本発明は、無線受信装置、無線送信装置、および、干渉信号除去方法に関する。
近年、無線通信、特に移動体通信では、音声以外に画像やデータなどの様々な情報が伝送の対象になっている。今後は、多様なコンテンツの伝送に対する需要がますます高くなることが予想されるため、高速な伝送に対する必要性がさらに高まるであろうと予想される。しかしながら、移動体通信において高速伝送を行う場合、マルチパスによる遅延波の影響が無視できなくなり、周波数選択性フェージングにより伝送特性が劣化する。
周波数選択性フェージング対策技術の一つとして、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア通信が注目されている。マルチキャリア通信は、周波数選択性フェージングが発生しない程度に伝送速度が抑えられた複数の搬送波(サブキャリア)を用いてデータを伝送することにより、結果的に高速伝送を行う技術である。特に、OFDM方式は、データが配置される複数のサブキャリアが相互に直交しているため、マルチキャリア通信の中でも周波数利用効率が高く、また、比較的簡単なハードウェア構成により実現できることから、とりわけ注目されており、様々な検討が行われている。
一方、移動体通信においては、複数のアンテナによって受信された信号に各々重み係数(ウェイト)を乗算して受信指向性を適応的に制御するアダプティブ・アレイ・アンテナ(以下、AAAと省略する)技術についての検討が行われている。このAAA技術では、MMSE(Minimum Mean Square Error)によりウェイトを適応的に制御することにより受信信号から干渉信号を除去することができる。
そして、OFDM方式とAAA技術とを組み合わせた受信装置において、最適ウェイトの推定を迅速かつ精度良く行うことに関する技術が、例えば特許文献1に記載されている。
特開2003−218759号公報
AAA技術では、その原理上、アンテナ数−1の数だけの干渉信号を除去することができる。換言すれば、干渉信号源の数をNとした場合、特許文献1記載の受信装置はN+1本のアンテナを備える必要がある。さらに、各干渉信号源から送信される信号がマルチパス環境において受信装置に受信される場合、各干渉信号源のマルチパスの数をMとすると、特許文献1記載の受信装置はN×M+1本の多数のアンテナを備える必要がある。
このように、特許文献1記載の受信装置は、干渉信号の除去にあたり多数のアンテナを備える必要があるため、近年ますますの小型化を要求される無線通信移動局装置(以下、移動局と省略する)に特許文献1記載の受信装置を搭載することは実際には難しい。
本発明の目的は、マルチキャリア通信において、効率よく干渉信号を除去することができる無線受信装置、無線送信装置、および、干渉信号除去方法を提供することである。
本発明の無線受信装置は、複数の同一シンボルがマッピングされた複数のサブキャリアを含むマルチキャリア信号を受信する受信手段と、前記複数の同一シンボルを用いて前記マルチキャリア信号から干渉信号を除去する干渉除去手段と、を具備する構成を採る。
本発明によれば、マルチキャリア通信において、干渉信号の除去を効率的に行うことができる。
OFDMシンボルの概念図
サブキャリア#1のシンボルの概念図
サブキャリア#2のシンボルの概念図
サブキャリア#3のシンボルの概念図
サブキャリア#4のシンボルの概念図
AAA技術の動作原理を示す図
本発明の動作原理を示す図
本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態2に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態2に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態3に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態5に係る移動体通信システムの構成図
本発明の実施の形態5に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態6に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態7に係る移動体通信システムの構成図
本発明の実施の形態7に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態7に係る干渉除去部の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態8に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態8に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態8に係るマッピングパターンを示す図
まず、本発明の動作原理について説明する。なお、以下の説明では、OFDM方式をマルチキャリア通信方式の一例として説明するが、本発明はOFDM方式に限定されるものではない。
マルチキャリア信号であるOFDMシンボルはシンボルレートが非常に小さいため、マルチパス環境において受信されるOFDMシンボルは、マルチパスの数にかかわらず、複数のパスの信号が1つの合成された信号として受信されるという特性がある。よって、OFDM方式において所望信号および干渉信号のそれぞれがマルチパスを介して移動局に受信される場合、移動局では、図1に示すように、所望信号も干渉信号も、複数のパスの信号が合成された信号として受信される。
よって、OFDMシンボルの各サブキャリア#1〜#4毎では、干渉信号源がN個の場合、マルチパスの数にかかわらず、1つの所望信号とN個の干渉信号とが合成された信号が受信されるとみなすことができる。換言すれば、干渉信号源がN個の場合、マルチパスの数にかかわらず、サブキャリア毎には、1パスのレイリーフェージングの所望信号1つと1パスのレイリーフェージングの干渉信号N個とが存在しているとみなすことができる。この様子を示したのが図2A〜Dである。これらの図に示すように、各サブキャリア#1〜#4では、所望信号に干渉信号が加わったシンボルが受信される。よって、OFDMでは、干渉信号源がN個の場合は、マルチパスの数にかかわらず、各サブキャリアにおいて受信信号からN個の干渉信号を除去すれば所望信号を得ることができる。
このように、OFDM受信信号の特徴として、シングルキャリア伝送では周波数選択性フェージングを受けた信号が受信されるようなマルチパス環境でも、OFDM受信信号は、サブキャリア毎に見ればレイリーフェージングを受けた信号となる、という点が挙げられる。
一方、AAA技術の特徴として、N個の干渉信号を除去するためには、1つの所望信号とN個の干渉信号とが合成された信号を受信するN+1本のアンテナを必要とする、という点が挙げられる。このとき、N+1本のアンテナで受信される信号にはそれぞれ所望信号と干渉信号とが含まれる。そして、MMSE処理により求められるウェイトを各アンテナで受信された信号に乗算し、ウェイト乗算後の信号を合成することにより受信信号からN個の干渉信号を除去して1つの所望信号を得ることができる。
上記OFDM受信信号の特徴とAAA技術の特徴とを鑑みると、図1に示すような各サブキャリア#1〜#4をAAA技術における各アンテナとみなし、OFDMシンボルを構成する各サブキャリア#1〜#4の4つのサブキャリアに同一シンボルを所望信号としてマッピングし、各サブキャリア#1〜#4に対してAAA技術同様のMMSE処理を行えば、OFDM方式の無線通信においてマルチパスが多数存在する場合でも、移動局は、3個の干渉信号源から送信された干渉信号のすべてを除去することができる。また、移動局は、複数のアンテナを備える必要がなく、マルチパスの数にかかわらず1本のアンテナさえ備えれば、3個の干渉信号源から送信された干渉信号のすべてを除去することができる。つまり、OFDM通信においては、N個の干渉信号源から送信される干渉信号を受信信号から除去するには、マルチパスが多数存在する場合でも、移動局のアンテナは1本で足り、また、所望信号として同一シンボルがマッピングされるN+1個のサブキャリアがあれば足りる。
このように、本発明では、同一シンボルがマッピングされる複数のサブキャリアをAAA技術における複数のアンテナとみなし、それら複数の同一シンボルに対して周波数軸上でMMSE処理を行うことにより、OFDMシンボルに含まれる干渉信号を除去する。
より具体的には、以下のように説明することができる。
AAA技術の場合、所望信号:D、干渉信号:U、所望信号のアンテナnにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Dn、干渉信号のアンテナnにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Unとすると、アンテナnにおける受信信号:R
nは、式(1)により表される。
そして、式(2)に従ってMMSE処理により求められるアンテナnにおけるウェイト:W
nをアンテナnで受信された信号に乗算して合成することにより受信信号:R
nから干渉信号:Uを除去して所望信号:Dを得ることができる。なお、式(2)において、Pは、チャネル推定値:h
Dnおよびチャネル推定値:h
Unから生成されるPベクトルである。
よって、例えば、図3に示すように、干渉信号源が1つで、受信機側が2本のアンテナを備える場合、AAA技術では、各アンテナにおける受信信号は式(3)により与えられる。
一方、本発明において、所望信号:D、干渉信号:U、所望信号のサブキャリアmにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Dm、干渉信号のサブキャリアmにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Umとすると、サブキャリアmにおける受信信号:Q
mは、式(4)により表される。
そして、式(5)に従ってMMSE処理により求められるサブキャリアmにおけるウェイト:W
mをサブキャリアmにより受信された信号に乗算して合成することにより受信信号:Q
mから干渉信号:Uを除去して所望信号:Dを得ることができる。なお、式(5)において、Pは、チャネル推定値:h
Dmおよびチャネル推定値:h
Umから生成されるPベクトルである。
よって、例えば、図4に示すように、干渉信号源が1つで、受信機側が1本のアンテナにより2つのサブキャリアからなるOFDMシンボルを受信する場合、各サブキャリアにおける受信信号は式(6)により与えられる。
ここで、式(1)〜(3)と式(4)〜(6)とを比較すると、アンテナ番号nがサブキャリア番号mに変わっているだけで、その他は全く同じ式で表されていることが分かる。このことは、つまり、OFDMシンボルの複数のサブキャリアをAAA技術における複数のアンテナとみなし、1本のアンテナで受信されたOFDMシンボルの複数のサブキャリアに対してAAA技術と同様のMMSE処理を行うことにより、OFDMシンボルから干渉信号を除去できることを示す。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)100の構成を図5に示す。また、本実施の形態に係る移動局200の構成を図6に示す。
図5に示す基地局100において、符号化部101は、送信データ(ビット列)を符号化して変調部102に出力する。
変調部102は、符号化後のビット列を変調してシンボルを生成し、レピティション部103に出力する。
レピティション部103は、入力された各シンボルを複製(レピティション)して同一のシンボルを複数生成する。例えば、レピティション・ファクター(RF)=4とした場合、レピティション部103では、変調部102から入力される各シンボルにつき、同一シンボルが4個ずつ得られる。なお、ここでは、S1〜S16の16個のシンボルがそれぞれRF=4でレピティションされるものとする。すなわち、レピティション部103では、シンボルS1〜S16が4個ずつ得られる。
S/P部104は、マルチキャリア信号であるOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリア#1〜#KのK本分のシンボルがレピティション部103から直列に入力される度に、それらのシンボルを並列に変換してIFFT部105に出力する。
IFFT部105は、S/P部104より入力されるシンボルをIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)してサブキャリア#1〜#Kの各々に所定のマッピングパターン(配置パターン)に従ってマッピング(配置)し、OFDMシンボルを生成する。また、IFFT部105は、フレーム先頭において、パイロットシンボル(PL)をIFFTしてサブキャリア#1〜#Kの各々にマッピングし、OFDMシンボルを生成する。なお、ここでは、1OFDMシンボルがサブキャリア#1〜#8の8個のサブキャリアで構成されるものとする。
このようにして生成されたOFDMシンボルは、GI付加部106でガードインターバルを付加された後、送信RF部107でアンプコンバート等の所定の無線処理が施され、アンテナ108から移動局200へ無線送信される。
ここで、RF=4で、1フレームが9個のOFDMシンボル(パイロットシンボルからなるOFDMシンボルが1個+シンボルS1〜S16からなるOFDMシンボルが8個)で構成される場合、本実施の形態でのマッピングパターンは例えば図7に示すようになる。すなわち、シンボルS1、S3、S5、S7、S9、S11、S13、S15の各々が、RF=4で周波数軸方向にレピティションされてサブキャリア#1〜#4にマッピングされ、また、シンボルS2、S4、S6、S8、S10、S12、S14、S16の各々が、RF=4で周波数軸方向にレピティションされてサブキャリア#5〜#8にマッピングされる。つまり、同一のシンボルが互いに異なる4つのサブキャリアにマッピングされて移動局200へ送信される。
図6に示す移動局200では、基地局100から送信されたOFDMシンボルがアンテナ201を介して受信される。この際、受信されるOFDMシンボルには、基地局100から送信された所望信号の他に干渉信号源から送信された干渉信号が含まれる。この干渉信号は、基地局100から送信されたOFDMシンボルの周波数#1〜#8と同じ周波数を有するOFDMシンボルであり、基地局100以外の他の基地局から送信されたOFDMシンボル、移動局200以外の他の移動局から送信されたOFDMシンボル等である。また、基地局100のアンテナ108が複数のアンテナで構成されるセクタアンテナである場合は、移動局200が位置するセクタ以外のセクタに対するアンテナから送信されたOFDMシンボルも干渉信号となる。
このような所望信号および干渉信号を含むOFDMシンボルは、受信RF部202でダウンコンバート等の所定の無線処理を施された後、GI除去部203でガードインターバルを除去されて、FFT部204に入力される。
FFT部204は、GI除去部203より入力されるOFDMシンボルをFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)して、サブキャリア#1〜#8の各々にマッピングされたシンボルを得る。これらのシンボルは、選択部205に入力される。
選択部205は、フレーム先頭のOFDMシンボルの場合は、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたパイロットシンボルをチャネル推定部206に出力する。また、選択部205は、基地局100でのOFDMシンボル生成時のマッピングパターンに従って複数の同一シンボルを選択し、相関値算出部207および乗算器209−1〜209−Nに出力する。具体的には、図7において、t1では、選択部205は、まず、サブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1を選択して出力し、次に、サブキャリア#5〜#8にマッピングされた4個のシンボルS2を選択して出力する。t2〜t8においても同様である。よって、図6においては、N=RF=4となる。また、これら4個のシンボルにはそれぞれ干渉信号が加わっている。つまり、選択部205では、干渉信号が加わっている同一シンボルが順次選択されて出力される。
チャネル推定部206は、入力されたパイロットシンボルを用いてサブキャリア#1〜#8のチャネル推定値を求める。そして、チャネル推定部206は、チャネル推定値よりPベクトルを生成してMMSE処理部208に出力する。例えば、選択部205によりサブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1が選択されるt1では、チャネル推定部206は、サブキャリア#1〜#4のチャネル推定値h
1〜h
4より式(7)に示すPベクトルを生成する。シンボルS2〜S16についても同様である。なお、チャネル推定値は、フレーム先頭のパイロットシンボルに基づいて算出されるため、各サブキャリア毎に1フレームに渡って同じ値が使用される。
相関値算出部207は、同一シンボルのサブキャリア間の相互相関値を求める。例えば、サブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1が入力された場合、相関値算出部207は、サブキャリア#1〜#4の間において、これら4個のシンボルの相互相関値を求める。そして、相関値算出部207は、相互相関値よりR行列を生成し、そのR行列の逆行列を求めてMMSE処理部208に出力する。例えば、選択部205によりサブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1が選択されるt1では、相関値算出部207は、サブキャリア#1〜#4の間における相互相関値x
11〜x
44より式(8)に示すR行列を生成する。シンボルS2〜S16についても同様である。
MMSE処理部208は、チャネル推定部206から入力されたPベクトル(P)と相関値算出部207から入力されたR行列の逆行列(R
−1)とから、式(9)に示す行列演算によるMMSE処理を行ってウェイトW(W
1〜W
4)を求め、乗算器209−1〜209−Nに出力する。シンボルS2〜S16についても同様である。
なお、このようなウェイト生成方法は、AAA技術においてSMI(Sample Matrix Inverse)法として広く知られている方法である。
乗算器209−1〜209−Nは、選択部205で選択されたシンボルの各々にMMSE処理部208で求められたウェイトを乗算して合成部210に出力する。
合成部210は、ウェイト乗算後の各シンボルを合成して合成信号を生成する。合成部210で合成される各シンボルは複数の異なるサブキャリアにマッピングされていた同一シンボルであるため、このようなサブキャリア間での合成により、各シンボルS1〜S16から干渉信号を除去することができる。本発明ではOFDMシンボルにおける各サブキャリアがAAA技術における各アンテナに相当するため、RF=4の各シンボルS1〜S16では、RF−1個(3個)の干渉信号源からの干渉信号を、マルチパスの数にかかわらず、すべて除去することができる。
なお、相関値算出部207、MMSE処理部208、乗算器209−1〜209−Nおよび合成部210により干渉除去部213が構成される。
こうようにして生成された合成信号は、復調部211で復調された後、復号部212で復号される。これにより受信データが得られる。
このように、本実施の形態によれば、OFDMシンボルの複数のサブキャリアをAAA技術における複数のアンテナとみなし、OFDMシンボルの複数のサブキャリアに対してAAA技術と同様のMMSE処理を行うことにより、マルチパスの数にかかわらず、RF−1個の干渉信号源からの干渉信号をすべて除去することができる。よって、移動局では、干渉信号を除去するために、従来のAAA技術のように多数のアンテナを備える必要がなく、マルチパスの数にかかわらず1本のアンテナさえ備えれば足りるため、干渉信号の除去にあたり装置が大型化することを避けることができる。また、AAA技術では、干渉信号源の数およびマルチパス数の増加に伴い受信アンテナの数を増加させる必要があるが、本実施の形態によれば、干渉信号源の数が増加する場合でも、マルチパス数の増加にはかかわらず、RFを増加させるだけでよいため、効率よく干渉信号を除去することができる。
また、本実施の形態は、1つの基地局がカバーする通信エリア(セル)が、指向性を持つセクタアンテナにより角度方向に複数のセクタに分割されている移動体通信システムにおいて特に有効である。分割された複数のセクタにそれぞれ送信される信号は1つの基地局の複数のアンテナから送信された信号であるため、移動局が位置する場所によらず、セクタ間干渉はセル間干渉に比べて干渉信号レベルが大きくなる傾向にある。よって、セクタ間干渉に対しては、所望信号レベルを大きくしてもSIR(Signal to Interference Ratio)の改善効果はセル間干渉に比べて小さいので、本実施の形態のようにして干渉信号レベルを抑えることによりSIRの改善効果を大きくすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局300の構成を図8に示す。基地局300は、実施の形態1に係る基地局100(図5)の構成に、さらにインタリーバ301を備える。
ここで、実施の形態1のように各シンボルをレピティションする場合、さらに周波数軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを周波数軸上においてインタリーブすることがある。また、時間軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸上においてインタリーブすることが考えられる。
しかし、実施の形態1に係る移動局200において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとが周波数軸方向で同一であることが必要である。すなわち、実施の形態1に係る移動局200において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、所望信号と干渉信号とが同じパターンで周波数軸上に配置される必要がある。つまり、所望信号の同一シンボルがサブキャリア#1〜#4にマッピングされる場合には、干渉信号も同様に同一シンボルがサブキャリア#1〜#4にマッピングされる必要がある。よって、所望信号源のインタリーバ301と干渉信号源のインタリーバ301は、レピティションされた同一シンボルの周波数軸上でのインタリーブを同じインタリーブパターンにて行う必要がある。
そこで、インタリーバ301は、図7に示す各シンボルを図9に示すようにインタリーブする。そして、このとき、所望信号と干渉信号とで、周波数軸方向のインタリーブパターンを同一にする。これに対し、時間軸上でのインタリーブを行う場合には、インタリーバ301は、シンボル毎のインタリーブを行わず、OFDMシンボル毎(列毎)のインタリーブを行う。このようにすることで、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとを周波数軸方向で同一にすることができるので、受信信号から干渉信号を確実に除去することができる。
ここで、所望信号と干渉信号とで、時間軸方向でのインタリーブのインタリーブパターンを異ならせることは可能である。
例えば、所望信号源のマッピングパターン(図9)に対し、干渉信号源のマッピングパターンを図示すると図10に示すようになる。この図に示すように、所望信号であるシンボルS1がサブキャリア#1、#3、#5、#7にマッピングされるときは、干渉信号であるシンボルS7’もサブキャリア#1、#3、#5、#7にマッピングされる。このようにすることで、サブキャリア#1、#3、#5、#7における所望信号と干渉信号との組合せをすべて同じにすることができ、所望信号と干渉信号との間の周波数軸方向でのインタリーブパターンの相違による干渉除去性能の低下を防止することができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態1同様、1つの基地局がカバーする通信エリア(セル)が、指向性を持つセクタアンテナにより角度方向に複数のセクタに分割されている移動体通信システムにおいて特に有効である。1つの基地局が複数のセクタを有する場合は、互いに隣接するセクタに対して同一の基地局から信号が送信されるため、その基地局では、移動局200における所望信号と干渉信号のインタリーブパターンを同一にすることが容易だからである。すなわち、隣接セル間でインタリーブパターンを合わせるためには、異なるセルの基地局間でのシグナリングが必要になるが、隣接セクタ間でインタリーブパターンを合わせるには、同一基地局内での処理で済むからである。
なお、本実施の形態では、上記のように時間軸方向のインタリーブのインタリーブパターンを所望信号と干渉信号とで異ならせることが可能であるため、各移動局に対するシンボルの時間軸方向でのインタリーブ間隔を異ならせることが可能である。例えば、移動速度が速い移動局に対する時間軸上でのインタリーブ間隔を短くしてインタリーブによる遅延を少なくするとともに、移動速度が遅い移動局に対する時間軸上でのインタリーブ間隔を長くして受信特性を向上させることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1に係る移動局200では、RF(レピティション・ファクター)が大きくなるに従いMMSE処理における行列演算の処理量が大きくなる。そこで、本実施の形態では、MMSE処理を分割して行うようにする。
本実施の形態に係る移動局400の構成を図11に示す。なお、図11において、実施の形態1に係る移動局200(図6)と同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。また、図11において、干渉除去部403−1〜403−3の内部構成は、図6における干渉除去部213の内部構成と同一である。
選択部401は、図7において、フレーム先頭のOFDMシンボルの場合は、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたパイロットシンボルをチャネル推定部402に出力する。また、選択部401は、基地局100でのOFDMシンボル生成時のマッピングパターンに従って複数の同一シンボルを選択し、干渉除去部403−1および403−2に出力する。
例えば、図7におけるシンボルS1に着目すると、選択部401は、サブキャリア#1、#3にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−1に出力し、サブキャリア#2、#4にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−2に出力する。
ここで、サブキャリア#1、#3を組合せ、サブキャリア#2、#4を組み合わせたのは、なるべくサブキャリア間の相関が小さいものを組み合わせることで、干渉除去部403−1および403−2においてR行列の逆行列を確実に生成することができるようにするためである。
チャネル推定部402は、サブキャリア#1、#3のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−1に出力し、サブキャリア#2、#4のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−2に出力する。
よって、干渉除去部403−1および403−2ではそれぞれ、2行2列のR行列の逆行列と2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理が行われ、合成信号が干渉除去部403−3に出力される。つまり、まず第1段階のMMSE処理として、干渉除去部403−1および403−2において、RF/2に相当する分のMMSE処理が行われる。
また、干渉除去部403−1は、サブキャリア#1、#3のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW1、W3をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力し、干渉除去部403−2は、サブキャリア#2、#4のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW2、W4をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力する。
そして、第2段階のMMSE処理として、干渉除去部403−3は、残りのRF/2に相当する分のMMSE処理を行う。すなわち、干渉除去部403−3は、2つの合成信号から生成される2行2列のR行列の逆行列と、2つの合成チャネル推定値から生成される2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理を行い、合成信号を復調部211に出力する。干渉除去部403−3から出力される合成信号は、図6の干渉除去部213から出力される合成信号と同様、干渉信号が除去された信号となる。
このように、本実施の形態では、実施の形態1におけるMMSE処理を2段階に分けて行うため、MMSE処理における行列演算の処理量を減少させることができる。特に、本実施の形態では、R行列を2行2列、Pベクトルを2行1列としたため、演算量の削減効果が大きい。
なお、RF(レピティション・ファクター)が大きくなるに従いMMSE処理の分割数を多くすることにより、RFが大きくなった場合でも、本実施の形態と同様にしてMMSE処理の演算量を削減することができる。
(実施の形態4)
上記各実施の形態では、所望信号のレピティション・ファクターと干渉信号のレピティション・ファクターが同じ場合について説明したが、所望信号のレピティション・ファクターと干渉信号のレピティション・ファクターが相違する場合でも、以下のようにして受信信号から干渉信号を除去することができる。
例えば、図7に示すように所望信号のレピティション・ファクターがRF=4であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図12に示すようにRF=2である場合、図11に示す構成を採る移動局400によって、以下のようにして干渉信号を除去することができる。
すなわち、選択部401は、図7において、フレーム先頭のOFDMシンボルの場合は、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたパイロットシンボルをチャネル推定部402に出力する。また、選択部401は、所望信号のレピティション・ファクター(RF=4)が干渉信号のレピティション・ファクター(RF=2)以上であるので、干渉信号のレピティション・ファクター(RF=2)に応じて複数の同一シンボルを選択し、干渉除去部403−1および403−2に出力する。
例えば、図7におけるシンボルS1に着目すると、選択部401は、図12のシンボルS1’が干渉信号として存在するサブキャリア、すなわち、サブキャリア#1,#2にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−1に出力し、図12のシンボルS2’が干渉信号として存在するサブキャリア、すなわち、サブキャリア#3,#4にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−2に出力する。
チャネル推定部402は、サブキャリア#1、#2のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−1に出力し、サブキャリア#3、#4のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−2に出力する。
よって、干渉除去部403−1および403−2ではそれぞれ、2行2列のR行列の逆行列と2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理が行われ、合成信号が干渉除去部403−3に出力される。
また、干渉除去部403−1は、サブキャリア#1、#2のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW1、W2をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力し、干渉除去部403−2は、サブキャリア#3、#4のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW3、W4をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力する。
そして、干渉除去部403−3は、2つの合成信号から生成される2行2列のR行列の逆行列と、2つの合成チャネル推定値から生成される2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理を行い、合成信号を復調部211に出力する。
所望信号のレピティション・ファクターが干渉信号のレピティション・ファクター以上である場合は、このようにして受信信号から干渉信号を除去することができる。
さらに、干渉信号のレピティション・ファクター(RF)が複数ある場合、例えば、図13に示すように、サブキャリア#1〜#4ではRF=2、サブキャリア#5〜#8ではRF=4である場合でも、上記同様にして受信信号から干渉信号を除去することができる。この場合、干渉信号源の基地局では、複数の移動局毎にレピティション・ファクターを異ならせ、RF=2の移動局とRF=4の移動局とをサブキャリア#1〜#8に周波数多重することができる。なお、図12に示すマッピングパターンを用いる場合でも、干渉信号源の基地局では、RF=2の複数の移動局を最大4つまでサブキャリア#1〜#8に周波数多重することができる。
一方、所望信号のレピティション・ファクターが干渉信号のレピティション・ファクター以下である場合、例えば、所望信号のレピティション・ファクターが図14に示すようにRF=2であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図15に示すようにRF=4である場合は、図6に示す構成を採る移動局200によって、以下のようにして干渉信号を除去することができる。
すなわち、図6に示す構成を採る移動局200において、所望信号のレピティション・ファクター(RF=2)に応じてN=RF=2として、選択部205が、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたシンボルを2個ずつ順次選択して出力することにより、実施の形態1と同様にして受信信号から干渉信号を除去することができる。
また、上記のようにして移動局において干渉信号を除去できるようにするため、所望信号源の基地局および干渉信号源の基地局のレピティション・ファクターおよびマッピングパターンを決定する。
例えば、図7に示すように所望信号のレピティション・ファクターがRF=4であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図12に示すようにRF=2である場合は、干渉信号のレピティション・ファクター(RF=2)に基づき、少なくとも2つのシンボルにおいて、所望信号のマッピングパターンと干渉信号のマッピングパターンとを同一にする。また、図16および図17に示すように、図7および図13のマッピングパターンをそれぞれ周波数軸上においてインタリーブした場合でも、少なくとも2つのシンボルにおいて、所望信号のマッピングパターンと干渉信号のマッピングパターンとを同一にする。
一方、図14に示すように所望信号のレピティション・ファクターがRF=2であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図15に示すようにRF=4である場合は、所望信号のレピティション・ファクター(RF=2)に基づき、上記同様に、少なくとも2つのシンボルにおいて、所望信号のマッピングパターンと干渉信号のマッピングパターンとを同一にする。
これらの例では、干渉信号源が1つである場合を示しているため、少なくとも2つの同一シンボルがあれば足りるが、干渉信号源がM個である場合は、少なくともM+1個の同一シンボルが必要になる。つまり、すべての干渉信号源からの干渉信号を受信信号から除去するためには、干渉信号源の数をMとした場合、少なくともM+1個のサブキャリアにおいて複数の同一シンボルの周波数軸上でのマッピングパターンを、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで同一にするようにする。
このようして、本実施の形態では、所望信号のレピティション・ファクターと干渉信号のレピティション・ファクターが相違する場合でも、受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。
(実施の形態5)
図18に、本実施の形態に係る移動体通信システムの構成を示す。図18に示すように、本実施の形態では、移動局MSAが、基地局BSAと通信中であり、セルAのセル境界付近に位置する場合について説明する。また、セルAに隣接するセルがセルBである場合について説明する。よって、図18では、移動局MSAにとって、基地局BSAが所望信号源となり、基地局BSBが干渉信号源となる。すなわち、基地局BSAからセルAに位置する移動局MSAへ送信される信号が移動局MSAに対する所望信号となり、基地局BSBからセルBに位置する移動局MSBへ送信される信号が、移動局MSBに対する所望信号および移動局MSAに対する干渉信号となる。また、本実施の形態では、基地局BSB(干渉信号源)および移動局MSBは複数のアンテナ(図18では2本)を備え、MIMO(Multi Input Multi Output)通信を行っている。このような移動体通信システムにおいても、移動局MSAでは上記同様にして干渉信号を除去することができる。
例えば、所望信号源の基地局BSAでのマッピングパターンを図7とした場合、干渉信号源の基地局BSBでは、一方のアンテナにおけるマッピングパターンを図15に示すようにし、他方のアンテナにおけるマッピングパターンを図19に示すようにする。このように所望信号のマッピングパターンと、2本のアンテナから送信される干渉信号のマッピングパターンとを周波数軸方向で同一にすることにより、干渉信号源の基地局BSBがMIMO通信を行っている場合でも、移動局MSAでは、上記同様にして受信信号から干渉信号を除去することができる。レピティション・ファクターがLの場合は、L−1個の干渉信号を除去することができるため、移動局MSAでは、基地局BSBが最大L−1本のアンテナを用いてMIMO通信を行っている場合にすべての干渉信号を除去することができる。
なお、本実施の形態においては、所望信号がMIMO送信されず、干渉信号がMIMO送信される場合を一例として示したが、所望信号がMIMO送信され、干渉信号がMIMO送信されない場合や、所望信号および干渉信号の双方がMIMO送信される場合も、上記同様にして干渉信号を除去することができる。
このように、本実施の形態によれば、基地局が複数のアンテナを備えMIMO送信する場合でも、移動局において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態に係る基地局500の構成を図20に示す。基地局500は、実施の形態2に係る基地局300(図8)の構成に、さらにスクランブリング部501を備える。
スクランブリング部501は、インタリーブ後のシンボルに対して、OVSF(Orthogonal Variable Spreading Factor)符号、GOLD符号、PN符号、または、回転符号のいずれかを複素乗算して、各シンボルに対してスクランブリング処理を施す。例えば、スクランブリング処理に用いるこれらの符号を、チャネル毎、移動局毎等に異ならせて用いてもよい。
このようなスクランブリング処理を施すことにより、基地局500からの送信信号を干渉信号と受信する移動局に対して与える干渉の影響を少なくすることができる。よって、基地局500からの送信信号を干渉信号として受信する移動局が上記のような干渉除去機能を有していない場合でも、スクランブリング処理により、その移動局では基地局500からの干渉信号が白色化されるため、干渉の影響を低減することができる。
このように、本実施の形態によれば、スクランブリング処理により干渉の影響を低減することができる。
(実施の形態7)
図21に、本実施の形態に係る移動体通信システムの構成を示す。図21に示すように、本実施の形態では、移動局MSAが、基地局BSAと通信中であり、セルAのセル境界付近に位置する場合について説明する。また、セルAに隣接するセルが、セルBおよびセルCである場合について説明する。よって、図21では、移動局MSAにとって、基地局BSAが所望信号源となり、基地局BSBおよび基地局BSCが干渉信号源となる。すなわち、基地局BSAからセルAに位置する移動局MSAへ送信される信号が移動局MSAに対する所望信号となり、基地局BSBからセルBに位置する移動局へ送信される信号が移動局MSAに対する干渉信号Bとなり、基地局BSCからセルCに位置する移動局へ送信される信号が移動局MSAに対する干渉信号Cとなる。また、本実施の形態では、移動局MSAは複数のアンテナ(図21では2本)を備えている。このような移動体通信システムにおいても、移動局MSAは複数の干渉信号(干渉信号Bおよび干渉信号C)を除去することができる。
例えば、所望信号源の基地局BSAでのマッピングパターンを図7とした場合、干渉信号源の基地局BSBではマッピングパターンを図15に示すようにして、基地局BSBでのマッピングパターンを基地局BSAでのマッピングパターンに合わせる。ここで、本実施の形態では、もう一つの干渉信号源である基地局BSCでのマッピングパターンを、基地局BSAでのマッピングパターンに合わせる必要はない。
このように、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号(干渉信号B)とマッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号(干渉信号C)とが混在する場合でも、移動局BSAが複数のアンテナを備えることにより、移動局BSAでは、以下のようにして、受信信号から干渉信号Bおよび干渉信号Cの双方を除去することができる。
本実施の形態に係る移動局600の構成を図22に示す。なお、図22において、実施の形態1に係る移動局200(図6)と同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。また、図11におけるアンテナ201−1、201−2、受信RF部202−1、202−2、GI除去部203−1、203−2、FFT部204−1、204−2はそれぞれ、図6におけるアンテナ201、受信RF部202、GI除去部203、FFT部204と同一のものである。
移動局600は、干渉除去処理を二段階に分けて実施する。すなわち、第一段階として、干渉除去部601−1〜601−Kが、マッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号(干渉信号C)を空間軸上で分離し、第二段階として、干渉除去部213が、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号(干渉信号B)を周波数軸上で分離する。
干渉除去部601−1〜601−Kは、OFDMシンボルを構成する複数のサブキャリア#1〜#Kにそれぞれ対応して備えられ、サブキャリア毎にアンテナ201−1で受信された信号およびアンテナ201−2で受信された信号の双方が入力される。そして、干渉除去部601−1〜601−Kは、それらの信号を用いて空間軸上でMMSE処理を行うことにより、受信信号から干渉信号Cを除去する。干渉除去部601−1〜601−Kでは、受信信号から干渉信号Cを除去するにあたり、所望信号と干渉信号Bとを合わせた信号(以下「疑似所望信号」という)をMMSE処理における所望信号とみなして、MMSE処理を行う。このMMSE処理により、受信信号からまず干渉信号Cのみが分離される。
図23に、干渉除去部601−1〜601−Kの構成を示す。
FFT部204−1、204−2からの信号は、サブキャリア#1〜#K毎に干渉除去部601−1〜601−Kに入力される。
干渉除去部601−1〜601−Kでは、チャネル推定部6011が、アンテナ毎に所望信号のチャネル推定値を算出して、合成部6013に出力する。
また、チャネル推定部6012が、アンテナ毎に干渉信号Bのチャネル推定値を算出して、合成部6013に出力する。
合成部6013は、アンテナ毎に所望信号のチャネル推定値と干渉信号Bのチャネル推定値とを合成して、MMSE処理部6014に出力する。
この合成処理により、MMSE処理部6014は、疑似所望信号をMMSEにおける所望信号とみなして空間軸上でのMMSE処理を行うことができる。そして、このMMSE処理により、受信信号(所望信号、干渉信号Bおよび干渉信号Cが混在した信号)から疑似所望信号を取り出すことができる。すなわち、受信信号から干渉信号Cを除去することができる。干渉除去部601−1〜601−Kの各々のMMSE処理部6014にて得られた疑似所望信号は、選択部205に出力される。
その後、干渉除去部213では、実施の形態1と同様にして、疑似所望信号から干渉信号Bを除去して、所望信号のみを取り出す。レピティション・ファクター(RF)がLの場合はL−1個の干渉信号を除去することができるため、移動局MSAでは、RF=4の各シンボルS1〜S16において、RF−1個(3個)の干渉信号源からの干渉信号をすべて除去することができる。
なお、本実施の形態においては、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号源の数をM1、マッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号源の数をM2、移動局の受信アンテナの数をN、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号のレピティション・ファクターをLとすれば、M1<NおよびM2<Lの関係が成り立つ場合にすべての干渉信号を確実に除去することができる。
また、空間軸と周波数軸とで二段階に分けて実施した干渉除去処理をひとつにまとめて実施することも可能であるが、本実施の形態のように、マッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号(干渉信号C)の除去を、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号(干渉信号B)の除去に先立って行うことにより、干渉除去に必要なアンテナ数および演算量を削減することができる。これは、以下の理由による。
すなわち、上記のように、所望信号と干渉信号Bとの間でマッピングパターンを合わせておけば、受信信号から干渉信号Cを空間軸上で除去する際に、干渉信号Bは、干渉信号としてではなく、疑似所望信号として取り出される。このように、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号Bを疑似所望信号として取り出すことにより、空間軸上において除去すべき干渉信号の数を減らすことができるため、干渉除去に必要なアンテナ数を削減することができるとともに、干渉除去に必要な逆行列演算量を削減することができる。
例えば、上記においてM1=3、M2=1、N=2、L=4とした場合、空間軸上での干渉除去を周波数軸上での干渉除去に先立って行うことにより、マッピングパターンを所望信号源に合わせていない1つの干渉信号源からの干渉信号を2本のアンテナを用いて確実に除去した後に、マッピングパターンを所望信号源に合わせた3つの干渉信号源からの干渉信号を4つの同一シンボルを用いて除去することができる。
つまり、干渉除去処理を一度にまとめて実施する場合には8×8の逆行列演算が必要なのに対して、本実施の形態のように干渉除去処理を二段階に分けて行えば、空間軸上での2×2の逆行列演算、および、周波数軸上での4×4の逆行列演算で済む。逆行列演算は、そのサイズに応じて演算量が指数関数的に増大するので、本実施の形態のように二段階に分けて干渉除去処理を行うことで演算量を大きく削減することができる。
このように、本実施の形態によれば、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号とマッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号とが混在する場合でも、移動局において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。
(実施の形態8)
実施の形態1では、周波数軸上でのマッピングパターンを、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで同一にする場合について説明したが、本実施の形態では、時間軸上でのマッピングパターンを、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで同一にする場合について説明する。
実施の形態1では、一般的に時間軸方向のチャネル変動が周波数軸方向のチャネル変動に比べて小さいことを勘案し、レピティションされた複数の同一シンボルを周波数軸方向にマッピングした(図7)。
しかしながら、移動局が非常に高速で移動し、かつ、マルチパスがほとんど存在しない環境においては、時間軸方向のチャネル変動が周波数軸方向のチャネル変動に比べて大きくなる場合もあり得る。このような場合には、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸方向にマッピングすることが有効である。
そこで、本実施の形態では、所望信号源の基地局は、図24に示すマッピングパターンを採る。また、干渉信号源の基地局は、実施の形態1同様、図24のマッピングパターンに合わせたマッピングパターンを用いる。
このようなマッピングパターンを採る基地局から送信された信号を受信する移動局は、図25に示す構成を採る。すなわち、本実施の形態に係る移動局800は、実施の形態1に係る移動局200(図6)に、さらに転置部801を備えて構成される。なお、図25において、図6と同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
転置部801は、FFT部204から入力される信号の周波数軸と時間軸とを転置する。具体的には、図24に示すマッピングパターンにおいて、転置部801は、データ部分に対して、周波数(サブキャリア)#1〜#8と時間t1〜t8とを転置する。その結果、マッピングパターンが変換されて図7と同一になる。このようにしてマッピングパターンを変換されたデータが選択部205に出力される。
ここで、さらに時間軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸上においてインタリーブすることがある。また、周波数軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを周波数軸上においてインタリーブすることが考えられる。
しかし、移動局800において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとが時間軸方向で同一であることが必要である。すなわち、移動局800において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、所望信号と干渉信号とが同じパターンで時間軸上に配置される必要がある。よって、所望信号源のインタリーバと干渉信号源のインタリーバは、レピティションされた同一シンボルの時間軸上でのインタリーブを同じインタリーブパターンにて行う必要がある。
そこで、各インタリーバは、図24に示す各シンボルを図26に示すようにインタリーブする。そして、このとき、所望信号と干渉信号とで、時間軸方向のインタリーブパターンを同一にする。これに対し、周波数軸上でのインタリーブを行う場合には、各インタリーバは、シンボル毎のインタリーブを行わず、サブキャリア毎(行毎)のインタリーブを行う。このようにすることで、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとを時間軸方向で同一にすることができるので、受信信号から干渉信号を確実に除去することができる。
ここで、所望信号と干渉信号とで、周波数軸方向でのインタリーブのインタリーブパターンを異ならせることは可能である。
また、所望信号と干渉信号とで、周波数軸方向および時間軸方向の双方でインタリーブパターンを同じにすることも可能である。この場合、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで、インタリーブ後のマッピングパターンが同一となる。
このように、本実施の形態によれば、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸方向にマッピングする場合でも、受信信号から干渉信号を除去することができる。
なお、上記各実施の形態では、干渉除去アルゴリズムとしてMMSEを用いたが、干渉除去アルゴリズムはMMSEに限定されず、AAA技術に使用される干渉除去アルゴリズムであればいかなるアルゴリズムでも使用可能である。例えば、ヌルステアリング、ビームフォーミング、LMS、RLS、CMA等を使用可能である。
さらに、MIMO通信で使用されるストリーム分離アルゴリズムを使用することも可能である。MIMO通信で使用されるストリーム分離アルゴリズムを使用すると、さらに以下の効果を得ることができる。
すなわち、移動体通信システムではデータレートの高速化に対応するためにMIMO受信を行うことが必須となりつつあるため、干渉除去アルゴリズムとしてストリーム分離アルゴリズムを使用すれば、そのストリーム分離アルゴリズムをMIMO受信処理だけでなく干渉除去処理にも使用することができるため、受信機の回路構成を簡単にすることができる。また、干渉除去アルゴリズムとしてストリーム分離アルゴリズムを使用することで、MMSEを用いる際に必要であった相互相関行列の演算が不要となるため、受信信号のシンボル数が少ない場合でも干渉信号を確実に除去することができる。さらに、基地局−移動局間の伝搬環境や、基地局−移動局間の距離に応じて、MIMO受信処理と干渉除去処理とを適応的に切り替えることができる。例えば、移動局が基地局の比較的近くに位置し低速で移動しているときは、ストリーム分離アルゴリズムを用いてMIMO受信処理を行って伝送レートを向上させ、移動局がセルエッジやセクタエッジに位置するときは、ストリーム分離アルゴリズムを用いて本発明の干渉除去処理を行ってSINRを向上させることができる。
なお、MIMO受信処理ではストリーム毎およびアンテナ毎のチャネル推定値を用いてストリーム分離ウェイトを算出するが、ストリーム分離アルゴリズムを用いて干渉除去処理を行う場合は、送信局毎およびサブキャリア毎のチャネル推定値を用いてストリーム分離ウェイトを算出すればよい。
また、上記各実施の形態では、受信局である移動局が1本または2本のアンテナを備える場合について説明したが、本発明は3本以上のアンテナを備える無線受信装置と組み合わせて使用することも可能である。例えば、無線受信装置のアンテナ数をNとし、レピティション・ファクターをLとすれば、本発明を適用することにより、N×L−1の干渉信号を除去することができる。換言すれば、本発明にて、所望信号源の数と干渉信号源の数の和が最大N×Lの無線通信システムに対応することができる。
また、上記各実施の形態では、基地局を送信局(無線送信装置)、移動局を受信局(無線受信装置)として説明したが、本発明は、移動局が送信局(無線送信装置)で、基地局が受信局(無線受信装置)である場合も、上記同様にして実施することができる。例えば、基地局が、所望信号源の移動局から所望信号を受信すると同時に、干渉信号源の移動局から干渉信号を受信する場合に、上記同様にして、受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。つまり、本発明は、上り回線に対しても、下り回線同様に適用することができる。
また、基地局はNode B、移動局はUE、サブキャリアはトーンと称されることがある。
また、上記各実施の形態では1つの基地局がカバーする通信エリアを「セル」と称し、このセルが角度方向に複数に分割されたエリアを「セクタ」と称して説明したが、1つの基地局がカバーする通信エリアを「セルサイト」と称し、このセルサイトが角度方向に複数に分割されたエリアを「セル」と称する通信システムもある。本発明はこのような通信システムにも適用することができる。
また、上記各実施の形態ではサブキャリア単位でシンボルをマッピングする場合について説明したが、複数のサブキャリアをまとめてサブブロックまたはリソースブロックと称する通信システムにおいても、シンボルマッピングの単位をサブブロック単位またはリソースブロック単位とすることより、本発明を上記同様に実施することができる。
また、上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
本明細書は、2004年12月28日出願の特願2004−381796、2005年6月28日出願の特願2005−188424、および、2005年7月25日出願の特願2005−213930に基づくものである。これらの内容はすべてここに含めておく。
本発明は、移動体通信システムにおいて使用される基地局や移動局等に好適である。
本発明は、無線受信装置、無線送信装置、および、干渉信号除去方法に関する。
近年、無線通信、特に移動体通信では、音声以外に画像やデータなどの様々な情報が伝送の対象になっている。今後は、多様なコンテンツの伝送に対する需要がますます高くなることが予想されるため、高速な伝送に対する必要性がさらに高まるであろうと予想される。しかしながら、移動体通信において高速伝送を行う場合、マルチパスによる遅延波の影響が無視できなくなり、周波数選択性フェージングにより伝送特性が劣化する。
周波数選択性フェージング対策技術の一つとして、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア通信が注目されている。マルチキャリア通信は、周波数選択性フェージングが発生しない程度に伝送速度が抑えられた複数の搬送波(サブキャリア)を用いてデータを伝送することにより、結果的に高速伝送を行う技術である。特に、OFDM方式は、データが配置される複数のサブキャリアが相互に直交しているため、マルチキャリア通信の中でも周波数利用効率が高く、また、比較的簡単なハードウェア構成により実現できることから、とりわけ注目されており、様々な検討が行われている。
一方、移動体通信においては、複数のアンテナによって受信された信号に各々重み係数(ウェイト)を乗算して受信指向性を適応的に制御するアダプティブ・アレイ・アンテナ(以下、AAAと省略する)技術についての検討が行われている。このAAA技術では、MMSE(Minimum Mean Square Error)によりウェイトを適応的に制御することにより受信信号から干渉信号を除去することができる。
そして、OFDM方式とAAA技術とを組み合わせた受信装置において、最適ウェイトの推定を迅速かつ精度良く行うことに関する技術が、例えば特許文献1に記載されている。
特開2003−218759号公報
AAA技術では、その原理上、アンテナ数−1の数だけの干渉信号を除去することができる。換言すれば、干渉信号源の数をNとした場合、特許文献1記載の受信装置はN+1本のアンテナを備える必要がある。さらに、各干渉信号源から送信される信号がマルチパス環境において受信装置に受信される場合、各干渉信号源のマルチパスの数をMとすると、特許文献1記載の受信装置はN×M+1本の多数のアンテナを備える必要がある。
このように、特許文献1記載の受信装置は、干渉信号の除去にあたり多数のアンテナを備える必要があるため、近年ますますの小型化を要求される無線通信移動局装置(以下、移動局と省略する)に特許文献1記載の受信装置を搭載することは実際には難しい。
本発明の目的は、マルチキャリア通信において、効率よく干渉信号を除去することができる無線受信装置、無線送信装置、および、干渉信号除去方法を提供することである。
本発明の無線受信装置は、複数の同一シンボルがマッピングされた複数のサブキャリア
を含むマルチキャリア信号を受信する受信手段と、前記複数の同一シンボルを用いて前記マルチキャリア信号から干渉信号を除去する干渉除去手段と、を具備する構成を採る。
本発明によれば、マルチキャリア通信において、干渉信号の除去を効率的に行うことができる。
まず、本発明の動作原理について説明する。なお、以下の説明では、OFDM方式をマルチキャリア通信方式の一例として説明するが、本発明はOFDM方式に限定されるものではない。
マルチキャリア信号であるOFDMシンボルはシンボルレートが非常に小さいため、マルチパス環境において受信されるOFDMシンボルは、マルチパスの数にかかわらず、複数のパスの信号が1つの合成された信号として受信されるという特性がある。よって、OFDM方式において所望信号および干渉信号のそれぞれがマルチパスを介して移動局に受信される場合、移動局では、図1に示すように、所望信号も干渉信号も、複数のパスの信号が合成された信号として受信される。
よって、OFDMシンボルの各サブキャリア#1〜#4毎では、干渉信号源がN個の場合、マルチパスの数にかかわらず、1つの所望信号とN個の干渉信号とが合成された信号が受信されるとみなすことができる。換言すれば、干渉信号源がN個の場合、マルチパスの数にかかわらず、サブキャリア毎には、1パスのレイリーフェージングの所望信号1つと1パスのレイリーフェージングの干渉信号N個とが存在しているとみなすことができる。この様子を示したのが図2A〜Dである。これらの図に示すように、各サブキャリア#1〜#4では、所望信号に干渉信号が加わったシンボルが受信される。よって、OFDMでは、干渉信号源がN個の場合は、マルチパスの数にかかわらず、各サブキャリアにおいて受信信号からN個の干渉信号を除去すれば所望信号を得ることができる。
このように、OFDM受信信号の特徴として、シングルキャリア伝送では周波数選択性フェージングを受けた信号が受信されるようなマルチパス環境でも、OFDM受信信号は、サブキャリア毎に見ればレイリーフェージングを受けた信号となる、という点が挙げられる。
一方、AAA技術の特徴として、N個の干渉信号を除去するためには、1つの所望信号とN個の干渉信号とが合成された信号を受信するN+1本のアンテナを必要とする、という点が挙げられる。このとき、N+1本のアンテナで受信される信号にはそれぞれ所望信号と干渉信号とが含まれる。そして、MMSE処理により求められるウェイトを各アンテナで受信された信号に乗算し、ウェイト乗算後の信号を合成することにより受信信号からN個の干渉信号を除去して1つの所望信号を得ることができる。
上記OFDM受信信号の特徴とAAA技術の特徴とを鑑みると、図1に示すような各サブキャリア#1〜#4をAAA技術における各アンテナとみなし、OFDMシンボルを構成する各サブキャリア#1〜#4の4つのサブキャリアに同一シンボルを所望信号としてマッピングし、各サブキャリア#1〜#4に対してAAA技術同様のMMSE処理を行えば、OFDM方式の無線通信においてマルチパスが多数存在する場合でも、移動局は、3個の干渉信号源から送信された干渉信号のすべてを除去することができる。また、移動局は、複数のアンテナを備える必要がなく、マルチパスの数にかかわらず1本のアンテナさえ備えれば、3個の干渉信号源から送信された干渉信号のすべてを除去することができる。つまり、OFDM通信においては、N個の干渉信号源から送信される干渉信号を受信信号から除去するには、マルチパスが多数存在する場合でも、移動局のアンテナは1本で足り、また、所望信号として同一シンボルがマッピングされるN+1個のサブキャリアがあれば足りる。
このように、本発明では、同一シンボルがマッピングされる複数のサブキャリアをAAA技術における複数のアンテナとみなし、それら複数の同一シンボルに対して周波数軸上でMMSE処理を行うことにより、OFDMシンボルに含まれる干渉信号を除去する。
より具体的には、以下のように説明することができる。
AAA技術の場合、所望信号:D、干渉信号:U、所望信号のアンテナnにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Dn、干渉信号のアンテナnにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Unとすると、アンテナnにおける受信信号:R
nは、式(1)により表される。
そして、式(2)に従ってMMSE処理により求められるアンテナnにおけるウェイト
:W
nをアンテナnで受信された信号に乗算して合成することにより受信信号:R
nから干渉信号:Uを除去して所望信号:Dを得ることができる。なお、式(2)において、Pは、チャネル推定値:h
Dnおよびチャネル推定値:h
Unから生成されるPベクトルである。
よって、例えば、図3に示すように、干渉信号源が1つで、受信機側が2本のアンテナを備える場合、AAA技術では、各アンテナにおける受信信号は式(3)により与えられる。
一方、本発明において、所望信号:D、干渉信号:U、所望信号のサブキャリアmにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Dm、干渉信号のサブキャリアmにおける伝搬路のチャネル推定値:h
Umとすると、サブキャリアmにおける受信信号:Q
mは、式(4)により表される。
そして、式(5)に従ってMMSE処理により求められるサブキャリアmにおけるウェイト:W
mをサブキャリアmにより受信された信号に乗算して合成することにより受信信号:Q
mから干渉信号:Uを除去して所望信号:Dを得ることができる。なお、式(5)において、Pは、チャネル推定値:h
Dmおよびチャネル推定値:h
Umから生成されるPベクトルである。
よって、例えば、図4に示すように、干渉信号源が1つで、受信機側が1本のアンテナにより2つのサブキャリアからなるOFDMシンボルを受信する場合、各サブキャリアにおける受信信号は式(6)により与えられる。
ここで、式(1)〜(3)と式(4)〜(6)とを比較すると、アンテナ番号nがサブキャリア番号mに変わっているだけで、その他は全く同じ式で表されていることが分かる
。このことは、つまり、OFDMシンボルの複数のサブキャリアをAAA技術における複数のアンテナとみなし、1本のアンテナで受信されたOFDMシンボルの複数のサブキャリアに対してAAA技術と同様のMMSE処理を行うことにより、OFDMシンボルから干渉信号を除去できることを示す。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る無線通信基地局装置(以下、基地局と省略する)100の構成を図5に示す。また、本実施の形態に係る移動局200の構成を図6に示す。
図5に示す基地局100において、符号化部101は、送信データ(ビット列)を符号化して変調部102に出力する。
変調部102は、符号化後のビット列を変調してシンボルを生成し、レピティション部103に出力する。
レピティション部103は、入力された各シンボルを複製(レピティション)して同一のシンボルを複数生成する。例えば、レピティション・ファクター(RF)=4とした場合、レピティション部103では、変調部102から入力される各シンボルにつき、同一シンボルが4個ずつ得られる。なお、ここでは、S1〜S16の16個のシンボルがそれぞれRF=4でレピティションされるものとする。すなわち、レピティション部103では、シンボルS1〜S16が4個ずつ得られる。
S/P部104は、マルチキャリア信号であるOFDMシンボルを構成する複数のサブキャリア#1〜#KのK本分のシンボルがレピティション部103から直列に入力される度に、それらのシンボルを並列に変換してIFFT部105に出力する。
IFFT部105は、S/P部104より入力されるシンボルをIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)してサブキャリア#1〜#Kの各々に所定のマッピングパターン(配置パターン)に従ってマッピング(配置)し、OFDMシンボルを生成する。また、IFFT部105は、フレーム先頭において、パイロットシンボル(PL)をIFFTしてサブキャリア#1〜#Kの各々にマッピングし、OFDMシンボルを生成する。なお、ここでは、1OFDMシンボルがサブキャリア#1〜#8の8個のサブキャリアで構成されるものとする。
このようにして生成されたOFDMシンボルは、GI付加部106でガードインターバルを付加された後、送信RF部107でアンプコンバート等の所定の無線処理が施され、アンテナ108から移動局200へ無線送信される。
ここで、RF=4で、1フレームが9個のOFDMシンボル(パイロットシンボルからなるOFDMシンボルが1個+シンボルS1〜S16からなるOFDMシンボルが8個)で構成される場合、本実施の形態でのマッピングパターンは例えば図7に示すようになる。すなわち、シンボルS1、S3、S5、S7、S9、S11、S13、S15の各々が、RF=4で周波数軸方向にレピティションされてサブキャリア#1〜#4にマッピングされ、また、シンボルS2、S4、S6、S8、S10、S12、S14、S16の各々が、RF=4で周波数軸方向にレピティションされてサブキャリア#5〜#8にマッピングされる。つまり、同一のシンボルが互いに異なる4つのサブキャリアにマッピングされて移動局200へ送信される。
図6に示す移動局200では、基地局100から送信されたOFDMシンボルがアンテナ201を介して受信される。この際、受信されるOFDMシンボルには、基地局100から送信された所望信号の他に干渉信号源から送信された干渉信号が含まれる。この干渉信号は、基地局100から送信されたOFDMシンボルの周波数#1〜#8と同じ周波数を有するOFDMシンボルであり、基地局100以外の他の基地局から送信されたOFDMシンボル、移動局200以外の他の移動局から送信されたOFDMシンボル等である。また、基地局100のアンテナ108が複数のアンテナで構成されるセクタアンテナである場合は、移動局200が位置するセクタ以外のセクタに対するアンテナから送信されたOFDMシンボルも干渉信号となる。
このような所望信号および干渉信号を含むOFDMシンボルは、受信RF部202でダウンコンバート等の所定の無線処理を施された後、GI除去部203でガードインターバルを除去されて、FFT部204に入力される。
FFT部204は、GI除去部203より入力されるOFDMシンボルをFFT(Fast
Fourier Transform:高速フーリエ変換)して、サブキャリア#1〜#8の各々にマッピングされたシンボルを得る。これらのシンボルは、選択部205に入力される。
選択部205は、フレーム先頭のOFDMシンボルの場合は、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたパイロットシンボルをチャネル推定部206に出力する。また、選択部205は、基地局100でのOFDMシンボル生成時のマッピングパターンに従って複数の同一シンボルを選択し、相関値算出部207および乗算器209−1〜209−Nに出力する。具体的には、図7において、t1では、選択部205は、まず、サブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1を選択して出力し、次に、サブキャリア#5〜#8にマッピングされた4個のシンボルS2を選択して出力する。t2〜t8においても同様である。よって、図6においては、N=RF=4となる。また、これら4個のシンボルにはそれぞれ干渉信号が加わっている。つまり、選択部205では、干渉信号が加わっている同一シンボルが順次選択されて出力される。
チャネル推定部206は、入力されたパイロットシンボルを用いてサブキャリア#1〜#8のチャネル推定値を求める。そして、チャネル推定部206は、チャネル推定値よりPベクトルを生成してMMSE処理部208に出力する。例えば、選択部205によりサブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1が選択されるt1では、チャネル推定部206は、サブキャリア#1〜#4のチャネル推定値h
1〜h
4より式(7)に示すPベクトルを生成する。シンボルS2〜S16についても同様である。なお、チャネル推定値は、フレーム先頭のパイロットシンボルに基づいて算出されるため、各サブキャリア毎に1フレームに渡って同じ値が使用される。
相関値算出部207は、同一シンボルのサブキャリア間の相互相関値を求める。例えば、サブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1が入力された場合、相関値算出部207は、サブキャリア#1〜#4の間において、これら4個のシンボルの相
互相関値を求める。そして、相関値算出部207は、相互相関値よりR行列を生成し、そのR行列の逆行列を求めてMMSE処理部208に出力する。例えば、選択部205によりサブキャリア#1〜#4にマッピングされた4個のシンボルS1が選択されるt1では、相関値算出部207は、サブキャリア#1〜#4の間における相互相関値x
11〜x
44より式(8)に示すR行列を生成する。シンボルS2〜S16についても同様である。
MMSE処理部208は、チャネル推定部206から入力されたPベクトル(P)と相関値算出部207から入力されたR行列の逆行列(R
−1)とから、式(9)に示す行列演算によるMMSE処理を行ってウェイトW(W
1〜W
4)を求め、乗算器209−1〜209−Nに出力する。シンボルS2〜S16についても同様である。
なお、このようなウェイト生成方法は、AAA技術においてSMI(Sample Matrix Inverse)法として広く知られている方法である。
乗算器209−1〜209−Nは、選択部205で選択されたシンボルの各々にMMSE処理部208で求められたウェイトを乗算して合成部210に出力する。
合成部210は、ウェイト乗算後の各シンボルを合成して合成信号を生成する。合成部210で合成される各シンボルは複数の異なるサブキャリアにマッピングされていた同一シンボルであるため、このようなサブキャリア間での合成により、各シンボルS1〜S16から干渉信号を除去することができる。本発明ではOFDMシンボルにおける各サブキャリアがAAA技術における各アンテナに相当するため、RF=4の各シンボルS1〜S16では、RF−1個(3個)の干渉信号源からの干渉信号を、マルチパスの数にかかわらず、すべて除去することができる。
なお、相関値算出部207、MMSE処理部208、乗算器209−1〜209−Nおよび合成部210により干渉除去部213が構成される。
こうようにして生成された合成信号は、復調部211で復調された後、復号部212で復号される。これにより受信データが得られる。
このように、本実施の形態によれば、OFDMシンボルの複数のサブキャリアをAAA技術における複数のアンテナとみなし、OFDMシンボルの複数のサブキャリアに対してAAA技術と同様のMMSE処理を行うことにより、マルチパスの数にかかわらず、RF−1個の干渉信号源からの干渉信号をすべて除去することができる。よって、移動局では、干渉信号を除去するために、従来のAAA技術のように多数のアンテナを備える必要がなく、マルチパスの数にかかわらず1本のアンテナさえ備えれば足りるため、干渉信号の
除去にあたり装置が大型化することを避けることができる。また、AAA技術では、干渉信号源の数およびマルチパス数の増加に伴い受信アンテナの数を増加させる必要があるが、本実施の形態によれば、干渉信号源の数が増加する場合でも、マルチパス数の増加にはかかわらず、RFを増加させるだけでよいため、効率よく干渉信号を除去することができる。
また、本実施の形態は、1つの基地局がカバーする通信エリア(セル)が、指向性を持つセクタアンテナにより角度方向に複数のセクタに分割されている移動体通信システムにおいて特に有効である。分割された複数のセクタにそれぞれ送信される信号は1つの基地局の複数のアンテナから送信された信号であるため、移動局が位置する場所によらず、セクタ間干渉はセル間干渉に比べて干渉信号レベルが大きくなる傾向にある。よって、セクタ間干渉に対しては、所望信号レベルを大きくしてもSIR(Signal to Interference Ratio)の改善効果はセル間干渉に比べて小さいので、本実施の形態のようにして干渉信号レベルを抑えることによりSIRの改善効果を大きくすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局300の構成を図8に示す。基地局300は、実施の形態1に係る基地局100(図5)の構成に、さらにインタリーバ301を備える。
ここで、実施の形態1のように各シンボルをレピティションする場合、さらに周波数軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを周波数軸上においてインタリーブすることがある。また、時間軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸上においてインタリーブすることが考えられる。
しかし、実施の形態1に係る移動局200において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとが周波数軸方向で同一であることが必要である。すなわち、実施の形態1に係る移動局200において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、所望信号と干渉信号とが同じパターンで周波数軸上に配置される必要がある。つまり、所望信号の同一シンボルがサブキャリア#1〜#4にマッピングされる場合には、干渉信号も同様に同一シンボルがサブキャリア#1〜#4にマッピングされる必要がある。よって、所望信号源のインタリーバ301と干渉信号源のインタリーバ301は、レピティションされた同一シンボルの周波数軸上でのインタリーブを同じインタリーブパターンにて行う必要がある。
そこで、インタリーバ301は、図7に示す各シンボルを図9に示すようにインタリーブする。そして、このとき、所望信号と干渉信号とで、周波数軸方向のインタリーブパターンを同一にする。これに対し、時間軸上でのインタリーブを行う場合には、インタリーバ301は、シンボル毎のインタリーブを行わず、OFDMシンボル毎(列毎)のインタリーブを行う。このようにすることで、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとを周波数軸方向で同一にすることができるので、受信信号から干渉信号を確実に除去することができる。
ここで、所望信号と干渉信号とで、時間軸方向でのインタリーブのインタリーブパターンを異ならせることは可能である。
例えば、所望信号源のマッピングパターン(図9)に対し、干渉信号源のマッピングパターンを図示すると図10に示すようになる。この図に示すように、所望信号であるシン
ボルS1がサブキャリア#1、#3、#5、#7にマッピングされるときは、干渉信号であるシンボルS7'もサブキャリア#1、#3、#5、#7にマッピングされる。このようにすることで、サブキャリア#1、#3、#5、#7における所望信号と干渉信号との組合せをすべて同じにすることができ、所望信号と干渉信号との間の周波数軸方向でのインタリーブパターンの相違による干渉除去性能の低下を防止することができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態1同様、1つの基地局がカバーする通信エリア(セル)が、指向性を持つセクタアンテナにより角度方向に複数のセクタに分割されている移動体通信システムにおいて特に有効である。1つの基地局が複数のセクタを有する場合は、互いに隣接するセクタに対して同一の基地局から信号が送信されるため、その基地局では、移動局200における所望信号と干渉信号のインタリーブパターンを同一にすることが容易だからである。すなわち、隣接セル間でインタリーブパターンを合わせるためには、異なるセルの基地局間でのシグナリングが必要になるが、隣接セクタ間でインタリーブパターンを合わせるには、同一基地局内での処理で済むからである。
なお、本実施の形態では、上記のように時間軸方向のインタリーブのインタリーブパターンを所望信号と干渉信号とで異ならせることが可能であるため、各移動局に対するシンボルの時間軸方向でのインタリーブ間隔を異ならせることが可能である。例えば、移動速度が速い移動局に対する時間軸上でのインタリーブ間隔を短くしてインタリーブによる遅延を少なくするとともに、移動速度が遅い移動局に対する時間軸上でのインタリーブ間隔を長くして受信特性を向上させることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1に係る移動局200では、RF(レピティション・ファクター)が大きくなるに従いMMSE処理における行列演算の処理量が大きくなる。そこで、本実施の形態では、MMSE処理を分割して行うようにする。
本実施の形態に係る移動局400の構成を図11に示す。なお、図11において、実施の形態1に係る移動局200(図6)と同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。また、図11において、干渉除去部403−1〜403−3の内部構成は、図6における干渉除去部213の内部構成と同一である。
選択部401は、図7において、フレーム先頭のOFDMシンボルの場合は、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたパイロットシンボルをチャネル推定部402に出力する。また、選択部401は、基地局100でのOFDMシンボル生成時のマッピングパターンに従って複数の同一シンボルを選択し、干渉除去部403−1および403−2に出力する。
例えば、図7におけるシンボルS1に着目すると、選択部401は、サブキャリア#1、#3にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−1に出力し、サブキャリア#2、#4にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−2に出力する。
ここで、サブキャリア#1、#3を組合せ、サブキャリア#2、#4を組み合わせたのは、なるべくサブキャリア間の相関が小さいものを組み合わせることで、干渉除去部403−1および403−2においてR行列の逆行列を確実に生成することができるようにするためである。
チャネル推定部402は、サブキャリア#1、#3のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−1に出力し、サブキャリア#2、#4のチャネル推定値より
生成したPベクトルを干渉除去部403−2に出力する。
よって、干渉除去部403−1および403−2ではそれぞれ、2行2列のR行列の逆行列と2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理が行われ、合成信号が干渉除去部403−3に出力される。つまり、まず第1段階のMMSE処理として、干渉除去部403−1および403−2において、RF/2に相当する分のMMSE処理が行われる。
また、干渉除去部403−1は、サブキャリア#1、#3のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW1、W3をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力し、干渉除去部403−2は、サブキャリア#2、#4のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW2、W4をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力する。
そして、第2段階のMMSE処理として、干渉除去部403−3は、残りのRF/2に相当する分のMMSE処理を行う。すなわち、干渉除去部403−3は、2つの合成信号から生成される2行2列のR行列の逆行列と、2つの合成チャネル推定値から生成される2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理を行い、合成信号を復調部211に出力する。干渉除去部403−3から出力される合成信号は、図6の干渉除去部213から出力される合成信号と同様、干渉信号が除去された信号となる。
このように、本実施の形態では、実施の形態1におけるMMSE処理を2段階に分けて行うため、MMSE処理における行列演算の処理量を減少させることができる。特に、本実施の形態では、R行列を2行2列、Pベクトルを2行1列としたため、演算量の削減効果が大きい。
なお、RF(レピティション・ファクター)が大きくなるに従いMMSE処理の分割数を多くすることにより、RFが大きくなった場合でも、本実施の形態と同様にしてMMSE処理の演算量を削減することができる。
(実施の形態4)
上記各実施の形態では、所望信号のレピティション・ファクターと干渉信号のレピティション・ファクターが同じ場合について説明したが、所望信号のレピティション・ファクターと干渉信号のレピティション・ファクターが相違する場合でも、以下のようにして受信信号から干渉信号を除去することができる。
例えば、図7に示すように所望信号のレピティション・ファクターがRF=4であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図12に示すようにRF=2である場合、図11に示す構成を採る移動局400によって、以下のようにして干渉信号を除去することができる。
すなわち、選択部401は、図7において、フレーム先頭のOFDMシンボルの場合は、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたパイロットシンボルをチャネル推定部402に出力する。また、選択部401は、所望信号のレピティション・ファクター(RF=4)が干渉信号のレピティション・ファクター(RF=2)以上であるので、干渉信号のレピティション・ファクター(RF=2)に応じて複数の同一シンボルを選択し、干渉除去部403−1および403−2に出力する。
例えば、図7におけるシンボルS1に着目すると、選択部401は、図12のシンボルS1'が干渉信号として存在するサブキャリア、すなわち、サブキャリア#1,#2にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−1に出力し、図12のシンボル
S2'が干渉信号として存在するサブキャリア、すなわち、サブキャリア#3,#4にマッピングされた2つのシンボルS1を干渉除去部403−2に出力する。
チャネル推定部402は、サブキャリア#1、#2のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−1に出力し、サブキャリア#3、#4のチャネル推定値より生成したPベクトルを干渉除去部403−2に出力する。
よって、干渉除去部403−1および403−2ではそれぞれ、2行2列のR行列の逆行列と2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理が行われ、合成信号が干渉除去部403−3に出力される。
また、干渉除去部403−1は、サブキャリア#1、#2のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW1、W2をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力し、干渉除去部403−2は、サブキャリア#3、#4のチャネル推定値に、MMSE処理で求めたウェイトW3、W4をそれぞれ乗算した後、加算したもの(合成チャネル推定値)を干渉除去部403−3に出力する。
そして、干渉除去部403−3は、2つの合成信号から生成される2行2列のR行列の逆行列と、2つの合成チャネル推定値から生成される2行1列のPベクトルと用いてMMSE処理を行い、合成信号を復調部211に出力する。
所望信号のレピティション・ファクターが干渉信号のレピティション・ファクター以上である場合は、このようにして受信信号から干渉信号を除去することができる。
さらに、干渉信号のレピティション・ファクター(RF)が複数ある場合、例えば、図13に示すように、サブキャリア#1〜#4ではRF=2、サブキャリア#5〜#8ではRF=4である場合でも、上記同様にして受信信号から干渉信号を除去することができる。この場合、干渉信号源の基地局では、複数の移動局毎にレピティション・ファクターを異ならせ、RF=2の移動局とRF=4の移動局とをサブキャリア#1〜#8に周波数多重することができる。なお、図12に示すマッピングパターンを用いる場合でも、干渉信号源の基地局では、RF=2の複数の移動局を最大4つまでサブキャリア#1〜#8に周波数多重することができる。
一方、所望信号のレピティション・ファクターが干渉信号のレピティション・ファクター以下である場合、例えば、所望信号のレピティション・ファクターが図14に示すようにRF=2であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図15に示すようにRF=4である場合は、図6に示す構成を採る移動局200によって、以下のようにして干渉信号を除去することができる。
すなわち、図6に示す構成を採る移動局200において、所望信号のレピティション・ファクター(RF=2)に応じてN=RF=2として、選択部205が、サブキャリア#1〜#8にマッピングされたシンボルを2個ずつ順次選択して出力することにより、実施の形態1と同様にして受信信号から干渉信号を除去することができる。
また、上記のようにして移動局において干渉信号を除去できるようにするため、所望信号源の基地局および干渉信号源の基地局のレピティション・ファクターおよびマッピングパターンを決定する。
例えば、図7に示すように所望信号のレピティション・ファクターがRF=4であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図12に示すようにRF=2である場
合は、干渉信号のレピティション・ファクター(RF=2)に基づき、少なくとも2つのシンボルにおいて、所望信号のマッピングパターンと干渉信号のマッピングパターンとを同一にする。また、図16および図17に示すように、図7および図13のマッピングパターンをそれぞれ周波数軸上においてインタリーブした場合でも、少なくとも2つのシンボルにおいて、所望信号のマッピングパターンと干渉信号のマッピングパターンとを同一にする。
一方、図14に示すように所望信号のレピティション・ファクターがRF=2であるのに対し、干渉信号のレピティション・ファクターが図15に示すようにRF=4である場合は、所望信号のレピティション・ファクター(RF=2)に基づき、上記同様に、少なくとも2つのシンボルにおいて、所望信号のマッピングパターンと干渉信号のマッピングパターンとを同一にする。
これらの例では、干渉信号源が1つである場合を示しているため、少なくとも2つの同一シンボルがあれば足りるが、干渉信号源がM個である場合は、少なくともM+1個の同一シンボルが必要になる。つまり、すべての干渉信号源からの干渉信号を受信信号から除去するためには、干渉信号源の数をMとした場合、少なくともM+1個のサブキャリアにおいて複数の同一シンボルの周波数軸上でのマッピングパターンを、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで同一にするようにする。
このようして、本実施の形態では、所望信号のレピティション・ファクターと干渉信号のレピティション・ファクターが相違する場合でも、受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。
(実施の形態5)
図18に、本実施の形態に係る移動体通信システムの構成を示す。図18に示すように、本実施の形態では、移動局MSAが、基地局BSAと通信中であり、セルAのセル境界付近に位置する場合について説明する。また、セルAに隣接するセルがセルBである場合について説明する。よって、図18では、移動局MSAにとって、基地局BSAが所望信号源となり、基地局BSBが干渉信号源となる。すなわち、基地局BSAからセルAに位置する移動局MSAへ送信される信号が移動局MSAに対する所望信号となり、基地局BSBからセルBに位置する移動局MSBへ送信される信号が、移動局MSBに対する所望信号および移動局MSAに対する干渉信号となる。また、本実施の形態では、基地局BSB(干渉信号源)および移動局MSBは複数のアンテナ(図18では2本)を備え、MIMO(Multi Input Multi Output)通信を行っている。このような移動体通信システムにおいても、移動局MSAでは上記同様にして干渉信号を除去することができる。
例えば、所望信号源の基地局BSAでのマッピングパターンを図7とした場合、干渉信号源の基地局BSBでは、一方のアンテナにおけるマッピングパターンを図15に示すようにし、他方のアンテナにおけるマッピングパターンを図19に示すようにする。このように所望信号のマッピングパターンと、2本のアンテナから送信される干渉信号のマッピングパターンとを周波数軸方向で同一にすることにより、干渉信号源の基地局BSBがMIMO通信を行っている場合でも、移動局MSAでは、上記同様にして受信信号から干渉信号を除去することができる。レピティション・ファクターがLの場合は、L−1個の干渉信号を除去することができるため、移動局MSAでは、基地局BSBが最大L−1本のアンテナを用いてMIMO通信を行っている場合にすべての干渉信号を除去することができる。
なお、本実施の形態においては、所望信号がMIMO送信されず、干渉信号がMIMO送信される場合を一例として示したが、所望信号がMIMO送信され、干渉信号がMIM
O送信されない場合や、所望信号および干渉信号の双方がMIMO送信される場合も、上記同様にして干渉信号を除去することができる。
このように、本実施の形態によれば、基地局が複数のアンテナを備えMIMO送信する場合でも、移動局において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態に係る基地局500の構成を図20に示す。基地局500は、実施の形態2に係る基地局300(図8)の構成に、さらにスクランブリング部501を備える。
スクランブリング部501は、インタリーブ後のシンボルに対して、OVSF(Orthogonal Variable Spreading Factor)符号、GOLD符号、PN符号、または、回転符号のいずれかを複素乗算して、各シンボルに対してスクランブリング処理を施す。例えば、スクランブリング処理に用いるこれらの符号を、チャネル毎、移動局毎等に異ならせて用いてもよい。
このようなスクランブリング処理を施すことにより、基地局500からの送信信号を干渉信号と受信する移動局に対して与える干渉の影響を少なくすることができる。よって、基地局500からの送信信号を干渉信号として受信する移動局が上記のような干渉除去機能を有していない場合でも、スクランブリング処理により、その移動局では基地局500からの干渉信号が白色化されるため、干渉の影響を低減することができる。
このように、本実施の形態によれば、スクランブリング処理により干渉の影響を低減することができる。
(実施の形態7)
図21に、本実施の形態に係る移動体通信システムの構成を示す。図21に示すように、本実施の形態では、移動局MSAが、基地局BSAと通信中であり、セルAのセル境界付近に位置する場合について説明する。また、セルAに隣接するセルが、セルBおよびセルCである場合について説明する。よって、図21では、移動局MSAにとって、基地局BSAが所望信号源となり、基地局BSBおよび基地局BSCが干渉信号源となる。すなわち、基地局BSAからセルAに位置する移動局MSAへ送信される信号が移動局MSAに対する所望信号となり、基地局BSBからセルBに位置する移動局へ送信される信号が移動局MSAに対する干渉信号Bとなり、基地局BSCからセルCに位置する移動局へ送信される信号が移動局MSAに対する干渉信号Cとなる。また、本実施の形態では、移動局MSAは複数のアンテナ(図21では2本)を備えている。このような移動体通信システムにおいても、移動局MSAは複数の干渉信号(干渉信号Bおよび干渉信号C)を除去することができる。
例えば、所望信号源の基地局BSAでのマッピングパターンを図7とした場合、干渉信号源の基地局BSBではマッピングパターンを図15に示すようにして、基地局BSBでのマッピングパターンを基地局BSAでのマッピングパターンに合わせる。ここで、本実施の形態では、もう一つの干渉信号源である基地局BSCでのマッピングパターンを、基地局BSAでのマッピングパターンに合わせる必要はない。
このように、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号(干渉信号B)とマッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号(干渉信号C)とが混在する場合でも、移動局BSAが複数のアンテナを備えることにより、移動局BSAでは、以下のようにして、受信信号から干渉信号Bおよび干渉信号Cの双方を除去することができる。
本実施の形態に係る移動局600の構成を図22に示す。なお、図22において、実施の形態1に係る移動局200(図6)と同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。また、図11におけるアンテナ201−1、201−2、受信RF部202−1、202−2、GI除去部203−1、203−2、FFT部204−1、204−2はそれぞれ、図6におけるアンテナ201、受信RF部202、GI除去部203、FFT部204と同一のものである。
移動局600は、干渉除去処理を二段階に分けて実施する。すなわち、第一段階として、干渉除去部601−1〜601−Kが、マッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号(干渉信号C)を空間軸上で分離し、第二段階として、干渉除去部213が、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号(干渉信号B)を周波数軸上で分離する。
干渉除去部601−1〜601−Kは、OFDMシンボルを構成する複数のサブキャリア#1〜#Kにそれぞれ対応して備えられ、サブキャリア毎にアンテナ201−1で受信された信号およびアンテナ201−2で受信された信号の双方が入力される。そして、干渉除去部601−1〜601−Kは、それらの信号を用いて空間軸上でMMSE処理を行うことにより、受信信号から干渉信号Cを除去する。干渉除去部601−1〜601−Kでは、受信信号から干渉信号Cを除去するにあたり、所望信号と干渉信号Bとを合わせた信号(以下「疑似所望信号」という)をMMSE処理における所望信号とみなして、MMSE処理を行う。このMMSE処理により、受信信号からまず干渉信号Cのみが分離される。
図23に、干渉除去部601−1〜601−Kの構成を示す。
FFT部204−1、204−2からの信号は、サブキャリア#1〜#K毎に干渉除去部601−1〜601−Kに入力される。
干渉除去部601−1〜601−Kでは、チャネル推定部6011が、アンテナ毎に所望信号のチャネル推定値を算出して、合成部6013に出力する。
また、チャネル推定部6012が、アンテナ毎に干渉信号Bのチャネル推定値を算出して、合成部6013に出力する。
合成部6013は、アンテナ毎に所望信号のチャネル推定値と干渉信号Bのチャネル推定値とを合成して、MMSE処理部6014に出力する。
この合成処理により、MMSE処理部6014は、疑似所望信号をMMSEにおける所望信号とみなして空間軸上でのMMSE処理を行うことができる。そして、このMMSE処理により、受信信号(所望信号、干渉信号Bおよび干渉信号Cが混在した信号)から疑似所望信号を取り出すことができる。すなわち、受信信号から干渉信号Cを除去することができる。干渉除去部601−1〜601−Kの各々のMMSE処理部6014にて得られた疑似所望信号は、選択部205に出力される。
その後、干渉除去部213では、実施の形態1と同様にして、疑似所望信号から干渉信号Bを除去して、所望信号のみを取り出す。レピティション・ファクター(RF)がLの場合はL−1個の干渉信号を除去することができるため、移動局MSAでは、RF=4の各シンボルS1〜S16において、RF−1個(3個)の干渉信号源からの干渉信号をすべて除去することができる。
なお、本実施の形態においては、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号源の数をM1、マッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号源の数をM2、移動局の受信アンテナの数をN、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号のレピティション・ファクターをLとすれば、M1<NおよびM2<Lの関係が成り立つ場合にすべての干渉信号を確実に除去することができる。
また、空間軸と周波数軸とで二段階に分けて実施した干渉除去処理をひとつにまとめて実施することも可能であるが、本実施の形態のように、マッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号(干渉信号C)の除去を、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号(干渉信号B)の除去に先立って行うことにより、干渉除去に必要なアンテナ数および演算量を削減することができる。これは、以下の理由による。
すなわち、上記のように、所望信号と干渉信号Bとの間でマッピングパターンを合わせておけば、受信信号から干渉信号Cを空間軸上で除去する際に、干渉信号Bは、干渉信号としてではなく、疑似所望信号として取り出される。このように、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号Bを疑似所望信号として取り出すことにより、空間軸上において除去すべき干渉信号の数を減らすことができるため、干渉除去に必要なアンテナ数を削減することができるとともに、干渉除去に必要な逆行列演算量を削減することができる。
例えば、上記においてM1=3、M2=1、N=2、L=4とした場合、空間軸上での干渉除去を周波数軸上での干渉除去に先立って行うことにより、マッピングパターンを所望信号源に合わせていない1つの干渉信号源からの干渉信号を2本のアンテナを用いて確実に除去した後に、マッピングパターンを所望信号源に合わせた3つの干渉信号源からの干渉信号を4つの同一シンボルを用いて除去することができる。
つまり、干渉除去処理を一度にまとめて実施する場合には8×8の逆行列演算が必要なのに対して、本実施の形態のように干渉除去処理を二段階に分けて行えば、空間軸上での2×2の逆行列演算、および、周波数軸上での4×4の逆行列演算で済む。逆行列演算は、そのサイズに応じて演算量が指数関数的に増大するので、本実施の形態のように二段階に分けて干渉除去処理を行うことで演算量を大きく削減することができる。
このように、本実施の形態によれば、マッピングパターンを所望信号に合わせた干渉信号とマッピングパターンを所望信号に合わせていない干渉信号とが混在する場合でも、移動局において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。
(実施の形態8)
実施の形態1では、周波数軸上でのマッピングパターンを、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで同一にする場合について説明したが、本実施の形態では、時間軸上でのマッピングパターンを、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで同一にする場合について説明する。
実施の形態1では、一般的に時間軸方向のチャネル変動が周波数軸方向のチャネル変動に比べて小さいことを勘案し、レピティションされた複数の同一シンボルを周波数軸方向にマッピングした(図7)。
しかしながら、移動局が非常に高速で移動し、かつ、マルチパスがほとんど存在しない環境においては、時間軸方向のチャネル変動が周波数軸方向のチャネル変動に比べて大きくなる場合もあり得る。このような場合には、レピティションされた複数の同一シンボル
を時間軸方向にマッピングすることが有効である。
そこで、本実施の形態では、所望信号源の基地局は、図24に示すマッピングパターンを採る。また、干渉信号源の基地局は、実施の形態1同様、図24のマッピングパターンに合わせたマッピングパターンを用いる。
このようなマッピングパターンを採る基地局から送信された信号を受信する移動局は、図25に示す構成を採る。すなわち、本実施の形態に係る移動局800は、実施の形態1に係る移動局200(図6)に、さらに転置部801を備えて構成される。なお、図25において、図6と同一の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
転置部801は、FFT部204から入力される信号の周波数軸と時間軸とを転置する。具体的には、図24に示すマッピングパターンにおいて、転置部801は、データ部分に対して、周波数(サブキャリア)#1〜#8と時間t1〜t8とを転置する。その結果、マッピングパターンが変換されて図7と同一になる。このようにしてマッピングパターンを変換されたデータが選択部205に出力される。
ここで、さらに時間軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸上においてインタリーブすることがある。また、周波数軸方向のダイバーシチ効果を高めるために、レピティションされた複数の同一シンボルを周波数軸上においてインタリーブすることが考えられる。
しかし、移動局800において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとが時間軸方向で同一であることが必要である。すなわち、移動局800において受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得るには、所望信号と干渉信号とが同じパターンで時間軸上に配置される必要がある。よって、所望信号源のインタリーバと干渉信号源のインタリーバは、レピティションされた同一シンボルの時間軸上でのインタリーブを同じインタリーブパターンにて行う必要がある。
そこで、各インタリーバは、図24に示す各シンボルを図26に示すようにインタリーブする。そして、このとき、所望信号と干渉信号とで、時間軸方向のインタリーブパターンを同一にする。これに対し、周波数軸上でのインタリーブを行う場合には、各インタリーバは、シンボル毎のインタリーブを行わず、サブキャリア毎(行毎)のインタリーブを行う。このようにすることで、レピティションされた所望信号のサブキャリアへのマッピングパターンと、レピティションされた干渉信号のサブキャリアへのマッピングパターンとを時間軸方向で同一にすることができるので、受信信号から干渉信号を確実に除去することができる。
ここで、所望信号と干渉信号とで、周波数軸方向でのインタリーブのインタリーブパターンを異ならせることは可能である。
また、所望信号と干渉信号とで、周波数軸方向および時間軸方向の双方でインタリーブパターンを同じにすることも可能である。この場合、所望信号源の基地局と干渉信号源の基地局とで、インタリーブ後のマッピングパターンが同一となる。
このように、本実施の形態によれば、レピティションされた複数の同一シンボルを時間軸方向にマッピングする場合でも、受信信号から干渉信号を除去することができる。
なお、上記各実施の形態では、干渉除去アルゴリズムとしてMMSEを用いたが、干渉除去アルゴリズムはMMSEに限定されず、AAA技術に使用される干渉除去アルゴリズムであればいかなるアルゴリズムでも使用可能である。例えば、ヌルステアリング、ビームフォーミング、LMS、RLS、CMA等を使用可能である。
さらに、MIMO通信で使用されるストリーム分離アルゴリズムを使用することも可能である。MIMO通信で使用されるストリーム分離アルゴリズムを使用すると、さらに以下の効果を得ることができる。
すなわち、移動体通信システムではデータレートの高速化に対応するためにMIMO受信を行うことが必須となりつつあるため、干渉除去アルゴリズムとしてストリーム分離アルゴリズムを使用すれば、そのストリーム分離アルゴリズムをMIMO受信処理だけでなく干渉除去処理にも使用することができるため、受信機の回路構成を簡単にすることができる。また、干渉除去アルゴリズムとしてストリーム分離アルゴリズムを使用することで、MMSEを用いる際に必要であった相互相関行列の演算が不要となるため、受信信号のシンボル数が少ない場合でも干渉信号を確実に除去することができる。さらに、基地局−移動局間の伝搬環境や、基地局−移動局間の距離に応じて、MIMO受信処理と干渉除去処理とを適応的に切り替えることができる。例えば、移動局が基地局の比較的近くに位置し低速で移動しているときは、ストリーム分離アルゴリズムを用いてMIMO受信処理を行って伝送レートを向上させ、移動局がセルエッジやセクタエッジに位置するときは、ストリーム分離アルゴリズムを用いて本発明の干渉除去処理を行ってSINRを向上させることができる。
なお、MIMO受信処理ではストリーム毎およびアンテナ毎のチャネル推定値を用いてストリーム分離ウェイトを算出するが、ストリーム分離アルゴリズムを用いて干渉除去処理を行う場合は、送信局毎およびサブキャリア毎のチャネル推定値を用いてストリーム分離ウェイトを算出すればよい。
また、上記各実施の形態では、受信局である移動局が1本または2本のアンテナを備える場合について説明したが、本発明は3本以上のアンテナを備える無線受信装置と組み合わせて使用することも可能である。例えば、無線受信装置のアンテナ数をNとし、レピティション・ファクターをLとすれば、本発明を適用することにより、N×L−1の干渉信号を除去することができる。換言すれば、本発明にて、所望信号源の数と干渉信号源の数の和が最大N×Lの無線通信システムに対応することができる。
また、上記各実施の形態では、基地局を送信局(無線送信装置)、移動局を受信局(無線受信装置)として説明したが、本発明は、移動局が送信局(無線送信装置)で、基地局が受信局(無線受信装置)である場合も、上記同様にして実施することができる。例えば、基地局が、所望信号源の移動局から所望信号を受信すると同時に、干渉信号源の移動局から干渉信号を受信する場合に、上記同様にして、受信信号から干渉信号を除去して所望信号を得ることができる。つまり、本発明は、上り回線に対しても、下り回線同様に適用することができる。
また、基地局はNode B、移動局はUE、サブキャリアはトーンと称されることがある。
また、上記各実施の形態では1つの基地局がカバーする通信エリアを「セル」と称し、このセルが角度方向に複数に分割されたエリアを「セクタ」と称して説明したが、1つの基地局がカバーする通信エリアを「セルサイト」と称し、このセルサイトが角度方向に複数に分割されたエリアを「セル」と称する通信システムもある。本発明はこのような通信システムにも適用することができる。
また、上記各実施の形態ではサブキャリア単位でシンボルをマッピングする場合について説明したが、複数のサブキャリアをまとめてサブブロックまたはリソースブロックと称する通信システムにおいても、シンボルマッピングの単位をサブブロック単位またはリソースブロック単位とすることより、本発明を上記同様に実施することができる。
また、上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
本明細書は、2004年12月28日出願の特願2004−381796、2005年6月28日出願の特願2005−188424、および、2005年7月25日出願の特願2005−213930に基づくものである。これらの内容はすべてここに含めておく。
本発明は、移動体通信システムにおいて使用される基地局や移動局等に好適である。
OFDMシンボルの概念図
サブキャリア#1のシンボルの概念図
サブキャリア#2のシンボルの概念図
サブキャリア#3のシンボルの概念図
サブキャリア#4のシンボルの概念図
AAA技術の動作原理を示す図
本発明の動作原理を示す図
本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態2に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態2に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態3に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態4に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態5に係る移動体通信システムの構成図
本発明の実施の形態5に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態6に係る基地局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態7に係る移動体通信システムの構成図
本発明の実施の形態7に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態7に係る干渉除去部の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態8に係るマッピングパターンを示す図
本発明の実施の形態8に係る移動局の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態8に係るマッピングパターンを示す図