JPWO2005049824A1 - 生体構造認識部位を提示する中空ナノ粒子およびその生産方法、並びにその利用 - Google Patents

生体構造認識部位を提示する中空ナノ粒子およびその生産方法、並びにその利用 Download PDF

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克行 谷澤
近藤 昭彦
昭彦 近藤
上田 政和
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Abstract

精製が簡便で、標的となる細胞または組織に細胞導入物質を効率よく導入することが可能な中空ナノ粒子を提供する。 本発明にかかる中空ナノ粒子は、粒子形成能を有するタンパク質により形成され、生体構造認識部位を表面に提示している。この生体構造認識部位は、上記タンパク質のN末端・C末端の双方に設けられており、それぞれの生体構造認識部位が認識する生体由来の化学構造は異なる。その少なくとも一方は、標的細胞・組織に特異的な構造を認識する標的構造認識部位であり、何れか一方は、中空ナノ粒子を特異的に認識する識別部位として機能することが好ましい。例えば、標的構造認識部位としては、B型肝炎ウィルスの肝細胞認識部位を、識別部位としては各種タグ配列等を挙げることができる。

Description

本発明は、生体構造認識部位を提示する中空ナノ粒子およびその生産方法とその利用とに関するものであり、より詳細には、少なくとも粒子形成能を有するタンパク質からなり、さらに、表面に生体構造認識部位を提示する中空ナノ粒子およびその生産方法と、その代表的な利用の一例とに関するものである。
近年、医学の分野において、患部に直接作用し、高い効果を示す副作用の少ない薬品の開発が盛んに行われている。特に、ドラッグデリバリーシステム(DDS)と呼ばれる方法は、目的細胞あるいは目的組織に対して特異的に薬剤等の有効成分を運搬し、目的箇所で有効成分を作用させることのできる方法として注目されている。
また、最近の分子細胞生物学の分野においても特定細胞への遺伝子導入は必要不可欠な技術として盛んに研究されている。さらに、ヒトゲノム計画の進展により各種疾患の遺伝的な背景が明らかになりつつある現在、このような細胞および組織に対する特異性の高い遺伝子導入法が確立されれば、遺伝子治療の分野での応用も可能となる。
細胞または組織に遺伝子を導入する方法(遺伝子導入法)としては、すでに様々な方法が提案されている。代表的なものとしては、(1)特異的に薬剤となるタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれた発現プラスミドを、電気パルス刺激により細胞膜に穿孔を開けて流入させるエレクトロポレーション法、(2)パーティクルガン(遺伝子銃)等により目的細胞に導入して、この遺伝子を細胞内で発現させることにより当該タンパク質を細胞内に送り込むパーティクルデリバリー法等が挙げられる。
けれどもこれらの遺伝子導入法は、簡便ではあるが、細胞を物理的に傷つけ、遺伝子導入部位を外科的に露出させる必要がある。そのため、生体内部の細胞や組織には容易に適用できない。また、100%近い導入率を得ることも困難となっている。
さらに、感染性ウィルスを用いて遺伝子導入法を行う技術が開発されている。この方法は、ウィルスDNAに目的の遺伝子を組み込んだ感染性ウィルスを生成し、目的細胞を感染させて遺伝子を導入する。この方法では、上述した各遺伝子導入法のように、導入部位を露出させる必要がなく、個体にも応用でき、導入効率も100%近い画期的な方法として注目されている。しかしながら、ウィルスが広範囲の細胞に非特異的に感染するため目的の細胞以外にも遺伝子が導入されてしまうという問題が生じる。
このように、従来の遺伝子導入法は、いずれも、目的の細胞に対して特異的に遺伝子を送り込み、細胞内で薬剤となるタンパク質を発現させる方法としては不十分なものであった。他方、薬剤となるタンパク質を直接的に目的細胞、あるいは、目的組織に送り込む方法については、未だ有効な方法が開発されていない状況にあった。
そこで本発明者らは、新規な遺伝子導入法として、目的とする細胞や組織に、物質(遺伝子、タンパク質、化合物等)を運搬、導入するため方法として、粒子形成能を有するタンパク質を用いて形成される中空ナノ粒子を用いた技術を提案した(特許文献1:特開2001−316298(公開日:2001年11月13日))。
この技術では、粒子形成能を有するタンパク質に対して、そのアミノ酸配列のN末端に、特定の細胞または組織に対する認識能を有した生体構造認識部位を導入している。上記生体構造認識部位を導入したタンパク質を中空ナノ粒子として用いることにより、物質(遺伝子、タンパク質、化合物等)を特定の細胞あるいは組織に運搬、導入することが可能となる。それゆえ、この技術は、上述したような遺伝子治療等の分野への応用が非常に期待できるものとなっている。
ところで、上記中空ナノ粒子を利用する場合には、その用途に応じて、実用性を高めるための工夫が必要となる。
また、上記遺伝子導入法に上記中空ナノ粒子を用いる場合には、当該中空ナノ粒子を精製する必要がある。ここで、従来までの中空ナノ粒子の精製方法としては、例えば、勾配をかけたCsClあるいはショ糖を用いた超遠心を繰返し行う方法、透析を繰り返し行う方法等を挙げることができるが、これら精製方法は煩雑であり、多くの時間を必要とする。それゆえ、実用性をより高めるためには、中空ナノ粒子の精製をより効率的にすることが非常に好ましい。
また、DDS等の用途においては、中空ナノ粒子内に封入した薬剤となる物質を効率良く特定の細胞または組織に送達する必要がある。このように送達の効率性を高めるためには、組織や細胞側の受容体数が少ない場合、N末端に導入した生体構造認識部位が何らかの物質で阻害された場合、さらには、他の分子と競合して受容体認識に支障がある場合を考慮する必要がある。
このように、上記中空ナノ粒子の技術は、それ自体画期的な技術ではあるものの、実用性をより高めるためには、さらなる改良が求められる。
そこで、本発明は、精製が簡便で、標的となる細胞または組織に細胞導入物質を効率よく導入することが可能な中空ナノ粒子とその生産方法、利用法の一例を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ヒトB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質を利用してN末端部以外の部分(C末端領域)に種々の標的認識部位を融合することにより、精製が簡便で、標的となる細胞または組織に細胞導入物質を効率よく導入することが可能で、実用性をより向上させた中空ナノ粒子を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる中空ナノ粒子は、粒子形成能を有するタンパク質により形成され、生体由来の化学構造を認識する生体構造認識部位を表面に提示する中空ナノ粒子において、上記粒子形成能を有するタンパク質のアミノ末端およびカルボキシル末端の双方に、上記生体構造認識部位が設けられているとともに、それぞれの生体構造認識部位が認識する生体由来の化学構造は異なっていることを特徴としている。
上記中空ナノ粒子においては、上記生体構造認識部位の少なくとも一方は、標的となる細胞または組織に特異的な構造を認識する標的構造認識部位であり、上記生体構造認識部位の何れか一方は、中空ナノ粒子そのものを特異的に認識するための識別部位として機能することが好ましい。
上記生体構造認識部位は、ウィルス由来の宿主細胞認識構造、抗原決定基、リガンド、リガンドの受容体の少なくとも何れかを挙げることができる。このうち、上記ウィルス由来の宿主細胞認識構造として、例えば、B型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質における肝細胞認識部位を挙げることができる。また、上記抗原決定基としては、例えば、タグ配列を挙げることができる。このタグ配列としては、Strep−tag II、HA−tag、FLAG−tagの少なくとも何れかを挙げることができる。さらに、上記生体構造認識部位は、複数種類のタグ配列を組み合わせてなるものであってもよい。
また、上記リガンドとしては、例えば、細胞増殖因子を挙げることができる。この細胞増殖因子としては、上皮増殖因子または繊維芽細胞増殖因子を挙げることができる。また、抗体認識部位としての機能をもつZZ−tagもリガントとして含むことができる。
さらに、上記生体構造認識部位は、タグ配列とリガンドとを組み合わせてなるものであってもよい。
上記中空ナノ粒子の具体的な一例としては、上記粒子形成能を有するタンパク質が、ウィルス由来の表面抗原タンパク質であり、当該表面抗原タンパク質の末端部に存在する宿主細胞認識構造を上記標的構造認識部位として用いる例を挙げることができる。このとき、上記粒子形成能を有するタンパク質としては、B型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質を挙げることができる。
また、上記中空ナノ粒子においては、上記抗原決定基および/またはリガンドが、中空ナノ粒子そのものを特異的に認識するための上記識別部位として設けられていることが好ましい。
さらに、上記中空ナノ粒子においては、上記生体構造認識部位は、粒子形成能を有するタンパク質の末端側のアミノ酸配列を置換することにより、当該タンパク質に導入されていてもよい。
本発明にかかる中空ナノ粒子の生産方法は、少なくとも粒子形成能を有するタンパク質により形成され、生体由来の化学構造を認識する生体構造認識部位を表面に提示する中空ナノ粒子の生産方法において、当該中空ナノ粒子が、上記粒子形成能を有するタンパク質のアミノ末端およびカルボキシル末端の双方に、上記生体構造認識部位が設けられており、かつ、各生体構造認識部位が認識する生体由来の化学構造は異なっているものであり、上記粒子形成能を有するタンパク質をコードする遺伝子と、上記生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドとをつなげたキメラ遺伝子を構築し、これを真核細胞に導入して発現させることを特徴としている。
上記生産方法においては、上記真核細胞は、酵母、昆虫細胞または動物細胞の何れかであることが好ましい。また、上記生産方法においては、上記粒子形成能を有するタンパク質をコードする遺伝子として、ウィルス由来の表面抗原タンパク質をコードする遺伝子が用いられるとともに、当該遺伝子における、表面抗原タンパク質のカルボキシル末端側となる側に、生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドをつなげることにより、上記キメラ遺伝子を構築すればよい。このとき、上記キメラ遺伝子は、上記粒子形成能を有するタンパク質の末端側のアミノ酸配列を、生体構造認識部位に置換するように構築されていることが好ましい場合がある。
上記生産方法においては、さらに、上記識別部位により認識される化学構造を有する物質を担体として用いて、上記中空ナノ粒子を精製することが好ましい。
本発明の利用の一例としては、上記中空ナノ粒子に細胞導入物質が封入されている薬剤を挙げることができる。この薬剤においては、上記細胞導入物質が、遺伝子または薬理作用を有する化合物であればよい。また、本発明の他の利用としては、この薬剤を用いる疾患の治療方法等を挙げることができる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明に係る複数の生体構造認識部位を提示するタンパク質中空ナノ粒子を示す模式図である。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子の培養上清への分泌を示すグラフである。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子の培養上清への分泌を示すグラフである。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子の培養上清への分泌を示すグラフである。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子を、抗HBsAg抗体によって免疫沈降させた結果を示す図であり、各泳動レーンは、1が野生型HBsAgLタンパク質、2が陰性対照、3がC−7−FLAG、4がΔ25−6−FLAG、5がΔ54−6−FLAG、6がC−7−HA、7がΔ25−6−HA、8がΔ54−6−HA、9がΔ11−6−FLAG、10がΔ33−6−FLAG、11がΔ45−6−FLAG、12がΔ58−6−FLAG、13がΔ63−6−FLAG、14がΔ130−6−FLAGを泳動したレーンである。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子を、抗HBsAg抗体によって免疫沈降させた結果を示す図であり、各泳動レーンは、1が野生型HBsAgLタンパク質、2が陰性対照、3がC−7−FLAG、4がΔ25−6−FLAG、5がΔ54−6−FLAG、6がC−7−HA、7がΔ25−6−HA、8がΔ54−6−HA、9がΔ11−6−FLAG、10がΔ33−6−FLAG、11がΔ45−6−FLAG、12がΔ58−6−FLAG、13がΔ63−6−FLAG、14がΔ130−6−FLAGを泳動したレーンである。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子を、抗タグ(tag)抗体によって免疫沈降させた結果を示す図であり、各泳動レーンは、1が野生型HBsAgLタンパク質、2が陰性対照、3がC−7−FLAG、4がΔ25−6−FLAG、5がΔ54−6−FLAG、6がC−7−HA、7がΔ25−6−HA、8がΔ54−6−HA、9がΔ11−6−FLAG、10がΔ33−6−FLAG、11がΔ45−6−FLAG、12がΔ58−6−FLAG、13がΔ63−6−FLAG、14がΔ130−6−FLAGを泳動したレーンである。 本発明の一実施形態におけるC末端タグ(tag)融合HBsAg Lタンパク粒子を、抗タグ(tag)抗体によって免疫沈降させた結果を示す図であり、各泳動レーンは、1が野生型HBsAgLタンパク質、2が陰性対照、3がC−7−FLAG、4がΔ25−6−FLAG、5がΔ54−6−FLAG、6がC−7−HA、7がΔ25−6−HA、8がΔ54−6−HA、9がΔ11−6−FLAG、10がΔ33−6−FLAG、11がΔ45−6−FLAG、12がΔ58−6−FLAG、13がΔ63−6−FLAG、14がΔ130−6−FLAGを泳動したレーンである。 C末端に融合されたFLAG−BTC−His−tagのDNA配列(上段)と推定アミノ酸配列(下段)を示す図である。 C末端に融合されたFLAG−ZZ−His−tagのDNA配列(上段)と推定アミノ酸配列(下段)を示す図である。
本発明の実施の一形態について以下に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
本実施の形態では、本発明にかかる中空ナノ粒子、この中空ナノ粒子の生産方法、並びに、この中空ナノ粒子の利用の順に、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明にかかる中空ナノ粒子
<中空ナノ粒子の定義>
本発明にかかる中空ナノ粒子は、少なくとも粒子形成能を有するタンパク質により形成されており、内部が空洞となっている粒子であれば特に限定されるものではない。ここでいうナノ粒子とは、立体的な形状を有し、かつナノメートルオーダーのサイズを有する微小な構造体であればよく、その形状は特に限定されるものではない。一般的には、略球状または楕円球状となっている。なお、ナノメートルオーダーとは、nm単位で表示することが妥当な範囲内を指す。
なお、以下に述べるように、本発明にかかる中空ナノ粒子は、粒子形成能を有するタンパク質により形成されることで、生体由来の化学構造を認識する生体構造認識部位を表面に提示している。
<粒子形成能を有するタンパク質>
本発明にかかる中空ナノ粒子を形成する、粒子形成能を有するタンパク質とは、真核細胞内で発現させることにより、当該真核細胞由来の脂質二重膜に多数の同タンパク質が埋め込まれた中空粒子を形成させることができる機能(粒子形成能)を有するタンパク質であれば特に限定されるものではなく、動物細胞、植物細胞、ウィルス、菌類等に由来する天然タンパク質や、種々の合成タンパク質等を挙げることができる。代表的なものとして、種々のウィルスから得られるサブウィルス粒子を挙げることができ、具体的には、ウィルス由来の表面抗原タンパク質を挙げることができる。なお、上記粒子形成能を有するタンパク質として用いられるタンパク質が、生体内において抗体を惹起する可能性がある場合などは、改変して抗原性を減少させたものを用いてもよい。
上記ウィルス由来の表面抗原タンパク質としては、後述する実施例にも示すように、B型肝炎ウィルス(Hepatitis B Virus:HBV)表面抗原(Hepatitis B virus surface Antigen、以下、説明の便宜上、適宜HBsAgと略す)タンパク質を挙げることができる(例えば、国際出願WO01/64930参照)。
HBsAgタンパク質は、226個のアミノ酸から構成されるSタンパク質を含んでいる。Sタンパク質のN末端側に55アミノ酸(pre−S2 peptide)が付加したものがMタンパク質、Mタンパク質のN末端側に、108もしくは119アミノ酸(pre−S1 peptide)が付加したものがLタンパク質である。
本発明者らは、遺伝子組換え酵母で上記HBsAgのLタンパク質を発現させると、酵母由来の脂質二重膜に多数の同タンパク質が埋め込まれた短径約20nm、長径約150nmの楕円状中空粒子が形成されることを見出し、報告している(J.Biol.Chem.,Vol.267,No.3,1953−1961,1992)。この中空粒子は、HBVゲノムを全く含まないので、ウィルスとしては機能せず、人体への安全性が極めて高い。また、HBVの肝細胞への感染力を担う肝細胞特異的レセプターを粒子表面に提示しているため、肝細胞に対して特異的に物質を運搬する運搬体としての機能も有している。それゆえ、本発明では、HBsAgタンパク質を好適に用いることができる。
このHBsAgタンパク質のLタンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有しているが、これに限定されるものではなく、上記粒子形成能を有していれば、その一部が改変された変異タンパク質であってもよい。
すなわち、本発明で用いられるB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質には、(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるLタンパク質のみならず、(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、粒子形成能を有するLタンパク質の変異タンパク質も含まれる。
上記「1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法により置換、欠失、挿入、及び/又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されることを意味する。このように、上記(b)のタンパク質は、上記(a)のタンパク質の変異タンパク質である。なお、ここでいう「変異」は、主として公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異タンパク質を単離精製したものであってもよい。
なお、上記Lタンパク質の変異タンパク質は、少なくとも粒子形成能を有していればよく、宿主細胞認識構造が機能する構造が含まれていなくてもよい。これは、後述するように、Lタンパク質の宿主細胞認識構造(Pre−S領域)を他の生体構造認識部位に置換してもよいためである。
<生体構造認識部位>
本発明にかかる中空ナノ粒子は、生体由来の化学構造を認識する生体構造認識部位を表面に提示している。この生体構造認識部位としては、特に限定されるものではなく、本発明にかかる中空ナノ粒子の標的としたい細胞や組織に特異的な分子を選択すればよい。具体的には、ウィルス由来の宿主細胞認識構造、抗原決定基、リガンドおよびリガンドの受容体の少なくとも何れかを挙げることができる。
上記ウィルス由来の宿主細胞認識構造とは、由来となるウィルスの感染の対象となる宿主細胞を認識する構造を指し、ウィルスの種類に応じてそれぞれ異なるものである。例えば、上記HBVの場合は、肝細胞認識部位であるPre−S領域を挙げることができる。
上記抗原決定基とは、抗体と結合する部位またはT細胞受容体によって認識される部位であれば特に限定されるものではなく、抗原決定基を含む抗原そのものであってもよいが、本発明では、タグ(tag)配列を好適に用いることができる。このタグ配列としては、例えば、Strep−tag II、HA−tag、FLAG−tag、ZZ−tag等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
上記リガンドとは、機能タンパク質に特異的に結合する物質であれば特に限定されるものではなく、広義では、上記抗原決定基や抗原、宿主細胞認識構造等も含まれる。具体的には、例えば、上皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、骨由来成長因子(BDG)、インシュリン様成長因子(IGF)等の細胞増殖因子(成長因子);インターロイキン等の細胞機能調節分子;抗体;抗体を結合するZZ−tag;細胞膜結合透過性のTATペプチド等の機能ペプチド、タンパク質結合性ペプチド;糖鎖、脂質等の非ペプチド性リガンド;上記抗原決定基や抗原;等を挙げることができる。ここで、TATペプチドとは、透過性を持つHIVのtatの部分ペプチドで、血液脳関門(blood−brain barrier,BBB)を透過させるキャリアとして使用できるという報告がなされている。
上記リガンドの受容体(レセプター)とは、上記リガンドと特異的に結合する機能タンパク質であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記細胞増殖因子の受容体、インターロイキン受容体等の細胞機能調節分子の受容体、抗原や抗原決定基に対する抗体、非タンパク質性リガンド等のレセプター等を挙げることができる。
上記生体構造認識部位としてはどのようなものを採用してもよい。具体的には、本発明にかかる中空ナノ粒子の用途、すなわち標的となる細胞または組織に特異的な構造を認識するものを適宜選択すればよい。換言すれば、上記生体構造認識部位は、標的となる細胞または組織に特異的な構造を認識する標的構造認識部位となっていればよい。
具体的な例としては、標的となる細胞または組織(あるいは器官)が肝臓である場合、上記HBVのPre−S領域を採用すればよい。また、標的がウィルス感染細胞である場合には、抗ウィルス性タンパク質抗体を選択すればよい。また、抗ウイルス性タンパク質抗体を提示させた場合は、本発明にかかる中空ナノ粒子をウィルス感染細胞の除去に利用することができる。
さらに、標的となる細胞が癌細胞である場合には、様々な生体構造認識部位を採用することができる。例えば、癌特異的抗体や癌細胞に特異的に現れるEGF受容体等が挙げられる。これらを提示した中空ナノ粒子に、癌を治療するための物質(薬剤や遺伝子等)を包含させることにより、癌細胞に対して特異的かつ効果的に作用する有効な治療薬となる。
癌細胞に特異的に現れるEGF受容体としては、標的となる細胞がヒト扁平上皮癌由来細胞である場合には、上記上皮増殖因子の一種であるベータセルリン(BTC:Betacellulin)を選択することができる。このベータセルリンは、上皮細胞上の上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)と高い親和性を有する。そのため、これを粒子表面に提示した中空ナノ粒子は、EGFR過剰発現細胞であるヒト扁平上皮癌由来細胞に対して認識能をもつことが可能となる。
さらに、本発明における生体構造認識部位は、タグ配列とリガンドとを組み合わせてなるものであってもよい。具体的には、例えば、後述する実施例5で用いているFLAG−BTC−His−tagや、実施例10で用いているFLAG−ZZ−His−tag等を挙げることができる。特に、FLAG−ZZ−His−tagのように、ZZタグを介した場合、各種の「抗体」または「抗体Fc領域とリガンドタンパク質との融合タンパク質」を生体構造認識部位として中空ナノ粒子表面に提示することができる。
<本発明における生体構造認識部位の提示>
本発明にかかる中空ナノ粒子は、上記粒子形成能を有するタンパク質(説明の便宜上、粒子形成タンパク質と称する場合がある)のアミノ末端およびカルボキシル末端の双方に、上記生体構造認識部位が設けられており、それぞれの生体構造認識部位が認識する生体由来の化学構造は異なっている。すなわち、本発明では、粒子形成タンパク質の両末端に設けられている生体構造認識部位は、それぞれ異なるペプチド分子となっている。
図1は、本発明にかかる中空ナノ粒子を示す模式図である。図1に示すように、中空ナノ粒子は、真核細胞由来の脂質二重膜に複数の粒子形成タンパク質2が埋め込まれた構造を有している。埋め込まれた状態は、脂質二重膜に粒子形成タンパク質2が複数回貫通した状態となっており、少なくともそのアミノ末端(N末端)に生体構造認識部位3が設けられている。これによって、生体構造認識部位3は中空ナノ粒子の表面に提示されることになる。
ここで、粒子形成タンパク質2として、上記HBsAgのLタンパク質を用いた場合を例に挙げると、N末端側の生体構造認識部位3としてはHBVの肝細胞認識部位をそのまま用いることができる。すなわち、本発明では、上記粒子形成タンパク質が、ウィルス由来の表面抗原タンパク質であれば、当該表面抗原タンパク質の末端部に存在する宿主細胞認識構造を上記標的構造認識部位として用いることができる。
本発明では、さらに、C末端側に、他の生体構造認識部位1を設けることで、複数の生体構造認識部位を提示する中空ナノ粒子としている。
従来の中空ナノ粒子は生体構造認識部位をN末端側に1つしか有していなかった。そのため、組織や細胞側の受容体数が少ない場合、N末端に導入した生体構造認識部位が何らかの物質で阻害された場合、さらには、他の分子と競合して受容体認識に支障がある場合等には、中空ナノ粒子を標的となる細胞や組織に効率的に送達することが困難となっていた。これに対して、本発明では、それぞれ異なる生体構造認識部位1・3を有しているため、上記各場合にも十分に対応することが可能となり、従来よりも標的に対する認識率をより高くすることが可能となる。
ここで、本発明では、上記生体構造認識部位の少なくとも一方、好ましくは双方とも、標的となる細胞または組織に特異的な構造を認識する標的構造認識部位となっていればよいが、さらに、上記生体構造認識部位の何れか一方は、中空ナノ粒子そのものを特異的に認識するための識別部位として機能することがより好ましい。この識別部位となる生体構造認識部位としては、上記タグ配列等の抗原決定基および/または細胞増殖因子等のリガンドを挙げることができる。
例えば、C末端側の生体構造認識部位1を上述したタグ配列とすれば、固相化した抗タグ抗体を用いることにより、アフィニティー精製による精製が可能となる。それゆえ、N末端側の生体構造認識部位3が標的構造認識部位であるので、特定の細胞または組織へ中空ナノ粒子を効率的に送達できる上に、中空ナノ粒子の精製が簡便になる。その結果、本発明にかかる中空ナノ粒子の実用性をより一層高めることができる。
また、タグ配列とリガンドとを組み合わせたものをC末端側の生体構造認識部位1として用いれば、標的構造認識部位と識別部位とを確実に兼用することができる。それゆえ、標的となる細胞や組織への効率的な送達をより十分なものとすることができる。さらに、タンパク質に対する翻訳後修飾を利用することにより、非ペプチド分子である生体構造認識部位を粒子形成タンパク質2に導入しても良い。これにより、標的となる細胞や組織への送達の効率をより一層十分なものとすることができる。
なお、本発明にかかる中空ナノ粒子において、上記HBV等のウィルス由来の表面抗原タンパク質を用いた場合、当該ウィルス由来の宿主細胞認識構造を上記標的構造認識部位として用いる必要はなく、前述した他の生体構造認識部位に置換することもできる。例えば、HBVの肝細胞認識部位を他の標的認識部位に改変してもよい。この場合、HBV由来の表面抗原タンパク質HBsAgのLタンパク質は、本来有している肝細胞認識部位を欠くことになるが、N末端側に他の標的構造認識部位を導入するか、C末端側に標的構造認識部位を導入することで、肝細胞以外の任意の細胞または組織に特異的に物質を運搬、導入することが可能となる。
(2)本発明にかかる中空ナノ粒子の生産方法
本発明にかかる中空ナノ粒子は、上記粒子形成タンパク質をコードする遺伝子と、上記生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドとをつなげたキメラ遺伝子を構築し、これを真核細胞に導入して発現させることにより生産することができる。真核細胞内で粒子形成タンパク質を生産させることにより、同タンパク質は、小胞体膜上に膜タンパク質として発現、蓄積され、中空ナノ粒子として放出(分泌)される。本発明で用いられる真核細胞は特に限定されるものではないが、酵母、昆虫細胞または動物細胞の何れかを挙げることができる。
上記キメラ遺伝子の構築方法は特に限定されるものではなく、公知の遺伝子組換え技術を用いればよい。具体的には、例えば、上記粒子形成タンパク質をコードする遺伝子として、ウィルス由来の表面抗原タンパク質をコードする遺伝子を用いるときには、当該遺伝子における、表面抗原タンパク質のカルボキシル末端側となる側に、生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドをつなげてキメラ遺伝子を構築し、これを発現ベクターとすればよい。発現ベクターに含まれるプロモーター等の各種DNAセグメントについては特に限定されるものではなく、宿主となる真核細胞の種類に応じて適宜選択すればよい。
このとき用いられる粒子形成タンパク質をコードする遺伝子としては、本発明では、配列番号1に示される塩基配列を有するものを好適に用いることができる。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、粒子形成能を有していれば、変異遺伝子であってもよいし、配列番号1に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする相同遺伝子であってもよい。なお、上記「ストリンジェントな条件」とは、少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性が配列間に存在するときにのみハイブリダイゼーションが起こることを意味する。
上記生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドについても特に限定されるものではなく、生体構造認識部位として用いることのできる上記ウィルス由来の宿主細胞認識構造、抗原決定基、リガンド等のペプチド分子をコードする遺伝子等を好適に用いることができる(例えば、後述する各実施例参照)。
ここで、粒子形成タンパク質に生体構造認識部位を導入する場合、粒子形成タンパク質の末端側のアミノ酸配列を置換するようにキメラ遺伝子を設計すると好ましい。換言すれば、上記キメラ遺伝子は、上記粒子形成能を有するタンパク質の末端側のアミノ酸配列を、生体構造認識部位に置換するように構築されていると好ましい。これにより、不必要なアミノ酸配列を排除することが可能となるので、中空ナノ粒子の表面に生体構造認識部位を確実に提示することができる。なお、生体構造認識部位を導入する場合に、粒子形成タンパク質の末端側のアミノ酸配列を置換する場合でも、置換せず付加する場合でも、任意のアミノ酸残基数からなるスペーサー配列を設けてもよい。これにより効率的な置換または付加が可能となる。
本発明にかかる中空ナノ粒子の生産方法では、真核細胞内で上記キメラ遺伝子を発現させることにより、真核細胞から中空ナノ粒子が放出されるが、さらに、生体構造認識部位に含まれる識別部位となる構造に応じて、当該識別部位により認識される化学構造を有する物質(担体)を固相化し、これを用いて、中空ナノ粒子を精製する。これにより効率的な精製が可能となる。このとき用いられる担体としては特に限定されるものではなく、公知のものを好適に用いることができる。同様に精製方法も特に限定されるものではなく、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法を好適に用いることができる。
(3)本発明にかかる中空ナノ粒子の利用
<薬剤としての利用>
本発明にかかる中空ナノ粒子は、内部に細胞導入物質を封入することで各種薬剤として好適に用いることができる。すなわち、本発明にかかる中空ナノ粒子は、遺伝子や薬物を疾患部位特異的に送達するナノカプセルとして応用することができる。これによって、中空ナノ粒子に封入した遺伝子や薬物を、標的となる疾患細胞あるいは疾患組織に効率的に送達することができるだけでなく、生体構造認識部位をそれぞれ変えることによって、異なる細胞や組織に対してそれぞれ遺伝子や薬物を同時に送達することも可能になる。また、遺伝子の場合には、各種形質転換等の遺伝子導入法に本発明を利用できるだけでなく、遺伝子治療等にも利用することができる。
このとき用いられる細胞導入物質としては、特に限定されるものではないが、遺伝子または薬理作用を有する化合物であればよい。より具体的には、例えばDNA、RNAなどの遺伝子・オリゴヌクレオチド;天然あるいは合成タンパク質・ペプチド;天然または合成化合物等の薬物;等を挙げることができる。
より具体的には、すでに発明者らにより報告されたヒトRNase1(Jinno H,Ueda M,Ozawa S,Ikeda T,Enomoto K,Psarras K,Kitajima M,Yamada H,Seno M Life Sci.1996;58(21):1901−8)またはRNase3(別名ECP:eosinophil cationic protein;Mallorqui−Fernandez G,Pous J,Peracaula R,Aymami J,Maeda T,Tada H,Yamada H,Seno M,de Llorens R,Gomis−Ruth FX,Coll M;J Mol Biol.2000 Jul 28;300(5):1297−307.)等が適用される。これらのタンパク質は、細胞内外で作用し細胞傷害活性を有するものであるが、これらのRNaseを本発明の物質運搬体(薬剤)に内包させて運搬することにより、細胞外では無毒化する一方、細胞内だけで作用させることができるので、より副作用の少ない新しい癌治療方法として期待される。
他にも、癌抑制遺伝子類(p53等)、インターフェロン類、インターロイキン類、サイトカイン類、コロニー刺激因子類、腫瘍壊死因子類、トランスフォーミング増殖因子β類、血小板由来増殖因子類、エリスロポイエチン類、Fas抗原類などのタンパク質あるいは当該タンパク質をコードする遺伝子も挙げることができる。
<薬剤の製造方法>
本発明にかかる薬剤の製造方法、すなわち上記細胞導入物質を上記の中空ナノ粒子に封入する方法は特に限定されるものではなく、公知の化学的、分子生物学的実験手法で用いられる様々な方法が適用される。たとえば、エレクトロポレーション法、超音波法、単純拡散法、あるいは電荷を有する脂質を用いる方法等を挙げることができる。
また、細胞導入物質としてタンパク質を用いる場合は、粒子形成タンパク質に細胞導入物質を融合させて粒子形成する方法もある。粒子形成タンパク質に細胞導入物質を融合させる方法とは、例えば、B型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質をコードする遺伝子と、上記タンパク質薬剤をコードする遺伝子とがインフレームで連結されたプラスミドを構築し、このプラスミドを用いて真核細胞に粒子を形成させる。これによって、B型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質にタンパク質薬剤が融合した薬剤を製造することができる。
<その他の利用>
本発明にかかる中空ナノ粒子は、薬剤とした場合には、これを用いて疾患の治療方法に利用することができる。上記薬剤を静脈注射などによって体内に投与すれば、当該粒子は体内を循環し、粒子表面に提示した肝細胞特異的レセプターおよび表面に提示された認識部位により肝細胞に導かれ、感染する。そして、細胞導入物質が肝細胞中に送り込まれ、細胞導入物質の肝臓組織特異的な導入が行われる。なお、薬剤の投与方法としては、静脈注射による投与のほかに、経口投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与等が挙げられる。
このように、本発明の薬剤を用いれば、in vivoあるいはin vitroで細胞、または組織に特異的に物質を導入することができ、特定細胞または組織に物質を導入することを各種疾患の治療法あるいは治療法の1ステップとして行うことも可能になるのである。
また、薬剤以外にも、各種実験用試薬類やキット類として利用することができる。例えば、遺伝子導入法(形質転換法)に利用することで、より効率的な遺伝子導入が可能となる。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
以下の実施例において、HBsAgとは、HBVの外被タンパク質であるB型肝炎ウィルス表面抗原(Hepatitis B virus surface Antigen)を示す。HBsAgは、226個のアミノ酸から構成されるSタンパク質を含んでいる。Sタンパク質のN末端側に55アミノ酸(pre−S2 peptide)が付加したものがMタンパク質、Mタンパク質のN末端側に、108もしくは119アミノ酸(pre−S1 peptide)が付加したものがLタンパク質である。
HBsAg Lタンパク質の上記Pre−S領域(pre−S1,pre−S2)は、HBVが肝細胞に結合する際に、それぞれ重要な役割を担うことが知られている。pre−S1は、肝細胞に直接結合する部位を持ち、pre−S2は、血中の重合アルブミンを介して肝細胞に結合する重合アルブミンレセプターである。
真核細胞でHBsAg Lタンパク質を発現させると、同タンパク質は、小胞体膜上に膜タンパク質として発現、蓄積される。HBsAgのLタンパク質は、分子間で凝集を起こし、小胞体膜を取り込みながら、出芽様式でルーメン側に粒子として放出され、動物細胞を宿主とした場合には、最終的には培養上清中へ放出される。
以下の実施例では、HBsAgのLタンパク質を用いた。
〔実施例1:C末端に抗原となる各種のタグ配列を融合したHBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築〕
(1)C末端にストレプタグII(Strep−tagII)配列を融合したHBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築
発明者らによってJ.Biol.Chem.,Vol.267,No.3,1953−1961,1992にて報告された酵母用HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpGLDLIIP39−RcTを制限酵素XhoIを用いて切断し、さらにT4 DNA polymerase処理により末端平滑化したのち、HBsAg Lタンパク質をコードする遺伝子断片を得た。一方、動物細胞用発現プラスミドpTB1455(J.Biotechnol.,Vol.33:,No.2,157−174,1994に記載)を制限酵素EcoRIで切断し、さらにKlenow DNA polymerase処理により末端平滑化した。その後、末端平滑化したpTB1455のSRα’プロモーターの下流に上述したHBsAg Lタンパク質をコードする遺伝子断片を組み込んで、動物細胞用HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0441を得た。pB0441がコードするHBsAg Lタンパク質の塩基配列は配列番号1に示され、アミノ酸配列は配列番号2に示されている。
上記動物細胞用HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0441の終止コドンを、Ser残基をコードする塩基配列に置換するために、また同時に制限酵素SacIサイトを挿入するために、pB0441を鋳型として、PCR法に基づく部位特異的変異導入操作をQuickChangeTM Site−directed Mutagenesis Kit(Strategene社)を用いてプライマーには配列番号3および4の合成オリゴヌクレオチドを用いた。具体的には反応液50μl中に鋳型DNA 50nmol、合成DNAプライマー(配列番号3および4の変異導入プライマー)各15pmol、dATP 40nmol、dCTP 40nmol、dGTP 40nmol、dTTP 40nmol、Pfu turbo DNA polymerase 2.5U、10mM KCl、10mM(NH4)2SO2、20mM Tris−HCl(pH8.75)、2mM MgSO4、0.1% Triton(登録商標)X−100、100μg/ml BSA中で、95℃30秒加熱後、95℃30秒の変性、45℃1分のアニーリング、68℃20分の合成反応を18サイクル行った。その後、制限酵素DpnI(10,000U/ml)を1μl加えて37℃で1時間処理し、大腸菌XL−1 Blueを形質転換し、得られたコロニーからプラスミドDNAを抽出し、制限酵素地図および塩基配列により、目的の変異が導入されているプラスミドDNA(以下、pB0611とする)を選抜した。
次に、Strep−tagII配列をコードする合成オリゴヌクレオチド(配列番号5とこれに相補的な配列番号6、EcoRVサイト挿入)の末端をT4ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したのち、アニーリングし、上記pB0611を制限酵素SacIで切断したものに挿入することにより、C末端にStrep−tagII配列が融合されたHBsAg Lタンパク質(以下、C−4−Strepとする)発現プラスミドpB0647を構築した。
ここで、Strep−tagIIとは、ストレプトアビジンに対してビオチンの様に高い親和性で結合するペプチドであり、N末端から順にWSHPQFEKのアミノ酸配列からなる。なお、C−4−Strepは、HBsAg Lタンパク質のC末端とStrep−tagIIとの間に4アミノ酸残基からなるスペーサー配列(SSSA)を有している。Strep−tagII融合HBsAg Lタンパク質の名称と、これを発現するプラスミドDNAの名称と、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列を表1(A)に示す。
Figure 2005049824
(2)C末端にHAタグ(HA−tag)配列を融合したHBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築
まず、HA−tag配列をコードする合成オリゴヌクレオチド(配列番号7とこれに相補的な配列番号8)の末端をT4ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したのちアニーリングさせた。その後、上記C末端Strep−tagII融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0647を制限酵素SacIとEcoRVとで切断してStrep−tagII配列を除去したのちに、上記合成オリゴヌクレオチドを挿入することによりC末端にHA−tag配列が融合されたC末端HA−tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0710が構築された。なお、このC末端HA−tag配列融合HBsAg Lタンパク質は、HBsAg Lタンパク質のC末端とHA−tag配列との間に7アミノ酸残基からなるスペーサー配列(SSSGGSS)を有している。HA−tag融合HBsAg Lタンパク質の名称と、これを発現するプラスミドDNAの名称と、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(A)に示す。
ここで、HA−tagとは、N末端よりYPYDVPDYAの配列を有するエピトープペプチドで、市販の抗HA抗体(例えば、Roche Diagnostics社)と高い親和性で結合する。
(3)C末端にHisタグ(His−tag)配列を融合したHBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築
まず、His−tag配列をコードする合成オリゴヌクレオチド(配列番号9とこれに相補的な配列番号10)の末端をT4ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したのちアニーリングさせた。その後、上記C末端Strep−tagII融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0647のStrep−tagII配列領域を除去し、上記合成オリゴヌクレオチドを挿入することによりC末端にHis−tag配列が融合されたC末端His−tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドが構築された。なお、このC末端His−tag配列融合HBsAg Lタンパク質は、HBsAg Lタンパク質のC末端とHis−tag配列との間に7アミノ酸残基からなるスペーサー配列(SSSGGSS)を有している。His−tag融合HBsAg Lタンパク質の名称と、これを発現するプラスミドDNAの名称と、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(A)に示す。
ここで、His−tagとは、His残基が6個連続した配列(HHHHHH)を有するペプチドで、ニッケルやコバルトなどの金属イオンにキレートする能力をもつ。His−tag配列を付加することにより、HBsAg Lタンパク質を金属キレートカラムによってアフィニティー精製することが可能となる。
(4)C末端にFLAGタグ(FLAG−tag)配列を融合したHBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築
まず、FLAG−tag配列をコードする合成オリゴヌクレオチド(配列番号11とこれに相補的な配列番号12)の末端をT4ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したのちアニーリングさせた。その後、上記C末端Strep−tagII融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0647のStrep−tagII配列領域を除去し、上記合成オリゴヌクレオチドを挿入することによりC末端にFLAG−tag配列が融合されたC末端FLAG−tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドが構築された。なお、このC末端FLAG−tag配列融合HBsAg Lタンパク質は、HBsAg Lタンパク質のC末端とFLAG−tag配列との間に、7アミノ酸残基からなるスペーサー配列(SSSGGSS)を有している。FLAG−tag融合HBsAg Lタンパク質の名称と、これを発現するプラスミドDNAの名称と、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(A)に示す。
ここで、FLAG−tagとは、N末端よりDYKDDDDKの配列を有するペプチドで、市販の抗FLAG抗体(Sigma社)と高い親和性で結合する。
〔実施例2:スペーサー配列の長さの異なるC末端FLAG−tag融合HBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築〕
HBsAg Lタンパク質のC末端とFLAG−tag配列との間のスペーサー配列の長さの異なる、4種類のC末端FLAG−tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドを構築した。
具体的には、実施例1の(4)で構築したC末端にFLAG−tag配列が融合したHBsAg Lタンパク質(C−7−FLAG)発現プラスミドpB0747を制限酵素SacIとXhoIとで切断し、スペーサー配列をコードする配列番号13とこれに相補的な配列番号14の合成オリゴマー、配列番号15とこれに相補的な配列番号16の合成オリゴマー、配列番号17とこれに相補的な配列番号18の合成オリゴマー、あるいはスペーサー中にスロンビン認識配列をコードする配列番号19とこれに相補的な配列番号20の合成オリゴマーの末端をT4ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したものを、各々挿入した。各々の長さのスペーサー配列をもつFLAG−tag融合HBsAg Lタンパク質の名称と、各発現プラスミドの名称と、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に挿入された配列とを表1(A)に示す。
またスペーサー配列が長く、スロンビン認識配列、FLAG−tag配列、His−tag配列を同時に有する融合HBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドも構築した。具体的には、上記で得られたスロンビン認識配列とFLAG−tag配列とを融合したHBsAg Lタンパク質(C−17(Trb)−FLAG)発現プラスミドpB0767を制限酵素EcoRVで切断し、これにHis−tag配列をコードする配列番号21とこれに相補的な配列番号22の合成オリゴマーの末端をT4ヌクレオチドキナーゼによりリン酸化したものを、挿入した。その結果得られたプラスミドpB0790がコードするC末端−tag部分の配列を表1(A)に示す。
〔実施例3:種々のC末端領域欠損体C末端にtag配列を融合したHBsAg Lタンパク質を発現するプラスミドの構築〕
(1)C末端領域25アミノ酸残基を欠失したHBsAg Lタンパク質のC末端にFLAG−tag配列あるいはHA−tag配列を融合した融合HBsAg Lタンパク質の発現プラスミドの構築
まず、実施例1で構築したC末端にFLAG−tag配列が融合したHBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0747、あるいはHA−tag配列が融合したHBsAg Lタンパク質発現プラスミドpB0710を鋳型として用い、配列番号23の合成オリゴヌクレオチドと配列番号24の合成オリゴヌクレオドとをプライマーとして用い、PCR法に基づく部位特異的変異導入法(QuickChangeTM Site−directed Mutagenesis Kit(Strategene社))を用いて、欠損させたい部分の前(具体的にはSタンパク質領域のW201の後ろ)に制限酵素SacIサイトを挿入した。反応液50μl中に鋳型DNA 50nmol、合成DNAプライマー(配列番号23および24の変異導入プライマー)各15pmol、dATP 40nmol、dCTP 40nmol、dGTP 40nmol、dTTP 40nmol、Pfu turbo DNA polymerase 2.5U、10mM KCl、10mM(NH4)2SO2、20mM Tris−HCl(pH8.75)、2mM MgSO4、0.1% Triton(登録商標)X−100、100μg/ml BSA中で、95℃30秒加熱後、95℃30秒の変性、45℃または55℃1分のアニーリング、68℃20分の合成反応を18サイクル行った。その後、制限酵素DpnI(10,000U/ml)を1μl加えて37℃で1時間処理し、大腸菌XL−1 Blueを形質転換し、得られたコロニーからプラスミドDNAを抽出し、2ヶ所のSacIサイトを有するプラスミドDNAを選抜した。鋳型として用いたpB0747とpB0710とはそのC末端部にSacIサイトを有しており、今回の変異で第2のSacIサイトが挿入されたことになる。塩基配列を確認したのち、得られたプラスミドDNAを制限酵素SacIで切断し、ライゲーション反応を行うことによりSacIサイトに挟まれた部分(HBsAg Lタンパク質のC末端領域25アミノ酸残基)を欠失したFLAG−tag融合したHBsAg Lタンパク質(Δ25−6−FLAG)発現プラスミドpB0748、および、HA−tag融合したHBsAg Lタンパク質(Δ25−6−HA)発現プラスミドpB0744を構築した。得られた各tag融合タンパク質の名称、プラスミドの名称、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(B)に示す。
(2)C末端領域54アミノ酸残基を欠失したHBsAg Lタンパク質のC末端にFLAG−tag配列あるいはHA−tag配列を融合した融合HBsAg Lタンパク質の発現プラスミドの構築
pB0747あるいはpB0710を鋳型プラスミドDNAとして用い、変異導入用プライマーとして、配列番号25の合成オリゴヌクレオチドと配列番号26の合成オリゴヌクレオチドを用いて、実施例3(1)と同様の操作を行うことにより、HBsAg Lタンパク質のC末端領域54アミノ酸残基を欠失したFLAG−tag融合HBsAg Lタンパク質(Δ54−6−FLAG)発現プラスミドpB0749、HA−tag融合HBsAg Lタンパク質(Δ54−6−HA)発現プラスミドpB0745を構築した。得られた各tag融合タンパク質の名称、プラスミドの名称、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(B)に示す。
(3)C末端領域130アミノ酸残基を欠失したHBsAg Lタンパク質のC末端にFLAG−tag配列あるいはHA−tag配列を融合した融合HBsAg Lタンパク質の発現プラスミドの構築
pB0747あるいはpB0710を鋳型プラスミドDNAとして用い、変異導入用プライマーとして、配列番号27の合成オリゴヌクレオチドと配列番号28の合成オリゴヌクレオチドを用いて、上記(1)と同様の操作を行うことにより、HBsAg Lタンパク質のC末端領域130アミノ酸残基を欠失したFLAG−tag融合したHBsAg Lタンパク質(Δ130−6−FLAG)発現プラスミドpB0750、HA−tag融合したHBsAg Lタンパク質(Δ130−6−HA)発現プラスミドpB0746を構築した。得られた各tag融合タンパク質の名称、プラスミドの名称、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(B)に示す。
(4)その他のC末端領域アミノ酸残基を欠失したHBsAg Lタンパク質のC末端にFLAG−tag配列を融合した融合HBsAg Lタンパク質の発現プラスミドの構築
上記(1)と同様の操作を行うことにより、HBsAg Lタンパク質のC末端領域がそれぞれ11アミノ酸残基(変異導入用プライマー:配列番号29および30)、33アミノ酸残基(変異導入用プライマー:配列番号31および32)、45アミノ酸残基(変異導入用プライマー:配列番号33および34)、58アミノ酸残基(変異導入用プライマー:配列番号35および36)、63アミノ酸残基(変異導入用プライマー:配列番号37および38)を欠失したFLAG−tag融合したHBsAg Lタンパク質(Δ11−6−FLAG)発現プラスミドpB0792、pB0793(Δ33−6−FLAG)、pB0794(Δ45−6−FLAG)、pB0789(Δ58−6−FLAG)、pB0788(Δ63−6−FLAG)を構築した。得られた各tag融合タンパク質の名称、プラスミドの名称、HBsAg Lタンパク質のC末端に実際に融合した配列とを表1(B)に示す。
また、FLAG−tagとHis−tag配列が連続して融合されたHBsAg Lタンパク質発現プラスミドpBO790を鋳型に、配列番号25の合成オリゴヌクレオチドと配列番号26の合成オリゴヌクレオチドを変異導入プライマーに用いて、上記と同様の操作を行うことにより、C末端領域54アミノ酸欠失したC末端FLAG−His−tag融合HBsAg Lタンパク質(Δ54−17(Trb)−FLAG−His)発現プラスミドpB0791を作成した。
得られた各種のtag融合C末端欠失HBsAg L蛋白質の名称と、プラスミドの名称、C末端領域およびtag部分の配列を、表1(B)に示す。
〔実施例4:C末端に各種タグ配列を融合したHBsAg Lタンパク質のCOS7細胞による発現と粒子分泌の確認〕
(1)トランスフェクション試薬を用いたトランスフェクション
サル腎由来細胞株COS7は、ウシ胎児血清(FBS)5%を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で37℃、5%CO2下で培養した。COS7細胞を3×104cell/mlとなるようにウシ胎児血清(FBS)10%を含むDMEM培地に浮遊し、3.5cmディッシュへ1.5mlずつ播種して、37℃、5%CO2下で14〜15時間培養した。1.5mlチューブに、95μlのDMEM培地と4μlのトランスフェクション試薬FuGene6(Roche Diagnostics社)とを加えて混合したのち、上述した実施例1〜3でそれぞれ構築した各種C末端tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドDNA(1μg/μl溶液)を1μl加えて混合した。室温で15分間放置して複合体を形成させたのち、その全量を上記COS7細胞(3.5cmディッシュ)に添加した。37℃、5%CO2の条件下で14〜15時間培養したのち、培地を1.5mlの無血清培地CHO−SFM II(インビトロジェン社)に交換し、さらに3日間培養後、培養上清を回収した。同様に、10cmディッシュでトランスフェクションを行う場合は、COS7細胞を5×105cells/dishとなるように播種して、DMEM培地:FuGene6:プラスミドDNA=665μl:28μl:7μlの複合体を添加し、10mlの培養上清を回収した。
(2)C末端tag融合HBsAg L粒子分泌の検出
回収した培地90μlに1%FBSを含むダルベッコリン酸緩衝液(PBS)90μlを加えて、抗HBsAg抗体を用いた酵素免疫測定法であるIMX HBsAgアッセイシステム(ダイナボット社製)により、培養上清中に分泌されたHBs抗原を検出した。ここで、培養上清中にHBsAg抗原が検出された場合、HBsAg L粒子が形成されて分泌されたと判断し、これにより培養液中に各C末端tag融合HBsAg L粒子の存在を確認した。
図2(A)〜図2(C)は、実施例1および3でそれぞれ構築した各種C末端tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドを用いて、上記の方法によって検出した各C末端tag融合HBsAg L粒子分泌の結果を示したグラフである。各々の粒子分泌量は、野生型HBsAg Lタンパク質を100とした場合のHBs抗原当量の相対値(%)で示している。また、HBsAg L遺伝子を含まないプラスミドによる培養上清の結果を陰性対照(ネガティブ:図中mock)とした。図2(A)〜図2(C)に示すようにC−7−HA、Δ54−6−HA、Δ54−6−FLAG、Δ45−6−FLAGで野生型粒子の40%以上のHBsAg L粒子の分泌が見られたが、他のtag融合体の野生型粒子の10%程度と分泌が低かった。なお、各々の実験は3回以上行い、偏差値をバーで示してある。
次に、実施例2で構築したスペーサーの長さを変えた各種C末端tag融合HBsAg Lタンパク質発現プラスミドを用いた場合、図2(B)に示すように、C−7−FLAGが野生型粒子の10%程度であったのに対し、スペーサーの長いC−9−FLAG、C−13−FLAG、C−17−FLAGおよびC−17(Trb)−FLAGでは培養上清への分泌量が10%程度増加していることが、すなわち、野生型粒子の20%程度分泌していることが示された。
(3)C末端tag融合HBsAg L粒子の免疫沈降による検出
抗HBsマウスモノクローナル抗体による免疫沈降と、抗HBsマウスモノクローナル抗体あるいは抗tag抗体によるウェスタンブロット法(Western Blotting)を用いて、C末端tag融合HBsAg L粒子の分子量および分泌量を確認した。
回収した培養上清4mlにIMX HBsAgアッセイシステムの抗HBsマウスモノクローナル抗体固定化マイクロパーティクルを30μl加えて、ゆっくりチューブを回転させながら1晩、4℃においた。3分間卓上型高速遠心機を用いてマイクロパーティクルと共に培養上清中の粒子を沈降させ、得られた沈澱にTBST(10mM Tris−HCl緩衝液pH7.5,150mM NaCl,0.1% Tween20)を加えて懸濁し、さらに遠心を行って沈澱を回収する洗浄操作を5回くり返した。この沈殿を、還元条件下でSDS−PAGEをおこなった。還元条件下とは、上記沈殿をメルカプトエタノールを加えて95℃、5分間処理してからSDS−PAGEを行ったもので、システイン残基同士のジスルフィド結合は切断され、タンパク質はモノマーとして検出される。得られた電気泳動ゲル中のタンパク質をPVDF膜(Bio−rad社)に電気転写し、1次抗体にIMX HBsAgアッセイシステム(ダイナポット社)のヤギ抗HBsAg抗体・ビオチン結合体、2次抗体にアルカリホスファターゼ標識ウサギ抗ビオチン抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、培養上清中のHBsAg L粒子を検出した。アルカリホスファターゼ活性はCDP−starTM Chemiluminescent Substrate(NEB社)を用いて検出した(図3A)。その結果、図2(A)および図2(C)で示した培養上清中の分泌量測定結果と矛盾しない強さの各tag融合タンパク質のバンドが検出された。
次に、同じPVDF膜について、1次抗体に抗HA−tag抗体・ビオチン結合体(Anti−[HA]−biotin、Diagnostics社)あるいは抗FLAG−tag抗体・ビオチン結合体(Anti−FLAGR biotinylated M2 monoclonal antibody、Sigma社)を、2次抗体に西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)標識アビジン(Zymed社)を用いてリプロービングした。HRP活性は、Western LighteningTM Chemiluminescence Reagent Plus(Perkin Elmer Life Sciences社)で検出した(図3B)。
その結果、図3Aと同じ位置にバンドが検出されたことから、C末端にtag配列が融合したHBsAg Lタンパク質であることが確認された。
〔実施例5:各種C末端tag融合HBsAg L粒子表面へのtag配列提示の確認〕
C末端に融合したtag配列が粒子の表面に提示されていれば、抗tag抗体を用いた免疫沈降が可能となる。そこで、各種C末端tag融合HBsAg L粒子について、抗FLAG−tag抗体固定化ビーズあるいは抗HA−tag抗体固定化ビーズを用いた免疫沈降を行った。
具体的には、実施例4の(1)に記載した方法に従ってCOS7細胞に各発現プラスミドDNAをトランスフェクションして得られた培養上清4mlに抗FLAG−tag抗体固定化ビーズ(Anti−FLAGR M2 agarose affinity gel、Sigma社)(1:1懸濁液)あるいは抗HA−tag抗体固定化ビーズ(Monoclonal anti−HA agarose conjugate clone HA−7、Sigma社)(1:1懸濁液)を各々30μl加えて、ゆっくりチューブを回転させながら1晩、4℃においた。抗FLAG−tag抗体固定化ビーズは、予め10%ブロックエース(雪印乳業)を加えて4℃で30分以上処理したものを使用した。3分間卓上型高速遠心機を用いてビーズと共に培地中の粒子を沈降させ、得られた沈澱にTBST(10mM Tris−HCl緩衝液pH7.5,150mM NaCl,0.1% Tween20)を加えて懸濁し、さらに遠心を行って沈澱を回収する洗浄操作を5回くり返した。この沈殿を、実施例4の(3)と同様の方法で、還元条件下でSDS−PAGEを行い、1次抗体にIMX HBsAgアッセイシステム(ダイナポット社)のヤギ抗HBsAg抗体・ビオチン結合体、2次抗体にアルカリホスファターゼ標識ウサギ抗ビオチン抗体を用いたウェスタンブロッティングを行った(図4A)。次に、同じPVDF膜について、1次抗体に抗HA−tag抗体・ビオチン結合体(Anti−[HA]−biotin、Diagnostics社)あるいは抗FLAG−tag抗体・ビオチン結合体(Anti−FLAGR biotinylated M2 monoclonal antibody、Sigma社)を、2次抗体に西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)標識アビジン(Zymed社)を用いてリプロービングした。HRP活性は、Western LighteningTM Chemiluminescence Reagent Plus(Perkin Elmer Life Sciences社)で検出した(図4B)その結果、C−7−HA、Δ54−6−HA、Δ45−6−FLAG、Δ54−6−FLAG、Δ58−6−FLAGは、対応する抗tag抗体で免疫沈降されたことから、C末端tag融合HBsAg L粒子の表面にtag配列を提示していることが示された。
〔実施例6:C末端tag融合HBsAg L粒子のアフィニテフィークロマトグラフィーによる濃縮精製〕
粒子表面に提示されたタグ配列を利用することにより、抗タグ抗体によるアフィニテイークロマトグラフィーによる簡易精製および濃縮が可能となる。
(1)エレクトロポレーションによるtag融合HBsAg L粒子の大量発現
5%FBS−DMEM培地でCOS7細胞を培養しておき、80%コンフルエントに達した細胞を用意する。培地を新しいものに交換し、6〜8時間後にトリプシン処理して細胞を集め、1.5mlチューブ1本につき細胞が4×106個になるように分注し、遠心した。遠心条件は、30秒、1,2000rpmである。遠心後、上清を吸引除去し、エレクトロポレーション溶液(Ep medium:RPMI−1640+10mMグルコース+0.1mM DDT)を300μl加え細胞を懸濁した。この細胞懸濁液に、表1の各種C末端tag融合HBsAg L粒子発現プラスミド5μgを加え、キュベット(4mmギャップ)に移した。これに0.3KV、950μFの条件で電圧を印加(エレクトロポレーション)後、すぐに氷冷した。そして、キュベット内の細胞を15mlの培地に再懸濁し、10cmシャーレに播種した。37℃で14〜15時間培養した後、培地をシャーレ1枚につき無血清培地CHO−S−SFM II(GIBCO社)8mlに交換し、さらに2日間培養した。培養上清を回収した後、再びCHO−S−SFM IIを8ml添加し、さらに2日培養後の培養上清を集めた。数回分の培養上清を4℃で保存しておいた。
(2)抗FLAG−tag抗体固定化カラムによるアフィニテフィークロマトグラフィー
ベッドボリューム0.35mlとなるよう抗FLAG−tag抗体固定化ビーズ(Anti−FLAG M2 agarose Affinity gel,Sigma社)をカラムにつめて、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で平衡化した。上記で得られたΔ54−6−FLAGあるいはΔ45−6−FLAG発現培養上清10mlをこのカラムに通して粒子を吸着させた後、0.1Mリン酸buffer(pH3.5)を300μLづつ7回通して粒子を溶出した。溶出液はあらかじめ27μLの2Mリン酸buffer(pH8.0)を含むチューブに受けて分画した。培養上清およびカラム溶出液に含まれる粒子濃度は、IMXHBsAgアッセイシステムを用いて測定し、280nmの吸光度より全タンパク質濃度を概算した。その結果、抗FLAG−tag抗体固定化カラム精製により、4〜5倍濃縮された精製粒子を、回収率30〜40%の収率で得る事ができた。この結果を下記の表2にまとめた。いずれも場合も100倍以上精製された。
Figure 2005049824
(3)コバルトカラムによるアフィニテフィークロマトグラフィー
ベッドボリューム0.4mlとなるようTALON Co−レジン(CLONETECH社)をカラムにつめて、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、0.3M NaClで平衡化した。上記で得られたHis−tag付HBsAg L粒子発現培養上清50mlをこのカラムに通して粒子を吸着させた。約5mlの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、0.3M NaCl、5mMイミダゾールでカラムを洗浄した後、ゆっくりと50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、0.3M NaCl、150mMイミダゾールを通して粒子を溶出した。カラム溶出液に含まれる粒子濃度(HBsAg当量)をIMX HBsAgアッセイシステムを用いて測定したところ、150mMイミダゾール溶出液にHis−tag融合HBsAg L粒子が濃縮回収された。
(4)アフィニテフィー精製されたC末端tag融合HBsAg L粒子のヒト肝細胞特異的感染能
上記のアフィニテフィー精製されたC末端tag融合HBsAg L粒子では、N末端のPreS領域(ヒト肝細胞認識領域)が保存されているため、野生型HBsAg L粒子同様のヒト肝細胞特異的感染能を保持している。
上記でアフィニテフィー精製したC末端tag融合HBsAg L粒子をダルベッコPBSで平衡化したセファデックスG25(アマシャム)カラムに通して緩衝液を置換した。粒子(HBsAg濃度として10−500ng/ml)に最終濃度10mMとなるようにカルセイン(黄色蛍光物質、ドータイト社)を混合して液量を0.5mlとしたのち、エレクトロポレーション用チャンバーに入れ、エレクトロポレーション(条件:220V,950μF)により、カルセインを粒子内部に封入した。
あらかじめヒト肝癌由来細胞株HepG2、ヒト扁平上皮癌由来細胞株A431,およびハムスター由来CHO細胞を、各々8ウエルチャンバースライドに播種し、1日培養して70−80%コンフルエント状態の細胞を準備しておいた。これらの細胞に、上記で調製したカルセイン封入粒子を添加し、8〜16時間培養した。各ウェルを培地で2回洗浄して遊離のカルセイン除いた後、細胞に取り込まれたカルセインを共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、カルセインを封入したtag融合HBsAg L粒子では、野生型HBsAg L粒子に封入した場合と同様に、HepG2細胞へのカルセイン導入増強がみられたが、他の細胞では増強効果が見られなかった。
〔実施例7:C末端ベータセルリン(BTC)融合HBsAg Lタンパク質粒子を発現するプラスミドの作製〕
実施例2および実施例3に記載の、HBsAg Lタンパク質あるいはC末端領域欠損HBsAg Lタンパク質のC末端にスペーサーを介してtag配列を融合した粒子を発現するプラスミドに、さらにヒトBTC配列を融合することにより、BTCを粒子表面に提示するHBsAg Lタンパク粒子発現プラスミドを作成した。上記BTCとは、ヒト上皮細胞増殖因子(EGF)ファミリーに属する増殖因子で、細胞上のEGF受容体(EGFR)と高い親和性を有する。従って、C末端に融合されたBTCとEGFRとの結合を介したEGFR陽性細胞認識能が期待される。
具体的には、Growth Factors Vol.13,p181−191記載のヒトBTC配列をコードするプラスミド、pB041を鋳型として、NdeI配列を付加した配列番号39の合成オリゴヌクレオチドとPvuII配列を付加した配列番号40の合成オリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いたPCR反応を行って、BTCのEGFドメイン配列を含む遺伝子断片を増幅し、増幅DNAをpCRR2.1ベクター(Invitrogen社)にクローニングした。クローニングされた塩基配列を確認した後、BTC配列を含む遺伝子断片を制限酵素NdeIとPvuIIで切り出した。実施例2および実施例3で作成したpB0790あるいはpB0791を制限酵素NdeIとPvuIIとで切断し、上記のBTC遺伝子断片を各々挿入することにより、C末端BTC融合HBsAg L粒子発現用プラスミドを作成した。これらのプラスミドにおいて、HBsAg L蛋白質C末端に融合されたBTC配列を図5に示す。なお図中、HBsAg Lタンパク質との融合に使用したSacIサイトを波線で、ベータセルリン(EGFドメイン)配列挿入用に導入したNdeIサイトを点線、PvuIIサイトを二重下線で各々示した。またアミノ酸配列中、FLAG−tag配列をボールド、ZZ−tag配列を下線、His−tag配列をイタリックで示した。
〔実施例8:C末端BTC融合HBsAg Lタンパク質粒子の発現〕
実施例6(1)記載の方法を用いて、上記C末端BTC融合HBsAg L粒子発現用プラスミドをCOS7細胞にトランスフェクトし、その培養上清を回収した。この培養上清中の粒子量を、抗HBsAg抗体を用いたIMX HBsAgアッセイキットで測定した結果、培養上清への粒子分泌が確認された。
〔実施例9:C末端BTC融合HBsAg Lタンパク質粒子の二つの認識部位による感染能〕
C末端BTC融合HBsAg Lタンパク質粒子は、N末端のPreS領域(ヒト肝細胞認識領域)によるヒト肝細胞特異的感染能と同時に、新たに表面に提示されたBTCの特異性による感染能を有する。EGFRは多くの癌細胞に過剰発現されており、EGFRに結合するリガンドや抗体は肝癌細胞標的に用いられている。
上記で作製されたC末端BTC融合HBsAg L粒子(100−1000ng/ml)に最終濃度10mMとなるようにカルセインを混合したのち、エレクトロポレーション用チャンバーに入れ、エレクトロポレーション(条件:220V、950μF)により、カルセインを粒子内部に封入した。
あらかじめヒト肝癌由来細胞株HepG2(EGFRも陽性)、とEGFR過剰発現細胞であるヒト扁平上皮癌由来細胞株A431、およびEGFRがほとんど発現していないハムスター由来CHO細胞を、各々8ウェルチャンバースライドに播種し、1日培養しておいた。これらの細胞に上記で調製したカルセイン封入粒子を添加し、6〜16時間培養した。遊離のカルセインを培地で洗浄した後、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、カルセイン封入BTC融合HBsAg L粒子を用いることにより、HepG2細胞とA431細胞へのカルセイン導入増強がみられたが、CHO細胞では増強効果が見られなかった。
また、あらかじめ野生型HBsAg L粒子あるいはBTCタンパク質を各細胞に添加して4℃で30分インキュベートし、細胞上の受容体をブロックした。その後、カルセイン封入粒子を添加して、6時間培養後観察した。HepG2細胞にカルセイン封入野生型HBsAg L粒子を添加した場合には、野生型HBsAg L粒子前処理によりカルセイン導入が大きく低下したのに対し、カルセイン封入BTC融合HBsAg L粒子を添加した場合には、少し低下しただけだった。A431細胞へのカルセイン封入BTC融合HBsAg L粒子を添加した場合、野生型HBsAg L粒子前処理によるカルセイン導入能の低下は見られなかった。BTCタンパク質で各細胞を前処理した場合、カルセイン封入BTC融合HBsAg L粒子のA431細胞へのカルセイン導入はほぼ消失したが、HepG2細胞への導入能は少し低下しただけだった。野生型HBsAg L粒子とBTCタンパク質とで同時に前処理したHepG2細胞への導入能は、大きく低下した。ヒト肝癌細胞に対する二種の異なる認識部位(本実施例の場合、N末端部のPreSとC末端部のBTC)が相補的に働くことにより、より確実に標的細胞への感染を達成できることが示された。
〔実施例10:C末端ZZタグ(ZZ−tag)融合HBsAg Lタンパク質粒子を発現するプラスミドの作製〕
実施例3に記載の、HBsAg Lタンパク質C末端にスペーサーを介してtag配列を融合した粒子を発現するプラスミドに、さらにZZ−tag配列を融合することにより、ZZ−tag配列を粒子表面に提示するHBsAg Lタンパク粒子発現プラスミドを作成した。上記ZZ−tagとは、Staphyrococcus aureus由来ProteinAの「イムノグロブリンGのFc領域結合領域をコードするアミノ酸配列(ZZタグの配列:N末から、VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK
VDNKFNKEQQNAFYEILHLPNLNEEQRNAFIQSLKDDPSQSANLLAEAKKLNDAQAPK)」であり、ZZ−tag表面に提示した粒子ではこれを介することにより各種の「抗体」あるいは「抗体Fc領域とリガンドタンパク質との融合タンパク質」の粒子表面への提示が可能となる。
具体的には、ZZ−tag配列をコードするプラスミドpMWIZ1(Appl.Microbiol.Biotechnol.Vol.57,p.500−505,2001に記載)を鋳型として、NdeI配列を付加した配列番号41の合成オリゴヌクレオチドと、PvuII配列を付加した配列番号42の合成オリゴヌクレオチドとを、プライマーとして用いてPCR反応を行い、ZZ−tag配列を含む遺伝子断片を増幅し、増幅DNAをpCR(R)2.1ベクター(Invitrogen社)にクローニングした。クローニングされた塩基配列を確認した後、ZZ−tag配列を含む遺伝子断片を制限酵素NdeIとPvuIIで切り出した。実施例2および3で作成したpB0790あるいはpB0791を制限酵素NdeIとPvuIIとで切断し、上記のZZ−tag遺伝子断片を各々挿入することにより、C末端ZZ−tag融合HBsAg L粒子発現用プラスミドを作成した。これらのプラスミドにおいて、HBsAg L蛋白質領域に付加された配列を図6に示す。なお図中、HBsAg Lタンパク質との融合に使用したSacIサイトを波線で、ZZ−tag配列挿入用に導入したNdeIサイトを点線、PvuIIサイトを二重下線で各々示した。またアミノ酸配列中、FLAG−tag配列をボールド、ZZ−tag配列を下線、His−tag配列をイタリックで示した。
〔実施例11:C末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子の発現〕
実施例6(1)と同様に、上記C末端ZZ−tag融合HBsAg L粒子発現用プラスミドをCOS7細胞にトランスフェクトし、その培養上清を回収した。この培養上清中の粒子量を、抗HBsAg抗体を用いたIMX HBsAgアッセイキットで測定した結果、培養上清への粒子分泌が確認された。
〔実施例12:抗体提示ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子の二つの認識部位による感染能〕
ZZ−tag配列は、抗体分子のFc部分に対して高い親和性を有しており、例えば癌特異的抗体であるヒトEGF受容体(EGFR)に対するマウスモノクローナル抗体7G7B6等と特異的に結合することができる。そこで、上記C末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子と抗体とを結合させることにより、粒子表面に抗体を提示したC末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子を作成した。抗体を提示したC末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子は、N末端のPreS領域(ヒト肝細胞認識領域)によるヒト肝細胞特異的感染能と同時に、新たに表面に提示された抗体の特異性による感染能を有する。
(1)抗EGFR抗体提示粒子によるEGFR高発現細胞への感染
実施例11で作製されたC末端ZZ−tag融合HBsAg L粒子(50−1000ng/ml)に最終濃度1mMとなるようにカルセイン(黄色蛍光物質)を混合したのち、エレクトロポレーション用チャンバーに入れ、エレクトロポレーション(条件:220V、950μF)により、カルセインを粒子内部に封入した。カルセイン封入粒子に対し、等モル量のマウスモノクローナル抗体7G7B6を混合し、PBS中で約1時間反応させた。これにより粒子表面に抗EGFR抗体を提示し内部にカルセインを封入したC末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子が作製できた。
あらかじめヒト肝癌由来細胞株HepG2と、EGFR過剰発現細胞であるヒト扁平上皮癌由来細胞株A431と、EGFRがほとんど発現していないハムスター由来CHO細胞とを、各々8ウェルチャンバースライドに播種し、1日培養しておいた。これらの細胞に、上記で調製したカルセイン封入粒子を添加し、6〜16時間培養した。遊離のカルセインを培地で洗浄した後、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、カルセイン封入抗EGFR抗体提示C末端ZZ−tag融合HBsAg L粒子を用いることにより、HepG2細胞とA431細胞へのカルセイン導入増強がみられたが、CHO細胞では増強効果が見られなかった。
また、あらかじめ野生型HBsAg L粒子を各細胞に添加して、4℃30分インキュベートした後、カルセイン封入抗EGFR抗体提示融合HBsAg L粒子を添加した。さらに、6時間培養後観察したところ、野生型HBsAg L粒子で前処理したA431細胞への導入能は低下しなかったが、HepG2細胞に対するカルセイン導入は少し低下した。抗EGF抗体あるいはBTCタンパク質で各細胞を前処理した場合、A431細胞へのカルセイン導入は消失したが、HepG2細胞への導入能は少し低下しただけだった。野生型HBsAg L粒子とBTCタンパク質とで同時に前処理すると、HepG2細胞への導入能が大きく低下した。
(2)抗ヒトトランスフェリン抗体提示粒子によるTfR高発現細胞への感染
実施例11で作製されたC末端ZZ−tag融合HBsAg L粒子(50−1000ng/ml)に最終濃度1mMとなるようにカルセイン(黄色蛍光物質)を混合したのち、エレクトロポレーション用チャンバーに入れ、エレクトロポレーション(条件:220V、950μF)により、カルセインを粒子内部に封入した。カルセイン封入粒子に対し、等モル量のマウス抗ヒトトランスフェリンレセプター(CD71)抗体(クロ−ンDF1513、Ancell社等)を混合し、PBS中で約1時間反応させた。これにより粒子表面に抗TfR抗体を提示し内部にカルセインを封入したC末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子が作製できた。
あらかじめヒト肝癌由来細胞株HepG2とTfR過剰発現細胞であるヒト乳癌由来細胞株MCF7とヒトTfRを持たないマウス正常線維芽細胞Balb/C 3T3 A31細胞を、各々8ウエルチャンバースライドに播種し、1日培養しておいた。これらの細胞に上記で調製したカルセイン封入封入抗TfR抗体提示粒子を添加し、6〜16時間培養した。遊離のカルセインを培地で洗浄した後、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、カルセイン封入抗TfR抗体提示HBsAg L粒子を用いることにより、HepG2細胞とMCF7細胞へのカルセイン導入増強がみられたが、Balb/C 3T3 A31細胞へは認められなかった。
(3)抗ヒトCD40抗体提示粒子によるヒト肝癌細胞株の二重標的化
ヒト肝細胞ガン表面特異的抗原に対する抗体、例えば抗ヒトCD10抗体あるいは抗ヒトCD40抗体(BDファーミジェン社)は、HepG2細胞をはじめ多くのヒト肝細胞ガンに結合することが知られている。実施例12(1)と同様にして、粒子表面に抗ヒト肝細胞ガン抗体(抗CD40)を提示し内部にカルセインを封入したC末端ZZ−tag融合HBsAg Lタンパク質粒子を作製した。
あらかじめヒト肝癌由来細胞株HepG2(CD40陽性)とCD40陰性のヒト乳癌由来細胞株MCF7を、各々8ウエルチャンバースライドに播種し、1日培養しておいた。これらの細胞に上記で調製したカルセイン封入抗CD40抗体提示粒子を添加し、6〜16時間培養した。遊離のカルセインを培地で洗浄した後、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、カルセイン封入抗CD40抗体提示HBsAg L粒子を用いることにより、HepG2細胞へのカルセイン導入増強がみられたが、CD40抗原陰性の非肝細胞であるMCF7細胞への導入は認められなかった。
また、あらかじめ野生型HBsAg L粒子を各細胞に添加して、30分インキュベートした後、カルセイン封入抗CD40抗体提示HBsAg L粒子を添加した。さらに、6時間培養後観察したところ、野生型HBsAg L粒子で前処理したHepG2細胞に対するカルセイン導入は保たれていた。抗CD40抗体で前処理したHepG2細胞に対するカルセイン導入も保たれていた。抗CD40抗体と野生型HBsAg L粒子で同時に前処理したHepG2細胞に対するカルセイン導入は大きく低下した。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
以上のように、本発明は、中空ナノ粒子を標的となる細胞や組織に効率的に送達することができるとともに、その精製が簡便になり、薬剤等として用いた場合にその実用性をより一層高めることができる。
従って、本発明は、ドラッグデリバリーシステムに利用可能なナノカプセルとして、医療関連産業や医薬品関連産業野に利用できるだけでなく、各種試薬産業等にも利用することが可能となる。

Claims (23)

  1. 粒子形成能を有するタンパク質により形成され、生体由来の化学構造を認識する生体構造認識部位を表面に提示する中空ナノ粒子において、上記粒子形成能を有するタンパク質のアミノ末端およびカルボキシル末端の双方に、上記生体構造認識部位が設けられているとともに、それぞれの生体構造認識部位が認識する生体由来の化学構造は異なっていることを特徴とする中空ナノ粒子。
  2. 上記生体構造認識部位の少なくとも一方は、標的となる細胞または組織に特異的な構造を認識する標的構造認識部位であることを特徴とする請求項1に記載の中空ナノ粒子。
  3. 上記生体構造認識部位の何れか一方は、中空ナノ粒子そのものを特異的に認識するための識別部位として機能することを特徴とする請求項1または2に記載の中空ナノ粒子。
  4. 上記生体構造認識部位は、ウィルス由来の宿主細胞認識構造、抗原決定基、リガンド、リガンドの受容体の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の中空ナノ粒子。
  5. 上記ウィルス由来の宿主細胞認識構造が、B型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質における肝細胞認識部位であることを特徴とする請求項4に記載の中空ナノ粒子。
  6. 上記抗原決定基が、タグ配列であることを特徴とする請求項4に記載の中空ナノ粒子。
  7. 上記タグ配列が、Strep−tag II、His−tag、HA−tag、FLAG−tagの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項6に記載の中空ナノ粒子。
  8. 上記生体構造認識部位が、複数種類のタグ配列を組み合わせてなるものであることを特徴とする請求項6または7に記載の中空ナノ粒子。
  9. 上記リガンドが、細胞増殖因子またはZZ−tagであることを特徴とする請求項4に記載の中空ナノ粒子。
  10. 上記細胞増殖因子が、上皮増殖因子または繊維芽細胞増殖因子であることを特徴とする請求項9に記載の中空ナノ粒子。
  11. 上記生体構造認識部位が、タグ配列とリガンドとを組み合わせてなるものであることを特徴とする請求項6から10の何れか1項に記載の中空ナノ粒子。
  12. 上記粒子形成能を有するタンパク質が、ウィルス由来の表面抗原タンパク質であり、当該表面抗原タンパク質の末端部に存在する宿主細胞認識構造を上記標的構造認識部位として用いることを特徴とする請求項2ないし11の何れか1項に記載の中空ナノ粒子。
  13. 上記粒子形成能を有するタンパク質が、B型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質であることを特徴とする請求項12に記載の中空ナノ粒子。
  14. 上記抗原決定基および/またはリガンドが、中空ナノ粒子そのものを特異的に認識するための上記識別部位として設けられていることを特徴とする請求項6から13の何れか1項に記載の中空ナノ粒子。
  15. 上記生体構造認識部位は、粒子形成能を有するタンパク質の末端側のアミノ酸配列を置換または付加することにより、当該タンパク質に導入されていることを特徴とする請求項1ないし14の何れか1項に記載の中空ナノ粒子。
  16. 少なくとも粒子形成能を有するタンパク質により形成され、生体由来の化学構造を認識する生体構造認識部位を表面に提示する中空ナノ粒子の生産方法において、当該中空ナノ粒子が、上記粒子形成能を有するタンパク質のアミノ末端およびカルボキシル末端の双方に、上記生体構造認識部位が設けられており、かつ、各生体構造認識部位が認識する生体由来の化学構造は異なっているものであり、上記粒子形成能を有するタンパク質をコードする遺伝子と、上記生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドとをつなげたキメラ遺伝子を構築し、これを真核細胞に導入して発現させることを特徴とする中空ナノ粒子の生産方法。
  17. 上記真核細胞は、酵母、昆虫細胞または動物細胞の何れかであることを特徴とする請求項16に記載の中空ナノ粒子の生産方法。
  18. 上記粒子形成能を有するタンパク質をコードする遺伝子として、ウィルス由来の表面抗原タンパク質をコードする遺伝子が用いられるとともに、当該遺伝子における、表面抗原タンパク質のカルボキシル末端側となる側に、生体構造認識部位をコードするポリヌクレオチドとをつなげることにより、上記キメラ遺伝子が構築されることを特徴とする請求項16または17に記載の中空ナノ粒子の生産方法。
  19. 上記キメラ遺伝子は、上記粒子形成能を有するタンパク質の末端側のアミノ酸配列を、生体構造認識部位に置換または付加するように構築されていることを特徴とする請求項16から18の何れか1項に記載の中空ナノ粒子の生産方法。
  20. さらに、上記識別部位により認識される化学構造を有する物質を担体として用いて、上記中空ナノ粒子を精製することを特徴とする請求項16から19の何れか1項に記載の中空ナノ粒子の生産方法。
  21. 請求項1から15の何れか1項に記載の中空ナノ粒子に細胞導入物質が封入されていることを特徴とする薬剤。
  22. 上記細胞導入物質が、遺伝子または薬理作用を有する化合物であることを特徴とする請求項21に記載の薬剤。
  23. 請求項21または22に記載の薬剤を用いる疾患の治療方法。
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