JP5179245B2 - 皮膚疾患治療剤 - Google Patents

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本発明は、新規なクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする、光物理化学的診断・治療法(PDT:Photodynamic Therapy)用として使用する皮膚疾患治療剤に関する。
癌の新しい治療法として、光物理化学的診断・治療法(以下、「光線力学療法」と記す:PDT:Photodynamic Therapy)が行われている。これはある種のポルフィリン誘導体を静脈内注射などの方法により投与して、癌(腫瘍)組織に選択的に集積させた後、レーザー光を照射することにより癌組織のみを選択的に破壊することにより癌細胞を消滅させる治療法であり、ポルフィリン誘導体が有する癌組織への選択的集積性と、光増感作用という2つの特性を利用した治療法である。
本発明者らは、このPDTに使用することができるポルフィリン誘導体について鋭意研究を進めてきており、これまでにATX−S10と称するイミノクロリンアスパラギン酸誘導体を提供してきている。
このイミノクロリンアスパラギン酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩のなかでも、特にナトリウム塩である化合物、すなわちATX−S10・Naと命名された化合物は、癌組織への集積性、ならびに新生血管への選択的集積性が著しく高い化合物である。したがって、その優れた特性を利用して、腫瘍の治療のためのPDT用治療剤として極めて効果的なものであることを確認している(特許文献1)。
一方、新生血管に起因する炎症を症状とする炎症性角化症は、皮膚の真皮部分に存在する血管が広がり、リンパ球などの白血球が皮膚に侵入することによっておこる「炎症」と皮膚の表皮が分厚くなって角層も分厚くなる「角化症」が同時に起こる皮膚症状であり、治療法としては、ステロイドなどの抗炎症剤、レチノイドなどの表皮増殖抑制剤、紫外線療法(PUVA療法)が実施されているが、完治に至る決定的な治療法ではない。近年、5−アミノレブリン酸塩酸塩(5−ALA)を用いたPDTによる治療が有効であることが判ってきている。しかしながら、5−ALAはプロトポルフィリンIXの生合成前駆体であり、プロトポルフィリンIXの化合物特性、即ち、新生血管集積性が低いこと、最長波長吸収端が630nmであることから充分な治療効果が得られない。
また、角化症の一つに日光角化症がある。この日光角化症は、老人性角化症ともいわれており、将来的に皮膚がんに進展する可能性のあることからがんの一歩手前、「がん前駆症状」といわれている。長年にわたり日光にさらされたことで皮膚細胞の核の遺伝子DNAが傷つけられ、その修復が加齢によって困難になることから生じる角化症である。症状としてはカサカサした、やや盛り上がった紅斑または灰色ないし褐色の色素斑が皮膚表面に生じ、一見、湿疹やイボに似ているために放置されがちであるが、がん前駆症状とも称されることから治療して切除することが好ましい。手術や炭酸ガスレーザーによる切除、凍結療法、抗ガン剤含有軟膏などによる治療が行われているが、PDTによる治療もまた効果的なものといえる。
ところで、本発明者等の検討により、本発明者等が提案したATX−S10・Naは、癌や眼科領域以外における新生血管に起因する炎症細胞への集積性も優れており、PDTを応用した皮膚疾患治療薬として、炎症性角化症(乾癬などの皮膚炎)治療薬として有効なものであることが判明し、ATX−S10・Naを軟膏製剤とし、PDTを応用した皮膚疾患治療薬として提供し、その点を既に特許出願している(特許文献2)。
しかしながら、ATX−S10・Naを含有する軟膏剤は、皮膚浸透性が低いものであり、患部にその有効治療量を到達させるためにはテープストリッピングによる角層除去を必要としていた。
国際公開WO98/14453号公報 特開2004−026717号公報
本発明者らは、上記した現状を鑑み、テープストリッピングを必要としない、患者に対する負担を軽減したPDT用の皮膚疾患治療剤を開発するべく検討を加えた。すなわち、PDT療法に使用する皮膚疾患治療剤として効果的なものは、薬剤自体の皮膚浸透性が高いこと、且つ軟膏剤として基剤中に均一に溶解・分散できるよう脂溶性であることが要求される。かかる観点に立脚し、幾つかのクロリン誘導体を合成し、それらについて検討した結果、後記する式(I)で示される新規なクロリン誘導体が極めて効果的なものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって本発明は、PDT(Photodynamic Therapy:光物理化学的診断・治療法)を使用した、皮膚疾患治療剤を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、次式(I):
Figure 0005179245
(式中、
Xは、O又はSを表し、
Yは、−(CH)−又は−(CHOH)−を表し、
Rは、−OH、−O(CH)CH−、−O(CH)−OH又は−S(CH)−SHを表し、
nは、0〜10の整数を表し、
mは、0〜11の整数を表し、
lは、2〜12の整数を表す)
で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする光線力学療法(PDT)用の皮膚疾患治療用剤である。
そのなかでも本発明は特に、次式(I−a):
Figure 0005179245
(式中、Xは、O又はSを表し、Yは−(CH)−を表し、nは、0〜4の整数である)
で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩が好ましいものである。
具体的には、本発明は、上記式(I)で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を製剤重量に対して0.1〜20.0重量%含有してなる光線力学療法(PDT)用の皮膚疾患治療用軟膏剤である。
更に具体的には、本発明は軟膏基剤が、FAPG(H)軟膏基剤、FAPG(K)軟膏基剤、PEG軟膏基剤、PEG−PG軟膏基剤、ワセリン軟膏基剤、SRワセリン軟膏基剤、SRワセリン−IPM軟膏基剤またはプラスチベース軟膏基剤から選択させるものである光線力学療法(PDT)用の皮膚疾患治療用軟膏剤である。
すなわち本発明の基本的態様は、上記式(I)で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を利用して、PDTによる皮膚疾患治療を行う点に特徴を有するものである。
本発明により提供する上記式(I)で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を含有する軟膏剤は、テープストリッピングを必要としないで皮膚患部への浸透性が良好なものであり、したがって、皮膚疾患治療におけるPDT療法において、患者に負担を与えることがない。
また、テープストリッピングを必要としないことから、治療自体を簡便に行える利点を有しており、新しい治療システムを提供できるものである。
本発明が提供するPDT療法による皮膚疾患治療剤における有効成分は、上記したように式(I)で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩(以下、単に「クロリン誘導体」という)である。
このクロリン誘導体は、これまで本発明者等が提供してきたイミノクロリンアスパラギン酸誘導体であるATX−S10とは異なり、皮膚浸透性が高く、また脂溶性を持たせたことから例えば各種軟膏基剤中に均一に溶解・分散し、また軟膏製剤自体の安定性も極めて良好なものである。
そのような式(I)で示されるクロリン誘導体の中でも、特に以下の式(I−a):
Figure 0005179245
で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩であって、具体的には、以下の略号で示される化合物である。
PG−P−Me:式(I−a)において、XがOであり、Yが−CH−であるクロリン誘導体、
EG−P−Me:式(I−a)において、XがOであり、Yが直接結合であるクロリン誘導体、
ET−P−Me:式(I−a)において、XがSであり、Yが直接結合であるクロリン誘導体。
これらのクロリン誘導体は、例えば、以下のようにして得ることができる。
すなわち、対応するフォトプロトポルフィリン誘導体を適当な有機溶媒中に溶解し、そこに1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,2−エタンジチオール等のジオール化合物或いはジチオール化合物を反応させることにより、調製することができる。
反応に使用する有機溶媒は特に限定されず、反応に直接の影響を与えないものであれば、任意に選択することができる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒を挙げることができ、なかでもテトラヒドロフランが好ましく使用される。
反応温度、反応時間も特に限定されるものではなく、0〜60℃、好ましくは室温下に0.5〜10時間程度攪拌処理をすることがよい。
反応には、マイルドな酸触媒を存在させることが必要であり、そのような酸触媒としては、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等をあげることができ、なかでもp−トルエンスルホン酸を使用することにより、高収率で目的とするクロリン誘導体を得ることができる。
その幾つかの調製方法の具体的なものを以下に示す。
製造例1:式(I−a)中、XがOであり、Yが−CH −であるクロリン誘導体の調整(PG−P−Mの調製)
フォトプロトポルフィリン1.0gをテトラヒドロフラン50mLに溶解し、この溶液中に1,3−プロパンジオール4.8mL(40倍当量)及びp−トルエンスルホン酸一水和物150mg(0.5倍等量)を加え、2時間撹拌した。攪拌終了後、1%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて析出した沈殿を濾取後、シリカゲルカラムにより精製し、新規クロリン誘導(PG−P−Meと称する)を0.9g得た。得られた誘導体についてLC−MS(エレクトロスプレー、ESI)により質量分析を実施したところ、m/z:681を示し、目的とするクロリン誘導体であることが確認された。
製造例2:式(I−a)中、XがOであり、Yが直接結合であるクロリン誘導体の調整(EG−P−Meの調製)
フォトプロトポルフィリン1.0gをテトラヒドロフラン50mLに溶解し、この溶液中にエチレングリコール4.0mL(40倍当量)及びp−トルエンスルホン酸一水和物150mg(0.5倍等量)を加え、製造例1と同様の処理により、新規クロリン誘導(EG−P−Meと称する)を0.9g得た。得られた誘導体についてLC−MS(エレクトロスプレー、ESI)により質量分析を実施したところ、m/z:667を示し、目的とするクロリン誘導体であることが確認された。
製造例3:式(I−a)中、XがSであり、Yが直接結合であるクロリン誘導体の調整(ET−P−Meの調製)
フォトプロトポルフィリン1.0gをテトラヒドロフラン50mLに溶解し、この溶液中に1,2−エタンジチオール6.0mL(40倍当量)及びp−トルエンスルホン酸一水和物150mg(0.5倍等量)を加え、製造例1と同様の処理により、新規クロリン誘導(ET−P−Meと称する)を0.4g得た。得られた誘導体についてLC−MS(エレクトロスプレー、ESI)により質量分析を実施したところ、m/z:699を示し、目的とするクロリン誘導体であることが確認された。
本発明においては、これらのクロリン誘導体は、PDT用の皮膚疾患治療用軟膏剤として処方される。軟膏基剤としては種々の基剤が挙げられ、経時的な製剤の安定性を確保しうる軟膏製剤の処方について検討したところ、非水性軟膏基剤が極めて良好な軟膏剤となり得ること判明した。
このような非水性軟膏基剤としては、具体的には、FAPG(H)軟膏基剤、FAPG(K)軟膏基剤、PEG軟膏基剤(マクロゴール軟膏基剤)、PEG−PG軟膏基剤、ワセリン軟膏基剤、SRワセリン軟膏基剤、SRワセリン−IPM軟膏基剤、プラスチベース軟膏基剤を挙げることができる。
具体的には、FAPG(H)軟膏基剤とはステアリルアルコール、ステアリン酸ならびにプロピレングリコールからなる軟膏基剤である。また、FAPG(K)軟膏基剤とはステアリルアルコール、ステアリン酸およびポリエチレングリコール400からなる軟膏基剤である。PEG軟膏基剤(マクロゴール軟膏基剤)とはポリエチレングリコール400およびポリエチレングリコール4000からなる軟膏基剤であり、PEG−PG軟膏基剤とはプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール4000からなる軟膏基剤である。
また、ワセリン軟膏基剤とはワセリンおよび流動パラフィンからなる軟膏基剤であり、SRワセリン軟膏基剤とはSRワセリン(5%サリチル酸−ワセリン)および流動パラフィンからなる軟膏基剤であり、SRワセリン−IPM軟膏基剤とはSRワセリンおよびミリスチン酸イソプロピルからなる軟膏基剤である。さらに、プラスチベース軟膏基剤とはプラスチベース(95%の流動パラフィンと5%のポリエチレン樹脂)からなる軟膏基剤である。
なお、本発明で使用する軟膏基剤としては上記のものに限定されず、製剤学的に一般的に使用されている軟膏基剤を使用し得ることはいうまでもない。また、薬剤学的もしくは製剤学的に他の安定剤やl−メントールのような経皮吸収促進剤を加えることも許容される。
本発明者等の検討によれば、上記した軟膏基剤の中でもマクロゴール軟膏基剤が特に好ましいものであることが判明した。
本発明において、これらの軟膏基剤に含有させる式(I)で示されるクロリン誘導体の配合量は、配合された有効成分であるクロリン誘導体が経皮吸収され、疾患部位に蓄積され、レーザー光線の照射により標的細胞を死滅させるのに十分な量が配合されればよい。本発明者らの検討によれば、その配合量は、製剤重量をベースとして0.1〜20重量%であれば、十分な効果が得られることが判明した。
配合量が0.1重量%未満であると目的とする治療効果を上げることができず、また20.0重量%以上配合させてもそれ以上の効果は得られなかった。
なお、配合量は含有させる有効成分の種類により一概に特定することはできず、また、含有させる有効成分の安定性は有効成分の濃度、用いる軟膏基剤に大きく影響されないため、上記の含有量の範囲内で、用途に合わせ種々変更させることが可能である。
本発明の軟膏製剤を製造するには、汎用されている軟膏製剤の調製法が用いられ、軟膏基剤中に有効成分であるクロリン誘導体を、均一に混練すればよい。
以上のようにして得られた本発明の軟膏製剤をPDTに使用する場合には、日光角化症、炎症性角化症、表皮癌、感染症等の皮膚疾患部位に直接塗布することにより効果的にクロリン誘導体が集積され、その後、その部位をレーザー光線等による光照射により、当該疾患を効果的に治療することができる。
この軟膏剤の適用において、本発明が提供するクロリン誘導体は、テープストリッピングを必要としないで皮膚患部への浸透性が良好なものであり、したがって、皮膚疾患治療におけるPDTにおいて、患者に負担を与えることがなく、治療自体を簡便に行える利点を有している。
なお、軟膏剤の塗布にあたっては、ODT効果(密封包帯効果:occlusive dressing technique)を得るために、塗布部位を密閉状態に保つこともより効果的である。
本発明が提供するクロリン誘導体を含有する軟膏剤を塗布した後の疾患部位における光照射に際しては、種々のレーザー光やランプを使用することができる。例えば、チタンサファイヤレーザー、半導体レーザー、OPO−YAGレーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード等を使用することができる。そのなかでも、660から670nm付近に吸収波長を持つクロリン誘導体には半導体レーザーを用いることがより効果的である。
かくして、本発明の軟膏製剤を疾患部位に塗布し、有効成分を経皮吸収させた後、当該疾患部位を光照射することにより、当該疾患を効果的に治療することができる。
以下に本発明を、具体的処方例、試験例等により詳細に説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
本発明が提供する式(I)のクロリン誘導体を含有する軟膏剤の具体的処方例を、以下に記載する
処方例1:PEG軟膏基(マクロゴール軟膏)の調製と安定性試験
[軟膏剤の調製]
ポリエチレングリコール4000(PEG4000、平均分子量約3,000;和光純薬工業社製)3.0g、ポリエチレングリコール400(PEG400、平均分子量約360〜440;和光純薬工業社製)6.6g及びl−メントール0.1gを加熱して溶解混合し、そこに上記製造例1で得た新規クロリン誘導体(PG−P−Me)0.3gを添加して混合した。混合物を撹拌しながら放冷し、目的とする本発明のマクロゴール軟膏を調製した。
[安定性試験]
上記で得られたマクロゴール軟膏を、ポリプロピレン製容器内にて、冷蔵庫に3ヶ月間保存し、有効成分(PG−P−Me)の純度をHPLCにより測定し、その安定性を評価した。保存開始前の純度と、3ヶ月保存後の純度をHPLCによる面積百分率により求めた。
その結果、効成分(PG−P−Me)の純度の低下が認められず、安定なものであることが判明した。
次に、本発明が提供する新規クロリン誘導体を含有する軟膏剤のPDTによる皮膚疾患治療効果の実際を記載する。
試験例1:パピローマ(乳頭腫)モデルマウスの作成
12週齢の雌性ヘアレスマウス(HOS:Hr Shizuoka Laboratory Center)の背部に0.2μMの7,12−ジメチルベンズアントラセン(DMBA)を1回塗布した後、2週間後に、0.02μMの12−O−テトラデカノイルフォルボール−13−アセテート(TPA)を週2回の頻度で塗布した。
その結果、2ヶ月後に径1〜2mmのパピローマが多数出現した。
試験例2:パピローマモデルマウスを用いた軟膏剤のPDT療法による治療効果
[方法]
上記試験例1で作成したパピローマモデルマウスのパピローマ部分に、処方例1で調製したマクロゴール軟膏剤(PG−P−Me含有)を小豆大程度塗布し、塗布部位を4時間密閉状態に保った後、軟膏を拭き取った。
軟膏を除去したパピローマ部分に、半導体レーザーを用いてレーザー照射(150mW/cm、670nm、LD670−05;浜松ホトニクス社製)した。
照射後、適宜肉眼観察した。
[結果]
その結果を図1〜図14に示した。
いずれの図も、パピローマモデルマウスのパピローマ(乳頭腫)部分の写真である。
図1及び図2は、本発明の軟膏を塗布しないでレーザー照射(200J/cm)を行ったコントロールの結果を示した写真である。
図1は照射前の写真であり、図2は照射2日(48時間)後の写真であるが、本発明の軟膏剤を適用していないコントロールでは、パピローマの消失は確認されなかった。
図3〜図6は、軟膏剤を塗布し、レーザー照射(200J/cm)した結果を示した写真である。
図3は照射前の写真であり、図4に照射5時間後、図5に照射3日後、図6に照射7日後の結果を示した。
本発明の皮膚疾患治療用軟膏剤を適用し、PDT療法を行うことにより、照射5時間後でもパピローマの縮小が認められ、照射7日後にはパピローマは完全に消失していた。
図7〜図9は、軟膏剤を塗布し、レーザー照射(100J/cm)した結果を示した写真である。
図7は照射前の写真であり、図8に照射3時間後、図9に照射24時間後の結果を示した。
本発明の皮膚疾患治療用軟膏剤を適用し、PDT療法を行うことにより、照射24時間後において、パピローマの顕著な縮小が認められていた。
図10〜図14は、軟膏剤を塗布し、レーザー照射(50J/cm)した結果を示した写真である。
図10は照射前の写真であり、図11に照射3時間後、図12に照射24時間後、図13に照射48時間後、図14に照射6日後の結果を示した。
本発明の皮膚疾患治療用軟膏剤を適用し、PDT療法を行うことにより、経時的にパピローマの顕著な縮小が認められ、照射6日後ではパピローマは完全に消失していた。
以上記載のように、本発明は光線力学的療法(PDT)として使用するクロリン誘導体を提供するものであり、本発明が提供するクロリン誘導体は、皮膚適用軟膏製剤とすることにより、皮膚透過性(経皮吸収性)が極めて良好なものである。したがって、日光角化症、炎症性角化症、表皮癌、感染症等の皮膚疾患、例えば乳頭腫等の疾患部位に塗布することにより、疾患部位に効果的にクロリン誘導体が集積され、レーザー照射により効果的に皮膚疾患治療を行うことができ、その医療上の価値は多大なものである
試験例2における、レーザー照射前のコントロールの写真である。 試験例2における、レーザー照射48時間後におけるコントロールの写真である。 試験例2における、レーザー照射(200J/cm)前の写真である。 試験例2における、レーザー照射(200J/cm)5時間後の写真である。 試験例2における、レーザー照射(200J/cm)3日後の写真である。 試験例2における、レーザー照射(200J/cm)7日後の写真である。
試験例2における、レーザー照射(100J/cm)前の写真である。 試験例2における、レーザー照射(100J/cm)3時間後の写真である。 試験例2における、レーザー照射(100J/cm)24時間後の写真である。
試験例2における、レーザー照射(50J/cm)前の写真である。 試験例2における、レーザー照射(50J/cm)3時間後の写真である。 試験例2における、レーザー照射(50J/cm)24時間後の写真である。 試験例2における、レーザー照射(50J/cm)48時間後の写真である。 試験例2における、レーザー照射(50J/cm)6日後の写真である。

Claims (3)

  1. 次式(I):
    Figure 0005179245
    (式中、
    Xは、O又はSを表し、
    Yは、−(CH)−又は−(CHOH)−を表し、
    Rは、−OH、−O(CH) CH 、−O(CH)−OH又は−S(CH)−SHを表し、
    nは、0〜10の整数を表し、
    mは、0〜11の整数を表し、
    lは、2〜12の整数を表す)
    で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とする光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)用の皮膚疾患治療用剤。
  2. 式(I)で示されるクロリン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を製剤重量に対して0.1〜20.0重量%含有してなる軟膏剤の形態にある請求項1に記載の光線力学療法(PDT)用の皮膚疾患治療用剤
  3. 軟膏基剤が、FAPG(H)軟膏基剤、FAPG(K)軟膏基剤、PEG軟膏基剤、PEG−PG軟膏基剤、ワセリン軟膏基剤、SRワセリン軟膏基剤、SRワセリン−IPM軟膏基剤またはプラスチベース軟膏基剤から選択させるものである請求項2に記載の光線力学療法(PDT)用の皮膚疾患治療用剤
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