによるUAAストップコドンの解読ミスにより生じたと考えられる小さなバンドが見られた。より重要なことは、各ペプチドの移動度が、ネイティブtRNAを用いて翻訳したペプチドと同じであったことである(図5C)。ペプチドに、対応するアミノ酸が存在することを確認するために、[14C]-Aspの代わりにAsp用いて、鋳型DNAを同じように翻訳し、翻訳産物をMALDI-TOF-MSで解析した。予想どおり、発現したペプチドの質量は、計算で求めた質量と一致した。トリシンSDS PAGEの移動度及びMALDI-TOF-MSの質量分析データは、in vitro転写されたtRNAが正しいコドンを翻訳できることを示した。
キメラtRNAの翻訳能力を調べるために、キメラtRNALeu GGA、tRNASer GAG、tRNAAla GAG、tRNASer GCC、及び対応するDNA鋳型を用いて同様の実験を行った。トリシンSDS PAGEの結果とMALDI-TOF-MSによる質量分析の結果から、すべての翻訳反応で期待どおりのペプチドが発現したことが示された(図4−6)。これにより、それぞれtRNALeu GGA、tRNASer GAG、tRNAAla GAG、tRNASer GCCを用いることにより、LeuにUCCコドン、SerにCUCコドン、AlaにCUCコドン、SerにGGCコドンを割り当てられることが明らかとなった。
in vitro転写したtRNAの塩基は修飾を受けないため、ネイティブtRNAに比較して、in vitro転写したtRNAによる翻訳の正確性の低下が懸念された。この点を確認するため、ネイティブtRNAセット及びin vitro転写されたtRNAセットの解読ミスを比較した。
まず、普遍遺伝暗号を用いる翻訳のために、in vitro転写されたtRNAセットとして、20種類のタンパク質性アミノ酸に対応するin vitro転写した20種類のtRNAとtRNAfMetを混合して使用した。また、ネイティブなtRNAセットとして、E. coli MRE600から抽出したtRNAを用いた。これらのRNAセットを、tRNAを除いた再構成型翻訳系に加え、NNNコドンに対応するXaaの非存在下でペプチド翻訳を行った(図7)。この翻訳反応では、tRNAセットが正しいコドンのみを正確に翻訳する場合には、ペプチドが発現しないが、翻訳の正確性が低く、間違ったコドンを翻訳する場合は、いくつかのペプチドが発現する。
その結果、ネイティブtRNAでも、いくつかのペプチドの発現が見られた。このことは、ネイティブtRNAも、この極端な条件においてはいくつかのコドンを誤翻訳することを示す。これらのバンドの移動度及び質量分析の結果、Alaの代わりにSerが誤って取り込まれたこと、Proの代わりにMetが誤って取り込まれたこと、及びValの代わりにAsnが誤って取り込まれたことがわかった(データ示さず)。これらの結果から、tRNASer GGAは、GCUを誤翻訳し、tRNAMet CAUはCCUを誤翻訳し、tRNAAsn GUUはGUUを誤翻訳することが示唆された。
そこで、次に同じアッセイ系を用いて、in vitro転写されたtRNAのセットのによる翻訳の正確性を調べた。トリシンSDS PAGEの解析結果から、ネイティブtRNAセットと同じ効率で、いくつかのコドンの誤翻訳が生じることが示された(図7)。
以上の結果から、in vitro転写されたtRNAのセットもネイティブtRNAと同様の正確性を持ち、タンパク質発現に用いることができると考えられた。
ストレプトアビジンをモデルタンパク質として、普遍遺伝暗号にしたがってストレプトアビジンをコードする遺伝子を構築した。
コントロールとして、普遍遺伝子の存在下又は非存在下で、ネイティブtRNAと[14C]-Aspを用いた翻訳を行った。トリシンSDS PAGE解析により、普遍遺伝子存在下でストレプトアビジンが発現すること(図3、Lane 1)、及び、普遍遺伝子非存在下ではタンパク質が発現しないこと(図3、Lane 2)が明らかになった。
ビオチン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(biotin-HRP)を用いたドットブロットアッセイも行って、ストレプトアビジンのビオチン結合活性を調べたところ、遺伝子の存在下では結合活性が見られたが(図3、dot 1)、遺伝子の非存在下では見られなかった(図3、dot 2)。これらの結果から、この翻訳系で、普遍ストレプトアビジン遺伝子から活性のあるストレプトアビジンが産生されることが示された。
次に、普遍in vitro転写tRNAセット(普遍tRNAセット;表5のtRNA No. 0-20)を用いて、普遍ストレプトアビジン遺伝子を翻訳した。ネイティブtRNAセットを用いた場合に比較して、ストレプトアビジンの産生率は約70%低下したが(図3、Lane 3)、これは、in vitro転写tRNAセットでは塩基の修飾がなされていないことによるものと考えられた。重要なことに、遺伝子存在下ではビオチン結合活性が見られ(図3、dot 3)、正確な翻訳が行われたことが示唆された。
次に、コドンシャッフル型の遺伝暗号1(CS1 tRNAセット)を解読するために、tRNALeu GGA (tRNA No. 11 in Supplementary Table 1)及びtRNASer GAG (tRNA No. 16)に代えて、tRNALeu GGA (tRNA No. 21) と tRNASer GAG (tRNA No. 22)を用いるin vitro転写されたtRNAセットを調製した。
CS1 tRNAセットを用いた翻訳系では、LeuにはUCU及びUCCコドン、SerにはCUU及びCUCコドンが割り当てられたので(図2B)、ストレプトアビジン遺伝子におけるすべてのLeuコドンとSerコドンが交換されたことになる(図8のCS1 gene参照)。
翻訳系におけるCS1 tRNAセットを用いたCS1遺伝子の翻訳により、普遍遺伝子及び普遍tRNAセットを用いた場合と同程度の量のストレプトアビジンが産生された(図3、Lane 7)。ビオチン結合活性も観察されたが、強度はやや低下していた(図3、Lane 7)。
CS2 tRNAセットを用いたこの翻訳系では、AlaにはCUU及びCUCコドン、LeuにはUCU及びUCCコドン、SerにはGCU及びGCCコドンを割当てた(図2C)。したがって、ストレプトアビジン遺伝子におけるすべてのLeuコドン、Serコドン、及びAlaコドンが入れ替えられた(図8のCS2遺伝子参照)。
CS2 tRNAセットを用いた翻訳系におけるCS2遺伝子の翻訳により、普遍遺伝子及び普遍tRNAセットを用いた場合の約3分の1の量のストレプトアビジンが産生された(図3、Lane 11、dot 11)。これらの実験結果から、コドンシャッフル型遺伝暗号によって、活性のあるストレプトアビジンが発現することが示された。
本発明の最も重要な側面として、コドンシャッフル型遺伝暗号によりコードされる遺伝子の直交性が挙げられる。普遍遺伝暗号に対するコドンシャッフル型遺伝暗号1の直交性を実証するために、普遍tRNAセットを用いた翻訳系でCS1遺伝子を翻訳した。トリシンSDS PAGE解析により、CS1遺伝子からタンパク質が発現したことが示された(図3、Lane 4)。ストレプトアビジン遺伝子には、Serを指定するコドンが14個、Leuを指定するコドンが8個存在するため、産生されたタンパク質では22個のアミノ酸置換が生じることになり(図9)、これはタンパク質のビオチン結合活性を低下させるのに十分な変異であると考えられた。期待されたとおり、普遍tRNAセットを用いた翻訳系でCS1遺伝子を翻訳した産物に、ビオチン結合活性は見られなかった(図3、dot 4)。
Claims (9)
- 所定のアミノ酸配列を有するポリペプチドを、普遍遺伝暗号とは異なる暗号にしたがって発現させる翻訳系であって、
前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリン、ロイシン、及びアラニンのうち少なくとも2つのアミノ酸をコードするコドンを入れ替えた配列を有する鋳型核酸と、
(i)前記入れ替え後のコドンに対するアンチコドンを有し、且つ入れ替え前のコドンがコードするアミノ酸が結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)前記入れ替え後のコドンに対するアンチコドンを有し、入れ替え前のコドンがコードするアミノ酸に対応するアミノアシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA若しくはこれをコードする核酸と、該アミノ酸と、該アミノアシルtRNA合成酵素若しくはこれをコードする核酸と、
を含む翻訳系。 - 請求項1に記載の翻訳系であって、
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンとロイシンのコドンを入れ替えた配列を有し、
(i)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(iii)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系。 - 請求項1に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンとアラニンのコドンを入れ替えた配列を有し;
(i)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(iii)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系。 - 請求項1に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、ロイシンとアラニンのコドンを入れ替えた配列を有し;
(i)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(iii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系。 - 請求項1に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンのコドンをロイシンのコドンに、ロイシンのコドンをアラニンのコドンに、アラニンのコドンをセリンのコドンに入れ替えた配列を有し;
(i)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;
(iii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(v)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(vi)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系。 - 請求項1に記載の翻訳系であって:
前記鋳型核酸は、前記ポリペプチドをコードする核酸配列において、セリンのコドンをアラニンのコドンに、アラニンのコドンをロイシンのコドンに、ロイシンのコドンをセリンのコドンに入れ替えた配列を有し;
(i)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにセリンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(ii)アラニンのコドンに対するアンチコドンを有し、セリルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、セリンと、セリルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;
(iii)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにアラニンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(iv)ロイシンのコドンに対するアンチコドンを有し、アラニルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、アラニンと、アラニルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸;及び
(v)セリンのコドンに対するアンチコドンを有するtRNAにロイシンが結合したアミノアシルtRNA、又は、(vi)セリンのコドンに対するアンチコドンを有し、ロイシルtRNA合成酵素に認識されるtRNA又はこれをコードする核酸と、ロイシンと、ロイシルtRNA合成酵素又はこれをコードする核酸、
を含む翻訳系。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の翻訳系を含む細胞。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の翻訳系を含む生物(ヒトを除く)。
- 所定のタンパク質を製造する方法であって、
請求項1から6のいずれか1項に記載の翻訳系を用いて、前記鋳型核酸から前記所定のタンパク質を発現させる工程を含む、方法(ヒトにおいて実施する方法を除く)。
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