JPWO2006114965A1 - 放電灯点灯装置及び放電灯点灯制御方法 - Google Patents

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Abstract

チョッパ回路はトランスの1次側に供給する電圧を発生し、インバータ回路はチョッパ回路の出力電圧をトランスの1次側に正相又は逆相で供給する。これにより、トランス2次側に接続された放電灯が点灯する。制御部は、ランプ電流を検出することで、放電灯の種類を判定する。制御部は、この判定結果に基づいて、チョッパ回路及びインバータ回路に最適な制御値を決定する。制御部は決定した制御値でチョッパ回路及びインバータ回路を制御する。これにより、放電灯を最適な状態で駆動する。例えば、放電灯の種類に拘わらず、常にその放電灯を100%調光の状態で点灯させる。

Description

本発明は、容量性を有する誘電体バリア放電灯を点灯させる放電灯点灯装置及び放電灯点灯制御方法に関する。
従来、複写機、スキャナー等の読み取り用光源として、外面電極蛍光ランプが採用されることがある。外面電極蛍光ランプは、環境負荷が高い水銀が使用されていない点、周囲温度による光量変化が少ない点、発熱が少ない点、蛍光体の選択によって発光色の変更が可能である点等の特徴を有する(日本国特開2001−283783号公報に詳述)。
外面電極蛍光ランプの点灯電圧は、高周波を発生するインバータ回路によって得られる。インバータ回路は高周波を発生させるためのプッシュプル回路を備えており、このプッシュプル回路の動作周波数を変化させることで、外面電極蛍光ランプの調光が可能である。
更に、日本国特開2002−203699号公報においては、プッシュプル回路のスイッチングを負帰還制御する第1の制御手段、スイッチングの制御による高周波出力を変化させて調光する第2の制御手段及び外面電極蛍光ランプに印加される電圧ピーク値を制御する第3の制御手段を備えることにより、調光範囲を広げることを可能にした技術が開示されている。
ところで、外面電極蛍光ランプは、バルブ外面に電極を有しており、電極とバルブとによって容量負荷を構成する。なお、バルブの内外面に電極を構成した内外面電極放電灯においても容量負荷となる。これらのランプは誘電体バリア放電によって点灯しており、誘電体バリア放電灯と呼ばれる。
誘電体バリア放電灯においては、ランプの点灯電圧及び電流に変化が無い場合でも、ランプの温度特性によって、点灯開始から所定時間経過すると光量に変化が生じてしまう。しかも、このような時間経過に伴う光量の変化は、調光率毎に異なる特性となる。
例えば、光量を増大させるために、点灯電圧を上げると、ランプの損失も大きくなり、バルブ内に封入された希ガスの温度上昇が促進されて効率が低下してしまう。これにより、光量の低下が大きくなってしまう。逆に、光量を低下させるために、点灯電圧を下げると、ランプの損失も小さくなり、希ガスの温度上昇が抑制されて効率が高くなる。即ち、この場合には、誘電体バリア放電灯の光量が増大する傾向となる。
このため、誘電体バリア放電灯をスキャナー等の読み取り用光源として用いる場合には、特性の変化が比較的小さい調光範囲での使用に限られる。
また、スキャナー等の読み取り用光源として用いられる誘電体バリア放電灯は、細長い筒状のバルブを採用している。ところが、調光を行うために、例えばランプ点灯電圧を低下させると、長軸方向の両端側で光量が低下し、配光不良が生じることがある。
これらの理由から、誘電体バリア放電灯については、十分広い調光範囲での使用は困難であった。例えば、誘電体バリア放電灯をスキャナー等の読み取り用光源として用いる場合には、調光率として100〜80%程度の範囲でしか使用することができなかった。
このため、必要な光量が異なる複数のシステムにおいては、各システムに適したランプ及び放電灯点灯装置のセットを夫々用意する必要があるという問題があった。
また、希ガスを用いた蛍光ランプの場合、蛍光ランプの仕様に最適な明るさから外れた所望の光量レベルに調光するべく、蛍光ランプへ供給する電圧あるいは電流を変更すると、点灯直後からしばらくの間は、蛍光ランプの光出力が大きく変動して、光出力が安定しないという問題もあった。
本発明は、各システムに最適な光量に応じて各ランプを駆動制御することにより、複数のシステムに利用可能にすることができると共に、点灯直後からランプを所望の光量にすることができる放電灯点灯装置及び放電灯点灯制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る放電灯点灯装置は、誘電体バリア放電灯に点灯電圧を供給するトランスと、前記トランスの1次側に電圧を供給するための電圧制御回路と、前記電圧制御回路の出力を前記トランスの1次側に正相又は逆相で供給するプッシュプル回路と、前記誘電体バリア放電灯のランプ電流を検出し、検出結果に基づいて前記誘電体バリア放電灯の種類を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記電圧制御回路及びプッシュプル回路を制御する制御手段とを、を具備したことを特徴とする。
また、本発明に係る放電灯点灯装置は、誘電体バリア放電灯を点灯させるものであって、与えられた設定光量と、前記希ガス蛍光ランプの検出された光量とを比較する光量比較部と、該光量比較部の比較結果に応じて、前記設定光量と前記検出された光量とが一致するように、前記希ガス蛍光ランプへ供給する電圧及び電流の少なくとも一方を制御する制御手段とを有する。
また、本発明に係る放電灯点灯制御方法は、誘電体バリア放電灯に点灯電圧を供給するトランスと、前記トランスの1次側に電圧を供給するための電圧制御回路と、前記電圧制御回路の出力を前記トランスの1次側に正相又は逆相で供給するインバータ回路と、前記電圧制御回路及びインバータ回路を制御する制御手段と、を具備した放電灯点灯装置の放電灯点灯制御方法であって、前記電圧制御回路及びインバータ回路を第1の制御値で駆動して前記誘電体バリア放電灯のランプ電流を検出する検出手順と、前記検出手順の検出結果に基づいて前記誘電体バリア放電灯の種類を判定する判定手順と、前記判定手順の判定結果に基づいて、前記誘電体バリア放電灯の種類に応じた第2の制御値を決定する手順と、前記第2の制御値によって前記電圧制御回路及びインバータ回路を駆動する手順とを具備したことを特徴とする。
本発明の第1の実施の形態に係る放電灯点灯装置を示す回路図。 誘電体バリア放電灯である外面電極放電灯の周面を示す側面図。 図2の縦断面図。 透光性樹脂シート15の展開図。 放電灯6の等価回路図。 制御部5の動作を説明するためのタイミングチャート。 制御部5の動作を説明するためのフローチャート。 本発明の第2の実施の形態に係る放電灯点灯装置の回路図である。 放電灯の光量の変動を説明するためのグラフである。 放電灯の光量の変動を説明するための他のグラフである。 制御部における光量制御のための部分の回路図である。 インバータ回路のFETのオン・オフ制御を説明するための図である。 インバータ回路のFETのオン・オフ制御を説明するための他の図である。 カラーコピーとモノクロコピーの場合における光量の変動を説明するためのグラフである。 ソフトウエアによる照明制御処理の例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る放電灯点灯装置を示す回路図である。
本実施の形態は、複写機、ファクシミリ等に用いられる原稿照射用の外面電極放電灯の点灯回路の例である。外面電極放電灯として、キセノンガスが封入された希ガス蛍光ランプを用いる。本実施の形態においては、複写機やファクシミリ等の各種システム毎に、光量的に最適な外面電極放電灯を採用するものである。例えば、高速複写機と低速複写機では、原稿照射用の光源として必要な光量が夫々異なり、高速複写機用では比較的大きな光量を必要とし、低速複写機では比較的小さな光量を必要とする。
この場合において、ランプ毎にその特性に応じた最適なランプ電圧及びランプ電流を与えた場合の調光率を100%調光とすると、いずれのシステムにおいても、例えば、100%調光で使用した場合にそのシステムに最適な光量が得られるランプを夫々採用する。
即ち、図1の放電灯6は、図1の点灯回路1が組み込まれるシステムにおいて、例えば100%調光時にそのシステムで最適な光量が得られるものである。本実施の形態においては、このような放電灯6の特性を自動検出して、例えば100%調光での駆動を可能にするものであり、いずれのシステムに適したいずれの放電灯を点灯制御する場合でも、常に例えば100%調光に自動設定可能な装置を提供する。
先ず、図2乃至図5を参照して外面電極放電灯の構造について説明する。図2は誘電体バリア放電灯である外面電極放電灯の周面を示す側面図であり、図3はその縦断面図である。図4は透光性樹脂シート15の展開図であり、図5は放電灯6の等価回路図である。
放電灯6は、透光性バルブであるガラスバルブ11a内に放電を生起させるための1対の電極13,13を有している。誘電体バリア放電灯では、電極13,13の少なくとも1つがガラスバルブ11aの外面又は内面に設けられている。ガラスバルブ11aの内面には発光層が設けられ、ガラスバルブ11aの内部には希ガスが封入される。
即ち、図3の断面図に示すように、放電灯6は、放電容器11、蛍光体層12、1対の外部電極13,13、アパーチャ14、透光性樹脂シート15及び透光性絶縁チューブ16によって構成される。
放電容器11は、細長く、両端が気密に封止された直径10mm、実効長さ370mmのガラスバルブ11aを有すると共に、一端に排気チップオフ部11bを有する。放電容器11の内部には、放電媒体としてキセノンが封入されている。蛍光体層12は、放電容器11の内面に長手方向に沿ったスリット状の部分以外の部分に形成される。
1対の外部電極13,13は、夫々アルミ箔によって構成され、図2に示すように、平行に離間対向されて放電容器11の外面に貼着される。外部電極13は、予め後述する透光性樹脂シート15の一面に粘着され、透光性樹脂シート15が放電容器11の外周に巻き付けられることによって放電容器11の外面の所定位置に配設されるようになっている。
また、外部電極13は、図5に示すように、波形状の電極主部13a、端子接続部13b及び端子13cによって構成される。電極主部13aは、波形状をなして放電容器11の長手方向の大部分にわたり延在するように構成されている。端子接続部13bは、電極主部13aの一端に接続されて配設され、端子13cとの接触面積が大きくなるように方形状に形成されている。端子13cは、端子接続部13bに導電性接着剤により接着される。端子13cは、透光性樹脂シート15及び透光性熱収縮チューブである透光性絶縁チューブ16から外部に突出されている。
アパーチャ14は、蛍光体層12を形成していないスリット状部分であり、放電容器11の長手方向に沿って設けられる。従って、放電容器11のアパーチャ14の部分においては、ガラスバルブ11aを介して放電容器11の内部が素通しになって見られる状態となっている。
透光性樹脂シート15は、透明なPET(Polyethylene Terephthalate)によって構成され、放電容器11の実質的全長にわたる長さで、かつ放電容器11の周囲方向に対してアパーチャ14の上から被覆するような幅を有している。上述したように、一面に1対の外部電極13,13が所定間隔で貼着されている。更に、その上にアクリル系粘着材が塗布されて、放電容器11の外面に貼着されている。これにより1対の外部電極13,13は、アパーチャ14を挟んでその両側の位置に配設され、アパーチャ14の上に透光性樹脂シート15が貼着される。
透光性絶縁チューブ16は、透明フッ素系樹脂によって構成され、外部電極13,13及びアパーチャ14の上から放電容器11の全周を被覆している。
放電灯6の等価回路は、図5に示すように、コンデンサCin1と負荷抵抗RL及びコンデンサCin2の直列回路と、コンデンサCout1とコンデンサCout2の並列回路によって表される。コンデンサCin1,Cin2は、外部電極13と放電容器11の内面との間に形成される静電容量である。従って、コンデンサCin1,in2の静電容量は、外部電極13の面積、放電容器11の構成材料であるガラスの比誘電率及び厚さにより決定される。このように、放電灯6は、少なくとも容量性を有する。
図1において、点灯回路1の入力端子部2には、直流電源からの直流電圧(DC)、例えば24Vの電圧が与えられる端子T1と、回路のオン・オフ信号CNTが入力される端子T2と、基準電位GNDが与えられる端子T3とが設けられている。
端子T1からの電源電圧は、フューズ3を介して電圧制御回路としてのチョッパ回路4の電源端に供給される。フューズ3の出力端はコンデンサC1を介して基準電位点(端子T3)にも接続されている。コンデンサC1の一端は制御部5の電源端に接続されており、コンデンサC1によって平滑された電源電圧は、制御部5に供給される。制御部5には、端子T2からのオン・オフ信号CNTも与えられる。
点灯回路1は、チョッパ回路4と、インバータ回路7とを含む。チョッパ回路4は、直流電圧が印加される電源端に一端が接続されたコイルL41と、コイルL41の他端と基準電位点との間にソース・ドレイン路が接続された電界効果トランジスタFQ41とを有している。また、コイルL41の他端と基準電位点との間には、ダイオードD41及びコンデンサC41の直列回路が接続される。トランジスタFQ41のゲートと基準電位点との間には抵抗R41が接続され、トランジスタFQ41は、制御部5から抵抗R42を介して供給される制御信号によってオン,オフ制御される。
チョッパ回路4は、トランジスタFQ41のオン期間にコイルL41にエネルギを蓄えることで、電源端に供給された電圧を昇圧して出力端から出力する。チョッパ回路4の出力電圧は、トランジスタFQ41のオンデューティによって決定される。チョッパ回路4の出力電圧は、ダイオードD41及びコンデンサC41の平滑回路によって平滑されて出力される。チョッパ回路4の出力端であるダイオードD41とコンデンサC41との接続点は、昇圧トランス71の中点に接続されると共に、抵抗R43,R44を介して基準電位点に接続される。抵抗R43,R44は、チョッパ回路4の出力電圧に基づく制御電圧Vnを制御部5に出力するようになっている。
なお、図1では昇圧チョッパ回路を例に説明したが、降圧チョッパ回路を用いてもよい。
判定手段及び制御手段としての制御部5は、フィードバックされた制御電圧Vnに応じた制御信号を発生することで、チョッパ回路4を定電圧駆動するようになっている。
インバータ回路7は、トランジスタFQ71,FQ72によって構成されるプッシュプル回路22aを有している。トランジスタFQ1は、ドレインが昇圧トランス71の1次コイルの一端に接続され、ソースがトランス71の2次コイルの他端に接続される。トランジスタFQ2は、ドレインが昇圧トランス71の1次コイルの他端に接続され、ソースがトランス71の2次コイルの他端に接続される。トランジスタFQ71,FQ72のゲートには、夫々抵抗R71,R73を介して制御部5から制御信号が供給されるようになっている。
制御部5は、トランジスタFQ71,RQ72を交互にオンさせるための制御信号を出力する。これにより、トランス71の1次コイルの両端には、互いに逆極性の駆動パルスがを加えられる。昇圧トランス71は1次コイルに印加された電圧を昇圧して2次コイルから出力する。2次コイルの一端は放電灯6の一方電極に接続され、2次コイルの他端は抵抗R61を介して放電灯6の他方電極に接続される。
抵抗R61はランプ電流検出用であり、抵抗R61に流れるランプ電流は、制御部5にフィードバックされるようになっている。
本実施の形態においては、制御部5は、ランプ電流と放電灯6の種類との関係を示すテーブルを備えたランプメモリ51を有している。また、制御部5は、第1の記憶部としての制御値メモリ51を有している。制御値メモリ52には、ランプの種類に応じた最適なランプ電圧及びランプ電流に設定するためのチョッパ回路4のオンデューティ及びインバータ回路7のプッシュプル回路のオン,オフ周波数についての情報が記憶される。
制御部5は、マイクロコンピュータ等によって構成されており、抵抗R61によって検出されたランプ電流に基づいて、ランプメモリ51を用いて放電灯6として使用されいるランプの種類を判定する。更に、制御部5は、判定したランプの種類に応じて、設定すべきチョッパ回路4のオンデューティ及びプッシュプル回路のオン,オフ周波数の情報を制御値メモリ52から読み出し、これらの情報に基づいてチョッパ回路4及びインバータ回路7のトランジスタFQ41,FQ71,FQ72に制御信号を出力するようになっている。
また、制御部5は、フィードバックされる電圧Vnに応じて、トランジスタFQ41に与える制御信号を調整するフィードバック制御を行うと共に、検出されたランプ電流に応じて、トランジスタFQ71,FQ72に与える制御信号を調整するフィードバック制御を行うようになっている。
なお、制御部5を、マイクロコンピュータによって構成する例について説明したが、ディスクリート部品を用いて構成してもよい。
次に、このように構成された実施の形態の動作について図6及び図7を参照して説明する。図6は制御部5の動作を説明するためのタイミングチャートであり、図7は制御部5の動作を説明するためのフローチャートである。
図1の点灯回路は、図示しない複写機等のシステム内に組み込まれているものとし、放電灯6は当該システムに必要な光量に適した種類であるものとする。
図6(a)に示すように、所定のタイミングにおいてオン・オフ信号CNTがオン信号となって、放電灯6の点灯が指示されるものとする。制御部5は放電灯6の定常駆動に先立って、図6(b)に示すように、先ず、ランプ特性観察用の制御信号を出力する。ランプ観察用の制御信号は、例えば約数m秒間に渡って出力される。
具体的には、制御部5は、図7のステップS1において、チョッパ回路4に供給する制御信号を観察用のオンデューティに設定する。また、制御部5は、インバータ回路7のプッシュプルトランジスタFQ71,FQ72のオン,オフ周波数を観察用出力周波数に設定する。
これにより、チョッパ回路4は観察用の出力電圧を発生する。この出力電圧はトランス71の1次コイル供給される。チョッパ回路4の出力は、抵抗R43,R44によって制御電圧Vnとして制御部5にフィードバックされる(ステップS2)。制御部5は、制御電圧Vnが一定となるようにチョッパ回路4を制御する。これにより、チョッパ回路4からは、観察用の出力電圧が安定的に出力される。
一方、インバータ回路7のプッシュプルトランジスタFQ71,FQ72は、制御部5からの制御信号に基づいて、観察用の周期で交互にオン,オフする。これにより、トランス71の1次コイルの両端には、観察用の電圧レベルで観察用の周期の駆動パルスが得られる。この駆動パルスは、昇圧トランス71によって昇圧されて、2次コイルに駆動パルスに基づく電圧が発生する。
所定時間経過後に、2次コイルの電圧が観察用の所定のランプ電圧に到達すると、放電灯6は点灯する。放電灯6が点灯すると抵抗R61に電流が流れる。この電流は、制御部5に供給される。
ランプ電流の正確な検出に必要な時間が経過すると、制御部5は、ランプメモリ51を用いて、検出されたランプ電流の電流値から放電灯6の種類を判定する(ステップS3,S4)。次に、制御部5は、制御値メモリ52を用いて、判定した放電灯の種類に応じて設定すべきオンデューティ及びオン,オフ周波数を読み出す(ステップS5)。
制御値メモリ52から読み出したオンデューティ及びオン,オフ周波数は、その種類の放電灯を最適な光量、例えば100%調光するために必要なランプ電圧及びランプ電流を与えるものである。
ランプ特性の観察期間が終了すると、図6(c),(d)に示すように、制御部5は、種類を判定した放電灯6を、例えば100%調光で駆動するための制御信号を出力する。即ち、制御部5は、制御値メモリ52から読み出した情報に基づいて、チョッパ回路4のトランジスタFQ41のオンデューティを設定する。また、制御部5は、制御値メモリ52から読み出した情報に基づいて、インバータ回路7のプッシュプルトランジスタFQ71,FQ72のオン,オフ周波数を設定する。
これにより、トランス71の2次コイルには、オンデューティに対応した適切なランプ電圧が発生すると共に、オン,オフ周波数に対応した適切なランプ電流が流れる。なお、チョッパ回路4の出力は抵抗R43,R44によって電圧Vnとして検出されており、制御部5は、電圧Vnに基づいてチョッパ回路4をフィードバック制御している。これにより、トランス71の2次コイルからは安定したランプ電圧が得られる。また、制御部5は、ランプ電流を検出して、プッシュプルトランジスタFQ71,FQ72をフィードバック制御しており、安定したランプ電流も得られている。
このように本実施の形態においては、点灯開始時においてランプ電流に基づいてランプの種類を判定し、判定したランプの種類に応じて最適なランプ電圧及びランプ電流が得られるように駆動制御が行われており、システムにどのような放電灯が用いられている場合でも、常に最適なランプ駆動が可能である。
従って、システム毎に、ランプ及び点灯回路のセットを用意する必要はなく、システムに応じたランプと1つの点灯回路によって、システムを構築することが可能となる。
図8は本発明の第2の実施の形態に係る放電灯点灯装置を示す回路図である。図8において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態は、複写機、ファクシミリ等に用いられる、原稿照射用希ガス蛍光ランプの点灯回路の例である。図8は希ガス蛍光ランプ点灯回路の回路図を示している。
点灯回路100は、例えば、複写機等の光源として用いられる希ガスを用いた蛍光ランプへ印加する電圧と電流の少なくとも一方を制御するものである。
点灯回路100の入力端子部111には、直流電源からの直流電圧、例えば24Vの電圧が与えられる端子T1と、回路のオン・オフ信号CNTが入力される端子T2と、接地(GND)用の端子T3と、光量の切替信号CLKが入力される端子T4とが設けられている。
特に、端子T4には、複写機の操作パネルにおける各種機能ボタンに対する操作に応じた信号が、入力される。例えば、機能の選択ボタンである、カラーコピーか、モノクロコピーかの選択信号が、操作パネル112からの選択信号として、信号変換回路113に入力される。カラーコピーの場合は、光量は多く、モノクロコピーの場合は、光量は少ないので、その選択信号は、カラーコピー用の光量とモノクロ用の光量のいずれかの光量を指示する指示信号ということができる。
変換回路113は、操作パネル112からの選択信号を、制御手段である制御部114が選択信号に応じた信号を受け取れるような信号に変換する回路である。例えば、制御部114が選択信号をパルス幅信号の形で受信する場合は、選択信号に応じてパルス信号のパルス幅を変更することによって、選択信号を識別できるように、変換回路113は、入力端子部111を介して、選択信号に応じた所定のパルス幅の信号を制御部114へ供給する。
点灯回路100の出力端子部115には、外面電極型の希ガス蛍光ランプ、例えばキセノンランプ(以下、外面電極キセノンランプともいう)等の放電灯6が接続されている。そして、放電灯6の近傍に光量を検出する光検出装置116が設けられている。光検出装置116の検出した光量信号は、制御部114に供給される。光検出装置116は、例えば、光量を検出できる光センサであればなんでもよく、さらにCCDでもよい。
制御部114には、端子T2から放電灯6のオン・オフ信号CNTと、接地された端子T3の接地電位信号と、端子T4からの光量の切替信号CLKが入力される。さらに、制御部114には、一端が接地電位レベルに接続され、他端がフューズF1を介して直流電圧の端子T1に接続されたコンデンサC1からの直流電圧が入力される。
点灯回路100は、チョッパ回路4と、インバータ回路7とを含む。トランジスタFQ41のゲートには、制御部114からの制御信号が抵抗R42を介して供給されるようになっている。チョッパ回路4の出力電圧は抵抗R43,R44によって分圧され、その分圧された電圧Vnが制御部114に供給されるようになっている。
インバータ回路7は、制御素子であるトランジスタFQ71,FQ72とによって構成されるプッシュプル回路22aを有しており、このプッシュプル回路22aは、制御部114によって駆動制御されるようになっている。昇圧トランス71の2次コイルの一端は、抵抗R61を介して出力端子部115に接続されている。
出力端子部115の電圧は、制御部114によってモニタされる。そして、制御部114は、プッシュプル回路22aの2つのトランジスタFQ71,FQ72に対して、それぞれ矩形波のパルス信号を交互に供給する。具体的には、プッシュプル回路22aは、制御部114に制御されて、昇圧トランス71の1次側コイルの両端に、互いに逆極性の駆動パルス信号を印加する。こうして、昇圧トランス71の2次コイルの電圧が所定の電圧に達して、放電灯6が点灯する。
放電灯6の明るさは、チョッパ回路4の出力電圧と、プッシュプル回路22bのパルス信号の周波数によって決定される。チョッパ回路4の出力電圧は、制御部114からのトランジスタFQ41のゲートへのパルス信号のデューティ比によって決定される。
以上のような構成に係る希ガス蛍光ランプの点灯回路100は、放電灯6へ供給する電圧と電流の少なくとも一方を変更することによって、放電灯6の明るさ、すなわち光量の変更を行うことができる。
図9と図10は、放電灯6の光量の変動を説明するためのグラフである。図9において、放電灯6の最適な光量を100(%)として、縦軸は光量を示し、横軸は時間軸である。
放電灯6は、仕様に合った最適な光量(以下、100(%)光量という)となるように、ランプの電圧と電流の少なくとも一方を供給すると、所定時間経過(t1)時、例えば5分程度経過時、図9に示すように、5(%)程度の明るさの低下(Δ)が見られる。
複写機等において、カラーコピー時はより明るくし、モノクロコピー時はより暗くして、放電灯6の光出力も、点灯直後から得たいという要求がある。
しかし、例えば、100(%)の+20(%)および−20(%)を超えた範囲において調光するべく、放電灯6へ供給される電圧と電流の少なくとも一方を変更すると、点灯直後からしばらくの間は、図10に示すように、放電灯6の光出力が大きく変動して、光出力が安定しない。図10は、80(%)以下において光量を制御しようとした場合のグラフを示す。そこで、本実施の形態では、点灯直後から放電灯6の光出力を一定にするように、光検出装置116の光量の検出値に応じて、放電灯6に供給する電圧と電流の少なくとも一方を制御する。
例えば、カラーコピー時は、光量を120(%)にするべく、点灯回路100は、放電灯6へ供給する電圧と電流の少なくとも一方を変更する。同様に、モノクロコピー時は、光量を80(%)にするべく、点灯回路100は、放電灯6へ供給する電圧と電流の少なくとも一方を変更する。
図11は、制御部114における光量制御のための部分の回路図である。制御部114には、カラーコピーか、モノクロコピーかの選択信号に応じた所定のパルス信号が、入力端子部111を介して入力される。制御部114は、内部で、そのパルス信号に応じた所定の電圧信号V1、V2を選択するスイッチ部141と、スイッチ部141を介して入力される所定の電圧信号と光検出装置116からの明るさを示す電圧信号LAとを入力とし、これら2つの電圧信号の差を示す差信号を出力する比較回路142と、その比較回路142の差信号を入力とし、差信号に応じた周波数のパルス信号を、トランジスタFQ71,FQ72に出力するパルス信号発生回路143とを含む。
従って、モノクロコピーが選択されると、モノクロコピーに必要な光量に対応する電圧V1が、スイッチ部141において選択される。比較回路142は、モノクロコピーの光量設定値に対応する電圧V1と、光検出装置116によって検出された放電灯6の光量に対応する電圧信号LAとを比較し、放電灯6の光量が設定値より高ければトランジスタFQ71,FQ72のオン・オフの周期を長くするように、すなわちオン・オフの周波数を低くするように、トランジスタFQ71,FQ72へのパルス信号を出力する。図12は、トランジスタFQ71,FQ72のオン・オフの現在の周期T1に対して、放電灯6の光出力すなわち明るさを減らすために、長い周期T2のパルス信号が出力されることを示す図である。
また、一方、カラーコピーが選択されると、カラーコピーに必要な光量に対応する電圧V2が、スイッチ部141において選択される。比較回路142は、カラーコピーの光量設定値に対応する電圧V2と、光検出装置116によって検出された放電灯6の光量に対応する電圧信号LAとを比較し、放電灯6の光量が設定値より低ければトランジスタFQ71,FQ72のオン・オフ周期を短くするように、すなわちオン・オフの周波数を高くするように、トランジスタFQ71,FQ72へのパルス信号を出力する。図13は、トランジスタFQ71,FQ72のオン・オフの現在の周期T1に対して、放電灯6の明るさを増やすために、より短い周期T3のパルス信号が出力されることを示す図である。
以上のように、点灯回路100は、点灯直後から光検出装置116によって放電灯6の明るさすなわち光量を検出して、所定の用途に応じて予め設定された光量になるようにフィードバック制御を行う。
図14は、カラーコピーとモノクロコピーの場合における光量の変動を説明するためのグラフである。図14に示すように、カラーコピーの場合には120(%)で、モノクロコピーの場合は80(%)の明るさで、原稿に光を当てなければならないような複写機において、従来であれば、点灯直後は点線A,Bで示すような不安定な光出力状態であったが、点灯直後から設定された明るさである、一定の120(%)あるいは80(%)の光出力を得ることができる。
従って、本実施の形態の点灯回路によれば、点灯直後から希ガス蛍光ランプの光出力を所望の値でかつ一定にすることができる。
なお、以上の例では、制御部114における光量制御は、ハードウエア回路によって実現しているが、コンピュータプログラム(以下、ソフトウエアという)によって行ってもよい。
図15は、ソフトウエアによる照明制御処理の例を示すフローチャートである。この場合は、制御部114にはソフトウエアを実行する中央処理装置(CPU)と、ソフトウエアを格納し実行するためのROM,RAMを有する。
図15に示すように、制御部114には、カラーコピーか、モノクロコピーかの選択信号に応じた所定のパルス信号が、入力端子部111を介して入力されるので、選択されたコピーの種類に応じた明るさの設定値である設定光量を読み込む(ステップS11)。次に、制御部114は、光検出装置116の出力信号から放電灯6の明るさすなわち光量を検出する(ステップS12)。
次に、制御部114は、設定値(設定光量)と検出した現在の明るさとを比較し、設定値よりも現在の明るさが明るいか否かを判断する(ステップS13)。制御部114は、設定値よりも現在の明るさが低いときは、ステップS3でNOを選択し、トランジスタFQ71,FQ72のオン・オフ周期を短く、すなわち周波数を高くするように、トランジスタFQ71,FQ72へのパルス信号を出力する(ステップS14)。
また、制御部114は、設定値よりも現在の明るさが明るいときは、ステップS3でYESを選択し、トランジスタFQ71,FQ72のオン・オフ周期を長く、すなわち周波数を低くするように、トランジスタFQ71,FQ72へのパルス信号を出力する(ステップS15)。
ステップS14とステップS15の後、設定値よりも現在の明るさが一致したか否かを判断し(ステップS16)、一致していなければ、ステップS13の処理に戻る。一致していれば、処理は終了する。
なお、以上、光量が違うの例として、カラーコピーとモノクロコピーの場合を説明したが、他にもコピーの速度の違い(高速と低速)等の場合もある。
以上のように、本実施の形態に係る放電灯点灯装置は、点灯直後から光検出装置116によって放電灯6の明るさすなわち光量を検出して、所定の用途に応じて予め設定された光量になるようにフィードバック制御を行う。よって、本実施の形態に係る放電灯点灯装置によれば、点灯直後からランプの光出力を所望の値でかつ一定にすることができる。

Claims (13)

  1. 誘電体バリア放電灯に点灯電圧を供給するトランスと、
    前記トランスの1次側に電圧を供給するための電圧制御回路と、
    前記電圧制御回路の出力を前記トランスの1次側に正相又は逆相で供給するインバータ回路と、
    前記誘電体バリア放電灯のランプ電流を検出し、検出結果に基づいて前記誘電体バリア放電灯の種類を判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて、前記電圧制御回路及びインバータ回路を制御する制御手段と、を具備したことを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 前記制御手段は、前記誘電体バリア放電灯の種類毎に、前記電圧制御回路及びインバータ回路に適した制御値を保持する第1の記憶部を有することを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯装置。
  3. 前記第1の記憶部は、各種類の前記誘電体バリア放電灯を夫々100%調光で点灯させるために必要な制御値を保持することを特徴とする請求項2に記載の放電灯点灯装置。
  4. 前記判定手段は、所定のランプ電圧を前記誘電体バリア放電灯に供給した場合のランプ電流の値を、前記誘電体バリア放電灯の種類毎に記憶した第2の記憶部を有することを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯装置。
  5. 前記電圧制御回路は、チョッパ回路によって構成され、
    前記インバータ回路は、プッシュプル回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯装置。
  6. 誘電体バリア放電灯に点灯電圧を供給するトランスと、前記トランスの1次側に電圧を供給するための電圧制御回路と、前記電圧制御回路の出力を前記トランスの1次側に正相又は逆相で供給するインバータ回路と、前記電圧制御回路及びインバータ回路を制御する制御手段と、を具備した放電灯点灯装置の放電灯点灯制御方法であって、
    前記電圧制御回路及びインバータ回路を第1の制御値で駆動して前記誘電体バリア放電灯のランプ電流を検出する検出手順と、
    前記検出手順の検出結果に基づいて前記誘電体バリア放電灯の種類を判定する判定手順と、
    前記判定手順の判定結果に基づいて、前記誘電体バリア放電灯の種類に応じた第2の制御値を決定する手順と、
    前記第2の制御値によって前記電圧制御回路及びインバータ回路を駆動する手順とを具備したことを特徴とする放電灯点灯制御方法。
  7. 前記第2の制御値は、各種類の前記誘電体バリア放電灯を夫々100%調光で点灯させるために必要な値であることを特徴とする請求項6に記載の放電灯点灯制御方法。
  8. 誘電体バリア放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、
    与えられた設定光量と、前記誘電体バリア放電灯の検出された光量とを比較する光量比較部と、
    該光量比較部の比較結果に応じて、前記設定光量と前記検出された光量とが一致するように、前記誘電体バリア放電灯へ供給する電圧及び電流の少なくとも一方を制御する制御手段とを有することを特徴とする放電灯点灯装置。
  9. 前記誘電体バリア放電灯にランプ電圧を供給するためのインバータ回路を更に具備し、
    前記制御手段は、前記インバータ回路の制御素子のオン・オフの周波数を制御して、前記設定光量と前記検出された光量とを一致させることを特徴とする請求項8記載の放電灯点灯装置。
  10. 前記誘電体バリア放電灯にランプ電圧を供給するためのチョッパ回路を更に具備し、
    前記制御手段は、前記チョッパ回路の制御素子のオン・オフのデューティ比を制御して、前記設定光量と前記検出された光量とを一致させることを特徴とする請求項8又は9のいずれか一方に記載の放電灯点灯装置。
  11. 誘電体バリア放電灯に点灯電圧を供給するための電圧制御回路及びインバータ回路を具備した放電灯点灯装置の放電灯点灯制御方法であって、
    前記電圧制御回路及びインバータ回路を第1の制御値で駆動して前記誘電体バリア放電灯を点灯させる手順と、
    前記第1の制御値に対応した設定光量と、前記誘電体バリア放電灯の検出された光量とを比較する光量比較手順と、
    該光量比較部の比較結果に応じて、前記設定光量と前記検出された光量とが一致するように、第2の制御値を決定する手順と、
    前記第2の制御値によって前記電圧制御回路及びインバータ回路を駆動する手順とを具備したことを特徴とする放電灯点灯制御方法。
  12. 前記誘電体バリア放電灯は、希ガス蛍光ランプであることを特徴とする請求項1乃至5及び請求項8乃至10のいずれか1つに記載の放電灯点灯装置。
  13. 前記誘電体バリア放電灯は、外面電極型であることを特徴とする請求項12に記載の放電灯点灯装置。
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