JP2019190645A - フローティングシール装置 - Google Patents

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浩之 平間
Hiroyuki Hirama
浩之 平間
優太 後藤
Yuta Goto
優太 後藤
祐典 横山
Yusuke Yokoyama
祐典 横山
利治 安部川
Toshiji Abekawa
利治 安部川
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Abstract

【課題】回転体が連続で高速回転しても、発熱を抑制できるフローティングシール装置を提供すること。【解決手段】フローティングシール装置は、第1シール面と、固定体の第1内周面に対向する第1外周面とを有する第1シールリングと、第1シール面に対向する第2シール面6Aと、回転体の第2内周面に対向する第2外周面6Bとを有する第2シールリング6と、第1シールリングの周囲に配置され、第1内周面及び第1外周面に接触する第1弾性リングと、第2シールリングの周囲に配置され、第2内周面及び第2外周面に接触する第2弾性リング8と、を備える。第2外周面は、第2シールリングの中心軸CXを通る断面において直線状であり、第2中心軸に平行な第2軸方向において第2シール面に向かって中心軸から離れるように傾斜する。中心軸と第2外周面とがなす角度θは、7[°]≦θ≦11[°]、の条件を満足する。【選択図】図3

Description

本発明は、フローティングシール装置に関する。
ブルドーザ又は油圧ショベルのような作業車両は、土砂のような異物にさらされ、過酷な環境で使用される。そのため、作業車両のシール装置には、異物の侵入及び潤滑油の漏出を抑制できる高いシール性及び耐久性が要求される。作業車両のシール装置として、フローティングシール装置が知られている。フローティングシール装置は、作業車両の回転体と固定体との間隙をシールする一対のシールリングを有する。一方のシールリングが回転体に装着され、他方のシールリングが固定体に装着される。シールリングは、相互に接触するシール面を有する。回転体が回転すると、一方のシールリングのシール面が他方のシールリングのシール面に対して摺動する。
特開2005−330581号公報
運転者が搭乗せずに無人で稼働する無人作業車両は、連続して高速走行することができる。無人作業車両が履帯を有する場合、履帯を支持する転輪は連続して高速回転する。そのため、無人作業車両にフローティングシール装置を適用した場合、シールリングのシール面が長時間激しく摺動し、過度に発熱する可能性がある。その結果、フローティングシール装置の耐久性が低下する。
本発明の態様は、回転体が連続して高速回転しても、過度な発熱を抑制できるフローティングシール装置を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、第1シール面と、固定体の第1内周面に対向する第1外周面とを有する第1シールリングと、前記第1シール面に対向する第2シール面と、回転体の第2内周面に対向する第2外周面とを有する第2シールリングと、前記第1シールリングの周囲に配置され、前記第1内周面及び前記第1外周面に接触する第1弾性リングと、前記第2シールリングの周囲に配置され、前記第2内周面及び前記第2外周面に接触する第2弾性リングと、を備え、前記第1外周面は、前記第1シールリングの第1中心軸を通る断面において直線状であり、前記第1中心軸に平行な第1軸方向において前記第1シール面に向かって前記第1中心軸から離れるように傾斜し、前記第2外周面は、前記第2シールリングの第2中心軸を通る断面において直線状であり、前記第2中心軸に平行な第2軸方向において前記第2シール面に向かって前記第2中心軸から離れるように傾斜し、前記第1中心軸と前記第1外周面とがなす角度θ、及び前記第2中心軸と前記第2外周面とがなす角度θは、7[°] ≦ θ ≦ 11[°]、の条件を満足する、フローティングシール装置が提供される。
本発明の態様によれば、回転体が連続で高速回転しても、発熱を抑制できるフローティングシール装置が提供される。
図1は、本実施形態に係るフローティングシール装置の一例を示す側断面図である。 図2は、本実施形態に係るフローティングシール装置の一部を拡大した側断面図である。 図3は、本実施形態に係る第2シールリングを示す側断面図である。 図4は、本実施形態に係る第2シールリングに作用する力を説明するための模式図である。 図5は、本実施形態に係る外周面の角度と押し付け力との関係を示す図である。 図6は、第2リテーナに対して第2シールリングが傾斜した状態で装着された状態を示す模式図である。 図7は、本実施形態に係る作用を説明するための図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
[フローティングシール装置]
図1は、本実施形態に係るフローティングシール装置1の一例を示す側断面図である。図2は、本実施形態に係るフローティングシール装置1の一部を拡大した側断面図である。図2は、図1のA部分拡大図に相当する。
フローティングシール装置1は、固定体2と回転体3とを有する機械装置に適用される。フローティングシール装置1は、固定体2と回転体3との間隙をシールする。フローティングシール装置1が適用される機械装置として、履帯を有する作業車両の走行装置が例示される。履帯を有する作業車両として、ブルドーザ及び油圧ショベルの少なくとも一方が例示される。本実施形態においては、フローティングシール装置1が、履帯を支持する転輪機構4に適用されることとする。
図1及び図2に示すように、転輪機構4は、固定体2と回転体3とを有する。固定体2は、回転体3に回転可能に支持される。回転体3は、回転軸AXを中心に回転する。
固定体2は、第1リテーナ2A及びシャフト2Bを含む。回転体3は、第1リテーナ2Aの周囲に配置される第2リテーナ3Aと、ブッシュ3Bを介してシャフト2Bの周囲に配置されるローラ3Cとを含む。第2リテーナ3Aは、ローラ3Cの端部に固定される。
フローティングシール装置1は、固定体2に装着される第1シールリング5と、回転体3に装着される第2シールリング6と、第1シールリング5の周囲に配置される第1弾性リング7と、第2シールリング6の周囲に配置される第2弾性リング8とを有する。図2に示すように、フローティングシール装置1は、第1リテーナ2A及び第2リテーナ3Aとシャフト2Bとの間に規定されたシール室11に配置される。
以下の説明においては、第1シールリング5の中心軸を適宜、第1中心軸、と称し、第2シールリング6の中心軸を適宜、第2中心軸、と称する。本実施形態において、第1シールリング5と第2シールリング6とは、第1中心軸と第2中心軸とが一致するように配置される。以下の説明においては、第1中心軸及び第2中心軸を適宜、中心軸CX、と総称する。中心軸CXと回転軸AXとは、僅かにずれる場合があるものの、実質的に一致する。
また、以下の説明においては、中心軸CXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、中心軸CXの放射方向を適宜、放射方向、と称する。
第1シールリング5は、円環状部材である。第1シールリング5は、鋳鉄製である。第1シールリング5は、高クロム鋳鉄製であることが好ましい。高クロム鋳鉄として、Cr−Mo鋳鉄及びNi−Cr鋳鉄の少なくとも一方が例示される。高クロム鋳鉄は、高い熱伝導性及び高い耐摩耗性(摺動性)を有する。なお、第1シールリング5は、銅合金、炭素鋼、SiC、超硬合金、アルミナセラミックス、ニッケル合金、アルミニウム合金、チタン合金、窒化珪素、及びジルコニアの少なくとも一つの材料で形成されてもよい。
第2シールリング6は、円環状部材である。第2シールリング6は、第1シールリング5と同じ材料で形成される。第1シールリング5と第2シールリング6とは対向するように配置される。
第1シールリング5は、シール面5A(第1シール面)と、放射方向において外側を向く外周面5B(第1外周面)と、軸方向において外周面5Bの一端部に結ばれる曲面5Cと、軸方向において外周面5Bの他端部に結ばれる曲面5D(第1曲面)と、放射方向において内側を向く内周面5Eと、軸方向においてシール面5Aの反対側に配置される背面5F(第1背面)と、放射方向においてシール面5Aの内端部に結ばれるテーパ面5Gとを有する。
シール面5Aは、第2シールリング6に対向する。シール面5Aは、円環状である。シール面5Aに、メッキ、溶射、及びその他の表面改質が施されてもよい。
外周面5Bは、第1リテーナ2Aの内周面12(第1内周面)に対向する。外周面5Bは、中心軸CXを通る断面において直線状である。外周面5Bは、軸方向においてシール面5Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。外周面5Bは、円錐面の一部を抽出した面に相当する。
曲面5Cは、外周面5Bの一端部に結ばれる。曲面5Cが結ばれる外周面5Bの一端部は、放射方向において外周面5Bの外端部である。曲面5Cは、中心軸CXを通る断面において曲線状である。曲面5Cは、軸方向においてシール面5Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
曲面5Dは、外周面5Bの他端部に結ばれる。曲面5Dが結ばれる外周面5Bの他端部は、放射方向において外周面5Bの内端部である。曲面5Dは、中心軸CXを通る断面において曲線状である。曲面5Dは、軸方向において背面5Fに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
内周面5Eは、シャフト2Bに対向する。内周面5Eは、中心軸CXを通る断面において直線状である。内周面5Eは、中心軸CXに平行である。
背面5Fは、軸方向においてシール面5A及びテーパ面5Gの反対側に配置される。中心軸CXに直交する断面において、背面5Fは、円環状である。背面5Fは、平坦面である。
テーパ面5Gは、放射方向においてシール面5Aの内端部に結ばれる。テーパ面5Gは、第2シールリング6から離れている。中心軸CXを通る断面において、テーパ面5Gは、軸方向においてテーパ面5Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
第2シールリング6は、シール面6A(第2シール面)と、放射方向において外側を向く外周面6B(第2外周面)と、軸方向において外周面6Bの一端部に結ばれる曲面6Cと、軸方向において外周面6Bの他端部に結ばれる曲面6D(第2曲面)と、放射方向において内側を向く内周面6Eと、軸方向においてシール面6Aの反対側に配置される背面6F(第2背面)と、放射方向においてシール面6Aの内端部に結ばれるテーパ面6Gとを有する。
シール面6Aは、第1シールリング5のシール面5Aに対向する。シール面6Aは、円環状である。シール面6Aに、メッキ、溶射、及びその他の表面改質が施されてもよい。
外周面6Bは、第2リテーナ3Aの内周面15(第2内周面)に対向する。外周面6Bは、中心軸CXを通る断面において直線状である。外周面6Bは、軸方向においてシール面6Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。外周面6Bは、円錐面の一部を抽出した面に相当する。
曲面6Cは、外周面6Bの一端部に結ばれる。曲面6Cが結ばれる外周面6Bの一端部は、放射方向において外周面6Bの外端部である。曲面6Cは、中心軸CXを通る断面において曲線状である。曲面6Cは、軸方向においてシール面6Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
曲面6Dは、外周面6Bの他端部に結ばれる。曲面6Dが結ばれる外周面6Bの他端部は、放射方向において外周面6Bの内端部である。曲面6Dは、中心軸CXを通る断面において曲線状である。曲面6Dは、軸方向において背面6Fに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
内周面6Eは、シャフト2Bに対向する。内周面6Eは、中心軸CXを通る断面において直線状である。内周面6Eは、中心軸CXに平行である。
背面6Fは、軸方向においてシール面6A及びテーパ面6Gの反対側に配置される。中心軸CXに直交する断面において、背面6Fは、円環状である。背面6Fは、平坦面である。
テーパ面6Gは、放射方向においてシール面6Aの内端部に結ばれる。テーパ面6Gは、第1シールリング5から離れている。中心軸CXに平行な断面において、テーパ面6Gは、軸方向においてテーパ面6Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
第1弾性リング7は、第1シールリング5の周囲に配置されるOリングである。第1弾性リング7は、ゴム製であり、弾性変形可能である。第1弾性リング7を形成するゴムとして、水素化ニトリルゴム、パーフロロエラストマー、ニトリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、及びブチルゴムの少なくとも一つが例示される。なお、第1弾性リング7は、弾性変形可能な合成樹脂で形成されてもよい。
第1弾性リング7は、第1シールリング5と第1リテーナ2Aとの間に配置される。第1弾性リング7は、第1リテーナ2Aの内周面12及び第1シールリング5の外周面5Bのそれぞれに接触する。
第1リテーナ2Aは、第1シールリング5との間で第1弾性リング7を保持する。第1弾性リング7は、内周面12及び外周面5Bに保持される。内周面12の第2リテーナ3A側に、放射方向の内側に突出する突出面13が設けられる。また、軸方向において突出面13の反対側に、放射方向の内側に突出する突出面14が設けられる。
第1弾性リング7は、外周面5Bと内周面12との間に弾性変形した状態で配置される。第1弾性リング7の表面の一部は、外周面5Bに密着し、第1弾性リング7の表面の一部は、内周面12に密着する。第1弾性リング7の弾発力により、第1シールリング5の外周面5Bが軸方向に押され、シール面5Aとシール面6Aとが密着する。また、第1弾性リング7は、第1シールリング5と第1リテーナ2Aとの間の空間18の異物がシール室11に進入することを抑制する。
第2弾性リング8は、第2シールリング6の周囲に配置されるOリングである。第2弾性リング8は、第1弾性リング7と同じ材料で形成され、弾性変形可能である。
第2弾性リング8は、第2シールリング6と第2リテーナ3Aとの間に配置される。第2弾性リング8は、第2リテーナ3Aの内周面15及び第2シールリング6の外周面6Bのそれぞれに接触する。
第2リテーナ3Aは、第2シールリング6との間で第2弾性リング8を保持する。第2弾性リング8は、内周面15及び外周面6Bに保持される。内周面15の第1リテーナ2A側に、放射方向の内側に突出する突出面16が設けられる。また、軸方向において突出面16の反対側に、放射方向の内側に突出する突出面17が設けられる。
第2弾性リング8は、外周面6Bと内周面15との間に弾性変形した状態で配置される。第2弾性リング8の表面の一部は、外周面6Bに密着し、第2弾性リング8の表面の一部は、内周面15に密着する。第2弾性リング8の弾発力により、第2シールリング6の外周面6Bが軸方向に押され、シール面6Aとシール面5Aとが密着する。また、第2弾性リング8は、第2シールリング6と第2リテーナ2Bとの間の空間18の異物がシール室11に進入することを抑制する。
図1に示すように、転輪機構4は、第1シールリング5及び第2シールリング6に供給される潤滑油が流れる油路9を有する。油路9は、シャフト2Bの内部流路9Aと、シャフト2Bとローラ3Cとの間に形成されたバッファ空間9Bと、シャフト2Bとローラ3Cとの間に形成された間隙9Cとを含む。内部流路9Aに潤滑油が供給される。潤滑油は、内部流路9Aを流れ、バッファ空間9Bに貯留された後、間隙9Cを介して第1シールリング5及び第2シールリング6に供給される。本実施形態において、第1シールリング5及び第2シールリング6にポリグリコール系潤滑油が供給される。
[角度及び距離]
図3は、本実施形態に係る第2シールリング6を示す側断面図である。図3に示すように、外周面6Bは、中心軸CXを通る断面において直線状であり、軸方向においてシール面6Aに向かって中心軸CXから離れるように傾斜する。
本実施形態において、中心軸CXと外周面6Bとがなす角度θは、7[°]以上11[°]以下である。すなわち、第2シールリング6は、(1)式の条件を満足する。
7[°] ≦ θ ≦ 11[°] …(1)
放射方向において、曲面6Dの少なくとも一部は、外周面6Bよりも内側に配置される。放射方向において、曲面6Dのうち中心軸CXに最も近い部分を位置Bとする。また、放射方向において、曲面6Dと背面6Fとの境界のうち中心軸CXから最も遠い部分を位置Tとする。また、放射方向において、位置Bと位置Tとの距離をDとする。
第2弾性リング8は、Oリングである。第2弾性リング8の断面の直径をRとする。第2弾性リング8の直径Rとは、第2弾性リング8に外力が付加されていない状態における直径をいう。本実施形態において、距離D及び直径Rは、(2)式の条件を満足する。
D/R ≧ 0.05 …(2)
図示は省略するが、第1シールリング5において、中心軸CXと外周面5Bとがなす角度θも、(1)式の条件を満足する。
また、放射方向において、第1シールリング5の曲面5Dの少なくとも一部は、外周面5Bよりも内側に配置される。放射方向において、曲面5Dのうち中心軸CXに最も近い部分を位置Bとし、曲面5Dと背面5Fとの境界のうち中心軸CXから最も遠い部分を位置Tとし、放射方向において、位置Bと位置Tとの距離をDとし、第1弾性リング7の直径Rとしたとき、第1シールリング5においても、(2)式の条件を満足する。
[作用]
次に、本実施形態に係るフローティングシール装置1の作用について説明する。図4は、本実施形態に係る第2シールリング6に作用する力を説明するための模式図である。
第2リテーナ3Aと第2シールリング6との間に配置された第2弾性リング8が圧縮されると、外周面6Bに緊迫力Fが作用する。緊迫力Fは、外周面6Bに直交する方向に作用する。緊迫力Fの作用により、第2シールリング6には、軸方向に押し付け力Pが作用する。押し付け力Pと緊迫力Fと外周面6Bの角度θとの間に、(3)式で示す関係が成立する。
P = F×sinθ …(3)
すなわち、角度θが大きいほど押し付け力Pは大きくなり、角度θが小さいほど押し付け力Pは小さくなる。押し付け力Pは、シール面6Aをシール面5Aに押し付ける力である。角度θが小さく、押し付け力Pが小さいと、シール面5Aとシール面6Aとが押し付ける力が小さくなり、その結果、フローティングシール装置1のシール機能が損なわれる。すなわち、空間18の異物がシール室11に進入してしまう可能性が高くなる。
一方、角度θが大きく、押し付け力Pが大きいと、シール面5Aとシール面6Aとが押し付ける力が大きくなる。シール面5Aとシール面6Aとが押し付ける力が大きい状態で、回転体3が回転すると、シール面5A及びシール面6Aが過度に発熱してしまう可能性が高くなる。シール面5A及びシール面6Aの摩擦係数をμとし、押し付け力をPとし、回転体3の回転速度をVとし、シール面5Aとシール面6Aとの発熱量をQとし、定数をαとしたとき、摩擦係数μと押し付け力Pと回転速度Vと発熱量Qとの間に、(4)式で示す関係が成立する。
Q = α×μ×P×V …(4)
例えば、フローティングシール装置1が無人作業車両の転輪機構4に適用された場合、回転体3の回転速度Vは速くなり、回転体3は連続して高速度で回転する可能性がある。その結果、シール面5Aとシール面6Aとの発熱量Qが過度に高まり、シール面5A及びシール面6Aの少なくとも一方が焼き付いてしまうなど、フローティングシール装置1の性能が低下する可能性がある。
図5は、本実施形態に係る外周面6Bの角度θと押し付け力Pとの関係を示す図である。図5に示すように、角度θが大きくなるほど押し付け力Pが大きくなり、角度θが小さくなるほど押し付け力Pが小さくなる。本発明者は、鋭意努力した結果、第1シールリング5及び第2シールリング6のシール性を損なうことなく、過度な発熱を抑制できる最適な角度θの範囲を見出した。すなわち、角度θを7[°]以上11[°]以下にすることにより、シール性を損なうことなく、過度な発熱を抑制できることを見出した。
角度θを小さくすると、外乱因子に対するシール面6Aに作用する力のロバスト性が向上する。なお、外乱因子として、組立ばらつき、部品公差、及び外力の少なくとも一つが例示される。また、第2弾性リング8の設置位置周りの設計をそのままに、角度θだけ小さくすると、軸方向における第2シールリング6の寸法を大きくする必要があるため、フローティングシール装置1の軸方向の占有スペースが大きくなってしまう。また、軸方向の寸法に対する放射方向の寸法変化量が小さくなるので、組立し難くなる。一方、角度θを大きくすると、外乱因子に対するシール面6Aに作用する力のロバスト性が低下する。第1シールリング5についても同様である。角度θが(1)式の条件を満足することにより、フローティングシール装置1の大型化を抑制しつつ、ロバスト性を得ることができる。
また、本実施形態においては、潤滑油がポリグリコール系潤滑油である。ポリグリコール系潤滑油は、摩擦係数μを軽減し、発熱を効果的に抑制できる性質を有する。フローティングシール装置1を連続で高回転しても、過度な発熱を抑制するので、シール面の焼き付きや面あれの発生を抑えてシール性を良好に保つことができる。そのため、連続して高速回転する回転体3をシールするフローティングシール装置1の潤滑油に好適である。
角度θを小さくした場合、フローティングシール装置1の組立時において、第2シールリング6と第2弾性リング8と第2リテーナ3Aとの位置決めが困難となる可能性がある。その結果、第2リテーナ3Aに対して第2シールリング6が傾斜した状態で装着されてしまう可能性が高くなる。
図6は、第2リテーナ3Aに対して第2シールリング6が傾斜した状態で装着された状態を示す模式図である。フローティングシール装置1は、第2シールリング6の周囲に第2弾性リング8を掛ける作業、及び第2弾性リング8が掛けられた第2シールリング6を第2リテーナ3Aに装着する作業を経て組み立てられる場合が多い。第2シールリング6を第2リテーナ3Aに装着するとき、第2シールリング6に対して第2弾性リング8の位置がずれると、図6に示すように、第2リテーナ3Aに対して第2シールリング6が傾斜した状態で装着されてしまう可能性が高くなる。例えば、回転体3の中心軸CXと第2シールリング6の中心軸とがずれたり、軸方向において第2シールリング6の第1部分の位置と第2部分の位置とが距離Gだけずれたりする可能性がある。第2シールリング6に対する第2弾性リング8の位置ずれは、外周面6Bの角度θが小さい場合に発生する可能性が高い。第1シールリング5を第1リテーナ2Aに装着する場合も同様である。
本実施形態においては、曲面6Dが設けられ、(2)式の条件を満足するように位置Bと位置Tとの距離Dが定められる。これにより、第2シールリング6の周囲に第2弾性リング8を掛けたとき、第2弾性リング8が曲面6Dにしっかりと嵌り、十分に位置決めされる。第2弾性リング8が曲面6Dによって十分に位置決めされた状態で、第2シールリング6を第2リテーナ3Aに装着することにより、第2リテーナ3Aに対して第2シールリング6が傾斜した状態で装着されてしまうことが抑制される。
また、外周面6Bの内端部と曲面6Dとが結ばれているので、第2リテーナ3Aと第2シールリング6との間に第2弾性リング8が配置されている状態で、第2リテーナ3Aに第2シールリング6が装着されることにより、曲面6Dに保持されていた第2弾性リング8は、内周面15と外周面6Bとの間に移動し、内周面15及び外周面6Bに保持される。第1シールリング5を第1リテーナ2Aに装着する場合も同様である。
すなわち、外周面6Bの角度θを小さくすると、第2シールリング6を第2リテーナ3Aに装着するときに、第2シールリング6が傾きやすいという問題が顕在化する。これは、装着のために第2リテーナ3Aに対して第2シールリング6を軸方向に押し込んでも、外周面6Bの角度θが小さくなるほど放射方向の寸法変化が小さくなることで、第2弾性リング8の位置決めが困難になるためであると推定される。本実施形態においては、位置決めのために大きい距離Dが規定され、第2シールリング6に位置決め用のくびれが設定される。くびれの山が位置Tで規定され、くびれの谷が位置Bで規定される。
第2弾性リング8を第2シールリング6に装着するときに、第2弾性リング8はくびれに引っ掛けられ、位置決めされる。(2)式に示す「D/R」は、第2弾性リング8の直径Rに対して第2シールリング6がくびれに引っ掛かり易いかどうかを規定するパラメータである。
図7は、本実施形態に係る作用を説明するための図であり、パラメータ「D/R」と、第2リテーナ3Aに第2シールリング6を装着したときの傾き変化量との関係を示す図である。図7は、第2シールリング6を傾斜させずに第2リテーナ3Aに装着するためにはパラメータ「D/R」がどの程度必要かを接触解析した結果を示す図である。横軸は、パラメータ「D/R」を示し、縦軸は、第2リテーナ3Aに第2シールリング6を装着したときの初期状態からの第2シールリング6の傾き変化量を示す。初期状態のモデルに許容上限の傾きを与えた状態で、押し込んで組付ける相当の軸方向変位を与えた結果、図7に示すように、(2)の条件を満足するように設計すれば、傾斜を増幅することなく第2リテーナ3Aに第2シールリング6を装着することができることが判明した。
第1シールリング5を第1リテーナ2Aに装着する場合も同様である。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、角度θが(1)式の条件を満足することにより、押し付け力Pが適正な値に調整される。これにより、回転体2が連続して高速回転しても、シール面5Aがシール面6Aに対して大きな押し付け力Pで摺動することが抑制される。そのため、シール性を維持しつつ、過度な発熱を抑制することができる。したがって、フローティングシール装置1の性能の低下を抑制することができる。また、潤滑油としてポリグリコール系潤滑油が使用されるので、角度θと潤滑油との相乗効果により、第1シールリング5及び第2シールリング6の発熱を十分に抑制することができる。
[他の実施形態]
なお、上述の実施形態において、フローティングシール装置1は、履帯を有する作業車両の輪転に適用されることとした。フローティングシール装置1は、履帯を支持する転輪として、上転輪、下転輪、及び遊転輪のいずれに適用されてもよいし、履帯を駆動する駆動輪に適用されてもよい。また、フローティングシール装置1は、運転者が搭乗して運転者の操作により稼働する有人作業車両に適用されてもよい。
1…フローティングシール装置、2…固定体、2A…第1リテーナ、2B…シャフト、3…回転体、3A…第2リテーナ、3B…ブッシュ、3C…ローラ、4…転輪機構、5…第1シールリング、5A…シール面(第1シール面)、5B…外周面(第1外周面)、5C…曲面、5D…曲面(第1曲面)、5E…内周面、5F…背面(第1背面)、5G…テーパ面、6…第2シールリング、6A…シール面(第2シール面)、6B…外周面(第2外周面)、6C…曲面、6D…曲面(第2曲面)、6E…内周面、6F…背面(第2背面)、6G…テーパ面、7…第1弾性リング、8…第2弾性リング、9…油路、9A…内部流路、9B…バッファ空間、9C…間隙、11…シール室、12…内周面(第1内周面)、13…突出面、14…突出面、15…内周面(第2内周面)、16…突出面、17…突出面、18…空間、AX…回転軸、B…位置、CX…中心軸、D…距離、R…直径、T…位置、θ…角度。

Claims (3)

  1. 第1シール面と、固定体の第1内周面に対向する第1外周面とを有する第1シールリングと、
    前記第1シール面に対向する第2シール面と、回転体の第2内周面に対向する第2外周面とを有する第2シールリングと、
    前記第1シールリングの周囲に配置され、前記第1内周面及び前記第1外周面に接触する第1弾性リングと、
    前記第2シールリングの周囲に配置され、前記第2内周面及び前記第2外周面に接触する第2弾性リングと、を備え、
    前記第1外周面は、前記第1シールリングの第1中心軸を通る断面において直線状であり、前記第1中心軸に平行な第1軸方向において前記第1シール面に向かって前記第1中心軸から離れるように傾斜し、
    前記第2外周面は、前記第2シールリングの第2中心軸を通る断面において直線状であり、前記第2中心軸に平行な第2軸方向において前記第2シール面に向かって前記第2中心軸から離れるように傾斜し、
    前記第1中心軸と前記第1外周面とがなす角度θ、及び前記第2中心軸と前記第2外周面とがなす角度θは、
    7[°] ≦ θ ≦ 11[°]、
    の条件を満足する、
    フローティングシール装置。
  2. 前記第1シールリング及び前記第2シールリングにポリグリコール系潤滑油が供給される、
    請求項1に記載のフローティングシール装置。
  3. 前記第1シールリングは、前記第1軸方向において前記第1シール面の反対側に配置される第1背面と、前記第1外周面の内端部に結ばれ、前記第1中心軸を通る断面において曲線状であり、前記第1軸方向において前記第1背面に向かって前記第1中心軸から離れるように傾斜する第1曲面とを有し、
    前記第2シールリングは、前記第2軸方向において前記第2シール面の反対側に配置される第2背面と、前記第2外周面の内端部に結ばれ、前記第1中心軸を通る断面において曲線状であり、前記第2軸方向において前記第2背面に向かって前記第2中心軸から離れるように傾斜する第2曲面とを有し、
    前記第1中心軸の放射方向において、前記第1曲面の前記第1中心軸に最も近い位置と前記第1曲面と前記第1背面との境界の前記第1中心軸から最も遠い位置との距離、及び前記第2曲面の前記第2中心軸に最も近い位置と前記第2曲面と前記第2背面との境界の前記第2中心軸から最も遠い位置との距離をD、前記第1弾性リング及び前記第2弾性リングの断面の直径をRとしたとき、
    D/R ≧ 0.05、
    の条件を満足する、
    請求項1又は請求項2に記載のフローティングシール装置。
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