JPWO2006085517A1 - クロリン類及びポルフィリン類のpdt用軟膏製剤及び坐剤 - Google Patents

クロリン類及びポルフィリン類のpdt用軟膏製剤及び坐剤 Download PDF

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Abstract

日光角化症、炎症性角化症、いぼ、表皮癌等の皮膚疾患に適用しうる光線力学的療法(PDT:photodynamic therapy)に使用するクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体についての軟膏製剤を提供することであり、クロリン誘導体又はポルフィリン誘導体を有効成分として0.01〜10.0重量%含有してなるPDT用の非水性軟膏製剤であり、含有させるクロリン誘導体またはポルフィリン誘導体が、ATX−S10・Na(II)、NPe6、プロトポルフィリンIXあるいはヘマトポルフィリンである軟膏剤又は坐剤である。

Description

本発明は、光線力学的療法(PDT:photodynamic therapy)として使用するクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体についての軟膏製剤及び坐剤に関する。
癌の新しい治療法として、最近光線力学的療法(以下、PDTと略記する場合もある)が脚光を浴びてきている。これは、ある種のポルフィリン誘導体を静脈注射などにより投与し、癌細胞にこれらポルフィリン誘導体を選択的に集積させた後、レーザー光を照射することにより、癌細胞のみを破壊するというものであり、ポルフィリン誘導体が有する癌細胞への選択性と光増感作用という二つの性質を利用した療法である。
このPDTに臨床的に使用されているポルフィリン誘導体は、ポルフィマーナトリウム(販売名:フォトフリン注)が唯一のものであった(非特許文献1)が、最近に至り、NPe6(タラポルフィリンナトリウム;販売名:レザフィリン)が登場するに至った(非特許文献2)。
最初に登場したポルフィマーナトリウムは、ヘマトポルフィリン誘導体のエーテル体及び/又はエステル体からなる2〜6量体のポリマーとしての混合物である。ポルフィマーナトリウムは、人体に投与した場合に、副作用として一時的な光過敏症を引き起こすことが知られている。また、ポルフィマーナトリウムの癌細胞への選択・集積性は未だ十分なものとはいえず、正常細胞への集積性も認められていた。
したがって、ポルフィマーナトリウムの投与を受けた患者は、正常細胞に集積したポルフィマーナトリウムによる光増感作用で、正常細胞が破壊されないように、ポルフィマーナトリウムが体内から完全に排泄されるまで、長時間にわたって暗室に留まることが必要であった。また、ポルフィマーナトリウムの正常細胞からの排出速度が遅く、時として、6週間以上にわたって光過敏症が残ることがあった。
最近になって登場したNPe6は、クロリン誘導体であり、上記した問題点を解決したPDT用の治療剤として注目されている。また、本発明者らも上記したポルフィマーナトリウムの問題点を解決するポルフィリン誘導体を種々提案してきている。
ところで、これまで提案されているPDTに使用されてきているクロリン誘導体あるいはポルフィリン誘導体は、いずれも静脈投与により生体内に投与された後に、レーザー照射を受けるものであり、深層部の癌の治療に対し有効なものである。しかしながら、日光角化症、炎症性角化症、いぼ、表皮癌等の皮膚表皮に形成される疾患に対しては、これらのクロリン誘導体あるいはポルフィリン化合物は、経皮吸収させることにより当該患部にのみ選択的に集積させるのが望ましい。
本発明者らは、かかる観点から、日光角化症、炎症性角化症、いぼ、表皮癌等の皮膚表皮に形成される疾患に対する経皮吸収による集積性を得るべく、クロリン誘導体あるいはポルフィリン誘導体の軟膏製剤又は坐剤の適用を考えた。そのため、日本薬局方に収載される親水軟膏基剤による軟膏剤の検討を行ったが、基剤中に含有される有効成分であるクロリン誘導体あるいはポルフィリン誘導体が経時的に分解してしまい、目的とする結果を得ることができなかった。
そこで、軟膏基剤について種々検討をおこなった結果、非水性軟膏基剤を用いることにより、効果的に優れ、安定性のよい軟膏剤を得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
中島 進ほか:新薬と臨床、48(1):26(1999) Saito K., et al.: Jpn. J. Cancer Res., 91:560, 2000
すなわち本発明は、日光角化症、炎症性角化症、いぼ、表皮癌等の皮膚疾患に適用しうるPDTに使用するクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体についての軟膏製剤及び坐剤を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、その基本的態様として、クロリン誘導体又はポルフィリン誘導体を有効成分として0.01〜10.0重量%含有してなるPDT用の非水性軟膏製剤又は坐剤である。
より具体的な本発明は、クロリン誘導体又はポルフィリン誘導体が、13,17−ビス[(1,2−ジカルボキシエチル)カルバモイルエチル]−8−エテニル−2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシイミノエチリデン−2,7,12,18−テトラメチルクロリン四ナトリウム[以下、ATX−S10・Na(II)と略記する場合もある]、(2S,3S)−18−カルボキシ−20−カルボキシメチル−13−エチル−3,7,12,17−テトラメチル−8−ビニルクロリン−2−[N−(1S)−(1,2−ジカルボキシ)エチル]プロピオナミド四ナトリウム[以下、NPe6またはタラポルフィリンナトリウムと記載する場合もある]、プロトポルフィリンIX、ヘマトポルフィリンから選択されるものである上記に記載のPDT用非水性軟膏又は坐剤である。
さらに本発明は、より具体的には、非水性軟膏基剤が、FAPG(H)軟膏基剤、FAPG(K)軟膏基剤、PEG軟膏基剤、PEG−PG軟膏基剤、ワセリン軟膏基剤、SRワセリン軟膏基剤、SRワセリン−IPM軟膏基剤、プラスチベース軟膏基剤から選択されるものである上記に記載のPDT用非水性軟膏である。
また本発明は、さらに具体的には、坐剤の基剤が、疎水性(親油性)基剤又は親水性基剤であり、好ましくは、カカオ脂、ウィテップゾール又はマクロゴールであるPDT用坐剤である。
本発明により、製剤学的に安定性に優れ、かつ皮膚浸透性が良好であるクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体を有効成分として含有してなるPDT用の非水性軟膏製剤及び坐剤が提供される。特に、本発明が提供する軟膏製剤は、皮膚透過性(経皮吸収性)が極めて良好であることより、表皮癌、例えば扁平上皮癌等の疾患部位に塗布することにより、癌細胞に効果的にクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体が集積され、レーザー光を照射することにより、癌細胞のみを選択的に破壊することができる。したがって、本発明は、一つのDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)の概念に基づく治療方法に使用する軟膏剤を提供する点で、その医療上の価値は多大なものである。
本発明で提供する軟膏剤及び坐剤において使用するクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体としては、これまでPDTに使用されている各種の誘導体を挙げることができる。具体的には、これらのクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体としては、13,17−ビス[(1,2−ジカルボキシエチル)カルバモイルエチル]−8−エテニル−2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシイミノエチリデン−2,7,12,18−テトラメチルクロリン四ナトリウム[ATX−S10・Na(II)]、(2S,3S)−18−カルボキシ−20−カルボキシメチル−13−エチル−3,7,12,17−テトラメチル−8−ビニルクロリン−2−[N−(1S)−(1,2−ジカルボキシ)エチル]プロピオナミド四ナトリウム[NPe6]、プロトポルフィリンIXあるいはヘマトポルフィリンを挙げることができる。
そのなかで、ATX−S10・Na(II)は本発明者らにより提案されているクロリン誘導体であり、ポルフィマーナトリウムの副作用としての一時的な光過敏症を軽減し、ポルフィマーナトリウムに比較して正常細胞への集積性が認められず、癌細胞のみへの選択・集積性に優れたPDT用クロリン誘導体である。
また、NPe6(タラポルフィリンナトリウム)はクロリン誘導体であり、ポルフィマーナトリウムに続くPDT用の治療剤として最近注目されている化合物であり、臨床的にレザフィリンの販売名で明治製菓(株)より提供されている。
さらに、プロトポルフィリンIXあるいはヘマトポルフィリンは、ポルフィリン誘導体であり、PDT用治療剤としてはそれほど効果的なものではないが、本発明のDDS理論に基づく治療では、ある程度の効果を上げることができる化合物である。本発明にあっては、これらのクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体に限定されるものではなく、プロトポルフィリン前駆体であるアミノレブリン酸(ALA)、血色素由来のポルフィリンから構造変換された新規クロリン誘導体としてのベンゾポルフィリン誘導体(BPD)、メタテトラヒドロキシフェニルクロリン(m−THPC)なども挙げることができる。
さらに本発明者らが提案しているATX−S10・Na(II)において、3位のヒドロキシイミノエチリデン基をアルコキシイミノ化、特にエトキシイミノ化したポルフィリン誘導体も使用することができる。
本発明にあっては、これらのクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体のなかでも、ATX−S10・Na(II)あるいはNPe6を好適に使用することができる。
本発明者らは、これらのクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体を軟膏剤とするにあったって、最初にATX−S10・Na(II)を含有させる有効成分として選択し、日本薬局方記載の親水軟膏と同じ軟膏基剤を用いて軟膏製剤を調製し、その製剤学的な安定性を検討した。
しかしながら、得られた軟膏製剤の保存安定性を検討したところ、有効成分であるATX−S10・Na(II)が経時的に分解することが判明した。この経時的な分解は、他のクロリン誘導体またはポルフィリン誘導体にも認められるものであって、この原因は、軟膏基剤としての親水性に起因しているものと考えられた。
そこで、経時的な製剤の安定性を確保しうる軟膏製剤の処方について検討したところ、非水性軟膏基剤が極めて良好な軟膏剤となり得ることを見出したのである。
このような非水性軟膏基剤としては、具体的には、FAPG(H)軟膏基剤、FAPG(K)軟膏基剤、PEG軟膏基剤、PEG−PG軟膏基剤、ワセリン軟膏基剤、SRワセリン軟膏基剤、SRワセリン−IPM軟膏基剤、プラスチベース軟膏基剤を挙げることができる。
具体的には、FAPG(H)軟膏基剤とはステアリルアルコール、ステアリン酸ならびにプロピレングリコールからなる軟膏基剤である。また、FAPG(K)軟膏基剤とはステアリルアルコール、ステアリン酸及びポリエチレングリコール400からなる軟膏基剤である。PEG軟膏基剤とはポリエチレングリコール400及びポリエチレングリコール4000からなる軟膏基剤であり、PEG−PG軟膏基剤とはプロピレングリコール及びポリエチレングリコール4000からなる軟膏基剤である。また、ワセリン軟膏基剤とはワセリン及び流動パラフィンからなる軟膏基剤であり、SRワセリン軟膏基剤とはSRワセリン(5%サリチル酸−ワセリン)及び流動パラフィンからなる軟膏基剤であり、SRワセリン−IPM軟膏基剤とはSRワセリン及びミリスチン酸イソプロピルからなる軟膏基剤である。さらに、プラスチベース軟膏基剤とはプラスチベース(95%の流動パラフィンと5%のポリエチレン樹脂)からなる軟膏基剤である。
なお、本発明で使用する非水性軟膏基剤としては上記のものに限定されず、非水性軟膏として製剤学的に使用されている軟膏基剤を使用し得ることはいうまでもない。また、薬剤学的もしくは製剤学的に他の安定剤や経皮吸収促進剤を加えることも許容される。
本発明において、これらの非水性軟膏基剤に含有させるクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体の配合量は、配合された有効成分であるクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体が経皮吸収され、疾患部位に蓄積され、レーザー光線の照射により標的細胞を死滅させるのに十分な量が配合されればよい。本発明者らの検討によれば、その配合量は、製剤重量をベースとして0.01〜10重量%であれば、十分な効果が得られることが判明した。
配合量が0.01重量%未満であると目的とする治療効果を上げることができず、また10.0重量%以上配合させてもそれ以上の効果は得られなかった。
なお、配合量は含有させる有効成分の種類により一概に特定することはできず、また、含有させる有効成分の安定性は有効成分の濃度、用いる軟膏基剤に大きく影響されないため、上記の含有量の範囲内で、用途に合わせ種々変更させることが可能である。そのなかでも、有効成分としてATX−S10・Na(II)を使用する場合には、0.5重量%程度含有させることで、製剤学的な安定性も良好な、特に好ましい製剤が得られることが判明した。
本発明の軟膏製剤を製造するには、汎用されている軟膏製剤の調製法が用いられ、軟膏基剤中に有効成分であるクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体を、均一に混練すればよい。
以上のようにして得られた本発明の軟膏製剤をPDT療法に使用する場合には、日光角化症、炎症性角化症、いぼ、表皮癌等の皮膚疾患、例えば扁平上皮癌等の疾患部位に塗布することにより、効果的にクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体が集積され、その後、その部位をレーザー光線等による光照射により、当該疾患を効果的に治療することができる。
なお、軟膏の塗布に当たっては、ODT効果(密封包帯効果:occlusive dressing technique)を得るために、塗布部位を密閉状態に保つことがより効果的であることが判明した。
本発明の軟膏剤を塗布した後の疾患部位における光照射に際しては、種々のレーザー光、LED、ランプを使用することができる。例えば、チタンサファイヤレーザー、半導体レーザー、OPO−YAGレーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等を使用することができる。そのなかでも、670nm付近に吸収波長を持つクロリン誘導体には半導体レーザーやLEDを用いることがより効果的である。
かくして、本発明の軟膏製剤を疾患部位に塗布し、有効成分を経皮吸収させた後、当該疾患部位を光照射することにより、当該疾患を効果的に治療することができる。
また、本発明の坐剤に関しても、上記した軟膏製剤の調製例を参照にして、製剤学的に汎用されている坐薬基剤、好ましくは疎水性(親油性)基剤、親水性基剤等、具体的にはカカオ脂、ウィテップゾール、マクロゴールを用い、一般的な坐剤の調製を適用して、坐剤を調製することができる。
以下に本発明を、具体的実施例を説明することよりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1:非水軟膏製剤の調製
有効成分として、ATX−S10・Na(II)、NPe6、プロトポルフィリンIX及びヘマトポルフィリンを用い、下記表1に記載の各種軟膏製剤を常法に従って、調製した。
Figure 2006085517
実施例2:軟膏製剤の安定性試験
上記で得られた軟膏製剤を、アルミチューブに封入し、40℃/2週間保存し、有効成分の純度をHPLCにより測定し、その安定性を評価した。純度は、HPLCによる面積百分率により求め、保存開始前の純度と、40℃/2週間保存後の純度を求めた。
それらの結果を下記表2〜表5にそれぞれ示した。
表2は、40℃/2週間保存のATX−S10・Na(II)の純度を示し、表3は、40℃/2週間保存のNPe6の純度を示し、表4は、40℃/2週間保存のプロトポルフィリンIXの純度を示し、表5は、40℃/2週間保存のヘマトポルフィリンの純度を示した。
Figure 2006085517
軟膏製剤におけるATX−S10・Na(II)の安定性に関しては、処方103〜108の軟膏製剤において安定性に優れたものであることが判明した。
Figure 2006085517
軟膏製剤におけるNPe6の安定性に関しては、処方101〜108の軟膏製剤において高い安定性が確認された。
Figure 2006085517
軟膏製剤におけるプロトポルフィリンIXの安定性に関しては、処方101〜108の軟膏製剤において高い安定性が確認された。
Figure 2006085517
軟膏製剤におけるヘマトポルフィリンの安定性に関しては、処方101〜108の軟膏製剤において高い安定性が確認された。
実施例3:軟膏製剤の長期安定性試験
有効成分としてATX−S10・Na(II)を含有する軟膏製剤において、処方103(PEG軟膏)及び処方104(PEG−PG軟膏)について、室温恒温下(25℃)及び冷所(4℃/冷蔵庫)に6ヶ月間保存し、保存開始前、保存後1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月後(冷所保存は、保存後3及び6ヶ月後)の安定性(純度)を、実施例2と同様にHPLCによる面積百分率により求めた。
その結果を下記表6及び表7に示した。
表6は室温恒温下(25℃)における結果を、表7は冷所(4℃/冷蔵庫)における結果を示した。
Figure 2006085517
Figure 2006085517
上記の結果からも判明するように、2種の軟膏処方において、有効成分であるATX−S10・Na(II)の長期安定性が確認された。
実施例4:皮膚浸透性試験(その1)
有効成分としてATX−S10・Na(II)を含有する軟膏製剤において、処方103(PEG軟膏)及び処方104(PEG−PG軟膏)の2種類について、皮膚浸透性を試験した。
(方法)
ヘアレスマウスの背部皮膚にデープを貼付して剥がし取る方法で、傷害を加えた。皮膚の傷害部及び正常部に2種の軟膏製剤[処方103(PEG軟膏)及び処方104(PEG−PG軟膏)]を、小豆大状程度を塗布し、塗布部位を4時間密閉状態に保った後表面の軟膏を拭き取った。当該部位の皮膚凍結切片を作成し、蛍光観察(励起波長:400nm、蛍光波長:670nm)した。
(結果)
その結果を図1〜図3に示した。
図1は傷害部位における処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真であり、図2は傷害部位における処方104(PEG−PG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。
また、図3は正常部位における処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真であり、図4は正常部位における処方104(PEG−PG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。
2種類の処方においては、傷害部位及び正常部位共に有効成分の皮膚浸透性はほぼ同等であったが、傷害部位では真皮まで浸透しており、正常部位では角質層まで浸透し、若干皮膚の表皮に軟膏が残存するが、真皮までは到達していなかった。
実施例5:皮膚浸透性試験(その2)
有効成分としてATX−S10・Na(II)を含有する軟膏製剤において、処方103(PEG軟膏)の軟膏について皮膚浸透性を試験した。
(方法)
ヘアレスマウスの背部にUV−B(装置:DMR−1、Toshiba−Eizai、蛍光ランプ:FL−20−SE−30、東芝)を3回/週で1ヵ月間照射することにより、皮膚が厚くかさかさの日光角化症に近い像が認められた(Actinic keratosisモデル:図5)。
この方法により、3ヶ月後で腫瘍が発生し(SCCモデル:図6)、4ヶ月後では扁平上皮癌を発症(図7)する。
一方、ヘアレスマウスの背部にTPA(12−O−テトラデカノイルフォルボール 13−アセテート)を塗布し、炎症を発症させた(乾癬モデル)。
これらのモデル動物の患部に、処方103(PEG軟膏)の軟膏を小豆大状に塗布し、塗布部位を4時間密閉状態に保った後、表面の軟膏を拭き取った。当該部位の皮膚凍結切片を作成し、蛍光観察(励起波長:400nm、蛍光波長:670nm)した。
(結果)
その結果を図8〜図10に示した。
図8はActinic keratosisモデル動物の患部における、処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真であり、図9はSCCモデル動物の患部における、処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真であり、図10は乾癬モデル動物の患部における、処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。
図に示した結果からも判明するように、いずれのモデル動物、すなわち、Actinic keratosisモデル、SCCモデル、乾癬モデルの患部においても、本発明の有効成分であるATX−S10・Na(II)が真皮まで浸透しているのが理解される。
実施例6:軟膏製剤の薬効試験
実施例5で作成したSCCモデルマウスを使用し、その患部に処方103(PEG軟膏)の軟膏を小豆大状に塗布し、塗布部位を4時間密閉状態に保った。次いで患部表面の軟膏を拭き取り、上部より半導体レーザー(波長:670nm;エネルギー:100J/cm)を照射した。
その結果、照射6日後で、腫瘍部位を消失させることができた。その経緯を図11〜図14に示した。
図11は半導体レーザーの照射前のSCCモデル動物であり、図12は半導体レーザーの照射1日後の様子を、図13は半導体レーザーの照射3日後の様子を、また図14は半導体レーザーの照射6日後の様子を示したものである。図中矢印はSCCの発症患部を示すものであるが、患部の腫瘍部が照射後経時的に消失していく様子が理解され、照射6日後では、腫瘍部位が完全に消失している様子が判明する。
以上記載のように、本発明は光線力学的療法(PDT)として使用するクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体についての軟膏製剤を提供するものであり、本発明が提供する軟膏製剤は、皮膚透過性(経皮吸収性)が極めて良好である。したがって、日光角化症、炎症性角化症、いぼ、表皮癌等の皮膚疾患、例えば扁平上皮癌等の疾患部位に塗布することにより、癌細胞に効果的にクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体が集積される。腫瘍部位に集積されたクロリン誘導体又はポルフィリン誘導体は、光照射により、癌細胞のみを選択的に破壊することができる。したがって、本発明は、一つのDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)の概念に基づく治療方法に使用する軟膏剤を提供する点で、その医療上の価値は多大なものである
実施例4における、傷害部位へ処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。 実施例4における、傷害部位へ処方104(PEG−PG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。 実施例4における、正常部位へ処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。 実施例4における、正常部位へ処方104(PEG−PG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。 実施例5における、Actinic keratosisモデル動物の写真である。 実施例5における、SCCモデル動物の写真である。 実施例5における、扁平上皮癌モデル動物の写真である。 実施例5における、Actinic keratosisモデル動物の患部へ処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。 実施例5における、SCCモデル動物の患部へ処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。 実施例5における、乾癬モデル動物の患部へ処方103(PEG軟膏)の製剤を塗布した場合の皮膚凍結切片の蛍光写真である。
実施例6における、半導体レーザーを照射する前のSCCモデル動物の写真である。 実施例6における、半導体レーザーの照射1日後におけるSCCモデル動物の写真である。 実施例6における、半導体レーザーの照射3日後におけるSCCモデル動物の写真である。 実施例6における、半導体レーザーの照射6日後におけるSCCモデル動物の写真である。

Claims (5)

  1. クロリン誘導体又はポルフィリン誘導体を有効成分として0.01〜10.0重量%含有してなる光線力学療法用(PDT用)の非水性軟膏製剤又は坐剤。
  2. クロリン誘導体またはポルフィリン誘導体が13,17−ビス[(1,2−ジカルボキシエチル)カルバモイルエチル]−8−エテニル−2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシイミノエチリデン−2,7,12,18−テトラメチルクロリン四ナトリウム[ATX−S10・Na(II)]、(2S,3S)−18−カルボキシ−20−カルボキシメチル−13−エチル−3,7,12,17−テトラメチル−8−ビニルクロリン−2−[N−(1S)−(1,2−ジカルボキシ)エチル]プロピオナミド四ナトリウム[NPe6]、プロトポルフィリンIX、又はヘマトポルフィリンから選択されるものである請求項1に記載のPDT用非水性軟膏又は坐剤。
  3. 非水性軟膏基剤が、FAPG(H)軟膏基剤、FAPG(K)軟膏基剤、PEG軟膏基剤、PEG−PG軟膏基剤、ワセリン軟膏基剤、SRワセリン軟膏基剤、SRワセリン−IPM軟膏基剤又はプラスチベース軟膏基剤から選択させるものである請求項1に記載のPDT用非水性軟膏。
  4. 坐剤の基剤が、疎水性(親油性)基剤又は親水性基剤である請求項1又は2に記載のPDT用坐剤。
  5. 坐剤の基剤が、カカオ脂、ウィテップゾール又はマクロゴールである請求項4に記載のPDT用坐剤。
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