JP6886209B1 - 情報システム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の医療機関における検査データの検査項目の重複を回避し無駄を低減し医療コストを削減する情報システムを提供する。【解決手段】地域医療連携システム1の医療情報共有サーバ10は、複数の医療機関が連携して所定の地域において医療を提供する情報システムの一種であって、患者の各種検査結果を保存している。医療情報共有サーバは、医療機関の医療施設端末20や、健診センター端末90等などの医療機関端末の指示により対応する電子カルテを表示するとともに、臨床検査実施の際に、実施予定の臨床検査の検査項目と同一の検査項目の結果が検査結果DB127に記載されているかを検索し、表示する。【選択図】図1

Description

本発明は、情報システムに関する。
医療分野において、医療施設内の電子化・システム連携を目的に、医療施設間や医療・介護関連施設間での情報共有・ネットワーク化が勧められている。例えば、EHR(Electric Health Record)やPHR(Personal Health Record)を用いたシステムを構築し、個人の医療や健康等に関する電子記録を一元管理し、医療機関や企業等で利用する技術がある。
このような技術に関して、例えばAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)は、PHRサービスモデル等の構築事業を支援している。その支援事業の一つとして、病院・診療所や検査センターから取得する診察・検査データ、薬局から取得する調剤データ、保険者から取得する健診データや、本人が着用するウェアラブル端末等から取得するバイタルデータ等のPHR(Personal Health Record)を、疾病管理事業者による人的サービスと組み合わせて慢性疾患、例えば糖尿病の重症化予防を実現する取り組みがある。
上述のような医療情報の共有化により、患者にとって様々なメリットが生じているが、依然として課題もある。そのような要望に応える技術として、例えば企業等の組織で実施予定の健康診断の検査項目と健康診断以外で受診する予定の検査の検査項目とが重複する場合、重複する検査項目の診断を効率的に受診させる健康診断スケジューリング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−159003号公報
ところで、労働者としての健康診断や患者としての診察時の検査等の費用負担が大きく、また、検査に割かれる時間的負担も大きい。特許文献1に開示の技術では、将来行われる予定の健康診断とその他の検査との検査項目重複を回避するスケジュール調整技術である。しかし、すでに実施された検査を新たな検査において反映させるものではない。
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたもので、その目的は、地域医療連携のようなシステムにおいて、複数の医療機関における検査重複を回避する技術を提供することにある。
複数の医療機関や企業、官公庁が接続し、個人情報を扱う機関が提供する情報システムであって、
健康診断の予定と内容とを患者と関連づけて管理する健診DBと、
検査の結果を患者と関連づけて保存する検査結果DBと、
医療機関の医療機関端末で電子カルテを表示させるように稼働する医療情報システムと、
を有し、
前記医療情報システムは、臨床検査実施の際に、実施予定の臨床検査の検査項目と同一の検査項目の結果が前記検査結果DBに記載されているかを検索する機能を備え、かつ、臨床検査実施の際に、実施する臨床検査と同時に行える健康診断の検査項目が前記健診DBに記載されているかを検索する機能を備える。
本発明によると、地域医療連携のようなシステムにおいて、複数の医療機関における検査データ(健康診断のデータや、人間ドックのデータ、診察に伴う検査のデータ)の検査項目の重複を回避し無駄を低減し医療コストを削減する技術を提供できる。
実施形態に係る、地域医療連携システムの概要を示した図である。 実施形態に係る、地域共有DBの概略構成を示す機能ブロック図である。 実施形態に係る、健康診断項目の例を示す表である。 実施形態に係る、検査結果一覧が表示された電子カルテの表示例を示す図である。 実施形態に係る、健康診断項目の実施状況が表示された電子カルテの表示例を示す図である。 実施形態に係る、各種データの提供の可否を設定する電子カルテの画面例を示す図である。 実施形態に係る、図6の「詳細を設定する」リンクが押下されたときにポップアップ表示された提供可否の詳細設定する画面の例を示す図である。 実施形態に係る、疾病情報を個人を特定できる記号を利用してデータの保管場所を特定するためのデータ例を示す表である。 実施形態に係る、人/家族DBを作るためのパーソナルデータを示す図である。
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
<地域医療連携システム1の概要>
図1は本実施形態において実現する地域医療連携システム1の概略構成を示す。地域医療連携システム1は、医療・福祉に関連する商品・サービスを提供する複数の事業者の事業者情報を記録する事業者データベースと、事業者の商品・サービスを利用する利用者の利用者情報を識別情報と関連付けて記録する利用者DB(データベース)と、を備えた医療情報共有サーバ10と、事業者の情報処理端末(20、60、70、80、90)と、を備える。
本実施形態の地域医療連携システム1では、医療施設92(「医療機関」ともいう)の臨床検査(臨床検査データ)や健診センター99の健診や血液検査を効率的に行う点に特徴を有しており、主にその点に着目して説明する。医療施設92(例えば病院やクリニック等)で行う臨床検査の検査項目には、各種CT、超音波検査エコー、各種MRI、各種レントゲン、心電図、超音波検査、血液検査などがある。
健診センター99で行う健康診断の検査項目には、心電図、超音波検査エコー、尿検査、便検査、血液検査、培養検査、X線検査、骨密度、呼吸機能検査、視力・聴力検査、血圧、眼底検査、病理検査、ガン検査、マンモグラフィ、各種内視鏡、ペットCT、体液中のたんぱく質量などがある。本実施形態の地域医療連携システム1では、検査の重複による余計な検査を削減する。すなわち、医療施設92での臨床検査と健診センター99での健康診断には重複する検査項目も多い。そのため、短期の間に、同一の検査項目を2回行う場合も多い。同一の検査項目を2回受けるということは、余計な費用を払っているともいえる。そこで、地域医療連携システム1では、一定期間において重複する検査項目を回避するようにする。なお、本実施形態では、単に「検査」と記載した場合は、医療施設92で行う臨床検査と健診センター99で行う健康診断との両方のことを示す。
医療・福祉に関連する商品・サービスを提供する事業者などとして、例えば、医療施設92(医療機関)、健診センター99、薬局96、介護施設98、製薬会社97等、政府や保健所などの官公庁があり、少なくとも医療機関(病院、クリニック等)を含む。これらによって、医療施設92(医療機関)を中心とした地域医療連携を目的とする情報システム(地域医療連携システムまたは医療システム)が構築される。
地域医療連携システム1に、シンクライアント環境やエッジコンピューティング技術、5G通信技術を適用する。これらにより、高いセキュリティ確保を実現しつつ、低コストで導入する。すなわち、医療機関(ここでは医療施設92、薬局96、製薬会社97、介護施設98、健診センター99を運営する事業者)等の情報処理端末をシンクライアント端末とし、運営側の装置をシンクライアントサーバ(管理サーバ)とすることで、各医療機関は低コストでシステム参入・運用を行える。また、エッジコンピューティング技術や5G通信技術により、緊急時の通信遅延といった懸念を解消する。
また、少なくとも医療機関において、シンクライアント環境で電子カルテシステム(会計システム、検査システム等のその他院内システムを含んでもよい)を構築でき、事業者の情報処理端末(PC等)のハードウェアやOSに大きく依存することなく、システム更新を行うことができ、システムの実質的寿命を低コストで大幅に伸ばすことができる。
電子カルテシステムは、利用者94を診察した際の診察情報及び処方内容を記録した電子カルテを利用者情報として利用者DB121に記録させるとともに、利用者DB121に記録されている同じ利用者94の利用者情報を参照し表示可能である。
事業者を利用した場合に、利用者情報が利用者DB121に記録され他の事業者と共有されることで、ある事業者で利用された利用者情報(例えば電子カルテや電子化された処方せんのデータ等)を別の事業者が利用できる。
特に、商品・サービスの提供の際に注意すべき事項(重複や忌避事項)の確認漏れを抑制でき、それら提供の品位を向上させることができる。
地域医療連携システム1では、ある範囲の地域において複数の医療機関は、医療情報共有サーバ10を用いて、患者等の利用者94に対して、医療・福祉の商品・サービスを提供する。商品・サービスの提供とは、医療機関等事業者における医療等の役務(サービス)の提供、医薬品等の商品の提供を指し、一方のみ又は両方を提供する場合を含むものである。医療・福祉の商品・サービスを提供する者として、これらに限る趣旨ではなく、ここでは特に説明していないが、例えば、医療用品、歯科材料、衛生用品などの医療機器を提供するものについても適用できる。
「利用者94」とは、患者、高齢者、障がい者を主に想定するが、一般人も含む概念である。これは、健常者であっても健康診断や人間ドック等によって医療機関を利用する健診受診者などの場合もあり、また、将来または過去に患者として利用することもあるためである。
医療施設92は、病院や診療所、歯科医院や眼科院等を含む広い概念である。なお、法令・ガイドライン等で定められているものについては、当然それらに則った処理を行うものであり、例えば、電子カルテや電子処方せん(処方せんデータ)において、医師等の電子署名、タイムスタンプが必須のデータについては、必要とされるタイミングにおいて電子署名等が付与、参照されるものである。
<医療情報共有サーバ10>
図2は医療情報共有サーバ10の概略構成を示す機能ブロック図である。
図示のように、医療情報共有サーバ10は、統括装置11と、地域共有DB12と、医療情報共有サイト100と、を備える。統括装置11は、医療情報共有サーバ10の構成要素を統括的に制御する。
医療情報共有サイト100は、ポータルサイト101と、利用者94や事業者(医療施設92、製薬会社97、介護施設98、健診センター99)のそれぞれのアクセス先となる患者用サイト140、医療施設用サイト110、薬局用サイト160、製薬会社用サイト170と、介護施設用サイト180と、健診センター用サイト190とを備える。
ポータルサイト101は、医療情報共有サイト100の玄関として機能し、外部からアクセスする利用者94や事業者(医療施設92、薬局96、製薬会社97、介護施設98、健診センター99)は、それぞれの情報処理端末でこのポータルサイト101を経由してそれぞれ目的のサイトにアクセスする。
利用者94は、自身のPC(パーソナルコンピュータ)やタブレット端末、スマートフォン等の利用者端末40を用いて医療情報共有サーバ10にアクセスする。利用者端末40がタブレット端末、スマートフォンの場合、専用のアプリケーションが導入され用いられてもよい。
利用者端末40は、患者用サイト140にアクセスして、事業者が提供する商品・サービスを利用する。例えば、医療施設92において診察を受ける場合に、医療施設92のWEBページにアクセスして診察を予約することができる。また、利用者端末40には、例えば健診データ参照機能を有するアプリが導入され、医療情報共有サーバ10と同期されて処方履歴や健康診断の結果(健診データ)や診療時の検査データ(臨床検査データ)を参照することができる。
医療施設92は、医療施設端末20を備え、ネットワーク2を介して医療情報共有サーバ10に接続する。医療施設端末20は、ポータルサイト101から医療施設用サイト110にアクセスして、医療施設92用に用意された機能を利用する。医療施設92用に用意された機能とは、例えば、電子カルテシステム、健診システム、臨床検査システム、医療会計システム、レセプト支援システム等の医療系システムがある。電子カルテシステムやその他の機能は、例えば、シンクライアント環境(特にVDI(バーチャルデスクトップ環境)方式)として医療情報共有サーバ10と協働で実現している。
医療施設92は、自己の診療において作成した電子カルテを地域共有DB12に記録し、各医療施設92は地域共有DB12に記録されている電子カルテを相互に参照して利用可能になっている。
また、電子カルテシステムは、医療情報共有サーバ10が提供する電子処方せんシステムと連係しており、処方せんを出力する際に、電子処方せんとして出力することができる。さらに、他の事業者が医療情報共有サーバ10の地域共有DB12に記録したデータを一定条件下で参照することができる。
薬局96は、薬局端末60を備え、ネットワーク2を介して医療情報共有サーバ10に接続する。薬局端末60は、ポータルサイト101から薬局用サイト160にアクセスして、薬局96用に用意された機能を利用する。薬局96用に用意された機能とは、例えば、電子処方せんシステムがある。電子処方せんシステムは、医療情報共有サーバ10がASPサーバとして機能し、医療施設92が電子処方せんを登録し、薬局96が電子処方せんを取得する。
製薬会社97は製薬機関会社70を備え、ポータルサイト101から製薬会社用サイト170にアクセスして、製薬会社97用に用意された機能を利用する。製薬会社97用に用意された機能とは、医薬品の在庫管理・受発注機能や薬事情報の登録機能、医療関係者への通知機能などである。
介護施設98は介護施設端末80を備え、ポータルサイト101から介護施設用サイト180にアクセスして介護施設98用に用意された機能を利用する。介護施設98用に用意された機能とは、例えば、ケアマネジメントシステム(アセスメント・計画書・月間計画を一体入力;介護支援経過記録の取込み機能)、訪問介護・看護支援システム、通所介護・看護支援システム、介護老人ホーム支援システムなどがある。なお、介護施設98において健康診断等の各種検査の機能を有する場合は、検査実施後に検査データが医療情報共有サーバ10に通知される。
上述の事業者の情報処理端末、すなわち、医療施設端末20、薬局端末60、製薬会社端末70、介護施設端末80、健診センター端末90がシンクライアント端末として、医療情報共有サーバ10がその管理サーバとして、例えばシンクライアント環境が構成される。
シンクライアント環境は、例えば、管理サーバとして機能する医療情報共有サーバ10上に仮想デスクトップ環境を生成し事業者の情報処理端末から仮想デスクトップ環境を操作する仮想化技術(以下、「VDI方式」)により構築されていることがより好ましい。適用される具体的な仮想化技術として、本出願人による特許第6384847号に開示の技術を用いることができる。なお、全てがシンクライアント環境として実現される必要はない。地域医療連携システム1の一部又は全てがクラウド環境にて構築されても一定の効果を実現できる。
<地域共有DB12>
地域共有DB12の機能について説明する。地域共有DB12は、事業者システム支援サーバ13と、クライアント用共通ソフトウェア14と、登録管理部15と、認証部16と、人DB120と、事業者DB130と、技術情報DB138とを備える。
事業者システム支援サーバ13は、シンクライアント環境のシンクライアントサーバ(管理サーバ)として機能する。シンクライアント環境として様々な形式のものが提案されているが、上述のようにVDI方式を採用する。
クライアント用共通ソフトウェア14は、シンクライアント環境における各事業者のシンクライアントの情報処理端末(例えば医療施設端末20)に用いられる各種ソフトウェア(アプリケーション)を保持する。すなわち、事業者システム支援サーバ13がシンクライアントサーバとして仮想デスクトップを稼働させる場合に、その仮想デスクトップ上で稼働させるアプリケーションを保持する。
登録管理部15は、地域医療連携システム1を利用する利用者94や、関連する事業者(ここでは医療施設92や薬局96、製薬会社97、介護施設98、健診センター99等)や、それら事業者に所属する医師、介護士、責任者等を登録する。
認証部16は、事業者(医療施設92、薬局96、製薬会社97、介護施設98、健診センター99)や利用者94が地域医療連携システム1にアクセスする際に、登録管理部15で登録された認証情報(認証手段の種類およびそれによる登録情報)にもとづき、認証処理を行う。
<人DB120>
人DB120は、地域医療連携システム1を使用する者、すなわち患者等の利用者94の各種情報を記録し保持する。具体的には、人DB120は、利用者DB121と、医療関係者DB122と、薬剤師DB123と、介護士DB124と、電子カルテDB125と、処方せんDB126と、検査結果DB127と、遺伝子情報DB128とを備える。
利用者DB121は、所定の登録事項(利用者情報)を記録する。利用者情報(患者情報とも言う)の項目として、「名前」「社会保障番号」「生年月日」「住所・電話番号」「認証情報」を必須登録情報とし、必須登録情報が登録されると、患者共通IDが付される。また、任意登録情報として、例えば「緊急連絡先」「延命治療意思」「臓器提供意思」「要注意事項」「注意薬情報/副作用情報」「ヘルパー」「介護先」「かかりつけ薬局」「定期及び任意の予防接種履歴」「抗体検査履歴」などがある。また、「要注意事項」として既往症や手術歴等を登録することで、利用者94(すなわち患者)に確認が難しい状況において、医療施設92にて避けるべき処置を把握でき、治療を円滑にできる。「注意薬事項/副作用情報」では、利用者94が自身の薬の履歴から副作用等により避けたいと考える薬があれば理由とともに登録する。「かかりつけ薬局」があることで、医師が処方せんを出す場合に、薬の在庫状況を事前に把握できたりする。社会保障番号として、例えば、健康保険番号や政府管理の個人番号(いわゆるマイナンバー)があり、その他の公的番号として運転免許証番号が用いられてもよい。
つづいて、医療関係者DB122、薬剤師DB123、介護士DB124について説明する。医療施設92や薬局96、健診センター99、介護施設98が登録する場合は、あらかじめ地域医療連携システム1の管理者から所定の権限を与えられた者が、それぞれの機関の所属者を登録する。医療関係者の登録情報(事業者情報)として、「名前」「属性(医師、看護師、その他等)」「所属」、「専門」、「認証情報」、「モバイル端末ID(MACアドレス)」があり、登録されると医療関係者IDが付与される。
医療関係者DB122には、医療施設92及び健診センター99に所属する関係者(医師や看護師等)の登録情報(事業者情報)が記録されている。医療施設92や健診センター99に所属する者(すなわち医療関係者)の登録項目として、「名前」「属性(医師、看護師、その他等)」「所属(所属1、所属2、・・・)」、「専門」、「認証情報」、「モバイル端末ID(MACアドレス)」があり、登録されると医療関係者IDが付与される。
薬剤師DB123には、薬局96に所属する関係者の登録情報が記録されている。登録項目として、「名前」「所属」、「認証情報」があり、登録後に薬剤師IDが付与される。
介護士DB124には、介護施設98に所属する関係者、例えば従業者(介護士やケアマネージャ等)の登録情報(事業者情報)が記録されている。登録項目として、「名前」「所属」「属性」「認証情報」があり、登録後に介護士IDが付与される。
電子カルテDB125には、医療施設92や健診センター99で作成された電子カルテのデータが、その利用者94と関連づけられて記録される。
処方せんDB126には、医療施設92(必要であれば健診センター99)で作成された処方せんのデータが利用者94及び管理番号と関連づけられて記録される。
処方せんDB126は、薬局が薬を利用者に出すときに薬局端末で参照され、実際に出した際の具体的な情報(日時、薬名、メーカ、量等)が追記される。利用者94の電子カルテや処方履歴が記録されているため、診療等の際に医師の判断が容易になり、また、意識不明の状態の利用者94が救急車等で搬送されてきた場合に、本人確認さえできればどのような治療がなされてどのような薬が処方されているかが分かるため、無駄な検査を省き、早急な処置が可能となる。
処方せんDB126は、医療施設92で作成された処方せんのデータが利用者94及び管理番号と関連づけられて記録される。処方せんDB126は、薬局96が薬を利用者94に出すときに薬局端末60で参照され、実際に出した際の具体的な情報(日時、薬名、製薬会社、量等)が追記される。利用者94の電子カルテや処方履歴が記録されているため、後述の診療等の際に医師の判断が容易になるだけでなく、意識不明の状態の利用者94が救急車等で搬送されてきた場合に、本人確認さえできればどのような治療がなされてどのような薬が処方されているかが分かるため、無駄な検査を省き、早急な処置が可能となる。
検査結果DB127には、医療施設92や健診センター99で過去に実施した検査(臨床検査や健康診断など)の検査結果が保存されている。ここでは、「検査名」「実施日」「実施機関」「結果」が記録されている。
遺伝子情報DB128は、利用者94の遺伝情報を保管する機能(遺伝子情報DB128)を有する。保管する遺伝情報は、公的機関や研究機関に提供するデータの一つとしてよい。
図4は、ある医療施設92の医療施設端末20に表示されるある利用者(患者)の電子カルテ30の表示例であり、検査結果DB127の検査結果が表示されている。図示の電子カルテ30では、「健診データ」タブが選択され、項目選択領域305の「検査履歴一覧」ボタン306が選択された状態である。主表示領域301に、検査結果DB127から検査結果、ここでは「検査名」「実施日」「実施機関」「結果」が表示される。「結果」には、リンクが関連づけられており、このリンクを選択することで、詳細なデータが表示される。
<事業者DB130>
事業者DB130を説明する。事業者DB130は、事業者自体の情報を登録・記録するものであり、地域医療連携システム1の管理者によって登録される。具体的には、事業者DB130は、病院DB131と、薬局DB132と、製薬会社DB133と、介護施設DB134と、健診DB195と、健康診断管理システム191と、医療情報提供システム192とを備える。
病院DB131には、医療施設92の登録情報が記録されている。登録項目として、「医療機関ID」「名称」「種別」「診療科」「予約連携」「住所」「電話番号」「代表者(ID)」「所属者(ID)」「登録端末(MAC)」「受診可能検査」がある。「種別」とは医療施設92の種別であり、病院であるか診療所であるかの種別や、病院であれば特定機能病院、地域医療支援病院、その他の一般病院等の種別である。「予約連携」とは、救急患者等が発生した場合等に、電話等の従来の連絡手段の他に、地域医療連携システム1を用いて医療施設92同士が連絡を取り合う緊急連携機能や医療施設92間での予約機能に参加するか否かである。その他に、医療施設92のホームページアドレス等が登録されてもよい。「受診可能検査」とは、その医療施設92で受診可能な検査の種別を指し、例えば「健康診断」「人間ドック」「胃内視鏡又は胃レントゲン」「大腸内視鏡」「乳がん検診」等である。
健診DB195にも同様に、健診センター99の登録情報が記録されている。登録項目として、「センターID」「名称」「診療科」「予約連携」「住所」「電話番号」「代表者(ID)」「所属者(ID)」「登録端末(MAC)」がある。
薬局DB132、製薬会社DB133、介護施設DB134についても同様に、各事業者の登録情報として、「事業者(薬局ID、製薬機関ID、介護施設ID)」「名称」「住所」「電話番号」「代表者(ID)」「所属者(ID)」「登録端末(MAC)」「受診可能検査」がある。それらの事業者からは、登録端末(MAC)の情報処理端末(薬局端末60、製薬会社端末70、介護施設端末80)からのみ医療情報共有サーバ10にアクセスできる。
技術情報DB135は、薬事情報DB136と、医療機器DB137とを備える。薬事情報DB136には、医薬品に関する安全情報が記録されている。安全情報は、該当の製薬会社によって登録・更新されたり、地域医療連携システム1の管理者等によって登録・更新される。医療機器DB137、それぞれの医療機関に設置されている医療機器(特に検査機器及びその稼働状況)等について、設置状況(例えば設置位置、導入時期、メンテナンス状況等)が記録されている。
<健康診断管理システム191>
健康診断管理システム191は、健診センター99におけるカルテシステム(健診用カルテシステム)としての機能を有する。本実施形態では、健康診断管理システム191の健診用カルテシステムは、検査結果を記録する点においては医療施設92における電子カルテシステムと同様の機能を有する。なお、健診用カルテシステムは、健康診断管理システム191と別システムとして構成されてもよい。
健康診断管理システム191は、健診用カルテシステムの機能を用いて、健診医に対して、実施していない検査項目を行うように指示する。また、健診用カルテシステムの機能は、健診受診者の端末(すなわち利用者端末40)に対して、実施する検査項目を通知する機能を有していてもよい。健康診断管理システム191は、健診センター99で実施する検査項目を実施し、健診DB195に検査結果を記録し、合わせて、検査結果DB127に検査結果を記録する。健診用カルテシステムの機能は、健診センター99以外で実施済みの検査結果と健診センター99で実施した検結果を合わせて、健診医の端末(健診センター端末90)に表示する。
健康診断管理システム191は、健診センター99で実施される健康診断について、受診する利用者94や健診項目(検査項目)の登録・管理を行う。健康診断管理システム191は、健診項目(検査項目)を利用者94と関連づけて上述の健診DB195に記録する。
健診受診者や健診受診者が所属する企業、健保組合は、利用者端末40やそれら企業の情報処理端末(図示せず)で、健康診断の予定を医療情報共有サーバ10上の健診DB195に所定の事項を登録する。上記企業や健保組合には、所定のアクセス用ID及び認証情報が付与されており、それらを用いて健診DB195にアクセスする。
健診DB195には、健康診断予定日や健康診断項目などが登録される。図3に健康診断項目の例を示す。健康診断項目として、図示のように例えば、視力、聴力、血圧、心電図などがある。
健診DB195に前記内容が登録されると、健康診断管理システム191は、医療情報共有サーバ上の検査結果DB127(上述の図4)を参照して、最近(例えば過去3ヶ月以内や6月以内)受けた検査で健康診断項目に該当する検査項目がないかを検索する。
検索の結果、該当する検査項目がある場合、健診DB195に「実施済み」と記録される。
検査結果DB127には、医療施設92や健診センター99で過去に実施した検査の検査結果が保存されている。
図5は健康診断項目の実施状況を示しており、ある医療施設92の医療施設端末20に表示されるある利用者94(すなわち患者)の電子カルテ30の表示例であって、「健診実施状況」ボタン307が押下されたときに表示される。利用者94が医療施設92等で受診し臨床検査を受ける場合、病院の電子カルテシステムは、検査結果DB127を参照する。ここでは、検査結果DB127から所定期間における実施済みの検査及び実施予定の検査が抽出され表示されている。
電子カルテシステムは、検査結果DB127を参照した結果、目的の臨床検査について、最近の検査結果がある場合、その結果を電子カルテに表示し、臨床検査が不要である旨を表示する。
検査結果がない場合、電子カルテシステムは、同一の検査項目及び同時に行える検査項目が健診DB195の健康診断予定検査項目に存在するかを検索する。
検索の結果、同時に行える検査項目が存在する場合、電子カルテシステムは当該検査項目を電子カルテ上に表示する。電子カルテシステムは、目的の臨床検査及び同時に行える検査のうち実施した検査の検査結果を検査結果DB127に保存する。電子カルテシステムは、健診DB195上の検査項目のうち実施した検査の項目を「実施済み」と記録を追記してもよい。
例えば、採血検査のうち貧血検査と腎機能検査を医療施設92(病院)で受けるとする。
電子カルテシステムは、健診DB195を参照する。参照の結果、同一の検査項目として「貧血検査」が、同時に行える検査項目として「肝機能検査」「脂質検査」「糖代謝」「腫瘍マーカー」が表示された。ここで利用者94(すなわち患者)に確認したところ、「肝機能検査」「脂質検査」の2つの検査を追加で行うこととした。
検査を行い、結果が出ると、電子カルテシステムは、「貧血検査」「腎機能検査」「肝機能検査」「脂質検査」の4つの検査結果を、検査結果DB127に登録し、健診項目である「貧血検査」「肝機能検査」「脂質検査」の3項目を実施したことを合わせて記録する。
利用者94(すなわち健診受診者)が健康診断を受ける際、健康診断管理システム191は、健診DB195と検査結果DB127との両方を参照し、実施済みの検査項目を確認する。
例えば、図3や図5に示すように、健康診断の検査項目として、「視力」「聴力」「血圧」「尿検査」「胸部レントゲン」「貧血検査」「肝機能検査」「脂質検査」「糖代謝」「心電図」「腫瘍マーカー」の11項目が登録されている。
図5に示すように、上記検査項目のうち、「胸部レントゲン」「貧血検査」「肝機能検査」「脂質検査」「糖代謝」の5項目は、最近医療施設92(病院)で受けており、結果が検査結果DB127に登録されている。
健康診断管理システム191の健診用カルテシステムは、健診DB195及び検査結果DB127への参照の結果、「胸部レントゲン」「貧血検査」「肝機能検査」「脂質検査」「糖代謝」の5項目は実施済みと確認したため、健康診断では「視力」「聴力」「血圧」「尿検査」「心電図」の5項目を実施するよう表示する。健診医は、利用者94に前記の5項目を受けるように指示し、実施する。検査結果は、健診センター99の電子カルテに記録される。また、検査結果DB127にも記録される。健診用カルテシステムは、他の医療施設92で既に実施済みの検査項目と健診センター99で実施済みの検査項目とを合わせてすべての健康診断予定検査項目の結果がそろった状態で、健診医の端末(健診センター端末90)に送り、必要に応じて結果を表示させる。また、健康診断管理システム191は、健診医に検査結果を送った段階で、送付日時と送付先の健診医の情報を記録する。
健康診断管理システム191は、利用者94の電子カルテのデータから、定期的に行っている臨床検査を抽出する。健康診断管理システム191は、健診センター99での健診日から一定期間内に臨床検査が行われると予想される場合、健診DB195上の検査項目に対して実施予定と記録し、健診日に行わなくてもよいと記録する。
健康診断管理システム191の健診用カルテシステムの機能は、健診日に、健診医に対して、検診日に行わなくてもよい検査項目を表示する機能を有してもよい。また、利用者94の利用者端末40に検診日に検査を行わなくてよい項目を通知する機能を有してもよい。
健診日に検査を実施していない場合、健康診断管理システム191は、臨床検査が行われるまで、健診医(すなわち健診センター端末90)に検査結果データを送らなくてもよい。健康診断管理システム191は、医療施設92で臨床検査実施予定の電子カルテシステムに対して、臨床検査を行うように指示する機能を有していてもよい。また、健康診断管理システム191は、一定期間の間に臨床検査が行われない場合、当該検査項目未検査として健診医に検査結果を送る機能及び、利用者94(すなわち利用者端末40)に対して検査を受けるように連絡する機能を有していてもよい。
例えば、糖尿病を患っており、定期的に医者の診察を受けている利用者94(患者)がいる場合を想定する。この利用者94は、医者の診察の際、血液検査のうち糖代謝と腎機能の検査を受けている。
利用者94が健診センター99で健診を受ける際、健康診断管理システム191は、検査結果DB127を参照すると、定期的に「糖代謝」と「腎機能検査」を受けており、過去の検査間隔から近々に受けるであろうと推定する。このとき、健康診断管理システム191は、健診DB195上の健診項目のうち「糖代謝」に関して、「本日は行わず、次回の病院での診察時のデータを利用できる」と判断し、健診で受ける項目から除外し、健診DB195に「糖代謝」は医療施設92(病院)で実施予定と記録する。また、健康診断管理システム191は、利用者94のかかりつけ医(病院)の電子カルテに対して、糖代謝検査を行ってほしい旨を連絡する。
利用者94は、健診の後日かかりつけ医(病院)の診察を受け、「糖代謝」の検査を行う。健康診断管理システム191は、後日実施予定となった検査の検査結果を確認するために健診後、定期的に検査結果DB127を参照する。
健康診断管理システム191は、参照の結果、検査結果が検査結果DB127に反映されると、当該検査結果を取得する。取得後、健康診断管理システム191は、健診前に実施した検査データ、健診時の検査データ、健診後に実施した検査データを取りまとめ、データがそろったことを認識した後、健診医の端末(健診センター端末90)及び健診医に検査結果を送る。合わせて、健康診断管理システム191は、「糖代謝」の項目に関して、健診DB195に記載の「病院で検査実施予定」から「病院で実施」にステータスを変更する。
実施形態では、医療施設92及び健診センター99で検査を行っているが、医療施設92や健診センター99に限らず、病院などと同様の検査機器等を用いて病理検査や生理機能検査などを行える献血センターなどの機関が検査を行ってもよい。また、健診センター99で検査結果を利用しているが、検査した病院等とは別の病院などでの利用であってもよい。
また、母子保健法に規定された健診の結果や学校保健安全法に規定された健診の結果など病院や健診センター以外で行われた検査結果を保存する機能を有してもよい。
医療情報共有サーバ10上の医療情報提供システム192は、検査結果DB127に保存されている検査結果や電子カルテに記載の疾病情報などを外部に提供する機能を有する。
電子カルテに記載の疾病情報は、医療施設92(病院)ごとに管理されていてもよいし、医療情報共有サーバ10に接続され、「マイナンバー」や「保険証番号と診察番号」などの単独または複数を組み合わせることにより個人を特定できる記号が電子カルテに記載されて利用者94ごとに管理されてもよい。
健康診断管理システム191は、健診医を選択する機能を有してもよい。健診医の選択は、利用者94が選択してもよいし、健康診断管理システム191が上記の中から自動で選択してもよい。健診医の指定を利用者94が行う場合は、利用者端末40から行ってもよく、健診医の候補を健康診断管理システム191が提示してもよい。健康診断管理システム191が自動で選択する場合や健康診断管理システム191が利用者94に提示する場合の健診医の候補は、利用者94のかかりつけ医、勤務先の産業医、所属先の指定医、利用者自宅近傍の医師、利用者勤務先近傍の医師、通勤経路上にある駅・バス停近傍の医師などから利用者94に最適なものを提示する。健康診断管理システム191が提示した医師に加え、利用者94の健診医・かかりつけ医になりたい医師を提示してもよい。ここで言う所属先とは、利用者の勤務先、在籍している学校、利用している社会福祉施設など利用者が就業もしくは何らかの形で属している組織を示す。
一度選択した健診医は、特段の事情に該当しない限り次回以降の健診時において健診医として自動的に選択される。利用者94の意思により健診医の変更を行う機能を有してもよい。ここで言う特段の事情とは、利用者94の転職や転居、選択している健診医の廃業など、選択している健診医を利用する必要ないと推定される場合や利用できないと推定される場合のこと示す。
健診医を特定することにより、次の利点がある。健診医は、過去のデータとの比較を容易に行える。また、健診医が利用者94のデータを長期にわたり見ていくことから利用者94に対して責任を持つことになる。健診医は利用者のかかりつけ医となることが期待される。
地域医療連携システム1において、医療情報共有サーバ10に接続できる利用者端末40は、歩数などの日常生活データを取得する機能を有してもよい。また、利用者端末40は、日常生活中の血糖値、脈拍、体温、血圧、心電図、酸素飽和度、心音などの計測結果を取得する機能を有してもよい。前記計測を行う機器は、医療情報共有サーバ10に直接接続する方法または、スマートフォンなどを経由して接続する方法のいずれでもよい。日常生活中の各種データは、患者の病状把握に有用で、日常生活中のデータをもとに治療方針を決定できる。
地域医療連携システム1は、定期的または検査結果や日常生活中での測定結果が記録された場合に検査結果DB127を参照し、利用者94の検査結果の値や日常生活中での測定結果の値について“値の変化が大きい場合”や“閾値を超える場合”に、かかりつけ医に通知する機能を有してもよい。通知を受けたかかりつけ医の医療施設端末20は、検査結果を確認し、必要に応じて利用者に連絡する機能を有してもよい。
地域医療連携システム1は、各種検査で取得した検査結果の値の推移を数か月から数年、場合によっては数十年の単位でみることにより疾病の予測を行う機能を有してもよい。
<企業等健康情報提供機能:企業における社員の健康管理>
利用者94の所属する企業等は、社員(従業員)である利用者94の健康状態を知るために、地域医療連携システム1(即ち健康診断管理システム191及び健診DB195)を活用してもよい。以下、上記のように企業が地域医療連携システム1に接続して社員等の健康状態の把握を可能とする機能を「企業等健康情報提供機能」として説明する。企業等健康情報提供機能は、健康診断管理システム191の一機能として組み込まれてもよいし、健康診断管理システム191や健診DB195と連携する別システムとして構成されてもよい。
例えば、所属企業は、社員が慢性腎不全などの慢性疾患やガンなどの大病に罹患している場合や、ケガや障害,妊娠などなんらかの事情により心身が不自由になっている場合など、雇用者の責任として社員の状況に合わせた労務管理を行う必要がある。企業は、労務管理を行う上で必要な社員の健康状態を、社員の同意のもと企業等健康情報提供機能から取得する。
具体例として4例挙げる。
1:社員が、慢性腎不全により透析療法を行っている場合
透析療法を行っている人は、一般に週に3回透析医院に通って透析を受けている。その透析日は、会社に残って残業ができない。また、宿泊を伴う出張を指示する場合も透析日を避けるようにする必要がある。企業は、透析日や透析間隔を知るために企業等健康情報提供機能を利用する。取得した情報をもとに、企業は、社員の透析実施日の業務の調整を行い、「出張を指示しない」「定時で退社できるようにする」などの対応を行う。
業務上避けられない理由により透析日に出張を指示する場合、出張先で透析を受けることも想定される。出張先で透析を受ける場合、透析を行う医療機関を探す必要があり、依頼には患者の情報が必要となる。通常、会社は社員の健康状態の情報を持たないため、社員が自ら医療機関を探し依頼する必要があるが、企業が情報を持っているため、社員に代わり、医療機関の検索及び透析依頼を行うことができる。
2:社員が、がんに罹患し化学療法や放射線療法を行っている場合
がんに罹患して化学療法や放射線療法を行っている人は、定期的に、治療内容によっては短期間に集中して通院する必要がある。化学療法や放射線療法は、治療の副作用で体調不良になることもある。また、術後に行われることも多く手術による影響も考慮する必要がある。企業は、通院日に合わせて業務の調整を行う必要がるほか、通院期間中(特に通院の直後)に体への負荷の大きい作業に従事させないようにする必要がある。会社は通院日等を知るために企業等健康情報提供機能を使用する。また、医師からの生活上の注意点も医療情報システムから取得でき、その指示に合わせて業務命令を行うこともできる。
3:社員の足が不自由な場合
何らかの理由により足が悪く装具をつけて生活している人がる。装具をつけて生活している人の何人かは、天候などの影響により普段より足の動きが悪くなる人もいる。
企業は、心身に障がいを持っている人を一定割合雇用する義務があり、障がいに合わせた業務指示を行う必要がある。前記の足の障がいの場合、立ち仕事になるような業務を指示しないなどの対応を行う。社員の障がいの内容と日常生活上の注意(前記の場合天候の変化に注意)などを企業等健康情報提供機能から取得し、その指示に合わせて業務命令を行える。
4:社員が妊娠中の場合
社員が妊娠中の場合、企業は妊婦に対して配慮を行う必要がある。妊娠が判明して安定期に入るまでの間、妊娠の事実を会社に隠して勤務することも多い。しかしながら、安定期に入るまでの間は、つわりなどで体調不良を起こすことも多く配慮が必要となる。また、流産の危険性もあるため、体への負担の大きい業務からは外すなどの対応も必要となる。妊娠前期の例示をしたが妊娠中期,後期になってもいろいろな理由で配慮が必要となってくる。また、多胎児妊娠なのか、単胎児なのかで、産前休業の開始時期も異なってくる。また、産前休業の開始時期や育児休業の期間を把握できるので、人員配置等の処置も行える。妊娠の経過情報を企業等健康情報提供機能から取得し、合わせて医師からの生活上の注意などを取得することにより、妊婦の状況に合わせた配慮を行うことができる。
出産の事実も医療情報システムから知ることができ、社内規定に規定された出産手当の支給や扶養の取り扱い、健康保険の出産一時金の手続きなどにも利用できる。
<医療情報提供システム192>
医療情報提供システム192は、各医療機関(医療施設92や薬局96、介護施設98、健診センター端末90)及び医療情報共有サーバ10に保存されている疾病情報を図8のように個人を特定できる記号を利用してデータの保管場所を特定する。
医療情報提供システム192は、特定した保管場所情報をもとに、実際に電子カルテにアクセスし疾病情報等を取得する。アクセス先のサーバの指定は、図ではIPアドレス(IPV4アドレス)を記載しているが、その他にMACアドレスやIPV6アドレスなどアクセス先のサーバを特定できる情報でもよい。
製薬会社97等の機関は、医療情報提供システム192に対して検査結果のデータの提供依頼を行う。医療情報提供システム192は、提供依頼に基づき必要なデータを依頼者に提供する。医療情報提供システム192は、提供するにあたり、匿名化の加工や提供の希望しない患者のデータの除外などの加工を行う機能を有してもよい。
以下のような提供方法がある。
(1)特定の疾患を持つ患者の検査データ
研究機関に対して特定の疾患を持つ患者百人分の血液検査のデータと個人情報を匿名加工したデータを提供
(2)特定のHLAの型を持つ健康な人の情報
骨髄バンクに対して、特定のHLAの型を持つ健康な人のデータを実名で連絡
(3)希少な血液型を持つ人の情報
献血センターに対して、希少な血液型を持つ人のデータを実名で連絡
(4)特定の疾患を持つ患者数及び特定の症状が出ている患者数の提供
製薬会社に対して、特定の疾患を持つ患者数とそのうち何人が特定の症状を有している患者数の提供
上記提供方法は一例であり、これらに限らない
医療情報提供システム192は、利用者94の要望に応じて外部の機関に対して各種データの提供の可否を管理する機能を有していてもよい。また、提供範囲の制限を行う機能を有していてもよい。例えば、製薬会社97のみに公開や研究機関のみ提供拒否、実名公開に該当する場合拒否などがあげられるがこれに限らない。
利用者94の利用者端末40に提供履歴を表示する機能を有してもよい。提供履歴は、提供先が「利用している医療機関など」と「研究機関などそれ以外の機関」などで分けて表示できてもよい。また、情報の提供を行った場合、利用者94に対して通知する機能を有してもよい。通知の有無の設定などは、利用している医療機関など」と「研究機関などそれ以外の機関」などの条件で一括設定のほか、提供先ごとに設定できてもよい。
図6に各種データの提供の可否を設定する電子カルテ30の画面の例を示す。電子カルテ30において、「医療情報提供」タブが選択されており、項目選択領域305の「医療情報提供可否設定」ボタン308が押下された状態である。主表示領域301に、図示のように医療情報提供について利用者94の意向を設定する設定画面が表示される。また、図7は、図6において、「詳細を設定する」リンクが押下されたときにポップアップ表示された、提供可否の詳細を設定する画面309の例を示す。
医療情報提供システム192は、情報提供に同意した利用者94に対する報酬を管理する機能を有してもよい。医療情報提供システム192は、医療情報の提供先に情報を送る際に、情報の対価の請求を行うことができる。受けとった対価をもとに、医療情報提供システム192は利用者94に提供可能な報酬を策定し、利用者に報酬を提供する。
医療情報提供システム192は、家系図などの人/家族DBを管理し、外部の機関に提供してもよい。人/家族DBを作るためのパーソナルデータを図9に示す。人/家族DBとは、利用者本人及びその家族や祖先、子孫の家系情報や家族の詳細情報、本人の職業やマイナンバー、健康保険など詳細情報、かかったことのある医療機関の情報などが含まれている。
家系図を含む人/家族DBの情報とそれに紐づく疾病情報とを合わせることにより遺伝的な要素での疾病の発生状況などがわかる。この情報を外部の研究機関などに提供することにより病気の発生リスクについての研究が行われることなどが期待できる。
医療情報提供システム192は、利用者94の遺伝情報を保管する遺伝子情報DB128を用いて、承諾・匿名化する等の一定条件下で公的機関や研究機関にデータを提供する。
遺伝子情報を外部機関に提供することにより、「警察等の司法機関へ提供し、犯罪捜査に役立てる。」「特定の病気に罹患している患者の情報を集め、遺伝子の共通点を見つけることにより、疾病の治療や早期発見などに役立てる。」「特定した疾病患者に共通する遺伝子情報が、健康な人の遺伝子情報の中に存在するかのスクリーニングを実施し、疾病のリスクが高いかどうかの判定に利用する。」などの活用が期待できる。
医療情報提供システム192は、外部データベースを参照して、検査結果を取得する機能を有してもよい。外部データベースとは、例えば日本赤十字社の献血記録確認システムなど、WEB上で検査結果を公開しているシステムである。外部データベースにアクセスは、利用者94の承諾を必要としてもよい。利用者94の承諾がある場合は、自動で外部データベースを参照する機能を有してもよい。
外部データベースを参照することは、地域医療連携システム1に参加していない検査可能な機関で保存している検査結果と地域医療連携システム1で保存している検査結果とを一緒に扱えるため、より正確な診断などに役立つ。
医療情報提供システム192は、電子カルテに記載している疾病名を収集し、疾病の発生情報を公的機関や研究機関などに提供する機能を有してもよい。疾病名の発生情報は、一定に期日や期間に来院した利用者のうち何人が同一の疾病にかかっているかの情報である。対象となる範囲は、一定の地域や全国など提供先により設定することができる。
また、医療情報提供システム192は、罹患者の個人情報を提供する機能を有してもよい。個人情報の提供は、法令などにより提供すべき場合に限り、提供先を保健所などの公的機関のみとしてもよい。法令になどにより提供すべき場合とは、「感染症発生動向調査の全数把握対象の感染症のうち、1類−4類の感染症および侵襲性髄膜炎菌感染症、風しん、麻しんの場合」などのことである。
医療情報提供システム192は、利用者94の利用者端末40から「位置情報」「接近者情報」などを取得する機能を有してもよい。また、医療情報提供システム192は、感染症の罹患者と接触した場合に、利用者端末40に通知する機能を有してもよい。罹患者情報の取得は、罹患者がその利用者端末40へ入力することや電子カルテから情報を取得することで行う。感染症の罹患者情報を取得した場合、医療情報提供システム192は、当該罹患者の接近者情報を利用者端末40から取得し、その接近者情報に記録された、接近した相手の抽出を行う。抽出した利用者94の利用者端末40に対して感染症罹患者と接触したことを通知する。通知内容には、どこで接触したかの情報は含まなくてもよい。
医療情報提供システム192は、利用者94の利用者端末40から取得した「位置情報」とり患者の情報から、感染場所を予測する機能を有してもよい。また、感染予測場所の情報から感染しやすさを予想する機能を有してもよい。感染場所の予想は、外部機関から面積の情報や利用者の端末から取得した「位置情報」からその場所の密集度を計算し、密集度と当該場所に同時に居た感染者の人数を用いて行う。予想された感染場所の面積の取得は、感染場所が建造物の場合、法務局に登記されている建物情報や不動産会社の共有物件データベース、インターネット上で公開されている建造物の諸元情報を利用する。電車やバスなど乗り物が感染場所と予測された場合は、インターネット上で公開されている車両の諸元情報などを利用する。
医療情報を収集にあたり、医療情報インフラシステムは、情報の取得時や保管時において情報流出を防ぐための機能を有してもよい。
本実施形態では、医療情報共有サーバ10内の各種DBに情報を保存するとしている。保存先は、例示であり、データを個人から預託され、他の事業者とのマッチングや匿名加工したうえでの情報提供を行う機関(情報銀行)や医療機関などの個人情報を扱える機関内のDBなどでもよい。
以上、本発明の実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構
成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の
範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の形態の例を以下の通り付記する。
(1)複数の医療機関や企業、官公庁が接続し、個人情報を扱う機関が提供する情報システムであって、
検査の結果を患者と関連づけて保存する検査結果DBと、
医療機関の医療機関端末で電子カルテを表示させるように稼働する医療情報システムと、
を有し、
前記医療情報システムは、臨床検査実施の際に、実施予定の臨床検査の検査項目と同一の検査項目の結果が前記検査結果DBに記載されているかを検索する機能を備える、ことを特徴とする情報システム。
(2)前記医療情報システムは、同一の検査項目の結果が前記検査結果DBに保存されている場合、前記電子カルテに、前記同一の検査項目については検査不要である旨を表示する機能を備える、ことを特徴とする(1)に記載の情報システム。
(3)複数の医療機関や企業、官公庁が接続し、個人情報を扱う機関が提供する情報システムであって、
健康診断の予定と内容とを患者と関連づけて管理する健診DBと、
検査の結果を保存する検査結果DBと、
医療機関の医療機関端末で電子カルテを表示させるように稼働する医療情報システムと、
を有し、
医療情報システムは、臨床検査実施の際に、実施する臨床検査と同時に行える健康診断の検査項目が前記健診DBに記載されているかを検索する機能を備える、ことを特徴とする情報システム。
(4)前記医療情報システムは、臨床検査と同時に行える健康診断の検査項目がある場合、前記電子カルテに、患者が同時に検査可能な検査項目を表示する機能を備える、ことを特徴とする(3)に記載の情報システム。
(5)複数の医療機関や企業、公官庁が接続し、個人情報を扱う機関が提供する情
報システムであって、
健康診断の予定と内容とを患者と関連づけて管理する健診DBと、
検査の結果を患者と関連づけて保存する検査結果DBと、
医療機関の医療機関端末に電子カルテを表示させるように稼働する医療情報システムと、
を有し、
前記医療情報システムは、健康診断を実施する際に、前記健診DBと前記検査結果DBとを参照し、検査項目ごとに検査の重複を考慮して実施すべきか否かを判断し、患者が実施すべき検査項目を前記電子カルテに表示する報知機能を備える、ことを特徴とする情報システム。
(6)複数の医療機関や企業、公官庁が接続し、個人情報を扱う機関が提供する情報システムであって、
健康診断の予定と内容とを患者と関連づけて管理する健診DBと、
検査の結果を患者と関連づけて保存する検査結果DBと、
医療機関の医療機関端末に電子カルテを表示させるように稼働する医療情報システムと、
を有し、
前記医療情報システムは、
患者が定期的に受けている臨床検査の検査項目と実施予定日とを抽出する機能と、
前記臨床検査の検査項目が、前記健診DBに記載の健康診断の検査項目に該当し、前記臨床検査の実施予定日が前記健診DBに記載されている健康診断の予定日以降の場合、前記健診DBに健康診断の際に実施しなくてもよい旨を記録する機能と、
を備えることを特徴とする情報システム。
(7)前記医療情報システムは、健康診断の実施の際に、前記健診DBに健康診断の実施の際に実施しなくてもよい旨が記録されている健康診断の検査項目がある場合、患者が実施しなくてもよい検査項目を前記電子カルテに表示する機能を備えることを特徴とする(6)に記載の情報システム。
(8)前記医療情報システムは、実施予定の健康診断の検査項目において実施しなくてもよい検査項目のうち少なくとも1つを、検査予定の患者の端末に通知する機能を備える、ことを特徴とする(5)又は(7)に記載の情報システム。
1 地域医療連携システム
11 統括装置
12 地域共有DB
13 事業者システム支援サーバ
14 クライアント用共通ソフトウェア
15 登録管理部
16 認証部
20 医療施設端末
30 電子カルテ
40 利用者端末
60 薬局端末
70 製薬会社端末
80 介護施設端末
90 健診センター端末
92 医療施設
94 利用者(患者)
96 薬局
97 製薬会社
98 介護施設
99 健診センター
100 医療情報共有サイト
101 ポータルサイト
110 医療施設用サイト
120 人DB
121 利用者DB(患者DB)
122 医療関係者DB
123 薬剤師DB
124 介護士DB
125 電子カルテDB
126 処方せんDB
127 検査結果DB
128 遺伝子情報DB
130 事業者DB
131 病院DB
132 薬局DB
133 製薬会社DB
134 介護施設DB
135 技術情報DB
136 薬事情報DB
137 医療情報DB
138 共通在庫DB
139 機器管理DB
140 患者用サイト
160 薬局用サイト
170 製薬会社用サイト
180 介護施設用サイト
190 健診センター用サイト
191 健康診断管理システム
192 医療情報提供システム
195 健診DB

Claims (7)

  1. 複数の医療機関や企業、官公庁が接続し、個人情報を扱う機関が提供する情報システムであって、
    健康診断の予定と内容とを患者と関連づけて管理する健診DBと、
    検査の結果を患者と関連づけて保存する検査結果DBと、
    医療機関の医療機関端末で電子カルテを表示させるように稼働する医療情報システムと、
    を有し、
    前記医療情報システムは、臨床検査実施の際に、実施予定の臨床検査の検査項目と同一の検査項目の結果が前記検査結果DBに記載されているかを検索する機能を備え、かつ、臨床検査実施の際に、実施する臨床検査と同時に行える健康診断の検査項目が前記健診DBに記載されているかを検索する機能を備える、ことを特徴とする情報システム。
  2. 前記医療情報システムは、同一の検査項目の結果が前記検査結果DBに保存されている場合、前記電子カルテに、前記同一の検査項目については検査不要である旨を表示する機能を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の情報システム。
  3. 前記医療情報システムは、臨床検査と同時に行える健康診断の検査項目がある場合、前記電子カルテに、患者が同時に検査可能な検査項目を表示する機能を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報システム。
  4. 前記医療情報システムは、健康診断を実施する際に、前記健診DBと前記検査結果DBとを参照し、検査項目ごとに検査の重複を考慮して実施すべきか否かを判断し、患者が実施すべき検査項目を前記電子カルテに表示する報知機能を備える、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の情報システム。
  5. 前記医療情報システムは、
    患者が定期的に受けている臨床検査の検査項目と実施予定日とを抽出する機能と、
    前記臨床検査の検査項目が、前記健診DBに記載の健康診断の検査項目に該当し、前記臨床検査の実施予定日が前記健診DBに記載されている健康診断の予定日以降の場合、前記健診DBに健康診断の際に実施しなくてもよい旨を記録する機能と、
    を備える、ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の情報システム。
  6. 前記医療情報システムは、健康診断の実施の際に、前記健診DBに健康診断の実施の際に実施しなくてもよい旨が記録されている健康診断の検査項目がある場合、患者が実施しなくてもよい検査項目を前記電子カルテに表示する機能を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の情報システム。
  7. 前記医療情報システムは、実施予定の健康診断の検査項目において実施しなくてもよい検査項目のうち少なくとも1つを、検査予定の患者の端末に通知する機能を備える、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の情報システム。
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