JPWO2005081051A1 - 液晶光変調素子 - Google Patents
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Abstract
コレステリック液晶を用いる場合でも、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しない液晶光変調素子を提供する。一対の対向する基板5、6、各基板5、6表面に形成された電極3、4、および、基板5、6間にシール材2を用いて狭持された液晶層1を備えた液晶光変調素子において、液晶層1は、コレステリック相を発現する低分子液晶と光重合性高分子液晶との複合体として形成された高分子安定化コレステリック液晶からなり、電圧印加過程および電圧遮断過程のいずれでもフォーカルコニック状態の出現による光散乱状態の発生を阻止できる構成を有している。
Description
本発明は、半導体レーザを用いた光学システムにおいて、光の透過率や波面の状態などを制御する液晶光変調素子に関し、特に光通信または光ヘッド装置等に用いる液晶光変調素子に関する。
コレステリック液晶やカイラル剤が含有されたネマティック液晶は、図2の模式図に示すように液晶分子10が螺旋構造のねじれ配向を有する広義のコレステリック液晶構造となる(本明細書ではこれらを総称して単に「コレステリック液晶」という)。これらのコレステリック液晶の電圧印加応答は、次のようになる。
通常のポリイミド配向膜を形成した表面では、電圧非印加時に、液晶分子はほぼ水平方向の配向となり、螺旋軸が基板に対して垂直な方向を向くプレーナ状態となる。
しかし、電圧を印加していくと、螺旋軸の方向が基板に対してそれぞれ異なる複数のドメインからなり、光を強く散乱するフォーカルコニック状態が出現し、印加する電圧をさらに高くしていくと、液晶分子が基板に対して垂直に配向するホメオトロピック配向の状態が出現する。一方、ホメオトロピック配向した状態から電圧を急激に降下させると、プレーナ状態となるが、段階的に下げた場合はフォーカルコニック状態となる。
コレステリック液晶を用いた素子の例としては、例えば、フォーカルコニック状態における光散乱特性を利用した表示素子等がある(例えば、非特許文献1参照。)。また、コレステリック相を示す低分子液晶と高分子液晶の複合系としては、例えば、フォーカルコニック状態における光散乱特性を用いた液晶シャッター(例えば、特許文献1参照。)があるが、これはフォーカルコニック状態を安定に保持することを目的にするものであり、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態を回避することを目的としていない。
また、従来のコレステリック液晶を用いた液晶光変調素子の一例として、光減衰器の構成の一例を図1に示す。図1に示す光減衰器200は、電圧印加用の電極3、4が形成された基板5、6との間に、図2に示すような螺旋構造を有するコレステリック液晶からなる液晶層1が、その螺旋軸が基板5、6に対して垂直方向を向くように狭持され、シール材2を用いて密閉されてなる液晶セル110と、液晶セル110の光出射面側に、入射直線偏光の偏光方向と同じ方向の直線偏光を選択的に透過する偏光子7が配置された構成となっている。ここで、入射光の偏光方向は、図1に符号9を付して示した。
この場合、電圧非印加時には、コレステリック液晶の旋光性により偏光子7を透過する光量が減衰するが、矩形波を発生する交流電源(以下、単に、矩形波交流電源8という。)から液晶セル110に電圧を印加すると、液晶がホメオトロピック配向になり、旋光性がなくなるため偏光子7を透過する光量が減衰しない。そのため、図1に示す光変調素子は、光減衰器として作用する。
また、近年、光ディスクの記録密度を高めるために、光源である半導体レーザからの出射光の波長を短くすることや、対物レンズの開口数(以下、NAという。)を大きくすること等が行われている。そして、次世代の光記録においては、光源の波長を405nm程度、NAを0.85として、より大きな記録密度を得ようとしている。しかし、光源の短波長化や対物レンズの高NA化が原因で、光ディスクの厚み変動の許容量が小さくなる。
光ディスクの厚み変動の許容量が小さくなる理由は、光ディスクの厚み変動に比例して、波面収差の一つである球面収差が発生するために、光ヘッド装置の集光特性が劣化して信号の読み取りが困難になるからである。
また、光ディスクを構成する各層の相異なる層をそれぞれ記録層とする多層記録方式の場合でも、記録層の位置に対応した球面収差が発生するためそれを補正する手段が必要である。
球面収差を補正する手段として、以下の方式が提案されている。第1の方式として、発生した球面収差の量に応じてコリメートレンズの位置を機械的に変化させ、コリメートレンズと対物レンズとの間で球面収差を発生させ、光ディスクの厚み誤差で発生する球面収差を打ち消す方式(以下、機械方式という。)がある。機械方式の場合、コリメートレンズを機械的に動かす可動部分(以下、機械可動部分という。)を必要とするため、光ヘッド装置の構成が複雑または大きくなる欠点がある。
第2の方式として、対物レンズと光源との間の光路中に電気的に駆動可能な位相補正素子を設けることにより、波面収差を補正する方式(以下、電気方式という。)がある。この電気方式の場合、機械方式に比べると、機械可動部分がないことから、小型軽量化や振動に対する信頼性において優れている。
液晶光変調素子を位相補正素子として用いて波面収差を補正する技術もある(例えば、特許文献2参照。)。この技術では、光ディスクの傾きにより発生する、波面収差の一つであるコマ収差を、以下のようにして補正している。すなわち、液晶光変調素子を構成する一対の基板間に挟持された液晶の配向を、分割電極に印加する電圧を変化させて制御し、これにより透過光の波面を変化させ、発生するコマ収差を補正している。
しかし、このような従来のコレステリック液晶を用いた液晶光変調素子では、電圧印加過程および電圧遮断過程でフォーカルコニック状態が生じ、光散乱状態が発生するため、半導体レーザを用いた光学システムへの用途が制限されるという問題があった。
また、従来の液晶光変調素子を光減衰器として用いた場合、電圧印加過程および電圧遮断過程でフォーカルコニック状態が生じ、光散乱状態が発生するため、印加電圧の大きさに応じて透過光量を連続的に制御することが困難である問題があった。
また、特許文献2に開示されている位相補正素子では、ネマティック液晶またはツイステッドネマティック(TN)液晶が用いられているため、入射光の偏光方向に位相が依存する偏光状態依存性が生じる。しかし、光源の波長が短く、405nm程度になると、光源からの出射光の波面収差を補正するだけでは充分ではなく、光記録媒体により反射された光の波面収差も補正する必要が生じる。そのためには液晶光変調素子の偏光状態依存性を除去または低減する必要がある。偏光状態依存性を除去または低減する方法としては、位相補正素子を2層にするなどの方法が考えられるが、素子構成が複雑になるという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、コレステリック液晶を用いる液晶光変調素子において、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しない液晶光変調素子を提供する。
本発明は以下の要旨を有する。
1.対向して配置された一対の基板、前記それぞれの基板の相対向する表面に形成された電極、および前記一対の基板間に狭持された液晶層を備え、所定の波長の入射光に対して変調を行う液晶光変調素子であって、前記液晶層は、コレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶からなり、電圧印加過程および電圧遮断過程のいずれでもフォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しないことを特徴とする液晶光変調素子。
この構成により、コレステリック液晶を用いる液晶光変調素子において、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しない液晶光変調素子を実現できる。
2.前記高分子安定化コレステリック液晶が、前記液晶組成物中のコレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとの総量に対して、非液晶性単官能重合性モノマーを1〜5質量%含み、かつ、液晶性多官能重合性モノマーを3〜7質量%含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶である、上記1に記載の液晶光変調素子。
この構成により、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態の発生を阻止する効果が安定して確実に、すなわち再現性よく発現できる。
3.前記液晶光変調素子は、さらに、所定の方向の直線偏光を選択的に透過する偏光選択手段をその光出射面側に備え、前記液晶層は、その選択反射波長が前記液晶光変調素子の入射光の波長近傍にあって、電圧非印加時における、前記入射光が透過する際の旋光角度が0°を超えて180°未満の範囲内にあり、電極への電圧の印加、非印加の別に応じて入射光の透過率が変化する、上記1または2の液晶光変調素子。
この構成により、上記1または2の効果に加え、印加電圧の大きさに応じて旋光角度を変化させることができるため、透過光量を制御できる液晶光変調素子を実現できる。特にこの構成によれば、印加電圧を連続的に変化することにより、透過光量を連続的に変化させることができる。
4.前記液晶層は、その選択反射波長が、前記液晶変調素子の入射光の波長より短い波長にあって、電圧非印加時の前記入射光が透過する際の旋光角度が実質的にゼロとなっており、前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、基板面内で基板間電圧の分布を生じるように形成されており、前記基板間電圧の分布に応じた変化を液晶層の屈折率に生じさせることによって前記入射光の波面を変化させる、上記1または2の液晶光変調素子。
この構成により、上記1または2の効果に加え、印加電圧の大きさに応じて液晶層の屈折率を変化させることにより位相を変化させ、波面収差を補正できる液晶光変調素子を偏光状態依存性なしで実現できる。
1.対向して配置された一対の基板、前記それぞれの基板の相対向する表面に形成された電極、および前記一対の基板間に狭持された液晶層を備え、所定の波長の入射光に対して変調を行う液晶光変調素子であって、前記液晶層は、コレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶からなり、電圧印加過程および電圧遮断過程のいずれでもフォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しないことを特徴とする液晶光変調素子。
この構成により、コレステリック液晶を用いる液晶光変調素子において、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しない液晶光変調素子を実現できる。
2.前記高分子安定化コレステリック液晶が、前記液晶組成物中のコレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとの総量に対して、非液晶性単官能重合性モノマーを1〜5質量%含み、かつ、液晶性多官能重合性モノマーを3〜7質量%含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶である、上記1に記載の液晶光変調素子。
この構成により、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態の発生を阻止する効果が安定して確実に、すなわち再現性よく発現できる。
3.前記液晶光変調素子は、さらに、所定の方向の直線偏光を選択的に透過する偏光選択手段をその光出射面側に備え、前記液晶層は、その選択反射波長が前記液晶光変調素子の入射光の波長近傍にあって、電圧非印加時における、前記入射光が透過する際の旋光角度が0°を超えて180°未満の範囲内にあり、電極への電圧の印加、非印加の別に応じて入射光の透過率が変化する、上記1または2の液晶光変調素子。
この構成により、上記1または2の効果に加え、印加電圧の大きさに応じて旋光角度を変化させることができるため、透過光量を制御できる液晶光変調素子を実現できる。特にこの構成によれば、印加電圧を連続的に変化することにより、透過光量を連続的に変化させることができる。
4.前記液晶層は、その選択反射波長が、前記液晶変調素子の入射光の波長より短い波長にあって、電圧非印加時の前記入射光が透過する際の旋光角度が実質的にゼロとなっており、前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、基板面内で基板間電圧の分布を生じるように形成されており、前記基板間電圧の分布に応じた変化を液晶層の屈折率に生じさせることによって前記入射光の波面を変化させる、上記1または2の液晶光変調素子。
この構成により、上記1または2の効果に加え、印加電圧の大きさに応じて液晶層の屈折率を変化させることにより位相を変化させ、波面収差を補正できる液晶光変調素子を偏光状態依存性なしで実現できる。
本発明によれば、コレステリック液晶を用いる液晶変調素子において、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しない液晶光変調素子を提供できる。
1 液晶層
2 シール材
3、4 電極
5、6 基板
7 偏光子
8 矩形波交流電源
9 直線偏光で入射する光の偏光方向
110 液晶セル
200 液晶光変調素子(光減衰器)
2 シール材
3、4 電極
5、6 基板
7 偏光子
8 矩形波交流電源
9 直線偏光で入射する光の偏光方向
110 液晶セル
200 液晶光変調素子(光減衰器)
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。
本発明の実施の形態に係る液晶光変調素子は、半導体レーザ等の光源を用いた光システム系において用いられ、一対の対向する基板と、各基板の相対向する表面に形成された電極と、上記の一対の対向する基板間に狭持された液晶層とを備えた構成を有する。
本発明の実施の形態に係る液晶光変調素子は、半導体レーザ等の光源を用いた光システム系において用いられ、一対の対向する基板と、各基板の相対向する表面に形成された電極と、上記の一対の対向する基板間に狭持された液晶層とを備えた構成を有する。
液晶光変調素子を構成する基板として、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート等を用いてもよいが、耐久性等の点からガラス基板が好適である。一対の基板間に挟持される液晶層に所定の厚さを保持させるために、ガラスファイバやプラスチックビーズなどの公知のスペーサを基板間に介在させる。
また、液晶層を狭持する基板表面には水平配向膜を成膜すると、コレステリック液晶の螺旋軸が基板に対して垂直な方向を向いたプレーナ状態を容易に実現できるため、好適である。該配向膜の材料としては、ポリイミド等を使用できる。更に、水平配向膜にラビング処理を施し、基板界面近傍の液晶分子を一様に配向させるようにすることも好適である。
電極としては、酸化インジウムスズ(ITO)等からなる酸化物膜や、Au、Al等からなる金属膜を用いることができるが、ITO膜を用いる方が金属膜に比べ、光の透過性がよく、機械的耐久性が優れているため、好適である。
上記の液晶層は、コレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶からなる層である。液晶層をこのように構成することにより、電圧印加過程と電圧遮断過程のいずれにおいても、フォーカルコニック状態が生ずることによる光散乱状態を示さないようにできる。
上記の液晶層を得るために用いられるコレステリック液晶としては、コレステリック液晶やカイラル剤が含有されたネマティック液晶(カイラルネマティック液晶)を用いることができる。後者においては、カイラル剤の濃度を調節することにより選択的に反射する光の波長(以下、「選択反射波長」という。)を調節できる。後者におけるネマティック液晶としては、液晶表示装置に用いられる市販のネマティック液晶等でよい。たとえば、ベンゼン環、シクロヘキサン環を2〜4個含んだ構造を有するネマティック液晶が挙げられる。該液晶は置換基としてフッ素原子、シアノ基等を有することが好ましい。
カイラル剤は、不斉炭素を有する光学活性物質でよく、必ずしも液晶性を示す必要はないが、ネマティック液晶との相溶性がよく、ねじり力(Helical Twist Power:HTP)の高い材料が望ましい。ここで、ねじり力(HTP)と螺旋ピッチ(P)とカイラル剤濃度(C)との間には、HTP=1/(P・C)の関係があり、ねじり力が大きい程、少量のカイラル剤で螺旋ピッチを小さくすることができる。また、複数のカイラル剤を混合して螺旋ピッチの温度依存性を少なくしたものでもよい。
さらに、電圧駆動の光変調素子の場合は、誘電率異方性の大きい方が低い電圧で駆動できるため望ましく、そのためには、末端基としてフッ素原子やシアノ基等を含むものが望ましい。
上記の液晶層を得るために用いられる非液晶性単官能重合性モノマーとは、1個の重合性官能基を有する非液晶性の化合物である。該モノマーとしては、アクリロイル基またはメタクリロイル基(好ましくはアクリロイル基)を1個有する化合物であることが好ましく、なかでも、非液晶性アクリル酸エステル類、非液晶性メタクリル酸エステル類が好ましく、非液晶性アクリル酸エステル類が特に好ましい。
また、液晶性多官能重合性モノマーとしては、2個以上、好ましくは2個の重合性官能基を有する液晶性の化合物である。重合性官能基としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。液晶性多官能重合性モノマーとしては液晶性ジアクリレート(たとえば、Merck社製、商品番号:RM−257)等が好ましい。液晶性多官能重合性モノマーは非液晶性単官能重合性モノマーの分子間を結合して網目構造を形成する。
また、上記重合性モノマーを重合して得られる重合体の屈折率は、コレステリック液晶の屈折率と一致している方が入射光の光散乱が低減されるため好適である。
非液晶性単官能重合性モノマーの量は、コレステリック液晶、非液晶性単官能重合性モノマー、および液晶性多官能重合性モノマーの総量に対して1〜5質量%であり、2〜4質量%であることが好ましい。また、液晶性多官能重合性モノマーの量は、コレステリック液晶、非液晶性単官能重合性モノマー、および液晶性多官能重合性モノマーの総量に対して3〜7質量%であり、4〜6質量%であることが好ましい。
本発明においては、単官能重合性モノマーとして非液晶性の化合物を用いることによって、コレステリック液晶を用いる場合において、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態の発生を阻止する効果が得られる。また、この効果の発現のためには、非液晶性単官能重合性モノマーと液晶性多官能重合性モノマーとの相対的な割合が重要であると考えられ、液晶組成物は、液晶性多官能重合性モノマーを非液晶性単官能重合性モノマーに対してより多く含むことが好ましい。具体的には、非液晶性単官能重合性モノマーに対し、液晶性多官能重合性モノマーを1〜2質量倍使用することが好ましい。
本発明においては、前記の一対の対向する基板間前記液晶組成物を挟持した後、紫外線を照射して重合反応を行うことによって高分子安定化コレステリック液晶を得ることができる。紫外線の強度や重合温度は適宜設定されうる。なお、重合反応を効率よく行うためには、前記液晶組成物中に重合開始剤を含ませることが好ましく、この場合の重合開始剤の量は、液晶組成物に対して0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%が特に好ましい。
また、上記の液晶層に使用する液晶として、コレステリックブルー相を発現する液晶と重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させてなり、高分子のネットワーク化によりコレステリックブルー相が出現する温度範囲が拡大された高分子安定化コレステリックブルー相液晶を用いてもよい。
本発明の液晶光変調素子の表面には、入射光の反射を抑制する目的で、必要に応じて反射防止膜を形成してもよい。
光減衰器として用いる場合は、上記の構成の液晶光変調素子に、さらに、所定の方向の直線偏光を選択的に透過する偏光選択手段をその光出射面側に備え、前記液晶層は、その選択反射波長が前記液晶光変調素子の入射光の波長近傍にあって、電圧非印加時における、前記入射光が透過する際の旋光角度が0°を超えて180°未満の範囲内にあり、電極への電圧の印加、非印加の別に応じて入射光の透過率が変化するものとする。
このように構成することにより、印加電圧の大きさに応じて入射光の旋光角度を変化させることができ、出射光量を変化させることができる液晶光変調素子を実現できる。
この場合、「液晶層の選択反射波長が入射光の波長近傍にある」とは、入射光に対する旋光性が液晶に発現する程度に、液晶層の選択反射波長と入射光の波長とが近接していることを言う。具体的には両者の波長の差が100nm以下であることが好ましい。ただし、これら2つの波長が近すぎる場合は、反射による挿入損失が増大することがある。したがって、選択反射波長の入射光に近いほうの反射端から5nm以上,好ましくは30nm以上入射光の波長が離れるように液晶層の選択反射波長を調整することが好ましい。
また、電圧非印加時の旋光角度を20°から160°まで、特に50°から130°まで、さらには80°から100°までにすると、印加電圧の有無によって生じる出射光のコントラストを向上することができるため、好ましい。電圧非印加時の旋光角度を80°から100°までにすると、光減衰時の透過率を42%以下にすることができ、電圧非印加時の旋光角度を50°から130°までにすると、光減衰時の透過率を3%以下にすることができる。とりわけ、電圧非印加時の旋光角度を90°にすると、印加電圧の有無によって生じる出射光のコントラストを最大にできるため、好適である。
また、電圧非印加時における入射光の旋光角度が、入射光の波長により異なることを利用して、入射波長依存性を有する光減衰器を実現することもできる。すなわち、入射光には第1の波長を有する第1の入射光と第2の波長を有する第2の入射光とがある場合に、前記液晶層は、その選択反射波長が前記第1の波長近傍であって前記第2の波長より短い波長にあり、第1の入射光に対しては、電圧非印加時における前記入射光が透過する際の旋光角度が0°を超えて180°未満の範囲内にあり、第2の入射光に対しては、電圧非印加時における前記入射光が透過する際の旋光角度が実質的にゼロとなるようにして、第1の入射光に対しては電極への電圧の印加、非印加の別に応じて透過率が変化し、第2の入射光に対しては、電極への電圧の印加、非印加にかかわらず透過率が実質的に変化しないようにする。このようにして、第1の入射光に対しては旋光性に起因した光減衰器として作用し、第2の入射光に対しては光減衰器として作用しない液晶光変調素子を実現することができる。
この場合、液晶層の選択反射波長は、第2の入射光の旋光性が実質的に0になるように第2の入射光の波長に対して充分に小さい方がよい。具体的には、液晶層の選択反射波長の入射光側の反射端は、第2の入射光の波長に対して100nm以上、好ましくは200nm以上小さいほうがよい。
また、上記の偏光選択手段として、一軸性の二色性色素等を透明フィルム等に分散させて得られる特定波長領域の光の吸収を利用した偏光子、複屈折材料を用いて得られる回折を利用した偏光子、または、グラントムソンプリズム等の無機材料などからなる全反射を利用した偏光子、等を用いることができる。
位相補正素子として用いる場合は、前記液晶層は、その選択反射波長が、前記液晶変調素子の入射光の波長より短い波長にあって、電圧非印加時の前記入射光の旋光角度がほぼゼロとなるようにし、前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、基板面内で基板間電圧の分布を生じるように形成して、前記基板間電圧の分布に応じた変化を液晶層の屈折率に生じさせることによって前記入射光の波面を変化させるようにする。
このように構成することにより、基板間電圧の分布に応じた液晶層の屈折率変化を生じさせることができ、これにより透過光の位相を変化させて偏光依存性なしで波面収差を補正できる液晶光変調素子を実現できる。
また、基板間電圧に分布を生じさせる手段としては、例えば、上記の一対の基板に形成された電極のうちの一方を分割して分割された電極部分ごとに印加電圧を異ならせることにより行える。この場合は、補正する波面の形状に応じて電極の形状を選択すればよく、例えば球面収差を補正する場合は、同心の円状または環状の分割電極などを用いることができる。また、連続的に変化する波面収差を精度よく補正するためには、電極の一部を他の部分に比べて高電気抵抗の膜で形成して、電極面内に連続的に電位分布を持たせるようにしてもよい。さらに、このような連続的な電位分布を持たせることができる電極と上記の分割電極とを併せ持つ構成でもよい。
電極のうちの一方を分割して分割された電極部分ごとに印加電圧を異ならせることにより行う場合は、特開2003−123304号公報に記載されている方法で行うことができる。この場合は、それぞれの分割電極ごとに電位が異なるようにして、液晶層に印加される電圧を基板面内で変化させるもので、各分割電極内で電位は一定になる。
一方、電極の一部を他の部分に比べて高電気抵抗の膜で形成して、電極面内に連続的に電位分布を持たせることにより行う場合は、特開2001−143303号公報に記載された要領で行うことができる。具体的には以下のようになる。
まず、少なくとも一方の基板上の、電極の面内の異なる位置に、異なる電圧を供給するための2つ以上の給電部を形成する。異なる電圧を供給するための2つ以上の給電部を形成する電極としては、連続した1枚の電極でもよいし、1枚の電極を複数個に分割した分割電極でもよい。分割電極に異なる電圧を供給するための2つ以上の給電部を形成する場合は、すべての分割電極に異なる電圧を供給するための2つ以上の給電部を形成してもよいし、一部の分割電極に異なる電圧を供給するための2つ以上の給電部を形成してもよい。
給電部の数は目的や形状によって異なるが、1つの電極に10個程度あれば必要な量だけ波面を変化させることができる。
給電部を形成する給電部材料のシート抵抗ρSと給電部以外の電極材料のシート抵抗ρTとの比ρT/ρSは、1000以上にすることが好ましい。ρT/ρSが小さい場合、給電部以外にも比較的大きな電流が流れ、給電部内で電圧降下が生じて、所望の電圧分布を得ることが困難となることがある。したがって、給電部材料に比べ給電部以外の電極材料のシート抵抗が高いほど、隣接する給電部間で電位を連続的に変化させやすく、所望の電位分布を得ることができる。ρT/ρSを1000以上にすることがこの条件を満たすための目安である。
しかしρTが大きすぎると給電部の導電性がなくなり電位分布は発生しない。したがってρSをできるだけ小さくする方が望ましく、ρSは0.1〜10Ω/□程度、ρTは100〜100kΩ/□程度がよい。
以上の条件を満足し適切にρSとρTを設定すると、一方の電極のみに2つ以上の給電部を形成しこれら2つ以上の給電部にそれぞれ異なる電圧を供給した場合、それぞれの給電部内では等電位となるが、給電部以外の電極面内の電位分布は給電部間で発生する電圧降下により連続的に変化する。
給電部材料としては、銅、金、アルミニウム、クロムなどの金属材料が導電性・耐久性の点から好ましいが、電気抵抗率が室温で10-8〜10-7Ω・m程度であれば金属以外の材料でもよい。
給電部の形状や大きさは、補正したい波面収差に応じて変化させることが好ましい。すなわち位相補正素子により発生する波面の変化は、給電部の形状や大きさなどに依存し、補正したい波面収差の種類や発生させたい波面形状に応じて変化させればよい。ここで、波面収差としてはコマ収差、球面収差、非点収差などがある。たとえば、球面収差を補正する場合は、球面収差が光軸を中心とする同心円形状であるため、複数の給電部は、それぞれが同心の円環状に配設されていることが好ましい。
また、この場合の液晶層の選択反射波長は、第2の入射光の旋光性がほぼ0になるように第2の入射光の波長に対して充分に小さい方がよい。具体的には、液晶層の、選択反射波長の入射光側の反射端は、第2の入射光の波長に対して100nm以上、好ましくは200nm以上小さいほうがよい。ただし、小さくなり過ぎるとコレステリック液晶を駆動させる電圧が大きくなるので、駆動電圧が大きくなりすぎない程度に小さくすることが好ましい。具体的には選択反射波長の吸収端のうち、入射光の波長に近い方の吸収端が、300nm以上の波長にあることが好ましい。
上記の本発明の実施の形態に基づく具体的な実施例を、以下に図面を用いて説明する。
図1は、本実施例に係る液晶光変調素子の構成を概念的に示す側断面図である。ここで、本実施例に係る液晶光変調素子は、光減衰器200として実現されるものである。以下、光減衰器200を、液晶光変調素子(光減衰器)200という。
図1は、本実施例に係る液晶光変調素子の構成を概念的に示す側断面図である。ここで、本実施例に係る液晶光変調素子は、光減衰器200として実現されるものである。以下、光減衰器200を、液晶光変調素子(光減衰器)200という。
液晶光変調素子(光減衰器)200の液晶層1の材料として、ネマティック液晶(チッソ社製、商品番号:JC−1041XX)を50.4質量%、ネマティック液晶(東京化成工業社製、商品番号:5CB)を35.6質量%、ねじり力が約30[1/μm]で右螺旋のカイラル剤(メルク社製、商品番号:ZLI−4572)を6.28質量%、液晶性二官能アクリレート(メルク社製、商品番号:RM257)を5.02質量%、および非液晶性単官能アクリレート(2−エチルヘキシルアクリレート、Aldrich社製)を2.42質量%、重合開始剤(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、東京化成工業社製)を0.28質量%混合し、液晶組成物を得た(なお、各成分の構造は特開2003−327966号公報を参照。)。
各成分の配合割合は、ネマティック液晶、カイラル剤、液晶性二官能アクリレート、非液晶性単官能アクリレート、および重合開始剤の総量に対する各成分の割合である。
また、JC−1041XXと5CBとを混合して得られた混合ネマティック液晶の常光屈折率no=1.52、異常光屈折率ne=1.68であり、この液晶組成物の選択反射波長は約610nmであった。
次に、基板5、6上に、ITOからなる電極3、4を形成し、その上にさらに不図示の水平配向膜を形成し、ラビング処理を施した。図1のように電極3、4および水平配向膜を形成した基板5、6と、液晶用スペーサが混合されたシール材2とで形成したセルの中に、上記のように調製した液晶組成物を封入し、厚さdlcが10μmの液晶層1とした。
次に、液晶層1に波長365nmの紫外光を10mW/cm2で照射して高分子安定化コレステリック液晶を形成し、液晶セル110を作製した。
次に、所定の方向の直線偏光を選択的に透過させる偏光子7を、液晶セル110の光出射面側に、入射光の偏光方向(ここでは、Y軸方向とする。)と同じY軸方向に偏光方向が向くように接着固定し、液晶光変調素子(光減衰器)200を製作した。
これを実験用素子とし、上記の液晶セル110を作成し、電圧を印加せずに波長430nmから780nmまでの直線偏光を入射させ、出射光の旋光角度、楕円率、および、透過率を測定した。図3は、これらの結果を示すグラフである。
図3に示すグラフから、本実施例の液晶層の選択反射波長の長波長側の反射端は650nm付近にあり、波長660nmの入射光に対しては、透過光は楕円率がほぼ0の直線偏光であり、旋光角度が約70°であることがわかる。したがって、波長660nmの光に対するこの液晶光変調素子の透過率は界面反射等が無い理想状態を仮定すると、約34%(=cos(70°)×100%)になる。
一方、充分な電圧を印加した時には、液晶分子は基板と垂直な方向を向くため旋光角度がほぼゼロとなり、理想状態では、この液晶光変調素子の透過率はほぼ100%になる。このため、この液晶光変調素子は波長660nmの入射光に対してコントラストが約3:1となる光減衰器として作用することになる。
また、波長780nmの入射光に対しては、図3に示すグラフから、楕円率がほぼ0の直線偏光であることが分かり、旋光性を示さない(旋光角度がゼロ)ことから、上記の偏光子を透過する光は電圧非印加時に約100%の透過率で透過することが分かる。また、電圧印加時の透過率は、波長660nmの入射光について説明した理由と同じ理由で100%となり、波長780nmの入射光に対しては光減衰器として作用しないことになる。
また、矩形波交流電源8を用いて、実験用素子として製作した液晶セル110に1kHzの矩形波電圧を印加したが、電圧印加過程および電圧遮断過程のいずれでもフォーカルコニック状態の出現による光散乱状態は観察されなかった。
次に、この実験用素子として製作した液晶セル110に1kHzの矩形波電圧を印加して、波長750nmで屈折率の変化を測定した。
その結果、屈折率が等方的に0.08程度減少することが確認できた。このことから、電極3、4のうちの一方を分割するなどの手段によって、補正しようとする波面収差に応じて基板面内で基板間電圧の分布を生じるように形成して、前記基板間電圧の分布に応じた変化を液晶層の屈折率に生じさせることにより、前記入射光の波面を変化させることが可能である。
以下に、本発明の液晶光変調素子を位相補正として用いる場合の具体例を説明する。図4は対物レンズのNAが0.65、光源の波長が0.4μmの光学系において、光ディスクの厚みが設計値の0.6mmより0.03mm厚くなった場合に発生する波面収差(球面収差)を示す図である。光ディスクが設計値より厚い場合は有効瞳の中心と有効瞳の周辺部の位相に対して、その両者に挟まれた中間部の位相が進んだ状態となり、光ディスクが設計値より薄い場合は位相が遅れた状態となる。本例における位相補正素子の電極パターンを図5に示す。
図5中の斜線部はITO膜で形成された、連続した1枚の透明電極80であり太線部分は給電部として機能するメタル電極81〜83である。メタル電極81〜83はメタル配線84によりそれぞれ外部の信号源に接続されており、信号1〜3より各々任意の電圧を供給できる。
電極パターンは以下のように形成する。まず、ガラス基板にスパッタリング法にてITO膜を形成した後、フォトリソグラフィーの技術を用いてパターニングする。このとき、メタル電極81〜83が形成される部分はITO膜を残し、メタル電極82、83に接続されているメタル配線部は透明電極80と絶縁されるようエッチングによりメタル配線部周囲のITO膜を除去する。次に図5のメタル電極82、83およびメタル配線を形成する。ここで使用したメタル電極材はアルミニウムである。
図5のメタル電極81と82の外径はそれぞれ4mmと3mm、幅はいずれも100μmまたメタル電極83の直径は200μmとする。
0.03mmの光ディスク厚みムラにより発生する球面収差を位相補正素子により補正するために、メタル電極81、82、83に適当な電圧を供給する。3個の給電部(メタル電極)を有する電極に対向する電極は給電部が1つの連続した1枚の透明電極で構成されており、常に0Vの電位になっている。
透明電極80には各メタル電極の電圧にしたがって電圧分布を生じる。電圧分布により液晶に実質的な屈折率分布が生じる結果、位相補正素子は同心円状の位相変化を発生できる。
本発明にかかる液晶光変調素子は、コレステリック液晶を用いる液晶光変調素子において、電圧印加過程および電圧遮断過程で、フォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しない液晶光変調素子であり、光通信または光ヘッド装置等に用いることができる。
なお、本発明の明細書には、本出願の優先権主張の基礎となる日本特許出願2004−044742(2004年2月20日出願)の明細書の全内容をここに引用し、発明の開示として取り込むものである。
なお、本発明の明細書には、本出願の優先権主張の基礎となる日本特許出願2004−044742(2004年2月20日出願)の明細書の全内容をここに引用し、発明の開示として取り込むものである。
Claims (10)
- 対向して配置された一対の基板、前記それぞれの基板の相対向する表面に形成された電極、および前記一対の基板間に狭持された液晶層を備え、所定の波長の入射光に対して変調を行う液晶光変調素子であって、
前記液晶層は、コレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとを含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶からなり、電圧印加過程および電圧遮断過程のいずれでもフォーカルコニック状態の出現による光散乱状態が発生しないことを特徴とする液晶光変調素子。 - 前記高分子安定化コレステリック液晶が、
前記液晶組成物中のコレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとの総量に対して、非液晶性単官能重合性モノマーを1〜5質量%含み、かつ、液晶性多官能重合性モノマーを3〜7質量%含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶である、請求項1に記載の液晶光変調素子。 - 前記液晶光変調素子は、さらに、光出射面側に所定の方向の直線偏光を選択的に透過する偏光選択手段を備え、
前記液晶層は、その選択反射波長が前記液晶光変調素子の入射光の波長近傍にあって、電圧非印加時における、前記入射光が透過する際の旋光角度が0°を超えて180°未満の範囲内にあり、
電極への電圧の印加、非印加の別に応じて入射光の透過率が変化する、請求項1または2のいずれかに記載の液晶光変調素子。 - 前記液晶層は、電圧非印加時における、前記入射光が透過する際の旋光角度が20〜160°の範囲内にある請求項3に記載の液晶光変調素子。
- 前記液晶光変調素子は、さらに、光出射面側に所定の方向の直線偏光を選択的に透過する偏光選択手段を備え、
前記液晶光変調素子に入射する入射光には第1の波長を有する第1の入射光と第2の波長を有する第2の入射光とがあり、
前記液晶層は、その選択反射波長が前記第1の波長近傍であって前記第2の波長より短い波長にあり、第1の入射光に対しては、電圧非印加時における前記第1の入射光が透過する際の旋光角度が0°を超えて180°未満の範囲内にあり、第2の入射光に対しては、電圧非印加時における前記第2の入射光が透過する際の旋光角度が実質的にゼロとなっており、
第1の入射光に対しては電極への電圧の印加、非印加の別に応じて透過率が変化し、第2の入射光に対しては、電極への電圧の印加、非印加にかかわらず透過率が実質的に変化しない、請求項1または2に記載の液晶光変調素子。 - 前記液晶層は、電圧非印加時における、前記第1の入射光が透過する際の旋光角度が20〜160°の範囲内にある請求項5に記載の液晶光変調素子。
- 前記液晶層は、その選択反射波長が、前記液晶変調素子の入射光の波長より短い波長にあって、電圧非印加時の前記入射光が透過する際の旋光角度が実質的にゼロとなっており、
前記電極のうちの少なくとも一方の電極は、基板面内で基板間電圧の分布を生じるように形成されており、前記基板間電圧の分布に応じた変化を液晶層の屈折率に生じさせることによって前記入射光の波面を変化させる、請求項1または2のいずれかに記載の液晶光変調素子。 - 前記一対の基板に形成された電極のうちの少なくとも一方を分割して複数の電極部分を形成し、その電極部分ごとに印加電圧を異ならせることによって、基板面内で基板間電圧の分布を生じさせる、請求項7に記載の液晶光変調素子。
- 前記一対の基板に形成された電極の一部を他の部分に比べて高電気抵抗の膜で形成し、電極面内に電位の分布を持たせることによって、基板面内で基板間電圧の分布を生じさせる、請求項7または8に記載の液晶光変調素子。
- コレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとを含む液晶組成物であって、
コレステリック液晶と、非液晶性単官能重合性モノマーと、液晶性多官能重合性モノマーとの総量に対して、非液晶性単官能重合性モノマーを1〜5質量%含み、かつ、液晶性多官能重合性モノマーを3〜7質量%含む液晶組成物を重合させてなる高分子安定化コレステリック液晶。
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