JPWO2006054798A1 - 酸素同位体で標識したヘモグロビンを含む生体組織検査薬及びその製造方法 - Google Patents

酸素同位体で標識したヘモグロビンを含む生体組織検査薬及びその製造方法 Download PDF

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康久 藤林
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Abstract

本発明は、15O2で標識したヘモグロビンを含む生体組織検査薬及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、15O2で標識したヘモグロビンを用いて生体組織中の酸素代謝を検出することによって病気の原因や病状を診断するための生体組織検査薬及びその製造方法に関する。また、本発明は、生体組織における酸素代謝の検出方法に関する。

Description

本発明は、15で標識したヘモグロビンを含む生体組織検査薬及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、15で標識したヘモグロビンを用いて生体組織中の酸素代謝を検出することによって病気の原因や病状を診断することができる生体組織検査薬及びその製造方法に関する。また、本発明は、生体組織における酸素代謝の検出方法に関する。
PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影検査)は、生理活性物質を標識し、その挙動を機能画像として捉え、病気の原因や病状を診断する最先端の医療技術である。
PETを用いて例えば脳を診断する場合、従来は鼻腔から標識化された酸素ガス(15)を吸入させることが行われてきた(例えば、「クリニカルPETハンドブック」 2001年10月30日初版発行、編著者 鳥塚莞爾、発行所 (株)技術経済研究所参照)。しかしこの方法では、以下のような問題が指摘されていた。
1)吸入された15が血液に移行する量を定量的に制御できず、また15の使用効率も低い。
2)15が通過する気管や肺で被曝を起こすため、被曝量が大きい。
3)15がガスの状態で使用されるため、吸入されずに漏出する危険性が高い。
このような従来の投与方法に対し、より安全で効率的な方法として注目されているのが注射による投与である。これは15を赤血球溶液に溶解し、その溶液を静脈注射する方法である。この方法は高濃度の15を血液に直接投与できるため、以下の点で従来法よりも優れていると期待される。
1)血流中への移行効率が良いため15使用量が少なくて済む。
2)血液中の15濃度や投与量を正確に調節できる。
3)他の臓器での被曝が少ない。
このため、近年、吸入に代わる15投与方法として15溶解赤血球の技術開発が進められている。しかし、この方法も赤血球溶液を使用する点において以下の問題が懸念される。
1)赤血球溶液として自己血を準備する必要があるため、患者にとっては苦痛となり、医療スタッフにとっては作業量が多くなる。
2)赤血球製剤を利用する場合、ウイルス感染や型不適合の危険性がある。
3)医療スタッフが血液を介してウイルスに感染する危険性がある。
4)ヒト赤血球は細胞内の2,3−bisphosphoglyceric acidなどのヘモグロビンの酸素解離に関わる物質の濃度差や、糖尿病などで見られるグロビンの糖化反応などによる酸素放出能の低下などの個人差があり、高い再現性が求められるPETのイメージング担体として問題がある。
上記のような状況を考慮して、より安全で効率的な方法で組織や器官に15を放出することができ、高い再現性を有する生体組織検査薬の開発が求められている。
ところで、Phillips WT,Lemen LD,Goins B et al.Amer J Physiol 1997には、15で標識したヘモグロビンの肺での取り込みと組織への伝達を定量したことが記載されている。しかしこの方法は、酸素運搬能の測定に関するものであり、リポソームに内包されたヘモグロビンの運搬能を各組織における15を指標として測定しているにすぎない。
本発明者らは、かかる状況に鑑みて鋭意検討した結果、自己血や赤血球製剤の代わりに人工酸素運搬体を用いることにより、自己血を準備する際の負担や赤血球製剤を利用する場合のウイルス感染等の問題を生じることなく、組織や器官における15の動態を検出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)15で標識したヘモグロビンを含むことを特徴とする生体組織検査薬。
(2)15で標識したヘモグロビンは人工酸素運搬体に内包されたものである、上記(1)記載の生体組織検査薬。
(3)15で標識したヘモグロビンはリポソームに内包されたものである、上記(1)または(2)記載の生体組織検査薬。
(4)15で標識したヘモグロビンを内包したヘモグロビン内包リポソームを含むことを特徴とする生体組織検査薬。
(5)陽電子放射断層撮影検査用である、上記(1)から(4)のいずれか記載の生体組織検査薬。
(6)ヘモグロビン内包リポソームに内包されるヘモグロビンを15で標識することを含む生体組織検査薬の製造方法。
(7)生体組織検査薬は陽電子放射断層撮影検査用である、上記(6)記載の生体組織検査薬の製造方法。
(8)15で標識したヘモグロビンを用いることを特徴とする生体組織における酸素代謝の検出方法。
(9)15で標識したヘモグロビンはリポソームに内包されたものである、上記(8)記載の検出方法。
(10)生体組織における酸素代謝を検出するための15で標識したヘモグロビンの使用。
(11)15で標識したヘモグロビンはリポソームに内包されたものである、上記(10)記載の使用。
本発明によれば、安全で効率的な方法で組織や器官における酸素代謝を検出することができるので、本発明は患者の病気の原因や病状の診断に広く活用することができる。
図1は、ウサギを被検体として15ガス標識された赤血球と、15ガス標識されたヘモグロビンを内包する人工酸素運搬体のそれぞれを静脈注射した場合のPETの検査結果を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.生体組織検査薬及びその製造方法
本発明の生体組織検査薬は、15で標識したヘモグロビンを含むことを特徴とする。本発明の生体組織検査薬は、患者の生体組織又は器官を15で標識するものであり、生体組織又は器官における酸素代謝を検出して病気の原因や病状を診断するのに用いられるものである。ここで「組織」とは、通常同一の機能・形態をもつ細胞集団を意味するが、本明細書においてはそれらの組み合わせからなる器官をも含む広い意味で用いる。
本発明に用いられるヘモグロビンは、酸素を可逆的に結合・解離する機能を有するヘムタンパク質であり、生体由来の赤血球、献血由来のヒト赤血球、あるいはブタ、ヒツジ、ウシ等の家畜由来の赤血球などから入手することができる。例えば、低張溶血法により赤血球から赤血球膜(ストローマ)を除去し、加熱処理(約60℃で1時間程度)によってウィルスを不活性化させ、精製することによってヘモグロビンを得ることができる。また、本発明に用いられるヘモグロビンとしては、遺伝子組み換え型のヘモグロビンを精製、濃縮して使用することもできる。
本発明において、ヘモグロビンは15で標識して用いられる。ヘモグロビンの標識方法は特に限定されるものではない。ヘモグロビンの標識は、例えば、ヘモグロビンの分散液もしくは浮遊液中に15含有ガスをバブリングするなどして容易に行うことができる。また、人工肺を用いることによって、ヘモグロビンを標識することも可能である。
バブリングの所要時間は、ガス中の15含有量や使用する装置などによって異なるものであるが、例えば15含有量が5〜20%の15含有ガスを使用する場合は、通常0.1〜2分程度、好ましくは60秒程度である。なお、15ガスの作製方法については後述する。
本発明の生体組織検査薬におけるヘモグロビンの含有量は、特に限定されないが、通常3〜50g/dLの範囲であり、好ましくは5〜25g/dL、より好ましくは8〜18g/dLである。ヘモグロビンの標識に用いられる15の使用量は、特に限定されないが、ヘモグロビン1.0g当り、通常3.7GBq〜18.5GBqの範囲であり、好ましくは5GBq〜10GBqである。
本発明において、15で標識したヘモグロビンは人工酸素運搬体に内包されたものであることが好ましい。これによってヘモグロビンの生理活性に起因する副作用を抑制することができる。また、人工酸素運搬体を使用することによって、患者の負担や医療スタッフの作業量を軽減することができ、ウィルス感染や型不適合の問題がないといった利点も得られる。
本発明に用いられる人工酸素運搬体は、生体内で酸素を可逆的に吸脱着できるものであれば特に限定されない。これにより組織又は器官を15ガスで標識することができる。本発明に用いられる人工酸素運搬体としては、例えば、リン脂質小胞体内部にヘモグロビンを内包したセル型酸素輸液が使用できる。このようなセル型酸素輸液としては、脂質二分子膜からなるリポソームの内層にヘモグロビンを内包したヘモグロビン内包リポソーム(以下「HbV」ということがある。)が好適に用いられる。本発明においては、このヘモグロビン内包リポソームに内包されたヘモグロビンの少なくとも一部を15で標識したものが好ましく用いられる。なお、本発明に用いられるリポソームの構造は特に限定されるものではなく、多重層であってもよいし、一枚膜のリポソームであってもよい。
本発明に用いられるリン脂質小胞体を構成する脂質は特に限定されるものではなく、公知の脂質を用いることができる。例えば、糖脂質、ステロール類、脂肪酸、リン脂質、両親媒性アルキルアミノ酸誘導体、ジアルキルジメチルアンモニウム、ポリグリセロールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等(Liposome Technology,2nd edition,vol.1,141,1993)、アルキルグリコシド、アルキルメチルグルカミド、アルキルシュークロースエステル等(Liposome Technology,2nd edition,vol.1,141,1993)、ポリオキシエチレン−ポリ乳酸等の両親媒性ブロック共重合体(特表平6−508831号公報)、長鎖アルキルアミン類(テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン等)、または長鎖脂肪酸ヒドラジド類(ミリスチン酸ヒドラジド、パルミチン酸ヒドラジドもしくはステアリン酸ヒドラジド等)などを挙げることができる。
本発明に用いられる糖脂質としては、例えばグリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質等が挙げられる。グリセロ糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド類(ジガラクトシルジラウロイルグリセリド、ジガラクトシルジミリストイルグリセリド、ジガラクトシルジパルミトイルグリセリドもしくはジガラクトシルジステアロイルグリセリド等)、またはガラクトシルジグリセリド類(ガラクトシルジラウロイルグリセリド、ガラクトシルジミリストイルグリセリド、ガラクトシルジパルミトイルグリセリドもしくはガラクトシルジステアロイルグリセリド等)が挙げられる。スフィンゴ糖脂質としては、例えばガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシドまたはガングリオシド等が挙げられる。
また、本発明に用いられるステロール類としては、例えば、コレステロール、コレステロールヘミサクシネート、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、エルゴステロールまたはラノステロール等が挙げられる。
本発明に用いられるリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチンまたは水素添加リン脂質等の天然または合成のリン脂質等が挙げられる。
本発明において、これらの脂質は1種でもよく2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの脂質の配合比は特に限定されるものではなく、公知の配合比を用いることができる。例えば、リン脂質/コレステロール/脂肪酸の配合比は、モル比で10/1〜20/0.1〜5が好ましく、10/6〜12/1.5〜2.5がより好ましい。
本発明の生体組織検査薬に用いられるリン脂質小胞体に使用される総脂質量は、ヘモグロビンの使用量に対し、約0.1〜2.0(単位:g/g)であることが好ましい。
さらに本発明においては、リン脂質小胞体の表面がポリアルキレングリコール類で修飾されていてもよい。これによって本発明の生体組織検査薬の血中滞留時間を延長させることができるので、より効率良く、標的組織又は器官を標識することができる。
ポリアルキレングリコール類としては、特に限定されないが、アルキレン鎖が炭素数1〜6程度のものが好ましい。また、アルキレン鎖は、本発明に支障のない置換基、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基などで置換されていてもよい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを用いることができる。ポリアルキレングリコール類の分子量は特に限定されないが、分子量が約200〜400万程度のもの、好ましくは約1,000〜50,000程度のものを用いることができる。本発明において、ポリアルキレングリコール類の含有量は特に限定されないが、リン脂質小胞体を構成する総脂質量に対して約0.1〜30モル%程度が好ましい。
本発明に用いられるリン脂質小胞体は、既知の方法、例えば、逆相蒸発法、高圧押出法、マイクロフルイダイザー法などにより調製することができる。リン脂質小胞体の表面をポリアルキレングリコール類で修飾する方法も公知であり、通常、非リン脂質型の脂質とポリアルキレングリコール類とをスペーサなどを介して結合させた結合脂質をリン脂質小胞体の構成脂質として用いることなどによってリン脂質小胞体の表面を修飾することができる。
リン脂質小胞体内部に15で標識したヘモグロビンを内包させる方法としては、リン脂質小胞体を調製する際にリン脂質小胞体の構成脂質の混合液中に15で標識したヘモグロビンを添加する方法を使用することもできる。但し、15の半減期が短いことを考慮すると、未標識のヘモグロビンを用いてあらかじめヘモグロビン内包リポソームを調製しておき、使用時にヘモグロビン内包リポソームの分散液または浮遊液中に15ガスをバブリングし、ヘモグロビンを15標識する方法が好ましい。
本発明の生体組織検査薬の使用量は、患者の年齢、性別、体重、症状、検査部位、投与方法(急速、持続)などによって異なり、特に限定されないが、通常投与時の15の放射能レベルが18.5MBq〜740MBqになることが好ましく、37MBq〜370MBqがより好ましい。
ヘモグロビン内包リポソームの調製方法として、より具体的には、Sakai H,et al.:Hemoglobin−vesicles suspended in recombinant human serum albumin for resuscitation from hemorrhagic shock in anesthetized rats.Crit Care Med 2004 Vol.32,No.2,539−545(以下、文献1という)に記載の方法を参照することができる。なお、文献1は参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
なお、本発明の生体組織検査薬には、必要に応じて、電解質、糖質、アミノ酸、抗酸化剤、pH調整剤、等張化剤などの公知の添加剤を含むこともできる。これらは、通常、医薬に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、1種で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの添加剤は、リン脂質小胞体の調製時に構成脂質成分と混合することにより、リン脂質小胞体内部に内包させてもよい。
本発明に用いられる電解質としては、例えば、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム、グリセロリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、アミノ酸ナトリウム塩、プロピオン酸ナトリウム、β−ヒドロキシ酪酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カリウム、炭酸水素カリウム、グリセロリン酸カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウム、ヨウ化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸カリウム、アミノ酸カリウム塩、プロピオン酸カリウム、β−ヒドロキシ酪酸カリウム)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、酢酸カルシウム)、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、グリセロリン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、アミノ酸マグネシウム塩)、アンモニウム塩(例えば、塩化アンモニウム)、亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸亜鉛)、鉄塩(例えば、硫酸鉄、塩化第一鉄、グルコン酸鉄)、銅塩(例えば、硫酸銅)、マンガン塩(例えば、硫酸マンガン)等が挙げられる。この中でも、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、グリセロリン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛が好ましい。
本発明に用いられる糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、グリセリン、シュクロース、トレハロース、グリセロール、マルトース、ラクトース、エリスリトール、等が挙げられる。この中、特にグルコース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、グリセリン、およびシュクロースが好ましい。
本発明に用いられるアミノ酸としては、例えば、リジン、塩酸リジン、酢酸リジン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン、塩酸システイン、リンゴ酸システイン、ホモシステイン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、塩酸アルギニン、ヒスチジン、塩酸ヒスチジン、アラニン、プロリン、アミノ酢酸等およびそれらの塩等が挙げられる。この中、特にリジン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン、ホモシステイン、アミノ酢酸が好ましい。
本発明の抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)、ロンガリット(CHOHSONa)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、システイン、塩酸システイン、ホモシステイン、グルタチオン、チオグリセロール、アルファチオグリセリン、エデト酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸イソプロピル、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム1、3−ブチレングリコール、エチレンジアミン四酢酸Ca二Na、エチレンジアミン四酢酸二Na、アミノ酸亜硫酸塩(例えば、L−リジン亜硫酸塩)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、アスコルビン酸パルミテート、ビタミンEおよびその誘導体(例えばdl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、天然ビタミンE、d−δ−トコフェロール、濃縮混合トコフェロール、trolox)、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレト酸(NDGA)、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、大豆レシチン、パルミチン酸アスコルビン酸、ベンゾトリアゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。このうち、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ホモシステイン、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、グルタチオン、troloxが好ましい。
本発明において、pH調整剤としては、例えば、酸としては、アジピン酸、カゼインナトリウム、塩酸、希塩酸、硫酸、硫酸アルミニウムカリウム、クエン酸、クエン酸二水素ナトリウム、グリシン、グルコノ−δ−ラクトン、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、結晶リン酸二水素ナトリウム、コハク酸、酢酸、酢酸アンモニウム、酒石酸、D−酒石酸、乳酸、氷酢酸、フマル酸−ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、無水リン酸二ナトリウム、メタンスルホン酸、、リン酸、リン酸二水素塩(例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム)、等が挙げられる。この中、塩酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、氷酢酸、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムが好ましい。
アルカリとしては、アンモニア水、乾燥炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ジイソプロパノールアミン、L−酒石酸ナトリウム、乳酸塩(例えば、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム)、ホウ砂、マレイン酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、無水酢酸ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、メグルミン、リン酸塩(例えば、リン酸三ナトリウム)、バルビタールのナトリウム塩、リン酸水素塩(例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム)等が挙げられる。この中、特に酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
本発明に用いられる等張化剤としては、例えば、アミノエチルスルホン酸、亜硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化マグネシウム、糖類(例えば、乳糖、濃グリセリン、ブドウ糖、果糖、キシリトール、グリセリン)、糖アルコール(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール)、クエン酸、クエン酸ナトリウム、結晶リン酸二水素ナトリウム、臭化カルシウム、臭化ナトリウム、水酸化ナトリウム、生理食塩液、酒石酸ナトリウム・二水和物、炭酸水素ナトリウム、ニコチン酸アミド、乳酸ナトリウム液、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、ホウ酸、ホウ砂、無水ピロリン酸ナトリウム、リン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、マクロゴール4000、等が挙げられる。この中でも特に塩化カリウム、塩化ナトリウム、濃グリセリン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムが好ましい。
本発明の生体組織検査薬は、生体組織又は器官における酸素代謝の検出を利用する検査方法に広く用いることができる。例えば、本発明の生体組織検査薬は、PET検査に好適に用いることができる。本発明の生体組織検査薬を用いることによって、従来の鼻腔から15ガスを吸入していたことによる問題点も解消することができ、安全で効率的に検査を行うことができる。PET検査によれば、患者の組織又は器官の働きを断層画像として捉え、病気の原因や病状を的確に診断することができるので、このPET検査に使用できる本発明の生体組織検査薬の有用性は高い。病気としては、癌、虚血性循環障害(脳梗塞、心筋梗塞、不安定心筋症など)、くも膜下出血、もやもや病、脳出血等が挙げられ、本発明の生体組織検査薬はこれらの診断に使用できる。
次に、本発明の生体組織検査薬の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、ヘモグロビン内包リポソームに内包されるヘモグロビンを15で標識することを含む。ヘモグロビンを15で標識する方法は既に述べたとおりであり、15の半減期が短いことを考慮すると、ヘモグロビン内包リポソームを調製した後、このヘモグロビン内包リポソームを含む分散液または浮遊液中に15ガスをバブリングし、ヘモグロビンを15標識することが好ましい。また、ヘモグロビン内包リポソームの製造方法についても前述したとおりであり、既知の方法に従って製造することができる。
なお、本発明の生体組織検査薬を製造する際は無菌条件下で行うことが好ましい。本発明の製造方法によって製造される生体組織検査薬は、酸素代謝の検出を利用する検査に広く用いられ、特にPET検査に好適に用いられる。
2.生体組織における酸素代謝の検出方法
次に、本発明の生体組織における酸素代謝の検出方法について説明する。本発明の酸素代謝の検出方法は、15で標識したヘモグロビンを用いることを特徴とする。本発明の好ましい態様によれば、本発明は、15を用いて人工酸素運搬体中のヘモグロビンを標識し、この標識されたヘモグロビンを用いることによって、被験者の組織又は器官における15の動態を検出することができる。より好ましくは、標識されたヘモグロビンは被験者の体内に静脈注射によって投与される。
本発明の方法においては、15で標識されたヘモグロビンは、人工酸素運搬体、より好ましくはリポソームに内包されて組織又は器官に導入されることが好ましい。本発明に用いられる15で標識したヘモグロビンとしては、前述した本発明の生体組織検査薬を用いることができる。例えば、15で標識したヘモグロビンを内包したヘモグロビン内包リポソームを用いることによって、ヘモグロビン由来の副作用を抑制することができる。本発明の検出方法における15で標識したヘモグロビンの使用量は、生体組織検査薬の欄で記載したとおりであり、ヘモグロビンの含有量とヘモグロビンの標識に用いられる15の使用量から定義される。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の方法には、(a)15ガスの作製工程、(b)15ガスによる人工酸素運搬体中のヘモグロビンの標識工程、(c)15で標識されたヘモグロビンの体内への投与工程、及び(d)15の検出工程が含まれる。以下、各工程について述べる。
(a)15ガスの作製工程
本工程では15ガスを作製する。15ガスは、例えばサイクロトロン内において、窒素14に重陽子を照射して14N(d,n)15O反応により作製することができる。なお、窒素14はNジェネレータにより得ることができる。あるいは、15N(p,n)15O反応により作製することができる。15Nは同位体濃縮によって得ることができる。
本発明においては、必要に応じて、上記の方法で作製された15を精製することもできる。15ガスの精製は、モレキュラーシーブを使用することが好ましい。このように精製処理を行うことによって、15濃度が高まり、検出される放射能が増える。但し、15は半減期が短いため、精製処理によって放射能レベルが低下する場合がある。このため、精製処理は、濃縮効率や処理時間とのバランスによって行うか否かを決定するのが望ましい。
(b)15ガスによる人工酸素運搬体中のヘモグロビンの標識工程
本工程では15ガスにより人工酸素運搬体中のヘモグロビンを標識する。15ガスによる人工酸素運搬体中のヘモグロビンの標識は、例えばHbV(deoxyHb型)の分散液もしくは浮遊液に15ガス(5−20%15含有)を約0.1〜2分程度、好ましくは60秒程度バブリングすることにより行うことができる。
15使用量は特に限定されないが、ヘモグロビンの使用量1gに対し、通常3.7GBq〜18.5GBqの範囲である。このように本発明の方法は、吸入法に比べて15の使用効率が高い。
本発明に用いられる人工酸素運搬体は、生体内で酸素を可逆的に吸脱着できるものであれば特に限定されないが、リン脂質小胞体内部にヘモグロビンを内包したセル型酸素輸液が好ましく使用できる。より好ましくはHbVが好適に用いられる。
人工酸素運搬体は、赤血球製剤に比べて以下の優位性がある。
1)ウイルス不活化および精製処理を行うことができ極めて安全性が高い。
2)室温で長期間(望ましくは二年間)保存可能であるため、必要なときに必要な量を用意できる。
3)血液型不適合の危険性が無い。
4)他の血液成分との相互作用が無い。
5)タンパクを溶液中に含まないため、人工肺のような特殊な装置を用いる必要がない。
(c)15で標識されたヘモグロビンの体内への投与工程
本工程では15で標識されたヘモグロビンを体内に投与する。体内への投与は、前記(b)工程で15標識されたヘモグロビンを内包する人工酸素運搬体を、例えば注射針とシリンジなどを用いて採取し、静脈注射することによって行うことができる。
(d)15の検出工程
本工程では15の検出を行う。例えば、PET装置を用いて検出を行うことが好ましい。これにより、各組織における酸素代謝状況を検出し、虚血状態等を診断することができる。PET装置は公知のものを使用できる。
通常のPET検査において日常使用される放射能レベルは200−400MBq前後である。この点を考慮し、本発明において標識操作時に用いられる放射能レベルは、通常200MBq〜2000MBqの範囲であることが好ましい。
なお、15Oの放射化学的半減期は2.04min(β+、電子捕獲)であり、標識効率なども考慮すると、上記工程(a)〜(d)の操作において、放射能レベルは例えば次のように変化する。
(a)40GBq→(b)10GBq→(c)500MBq→(d)200MBq
本発明の好ましい態様によれば、本発明は、上記の工程(a)〜(d)を含むことにより、各組織(例えば脳)における酸素の代謝状況を検出し、虚血状態等を診断することができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明は、標識される生理活性物質として、自己血または赤血球製剤の代わりに人工酸素運搬体を用いるものであるので、極めて安全性が高く、患者や医療スタッフに負担を与えることなく簡便な方法で被験者の組織又は器官において15の動態を検出することができる。さらに、人工酸素運搬体は血液型不適合の危険性が無く、他の血液成分との相互作用もないので、これらを考慮することなくより簡便な方法で診断を行うことができるという利点もある。また本人工酸素運搬体が常温で長期保存が可能であること、機能に大きな個人差のある赤血球に依存しない酸素代謝イメージングが実施できることは大きな福音である。
なお、本出願は、2004年11月22日付提出の米国仮出願60/630,257号、及び2005年7月15日付提出の米国仮出願60/699,841の優先権の利益を受けるものであり、同出願の明細書に記載の内容は参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.血液6mlを15mlバイアルにいれ、底部まで差し込んだ注射針を通じて放射性ガス(約20%O含有)を20秒程度バブリングした。廃ガスは別途つけた針からドレインへ回収した。
2.バイアル中185MBq程度の放射能が入っている状態で、ラインにてつないだ注射針とシリンジを用いて血液全量を採取した。
3.シリンジ中の放射能を測定し(18.5MBq)、直ちにウサギ耳に留置しておいたラインを通じて静脈注射し、注射開始時より10分間PETデータ収集した。結果を図1上段に示す。PET装置は、GE社製Advanceを使用した。
4.同様の実験を人工酸素運搬体を用いて繰り返し、データを収集した。得られた画像を図1下段に示す。人工酸素運搬体は、文献1記載の方法により調製した試料を使用した。具体的な調製方法は以下に示したとおりである。
5.人工酸素運搬体を用いたPET測定においても、血液(赤血球)を用いた場合と全く同じ画像が得られたことから、PET検査に人工酸素運搬体が有効に用いられることが確認された。
<人工酸素運搬体の調製>
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン、コレステロール、1,5−ビス−O−ヘキサデシル−N−スクシニル−L−グルタメート〔日本精化株式会社製〕をモル比にして5/5/1で含み、全脂質に対し0.3mol%の1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミン−N−ポリ(エチレングリコール)〔日本油脂株式会社製〕を含む混合物をナス型フラスコに入れた。ここにベンゼンを加え加温しながら完全溶解させた。これを液体窒素で凍結後、凍結乾燥機に装着し、12時間凍結乾燥して白色粉末を得た。
これを注射用水に添加して25℃で攪拌し、粒子径1.8μmの小胞体分散液を得た。この小胞体分散液を液体窒素で凍結して25℃で融解させる凍結融解サイクルを4回繰返し、粒径520nmの小胞体分散液を得た。この分散液を液体窒素で凍結後、凍結乾燥機に装着し、15時間凍結乾燥して白色乾燥小胞体を得た。
人工酸素運搬体に内包されるヘモグロビン(40g/dL)は、献血由来の赤血球を精製することによって得た。アロステリック効果の調節のためにピリドキサール5’−ホスフェート(Sigma Chemical製)をヘモグロビンに対して2.5モル比になるよう添加した。
乾燥小胞体にヘモグロビン溶液5mLを添加し、25℃で攪拌してヘモグロビン小胞体分散液を得た。この時小胞体の粒子径は540nmであり、乾燥前の粒子径をほぼ保持していた。これをEXTRUDER(登録商標)(商品名、日油リポソーム製)に加え、加圧(20kg/cm)しながら14℃で孔径3.0μm、0.8μm、0.65μm、0.45μm、0.30μm、0.22μmのアセチルセルロースフィルター(富士フイルム製)に順次透過させ、ヘモグロビン小胞体分散液を得た。これを限外ろ過膜に通して、未内包ヘモグロビンを除去した。
円筒型フラスコにヘモグロビン小胞体分散液を入れ、これをロータリーエバポレータに装填して回転(56rpm)させた。これによって形成された液膜に、ハロゲンランプ(500W)を用いて酸素通気下(1L/min)で3分間可視光を照射し、一酸化炭素結合ヘモグロビン(HbCO)からオキシヘモグロビン(HbO)への配位子交換を行った。そしてバイアル瓶に封入した後、水蒸気飽和させた窒素ガスを瓶内に導き、ヘモグロビン小胞体液内でバブリングさせて溶解している酸素を除去し、人工酸素運搬体を得た。
本発明は、患者の組織又は器官における酸素代謝の検出を利用することにより、患者の病気の原因や病状等を診断する検査方法に広く活用できる。
また、本発明は癌病巣の検出を既存で汎用されている11C−flurodeoxyglucoseを併用することにより、酸素の摂取の盛んな癌病巣の質的診断を可能にすることで放射線感受性の有無の判定にも応用できる。
本発明により脳梗塞後の神経細胞死周囲の治療回復の余地のある領域の診断に役立てることが可能になる。

Claims (11)

  1. 15で標識したヘモグロビンを含むことを特徴とする生体組織検査薬。
  2. 15で標識したヘモグロビンは人工酸素運搬体に内包されたものである、請求の範囲第1項又は第2項記載の生体組織検査薬。
  3. 15で標識したヘモグロビンはリポソームに内包されたものである、請求の範囲第1項記載の生体組織検査薬。
  4. 15で標識したヘモグロビンを内包するヘモグロビン内包リポソームを含むことを特徴とする生体組織検査薬。
  5. 陽電子放射断層撮影検査用である、請求の範囲第1項から第4項のいずれか記載の生体組織検査薬。
  6. ヘモグロビン内包リポソームに内包されるヘモグロビンを15で標識することを含む生体組織検査薬の製造方法。
  7. 生体組織検査薬は陽電子放射断層撮影検査用である、請求の範囲第6項記載の生体組織検査薬の製造方法。
  8. 15で標識したヘモグロビンを用いることを特徴とする生体組織における酸素代謝の検出方法。
  9. 15で標識したヘモグロビンはリポソームに内包されたものである、請求の範囲第8項記載の検出方法。
  10. 生体組織における酸素代謝を検出するための15で標識したヘモグロビンの使用。
  11. 15で標識したヘモグロビンはリポソームに内包されたものである、請求の範囲第10項記載の使用。
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