ここで、このようなハイブリッド型光ディスクにおいては、記録可能な記録領域と再生専用の記録領域との境界付近からデータを記録し始める場合には、再生専用の記録領域において記録クロックを取得する必要がある。しかしながら、再生専用の記録領域に形成されるエンボスピットと、記録クロックを生成するために形成されるランドプリピットとは、物理的形状によって形成されるピットである。このため、同一の記録位置に共存させると、相互に干渉し合い好適にデータ(具体的には、ランドプリピットより記録クロック)を読み取ることができないという問題点を有している。このため、上述の如き著作権保護に用いられるハイブリッド型光ディスクでは、その境界付近において、読取不可能な(いわば単なる物理的形状を有しているに過ぎない)エンボスピットがランドプリピットと共に形成されている。これにより、コンテンツの著作権を好適に保護しつつもランドプリピットより記録クロックを生成する際のエンボスピットの影響を排除することができ、上述の問題を解消することができる。
しかしながら、読取不可能なエンボスピットを設けることで記録クロックを生成することは可能となるが、例えばCDプレーヤやDVDプレーヤ等の再生専用装置は、この読取不可能なエンボスピットで再生エラーを生じ、その結果再生動作の暴走につながりかねないという新たな問題点を有する。再生専用装置に対応させるべく、ランドプリピットを除却して読取り可能なエンボスピットにすると、今度は記録クロックを生成することができず、適切な記録動作を行うことができないという問題点を有する。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばハイブリッド型の情報記録媒体に対して好適にデータの記録や再生等を行うことが可能な情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような情報記録装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
(情報記録媒体)
本発明の第1情報記録媒体は上記課題を解決するために、記録情報を記録する際の基準となる基準クロックを生成するために読み取られるプリピットが予め形成されている第1エリアと、前記プリピットが予め形成されておらず、且つ前記記録情報の一部としてのエンボスピットが予め形成されている第2エリアとを備え、(i)前記プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックの位相及び周波数の夫々と、(ii)前記エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相及び周波数の夫々との差が、所定値以下である。
本発明の第1情報記録媒体によれば、第1エリアにはプリピットが形成されており、このプリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて、記録情報を記録する際の基準となる(即ち、記録クロックを生成するための)基準クロックを生成或いは取得することができる。そして、第1エリアには、例えば映像情報や音声情報や或いはその他の各種情報を含む記録情報を記録することができる。即ち、第1エリアは記録可能な記録領域に相当している。他方、第2エリアには所定の記録情報(例えば、第1エリアに記録される記録情報の一例たるコンテンツの暗号化に用いられる暗号キー等)を示すエンボスピットが形成されている。そして、このエンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて、記録情報を再生する際の再生クロックを生成或いは取得することができる。そして、第2エリアにはエンボスピットが予め形成されているため、記録情報を記録することはできない。即ち、第2エリアは再生専用の記録領域に相当している。
本発明では特に、エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相と、プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される基準クロックの位相との差が、第1の所定値以下である。加えて、エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの周波数と、プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される基準クロックの周波数との差が、第2の所定値以下である。好ましくは、基準クロックと再生クロックとを交互に切り替えて、記録情報を記録する際に後述の情報記録装置により実際に用いられる記録クロックとして用いても、記録動作において特段の問題が生じない程度にしか、夫々の位相の差と夫々の周波数の差とが存在しないことが好ましい。具体的には、第1参照信号及び第2参照信号のいずれを、基準クロック及び再生クロックの夫々(即ち、記録クロック)を生成するためのPLL(Phased Lock Loop)回路に入力したとしても、PLLのロックが外れず、結果として記録クロックを好適に生成することができる。
従って、当該情報記録媒体に記録情報を記録する際には、基準クロックを記録クロックとして用いても、再生クロックを記録クロックとして用いても、記録動作において特段の問題が生ずることはない。言い換えれば、基準クロックも再生クロックも、後述の情報記録装置にとっては同一の又は略同一の記録クロックとして認識される。
具体的には、例えば第1エリアのうち該第1エリアと第2エリアとの境界付近から記録情報の記録を開始する場合には、第2エリアのエンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックを記録クロックとして用いて、記録情報の記録を開始することができる。その後、第1エリアへの記録情報の記録が実際に行われれば、第1エリアのプリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される基準クロックを記録クロックとして用いて、記録情報の記録を開始できる。このため、ハイブリッド型光ディスク等の情報記録媒体であっても、記録可能な記録領域(即ち、第1エリア)に好適に記録情報を記録することができる。加えて、背景技術の如く読取不可能なエンボスピットを形成しない(即ち、少なくとも再生クロックを読取可能なエンボスピットを形成する)ため、既存の情報再生装置であっても、第2エリアを適切に読み取ることができ、再生動作の暴走等の不都合を好適に防止することができる。
そして、再生クロックの位相及び周波数の夫々と基準クロックの位相及び周波数の夫々との差が所定値以下(或いは、夫々略同一)であるため、記録動作の最中に、記録クロックとして用いるクロックを、再生クロックから基準クロックへ又はその逆へ切り替えたとしても、特段の問題は生じない。即ち、後述の情報記録装置をして、再生クロックから基準クロックへ又はその逆へ切替えたとしても、同一の記録クロックとして認識させることができる。言い換えれば、記録クロックを生成する際に基準とする参照信号を、第1参照信号から第2参照信号へ又はその逆へ切り替えたとしても、好適に記録クロックを生成することができる。このため、第1エリアにおいてより好適に記録情報の記録を行うことが可能となるともに、第1エリアに記録された記録情報や第2エリアに予め記録されているエンボスピットの再生をも好適に行うことができる。
以上の結果、本発明の情報記録媒体によれば、例えばハイブリッド型光ディスク等であっても、好適に記録情報の記録を行うことができるともに、記録された記録情報の再生をも好適に行うことができる。
尚、エンボスピット及びプリピットには夫々、アドレス情報や記録動作の際の同期をとるための同期パターン等が更に含まれるように形成されていることが好ましい。
また、前記再生クロックの位相と前記基準クロックの位相とが略同一であるように構成してもよいし、或いは、前記再生クロックの周波数と前記基準クロックの周波数とが略同一であるように構成してもよい。
本発明の第1情報記録媒体の他の態様は、前記基準クロックの位相及び周波数の夫々との差が前記所定値以下となる位相及び周波数を有するカッティングクロックに基づくカッティング装置の動作により前記エンボスピットが形成される。
この態様によれば、カッティング装置の動作を適宜調整する(具体的には、後述のカッティングクロック等を適宜調整する)ことで、比較的容易に、位相及び周波数の差を所定値以下とすることができる。
本発明の第1情報記録媒体の他の態様は、所定の位相及び周波数を有するカッティングクロックに基づくカッティング装置の動作により、前記プリピット及び前記エンボスピットの夫々が形成される。
この態様によれば、同一のカッティングクロックを用いてエンボスピット及びプリピットの夫々がカッティング装置により形成されるため、比較的容易に、位相及び周波数の差を所定値以下とすることができる。
本発明の第1情報記録媒体の他の態様は、前記第1エリアと第2エリアとは相隣接している。
この態様によれば、第2エリアにおいて得られる再生クロックを記録クロックとして用いて、該第2エリアに連続して設けられる第1エリアに好適に記録情報を記録することができる。
本発明の第1情報記録媒体の他の態様は、前記基準クロック及び前記再生クロックの少なくとも一方を生成するPLL回路において、該PLL回路への入力が前記第1参照信号から前記第2参照信号へ又は前記第2参照信号から前記第1参照信号へ切り替えられた場合に、PLLのロックが外れないように前記エンボスピットが形成される。
この態様によれば、PLL回路への入力が切り替えられてもPLLのロックが外れないため、特段の問題は生じない。即ち、後述の情報記録装置をして、再生クロックから基準クロックへ又はその逆へ切替えたとしても、同一の記録クロックとして認識させることができる。
本発明の第2情報記録媒体は上記課題を解決するために、記録情報を記録する際の基準となる基準クロックを生成するために読み取られるクロック情報(例えば、上述のプリピット等)が予め記録されている第1エリアと、前記クロック情報が予め記録されておらず、且つ再生専用の前記記録情報(例えば、上述のエンボスピット等)が予め記録されている第2エリアとを備え、(i)前記クロック情報を読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックの位相及び周波数と、(ii)前記第2エリアに記録されている前記記録情報を読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相及び周波数との夫々の差が、所定値以下である。
本発明の第2情報記録媒体の他の態様は、上述した第1情報記録媒体が有する各種利益と同様の利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の第1情報記録媒体における各種態様に対応して、本発明の第2情報記録媒体も各種態様を採ることが可能である。
(情報記録装置)
本発明の情報記録装置は上記課題を解決するために、記録情報を記録する際の基準となる基準クロックを生成するために読み取られるプリピットが予め形成されている第1エリアと、前記プリピットが予め形成されておらず、且つ前記記録情報としてエンボスピットが予め記録されている第2エリアとを備え、(i)前記プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックの位相及び周波数の夫々と、(ii)前記エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相及び周波数の夫々との差が、所定値以下である情報記録媒体に前記記録情報を記録する情報記録装置であって、前記プリピットより前記第1参照信号を生成する第1生成手段と、前記エンボスピットより前記第2参照信号を生成する第2生成手段と、前記第1参照信号及び前記第2参照信号のいずれか一方を参照しながら前記記録情報を記録する際に用いられる記録クロックとして前記基準クロック及び前記再生クロックのいずれか一方を生成する第3生成手段と、前記記録情報が記録される位置に応じて、前記第3生成手段が参照すべき前記第1参照信号及び前記第2参照信号のいずれか一方を選択する選択手段と、前記選択された記録クロックを参照しながら前記記録情報を記録する記録手段とを備える。
本発明の情報記録装置によれば、選択手段の動作により選択される第1参照信号及び第2参照信号のいずれか一方に基づいて、第3生成手段の動作により基準クロック又は再生クロックが記録クロックとして生成される。そして、記録手段は、該生成される記録クロックを参照しながら、記録情報の記録を行う。
従って、上述した本発明の第1又は第2情報記録媒体に対して、好適に記録情報を記録することができると共に、本発明の第1又は第2情報記録媒体が有する各種利益と同様の利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の第1又は第2情報記録媒体における各種態様に対応して、本発明の情報記録装置も各種態様を採ることが可能である。
本発明の情報記録装置の一の態様は、前記選択手段は、前記記録手段が前記第1エリアに前記記録情報を記録開始する前に、前記第2参照信号を選択し、前記第3生成手段は、前記第1エリアに前記記録情報を記録開始した直後には、前記選択された第2参照信号に基づいて、前記再生クロックを前記記録クロックとして生成する。
この態様によれば、第1エリアに記録情報を開始した直後においては(即ち、例えば後述の如く少なくとも一部の第1エリアにおいて記録情報を記録している場合には)、情報記録装置の構成や仕様或いは情報記録媒体の仕様や記録条件等によっては、当該第1エリアから十分な或いは好適な基準クロックを生成できないおそれがある。この場合であっても、第1エリアに記録情報を開始してから所定期間は、第2エリアから取得可能な第2参照信号に基づいて生成される再生クロックを記録クロックとして用いることで、第1エリアに記録情報を好適に記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様は、前記選択手段は、前記記録手段が前記第1エリアに前記記録情報を記録開始してから所定期間経過した後に前記第1参照信号を選択し、前記第3生成手段は、前記所定期間経過後には、前記選択された第1参照信号に基づいて、前記基準クロックを前記記録クロックとして生成する。
この態様によれば、第1エリアに記録情報を開始してから所定期間が経過すれば(即ち、例えば後述の如く少なくとも一部の第1エリアにおいて所定サイズの記録情報を記録した後には)、当該第1エリアから十分な或いは好適な基準クロックを生成できる。従って、第1エリアに記録情報を開始してから所定期間経過後は、第1エリアから取得可能な第1参照信号に基づいて生成される基準クロックを記録クロックとして用いることで、第1エリアに記録情報を好適に記録することができる。
本発明の情報記録装置の他の態様は、前記選択手段は、前記第1エリアと前記第2エリアとの境界付近における少なくとも一部の前記第1エリアに前記記録情報を記録する場合には前記第2参照信号を選択し、前記第1エリアのうち前記少なくとも一部の第1エリアを除く他の一部に前記記録情報を記録する場合には前記第1参照信号を選択する。
この態様によれば、第1エリアから取得可能な第1参照信号に基づいて生成される基準クロックを記録クロックとして用いて、第1エリアに記録情報を好適に記録することができる。他方、境界付近に位置する少なくとも一部の第1エリアにおいては、情報記録装置の構成や仕様或いは情報記録媒体の仕様や記録条件等によっては、当該第1エリアから十分な或いは好適な基準クロックを生成できないおそれがある。この場合であっても、第2エリアから取得可能な第2参照信号に基づいて生成される再生クロックを記録クロックとして用いることで、該少なくとも一部の第1エリアにおいても記録情報を好適に記録することが可能となる。
この態様では、前記記録情報が記録される位置が前記少なくとも一部の第1エリアである場合に、前記選択手段は、所定サイズの前記記録情報が前記少なくとも一部の第1エリアに記録された後に前記第1参照信号を選択するように構成してもよい。
このように構成すれば、所定サイズの記録情報を第1エリアに記録すれば、当該第1エリアから十分な或いは好適な基準クロックを生成できる。従って、所定サイズの記録情報を第1エリアに記録した後は、第1エリアから取得可能な第1参照信号に基づいて生成される基準クロックを記録クロックとして用いることで、第1エリアに記録情報を好適に記録することができる。
この態様では、前記記録情報が前記少なくとも一部の第1エリアに記録されている期間において、前記第3生成手段は、前記記録クロックを分周した信号をフィードバックしながら前記記録クロックを生成し、前記記録手段は、前記フィードバックしながら生成される前記記録クロックを参照しながら前記記録情報を記録するように構成してもよい。
このように構成すれば、再生クロックを記録クロックとして参照しながら第1エリアに記録情報を記録している場合であっても、仮に記録中に再生クロックが取得され続けていなくとも、好適な記録クロックを生成することができる。即ち、第1エリアにおいて基準クロックを取得していなくとも或いは第2エリアにおいて再生クロックを取得していなくとも、好適な記録クロックを参照しながら記録情報を記録することが可能となる。
本発明の情報記録装置の他の態様は、前記第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックのパルス幅及び生成タイミングと、前記第2参照信号に基づいて生成される前記再生クロックのパルス幅及び生成タイミングとが略同一である。
この態様によれば、異なる手法で夫々生成する基準クロック及び再生クロックの双方を、記録クロックとして同一の情報記録装置において好適に用いることが可能となる。
(情報記録方法)
本発明の情報記録方法は上記課題を解決するために、記録情報を記録する際の基準となる基準クロックを生成するために読み取られるプリピットが予め形成されている第1エリアと、前記プリピットが予め形成されておらず、且つ前記記録情報としてエンボスピットが予め記録されている第2エリアとを備え、(i)前記プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックの位相及び周波数の夫々と、(ii)前記エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相及び周波数の夫々との差が、所定値以下である情報記録媒体(即ち、上述した本発明の第1又は第2情報記録媒体(但し、その各種態様を含む))に前記記録情報を記録する情報記録方法であって、前記プリピットより前記第1参照信号を生成する第1生成工程と、前記エンボスピットより前記第2参照信号を生成する第2生成工程と、前記第1参照信号及び前記第2参照信号のいずれか一方に基づいて、前記記録情報を記録する際に用いられる記録クロックとして前記基準クロック及び前記再生クロックのいずれか一方を生成する第3生成工程と、前記記録情報が記録される位置に応じて、前記第3生成工程において参照される前記第1参照信号及び前記第2参照信号のいずれか一方を選択する選択工程と、前記記録クロックを参照しながら前記記録情報を記録する記録工程とを備える。
本発明の情報記録方法によれば、上述した本発明の情報記録装置と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明の情報記録方法も各種態様を採ることが可能である。
(製造装置)
本発明の製造装置は上記課題を解決するために、記録情報を記録する際の基準となる基準クロックを生成するために読み取られるプリピットが予め形成されている第1エリアと、前記プリピットが予め形成されておらず、且つ前記記録情報としてエンボスピットが予め記録されている第2エリアとを備え、(i)前記プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックの位相及び周波数の夫々と、(ii)前記エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相及び周波数の夫々との差が、所定値以下である情報記録媒体(即ち、上述した本発明の第1又は第2情報記録媒体(但し、その各種態様を含む))を製造する製造装置であって、所定の位相及び周波数を有するカッティングクロックに基づいて前記プリピットを形成する第1形成手段と、前記カッティングクロックに基づいて前記エンボスピットを形成する第2形成手段とを備える。
本発明の製造装置によれば、第1生成手段の動作によりカッティングクロックに基づいてエンボスピットが形成され、且つ第2生成手段の動作により同じカッティングクロックに基づいてプリピットが形成される。即ち、同一のカッティングクロックを用いてエンボスピット及びプリピットが形成されるため、上述したような位相及び周波数の差が所定値以下となるような情報記録媒体を比較的容易に製造することができる。
尚、上述した本発明の第1又は第2情報記録媒体における各種態様に対応して、本発明の情報記録方法も各種態様を採ることが可能である。
(製造方法)
本発明の製造方法は上記課題を解決するために、記録情報を記録する際の基準となる基準クロックを生成するために読み取られるプリピットが予め形成されている第1エリアと、前記プリピットが予め形成されておらず、且つ前記記録情報としてエンボスピットが予め記録されている第2エリアとを備え、(i)前記プリピットを読み取ることで得られる第1参照信号に基づいて生成される前記基準クロックの位相及び周波数の夫々と、(ii)前記エンボスピットを読み取ることで得られる第2参照信号に基づいて生成される再生クロックの位相及び周波数の夫々との差が、所定値以下である情報記録媒体(即ち、上述した本発明の第1又は第2情報記録媒体(但し、その各種態様を含む))を製造する製造方法であって、所定の位相及び周波数を有するカッティングクロックに基づいて前記プリピットを形成する第1形成工程と、前記カッティングクロックに基づいて前記エンボスピットを形成する第2形成工程とを備える。
本発明の製造方法によれば、上述した本発明の製造装置と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の製造装置における各種態様に対応して、本発明の製造方法も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラム)
本発明に係るコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを上述した情報記録装置(但し、その各種形態も含む)の少なくとも一部として機能させる。具体的には、コンピュータを上述の第1生成手段、第2生成手段、第3生成手段、選択手段及び記録手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録装置(但し、その各種形態も含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、上述の第1生成手段、第2生成手段、第3生成手段、選択手段及び記録手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の情報記録装置を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の情報記録装置として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
以上説明したように、本発明の第1又は第2情報記録媒体によれば、第1エリア及び第2エリアを備えており、再生クロックの位相及び周波数の夫々と基準クロックの位相及び周波数の夫々との差が所定値以下である。従って、例えばハイブリッド型光ディスク等であっても、好適に記録情報の記録を行うことができるともに、記録された記録情報の再生をも好適に行うことができる。
また、本発明の情報記録装置又は方法によれば、第1生成手段、第2生成手段、第3生成工程、選択手段及び記録手段、又は第1生成工程、第2生成工程、第3生成工程、選択工程及び記録工程を備える。従って、本発明に係る情報記録媒体に対して、好適に記録情報の記録を行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
(情報記録媒体)
初めに、図1から図5を参照して本発明の情報記録媒体に係る実施例について説明を進める。
(1)基本構成
先ず図1及び図2を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものであり、図2は、本実施例に係る光ディスクの記録面における部分拡大斜視図である。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、有機色素の熱分解方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、ユーザデータエリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラックGT及びランドトラックLTが交互に設けられており、このグルーブトラックGTはウォブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプリピットが形成されていてもよい。
尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、リードインエリア104やリードアウトエリア108は更に細分化された構成であってもよい。
また、本実施例に係る光ディスク100は、記録層が1層の光ディスクに限定されず、2層片面(即ち、デュアルレイヤー)や2層両面(即ち、デュアルレイヤーダブルサイド)であってもよい。更には、2層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、3層以上の多層型の光ディスクであってもよい。
また、図2に示すように、本実施例に係る光ディスク100は、ディスク状の透明基板206上に(図2では下側に)、加熱などによる非可逆変化記録型あるいは結晶とアモルファスの相変化による可逆変化記録型の情報記録面を構成する記録層207が積層され、更にその上に(図2では下側)に、反射膜208が積層されている。そして、反射膜208の上には(図2では下側)、保護層205が形成され、外部からの埃や傷等から光ディスク100を保護している。記録層207の表面からなる情報記録面には、グルーブトラックGT及びランドトラックLTが交互に形成されている。尚、光ディスク100の記録時及び再生時には、例えば図2に示したように、透明基板206を介してグルーブトラックGT上に、レーザ光LBが照射される。例えば、記録時には、記録レーザパワーでレーザ光LBが照射されることで、記録データに応じて、記録層207への加熱などによる非可逆変化記録又は可逆変化記録が実施される。他方、再生時には、記録レーザパワーよりも弱い再生レーザパワーでレーザ光LBが照射されることで、記録層207へ書き込みされた記録データの読出しが実施される。
そして、グルーブトラックGTは、一定の振幅及び空間周波数で揺動されている。即ち、グルーブトラックGTは、ウォブリングされており、そのウォブル119の周期は所定値に設定されている。ランドトラックLT上にはディスク情報やプリフォーマットアドレスを示すランドプリピットLPPと呼ばれるアドレスピットが形成されている。この2つのアドレッシング(即ち、ウォブル119及びランドプリピットLPP)により記録中のディスク回転制御や記録動作時に用いられる基準クロックB_CLKの生成、また記録アドレス等のデータ記録に必要な情報を得ることができる。より具体的には、ランドプリピットLPPを読み取ることで後述の比較信号(本発明における「第1参照信号」の一具体例)が取得され、この比較信号が後述のPLL410に入力されることで、所定の基準クロックB_CLKが生成される。尚、グルーブトラックGTのウォブル119を周波数変調や位相変調など所定の変調方式により変調することによりプリフォーマットアドレスを予め記録するようにしてもよい。
(2)具体的構造
続いて、図3から図5を参照して、本実施例に係る情報記録媒体のより具体的構造について説明を進める。ここに、図3は、本実施例に係る光ディスクのリードインエリア104及びユーザデータエリア106の境界付近のデータ構造を概念的に示す説明図であり、図4は、エンボスエリア及びグルーブエリアの夫々において取得されるクロック信号を示す説明図であり、図5は、本実施例に係る光ディスクを製造するカッティング装置を概念的に示す説明図である。
図3に示すように、リードインエリア104内の最外周側には、コントロールデータゾーン111とエクストラボーダーゾーン112が設けられている。
コントロールデータゾーン111には、例えばユーザデータエリア106(特に、後述のグルーブエリア114)に記録される各種コンテンツデータ(例えば、映像データや音声データやPC用データ等)の暗号化を規定する暗号化データ等(例えば、暗号化キー等)が記録される。特に、本実施例に係る光ディスク100において、コントロールデータゾーン111に記録される暗号化データ等は予めエンボスピットとして記録されている。従って、DVD−ROM等の再生専用の光ディスクに記録されている各種コンテンツデータを光ディスク100にそのまま複製しようとしても、コントロールデータゾーン111へ上書きされるデータとエンボスピットが干渉してしまう。このため、コントロールデータゾーン111に記録されたデータ或いはエンボスピットとして予め記録されているデータを読み取ることができない。従って、各種コンテンツデータを再生することができなくなり、結果として各種コンテンツデータ等の不正な複製等を防止でき、各種コンテンツデータの著作権を保護できる。
エクストラボーダーゾーン112には、ユーザデータエリア106(特に、後述のグルーブエリア114)に記録される各種コンテンツデータの記録の態様等を示す管理データ等が記録される。管理データとして、例えば、ユーザデータエリア106内における各種コンテンツデータの記録の分布を示すマッピングデータや、該ユーザデータエリア106を複数のボーダーエリアに区分して各種コンテンツデータを記録した際の、次に続くボーダーエリアのアドレス位置等が記録される。特に、本実施例に係る光ディスク100において、エクストラボーダーゾーン112に記録される管理データ等は予めエンボスピットとして記録されている。従って、後述するエンボスデータエリア113のデータ情報等を取得する事ができる。
また、ユーザデータエリア106の最内周側には、本発明の「第2エリア」の一具体例を構成するエンボスデータエリア113と、本発明の「第1エリア」の一具体例を構成するグルーブエリア114とが設けられている。
エンボスデータエリア113には、所定のエンボスピットが形成されている。特に、エンボスピットは、このエンボスピットが読み取られることで(即ち、レーザ光LBが照射されることで)後述する比較信号(本発明における「第2参照信号」の一具体例)が取得される。そして、この比較信号が後述のPLL410に入力されることで、所定の再生クロックP_CLKが生成されるように、エンボスデータエリア113に予め形成されている。そして、このエンボスピットは、例えば各種管理データや各種コンテンツデータ(或いは、それらの一部)を示すようにエンボスデータエリア113内に形成されていてもよい。
尚、以上説明したエンボスピットが形成されるコントロールデータゾーン111、エクストラボーダーゾーン112及びエンボスデータエリア113には、ランドプリピットLPPは形成されていない。これは、エンボスピットとランドプリピットLPPとが近接していることで、夫々のピットを再生する際に他のピットの存在により好適な再生信号(或いは、再生クロックP_CLK)を取得できなくなってしまうという不都合を効果的に防ぐためである。即ち、エンボスピットとランプリピットLPPとは共に物理的な形状により所定のデータを記録しているがゆえに相互に干渉してしまうという不都合を効果的に防ぐためである。もちろん、これらのゾーンやエリアにもランドプリピットLPPが形成されていてもよいが、夫々のゾーンやエリアに形成されているエンボスピットが好適に読み取られ、各種データが好適に再生されることが前提となる。
グルーブエリア114には、図2を示して説明したようなランドプリピットLPP等が形成されている。そして、グルーブトラックGTに沿って所定パルス形状を有する所定パワーのレーザ光LBが照射されることで、各種コンテンツデータが記録される。
本実施例では特に、エンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットより生成される(即ち、エンボスピットが読み取られることで取得される比較信号に基づいて生成される)再生クロックP_CLKの位相と、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPより生成される(即ち、ランドプリピットLPPが読み取られることで取得される比較信号に基づいて生成される)基準クロックB_CLKの位相とは同一或いは概ね同一である。更に、エンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットより生成される再生クロックP_CLKの周波数と、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPより生成される基準クロックB_CLKの周波数とは同一或いは概ね同一である。尚、再生クロックP_CLKは、各種コンテンツデータを再生する際に、後述の情報記録再生装置により実際に参照されるクロック信号である。また基準クロックB_CLKは、各種コンテンツデータ等を記録する際に、後述の情報記録再生装置により実際に参照される記録クロックR_CLKを生成するために用いられるクロック信号である。
具体的に再生クロックP_CLK及び基準クロックB_CLKを図示すると、例えば図4(a)に示すように、エンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットより生成される再生クロックP_CLKの位相及び周波数の夫々が、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPより生成される基準クロックB_CLKの位相及び周波数の夫々と同一となる。言い換えれば、図4(a)に示す再生クロックP_CLKが生成されるようなエンボスピットがエンボスデータエリア113に形成され、且つ図4(a)に示す基準クロックB_CLKが生成されるようなランドプリピットLPPがグルーブエリア114に形成される。
このように、エンボスピット及びランドプリピットLPPが形成されることで、グルーブエリア114の先頭部分(即ち、最内周側の部分)より好適にデータの記録を開始することができる。具体的に説明すると、グルーブエリア114の先頭部分よりデータの記録を開始する際には、該先頭部分にデータを記録し始めようとする時点で、適切な記録クロックR_CLKが生成されている必要がある。このとき、該先頭部分から初めてデータを記録する場合には、その手前部分(即ち、より内周側のエンボスデータエリア113)よりレーザ光LBを光ディスク100の記録面に照射しながら先頭部分をサーチする。そして本実施例に係る光ディスク100によれば、エンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットが読み取られることで得られる比較信号に基づいて、所定の再生クロックP_CLKを生成することができる。そしてこの再生クロックP_CLKは、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPが読み取られることで得られる比較信号に基づいて生成される基準クロックB_CLKと同じ位相及び周波数を有している。このため、この再生クロックP_CLKを記録クロックR_CLKとして用いれば、ランドプリピットLPPより基準クロックB_CLKが生成されていなくともグルーブエリア114の先頭部分よりデータの記録を開始することができる。
そして、グルーブエリア114において所定時間データの記録が行われれば、一定数のランドプリピットLPPが読み取られるため、今度は該ランドプリピットLPPより生成される基準クロックB_CLKを記録クロックR_CLKとして用いることができる。このとき、上述したように、エンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットより生成される再生クロックP_CLKとグルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPより生成される基準クロックB_CLKとは、その位相及び周波数が同一或いは概ね同一である。このため、データの記録途中で記録クロックR_CLKを生成するために用いる比較信号を切り替えたとしても、クロック信号の切り替わり部分において特段の不都合が生じることはない。より具体的には、後述のPLL410において、PLL410のロックは外れない。言い換えれば、PLL410のロックが外れないような比較信号を取得できるようなエンボスピットがエンボスデータエリア113には形成されている。これにより、クロック信号の切り替わりによっても、記録クロックR_CLKとしては特段の変化を生じることなく、後述の情報記録再生装置に認識される。
尚、参考までに、本実施例に係る光ディスク100の比較例として、現在市場に流通しているいわゆるハイブリッド型の光ディスク(具体的には、例えば著作権保護用のCPRM対応のDVD−RW等)について説明する。比較例に係る光ディスクは、エンボスデータエリア(特に、エンボスデータエリアのうちグルーブエリアとの境界付近)において記録クロックR_CLKを生成するべく、ランドプリピットが形成されている。そして、ランドプリピットとエンボスピットとの干渉を防ぐために、読取不可能な(即ち、ピットとしての単なる形状を有しているにすぎず、何らデータを示していない)アンリーダブルエンボスピットが形成されている。即ち、比較例に係る光ディスクにおいては、各種コンテンツデータの著作権を保護するために形状だけのアンリーダブルエンボスピットを形成して再生専用の記録領域を確保し、且つランドプリピットを形成して基準クロックB_CLKを生成可能に構成されている。このため、グルーブエリアの先頭部分に各種コンテンツデータを記録する場合には、エンボスデータエリアに形成されているランドプリピットより生成される基準クロックB_CLKを記録クロックR_CLKとして用いることができる。また、既存の情報再生装置(例えば、DVDプレーヤ等)は該アンリーダブルエンボスピットを適切に読み取ることができない(即ち、再生することができない)が、データエリアではないために問題は生じない。しかしながら、アンリーダブルエンボスがデータエリアに形成されている場合は、その場所を読もうとすると再生エラーが発生し、この光ディスクを適切に再生することができないという不都合が生ずる。ひいては再生動作の暴走(例えば、制御不能等)の不都合につながりかねず、好ましいとは言えない。
しかしながら本実施例に係る光ディスク100によれば、エンボスデータエリア113には、少なくとも再生クロックP_CLKを生成可能な(即ち、リーダブルな)エンボスピットが形成されているため、比較例に係る光ディスクの如き不都合を生ずることはない。即ち、既存の情報再生装置であってもエンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットを好適に読み取ることがでる。そして、記録クロックR_CLKとして用いることができる再生クロックP_CLKをエンボスピットより生成できるため、グルーブエリア114の先頭部分においても、好適に記録クロックR_CLKを生成でき、情報記録装置による好適なデータの記録が可能となる。
以上の結果、エンボスピットが形成される再生専用の記録領域(即ち、上述のコントロールデータゾーン111、エクストラボーダーゾーン112及びエンボスデータエリア113)と各種コンテンツデータ等を記録するための記録可能な記録領域との双方を備えるハイブリッド型の光ディスクであっても、好適に各種コンテンツデータの記録及び再生を行うことが可能となる。即ち、当該光ディスク100が市場に出回る前に流通している既存の情報再生装置や情報記録装置においても、その再生動作や記録動作に何ら影響を及ぼさない好適な光ディスク100を実現することができる。
尚、エンボスデータエリア113において生成される再生クロックP_CLKを用いてグルーブエリア114の先頭部分より各種コンテンツデータの記録を行うため、エンボスデータエリア113とグルーブエリア114とは相隣接している必要がある。
尚、図4(b)に示すように、エンボスデータエリアに113に形成されているエンボスピットより生成される再生クロックP_CLKの位相と、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPより生成される基準クロックB_CLKの位相とが、例えば所定の位相差Δθを有していてもよい。より具体的には、基準クロックB_CLK及び再生クロックP_CLKの切り替わりによっても、記録クロックR_CLKとしては特段の変化を生じることなく後述の情報記録再生装置に認識されれば、所定の位相差Δθを有していてもよい。
或いは、図4(c)に示すように、エンボスデータエリアに113に形成されているエンボスピットより生成される再生クロックP_CLKの周波数と、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPより生成される基準クロックB_CLKの周波数とが、例えば所定の周波数差Δfを有していてもよい。より具体的には、基準クロックB_CLK及び再生クロックP_CLKの切り替わりによっても、記録クロックR_CLKとしては特段の変化を生じることなく後述の情報記録再生装置に認識されれば、所定の周波数差Δfを有していてもよい。
要は、記録クロックR_CLKとして用いる基準クロックB_CLK及び再生クロックP_CLKの夫々をスムーズに切り替える(或いは、つなげる)ことができる程度の位相及び周波数を有するエンボスピット及びランドプリピットLPPの夫々が、エンボスデータエリア113又はグルーブエリア114に形成されていれば足りる。
また、コントロールデータゾーン111及びエクストラボーダーゾーン112の夫々に又はいずれか一方に形成されるエンボスピットについても、エンボスデータエリア113に形成されるエンボスピットと同様の再生クロックP_CLKが生成されるように形成してもよい。但し、少なくともエンボスデータエリア113に再生クロックP_CLKを取得可能なエンボスピットが形成されていれば、上述した各種利益を享受することができるため、必ずしも形成されていなくともよい。また、エンボスデータエリア113の全体に渡って、再生クロックP_CLKを生成可能なエンボスピットが形成されていなくともよい。例えば、少なくとも一部の記録領域(より好ましくは、グルーブエリア114と相隣接する少なくとも一部の記録領域)に再生クロックP_CLKを生成可能なエンボスピットが形成されていてもよい。
加えて、このような本実施例に係る光ディスク100は、図5に示すように、所定のカッティングクロックC_CLKに基づいてレーザカッティング動作を行うカッティング装置により比較的容易に製造することができる。即ち、カッティングクロックC_CLKに基づいてエンボスデータエリア113におけるエンボスピットを形成し、且つ同じカッティングクロックC_CLKに基づいてグルーブエリア114におけるランドプリピットLPPを形成する。同一の参照クロックC_CLKを用いてエンボスピット及びランドプリピットLPPを形成しているため、上述したような位相及び周波数が同一或いは概ね同一となるような光ディスク100を比較的容易に製造することができる。
(情報記録再生装置)
続いて、図6から図14を参照して本発明の情報記録装置に係る実施例である情報記録再生装置について説明する。
(1)第1実施例
初めに、図6から図9を参照して、第1実施例に係る情報記録再生装置について説明する。
(1−1)基本構成
先ず、図6及び図7を参照して、第1実施例に係る情報記録再生装置300及び、ホストコンピュータ400の構成について説明する。ここに、図6は、第1実施例に係る情報記録再生装置及びホストコンピュータのブロック図であり、図7は、第1実施例に係る情報記録再生装置が備える記録クロック生成器の基本構成を概念的に示すブロック図である。尚、情報記録再生装置300は、光ディスク100に記録データを記録する機能と、光ディスク100に記録された記録データを再生する機能とを備える。
図6を参照して情報記録再生装置300の内部構成を説明する。情報記録再生装置300は、ドライブ用のCPU(Central Processing Unit)354の制御下で、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。
情報記録再生装置300は、光ディスク100、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、記録クロック生成器356、及びバス357を備えて構成されている。また、ホストコンピュータ400は、CPU359、メモリ360、操作/表示制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、データ入出力制御手段308、及びバス358を備えて構成される。
スピンドルモータ351は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスク100へのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ352は、光ディスク100への記録再生を行うために、例えば半導体レーザ装置とレンズ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザ光を、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
信号記録再生手段353は、本発明における「記録手段」の一具体例であって、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオード(LD)ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ(LDドライバ)は、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、レーザ光の反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC(Optimum Power Control)処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353及びメモリ355と、バス357を介して接続され、各種制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。
データ入出力制御手段306は、情報記録再生装置300に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。情報記録再生装置300とSCSIや、ATAPIなどのインタフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ400(以下、適宜ホストと称す)から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御手段306を介してCPU354に伝達される。また、記録再生データも同様にデータ入出力制御手段306を介して、ホストコンピュータ400とやり取りされる。
操作/表示制御手段307はホストコンピュータ400に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU359に伝える。CPU359は、操作/表示制御手段307からの指示情報を元に、データ入出力手段308を介して、情報記録再生装置300に対して制御命令(コマンド)を送信し、情報記録再生装置300全体を制御する。同様に、CPU359は、情報記録再生装置300に対して、動作状態をホストコンピュータ400に送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といった情報記録再生装置300の動作状態が把握できるためCPU359は、操作/表示制御手段307を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル311に情報記録再生装置300の動作状態を出力することができる。
メモリ360は、ホストコンピュータ400が使用する内部記憶装置であり、例えばBIOS(Basic Input/Output System)等のファームウェアプログラムが格納されるROM領域、オペレーティングシステムや、アプリケーションプログラム等の動作に必要な変数等が格納されるRAM領域などから構成される。また、データ入出力制御手段308を介して、図示しないハードディスク等の外部記憶装置に接続されていてもよい。
記録クロック生成器356は、情報記録再生装置300が所定のデータを光ディスクに記録する際の記録クロックを生成可能に構成されている。この記録クロック生成器356について、図7を参照してより詳細に説明する。
図7に示すように、記録クロック生成器356は、2値化回路401、比較信号生成器402、LPP検出器403、ウォブル検出器404、比較信号生成器405、比較信号用スイッチ(SW)406、PLL(Phase Locked Loop)410を備えている。
2値化回路401は、光ディスク100を再生することで取得されるRF信号に所定の信号処理を施すことで、例えば“0”及び“1”の2値データに変換する。
比較信号生成器402は、本発明における「第2生成手段」の一具体例であって、2値化回路401において2値化されたRF信号より、記録クロックR_CLKを生成するために用いられる比較信号S2(即ち、上述したエンボスピットが読み取られることで得られる比較信号であり、以下適宜“第2比較信号”と称する)を生成可能に構成されている。
LPP検出器403は、例えば4分割受光素子等を用いて光ディスク100に照射されたレーザ光LBの反射光を検出することで得られるプッシュプル信号より、LPPデータを生成可能に構成されている。LPP検出器403は、例えばHPF(High Pass Filter)を含んでいてもよいし、或いは所定の閾値とプッシュプル信号とを比較するためのコンパレータ等を含んでいてもよい。
ウォブル検出器404は、プッシュプル信号よりウォブルデータを生成可能に構成されている。ウォブル検出器404は、例えばBPF(Band Pass Filter)を含んでいてもよい。
比較信号生成器405は、本発明における「第1生成手段」の一具体例であって、LPP検出器403において生成されるLPPデータ及びウォブル検出器404において生成されるウォブル信号より、記録クロックR_CLKを生成するために用いられる比較信号S1(即ち、上述したランドプリピットLPPが読み取られることで得られる比較信号であり、以下適宜“第1比較信号”と称する)を生成可能に構成されている。
比較信号用スイッチ406は、本発明における「選択手段」の一具体例であって、記録クロックR_CLKを生成するためにPLL410に入力される比較信号を切り替える。特に、CPU354から出力される比較信号切替命令に基づいて、PLL410に入力される比較信号を、第1比較信号及び第2比較信号のいずれかに切り替える。
PLL410は、本発明における「第3生成手段」の一具体例であって、位相比較器411、積分回路412、VCO413及び分周回路414を備えており、比較信号用スイッチ406を介して入力される比較信号に基づいて、所定の記録クロックR_CLKを生成可能に構成されている。
以上説明した、情報記録再生装置300とホストコンピュータ400を組み合わせて使用する一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ360に格納されたプログラムをCPU359で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。また、別の具体例では、情報記録再生装置300はディスクドライブ(以下、適宜ドライブと称す)であり、ホストコンピュータ400はパーソナルコンピュータやワークステーションである。パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ400とディスクドライブはSCSIやATAPIといったデータ入出力制御手段306及び308を介して接続されており、ホストコンピュータ400にインストールされているライティングソフトウェア等のアプリケーションが、ディスクドライブを制御する。
(1−2)記録動作例
続いて、図8及び図9を参照して、第1実施例に係る情報記録再生装置300による記録動作について説明する。ここに、図8は、第1実施例に係る記録動作全体の流れを概念的に示すフローチャートであり、図9は、記録動作中の記録クロックの生成に関連する各種信号の変化の態様を概念的に示すタイミングチャートである。
図8に示すように、CPU354の制御の下に、先ずグルーブエリア114にレーザ光LBがフォーカシングされているか否かが判定される(ステップS101)。即ち、今現在グルーブエリア114に各種コンテンツデータの記録が行なわれているか否か、記録が開始されておらず今から開始しようとしているか否か等が判定される。
この判定の結果、グルーブエリア114へフォーカシングされていない(或いは、未だグルーブエリア114への各種コンテンツデータの記録が開始されていない)と判定された場合(ステップS101:No)、CPU354から出力される比較信号切替命令に基づいて、比較信号用スイッチ406が(2)側へ切り替えられる(ステップS103)。即ち、グルーブエリア114へレーザ光LBがフォーカシングされていなければ、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPを読み取って基準クロックB_CLKを生成することはできない。従って、この場合は、グルーブエリア114の更に内周側に位置するエンボスデータエリア113に形成されているエンボスピットから再生クロックP_CLKを生成する。そして、記録クロックR_CLKを生成するために、エンボスデータエリア113において取得されるRF信号が比較信号生成器402へ入力される(ステップS105)。
他方、グルーブエリア114へフォーカシングされている(或いは、既にグルーブエリア114への各種コンテンツデータの記録が開始されている)と判定された場合(ステップS101:Yes)、CPU354より出力される比較信号切替命令に基づいて、比較信号用スイッチ406が(1)側へ切り替えられる(ステップS102)。即ち、グルーブエリア114へレーザ光LBがフォーカシングされていれば、グルーブエリア114に形成されているランドプリピットLPPから基準クロックB_CLKを生成できる。このため、記録クロックR_CLKを生成するために、プッシュプル信号がLPP検出器403及びウォブル検出器404へ入力され(ステップS104)、その後LPPデータやウォブルデータが比較信号生成器405へ入力される。
続いて、比較信号生成器402又は405において第1比較信号S1又は第2比較信号S2が生成される(ステップS106)。この場合、比較信号用スイッチ406のうちステップS102又はS103において切り替えられた側の入力部に接続する比較信号生成器402及び405のいずれか一方において比較信号が生成されれば足りる。もちろん、比較信号用スイッチ406のうちステップS102又はS103において切り替えられていない側の入力部に接続する比較信号生成器402及び405のいずれか一方においても比較信号が生成されてもよい。
尚、この場合、記録クロックR_CLKを生成するための比較信号に加えて、例えばアドレス情報やシンクパターンの検出等もRF信号及びプッシュプル信号に基づいて同時に行われることが好ましい。
そして、ステップS102又はS103において切り替えられた側より比較信号用スイッチ406に入力される比較信号がPLL410へ出力され、記録クロックR_CLKが生成される(ステップS107)。そして、この記録クロックR_CLKを参照しながら、各種コンテンツデータがグルーブエリア114に記録される(ステップS108)。
その後、CPU354の制御の下に、記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS109)。例えば、記録すべきデータの全てを記録していれば終了すると判定されてもよいし、ユーザにより記録停止の指示がなされれば終了すると判定されてもよい。
この判定の結果、記録動作を終了しないと判定された場合(ステップS109:No)、再びステップS101に戻って記録動作を継続する。
他方、記録動作を終了すると判定された場合(ステップS109:Yes)、記録動作を終了し、必要に応じて光ディスク100のファイナライズ処理を行ったり、或いは光ディスク100を情報記録再生装置300よりイジェクトしてもよい。
以上説明したように、ステップS101において記録開始前(即ち、グルーブエリア114へレーザ光LBがフォーカシングされていない場合)には、エンボスデータエリア113から取得される第2比較信号S2に基づいて生成される記録クロックR_CLKを参照しながら各種コンテンツデータの記録が開始される。即ち、第2比較信号に基づいて生成される再生クロックP_CLKを記録クロックR_CLKとして参照しながら各種コンテンツデータの記録が行なわれる。従って、実際にランドプリピットLPPより基準クロックB_CLKを生成していなくとも、グルーブエリア114において好適に各種コンテンツデータの記録を開始することができる。特に、グルーブエリア114の先頭部分より好適に各種コンテンツデータの記録を開始することができる。そして、光ディスク100は、図1から図6において説明した特徴を有しているため、エンボスデータエリア113から取得される第2比較信号S2に基づいて記録クロックR_CLKを生成しても特段の不都合を生ずることはない。
そして、実際にグルーブエリア114への記録を進めていくことでランドプリピットLPPが読み取られれば、比較信号用スイッチ406を切り替えることで、ランドプリピットLPPより取得される第1比較信号S1に基づいて記録クロックR_CLKが生成される。従って、以降は、第1比較信号S1に基づいて生成される記録クロックR_CLKを参照しながら各種コンテンツデータの記録が行われる。即ち、基準クロックP_CLKを記録クロックR_CLKとして参照しながら各種コンテンツデータの記録が行なわれる。この場合も、光ディスク100が図1から図5において説明した特徴を有しているがゆえに、記録クロックR_CLKを生成するデータ源を、エンボスデータエリア113より取得される第2比較信号からグルーブエリア114より取得される第1比較信号に又はその逆に切替えたとしても、特段の不都合を生ずることはない。
具体的に、グルーブエリア114への各種コンテンツデータの記録を開始する場合の、RF信号やプッシュプル信号や比較信号等について、図9を参照しながら説明する。
図9に示すように、エンボスデータエリア113にレーザ光LBが照射されている場合には、RF信号が検出される。この場合、このRF信号に基づいて第2比較信号S2が生成される。
他方、グルーブエリア114にレーザ光LBが照射されている場合には、プッシュプル信号にLPP信号とウォブル信号が検出される。この場合、このプッシュプル信号に基づいて第1比較信号S1が生成される。
また、CPU354より比較信号切替命令を出力するために、別途エリア判別信号が生成されていてもよい。例えば、エンボスデータエリア113にレーザ光LBが照射されている場合にLOWレベルとなり、グルーブエリア114にレーザ光LBが照射されている場合にHIGHレベルとなるようなエリア判別信号であってもよい。そして、エリア判別信号がHIGHレベルであれば、比較信号用スイッチ406が(1)側に切替えられ、エリア判別信号がLOWレベルであれば、比較信号用スイッチ406が(2)側に切替えられるように構成してもよい。
尚、上述した第1実施例では、比較信号用スイッチ406の切替を行うための判定(即ち、図8のステップS101における判定)は、グルーブエリア114へレーザ光LBがフォーカシングされているか否か、即ちレーザ光LBが照射されている記録領域の位置を基準として行っているが、これに限られることはない。例えば、記録しようとしている各種コンテンツデータ(具体的には、変調処理やECC付加処理等がなされた後のコンテンツデータ)のデータ構造に基づいて、比較信号用スイッチ406の切替を行うための判定を行ってもよい。或いは、その他の手法に基づいて、比較信号用スイッチ406の切替を行うための判定を行ってもよい。
尚、エンボスデータエリア113に形成されるエンボスピットとグルーブエリア114に形成されるランドプリピットLPPとの関係について、図10及び図11を参照して更に詳細に説明を進める。ここに、図10は、ランドプリピットLPPがEvenポジションに形成されている場合の、記録動作中の記録クロックの生成に関連する各種信号の変化の態様を概念的に示すタイミングチャートであり、図11は、ランドプリピットLPPがOddポジションに形成されている場合の、記録動作中の記録クロックの生成に関連する各種信号の変化の態様を概念的に示すタイミングチャートである。
図10に示すように、ランドプリピットLPPがEvenポジションに形成される場合には、エンボスデータエリア113に形成されるエンボスピットから取得される第2比較信号S2の周期T1と、グルーブエリア114に形成されるランドプリピットLPPから取得される第1比較信号S1の周期T3と、エンボスピットから取得される最後の第2比較信号S2とランドプリピットLPPから取得される最初の第1比較信号S1との間隔T2とは、2×T1≒2×T2≒T3を満たしていることが好ましい。言い換えれば、このような関係を満たすように、上述した光ディスク100に対してエンボスピット及びランドプリピットLPPが形成されていることが好ましい。
他方で、図11に示すように、ランドプリピットLPPがOddポジションに形成される場合には、2×T1≒T2≒T3を満たしていることが好ましい。言い換えれば、このような関係を満たすように、上述した光ディスク100に対してエンボスピット及びランドプリピットLPPが形成されていることが好ましい。
このような関係を満たすことで、上述した各種利益を好適に享受することができる。そして、このような関係を満たすようにエンボスピット及びランドプリピットLPPが形成されている光ディスク100も、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
なお、図9、図10、及び図11において、エンボスデータエリアのプッシュプル信号にウォブル信号が検出されていないが、エンボスピットがウォブリングされていればエンボスデータエリアのプッシュプル信号にウォブル信号が検出されることになる。また、図9、図10、及び図11において、グルーブエリアにRF信号が検出されていないが、グルーブエリアが記録済みであり、そこをオーバーライトするような場合であれば、グルーブエリアにもRF信号が検出されることになる。いずれにおいても本実施例には影響がなく、上述した各種利益を好適に享受することができる。
(2)第2実施例
続いて、図12から図14を参照して、第2実施例に係る情報記録再生装置について説明する。尚、上述の第1実施例に係る情報記録再生装置と同様の構成及び動作については、同一の参照符号又はステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
(2−1)基本構成
初めに、図12を参照して、第2実施例に係る情報記録再生装置301の基本構成について説明する。ここに、図12は、第2実施例に係る情報記録再生装置301が備える記録クロック生成器の基本構成を概念的に示すブロック図である。
第2実施例に係る情報記録再生装置301の基本構成は、図6を用いて説明した第1実施例に係る情報記録再生装置300と同様である。第2実施例に係る情報記録再生装置301は特に、第1実施例における記録クロック生成器356とは、その構成及び動作が若干異なる記録クロック生成器356aを備えている。この記録クロック生成器356aについて、図12を参照してより詳細に説明する。
図12に示すように、第2実施例に係る情報記録再生装置301が備える記録クロック生成器356aは、上述した第1実施例に係る情報記録再生装置300が備える記録クロック生成器356と同様に、2値化回路401、比較信号生成器402、LPP検出器403、ウォブル検出器404、比較信号生成器405、比較信号用スイッチ(SW)406、PLL(Phase Locked Loop)410を備えている。第2実施例では特に、自走切替用スイッチ416を備えている。
自走切替用スイッチ416は、記録クロックR_CLKを生成するためにPLL410に入力される信号を切り替える。具体的には、PLL410に入力される信号を、比較信号生成器402又は405において生成される比較信号及びPLL410において生成される記録クロックR_CLKを分周回路414で分周した信号のいずれかに切り替え可能に構成されている。特に、CPU354から出力される自走切替命令に基づいて、PLL410に入力される信号を切り替える。
尚、第2実施例では、比較信号用スイッチ406から出力される比較信号は、自走切替用スイッチ416に入力される。
(2−2)記録動作例
続いて、図13及び図14を参照して、第2実施例に係る情報記録再生装置301による記録動作について説明する。ここに、図13は、記録動作全体の流れを概念的に示すフローチャートであり、図14は、記録動作中の記録クロックの生成に関連する各種信号の変化の態様を概念的に示すタイミングチャートである。
図13に示すように、第2実施例においても、第1実施例と同様にレーザ光LBが照射されている記録領域の位置に応じて比較信号が生成される(ステップS101からステップS106)。
第2実施例では特に、比較信号を生成した後に、CPU354の制御の下に、比較信号用スイッチ406を1側へ切り替えた直後か否かが判定される(ステップS201)。即ち、比較信号用スイッチ406を切替えてから所定時間が経過しているか否かが判定される。或いは、比較信号用スイッチ406を切替えてから所定サイズの(例えば、数ECCブロックの)各種コンテンツデータがグルーブエリア114に記録されたか否かが判定される。
この判定の結果、比較信号用スイッチ406を切り替えた直後であると判定された場合(ステップS201:Yes)、CPU354から出力される自走切替命令に基づいて、自走切替用スイッチ416が(1)側へ切替えられる(ステップS202)。
他方、比較信号用スイッチ406を切り替えた直後でないと判定された場合(ステップS201:No)、CPU354から出力される自走切替命令に基づいて、自走切替用スイッチ416が(2)側へ切替えられる(ステップS203)。
その後は、第1実施例と同様に比較信号に基づいて生成される記録クロックR_CLKを参照しながら、各種コンテンツデータの記録が行われる(ステップS107からステップS110)。
特に、グルーブエリア114に各種コンテンツデータを記録し始めた直後(即ち、比較信号用スイッチ406が1側へ切り替わった直後)は、後述するように、プッシュプル信号に基づいて生成される第1比較信号S1(或いは、第1比較信号S1に基づいて生成される基準クロックB_CLK)は安定していないおそれがある。これは、グルーブエリア114に各種コンテンツデータを記録し始めた直後は、情報記録再生装置301により読み取られるランドプリピットLPPの数が少ないため、基準クロックR_CLKを生成するために用いられる第1比較信号S1を、ランドプリピットLPPから好適に取得することができないおそれがあるためである。しかるに、第2実施例では、このような期間であっても、PLL410において生成される記録クロックR_CLKを分周回路414で分周した信号を、再びPLL410にフィードバック(ループバック)して記録クロックR_CLKを生成している。このため、プッシュプル信号に基づいて生成される第1比較信号S1が安定していないという影響を排除して、好適な記録クロックR_CLKを生成することができる。
そして、グルーブエリア114においてある程度の各種コンテンツデータを記録していれば(即ち、比較信号用スイッチ406を切替えた直後でなければ)、ある程度のランドプリピットLPPが読み取られているため、該ランドプリピットLPPを読み取ることで取得される第1比較信号S1から、好適な記録クロックR_CLKを生成することができる。
従って、上述の第1実施例が有する各種利益を享受できると共に、第1実施例よりもより好適な(或いは、安定している)記録クロックR_CLKを参照しながら各種コンテンツデータの記録を行うことができる。
具体的に、グルーブエリア114への各種コンテンツデータの記録を開始する場合の、RF信号やプッシュプル信号や比較信号等について、図14を参照しながら説明する。
図14に示すように、エンボスデータエリア113にレーザ光LBが照射されている場合には、RF信号が検出される。この場合、このRF信号に基づいて第2比較信号が取得される。
他方、グルーブエリア114にレーザ光LBが照射されている場合には、プッシュプル信号にLPP信号とウォブル信号が検出される。この場合、このプッシュプル信号に基づいて第1比較信号S1が取得される。このとき、レーザ光LBが照射される記録位置が、エンボスデータエリア113からグルーブエリア114に切り替わった直後は、プッシュプル信号に基づいて生成される第1比較信号S1は上述したように安定していないおそれがある。具体的には、第1比較信号S1のうち初めのランドプリピットに対応するパルス信号が時間軸方向(図14中では左右方向)にぶれてしまうおそれがある。従って、この場合は、RF信号に基づいて生成される第2比較信号S2に基づいて生成されていた記録クロックR_CLKを分周回路414で分周した信号をPLL410にフィードバック(ループバック)することで、プッシュプル信号に基づいて生成される比較信号は安定していない期間においても、適切な記録クロックR_CLKを参照しながら、好適に記録情報を記録することができる。
また、CPU354より自走切替命令を出力するために、別途PLL自走信号が生成されてもよい。例えば、PLL410を自走させることなく、比較信号生成器402又は405において生成される比較信号に基づいてPLL410が動作すべき場合にLOWレベルとなり、PLL410を自走させる場合にHIGHレベルとなるようなPLL自走信号であってもよい。そして、PLL自走信号がHIGHレベルであれば、自走切替用スイッチ416が(1)側に切替えられ、エリア判別信号がLOWレベルであれば、自走切替用スイッチ416が(2)側に切替えられるように構成してもよい。
尚、図13のステップS201において、切替直後であるか否かの判定の際には、安定的なプッシュプル信号が得られるか否か(或いは、プッシュプル信号から安定的な比較信号を取得することができるか否か)に基づいて判定することが好ましい。即ち、安定的なプッシュプル信号が得られていなければ、切替直後であると判定されてもよいし、他方安定的なプッシュプル信号が得られていれば、切替直後でないと判定されてもよい。
なお、図14において、エンボスデータエリアのプッシュプル信号にウォブル信号が検出されていないが、エンボスピットがウォブリングされていればエンボスデータエリアのプッシュプル信号にウォブル信号が検出されることになる。また、図14において、グルーブエリアにRF信号が検出されていないが、グルーブエリアが記録済みであり、そこをオーバーライトするような場合であれば、グルーブエリアにもRF信号が検出されることになる。いずれにおいても本実施例には影響がなく、上述した各種利益を好適に享受することができる。
また、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100及び情報記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのレコーダに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。