JPWO2006057082A1 - 固体核磁気共鳴装置マジック角高速回転法用試料管、及び、それを用いた核磁気共鳴吸収スペクトルの測定方法 - Google Patents

固体核磁気共鳴装置マジック角高速回転法用試料管、及び、それを用いた核磁気共鳴吸収スペクトルの測定方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ラジオ波の照射・検出用コイルを試料に近接して配することができ、微量試料の固体核磁気共鳴法(固体NMR)の測定に適した、固体核磁気共鳴装置のプローブに用いるマジック角高速回転法用の試料管及びそれを用いた高分解の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定する方法である。前記試料管の構成は、試料を充填する細管部及びその両端に位置する非細管部、並びに該非細管部の外側両端部の少なくとも一方の端部に取りはずし可能に挿入固定されたスピナーからなる。前記細管部及び非細管部はセラミック及び/又は高分子材料からなる。

Description

本発明は固体核磁気共鳴(固体NMR)装置におけるマジック角高速回転法に使用する試料管及びそれを用いた測定方法に関し、特に、安定性に優れ、微量物質の高分解能固体NMRに有効な試料管、及びそれを用いた固体核磁気共鳴吸収スペクトルの高分解能測定方法に関する。
NMR装置の測定部の磁場の中心には、一般にプローブと呼ばれる取り外し可能な検出装置が設けられている。プローブは、試料の原子核の磁気モーメントを測定する検出装置であり、プローブに試料を入れた試料管を装着し、強力な磁場中でラジオ波(RF)を発生させ、試料によるラジオ波エネルギーの放出または吸収を検出器で測定する。プローブの構成はNMR装置の種類によって異なるが、通常、測定用試料管を挿入するためのスペース、プローブを一対の磁石の磁場内に固定するための固定用部品、RF発信および受信用コイル、並びに、対応するRF回路への導線、シムコイル、およびRFプリアンプから構成される。なお、シムコイルはプローブと離して磁場に装備され、RFプリアンプは磁場から離されて設置する場合もある。
NMRは溶液システム、固体システム、イメージングシステム(MRI)と大別されている。これらの原理は同じであるが、測定試料の違いから試料設置方法、測定方法および装置(分光器出力、感知システムおよび検出器(プローブ)等)に違いがある。MRIと他のシステムは、その知名度と使用者層の違いから別の装置と認識できるが、溶液システムと固体システムは、共に研究者レベルで用いられるために、特にシステムに詳しい者でなければこれらを同一のシステムとして捉えてしまう危惧があるものの、例えば、そのシステム間で試料管を流用することはできない等の大きな違いがある。
固体核磁気共鳴法(固体NMR)の測定を行う際には、従来、試料からより多くの情報を得るために高分解能化技術が用いられている。この技術は、溶液のNMRで通常用いられている、静磁場に対して平行方向に試料管を配置するものとは異なり、静磁場に対してマジック角と呼ばれる54.7度に傾けた試料管をコイル中で高速回転させ、試料に対して前記コイルから発信されるラジオ波をあてる方法である。該ラジオ波の試料による吸収やそれに基づく試料からの放射を測定することによって、物質の性質を調べることができる。この方法はマジック角回転法と言われ、固体の高分解能測定において、一般的に用いられる方法として確立されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
ロウエ、Phys.Rev.Lett. 2,285,(1959) アンドリュ、Nature、183, 1802(1959)
上記のマジック角回転法を用いる場合、1秒間あたり1,000回転以上の高速で試料を安定に回転させる必要がある。この場合、太さ数ミリから1センチ程度で長さ5ミリから5センチ程度の、通常、セラミックまたは高分子材料で出来た試料管に試料を充填し、これをハウジング内に配されたコイル内に挿入し、試料管ハウジングから高圧の空気または窒素等の気体を少なくとも試料管の上部および下部に吹き付けて試料管を宙に浮かせると共に、試料管の末端又は中央に設けられた、スピナーと呼ばれるタービン状の羽(例えば特許文献1及び2参照)に高圧の空気を送り込むことによって、試料管を前記コイル内で高速回転させる。
特開昭55−163447号公報 特開昭58−154645号公報
高速で安定した回転を実現するために、送り込む空気は、浮上用ベアリング空気については2系統以上(試料管上部と下部)用意され、回転用ドライビング空気については前記浮上用とは別の系統が用意される。また、安定的に回転させるためにハウジングが存在する。ラジオ波の照射及び検出は、筒状の試料管の周りに配されたソレノイド型のコイルによってなされ、このソレノイドはハウジングに固定され、プローブを磁場中に配置したときに、静磁場に対して54.7度をなすように取り付けられている。上記ハウジング部分は、少なくとも浮上用空気口、回転用空気口、およびラジオ波の照射・検出端子があり、プローブ本体を経由して外部と接続できるようにされている。
従来、微量の試料についてマジック角回転法を行う場合には、(1)試料管の直径を細くして全体の大きさを小さくする方法、又は、(2)試料管内における試料の長さを短くする方法がとられている。しかしながら(1)の場合には、試料のハウジング自体の機構をその試料管用に再設計する必要がある上、使用に際しては観測プローブ内に配されている試料ハウジングと入れ替えなければならず煩雑であった。更に、安定な測定を行うためには試料の高速回転を安定に行う必要があるが、試料管の直径が細くなると浮上用気体が当たる試料管全体が小さくなるために、回転が安定しないという欠点があった。また(2)の場合には、試料にあてるラジオ波の照射の効率が低くなり、更に信号検出の感度が低くなるという重大な欠点があった。そこで、微量の試料を安定に回転させると共に、効率よくラジオ波の照射及び検出を行うことのできる試料管の開発が望まれるに至った。
一方、溶液の場合には、ガラス製の試験管(長さ約15cm程度)などに試料を導入してホルダーに装着した後、溶液試料用プローブに導入する。次いで、磁場に対してXY方向の試料の不均一性を相殺するために、必要に応じて試料を回転させる。この目的のための回転は、通常、毎秒20回転程度で十分である。一般的には、回転用のドライビング空気は、浮上用ベアリング空気と同一系統のものが用いられる。このように、液体NMRの場合には、固体NMRで行うマジック角高速回転法は用いられず、ハウジングも存在しない。固体マジック角高速回転法を行う際には必須である、サンプル上部および下部に空気があたることも要求されない。従って、溶液システムでは、標準試料管の先端を細くし、微量試料を濃縮して(特許文献3参照)測定することが行われる。しかしながら、固体NMRで行うマジック角高速回転法においては、このように単に先端を細管状とした試料管では、高速で安定した回転をさせることはできない。
実開昭55−101342号明細書
本発明者等は、マジック角高速回転法を用いて微量の試料を測定するときに、高速で安定に回転させることができると共に、効率良くラジオ波の照射・検出を行うことのできる試料管及びそのためのシステムについて鋭意検討した結果、試料充填部を細管とすると共にその両端に非細管部を形成させた試料管を用い、前記細管部に近接して照射・検出用コイルを配することによって良好な結果が得られることを見いだし、本発明に到達した。
従って本発明の第1の目的は、ラジオ波の照射・検出用コイルを試料に近接して配することができ、微量試料の固体核磁気共鳴法(固体NMR)の測定に適した試料管を提供することにある。
本発明の第2の目的は、マジック角回転法を用い、微量の固体試料について高分解能の核磁気共鳴吸収スペクトルを測定する方法を提供することにある。
本発明の上記の諸目的は、固体核磁気共鳴装置のプローブに用いるマジック角高速回転法用の試料管において、該試料管が試料を充填する細管部及びその両端に位置する非細管部、並びに該非細管部の外側両端部の少なくとも一方の端部に取りはずし可能に挿入固定されたスピナーからなると共に、前記細管部及び非細管部がセラミック及び/又は高分子材料からなることを特徴とする、固体核磁気共鳴装置用試料管、及びそれを用いた固体核磁気共鳴スペクトルの測定方法によって達成された。本発明においては、前記細管部が均一な太さの細管であることが好ましい。また、前記細管部と非細管部を、少なくとも2つの部分に分割可能に形成させることが、細管部をコイル内に配置しやすいので好ましい。この場合、前記細管部が、ゴム弾性を有する部材を介して非細管部に挿入されるようにすることが好ましい。前記細管部の外径は、非細管部の外径の1/3以下であることが好ましい。
本発明の試料管を使用すれば、マジック角高速回転法で必須とされる、1秒間あたり1,000回転以上の高速回転を安定に行わせることができると共に、効率良くラジオ波の照射・検出を行うことが出来るので、試料が微量であっても、高分解能固体NMRスペクトルが高感度で得られるようになる。また、細管部の両端に形成される浮上用空気の当たる非細管部と、これに挿入されるスピナー部分の構成は従来の試料管と基本的に同じであって良いので、従来のプローブをそのまま使用することもできるので便利である。
本発明の試料管の一例を表す断面図である。 2つの部分に分割可能に形成された、本発明の試料管の一例を表す図である。 本発明の試料管を3つの部品で構成する場合の一例を表す図である。
符号の説明
1 細管部
2 非細管部
3 スピナー
4 ソレノイドコイル
10 試料管
本発明の試料管は、試料を充填する細管部とその両端に非細管部とを有する。非細管部の構成は従来の試料管と基本的に同じであって良い。即ち、その材質は、マジック角回転法における毎秒1,000回転以上の回転下で使用できるセラミック又は高分子材料である。上記、試料管に使用するセラミックは公知のセラミックスの中から適宜選択することが出来るが、特にジルコニア及び窒化ケイ素が好ましい。また、試料管に使用する高分子材料は、使用に耐えうる限り特に限定されるものではないが、特にポリイミド及びフッ素化ポリエチレン系高分子が好ましい。このような高分子の具体例としては、デュポン社製のベスペル(Vespel)や宇部興産株式会社製のユピモール、3M社製のケルF(kel−f:ポリクロロトリフルオロエチレン)、等を挙げることができる。
本発明においては、2つの非細管部の少なくとも一方の外側端部に、スピナーが取り外し可能に固定される。試料を充填する細管部の直径は、非細管部の管径の1/3以下であることが好ましく、特に1mm以下であることが好ましい。その下限は特に限定されるものではないが、試料の充填、細管部の加工精度などから50μm以上であることが好ましく、好適な範囲は100〜1,000μmである。また、細管部は均一な太さの管であることが好ましい。また、回転速度が極めて速い場合の安定性向上の観点からは、細管部両側の非細管部の各外端部にスピナーを設けることが好ましい。
試料にラジオ波を照射すると共に試料からの信号を得るための、ラジオ波の照射・検出用コイルは通常ソレノイドコイルであり、これは、前記細管部の周りに近接させて配することが好ましい。一般的には固体NMRでは、効率よく信号を検出するために、溶液試料のNMRで一般的に見られるような、コイルと試料管の間にガラス管などを配することはしない。
本発明においては、前記コイルの内径を試料管の非細管部の外径以下とすることが高感度とする上から好ましい。従って、試料管の細管部を前記コイル内に簡易に挿入できるよう、細管部と非細管部との間で、分割可能に試料管を形成することが好ましい。また、浮上用空気が当たる二つの非細管部は、従来の試料管と同様に1ミリから1センチ程度で、均一な太さの管であることが好ましい。
試料管の長さは特に限定されることはないが、従来の試料管と基本的に同じであって良い。即ち、通常、固体NMRに使用される5mm〜5cmのものが好適に使用される。また、細管部と非細管部の長さの割合も特に限定されることはないが、通常、試料を充填する非細管部の長さは100μm〜1cmである。非細管部の長さは細管部の長さの1/50〜1/3であるが、各々を細管部の長さの1/3程度とし、試料管が上下・左右それぞれ対称となるようにすることが好ましい。スピナーのタービン部分は、安定に回転させるために非細管部の外径より大きなものを用いる。スピナーの材質としてはプラスチックを使用することが普通である。
以下、本発明の試料管を実施例に基づいて説明する。図1は、本発明の試料管の代表的な例である。図中の符号10は試料管、1は中央部の細管部、2は通常の太さを有する非細管部、3は羽を有するスピナー、4はラジオ波の照射・検出用コイルの代表例であるソレノイドコイルを表す。本実施例では細管部1と非細管部2の間がテーパー状になっているが、テーパー状でなくても良く、例えば鉛直面であっても良い。
細管部1と非細管部2は、図1のように一体に成形されていても良いが、非細管部2の少なくとも一方を、細管部1と分割可能に形成することが好ましい。このようにした場合には、非細管部2より内径の小さなソレノイドコイル4に、細管部を容易に挿入することが出来るという利点を生じる。この場合、ソレノイドコイルに細管部を挿入した後に、非細管部を細管部に結合させて試料管を形成させる。細管部と非細管部を一体成型した場合には、細管部分に近接するように予めソレノイドコイルを配してから、その全体をプローブ内に設置し、ソレノイドコイルの端子を、プローブ内の端子と結合させる。
非細管部2と細管部1を分割可能に構成する場合における、非細管部と細管部を結合させる方法は任意であり、例えば、両者にねじを切って螺合させる、または、非細管部2の中心に、例えば細管部1を挿入できるような穴を設け、その内部に、例えばOリングのようなゴム状弾性部材を配した結合手段を設ける等の方法を採ることができる。更に、両端の非細管部2と細管部1を別々に製造し、例えば、それぞれを前記結合部材を少なくとも2個用いて一体化することもできる。
両端の非細管部2と細管部1を別々にする場合には、細管部として、例えば試料を充填したキャピラリを用いれば使い捨てとすることもできるので、安価であるだけでなく使用勝手も良い。細管部は両端を閉じた密閉管とすることも可能であるので、酸素を嫌うような試料の測定には特に好適である。本発明においては、この場合でも、キャピラリ部分だけでなく、これと一体化させるための結合部材、非細管部及びスピナーが一体化して、実際に測定可能な試料管となった全体を、本発明の試料管の定義に含める。
スピナーは、非細管部2の少なくとも一方の端部に、従来の方法と同様に、例えばプラスチック製のものを挿入して配する。2つの非細管部それぞれにスピナーを配しても良いことは当然である。試料管の固体NMR装置の取り付けは、従来の試料管と基本的に同じであって良い。即ち、通常、マジック角に配しているハウジング部にはソレノイドコイルの一端となっている開口部があり、そこに直接試料管を挿入するか、導入ガイドを用いてハウジング内のソレノイドコイル部分に試料管を設置する。
試料管の回転は、例えば、浮上用とは別系統の回転用ドライビング空気や窒素ガス等を、公知の方法によって、スピナーを回転させるように流し込むことによってなされる。また、試料管の非細管部とハウジングとの間に浮上用のガスを流がすことによって、試料管を中に浮かすと共に、1秒間あたり1,000回転以上、測定対象と手法により回転速度の上限下限が出る場合があるが、通常は可能な限り高速で回転させる。
つまり、試料管の上部および下部の非細管部位に対して浮上用空気があたり、ハウジング内で浮くことになる。更に、端についているタービン部分に回転用空気があたり回転が実現する。この空気圧力を、システムに予め設けられた圧力調整器具によって制御することにより、安定した高速回転が実現する。
微量試料でNMR信号を効率よく得るためには、できるだけ均一にラジオ波を試料に照射し、試料からの信号を得る必要がある。そこで、ラジオ波を照射・検出するコイルと試料を非常に接近した状態に配置する必要がある(非特許文献3参照)ので、本発明の試料管を使用する場合には、試料を充填した細管に近接してソレノイドコイルの様なコイルを配置するのである。従って本発明においては、ソレノイドコイルと試料管が、通常5mm以下の極近接した位置に配置されることとなる。しかしながらマジック角回転法においては、接触するとこれが摩擦となり回転に支障が出るので、両者を50μm以上離すことが通常である。
山内ら、J.Magn.Reson、167、87(2004)
効率よくラジオ波を照射しNMR信号を得る仕組みは、NMRのホウルトとリチャードにより考察されており、理論的に得られる信号強度およびノイズ強度を求める方法が以下のように示されている(非特許文献4参照)。
式1
ここで、B/iは単位電流あたりに発生する磁場、Vは試料量、Nは単位試料量あたりのスピン数、γは核磁気回転比、Iはスピン数、ωはラーモア周波数、Tは温度、hとkはそれぞれプランク定数とボルツマン定数である。
J. Magn. Reson. 24 71(1976)
ノイズ成分は分光器のノイズファクター(F)、コイルの抵抗値(Rnoise)、観測幅(Δf)で表される。このうちB/iは、Biot−Savartの法則により、ソレノイド型コイルの場合には下記のように表される。
式2
ここでxはコイル中心からの距離、μは真空中の磁気透過率、nはコイルの巻き数、rとlはそれぞれコイルの径とその長さになっている。つまり試料量が制限された場合には、コイルを小さくし、さらにソレノイドコイルの場合には巻き数を多くすることによって感度は上昇する。
本発明においてソレノイドコイルを用いることは、固体NMRではよく用いられるように、上記の方法を用い、発生させる磁場Bの均一度を高めるために有効である。例えば、本実施例のプローブにおいては、単一核あたりの信号強度が現状のものにくらべて増大し、効率の良いものとなる。このように、コイルを小さくして試料を非常に近くに配置する(図1のソレノイドコイル4参照)ことは、高分解能の核磁気共鳴吸収スペクトルを得る上で極めて有効である。回転を行わせるタービン部分(非細管部分の外側端部)を数ミリ程度にすれば、試料自体の回転誤差を数ヘルツとすることが可能である。
固体NMR装置において本発明の試料管を使用すれば、マジック角高速回転法を用いて測定するときの試料が微量であっても、試料を高速で安定に回転させると共に、効率良くラジオ波の照射・検出を行うことのできるので、高分解能固体NMRスペクトルが高感度で得られるようになる。また、測定する試料は固体に限られず、例えば、ゲル、液晶、溶液などの微量試料において、ラジオ波照射と回転を必要とするような系で安定したマジック角高速回転法が必要となるものにも、適用することが可能である。

Claims (7)

  1. 固体核磁気共鳴装置のプローブに用いるマジック角高速回転法用の試料管において、該試料管が試料を充填する細管部及びその両端に位置する非細管部、並びに該非細管部の外側両端部の少なくとも一方の端部に取りはずし可能に挿入固定されたスピナーからなると共に、前記細管部及び非細管部がセラミック及び/又は高分子材料からなることを特徴とする、固体核磁気共鳴装置マジック角高速回転法用試料管。
  2. 前記細管部が均一な太さの細管である、請求項1に記載された試料管。
  3. 前記細管部と非細管部との間の少なくとも一方の間が分割可能に形成されてなる、請求項1又は2に記載された試料管。
  4. 前記分割可能に形成された細管部が、ゴム弾性を有する部材を介して非細管部に挿入されてなる、請求項3に記載された試料管。
  5. 前記非細管部の外側端部の両方に取り外し可能なスピナーを有する、請求項1〜4の何れかに記載された試料管。
  6. 前記細管部の外径が、非細管部の外径の1/3以下である、請求項1〜5の何れかに記載された試料管。
  7. 静磁場に対して54.7度に傾けた試料をコイル中で高速回転させ、試料に対して前記コイルから発信されるラジオ波をあて、該ラジオ波の試料による吸収及び/又はそれに基づく試料からの放射を測定する核磁気共鳴吸収スペクトルの測定方法であって、前記試料の試料管として、試料を充填する細管部及びその両端に位置する非細管部、並びに該非細管部の外側両端部の少なくとも一方の端部に取りはずし可能に挿入固定されたスピナーからなると共に、前記細管部及び非細管部がセラミック及び/又は高分子材料からなる高速回転法用試料管を用いることを特徴とする、核磁気共鳴吸収スペクトルの測定方法。
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