JPWO2005085811A1 - 蛍光プローブ - Google Patents

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Abstract

下記の式で表される蛍光プローブ(R1及びR2は水素原子を示すか、又はプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための置換基を示し;R3は水素原子、カルボキシル基、又はスルホン酸基以外の一価の置換基を示し;R4及びR5は水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し;R6〜R9はアルキル基を示し;R10及びR11は水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し;M-は対イオンを示し;R1、R2、及びR3の組み合わせは(1)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉前には該化合物が実質的に無蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環に実質的に高い電子密度を与え、かつ(2)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉後には、捕捉後の該化合物が実質的に高い蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環の電子密度を実質的に低下させる)。【化1】

Description

本発明は蛍光プローブに関する。より具体的には、プロトン、金属イオン、又は活性酸素種を捕捉して蛍光を発する蛍光プローブに関するものである。
ローダミンはフルオレセインと同様に古くから知られる蛍光色素である。両者はともに、水中で高い蛍光量子収率を持つことから、蛍光性のタグとして広く生物学領域に応用されてきた。また近年、蛍光プローブを用いた生細胞イメージング技法が盛んに用いられるようになってきたが、この手法で大きな役割を果たす蛍光プローブの母核としても両色素は汎用されている。特にフルオレセインは最も汎用されている母核であり、例えばカルシウム蛍光プローブであるfluo-3(R.Y.Tsien,et al.,J.Biol.Chem.,264,8171,1989)、ナトリウム蛍光プローブであるsodium green(米国特許第5,405,975号公報)、NO蛍光プローブであるDAF類(特開平10-226688号公報)、活性酸素蛍光プローブであるHPF及びAPF(国際公開WO 01/064664号公報)などがよく知られている。
蛍光イメージング技法は、細胞が生きている状態での測定を可能とする手法であることから、情報伝達機構の解明などにとって無くてはならない手法となりつつある。この際、1つの測定対象分子を可視化するだけならばフルオレセイン骨格を持つ蛍光プローブを開発すれば事足りるが、細胞内で起こる各種のイベントは複雑であり、2種類以上の測定対象分子を同時に可視化する必要がある場合も極めて多い。このような場合、異なる波長領域で機能する2種類以上の蛍光プローブの開発が必須である。この目的のために、フルオレセインとローダミンの組み合わせは、両者が細胞ダメージの少ない長波長励起色素である点、前者は励起/蛍光波長が492/515 nm、後者は550/570 nmと十分に波長域が分離している点、両者とも蛍光量子収率が1に近く明るい色素である点、両者ともモル吸光係数が10万弱と極めて大きく明るい色素である点などにおいて理想的な組み合わせである。
これまでにもローダミン骨格を持つ蛍光プローブはある程度の種類が開発されてきたが、そのレパートリーはまだまだ少なく、可視化対象は極めて少数の分子のみに限られている。またローダミン類は、カラム精製効率が極めて低く合成的に非常に扱いにくい分子であり、1つの置換基を導入した誘導体の合成は困難を極める。これもローダミン骨格を有する蛍光プローブの開発を妨げている原因となっている。
本発明者らは、先に、フルオレセイン類の蛍光量子収率が分子内光誘起電子移動により制御可能であることを発見し、この知見を用いてフルオレセイン類蛍光プローブの論理的デザイン法を構築してきた。また、フルオレセイン類の分子骨格の改変にも成功し、これに基づいて幅広い分子種を可視化対象とすることが可能なフルオレセイン骨格を有する蛍光プローブの精密設計法を確立することに成功した(PCT/JP03/08585号明細書)。さらに、フルオレセイン類において、従来その強い発蛍光性にとって必須であると考えられてきたカルボキシル基は、他の置換基でも代用可能であることを見いだし、これに基づいて新しいフルオレセイン誘導体を数多く合成することに成功した(PCT/JP03/08585号明細書)。またさらに、これらの新規化学構造を応用した全く新しいプローブ設計法を構築し、この知見に基づくプローブの開発にも成功した(PCT/JP03/08585号明細書、特願2003-314041号明細書)。しかしながら、ローダミン骨格を有する蛍光プローブについては従来このような研究はなされておらず、ローダミン骨格を有する蛍光プローブの開発は、現在でもなお試行錯誤によらざるを得なかった。
本発明の課題は、ローダミン骨格を持つ新規な蛍光プローブを提供することにある。また、本発明の別の課題は、ローダミン骨格を有する新規な蛍光プローブを設計するための手段を提供することにある。
本発明者らはフルオレセインについて開発した上記の精密設計法をローダミン骨格に適用し、新規なローダミン類を開発することに成功した。このローダミン誘導体は既知のローダミン類と遜色ない高い蛍光性を有する一方で、極めて収率高く合成が可能であるという大きな特長を有している。また、蛍光プローブを設計する際のパラメータとしてフルオレセイン類の場合とは異なる新しいパラメータを用いることにより、フルオレセイン類の場合と同様に光誘起電子移動(Photoinduced Electron Transfer; PET)を基本原理として自在にその量子収率を制御することが可能であることも見いだした。この知見を基にして、フルオレセイン骨格を有する蛍光プローブの基本骨格をローダミン骨格に変換し、励起光及び蛍光の波長を自在に調節することが可能となった。
すなわち、本発明は、蛍光プローブであって、下記の式(I):
Figure 2005085811
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子を示すか、又はプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための置換基を示すが、R1及びR2が同時に水素原子であることはなく、あるいはR1及びR2が互いに結合してプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための環構造を形成してもよく;R3は水素原子、カルボキシル基、又はスルホン酸基以外の一価の置換基を示し;R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R6、R7、R8、及びR9はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R4及びR8、R9及びR10、R5及びR6、並びにR7及びR11からなる群から選ばれる1以上の組み合わせにおいて、該組み合わせに含まれる2つの基(ただし該基は置換基を有していてもよいアルキル基である)は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく;M-は対イオンを示し;
ただし、R1、R2、及びR3の組み合わせは
(1)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉前には、式(I)で表される化合物が実質的に無蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環に実質的に高い電子密度を与えるものであり、かつ
(2)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉後には、式(I)で表される化合物に由来する捕捉後の化合物が実質的に高い蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環の電子密度を実質的に低下させるものである)
で表される蛍光プローブを提供するものである。
この発明の好ましい態様によれば、R1、R2、及びR3が置換するベンゼン環において、上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉前の該ベンゼン環の酸化電位が1.20V未満であり、及び上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉後の該ベンゼン環の酸化電位が1.40V以上である上記の蛍光プローブ;R3が低級アルキル基又は低級アルコキシ基である上記の蛍光プローブ;金属イオンがアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、又は亜鉛イオンである上記の蛍光プローブ;及び活性酸素種が一酸化窒素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、及びスーパーオキシドからなる群から選ばれる上記の蛍光プローブが提供される。
さらに好ましい態様によれば、亜鉛イオン又は一酸化窒素の測定のための蛍光プローブであって、R1及びR2のいずれか又は両方が下記の式(A):
Figure 2005085811
(式中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、2−ピリジルメチル基、又はアミノ基の保護基を示し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を示す)で表される基である上記の蛍光プローブ;一重項酸素測定用のプローブであって、R1及びR2が互いに結合して下記の式(B)で表される環構造:
Figure 2005085811
(式中、R12及びR13はそれぞれ独立にC1-4アルキル基又はアリール基を示す)を示す上記の蛍光プローブが提供される。
さらに別の観点からは、上記の一般式(I)(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子を示すか、又はプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための置換基を示すが、R1及びR2が同時に水素原子であることはなく、あるいはR1及びR2が互いに結合してプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための環構造を形成してもよく;R3は水素原子、カルボキシル基、又はスルホン酸基以外の一価の置換基を示し;R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R6、R7、R8、及びR9はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R4及びR8、R9及びR10、R5及びR6、並びにR7及びR11からなる群から選ばれる1以上の組み合わせにおいて、該組み合わせに含まれる2つの基(ただし該基は置換基を有していてもよいアルキル基である)は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく;M-は対イオンを示す)で表される蛍光プローブの設計方法であって、R1、R2、及びR3の組み合わせとして、
(1)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉前には、式(I)で表される化合物が実質的に無蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環に実質的に高い電子密度を与え、かつ
(2) 上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉後には、式(I)で表される化合物に由来する捕捉後の化合物が実質的に高い蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環の電子密度を実質的に低下させる
組み合わせを選択する工程を含む方法が本発明により提供される。さらに、上記の設計方法により得られた蛍光プローブも本発明により提供される。
本発明により新規なローダミン骨格を有する蛍光プローブが提供され、ローダミン骨格を有する新規な蛍光プローブを設計するための手段が提供された。
図1は化合物1〜8の蛍光量子収率とPETドナー部分の酸化電位との関係を示した図である。 図2は化合物1の蛍光強度とpH変動との関係を示した図である。
本発明により提供される式(I)で表される蛍光プローブは、プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の測定用の蛍光プローブとして用いられる(本明細書においてこれらを「測定対象物」と呼ぶ場合がある)。金属イオンとしては、ナトリウムイオンやリチウムイオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンなどを挙げることができる。活性酸素種としては、一酸化窒素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、及びスーパーオキシドなどを挙げることができる。もっとも、測定対象物はこれらに限定されることはない。
本発明の蛍光プローブは、従来、ローダミンを母核として提案されている各種測定対象物の測定のための蛍光プローブにおいて、キサンテン環の9−位に結合する2−カルボキシフェニル基のカルボキシル基を水素原子、スルホン酸基以外の一価の置換基に変換したことを特徴としている(式(I)においてこの置換基はR3で表される)。ローダミンを母核とする蛍光色素としては、キサンテン環にさらに1以上の環が付加した化合物が知られている。例えば、分子内にジュロリジン骨格を含むようになった7環を有する化合物、例えば、X-Rhodamin(キサンテン環部分の9−位には2−カルボキシフェニル基が結合)、Texas Red(キサンテン環部分の9−位に2−カルボキシフェニル基のカルボキシル基がスルホン酸基であるものが結合)などが知られており、該7環を有する蛍光プローブとして、カルシウム蛍光プローブであるCalcium Crimson、AM等が知られている(以上、モレキュラープローブス社のカタログ(Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Ninth edition)の57〜65頁、788〜790頁を参照)。本発明の蛍光プローブには、前記7環を有する化合物を含めてキサンテン環に1以上の環が付加した化合物も含まれる。
例えば、7環を有する本発明の化合物は、J. Prakt. Chem., 54, 223(1896)及びDyes and Pigments, 42, 71(1999) 等に記載された方法に従って、ホルムアルデヒド、8-ヒドロキシジュロリジンからキサントンを合成し、実施例に示した方法でベンゼン環部位を結合させることにより製造することができる。
キサンテン環の9−位に結合するベンゼン環上には、いずれか一方又は両者の組み合わせが測定対象物の捕捉に関与する2つの置換基が存在している(式(I)においてR1及びR2で表されるが、うち1つは水素原子を示す場合もある)。式(I)で表される化合物において、R1及びR2としては従来からプロトン、金属イオン、又は活性酸素種の測定用の蛍光プローブにおいて用いられている測定対象物捕捉用の置換基を用いることができる。ベンゼン環上のR1及びR2が互いに結合して環構造を形成してプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための置換基を形成してもよい。例えば、ベンゼン環上のR1及びR2の組み合わせとしては、以下に示す基を用いることができるが、これらに限定されることはない(キサンテン環の9−位に結合する2−置換フェニル基又はそれに縮合した環を示す)。
Figure 2005085811
ベンゼン環上におけるR1及びR2の置換位置は特に限定されない。また、R1、R2、及びR3が結合するベンゼン環上には、これらの置換基以外に任意の置換基が存在していてもよい。測定対象物の捕捉のための置換基は種々提案されており、測定対象物の種類に応じて当業者は適宜選択可能である。例えば、特開平10-226688号公報、国際公開WO 99/51586号公報、特開2000-239272号公報、国際公開WO 01/62755号公報などを参照することができる。また、モレキュラープローブス社のカタログ(Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Ninth edition)の第20章(カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、及び他の金属イオン)、第21章(pHインディケーター)、及び第22章(ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン、及び他の無機イオン)に記載された測定対象物の捕捉のための置換基を用いることもできる。もっとも、測定対象物の捕捉のための置換基は上記刊行物に記載されたものに限定されることはない。
本明細書において「捕捉」という用語は、R1及び/又はR2が実質的に化学変化を起こさずに金属イオンをキレート化などにより捕捉する場合のほか、測定対象物との化学反応によりR1及び/又はR2の化学構造が変化する場合を含めて、最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
例えば、亜鉛イオン又は一酸化窒素の測定のための蛍光プローブでは、R1及びR2のいずれか又は両方が下記の式(A):
Figure 2005085811
(式中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、2−ピリジルメチル基、又はアミノ基の保護基を示し、m及びnはそれぞれ独立に0又は1を示す)で表される基であることが好ましい。
一酸化窒素測定用の蛍光プローブではR1及びR2の両方が独立に上記式(A)で表される基を示し、m及びnが0であり、R1及びR2はベンゼン環上で隣接した位置に置換する。亜鉛イオン測定用の蛍光プローブではR1及びR2のいずれか一方が上記式(A)で表される基であり、他方が水素原子であることが好ましい。この場合、X1、X2、X3、及びX4が2−ピリジルメチル基であることが好ましく、X1及びX2が2−ピリジルメチル基であることがより好ましい。また、mが0であり、nが1であり、かつX4が水素原子であることが好ましく、この場合にX1及X2がともに2−ピリジルメチル基であることが好ましい。
また、一重項酸素測定用のプローブでは、R1及びR2が互いに結合して下記の式(B)で表される環構造:
Figure 2005085811
(式中、R12及びR13はそれぞれ独立にC1-4アルキル基又はアリール基を示す)を示すことが好ましい。R12及びR13がそれぞれ独立に置換基を有することもあるフェニル基であることが好ましく、ともにフェニル基であることがさらに好ましい。なお、上記の式(B)はキサンテン環の9−位に結合する基を示しており、環上の置換可能な位置には1又は2以上の他の置換基が存在していてもよい。
本明細書において、「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルキルカルボニル基又はアルキルカルボニルオキシメチル基など)のアルキル部分は、例えば、炭素数1〜12個、好ましくは炭素数1〜6個、好ましくは炭素数1〜4個の直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味している。より具体的には、アルキル基として低級アルキル基(炭素数1〜6個のアルキル基)が好ましい。低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。本明細書においてハロゲン原子という場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよく、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。
3としては低級アルキル基又は低級アルコキシ基が好ましい。特に好ましいのはメチル基又はメトキシ基である。R4及びR5が示すハロゲン原子としては塩素原子又はフッ素原子が好ましい。R4及びR5がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、又はフッ素原子であることが好ましい。R6、R7、R8、及びR9が示すアルキル基としてはメチル基などの低級アルキル基が好ましい。R10及びR11は水素原子であることが好ましい。R4及びR8、R9及びR10、R5及びR6、並びにR7及びR11からなる群から選ばれる2つの基の組み合わせのうちの1以上の組み合わせに含まれる基(ただし該基は置換基を有していてもよいアルキル基である)が互いに結合して5員環又は6員環を形成する場合には、形成される環としては、3'炭素原子又は6'炭素原子に結合した窒素原子を含み、トリメチレン鎖で互いに結合された6員環が好ましい。式(A)で示される基において、アミノ基の保護基の種類は特に限定されないが、例えば、p−ニトロベンゼンスルホン酸基、トリフルオロアセチル基、トリアルキルシリル基などを適宜利用できる。アミノ基の保護基については、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons, Inc.)(1981年)などを参照することができる。
上記式(I)で表される化合物においてM-は対イオンを示し、分子の電荷を中和する個数の対イオンを意味している。対イオンの種類は特に限定されないが、例えば、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、メタンスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、シュウ酸アニオン、クエン酸アニオン、酒石酸アニオンなどの有機酸アニオンなどを挙げることができる。グリシンなどのアミノ酸のカルボキシアニオンを用いてもよい。
本発明の蛍光プローブにおいて、R1、R2、及びR3の組み合わせは、測定対象物の捕捉前には、式(I)で表される化合物が実質的に無蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環に実質的に高い電子密度を与え、かつ(2)測定対象物の捕捉後には、式(I)で表される化合物に由来する捕捉後の化合物が実質的に高い蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環の電子密度を実質的に低下させる組み合わせとして選択される。
1、R2、及びR3が結合するベンゼン環の電子密度の情報は、例えば該ベンゼン環の酸化電位を量子化学的手法に従って計算することにより容易に入手することができる。該ベンゼン環の酸化電位が低くなることは該ベンゼン環の電子密度が上昇することを意味しており、これはHOMO軌道エネルギーが高くなることに対応している。例えば、該ベンゼン環部位のHOMOエネルギーを密度汎関数法(B3LYP/6-31G(d))により求めることができる。R1及びR2としては、測定対象物の捕捉後に酸化電位が変化するものを選択する必要がある。なお、本明細書中に記載された酸化電位はすべて飽和カロメロ電極(SCE)を参照電極とした場合の値であり、硝酸銀電極(Ag/Ag+)を参照電極とした場合の値とは約0.24V基準が異なっている。
例えば、一般式(I)で表される化合物において、該ベンゼン環の酸化電位が1.00V以下の化合物は実質的に無蛍光性であり、該ベンゼン環の酸化電位が1.40V以上では実質的に強い蛍光性の化合物となる場合がある。該ベンゼン環の酸化電位を指標としてR1、R2、及びR3の組み合わせを選択する際には、(1)測定対象物の捕捉前の化合物において該ベンゼン環に実質的に高い電子密度を与え、かつ (2)測定対象物の捕捉後には該ベンゼン環の電子密度を実質的に低下させる組み合わせを選択することにより、優れた蛍光特性を有する蛍光プローブを得ることができる。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、上記の現象はPET(Photoinduced Electron Transfer: 光誘起電子移動)により説明できる。PETとは蛍光消光の1つの方法であり、励起光照射により生成する1重項励起蛍光団が蛍光を発して基底状態に戻る速度よりも速く、近隣の電子供与部位(PETドナー)から電子移動が起き、蛍光消光が起こるというものである。式(I)で表される化合物を蛍光団として作用するキサンテン環部位と、蛍光を消光する部位であるベンゼン環部位(PETドナー)に分割して考えると、ベンゼン環の酸化電位が低い(すなわち電子密度が高く、HOMOエネルギーが高い)とPETによりキサンテン環由来の蛍光が消光する。
蛍光プローブとしては、測定対象物の捕捉前には実質的に蛍光がなく、測定対象物の捕捉後には実質的に強い蛍光性物質に変化する性質を有することが求められるので、蛍光強度の変化が大きいものを好適なプローブとして選択することができる。例えば、測定対象物の捕捉前にはPETにより蛍光が消失しており、測定対象物の捕捉後には実質的にPETが生じないようにプローブを設計することも可能である。該ベンゼン環部位の酸化電位を指標にしてR1、R2、及び/又はR3として新規な置換基を導入した蛍光プローブを設計する場合には、官能基を導入後の化合物のベンゼン環の酸化電位と蛍光の減弱との相関を従来の知見から予測できる場合もあるが、酸化電位と蛍光強度との関係について本明細書の実施例に具体的に示された方法により確認することが望ましい。
また、例えば一酸化窒素測定用の蛍光プローブを設計する場合には、R1及びR2が示す隣接したアミノ基(該アミノ基のうちの一方は例えばアルキル基で置換されていてもよい)の電子密度を高めることにより、一酸化窒素と該アミノ基との反応性が高まり、蛍光プローブの感度を高めることができる。本発明の蛍光プローブにおいてR3として例えばアルキル基やアルコキシ基などの電子供与性基を用いると、ベンゼン環の電子密度が高まる結果、一酸化窒素の捕捉前における実質的な無蛍光性が維持されるとともに、該アミノ基の電子密度も高められて一酸化窒素との反応性が改善される。同様に一重項酸素測定用の蛍光プローブにおいても、上記の式(B)で表される反応性基の電子密度を高めることによって、一重項酸素との反応性を高めることができ、かつ一重項酸素の捕捉前における蛍光プローブの実質的な非蛍光性を維持することが可能になる。
本明細書において用いられる「測定」という用語は、定量、定性、又は診断などの目的で行われる測定、検査、検出などを含めて、最も広義に解釈しなければならない。本発明の蛍光プローブを用いた測定対象物の測定方法は、一般的には、(a)上記式(I)で表される化合物と測定対象物と反応させる工程、及び(b)上記工程(a)で生成した化合物の蛍光を測定する工程を含んでいる。例えば、生理食塩水や緩衝液などの水性媒体、又はエタノール、アセトン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの水混合性の有機溶媒と水性媒体との混合物などに本発明の蛍光プローブ又はその塩を溶解し、細胞や組織を含む適切な緩衝液中にこの溶液を添加して、蛍光スペクトルを測定すればよい。
測定対象物を捕捉した後の化合物の蛍光の測定は通常の方法で行うことができ、インビトロで蛍光スペクトルを測定する方法や、バイオイメージングの手法を用いてインビボで蛍光スペクトルを測定する方法などを採用することができる。例えば、定量を行う場合には、常法に従って予め検量線を作成しておくことが望ましい。
本発明の蛍光プローブは、必要に応じて、測定試薬の調製に通常用いられる添加剤を配合して組成物として用いてもよい。例えば、生理的環境で試薬を用いるための添加剤として、溶解補助剤、pH調節剤、緩衝剤、等張化剤などの添加剤を用いることができ、これらの配合量は当業者に適宜選択可能である。これらの組成物は、粉末形態の混合物、凍結乾燥物、顆粒剤、錠剤、液剤など適宜の形態の組成物として提供される。
別の観点から本発明により提供される化合物は下記の一般式(II):
Figure 2005085811
(式中、R21は水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し;R22はアルキル基又はアルコキシ基を示し;R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R25、R26、R27、及びR28はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R29及びR30はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R23及びR27、R28及びR29、R24及びR25、R26及びR30からなる群から選ばれる1以上の組み合わせにおいて、該組み合わせに含まれる2つの基(ただし該基は置換基を有していてもよいアルキル基である)は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく;M-は対イオンを示す)で表される。R21としては水素原子、炭素原子数1〜4個のアルキル基、又は炭素原子数1〜4個のアルコキシ基が好ましく、水素原子、メチル基、又はメトキシ基が好ましい。R22としては炭素原子数1〜4個のアルキル基又は炭素原子数1〜4個のアルコキシ基が好ましく、メチル基又はメトキシ基がより好ましい。R23及びR24は水素原子であることが好ましい。R25、R26、R27、及びR28はメチル基であることが好ましい。R29及びR30は水素原子であることが好ましい。この化合物はFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)を用いた測定対象物の測定における供与体(ドナー)あるいは受容体(アクセプター)等に用いることができる。
上記の式(II)で表される化合物は本明細書の実施例に具体的に示した方法により容易に合成できる。従来、ベンゼン環部位に置換基を有するローダミン類の製造方法としては、1置換無水フタル酸を用いた縮合反応により合成する方法が一般的であるが、この方法では2種類のアイソマーの混合物が得られ、それらのアイソマーの分離は困難であることが多い。また、従来のローダミン誘導体はシリカゲル担体に対する吸着性が高く、精製効率も極めて悪く、多くの場合に収率は10%にも満たない。一方、上記の式(II)で表される本発明のローダミン類は、リチウム試薬を用いたC-C結合生成反応を用いて一工程で製造することができ、そのうえ目的とする単一の骨格分子のみが得られ、アイソマー分離の必要がない。また、この化合物はシリカゲル担体に対する吸着性は低く、精製効率も高いという特徴がある。通常は90%を越える収率で目的物を製造することが可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:化合物の合成
下記の化合物を合成した。これらの化合物は化合物No.が大きくなるほどキサンテン環の9−位に結合するベンゼン環の酸化電位が低くなる(すなわち電子密度が高くなる、換言すればHOMO起動エネルギーが高くなる)ように設計した。また、化合物1の合成スキームを以下に示した。
Figure 2005085811
Figure 2005085811
3,6-ビスジメチルアミノキサントンは、J. Prakt. Chem., 54, 223(1896)及びDyes and Pigments, 42, 71(1999)を参照して合成を行った。よく乾燥させた容器にアルゴン下でテトラヒドロフラン(THF) 1 mlに溶解した2-ブロモトルエン 92.4 mg(0.54 mmol)を入れ、ドライアイス−アセトン浴で-78℃まで冷却した。この溶液にtert-ブチルリチウム(1.54 mol、n-ペンタン 1 ml中)を加え、3,6-ビスジメチルアミノキサントン 50 mg(0.18 mmol)をTHF 2 mlに溶かして加え、30 分間攪拌した。2N HCl水溶液 10 mlを加えて30分間攪拌し、混合物を濃縮した後、塩化メチレンで抽出した。有機層を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール 19/1)で精製して化合物1の紫色固体を得た(30 mg、収率:42.1%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 2.04 (3H, s)、3.39 (12H, s)、6.98 (2H, s)、7.01 (2H, d, J=2.4Hz)、7.16-7.26 (3H, m)、7.41-7.45 (2H, m)、7.49-7.52 (1H,m)
MS (FAB) 357 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて2-ブロモ-p-キシレンを用いて化合物2を紫色固体として得た(収率:93.3%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 2.04 (3H, s)、2.40 (3H, s)、3.39 (12H, s)、6.95-6.97 (3H, m)、6.99 (2H, dd, J=9.3, 2.4Hz)、7.20 (2H, d, J=9.3Hz)、7.31(2H, m)
MS (FAB) 371 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて2-ブロモアニソールを用いて化合物3を紫色固体として得た(収率:92.6%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 3.37 (12H, s)、3.73 (3H, s)、6.88 (2H, d, J=2.6Hz)、7.00 (2H, dd, J=9.5, 2.6Hz)、7.14-7.22 (3H, m)、7.29 (2H, d, J=9.5Hz)
MS (FAB) 373 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて4-ブロモ-3-メチルアニソールを用いて化合物4を紫色固体として得た(収率:83.6%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 2.02 (3H, s)、2.39 (12H, s)、3.92 (3H, s)、6.95-6.97 (4H, m)、6.99 (2H, dd, J=9.5, 2.4Hz)、 7.09 (1H, d, J=9.3Hz)、7.24 (2H, d, J=9.5Hz)
MS (FAB) 387 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて2-ブロモ-4-メチルアニソールを用いて化合物5を紫色固体として得た(収率:92.7%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 2.39 (3H, s)、3.38 (12H, s)、3.68 (3H, s)、6.88 (2H, d, J=2.6Hz)、6.97 (1H, d, J=2.6Hz)、7.01 (2H, dd, J=9.5, 2.6Hz)、7.03 (1H, d, J=8.6Hz)、7.31 (2H, d, J=9.5Hz)、7.39 (1H, dd, J=8.6, 2.6Hz)
MS (FAB) 387 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて1-ブロモ-2,4-ジメトキシベンゼンを用いて化合物6を紫色固体として得た(収率:98.0%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 3.37 (12H, s)、3.71 (3H, s)、3.95 (3H, s)、6.68 (1H, d, J=2.5Hz)、6.72 (1H, dd, J=8.3, 2.5Hz)、6.86 (2H, d, J=2.4Hz)、7.00 (2H, dd, J=9.5, 2.4Hz)、7.11 (1H, d, J=8.3Hz)、7.36 (2H, d, J=9.5Hz)
MS (FAB) 403 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて1-ブロモ-2,5-ジメトキシベンゼンを用いて化合物7を紫色固体として得た(収率:77.6%)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 3.67 (3H, s)、3.82 (12H, s)、3.83 (3H, s)、6.75 (1H, d, J=2.7Hz)、6.90 (2H, d, J=2.4Hz)、7.01 (2H, dd, J=9.5, 2.4Hz)、7.08-7.12 (2H, m)、7.32 (2H, d, J=9.5Hz)
MS (FAB) 403 (M-Cl-)
上記(a)の方法と同様にして2-ブロモトルエンに替えて4-ブロモ-3-メチルアニリンを用いて化合物8を紫色固体として得た(収率:58.8 %)。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δppm 3.09 (3H, s)、3.37 (12H, s)、6.76 (2H, m)、6.88 (2H, d, J=2.4)、6.90 (1H, m)、6.97 (2H, dd, J=9.5, 2.4Hz)、7.36 (2H, d, J=9.5Hz)
MS (FAB) 372 (M-Cl-)
下記の表1に得られた化合物の蛍光特性及び量子収率(pH 7.4緩衝液中)を示す。
Figure 2005085811
例2
上記で合成した各化合物の蛍光量子収率とベンゼン環部の酸化電位との関係を調べた。結果を図1に示す。図に示した結果から明らかなように、各化合物の蛍光量子収率はベンゼン環部の酸化電位に依存して変化した。この結果から、酸化電位が1.00V以下ではほぼ無蛍光であり、1.40V以上では量子収率がほぼ0.6の蛍光を発することが明らかである。この酸化電位依存的な蛍光量子収率の変化は、従来知られているフルオレセイン誘導体の場合とほぼ同様であるが(PCT/JP03/08585号明細書)、蛍光ON/OFFの境界は0.1 V程度負の方向に移動していると考えられる。すなわち、例えば同じ2,5-ジメトキシ誘導体を比較した場合、フルオレセイン誘導体では量子収率は0.01以下となるのに対して、上記のローダミン誘導体の量子収率は0.086程度である。よって、同じ電子密度のベンゼン環からのPETは、塩基性条件下におけるフルオレセイン類の方がローダミン類よりも起きやすいことが示された。この知見を基にして、フルオレセイン骨格を有するプローブをローダミン骨格を有するプローブに変換する際に、該ベンゼン環上の置換基を適宜選択することにより、同等の性能を有するプローブを製造することが可能になった。
例3
ローダミン類は、フルオレセイン類と比較して、幅広いpH領域で安定した蛍光を発することが知られている。本発明の蛍光プローブの母核となる上記の化合物1ないし8についてこの性質が保たれているかどうかを検討した。様々なpHの水溶液中で一定濃度の化合物1の蛍光強度を計測してプロットした結果を図2に示す。その結果、pH 3〜12の幅広い領域でほぼ一定の蛍光強度を示すことが明らかとなった。
本発明により新規なローダミン骨格を有する蛍光プローブが提供され、ローダミン骨格を有する新規な蛍光プローブを設計するための手段が提供される。

Claims (6)

  1. 蛍光プローブであって、下記の式(I):
    Figure 2005085811
    (式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子を示すか、又はプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための置換基を示すが、R1及びR2が同時に水素原子であることはなく、あるいはR1及びR2が互いに結合してプロトン、金属イオン、若しくは活性酸素種を捕捉するための環構造を形成してもよく;R3は水素原子、カルボキシル基、又はスルホン酸基以外の一価の置換基を示し;R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R6、R7、R8、及びR9はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R4及びR8、R9及びR10、R5及びR6、並びにR7及びR11からなる群から選ばれる1以上の組み合わせにおいて、該組み合わせに含まれる2つの基(ただし該基は置換基を有していてもよいアルキル基である)は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく;M-は対イオンを示し;
    ただし、R1、R2、及びR3の組み合わせは
    (1)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉前には、式(I)で表される化合物が実質的に無蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環に実質的に高い電子密度を与えるものであり、かつ
    (2)上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉後には、式(I)で表される化合物に由来する捕捉後の化合物が実質的に高い蛍光性になるように、それらが結合するベンゼン環の電子密度を実質的に低下させるものである)
    で表される蛍光プローブ。
  2. 1、R2、及びR3が置換するベンゼン環において、上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉前の該ベンゼン環の酸化電位が1.20V未満であり、及び上記プロトン、金属イオン、又は活性酸素種の捕捉後の該ベンゼン環の酸化電位が1.40V以上である請求の範囲第1項に記載の蛍光プローブ。
  3. 3が低級アルキル基又は低級アルコキシ基である請求の範囲第1項又は第2項に記載の蛍光プローブ。
  4. 金属イオンがアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、又は亜鉛イオンである請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の蛍光プローブ。
  5. 活性酸素種が一酸化窒素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、及びスーパーオキシドからなる群から選ばれる請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の蛍光プローブ。
  6. 下記の一般式(II):
    Figure 2005085811
    (式中、R21は水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し;R22はアルキル基又はアルコキシ基を示し;R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R25、R26、R27、及びR28はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R29及びR30はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R23及びR27、R28及びR29、R24及びR25、R26及びR30からなる群から選ばれる1以上の組み合わせにおいて、該組み合わせに含まれる2つの基(ただし該基は置換基を有していてもよいアルキル基である)は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよく;M-は対イオンを示す)
    で表される化合物。
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