JPWO2006098423A1 - 植物に環境ストレス耐性を付与するポリヌクレオチド - Google Patents
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Abstract
Description
地球上の不毛乾燥地域は、陸地の1/3までも占め、さらに6万km2/年(九州と四国を合わせて面積)ずつ増大している。また、熱帯雨林は13万km2/年(北海道と九州を合わせた面積)ずつ減少している。多くの農耕地において水分蒸発による土壌中塩分(主に塩化ナトリウム)の地表層集積が問題になっており、地球上に分布する塩集積土壌の総計は955万km2である。これは、アメリカ合衆国の国土面積に匹敵する。
一方、地球上の餓死者は、28人(うち子供21人)/分であり、餓死人口は1,500万人/年になる。世界の2/3以上の人は、空腹を満たされておらず、世界的な食糧の枯渇は明白である。さらに世界人口は増加傾向にあるため、2030年ごろに「世界食糧恐慌」が予測される。
また、近年地球温暖化が深刻化していることから、環境問題の観点からも、生物による大気中二酸化炭素の固定量を増大させる必要性が高く、塩集積土壌の緑化が強く望まれている。
一方、耐塩性植物の研究は種々行われており、例えば、光合成生育(独立栄養生育)が野生系統よりも耐塩性になった耐塩性光合成生育突然変異系統pst(photoautotrophic salt tolerance)の一種であるpst2に関する報告がある(例えば、Tsugane,K.,Kobayashi,K.,Niwa,Y.,Ohba,Y.,Wada,K.,and Kobayashi,H.,A recessive Arabidopsis mutant that grows photoautotrophically under salt stress shows enhanced active oxygen detoxification.Plant Cell.,11,1195−1206(1999)参照)。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の配列を有するポリヌクレオチドが植物に耐塩性を付与することができ、該ポリヌクレオチドを導入した形質転換植物が耐塩性を示すことを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下のようなポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含むベクター、このポリヌクレオチドなどによって形質転換された植物細胞、このポリヌクレオチドなどによって形質転換された植物体などを提供する。
[1] 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[2] 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(e)配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[3] 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:26に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:25に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:25に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:25に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:26に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[4] 上記[1]に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つと、上記[2]もしくは[3]に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つとを含むポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
[5] 配列番号:5に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む、上記[4]に記載のポリヌクレオチド。
[6] 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:28に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:27に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:28に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:28に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
[7] DNAである上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[8] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
[9] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または上記[8]に記載のベクターを保持する形質転換細胞。
[10] 上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または上記[8]に記載のベクターを導入した形質転換植物体。
[11] 上記[10]に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
本発明のポリヌクレオチドを用いれば、植物に耐塩性を付与することができるので、耐塩性を有する形質転換植物細胞および形質転換植物体を得ることができる。そのようにして得られる本発明の形質転換植物体は、塩集積土壌においても育成することができるので、塩集積土壌の緑化に貢献することができる。また、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを食用植物に組み込んでなる耐塩性形質転換植物体は、塩害で通常育成しにくい場所でも育成できるという利点がある。
図2は、bHLH19遺伝子のRT−PCR産物(定性実験)を示す図である。
図3は、サイズの異なるbHLH転写因子mRNAが生じる機構の可能性を示す図である。
図4は、N末端側イントロンに対するRT−PCRの結果を示す図である。
図5は、イントロン1の選択的スプライシングを示す図である。
図6は、bHLH19遺伝子のバイナリーベクターへの導入を示す図である。
図7は、塩ストレス条件下での発芽からの生育を示す図である。
図8は、C末端側イントロンに対するRT−PCTの結果を示す図である。
本発明者らは、核ゲノムDNA全塩基配列が決定されているシロイヌナズナ(例えば、The Arabidopsis Genome Initiative:Analysis of the genome sequence of the flowering plant Arabidopsis thaliana.Nature,408,796−815(2000)参照)において、変異原メタンスルホン酸エチル処理により突然変異を誘発し、光合成生育(独立栄養生育)が野生系統よりも耐塩性になった耐塩性光合成生育突然変異系統pst(photoautotrophic salt tolerance)の一種であるpst2(例えば、Tsugane,K.,Kobayashi,K.,Niwa,Y.,Ohba,Y.,Wada,K.,and Kobayashi,H.,A recessive Arabidopsis mutant that grows photoautotrophically under salt stress shows enhanced active oxygen detoxification.Plant Cell.,11,1195−1206(1999))について、非ストレス条件下において発現している遺伝子をDNAチップ(オリゴマイクロアレイ)を用いて解析し、At2g22760(bHLH19)遺伝子が野生系統に対して特異的に高発現していることを見いだした。さらに、驚くべきことに、このAt2g22760遺伝子において、塩ストレスにより選択的スプライシングが起こり、新たな転写産物(RNA)が生じることを見出した。本発明で見出された新たな転写産物のcDNAのコード配列を配列番号:3、4、7、9および11に示す。本発明で見出された新たなcDNAには、配列番号:3で示されるコード配列と、配列番号:4で示されるコード配列とを共に含む塩基配列(配列番号:5)を含むものも含まれる。
これら本発明のcDNAがコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:1、2、6、8および10に示す。後述する実施例においては、配列番号:5のcDNAを含むベクターを作成し、このベクターによって形質転換した形質転換植物体を作成した。この本発明の新たな転写産物のcDNAを含むベクターによって形質転換した形質転換植物体は、At2g22760遺伝子における通常の転写産物のcDNAを含むベクター、すなわち、通常のbHLH19(配列番号:12)をコードする塩基配列(配列番号:13)を有するDNAを含むベクターを導入した植物体よりも耐塩性が高いことを見出した。
本発明は、これらの知見に基づき、塩ストレス耐性を付与するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、このポリヌクレオチドを含むベクター、並びに、このベクターまたはポリヌクレオチドを導入した形質転換植物細胞および形質転換植物体を提供するものである。
1.本発明のポリヌクレオチド
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくはDNAであり、具体的には、cDNA、合成DNAなどが挙げられる。DNAが由来する生物種としては、特に制限はないが、好ましくは植物である。植物としては、例えば、シロイヌナズナ、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ダイズ、トマト、ワタ、タバコ、ナタネ、ジャガイモ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、シバ、樹木(ポプラやユーカリなど)などがあげられるが、これに限定されるものではない。
本発明のポリヌクレオチドの具体例としては、例えば、
[1]以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチドがあげられる。
(a)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(d)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(e)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、または、
(f)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
本発明のポリヌクレオチドの他の具体例としては、例えば、
[2]以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチドがあげられる。
(a)配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、または
(f)配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
本発明のポリヌクレオチドのさらに他の具体例としては、例えば、
[3] 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチドがあげられる。
(a)配列番号:26または28に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:25または27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:25または27に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:25または27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:26または28に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:26または28に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
本発明のポリヌクレオチドとしては、上記[1]に例示されたポリヌクレオチドのいずれか1つと、上記[2]に例示されたポリヌクレオチドのいずれか1つとを含むポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが好ましく、さらに配列番号:5に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが好ましい。
あるアミノ酸配列を有するタンパク質に対して、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を有するタンパク質が、その生物学的活性を維持することはすでに知られている(例えば、Mark,D.F.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,5662−5666(1984)、Zoller,M.J.,and Smith,M.,Nucleic Acids Research 10,6487−6500(1982)、Dalbadie−McFarland,G.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79,6409−6413(1982)、Bowie et al.,Science 247,1306−1310(1990)、など参照)。したがって、配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドも本発明の範囲内である。
あるアミノ酸配列に対して、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、部位特異的変異導入法(例えば、Gotoh,T.et al.,Gene 152,271−275(1995)、Zoller,M.J.,and Smith,M.,Methods Enzymol.100,468−500(1983)、Kramer,W.et al.,Nucleic Acids Res.12,9441−9456(1984)、Kramer W,and Fritz H.J.,Methods.Enzymol.154,350−367(1987)、Kunkel,T.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.82,488−492(1985)、Kunkel,Methods Enzymol.85,2763−2766(1988)、など参照)、アンバー変異を利用する方法(例えば、Gapped duplex法、Nucleic Acids Res.12,9441−9456(1984)、など参照)などを用いることにより得ることができる。
また目的の変異(欠失、付加、置換および/または挿入)を導入した配列をそれぞれの5’端に持つ1組のプライマーを用いたPCR(例えば、Ho S.N.et al.,Gene 77,51(1989)、など参照)によっても、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。
また欠失変異体の一種であるタンパク質の部分断片をコードするポリヌクレオチドは、そのタンパク質をコードするポリヌクレオチド中の作製したい部分断片をコードする領域の5’端の塩基配列と一致する配列を有するオリゴヌクレオチドおよび3’端の塩基配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、そのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを鋳型にしたPCRを行うことにより取得できる。
欠失、付加、置換および/または挿入されるアミノ酸の数は特に限定されず、1以上の任意の数であればよいが、上記の部位特異的変異法やPCR等の周知の方法により欠失、付加、置換および/または挿入できる程度の数であることが好ましく、一般的には1個から50個程度であり、好ましくは1から30個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜数個(例、6個)である。
また、本発明のタンパク質が植物の耐塩性を高める機能を有するためには、配列番号:1、2、6、8または10に記載のアミノ酸配列との相同性がBLAST(例えば、Altzshul S.F.et al.,J.Mol.Biol.215,403(1990)、など参照)やFASTA(Pearson W.R.,Methods in Enzymology 183,63(1990)、など参照)等の解析プログラムでデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いて計算したときに、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上であることが好ましい。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、3、4、7、9または11に記載の塩基配列と相補的な配列からなるポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるポリヌクレオチドを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J.et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Ausbel F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley and Sons(1987−1997)、Glover D.M.and Hames B.D.,DNA Cloning 1:Core Techniques,A practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。。本発明のハイブリダイゼーション反応においては、さまざまな程度のストリンジェントな条件を用いることができる。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。
本発明の目的に適した「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃条件でのハイブリダイゼーション、それに続く2×SSC、0.1%SSC、室温での洗浄である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃条件でのハイブリダイゼーション、それに続く0.2×SSC、0.1%SDS、37℃での洗浄である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃条件でのハイブリダイゼーション、それに続く0.1×SSC、0.1%SDS,65℃での洗浄である。これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
ポリヌクレオチドが配列番号:3、4、7、9または11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドであるためには、BLASTやFASTA等の解析プログラムでデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いて計算したときに、配列番号:3、4、7、9または11に記載の塩基配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有する塩基配列を有するポリヌクレオチドであることが望ましい。
本発明のポリヌクレオチドの核酸の種類としてはDNAまたはRNAを挙げることができる。また本発明のポリヌクレオチドは1本鎖でも2本鎖でもよく、両者が含まれる。
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、本発明のタンパク質(例えば、配列番号:1、2、6、8または10に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質)をコードするDNAを有する適当な細胞または組織から調製したmRNAを基にcDNAを合成し、これをλZAPなどのベクターに挿入してcDNAライブラリーを作成し、これを展開して、本発明のポリヌクレオチドを基にして調製したプローブを用いてスクリーニングを行うことにより取得することができる。また、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号:3、4、7、9または11に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド)に特異的なプライマーを作製し、これを利用したPCRを行うことにより取得することもできる。
また、配列情報を利用したPCR(M.J.McPherson et al.,PCR,Apractical Approach,Oxford University Press(1991))によって、cDNAをクローニングすることもできる。このようなcDNAのクローニングには、例えば、RACE(Rapid Amplification of cDNA ends)法が用いられる。
得られたcDNAの塩基配列は、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社やアマシャム・ファルマシア・バイオテク社、ライコア(LI−COR)社製のDNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製377など)やジデオキシ法(Sanger F.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74,5463(1977))により確認することができる。
2.本発明の植物の形質転換用組換えベクター
本発明の組換えベクターは、本発明の上記DNAを適当なベクターに挿入することによって作成することができる。ベクターとしては、pBluescript系のベクター、pBI系のベクター、pUC系のベクターなどが使用できる。
pBluescript系のベクター、pBI系のベクターなどのバイナリーベクターは、アグロバクテリウムを介して植物に目的のDNAを導入できるという点で好ましい。pBluescript系のベクターとしては、例えば、pBluescript SK(+)、pBluescript SK(−)、pBluescript II KS(+)、pBluescript II KS(−)、pBluescript II SK(+)、pBluescript II SK(−)などがあげられる。pBI系のベクターとしては、例えば、pBI121、pBI101、pBI101.2、pBI101.3、pBI221などがあげられる。
pUC系のベクターは、植物にDNAを直接導入することができるという点で好ましい。
ベクターは、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター)を有するベクターや、外的な刺激(例えば、乾燥、紫外線の照射、塩ストレス)により誘導的に活性化されるプロモーターを有していてもよい。このようなプロモーターとしては、例えば、乾燥によって誘導されるシロイヌナズナのrab16遺伝子のプロモーター(Nundy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,1406(1990))、紫外線の照射によって誘導されるパセリのカルコン合成酵素遺伝子のプロモーター(Schulze−Lefert et al.,EMBO J.8,651(1989))、塩ストレスによって誘導されるプロモーター(Shinozaki,K.and Yamaguchi−Shinozaki,K.,Curr.Opin.Plant Biol.3,217−223(2000))などがあげられる。
さらに、本発明のベクターには、必要に応じて、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリA付加シグナルなどを連結してもよい。
プロモーターとしては、植物細胞において機能することができれば植物由来のものでなくてもよい。具体的には、CaMV35Sプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来のユビキチンプロモーターイネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来のPRタンパク質プロモーターなどがあげられる。さらに、前述の外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターもあげられる。
エンハンサーとしては、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域があげられる。
ターミネーターとしては、前述のプロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよく、具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、CaMVポリAターミネーターなどがあげられる。
本発明のDNAをベクターに挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入する方法などが用いられる。
3.本発明の形質転換植物細胞および形質転換植物体
本発明の形質転換植物細胞は、本発明の組換えベクターを植物細胞に導入することによって得ることができる。組換えベクターの植物細胞への導入は、従来公知の方法、例えば、植物に感染するウイルスや細菌を介して導入する方法(I.Potrylkus,Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.42,205(1991))、外来DNAを直接導入する方法などがあげられる。具体的には、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法、エレクトロポレーション法などを用いることができる。これらの方法は、例えば、形質転換する宿主植物の種類などに応じて適宜決定できる。
植物に感染するウイルスとしては、カリフラワーモザイクウイルス、ジェミニウイルス、タバコモザイクウイルス、プロムモザイクウイルスなどが使用できる。細菌としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンス、アグロバクテリウム・リゾジェネスなどが使用できる。
アグロバクテリウムへのベクターの移行は、エレクトロポレーション法によって行うことができる。
植物細胞に外来DNAを直接導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、融合法、高速バリスティックペネトレーション法等の従来公知の方法があげられる(I.Potrykus,Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.42,205(1991)参照)。エレクトロポレーション法は、例えば、プロトプラストの培養が安定かつ容易であり、再生が容易な植物細胞に適用することが好ましい。また、パーティクルガン法は、宿主の限定を受けないため、例えば、アグロバクテリウムに感染し難い植物細胞や、プロトプラストの調製が困難な植物細胞に適用することが好ましい。なお、このようにエレクトロポレーション法を行う場合、前記組換えベクターを構成するベクターとしては、例えば、pUC18、pUC19、pBR322、pBR325、pBluescript等が好ましい。単子葉植物の多くやアグロバクテリウムの感染しにくい双子葉植物に対しては、DNA導入法として汎用されているアグロバクテリウムを用いた間接導入法が使用できないため、これらの直接導入法が有効である。
次に、本発明のベククーを導入したアグロバクテリウム等から植物へT−DNAを導入して、植物の形質転換を行う。例えば、上述のようにしてベクターを導入したアグロバクテリウム株を植物細胞のカルスまたは組織片と数分間程度共存させた後、2N6−ASまたはN6COなどの培地中で、25〜28℃で3日間程度共存培養する。ここで共存培養する植物としては、共存培養の難易度に差があるものの種子植物が用いられる。特に、これまで形質転換の困難であった単子葉作物、すなわち、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、シバなど、さらに樹木(ポプラやユーカリなど)なども対象となり得る。
上記のアグロバクテリウムとの共存培養の後、カルスまたは組織片は、適当な抗生物質を含む培地で選択培養を行う。例えば、ベクターに選択マーカーとしてハイグロマイシン耐性遺伝子を導入した場合には、ハイグロマイシン(10〜100μg/mL)とアグロバクテリクム除去のためのセフォタキシム(25μg/mL)またはカルベニシリン(500μg/mL)とを含む2N6−CHまたはN6Se培地を用いて、1〜3週間選択培養を行うことにより、形質転換したカルス体を選択的に得ることができる。選択的に得たカルス体を、N6S3−CH、MSreなどの適当な再分化培地を用いて再分化を誘導し、再分化個体を得る。以上のようにして、本発明のベクターを用いてDNA断片を植物に導入し形質転換することができる。
組換え個体の選抜は、マーカー遺伝子で抗生物質耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン遺伝子)の発現を調べることによって行うことができる。また、得られた形質転換植物細胞および形質転換植物体の染色体DNAをそれぞれ調製し、例えば、目的DNA配列に特異的なプライマーやプローブを用いたPCRやサザンブロッティング法等により、前記目的DNAの発現が確認されれば、所望の形質転換植物細胞および形質転換植物体が得られたこととなる。
形質転換植物体が得られれば、その植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることができ、公知の方法によりクローンを得ることもできる。また、その植物体、その子孫もしくはクローンから、さらに子孫もしくはクローンを得ることもできる。
本発明のベクターまたはポリヌクレオチドが導入されることで形質転換される植物としては、特に制限はなく、例えば、農作物、観賞用植物などをあげることができる。農作物としては、例えば、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ダイズ、トマト、ミカン、リンゴ、イチゴ、ワタ、タバコ、コーヒーノキ、チャ、ナタネ、ジャガイモ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、ゴムノキなどがあげられる。観賞用植物としては、例えば、キク、カーネーション、バラ、シクラメン、カトレア、ペチュニア、チューリップ、ガーベラなどがあげられる。
本発明において、「耐塩性を高める」とは、例えば、植物細胞または植物体を、0.2MNaClを含む培地で3週間培養または育成した場合に、形質転換していない植物細胞または植物体と比較して、カルスまたは植物体の総重量、根の伸長、葉の総面積もしくは枚数などがより大きいか、または/および、葉(双葉、本葉など)の白色化が抑制されているなど、塩ストレス下での生育を向上させることを意味する。
塩ストレスに用いられる塩類、その濃度、育成期間などの塩ストレスの条件は、用いられる植物の種類などに応じて適宜設定することができる。塩ストレスに用いる塩類としては、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどがあげられ、塩化ナトリウムが好ましい。塩濃度としては、例えば、0.01〜2M、好ましくは0.05〜1M、より好ましくは0.1〜0.5M、特に好ましくは0.2〜0.3Mである。塩ストレスを付す期間としては、例えば、1時間〜10週間、好ましくは2時間〜8週間、より好ましくは1日〜4週間、特に好ましくは1週間〜3週間である。
なお、本発明において、詳細な実験操作は、特に述べる場合を除き、モレキュラー・クローニング第3版、Ausbel F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley and Sons(1987−1997)、Glover D.M.and Hames B.D.,DNA Cloning 1:Core Techniques,Apractical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法などの公知の方法により、または市販のキットの取扱い説明書に記載の方法により行うことができる。
まず、本発明で用いた材料、実験方法について説明する。
1.植物材料
本研究ではシロイヌナズナ野生型系統Columbia(Col)および当研究室において保存・継代されてきたシロイヌナズナを用いた。2−1−6系統形質転換植物は当研究室で作成されたもので、光合成遺伝子RBCS−3Bプロモーター制御下にβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子(uidA)およびクロロフィルa/b−結合タンパク質遺伝子CAB1プロモーター制御下にルシフェラーゼ遺伝子を持つコンストラクトと、RBCS−3Bプロモーター制御下にハイグロマイシン耐性遺伝子(hph)およびCAB1プロモーター制御下にビアラフォス耐性遺伝子(bar)を持つコンストラクトがアグロバクテリウム法によって野生型系統Colに導入されている。変異体植物は2−1−6系統由来の、pst2(63)を用いた。
2.生育条件
人工気象機(Biotron NC220、Nksystem)を用い、22℃、湿度40−60%、照度3,000〜5,000 luxの連続白色光条件下で、3週間生育させた。塩ストレスを付す場合は、0.2M Naclを添加した培地に移植し、同条件下で培養した。
3.種子の滅菌、播種
1.5−mLチューブに種子を分注し、70%エタノール1mlを加え、1分間振盪した。遠心し、上清を捨て、滅菌溶液(0.25%次亜塩素酸、0.1%Tween20)1mLを加えて、10−15分振盪した。クリーンベンチ内で軽く遠心し、上清を捨て、1mL超純水を加えてリンスした。リンスを5回繰り返し、1mL超純水を加えた状態でアルミホイルに包み、4℃で約1週間春化処理を行った。再び、クリーンベンチ内で軽く遠心し、上清を捨て、別にオートクレーブ処理(121℃、20分)した0.3%アガロース溶液1mLに懸濁した。オートピペットのチップにとり、別にオートクレーブ処理(121℃、20分)したろ紙を培地上に敷いたシャーレに播種した。
4.無菌培地の調製
(1)ミネラル培地
以下の組成を含む。5.0mM KNO3、2.5mM K2HPO4−H3PO4(pH5.5)、50mM Fe−EDTA、2.0mM MgSO4・7H2O、microelements[70mM H3BO4、14mM MnCl2・4H2O、0.5mM CuSO4・5H2O、1mM ZnSO4・7H2O、0.2mM Na2MoO4・2H2O、10mM NaCl、0.01mM CoCl2・6H2O]、0.1mM Ca(NO3)2、0.3%Gelrite。培地溶液を調製後オートクレーブ処理(121℃、20分)し、約50℃程度まで冷やしてからシャーレに分注した。ただし、Ca(NO3)2は別にオートクレーブ処理(121℃、20分)し、分注前に加えた。また、200mM NaClを添加する場合は上記培地組成に11.69g NaCl/1Lの割合で加えた。
(2)Murashige Skoog培地(MS培地)
超純水1L中に以下の組成を含む(2N KOHでpH6.3に調製)。培地溶液を調製後オートクレーブ処理(121℃、20分)し、約50℃程度まで冷やしてからシャーレに分注した。
Murashige Skoog培地用混合塩類 4.3g
Sucrose 20g
1000×ビタミンストック 1mL
8.9mM thiamine hydrochloride
40.6mM nicotic acid
2.4mM pyridoxine hydrochloride
Gelrite 3g
(3)LB培地
超純水1L中に以下の組成を含む。培地溶液を調整後オートクレーブ処理(121℃、20分間)した。固形培地の場合は、培地溶液にBacto−agarを1.5%加え、オートクレーブ処理後、約50℃まで冷ましてからシャーレに分注した。
Bacto−Peptone 10g
Bacto−Yeast extract 5g
NaCl 10g
5.オリゴマイクロアレイ
(1)RNA精製・螢光標識
RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)を用いて精製したRNA20μgをAgilent Fluorescent Direct Label Kit(Agilent Technologies)を用いて螢光標識した。
(2)ハイブリダイゼーションおよびデータ処理
Agilent Arabidopsis 1 Microarray Kit(Agilent Technologies)を用い、標準プロトコールに従い行った。データの取り込みは、Agilent DNA Microarray Scanner(Agilent Technologies)を用い、シグナルの数値化にはFeature Extraction(Agilent Technologies)を用いた。その後の解析にはExcel(Microsoft)を使用した。
6.RACE
SMARTTMRACE cDNA Amplification Kit(Clontech)を用い、標準プロトコールに従って、プライマーの設計、cDNAの調整およびRACE PCRを行った。
(1)TAクローニング
RACE PCR産物を、pGEM−T(Promega)ベクターを用いて、Compitent High JM109(Toyobo)をホスト大腸菌とし、pGEM−T Vector Systemの標準プロトコールに従いライゲーション、形質転換を行った。
(2)コロニーPCR
正しくクローニングできたかどうか確認するため、コロニーPCRを行った。DNAポリメラーゼにTaKaRa Ex TaqTMHot Start Version(Takara)を使用して、94℃ 5分→(94℃ 15sec、55℃ 15sec、72℃ 30sec)×35cycle→72℃ 5分の温度条件を基本とし、プライマーと目的産物の大きさに合わせてPCRさせた。アガロースゲル電気泳動を行って産物の大きさを確認した。
(3)プラスミド回収
形質転換を行った大腸菌を、50mg/mLのアンピシリンを含むLB液体培地で約150rpm37℃、14時間しんとう培養を行った。培養液を1.5mLのチューブに移し、6,000rpm4℃3分間遠心した。上清を除き、ペレットを200μLのSolutionIでピペッティングし懸濁した。300μLのSolutionIIを加え2〜3回穏やかに倒置し、氷上で10分間静置した。300μLのSolutionIIIを加え2〜3回穩やかに倒置し、氷上で10分間静置した。15,000rpm4℃10分遠心し、上清を回収した。1μLの1mg/mL RNase Aを加え37℃、20分以上静置した。200μLのクロロホルムを加え激しく攪拌し、15,000rpm4℃10分間遠心し、上層(水層)を回収した(2回行った)。等量のイソプロパノールを加え激しく攪拌し、15,000rpm4℃10分遠心し、上清を除きペレットを600μLの70%エタノールで洗浄した。15,000rpm4℃10分間遠心し、上清を除きドライアップした。10〜20μLのTEもしくは超純水にて溶解し、プラスミド溶液とした。
SolutionI(超純水1L中)
Gulcose 4mL
0.9g 1M Tris−HCl(pH8.0)
0.25mM EDTA(pH8.0) 2.5mL
調整後オートクレーブ処理(121℃、20分間)した。
SolutionII(使用時調整:超純水で目的量を調製)
2N NaOH(使用時調整) 1/5倍容
10%SDS 1/10倍容
SolutionIII(超純水1L中)
酢酸カリウム 29.44g
酢酸 11.5mL
調整後オートクレーブ処理(121℃、20分間)した。
(4)制限酵素処理
回収したプラスミド溶液を、正しいコンストラクトの確認ができるような制限酵素を用いて、消化を行った。処理後、アガロースゲル電気泳動を行った。
(5)DNAシークエンス
回収したプラスミドをテンプレートとし、DYEnamicTMTerminator Cycle Sequene Kit(Amercham Biosciences)を用い、反応液は20μL(テンプレート1μL、プライマー各10pmol、プレミックス8μL、超純水で20μL)、反応条件は94℃ 20秒→(95℃ 20秒、50℃ 15秒、60℃ 1分)×30cycle、PCRを行った。PCR産物をAutoseq G−50(Amersham Biosciences)を用い標準プロトコールに従いサンプルの精製を行った。ABI PRISMTM310 GeneticAnalyzer(ABI)により泳動、解析を行った。
7.リアルタイムRT−PCR
(1)RNA精製およびDNaseI処理
植物個体(約0.1g)を液体窒素で凍らせ、乳鉢で破砕したものを新しいチューブに移した。あらかじめ50℃にインキュベートしておいた1mL Isogen(ニッポンジーン)を加え、激しくボルテックスした。50℃で10分間インキュベートし、その後、室温で5分間静置した。0.2mLクロロホルムを加え、ボルテックスし、室温で2分間静置した。15,000rpm(15,000×g)で15分間(4℃)遠心し、上層(水層)を回収して新しいチューブに移した。0.2mLクロロホルムを加え、1分間激しく混合し、12,000rpm(10,000×g)で5分間(4℃)遠心し、上層(水層)を回収した。このクロロホルム処理を中間層のタンパクがなくなるまで繰り返した。上層(水層)に0.5mLイソプロパノールを加え、5分間軽く混和した。15,000rpm(15,000×g)で15分間(4℃)遠心し、上清を捨てて、沈殿を風乾した。沈殿を0.1mL RNase−free waterに溶解し、10μL 3M酢酸ナトリウムを加え混合した。氷上で20分間静置し、15,000rpm(15,000×g)で15分間(4℃)遠心した。上清を回収し、0.25mLエタノールを加えて、−70℃で1時間インキュベートした。15,000rpm(15,000×g)で10分間(4℃)遠心し、上清を捨て1mL70%エタノールを加えて、リンスした。15,000rpm(15,000×g)で5分間(4℃)遠心し、上清を捨て、沈殿を風乾した。沈殿を20μL RNase−free waterに溶解した。RNase−free DeoxyribonucleaseI(Takara)を用い、標準プトロコールに従って37℃で30分間反応させた。クロロホルム処理を中間層のタンパクがなくなるまで繰り返し、エタノール沈殿で全RNAを回収した。
(2)cDNA合成および検量線用テンプレートの調製
cDNAは1st Strand cDNA Synthesis Kit for RT−PCR(AMV)(Roche)を用い、標準プロトコールに従って調製した。検量線用テンプレートは、SuperscriptTMOne−Step RT−PCR with Platinum Taq(Life Technologies)を用いて、アガロースゲルで泳動後、ゲルを切り出して、Quantum PrepTMFreeze‘N Squeeze DNA Gel Extraction Spin Column(Bio−Rad)を用いて精製した。
(3)測定
測定する遺伝子に対して特異性が高く、かつゲノムDNAのコンタミネーションを確認するためにイントロンを挟むように22〜25merのプライマーを設計した。試薬はLightCycler−FastStart DNA Master SYBR GreenI(Roche)を用い、標準プロトコールに従って、Light−Cycler(Roche)を使ってリアルタイムRT−PCRを行った。測定値はアクチン2遺伝子(ACT2)を内部標準として、補正した。
8.植物形質転換
(1)バイナリーベクターの構築
フォワードプライマーに制限酵素XbaIサイトを付加(プライマー(ix)(bHLH19−Nf Fw「5’−ATT ATT TCT AGA CGA TCG TTT CCC ATG GAT GAT GAT TTT TTC TTA CCC GAT TTC TCA CTA G−3’(配列番号:14)」)、リバ−スプライマーにSacIサイトを付加したもの(プライマー(x)(HLH19−Cr Rv「5’−ACT AAA ACT CGA GAG AAG ACC TAA ACC ATT GCG AGT CTC AGG−3’(配列番号:15)」)を設計した。プライマー(ix)と(x)の組み合わせで、通常の開始コドンと終止コドンを含んだ長鎖の断片を増幅させた。ストレス条件サンプルにはSalt−fullを、非ストレス条件のサンプルにはNormal−fullをテンプレートとして増幅させた。
それぞれのインサートをまずpBluescriptII SK(+)(ニッポンジーン)ベクターのEcoRIサイトへサブクローニングし、コロニーPCR、プラスミド回収、制限酵素処理及びDNAシークエンスにより確認を行った。その後、上記プラスミドおよびpSMAB701ベクターを、それぞれ制限酵素SacI/XbaIで処理し、アガロースゲルで電気泳動後、目的のバンドをゲルから切り出して、Quantum PrepTMFreeze’NSqueeze DNA Gel Extraction Spin Columns(BIO−RAD)を用いて精製した。Ligation Pack(ニッポンジーン)を用いて、標準プロトコールに従ってライゲーションし、Compitent high JM109(Toyobo)を用い標準プロトコールに従い形質転換を行った。
インサートはpSMAB701ベクター上のXbaI/SacIサイトで切断されるGUSのコード領域へ挿入した(図6)。pSMAB701に含まれる薬剤マーカーであるスペクチノマイシン100mg/mLを含むLB固形培地で、生育してきたコロニーを形質転換候補株として回収した。コロニーPCRで選抜後、プラスミド回収、制限酵素処理、DNAシークエンスを行い、バイナリーベクター構築の最終的な確認を行った。
(2)アグロバクテリウムへの形質転換
エレクトロポレーション法でアグロバクテリウム(GV3101)への形質転換を行った。GV3101 40μLとプラスミド溶液を10倍希釈したものを1μLを、エレクトロポレーション用キュベットに移した。ジーンパルサーの条件は、2.5kV、25μF、200Ωにて行った。キュベット内の菌液をLB液体培地1mLに移し、30℃20分約150rpmで培養を行った。GV3101およびpSMAB701の選択マーカーである、スペクチノマイシン100μg/mL、ゲンタマイシン25μg/mL、リファンピシン50μg/mLを含むLB固形培地で28℃、一晩培養し、生育してきたコロニーを形質転換候補株として回収した。
形質転換したアグロバクテリウムを、スペクチノマイシン100μg/mL、ゲンタマイシン25μg/mL、リファンピシン50μg/mLを含むLB液体培地1.5mLに植菌した。28℃約170rpmで約20時間培養を行った。その後、プラスミド回収、制限酵素処理を行って確認した。形質転換には上記の長鎖2パターンを使って形質転換を行った。
(3)シロイヌナズナ野生系統への形質転換
バイナリーベクターを導入したアグロバクテリウム(GV3101)を、スペクチノマイシン100μg/mL、ゲンタマイシン25μg/mL、リファンピシン50μg/mLを含むLB液体培地1.5mLに植菌し、前培養として28℃約170rpmで約20時間培養を行った。本培養として前培養液を同じ組成の液体培地200mLに1/1000倍容移し、28℃約170rpmで、約22時間培養を行った。遠心して集菌した菌を、infiltration medium約80mLに懸濁させた。適当な大きさの容器に懸濁液を移し、さらにinfiltration medium数mLを加えて懸濁させた。
MS培地にて約2週間育成させたシロイヌナズナ野生系統Colをロックウールに移し、さらに約2週間育成させ、開花直前の蕾が出てきた頃の株を用いた。直接懸濁液に浸して3分おき、感染させ、形質転換を行った。
infiltration medium
Murashige Skoog培地用混合塩類 4.3g
1000×vitamin stock 2mL
sucrose 100g
1mg/mL benzylamino purine 200μL
silicon L−77 400mL
超純水で2L。
実施例1
オリゴマイクロアレイ
pst2変異系統および野生系統を低K+培地(ミネラル培地)および高K+培地(MS培地)において3週間生育させ、葉からRNAを調製し、シロイヌナズナ核遺伝子チップ(14,880遺伝子60mer合成オリゴヌクレオチド、Agilent Technologies)を用いた解析に供した。標準偏差による検定およびノイズ除去の結果有意差のP値(有意確率)が0.01以下となることを指標とした。野外での生育条件により近い低K+培地において、putative bHLH transcription factor(bHLH19)は、pst2系統特定的に高発現を示した(表1)。この高発現は、リアルタイムRT−PCRにおいても確認した(図2)。
RACE
塩ストレス特異的な転写開始点の存在、または塩ストレス選択的スプライシングのどちらかの可能性が考えられたため(図3)、RACEによる解析を行った。5’側のRACE PCRには、確実に末端領域を増幅させるために、プライマーを、スプライシングが変化すると考えられるイントロンの上流と下流に一つずつ(プライマー(i)(pst−p6−r−fukuya Rv「5’−CTT GAA AGA AGA CCT AAA CCA TTG CG−3’(配列番号:16)」)、(ii)(pst−p3−r−fukuya Rv「5’−TTC ATT GCT CTT TCA GCT CTC CTT CCC G−3’(配列番号:17)」)、3’側のRACE PCRにはイントロンの上流に一つ(プライマー(iii)(pst−p1−f−fukuya Fw「5’−CTC ATG GCA CAA GAT CTC CGG TTC TTG C−3’(配列番号:18)」)設計した。塩ストレス12時間の処理を行った植物から全RNAを回収し、それぞれのプライマーと、逆転写の際に末端に付加する配列に相補するプライマーでRACEを行った。DNAシークエンスには上記プライマーと、さらに三つのプライマー(プライマー(iv)(pst−555−r−fukuya Fw「5’−AGT CGA AAT CAA TGT CTA CTA G−3’(配列番号:19)」)、(v)(pst−1776−f−fukuya Fw「5’−CAA AGC TAT TTC CGA TAA CGA CC−3’(配列番号:20)」)、(vi)(pst−1140−r−fukuya Rv(5’−GTT GTT CTT GGA GTT GTT TC−3’(配列番号:21)」)を使用して解析を行った。塩基配列を決定した結果、塩ストレス12時間処理を行った植物と非ストレス条件下の植物ともに、転写開始点と予想される5’側の末端は、開始コドンと予想される部位から約110bp上流のAであることがわかった(図1)。また、RACE産物を57に対しシーケンスを行いイントロンの状態を調べたところ、スプライシングのされ方は五つのパターンがあり、それぞれ、通常のスプライシングが起こっている通常型、塩ストレスで誘導すると考えられる三つのパターン(塩誘導型2、3、4)、スプライシングが起こっていない塩誘導型1が存在していた(図5)。
通常型は転写開始点から551塩基から688
塩誘導型4は転写開始点から551塩基から660
塩誘導型3は転写開始点から551塩基から643
塩誘導型2は転写開始点から551塩基から618がイントロンとして除かれ、
塩誘導型1は551塩基から688は除かれない。
5’側RACE、3’側RACEの産物あわせて57サンプルのシークエンスの結果、通常型が28サンプル、塩誘導型4が2サンプル、塩誘導型3が15サンプル、塩誘導型2が7サンプル、塩誘導型1が5サンプルであった(図5)。ここでクローニングした塩誘導型3および通常型の完全長cDNAをそれぞれSalt−full(SF)、Normal−full(NF)として今後の実験に用いた。
実施例3
リアルタイムRT−PCR
ストレス処理時間、植物の各部位(葉、根)におけるRNA量の変化およびスプライシングパターンを観察しようと試みた。サンプルは3週間MS培地で生育させた植物を16時間ミネラル液体培地で馴化した後、200mM NaClを含む培地に移し、0、1、2、5、10、24時間後に根と葉を分けて回収したRNAを用いた。プライマー(vii)(at2g22760−f Fw「5’−TGT TCT CAT GGC ACA AGA TCT CC−3’(配列番号:22)」)、(viii)(at2g22760−r Rv「5’−AAG AAT CGT TAC CTT GTC CGC C−3’(配列番号:23)」)を用いてRT−PCRを行いゲルによる増幅産物の観察を行ったところ、塩ストレスが2時間で根、葉ともにスプライシングが起こらないパターンの大きさのRNA量が最大になり、その後徐々にイントロンが短いパターンへと移行し、通常のスプライシングパターンへと戻っていった。24時間後には再び変則的なスプライシングが起こっていた(図4)。
実施例4
形質転換系統の作製
形質転換によって得られた各系統の第一世代種子をT1種子とした。形質転換に用いたT−DNAは遺伝子barをコードする領域を持ち、除草剤ビアラホスによる選抜が可能である。各形質転換系統のT1系統はNormal−fullを16系統、Salt−fullを9系統用いていた。各系統のホモ接合系統を維持した。リアルタイムPCRにより導入した遺伝子の発現量を調べた後、75mMのNaClを加えたミネラル培地に各形質転換系統の種子及びColをそれぞれ播種し、育成し、その表現型の観察を行った。
実施例5
塩ストレス条件下での表現型
実施例4で得られたシロイヌナズナの各形質転換系統及び野生系統Colの種子を、75mMのNaClを加えたミネラル培地にそれぞれ播種し、育成し、その表現型の観察を行った。塩ストレス条件下における生育では、各系統で野生系統より高い耐塩性を示した(図7)。また、NFを導入した系統が最も耐塩性を獲得していた。SFを導入した系統も野生株に比べ耐塩性を獲得していた。各形質転換系統も通常のMS培地における生育では野生系統Colとの差は観察されなかった。本実験により、bHLH19の発現が耐塩機構に関与していることが示された。
実施例6
リアルタイムRT−PCR
ストレス処理時間、植物の各部位(葉、根)におけるRNA量の変化およびC末端側イントロンに対するスプライシングパターンを観察しようと試みた。プライマー(xi)(pst−p7−r−fukuya Rv「5’−GAC CTA AAC CAT TGC GAG TCT CAG GTT CCG−3’(配列番号:29)」)、(xii)(1328−f Fw「5’−CTT TGC GAG AAA AGC AAA GGG TGC ATG ATC−3’(配列番号:30)」)を用いた以外は実施例3と同様にしてRT−PCRを行いゲルによる増幅産物の観察を行ったところ、塩ストレスから2時間で根、葉ともにスプライシングが起こらないパターンの大きさのRNA量が最大になり、その後徐々にイントロンが短いパターンへと移行し、通常のスプライシングパターンへと戻っていった。24時間後には再び変則的なスプライシングが起こっていた(図8)。
[配列表]
[技術分野]
本発明は、植物に塩ストレス耐性を付与するポリヌクレオチド、および、このポリヌクレオチドを導入した形質転換植物などに関する。
[背景技術]
植物が受ける環境ストレスには、塩、乾燥、高温、低温、空気汚染など様々なものがあるが、農業生産の観点から最も問題となっているのが塩および乾燥である。
地球上の不毛乾燥地域は、陸地の1/3までも占め、さらに6万km2/年(九州と四国を合わせて面積)ずつ増大している。また、熱帯雨林は13万km2/年(北海道と九州を合わせた面積)ずつ減少している。多くの農耕地において水分蒸発による土壌中塩分(主に塩化ナトリウム)の地表層集積が問題になっており、地球上に分布する塩集積土壌の総計は955万km2である。これは、アメリカ合衆国の国土面積に匹敵する。
一方、地球上の餓死者は、28人(うち子供21人)/分であり、餓死人口は1,500万人/年になる。世界の2/3以上の人は、空腹を満たされておらず、世界的な食糧の枯渇は明白である。さらに世界人口は増加傾向にあるため、2030年ごろに「世界食糧恐慌」が予測される。
また、近年地球温暖化が深刻化していることから、環境問題の観点からも、生物による大気中二酸化炭素の固定量を増大させる必要性が高く、塩集積土壌の緑化が強く望まれている。
一方、耐塩性植物の研究は種々行われており、例えば、光合成生育(独立栄養生育)が野生系統よりも耐塩性になった耐塩性光合成生育突然変異系統pst(photoautotrophic salt tolerance)の一種であるpst2に関する報告がある(例えば、Tsugane,K.,Kobayashi,K.,Niwa,Y.,Ohba,Y.,Wada,K.,and Kobayashi,H.,A recessive Arabidopsis mutant that grows
プライシングが変化すると考えられるイントロンの上流と下流に一つずつ(プライマー(i)(pst−p6−r−fukuya Rv「5’−CTT GAA AGA AGA CCT AAA CCA TTG CG−3’(配列番号:16)」)、(ii)(pst−p3−r−fukuya Rv「5’−TTC ATT GCT CTT TCA GCT CTC CTT CCC G−3’(配列番号:17)」)、3’側のRACE PCRにはイントロンの上流に一つ(プライマー(iii)(pst−p1−f−fukuya Fw「5’−CTC ATG GCA CAA GAT CTC CGG TTC TTG C−3’(配列番号:18)」)設計した。塩ストレス12時間の処理を行った植物から全RNAを回収し、それぞれのプライマーと、逆転写の際に末端に付加する配列に相補するプライマーでRACEを行った。DNAシークエンスには上記プライマーと、さらに三つのプライマー(プライマー(iv)(pst−555−r−fukuya Fw「5’−AGT CGA AAT CAA TGT CTA CTA G−3’(配列番号:19)」)、(v)(pst−1776−f−fukuya Fw「5’−CAA AGC TAT TTC CGA TAA CGA CC−3’(配列番号:20)」)、(vi)(pst−1140−r−fukuya Rv(5’−GTT GTT CTT GGA GTT GTT TC−3’(配列番号:21)」)を使用して解析を行った。塩基配列を決定した結果、塩ストレス12時間処理を行った植物と非ストレス条件下の植物ともに、転写開始点と予想される5’側の末端は、開始コドンと予想される部位から約110bp上流のAであることがわかった(図1)。また、RACE産物を57に対しシーケンスを行いイントロンの状態を調べたところ、スプライシングのされ方は五つのパターンがあり、それぞれ、通常のスプライシングが起こっている通常型、塩ストレスで誘導すると考えられる三つのパターン(塩誘導型2、3、4)、スプライシングが起こっていない塩誘導型1が存在していた(図5)。
通常型は転写開始点から551塩基から688
塩誘導型4は転写開始点から551塩基から660
塩誘導型3は転写開始点から551塩基から643
塩誘導型2は転写開始点から551塩基から618がイントロンとして除かれ、
塩誘導型1は551塩基から688は除かれない。
5’側RACE、3’側RACEの産物あわせて57サンプルのシークエンスの結果、通常型が28サンプル、塩誘導型4が2サンプル、塩誘導型3が15サンプル、塩誘導型2が7サンプル、塩誘導型1が5サンプルであった(図5)。ここでクローニングした塩誘導型3(配列番号:5)および通常型(配列番号:13)の完全長cDNAをそれぞれSalt−full
(SF)、Normal−full(NF)として今後の実験に用いた。
[実施例3]
リアルタイムRT−PCR
ストレス処理時間、植物の各部位(葉、根)におけるRNA量の変化およびスプライシングパターンを観察しようと試みた。サンプルは3週間MS培地で生育させた植物を16時間ミネラル液体培地で馴化した後、200mM NaClを含む培地に移し、0、1、2、5、10、24時間後に根と葉を分けて回収したRNAを用いた。プライマー(vii)(at2g22760−fFw「5’−TGT TCT CAT GGC ACA AGA TCT CC−3’(配列番号:22)」)、(viii)(at2g22760−r Rv「5’−AAG AAT CGT TAC CTT GTC CGC C−3’(配列番号:23)」)を用いてRT−PCRを行いゲルによる増幅産物の観察を行ったところ、塩ストレスが2時間で根、葉ともにスプライシングが起こらないパターンの大きさのRNA量が最大になり、その後徐々にイントロンが短いパターンへと移行し、通常のスプライシングパターンへと戻っていった。24時間後には再び変則的なスプライシングが起こっていた(図4)。
[実施例4]
形質転換系統の作製
形質転換によって得られた各系統の第一世代種子をT1種子とした。形質転換に用いたT−DNAは遺伝子barをコードする領域を持ち、除草剤ビアラホスによる選抜が可能である。各形質転換系統のT1系統はNormal−full(配列番号:13)を16系統、Salt−full(配列番号:5)を9系統用いていた。各系統のホモ接合系統を維持した。リアルタイムPCRにより導入した遺伝子の発現量を調べた後、75mMのNaClを加えたミネラル培地に各形質転換系統の種子及びColをそれぞれ播種し、育成し、その表現型の観察を行った。
[実施例5]
塩ストレス条件下での表現型
実施例4で得られたシロイヌナズナの各形質転換系統及び野生系統Colの種子
を、75mMのNaClを加えたミネラル培地にそれぞれ播種し、育成し、その表現型の観察を行った。塩ストレス条件下における生育では、各系統で野生系統より高い耐塩性を示した(図7)。また、NF(配列番号:13)を導入した系統が最も耐塩性を獲得していた。SF(配列番号:5)を導入した系統も野生株に比べ耐塩性を獲得していた。各形質転換系統も通常のMS培地における生育では野生系統Colとの差は観察されなかった。本実験により、bHLH19の発現が耐塩機構に関与していることが示された。
[実施例6]
リアルタイムRT−PCR
ストレス処理時間、植物の各部位(葉、根)におけるRNA量の変化およびC末端側イントロンに対するスプライシングパターンを観察しようと試みた。プライマー(xi)(pst−p7−r−fukuya Rv「5’−GAC CTA AAC CAT TGC GAG TCT CAG GTT CCG−3’(配列番号:29)」)、(xii)(1328−f Fw「5’−CTT TGC GAG AAA AGC AAA GGG TGC ATG ATC−3’(配列番号:30)」)を用いた以外は実施例3と同様にしてRT−PCRを行いゲルによる増幅産物の観察を行ったところ、塩ストレスから2時間で根、葉ともにスプライシングが起こらないパターンの大きさのRNA量が最大になり、その後徐々にイントロンが短いパターンへと移行し、通常のスプライシングパターンへと戻っていった。24時間後には再び変則的なスプライシングが起こっていた(図8)。
[産業上の利用可能性]
本発明のポリヌクレオチドを用いると、植物に耐塩性を付与することができるので、耐塩性を有する形質転換植物細胞および形質転換植物体を提供することができる。また、耐塩性は、水分枯渇耐性(乾燥耐性)を含むたの環境ストレスに対する耐性を伴っていることが多いので、不毛乾燥地帯の緑化およびこれらの地域における農耕への寄与が期待される。さらに、果物の栽培においては、糖度を上げるために灌漑を制限するが、これに伴う収量の減少の緩和への貢献が期待される。加えて、ビルの屋上緑化や道路のり面などにおける灌漑コストの低減も期待される。さらに、強光、低温、高温等の環境ストレスに対しても耐性の付与が
Claims (11)
- 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:1、6、8または10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:3、7、9または11に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。 - 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(e)配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:26に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:25に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:25に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:25に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:26に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。 - 請求項1に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つと、請求項2もしくは3に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つとを含むポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
- 配列番号:5に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
- 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(a)配列番号:28に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:27に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:27に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:28に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び
(f)配列番号:28に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドと80%以上の相同性を有し、かつ植物の耐塩性を高める機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。 - DNAである請求項1〜6のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項8に記載のベクターを保持する形質転換細胞。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項8に記載のベクターを導入した形質転換植物体。
- 請求項10に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
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