JPS5810134Y2 - 電子スピン共鳴装置に用いられる偏平試料管の角度合わせ用治具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電子スピン共鳴装置に使用される偏平試料管の
角度合わせ用治具に関する。

第１図は電子スピン共鳴装置の一例を示すブロック図で
、ｌａ、ｌｂは永久磁石で、該磁石の磁極片２ ａ 、
２ ｂ間には、高周波発振器３から高周波信号が供給さ
れている変調コイル４及びディジタルコンピュータ５か
らディジタル掃引信号がＤ−Ａ変換器６を介して供給さ
れている一対の掃引コイル７ａ、７ｂか゛配置されてい
る。

該掃引コイルの間には被検試料９が挿入された空洞共振
器１０が配置されており、該共振器には導波管１１及び
マジックＴ１２を介してマイクロ波発振器１３から一定
周波数のマイクロ波が供給されている。

１４は前記共振器１０から前記マジックＴ１２を介して
反射されてくるマイクロ波を検出するマイクロ波検波器
で、該検波器の出力信号は、増幅器１５を介して、前記
高周波発振器３から高周波信号が供給されている同期検
波回路１６に供給される。

該検波回路の出力はＡ−Ｄ変換器１７を介して前記コン
ピュータ５へ供給される。

而して該コンピュータから掃引コイル７ａ、７ｂへ掃引
電流を供給して磁場を掃引することにより、同期検波回
路１６から被検試料９に固有なピークを有する共鳴信号
を得て、該コンピュータにおいて該ピークに基づいて被
検試料９の濃度を求めている。

さて、斯くの如き電子スピン共鳴装置を用いて、誘電率
の高い試料、例えば水等の濃度測定を行なう場合、空洞
共振器のＱ値の低下を防ぐ為、該試料を少なくとも空洞
共振器の空洞部に位置する部分が第３図２７Ｃに示す様
な偏平型に形成された被検試料管に入れ、該試料管の偏
平部を高周波磁界の最も強い所、すなわち、マイクロ波
電界の最も弱い所である前記変調コイル４の軸に対し９
０°をなす方向に偏平部の平面が向くように配置しなけ
ればならない。

（以後この位置を最適位置と称す）。ところが、従来の
斯種空洞共振器１０は第２図に示す如き構造になってい
るので、前述の如き被検試料管の配置操作に諸々の問題
を残している。

すなわち、上蓋１９、下蓋２０及び側壁２１によって空
洞２２を形成した空洞共振器１０の上蓋１９の上端内部
に押え片２３、該押え片の内部にオーリング２４を介し
て被検試料管固定具２５を設け、更に前記上蓋１９の上
端外周にネジを切り雌ネジ２６を該ネジに螺合させて前
記上蓋１９を介して前記押え片２３を締め付は可能に構
成している。

而して被検試料管２７の管部に樹脂からなるホルダー２
８を取り付け、該ホルダーを前記被検試料管固定具２５
の内部に押し込む。

この時、前記配置操作を行なうには、空洞共振器１０の
Ｑ値を検出しつ・前記被検試料管固定具２５を回転させ
ており、最もＱ値の高い位置で該固定具の移動を止めて
いた。

従って、該操作に多大な時間と労力を費すことは避けら
れず、又、被検試料交換時、前記最適位置の再現性にも
全く乏しい限りであった。

本考案はこの様な欠点を解決する為になされたもので、
空洞共振器の上蓋とホルダーが嵌合するよう一方に凸部
他方に凹部を設け、該ホルダーに設けられた凸部または
凹部に嵌合し得る凹部又は凸部と、被検試料管の偏平部
が嵌合する長溝とを備えた治具を提供することにより、
調整操作を必要とせず即座に試料管を最適位置へ配置さ
せることが可能となる。

第４図は本考案を説明するための空洞共振器の縦断面図
で、図中第２図にて使用された番号と同じ番号の付され
たものは同一構成要素を示す。

図中２９は空洞共振器の上蓋で、第５図に示す様に上端
面に一対の凸部３０ ａ 、３０ ｂを有し、上端面か
ら一定の深さｄｌまでの内面は円錐台形に形成されてお
り、該深さ以下の内面は円柱形に形成されている。

３２は樹脂等で作られた被検試料ホルダーで、前記上蓋
２９の内面に形成された円錐台形とほは゛同大の円錐台
形に形成されており、第６図に示す様に一対の凹部３３
ａ、３３ｂ、すり割３４及び被検試料管２７の管部２７
ａよりやや小さ目の径の孔３７を有する。

第７図における３５は本考案にかかる偏平試料管角度合
わせ用治具の一例を示し、該治具は上端面に一対の凸部
３６ ａ 、３６ ｂを有し、上端面から一定の深さｄ
ｌまでの内面は前記ホルダー３２とほは゛同大の円錐台
状に形成されており、該深さから更に一定の深さｄ２の
部分３１の内面の形が被検試料管２７の管形部２７ ａ
と偏平部２７ Ｃの境界部２７ ｂと相似した形に形成
されている。

又、該治具の前記部分３１から下端面までの孔３８は被
検試料管２７の偏平部２７ Ｃがちょうど嵌る様な形状
に形成されており、又、該孔の横断面は長方形状に形成
されており、更にその横断面の長手方向は前記凸部３６
ａ、３６ｂを結んだ直線と平行に形成されている。

尚、治具の上端面から前記被検試料管２７の管形部２７
ａと偏平部２７ Ｃの境界部２７ ｂに相似した形の
部分までの距離（ａ、＋ｄｚ）は被検試料管２７を空洞
部２２へ挿入した時、該試料管の偏平部２７ Ｃのほぼ
中心部が空洞部２２のほぼ中心部に位置する程度の距離
である。

先ず、第５図に示す様に、空洞共振器の上蓋２９を側壁
２１に取り付ける時、変調コイル４に対し上蓋２９の上
端面に設けられた一対の凸部３０ ａ 、３０ｂを結ぶ
直線が直角をなす様に取り付ける。

而して、被検試料管２７をホルダー３２の孔３７へ挿入
し、該ホルダーを治具３５へ挿入する。

この時、該ホルダーの凹部３３ ａと３３ ｂが治具の
凸部３６ａ、３６ｂに嵌合するように挿入し、且つ被検
試料管２７の偏平部２７ Ｃの平面部が治具３５の長溝
３８の平面部に一致するように嵌め、被検試料管２７の
基部２７ａと偏平部２７ Ｃの境界部２７ ｂが治具の
該境界部と相似した部分３１に合致するまで、ホルダー
３２と被検試料管の位置調節 行なわれる。

斯くしてホルダー３２に対する被検試料管の高さ及び回
転位置の設定が完了した後、ホルダーを治具より取り外
し該ホルダーを空洞共振器の上蓋２９に挿入する。

この場合、第５図に示す様に、上蓋２９の凸部３０ ａ
、３０ ｂに前記ホルダ−３２ノ凹部３３ａ。

３３ ｂがそれぞれ嵌合する様にホルダー３２を上蓋に
十分（上蓋の上部面からｄｌの距離まで）挿入、該ホル
ダーを上蓋に固定し、被検試料の分析が開始される。

本考案は、単に被検試料管をホルダーに挿入し、該ホル
ダーの凹部が上蓋の凸部へ嵌合するように挿入したとき
最もＱ値の高い被検試料の最適位置を得ることができる
ように構成されているので、時間の面でも労力の面でも
最小限で済み又、被検試料交換時の最適位置の再現性は
抜群である。

又被検試料管を保持するホルダーは被検試料管の管部よ
りや・小さ目の径の孔と共にすり割を有しているので、
該孔に挿入された被検試料管を上下位置及び回転角を調
節でき一度固定されると被検試料管に力を加えなければ
鉄管がズレることかなく非常に安定性がよい。

尚上記例では治具により試料管の上下位置も併せて調節
するようにしたが、試料管の偏平部は長さが十分あるの
で上下位置の調節は必ずしも必要なく、回転角のみを厳
密に設定すれば良い。

又上記例ではホルダーに凹部を、上蓋に凸部を設けて嵌
合するようにしたが、凹凸を逆にしても良いことは言う
までもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は電子スピン共鳴装置の一例を示すブロック図、
第２図は従来の空洞共振器、第３図は被検試料管の偏平
部分と変調コイルの位置関係を示した図、第４図及び第
５図は本考案に用いられる空洞共振器の縦断面図及び斜
視図、第６図は本考案に用いられる試料管ホルダーの一
例を示す図、第７図は本考案にかかる偏平試料管角度合
わせ用治具の一例を示す図である。 ４は変調コイル、１０は空洞共振器、２０は下蓋、２１
は側壁、２２は空洞、２７は被検試料管、２７ ａ 、
２７ ｂ 。 ２７ ＣはそＦＬぞれ被検試料管の管形部、偏平部、管
形部と偏平部の境界部、２９は上蓋、３０ ａ 、３０
ｂは上蓋の上端面に設けられた凸部、３２は被検試料
管ホルダー、３３ ａ 、３３ ｂは該ホルダーに設け
られた凹部、３４は該ホルダーに設けられたすり割、３
５は偏平試料管角度合わせ用治具である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ａ偏平試料管の偏平部が嵌合する長溝と、ｂ上蓋、側壁
   及び下蓋にて構成され内部に上蓋を通して前記偏平試料
   管が挿入される空洞共振器の該上蓋に設けられた凸部又
   は四部と嵌合すべく前記偏平試料管を保持するホルダー
   に設けられた凹部又は凸部と嵌合し得る凸部又は凹部と
   、を備えたことを特徴とする電子スピン共鳴装置に用い
   られる偏平試料管の角度合わせ用治具。