JPWO2005092916A1 - 新規発酵生産物 - Google Patents

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浩二 永井
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Abstract

本発明者等は、癌遺伝子導入細胞を用いて、腫瘍細胞に選択的に細胞死を誘導する物質の探索を鋭意行ったところ、ストレプトミセス属に属する放線菌より得られた新規なペプチド系発酵生産物が、癌遺伝子導入細胞に対する強力かつ選択的な細胞傷害活性を有することを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は、強力かつ選択的な細胞傷害活性を有する、多数のチオアミド結合を有する直鎖部分と5アミノ酸残基から構成される環状部分からなるペプチド系の発酵生産物またはこれらの製薬学的に許容される塩を提供するものである。

Description

本発明は癌細胞選択的なアポトーシス誘導作用を有し、医薬、特に、抗腫瘍剤として有用な新規化合物またはその製薬学的に許容される塩、及び該化合物を有効成分として含有する医薬組成物、殊に抗腫瘍剤、並びに該化合物を産生する新規菌株及び該菌株を用いた該化合物の製造法に関する。
従来多くの抗腫瘍剤が開発されてきたが、癌細胞に対して特異的な分子標的をもつものは少なく、正常細胞に対しても毒性を示すことから、副作用が問題となっている。そこで、正常細胞と癌細胞の分子生物学的差異を標的とした、癌細胞に対して選択性のある薬剤の開発が期待されている。そのような癌化学療法の標的候補として転写制御因子として機能する一連の癌遺伝子産物が注目される。
癌遺伝子産物は、その多くが細胞周期の制御に関わっているが、DNA合成系酵素遺伝子の転写促進に関与するものとしてE2F (Proc. Natl. Acad. Sci. USA., (1994), 91, 10918-22)、Myc (Cell., (1992), 69, 119-128)、アデノウイルスE1A(Genes Dev. (1993), 7, 535-45)等が知られている。これらの遺伝子産物は細胞周期をG1期からS期に進行させる役割を担うだけでなく、細胞に対してアポトーシス感受性を増大させる(Oncogene., (1991), 6, 1915-22 ; Oncogene., (1995), 11, 467-74 ; 及びMol. Cell Biol., (1994), 14, 8166-73) 。アデノウイルスのE1A癌遺伝子産物は、RB蛋白質によって制御されているE2Fを遊離してDNA合成系遺伝子群を活性化し、細胞周期を進行させる。一方過剰のE2Fはアポトーシス誘導因子p53を安定化し、細胞はアポトーシスに対して高感受性となる。E2Fは多くの癌細胞において活性化していることが知られており、アデノウイルスE1A癌遺伝子導入細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導する物質は、癌細胞選択性を有する抗腫瘍剤になりうることが期待されている。
今なお副作用の少ない、癌細胞選択的にアポトーシスを誘導する、新しいタイプの抗腫瘍剤の創製が切望されている。
本発明者等は、癌遺伝子導入細胞を用いて、腫瘍細胞に選択的に細胞死を誘導する物質の探索を鋭意行ったところ、ストレプトミセス属に属する放線菌より得られた新規な発酵生産物が、癌遺伝子導入細胞に対する強力かつ選択的な細胞傷害活性を有することを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記式(I)で示される化合物(以下、化合物Iと略記する)またはその製薬学的に許容される塩に関する。
Figure 2005092916
(式中、X-はカウンターアニオンを示す。)
本発明化合物Iは、多数のチオアミド結合を有する直鎖部分と5アミノ酸残基から構成される環状部分からなるペプチド系の化合物であり、類似する構造を有する化合物は従来報告がない。
本発明は化合物Iまたはその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物、殊に、抗腫瘍剤に関する。また、本発明は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し化合物Iを生産する能力を有する微生物を培養しその培養物から化合物Iを単離することを特徴とする化合物Iの製造法、殊に、新規な微生物であるストレプトミセス オリボビリディス(Streptomyces olivoviridis) NA05001株(FERM BP-10289 号)を用いた製造法、更には、該ストレプトミセス オリボビリディス(Streptomyces olivoviridis) NA05001株(FERM BP-10289号)並びに化合物Iを生産する能力を有するその変異株の発明をも包含する。
本発明化合物Iは、癌遺伝子を導入した細胞に対して、強力かつ選択的な細胞死誘導活性を有するので、各種の腫瘍、特に大腸癌、肺癌、前立腺癌、子宮頸癌等の治療剤として有用である。
化合物Iの1H-NMRスペクトルを示す図である。 化合物Iの13C-NMRスペクトルを示す図である。
以下、本発明につき詳述する。
本発明化合物Iは、ストレプトミセス属に属する当該物質生産菌を栄養培地にて培養し、当該物質を蓄積させた培養物から常法によって得られる。当該物質の製造方法において使用する微生物は、ストレプトミセス属に属し当該物質の生産能を有する微生物であればいずれも用いることができる。このような微生物としては、例えば土壌より分離されたストレプトミセス属に属する放線菌ストレプトミセス オリボビリディス(Streptomyces olivoviridis) NA05001株を挙げることができる。
ストレプトミセス オリボビリディス NA05001株の菌学的性質
1.形態
本菌株は各種寒天培地上で良好に生育し、集落表面の色調は灰色系列である。裏面色は淡黄色から黄味茶色などの不鮮明色を呈し、pHで変化しない。拡散性色素はイースト・麦芽寒天培地でオリーブ色や淡黄味茶色を呈し、オートミール寒天培地で明黄色が認められた。気菌糸は長い主軸を形成し、そこより不規則に分枝した先端に、10〜50個またはそれ以上からなる直状あるいは曲状の胞子鎖を形成する。まれにコンパクトな螺旋状の胞子鎖も形成する。胞子は非運動性で、楕円形を呈し、幅0.4〜0.6μm、長さ1.0〜1.4μmで、その表面はとげ状である。基生菌糸の分断は観察されない。胞子嚢、運動性胞子等の特殊な器官は観察されない。
2.各種寒天培地上の性状
各種寒天培地上の性状は下表に示すとおりである。特に記載しない限り、28℃で21日間培養し、常法に従って観察したものである。
Figure 2005092916
3.生理的性質
Figure 2005092916
4.菌体成分分析
細胞壁化学型は(I)型であり、DNAのGC含量は74.2 mol %であった。

上記諸性状を有する菌種を各種文献(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology vol.4, 1989.等)により検索すると、本菌株はストレプトミセス(Streptomyces)属に属する菌株と判断される。続いて「細菌名承認リスト, 1980」及びそれ以降の有効名リストに記載されたストレプトミセス属の種について検索したところ、炭素源の資化の一部を除いてストレプトミセス オリボビリディス (Streptomyces olivoviridis) の性状とよく一致した(表3参照)。そこで、本菌株はストレプトミセス オリボビリディスに含まれる一菌株と同定し、ストレプトミセス オリボビリディス (Streptomyces olivoviridis) NA05001株と命名した。
Figure 2005092916
なお、本菌株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1-1-1 中央第6)に2004年3月19日に受託番号FERM P-19743号として寄託され、2005年3月4日にブタペスト条約に基づく寄託への移管請求をし、受託番号FERM BP-10289号として寄託されている。また、微生物は人工的に又は自然に変異を起こしやすいので、本発明において用いられるストレプトミセス オリボビリディス (Streptomyces olivoviridis) NA05001株は、天然から分離された微生物の他に、これに紫外線、X線、化学薬剤などで人工的に変異させたもの及びそれらの天然変異株についても包含する。
(製造方法)
本発明化合物Iはストレプトミセス属に属し、本発明化合物生産能を有する微生物を培養することによって得られる。培養は一般微生物の培養方法に準じて行われる。
培養に用いられる培地としては、ストレプトミセス オリボビリディス (Streptomyces olivoviridis) NA05001株等の、本発明化合物生産能を有するストレプトミセス属の微生物が利用する栄養源を含有する培地であればよく、合成培地、半合成培地または天然培地が用いられる。培地に添加する栄養物として公知のものを使用できる。培地の組成は、例えば炭素源としては、D−グルコース、L-アラビノース、D-キシロース、D−フラクトース、シュクロース、L-ラムノース、ラフィノース、イノシトール、D−マンニット、ガラクトース、D−マンノース、マルトース、トレハロース、デンプン、ブドウ糖、デキストリン、グリセリン、植物油等が挙げられる。窒素源としては肉エキス、ペプトン、グルテンミール、綿実粕、大豆粉、落花生粉、魚粉、コーンスチープリカー、乾燥酵母、酵母エキス、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿酸その他の有機、無機の窒素源が用いられる。また、金属塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄、コバルトなどの硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩などが必要に応じて添加される。さらに、必要に応じてメチオニン、システイン、シスチン、チオ硫酸塩、オレイン酸メチル、ラード油、シリコン油、界面活性剤などの生成促進物質または消泡剤を添加することもできる。
培養条件としては好気的条件下で培養するのが一般的に有利で、培養温度は20〜40℃の範囲、好ましくは20〜37℃付近で行われる。培地のpHは約5〜9、好ましくは約6〜8の範囲に調整すると好結果が得られる。培養期間は培地の組成、温度条件に応じて適宜設定されるが、通常1〜7日程度、好ましくは2〜5日程度である。
培養物より目的とする本発明物質を単離するには、微生物が産生する代謝産物に用いる通常の抽出、精製の手段が適宣利用できる。例えば培養物質中の該物質は培養液をそのままか、又は遠心分離あるいは培養物に濾過助剤を加えて濾過して得られた培養液に酢酸エチル等の水と混和しない有機溶剤を加えて抽出する。また、培養液を適宜の坦体に接触させ、濾液中の生産物質を吸着させ、次いで適当な溶媒で溶出することにより該物質を抽出することができる。例えば、アンバーライトXAD−2、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオンCHP−20、又はダイヤイオンSP−900のような多孔性吸着樹脂に接触させて該物質を吸着させる。次いでメタノール、エタノール、アセトン、ブタノール、アセトニトリル等の有機溶媒と水の混合液を用いて該物質を溶出させる。このときの有機溶媒の混合比率を段階的に又は連続的に変化させることが有利である。酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶媒で抽出する場合には、培養濾液にこれらの溶媒を加え、良く振とうし、該物質を抽出する。次に、上記の各操作法を用いて得た該物質含有画分は、シリカゲル、ODS等を用いたカラムクロマトグラフィー、遠心液々分配クロマトグラフィー、ODSを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の定法により、さらに純粋に分離精製することができる。すなわち、活性を指標として、適当な溶剤に対する溶解性及び溶解度の差等を利用する一般の生理活性物質の製造に用いられる手段によって、分離、精製される。これらの方法は必要に応じて単独に用いられ、又は任意の順序に組合せ、反復して適用できる。
本発明において「カウンターアニオン」としては、製薬学的に許容されるアニオンであれば、特に制限はなく、好ましくは、ハロゲンイオン、リン酸イオン、有機スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等)、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、水酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等の、1価若しくは2価のアニオンが挙げられ、更に好ましくはリン酸イオン、酢酸イオン、ハロゲンイオン、特に好ましくはハロゲンイオンである。「ハロゲンイオン」としては、F,Cl,Br及びIイオンが挙げられ、中でもClイオンが好適である。これらの塩は常法の造塩反応を用いて製造することができる。
また、本発明化合物Iは不斉炭素原子を有するので、これに基づく立体異性体が存在する。本発明化合物は、これらの立体異性体の混合物もしくは単離されたものを包含する。更に本発明は、化合物I又はその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。
化合物Iを有効成分として含有する医薬組成物は,当分野において通常用いられている薬剤用担体,賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,液剤,吸入剤等による経口投与,又は,静注,筋注等の注射剤,坐剤,点眼剤,眼軟膏,経皮用液剤,軟膏剤,経皮用貼付剤,経粘膜液剤,経粘膜貼付剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては,錠剤,散剤,顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては,一つ又はそれ以上の活性物質が,少なくとも一つの不活性な賦形剤,例えば乳糖,マンニトール,ブドウ糖,ヒドロキシプロピルセルロース,微結晶セルロース,デンプン,ポリビニルピロリドン,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は,常法に従って,不活性な添加剤,例えば滑沢剤や崩壊剤,溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は,薬剤的に許容される乳剤,液剤,懸濁剤,シロップ剤,エリキシル剤等を含み,一般的に用いられる不活性な溶剤,例えば精製水,エタノールを含む。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤,懸濁化剤のような補助剤,甘味剤,矯味剤,芳香剤,防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては,無菌の水性又は非水性の液剤,懸濁剤,乳剤を含有する。水性の溶剤としては,例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては,例えばプロピレングリコール,ポリエチレングリコール,オリーブ油のような植物油,エタノールのようなアルコール類,ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は,さらに等張化剤、防腐剤,湿潤剤,乳化剤,分散剤,安定化剤,溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過,殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し,使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
通常、経口投与の場合、化合物Iの1日の投与量は約0.001から100mg/kg、好ましくは0.01〜50mg/kgが適当である。静脈内注射の場合、1日の投与量は約0.0001から50mg/kg、好ましくは、約0.001から20mg/kgが、それぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与することが好ましい。投与頻度、投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
本発明の抗癌剤は、通常癌治療に用いられる医薬品類と併用することもできる。このような医薬品としては、アドリアマイシン、マイトマイシン、5−フルオロウラシル、イリノテカン、タキソール等の制癌剤、モルヒネ等の痛み止め成分、ステロイド剤等が挙げられる。またこれらの医薬品類との併用にあたっては、合剤として同一製剤として投与してもよく、あるいは、同一若しくは異なる投与経路で投与される別の製剤として、同時に若しくは別々に投与されてもよい。投与量、投与方法は、個々の医薬品類に応じて適宜選択される。
以下、実施例にて具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
可溶性でんぷん1%、ポリペプトン1%、糖蜜1%、肉エキス1%よりなる培地(滅菌前pH7.2)を100mlずつ500ml容の三角フラスコに分注し、121℃で20分間滅菌した。この培地にベネット寒天培地に良く生育させたストレプトミセス オリボビリディス NA05001株をかき取って接種し、28℃、220回転/分の条件で2日間振とう培養し、種培養液とした。次にグルコース2.5%、魚肉エキス1.5%、乾燥酵母0.2%、炭酸カルシウム0.4%よりなる培地(滅菌前pH7.0)を20本の500ml容の三角フラスコに100mlずつ分注し、121℃で20分間滅菌した。この培地に前記種培養液を2mlずつ接種し、28℃、220回転/分の条件で4日間、振盪培養した。
培養液(2L)を遠心分離して得た菌体をアセトン抽出し 、アセトンを除去した。この水溶液を等量の酢酸エチルで3回抽出し、抽出物を濃縮することにより粗活性成分を得た。得られた粗活性成分をシリカゲルカラム(40ml)に吸着させ、カラムをクロロホルム−メタノール(10:1)で洗浄した後、活性成分をクロロホルム−メタノール(2:1及び1:1)で溶出した。溶出液を濃縮後、ODSカラム(YMC Pack D-ODS-7, 20 X 250 mm)を用いて、5mMリン酸二水素ナトリウムを含む85% メタノールを展開溶媒とした逆相HPLCを行うことにより、活性成分を分取した。メタノールを除去した濃縮液を等量の酢酸エチルで3回抽出し、抽出物を濃縮後、クロロホルム−メタノール−水(40:10:1)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、活性フラクションを酢酸エチルに溶解した。酢酸エチル溶液を0.1 M塩酸で2回、蒸留水で2回洗浄し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固し、化合物Iの無色粉末(2.7 mg)を得た。
化合物Iは下記の物理化学的性状を示した。
色及び形状 : 無色粉末
旋光度 [α]D 23 : -146° (c 0.285, メタノール)
分子式 : C56H93N14O10S7 +・Cl-
高分解能FABマススペクトル:
実測値:1345.5215 (M+)
計算値:1345.5244
赤外吸収スペクトル νmax(KBr) cm-1: 3350, 1710 (sh.), 1670
1H-NMRスペクトル(500Hz、重メタノール中): 図1の通り
13C-NMRスペクトル(125Hz、重メタノール中): 図2の通り
上記理化学的性状から本発明の化合物Iはペプチド系化合物であると考えられた。ニンヒドリン反応は陰性であり、遊離のアミノ基は存在しない。COSYスペクトルやHMBCスペクトルの結果を含めて解析し、化合物Iの構造を以下の通り決定した。
Figure 2005092916
実施例2
各種癌遺伝子導入細胞を用いて化合物Iの活性を評価した。使用したのはラット正常線維芽細胞3Y1、及び本細胞をアデノウイルスE1A、アデノウイルス12型、v-src、SV40、v-H-rasで形質転換した細胞(それぞれ3Y1、E1A-3Y1、Ad12-3Y1、SR-3Y1、SV-3Y1、HR-3Y1)で、全ての細胞は10% 牛胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM中、37℃、5% CO2存在下で培養した。これらの細胞を10倍希釈し、100μlずつ96穴マイクロプレートに播種し、細胞接着後、希釈した化合物Iを添加し、72時間培養した。培地を除去し、生成したホルマザンを溶解するためにDMSOを100μl加えた後、ARVO SX 1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer社製、旧Wallac社)にて、検査波長570nm、対照波長630nで比色定量し、吸光度を求めた。相対細胞数は、コントロール(試料無添加)の吸光度を100%として計算した。
それぞれの細胞に対するIC50値は、上記MTTアッセイ法を用いて測定した細胞増殖率を片対数グラフ上にプロットし、近似直線を作成することにより算出した。化合物Iの細胞増殖阻害活性 (IC50)を下表に示す。
Figure 2005092916
本発明化合物Iは、アデノウイルス癌遺伝子を導入した細胞に対して強力かつ選択的に細胞死を誘導することが確認された。よって、化合物Iは癌細胞に選択的に作用する抗腫瘍剤となりうることが示唆された。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
    Figure 2005092916
    (式中、X-はカウンターアニオンを示す。)
  2. 請求項1記載の化合物若しくはその塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物。
  3. 抗腫瘍剤である請求項2記載の医薬組成物。
  4. ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、請求項1記載の化合物を生産する能力を有する微生物を培養し、その培養物から請求項1記載の化合物を単離することを特徴とする、請求項1記載の化合物の製造法。
  5. ストレプトミセス属に属する微生物がストレプトミセス オリボビリディス(Streptomyces olivoviridis) NA05001株(FERM BP-10289号)である請求項4記載の製造法。
  6. ストレプトミセス オリボビリディス(Streptomyces olivoviridis) NA05001株(FERM BP-10289号)並びに請求項1記載の化合物を生産する能力を有するその変異株。
JP2006511491A 2004-03-25 2005-03-24 新規発酵生産物 Withdrawn JPWO2005092916A1 (ja)

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