JPWO2005054468A1 - 抗糖尿病剤の標的タンパク質及び対応する新規抗糖尿病剤「インスフル」 - Google Patents

抗糖尿病剤の標的タンパク質及び対応する新規抗糖尿病剤「インスフル」 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2005054468A1
JPWO2005054468A1 JP2005515896A JP2005515896A JPWO2005054468A1 JP WO2005054468 A1 JPWO2005054468 A1 JP WO2005054468A1 JP 2005515896 A JP2005515896 A JP 2005515896A JP 2005515896 A JP2005515896 A JP 2005515896A JP WO2005054468 A1 JPWO2005054468 A1 JP WO2005054468A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
carbon atoms
amino acid
acid sequence
thiazolidine derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005515896A
Other languages
English (en)
Inventor
頼正 諏訪
頼正 諏訪
山田 剛
剛 山田
博功 大崎
博功 大崎
実 古屋
実 古屋
Original Assignee
株式会社リバース・プロテオミクス研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社リバース・プロテオミクス研究所 filed Critical 株式会社リバース・プロテオミクス研究所
Publication of JPWO2005054468A1 publication Critical patent/JPWO2005054468A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6893Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/04Endocrine or metabolic disorders
    • G01N2800/042Disorders of carbohydrate metabolism, e.g. diabetes, glucose metabolism

Abstract

チアゾリジン誘導体等の抗糖尿病剤の分子標的を明らかにする。 スクリーニング候補物質を以下の(a)又は(b)に示すタンパク質に接触させる工程と、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病剤と相互作用するタンパク質 上記候補物質と上記タンパク質との相互作用を検出する工程と、を備える抗糖尿病剤のスクリーニング方法。

Description

本発明は、公知の抗糖尿病剤の標的タンパク質及び当該タンパク質を用いた新規抗糖尿病剤のスクリーニング方法に関する。
糖尿病患者はWHOの推計によれば、現在(2003年)世界中で1億5000万人であり、2025年には3億人に達するといわれている。現在の米国では人口の6%が糖尿病を罹患しており、糖尿病が原因となる合併症対策コストを合わせた関連医療費は97年には980億ドルに達している。世界における経口血糖降下剤の市場は8000億〜9000億円と推定され、2010年には2兆〜3兆円に達するという推定もある。
日本では98年の調査で患者数690万人であり、インスリンの効き目が低下し、糖尿病の予備軍とされる耐糖能異常を示す人を合わせると1370万人に達した。糖尿病の薬物療法にはインスリンのような注射型剤のほかに経口型薬剤があるが、合計は1800億〜2100億円と推定される。
糖尿病には、インスリン分泌が著しく低下したことによって発症するインスリン依存型糖尿病(1型)と、インスリン分泌はある程度保たれているものの、なお不足しているインスリン非依存型糖尿病(2型)とがある。2型糖尿病患者の増加は特に著しく、40歳以上の人の10%が罹患していると言われている。わが国では糖尿病の90%以上がこの2型糖尿病患者である。2型糖尿病は、インスリン分泌不全とインスリン抵抗性とによる病態を特徴とする。2型糖尿病におけるインスリン作用不足は次の病因による。
・膵β−細胞からのインスリン分泌不足
・肝からの糖の放出の亢進
・筋や脂肪組織など末梢組織でのインスリン抵抗性
2型糖尿病の発症に対して、インスリン抵抗性は大きく関与しているのみならず、高血圧、肥満、高脂血症などとの関連性も指摘されている。最近になって糖尿病予防・治療においてインスリン抵抗性は特に重視されている。インスリン抵抗性は、血中にインスリンが存在していても、標的組織である肝、筋肉、脂肪組織などにおいて十分な作用が発現できない状態を意味している。インスリン抵抗性は、インスリンの感受性が低下し、正常なインスリン作用が阻害されているので、通常以上の量のインスリンを必要とする。肥満のない本態性高血圧患者においてインスリン感受性は30〜40%の低下と報告されており、肥満のある場合はさらに感受性は低下する。従って、インスリン抵抗性は本態性高血圧全体では50〜60%、肥満を伴う場合は70〜80%、空腹時中性脂肪高値を伴う場合は80%が認められるとされている。
インスリン抵抗性には、遺伝因子のほか、肥満、糖尿病(特に肥満を伴ったインスリン非依存型糖尿病)、過食、運動不足、ストレス、妊娠、感染症、加齢、ステロイドの長期使用などの環境因子が関わっている。インスリン抵抗性は、インスリン受容体のインスリン結合能は正常だが、インスリン受容体遺伝子の異常などにより、細胞表面のインスリン受容体が高度に減少したり、チロシンキナーゼ活性が低下したために起こる。また、インスリン受容体に対する自己抗体が生じ、インスリン抵抗性を生じることもある。
インスリン抵抗性の発現は、膵臓のβ−細胞からのインスリン過分泌という形で見られる。すなわち生体はインスリン抵抗性に打ち勝つために、インスリンを多量に分泌するので血中インスリン値が高くなり、一般に高インスリン血症が見られることが多い。
インスリン抵抗性が加わっても、膵β−細胞のインスリン分泌予備能が十分であれば、代償性のインスリン分泌亢進によって作用の不足は起こらない。しかし、膵β−細胞側に何らかの障害があって、インスリン分泌不足になると代償は困難となり、インスリンの作用不足が起こり高血糖をきたす。さらに高血糖が持続すると、高血糖が二次的に膵のインスリン分泌を抑制することになり、肝や筋でのインスリン作用も低下させ、インスリン抵抗性を増加させるなどの悪循環を起こす。
インスリン抵抗性が長く続くと、高インスリン血症そのものが、インスリン受容体の数を減少させたり、受容体のβ−サブユニットのチロシンキナーゼ活性を低下させる。高インスリン血症自体がインスリン抵抗性を悪化させ、さらにインスリンの効果が低下することになる。
従来開発されてきた経口抗糖尿病剤には以下のようなものがある(薬効分類:396)。
1.インスリン分泌促進剤:
1−aスルホニル尿素剤;トルブタミド(ヘキストラスチノン他)、クロルプロパミド(ダイヤビニーズ他)、アセトヘキサミド(ジメリン)、トラザミド(トリナーゼ)、グリクロピラミド(デアメリンS)、グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール他)、グリクラジド(グリミクロン他)
1−bスルホニルアミド剤;グリブゾール(グルデアーゼ)
2.インスリン抵抗性改善剤:
2−aチアゾリジン剤;トログリタゾン(ノスカール)、ピオグリタゾン
2−bビグアナイド剤;ブホルミン(ジベトンS他)、トホルミン(グリコラン、メルヒケン)
3.食後過血糖改善剤:
3−aα−グルコシダーゼ阻害剤;アカルボース(グルコバイ)、ボグリボース(ベイスン)
これら経口糖尿病薬には種々の問題点がある。スルホニル尿素剤は糖尿病と診断されたばかりの患者に最も普通に使われる薬剤であるが、運動療法や食事療法が不十分な場合、すい臓の疲弊を必要以上に早める。αグルコシダーゼ阻害剤は血糖値に対する影響が十分ではないという指摘がある。
一方、チアゾリジン誘導体はスルホニル尿素剤のようにインスリン分泌刺激作用を介さず、膵のβ−細胞の機能を保ちつつ、生体のインスリン感受性を増強させて、糖尿病状態で亢進しているインスリン標的臓器でのインスリン抵抗性を改善して、末梢での糖利用を促進し、肝での糖放出を抑制して血糖低下作用を示す。
チアゾリジン誘導体はインスリン受容体のインスリン結合部以降に作用してインスリン抵抗性を軽減し、肝における糖産生を抑制し、末梢組織における糖利用を高め血糖を低下させる。この作用は、インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化することによると推測されるが、その分子標的は完全には明らかになっていない。
また、糖尿病は複数の遺伝子変異、環境の問題が集積した疾患であり、症状は似ていても、その根本原因に個人差がある。糖尿病の遺伝素因として明らかになっている遺伝子にPPARγ、β3アドレナリン受容体、アディポネクチンがある。3者の異常はそれぞれインスリン抵抗性を増悪させる。抗糖尿病剤の分子標的を明らかにすることは、患者の遺伝情報に基づくオーダーメイド医療を開発するうえにおいても重要である。
WY FUJIMOTO"The importance of insulin resistance in the pathogenesis of type 2 diabetes mellitus."Am.J.Med.,Apr 2000;108 Suppl.6a:9S−14S M Diamant and RJ Heine"Thiazolidinediones in type 2 diabetes mellitus:current clinical evidence"Drugs,Jan 2003;63(13):1373−1405
しかしながら、チアゾリジン誘導体を始めとする抗糖尿病剤は、インスリン抵抗性に対して高い有効性を示すが、その薬理作用機序については明らかになっていないのが現状である。チアゾリジン誘導体等の抗糖尿病薬の薬理作用機序、特にチアゾリジン誘導体の分子標的が明らかになれば、さらに薬理作用の明らかな新規薬剤の開発が可能となる。
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑み、チアゾリジン誘導体等の抗糖尿病薬の分子標的を明らかにし、新規抗糖尿病薬のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、チアゾリジン誘導体の分子標的となるタンパク質を同定することができ、当該タンパク質を用いた新規なスクリーニング方法を開発することができ、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)以下の(a)又は(b)に示され、抗糖尿病剤の標的タンパク質。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病剤と相互作用するタンパク質
(2)上記抗糖尿病剤はチアゾリジン誘導体であることを特徴とする(1)記載の標的タンパク質。
(3)上記チアゾリジン誘導体はピオグリタゾンであることを特徴とする(2)記載の標的タンパク質。
(4)γチュブリン・リング複合体タンパク質であることを特徴とする(1)記載の標的タンパク質。
(5)以下の(a)又は(b)に示され、抗糖尿病剤の標的タンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病剤と相互作用するタンパク質
(6)上記抗糖尿病剤はチアゾリジン誘導体であることを特徴とする(5)記載の標的タンパク質をコードする遺伝子。
(7)上記チアゾリジン誘導体はピオグリタゾンであることを特徴とする(6)記載の標的タンパク質をコードする遺伝子。
(8)上記標的タンパク質はγチュブリン・リング複合体タンパク質であることを特徴とする(5)記載の標的タンパク質をコードする遺伝子。
(9)スクリーニング候補物質を以下の(a)又は(b)に示すタンパク質に接触させる工程と、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病剤と相互作用するタンパク質
上記候補物質と上記タンパク質との相互作用を検出する工程と、
を備える抗糖尿病剤のスクリーニング方法。
(10)上記抗糖尿病剤はチアゾリジン誘導体であることを特徴とする(9)記載の抗糖尿病剤のスクリーニング方法。
(11)上記チアゾリジン誘導体はピオグリタゾンであることを特徴とする(10)記載の抗糖尿病剤のスクリーニング方法。
(12)上記標的タンパク質はγチュブリン・リング複合体タンパク質であることを特徴とする(9)記載の抗糖尿病剤のスクリーニング方法。
(13)(9)乃至(12)いずれか1記載のスクリーニング方法によってスクリーニングされ、上記タンパク質と相互作用を示す物質を主成分とする抗糖尿病剤。
(14)一般式(I)
Figure 2005054468
(上記式(I)中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜11のフェニルアルキル基、フェニル基、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる1又は2のヘテロ原子を含む5又は6員環のヘテロ環である。L及びLは、同一又は異なり、それぞれ水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるか、若しくは、一緒になって炭素数2〜6のシクロアルキル基を形成する。mは1〜5のいずれかの整数を表す。)で表されるチアゾリジン誘導体。
(15)上記式(I)中、L及びLは、一緒になって形成する炭素数2〜6のシクロアルキル基であることを特徴とする(14)記載のチアゾリジン誘導体。
(16)上記式(I)中、Rは水素であり、L及びLは一緒になって形成する炭素数2〜6のシクロアルキル基であることを特徴とする(14)記載のチアゾリジン誘導体。
(17)上記式(I)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、L及びLは一緒になって形成する炭素数2〜6のシクロアルキル基であることを特徴とする(14)記載のチアゾリジン誘導体。
(18)5−{4−[2−(1−メチル−シクロヘキシルオキシ)−エトキシ]−ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオンであることを特徴とする(14)記載のチアゾリジン誘導体。
(19)(14)乃至(18)いずれか1記載のチアゾリジン誘導体の薬理上許容される塩。
(20)(14)乃至(18)いずれか1記載のチアゾリジン誘導体及び/又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
(21)抗糖尿病剤であることを特徴とする(20)記載の医薬組成物。
(22)一般式(II)
Figure 2005054468
(上記式(II)中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜11のフェニルアルキル基、フェニル基、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる1又は2のヘテロ原子を含む5又は6員環のヘテロ環である。L及びLは、同一又は異なり、それぞれ水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるか、若しくは、一緒になって炭素数2〜6のシクロアルキル基を形成する。mは1〜5のいずれかの整数を表す。XはMeSO、p−toluenesulfonyl、ヨウ素、臭素、塩素及び水酸基からなる群から選ばれる一種である。)
で表される化合物と、一般式(III)
Figure 2005054468
で表される化合物とを縮合反応させる、チアゾリジン誘導体の製造方法。
本発明によれば、新規抗糖尿病剤のスクリーニングに使用することができる標的タンパク質及び当該タンパク質をコードする遺伝子を提供することとができる。また、本発明によれば、当該標的タンパク質を用いることによって、抗糖尿病剤のスクリーニング方法を提供することができる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2003−402164号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
ピオグリタゾンとFLJ14797由来タンパク質との相互作用解析の結果を示す特性図である。 配列番号2に示すアミノ酸配列とNP_055259.1のアミノ酸配列とのアライメントを示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
チアゾリジン誘導体に対して相互作用を示すタンパク質
本発明に係るタンパク質は、抗糖尿病剤に対して相互作用を示すタンパク質である。このタンパク質は、特に、抗糖尿病薬の一種であるチアゾリジン誘導体(具体的にはピオグリタゾン)に対する相互作用を示す。ピオグリタゾンの構造式を以下に示す。
Figure 2005054468
本発明に係るタンパク質と相互作用を示す抗糖尿病剤としては、チアゾリジン誘導体を挙げることができる。チアゾリジン誘導体としては、上記構造式に類似の構造式を有し、ピオグリタゾンと同様な薬理作用を有する化合物を挙げることができる。但し、タンパク質が相互作用を示すチアゾリジン誘導体としては、ピオグリタゾンに限定されず、例えばロシグリタゾン、トロゲリタゾン、シグリタゾン等を例示することができる。
本発明に係るタンパク質は、例えば、配列番号2に表すアミノ酸配列を有するタンパク質である。ここで、本発明に係るタンパク質としては、配列番号2に表すアミノ酸配列からなるタンパク質に限定されず、配列番号2に表すアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は置換されたアミノ酸配列からなり、且つ、チアゾリジン誘導体に対して相互作用を示すタンパク質も含んでいる。
アミノ酸の置換、欠失あるいは挿入の数及び部位は、その機能が保持される限り制限はないが、具体的には、配列番号2に表すアミノ酸配列において、1〜30個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が置換、欠失あるいは挿入されたアミノ酸配列であってもよい。
また、本発明に係るタンパク質としては、配列番号2に表すアミノ酸配列において、50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列から構成され、且つ、チアゾリジン誘導体に対して相互作用を示すタンパク質であっても良い。ここで、上記相同性の数値は、配列解析ソフトウェアであるDNASIS(日立ソフトウェアエンジニアリング)を用いて、例えば、マキシムマッチング法のコマンドを実行することにより求められる。その際のパラメータは、デフォルトの設定(初期設定)とする。
なお、配列番号2に表されるタンパク質は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)タンパク質cDNA構造解析プロジェクト(Http://www.nedo.go.jp/bip/)においてFLJ14797として登録されたcDNAにコードされ、Swiss−Prot Q9USQ2、GenBank AAH09870.1及びRefSeq NP_055259.1と高い相同性(93%)を示す。配列番号2に示すアミノ酸配列とNP_055259.1のアミノ酸配列とのアライメントを図2に示す。AAH09870.1及びRefSeq NP_055259.1は、γチュブリン・リング複合体タンパク質GCP4遺伝子として知られている(Fava,F et al.,Human 76p:A new member of the gamma−tubulin−associated protein family,J.Cell Biol.147(4),857−868(1999))。したがって、本発明に係るタンパク質もまた、γチュブリン・リング複合体タンパク質GCP4と機能的に非常に類似性の高いタンパク質であると考えられる。なお、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子については、WO0204514に公開されているが、その機能については未知であり、本発明の以前においてはチアゾリジン誘導体に対する相互作用を示すタンパク質をコードする遺伝子であることは知られていない。
一方、本発明に係る遺伝子、すなわち、本発明に係るタンパク質をコードするcDNA(FLJ14797)の塩基配列としては、例えば、配列番号1に示す塩基配列を挙げることができるが、この塩基配列に限定されるものではない。例えば、配列番号1に示す塩基配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードするようにコドンを変更させた塩基配列であっても良い。また、配列番号1に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列と相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイするような塩基配列からなり、且つチアゾリジン誘導体に対して相互作用を示すタンパク質をコードする塩基配列も本発明に係る遺伝子に含まれる。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリタイズする」とは、例えば、6×SSC、0.5%SDS及び50%ホルムアミドの溶液中で42℃にて加温した後、0.1×SSC、0.5%SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のハイブリタイズのシグナルが観察されることを表す。
チアゾリジン誘導体と本発明に係るタンパク質との相互作用
以下、チアゾリジン誘導体と本発明に係るタンパク質の相互作用について説明する。
糖尿病におけるインスリン作用の不足の原因は、膵臓からのインスリン分泌量の低下、及び肝臓や筋肉におけるインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)の二つの機序に大別されるが、肝臓や筋肉におけるインスリン作用は以下のような細胞内機構に基づく。すなわち、インスリンが細胞表面のインスリン受容体に結合するとチロシンキナーゼが活性化され、インスリン受容体の自己リン酸化が起こる。さらに、インスリン受容体のリン酸化チロシンに細胞内基質であるIRS−1が結合し、インスリン受容体によってIRS−1のチロシンがリン酸化される。次にIRS−1のリン酸化チロシンにPI3キナーゼが結合し、活性化される。活性化されたPI3キナーゼは、PIをPI(3)Pに、PI(4)PをPI(3,4)P2及びPI(3,4,5)P3にリン酸化する。
PI3キナーゼによる細胞内シグナルは、たとえばGLUT4を含む小胞に伝えられ、GLUT4が細胞表面にトランスロケートされてグルコースの細胞内への取り込みが促進されるものと考えられている。一方、Kapellerら(JBC,Vol.270,pp.25985−25991,1995)及びInukaiら(Biochem.J.Vol.346,pp.483−489,2003)はヒトA431細胞あるいはCHO細胞を用いた実験ではあるが、インスリン刺激により、PI3キナーゼがγチュブリンと結合することを報告している。γチュブリンは小さなチュブリンを含み中心体に多く局在している。中心体はほぼすべての動物細胞に存在する微小管形成中心であり、細胞周期の間期には核膜の外側に接して存在しているが、間期に倍加、二等分され、有糸分裂の開始時に両側に移動して紡錘体のふたつの極になる。Kapellerらは、PI3キナーゼがインスリン刺激による微小管形成を介して、脂肪細胞等の分化増殖に影響する可能性を示唆している。
上述したように、本発明に係るタンパク質は、γチュブリン・リング複合体タンパク質GCP4と機能的に非常に類似性の高いタンパク質であると考えられるため、チアゾリジン誘導体が結合することにより、γチュブリンとPI3キナーゼの結合を増強する可能性が考えられる。
一方、チアゾリジン誘導体がペルオキシソーム増殖薬活性化受容体、peroxisome proliferator−activated receptor(PPAR)γのリガンドとなる可能性がしめされて以来、これらのインスリン感受性改善薬がPPARγを介するどのような機構で薬理作用を発現するのかに注目が集まっている。PPARは核内ホルモン受容体スーパーファミリーのひとつであり、リガンドの結合により活性化されるとretinoid−X−receptor−α(RXRα)と複合体を形成し、転写因子として標的遺伝子の上流にある特異的応答配列(peroxisome proliferator responsive element,PPRE)に結合して遺伝子の発現を誘導する。PPARの名称の由来となったペルオキシソーム増殖薬(PP)とは、細胞内顆粒ペルオキシソームを増殖させるという共通した作用を持つ一群の化学物質につけられた総称である。発見当初、PPARはPPの多面的な効果(ペルオキシソーム増殖、酵素誘導、発癌)を仲介する受容体と考えられたが、リガンド探索、標的遺伝子探索を含むその後の広範な研究から、脂質代謝を含む多くの生理機能の重要な調節因子であることが明らかになってきた。
PPARにはサブタイプがあり、PPARα、PPARβ(PPARδあるいはNUC1とも呼ばれる)及びPPARγ(転写開始点とalternative splicingの違いによりPPARγ1及びPPARγ2がある)と呼ばれている。ある化学物質(リガンド)がPPARを活性化させる能力はサブタイプによって異なり、しかも各サブタイプの発現は組織により大きく異なる。PPARαは肝臓、心筋、腸及び腎近位尿細管での発現が高い。PPARβは広い組織に発現しており、α及びγよりもそのレベルが高い場合もある。PPARγは主に脂肪組織及び免疫系で発現している。こうした組織分布の違いは、PPARサブタイプが異なる生理的役割を持つことを示唆している。
PPARの標的遺伝子が明らかになるにつれ、PPARαが主に肝臓及び心筋などにおける脂質酸化に関わる種々の遺伝子の発現を制御することが分かって来た。一方、PPARγは脂肪組織に高発現しており、白色脂肪組織における脂肪細胞分化終末における転写因子としての機能を持っている。PPARγ2は脂肪細胞の脂肪酸結合タンパクaP2をtrans activateする特異的転写因子ARF−6の1成分としてクローニングされた。またPPARγ2/RXRαはホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)の脂肪細胞特異的発現を誘導してグリセロール生成をもたらす。AP2及びPEPCKの両遺伝子は脂肪細胞分化終末の指標であり、PPARγによりそれらが制御されることは、この受容体が脂肪細胞の表現型維持に重要な役割を果たすことを示している。しかしながら、チアゾリジン誘導体とPPARγを直接結びつける明確な機構はまだ良く分かっていない。また、CBP〔cAMP response element binding protein(CREB)binding protein〕のヘテロ欠損マウスが、PPARγヘテロ欠損マウス以上に強い抗肥満・抗糖尿病の表現型を呈することから、PPARγ非依存性の抗肥満・抗糖尿病の新規な情報伝達経路が存在することが示唆されている。
一方、脂肪細胞組織特異的に高発現する遺伝子の産物として発見されたアディポネクチンの欠乏も、肥満、2型糖尿病のインスリン抵抗性の重要な原因のひとつであると考えられている。これはインスリン感受性が良好なPPARγヘテロ欠損マウスでアディポネクチンの発現が亢進していること、及びアディポネクチン遺伝子は日本人の2型糖尿病の主要な疾患感受性遺伝子であることに基づくものである。アディポネクチンは白色脂肪細胞由来の主要なインスリン感受性ホルモンであり、アディポネクチンを補充することにより、脂肪萎縮性糖尿病のインスリン抵抗性が改善される。2型糖尿病患者ではアディポネクチン不足によりインスリン抵抗性が惹起され、アディポネクチンの補充によりインスリン抵抗性が改善されるものと考えられる。また、アディポネクチンホモ欠損マウスは耐糖能低下を示すことから、アディポネクチンは生体内で抗糖尿病因子として作用していると予想される。さらに、インスリン抵抗性を呈する脂肪萎縮性糖尿病マウスやKKAyマウスへのアディポネクチンの投与実験、あるいは肥満・インスリン抵抗性のモデルマウスであるob/obマウスとアディポネクチン過剰発現トランスジェニックマウスとの掛け合わせ実験において、アディポネクチンを投与すると脂肪酸燃焼やエネルギー浪費に関わる因子の発現が増加する。これは、これらの遺伝子を標的とするPPARαの発現量、及びPPARαの内因性リガンド活性自体がアディポネクチン投与により増加することによる可能性が報告されている(山内ら、分子糖尿病学の進歩−基礎から臨床まで−2003、pp.97−106、金原出版)。
一方、Surapureddiら(PNAS,Vol.99,pp.11836−11841,2002)は、ラットの肝組織抽出液を用い、PRIC複合体と呼ばれるコアクチベータがPPARαと結合してその作用を増強すること、さらにGSTタグをつけたPPARαをバイトとしたプルダウンアッセイにより、PRIC複合体のなかでもTOGとよばれるチュブリン結合タンパク質がPPARαと結合することを見出している。また、Spittleら(JBC,Vol.275,pp.20748−20753,2000)は、TOGタンパク質はγチュブリンリング複合体と非常に類似した微小管構造に結合することを報告している。
これらの情報と本発明者らの結果を総合すると、ピオグリタゾンはγチュブリン・リング複合体との結合を介してγチュブリン・リング複合体−TOG−PPARαの3者間の相互作用を増強することにより、アディポネクチンの作用をミミックして2型糖尿病患者のインスリン抵抗性を改善する可能性が考えられる。またあるいは、PPARγに対してもTOGタンパク質に類似のタンパク質が存在すると想定した場合、ピオグリタゾンがγチュブリン・リング複合体−TOG−PPARγの3者間の相互作用を亢進して、PPARγを活性化する可能性も考えられる。
以上のように、本発明者らは、チアゾリジン誘導体の分子標的のひとつがγチュブリン・リング複合体であり、チアゾリジン誘導体がγチュブリンリング複合体との結合を介して、PI3キナーゼのシグナル及び/又はPPARαの作用を増強することにより、インスリン感受性を向上させ、インスリン抵抗性に対する治療効果を示す可能性があることを見出した。
本発明に係るタンパク質を用いたスクリーニング方法
以上説明したように、チアゾリジン誘導体と本発明に係るタンパク質との相互作用から、本発明に係るタンパク質を使用して、新規抗糖尿病薬のスクリーニング方法を確立することができる。
スクリーニング方法は、上述した本発明に係るタンパク質に対してスクリーング候補物質を接触させる工程の後、当該候補物質と当該タンパク質との相互作用の有無を検出する工程とを備える。
スクリーニング候補物質としては特に限定されないが、各種の低分子化合物、タンパク質を挙げることができる。
スクリーニング候補物質と本発明に係るタンパク質とを接触させる方法としては、特に限定されず、候補物質と対象物質との二分子間の相互作用を解析する方法と知れられる如何なる方法も使用することができる。例えば、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonanse:SPR)の原理を応用したリアルタイムでの相互作用解析を行う装置、例えば、Biacore 3000(ビアコア社製)等を使用する方法や、非修飾かつ非固定で2種の分子間相互作用を分析する手法として、クロマトグラフィーを用いた手法(米国特許公報4,762,617)を挙げることができる。さらに、Y.Dunayevskiy et al.,Rapid Comm.Mass Spectrometry,vol.11,1178−1184(1997)に記載された方法や、F.J.Moy et al.,Anal.Chem.,vol.73,571−581(2001)に記載された方法、国際公開公報WO 00/47999に記載された方法、特許公表公報第2002−508515号に記載された方法、特許公表公報第2003−502665号に記載された方法を適宜使用することができる。
また、水晶発振子等のその他の表面プラズモン共鳴法、Coupled waveguideプラズモン共鳴法、二面偏波式干渉法、カロリメトリー法、遠心沈降法、キャピラリー電気泳動法、エナジートランスファー法、蛍光偏向法、蛍光相関分析法、プロテインチップ、化合物チップ等の方法も適宜使用することができる。
本スクリーニング方法によって、本発明に係るタンパク質と間で相互作用を有すると判断された候補物質は、チアゾリジン誘導体と同様な薬理作用機序を有する新規な抗糖尿病薬としてスクリーニングされたこととなる。
スクリーニングされた新規化合物
上記スクリーニング方法によって、抗糖尿病薬の候補物質として下記一般式(I)で表されるチアゾリジン誘導体を同定した。なお、下記一般式(I)で表される化合物は新規物質である。
Figure 2005054468
(上記式(I)中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜11のフェニルアルキル基、フェニル基、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる1又は2のヘテロ原子を含む5又は6員環のヘテロ環である。L及びLは、同一又は異なり、それぞれ水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるか、若しくは、一緒になって炭素数2〜6のシクロアルキル基を形成する。mは1〜5のいずれかの整数を表す。)
具体的に上記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、下記式A−1で表される5−{4−[2−(1−メチル−シクロヘキシルオキシ)−エチロキシ]−ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオンを挙げることができる
Figure 2005054468
また、上記式(I)で表される化合物としては、上記A−1に限定されず、下記式A−2及びA−3を例示することができる。
Figure 2005054468
Figure 2005054468
上記式(I)で表される化合物は、下記式(II)
Figure 2005054468
(上記式(II)中、R、L及びLは上記式(I)と同じ定義である。XはMeSO、p−toluenesulfonyl、ヨウ素、臭素、塩素及び水酸基からなる群から選ばれる一種である。)で表される化合物と、下記式(III)
Figure 2005054468
で表される化合物とを縮合反応させることで製造することができる。
例えば上記のA−1で表される化合物の製造方法を説明する。先ず、以下のようにして(1−メチル−シクロヘキシル)−tert−酢酸ブチルエステル()を合成する。
Figure 2005054468
具体的には、窒素雰囲気下、氷冷した水素化ホウ素ナトリウム(油性;60wt%300mg)を含むTHF/DMF(5/1)混液40mLの懸濁溶液へ、化合物()(713mg、6.2mmol)を攪拌しながらゆっくりと加え、その後10分間攪拌する。続いて氷浴を取り除き、室温で30分間攪拌する。攪拌収量後再び氷冷する。次に、ブロモ酢酸t−ブチルエステル(2.25mL、15.5mmol)を加える。添加終了後、氷浴を取り除き、室温にて2時間攪拌する。その後、再び氷冷し、反応液へ水(1mL)をゆっくりと加える。反応液へ水、酢酸エチルを注ぎ、良く攪拌した後、有機相を集める。さらに酢酸エチルから抽出する。有機相を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下ろ過濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフにより精製し、化合物()(H−NMR(CDCl)δ:1.28−1.38(13H,m),1.40(9H,s),4.02(2H,s))を合成することができる。
次に、以下のようにして、化合物()から2−(1−メチル−シクロヘキシル)−エタノール()を合成する。
Figure 2005054468
具体的には、窒素雰囲気下、氷冷した水素化アルミニウムリチウム(304mg、8mmol)を含むTHF懸濁溶液4mLに、化合物()(254mg、2mmol)のTHF溶液2mLを攪拌しながらゆっくりと加える。添加終了後、反応容器を60℃に加温し、2時間攪拌する。攪拌終了後、再び氷冷し、反応液へ飽和硫酸ナトリウム水溶液を水素の発生がなくなるまでゆっくりと加える。セライト上で残渣をろ過し、残渣を酢酸エチルで洗浄する。ろ液と洗浄液を合わせ、減圧下濃縮する。粗精製品をシリカゲルカラムクロマトグラフにより精製することで化合物()(H−NMR(CDCl)δ:1.28−1.38(13H,m),3.50−3.75(4H,m))を合成することができる。
次に、以下のようにして、化合物()から5−{4−[2−(1−メチル−シクロヘキシルオキシ)−エトキシ]−ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(A−1)を合成する。
Figure 2005054468
具体的には、窒素雰囲気下、化合物()(158mg、1.0mmol)のトルエン(2mL)溶液にトリブチルホスフィン(234mg、1.1mmol)を加え、20分間攪拌する。続いて、この溶液を、5−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(246mg、1.1mmol)と1,1’−アゾビス(N,N’−ジメチルホルムアミド)(200mg,1.1mmol)とを含むトルエン(2mL)溶液に室温にて加え、終夜攪拌する。攪拌終了後、さらに酢酸エチルを加え、残渣をセライト上でろ別する。残渣を更に酢酸エチルで洗浄し、ろ液と洗浄液を合わせる。減圧下濃縮し、粗精製品をシリカゲルカラムクロマトグラフにより精製することで、化合物(A−1)(H−NMR(CDCl)δ:1.28−1.38(13H,m),3.46(2H,d),3.79(2H,t),4.11(2H,t),4.13(1H,t),6.72(2H,d),7.00(2H,d))を合成することができる。
なお、出発原料として化合物()の代わりにシクロヘキサノールを使用する以外は、上述した合成方法と同様に各反応を行うことによって、上述した化合物A−2(H−NMR(CDCl)δ:1.28−1.42(10H,m),2.85(1H,m),3.46(2H,d),3.79(2H,t),4.11(2H,t),4.13(1H,t),6.70(2H,d),7.00(2H,d))を合成することができる。また、出発原料としてシクロペンタノールを使用する以外は、上述した合成方法と同様に各反応を行うことによって、上述した化合物A−3(H−NMR(CDCl)δ:1.51−1.60(8H,m),2.85(1H,m),3.46(2H,d),3.79(2H,t),4.11(2H,t),4.10(1H,t),6.72(2H,d),7.00(2H,d))を合成することができる。
一方、上記一般式(I)で表される新規化合物は、薬理上許容される塩としてもよい。「薬理上許容される塩」としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸又はリン酸等の無機酸の塩;パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸又はクエン酸等の有機酸の塩;アンモニウム、トリメチルアンモニウム又はトリエチルアンモニウム等の有機塩基の塩;ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属の塩;ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化アルキルとの四級塩;及びカルシウム又はマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等を挙げることができる。新規化合物(I)としては、その水和物を含む意味であり、化合物(I)に対して任意の数の水分子を配位していてもよい。また、新規化合物(I)としてはそのプロドラッグを含み意味である。プロドラッグとは、生体内で代謝的に分解される基を有する新規化合物(I)の誘導体であり、生体内での代謝過程により、新規化合物(I)に変換されることで薬理作用を発現する化合物である。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法及び製造する方法は、例えばDesign of Prodrugs,Elsevier,Amsterdam 1985に記載されている。
例えば、新規化合物(I)がカルボキシを有する場合は、当該カルボキシと適当なアルコールを反応させることによって製造されるエステル誘導体、又は当該カルボキシと適当なアミンを反応させることによって製造されるアミド誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、新規化合物(I)がヒドロキシを有する場合は、例えば当該ヒドロキシと適当なアシルハライド又は適当な酸無水物とを反応させることに製造されるアシルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、新規化合物(I)がアミノを有する場合は、そのアミノと適当な酸ハロゲン化物又は適当な混合酸無水物とを反応させることにより製造されるアミド誘導体のようなプロドラッグが例示される。
新規化合物(I)が不斉炭素原子を有する場合には、ラセミ体、両対掌体及び全ての立体異性体(ジアステレオマー)を含む。また、新規化合物(I)が二重結合を有する場合には、二重結合の置換基配置につき、幾何異性体が存在するときはそのいずれをも含む。
以上のような新規化合物(I)は、新規な抗糖尿病薬として作用を有する医薬組成物となる。当該医薬組成物を抗糖尿病薬として投与する場合、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。経口投与は常法に従って錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤、液剤、シロップ剤、バッカル剤又は舌下剤等の通常用いられる剤型に調製して投与すればよい。非経口投与は、例えば筋肉内投与、静脈内投与等の注射剤、坐剤、経皮吸収剤、吸入剤等、通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。
また、当該医薬組成物の有効量に対して、剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤等の各種医薬用添加剤とを必要に応じて混合し医薬製剤とすることができる。注射剤の場合には適当な担体と共に滅菌処理を行なって製剤とすればよい。具体的には、賦形剤としては乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウムもしくは結晶セルロース等、結合剤としてはメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドン等、崩壊剤としてはカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末もしくはラウリル硫酸ナトリウム等、滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウムもしくはマクロゴール等が挙げられる。坐剤の基剤としてはカカオ脂、マクロゴールもしくはメチルセルロース等を用いることができる。また、液剤もしくは乳濁性、懸濁性の注射剤として調製する場合には通常使用されている溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、等張剤等を適宜添加しても良く、経口投与の場合には嬌味剤、芳香剤等を加えても良い。
新規化合物(I)の抗糖尿病薬としての投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、成人に経口投与する場合、通常1〜100mg/kg/日であり、好ましくは5〜30mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.1〜10mg/kg/日であり、好ましく1〜5mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回〜数回に分けて投与すれば良い。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[参考例1]ヒト完全長cDNAクローンからのタンパク質発現方法
1.発現プラスミドの作成
ヒト完全長cDNAクローンの目的遺伝子に対して、InvitrogenのGatewayシステムを用いキットのプロトコールに従い、PCRクローニングベクターGatewaypDONR201とBP反応を行うことによりエントリーベクターを得た。Gatewayシステムのデスティネーションベクターとしては、東洋紡績(株)の小麦胚芽抽出液を用いた無細胞タンパク質合成システム(PROTEIOS)に適応するpEU3−NII(東洋紡績)を基にして、Gatewayシステムが利用できるようGateway組換え配列を有するGatewayカセットを導入し、さらに発現タンパク質のN末端領域にヒスチジンタグとFLAGタグ配列を有するペプチドが発現するようにPCR法を用いて改変したダブルタグデスティネーションベクターを作成した。
作成したダブルタグデスティネーションベクターとエントリーベクターを用い、InvitrogenのGatewayシステムを用いプロトコールに従いBP反応を実施し、大腸菌コンピテントセルDH5αに形質転換し、発現ベクターが導入されたクローンを選択した。得られたクローンからQIAfilter Midi kit(キアゲン)を用いて、キットのプロトコールに従ってプラスミドを調製した。得られたプラスミドは、PROTEIOS(東洋紡績)のプロトコールに従い、フェノール・クロロホルム処理を行いRNA分解酵素の不活化処理を施し、精製発現プラスミドを得た。
2.精製タンパク質の取得
東洋紡績(株)の小麦胚芽抽出液を用いた無細胞タンパク質合成システム(PROTEIOS)により組換えタンパク質を合成した。上記1.に記載した方法で取得した発現プラスミドからPROTEIOSのプロトコールに従いmRNAを作成した。取得したmRNAを20μg使用し、96穴マイクロタイタープレートの2穴分でPROTEIOSのプロトコールに従いタンパク質を合成させた。合成したタンパク質は、高速遠心分離処理により沈殿を除去し、取得した可溶性の画分を抗FLAGタグ抗体を固定化したANTI−FLAG M2 Affnity Gel(SIGMA社)を用い、プロトコールに従い精製を行い、精製タンパク質を得た。
[参考例2]ビアコアを用いたヒトタンパク質−医薬品相互作用における結合解離定数の決定方法
ビアコア社市販のS51用CM5センサーチップを1M EDC,1.33M NHS及び16mg/ml AB−NTA(pH9.2)を用いてセンサーチップ表面のNTA化を施し、S51用NTAセンサーチップとした。これに小麦胚芽系で発現させ、FLAG tagで精製した蛋白質を固定化した。固定化は、0.5M NiCl、0.4M EDC、0.1M EDC、リガンド溶液(蛋白質)、1M Ethanolamine、pH8.5を順次、Biacore S51の流路系にインジェクションして行った。固定化の際のRunning BufferはPBS(pH7.4)を用いた。リガンドが固定化されたセンサーチップを用いて以下のAssayを行った。Running BufferとしてHBS(10mM HEPES、150mM NaCl、pH7.6)、0.005% P0、100uM mineral ion cocktail(Ca(OAc)、Zn(OAc)・2HO、Cu(OAc)・HO、Co(OAc)・4HO、Mn(OAc)・4HO、Mg(OAc)・4HO、FeCl・6HO)にDMSOをfinal5%になるように加えて調製したものを用いた。測定化合物は62.5uM〜0.244uMまで1/2希釈ずつ9point調製した。溶媒の組成がRunning Bufferと同様になるように調製し、0濃度測定として化合物の含まれていない溶媒だけのものを調製した。また、化合物溶液、Running Buffer中に含まれるDMSOの効果の補正(solvent correction)として、3.8−5.1%のDMSO(8point)を含むRunning Bufferと同様の溶液を調製し、これらの測定結果をもとにして補正を行った。Biacore S51のCompound Characterization Assayプログラムを実施し、固定化されたリガンド(蛋白質)とアナライト(化合物;62.5uM〜0.244uM)の相互作用を測定し、専用ソフトウェアにて解析を行った。
[実施例1]ピオグリタゾンとFLJ14797由来タンパク質の相互作用解析
参考例1の方法に従ってFLJ14797よりタンパク質の発現精製を行い、参考例2の方法に従ってピオグリタゾンとFLJ14797から発現精製したタンパク質の相互作用を解析した。結果を図1に示した。ピオグリタゾンの用量に依存して結合量が増大し、かつ高用量では結合の飽和がみられることから、特異的な相互作用であることが確認された。BiacoreS51専用ソフトウェアを用いて結合解離定数を算出したところ、KD=9.038×10−6Mであった。
図1に示した結果から、ピオグリタゾンとFLJ14797由来タンパク質とが相互作用することが明らかとなった。したがって、FLJ14797由来タンパク質は、抗糖尿病薬として知られているピオグリタゾン(チアゾリジン誘導体)の標的タンパク質であることが判明した。このことより、FLJ14797由来タンパク質とスクリーニング候補物質とを作用させることで、新規抗糖尿病剤のスクリーニングを行うことができる。すなわち、FLJ14797由来タンパク質と候補物質との相互作用を、例えば参考例2の方法で検出するような系を構築することによって、新規抗糖尿病薬のスクリーニングを行うことができる。
[実施例2]新規化合物(I)とFLJ14797由来タンパク質の相互作用解析
実施例1で使用したピオグリタゾンに代えて上述した化合物A−1、A−2及びA−3を使用した以外は、実施例1と同様にしてFLJ14797由来タンパク質と各化合物との相互作用を解析した。実施例1と同様に算出されたKD値を表1に示す。
Figure 2005054468
表1から判るように、いずれの化合物おいてもFLJ14797由来タンパク質に対する特異的な相互作用がみられた。この結果より、上述した一般式(I)で表される化合物がFLJ14797由来タンパク質すなわちγチュブリン・リング複合体タンパク質に対して相互作用を示すことが明らかとなった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (22)

  1. 以下の(a)又は(b)に示され、抗糖尿病薬の標的タンパク質。
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病薬と相互作用するタンパク質
  2. 上記抗糖尿病薬はチアゾリジン誘導体であることを特徴とする請求項1記載の標的タンパク質。
  3. 上記チアゾリジン誘導体はピオグリタゾンであることを特徴とする請求項2記載の標的タンパク質。
  4. γチュブリン・リング複合体タンパク質であることを特徴とする請求項1記載の標的タンパク質。
  5. 以下の(a)又は(b)に示され、抗糖尿病薬の標的タンパク質をコードする遺伝子。
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病薬と相互作用するタンパク質
  6. 上記抗糖尿病薬はチアゾリジン誘導体であることを特徴とする請求項5記載の標的タンパク質をコードする遺伝子。
  7. 上記チアゾリジン誘導体はピオグリタゾンであることを特徴とする請求項6記載の標的タンパク質をコードする遺伝子。
  8. 上記標的タンパク質はγチュブリン・リング複合体タンパク質であることを特徴とする請求項5記載の標的タンパク質をコードする遺伝子。
  9. スクリーニング候補物質を以下の(a)又は(b)に示すタンパク質に接触させる工程と、
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、抗糖尿病薬と相互作用するタンパク質
    上記候補物質と上記タンパク質との相互作用を検出する工程と、
    を備える抗糖尿病薬のスクリーニング方法。
  10. 上記抗糖尿病薬はチアゾリジン誘導体であることを特徴とする請求項9記載の抗糖尿病薬のスクリーニング方法。
  11. 上記チアゾリジン誘導体はピオグリタゾンであることを特徴とする請求項10記載の抗糖尿病薬のスクリーニング方法。
  12. 上記標的タンパク質はγチュブリン・リング複合体タンパク質であることを特徴とする請求項9記載の抗糖尿病薬のスクリーニング方法。
  13. 請求項9乃至12いずれか一項記載のスクリーニング方法によってスクリーニングされ、上記タンパク質と相互作用を示す物質を主成分とする抗糖尿病薬。
  14. 一般式(I)
    Figure 2005054468
    (上記式(I)中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜11のフェニルアルキル基、フェニル基、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる1又は2のヘテロ原子を含む5又は6員環のヘテロ環である。L及びLは、同一又は異なり、それぞれ水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるか、若しくは、一緒になって炭素数2〜6のシクロアルキル基を形成する。mは1〜5のいずれかの整数を表す。)で表されるチアゾリジン誘導体。
  15. 上記式(I)中、L及びLは、一緒になって形成する炭素数2〜6のシクロアルキル基であることを特徴とする請求項14記載のチアゾリジン誘導体。
  16. 上記式(I)中、Rは水素であり、L及びLは一緒になって形成する炭素数2〜6のシクロアルキル基であることを特徴とする請求項14記載のチアゾリジン誘導体。
  17. 上記式(I)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、L及びLは一緒になって形成する炭素数2〜6のシクロアルキル基であることを特徴とする請求項14記載のチアゾリジン誘導体。
  18. 5−{4−[2−(1−メチル−シクロヘキシルオキシ)−エトキシ]−ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオンであることを特徴とする請求項14記載のチアゾリジン誘導体。
  19. 請求項14乃至18いずれか1項記載のチアゾリジン誘導体の薬理上許容される塩。
  20. 請求項14乃至18いずれか1項記載のチアゾリジン誘導体及び/又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
  21. 抗糖尿病薬であることを特徴とする請求項20記載の医薬組成物。
  22. 一般式(II)
    Figure 2005054468
    (上記式(II)中、Rは、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜11のフェニルアルキル基、フェニル基、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる1又は2のヘテロ原子を含む5又は6員環のヘテロ環である。L及びLは、同一又は異なり、それぞれ水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるか、若しくは、一緒になって炭素数2〜6のシクロアルキル基を形成する。mは1〜5のいずれかの整数を表す。XはMeSO、p−toluenesulfonyl、ヨウ素、臭素、塩素及び水酸基からなる群から選ばれる一種である。)
    で表される化合物と、一般式(III)
    Figure 2005054468
    で表される化合物とを縮合反応させる、チアゾリジン誘導体の製造方法。
JP2005515896A 2003-12-01 2004-11-16 抗糖尿病剤の標的タンパク質及び対応する新規抗糖尿病剤「インスフル」 Pending JPWO2005054468A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003402164 2003-12-01
JP2003402164 2003-12-01
PCT/JP2004/016996 WO2005054468A1 (ja) 2003-12-01 2004-11-16 抗糖尿病剤の標的タンパク質及び対応する新規抗糖尿病剤「インスフル」

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2005054468A1 true JPWO2005054468A1 (ja) 2008-03-13

Family

ID=34650003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005515896A Pending JPWO2005054468A1 (ja) 2003-12-01 2004-11-16 抗糖尿病剤の標的タンパク質及び対応する新規抗糖尿病剤「インスフル」

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20070093536A1 (ja)
EP (1) EP1698696A4 (ja)
JP (1) JPWO2005054468A1 (ja)
WO (1) WO2005054468A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1402449A2 (en) * 2000-09-14 2004-03-31 Reverse Proteomics Research Institute Co., Ltd Method, system, apparatus and device for discovering and preparing chemical compounds
US20040115726A1 (en) * 2001-09-14 2004-06-17 Renpei Nagashima Method, system, apparatus and device for discovering and preparing chemical compounds for medical and other uses.

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU6181200A (en) * 1999-07-29 2001-02-19 Helix Research Institute Stomach cancer-associated gene
WO2002076929A1 (en) * 2001-03-21 2002-10-03 Pharmacopeia, Inc. Aryl and biaryl compounds having mch modulatory activity
IL162149A0 (en) * 2001-11-26 2005-11-20 Compugen Ltd Methods and systems for identifying naturally occurring antisense transcripts and methods, kits and arrays utilizing same
US20070224201A1 (en) * 2002-10-02 2007-09-27 Genentech, Inc. Compositions and methods for the diagnosis and treatment of tumor
US7105566B2 (en) * 2002-10-22 2006-09-12 Allergan, Inc. Methods of treatment during vascular procedures
US7205322B2 (en) * 2003-02-12 2007-04-17 Bristol-Myers Squibb Company Thiazolidine compounds as calcium sensing receptor modulators
MXPA06005528A (es) * 2003-11-18 2007-01-30 Univ Tennessee Res Foundation Tiazolidinona-amidas, amidas de acido tiazolidina-carboxilico, metodos de elaboracion, y uso de las mismas.
WO2006052000A1 (ja) * 2004-11-09 2006-05-18 Reverse Proteomics Research Institute Co., Ltd. 創薬標的タンパク質及び標的遺伝子、並びにスクリーニング方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005054468A1 (ja) 2005-06-16
US20070093536A1 (en) 2007-04-26
EP1698696A4 (en) 2007-01-10
EP1698696A1 (en) 2006-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100457730C (zh) 具有抗糖尿病活性的吲哚化合物
US20030032581A1 (en) Pharmaceuticals for treating obesity
Porcelli et al. Synthesis, characterization and biological evaluation of ureidofibrate-like derivatives endowed with peroxisome proliferator-activated receptor activity
van Marrewijk et al. SR2067 reveals a unique kinetic and structural signature for PPARγ partial agonism
WO1999046232A1 (fr) Derives d'acide carboxylique et medicaments contenant ces derives comme principe actif
EA022417B1 (ru) Арильные агонисты рецептора gpr120 и их применение
RU2680248C1 (ru) Комбинация, содержащая новое производное 3-(4-(бензилокси)фенил)гекс-4-иновой кислоты и другой активный ингредиент, для активирования фермента рецептора g-белка 40
WO2009129696A1 (zh) 一类受体信号转导增效剂,其制备方法和用途
WO2020156459A1 (zh) 吡咯并嘧啶衍生物及其用途
JP2010535706A (ja) 肥満、糖尿病および動脈硬化性心血管病の治療のためのn−(2−チアゾリル)−アミド誘導体
JP2001526278A (ja) アリールチアゾリジンジオン誘導体
WO2000023442A1 (fr) Derives d'acide carboxylique et medicaments contenant ces derives en tant que principe actif
RU2670197C1 (ru) Соединение, обладающее агонистической активностью в отношении GPR119, способ его получения и фармацевтическая композиция, содержащая его в качестве эффективного компонента
JPH0448791B2 (ja)
JPWO2005054468A1 (ja) 抗糖尿病剤の標的タンパク質及び対応する新規抗糖尿病剤「インスフル」
JP2003502370A (ja) アリールチアゾリジンジオン誘導体およびアリールオキサゾリジンジオン誘導体
Cioffi et al. Identification of transthyretin tetramer kinetic stabilizers that are capable of inhibiting the retinol-dependent retinol binding protein 4-transthyretin interaction: Potential novel therapeutics for macular degeneration, transthyretin amyloidosis, and their common age-related comorbidities
Loiodice et al. Structural insight into the crucial role of ligand chirality in the activation of PPARs by crystallographic methods
US20220227717A1 (en) Allosteric activators of the alpha1a-adrenergic receptor
US11278528B2 (en) Activator of peroxisome proliferator-activated receptor
AU723879B2 (en) Combination therapy for the treatment of diabetes and obesity
WO2005028453A1 (ja) フェニル酢酸誘導体、その製造方法および用途
CN112745319B (zh) 一类取代三环结构的化合物、其制备方法及用途
TWI535709B (zh) 具有npy y5受體拮抗作用的5員環芳香族雜環衍生物
WO2020085393A1 (ja) PPARδ活性化剤

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100105

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20100105

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20100121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100202

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100601