JP4407344B2 - 焦点可変素子 - Google Patents

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Description

本発明は、焦点可変素子に係り、特に液晶に電圧を印加する電極により液晶の実質的な屈折率を制御して入射光の焦点距離を変化させることができる焦点可変素子に関する。
光ヘッド装置、光通信システム、光学カメラなどにあっては、焦点距離を変化させることができるレンズを搭載させたものが知られている。
また、このようなレンズの焦点距離を変化させる手段としては、液晶レンズを用いるものが提案されている。この液晶レンズは、基板内に液晶が封入されており、この液晶部分の分子配向を電気的に制御することで、液晶分子の屈折率を連続的に変化させ、焦点距離を連続的に応答よく変化させている(例えば、特許文献1、2参照)。
このような液晶の電圧応答を利用した液晶レンズ(以下、これを「焦点可変素子」とよぶ)として、(i)液晶を挟持する透明基板の表面にレンズ形状を成形し、基板と液晶の屈折率差を液晶に印加する電圧に応じて変化させる表面加工型や、(ii)透明基板表面に設置された開口電極により液晶における電界方向を傾斜させ、液晶分子の配向に起因した屈折率分布が軸対称放物面になるようにした傾斜電場型や、(iii)透明基板表面に形成された透明電極を軸対称な同心円の分割電極に加工して、異なる電圧を印加することにより、液晶の実効屈折率を同心円状に変化させる分割電極型などが提案されている。
また、前述の表面加工型や分割電極型においては、(iv)フレネルレンズとして機能するよう、基板の表面加工形状や分割電極の半径を調整して設計された回折型の焦点可変素子なども提案されている(例えば、特許文献3参照)。
図5は従来の焦点可変素子の電極装置の電極構造の一例を示す模式図であり、図5(A)は焦点可変素子の電極として、給電型の電極装置100を示す。この電極装置100では、給電電極101〜103に印加する電圧により、高抵抗平面電極104の電位が連続的に変化する。一方、図5(B)には分割電極型の電極装置200を示す。この電極装置200では、半径r1、r2、・・・、r10に設けた10個の分割電極201、・・・、210に異なる電圧を印加して、入射波面に対して階段状の位相分布を付与できる。
特開昭60−505010号公報 特許2666907号公報 特開2002−357804号公報
しかしながら、(i)の表面加工型は、ガラスプレスなどの一括成型が困難な工程が必要であること、また部位により液晶厚さが異なるため、応答速度や液晶配向が不均一になりやすい問題を生じている。
一方、(ii)の傾斜電場型では、液晶セルの厚さを薄くでき、また液晶パネル作製が容易であるといった利点があるものの、電極と液晶層が離れているため、液晶を駆動する電圧が高くなる問題を生じている。
また、(iii)の分割電極型では、電極を分割しているので発生する位相差が階段状であり、回折光の発生や高次波面収差の発生、更に分割に伴う回折散乱損失などが問題となっている。
更に、(iv)の回折型焦点可変素子は、光の波長に応じて回折効率や回折角度が変化するために波長依存性が強い問題や、焦点距離を連続的に変化できない制約がある。
本発明は、上記した従来技術の欠点を解消するものであって、作製が簡便であるとともに、連続的な焦点可変が実現でき、しかも結像性能つまり波面収差特性に優れた焦点可変素子を提供することを目的とする。
本発明は、一対の透明基板に挟持された液晶に印加する電圧の大きさに応じて、前記液晶を透過する光の焦点距離を変化させる焦点可変素子であって、前記一対の透明基板のそれぞれの一面に、前記液晶に前記電圧を印加する高抵抗平面電極と、前記高抵抗平面電極に所定の電位分布を形成するための複数の線状給電電極とを有する電極装置を備え、前記電極装置は、前記一対の透明基板のそれぞれの一面に備えられた複数の前記線状給電電極、互いに対向して配置され前記一対の透明基板のそれぞれの一面に備えられた前記高抵抗平面電極は、複数の前記線状給電電極に挟まれるとともに、前記光の光軸を含む、前記線状給電電極の長手方向からの距離に反比例した電極幅を有し、前記高抵抗平面電極部分の電位は、前記光軸を含む、前記線状給電電極の長手方向からの距離の二乗に比例する電位勾配となるとともに、前記光軸を含む、前記線状給電電極の長手方向と直交する方向からの距離によらず電位勾配が一定であり、前記一対の透明基板のうち一方の一面に備えられた、複数の前記高抵抗平面電極および複数の前記線状給電電極の前記電位勾配の方向と、前記一対の透明基板の他方の一面に備えられた、複数の前記高抵抗平面電極および複数の前記線状給電電極の前記電位勾配の方向と、が互いに直交する焦点可変素子を提供する。
また、前記液晶が、カイラルネマティック液晶又はブルー相を呈する低分子液晶と、光重合高分子との複合組成液晶である上記の焦点可変素子を提供する。
また、一対の透明基板に挟持された第1の液晶と、前記第1の液晶に積層された一対の透明基板に挟持された第2の液晶と、に印加する電圧の大きさに応じて、前記第1の液晶および前記第2の液晶を透過する光の焦点距離を変化させる焦点可変素子であって、前記第1の液晶を挟持する前記一対の透明基板のいずれか一方の一面に、前記第1の液晶に前記電圧を印加する第1の高抵抗平面電極と、前記第1の高抵抗平面電極に所定の電位分布を形成するための複数の第1の線状給電電極とを有するとともに、前記第1の液晶を挟持する前記一対の透明基板の他方の一面に一様な第1の透明電極を有する第1の電極装置と、前記第2の液晶を挟持する前記一対の透明基板のいずれか一方の一面に、前記第2の液晶に前記電圧を印加する第2の高抵抗平面電極と、前記第2の高抵抗平面電極に所定の電位分布を形成するための複数の第2の線状給電電極とを有するとともに、前記第2の液晶を挟持する前記一対の透明基板の他方の一面に一様な第2の透明電極を有する第2の電極装置と、を備え、前記第1の電極装置における前記第1の高抵抗平面電極は、複数の前記第1の線状給電電極に挟まれるとともに、前記光の光軸を含む、前記第1の線状給電電極の長手方向からの距離に反比例した電極幅を有し、前記第1の高抵抗平面電極部分の電位は、前記光軸を含む、前記第1の線状給電電極の長手方向からの距離の二乗に比例する電位勾配となるとともに、前記光軸を含む、前記第1の線状給電電極の長手方向と直交する方向からの距離によらず電位勾配が一定であり、前記第2の電極装置における前記第2の高抵抗平面電極は、複数の前記第2の線状給電電極に挟まれるとともに、前記光の光軸を含む、前記第2の線状給電電極の長手方向からの距離に反比例した電極幅を有し、前記第2の高抵抗平面電極部分の電位は、前記光軸を含む、前記第2の線状給電電極の長手方向からの距離の二乗に比例する電位勾配となるとともに、前記光軸を含む、前記第2の線状給電電極の長手方向と直交する方向からの距離によらず電位勾配が一定であり、前記第1の線状給電電極の長手方向と、前記第2の線状給電電極の長手方向と、が直交する焦点可変素子を提供する。
また、前記第1の液晶および前記第2の液晶が、カイラルネマティック液晶又はブルー相を呈する低分子液晶と、光重合高分子との複合組成液晶である上記の焦点可変素子を提供する。
また、波長板、偏光板、等方性回折格子、複屈折性回折格子のうち少なくとも1つが積層若しくは形成されて一体化している上記の焦点可変素子を提供する。
本発明によれば、単純な構成であるため作製が簡便であり、しかも高抵抗平面電極の電位が光軸からの距離の二乗に比例するよう線状給電電極が設置されているため、連続的な焦点可変が実現できるとともに、少ない電圧信号においても散乱が少なく波面収差が小さいので、少ない外部制御信号などにおいても結像性能つまり波面収差特性に優れた焦点可変素子を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る焦点可変素子10の断面図、図2はその焦点可変素子10に備える電極装置20の電極構造を示す平面図である。
この焦点可変素子10は、一対の透明基板11、12と、この透明基板11、12間に挟着されたシール13と、このシール13で封止される透明基板11、12の間隙に充填された液晶14と、この液晶14を臨む各透明基板11、12の一面に固設された電極15、16と、この電極15、16に形成された配向膜17とを備えている。
このうち、一対の透明基板11、12は、シール13によりセルを構成している。このセル中には液晶14が充填されている。なお、この透明基板11、12は、透明な材料であればよく、ガラスまたはポリカーボネートなどの有機材料でよいが、ガラスの方が耐熱性、耐久性などの面で優れており好ましい。
シール13は、エポキシ樹脂などの熱硬化型高分子や、紫外線硬化型(UV)樹脂などを用いることができ、所望のセル間隔を得るためにガラスファイバーなどのスペーサーを数%混入させてもよい。
液晶14は、誘電異方性を有していれば一般の液晶表示装置(LCD)に用いられるような市販のネマティック液晶などでもよいし、ベンゼン環、シクロヘキサン環を2〜4個含んだ構造を骨格とし、フッ素基、シアノ基などを含んでもよい。また、カイラル材などを混合しカイラルネマティック液晶としてもよい。カイラル材は、不斉炭素を有する光学活性物質でよく、液晶性を示しても示さなくてもよいが、低分子液晶との相溶性がよく、カイラルパワーの高い材料が望ましく、複数のカイラル材を混合して温度特性を少なくしたりしてもよい。
また更に、この液晶14は、光重合性モノマーを混合した複合液晶とし、カイラルネマティック相が発現する状態、又はカイラルネマティック相、等方相転移温度付近に見られるブルー相が発現する状態において、光重合性モノマーを紫外光重合高分子化した、高分子安定化カイラルネマティック液晶、若しくは高分子安定化ブルー相液晶としてもよい。
なお、液晶14の液晶相がカイラルネマティック相、またはブルー相を呈する場合であって、その螺旋ピッチが入射光の波長と同程度であれば、1つの液晶層でも入射偏光に依存せずに焦点可変性能を得ることができるので大変好ましい。一方、液晶14がネマティック相の場合、液晶配向方向に一致した直線偏光のみが液晶の実効屈折率変化を感じるので、任意の偏光状態に対応させるためには、同じ実効屈折率変化を発現する2層の液晶相を、液晶分子の配向方向が直交するように積層すればよい。
電極15、16は、外部の電圧制御手段18と電気的に接続されている。
配向膜17は、液晶14の配向を得るためのものであり、ポリイミド膜を塗布し、場合に応じてラビング処理を施したり、酸化珪素膜を斜方蒸着することで、配向膜17近傍の液晶分子を水平配向または垂直配向させることができる。
次に、図2に示す電極装置20について、以下に詳細に説明する。なお、本実施形態では、この電極装置20が電極15又は電極16の双方に形成されているが、この電極装置20は、電極15又は電極16のいずれか一方に形成してあってもよい。また、電極15又は電極16の他方の電極には、この電極装置20と同じ構造のものを光軸(Z軸)に対し90°回転したものが形成されている。
電極装置20は、複数の線状給電電極21〜25と、高抵抗平面電極26A〜26Dを備えている。
このうち、線状給電電極21〜25は、外部の電圧制御手段18(図1参照)により、適宜適切な電圧を印加する。線状給電電極21〜25は、高抵抗平面電極26A〜26Dと比較して、その電気抵抗が1/100以下であればよく、ITO膜などの透明電極や、金、銀、アルミニウムやクロムなどを成分とする金属導電膜でよい。線状給電電極21〜25の数は任意であり(図2では5つ)、電極数を多くすれば波面収差が小さくなり好ましいが、構成が複雑となるために5〜7個が適切である。
一方、高抵抗平面電極26A〜26Dは、シート抵抗値が100Ω/□〜1000KΩ/□の高抵抗膜であり、ITO膜や酸化錫、酸化亜鉛を組成とする透明導電膜などで形成すればよい。また高抵抗平面電極26A〜26Dの外形寸法は、焦点可変素子に入射する光束αより大きくなくてはならない。
なお、本発明は、このような電極装置20に限るものではなく、電極15又は電極16のもう一方の電極は、一様な透明電極としてもよい。その場合には、同じ構成の液晶層をさらに一つ、光軸に対して90°回転させて積層すればよく、光学的にはどちらも同じ機能を発現する。しかし、1つの液晶層で焦点可変機能が得られるほうが、製作上簡易で好ましいため、上述したように、90°回転した電極装置20を電極15、16の他方に形成する方が望ましい。
次に、本発明の実施形態に係る電極装置20によって発生する電位分布と焦点可変素子10の光学的機能とについて説明する。
本発明の焦点可変素子10が入射光の焦点距離を可変とするためには、液晶が発する位相分布が軸対称放物面形状であればよい。例えば、波面が平坦な無限焦点(つまり、平面波)の光束α(図2参照)が入射した場合、軸対称放物面型の位相分布により、その波面αが放物面状に変調され、光が集光または拡散する。
ここで、波面変化の等位相成分を無視すれば、必要とされる位相分布Γは、
Γ(r)=a・r ・・・・・・(1)
但し、r:光軸βからの距離
a:比例係数
となる。
次に、図2のXY座標系において、光軸βからの距離rと位置座標(X,Y)との間には,次式
=X+Y
の関係が成立し、位相分布ΓをX成分Γ、Y成分Γに変数分離できる。
Γ(X)=a・X ・・・(2)
Γ(Y)=a・Y ・・・(3)
但し、a、a:比例係数
また、位相分布Γ(r)は、液晶14の厚さdと実効屈折率差Δn(r)の積である。ここで、実効屈折率差Δn(r)とは、光軸中心における液晶14の実効屈折率nr=0と光軸βからの距離rにおける実効屈折率nとの差であり、その点と光軸との液晶に印加される電圧差の関数である。
液晶14の実効屈折率は、液晶14に印加される電圧に応じて変化する。液晶14が正の誘電異方性を有し、かつ、電圧無印加において水平配向(分子長軸が基板面に平行)であれば、電圧増加に伴い液晶がチルトしていき、実効屈折率は小さくなる。
一方、液晶14が負の誘電異方性を有し、かつ、電圧無印加において垂直配向していれば、電圧増加と共に液晶14のチルト角が小さくなるため、実効屈折率は大きくなる。もし、液晶14の実効屈折率が印加電圧に比例すれば、rに比例する電位分布に応じて、軸対称放物面型の位相分布を得ることができる。
電極15の電位φ(r)と電極16の電位φ(r)が、次式、
φ(r)=φx0+kX ・・・(4)
φ(r)=φy0−kY ・・・(5)
但し、φx0:定数電位(X=0での電位)
φy0:定数電位(Y=0での電位)
k:比例係数
で示す関数形であれば、液晶14に印加される電圧V(r)は、電位φ(r)と電位φ(r)の差であるから、式(1)に示した軸対称放物面形状を有する位相分布Γは、次式、
Γ(r)=a・[{(φ(r)−φx0)/k}
+{−(φ(r)−φy0)/k}] ・・・(6)
で表すことができる。
なお、式(4)、(5)で比例係数kを等しくするには、電極15、16の電極装置20の構造を等しくすればよい。
次に、一対の線状給電電極24、25及び高抵抗平面電極26Dを用いて、高抵抗平面電極26Dの電位分布がXに比例することを示す。
図2の電極装置20の構造から、電位はY方向に均一であるとすれば、位置Xにおける電位φは、
φ(X)=(Rφ+Rφ)/(R+R) ・・・(7)
但し、φ:線状給電電極24の電位
φ:線状給電電極25の電位
である。なお、Rは線状給電電極24から位置Xまでの高抵抗平面電極26Dの積分抵抗、Rは位置Xから線状給電電極25までの積分抵抗である。
ここで、高抵抗平面電極26Dの幅(Y方向)を規定する関数をf(t)とすると、前述した線状給電電極24から位置Xまでの高抵抗平面電極26Dの積分抵抗であるRと、位置Xから線状給電電極25までの積分抵抗であるRは、次式、
Figure 0004407344
:線状給電電極24のX座標
:線状給電電極25のX座標
で表すことができる。
ここで、(7)式が(4)式と等しくなるためには、(8)、(9)式より、
f(X)=K/X ・・・(10)
但し、K:比例係数
であればよい。
つまり、高抵抗平面電極26DのY方向電極幅方向の長さがX(つまり、距離)に反比例すれば、高抵抗平面電極26Dの電位分布はX(距離の二乗)に比例して変化する。(7)〜(9)式において線状給電電極の位置及び電位は任意であり、設置した座標X、Xに応じて適切な電位φ、φを与えればよい。従って、他の線状給電電極21〜25と高抵抗平面電極26A〜26Cの組合せにおいても、同様にX(距離の二乗)に比例した電位分布を得ることができる。
次に、電極装置20におけるX方向の電位分布について、図3に示す模式図を用いて説明する。
図3中のX、Xは、線状給電電極24、25の電位φ、φに相当し、高抵抗平面電極26A〜26Dの電位分布は、放物線形状を呈している。この図3の放物線は、正確には、線状給電電極24、25の内部では等電位であるため、全体では一つの放物線に一致しない。この不一致は、波面収差になるので好ましくなく、線状給電電極24、25の電極幅はできる限り狭い方が好ましい。
また、光軸βでの電位勾配は0であるため、厳密には高抵抗平面電極幅26Dは無限大に発散してしまうが、光軸β付近での電位(図2では線状給電電極23の電位)は一定にしても影響が小さいため、ある一定領域を等電位としてもよい。
次に、本発明の実施形態に係る焦点可変素子10における波面収差について、図4を参照しながら説明する。なお、波面収差とは結像位置に残留する非点収差、コマ収差、球面収差などの光学収差のrms(root mean square:平方二乗平均)値であり、ここで使用する波長λは0.4μm、光束α(図2参照)の直径は3mmである。
図4の実線(a)は、本発明の実施形態に係る焦点可変素子10を用いた場合の波面収差を示すもので、焦点距離200mmにおいても、波面収差は0.02λ(rms)以下と非常によい結像性能が得られる。
一方、破線(b)、(c)は、従来の焦点可変素子を用いた場合の波面収差を示すものであり、何れも波面収差が0.2λ(rms)以上であるため、回折限界程度まで結像させることは困難である。
なお、前述の図4の破線(b)の波面収差を示す従来の焦点可変素子には、[背景技術]の欄で説明した図5(A)に示す給電型の電極による構成を用いた。一方、同図の破線(c)の波面収差を示す従来の焦点可変素子には、図5(B)の分割型の電極による構成を用いた。
以上のように、本発明の一実施形態に係る焦点可変素子10及び電極装置20の電極構造を用いれば、少ない外部制御信号数においても、波面収差が小さいために、優れた結像性能を達成できる。
また、本発明の焦点可変素子はシリンドリカルレンズとして機能させることもできる。その場合は、電極装置20に対向する電極が一様に形成されている一様等電位電極であればよく、位相分布はX方向に放物形状、Y方向に等位相となるので、例えば、楕円形状の光束を円形に整形するなど、アナモルフィック素子として応用できる。
また、本発明の焦点可変素子に、波長板、偏光板、等方性回折格子、複屈折性回折格子などを積層し一体化することもできる。このように構成すれば、偏光状態を制御したり、光を分岐したり、また偏光に応じて光路を切替えたり、光量を弱めたりすることができる。なお、その場合に、回折格子は透明基板21、22の表面に形成してもよい。
次に、本発明の焦点可変素子のさらなる特徴については、以下に示す実施例により具体的に説明する。
「実施例1」
以下に、実施例1の焦点可変素子10の製造方法について、図1及び図2を参照して説明する。
(1)初めに、ガラスなどの透明材料で形成されている透明基板11および12の片面に電極15および16を形成する。このうち、電極15には後述の電極装置20を製造する。他方、電極16には、電極装置20と同じ製造方法により、光軸に対して90°回転した電極装置20と同じものを形成する。
ここで、電極装置20の製造方法について説明する。
線状給電電極21〜25は、ITO膜をスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィー技術及びエッチング法を用いて形成する。また、高抵抗平面電極26A〜26Dは、リフトオフ法(マスクを用いた薄膜積層方法の一種)を用いて、酸化錫を主組成とする透明導電膜により形成する。なお、線状給電電極21〜25の抵抗値は40Ω/□、高抵抗平面電極26A〜26Dの抵抗値は100KΩ/□である。
(2)次に、透明基板11、12の電極15、16が形成されたそれぞれの面に、ポリイミドをスピンコートして焼成・固化した後、ラビングを施して配向膜17とする。
(3)次に、直径30μmのガラスファイバースペーサーを5%混入した熱硬化型接着材を透明基板11の電極15が形成された面に印刷塗布し、シール13とする。
(4)更に、透明基板11の上にシール13だけ離間させた状態で透明基板12を重ね合せ、圧着固化することによりセルとする。
(5)そして、シール13の一部に設けた注入口(図示せず)から、カイラル材とモノマーと重合開始材がネマティック液晶に混合された液晶14をセル中に充填するように注入する。なお、この液晶14は、液晶相がカイラルネマティック相を呈する温度において紫外線を照射し、モノマーを光重合高分子化して得られた高分子安定化カイラルネマティック液晶である。
(6)さらに、シール13の注入口を接着剤で封止して焦点可変素子10とする。また、電極15、16に設置した線状給電電極21〜25は、外部の電圧印加手段18と接続させ、各々異なる電圧を印加できるように構成する。
なお、本実施例の焦点可変素子10の液晶14が充填された液晶層の厚さは、30μmであり、液晶14の屈折率は、印加電界に応じて変化する。本実施例の液晶14の屈折率電圧依存性n(Vrms)は、1kHzの矩形交流電圧を印加した場合、
n(0Vrms)=1.56、
n(100Vrms)=1.49
であり、100Vrmsの電圧印加により約0.07だけ屈折率が変化する。
また、本実施例の焦点可変素子10の屈折率電圧依存性は、入射偏光によらないことから、この屈折率変化は等方的である。また、応答速度は約1msec以下である。
本実施例の焦点可変素子10において、波長λ(=633nm)、光束直径3mmのコリメートされたレーザー光を入射するとともに、線状給電電極21〜25に0Vrms〜100Vrmsの電圧を適宜印加すると、焦点距離約530mmのレンズとして機能し、波面収差が約0.007λrmsである。
また、線状給電電極21〜25への印加電圧を変化することで、集光位置を光軸α方向に移動させることができる。よって、本実施例の焦点可変素子10により、入射偏光に依存せず高速に制御可能な焦点距離可変レンズを得ることができる。
本発明の焦点可変素子を用いれば、高抵抗平面電極の電位が光軸からの距離の二乗に比例するよう線状給電電極が設置されているので、液晶の発生する位相分布が放物面形状になるため、波面収差の小さい焦点可変レンズを得ることができ、結像性能に優れた焦点可変素子として利用できる。
本発明の実施形態である焦点可変素子を示す平面図。 本発明の実施形態である焦点可変素子の電極装置の電極構造を示す断面図。 本発明の実施形態である焦点可変素子の電極の電位分布を示す模式図。 本発明の実施形態である焦点可変素子と従来の焦点可変素子の波面残留収差を示す図。 従来の焦点可変素子の電極装置の電極構造を示す平面図であって、(A)給電型電極の構成例、(B)分割型電極の構成例。
符号の説明
10 焦点可変素子
11、12 透明基板
13 シール
14 液晶
17 配向膜
15、16:電極
18 電圧印加手段
20 電極装置
21〜25 線状給電電極
26A〜26D 高抵抗平面電極
100 給電型電極
101〜103:給電電極
104 高抵抗平面電極
200 分割型電極
201〜210 分割電極
α 光束
β 光軸

Claims (5)

  1. 一対の透明基板に挟持された液晶に印加する電圧の大きさに応じて、前記液晶を透過する光の焦点距離を変化させる焦点可変素子であって、
    前記一対の透明基板のそれぞれの一面に、前記液晶に前記電圧を印加する高抵抗平面電極と、前記高抵抗平面電極に所定の電位分布を形成するための複数の線状給電電極とを有する電極装置を備え、
    前記電極装置は、前記一対の透明基板のそれぞれの一面に備えられた複数の前記線状給電電極、互いに対向して配置され
    前記一対の透明基板のそれぞれの一面に備えられた前記高抵抗平面電極は、複数の前記線状給電電極に挟まれるとともに、前記光の光軸を含む、前記線状給電電極の長手方向からの距離に反比例した電極幅を有し、
    前記高抵抗平面電極部分の電位は、前記光軸を含む、前記線状給電電極の長手方向からの距離の二乗に比例する電位勾配となるとともに、前記光軸を含む、前記線状給電電極の長手方向と直交する方向からの距離によらず電位勾配が一定であり、
    前記一対の透明基板のうち一方の一面に備えられた、複数の前記高抵抗平面電極および複数の前記線状給電電極の前記電位勾配の方向と、前記一対の透明基板の他方の一面に備えられた、複数の前記高抵抗平面電極および複数の前記線状給電電極の前記電位勾配の方向と、が互いに直交する焦点可変素子。
  2. 前記液晶が、カイラルネマティック液晶又はブルー相を呈する低分子液晶と、光重合高分子との複合組成液晶である請求項1に記載の焦点可変素子。
  3. 一対の透明基板に挟持された第1の液晶と、前記第1の液晶に積層された一対の透明基板に挟持された第2の液晶と、に印加する電圧の大きさに応じて、前記第1の液晶および前記第2の液晶を透過する光の焦点距離を変化させる焦点可変素子であって、
    前記第1の液晶を挟持する前記一対の透明基板のいずれか一方の一面に、前記第1の液晶に前記電圧を印加する第1の高抵抗平面電極と、前記第1の高抵抗平面電極に所定の電位分布を形成するための複数の第1の線状給電電極とを有するとともに、前記第1の液晶を挟持する前記一対の透明基板の他方の一面に一様な第1の透明電極を有する第1の電極装置と、
    前記第2の液晶を挟持する前記一対の透明基板のいずれか一方の一面に、前記第2の液晶に前記電圧を印加する第2の高抵抗平面電極と、前記第2の高抵抗平面電極に所定の電位分布を形成するための複数の第2の線状給電電極とを有するとともに、前記第2の液晶を挟持する前記一対の透明基板の他方の一面に一様な第2の透明電極を有する第2の電極装置と、を備え、
    前記第1の電極装置における前記第1の高抵抗平面電極は、複数の前記第1の線状給電電極に挟まれるとともに、前記光の光軸を含む、前記第1の線状給電電極の長手方向からの距離に反比例した電極幅を有し、
    前記第1の高抵抗平面電極部分の電位は、前記光軸を含む、前記第1の線状給電電極の長手方向からの距離の二乗に比例する電位勾配となるとともに、前記光軸を含む、前記第1の線状給電電極の長手方向と直交する方向からの距離によらず電位勾配が一定であり、
    前記第2の電極装置における前記第2の高抵抗平面電極は、複数の前記第2の線状給電電極に挟まれるとともに、前記光の光軸を含む、前記第2の線状給電電極の長手方向からの距離に反比例した電極幅を有し、
    前記第2の高抵抗平面電極部分の電位は、前記光軸を含む、前記第2の線状給電電極の長手方向からの距離の二乗に比例する電位勾配となるとともに、前記光軸を含む、前記第2の線状給電電極の長手方向と直交する方向からの距離によらず電位勾配が一定であり、
    前記第1の線状給電電極の長手方向と、前記第2の線状給電電極の長手方向と、が直交する焦点可変素子。
  4. 前記第1の液晶および前記第2の液晶が、カイラルネマティック液晶又はブルー相を呈する低分子液晶と、光重合高分子との複合組成液晶である請求項に記載の焦点可変素子。
  5. 波長板、偏光板、等方性回折格子、複屈折性回折格子のうち少なくとも1つが積層若しくは形成されて一体化している請求項1〜4の何れか1項に記載の焦点可変素子。
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