JPWO2006018888A1 - 反射鏡支持機構 - Google Patents

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Abstract

バイポッド1に第1のばね要素2及び第2のばね要素3を設けることによりラテラルX軸まわりの弾性回転が可能となる。また、ばね部材6によりラテラルY軸まわりの弾性回転が可能となり、平行ばね部材9によりアキシャルZ軸方向への弾性的な並進変位が可能となる。バイポッド1の2脚は、上端部が所定の間隔を空けて、寄り合うようにアキシャルZ軸に対して傾けて設ける。バイポッド1の2脚の中心線の交点を反射鏡の重心位置に一致させることによって、反射鏡に発生するモーメント荷重の変化を抑制する。

Description

この発明は、天体からの観測光や、ミリ波、サブミリ波を受信して天体観測を行う大型望遠鏡などに用いられ、反射鏡の鏡面を高精度に支持する反射鏡支持機構に関するものである。
宇宙からの観測光や電波を受信して天体観測する望遠鏡システムは、より高分解能で高精度な観測を行うため、近年益々システムの大型化が進んでいる。特に望遠鏡システム内の反射鏡部分は、その開口径が数mから数十mのものが検討されるに至っており、反射鏡をより高精度に支持することが必要となってきている。例えば、日本特許出願である特開平6−118295号公報には、従来の反射鏡支持機構が記載されている。この特開平6−118295号公報に開示された反射鏡支持機構は、反射鏡に支持機構設置穴を設け、支持機構による反射鏡の支持点を反射鏡の重心位置に設けるものである。このように、反射鏡をその重心位置で支持することによって、支持点と反射鏡重心位置とのずれによって生じるモーメント荷重の発生が抑制される。したがって、仰角を変更するような反射鏡の姿勢変化によって生じるモーメント荷重の変化を抑制され、反射鏡内部の応力の発生と反射鏡の形状変化とが抑制されるものである。
この従来の反射鏡支持機構においては、反射鏡の重心位置を支持するために、反射鏡に支持機構設置穴が設けられているが、各支持点において、反射鏡の母材に穴を設ける削り加工を行う必要があり、加工工数が増加し、この加工に要する日数も増加するという問題点があった。特に、反射鏡の開口径が大きくなるほど、剛性確保のために反射鏡母材の厚み寸法は大きくなり、支持機構設置穴の加工に約1年を要する場合もあった。
特開平6−118295号公報
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、支持機構設置穴を設けることなく、反射鏡の重心位置に支持力が作用することにより、反射鏡の鏡面精度を高精度に維持して反射鏡を支持する反射鏡支持機構、及びこの反射鏡支持機構を使用した反射鏡位置決め機構を得ることを目的とする。
請求項1の発明に係る反射鏡支持機構は、反射鏡を取り付ける鏡取付部がラテラルX軸まわりに弾性回転し、その2脚の中心線が上記反射鏡のアキシャル方向重心位置において交わるバイポッドと、このバイポッドをラテラルY軸まわりに弾性回転するばね部材と、上記バイポッドを、上記反射鏡のアキシャル方向へ弾性的に並進変位する平行ばね部材とを備えたことを特徴とする反射鏡支持機構。
請求項2の発明に係る反射鏡支持機構は、請求項1の発明に係る反射鏡支持機構において、上記バイポッドは、その2脚にそれぞれ、溝を設けて形成した第1のばね要素と、第2のばね要素とを具備したものである。
請求項3の発明に係る反射鏡支持機構は、反射鏡を取り付ける鏡取付部がラテラルX軸及びラテラルY軸まわりに弾性回転し、その2脚の中心線が上記反射鏡のアキシャル方向重心位置において交わるバイポッドと、上記バイポッドを、上記反射鏡のアキシャル方向へ弾性的に並進変位する平行ばね部材と備え、上記バイポッドの上記鏡取付部は、上記2脚にそれぞれ、溝を設けて形成した第1のばね要素と第2のばね要素によってラテラルX軸まわりに弾性回転し、その2脚にそれぞれラテラルY軸と平行な溝を設けて形成した第3のばね要素によってラテラルY軸まわりに弾性回転するものである。
請求項1乃至請求項3に記載の発明によれば、バイポッドの2脚の中心線が反射鏡のアキシャル方向重心位置において交わるように設けているので、支持機構設置穴を設ける必要がなく、反射鏡の重心位置に支持力が作用することにより、反射鏡重心位置とのずれによって生じるモーメント荷重の発生が抑制され、反射鏡の鏡面精度を高精度に維持して反射鏡を支持する。
この発明の実施の形態1に係る反射鏡支持機構の構造を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る反射鏡支持機構を反射鏡及びミラーセルに取り付けた状態を示す正面図である。 この発明の実施の形態2に係る反射鏡支持機構の構造を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る反射鏡支持機構を反射鏡及びミラーセルに取り付けた状態を示す正面図である。 この発明の実施の形態3に係る反射鏡位置決め機構の構成を示す構成図である。
符号の説明
1 バイポッド
2 第1のばね要素
3 第2のばね要素
4 鏡取付部
6 ばね部材
9 平行ばね部材
17 第3のばね要素
実施の形態1
この発明の実施の形態1に係る反射鏡支持機構を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る反射鏡支持機構の構造を示す斜視図である。図1において、1は左右の2脚よりなるバイポッド、2はバイポッド1の上部に設けた第1のばね要素であり、3はバイポッド1の下部に設けた第2のばね要素である。これらの第1のばね要素2、第2のばね要素3はバイポッド1を形成する板材の両面から板材の中心線に向けて対称に溝を設けることにより形成する。4はバイポッド1の2脚の上端部を結合し、反射鏡を取り付ける鏡取付部、5はバイポッド1の2脚の下端部を結合するバイポッド台座である。6はバイポッド台座の底部に設けたばね部材であり、7はばね部材6の下端部に結合する中間部材である。8は取付台座であり、9は2本の平行な部材からなる平行ばね部材である。平行ばね部材9において、10は、中間部材7側に設けたばね要素であり、11は取付台座8側に設けたばね要素である。
バイポッド1を形成する左右の2脚は、それらの上端部が寄り合うように、図1に示すアキシャルZ軸に対して傾きをもって設け、2脚の上端部は所定の間隔を空けて鏡取付部4により結合する。第1のばね要素2及び第2のばね3は、バイポッド1の板材の両面に、図1に示すラテラルX軸に平行な溝を設けて形成される薄肉の部分である。第1のばね要素2及び第2のばね要素3の部分は、バイポット1の他の部分よりも曲がり易く、ラテラルX軸まわりの回転弾性特性を示す。このようにバイポット1の左右2脚のそれぞれに設けた第1のばね要素2及び第2のばね要素3によって、鏡取付部4は、バイポット台座5に対してラテラルX軸まわりに弾性回転することができる。また、図1に示すように、バイポッド台座5と中間部材7との間に溝を設けることによって、薄肉の部分を形成し、ばね部材6を設けている。このばね部材6により、バイポッド台座5は中間部材7に対して、図1に示すラテラルY軸まわりに弾性回転することができる。中間部材7と取付台座8とは、平行ばね部材9を介して結合しているので、中間部材7は、取付台座8に対してアキシャルZ軸方向に弾性的に並進変位することができる。平行ばね部材9には、中間部材7側において、その板材の両面に溝を設けてばね要素10を形成し、取付台座8側において、その板材の両面に溝を設けてばね要素11を形成している。このばね要素10及びばね要素11によって、平行ばね部材9は弾性変形することができる。
以上のように、本発明に係る反射鏡支持機構は、取付台座8に対して鏡取付部4が、アキシャルZ軸方向への弾性的な並進変位、ラテラルY軸まわりの弾性回転、及びラテラルX軸まわりの弾性回転の3自由度を有して設けられているものである。また、第1のばね要素2、第2のばね要素3、ばね部材6、及び平行ばね部材9(ばね要素10及びばね要素11を含む)は、それぞれ母材の削り出しや型成形によって一体として形成することにより、部品点数が少なく、機構内のガタ要素の発生が低減できることも本発明の特徴である。なお、上記の各ばね要素及びばね部材は、板ばねなどのディスクリートなばね部品に置き換えることも可能である。
図2は、この発明の実施の形態1に係る反射鏡支持機構を反射鏡及びミラーセルに取り付けた状態を示す正面図である。図2は図1に示すラテラルX軸方向から見たものである。図2において、12は反射鏡支持機構であり、13は反射鏡である。14は反射鏡の背面に設けられ構造的に反射鏡を支えるミラーセルであり、バックストラクチャとも呼ばれる。15はバイポッド1の2脚のそれぞれの中心線であり、16は反射鏡13のアキシャルZ軸方向の重心位置である。
バイポッド1の2脚は、それらの上端部が、所定の間隔を空けて、寄り合うようにアキシャルZ軸に対して傾けて設けているので、中心線15の交点は、鏡取付部4の上方に位置することとなる。この中心線の交点が、反射鏡13のアキシャルZ軸方向の重心位置16に重なるようにバイポッド1の傾き及び上端部の間隔を設定する。このように、中心線15が反射鏡13の重心位置16で交わることにより、バイポッド1の2脚に働く軸力の作用線が反射鏡13の重心位置16を通ることになるので、反射鏡13にモーメント荷重が発生しないようにすることができる。したがって、ラテラルX軸(図2において紙面に垂直な軸)まわりに反射鏡13が回転して姿勢が変化しても、反射鏡13のアキシャルZ軸方向の重心位置16まわりにはモーメントが発生しないので、このような姿勢変化に伴う内部発生モーメントの変化が抑制され、高精度に反射鏡13の面精度を維持することができる。
実施の形態2
この発明の実施の形態2に係る反射鏡支持機構を図3及び図4に基づいて説明する。図3は、この発明の実施の形態2に係る反射鏡支持機構の構造を示す斜視図である。図3において、17はバイポッド1の左右2脚に設けた第3のばね要素である。なお、図3において図1と同一の符号を付した部品及び部分は、図1におけるそれらの部品及び部分と同一又は相当する部分及び部品を示す。
図3において、第3のばね要素17は、バイポッド1の板材の両面から板材の中心線に向けて対称に溝を設けることにより形成する。第3のばね要素17における溝は、ラテラルY軸に平行に設けており、この溝によって形成される薄肉部分が、第3のばね要素17となっている。第3のばね要素17の部分は、バイポット1の他の部分よりも曲がり易く、図3に示すラテラルY軸まわりに回転弾性特性を示す。なお、図3において、第3のばね要素17は、第1のばね要素2及び第2のばね要素3の下部に設けているが、第1のばね要素2及び第2のばね要素3の上部に設けても良いし、第1のばね要素2と第2のばね要素3との間に設けても良い。
以上のように、この発明の実施の形態2に係る反射鏡支持機構は、取付台座8に対して鏡取付部4が、平行ばね部9によりアキシャルZ軸方向への弾性的な並進変位、第3のばね要素17によりラテラルY軸まわりの弾性回転、及び第1のばね要素2及び第2のばね要素3によりラテラルX軸まわりの弾性回転の3自由度を有して設けられているものである。また、第1のばね要素2、第2のばね要素3、第3のばね要素17、及び平行ばね部材9(溝10及び溝11を含む)は、それぞれ母材からの削り出しや型成形によって一体として形成することにより、部品点数が少なく、機構内のガタ要素の発生が低減できることも本発明の特徴である。なお、上記の各ばね要素及びばね部材は、板ばねなどのディスクリートなばね部品に置き換えることも可能である。
図4は、この発明の実施の形態2に係る反射鏡支持機構を反射鏡及びミラーセルに取り付けた状態を示す正面図である。図4は図3に示すラテラルX軸方向から見たものである。図4において、18は反射鏡支持機構であり、19はバイポッド1の2脚のそれぞれの中心線である。なお、図4において、図2と同一の符号を付した部品及び部分は、図2におけるそれらの部品及び部分と同一又は相当する部品及び部分を示す。
バイポッド1の2脚は、それらの上端部が、所定の間隔を空けて、寄り合うようにアキシャルZ軸に対して傾けて設けているので、中心線19の交点は、鏡取付部4の上方に位置することとなる。この中心線19の交点が、反射鏡13のアキシャルZ軸方向の重心位置16に重なるようにバイポッド1の傾き及び上端部の間隔を設定する。このように、中心線19が反射鏡13の重心位置16で交わることにより、バイポッド1の2脚に働く軸力の作用線が反射鏡13の重心位置16を通ることになるので、反射鏡13にモーメント荷重が発生しないようにすることができる。したがって、ラテラルX軸(図4において紙面に垂直な軸)まわりに反射鏡13が回転して姿勢が変化しても、反射鏡13のアキシャルZ軸方向の重心位置16のまわりにはモーメントが発生しないので、このような姿勢変化に伴う内部発生モーメントの変化が抑制され、高精度に反射鏡13の面精度を維持することができる。
実施の形態3
この発明の実施の形態3に係る反射鏡位置決め機構を図5に基づいて説明する。図5は、この発明の実施の形態3に係る反射鏡位置決め機構の構成を示す構成図である。図5において、20はミラーセル14に設けられ、反射鏡13をアキシャルZ軸方向に並進駆動するアクチュエータである。図5において図2と同一の符号を付した部品及び部分は、図2におけるそれらの部品及び部分と同一又は相当する部分及び部品を示す。また、図5においては、実施の形態1において説明した反射鏡支持機構12を図示しているが、この反射鏡支持機構12を実施の形態2において説明した反射鏡鏡支持機構18に代替してもよい。
アクチュエータ20は、直動機構を具備しており、反射鏡13をアキシャルZ軸方向に押し引きすることができるものである。反射鏡支持機構12の鏡取付部4は、取付台座8に対して、アキシャルZ軸方向に弾性的に並進変位できるから、反射鏡支持機構12の側方にアクチュエータ20を設けて並進駆動することによって、ミラーセル14に対する反射鏡13のアキシャルZ軸方向の位置を制御することができる。また、反射鏡支持機構12の鏡取付部4は、取付台座8に対して、ラテラルX軸まわりに弾性回転することができるから、反射鏡支持機構12の左右に設けたアクチュエータ20の直動機構をそれぞれ制御することにより、ミラーセル14に対して反射鏡13をラテラルX軸まわりに回転する制御を行うことができる。同様に、反射鏡支持機構12の鏡取付部4は、取付台座8に対して、ラテラルY軸まわりに弾性回転することができるから、アクチュエータ20を図5の紙面垂直方向に配置して駆動制御することによって、ミラーセル14に対して反射鏡13をラテラルX軸まわりに回転する制御を行うことができる。また、反射鏡支持機構12を中心にして、3つのアクチュエータ20を120°対称に配置することにより、ラテラルX軸、ラテラルY軸まわりの回転、及びアキシャルZ方向の変位を制御することもできる。
本発明は、反射鏡を設けた光学及び電波望遠鏡装置や、通信を目的として反射鏡を設けた通信アンテナ装置に使用する反射鏡支持機構及び反射鏡位置決め機構に適用することができる。

Claims (3)

  1. 反射鏡を取り付ける鏡取付部がラテラルX軸まわりに弾性回転し、その2脚の中心線が上記反射鏡のアキシャル方向重心位置において交わるバイポッドと、このバイポッドをラテラルY軸まわりに弾性回転するばね部材と、上記バイポッドを、上記反射鏡のアキシャル方向へ弾性的に並進変位する平行ばね部材とを備えたことを特徴とする反射鏡支持機構。
  2. 上記バイポッドは、その2脚にそれぞれ、溝を設けて形成した第1のばね要素と、第2のばね要素とを具備したことを特徴とする請求項1に記載の反射鏡支持機構。
  3. 反射鏡を取り付ける鏡取付部がラテラルX軸及びラテラルY軸まわりに弾性回転し、その2脚の中心線が上記反射鏡のアキシャル方向重心位置において交わるバイポッドと、上記バイポッドを、上記反射鏡のアキシャル方向へ弾性的に並進変位する平行ばね部材と備え、上記バイポッドの上記鏡取付部は、上記2脚にそれぞれ、溝を設けて形成した第1のばね要素と第2のばね要素によってラテラルX軸まわりに弾性回転し、その2脚にそれぞれラテラルY軸と平行な溝を設けて形成した第3のばね要素によってラテラルY軸まわりに弾性回転することを特徴とする反射鏡支持機構。
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