JPWO2006134884A1 - エステル化反応用反応装置並びにエステル化物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、カルボン酸と、アルコール等のヒドロキシル基を有する化合物とのエステル化反応に好適であり、反応中に内壁面へのスケールの付着性が改良された反応装置、並びに、この反応装置を用いたエステル化物の製造方法を提供することである。本発明の反応装置1は、円筒状容器11と、円筒状容器11の外周部に配設された冷加熱ジャケット12とを備え、円筒状容器11内の反応液の液面最高点より、冷加熱ジャケット12の配設位置の最高点を低くして、カルボン酸のエステル化反応を行うものであり、冷加熱ジャケット12の配設位置の最高点は、式0.02<(y−x)/x<0.3を満たす位置にある〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕。

Description

本発明は、カルボン酸と、アルコール等のヒドロキシル基を有する化合物とのエステル化反応に好適であり、反応中に内壁面へのスケールの付着性が改良された反応装置、並びに、この反応装置を用いたエステル化物の製造方法に関する。
従来、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル化物を酸性触媒の存在下で製造するために、例えば、図4に示されるような、反応容器としての円筒状容器11と、該円筒状容器11の大部分を覆うことができ且つ該円筒状容器11に仕込まれた反応用原料全体を加熱及び冷却することができる冷加熱ジャケット12と、攪拌手段とを備える反応装置2が用いられている。
アクリル酸等と、ヒドロキシル基を有する化合物とを用いたエステル化反応は、通常、冷加熱ジャケット12に加熱媒体を導入して、反応用原料を加熱しながら行われる。反応が進行するにつれ、エステル化物の生成、脱水による水の副生等により反応液の組成が変化する。従って、図4に示されるような反応装置2を用いると、攪拌により、冷加熱ジャケット12に覆われた円筒状容器11上方の内壁部分(気液界面付近)に不定時に達する反応液が過加熱され、該反応液に含まれている、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの熱重合体や副生成物がスケールとして上記内壁部分に固着する、更には、エステル化物の収率が低下するといった問題があった。
スケールの付着性を改善するために、例えば、特定のニッケル合金製の反応容器を使用する方法が開示されている(例えば、特許文献1等)。
エステル化反応の後、付着したスケールは、有機溶剤、アルカリ、水等を用いて溶解させ、反応容器の洗浄等が行われる。しかしながら、スケールが大量である場合には、その除去に長時間を要し、生産性の低下を招くといった問題もある。
特開2001−213844号公報
特許文献1に開示された反応容器を使用すると、スケールの付着量が減少し、また、スケールの除去性も向上するが、未だ十分ではない。
本発明は、反応容器の内壁へのスケール付着を低減することができ、所望のエステル化物を高い操業性をもって製造することができる反応装置、並びに、この反応装置を用いたエステル化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、エステル化反応時におけるジャケットの配設位置の最高点を、反応液の最高点より低くした反応装置を用いることにより、反応容器の内壁へのスケール付着を低減することができ、所望のエステル化物を高い操業性をもって製造することができることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の反応装置は、円筒状容器と、該円筒状容器の外周部に配設された冷加熱ジャケットとを備え、上記円筒状容器内の反応液の液面最高点より、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点を低くして、カルボン酸のエステル化反応を行う反応装置であって、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点は、下記式を満たす位置にあることを特徴とする。
0.02<(y−x)/x<0.3
〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕
上記冷加熱ジャケットは、一体型又は分割型であることが好ましい。
本発明のエステル化物の製造方法は、円筒状容器と、該円筒状容器の外周部に配設された冷加熱ジャケットとを備える反応装置を用い、カルボン酸、ヒドロキシル基を有する化合物、酸性触媒及び反応溶媒を含む反応用原料を上記円筒状容器に仕込んだ後、反応液の液面最高点を冷加熱ジャケットの配設位置の最高点より高くして、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点が、下記式を満たすように制御しながら上記反応用原料を加熱することを特徴とする。
0.02<(y−x)/x<0.3
〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕
上記加熱は、冷加熱ジャケット内に飽和水蒸気を導入して行うことが好ましい。
上記飽和水蒸気の圧力が、−0.07〜0.5MPaGの範囲にあることが好ましい。
上記エステル化は、反応溶媒を沸騰させながら行うことが好ましい。
上記カルボン酸が、アクリル酸及び/又はメタクリル酸であることが好ましい。
上記ヒドロキシル基を有する化合物が、2以上のヒドロキシル基を有することが好ましい。
本発明の反応装置によれば、不飽和カルボン酸のエステル化物を製造した場合等において、反応中に生成したエステル化物の重合体や副生成物等がスケールとして円筒状容器の内壁へ付着するのを低減することができ、所望のエステル化物を効率よく製造することができる。エステル化物の製造後、円筒状容器に付着したスケールの除去を短時間で行うことができ、連続製造に好適である。
本発明のエステル化物の製造方法によれば、不飽和カルボン酸のエステル化物を製造した場合等において、反応中に生成したエステル化物の重合体や副生成物等がスケールとして円筒状容器の内壁へ付着するのを低減することができ、所望のエステル化物を高収率で効率よく製造することができる。特に、カルボン酸としてアクリル酸及び/又はメタクリル酸を、ヒドロキシル基を有する化合物として2以上のヒドロキシル基を有する化合物を、それぞれ用いる場合には、蒸留等により精製しにくいエステル化物を、高収率で且つ効率よく製造することができる。
本発明の反応装置の一例を示す概略説明図である。 本発明の反応装置の他の例を示す概略説明図である。 本発明の反応装置の他の例を示す概略説明図である。 従来の反応装置の一例を示す概略説明図である。
符号の説明
1,1’及び1";反応装置
11;円筒状容器
12;(一体型)冷加熱ジャケット
121及び122;分割型冷加熱ジャケット
13;回転軸
14;攪拌翼
15;邪魔板
16;内部熱交換装置
18;反応液の液面
2;従来の反応装置。
以下、本発明を詳しく説明する。
1.反応装置
本発明の反応装置は、円筒状容器と、該円筒状容器の外周部に配設された冷加熱ジャケットとを備え、上記円筒状容器内の反応液の液面最高点より、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点を低くして、カルボン酸のエステル化反応を行う反応装置であって、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点は、下記式を満たす位置にあることを特徴とする。
0.02<(y−x)/x<0.3
〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕
本発明の反応装置は、酸性触媒の存在下、カルボン酸と、ヒドロキシル基を有する化合物とのエステル化物を製造するための反応装置である。以下、図を用いて説明する。
図1の反応装置1は、円筒状容器11と、該円筒状容器11の外周部(側周部)に配設された冷加熱ジャケット12とを備える。また、図2の反応装置1’は、円筒状容器11と、該円筒状容器11の外周部(側周部)に配設された、2基の冷加熱ジャケット121及び122とを備える。
円筒状容器は、通常、直径より高さの方が長く、底が凹面の縦型容器である。尚、容器の直胴部は、部分的にくびれていてもよい。また、容器の上方部は、一部を開放できるセパラブル型であってもよい。
上記円筒状容器の構成材料は、特に限定されないが、加熱等による熱伝導性に優れ、触媒成分により腐食等変質されない材料が好ましい。従って、上記円筒状容器の構成材料としては、ステンレス、ジルコニウム又はその合金、ニッケル合金等が挙げられる。また、上記材料からなるものであって、内壁面がグラスライニング処理された容器を用いることもできる。
上記「ジルコニウム合金」は、好ましくはジルコニウムを90質量%以上含むものであり、例えば、ジルカロイ、Zr−Hf合金、Zr−Nb合金等が挙げられる。
また、上記「ニッケル合金」は、好ましくはニッケルを30質量%以上含むものであり、例えば、Ni−Cr合金、Ni−Mo合金、Ni−Cr−Mo合金等が挙げられる。
上記円筒状容器の容積は、特に限定されないが、工業的な生産効率を考慮して、好ましくは0.5〜100m、更に好ましくは3〜65mである。エステル化反応を行う際の反応用原料の合計量、又は、反応液の量は、通常、円筒状容器の容積の80〜90%である。
上記円筒状容器は、原料成分の供給、パージガスの導入、反応液の温度測定、反応観察等の目的のために、その上部に開閉手段(導入口)、観察手段(窓)等を備えることができる。上記パージガスの導入例としては、生成したエステル化物による重合を防止する目的で酸素ガスを、又は、爆鳴気の発生防止の目的で窒素ガスを用いるものである。
冷加熱ジャケット12は、上記円筒状容器11の外周部に配設し、加熱媒体又は冷却媒体の導入等により、反応系を加熱又は冷却するものであり、一体型(図1)及び分割型(図2)のいずれでもよい。
上記冷加熱ジャケット12は、反応液の温度調整を容易にするために、通常、円筒状容器11の底側から該円筒状容器11を覆うように配設されるが、配設位置は、エステル化反応を効率的に進める上で重要である。即ち、図1で示される、円筒状容器11の直胴部下端から冷加熱ジャケット12の配設位置の最高点までの長さxと、円筒状容器11の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さyとの間に特定の関係があり、0.02<(y−x)/x<0.3であり、好ましくは0.02<(y−x)/x<0.2、更に好ましくは0.02<(y−x)/x<0.1である。
(y−x)/x≧0.3の場合、即ち、冷加熱ジャケットの配設位置が低すぎると、反応系を所定の温度とするのに時間がかかり、効率的でなく、一方、(y−x)/x≦0.02では、スケールが大量に付着する場合がある。
尚、上記「円筒状容器の直胴部下端」とは、円筒状容器11における直胴部の垂直線上であって、底部への湾曲開始点をいう。
また、上記冷加熱ジャケット12の配設位置としては、図1を用い、円筒状容器11の直胴部下端から冷加熱ジャケット12の配設位置の最高点までの長さxと、円筒状容器11の直胴部下端から上端までの長さzとの間の関係で説明すると、好ましくは0.40<x/z<0.95、より好ましくは0.50<x/z<0.90、更に好ましくは0.55<x/z<0.85である。x/z≧0.95の場合、冷加熱ジャケット12の配設位置が高すぎるため、反応が早すぎる場合に冷却が遅れたり、液面も高すぎるため、空間容量が不足したりして、天板部にスケールが付着する傾向がある。
尚、本発明の反応装置は、更に、他の付帯設備として、攪拌装置、邪魔板、熱交換装置、還流装置、反応液循環装置、温度測定装置、精留装置等を備えることができる。
撹拌装置は、図1〜図4に示すように、通常、円筒状容器11内の中心部に垂設される回転軸13と、この回転軸13に配設される撹拌翼14とを備える。
攪拌翼は、円筒状容器の形状、反応用原料の体積等により、種類、数、配置等を選択することができる。尚、回転軸に配設される攪拌翼は、1種のみでよいし、2種以上を組み合わせてもよい。また、この攪拌翼14の配設位置は、図1等に示されるような、回転軸13の最下端であってよいし、最下端より上の位置であってもよい。
上記攪拌翼としては、パドル翼、後退翼、タービン翼、アンカー翼、プロペラ翼、ハイドロフォイル翼、リボン翼、スクリュー翼、大型翼等が挙げられる。パドル翼の場合、その形状は、回転軸を中心に左右線対称であることが好ましく、四角形のみならず三角形、五角形等種々の形状が適用できる。外端部が直線上でもよいし、曲線状でも鋸刃状でもよい。
また、上記攪拌翼は、折り目、フィン等を備えてもよい。
邪魔板は、回転軸を中心として撹拌翼を回転させた場合に、撹拌翼及び邪魔板が接触しないように、上記円筒状容器の内壁に、略回転軸方向に張り出すように配設された、通常、板状、棒状等の形状を有するものである。尚、この邪魔板の張出方向は、上記回転軸に向かって水平方向であってよいし、斜め方向であってもよい。また、上記邪魔板の配設数は、特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
熱交換装置は、内部及び外部のいずれに配設してもよいが、内部に配設する場合には、反応液中とすることが好ましい。反応液の液面より上の気相部にある場合は、フッ素樹脂等により表面をコーティングして過加熱を防止することが好ましい。還流装置は、反応溶媒の回収機能のみを有してよいし、回収した反応溶媒を、円筒状容器上方の内壁に吹き付ける等により導入して濡れ壁を形成する装置を備えてもよい。また、濡れ壁の他の形成方法としては、上記反応液循環装置を用いて、反応液を導入する方法等がある。
図3の反応装置1"は、邪魔板15、内部熱交換装置16等を備えた装置である。
上記の回転軸、攪拌翼、邪魔板、各種装置部材の構成材料は、特に限定されないが、触媒成分により腐食等変質されない材料が好ましい。表面がグラスライニング処理されていてもよい。
本発明のエステル化物の製造方法は、上記反応装置を用い、カルボン酸(以下、「成分(a)」ともいう。)、ヒドロキシル基を有する化合物(以下、「成分(b)」ともいう。)、酸性触媒及び反応溶媒を含む反応用原料を、上記円筒状容器に仕込んだ後、反応液の液面最高点を冷加熱ジャケットの配設位置の最高点より高くして、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点が、下記式を満たすように制御しながら上記反応用原料を加熱することを特徴とする。
0.02<(y−x)/x<0.3
〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕
上記成分(a)としては、カルボキシル基を有する化合物であれば、特に限定されない。また、1つの化合物が有するカルボキシル基の数も、特に限定されない。飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸のいずれでもよい。上記成分(a)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分(a)としては、1つのカルボキシル基を有する化合物が好ましい。また、炭素数が3以上の化合物が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、α−オレフィンカルボン酸等が挙げられる。これらのうち、アクリル酸及びメタクリル酸が特に好ましい。
尚、上記のアクリル酸、メタクリル酸等は、多塩基酸及び/又はその無水物と併用することができる。
多塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸、エンド酸、ヘット酸等が挙げられる。
上記成分(b)としては、アルコール等が挙げられる。尚、1つの化合物が有するヒドロキシル基の数は、特に限定されない。また、上記成分(b)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルコールとしては、1価アルコールでもよいし、多価アルコールでもよい。また、飽和アルコールでもよいし、不飽和アルコールでもよい。更には、エーテル結合を含むアルコール、アミノアルコール、ハロゲン化アルコールでもよい。
1価の飽和アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、n−ノニルアルコール、イソノニルアルコール等の脂肪族アルコール;シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロ−2−フランメタノール等の脂環族アルコール;ベンジルアルコール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、p−トリルアルコール等の芳香族アルコールが挙げられる。
1価の不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ヘキシノール等が挙げられる。
また、多価の飽和アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、2,5−ヘキシレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキシレングリコール、1,9−ノニレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール;ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。尚、上記各化合物のアルキレンオキサイド付加物を用いることもできる。尚、「アルキレンオキサイド」としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が代表的である。
上記のエーテル結合を含むアルコールとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノn−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノn−ドデシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノトリルエーテル、エチレングリコールモノサリチレート、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール1−モノn−ブチルエーテル、プロピレングリコール1−モノフェニルエーテル、プロピレングリコール2−モノフェニルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル化合物;ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ4−ノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル化合物;エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル等の不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
他の化合物としては、フェノール、4−ノニルフェノール、4−クミルフェノール、カテコール、レゾルシン、ウルシオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル、ヒドロキシル基を有するポリエステル等が挙げられる。また、上記各化合物のアルキレンオキサイド付加物を用いることもできる。
本発明の製造方法においては、上記成分(b)が、2以上のヒドロキシル基を有することが好ましい。2以上のヒドロキシル基を有する化合物を用いることにより、成分(a)の種類によらず、2以上のエステル結合を有するエステル化物を、副反応を併発することなく、効率よく製造することができる。
上記反応用原料を構成する成分(a)及び(b)の好ましい使用量(割合)は、上記成分(a)のカルボキシル基1モルに対し、上記成分(b)のヒドロキシル基0.7〜2モルとなる量であり、より好ましくは0.7〜1.5モルである。上記成分(b)の使用量が多すぎると、マイケル付加反応等の副反応による副生成物により、生成する所望のエステル化物の収得量が低下する傾向がある。一方、少なすぎると、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸の原単位が低下したり、廃水量が増加する傾向がある。
また、上記成分(a)及び(b)の使用量の合計は、反応溶媒100質量部に対して、通常、10〜900質量部であり、好ましくは25〜600質量部、更に好ましくは40〜300質量部である。
尚、上記反応溶媒としては、エステル化反応により生成する水に対する溶解度が低い有機溶媒が好ましく、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン等が挙げられる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましく、なかでも、トルエンが好ましい。また、上記有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸性触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化ホウ素、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カチオン交換樹脂等が挙げられる。これらのうち、硫酸、p−トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸が好ましい。
上記酸性触媒の使用量は、上記成分(a)及び(b)の合計100質量部に対して、通常、0.5〜8.0質量部である。
上記反応用原料は、更に、重合防止剤を含んでもよい。この重合防止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン、ジフェニルアミン;塩化第二銅、硫酸銅等の金属銅化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合防止剤の使用量は、生成するエステル化物の理論量100質量部に対して、通常、0.01〜1質量部である。
本発明のエステル化物の製造方法を工程順に説明する。
まず、反応用原料を円筒状容器に仕込む。このとき、反応用原料の液面(未攪拌時)の高さは、冷加熱ジャケットの配設位置の最高点より高いことが好ましいが、攪拌により、反応液の液面最高点が上記(y−x)/xの範囲を満たす高さであればよい。本発明に係るエステル化は、脱水反応を伴うことから、反応の進行により、反応系に水が含まれることとなるので、反応用原料を投入した時点で、その液面が、冷加熱ジャケットの配設位置の最高点より低い場合であっても、反応が進むにつれ、反応液の液面が少しずつ低下し、更に、攪拌により、上記(y−x)/xの範囲を満たす高さとなる場合がある。
尚、反応用原料に含まれる各成分は、反応開始前にそれぞれ全量を用いてよいし、分割し、反応中に適宜の割合で逐次添加してもよい。また、重合防止剤は、予め、全量を用いてよいし、反応の途中から、添加し始めてもよい。
上記円筒状容器の雰囲気は、特に限定されない。また、エステル化は、減圧下、常圧下及び加圧下のいずれの条件でも行うことができる。
その後、冷加熱ジャケットに加熱媒体を導入し、円筒状容器内の反応用原料を攪拌しながら加熱する。加熱媒体としては、加熱気体及び加熱液体のいずれでもよいが、加熱気体が好ましい。なかでも、飽和水蒸気が好ましい。該飽和水蒸気の圧力は、特に限定されないが、好ましくは−0.07〜0.5MPaG、より好ましくは−0.05〜0.4MPaG、更に好ましくは−0.03〜0.3MPaGである。この圧力が低すぎると、反応の遅延による生産性が低下する傾向があり、一方、高すぎると、成分(a)又はエステル化物の重合により、製品の品質が低下する場合がある。
エステル化は、反応溶媒を沸騰させながら行うことが好ましい。即ち、円筒状容器の内圧に応じて決定される反応溶媒の沸点付近の温度が好ましい。尚、本発明に係るエステル化は、上記のように、脱水反応を伴うことから、反応系に水が含まれることとなる。従って、反応溶媒は、実質、反応溶媒及び水からなる共沸混合物となるため、沸騰は、通常、沸点降下により、反応溶媒の沸点より低温で起こることとなる。
反応温度は、成分(a)及び(b)並びに反応溶媒の種類及び量等に応じて選択されるが、例えば、反応溶媒がトルエン(1気圧における沸点110.6℃)である場合、好ましい反応温度は、60〜140℃であり、より好ましくは70〜130℃である。
また、反応溶媒がシクロヘキサンである場合には、好ましい反応温度は、60〜100℃であり、より好ましくは70〜95℃である。
上記反応温度が高すぎると、反応系が不安定になって副生成物が生成したり、ゲル化する場合がある。一方、反応温度が低すぎると、反応速度が低下し、生産性が低下する場合がある。
反応温度は、終始同一温度で行ってもよいが、反応の進行具合によって、異なる温度としてもよい。
反応液の攪拌速度は、反応液の量、反応溶媒の気化に伴う泡の量等、更には、動力効率及び攪拌効率の観点より、適宜、設定すればよいが、通常、10〜150rpmである。
反応液を攪拌すると、反応液の液面は、通常、攪拌翼を備える回転軸付近において低くなり、円筒状容器の内壁近くにおいて高くなる。本発明においては、上記式のように、円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さxと、円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さyとの間に特定の関係をもって、反応液の液面最高点を冷加熱ジャケットの配設位置の最高点より高くしてエステル化物を製造する。好ましい範囲は上記の通りである。
また、エステル化反応に際して、反応液に、微量の酸素ガス又は空気を吹き込むことができる。これにより、生成したエステル化物が攪拌等により、液面を超えて熱重合するのを防止することができる。空気等の導入量及び導入方法は、特に限定されない。
エステル化反応は、水の留出が終了した時点、又は、成分(a)又は(b)の濃度が所定の値になった時点で終了する。
エステル化反応が終了した反応液は、未反応の成分(a)又は(b)、酸性触媒、副生成物等を除去するために中和、水洗される。中和の方法は、特に限定されないが、エステル化物の分解を抑制するために、水あるいは塩化ナトリウム等の中性塩の水溶液を用いて洗浄した後、塩基性水溶液で中和を行うことが好ましい。
反応液を洗浄した後、反応溶媒を留去する。この留去は、常圧下又は減圧下、通常、40〜130℃で加熱する。この温度が高すぎると、エステル化物の重合体が生成する場合がある。一方、低すぎると、反応溶媒の留去に長時間を要する。尚、加熱の際には、エステル化物の重合を防止するために、微量の酸素ガス又は空気を吹き込むことができる。
反応溶媒を留去後、濾過等により、夾雑物を除去し、所望のエステル化物を、高い収率で得ることができる。円筒状容器の内壁には、スケールが付着することがあるが、その場合は、ごくわずかな量であり、洗浄作業も容易である。
本発明のエステル化物は、上記製造方法により得られたものである。本エステル化物が、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルである場合には、熱、光、過酸化物等により重合しやすい性質を有することから、熱硬化性組成物、紫外線硬化性組成物、可視光線硬化性組成物、電子線硬化性組成物、室温硬化性組成物等の原料として好適である。この組成物は、インキ、塗料、接着剤、ポッティング剤、シーリング剤、成形材料等として多用される。
以下に例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記記載において、「%」は、特に断らない限り質量基準である。
実施例1
本例において用いた反応装置1は、内径2,500mm、内容積21mであり、内圧を40〜101.3kPaの範囲で制御可能な、グラスライニング処理された円筒状容器11と、この円筒状容器11の外周部に配設され、且つ、内圧を−0.03〜0.4MPaGの範囲で制御可能な冷加熱ジャケット12と、回転軸13及び攪拌翼14を備える攪拌装置とを有する(図1参照)。冷加熱ジャケット12には、図示していないが、飽和水蒸気を供給できる供給装置が配設されている。
円筒状容器11の直胴部下端から冷加熱ジャケット12の配設位置の最高点までの長さ(x)は2,462mm、円筒状容器11の直胴部下端から上端までの長さ(z)は3,447mmであり、x/z=0.71である。
上記円筒状容器に、成分(a)としてアクリル酸7,349kg、成分(b)としてジペンタエリスリトール3,600kg、反応溶媒としてトルエン6,012kg、重合防止剤として塩化第二銅17kg、及び、重合触媒として78%硫酸173kgを投入した(反応用原料の液面は、円筒状容器の直胴部下端からみた高さで3,000mmである。)。
その後、反応系の内圧を46kPa、攪拌装置の回転数を50〜100rpmとし、内圧0.01MPaGの飽和水蒸気を導入した冷加熱ジャケットにより103℃に加熱し、反応時において、円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さyを用いて算出される、(y−x)/xが、0.07〜0.25の間に入るように調整し、還流しながら、脱水エステル化反応を17〜18時間行った。尚、反応は、ジペンタエリスリトールの消費率が90%となったところで終了した。
次いで、反応液に、トルエン9,000kgを投入した後、純水800kgを投入し、エステル化物を洗浄した。更に、20%水酸化ナトリウム水溶液7,300kgを投入して、酸性触媒及び未反応アクリル酸を中和により除去した。
その後、純水2,000kgを用いて再度エステル化物を洗浄し、加熱下、27kPa以下に減圧しながら、反応溶媒であるトルエンを留去し、アクリル酸エステルのみを回収した。
反応終了後、円筒状容器の内壁表面を観察したところ、反応中の反応液の液面最高点近辺において、厚さ1mm程度の固着物が確認されたが、洗浄作業により、容易に除去することができた。
実施例2
実施例1と同じ反応装置を用いて、エステル化物を製造した。
円筒状容器に、成分(a)としてアクリル酸6,124kg、成分(b)としてジペンタエリスリトール3,000kg、反応溶媒としてトルエン5,010kg、重合防止剤として塩化第二銅14kg、及び、重合触媒として78%硫酸144kgを投入した(反応用原料の液面は、円筒状容器の直胴部下端からみた高さで2,423mmである。)。
その後、反応系の内圧を46kPa、攪拌装置の回転数を50〜100rpmとし、内圧0.01MPaGの飽和水蒸気を導入した冷加熱ジャケットにより103℃に加熱し、反応時において、(y−x)/xが、0.05〜0.10の間に入るように調整し、還流しながら、脱水エステル化反応を16〜17時間行った。尚、反応は、ジペンタエリスリトールの消費率が90%となったところで終了した。
次いで、実施例1と同様にして後処理を行い、アクリル酸エステルを回収した。
反応終了後、円筒状容器の内壁表面を観察したところ、反応中の反応液の液面最高点近辺において、若干の汚れが確認されたが、洗浄作業により、容易に除去することができた。
比較例1
実施例1と同じ反応装置を用いて、エステル化物を製造した。
円筒状容器に、成分(a)としてアクリル酸5,716kg、成分(b)としてジペンタエリスリトール2,800kg、反応溶媒としてトルエン4,676kg、重合防止剤として塩化第二銅13kg、及び、重合触媒として78%硫酸134kgを投入した(反応用原料の液面は、円筒状容器の直胴部下端からみた高さで2,229mmである。)。
その後、反応系の内圧を46kPa、攪拌装置の回転数を50〜100rpmとし、内圧0.01MPaGの飽和水蒸気を導入した冷加熱ジャケットにより103℃に加熱し、反応時において、(y−x)/xが、−0.15〜−0.05の間に入るように調整し、還流しながら、脱水エステル化反応を16〜17時間行った。尚、反応は、ジペンタエリスリトールの消費率が90%となったところで終了した。
次いで、実施例1と同様にして後処理を行い、アクリル酸エステルを回収した。
反応終了後、円筒状容器の内壁表面を観察したところ、反応中の反応液の液面最高点から300mm上方までの内壁に、厚さ約10mmの固着物が確認された。この固着物を分析した結果、エステル化物の重合体、反応に用いた触媒、重合禁止剤等が含まれていることが分かった。また、この固着物は、水酸化ナトリウム水溶液又は有機溶剤に対する溶解性が極めて低かった。
比較例2
本例において用いた反応装置2は、内径2,400mm、内容積18.9mであり、内圧を40〜101.3kPaの範囲で制御可能な、グラスライニング処理された円筒状容器11と、この円筒状容器11の外周部に配設され、且つ、内圧を−0.03〜0.4MPaGの範囲で制御可能な冷加熱ジャケット12と、回転軸13及び攪拌翼14を備える攪拌装置とを有する(図4参照)。冷加熱ジャケット12には、飽和水蒸気を供給できる供給装置が配設されている。
円筒状容器11の直胴部下端から冷加熱ジャケット12の配設位置の最高点までの長さ(x)及び円筒状容器11の直胴部下端から上端までの長さ(z)は同じ長さであり、3,700mmである。
上記円筒状容器に、成分(a)としてアクリル酸6,531kg、成分(b)としてジペンタエリスリトール3,200kg、反応溶媒としてトルエン5,343kg、重合防止剤として塩化第二銅15kg、及び、重合触媒として78%硫酸154kgを投入した(反応用原料の液面は、円筒状容器の直胴部下端からみた高さで2,840mmである。)。
その後、反応系の内圧を46kPa、攪拌装置の回転数を50〜100rpmとし、内圧0.01MPaGの飽和水蒸気を導入した冷加熱ジャケットにより103℃に加熱し、還流しながら、脱水エステル化反応を16〜17時間行った。尚、反応は、ジペンタエリスリトールの消費率が90%となったところで終了した。また、反応時において、円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さyを用いて算出される、(y−x)/xは、−0.30〜−0.20の間であった。
次いで、反応液に、トルエン7,760kgを投入した後、純水700kgを投入し、エステル化物を洗浄した。更に、20%水酸化ナトリウム水溶液7,000kgを投入して、酸性触媒及び未反応アクリル酸を中和により除去した。
その後、純水1,800kgを用いて再度エステル化物を洗浄し、加熱下、27kPa以下に減圧しながら、反応溶媒であるトルエンを留去し、アクリル酸エステルのみを回収した。
反応終了後、円筒状容器の内壁表面を観察したところ、反応中の反応液の液面最高点から500mm上方までの内壁に、厚さ約50mmの固着物が確認された。
本発明の反応装置は、酸性触媒を用いたエステル化反応に好適であり、この装置を用いることにより、高い収率をもってこれらのエステル化物、例えば、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を製造することができる。
本発明のエステル化物が、成分(a)として、アクリル酸、メタクリル酸等を用いてなる化合物であった場合には、該エステル化物が熱、光、過酸化物等により重合しやすい性質を有することから、熱硬化性組成物、紫外線硬化性組成物、可視光線硬化性組成物、電子線硬化性組成物、室温硬化性組成物等の原料として好適である。この組成物は、インキ、塗料、接着剤、ポッティング剤、シーリング剤、成形材料等として多用される。

Claims (9)

  1. 円筒状容器と、該円筒状容器の外周部に配設された冷加熱ジャケットとを備え、上記円筒状容器内の反応液の液面最高点より、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点を低くして、カルボン酸のエステル化反応を行う反応装置であって、
    上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点は、下記式を満たす位置にあることを特徴とする反応装置。
    0.02<(y−x)/x<0.3
    〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕
  2. 上記冷加熱ジャケットが、一体型又は分割型である請求項1に記載の反応装置。
  3. 円筒状容器と、該円筒状容器の外周部に配設された冷加熱ジャケットとを備える反応装置を用い、カルボン酸、ヒドロキシル基を有する化合物、酸性触媒及び反応溶媒を含む反応用原料を上記円筒状容器に仕込んだ後、反応液の液面最高点を冷加熱ジャケットの配設位置の最高点より高くして、上記冷加熱ジャケットの配設位置の最高点が、下記式を満たすように制御しながら上記反応用原料を加熱することを特徴とするエステル化物の製造方法。
    0.02<(y−x)/x<0.3
    〔但し、xは円筒状容器の直胴部下端から冷加熱ジャケットの配設位置の最高点までの長さであり、yは円筒状容器の直胴部下端から反応液の液面最高点までの長さである。〕
  4. 上記加熱は、冷加熱ジャケット内に飽和水蒸気を導入して行う請求項3に記載のエステル化物の製造方法。
  5. 上記飽和水蒸気の圧力が、−0.07〜0.5MPaGの範囲にある請求項4に記載のエステル化物の製造方法。
  6. 上記エステル化は、反応溶媒を沸騰させながら行う請求項3に記載のエステル化物の製造方法。
  7. 上記カルボン酸が、アクリル酸及び/又はメタクリル酸である請求項3に記載のエステル化物の製造方法。
  8. 上記ヒドロキシル基を有する化合物が、2以上のヒドロキシル基を有する請求項3に記載のエステル化物の製造方法。
  9. 請求項3に記載の製造方法により得られたことを特徴とするエステル化物。
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