JPWO2006062028A1 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
傾斜磁場コイルの振動による騒音を低減させることが可能な磁気共鳴イメージング装置を実現する。静磁場発生手段1の撮像空間側には、被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル2を設置するための傾斜磁場取付け手段6と、磁場調整手段7とが設置されている。傾斜磁場コイル取付け手段6は、静磁場発生手段1上の磁場調整手段7に固定されており、防振支持機構を有している。ポールピース内部は真空密閉カバー8によって気密性が保たれる。真空密閉カバー8は複数のスタッド9によって静磁場派生発生手段1に支持され、スタッド9は静磁場発生手段1に剛固定されている。スタッド9の真空密閉カバー8と接する箇所には防振支持機構10が備えられている。真空密閉カバー8の坊振支持機構10と接触する面側は樹脂系材料の制振材11が張り合わされている。
Description
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に係わり、特に傾斜磁場コイルの駆動により発生する騒音の低減技術に関する。
磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)は、原子核の核磁気共鳴現象を利用して、撮像空間内に置かれた被検体内部の撮像断面画像を得る装置である。
MRI装置は、撮像空間に静磁場を発生させる超伝導コイル等の静磁場発生手段と、静磁場に重畳させて線形な傾斜磁場を与える傾斜磁場コイルと、被検体を構成する原子核に核磁気共鳴を発生させる高周波電磁波を発生させるRFコイルと、上記核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出する受信コイルとを備える。そして、上記エコー信号を用いて、被検体の例えば2次元断層像が再構成される。
このような磁気共鳴イメージングにおいて、近年、イメージングに要する時間の短縮化のニーズが高くなっている。これに応えるべく、高速EPI(Echo Planar Imaging)法など、傾斜磁場パルスの高速反転を伴うパルスシーケンスが開発され、実用化にも成功している。
MRI装置は、画像撮影の際に傾斜磁場コイルにパルス電流を流すが、同時にローレンツ力が作用し、傾斜磁場コイルに機械的歪みを生じさせる。この作用により傾斜磁場コイルが振動し、騒音を発生させる。
さらに、傾斜磁場コイルに供給する傾斜磁場パルスを高速反転すると、前述の振動は増大することから、撮影が高速化されるに従って騒音も増大していく。
この騒音は、撮像空間に位置している被検体(患者)に、不快感と不安感とを与える可能性がある。
このため、上記騒音を低減すべく、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1に記載の技術は、傾斜磁場コイルを設置するポールピース内部の気密性を維持する真空空間を設ける事により、傾斜磁場コイルが発生させる騒音の空気伝播を遮断するというものである。
例えば、特許文献1に記載の技術は、傾斜磁場コイルを設置するポールピース内部の気密性を維持する真空空間を設ける事により、傾斜磁場コイルが発生させる騒音の空気伝播を遮断するというものである。
また、特許文献2に記載された技術は、特許文献1の技術に加え、傾斜磁場コイルを防振材によって支持する事により、騒音の真空遮断だけではなく傾斜磁場コイルから静磁場発生手段への振動の固体伝播も抑制させるというものである。
しかし、特許文献1記載の技術では、騒音の空気伝播を抑制することはできるが、傾斜磁場コイルの振動の固体伝播は残ってしまう。このため、静磁場発生手段、さらには装置全体へと振動が伝播する振動により、騒音が残ってしまう。
また、これを解決する手段として、特許文献2に記載された技術では、傾斜磁場コイルと、静磁場発生手段との間に防振支持機構を設けることを提案しているが、完全に振動の固体伝播を遮断できるものではない。
結局は、静磁場発生手段や真空密閉カバーに振動が伝播され、騒音が生じる事となる。
本発明の目的は、傾斜磁場コイルの振動による騒音を低減させることが可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することである。
本発明の磁気共鳴イメージング装置は、静磁場領域を生成するための静磁場発生手段と、傾斜磁場コイルを有する傾斜磁場発生手段と、被検体に高周波信号を照射する高周波送信手段と、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された核磁気共鳴信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理手段と、上記静磁場発生手段と共に、上記傾斜磁場コイルを収容する密閉空間を形成する密閉カバーと、上記静磁場発生手段に固定され、上記密閉カバーと接触する防振部材を有し、この防振部材を介して、上記密閉カバーを上記静磁場発生手段により支持する支柱手段とを備える。
さらに、上記密閉カバーの表か裏、或いは上記傾斜磁場コイルの表か裏の少なくとも1箇所以上に制振材を備える。
この構造によって真空密閉カバーは真空圧力による荷重を支持しながら、振動減衰効果も向上される事になる。
したがって、防振支持機構によって遮断し切れなかった振動や、ボルト等の設置機構から固体伝播された振動を吸収する事ができる。これにより、撮像空間内における騒音を低減する事を特徴としている。
好ましくは、上記高周波送信手段と、上記密閉カバーとが一体となっている。
好ましくは、上記密閉空間内を真空にする手段が備えられ、上記密閉空間内が真空にされる。
また、好ましくは、上記支柱手段の防振部材は制振材に接触して真空密閉カバーを支持する。
また、本発明の磁気共鳴イメージング装置は、静磁場発生手段と共に、傾斜磁場コイルを収容する密閉空間を形成し、密閉空間側の面に配置される制振材を有する真空密閉カバーを備える。
また、好ましくは、真空密閉カバーは、上記制振材を介して、上記静磁場発生手段に支持される。
真空密閉カバーそのものにも振動減衰効果を持たせ、傾斜磁場コイルの振動による騒音を低減させることが可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することができる。
これによって、撮像空間に位置する被検体に与える騒音を低減させる事ができる。
1 静磁場発生手段、2 傾斜磁場コイル、3 照射コイル、4 受信コイル、5 中央処理装置、6 傾斜磁場コイル取り付け手段、7 磁場調整手段、8 真空密閉カバー、9 スタッド、10 防振支持機構、11 制振材、12、13 ボルト、 102 傾斜磁場発生手段、103 送信系、104 受信系、105 信号処理系、106 制御部、108 操作部
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるMRI装置の全体概略構成図である。
図1は、本発明が適用されるMRI装置の全体概略構成図である。
図1において、MRI装置は、磁気共鳴現象を利用して被検体の断層像を得るためのものであり、静磁場発生手段1と、傾斜磁場発生手段102と、送信系103と、受信系104と、信号処理系105と、静磁場発生手段1等の動作を制御する制御部106と、中央処理装置5と、操作部108とを備える。
静磁場発生手段1は、被検体108の周りの、ある広がりを持った空間に配置された磁石から、被検体108の周囲にその体軸と直交あるいは平行な方向に均一な静磁場を発生させる。
また、傾斜磁場発生手段102は、傾斜磁場電源110と、傾斜磁場コイル2とを備え、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の傾斜磁場を被検体108が配置される撮像空間に発生する。この傾斜磁場の加え方により、被検体108の撮像断面が設定される。
送信系103は、高周波発振器111、変調器112、高周波増幅器113及び高周波照射コイル3を備える。この送信系103は、傾斜磁場発生手段102で設定された被検体108の撮像断面の生体組織を構成する原子の原子核を励起して核磁気共鳴を起こさせるために、高周波発振器111から出力された高周波パルスを、変調器112を介して、高周波増幅器113に供給する。
そして、高周波増幅器113で増幅した後に、被検体108に近接して設置された高周波照射コイル3に供給して被検体108に高周波パルスを照射する。
また、受信系104は、高周波受信コイル4、受信回路116及びアナログ/ディジタル(以下「A/D」という)変換器117を備える。そして、送信系103の高周波照射コイル3から照射された電磁波による被検体108の生体組織の原子核の磁気共鳴によるエコー信号であるNMR信号を、被検体108に近接して配置された高周波受信コイル4で検出する。
高周波受信コイル4により検出されたNMR信号は、受信回路116を介してA/D変換器117に入力し、ディジタル信号に変換される。
A/D変換器117においては、制御部106からの命令によるタイミングでサンプリングされた収集データとして、その信号を信号処理系105に送る。
制御部106は、CPU5の制御により動作し、スライスエンコード、位相エンコード、周波数エンコードの各傾斜磁場および高周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し発生するためのものである。
そして、制御部106は、被検体108の断層像のデータ取得に必要な種々の命令を傾斜磁場発生手段102、送信系103および受信系104に送る。
また、信号処理系105は、CPU5と、信号処理装置118と、メモリ119と、磁気ディスク120と、光ディスク121と、ディスプレイ(表示手段)122とを備える。
CPU5は、収集データに対してフーリエ変換およびシーケンサ106の制を行う。また、信号処理装置118は、補正計算や収集データを断層像に再構成するために必要な処理を行う。
メモリ119は、経時的な画像解析処理および指定された計測のシーケンスのブログラムやその実行の際に用いられるパラメータ等を記憶し、被検体に対して行った事前の計測で得た計測パラメータや受信系104で検出したNMR信号からの収集データおよび関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共にその関心領域を設定するためのパラメータ等を記億する。
また、磁気ディスク120及び光ディスク121は、再構成された画像データを記憶するデータ格納部である。ディスプレイ122は、受信系104で検出したNMR信号を用いて画像再構成演算を行うとともに、その画像表示を行う。
操作部108は、トラックボールまたはマウス、キーボード等からなり信号処理系105で行う処理の制御情報を入力するためのものである。
ディスプレイ122に受信系104で検出したNMR信号を画像再構成した画像を順次表示する。その連続表示されている画像上で次の撮像の位置、角度を操作部108により設定する。設定した情報は、ディスプレイ122に表示する。
なお、磁界発生装置は垂直型でも水平型でもよい。また、静磁場発生磁石としては、永久磁石方式又は常電導方式或いは超電導方式の磁界発生手段を用いることができる。
図2は、本発明の一実施形態を超伝導磁石方式のオープン型磁気共鳴イメージング装置に適用した場合の要部概略断面図である。
図2において、傾斜磁場コイル2を内部に配置したボールピースが適用されるMRI装置は、撮像空間を挟んで互いに対向する一対の静磁場発生手段1を有し、被検体の生体組織を構成する原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波信号を照射する照射コイル3と、計測対象から発せられる各々の信号に位置情報を与えるための傾斜磁場コイル2で構成される磁界発生装置が必要である。
また、被検体から発せられる信号を受信するための受信コイル4と、上記受信信号を用いて検査対象の物理的性質を表す画像を得る画像再構成演算手段5とを備えている。
上記静磁場発生手段1として被検体が挿入される撮像空間の周りに永久磁石方式又は常電動磁石方式あるいは超伝導磁石方式の磁場発生手段が設置されており、被検体の周りにその体軸方向又は体軸と直行する方向に均一な静磁場を発生させる。
ここで、カバー8は、照射コイル3を実装しており、静磁場発生手段1にボルト13を介して取り付けられている。
図3は、傾斜磁場コイル2と、カバー8(照射コイル3)とが配置された部位の断面拡大図(ポールピース部の断面図)である。
図3において、静磁場発生手段1の撮像空間側(図3の上方側)には、被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル2を設置するための傾斜磁場取付け手段6と、磁場調整手段7とが設置されている。
傾斜磁場コイル取付け手段6は、静磁場発生手段1上の磁場調整手段7に固定されており、防振支持機構を有している。
磁場調整手段7は磁性体群で構成されており、この磁性体群の取付け量や配置を変えることにより、被検体が挿入される空間部の磁場均一度を調整している。調整量は諸条件により異なるため機体ごとに適宜選択する。
傾斜磁場コイル2は傾斜磁場コイル取付け手段6によってポールピース内部に取付けられており、傾斜磁場取付け手段6には防振ダンパが設置されている。これは、傾斜磁場コイル2が発生する振動が静磁場発生手段1に固体伝播する事を抑制するためである。
また、ポールピース内部は真空密閉カバー8によって気密性が保たれており、真空ポンプによって内部の空気が引き出される。そして、ポールピース内部の真空度が、大気圧の1/100程度である約1000[Pa]まで減圧されることにより、傾斜磁場コイル2が発生する騒音のカバー8等への空気伝播が遮断される。
なお、撮像空間に配置される被検体の不安感を軽減するために、MRI装置では撮像空間を広く確保することが重要な事項の一つとなっている。撮像空間を広げるために、磁場強度を大きくしてポールピース間隔を広げる手法も考えられるが、装置全体の大きさが大きくなる上にコストアップにつながり、望ましいものではない。
そのため、本発明の実施形態においては、撮像空間を広く確保するために、上述したように、真空密閉カバー8には照射コイル3が実装されている。
ここで、本発明の特徴である真空密閉カバー8の制振構造について説明する。
ボールピース内部の真空空間を確保する真空密閉カバー8は、外周部分をボルト等によって、静磁場発生手段1に剛固定されている。このため、外気圧と真空圧との圧力差が生じる荷重によって真空密閉カバー8が撓む、若しくはポールピース内部に脱落する可能性があるが、これを防止するため、真空密閉カバー8は、複数のスタッド(支柱部材)9によって、静磁場派生発生手段1に支持されている。
ボールピース内部の真空空間を確保する真空密閉カバー8は、外周部分をボルト等によって、静磁場発生手段1に剛固定されている。このため、外気圧と真空圧との圧力差が生じる荷重によって真空密閉カバー8が撓む、若しくはポールピース内部に脱落する可能性があるが、これを防止するため、真空密閉カバー8は、複数のスタッド(支柱部材)9によって、静磁場派生発生手段1に支持されている。
これらスタッド9は、静磁場発生手段1に剛固定されており、傾斜磁場コイル2を回避しながら又は傾斜磁場コイル中部を非接触に貫通して、傾斜磁場コイル2の上方部に達している。そして、スタッド9の真空密閉カバー8と接する箇所には防振支持機構10が備えられている。
また、真空密閉カバー8とこれに接する防振支持機構10とは、互いにボルト等によって固定接続される構造とはなっていない。つまり、真空密閉カバー8は、防振支持機構10に対して大気圧と真空圧との間に生じる真空圧力によって押し付けられる構造になっている。
さらに、真空密閉カバー8の防振支持機構10と接触する面側は、プラスチックやゴムなどの樹脂系の材料から成る制振材11が張り合わされており、これと一体化している。
なお、真空密閉カバー8と制振材11とはボルト締結や接着剤などを用いて、振動により互いに分離しない構造とする。
また、防振支持機構10は、スタッド9の先端部に接着剤により取り付けられてもよい。また、防振支持機構10を円筒形状とし、スタッド9の先端部には、円筒形状の防振支持機構10の中空部に挿入可能な円柱部を形成し、この円柱部により防振支持機構10をスタッド9に取り付ける構成とすることも可能である。
ここで、傾斜磁場コイル2の線形性を確保するため、真空密閉カバー8に使われる材料は非磁性かつ非導電性である必要がある。
また、真空圧力による荷重を支えるだけの剛性も備えていなければならない。こうした制約がある事から、真空密閉カバー8は、ガラス繊維樹脂のような強化プラスチック製の材質により形成されることが望ましい。
したがって、真空密閉カバー8に取り付ける制振材11も非磁性・非導電性の材料である必要があり、その上で真空密閉カバー8の振動を吸収するような材料が求められる。
一般に、制振材に使われている材料は金属系やプラスチック・ゴムなどの高分子材料が用いられている。
しかし、制振材11も非磁性・非導電性の材料である必要がある事から、プラスチック・ゴムなどの高分子材料が良く、特に真空密閉カバー8にプラスチックが用いられている事を考えると、それよりも減衰効果の大きいゴム系の材料を制振材11として真空密閉カバー8に貼り合わせるのが望ましい。
また、面積が大きくなるほど振動減衰効果も大きくなる事を考えると、制振材11の形状は真空密閉カバー8の貼り付け面と同じ面積の方が望ましい。
また、制振材11の厚さは厚ければ厚いほど制振効果が期待できるが、図示した一実施形態の構造の場合、制振材11の厚さを厚くすると、開口面の撮像空間を真空密閉カバー8の一部が占めることとなり、その分、撮像空間が狭くなってしまう。これでは、患者に与える不安感、不快感の低減上、好ましくは無い。
したがって、制振材11の厚さは制振効果と開口面の撮像空間の確保との両方の観点から、最も効果的な厚さを決定する必要がある。
つまり、傾斜磁場コイル2を設置するポールピース部分を真空密閉構造にする事より空気伝播が遮断される。
また、傾斜磁場取付け手段6による防振支持機構によって傾斜磁場コイル2から静磁場発生手段1に固体伝播される振動が減衰され、静磁場発生手段1から真空密閉カバー8に固体伝播される振動は防振支持機構10によって減衰される。
それでも真空密閉カバー8は、スタッド9を介して静磁場発生手段1から固体伝播された振動により騒音を発生させるが、制振材11と張り合わされ、一体化している事から、真空密閉カバー8の振動エネルギーは熱エネルギーに変換され、真空密閉カバー8の振動は抑制される。
ここで、防振ダンパとしての傾斜磁場取付け手段6及び防振支持機構10の騒音低減機能について、図4を参照して説明する。
図4の縦軸は、傾斜磁場コイル2から静磁場発生手段1および真空密閉カバー8への振動伝達率を示し、横軸は振動周波数を示す。そして、図4の破線14は、防振ダンパが無い場合の周波数特性を示し、実線15は、防振ダンパを備える場合の周波数特性を示す。
図4に示すように、特性15の共振周波数は、特性14の共振周波数より低い周波数fにシフトされている。これによって、高い周波数において、傾斜磁場コイル2から静磁場発生手段1および真空密閉カバー8への振動伝達率を小さくすることができる。
傾斜磁場取付け手段6及び防振支持機構10は、図4に示したような特性となるような、弾性率、寸法を有するゴム等の弾性体により構成される。
次に、制振材11の騒音低減機能について、図5を参照して説明する。
図5の縦軸は、傾斜磁場コイル2から真空密閉カバー8への振動伝達率を示し、横軸は振動周波数を示す。そして、図5の破線16は、制振材11が無い場合の周波数特性を示し、実線17は、制振材11を備える場合の周波数特性を示す。
図5に示すように、特性17の共振周波数における振動伝達率は、特性16の共振周波数より小さい値となっている。これによって、傾斜磁場コイル2から真空密閉カバー8への振動伝達率を小さくすることができる。
この作用により、傾斜磁場コイル2が発生する騒音が低減され、撮像空間に位置する被検体に与える騒音を低減させる事ができる。
図6は、本発明の他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図3に示した例では、カバー8はボルト13により静磁場発生手段1に取り付けられている。これに対して、図6に示す例では、カバー8は、ボルトにより静磁場発生手段1に取り付けられているのではなく、制振材11を介して接着剤により静磁場発生手段1に取り付けられている。
また、制振材11と防振支持機構10とは接着剤により接着されている。
この図6に示した例によれば、傾斜磁場コイル8から静磁場発生手段1及びボルト13を介してカバー8に伝達される振動を制振材11により減衰することができ、より騒音を低減することが可能である。
図7は、本発明のさらに他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図3に示した例では、制振材11は、カバー8の防振支持機構10と接触する一方面に取り付けられている。
これに対して、図7に示した例では、制振材11は、防振支持機構10と接触しない他方面に取り付けられている。
この図7に示した例においても、カバー8に伝達される振動を、カバー8に取り付けられた制振材11により、に減衰することができる。
図8は、本発明のさらに他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図3に示した例では、制振材11は、カバー8の防振支持機構10と接触する面のみに取り付けられている。
これに対して、図8に示した例では、制振材11は、カバー8の両面に取り付けられている。
また、制振材11と防振支持機構10とは接着剤により接着されている。
この図8に示した例によれば、傾斜磁場コイル8から静磁場発生手段1及びボルト13を介してカバー8に伝達される振動を制振材11により減衰することができ、より騒音を低減することが可能である。
図9は、本発明のさらに他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図9に示した例では、制振材11は、カバー8ではなく、傾斜磁場コイル2のカバー8側の面(一方面)に取り付けられている。
図10は、本発明のさらに他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図10に示した例では、制振材11は、カバー8ではなく、傾斜磁場コイル2の静磁場発生手段1側の面(他方面)に取り付けられている。
図11は、本発明のさらに他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図11に示した例では、制振材11は、カバー8ではなく、傾斜磁場コイル2の両面に取り付けられている。
図12は、本発明のさらに他の実施形態における傾斜磁場コイルとカバーとが配置された部位の断面拡大図である。
図12に示した例では、制振材11は、カバー8の両面に取り付けられるとともにく、傾斜磁場コイル2の両面に取り付けられている。
これら図9〜図12に示した例によっても、カバー8に伝達される振動を制振材11により減衰することができ、騒音を低減することが可能である。
なお、上述した例においては、真空密閉カバー8をスタッド9により支持する構成としたが、真空密閉カバー8は、スタッド9ではなく、他の部材により支持するように構成することも可能である。
例えば、スタッド9は設けずに、傾斜磁場コイル2の真空密閉カバー8側の面に制振材11を拡張した形状の防振部材を部分的に配置し(制振上、有効と考えられる位置に配置)、その防振部材により真空密閉カバー8を支持することもできる。
また、図3、図6〜図12に示した部分は、撮像空間を形成する下方部の断面形状であるが、上方部も同様な断面形状となっている。
なお、上述した例においては、真空密閉カバー8に制振材11を設けたが、この制振材11を省略しても、真空密閉カバー8の振動を抑制することが可能である。
また、図3、図6〜図12に示した例において、スタッド9や防振支持機構10を設けずに、真空密閉カバー8、傾斜磁場コイル2に制振材11を設けることのみによっても、真空密閉カバー8の振動を抑制することができる。
また、上述した例は、傾斜磁場コイルを収容する密閉空間は、真空密閉カバー8によって真空とされているが、本発明は、上記密閉空間が真空ではない場合についても、適用可能である。
Claims (6)
- 静磁場領域を生成するための静磁場発生手段と、傾斜磁場コイルを有する傾斜磁場発生手段と、被検体に高周波信号を照射する高周波送信手段と、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された核磁気共鳴信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理手段と、上記静磁場発生手段と共に、上記傾斜磁場コイルを収容する密閉空間を形成する密閉カバーと、上記静磁場発生手段に固定され、上記密閉カバーと接触する防振部材を有し、この防振部材を介して、上記密閉カバーを上記静磁場発生手段により支持する支柱手段とを備えた磁気共鳴イメージング装置において、
上記密閉カバーの表か裏、或いは上記傾斜磁場コイルの表か裏の少なくとも1箇所以上に制振材をを備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記高周波送信手段と、上記密閉カバーとが一体となっていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記密閉空間内を真空にする手段が備えられ、上記密閉空間内が真空にされることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記支柱手段の防振部材は制振材に接触して密閉カバーを支持することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 静磁場領域を生成するための静磁場発生手段と、傾斜磁場コイルを有する傾斜磁場発生手段と、被検体に高周波信号を照射する高周波送信手段と、被検体からの核磁気共鳴信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された核磁気共鳴信号を用いて画像再構成演算を行う信号処理手段とを備える磁気共鳴イメージング装置において、
上記静磁場発生手段と共に、上記傾斜磁場コイルを収容する密閉空間を形成し、上記密閉空間側の面に配置される制振材を有する真空密閉カバーを備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項5記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記真空密閉カバーは、上記制振材を介して、上記静磁場発生手段に支持されていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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