JPWO2006009181A1 - シール装置 - Google Patents

シール装置

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Abstract

本発明は、被密封流体が高圧であっても密封環のシール面の発熱を防止すると共に、シール面の摩耗を防止することにある。そして、シール装置は、端面に第1シール面(5A)を有すると共に、第1シール面(5A)と反対側に傾斜面に形成された第1押圧面(5B)を有する第1密封環(5)と、第1押圧面(5B)と対向する第1内周固定面(51A)を有する第1シールリテーナ(51)と、第1押圧面(5B)と第1内周固定面(51A)との間に密封に圧着された弾発力により第1押圧面(5B)を軸方向へ押圧する第1弾性シールリング(2)と、第1密封環(5)の第1シール面(5A)に密接すると共に、相対摺動可能な第2シール面(15A)を有する第2密封環(15)と、第2密封環(15)が密封に保持される第2シールリテーナ(61)とを具備し、第1押圧面(5B)は径方向の幅(H)に対して軸方向の長さ(L)の比H/Lが0.5を越えない範囲の傾斜面に形成されているものである。

Description

本発明は、例えば、履帯用ローラ、トラックローラ、減速装置、油圧モータ等の相対回動する部品間をシールするシール装置に関する。特に、車両の減速装置、各種機械の油圧モータ等の相対部品間に不純物と共に作用して圧力を高める被密封流体や、高圧な被密封流体をシールするシール装置に係わるものである。
本発明に関連する第1関連技術として図13に示すシール装置が存在する(例えば、実開平1−98368号公報又は米国特許第4,844,483号明細書を参照)。このシール装置100は、鉱山用ダンプトラックの駆動輪装置に適用される。
このシール装置100は、図13に示すような構成である。図13のシール装置は、駆動装置に取り付けた片側の部分断面図である。図13に於いて、図示省略の軸は、固定側リテーナ130の貫通孔内に配置されている。そして、軸と固定側リテーナ130との間の空間部120にシール装置100が配置されている。このシール装置100は、軸と固定側リテーナ130との空間部120に外部Aから砂利等の微粉末を含む水や泥水等の被密封流体Mが浸入するのを阻止する。
シール装置100は、シール面105Sを設けた第1シールリング105と、対向シール面115Sを設けた第2シールリング115とを対向させると共に、シール面105Sと対向シール面115Sとを密接させて軸の廻りに配置している。この第1シールリング105のシール面105Sと第2シールリング115の対向シール面115Sとを密接させるために、第1シールリング105の外周は、第1傾斜面105Aと第1円弧面105Bと第1垂直面105Cとにより形成している。又、第2シールリング115の外周は、第2傾斜面115Aと第2円弧面115Bと第2垂直面115Cとにより形成している。
次に、空間部120の一面を形成する固定側リテーナ130の第1支持面130Aは、段付面に形成されている。又、回転側リテーナ140の第2支持面140Aも段付面に形成されている。そして、この第1シールリング105と第2シールリング115及び固定側リテーナ130と回転側リテーナ140との間が空間部120に形成されている。
この空間部120側の第1傾斜面105Aと第1支持面130Aとの間には、第1Oリング102が配置されている。又、第2傾斜面115Aと第2支持面140Aとの間にも第2Oリング103が配置されている。そして、第1Oリング102は、断面が楕円形に弾性変形し、第1接合面102Bが第1傾斜面105Aに接合すると共に、第2接合面102Cが第1支持面130Aと圧接している。更に、第2Oリング103も第1接合面103Bが第2傾斜面115Aに接合すると共に、第2接合面103Cが第2支持面140Aと圧接して楕円形に弾性変形している。
上述のように構成されたシール装置100は、第1シールリング105が第1Oリング102の弾性変形力で軸方向へ押圧されていると共に、第2シールリング115も、第1シールリング105に対向する方向へ、第2Oリング103の同様な作用力で押圧される。そして、シール面105Aと対向シール面115Aとは密接しながら摺動する。このとき、外部Aから空間部120へ不純物を含む被密封流体Mが浸入すると、被密封流体Mの圧力により、第1Oリング102及び第2Oリング103と、第1シールリング105及び第2シールリング115とは、図3に示すような被密封流体Mの作用力を受ける。そして、被密封流体Mの圧力は、第1垂直面105Cと第2垂直面115Cとに作用し、互いのシール面105Aと対向シール面115Aとを設定値以上の圧力で圧接される。このために、シール面105Aと対向シール面115Aとは、強く圧接されながら摺動するので、摺動摩擦により高温になる。
実験によれば、泥水を空間部120へ浸入させると、泥水に含む土砂等の不純物が空間部120に蓄積し、この蓄積した圧力により第1シールリング105の第1垂直面105Cと、第2シールリング115の第2垂直面115Cとを互いに向かい合うように押圧し、シール面105Aと対向シール面115Aとが摺動するときの摩擦熱により各シールリング105,115の温度が300°C以上に達することもある。このように摺動時に発生する熱により各第1シールリング105と第2シールリング115とが高温になると、ゴム材製の第1Oリング102と第2Oリング103とは高温度により軟化して弾性的に復元しない状態が進行する。このために、各第1Oリング102と第2Oリング103とは、各第1シールリング105と第2シールリング115とを押圧する弾性力の機能が低下する。更に、第1シール面105Aと第2シール面115Aとは、この高温度により劣化して摩耗を促進することになる。
更に、図14に示すフローティングシール装置150は、本発明に関連する第2関連技術である{例えば、実開昭62−4665号全文明細書(第1−4頁、第5図)又は特開2002−98236号公報等を参照}。
このフローティングシール装置150は、第1シールリング152と第2シー
ルリング153と、が図示省略の軸の廻りで、図示するように径方向へ長く傾斜した形で互いに対向に配置されている。そして、第1シールリング152のシール面152Aと第2シールリング153のシール面153Aとは密接している。この第1シールリング152のシール面152Aと第2シールリング153のシール面153Aとの密接は、ゴム材製の第1Oリング155と第2Oリング156の断面楕円形に弾性変形した圧縮力により押圧されている。このために、第1Oリング155と第2Oリング156とは、互いに径方向へ斜めに向き合った状態で、それぞれ第1ケーシング160と第1シールリング152及び第2ケーシング170と第2シールリング153との間に配置される。そして、各々第1密封面155Aが第1支持面160Aに圧接すると共に、第2密封面156Aが第2支持面170Aに圧接する。更に、各々第1密接面155Bが第1シールリング152に圧接すると共に、第2密接面156Bが第2シールリング153に圧接している。
このフローティングシール装置150は、スラリを含む高圧の被密封流体Mをシールするものである。又、粉体を含む被密封流体Mをシールする。このため、外部Aから浸入する被密封流体Mの圧力により対称に配置された各第1Oリング155及び第2Oリング156のゴム材が圧縮されて第1シールリング152と第2シールリング153の各シール面152A、153Aが互いに密接する。そして、各シール面152A、153Aが第1Oリング155及び第2Oリング156の強い弾性圧縮力により圧接されているために、各シール面152A、153Aの摩耗を早めることになる。
又、外部Aより被密封流体Mが空間部160へ浸入して、第1Oリング155と第1シールリング152及び第2Oリング156と第2シールリング153とを押圧すると、第1Oリング155及び第2Oリング156はゴム材であるために、各第1Oリング155と第1シールリング152及び第2Oリング156と第2シールリング153との間に入り込んだスラリは、各第1Oリング155及び第2Oリング156を内径方向へ押圧し、各シール面152A、153Aの平行度を変位させるように作用する。そして、各シール面152A、153Aの平行度の変化は、各シール面152A、153Aを偏芯した状態に摩耗させることになる。同時に、第1シールリング152の傾斜面152B及び第2シールリング153の傾斜面153Bの外径側の各受圧面積は、第1Oリング155及び第2Oリング156の移動で拡大するから、スラリによる圧力は各傾斜面152B、153Bの受圧面を押圧し、各シール面152A、153Aを摺動時に圧接して摩耗させることになる。更に、第1シールリング152と第2シールリング153の摺動時の摩擦熱は、第1Oリング155及び第2Oリング156を加熱により軟化させて応力緩和を促進し、第1Oリング155及び第2Oリング156の押圧弾性力を低下させることになる。
本発明は上述のような問題点に鑑み成されたものである。そして、その解決しようとする課題は、高圧力又は不純物を含む被密封流体の圧力が各シールリングに作用して各シール面が摺動時に摩耗するのを防止することにある。更に、各シール面の摺動時の発熱により各弾性シールリングが応力緩和するのを防止し、弾性シールリングによりシールリングを押圧する弾性能力が発揮できる。
本発明は、上述した技術的課題を解決するために成されたものであって、その課題を解決するための技術的手段は以下のように構成する。
本発明のシール装置は、相対回動する一方の部品と他方の部品との間をシールするフローテング型のシール装置である。このシール装置は、端面に第1シール面を有すると共に、第1シール面と反対側に押圧力で軸方向へ押圧できる傾斜面に形成された第1押圧面を有する第1密封環が設けられている。又、第1押圧面との間に空間が形成されて対向する第1内周固定面を有する第1シールリテーナが設けられている。更に、第1押圧面と第1内周固定面との間に密封に圧着されて弾発力により第1押圧面を軸方向へ押圧する第1弾性シールリングが設けられている。更にまた、第1密封環の第1シール面に密接して相対摺動可能な第2シール面を有するとともに第2シール面を支持する支持面を有する第2密封環が設けられている。また、第2密封環の支持面が保持される固定面を有する第2シールリテーナが設けられている。更に、第2シールリテーナの固定面と第2密封環の支持面との間をシールするシール環状体が設けられている。そして、第1押圧面は径方向の幅に対して軸方向の長さの寸法比H/Lが0.5を越えない範囲の傾斜面に形成されているものである。
この本発明のシール装置では、第1密封環に於ける第1押圧面の軸方向の長さLに対して径方向の幅Hの寸法比が0.5を超えない範囲に形成されているものである。このために、空間部に土砂等の粉末を含む被密封流体が浸入しても、この被密封流体の粉末の圧力は、第1弾性シールリングを空間部内へ押し込むように作用すると共に、第1密封環に対しては第1押圧面に作用して第1シール面を第2シール面方向へ押圧する。しかし、被密封流体の圧力が作用する第1弾性シールリングは第1密封環の第1シール面に対して背面方向へ移動しようとするので、この力は第1シール面を押圧する力として作用しない。同時に、被密封流体の圧力は第1押圧面に作用することになるが、第1押圧面の形状は、幅Hと長さLのH/Lの寸法比が0.5を超えない範囲に形成されているから、第1押圧面の受圧面積は小さくなる。このために、この小さくした受圧面積の第1押圧面に被密封流体の圧力が作用しても、第1シール面に作用する力は大きくならないから、摺動時に第1シール面に発生する摩擦熱の温度は上昇するのが防止できる。
その結果、第1シール面は、温度の上昇につれて摩耗すると共にクラックが発生するのを効果的に防止できる。更に、第1シール面の摺動に伴う発熱の上昇により、この温度が第1弾性シールリングに伝熱して第1弾性シールリングを軟化させるのを防止すると共に、第1弾性シールリングが第1密封環を弾発に押圧する能力の低下が効果的に防止できる。そして、空間部に土砂等を含む被密封流体が浸入して蓄積しても、シール面の面圧を異常に上昇させて摩耗が促進すると共に、シール能力が低下するのを効果的に防止できる。
次に、本発明に係わる実施態様の発明について述べる。
本発明の第1実施態様のシール装置は、第1密封環の第1シール面の径方向面を基準にして第2密封環は支持面が第1密封環の第1押圧面と軸方向に対称な形に形成されているとともに、第2シールリテーナの固定面は第1シールリテーナの第1内周固定面と対称な形に形成され、且つシール環状体は第1弾性シールリングと対称な形に形成されて第2密封環を支持しているものである。
この本発明に係わる第1実施態様のシール装置によれば、第1密封環及び第1弾性シールリングに対して第2密封環及び第2弾性シールリングを対称に配置している。このため、空間部に浸入した高圧の被密封流体は、第1弾性シール部と第2弾性シールリングに作用する。同時に、第1密封環と第2密封環の各押圧面に作用する。しかし、上述の本発明の作用効果に記載したように、押圧面は受圧面積が小さくなるように形成されているから、第1シール面と第2シール面は、被密封流体の圧力を受けても互いに押し合う力は上昇するのが防止される。その結果、各シール面の摺動摩擦による摩耗が防止されると共に、摺動熱による第1弾性シールリングと第2弾性シールリングが軟化し、シール能力と押圧能力が低下するのを防止する。そして、第1弾性シールリングと第2弾性シールリングが互いに各第1及び第2密封環を均等に押圧してシール能力を発揮させる。
また、本発明の第2実施態様のシール装置は、第1押圧面又は/及び第2押圧面が環状面の両端側を円弧状面に形成すると共に、円弧状面が弾性シールリングの外周面と略同一の曲率に形成されているものである。
この本発明に係わる第2実施態様のシール装置によれば、各第1密封環の第1押圧面及び第2密封環の第2押圧面の両端側を円弧状面に形成しているので、各円弧状面と各弾性シールリングの外周面を接合させることが可能になる。このため、各押圧面と各弾性シールリングの外周面の間に被密封流体が浸入するのを防止して被密封流体の圧力が押圧面に作用するのを防止する。その結果、各弾性シールリングの弾性力のみの設定圧力により各密封環を押圧することが可能になる。そして、シール装置の耐久能力が向上する。
さらに、本発明の第3実施態様のシール装置は、第1弾性シールリング又は/および第2弾性シールリング又はシール環状体が水素化ニトリルゴム材で形成されているものである。
この本発明に係わる第3実施態様のシール装置によれば、第1弾性シールリング及び第2弾性シールリング又はシール環状体が水素化ニトリルゴム(H−NBR)材製であるために、各密封環の発熱温度に耐えることができるので、発熱温度により軟化することなくシール能力を発揮すると共に、密封環を押圧する弾性押圧力を発揮する。つまり、各押圧面がH/L=0.5を越えない形状に限定された各密封環が被密封流体の高圧力により押圧されて各シール面が摺動発熱しても、第1弾性シールリング及び第2弾性シールリングは、この低い発熱温度に耐えることができるので、弾性押圧力及びシール能力を発揮する効果を奏する。
第1図は、本発明に係る第1実施の形態のシール装置の片側断面図である。
第2図は、図1に示す第1密封環の片側断面図である。
第3図は、本発明に係るシール装置の第1弾性シールリングに被密封流体が作用した状態の部分片側断面図である。
第4図は、図1のシール装置を減速装置に取り付けた状態の片側の部分断面図である。
第5図は、本発明に係る第2実施の形態のシール装置の片側断面図である。
第6図は、本発明に係る第1実施の形態のシール装置を摺動試験した状態の片側断面図である。
第7図は、本発明に係わるシール装置のシール面を実施例1として摺動試験した発熱温度及び他の関連温度のチャートである。
第8図は、図7に係わるシール装置のシール面を摺動試験した後に、シール面側の断面を顕微鏡で見てスケッチした拡大図である。
第9図は、本発明に係わるシール装置のシール面を実施例2として摺動試験した発熱温度及び他の関連温度のチャートである。
第10図は、図9に係わるシール装置のシール面を摺動試験した後に、シール面側の断面を顕微鏡で見てスケッチした拡大図である。
第11図は、本発明に係わるシール装置のシール面を比較例1として摺動試験した発熱温度及び他の関連温度のチャートである。
第12図は、図11に係わるシール装置のシール面を摺動試験した後に、シール面側の断面を顕微鏡で見てスケッチした拡大図である。
第13図は、本発明に係わる第1関連技術のシール装置の片側断面図である。
第14図は、 本発明に係わる第2関連技術のシール装置の片側断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳述する。以下の図面は本発明の正確な設計図を基にしたものである。
図1は、本発明に係わる第1実施の形態を示すシール装置1の片側の裁断面図である。又、図2は図1に示すシール装置1の第1密封環の断面図である。更に、図4はシール装置1を取り付けた減速装置の要部を示す断面図である。
以下の第1実施の形態は、図1と図2と図4を参照して説明する。図4に示すように、シール装置1はローラ50と軸に嵌着したリテーナ60との間に形成されたシール室70内に設けられている。このシール室70は、ローラ50の端部側にOリング30を介して設けられた第1シールリテーナ51の第1内周固定面51Aと、リテーナ60と、リテーナ60に一体の第2シールリテーナ61の第2内周固定面61Aとに囲まれた内部に形成されている(尚、第2シールリテーナ61はリテーナ60と別体にする場合もある)。このリテーナ60は軸受52を介してローラ50と相対回転する。又、シール室70は、シール装置1が装着されていないときは、外部Aと連通している。
このような構成の減速装置において、シール室70内には一対を成す第1密封環5と第2密封環15とを互いに対称に配置する。図1に示すように、この第1密封環5の端面には第1シール面5Aを形成する。第1シール面5Aと反対側は第1背面5Fである。又、第2密封環15の端面にも第2シール面15Aを形成する。又、第2シール面15Aと反対側は、第2背面15Fである。そして、第1密封環5と第2密封環15は、第1シール面5Aと第2シール面15Aとを対向にして配置したとき対称の形状になるように全体形状を形成する。
更に詳しく各第1密封環5及び第2密封環15について述べる。第1密封環5の外周の第1押圧面5Bは、円周面に形成すると共に、その第1押圧面5Bが第1シール面5Aに向かって大径になるような第1傾斜面5B1に形成する(図2を参照)。この第1押圧面5Bは、第1傾斜面5B1の両端側がほぼ同形状の円弧状面に形成する。この両円弧状面のうち、第1シール面5A側の第1円弧状面5B2は、後述する第1弾性シールリング2の外周面と略接合する曲率半径に形成する。更に、第1押圧面5Bの第1背面5F側は基準円弧状面である。又、第1密封環5の内周は、第1内周面5Eに形成すると共に、軸と間隙を設けた遊嵌状態に形成する。この第1押圧面5Bは、他の実施例として図2に示す破線の第1押圧面5B’のように傾斜面に形成することもできる。この第1押圧面5Bは、幅Hと長さLのH/Lの寸法比が0.5を越えなければ、図2を参照して種々の形状に形成できる。
図2を参照する。図2に於いて、第1密封環5は、実線で示す押圧面5Bに形成されている。この第1押圧面5Bは基準円弧状面の曲率半径QのD点を通る中心線からθの角度の線と交わる点Pから第1傾斜面5B1を形成する。このときの第1傾斜面5B1の軸芯に対する角度は、θとなるように設定されている。第1押圧面5Bの軸方向の長さLは、点Pから第1円弧状面5B2の外径の終端点P`までの距離である。又、第1押圧面5Bの径方向の幅Hは、点Pから第1密封環5の外径面までの距離である。第1シール面5Aの径方向の面幅はCであり、径方向の面幅Cは、第1押圧面5Bの径方向の幅Hより小さい。尚、第1シール面5Aを形成する端部の厚さはL1である。この厚さL1は、第1密封環5の材質の強度及びシール面5Aからの摺動時の発熱が第1弾性シールリング2に伝熱することを考慮して決める。
この第1押圧面5Bの他の例として、前述したように破線で示すような略直線状の第1押圧面5B’に形成することもできる。この構成に於いても、前述したようにして幅Hと長さLのH/Lの寸法比は0.5を越えないようにする。更に、第1シール面5Aの径方向の面幅Cと第1押圧面5Bの径方向の幅Hとの寸法関係を考慮し、第1シール面5Aを設けた端面の内周は、対向端面と接触しないようにテーパ面5A1に形成する。尚、第1密封環5は径方向の厚さがW寸法のリング体である。この径方向の厚さWは、フローティングシールとして第1密封環5及び第2密封環15の各シール面5A、15Aの平面度を保てる強度の点から考慮して設計する。この第1密封環5は、直径が38mmから1000mmの範囲のものが適している。
第2密封環15は、図1から明らかなように、第1密封環5と対称の形状となる。その形状は、上述した第1密封環5と同形状であるので詳細な説明は省略する。尚、第2密封環15の端面には、第2シール面15Aを設けると共に、反対側には第2背面15Fを設ける。又、第2密封環15の外周には、第2押圧面15Bを設ける。この第2押圧面15Bは、第2傾斜面(第1傾斜面5B1と同じ形状)と第2円弧状面15B2から構成する(図1を参照)。尚、第2密封環15は内周に内周面15Eを形成する。又、第2シール面15Aの内周は第2テーパ面15A1に形成する。又は、テーパ面15A1の代わりに段付形状にしても良い。
この第1密封環5及び第2密封環15は、鋳鉄製である。鋳鉄としてはCr−Mo鋳鉄、Ni−Cr鋳鉄が好ましい材料である。この他の材料としては、銅合金、炭素鋼、SiC、超硬合金、アルミナセラミック等の材料で製作することもできる。第1密封環5及び第2密封環15を鋳鉄製にすると熱伝導が良好であると共に、摺動性も良い。更に、材料費が安く且つ加工費が安価である。又、第1密封環5と第2密封環15のうちの一方を鋳鉄材にすることもできる。各第1密封環5及び第2密封環15は、これらの材料を機械加工又は粉末成形により製作する。
第1シールリテーナ51はローラ50にOリング30を介して嵌着している(図4を参照)。第1シールリテーナ51の内周には第1内周固定面51Aが段付面で環状に形成する。この第1内周固定面51Aは、第1押圧面5Bに対向した傾斜面に形成する。この第1内周固定面51Aの先端面は円弧状に内周へ突出しているが、第1内周固定面51Aを延長して傾斜した第1先端面51A1に形成することもできる。第1内周固定面51Aの内部側の支持面51Bは第1弾性シールリング2が被密封流体の圧力により押し込まれたときに支持する。この支持面51Bは、被密封流体の圧力が第1弾性シールリング2に作用したとき、第1押圧面5Bの第1傾斜面5B2に被密封流体の圧力が作用する面積を小さくすることができる。このため、第1支持面51Bは破線で示す突出支持面51B1のように第1弾性シールリング2へ突出させて近接させると良い。
第2シールリテーナ61は、リテーナ60に一体に形成しているが(図4参照)、第2密封環15を挿入する関係から、別体に形成することもできる。尚、第2シールリテーナ61の第2内周固定面61A、第2先端面61A1、第2支持面61B、第2突出支持面61B1も第1シールリテーナ51の第1内周固定面51A、第1先端面51A1、第1支持面51B、第1突出支持面51B1と対称を成して略同一形状に形成されている。第1シールリテーナ51及び第2シールリテーナ61は鋳鉄、鋳鋼、特殊鋼にすると良い。
シール装置1には、Oリング型の第1弾性シールリング2が第1密封環5の第1押圧面5Bと第1シールリテーナ51の内周固定面51Aとの間に楕円形状に弾性変形した形に圧縮して嵌合する。そして、第1弾性シールリング2の内周の第1接合面2C1を第1押圧面5Bに密接させると共に、外周面の第2接合面2C2を第1シールリテーナ51の第1内周固定面51Aに密接する。この第1弾性シールリング2の弾発力により第1密封環5の第1押圧面5Bを軸方向へ押圧すると共に、第1シール面5Aを第2シール面15Aへ押圧して密接させる。同時に、第1弾性シールリング2は第1密封環5と第1シールリテーナ51との空間部20の被密封流体がシール室70側へ漏洩するのをシールする。
次に、第1弾性シールリング2と対称に配置された第2弾性シールリング3は、第1弾性シールリング2と対称形に形成されている。この第2弾性シールリング3も第2密封環15の第1押圧面15Bと第2シールリテーナ61の第2内周固定面61Aとの間に楕円形状に弾性変形した形に圧縮されて嵌合している。そして、第2弾性シールリング3の内周の第1接合面3C1を第2押圧面15Bに密接させると共に、外周面の第2接合面3C2を第2シールリテーナ61の第2内周固定面61Aに密接させる。この第2弾性シールリング3の弾発力により第2密封環15の第2押圧面15Bを押圧すると共に、第2シール面15Aを第1シール面5Aへ弾発に押圧して密接させる。同時に、第2弾性シールリング3は第2密封環15と第2シールリテーナ61との間の空間部20の被密封流体がシール室70側へ漏洩するのをシールする。この空間部20の被密封流体は、シール装置1をダンプトラック、トラクター等に取り付けたとき、走行中に外部Aから浸入する。
この第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3は、ゴム材製である。このゴム材は、例えば、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、パーフロロエラストマー、ニトリルゴム(NBR)の硬度DuroA60から70、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)、ブチルゴム(IIR)、弾性力を有する樹脂(例えば、四弗化エチレンーパーフロオロメチルビニルエーテルゴム)、シリコン等が用いられる。又、第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3は、Oリングに形成されているが、この実施例では、Oリングの線径は直径が5mmから18mmの範囲にすると良い。
このように構成された第1弾性シールリング2と第2弾性シールリング3は、通常の被密封流体の圧力では、第1弾性シールリング2の第1接合面2C1が第1密封環5の第1押圧面5Bに密接すると共に、第2弾性シールリング3の第1接合面3C1が第2密封環15の第2押圧面15Bに密接する。又、第1弾性シールリング2の第2接合面2C2が第1シールリテーナ51の第1内周固定面51Aに接合すると共に、第2弾性シールリング3の第2接合面3C2が第2シールリテーナ61の第2内周固定面61Aに密接する。このとき、第1弾性シールリング2の第1接合面2C1及び第2弾性シールリング3の第1接合面3C1は、互いに第1密封環5の第1押圧面5B及び第2密封環15の第2押圧面15Bを弾性的に押圧して第1シール面5A及び第2シール面15Aが互いに密接するように作用する。
そして、高圧力の被密封流体が外部Aからシール装置1の空間部20に作用すると、図3に示すような圧力状態になる。この被密封流体Mに含まれる土砂等の粉末が空間部20内に圧力として蓄積する。このとき、図13に示すような先行技術では、図3の仮想線で示すような第1円弧状面5B2から外径方向へ第1垂直面105Cが形成されている。尚、反対側は第1シール面105Aとテーパ面105A1とに形成されている。このとき、被密封流体Mの圧力が、第1円弧状面5B2に作用する力F2と、第1垂直面105Cに作用する力F3との合力として第1密封環5に作用する。そして、第1垂直面105Cに作用した力F3が第1シール面105Aを強力に押圧し、第1シール面105Aの摺動時に第1シール面105Aの摺動熱で第1シール面105Aを発熱させると共に、第1シール面105Aを摩耗させることになる。同時に、被密封流体Mは、第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3に対してF5の力が作用して図3に示すように押圧する。尚、第2密封環15と第2弾性シールリング3に対しても同様に作用する。
しかし、本発明のように、第1押圧面5B及び第2押圧面15Bの各受圧面積を設定する幅Hと長さLの寸法比がH/L=0.5を越えない値によって、第1押圧面5Bの第1受圧面積と第2押圧面15Bの第2受圧面積とを小さくできるから、第1受圧面積に作用する力F2の合力及び第2受圧面積に作用する力F2の合力も小さくなる(第2密封環15の図は、対称であるため省略)。その結果、各シール面5A、15Aに作用する力F1は小さくすることができる。そして、互いに密接する第1シール面5Aと第2シール面15Aの摺動時の摩耗が防止できると共に、摺動時の発熱が防止できる。更に、発熱に伴う高温度により第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3が永久変形する応力緩和を防止し、第1弾性シールリング2により第1密封環5を押圧する弾発能力を向上させると共に、第2弾性シールリング3により第2密封環15を押圧する弾発能力を向上させる。
図5は本発明の他の実施の形態に係わるシール装置1の片側の断面図である。図5に於いて、図の右側の構成は、上述した第1密封環5と第1弾性シールリング2と第1シールリテーナ51と同一形状である。この図5の左側の構成は、第2シールリテーナ61に段部状の固定面61Aを形成する。この固定面61AにOリングであるシール環状体13を介して第2密封環25を接合状態に嵌着する。このシール環状体13により第2シールリテーナ61と第2密封環25との間をシールする。この第2密封環25には、端部に第2シール面25Aを設ける。又、第2密封環25の内周は、軸と遊合する第2内周面25Eに形成されている。このように、シール装置1の第1密封環5のみを本発明のように構成して第2密封環25を他の構成にすることもできる。また、このシール環状体13は、第2シールリテーナ61と第2密封環25の間に介在し、図5に示すように、第2シールリテーナ61と第2密封環25との接合面間をシールする形状にしたものも存する。或いは、図1に示すように、接合面間をシールするとともに、第2密封環25を弾性的に支持して押圧するものも存する。従って、第2シールリテーナ61と第2密封環25との組み合わせの形状に応じてシール環状体13を種々の形状に応用できる。
以上の実施の形態に示すように、シール装置1は、ローラ50の回動とともに、外部Aから浸入して徐々に蓄積された圧力の被密封流体及び泥水等をシールすることができる。又、シール室70の一方には、ローラ50と軸との間にベアリング52が設けられているので、潤滑油が介在されている。しかし、第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3は、この潤滑油の圧力を受けても被密封流体が高圧であるから、潤滑油をシールする(図4を参照)。そして、被密封流体の圧力が高圧であっても、各シール面5A、15Aは、第1密封環5の第1押圧面5Bと第2密封環15の第2押圧面15Bとの傾斜する径方向の幅Hと軸方向の長さLの寸法比がH/L=0.5を越えない値により、強く圧接されない構成になる。そして、第1シール面5A及び第2シール面15Aは、摩耗が防止されると共に、摺動時の発熱を防止して第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3の耐久能力を発揮させ、そのシール能力を向上させる。尚、その他の符号の説明は図1と同じである。
図6のシール装置1は、図1のシール装置1と略同一の構成である。第1密封環5及び第2密封環15は軸方向の長さLの寸法を21mmに形成すると共に、最大外径を260mmに形成した。又、第1弾性シールリング2及び弾性シールリング3は、Oリングであって、外径の直径寸法が274.6mmであり、線径の直径寸法が13.1mmである。更に、外部Aから空間部20に被密封流体を導入する通路幅は4mmにした。このシール装置1により、本発明の各第1シール面5A及び第2シール面15Aに於ける摺動時の摩耗状態と発熱温度状態を試験した。尚、図6のシール装置1の構成は、図1のシール装置1と同一符号で示す通り同一である。そして、図6に示すように、空間部20に泥を高圧で押し込んで、第1弾性シールリング2と第2弾性シールリング3を図3に示すような押圧状態にした。このとき、第1弾性シールリング2と第1押圧面5Bとの間及び第2弾性シールリング3と第2押圧面15Bとの間に泥水は圧入される。

本発明の実施例1
図7は、第1試験の下記の条件で各第1シール面5A及び第2シール面15A近傍の摺動時の発熱温度をチャートにしたものである。この第1試験の条件は以下の通りである。
1)第1密封環5の第1押圧面5Bと第2密封環15の第2押圧面15Bは、 図2の形状に於いて、H/L=0.35の寸法関係に形成した。
2)シール室70内の潤滑油は、ギヤオイル#90で、オイルヒータにより加 熱する。
3)第1シール面5Aの周速度は、0.6m/sである。
4)試験時間は、50時間で連続運転した。
そして、各第1シール面5A及び第2シール面15Aを相対摺動させ、図6に示す第1円弧状面5B2又は第2円弧状面15B2の外周近傍の測定位置Uと、この測定位置Uから図示省略する周方向へ180°廻った第1円弧状面5B2又は第2円弧状面15B2の対称の測定位置とに於ける少なくとも二個所の摺動時の発熱温度を測定した。その結果は、図7のチャートに示す通りである。
図7のチャートに於いて、UTは、図示上部の測定位置Uを温度測定した値である。又、DTは、測定位置Uに対し軸芯の対称の測定位置(Uの位置から周方向へ180°廻った位置)を温度測定した値である(図6に示す下部には潤滑油が存在する)。又、Tは、オイルヒータによる油温の温度である。Rは、試験機の周囲の室温である。比較例の密封環(図13に示す各密封環と類似な形状)では、図2の形状とは異なるが符号を参照して各第1シール面5A及び第2シール面15Aが摺動してから3時間から5時間の間に焼き付きが生じるが、第1実施例では各第1シール面5A及び第2シール面15Aに焼き付きが認められない。又、各第1シール面5A及び第2シール面15A付近の温度は、約150°Cで進行した。このため、第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3は軟化することなく耐久能力を発揮する。
図8は、実施例1の第1試験後に各第1シール面5A及び第2シール面15Aを断面にして拡大した摩耗状態である。この各第1シール面5A及び第2シール面15Aは、摺動から50時間後でも、ほとんど摩耗が進行していないことが認められる。
本発明の実施例2
図9は、実施例1の試験と同じ条件で実施し、各第1シール面5A及び第2シール面15A近傍の摺動時の発熱温度をチャートにしたものである。但し、
1)第1密封環5の第1押圧面5Bと第2密封環15の第2押圧面15Bは、図2の形状に於いて、H/L=0.50の寸法関係に形成した。
又、測定した位置は、図6に示す第1密封環5の第1円弧状面5B2と第2密封環15の第2円弧状面15B2の測定位置Uと、測定位置Uに対して周方向へ180°廻った対称の測定位置とである。
図9のチャートに於いて、UTは、図6に示す測定位置Uを温度測定した値である。又、DTは、測定位置Uに対し軸芯と対称の測定位置を温度測定した値である。更に、Tは、オイルヒータによる油温の状態である。又、Rは、試験機の周囲の室温である。試験の結果は、図9のチャートに示す通りである。この各第1シール面5A及び第2シール面15A近傍の発熱温度は、160°C前後で進行した。この温度でも、第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3は軟化することなく、耐久能力を発揮する。先行技術では、各第1シール面5A及び第2シール面15Aが摺動してから3時間から5時間経つと焼き付きが生じるが、第2試験でも各第1シール面5A及び第2シール面15Aに焼き付きが認められなかった。
図10は、実施例2の試験後に各第1シール面5A及び第2シール面15Aを断面にして拡大した摩耗状態である。この各第1シール面5A及び第1シール面15Aは、摺動から50時間後でも、摩耗があまり進行していないことが認められる。
比較例1
図11は、実施例1の試験条件と同じ条件で各第1シール面5A及び第2シール面15A近傍の摺動時の発熱温度を連続に調べ、チャートにしたものである。但し、
1)第1密封環5の第1押圧面5Bと第2密封環15の第2押圧面15Bは、図2の形状に於いて、H/L=0.67の寸法関係に形成した(図13の各密封環と類似の形状)。
又、各第1シール面5A及び第2シール面15Aを相対摺動させ、図6に示す外周近傍の測定位置Uとこの測定位置Uから周方向へ180°廻った対称の測定位置との発熱温度を測定した。その結果は、図11のチャートに示す通りである。
図11のチャートに於いて、UTは、図6に於ける測定位置Uを温度測定した値である。又、DTは、測定位置Uに対して軸芯と対称の測定位置Uの位置から180°廻った位置)を温度測定した値である。又、Tは、オイルヒータによる油温の状態である。Rは、試験機の周囲の室温である。この比較例1の試験に於いて、各第1シール面5A及び第2シール面15Aは摺動すると直ぐに230°Cから240°Cの温度に上昇し、その2時間後に相対摺動する各第1シール面5A及び第2シール面15Aは焼き付きが生じて試験機が停止した。その後も無理に運転すると、相対摺動する各第1シール面5A及び第2シール面15Aは、数時間ごとに焼き付きを繰り返しながら、摺動した。各第1シール面5A及び第2シール面15Aの焼き付き時は、発熱温度が220°C位まで高まることが認められる。このときの各第1シール面5A及び第2シール面15Aの発熱温度は、170°Cから270°Cの範囲に振れた。
図12は、比較例1の試験に於ける各第1シール面5A及び第2シール面15Aを断面にした摩耗状態である。この各第1シール面5A及び第2シール面15Aの摩耗状態は、実施例1及び実施例2に比較して異常な摩耗が認められる。又、長時間使用すると、第1弾性シールリング2及び第2弾性シールリング3が軟化する恐れがある。
以上は、本発明の特定の実施例について記載したが、これらの実施の態様の説明は、発明の全部を網羅するものではなく、或いは、開示された形態に本発明を限定するものでもない。この実施例から種々の変更や修正ができることは、記載例から明らかである。本発明の技術的範囲は請求項によって規定されている。
以上のように、本発明のシール装置は、履帯用ローラ、トラックローラ、減速装置、油圧モータ等の相対回動する部品間をシールするシール装置として有用である。特に、車両の減速装置、各種機械の油圧モータ等の相対部品間に不純物が蓄積して圧力を高める被密封流体や、高圧な被密封流体をシールするシール装置として有用である。

Claims (4)

  1. 相対回動する一方の部品と他方の部品との間をシールするフローテング型のシール装置であって、
    端面に第1シール面を有すると共に、前記第1シール面と反対側に押圧力で軸方向へ押圧できる第1押圧面を有する第1密封環と、
    前記第1押圧面と対向する第1内周固定面を有する第1シールリテーナと、
    前記第1押圧面と前記第1内周固定面との間の両面に密接して弾発力により前記第1押圧面を軸方向へ押圧する第1弾性シールリングと、
    前記第1密封環の前記第1シール面に密接して相対摺動可能な第2シール面を有するとともに前記第2シール面を支持する支持面を有する第2密封環と、
    前記第2密封環の前記支持面がシール環状体を挟んで保持される固定面を有する第2シールリテーナと、を具備し、
    前記第1押圧面は径方向の幅(H)に対して軸方向の長さ(L)の寸法比H/Lが0.5を越えない範囲の傾斜状面に形成されていることを特徴とするシール装置。
  2. 前記第1密封環の前記第1シール面の径方向面を基準にして前記第2密封環は前記支持面が前記第1密封環の第1押圧面と軸方向に対称な形に形成されているとともに、前記第2シールリテーナの前記固定面は前記第1シールリテーナの前記第1内周固定面と対称な形に形成され、且つ前記シール環状体は前記第1弾性シールリングと対称な形に形成されて前記第2密封環と密接して支持していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシール装置。
  3. 前記第1押圧面又は/及び前記第2押圧面が環状面の両端側を円弧状面に形成すると共に、前記円弧状面が弾性シールリングの外周面と略同一の曲率に形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のシール装置。
  4. 前記第1弾性シールリング又は/及び前記第2弾性シールリング又はシール環状体が水素化ニトリルゴム材製であることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項又は第3項に記載のシール装置。

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