JPWO2005122033A1 - 医療総合情報装置及び医療総合情報システム - Google Patents
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Abstract
該データベースに設定されたアクセス権に基いて、利用者の意思の有無にかかわらず、
あらかじめ設定した一以上の任意の時刻に標準時刻と共に
文字、数値、画像・映像・写真、音声のうち設定された事項を入力し、該医療総合情報データベースに蓄積されているデータを利用者の意思の有無にかかわらず読み出し、解析し、該医療総合情報データベースに追記し、
該医療総合情報データベースに蓄積されているデータを選択し、表示する機能
を有する医療総合情報装置を用いることによって、
医事会計、医薬の発注、医薬および器具の在庫管理などを効率よく行うことができるとともに、
患者の体調変化の予兆を検知し、患者の症状に応じた処置法を提示し、
医学的法則性を抽出し、あるいは医薬の効用を検知することが可能になる。
Description
特許文献1(特許第3083465号)は、複数の場所で医療行為を行う場合、患者に対する医療行為を施す場所がたとえ変わっても継続的、かつ時系列に従った患者の状態把握を可能とする患者情報解析管理システムである。特許文献2(特許第3100777号)は、膨大な医療データの処理効率をあげるもので、患者毎の診断情報、治療内容および検査情報の履歴およびこれらの情報表示のための設定条件情報を保持したデータベースと、患者毎の診断情報、治療内容および検査情報を前記データベースに入力すると共に、このデータベースに保持されている患者の各種情報を取り出して表示し、誰もが手軽に利用でき、効果的な診断支援ができるようにした病院用診断支援装置である。
医事会計システムという患者管理・会計計算・レセプト作成・保険請求・統計資料などを統合したシステムは多くの病院或いは医院などに普及しつつある。また、その医事会計システムの中核をなすレセプト電算システムという診療報酬明細書をコンピューター化した装置はさらに普及しつつある。
[特許文献22]は電子カルテと医事会計システムを連動させ、特に診断書などの文書を作成した際に医事支援システム上で電子カルテの必要な項目を選択していくことによって会計漏れを起こさせないための発明である。
しかしこれらの技術では、電子カルテと医事会計システムとの連動は果たしているものの、電子カルテから投薬発注、器具などの在庫管理、医療計測機器からのデータの取り込み、電子カルテをシステムの設置された病院などよりもさらに他所から閲覧すること、医学的法則性を見いだすこと、患者の症状変化の予兆を検知する、などはできなかった。
また例えば、[特許文献19](特許3074769)は電子カルテにテレビカメラで患者の診察状態を記録し補完する技術に関するものである。しかし、電子カルテを患者のビデオ画像を撮像するテレビカメラと接続はしているものの、他の医療計測機器などとの接続はなされていなかった。
[特許文献28](特開2004-326436)は健康管理機器から、心拍、血圧、体温、体重、体内脂肪、呼気成分、尿糖などを計測し、インターネットなどを通じてホストサーバーに情報を蓄積し、また患者所見や対応処置などを送信するものである。しかし本発明により個人情報を保護のために医師、看護師、ユーザーなどに複数のレベルのアクセス権限を設定することによって閲覧や書き込みさせるなどのことはできない。
[特許文献29](特開2004-358052)では、血圧、脈拍、体温、血糖値、中性脂肪値、コレステロール値などのバイタルデータを測定し、データを無線、有線、ネットワークなどを経由してサーバーに送信し、サーバーでプログラムによりバイタル値があらかじめ登録しておいた正常範囲から逸脱しているか否かを解析することができる。しかし、個人のバイタル値が正常か否かの判定のみであり、地域、性別、民族間での差あるいは薬効を統計的に導き出すなどの医学的法則性を見いだすものではない。
[特許文献21](USP5772585)はネットワーク接続された電子カルテであり、医師の予約管理、診療情報の入出力、診断結果を規則更新ができ、アレルギー情報の表示、生活習慣や家族の病歴などの管理ができ、またバイタルデータの測定もできる。しかし個人のバイタル値が正常か否かの判定のみであり、地域、性別、民族間での差あるいは薬効を統計的に導き出すなどの医学的法則性を見いだすものではない。
[特許文献29]および[特許文献21]では、測定されたバイタルデータから測定される個人の健康についてのみである。すなわち、第一に考えられるのは、あらかじめ正常といわれる数値と幅をサーバーに記録しておき、測定された値が正常の領域から逸脱しているか否かという判定である。続いて、正常の領域の設定に対して、年齢、性別などの判断基準をも登録しておくことも考えられる。さらには、運動時か安静時かなどの条件をも登録しておくことも容易に考えられる。しかしこれらはすべて測定されている個人の健康の判断のみである。
また、情報交換と情報収集のインフラが整備され膨大な個人バイタルデータがいつでもどこでも入手可能になると、その中で重要な情報を管理する仕組み、情報セキュリティの観点からデータを漏洩させない仕組みも必要になる。特許文献12(特開2001-357047号)は、様々な場所に分散されている個人情報を集中管理して、当該個人に電子データの形態で提供する個人データウェアハウスを使用した個人情報提供方法が開示されている。個人情報にはもちろん個人バイタルデータも含まれ、情報セキュリティの観点からデータを漏洩させない仕組みも提案されている。こういった情報セキュリティ技術は今後きわめて重要となる。
[特許文献24](特開2005-115917)は医療情報を医療研究目的に使用する際に個人情報を分離して提供することによって個人情報を保護するものである。
[特許文献27](特開2004-344314)は認証されたユーザーに応じて医療情報の抽出条件を持つことによって、ユーザーにより表示したい情報の項目を選択することができる。本発明により医師、看護師、薬局、患者などユーザーごとの表示項目を分けることは可能である
ネットワーク化された電子カルテシステムを持ち、自らの病院、医院、診療所の内のみならず、地域内のよその病院、医院、診療所などの複数の医療機関あるいは患者の宅および出先などを含む地域医療ユニットから、あるいは複数の地域医療ユニットを包含する広域医療ネットワーク内などにおいても、安全に容易に内容を記載及び閲覧することが可能である。前記電子カルテデータが患者の主訴、診療情報、検査結果、既往歴、遺伝情報、生活習慣、家族情報等の医学的関連性のある個人データを含み、患者の症状に応じた処置法を提示する。また、保険業務などの手法をも兼ね備える医事会計システムをも包含し、レセプトや処方箋などを発行する。さらに、在宅で患者の状態の計測をも可能にし、患者および患者の家族などが患者の日常の様子を記録し、医師による所見と合わせて患者の体調変化の予兆を検知する。加えてデータベース内のデータを分析し医学的法則性を見出し、地域固有、年齢別、性別、民族別などの医学的特徴を抽出し、あるいは医薬の効用を検知することを目的としている。
患者の過去の診療経歴、現診療での主訴ならびに検査結果、患者の既往歴・遺伝情報・生活習慣・家族情報に関して文字または音声または画像データで記憶する手段を有する電子カルテシステムの記憶データと、医師の診療による薬剤の発注および医師の診療で汚損された器具の発注および医師の診療に応じた診療費用と保険点数の処理に関する情報を文字または音声または画像データで記憶する手段を有する医事会計システムの記憶データと、潜在的な患者である被測定者が健康か否かにかかわらず、かつ、情報採取意思を持つか否かにかかわらず、潜在的な患者である被測定者の体温・血圧・呼吸数・脈拍・中性脂肪値・コレステロール値・血糖値・呼気成分・血液成分分析値のうち少なくとも一からなるバイタルサイン計測値を標準時刻と共に文字または音声または画像によって記憶する手段を有する医療計測システムの記憶データと、前記バイタルサインに関する情報および患者自らの気分に関する情報について患者または患者の関係者が標準時刻と共に文字または音声または画像で記録した患者日誌システムの記憶データを、選択的に読み出す手段を有するデータベースをもつ医療総合情報装置であることを特徴としている。
32:電子カルテ端末、35:クライアントPC、41:ORCAサーバー、42:ORCAバックアップサーバー、43:ウェブ版電子カルテアプリケーションサーバー、44:日医総研ORCAサポートセンター、
50:医療総合情報システム、51:電子カルテシステム、52:医事会計システム、53:患者日誌システム、54:医療計測システム、70:医療総合情報データベース、71:電子カルテデータベース、81:モデム、82:TSゲートロック(TSGatelock;VAN機能、ファイヤーウォール機能)、83:TSゲートロック(TSGatelock;VAN機能)、84:ファイヤーウォール、85:ハブ、86:ハブ/ルーター、
100,101,102,103:地域医療ユニット、110、120:病院、医院或いは診療所、115:かかりつけ開業医、116:病院、130:患者宅、療養先、出先或いは搬送途中の交通手段、
201:診察、202:精密検査、203:詳細な説明、204:入院・手術、211:紹介・予約、212:結果、213:紹介・予約、
301:問診項目、302:症状選択画面、
501:症状、511:時間軸、512;イベント名、513:イベントスケジュール、701:医師の診察結果、702:投薬および処方の記録、703:検査結果、704:学校での健康診断結果、705:職場での健康診断結果、706:人間ドックの結果、707:スポーツジムやフィットネスクラブなどにおける体力測定結果、708:鍼灸接骨院などにおける処置記録、710:遺伝情報、711:家族病歴、712:体質、713:食生活、714:地域の特性、
801:投薬処方、802:アウトカム(結果と評価)、803:データベース、804:データマイニング、805:診療テンプレート、診療ガイドライン、クリニカルパス、1000:複数の地域医療ユニットを包含する広域医療ネットワーク
図1に、本発明に係わる実施例の医療総合情報システムのハードウェア構造例を示す。図1に示した例は、一つの地域医療ユニット(100)のハード構造であり、その内に、自らの病院、医院あるいは診療所(110)、および地域内のよその病院、医院、診療所(120)、患者宅、療養先、出先あるいは搬送途中の交通手段(130)などの複数の医療機関を含んでいる。
図2は本発明にかかわる医療総合情報装置のソフト的視点からの構成例の図である。本発明にかかわる医療情報システム50は電子カルテシステム51、医事会計システム52、医療計測システム53、患者日誌システム54からなる。
電子カルテシステム51は医師の診察結果を格納するのみならず、投薬および処方の記録、検査結果、加えて人間ドック、学校および職場などでの健康診断結果、スポーツジムあるいはフィットネスクラブなどにおける体力測定結果、鍼灸接骨院などにおける処置記録など、家族の病歴、遺伝情報および既往症などを包含するさまざまな医療情報および医学的関連性のある個人情報をデータベース化して格納し必要に応じて十分なプライバシー保護のもとに活用できる仕組みとなっている部位である。電子カルテシステム51はまた患者管理、電子カルテ上の検査結果を時系列的に参照するなどの機能を有している。
医師がカルテに記入を行う場合、従来の紙のカルテでは手書き文字で入力するのに対して、本発明に係わる電子カルテにおいては、多く見られる症例については電子カルテ画面上のテンプレートのチェックマークを入れることによって選択入力することが可能である。
病院経営の診療コストの大部分は人件費であり、さらに人件費の大部分は看護業務である。すなわち看護業務の効率化によって病院経営のコストダウンを図ることができる。一つの課題が看護計画立案である。従来NANDAやGORDONなどをひいて作成していた看護計画立案をデータベース化することにより効率向上がはかれる。
近年の規制緩和によりカルテの電子化および外部保存が可能になった。一地域の一患者について一電子カルテで個人IDを共通化することによって、例えば病院と開業医との連携を促すことが可能となる。すなわち、病院に不必要に患者が集中し長い待ち時間と短く不充分な診察となってしまうと共に、開業医は豊富な診断経験と能力を持っていても患者が来ない、という不整合を本発明によって解消することができる。
一人の患者が複数の病院、医院、診療所などの医療機関にかかった場合に、それぞれの場所において例えばレントゲンなど同じ検査を重複して受けることがある。時間と費用の無駄であるのみならず放射線に不必要に多く曝されるなどの危険性も伴うため好ましくないことである。本発明に係わる電子カルテによって前記のように一地域の一患者について一電子カルテで管理するによって該重複を防ぐことができるようになる。
図4に電子カルテデータベースの構造についての例を挙げる。電子カルテデータベースには患者の旧来から紙カルテに記載される医師の診察結果701、投薬および処方の記録702、検査結果703などに加えて、学校および職場などでの健康診断結果(順に704,705)、人間ドック706、スポーツジムやフィットネスクラブなどにおける体力測定結果707、鍼灸接骨院などにおける処置記録708などを包含するさまざまな医療情報、既往歴、アレルギー、遺伝情報710、家族病歴711、体質712、食生活713などの個人医療情報、および医学的関連性のある個人情報、地域の特性714、気候などがデータベース化し蓄積されている。これらは例を挙げるのみであり本発明においてその内容を限定するものではない。
例えば患者の家族に対する情報で、血管が弱い、コレステロールが高い、などの体質の特徴などが容易に把握できれば、不適切な処置を避けることができるなどより有効な治療を施すことが可能になる。
医療総合情報装置の一部にはクリニカルパス機能が用意されている。クリニカルパスとは1950年代に米国で発展したオペレーションリサーチの概念の中の工程管理技法から派生したCritical paths(臨界経路、限界工程)から構築されたもので、その目的は「作業工程の効率、標準化」であった。この概念を1985年にKaren Zander氏(米国)により医療界に導入したことから始まった。「その疾患に対して自らの病院で実現可能な理想的な医療を達成するために必要な事項」とされ、質と効率を高めるための管理技法である。
医師、看護師、事務員など診療する側にとっては、クリニカルパスをデータベース化しておくことによって、患者を受け付けてすぐに、検査や処置のオーダー、人的資源の配分、器具、機器、設備や費用の予想が立つ。
本発明においては、さらに、症例に対応する治療を施した際にその治療に対応して患者に結果(アウトカム)が起こり、その結果が予想通りであるのか、あるいは予想と異なったものであるのか、また予想通りの結果であっても複数の条件分岐もあり、それぞれの条件分岐に対して次の手順に進み適切な医療行為などを指示・明示することによって手順を管理し、より適切な医療行為を導く。
蓄積された名医の問診手順に従って問診を行うことで、治療および問診経験の浅い医師でも経験豊富な名医と同様の問診を行える。該問診機能に関して、問診結果をデータベースに蓄積することで該患者個人の情報の拡充にもなりデータマイニングのための基礎データの一つとしても格納されていく。
また、学習機能を備えていて、使用頻度の高さ或いは出現頻度の高さなどにしたがって次回以降の手順が変わるように設定すること、問診項目のスキップ(後で聞く、聞かないなど)、および使用する医師独自の手順を構築することも可能である。
麻酔医向けのクリニカルパスの活用例として、患者の麻酔中に該患者の脈拍、血圧、呼吸などのバイタルサインをモニターし、同時にデータベースに蓄積してある情報との比較から、該バイタルサインの推移が正常から逸脱していないか否かを確認する。
麻酔医が同時に複数の患者を管理することに役立てることが可能である。従来、麻酔医は患者に付いてバイタルサインを見ていなければならなかったのに対して、本発明に係わる医療総合情報装置によってはバイタルサインが連続的に取り込まれモニター表示されることによって、複数の患者のモニターを並べて一括で管理することが可能である。同時に、麻酔薬の点滴量の自動制御を組み合わせることによってバイタルサインに対する麻酔医の対応を補助することが可能になる。
医療総合情報装置の一部にはデータマイニング機能が用意されている。
以上述べてきたクリニカルパスなどの情報はデータベース70に含まれている。
医事会計システム52は医師らによる診察、投薬、検査の発注に従い、保険点数および診察費・検査費用の清算などを行う。患者管理、電子カルテ上の検査結果の時系列参照などの機能を有している。
本発明に係わる医事会計システムを活用することによって、器具および医薬などの在庫管理および発注に関して、地域内でどこに何がどれだけあるかが把握されていれば、重複した在庫を持つ必要がなくなり、使用期限切れによる廃棄の削減がなされ、無駄な経費の削減が可能になる。
医療計測システム53は、患者の日々の体温、血圧、脈拍、呼吸数などのバイタルサインおよび必要に応じて心電図などの医療計測値を取り入れることが可能である。時計機能を兼ね備えていることで記録されたバイタルデータと他の因子、例えば同時に測定している気温、湿度などとの関連を知る手がかりとすることや、患者自らが日誌に登録した自覚症状、運動、飲食、投薬などとの関連づけなどが可能である。医師らが患者宅に出向くことなしに、かつ患者の日常生活の状況下での患者のようすを患者在宅のままでネットワーク1を経てサーバー10に自動かつ連続的に取り込むことが可能である。
本発明に係わる医療総合情報装置において、日々の医療計測がなされる。日々の医療計測によって、患者のシンプトン(自覚のある症状)およびサイン(自覚のない症状)が記録され、病気が発症する前に病気の予兆を察知する、あるいは予防策を提示する、などが可能になる。病院経営にとっては医療行為による収益を減らすことになってもその分が検診センターの収益になれば地域医療としては意味合いを持つ。
医療計測手段の接続によってデータ入力の手間を削減することが可能になる。たとえば、患者のバイタルサインを電子カルテに入力するには従来は看護師がキーボードから手入力を行ってきたものをPOSあるいはRFIDなどを装備して患者のバイタルサインを容易に読み取ることの可能な看護支援端末に接続することによって看護師の手間が簡素化され業務の効率が向上したと共に、病院経営の面から見て人件費の削減につながる。
別の例では複数の患者から夜中に看護師の呼び出しがあった際に、看護師が医療計測手段で該複数患者の計測モニターを一括管理していれば、より緊急性の高いほうを先に見に行く、という優先順位を考える上で有益な情報が得られる。
患者日誌システム54において患者、患者の家族、看護師または第三者が主に患者の日々の、主訴、健康状態、飲酒および喫煙などの生活習慣、食事便通、顔色、気分、あるいは起床就寝時刻、外出先・スポーツクラブにおける運動量などの事項について自由にかつ自発的に記入し蓄積しておくことが可能である。該事項を通じて医師が診断を下すための情報を提供することができる。医師らの言葉ではなく患者自らの主訴などを記録しておくことが可能である。
(1)患者日誌と予防医学
病気が発症する前に病気の予兆を察知する、あるいは予防策を提示する、などが可能になる。病院経営にとっては医療行為による収益を減らすことになってもその分が検診センターの収益になれば地域医療としては意味合いを持つ。
3.1 ソフトウェア環境
本発明に係わる医療総合情報装置を実行するためのソフトウェアはASP環境下であってもよい。ASPすなわちApplication Service Providerを通じて本発明の医療情報システムを実行することによって医師や患者などの使用者は特別のソフトウェアなどを購入および保有する必要がなく、幅広く活用されている家庭用およびオフィス用のPC、あるいは携帯電話、PDAなどで容易にかつ安価に使用することができる。
(1) セキュリティーとアクセス権限
電子カルテは患者のプライバシーにかかわるものであり、また医事会計システムの内容は病院、医院、診療所などの機密事項であるので、本発明にかかわる医療情報システムにはセキュリティーの目的でアクセス権限の設定が設けられている。ネットワーク環境にはユーザーIDとそのパスワードを設定する、あるいはVPNを経る、ファイヤーウォールを用いる、暗号化などの手段により、情報のセキュリティー、患者のプライバシー、病院の内部情報の機密性などを高めることも可能である。これらの方法は例を挙げるに過ぎず、本発明においてその方法を限定するものではない。
離島や僻地などの遠隔地にいる手術経験の浅い医師が手術を行う際に、カメラで手術現場の映像をネットワーク経由で経験豊富な医師(ら)に中継することによって、経験豊富な医師からの助言を得ることも可能である。
図6は広域ネットワークの概念図である。本発明は図1に示した地域医療ユニット101,102,103を複数包含する広域医療ネットワーク1000からなることを示す図である。
本実施例においてはクライアントPCを2台、レセプト作成ソフトをORCAサーバーで示したが、例を示すのみであり、本発明において限定するものでない。
該両サーバー42および43はハブ85-b、TSゲートロック(TSGatelock)82-bおよびモデム81-bを経て外部につながるネットワーク1に接続されている。
図7に示す例は本発明に係わる問診表の例である。症状に従ってテンプレートからチェックボックスやボタンで該当する事項を選択していくことによって、利用者に問診の技術が乏しくとも名医と同等の水準の問診を行うことができる。同時に入力の迅速化を図ることができる。
本例の場合では、縦に問診項目301が尋ねる順に並び、右の症状302の欄から該当する症状をマウスで選択しチェックを順に入れると、次の画面に進み次の問診事項が現れる。
図8に示すのは本発明に係わるクリニカルパスの表の例である。症状に従って選択すると該症状501に対応したクリニカルパスが表示される。該クリニカルパスの横方向には日時などの時間軸511をとり、縦方向に処置、検査などのイベント名512を、イベント欄513にはその日時に必要なイベントが表示される。
図9が、任意かつ複数の個人行動様式の相違による新薬の薬効差異をクリニカルスコア(臨床的診断数値)から評価したものである。図9(a)ならびに図9(b)縦軸は、新薬のターゲットとなる病態を示す被験者のクリニカルスコアである。スコア採点内容は略す。図9(a)の横軸は行動様式(行動パターン)の違う2つの個人群、「行動様式A」群と「行動様式B」群を示す。この行動様式A群と個人群行動様式B群とは、本案の個人バイタルデータ蓄積解析システムのデータ解析によってはじめて分離された。それぞれに新薬を投与した前後(「Before」「After」)のクリニカルスコアの差異が図9(a)で評価できる。図9(b)の横軸は新薬投与後の経過日数であって、行動様式の違う2つの個人群での薬効差異の経過が評価できる。このように従来分離できなかった個人行動様式の相違による投薬処方(種類、量、頻度など)効果がはじめて評価できた。図9(a)の例では、多くの被験者に対して計測器を終日装着し短時間間隔に自動計測し続けたことによってより、個人により該新薬の投薬時刻が異なるにもかかわらず、かつ、被験者を病院に来訪させることもなく、精度の高いと思われる値を容易に計測できるようになり、該薬効の個人行動様式間の差異が評価できた。図9(b)の例において、行動様式A群のおよびB群のそれぞれは被験者を変えずに、服用日数(3,7,10,14日)ごとの計測値を取り出したものである。その間、多くの被験者に対して計測器を14日という長期にわたり終日装着したことによってより被験者を病院に来訪させることもなく正しい値を計測することが容易にできるようになり、該薬効の個人行動様式間の差異が評価できた。図9(a)(b)においては期間中に短時間間隔で計測した値の日変化のグラフも同時に得ているが省略することとする。日変化値の測定により、被験者が昼間起きている間と夜寝ている間における値の傾向の差や飲食、歩行、運動、机上作業などの生活に伴う活動による値の変化などを見ることができる。
1: 本人に適した診断・治療・予防法を示唆するデータ(エビデンス)の創出、すなわち日本人独自の疾病動向で、例えば、日本人の各種生活習慣病の発症年齢や自然進行状況、それに関わる危険(憎悪)因子、それを防ぐための予防(治療)方法、予防(治療)するか否かの差による治癒率や予後の差、予防(治療)するか否かの差による医療費の差に関する情報等が得られる。
2: 各種疾病の地域的特性を示唆するデータ(エビデンス)の創出に関する情報が得られる。
3: SARSなど新種感染症の蔓延状況の把握に関する情報が得られる。
4: 各個人の生活習慣や嗜好・体型や疾病歴に応じたテーラーメイド(個人別)健康管理・疾病の診断・治療・予防法の提供に関わる情報が得られる。
5: 医療原価計算に関わる情報、例えば、各種疾病の人件費も含めた医療原価と現在の保健診療体系で計上される医療費とDPC(Diagnosis Procedure Combination)などの定額支払い制導入時に計上される医療費の3者を常時比較検討することにより、「正しい診療報酬体系とは?」に実診療データで応えることができる情報が得られる。
6: リスクマネージメントに関わる情報、すなわち医療事故発生時の原因検索を、単に直接関わった医療従事者や患者だけでなく、同じ病棟内で同じ時間帯に他の患者に対して行われていた医療行為や他の患者の状態を同時解析することで、なぜそのように事故が起こったかをバックグラウンドも含めて解析し事故原因に関する情報が得られる。例えば、術後患者5人を含む入院患者50名の病棟で、2名の夜勤看護師が管理していた場合などを想定すると、術後患者の点滴交換に2名の看護師が奔走しているときに、別の患者の状態が急変していたことに気づかず、手遅れとなった時など、看護師の注意義務違反と決めつけるのは甚だ不適切である。こういった事態を改善できる。
7: クリティカルパス、クリニカルパスなどと呼ばれる定型コース医療の妥当性の検証に利用できる情報が得られる。たとえばどこで何%がドロップアウト(定型コースからの逸脱)するかが明確化され、そのポイントの医療を改訂し定型コースの質を向上させることができる。
Claims (5)
- 患者の過去の診療経歴、現診療での主訴ならびに検査結果、患者の既往歴・遺伝情報・生活習慣・家族情報に関して文字または音声または画像データで記憶する手段を有する電子カルテシステムの記憶データと、
医師の診療による薬剤の発注および医師の診療で汚損された器具の発注および医師の診療に応じた診療費用と保険点数の処理に関する情報を文字または音声または画像データで記憶する手段を有する医事会計システムの記憶データと、
潜在的な患者である被測定者が健康か否かにかかわらず、かつ、情報採取意思を持つか否かにかかわらず、潜在的な患者である被測定者の体温・血圧・呼吸数・脈拍・中性脂肪値・コレステロール値・血糖値・呼気成分・血液成分分析値のうち少なくとも一からなるバイタルサイン計測値を標準時刻と共に文字または音声または画像によって記憶する手段を有する医療計測システムの記憶データと、
前記バイタルサインに関する情報および患者自らの気分に関する情報について患者または患者の関係者が標準時刻と共に文字または音声または画像で記録した患者日誌システムの記憶データを、
選択的に読み出す手段を有するデータベースをもつ医療総合情報装置 - 医師が患者に対して実施した対処を標準時刻と共に文字または音声または画像によって電子カルテシステムに記憶する手段と、
潜在的な患者が健康であると自己判断する、または
潜在的な患者を医師が健康と判断する潜在的な患者の健康時刻の記憶手段と、
該健康時刻における医療計測値システムの記憶データまたは患者日誌システムの記憶データと
健康時刻でない時刻における医療計測値システムの記憶データまたは患者日誌システムの記憶データとを比較して
健康時刻におけるデータと健康時刻でない時刻におけるデータとの差異の情報を提示する手段と、
を兼備した請求項1の医療総合情報装置 - 健康時刻におけるデータと健康時刻でない時刻におけるデータとを比較した差異の情報と、
医師が患者に対して実施した対処の記憶データとを標準時刻の時系列で関連付けて提示する手段と
を兼備した請求項2の医療総合情報装置 - 請求項1から請求項3に記載された医療総合情報装置を複数結合してなるシステムであって、
患者の自宅を含む地域の複数の病院・医院・診療所の医療総合情報装置が通信ネットワークを介し結合され、
電子カルテシステムまたは医療計測システムまたは医事会計システムのデータが前記複数の医療総合情報装置間にて受送信される医療総合情報システム - 通信ネットワークへのアクセスに複数のアクセスレベルを備えた請求項4の医療総合情報システム
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