JPWO2006093211A1 - 抗ウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
肝実質細胞増殖因子(HGF)またはHGFレセプターのアゴニストからなる抗ウイルス剤及びこれらと他の抗ウイルス剤を同時に、または、別々に使用するC型肝炎ウイルスに起因する疾患の予防及び/又は治療剤。
Description
本発明は、抗ウイルス剤に関する。
C型肝炎ウイルス(Hepatitis virus type C、以下「HCV」と略することもある)は、日本において肝炎・肝硬変・肝癌の第一の原因となっている。日本には約150万人の慢性肝炎患者、約30万人の肝硬変患者がいると推定されるが、そのうちHCVを原因とするものは、70%-80%を占める。HCVは血液を介して感染するため、輸血血液はスクリーニングされ、現在では輸血による感染はほぼ除外できるが、それ以前の医療行為による感染者を中心に、現在でも約200万人のキャリアが存在し、新たな慢性肝炎患者の温床となっている。
HCVは、感染がヒトおよびチンパンジーでしか成立しないこと、及びin vitroでの適当な感染系・複製系が無かったことから、C型肝炎に対する薬剤の開発は遅れていた。種々の医薬品が治療に使用されているが、ウイルス血症改善に効果のあるものは、現在までに種々のインターフェロン(以下「IFN」と略することもある)製剤、リバビリンのみである。しかし、その効果も十分とは言えず、リバビリン単独ではHCVに対して無効でIFNとの併用のみ効果が認められ、IFN単独では奏功率30%、両剤併用でも50%である。特にわが国に蔓延するHCV-1b型(遺伝子の型)やウイルス量が多い患者では治癒する可能性は極めて低い。このような状況で、C型慢性肝炎・肝硬変・肝癌に対する有効な薬剤の開発が望まれている。
抗ウイルス剤以外に、C型肝炎を含む慢性肝炎全般に対して、肝細胞壊死の進行抑制を目的に肝庇護剤と呼ばれる薬剤が投与されることがある。上市された肝庇護剤には、注射剤として強力ネオミノファーゲンC・アデラビン9号・タチオン・経口剤としてグリチロン・チオラ・ウルソ・プロヘパール・小柴胡湯などがある。これらは、肝細胞膜の安定化などを介して対症療法的に肝機能検査(漏出酵素など)値を改善するのであり、原因であるウイルスを排除する効果はない。従ってウイルス血症を改善する薬効は全く期待できない。
近年、HCV-subgenomic repliconというin vitroのC型肝炎ウイルスの複製を模倣する系が確立された(非特許文献1)。
HCV-subgenomic repliconとは、RNAを細胞内に含有するHCV複製モデルである(図3)。HCV-IRES(internal ribosome entry site)下流にネオマイシン耐性遺伝子を、EMCV-IRES下流にHCV非構造遺伝子配列を持つ「HCV擬似RNA」を、ヒト肝癌細胞株であるHuh7細胞にトランスフェクトしてG418存在下で選択する。得られた耐性クロンでは、replicon RNAはHCV由来のポリメラーゼ, プロテアーゼなどを利用して自立複製をしており、HCVの複製モデルとなりうる。本システムは抗HCV剤のスクリーニングに広く用いられており、本システムでreplicon RNAの複製を阻害するHCVプロテアーゼ阻害剤BILN-2061は、C型肝炎患者のウイルス血症を改善することも示されており、系の妥当性は認められている(非特許文献2)。
HCV-subgenomic repliconとは、RNAを細胞内に含有するHCV複製モデルである(図3)。HCV-IRES(internal ribosome entry site)下流にネオマイシン耐性遺伝子を、EMCV-IRES下流にHCV非構造遺伝子配列を持つ「HCV擬似RNA」を、ヒト肝癌細胞株であるHuh7細胞にトランスフェクトしてG418存在下で選択する。得られた耐性クロンでは、replicon RNAはHCV由来のポリメラーゼ, プロテアーゼなどを利用して自立複製をしており、HCVの複製モデルとなりうる。本システムは抗HCV剤のスクリーニングに広く用いられており、本システムでreplicon RNAの複製を阻害するHCVプロテアーゼ阻害剤BILN-2061は、C型肝炎患者のウイルス血症を改善することも示されており、系の妥当性は認められている(非特許文献2)。
一方、肝実質細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor、以下「HGF」ともいう。)は、成熟肝細胞に対する強力な増殖促進因子として発見され、その遺伝子クローニングがなされた(非特許文献3)。その後の研究により、HGFは生体内で腎、肺、胃、十二指腸、皮膚などの創傷治癒にも関係していることが明らかとなり、またHGFの受容体に関しては、c−Met原腫瘍遺伝子がHGF受容体をコードしていることが明らかにされている(非特許文献4、5)。現在ではHGFは、当該受容体を介することにより、多くの組織修復、器官再生に働く因子であると考えられている(非特許文献6、7)。
特に、肝疾患分野においては、HGFの持つ肝細胞増殖促進作用・肝細胞壊死抑制作用・肝機能促進作用から、劇症肝炎・肝不全・肝移植などの急性適応、慢性肝炎・肝硬変などの慢性適応の両面が考案され、その医薬応用が期待されている(特許文献1)。しかしながら、HGF自体に直接肝炎ウイルスを排除する機能があるか否かについては、現在まで全く具体的証明が為されていない。
特開平3−72883号公報
SCIENCE 285, No.5424, 110-113 (1999)
Nature 426, No.6963, 186-189 (2003)
Biochem. Biophys. Res. Commun., 163, 967 (1989)
Science, 251,802-804 (1991)
Oncogene, 6, 501-504 (1991)
実験医学 10, 144-153 (1992)
動脈硬化 23, 683-688 (1996)
本発明の課題は、新たな抗ウイルス剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、HGF単独投与でHCVの複製抑制が起こること、及びHGFとIFNに代表される抗ウイルス剤との併用により、該抗ウイルス剤のHCV複製抑制が増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 肝実質細胞増殖因子(HGF)またはHGFレセプターのアゴニストからなる抗ウイルス剤。
(2) ウイルスがC型肝炎ウイルスである(1)記載の抗ウイルス剤。
(3) HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とする医薬品製剤。
(4) 抗ウイルス剤が、HCV-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である(3)記載の医薬品製剤。
(5) 抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である(3)または(4)に記載の医薬品製剤。
(6)抗ウイルス剤がイノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ(以下「IMPDH」と称することもある)阻害剤であることを特徴とする(3)記載の医薬品製剤。
(7) 抗ウイルス剤が、インターフェロン(IFN)及びリバビリンから選ばれる1種または2種である(3)から(6)のいずれかに記載の医薬品製剤。
(8) C型肝炎ウイルスに起因する疾患を予防及び/または治療するための(3)から(7)のいずれかに記載の医薬品製剤。
(9) C型肝炎ウイルスに起因する疾患が、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌から選ばれる(8)記載の医薬品製剤。
(10) ウイルス血症を改善するための(3)から(9)のいずれかに記載の医薬品製剤。
(11) HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするC型肝炎ウイルスに起因する疾患の予防及び/または治療方法。
(12) 抗ウイルス剤が、HCV-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である(11)記載の予防及び/または治療方法。
(13) 抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である(11)または(12)に記載の予防及び/または治療方法。
(14) 抗ウイルス剤がIMPDH阻害剤であることを特徴とする(11)記載の予防及び/または治療方法。
(15) 抗ウイルス剤が、IFN及びリバビリンから選ばれる1種または2種以上である(11)から(14)のいずれかに記載の予防及び/または治療方法。
(16) C型肝炎ウイルスに起因する疾患が、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌から選ばれる(11)から(15)のいずれかに記載の予防及び/または治療方法。
(17) HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするウイルス血症の改善方法。
(18) 抗ウイルス剤が、HCV-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である(17)記載の改善方法。
(19) 抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である(17)または(18)に記載の改善方法。
(20) 抗ウイルス剤がIMPDH阻害剤であることを特徴とする(17)に記載の改善方法。
(21) 抗ウイルス剤が、IFN及びリバビリンから選ばれる1種または2種である(17)から(20)のいずれかに記載の改善方法。
(1) 肝実質細胞増殖因子(HGF)またはHGFレセプターのアゴニストからなる抗ウイルス剤。
(2) ウイルスがC型肝炎ウイルスである(1)記載の抗ウイルス剤。
(3) HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とする医薬品製剤。
(4) 抗ウイルス剤が、HCV-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である(3)記載の医薬品製剤。
(5) 抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である(3)または(4)に記載の医薬品製剤。
(6)抗ウイルス剤がイノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ(以下「IMPDH」と称することもある)阻害剤であることを特徴とする(3)記載の医薬品製剤。
(7) 抗ウイルス剤が、インターフェロン(IFN)及びリバビリンから選ばれる1種または2種である(3)から(6)のいずれかに記載の医薬品製剤。
(8) C型肝炎ウイルスに起因する疾患を予防及び/または治療するための(3)から(7)のいずれかに記載の医薬品製剤。
(9) C型肝炎ウイルスに起因する疾患が、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌から選ばれる(8)記載の医薬品製剤。
(10) ウイルス血症を改善するための(3)から(9)のいずれかに記載の医薬品製剤。
(11) HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするC型肝炎ウイルスに起因する疾患の予防及び/または治療方法。
(12) 抗ウイルス剤が、HCV-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である(11)記載の予防及び/または治療方法。
(13) 抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である(11)または(12)に記載の予防及び/または治療方法。
(14) 抗ウイルス剤がIMPDH阻害剤であることを特徴とする(11)記載の予防及び/または治療方法。
(15) 抗ウイルス剤が、IFN及びリバビリンから選ばれる1種または2種以上である(11)から(14)のいずれかに記載の予防及び/または治療方法。
(16) C型肝炎ウイルスに起因する疾患が、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌から選ばれる(11)から(15)のいずれかに記載の予防及び/または治療方法。
(17) HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするウイルス血症の改善方法。
(18) 抗ウイルス剤が、HCV-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である(17)記載の改善方法。
(19) 抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である(17)または(18)に記載の改善方法。
(20) 抗ウイルス剤がIMPDH阻害剤であることを特徴とする(17)に記載の改善方法。
(21) 抗ウイルス剤が、IFN及びリバビリンから選ばれる1種または2種である(17)から(20)のいずれかに記載の改善方法。
本発明によれば、新規な抗ウイルス剤を提供することが可能である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明におけるHGFは公知物質であり、前述の特許文献1に記載の物質である。
HGF自体はそのレセプターに結合して作用を発揮することが公知であり(非特許文献4)、本発明でHGFを用いて得られた効果はHGFレセプターに作用するアゴニストによっても同様の効果が得られる。ゆえに、本発明ではHGFの代わりに、HGFと同様の作用を有するHGF誘導体・部分ペプチド・HGF様低分子化合物や、抗HGFレセプターアゴニスト抗体などを用いても同様の効果を期待しうる。HGF誘導体の例としてはNature. 342,440-443 (1989).に記載された誘導体などが挙げられる。また、抗HGFレセプター抗体としてはJ Cell Sci. 111, 237-247 (1998)に記載された抗体などが挙げられる。さらに、部分ペプチドとしてはFEBS Lett. Vol. 22,1-6, (1997)に記載されたHGFに由来しアゴニスティックな活性を持つ部分ペプチドなどが挙げられる。しかし、HGFレセプターに対してアゴニストとしての効果を有する物質であれば特に上記物質に限定されない。さらに、HGFレセプターに直接的な作用をせず、公知のHGFレセプター下流シグナル伝達やHGFの活性化に関与するHGFアクチベーター、HGFアクチベーターインヒビターなどに作用するような物質も本発明のHGFレセプターのアゴニストに含まれうる。
本発明の特徴は、上記のHGFまたはHGFレセプターのアゴニストを抗ウイルス剤として使用可能なことを見出した点にあるが、更なる特徴として、HGFまたはHGFレセプターのアゴニストを他の抗ウイルス剤と併用することにより、該抗ウイルス剤のHCV複製抑制が増強されることを見出した点にある。
本発明において使用される抗ウイルス剤の一例としては、HCV-subgenomic replicon(非特許文献1)における阻害活性を有する物質であれば特に限定はされない。ここで、HCV-subgenomic repliconを阻害する物質とは、HCV-subgenomic repliconに薬剤を添加した時に細胞1個あたりに含まれるレプリコンRNA量を50%以下、より好ましくは10%以下に減少させることが可能である薬剤をいう。例としてはBILN2061(非特許文献2)などが挙げられるが、上記作用を有する薬剤であれば特に限定されない。具体的には、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤及びHCVヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
さらに、リバビリンに代表されるイノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤もヒトにインターフェロン(IFN)と併用することにより抗HCV活性を有することが知られているが、本発明でいう抗ウイルス剤にIMPDH阻害剤も含まれうる。
具体的には、IFN及びリバビリンから選ばれる1種または2種が挙げられる。
なお、上記HGFやIFNは医薬として使用できる程度に精製されたものであれば、種々の方法で調製されたものを使用することができる。例えば、HGFまたはIFNを産生する初代培養細胞や株化細胞を培養し、培養上清等から分離、精製して該HGFまたはIFNを得ることができる。あるいは遺伝子工学的手法によりHGFまたはIFNをコードする遺伝子を適切なベクターに組み込み、これを適当な宿主に挿入して形質転換し、この形質転換体の培養上清から目的とする組換えHGF又はIFNを得ることができる。上記の宿主細胞は、従来から遺伝子工学的手法で用いられる各種の宿主細胞、たとえば大腸菌、酵母、バキュロウィルス(節足動物多角体ウイルス)−昆虫細胞または動物細胞などを用いることができるが特にこれらに限定されるわけではない(Biochem. Biophys. Res. Commun. 175, 660 (1991)、特許第2577091号公報等参照)。
組換えベクターを導入した形質転換体は、それぞれに適した培地により培養される。培地中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物、ビタミン、血清および耐性スクリーニングに用いられる薬剤などが含有される。具体的には、形質転換体の宿主が大腸菌の場合には、たとえばLB培地(ナカライテスク社製)等、酵母の場合には、YPD培地(Genetic Engineering, vol. 1, p. 117, Plenum Press(1979))等、宿主が昆虫細胞および動物細胞の場合は、20%以下のウシ胎仔血清を含有するHam-12培地、MEM培地、DMEM培地、RPMI1640培地(SIGMA社製)等を挙げることができる。また、培養温度、CO2濃度、培養時間は、宿主及び組換えベクター等によって適宜選択することができる。さらに、必要に応じて通気、攪拌が行われる。これら以外の培地組成あるいは培養条件下でも導入宿主が生育し、挿入されたHGFまたはIFNポリヌクレオチドがコードする蛋白質が生成されればいかなるものであってもよい。
このようにして培養された導入体の回収方法は、たとえば宿主が細胞である場合には、培養物を遠心分離等により細胞を分離した後、細胞体あるいは培養上清として回収する方法等が用いられる。回収された細胞体からの組換え蛋白質の抽出方法としては、それ自体既知の通常用いられる方法が挙げられる。
HGF又はIFNは、公知の無細胞蛋白質合成系等によっても調製することができる。無細胞蛋白質合成系に用いられる細胞抽出液として具体的には、大腸菌等の微生物、植物種子の胚芽、ウサギ網状赤血球等の細胞抽出液等、既知のものが用いられる。これらは市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には大腸菌抽出液は、Pratt, J. M. et al., Transcription and Translation, Hames, B. D. & Higgins, S. J., et. al., p179-209, IRL Press, Oxford(1984)に記載の方法等に準じて調製することもできる。
さらに、IFNは試薬や医薬品として上市されているものも使用しうる。例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、コンセンサスIFNなどが挙げられる。さらにポリエチレングリコール化などの修飾をされたIFNも使用可能であるが、抗ウイルス効果が認められるものであれば特に上記サブタイプおよび修飾体には限定されない。
なお、本発明で使用されるHGFまたはIFNは、天然型と実質的に同じ作用を有する限り、そのアミノ酸配列中の1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加されていてもよく、また同様に糖鎖が置換、欠失及び/又は付加されていてもよい。
また、定法のノーザンブロッティングにより特許文献1に示した核酸とハイブリダイズする核酸およびそれに由来する蛋白も本発明でいうHGFに含まれうる。ノーザンブロッティングは具体的にはバイオ実験イラストレイテッド 2 遺伝子解析の基礎(秀潤社)の第10章ノーザンハイブリダイゼーションに記載された方法で実施することが可能であるが、これに限らず一般的なノーザンブロッティングのプロトコールで実施可能であり、上記参考文献に記載の方法および下記に例示した方法のみに限定されることはない。
すなわち、定法に従い細胞から抽出したRNAのアガロース電気泳動を行ったゲルからRNAをニトロセルロースまたはナイロンメンブレンにトランスファーをしたメンブレンに特許文献1に示した核酸に由来するプローブを用いてハイブリダイズさせることができる。具体的には特許文献1に示した核酸を用いて作成した核酸プローブとともにメンブレンをハイブリダイズ用バッファー<5×SSPE(750mM NaCl, 43.3mM NaPO4 (pH7.4), 6.25mM EDTA)、50%ホルムアミド、5×Denhalt’ solution(0.1% BSA, 0.1% ficol400, 0.1% PVP)、0.5% SDS>中で42〜65℃にてインキュベートすることによりプローブと目的RNAのハイブリダイゼーションは可能である。ハイブリダイズ用バッファーとして上記の例示を行ったが、一般的なノーザンブロッティングに用いられうるハイブリダイズ用のバッファーであれば特に限定はされない。核酸プローブは定法に従いRI標識、あるいはDIG、biotin、フルオレセイン等の化学物標識したもの、あるいはアルカリフォスファターゼやパーオキシダーゼなどの酵素標識したものを用いることができる。ハイブリダイズさせた核酸プローブの検出はRI標識の場合は直接X線フィルムへの露光を、化学物標識の場合は酵素標識されたそれに対する抗体添加後に発光物質とインキュベーションすることによりX線フィルムに露光する方法を、酵素標識であればメンブレンを発光物質とインキュベーションすることによりX線フィルムに露光する方法などにより行うことができるが、核酸プローブとRNAのハイブリダイゼーションを検出可能な方法なのであれば特にこれら方法に限定されない。
なお、ハイブリダイズ用バッファーの塩濃度を下げる、あるいはホルムアミド濃度を上げてハイブリダイズを行うことも可能である。具体的にはNa濃度が150mM〜800mMの間のバッファーを用いて同様にハイブリダイズを行うことはできる。また、ホルムアミド濃度も50〜70%の濃度でハイブリダイズを行うことは可能で、これらの塩およびホルムアミド濃度の範囲内で42〜65℃でハイブリダイズした核酸およびそれに由来する蛋白は本特許の請求範囲に含まれる。
リバビリンは医薬品として上市しているものを使用しうる。具体的には、シェリング・プラウ社からレベトール(登録商標)として販売されているものを使用可能である。用量としては、1日量として50〜5000mgの間で投与可能であるが、好ましくは600〜800mgを1日2回に分けて経口服用することが望ましい。しかし、抗ウイルス活性が見られるのであれば、特に上記用量に限定はされない。さらに、メルクから試薬として販売されているもの(製品番号555580)も使用可能である。
本発明は、HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするC型肝炎ウイルスに起因する疾患を予防及び/または治療方法を提供することが可能である。ここで、C型肝炎ウイルスに起因する疾患とは、例えば、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌が挙げられる。また、本発明においては、HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと抗ウイルス剤とを併用してウイルス血症を改善する方法も提供する。
本発明においては、HGFまたはHGFレセプターのアゴニストを単独で、あるいはIFNに代表されるような他の抗ウイルス剤と共に、さらには適当な製剤用添加物と共に製剤形態の医薬組成物として調製し、投与することができる。このような医薬組成物の投与形態としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、注射用アンプル剤や注射用凍結乾燥粉末剤等を用いることができる。各種製剤形態への調製は、当業者が利用可能な周知の製剤添加物、たとえば、希釈剤や添加剤などを用いて慣用の手法に従って行うことができる。
例えば、注射用凍結乾燥粉末剤は、精製された前記HGF及び/又は他の抗ウイルス剤の有効量を希釈液に溶解し、必要に応じて賦形剤、安定化剤、保存剤、無痛化剤、pH調節剤等を加え、常法により製造することができる。また、注射用アンプル剤は、前記HGF又は他の抗ウイルス剤の有効量を希釈剤に溶解し、必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、保存剤、無痛化剤、pH調節剤等の添加剤を加えた後、通常の加熱滅菌、無菌ろ過等により無菌化して調製することができる。
なお、本発明において「HGFまたはHGFレセプターのアゴニストと他の抗ウイルス剤を同時に使用する」とは、これらを併用して用いる場合、及び、合剤として用いる場合の双方の意味で解釈される。
本発明においては、上記した非経口投与以外に、医薬上許容される担体等を用いて、錠剤、顆粒、カプセル剤、散剤等の固型状、または液剤、懸濁剤、シロップ、乳剤、レモナーデ剤等の液状の態様で、経口投与、吸入投与または外用に適した剤型に製剤化した医薬製剤として用いることもできる。必要ならば、上記製剤に補助剤、安定化剤、湿潤剤、その他の常用添加剤を配合してもよい。
上記各種医薬製剤の用量は、投与ルート、病気の種類、患者の症状、体重あるいは年齢等によって異なり、また適用しようとする薬物の種類などによっても変動するが、一般には、HGFの場合、1日当たり1mg〜200mg程度またはそれ以上の量を患者1人当たりに投与することができる。有効成分として含有されるHGFの平均1回量を、5mg〜100mg程度として、肝障害の予防及び/又は治療に適用することが好ましい。IFNの場合、既に「C型慢性活動性肝炎におけるウイルス血症の改善」という適応で上市されており、例えばキャンフェロンA(IFNアルファ-2a遺伝子組換え製剤、武田薬品工業)では、1日300万〜900万国際単位が投与されている。
さらに本発明では、HGF遺伝子及び/又はIFN遺伝子をC型肝炎ウイルスに起因する肝障害の予防及び/又は治療を行うための遺伝子治療薬として、また、適当な細胞にHGF遺伝子及び/又はIFN遺伝子を導入してその細胞を組織内に移植する細胞治療薬として使用することができる。たとえば、本発明のHGF遺伝子及び/又はIFN遺伝子をリポフェクション試薬に混合し、これを生体に投与することにより、局所のHGF及び/又はIFNをC型肝炎ウイルスに起因する肝障害の予防及び/又は治療に必要な濃度に維持することができる。本発明のHGF及び/又はIFNの投与は、疾病の状態の重篤度や生体の応答性などによるが、予防及び/又は治療の有効性が認められるまで、あるいは疾病状態の軽減が達成されるまでの期間にわたり、適当な用量、投与方法、頻度で行えばよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)HCV-replicon細胞におけるIFNのHCV-replicon複製抑制に対するHGFの添加効果
(実験材料と方法)
In vitroでHCVを複製する細胞系として、ヒト肝癌細胞株Huh7を親株とするHCV-replicon細胞のクロン、#5-15を用いた(ReBLikon GmbHより購入)。#5-15を2%ウシ胎児血清を含むダルベッコイーグルMEM培地に懸濁し、1.5×104/100μl/wellとなるよう96ウェルプレートに播種した。ブランクとして細胞を播種しないで培地のみ添加したウェルを設けた(Day0)。5%CO2ガス下、37℃の湿式インキュベーター内で一昼夜培養後、ヒト組換えIFNα(BIOMEDICAL LABORATORIES社製、Cat.No.11105-1, lot No.#2122)及び/又はヒト組換えHGF(自社製、Lot.920629)を各ウェルに50μlずつ添加した。IFNαの最終濃度は、0、0.1、0.3国際単位(IU)/ml、HGFの最終濃度は、0、10、100ng/mlとし、全ウェルが200ulとなるよう調製した。各サンプルは3ウェルずつ用意した(triplicate)(Day1)。48時間培養後、各ウェルより全RNAをABI-PRIZM 6100 Nucleic Acid PrepStation(アプライドバイオシステム社)により抽出した。抽出方法は装置の操作手引書に従った。抽出したRNA溶液は-80℃に保管した(Day3)。翌日サンプルを解凍後、定量PCR(Polymerase chain reaction)法により、HCV-repliconのRNA量を定量した。装置はABI PRISM7900(アプライドバイオシステム社)を用い、竹内らの方法(Takeuchi, T. et al. Gastroenterology Vol.116, 636-642 (1999))に従い定量を行った。
(実施例1)HCV-replicon細胞におけるIFNのHCV-replicon複製抑制に対するHGFの添加効果
(実験材料と方法)
In vitroでHCVを複製する細胞系として、ヒト肝癌細胞株Huh7を親株とするHCV-replicon細胞のクロン、#5-15を用いた(ReBLikon GmbHより購入)。#5-15を2%ウシ胎児血清を含むダルベッコイーグルMEM培地に懸濁し、1.5×104/100μl/wellとなるよう96ウェルプレートに播種した。ブランクとして細胞を播種しないで培地のみ添加したウェルを設けた(Day0)。5%CO2ガス下、37℃の湿式インキュベーター内で一昼夜培養後、ヒト組換えIFNα(BIOMEDICAL LABORATORIES社製、Cat.No.11105-1, lot No.#2122)及び/又はヒト組換えHGF(自社製、Lot.920629)を各ウェルに50μlずつ添加した。IFNαの最終濃度は、0、0.1、0.3国際単位(IU)/ml、HGFの最終濃度は、0、10、100ng/mlとし、全ウェルが200ulとなるよう調製した。各サンプルは3ウェルずつ用意した(triplicate)(Day1)。48時間培養後、各ウェルより全RNAをABI-PRIZM 6100 Nucleic Acid PrepStation(アプライドバイオシステム社)により抽出した。抽出方法は装置の操作手引書に従った。抽出したRNA溶液は-80℃に保管した(Day3)。翌日サンプルを解凍後、定量PCR(Polymerase chain reaction)法により、HCV-repliconのRNA量を定量した。装置はABI PRISM7900(アプライドバイオシステム社)を用い、竹内らの方法(Takeuchi, T. et al. Gastroenterology Vol.116, 636-642 (1999))に従い定量を行った。
定量PCRに用いた標準曲線用のRNAは、T7 promoter下流にHCV MKC-1A株の遺伝子(Genbank accession No.D45172)をつないだベクターを用いてT7 RiboMAX Express Large Scale RNA production System (プロメガ社製)でin vitro transcriptionを行い調製し、上記定量PCRにおいて102−108にかけて直線性の得られることを確認した。
(結果)
上記方法によって、種々のIFN・HGF濃度の組合せにおけるHCV-repliconのRNA量を定量したところ、以下のことが明らかとなった。
(1)HGF高濃度(100 ng/ml)においては、HGF単独でHCV-replicon複製を抑制した。
(2)IFNがHCV-replicon複製抑制に十分な濃度(0.3 IU/ml)においては、HGFの効果は認められなかった。
(3)IFNがHCV-replicon複製抑制に部分的に作用する濃度(0.1 IU/ml)においては、HGFが相乗的に作用してHCV-replicon複製を抑制した(図1)。
(実施例2)HCV-replicon細胞株の増殖に対するIFN、HGFまたはその併用の影響
(実験材料と方法)
実施例1で認められたHCV-replicon複製量の減少が、細胞数自体の減少に起因するものか否かを見極める目的で、以下の実験を行った。
#5-15を2%ウシ胎児血清を含むダルベッコイーグルMEM培地に懸濁し、1.5×104/100μl/wellとなるよう96ウェルプレートに播種した。ブランクとして細胞を播種しないで培地のみ添加したウェルを設けた(Day0)。5%CO2ガス下、37℃の湿式インキュベーター内で一昼夜培養後、ヒト組換えIFNα(BIOMEDICAL LABORATORIES社、Cat.No.11105-1, lot No.#2122)及び/又はヒト組換えHGF(自社製、Lot.920629)を各ウェルに50μlずつ添加した。IFNαの最終濃度は、0、0.1、0.3国際単位(IU)/ml、HGFの最終濃度は、0、10、100ng/mlとし、全ウェルが200ulとなるよう調整した。各サンプルは3ウェルずつ用意した(triplicate)(Day1)。48時間培養後、細胞増殖測定アッセイの一種であるCellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(プロメガ社、Lot.#171755)により、細胞数を定量化した。操作はアッセイキットの操作手順書に従った。すなわち、各ウェルより培養上清を100μl除去し、アッセイキット中のOne Solution Reagent 20μlを各ウェルに添加した。次いでプレートを37℃に設定した5%CO2を含む湿式インキュベーターで1時間培養し、その後、96ウェルプレートリーダーを使って490nmの吸光度を測定した。
(結果)
実験に用いたいずれのHGF、IFNα濃度と、そのいずれの組合せにおいても、HCV-replicon細胞株に対する増殖抑制は認められなかった(図2)。
(結論)
HGFが比較的高濃度(100 ng/ml)においては、HGF単独でHCV-replicon複製抑制作用が認められた。この時、細胞自身の増殖は全く抑制されていなかったことから、ウイルス複製抑制作用は宿主増殖抑制によるものではない。従来、HGFは肝実質細胞増殖因子であることから、慢性肝疾患の改善剤・肝庇護剤としての適応が想定されていた。我々が今回初めて示した結果は、HCVに起因する疾患の予防及び/又は治療剤としてのHGFの新規な用途を提供するものである。
(結果)
上記方法によって、種々のIFN・HGF濃度の組合せにおけるHCV-repliconのRNA量を定量したところ、以下のことが明らかとなった。
(1)HGF高濃度(100 ng/ml)においては、HGF単独でHCV-replicon複製を抑制した。
(2)IFNがHCV-replicon複製抑制に十分な濃度(0.3 IU/ml)においては、HGFの効果は認められなかった。
(3)IFNがHCV-replicon複製抑制に部分的に作用する濃度(0.1 IU/ml)においては、HGFが相乗的に作用してHCV-replicon複製を抑制した(図1)。
(実施例2)HCV-replicon細胞株の増殖に対するIFN、HGFまたはその併用の影響
(実験材料と方法)
実施例1で認められたHCV-replicon複製量の減少が、細胞数自体の減少に起因するものか否かを見極める目的で、以下の実験を行った。
#5-15を2%ウシ胎児血清を含むダルベッコイーグルMEM培地に懸濁し、1.5×104/100μl/wellとなるよう96ウェルプレートに播種した。ブランクとして細胞を播種しないで培地のみ添加したウェルを設けた(Day0)。5%CO2ガス下、37℃の湿式インキュベーター内で一昼夜培養後、ヒト組換えIFNα(BIOMEDICAL LABORATORIES社、Cat.No.11105-1, lot No.#2122)及び/又はヒト組換えHGF(自社製、Lot.920629)を各ウェルに50μlずつ添加した。IFNαの最終濃度は、0、0.1、0.3国際単位(IU)/ml、HGFの最終濃度は、0、10、100ng/mlとし、全ウェルが200ulとなるよう調整した。各サンプルは3ウェルずつ用意した(triplicate)(Day1)。48時間培養後、細胞増殖測定アッセイの一種であるCellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(プロメガ社、Lot.#171755)により、細胞数を定量化した。操作はアッセイキットの操作手順書に従った。すなわち、各ウェルより培養上清を100μl除去し、アッセイキット中のOne Solution Reagent 20μlを各ウェルに添加した。次いでプレートを37℃に設定した5%CO2を含む湿式インキュベーターで1時間培養し、その後、96ウェルプレートリーダーを使って490nmの吸光度を測定した。
(結果)
実験に用いたいずれのHGF、IFNα濃度と、そのいずれの組合せにおいても、HCV-replicon細胞株に対する増殖抑制は認められなかった(図2)。
(結論)
HGFが比較的高濃度(100 ng/ml)においては、HGF単独でHCV-replicon複製抑制作用が認められた。この時、細胞自身の増殖は全く抑制されていなかったことから、ウイルス複製抑制作用は宿主増殖抑制によるものではない。従来、HGFは肝実質細胞増殖因子であることから、慢性肝疾患の改善剤・肝庇護剤としての適応が想定されていた。我々が今回初めて示した結果は、HCVに起因する疾患の予防及び/又は治療剤としてのHGFの新規な用途を提供するものである。
また、IFNが部分的に作用する濃度(0.1 IU/ml)においては、HGFが相乗的に作用してHCV-replicon複製を抑制した。この時、細胞自身の増殖は全く抑制されていなかったことから、ウイルス複製抑制作用は宿主増殖抑制によるものではない。また、HGF単独では複製抑制が殆ど認められない濃度(10 ng/ml)においてもIFN依存的ウイルス複製抑制作用は相乗的に増強されていることから、IFNとHGFは、違ったメカニズムでウイルス複製を抑制していることが示唆される。IFNをはじめとする従来のHCV抗ウイルス剤は、臨床において、極めて高用量投与しても十分なウイルス排除力を持っていない。我々が示した結果は、HGFが従来の抗ウイルス剤とは違ったメカニズムでHCVウイルス血症改善を増強する可能性を示唆しており、HGFと既存抗ウイルス剤の併用又は混合製剤という、HCVに起因する疾患に対して有望かつ新たな治療を提供するものである。
さらに、IFNには種々の副作用が報告されている。それらは、投与開始直後に多く見られるインフルエンザ様症状・発疹・白血球/血小板減少・蛋白尿から、投与開始後しばらくして見られる脱毛・眼底出血・精神神経症状・間質性肺炎・甲状腺疾患など自己免疫性疾患の発症/憎悪・糖尿病の憎悪まで多岐に及ぶ。中には重篤な副作用も含み、患者の命に関わるケースや、投与中断を余儀なくされるケースも多い。今回我々が初めて示したHGFとIFNとの併用又は混合製剤は、IFN用量を従来よりも低く抑えて従来又はそれ以上の薬効を期待できることから、IFNに起因するこれらの副作用を軽減するという効果を有する。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。本発明によれば、新規な抗ウイルス剤を提供することが可能である。
なお本出願は、2005年3月2日付で出願された日本特許出願(特願2005−057699)に基づいており、その全体が引用により援用される。
なお本出願は、2005年3月2日付で出願された日本特許出願(特願2005−057699)に基づいており、その全体が引用により援用される。
Claims (21)
- 肝実質細胞増殖因子または肝実質細胞増殖因子レセプターのアゴニストからなる抗ウイルス剤。
- ウイルスがC型肝炎ウイルスである請求項1記載の抗ウイルス剤。
- 肝実質細胞増殖因子または肝実質細胞増殖因子レセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とする医薬品製剤。
- 抗ウイルス剤が、C型肝炎ウイルス-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である請求項3記載の医薬品製剤。
- 抗ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ阻害剤及びC型肝炎ウイルスヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である請求項3または4に記載の医薬品製剤。
- 抗ウイルス剤がイノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項3に記載の医薬品製剤。
- 抗ウイルス剤が、インターフェロン及びリバビリンから選ばれる1種または2種である請求項3から6のいずれかに記載の医薬品製剤。
- C型肝炎ウイルスに起因する疾患を予防及び/または治療するための請求項3から7のいずれかに記載の医薬品製剤。
- C型肝炎ウイルスに起因する疾患が、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌から選ばれる請求項8記載の医薬品製剤。
- ウイルス血症を改善するための請求項3から9のいずれかに記載の医薬品製剤。
- 肝実質細胞増殖因子または肝実質細胞増殖因子レセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするC型肝炎ウイルスに起因する疾患の予防及び/または治療方法。
- 抗ウイルス剤が、C型肝炎ウイルス-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である請求項11記載の予防及び/または治療方法。
- 抗ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ阻害剤及びC型肝炎ウイルスヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である請求項11または12に記載の予防及び/または治療方法。
- 抗ウイルス剤がイノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項11に記載の予防及び/または治療方法。
- 抗ウイルス剤が、インターフェロン及びリバビリンから選ばれる1種または2種である請求項11から14のいずれかに記載の予防及び/または治療方法。
- C型肝炎ウイルスに起因する疾患が、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変及び肝癌から選ばれる請求項11から15のいずれかに記載の予防及び/または治療方法。
- 肝実質細胞増殖因子または肝実質細胞増殖因子レセプターのアゴニストと、1種または2種以上の抗ウイルス剤とを同時に、または、別々に使用することを特徴とするウイルス血症の改善方法。
- 抗ウイルス剤が、C型肝炎ウイルス-subgenomic repliconにおける阻害活性を有する物質である請求項17記載の改善方法。
- 抗ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ阻害剤、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ阻害剤及びC型肝炎ウイルスヘリカーゼ阻害剤から選ばれる1種または2種以上である請求項17または18に記載の改善方法。
- 抗ウイルス剤がイノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項17に記載の改善方法。
- 抗ウイルス剤が、インターフェロン及びリバビリンから選ばれる1種または2種である請求項17から20のいずれかに記載の改善方法。
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