JPWO2006035749A1 - 球状樹脂微粒子、球状樹脂微粒子の製造方法、及び液晶表示素子用スペーサ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明1の球状樹脂微粒子は、シード重合により得られたものである。
上記シード重合は、一般的に、重合性不飽和単量体及び重合開始剤を水中に分散させた後、シード粒子に吸収させ、重合性不飽和単量体を重合し重合体微粒子を得るものである。このため得られる球状樹脂微粒子は、粒子径分布が極めて狭く、均一な粒子径のものとなる。
従って、本発明1の球状樹脂微粒子は、個数平均粒子径が1〜10μmであることが好ましい。また、個数平均粒子径が3.5〜10μmであることがより好ましい。
本発明2におけるシード粒子の重量平均分子量は、2000〜15000であることが必要である。重量平均分子量が2000未満であると、シード粒子が合着を起こし易くなり単分散真球微粒子が形成され難くなり、15000を超えると、後で添加される重合性不飽和単量体等を吸収し難くなり膨潤能力が低下して均一な膨潤とならず球状樹脂微粒子表面が平滑にならないことがある。
なお、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリスチレン換算の分子量である。
なお、ここでいう膨潤度とは、膨潤前のシード粒子に対する膨潤後の微粒子の体積比で定義される。吸収の終了は、例えば光学顕微鏡での観察により粒子径の拡大を確認することにより判定される。
上記スチレン及びその誘導体以外の成分としては、(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、ブタジエン等が用いられる。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとはメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルを意味する。
上記重合性不飽和単量体のうち、上記多官能性単量体の割合は、少なくなると重合体微粒子の力学的強度が低下するので、15重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。なお、多官能性単量体の割合が100重量%、すなわち全てが多官能性単量体でもよい。
上記油溶性重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2、2'-アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。
分散安定剤であるポリビニルアルコールは重合体微粒子表面に存在することができ、重量平均分子量10,000〜100,000のポリビニルアルコールの重合体微粒子表面での存在により、得られた重合体微粒子は、例えば液晶表示素子用スペーサとして用いられた場合に、液晶パネルへの散布性に優れたものとなる。なお、重合体微粒子表面にポリビニルアルコールが存在しているとは、重合体微粒子を加熱しながら十分に洗浄した後でも、洗浄除去されず重合体微粒子表面にポリビニルアルコールが存在していることをいう。
上記界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤等が挙げられる。
上記高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルエーテル等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
また、上記両成分の微分散エマルジョンを得るためには、予め両成分を混合して微分散してもよく、各成分を別々に微分散した後両成分を混合してもよい。
また、上記シード粒子に、上記重合性不飽和単量体と重合開始剤とが完全に吸着され吸収された後で重合を開始するのが好ましい。
本発明3の液晶表示素子用スペーサは、表面が平滑な球状樹脂微粒子を用いて得られる粒子からなるため、表面が平滑で液晶パネルへ散布後の移動の起き難い液晶表示素子用スペーサが得られる。
(シード粒子A)
セパラブルフラスコにポリビニルピロリドン18重量部、アニオン系界面活性剤「エアロゾルOT」5重量部、アゾビスイソブチロニトリル8重量部、スチレン100重量部、連鎖移動剤5重量部、及び、メタノール864重量部を入れ攪拌しながら溶解させた。その後、そのまま攪拌しながら60℃で加熱重合を行いシード粒子の分散液を得た。
得られた分散液を、メタノール洗浄し遠心分離を行った後、更に洗浄及び水置換をして、凍結乾燥し、ポリスチレンシード粒子Aを得た。
得られたポリスチレンシード粒子AについてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は6000、重量平均分子量/数平均分子量は1.5であった。また、日機装社製MICROTRAC粒度分析計「MODEL9320−X100」により測定した個数平均粒子径は1.1μmであった。
アゾビスイソブチロニトリルを8重量部に代えて1.6重量部用いたこと以外はシード粒子Aと同様にしてポリスチレンシード粒子Bを得た。
得られたポリスチレンシード粒子BについてGPCにより分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は26000、重量平均分子量/数平均分子量は2.4であった。また、シード粒子Aと同様にして測定した個数平均粒子径は1.1μmであった。
セパラブルフラスコに得られたポリスチレンシード粒子A0.7重量部を入れ、ラウリル硫酸トリエタノールアミン水溶液1.4重量部と、初期添加用としてポリビニルアルコール(ケン化度87.8mol%、重量平均分子量15,000)5重量%水溶液23.8重量部とを加え超音波処理を30分間行いシード粒子分散液を作製した。
得られたシード粒子分散液に、ジビニルベンゼン42.9重量部、過酸化ベンゾイル2.4重量部、エタノール21.4重量部、ラウリル硫酸トリエタノールアミン水溶液1.9重量部をイオン交換水235.6重量部に加え、静止型分散装置を用いて微分散化し得られたエマルジョンを攪拌しながら滴下した。
シード粒子に吸収され、膨潤終了後、後期添加用としてポリビニルアルコール(ケン化度87.8mol%、重量平均分子量100,000)5.5重量%水溶液128.1重量部を加えそのまま攪拌しながら加熱重合を行い(90℃、10時間)重合体微粒子の分散液を得た。
得られた分散液を、熱水洗浄し遠心分離を行った後、更に洗浄して、濾過し、真空乾燥して球状樹脂微粒子を得た。
得られた球状樹脂微粒子について、以下の方法により、個数平均粒子径、CV値、表面状態、及び固着性を評価した。これらの結果を表1に示した。
ベックマンコールター社製「マルチサイザー3」により、球状樹脂微粒子の個数平均粒子径及びCV値を求めた。
FE−SEM型電子顕微鏡(日立製作所製、「S4500」)による正投影面を用い、10個の球状樹脂微粒子を観察した。
観察条件は、加速電圧:5kV、ワーキングディスタンス:10mm、エミッションカレント:10μA、絞り:4とした。
また、倍率としては、1μm以上4μm未満は20000倍、4μm以上7μm未満は15000倍、7μm以上10μm未満は10000倍、10μm以上15μm未満は5000倍とした。
10個の球状樹脂微粒子について、直径が球状樹脂微粒子直径の1/2である同心円中に現れる、突部をそれぞれ区画し、区画された領域の個数をカウントし、その平均を求めた。
得られた球状樹脂微粒子を液晶表示素子用スペーサとして用い、液晶パネルへ日清エンジニアリング社製散布機で散布し、散布された液晶パネルに49kPa、又は98kPaのエアー圧で斜め45°方向30mmの距離から5秒間エアーブローし、エアーブロー前後での粒子数をカウントした。エアーブロー前の液晶パネル上の粒子数に対して、エアーブロー後の残存粒子数の割合を計算し百分率で求め固着率とした。
実施例1において、ジビニルベンゼン42.9重量部を使用せず、代わりにポリテトラメチレングリコールジアクリレート42.9重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状樹脂微粒子を得た。
得られた球状樹脂微粒子について、実施例1と同様にして、個数平均粒子径、CV値、表面状態、及び固着性を評価した。これらの結果を表1に示した。
セパラブルフラスコに得られたポリスチレンシード粒子A1.7重量部を入れ、ラウリル硫酸トリエタノールアミン水溶液3.3重量部と、初期添加用としてポリビニルアルコール(ケン化度87.8mol%、重量平均分子量15,000)5重量%水溶液57.7重量部とを加え超音波処理を30分間行いシード粒子分散液を作製した。
得られたシード粒子分散液に、ジビニルベンゼン11.7重量部、過酸化ベンゾイル0.7重量部、エタノール5.8重量部、ラウリル硫酸トリエタノールアミン水溶液0.5重量部をイオン交換水64.1重量部に加え、静止型分散装置を用いて微分散化し得られたエマルジョンを攪拌しながら滴下した。
シード粒子に吸収され、膨潤終了後、後期添加用としてポリビニルアルコール(ケン化度87.8mol%、重量平均分子量100,000)5.5重量%水溶液123.9重量部を加えそのまま攪拌しながら加熱重合を行い(90℃、10時間)重合体微粒子の分散液を得た。
得られた分散液を、熱水洗浄し遠心分離を行った後、更に洗浄して、濾過し、真空乾燥して球状樹脂微粒子を得た。
得られた球状樹脂微粒子について、実施例1と同様にして、個数平均粒子径、CV値、表面状態、及び固着性を評価した。これらの結果を表1に示した。
実施例1において、ポリスチレンシード粒子A0.7重量部を使用せず、代わりにポリスチレンシード粒子B0.7重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして球状樹脂微粒子を得た。
得られた球状樹脂微粒子について、実施例1と同様にして、個数平均粒子径、CV値、表面状態、及び固着性を評価した。これらの結果を表1に示した。
比較例1において、ポリスチレンシード粒子A1.7重量部を使用せず、代わりにポリスチレンシード粒子B1.7重量部を用いたこと以外は比較例1と同様にして球状樹脂微粒子を得た。
得られた球状樹脂微粒子について、実施例1と同様にして、個数平均粒子径、CV値、表面状態、及び固着性を評価した。これらの結果を表1に示した。
実施例1、実施例2、及び比較例2で得られた球状樹脂微粒子のFE−SEM型電子顕微鏡写真を、それぞれ図1、図2、及び図3に示した。
Claims (6)
- シード重合により得られた球状樹脂微粒子であって、FE−SEM型電子顕微鏡にて表面を観察し、球状樹脂微粒子の正投影面において、表面に現れる突部を1つの領域として区画したときに、直径が球状樹脂微粒子直径の1/2である同心円中に現れる前記領域の個数が10個以下であることを特徴とする球状樹脂微粒子。
- 個数平均粒子径が1〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の球状樹脂微粒子。
- 多官能(メタ)アクリレートを50〜100重量%含有する重合性不飽和単量体からなる重合体を90重量%以上含む架橋樹脂であることを特徴とする請求項1、又は2記載の球状樹脂微粒子。
- 重合性不飽和単量体及び重合開始剤を水中に分散させた後、重量平均分子量が2000〜15000でかつ重量平均分子量/数平均分子量が1.6以下のシード粒子に膨潤度10〜100倍で吸収させ、重合性不飽和単量体を重合し重合体微粒子を得ることを特徴とする請求項1、又は2記載の球状樹脂微粒子の製造方法。
- 重合性不飽和単量体が多官能(メタ)アクリレートを50〜100重量%含有することを特徴とする請求項4記載の球状樹脂微粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の球状樹脂微粒子、又は、請求項4、若しくは5記載の球状樹脂微粒子の製造方法により製造される球状樹脂微粒子を用いて得られる粒子からなることを特徴とする液晶表示素子用スペーサ。
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