JPWO2005043676A1 - アンテナ装置 - Google Patents

アンテナ装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2005043676A1
JPWO2005043676A1 JP2005515142A JP2005515142A JPWO2005043676A1 JP WO2005043676 A1 JPWO2005043676 A1 JP WO2005043676A1 JP 2005515142 A JP2005515142 A JP 2005515142A JP 2005515142 A JP2005515142 A JP 2005515142A JP WO2005043676 A1 JPWO2005043676 A1 JP WO2005043676A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antenna
conductor
waveguide
ground conductor
rectangular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005515142A
Other languages
English (en)
Inventor
山本 温
山本  温
岩井 浩
岩井  浩
小川 晃一
晃一 小川
章太郎 西村
章太郎 西村
石原 広隆
広隆 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2005043676A1 publication Critical patent/JPWO2005043676A1/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q21/00Antenna arrays or systems
    • H01Q21/06Arrays of individually energised antenna units similarly polarised and spaced apart
    • H01Q21/20Arrays of individually energised antenna units similarly polarised and spaced apart the units being spaced along or adjacent to a curvilinear path
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q3/00Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system
    • H01Q3/24Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system varying the orientation by switching energy from one active radiating element to another, e.g. for beam switching
    • H01Q3/242Circumferential scanning
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q3/00Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system
    • H01Q3/24Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system varying the orientation by switching energy from one active radiating element to another, e.g. for beam switching
    • H01Q3/247Arrangements for changing or varying the orientation or the shape of the directional pattern of the waves radiated from an antenna or antenna system varying the orientation by switching energy from one active radiating element to another, e.g. for beam switching by switching different parts of a primary active element
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01QANTENNAS, i.e. RADIO AERIALS
    • H01Q9/00Electrically-short antennas having dimensions not more than twice the operating wavelength and consisting of conductive active radiating elements
    • H01Q9/04Resonant antennas
    • H01Q9/0407Substantially flat resonant element parallel to ground plane, e.g. patch antenna
    • H01Q9/0421Substantially flat resonant element parallel to ground plane, e.g. patch antenna with a shorting wall or a shorting pin at one end of the element

Landscapes

  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)

Abstract

並置された4個のアンテナ部701a乃至701dはそれぞれスイッチ702a乃至702dに接続され、スイッチ702a乃至702dを介して負荷インピーダンス素子703a乃至703dに接続され、もしくはスイッチ704を介して出力端子705及び比較器707に接続される。負荷インピーダンス素子703a乃至703dの他端は接地される。比較器704はアンテナ部701a乃至701dのうち最大の信号レベルの無線信号を受信したアンテナ部を判断し、コントローラ705は最大の信号レベルの無線通信信号を受信したアンテナ部を出力端子705に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するようにスイッチ702a乃至702d及びスイッチ704を制御する。

Description

本発明は、並置された複数のアンテナ部を備え、セクタパターンの主ビームを放射できるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置に関する。
従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置の一例が、例えば特許文献1において開示されている。当該従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置では、セクタ化三次元コーナリフレクタアンテナ装置において、当該装置を小型化するとともに、セクタ間のアンテナ特性を均一化したアンテナ装置を提供するために、セクタのそれぞれが、地板と、放射素子と、該放射素子の両側及び背面に設けられる反射板とから構成され、放射素子の両側の反射板は少なくともの1つのフィンを有することを特徴としている。ここで、好ましくは、地板と反射板とフィンは同一の金属で一体化して構成され、各セクタは円形に放射状に配置され、スイッチにより1つのセクタが選択される。フィンの数及び大きさは要求されるアンテナ特性に従って設計される。
従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置において、側面導体の長さを2λ(λは、送受信する電波の基準周波数f0の波長)、側面導体間のコーナ角を30°、側面導体と反射導体の高さを0.6λとしたときの試作アンテナの放射指向性が特許文献1の図2において開示されている。なお、この試作アンテナにおいて、導体フィンは2枚で、導体フィンの幅は0.2λでその長さは1λに設定され、放射素子の後ろの反射導体とアンテナ素子の間隔を0.4λとしている。このとき、水平面内放射指向性は、特許文献1の図2(a)から、3dBビーム幅36°のセクタパターンビームとなっている。一方、垂直面内放射指向性はその図2(b)からチルト角26°、3dBビーム幅34°となる。導体フィンがない場合、3dBビーム幅42°のセクタパターンビームとなり、導体フィンにより6°狭くなっていることがわかる。また、導体フィンがない場合の垂直面内放射指向性はチルト角26°、3dBビーム幅32°となる、導体フィンがある場合と同じである。
従って、特許文献1において開示された導体フィン付き三次元コーナリフレクタアンテナであるセクタパターンアンテナ装置では、導体フィンによる電磁界分布制御の効果により、垂直面内放射指向性の形状やチルト角をほとんど変えることなく、水平面内放射指向性のみビーム幅を鋭くすることができることが開示されている。以上説明したように、特許文献1記載のセクタパターンアンテナ装置によれば、簡単な構造で、所望の水平面指向性を持つ小型で優れたアンテナ装置を実現できる。
日本国特許出願公開平成9年135115号公報。
しかしながら、従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置においては、次のような問題点があった。上述のように、従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置は、アンテナ高(反射導体高)が0.6波長あり、薄型アンテナとは言えない。室内の天井等にアンテナを配置する場合は人目に付かないように小型で薄型の形状が望まれる。例えば、無線の周波数が900MHzである場合、0.6波長は198mmであり、アンテナ装置のカバーを考えると、少なくとも200mm以上の高さになる。従って、薄型の形状にすることのできないために、人目に付きやすいという問題点があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して低いアンテナ高を有し、小型・軽量であって、所望の一方向に非常に強い指向性のセクタパターンの主ビームを放射することができ、しかもその指向性を切り替えることができるアンテナ装置とそれを用いた無線通信装置を提供することにある。
本発明に係るアンテナ装置は、それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、
少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、
上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、各アンテナ部の主ビーム方向が互いに異なるように配置されたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、各アンテナ部の主ビーム方向が互いに直交するように配置されたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記制御手段は、上記各アンテナ部で受信された無線信号のうち最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部を上記無線通信機回路に接続するように制御することを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
また、上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする。
さらに、上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする。
またさらに、上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記側面導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
また、上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする。
さらに、上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする。
またさらに、上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記仕切壁導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする。
従って、第1の発明に係るアンテナ装置によれば、それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備える。従って、小形で薄型形状を維持するとともに簡単な構造で、電波を放射したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現でき、送受信したい所望方向に最大の放射利得を有する主ビームを設定するように制御できるアンテナ装置を実現できる。
また、第2の発明に係るアンテナ装置によれば、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置であって、上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信する。従って、小形軽量であってかつ薄型形状を有し、しかも、しかも簡単な構造であって、上記各導波管アンテナ部のアンテナ素子を切り替え、又は上記各アンテナ素子からの出力信号を制御して合成することにより、従来技術に比較してより強い主ビームを所望の無線信号方向に向けることができる。
さらに、上記各方形導波管にスロットを形成することにより、より大きな利得を有する主ビームを有する指向特性を実現できる。またさらに、上記各方形導波管を例えば直方体形状の筐体内に配置することができ、より小型で実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図1のアンテナ素子13aを含む導波管アンテナ部601aの詳細構成を示す斜視図である。 図2の導波管アンテナ部601aの電界分布を示す斜視図である。 図2の導波管アンテナ部601aの磁流分布を示す斜視図である。 図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を選択的に切り替えるためのスイッチの構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図6の導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 図6の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図6の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 図6のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図11の導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図11の導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 図11のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第5の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第5の変形例の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図20の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図20の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態の第6の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化させるための合成回路の一例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図25のアンテナ素子13aを含むスロット付き導波管アンテナ部602aの詳細構成を示す斜視図である。 図26のスロット付き導波管アンテナ部602aのXZ平面によって切断された断面図である。 図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの電界分布を示す斜視図である。 図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの磁流分布を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態の実施例に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図30のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 図26のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図26のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第3の実施形態に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の実施例に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図35の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の2.6GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図35の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の2.6GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第4の実施形態に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態の第1の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図39の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 図32の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の2.3GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図32の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の2.3GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第4の実施形態の第2の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図35の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 本発明の第5の実施形態であって、第1の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態であって、第2の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填されたスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第7の実施形態であって、第3の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第8の実施形態であって、第4の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第9の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第10の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。 本発明の第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。 本発明の第12の実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 図52のセクタパターンアンテナ装置の具体的構成例の外観を示す斜視図である。 図53のセクタパターンアンテナ装置の一部の外観を示す斜視図である。 図53のセクタパターンアンテナ装置の試作機の設計例を示す斜視図である。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その入力端反射係数の周波数特性を示すグラフである。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、そのアイソレーションの周波数特性を示すグラフである。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xcに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。 図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第2の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。 図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xc=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。 図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第3の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対するセクタパターンの半値幅を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第1の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第2の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第3の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第4の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第5の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第6の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
9…給電端子、
10a,10b,10c,10d,10e,10f,81a…接続点、
11…接地導体、
12a,12b,12c,12d…給電点、
13a,13b,13c,13d…アンテナ素子、
14a,14b,14c,14d…終端導体、
15a,15b,15c,15d,15e,15f…天井導体、
16a1,16a2,16b1,16b2,16c1,16c2,16d1,16d2…側面導体、
17…切り替えスイッチ、
18…受信信号電力判定部、
19a,19a−1,19b−1,19c−1,19d−1,19a−2…整合導体、
20a,20a−1,91,92…指向特性制御導体。
21…レドーム、
22a,22b,22c,22d…振幅調整回路、
23a,23b,23c,23d…移相器、
24…合成器、
25…アンテナコントローラ、
30a,30b,30c,30d…スロット、
31a,31b,31c,31d…仕切壁導体、
40…誘電体、
42…スルーホール、
42c…スルーホール導体、
90…無線通信機回路、
91…コントローラ、
92…無線送信回路、
93…無線受信回路、
94…サーキュレータ、
501a乃至501f,502a乃至502d,503a乃至503d,504a乃至504d…方形導波管、
601a乃至601f,602a乃至602d,603a乃至603d,604a乃至604d…導波管アンテナ部、
701a,701b,701c,701d…アンテナ部、
702a,702b,702c,702d,704…スイッチ、
702A…スイッチ装置、
703a,703b,703c,703d,703a1,703a2…負荷インピーダンス素子、
705…コントローラ、
706…出力端子、
707,707A,707B…比較器、
708…信号分配合成器、
711…接地導体、
712a,712b,712c,712d…給電点、
713a,713b,713c,713d…アンテナ素子、
714a,714b,714c,714d…整合導体、
715a,715b,715c,715d…天井導体、
716a,716b,716c,716d…スロット、
717a,717b,717c,717d…終端導体、
718a,718b,718c,718d…仕切壁導体、
801a,801b,801c,801d…方形導波管、
SW1,SW2,SW3,SW4…スイッチ、
T11,T12,T13,T14,T21,T22,T23,T24…端子。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。また、説明のために、各図に示す三次元のXYZ座標系を参照する。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
この導波管アレーアンテナ装置は、単一の接地導体11上に設けられ、4つの方形導波管501a,501b,501c,501dとアンテナ素子13a,13b,13c,13dにてそれぞれ構成される4つの導波管アンテナ部601a,601b,601c,601dを備える。これら4つの導波管アンテナ部601a乃至601dは、その放射指向特性の主ビームがそれぞれ異なる方向であって互いに直交する方向を向くように設けられているので、無線信号を送受信するアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えることによって、導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化できる。ここで、各方形導波管501a乃至501dは、接地導体11と、この接地導体11に対向する天井導体15a,15b,15c,15dと、接地導体11と天井導体15a乃至15dとを連結する側面導体(16a1,16a2),(16b1,16b2),(16c1,16c2),(16d1,16d2)とから構成され、終端導体14a,14b,14c,14dにより短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、各方形導波管501a乃至501dの開放された端部は、接地導体11上の正方形(図示せず。)の辺上に位置するように設けられ、各方形導波管501a乃至501dは接地導体11上のこの正方形の辺から外側に向かって延在する。
また、アンテナ素子13a乃至13dは、一端が天井導体15a乃至15dであって各方形導波管501a乃至501dの開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が接地導体11上に位置する給電部12a,12b,12c,12dに電気的に接続されている。さらに、各導波管アンテナ部601a乃至601dは、当該各導波管アンテナ部601a乃至601dを構成する各方形導波管501a乃至501dの開放された端部において所定の放射指向特性で無線信号を送受信する。各方形導波管501a乃至501dは接地導体11上に異なる向きであって互いに直交するように設けられているので、これら4つの導波管アンテナ部601a乃至601dの放射指向特性の主ビームはそれぞれ異なる方向であって互いに直交するように向き、ゆえに、無線信号を送受信する各アンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えることで導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化できる。
図2は、図1の導波管アレーアンテナ装置の一部であって、アンテナ素子13aを含む導波管アンテナ部601aの詳細構成を示す斜視図である。
図2において、導波管アンテナ部601aは、XY平面上に位置する底面の接地導体11と、当該導波管アレーアンテナ装置の上面にこの接地導体11に対向して配置された矩形形状の天井導体15aと、上記接地導体11及び上記天井導体15aをそれぞれ連結しかつ互いに対向する矩形形状の側面導体16a1及び16b2とにより形成された方形導波管501aを備える。上記方形導波管501aの一方の端部は、矩形形状の終端導体14aによって終端密閉されて短絡される一方、上記方形導波管501aの他方の端部は、終端導体で終端されていないので開放状態となっている(以下、当該端部を開放端という。)。ここで、これら接地導体11と側面導体16a1及び16b2と天井導体15aと終端導体14aとは、互いに機械的かつ電気的に接続されるように連結されて、X方向に平行な方向に無線信号を伝搬しかつ左端(すなわち−X方向の端部)が閉じられた略直方体形状の方形導波管501aを構成している。
次いで、天井導体15aの下面の右端近傍(すなわち+X方向の端部近傍)でありかつY方向の中心における接続点10a(この接続点13aから終端導体14cまでの長さは、終端導体14cから管内波長の1/4波長又はその奇数倍の長さに設定される。)に、導体線からなるアンテナ素子13aの一端が半田付けにより機械的及び電気的に接続される。一方、アンテナ素子13aは接続点10aから下方に向かって垂直に延在し、さらに、アンテナ素子13aの他端は、接地導体11上のX軸上に形成された円形孔において、接地導体11とは電気的に絶縁された給電点12aに接続される。当該給電点12aはさらに、例えば同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続され、また、同軸ケーブルの接地導体は接地導体11に電気的に接続される。これにより、無線通信機回路90から無線信号が同軸ケーブルを介して給電点12aに給電される。
この方形導波管501aのサイズは、放射しようとする無線信号の最低周波数に依存し、すなわち、当該最低周波数の無線信号を伝搬できるような方形導波管501aのサイズを有することが必要とされる。
さらに、アンテナ素子13b,13c及び13dを含む導波管アンテナ部601b,601c,601dも同様に構成される。図1の導波管アレーアンテナ装置において、アンテナ素子13a及び13cをそれぞれ含む各導波管アンテナ部601a,601cは、開放端を互いに対向させてX軸上に配置され、アンテナ素子13b及び13dをそれぞれ含む各導波管アンテナ部601b,601dは、開放端を互いに対向させてY軸上に配置される。このとき、各方形導波管501a乃至501dの開放端は、接地導体11上の正方形の対応する辺上に位置するように設けられる。従って、側面導体16a1及び16d2が方形導波管501a,501dの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。同様に、側面導体16a2及び16b1が方形導波管501a,501bの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。また、側面導体16b2及び16c1が方形導波管501b,501cの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。さらに、側面導体16c2及び16d1が方形導波管501c,501dの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。
ここで、天井導体15a乃至15dと終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と接地導体11にてなる筐体部で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、天井導体15a乃至15d、終端導体14a乃至14d、側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2、又は接地導体11に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部という。
本実施形態では、一例として、接地導体11と終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と天井導体15a乃至15dが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成されている場合を示している。
次に、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の動作を図1乃至図5を参照して説明する。
まず、アンテナ素子13aのみに給電されたときの本実施形態における導波管アレーアンテナ装置の動作原理を示す。図3は図2の導波管アンテナ部601aの電界分布を示す斜視図であり、図4は図2の導波管アンテナ部601aの磁流分布を示す斜視図である。
この導波管アンテナ部601aにおいて、電波の放射はアンテナ素子13aを励振することによって行われ、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101により電波は放射される。天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101の向きは図3のようになる。この電界101を磁流に置き換えて説明すると、図4のようにY軸と平行な線状磁流102に置き換えることができる。すなわち、電波の放射は、この磁流102による放射とも見ることができる。この磁流102の振幅はY方向の両端で零であってその中央部で最大値となるように正弦関数的に変化する。すなわち、この導波管アンテナ部601aは、Y軸と平行な線状磁流102のダイポールの指向特性を示す。このダイポールにより、XY平面とYZ平面で垂直偏波の双指向性を得て、ZX平面において無指向性を得る。
図2の導波管アンテナ部601aには磁流102のダイポールに対して−Z方向に接地導体11があり、これが反射板となる。このために電波は+Z方向に強く放射される。さらに、当該導波管アンテナ部601aには−X方向に終端導体14aがあり、これが反射板となるために、+X方向により強い指向性を示す。すなわち、当該導波管アンテナ部601aの構成により、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向により強い指向性が得られる。
従って、図1の導波管アレーアンテナ装置においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、各アンテナ素子13a乃至13dに接続され、給電するアンテナ素子を切り換えるためのスイッチ(図示せず。)を用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を動作させることによって、電波の放射される方向を切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
また、上記の実施形態においては、当該導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合を一例として説明したが、電波(無線信号)を受信する場合も同様である。図5は、図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を選択的に切り替えるためのスイッチの構成の一例を示すブロック図である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子(13a乃至13dのうちの1つ)に、給電端子9及び給電ケーブルを介して無線通信機回路90を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。
図5において、無線通信機回路90は、無線送信回路92と、無線受信回路93と、これらの回路92,93の各動作を制御するコントローラ91と、サーキュレータ94とを備えて構成される。無線送信回路92は無線搬送波を入力されるディジタルデータ信号(例えば、音声、画像、各種データなどを含む)に従ってディジタル変調した後、電力増幅することにより無線信号を発生し、当該無線信号はサーキュレータ94を介して、上述のように選択された1つのアンテナ素子(13a乃至13dのうちの1つ)から放射される一方、選択された1つのアンテナ素子(13a乃至13dのうちの1つ)により受信された無線信号は、無線通信機回路90内のサーキュレータ94を介して無線受信回路93に入力され、無線受信回路93は受信された無線信号に対して、高周波増幅、周波数変換、中間周波増幅、復調などの処理を実行して、当該受信された無線信号に含まれるディジタルデータ信号を抽出する。ここで、図5の装置全体を無線通信装置として構成される。なお、詳細後述される装置においても、複数のアンテナ素子を含むアンテナ装置と、無線通信機回路90とを含み、無線通信装置として構成してもよい。
図5において、例えば、+X方向から電波が到来する場合は、切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aに給電ケーブルを接続すればよい。すなわち、図5に示すように、受信信号電力判定部18が各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さ(なお、電波の信号レベルでもよい。)を判定して、受信される電波の電力が最大であるアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、主ビームを電波の到来する方向に選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
第1の実施形態の第1の実施例.
次に、実際に試作した導波管アレーアンテナ装置を図6に示す。図6は、本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
図6において、一例として、各方形導波管501a乃至501dの幅に対応する終端導体14a乃至14dのXY平面内の長さが120mmであり、各方形導波管501a乃至501dの高さに対応する終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のZ軸方向の長さが12mmである。また、各方形導波管501a乃至501dの奥行きに対応する側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のXY平面内の長さと天井導体15a乃至15dの幅が40mmである。各給電部12a乃至12dはそれぞれX軸上又はY軸上に配置されている。
以下、図7乃至図10の各特性図において、導波管アレーアンテナ装置が図5のような寸法を有するときの特性を示す。図7は、図6の導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図7に示したように、本実施形態の試作器である図6の導波管アレーアンテナ装置は周波数2.5GHzで共振し、良好な反射特性を示していることがわかる。当該導波管アレーアンテナ装置は対称な形状をしているので、各アンテナ素子13b,13c,13dに給電した場合も同じ特性が得られる。
図8及び図9は、図6の導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに周波数2.5GHzの無線信号を給電した場合の放射指向特性を示す特性図であり、図8はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図9はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。図8及び図9において、放射指向特性に関する特性図の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にしたdBiである。図9より、電波の放射は+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、しかも簡単な構造であって、一方向により強い指向性を実現していることがわかる。最大放射方向は垂直面においてZ軸から+Xの方向に向かって35度の角度にあって、この角度では9.5dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上で正の方向に1.0dBiの利得が得られた。
図10は、図6のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。この特性図では、放射指向特性の主ビームのみを図示し、サイドローブは省略している。このように、給電するアンテナ素子を変えることにより、電波の放射方向を変えることができる。また、上記実施形態においては、当該導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合を一例として説明したが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。
以上のように構成された本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置により、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、2.5GHzの動作周波数においてZ軸方向の高さが0.1波長となるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄い厚さを有するアンテナ装置である。
以上の実施形態や実施例においては、当該導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
以上説明したように、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、小形軽量であって薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、より強い指向性を有する主ビームを異なる方向に向けて選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
第1の実施形態の第2の実施例.
図11は、本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
本実施形態の第1の実施例においては、導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、図11に示すようにY方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。図11では、アンテナ素子12a及び12cを含む導波管アンテナ部601a,601cの幅(すなわち、終端導体14a及び14cと、天井導体15a及び15cのY軸方向の長さ)が伸長されて160mmになっていて、それに応じて接地導体11もY軸方向に拡張されている。一方、アンテナ素子12b及び12dを含む導波管アンテナ部601b,602dの幅は図6の実施例と同じであり、その他の寸法も図6の寸法と同様である。
図12及び図13は、図11の導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに給電したときの放射指向特性を示す特性図であり、図12はXY平面の放射指向特性を示す特性図であり、図13はZX平面の放射指向特性を示す特性図である。このとき、最大放射方向は垂直面においてZ軸から+Xの方向に向かって35度の角度にあって、10.5dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上で正の方向に3.0dBiの利得が得られた。図11の構造により、±X方向に指向性が強くなる。図12と図8を比べると、導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13a及び13cを含む方形導波管501a及び501cの部分の幅を40mmだけY軸方向に長くすることにより、水平面において2dBの利得が増加していることがわかる。
図14は、図11のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。この特性図では、放射指向特性の主ビームのみを図示し、サイドローブは省略している。図14から明らかなように、本実施例の導波管アレーアンテナ装置は、X方向により強い指向性が得られ、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナとなる。このように、導波管アレーアンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、当該導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造を有してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成された導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dを板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
第1の実施形態の変形例.
図15は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。
所望の入力インピーダンス特性を得るために、図15に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて整合導体19aを備えてもよい。図15の導波管アンテナ部601aでは、線状の導体である整合導体19aは、アンテナ素子13aと平行でかつアンテナ素子13aから−X方向に若干ずれた接地導体11のX軸上の位置(すなわち、アンテナ素子13aから終端導体14aに向う方向に若干ずれた位置であって給電点12aの近傍)において接地導体11に電気的に接続され、その接地導体11上の接続点から上方に向かって延在し、方形導波管501aの高さ(すなわち終端導体14aと側面導体16a1及び16a2の高さ)よりも短い長さを有する。この整合導体19aを備えたことにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させ、それによって、例えば導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに実質的に一致するように、導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを変化できる。従って、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという特有の効果がある。
図16は本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。所望のインピーダンス特性を得るために、図16に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて、アンテナ素子13aと同じ長さの整合導体19a−1を、アンテナ素子13aと平行になるように接続してもよい。この場合、整合導体19a−1の一端は接地導体11に接続される一方、整合導体19a−1の他端は天井導体15aに接続される。
図17は本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。
所望のインピーダンス特性を得るために、図17に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて整合導体19a−2を備えてもよい。図17において、線状の導体である整合導体19a−2は、接地導体11上に電気的に接続され、その接地導体11上の接続点から上方に向かって延在した後、実質的に直角で折り曲げられ、アンテナ素子13aの略中央部の接続点81aに電気的に接続される。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を整合導体19a−2を用いて直接的に変化できるために、インピーダンス特性を大幅に変化できるという特有の効果がある。従って、例えば導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに実質的に一致するように、導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを変化でき、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できる。なお、図15乃至図17を参照して、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法を一例として説明したが、それぞれの変形例は、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果をもたらす。
図18は、本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性を変化させるために、図18に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて、指向特性制御導体20aを備えたことを特徴としている。
図18において、線状導体の指向特性制御導体20aは、接地導体11の上面のX軸上において、アンテナ素子13aに対してX軸上で正の方向に位置するように設けられ、指向特性制御導体20aの一端は接地導体11と接続点17aにおいて接続され、指向特性制御導体20aはその一端から上方に向かって延在し、方形導波管501aの高さ又はそれよりも若干短い長さを有する。当該導波管アンテナ部601aから放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを備えないときよりも、+X方向に指向性がより鋭くなるという特有の効果が得られる。なお、アンテナ素子13aの指向特性調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
図18の第4の変形例においては、指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aを、螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で構成してもよいし、L字型に折れ曲がった導体線で構成してもよい。これにより、上述の鋭い指向性を有する効果を損なうことなく導波管アレーアンテナ装置を薄型化できる。
図19は、本発明の第1の実施形態の第5の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。
図19においては、図2の導波管アンテナ部601aの構成において、アンテナ素子13aから+X方向にずれたX軸上の接地導体11の位置の接続点に、指向特性制御導体20a−1を設けたことを特徴としている。ここで、指向特性制御導体20a−1は、Z軸に平行な線状導体91と、Y軸に平行な線状導体92とから構成され、線状導体91の一端は接地導体11に電気的に接続され、線状導体91はさらに上方に向かって延在し、方形導波管501aの高さ又はその高さよりも若干短い長さを有し、線状導体91の他端は線状導体92の中間部に接続される。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央部で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さと、Y軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。線状導体91及び92の長さをこのように構成することにより、当該導波管アレーアンテナ装置への給電時において、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、他の長さの設定のときよりも鋭い指向性について大きな効果を得る。図18の指向特性制御導体20aを備えた導波管アンテナ部601aの構成は、主として、導波管アレーアンテナ装置のZX平面内の指向特性を改善する技術であるが、図19の構成にすることにより、導波管アレーアンテナ装置のXY平面での指向特性も変化できる。
図20は、本発明の第1の実施形態の第5の変形例の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作された導波管アレーアンテナ装置を示している。図20は、図6の構成の導波管アレーアンテナ装置に2.5GHzの動作周波数を有する指向特性制御導体20a−1を備えた場合を示している。図21及び図22は、図20の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であり、図21はXY平面の放射指向特性を示す特性図であり、図22はZX平面の放射指向特性を示す特性図である。図21及び図22の放射指向特性を参照すると、指向特性制御導体20a−1を備えたことによって、図8及び図9に示された図6の導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性に比べて、水平面(XY面)においてはY軸方向への放射が増えていることがわかる。これにより、水平面においても、指向特性を大きく変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
なお、第1の実施形態の第5の変形例や実施例では、アンテナ素子13aに対して指向特性制御導体20a−1が1個だけ存在する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、複数のアンテナ素子13a乃至13dに対して少なくとも1つ、又は2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。この場合において、導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく変化させて制御できる。なお、指向特性制御導体20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
また、本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造のアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は、長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせ、もしくはその他の形状を有してもよい。
さらに、当該導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、当該アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、当該導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。この問題点を解決するために、以下の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置を提案する。
図23は、本発明の第1の実施形態の第6の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図23に示した変形例の導波管アレーアンテナ装置は、図1の導波管アレーアンテナ装置をレドーム21により被覆したことを特徴としている。接地導体11が接する底面が概略円形状(それ以外の楕円形状など他の形状であってもよい。)であるレドーム21を用いることにより、アンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎ導波管アレーアンテナ装置の特性を安定化させるとともに、当該導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなく導波管アレーアンテナ装置を設置できるという特有の利点がある。さらに、導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化できる。この場合において、電波の放射方向を調整することが可能になり、導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射指向特性を得ることができる。
図24は、図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化させるための合成回路の一例を示すブロック図である。
以上の実施形態においては、図5の切り替えスイッチ17により受信電力のより強いアンテナ素子に給電ケーブルを接続する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すように、本実施形態の合成回路は、アンテナ素子13a乃至13dにそれぞれ振幅調整回路22a乃至22dを接続し、振幅調整回路22a乃至22dにそれぞれ移相器23a乃至23dを接続し、各移相器23a乃至23dを合成器24に接続するように構成されてもよい。振幅調整回路22a乃至22dは、アンテナ素子13a乃至13dで受信された無線信号の振幅(又は信号レベル)を調整し、移相器23a乃至23dは、振幅調整回路22a乃至22dで振幅調整されて出力された無線信号の位相(又は位相量、もしくは移相量)を調整し、合成器24は、移相器23a乃至23d及び振幅調整回路22a乃至22dで振幅と位相が調整されて出力された無線信号の電力を合成し、給電端子9及び給電ケーブルを介して無線通信機回路90に出力する。
またさらに、アンテナコントローラ25を備えてもよい。この場合において、アンテナコントローラ25は、合成器24からの出力信号の電力(又は信号レベル)が最大となるような、振幅調整回路22a乃至22dにおける振幅調整量と、移相器23a乃至23dにおける位相調整量(位相量又は移相量)を算出し、この算出された振幅及び位相の調整量に基づいて振幅調整回路22a乃至22dと移相器23a乃至23dを制御する。このように構成することにより、さらに受信電力の増加を実現できる。
以上の実施形態や変形例においては、1個の導波管アレーアンテナ装置について説明しているが、本発明はこれに限らず、複数の当該導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
第2の実施形態.
図21は、本発明の第2の実施形態に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図21のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図1の導波管アレーアンテナ装置に比較すると、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置に含まれる4つの方形導波管502a,502b,502c,502dを構成する各天井導体15a乃至15dにおいて、各方形導波管502a乃至502d内の無線信号の伝搬方向に垂直な長手方向(すなわち、各方形導波管502a乃至502dの幅方向と同じ方向)を有し、管内波長の1/4波長に対して十分に小さい幅を有する1つのスロット30a乃至30dをそれぞれ備えている点が異なっている。ここで、スロット30a乃至30dは、各天井導体15a乃至15dにおいて、アンテナ素子13a乃至13dの接続部10a乃至10dと、終端導体14a乃至14dとの間に設けられている。ここで、アンテナ素子13aを有する方形導波管502aは導波管アンテナ部602aを構成し、アンテナ素子13bを有する方形導波管502bは導波管アンテナ部602bを構成し、アンテナ素子13cを有する方形導波管502cは導波管アンテナ部602cを構成し、アンテナ素子13dを有する方形導波管502dは導波管アンテナ部602dを構成する。
本実施形態では、一例として、接地導体11がXY平面上にあり、接地導体11と終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と天井導体15a乃至15dとが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸上又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成され、スロット30a乃至30dが各天井導体15a乃至15d上に1つずつ存在する場合を示している。
次に、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aのみに給電されたときの動作原理を図26乃至図29を用いて説明する。図26は、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の一部であって、アンテナ素子13aを含むスロット付き導波管アンテナ部602aの詳細構成を示す斜視図であり、図27は、図26のスロット付き導波管アンテナ部602aのXZ平面によって切断された断面図である。図28は図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの電界分布を示す斜視図であり、図29は図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの磁流分布を示す斜視図である。
本実施形態においては、電波の放射はアンテナ素子13aを励振させることによって行われ、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界と、スロット30aに発生する電界とにより電波は放射される。従って、図28に示すように、アンテナ素子13aによって天井導体15aと接地導体11との間に発生される電界101は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合の図3と同様になる。スロット30aに発生する電界101aは、その振幅がスロット30aの長手方向の端部で0であり、スロット30aの長手方向の中央で最大となる正弦関数的な分布になる。すなわち、当該スロット付き導波管アンテナ部602aのスロット30aは、Y方向と平行な線状磁流のダイポールの指向特性を示す。このダイポールにより、XY平面とYZ平面で垂直偏波の双指向性を得て、XZ平面において無指向性を得る。一方、図27に本実施形態のスロット付き導波管アンテナ部602aに流れる電流分布を示す。電流110は、給電部12aからアンテナ素子13aに沿って流れ、スロット30aと天井導体15aを介して終端導体14aへ流れ、終端導体14aから接地導体11に流れ給電部12aに戻る。従って、このスロット付き導波管アンテナ部602aに発生する電界分布は図28のようになり、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101の向きと、スロット30aに発生する電界101aの向きとが一致する。すなわち、スロット30aは放射される電波の位相を揃える作用効果を有する。
この電界101及び101aを磁流に置き換えて説明すると、図29に示すように、Y軸と平行な線状磁流源102及び102aに置き換えることができる。つまり、電波の放射は、これらの磁流源102及び102aによる放射と見ることができる。従って、このスロット付き導波管アレーアンテナ装置の指向特性は、この2つの磁流102及び102aによる同相励振のアレーとして得られる。天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101による指向特性としては、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様で、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向の向きにより強い指向性が得られる。スロット30aに発生する電界101aによる指向特性としても、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向の向きにより強い指向性が得られる。従って、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置では、この2つの指向特性の同相のアレーとなるので、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向の向きにさらにより強い指向性が得られる。
従って、図25においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。
また、上記実施形態においては、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合を一例として説明したが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図5に示すような受信電力判定装置18により各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さを判定して、受信される電波の電力が最大のアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、主ビーム方向を電波の到来する方向に選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、受信時にも、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
図30は、本発明の第2の実施形態の実施例に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作されたスロット付き導波管アレーアンテナ装置を示している。一例として、以下の場合の特性を示す。図30に示されたように、終端導体14a乃至14d天井導体15a乃至15dの、XY平面に平行な長手方向の長さが120mmであり、終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のZ軸方向の高さが12mmであり、側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のXY平面に平行な方向の長さと天井導体15a乃至15dの幅とが40mmである。また、スロット30a乃至30dの長手方向の長さが120mmであって幅が6mmであり、スロット30a乃至30dの幅方向の中心が各方形導波管502a乃至502dの開放端から5mmだけ離れた位置にある(従って、各方形導波管502a乃至502dの開放端側における天井導体15a乃至15dの端部から、スロット30a乃至30dの端部までの幅が2mmである)。ここで、各給電部12a乃至12dはそれぞれX軸上又はY軸上に配置されている。従って、図30のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成は、スロット30a乃至30dをさらに備えたことのほかは、図6の導波管アレーアンテナ装置の構成と同様である。
図31は、図30のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図31に示したように、本実施例のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は周波数2.5GHzで共振し、良好な反射特性を示していることがわかる。当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置は対称な形状をしているので、各アンテナ素子13b乃至13dに給電した場合も同様の周波数特性が得られる。
図32及び図33は、図26のスロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに周波数2.5GHzの無線信号を給電した場合の放射指向特性を示す特性図であり、図32はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図33はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。ここで、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の利得を表す半径方向の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にした相対利得の単位dBiである。図33から明らかなように、電波の放射は、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、しかも簡単な構造であって、一方向により強い指向性を実現していることがわかる。最大放射方向(すなわち、ビーム方向)では、垂直面においてZ軸から+X方向に向かって40度だけ回転した方向において10.6dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上の正の方向に2.6dBiの利得が得られた。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、各アンテナ素子13a乃至13dに接続された、給電するアンテナ素子を切り替えるためのスイッチを用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を選択的に選択して動作させることによって、電波の放射される方向を選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
以上のように構成された本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置により、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置によれば、2.5GHzの動作周波数のときにZ軸方向の高さが0.1波長となるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄い厚さを有するアンテナ装置である。
以上の実施形態や実施例においては、スロット付き導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置に比べて広帯域なインピーダンス特性が得られるという効果がある。これは、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置には、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構造に特有の共振周波数に加えて、スロット30a乃至30dに起因する共振周波数が存在するためである。この2つの共振周波数に若干の周波数差を与えることにより広帯域な特性が得られる。
また、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同じサイズであるにもかかわらず、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置に比べて最大放射方向において1.1dBの利得を有し、水平面内の最大放射方向でも1.6dBの利得を有する、高利得な特性が得られた。これは、上述したように、各方形導波管502a乃至502dの開放端からの放射とスロット30a乃至30dからの放射の重ね合わせによるものである。
以上説明したように、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置によれば、小形で薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、従来技術に比較してより強い指向性を有して、その主ビーム方向を選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
以上の本実施形態においては、スロット付き導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、Y方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。この装置構造により、±X方向に指向性が強くなり、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナとなる。このように、アンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を、ZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造で形成してもよい。このような装置構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成されたアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dが板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
さらに、所望の入力インピーダンス特性を得る方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合と同様に整合導体を備えてもよい。例えば、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図15に示すような整合導体19aを備えてもよい。図15においては、整合導体19aが線状の導体であり、接地導体11と接続された例を示している。これにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させることにより、アンテナ素子13aのインピーダンスを変化できる。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。なお、所望のインピーダンス特性を得るために、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図16に示すような整合導体19aが接地導体11及び天井導体15aと接続された構成、図17に示すように整合導体19aが接地導体11及びアンテナ素子13aと接続された構成で形成してもよい。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を直接的に変化できるために、スロット付き導波管アレーアンテナ装置のインピーダンス特性を大幅に変えることができるという効果がある。なお、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の放射特性を変化させる方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図18に示すような指向特性制御導体20aを備えてもよい。
図18においては、指向特性制御導体20aは、X軸上の正の位置において接地導体11と接続されて設けられた例を示している。放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを設けないときに比較して、+X方向に指向性がより鋭くなる効果が得られる。なお、図18では指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aが螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で形成してもよく、L字型に折れ曲がった導体線で形成してもよい。これにより、指向特性制御導体20aを設けたことによる効果を損なうことなくアンテナ装置を薄型化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20aを一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
さらに、スロット付き導波管アレーアンテナ装置には、図19に示すように、Z軸に平行な線状導体91とY軸に平行な線状導体92により構成される指向特性制御導体20a−1が設けられてもよい。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さとY軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。この長さにすることにより、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、指向特性を制御することに関して、より大きな効果を得る。図18のような指向特性制御導体20aを設ける場合は主に、アンテナ装置の垂直面(ZX面)の指向特性を改善する技術であるが、図19のような指向特性制御導体20a−1を備えた構成にすることにより、アンテナ装置のXY面での指向特性も変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20a−1を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
以上の実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dのそれぞれに対して指向特性制御導体が1個だけ存在する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。これにより、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく変化させて制御できる。なお、指向特性制御導体20a又は20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造のスロット付き導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせもしくはその他の形状を有してもよい。また、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。そこで、図23に示された第1の実施形態の第6の変形例のように、接地導体11が接する底面が概略円形(又は楕円などその他の形状でもよい。)であるレドーム21を用いることによりアンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎアンテナ装置の特性を安定化させる事とともに、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなくスロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置できるという特有の利点がある。さらに、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化させてもよい。これにより、電波の放射方向を調整することが可能になり、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射特性を得ることができる。
また、本実施形態においては、図5のような切り替えスイッチを用いて選択的に切り替えることにより、所定の方位角から到来する無線信号に対する受信電力がより強いアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すような合成回路を備えて、上述のごとく、各アンテナ素子13a乃至13dで受信される4つの無線信号を制御して合成してもよい。
さらに、複数個の本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
またさらに、本実施形態においては、1つの天井導体15a乃至15dにつきスロット30a乃至30dが1つだけ存在する場合を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、天井導体15a乃至15dのうちの1つに2つ以上のスロットを備えてもよい。これにより、各スロットで送受信される電波の位相が揃い、より強い指向性を実現できる。また、各天井導体15a乃至15dに対して、異なる個数のスロットを設けてもよい。
第3の実施形態.
図34は、本発明の第3の実施形態に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。この筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、図1の導波管アレーアンテナ装置と比較すると、図1の側面導体16d2及び16a1と、16a2及び16b1と、16b2及び16c1と、16c2及び16d1とが、本実施形態ではそれぞれ単一の仕切壁導体31a乃至31dとして一体化され、それによって4つの方形導波管503a,503b,503c,503dを含むアンテナ装置の筐体部の構造が簡単化されていることを特徴とする。
図34において、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、XY平面上に位置した正方形形状の接地導体11上に設けられ、方形導波管503a,503b,503c,503dとアンテナ素子13a乃至13dにてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部603a,603b,603c,603dを備える。ここで、各方形導波管503a乃至503dは、接地導体11と、この接地導体11に対向する天井導体15a乃至15dと、接地導体11と天井導体15a乃至15dとを連結する仕切壁導体31a乃至31dとから構成され、互いに隣接する2つの方形導波管(503a,503b),(503b,503c),(503c,503d),(503d,503a)の間で仕切壁導体を共有するように隣接して並置される(例えば、天井導体15aを含む方形導波管503aと、天井導体15dを含む方形導波管503dとの間で、仕切壁導体31aを共有している)。
各方形導波管503a乃至503dは、終端導体14a乃至14dにより短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、終端導体14a乃至14dにより短絡された端部は、正方形の接地導体11の辺上に位置するように設けられ、開放された端部は、正方形の接地導体11の対角線上の、より小さい正方形(図示せず。)の辺上に位置するように設けられ、各方形導波管503a乃至503dは接地導体11上の小さい正方形の辺から外側に向かって延在する。また、アンテナ素子13a乃至13dは、一端が天井導体15a乃至15dであって各方形導波管503a乃至503dの開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が接地導体11上に位置する給電部12a乃至12dに電気的に接続されている。各導波管アンテナ部603a乃至603dは、当該導波管アンテナ部603a乃至603dを構成する各方形導波管503a乃至503dの開放された端部において所定の放射指向特性で無線信号を送受信する。各方形導波管503a乃至503dは接地導体11上に異なる向きで設けられているので、これら4つの導波管アンテナ部603a乃至603dの放射指向特性の主ビームはそれぞれ異なる方向を向き、ゆえに、無線信号を送受信するアンテナ素子を選択的に切り替えることによって筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化できる。
図34において、正方形形状の接地導体11の四辺上に、接地導体11と同じ長さの辺と所定長さ(すなわち高さ)の垂直方向の辺とを有する矩形形状の終端導体14a乃至14dがXY平面に垂直にそれぞれ設けられ、接地導体11の対角線上に、終端導体14a乃至14dの高さと同じ長さの辺と所定長さの辺とを有する矩形形状の仕切壁導体31a乃至31dが、XY平面に垂直に、かつ頂点を接地導体11の頂点に合わせて設けられる。さらに、終端導体14a乃至14d及び仕切壁導体31a乃至31d上に、接地導体11に対向して台形形状の天井導体15a乃至15dが設けられる。従って、仕切壁導体31aは、その上端において台形形状の天井導体15a及び15dの斜辺と接続され、その下端において接地導体11と接続され、その左右端部において終端導体14a及び14dと接続されている。
ここで、天井導体15aは終端導体14aと仕切壁導体31a及び31bの上に設けられ、詳しくは、底面の接地導体11と、当該導波管アレーアンテナ装置の上面にこの接地導体11に対向して配置された台形形状の天井導体15aと、天井導体15aの台形の2つの斜辺において上記接地導体11及び上記天井導体15aをそれぞれ連結する仕切壁導体31a及び31bとにより矩形断面が小さくなるテーパー形状の方形導波管503aが形成され、この方形導波管503aの、より広い断面を有する側の端部は、矩形形状の終端導体14aによって終端密閉されて短絡される一方、上記方形導波管503aの、より狭い断面を有する側の端部は開放状態となっている(以下、こちらの端部を開放端という。)。ここで、これら接地導体11と仕切壁導体31a及び31bと天井導体15aと終端導体14aとは、互いに機械的かつ電気的に接続されるように連結されて、X軸方向に平行な方向に無線信号を伝搬しかつ−X方向の端部が閉じられた方形導波管503aを構成している。
次いで、天井導体15aの下面の、+X方向の端部近傍でありかつY方向の中心における接続点10aに、導体線からなるアンテナ素子13aの一端が半田付けにより機械的及び電気的に接続される。一方、アンテナ素子13aは接続点10aから下方に向かって垂直に延在し、さらに、アンテナ素子13aの他端は、接地導体11上のX軸上に形成された円形孔において、接地導体11とは電気的に絶縁された給電点12aに接続される。当該給電点12aはさらに、例えば同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続され、また、同軸ケーブルの接地導体は接地導体11に電気的に接続される。これにより、無線通信機回路90から無線信号が同軸ケーブルを介して給電点12aに給電される。上述された方形導波管503aとアンテナ素子13aとにより、図2に示された第1の実施形態と同様に動作する導波管アンテナ部603aが構成される。
また、天井導体15bは終端導体14bと仕切壁導体31b及び31cの上に設けられ、天井導体15cは終端導体14cと仕切壁導体31c及び31dの上に設けられ、天井導体15dは終端導体14dと仕切壁導体31d及び31aの上に設けられ、アンテナ素子13b,13c及び13dを含む導波管アンテナ部603b乃至603dも、同様に構成される。
本実施形態では、第1の実施形態における側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2に相当する構成要素が仕切壁導体31a乃至31dとして一体化されているので、第1の実施形態よりも構造が簡単化されたアンテナ装置を提供できる。アンテナ装置の構造をさらに簡単化するために、天井導体15a乃至15dは、一体化された単一の導体板にて構成されてもよい。
ここで、天井導体15a乃至15dと終端導体14a乃至14dと接地導体11にてなる筐体部で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、天井導体15a乃至15d、終端導体14a乃至14d、又は接地導体11に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部という。
本実施形態では、一例として、接地導体11と終端導体14a乃至14dと天井導体15a乃至15dが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子12a乃至12dがXY面に垂直な導体線で構成されている場合を示している。
本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の動作は第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様である。すなわち、本実施形態に係る構成の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置においてアンテナ素子13aに給電すると、+Z方向でかつ+X方向の方向により強い指向性が得られる。従って、図34においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、各アンテナ素子13a乃至13dに接続された、給電するアンテナ素子を選択的に切り替えるためのスイッチを用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を選択して動作させることによって、電波の放射される方向を選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
また、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合について説明してきたが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子を給電ケーブル(図示せず。)に接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。すなわち、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図5に示すような受信電力判定装置18により各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さを判定して、受信される電波の電力が強いアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、受信時にも、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
図35は、本発明の第3の実施形態の実施例に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を示している。一例として、接地導体11のX方向の長さが120mmでありY方向の幅が120mmであって、終端導体14a乃至14dの、XY平面に平行な方向の長さが120mmである。また、終端導体14a乃至14dと仕切壁導体31a乃至31dのZ方向の高さが12mmであり、台形形状の天井導体15a乃至15dの上底から下底までの距離が20mmである。アンテナ素子13a乃至13dの上端の各接続点10a乃至10dは、各アンテナ素子13a乃至13dを含む各方形導波管503a乃至503dの開放端から2mmの位置に設けられ、各アンテナ素子13a乃至13dは接続点10a乃至10dから下方に延在して、X軸上又はY軸上にそれぞれ配置された各給電部12a乃至12dに接続される。筐体一体型導波管アレーアンテナ装置が以上のように構成されたときの特性を図36に示す。
図36及び図37は、図35の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに2.6GHzの無線信号を給電したときの放射指向特性を示す特性図であり、図36はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図37はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。放射指向特性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にしたdBiである。図37より、電波の放射は+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、しかも簡単な構造であって、一方向へ強い指向性を実現していることがわかる。水平面においてX軸上の負の方向に1.0dBiの利得が得られた。
以上のように構成された、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置により、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、2.6GHzの動作周波数のときにZ軸方向の高さが0.1波長であるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄型なアンテナである。また、図26の実施例に示されたように、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置によれば、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置に比較して、さらに小型のアンテナ装置を実現できる。
以上の実施形態や実施例においては、当該筐体一体型導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
以上説明したように、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置によれば、小形で薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、従来技術に比較してより強い指向性を有し、その主ビーム方向を選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置として例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、Y方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。動作原理は第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様であり、この構造により、±X方向に指向性が強くなり、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナ装置となる。このように、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置として一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造で形成してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
さらに、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dが板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
またさらに、所望の入力インピーダンス特性を得る方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合と同様に整合導体を備えてもよい。例えば、図34の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図15に示すような整合導体19aを備えてもよい。図15においては、整合導体19aが線状の導体であり、接地導体11と接続された例を示している。これにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させることにより、アンテナ素子13aのインピーダンスを変化できる。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。なお、所望のインピーダンス特性を得るために、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図16に示すような整合導体19aが接地導体11及び天井導体15aと接続された構成、図17に示すように整合導体19aが接地導体11及びアンテナ素子13aと接続された構成で形成してもよい。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を直接的に変化できるために、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のインピーダンス特性を大幅に変えることができるという効果がある。なお、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の放射特性を変化させる方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図18に示すような指向特性制御導体20aを備えてもよい。図18においては、指向特性制御導体20aが、X軸上の正の位置において接地導体11と接続されて設けられた例を示している。放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを設けないときに比較して、+X方向に指向性がより鋭くなる効果が得られる。なお、図18では指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aが螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で形成してもよく、L字型に折れ曲がった導体線で形成してもよい。これにより、指向特性制御導体20aを設けたことによる効果を損なうことなくアンテナ装置を薄型化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20aを一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
さらに、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置には、図19に示すように、Z軸に平行な線状導体91とY軸に平行な線状導体92により構成される指向特性制御導体20a−1が設けられてもよい。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さとY軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。この長さにすることにより、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、指向特性を制御することに関して、より大きな効果を得る。図18のような指向特性制御導体20aを設ける場合は主に、アンテナ装置の垂直面(ZX面)の指向特性を改善する技術であるが、図19のような指向特性制御導体20a−1を備えた構成にすることにより、アンテナ装置のXY面での指向特性も変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20a−1を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
以上において、アンテナ素子13a乃至13dのそれぞれに対して指向特性制御導体が1個だけ存在する場合について説明したが、2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。これにより、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく制御できる。なお、指向特性制御導体20a又は20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせ又はその他の形状を有してもよい。また、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。そこで、図23に示された第1の実施形態の第6の変形例のように、接地導体11が接する底面が概略円形(又は楕円などその他の形状でもよい。)であるレドーム21を用いることによりアンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎアンテナ装置の特性を安定化させる事とともに、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなく筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を設置できるという利点がある。さらに、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化させてもよい。これにより、電波の放射方向を調整でき、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射特性を得ることができる。
また、本実施形態においては、図5のような切り替えスイッチを用いて選択的に切り替えることにより、所定の方位角から到来する無線信号に対する受信電力がより強いアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続する構成について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すような合成回路を備え、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13a乃至13dにそれぞれ振幅調整回路22a乃至22dを接続し、振幅調整回路22a乃至22dにそれぞれ移相器23a乃至23dを接続し、アンテナ素子13a乃至13dで受信された電波の振幅と位相を変化させて合成器24において電力を合成する構成としても良い。さらに、アンテナコントローラ25を備えてもよい。アンテナコントローラ25は合成回路からの出力信号の電力が最大となるように振幅調整回路22a乃至22dによる振幅調整量と移相器23a乃至23dによる位相調整量を算出し、これを基に振幅調整回路22a乃至22dと上記移相器23a乃至23dを制御する。このように構成することにより、さらに受信電力の増大を実現できる。
さらに、複数個の本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
第4の実施形態.
図38は、本発明の第4の実施形態に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図38において、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図34の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置に比較すると、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置に含まれる4つの方形導波管504a,504b,504c,504dを構成する各天井導体15a乃至15dにおいて、各方形導波管504a乃至504d内の無線信号の伝搬方向に垂直な長手方向(すなわち、各方形導波管504a乃至504dの幅方向と同じ方向)を有し、管内波長の1/4波長に対して十分に小さい幅を有する1つのスロット30a乃至30dがそれぞれ設けられている点が異なっている。ここで、スロット30a乃至30dは、各天井導体15a乃至15dにおいて、アンテナ素子13a乃至13dの接続部10a乃至10dと、終端導体14a乃至14dとの間に設けられている。ここで、アンテナ素子13aを有する方形導波管504aにより導波管アンテナ部604aを構成し、アンテナ素子13bを有する方形導波管504bにより導波管アンテナ部604bを構成する。また、アンテナ素子13cを有する方形導波管504cにより導波管アンテナ部604cを構成し、アンテナ素子13dを有する方形導波管504dにより導波管アンテナ部604dを構成する。
本実施形態においては、一例として、接地導体11がXY平面上にあり、接地導体11と終端導体14a乃至14dと仕切壁導体31a乃至31dと天井導体15a乃至15dとが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸上又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成され、スロット30a乃至30dが各天井導体15a乃至15d上に1つずつ存在する場合を示している。
本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作は、第2の実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置と同様である。すなわち、本実施形態に係る構成を備えた筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置においてアンテナ素子13aに給電すると、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界と、スロット30aに発生する電界により電波は放射され、+Z方向でかつ+X方向の方向により強い指向性が得られる。同様に、図38においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。
本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、各アンテナ素子13a乃至13dに接続された、給電するアンテナ素子を選択的に切り替えるためのスイッチを用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を選択して動作させることによって、電波の放射される方向を選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
また、上記実施形態においては、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合について説明したが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図5に示すような受信電力判定装置18により各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さを判定して、受信される電波の電力が強いアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、受信時にも、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
図39は、本発明の第4の実施形態の第1の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を示している。接地導体11と終端導体14a乃至14dと仕切壁導体31a乃至31dと天井導体15a乃至15dにてなる筐体部の寸法及びアンテナ素子13a乃至13dの位置は、図38の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の実施例と同じである。本実施例では、天井導体15a乃至15d上にそれぞれスロット30a乃至30dがさらに設けられ、スロット30a乃至30dは2mmの幅を有して各方形導波管504a乃至504b内の無線信号の伝搬方向に垂直な方向に延在し、スロット30a乃至30dの幅方向の中心は、各方形導波管504a乃至504dの開放端から5mmだけ離れた位置にある。筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置がこのように構成されたときの特性を以下に示す。
図40は、図39の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aにおける反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図40に示したように、本実施例の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は2.3GHzで共振していることがわかる。本実施例の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は対称な形状をしているので、各アンテナ素子13b乃至13dに給電した場合も同じ特性が得られる。
図41及び図42は、図39の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに2.3GHzの無線信号を給電した場合の放射指向特性を示す特性図であり、図41はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図42はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。放射指向特性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にしたdBiである。図42から明らかなように、電波の放射は+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、しかも簡単な構造であって、一方向へ強い指向性を実現していることがわかる。最大放射方向は垂直面においてZ軸から−X方向に45度だけ回転した方向に、8.7dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上の負の方向に3.4dBiの利得が得られた。
以上説明したように、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、2.3GHzの動作周波数においてZ軸方向の高さが0.1波長となるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄い厚さを有するアンテナ装置である。
また、実施形態や実施例においては、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
さらに、本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置によれば、小形で薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、従来技術に比較してより強い指向性を有して、その主ビーム方向を選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
以上の実施形態においては、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、Y方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。その動作原理は第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様であり、この構造により、±X方向に指向性が強くなり、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナとなる。このように、アンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
本実施形態においては、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造で形成してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成されたアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dが板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
さらに、所望の入力インピーダンス特性を得る方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合と同様に整合導体を備えてもよい。例えば、図38の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図15に示すような整合導体19aを備えてもよい。図15においては、整合導体19aが線状の導体であり、接地導体11と接続された例を示している。これにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させることにより、アンテナ素子13aのインピーダンスを変化できる。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。なお、所望のインピーダンス特性を得るために、図38の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図16に示すような整合導体19aが接地導体11及び天井導体15aと接続された構成、図17に示すように整合導体19aが接地導体11及びアンテナ素子13aと接続された構成で形成してもよい。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を直接的に変化できるために、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置のインピーダンス特性を大幅に変えることができるという効果がある。なお、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法について説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
図43は、本発明の第4の実施形態の第2の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らによって試作された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を示す。この筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図39のアンテナ装置の構成に加えて、図16と同様の整合導体19a−1乃至19d−1をさらに備えている。整合導体19a−1乃至19d−1は、各方形導波管504a乃至504dの開放端から当該方形導波管504a乃至504dの内部に2mmだけ挿入されて設けられ、各アンテナ素子13a乃至13dから3mmだけ離れた位置に、各アンテナ素子13a乃至13dと平行に設けられる。図39に示す第1の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成では、図40に示したように反射損失が−3.7dB程度であり、アンテナ装置に効率よく電力を供給できない。そこで、図43に示すように整合導体19a−1乃至19d−1を備え、給電ケーブル(図示せず。)とのインピーダンスを整合し、高効率なアンテナ装置を実現する。図44は、図43の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図44から明らかなように、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の共振周波数である2.4GHzでは、反射損失は−13.5dBであり、反射損失の少ない良好な特性が得られていることがわかる。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の放射特性を変化させる方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図18に示すような指向特性制御導体20aを備えてもよい。図18においては、指向特性制御導体20aが、X軸上の正の位置において接地導体11と接続されて設けられた例を示している。放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを設けないときに比較して、+X方向に指向性がより鋭くなる効果が得られる。なお、図18では指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aが螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で形成してもよく、L字型に折れ曲がった導体線で形成してもよい。これにより、指向特性制御導体20aを設けたことによる効果を損なうことなくアンテナ装置を薄型化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20aを一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
さらに、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置には、図19に示すように、Z軸に平行な線状導体91とY軸に平行な線状導体92により構成される指向特性制御導体20a−1が設けられてもよい。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さとY軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。この長さにすることにより、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、指向特性を制御することに関して、より大きな効果を得る。図18のような指向特性制御導体20aを設ける場合は主に、アンテナ装置の垂直面(ZX面)の指向特性を改善する技術であるが、図19のような指向特性制御導体20a−1を備えた構成にすることにより、アンテナ装置のXY面での指向特性も変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20a−1を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
以上において、アンテナ素子13a乃至13dのそれぞれに対して指向特性制御導体が1個だけ存在する場合について説明したが、2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。これにより、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく変化させて制御できる。なお、指向特性制御導体20a又は20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
また、本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせ、もしくはその他の形状を有してもよい。また、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。
そこで、図23に示された第1の実施形態の第6の変形例のように、接地導体11が接する底面が概略円形(楕円形状など他の形状であってもよい。)であるレドーム21を用いることによりアンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎアンテナ装置の特性を安定化させる事とともに、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなく筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置できるという利点がある。さらに、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化させてもよい。これにより、電波の放射方向を調整することが可能になり、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射特性を得ることができる。
本実施形態においては、図5のような切り替えスイッチを用いて選択的に切り替えることにより、所定の方位角から到来する無線信号に対する受信電力がより強いアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すような合成回路を備えて、上述のごとく、各アンテナ素子13a乃至13dで受信された4つの無線信号を制御して合成してもよい。
また、複数個の本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
なお、本実施形態においては、1つの天井導体15a乃至15dにつきスロット30a乃至30dが1つだけ存在する場合を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、天井導体15a乃至15dのうちの1つに2つ以上のスロットを備えてもよい。これにより、各スロットで送受信される電波の位相が揃い、より強い指向性を実現できる。また、各天井導体15a乃至15dに対して、異なる個数のスロットを設けてもよい。
本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、第2の実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置と同様に、第3の実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構造に特有の共振周波数と、スロット30a乃至30dに起因する共振周波数との間に、若干の周波数差を与えることにより、第3の実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置に比べて広帯域なインピーダンス特性が得られるという効果もある。
第5の実施形態.
図45は、本発明の第5の実施形態であって、第1の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図45において、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、図1に示された第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第1の実施形態に係る作用効果に加えて、誘電体40内を伝搬する電磁波の実効波長を短くすることができるので、当該導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、誘電体基板上に金属導体を公知の導体パターン形成方法を用いて高精度で当該導波管アレーアンテナ装置を製造できる、また、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。
一例として、接地導体11と終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と天井導体15a乃至15dが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成され、誘電体40がアンテナ内部の全てに充填されている場合を示している。
本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の動作は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の動作と同様である。
本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、アンテナ内部に誘電体40を挿入している。真空での誘電率εに対する誘電体40の誘電率の比(比誘電率)をεとすると、誘電体40内での波長は、真空中の波長に比べて
Figure 2005043676
倍となる。εは1以上であるから誘電体40内では、波長は短くなる。このため、誘電体40をアンテナ内部に挿入することにより、導波管アレーアンテナ装置をより小形で薄型である構造に形成できる。
第6の実施形態.
図46は、本発明の第6の実施形態であって、第2の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填されたスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図46の導波管アレーアンテナ装置は、図45の導波管アレーアンテナ装置に比較して、天井導体15a乃至15dにスロット30a乃至30dを備えたことを特徴としている。
図46において、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、図25に示された第2の実施形態に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第2の実施形態に係る作用効果に加えて、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、誘電体基板上に金属導体を公知の導体パターン形成方法を用いて高精度で当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置を製造できる、また、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作は、第2の実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作と同様である。
第7の実施形態.
図47は、本発明の第7の実施形態であって、第3の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図47において、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、図34に示された第3の実施形態に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第3の実施形態に係る作用効果に加えて、当該筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の動作は、第3の実施形態の筐体一体型アレーアンテナ装置の動作と同様である。
第8の実施形態.
図48は、本発明の第8の実施形態であって、第4の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図48において、本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図38に示された第4の実施形態に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第4の実施形態に係る作用効果に加えて、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作は、第4の実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作と同様である。
以上の第5乃至第8の実施形態においてそれぞれ、第1乃至第4の実施形態において、アンテナ内部に誘電体40を充填しているが、第1乃至第4の実施形態の各変形例や各実施例においても、アンテナ内部に誘電体40を充填してもよい。
第9の実施形態.
図49は、本発明の第9の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。第5乃至第8の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置はまた、誘電体40をアンテナ内部に挿入した構造になっているので、両面にそれぞれパターン導体である接地導体11及び天井導体15(導体箔にてなる)が形成されている誘電体基板41を用いて作成してもよい。図49の実施形態においては、図45の側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と終端導体14a乃至14dの代わりに、互いに所定間隔だけ離れてかつ互いに平行に(垂直方向に、すなわち厚さ方向に)形成された複数のスルーホール導体42cを形成したことを特徴としており、図45の導波管アレーアンテナ装置と同様の作用効果を有する。なお、アンテナ素子13a乃至13dもまたスルーホール導体で形成している。ここで、スルーホール導体42cは、下面に接地導体11が形成され、かつ上面に天井導体15a乃至15dが形成された誘電体に厚さ方向に貫通するスルーホール42を形成し、そのスルーホール42に金属導体を充填することにより形成される。本実施形態に係る製造方法においては、エッチング加工等のような公知の導体パターン形成方法を用いることができるので、高精度で天井導体15a乃至15dやスルーホール導体42cを形成することができ、これにより、誘電体40が充填された導波管アレーアンテナ装置の製作精度が向上し、さらに量産によるコストを削減できる。
次いで、図49の導波管アレーアンテナ装置の製作手順の一例を示す。上面と下面にそれぞれ導体パターンの層が形成された誘電体基板を接地導体11の大きさに切断し、上面の導体パターンを例えばエッチング又は機械加工で削ることにより導体パターンの天井導体15a乃至15dを形成する。次いで、誘電体基板において厚さ方向に貫通するようにスルーホールを形成した後、各スルーホールに金属導体を充填することにより、複数のスルーホール導体32にてなる側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2及び終端導体14a乃至14dと、アンテナ素子13とを形成する。ここでは、天井導体15a乃至15dが形成された面を誘電体基板の上面とする。誘電体基板のもう一方の導体パターンが接地導体11となる。さらに、この接地導体11において、アンテナ素子13a乃至13dを構成するスルーホールのある位置に適当な円形孔を形成して給電点12a乃至12dを形成することにより、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置を作成できる。図47の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の場合も、仕切壁導体31a乃至31d等の構成要素を同様に作製できる。また、図46及び図48の場合も、表面に導体パターンが形成された誘電体基板に対して、スロット30a乃至30dをエッチング又は機械加工で導体パターンを削ることにより、同様に作成可能である。
以上の第5乃至第9の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、しかも簡単な構造であって、小形で薄型な形状で、かつ工作精度が良く、アンテナ特性の劣化の少ない、一方向により強い指向性を備えたアンテナ装置を実現できる。
また、第5乃至第9の実施形態やその実施例においては、当該導波管アレーアンテナ装置がZX面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、導波管アレーアンテナ装置から放射される電波の指向特性がZX面に対して対称になるという効果がある。
さらに、第5乃至第9の実施形態においては、ZX面に対して対称な構造である導波管アレーアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZY面にのみ対称な構造、又は、ZY面、ZX面に対して非対称な構造で形成してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
第5乃至第9の実施形態においては、導体で囲まれたアンテナ内部が誘電体40ですべて満たされている構造の導波管アレーアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、アンテナ内部の少なくとも一部に誘電体40が存在する場合も可能である。例えば、天井導体15a乃至15dと終端導体14a乃至14dと接地導体11で囲まれた空間のみを誘電体基板を用いて形成してもよい。
第10の実施形態.
図50は、本発明の第10の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。本発明の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、以上の実施形態のように、接地導体11が正方形又は長方形の底面形状、又はそれらの形状を組み合わせた底面形状を有するアンテナ装置のみに限定されるのではない。例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11はその他の多角形、又は半円の組み合わせ、その他の形状で形成してもよい。本実施形態においては、そのような変形例として、アンテナ素子13a乃至13cをそれぞれ含む3つの方形導波管501a乃至501cの開放端が、上から見たときに正三角形の形状になるように配置された導波管アレーアンテナ装置が提供される。ここで、アンテナ素子13aを有する方形導波管501aが導波管アンテナ部601aを構成し、アンテナ素子13bを有する方形導波管501bが導波管アンテナ部601bを構成し、アンテナ素子13cを有する方形導波管501cが導波管アンテナ部601cを構成する。
図50では、アンテナ素子13a乃至13c(図示せず。)は接続点10a乃至10cから下方に垂直に延在して設けられ、アンテナ素子13a乃至13cをそれぞれ含む3つの方形導波管501a乃至501cは、図2に示された導波管アンテナ部501a乃至501dと同様に構成される。また、アンテナ素子13a及び13bを含む各方形導波管501a及び501bはそれぞれの開放端において、当該方形導波管501a及び501bを構成する側面導体のうちの互いに隣接する2つの側面導体の端部が互いに接続される。また、アンテナ素子13b及び13cを含む各方形導波管501b及び501cはそれぞれの開放端において、当該方形導波管501b及び501cを構成する側面導体のうちの互いに隣接する2つの側面導体の端部が互いに接続される。さらに、アンテナ素子13c及び13aを含む各方形導波管501c及び501aはそれぞれの開放端において、当該方形導波管501c及び501aを構成する側面導体のうちの互いに隣接する2つの側面導体の端部が互いに接続される。従って、3つの方形導波管501a乃至501cは、それぞれの開放端が正三角形の対応する辺上に位置するように、その開放端を内側に向け、終端導体を外側に向けて設けられる。このように導波管アレーアンテナ装置を製作することによって、所望の放射指向特性を有し、また第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置よりも簡単な構成のアンテナ装置を提供できる。
第11の実施形態.
図51は、本発明の第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。本実施形態では、第10の実施形態と同様の変形例として、アンテナ素子13a,13b,13c,13d,13e,13fをそれぞれ含む6つの導波管アンテナ部601a,601b,601c,601d,601e,601fの開放端が、上から見たときに正六角形の形状になるように配置された導波管アレーアンテナ装置を構成している。このように導波管アレーアンテナ装置を製作することによって、所望の放射指向特性を有するアンテナ装置を提供できる。
第10及び第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置において、第5乃至第9の実施形態と同様にアンテナ内部に誘電体40を埋め込んでもよい。
第5乃至第11の実施形態において、さらに、第1乃至第4の実施形態と同様に、図15乃至図17で図示した整合導体19a,19a−1,19a−2を備えてもよい。また、第1乃至第4の実施形態と同様に、図18及び図19で図示した指向特性制御導体20a,20a−1を備えてもよい。この場合、整合導体19a,19a−1,19a−2又は指向特性制御導体20a,20a−1は、誘電体基板のスルーホール導体や導体パターンのパターンにより形成してもよい。
なお、第1乃至第4の実施形態で説明した変形例は、第5乃至第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置においてすべて適用可能である。
また、第5乃至第11の実施形態に係る複数の当該導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよく、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
以上の各実施形態や変形例において、1個の整合導体19a,19a−1,19a−2を備えているが、本発明の実施形態はこれに限らず、複数の整合導体19a,19a−1,19a−2を備えてもよい。また、以上の各実施形態や変形例において、1個の指向特性制御導体20a,20a−1を備えているが、本発明はこれに限らず、複数の指向特性制御導体20a,20a−1を備えてもよい。
以上説明したように、本発明に係る実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、薄型である構造のアンテナ装置であって、かつ一方向により強い指向性を有する複数の導波管アンテナ部601a乃至601fを選択的に切り替えて動作させることにより、所望方向に対してより強い指向性を有するアンテナ装置を実現できる。また、上記選択的な切り替えに代えて、複数の無線信号を制御して合成することにより所望方向に対してより強い指向性を有するアンテナ装置を実現できる。
第12の実施形態.
図52は本発明の第12の実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
図52において、セクタパターンアンテナ装置は、例えば互いに異なる(好ましくは、互いに直交する)主ビーム方向のセクタパターンをそれぞれ有する4個のアンテナ部(本実施形態において、1つのアンテナ部によりアンテナ素子装置を構成する。)701a,701b,701c,701dを並置して構成される。ここで、アンテナ部701aはスイッチ702aの接点a、スイッチ704の接点a及び出力端子706を介して、無線受信回路及び無線送信回路を含む無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702aの接点bは負荷インピーダンス素子703aを介して接地される。アンテナ部701bはスイッチ702bの接点a、スイッチ704の接点b及び出力端子706を介して無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702bの接点bは負荷インピーダンス素子703bを介して接地される。アンテナ部701cはスイッチ702cの接点a、スイッチ704の接点c及び出力端子706を介して無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702cの接点bは負荷インピーダンス素子703cを介して接地される。アンテナ部701dはスイッチ702dの接点a、スイッチ704の接点d及び出力端子706を介して無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702dの接点bは負荷インピーダンス素子703dを介して接地される。
コントローラ705は、スイッチ704を順次、接点aから接点b、接点c、接点dの順序で切り換えるが、これらの場合において、スイッチ702a,702b,702c,702dを以下のように切り換えるように制御する。
(1)スイッチ704が接点a側に切り替えられているとき、スイッチ702aを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702b,702c,702dをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701aにより受信された無線信号はスイッチ702aの接点a、スイッチ704の接点a及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701b,701c,701dはそれぞれ負荷インピーダンス素子703b,703c,703dを介して接地される。
(2)スイッチ704が接点b側に切り替えられているとき、スイッチ702bを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702a,702c,702dをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701bにより受信された無線信号はスイッチ702bの接点a、スイッチ704の接点b及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701a,701c,701dはそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703c,703dを介して接地される。
(3)スイッチ704が接点c側に切り替えられているとき、スイッチ702cを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702a,702b,702dをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701cにより受信された無線信号はスイッチ702cの接点a、スイッチ704の接点c及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701a,701b,701dはそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703dを介して接地される。
(4)スイッチ704が接点d側に切り替えられているとき、スイッチ702dを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702a,702b,702cをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701dにより受信された無線信号はスイッチ702dの接点a、スイッチ704の接点d及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701a,701b,701cはそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703cを介して接地される。
以上のようにスイッチ704が順次切り替えられるときに、比較器707は、各アンテナ部701a,701b,701c,701dにより受信される各無線信号の信号レベル(又は電力レベル)を比較器707内のメモリに一時的に格納して、各無線信号の信号レベルを比較し、最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部に関する情報をコントローラ705に出力する。これに応答して、コントローラ705は、最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部を出力端子706に接続するように、スイッチ702a,702b,702c,702d及びスイッチ704を制御する。このとき、スイッチ702a,702b,702c,702dにおいては、上述のように、1つのスイッチ(702a,702b,702c,702dのうちの1つ)が接点a側に接続されているとき、他のスイッチは接点b側に接続される。なお、上記のコントローラ705の処理は、本来の通信に先立って実行してもよいし、通信の実行中においてその中で実行してもよい。
本実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置においては、水平面又は垂直面において空間を分割し、それぞれの空間をカバーするアンテナ部の組により構成される。空間を分割することにより電波の放射方向を絞ることが可能になり、強い指向性を実現し高感度化が図れる。従って、セクタパターンアンテナ装置では、セクタパターンの数だけのアンテナ部が必要で、このうち最も強く受信したアンテナ部のみを出力端子706に接続して動作させることが好ましい。また、出力端子706に接続していないアンテナ部については負荷インピーダンス素子を接続しているので、アンテナ部間におけるアイソレーションによる放射特性の劣化を防止し、負荷インピーダンス素子の素子値を適当に選ぶことにより当該アンテナ装置の感度又は放射利得を向上できる。
なお、図52の実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置においては、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dを備えた場合について説明しているが、本発明はこれに限らず、2つ以上の複数個のアンテナ部を並置して備えてもよい。ここで、複数個のアンテナ部はそれぞれ互いに異なる主ビーム方向のセクタパターンを有し、より好ましくは、複数個のアンテナ部はそれぞれ互いに直交する主ビーム方向のセクタパターンを有する。
図53は図52のセクタパターンアンテナ装置の具体的構成例の外観を示す斜視図であり、図54は図53のセクタパターンアンテナ装置の一部の外観を示す斜視図である。また、図55は図53のセクタパターンアンテナ装置の試作機の設計例を示す斜視図である。
図53乃至図55において図示された構成例において、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dにより水平面を4つのセクタパターンに分割して送受信可能なセクタパターンアンテナ装置を構成している。すなわち、このセクタパターンアンテナ装置では、1つのアンテナ部が水平面において90度のエリアをカバーしている。すなわち、アンテナ部701aは−X軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有し、アンテナ部701bは−Y軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有し、アンテナ部701cはX軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有し、アンテナ部701dはY軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有する。従って、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dは互いに直交する主ビーム方向を有するセクタパターンを有する。
図53のセクタパターンアンテナ装置は以下に示すような、いわゆる「筐体一体型導波管アレーアンテナ装置」を構成している。図53において、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dはそれぞれ、XY平面上に位置した正方形形状(最も好ましくは、正方形形状であるが、矩形形状であってもよい。)の接地導体711上に設けられ、方形導波管803a,803b,803c,803dとアンテナ素子713a乃至713dを備えて、いわゆる「導波管アンテナ部」を構成する。ここで、各方形導波管803a乃至803dは、接地導体711と、この接地導体711に対向する天井導体715a乃至715dと、接地導体711と天井導体715a乃至715dとを連結する仕切壁導体718a乃至718dとから構成され、互いに隣接する2つの方形導波管(803a,803b),(803b,803c),(803c,803d),(803d,803a)の間で仕切壁導体を共有するように隣接して並置される(例えば、天井導体715aを含む方形導波管803aと、天井導体715dを含む方形導波管803dとの間で、仕切壁導体718aを共有している)。
各方形導波管803a乃至803dは、終端導体717a乃至717dにより短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、終端導体717a乃至717dにより短絡された端部は、正方形の接地導体711の辺上に位置するように設けられ、開放された端部は、正方形の接地導体711の対角線上の、より小さい正方形(図示せず。)の辺上に位置するように設けられ、各方形導波管803a乃至803dは接地導体711上の小さい正方形の辺から外側に向かって延在する。また、アンテナ素子713a乃至713dは、一端が天井導体715a乃至715dであって各方形導波管803a乃至803dの開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が接地導体711上に位置する給電点712a乃至712dに電気的に接続されている。各アンテナ部701a乃至701dは、当該アンテナ部701a乃至701dを構成する各方形導波管803a乃至803dの開放された端部において所定の放射指向特性で無線信号を送受信する。各方形導波管803a乃至803dは接地導体711上に異なる向きで設けられているので、これら4つのアンテナ部701a乃至701dの放射指向特性の主ビームはそれぞれ異なる方向を向き、ゆえに、無線信号を送受信するアンテナ素子を選択的に切り替えることによって当該アンテナ装置の指向特性を変化できる。
また、図53において、正方形形状の接地導体711の四辺上に、接地導体711と同じ長さの辺と所定長さ(すなわち高さ)の垂直方向の辺とを有する矩形形状の終端導体717a乃至717dがXY平面に垂直にそれぞれ設けられ、接地導体711の対角線上に、終端導体717a乃至717dの高さと同じ長さの辺と所定長さの辺とを有する矩形形状の仕切壁導体718a乃至718dが、XY平面に垂直に、かつ頂点を接地導体711の頂点に合わせて設けられる。さらに、終端導体717a乃至717d及び仕切壁導体718a乃至718d上に、接地導体711に対向して台形形状の天井導体715a乃至715dが設けられる。従って、仕切壁導体718aは、その上端において台形形状の天井導体715a及び715dの斜辺と接続され、その下端において接地導体711と接続され、その左右端部において終端導体717a及び717dと接続されている。
ここで、天井導体715aは終端導体717aと仕切壁導体718a及び718bの上に設けられ、詳しくは、底面の接地導体711と、当該導波管アレーアンテナ装置の上面にこの接地導体711に対向して配置された台形形状の天井導体715aと、天井導体715aの台形の2つの斜辺において上記接地導体711及び上記天井導体715aをそれぞれ連結する仕切壁導体718a及び718bとにより矩形断面が小さくなるテーパー形状の方形導波管803aが形成され、この方形導波管803aの、より広い断面を有する側の端部は、矩形形状の終端導体717aによって終端密閉されて短絡される一方、上記方形導波管803aの、より狭い断面を有する側の端部は開放状態となっている(以下、こちらの端部を開放端という。)。ここで、これら接地導体711と仕切壁導体718a及び718bと天井導体715aと終端導体717aとは、互いに機械的かつ電気的に接続されるように連結されて、X軸方向に平行な方向に無線信号を伝搬しかつ−X軸方向の端部が閉じられた方形導波管803aを構成している。また、天井導体715aであって、方形導波管803aの開放端及びアンテナ素子713cの近傍であって、方形導波管803aの長手の伝搬方向に対して垂直な方向に長手方向を有するスロット716cが形成されている。
次いで、天井導体715aの下面の、+X軸方向の端部近傍でありかつY軸方向の中心における接続点710aに、導体線からなるアンテナ素子713aの一端が半田付けにより機械的及び電気的に接続される。一方、アンテナ素子713aは接続点710aから下方に向かって垂直に延在し、さらに、アンテナ素子713aの他端は、接地導体711上のX軸上に形成された円形孔において、接地導体711とは電気的に絶縁された給電点712aに接続される。当該給電点712aはさらに、例えば同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続され、また、同軸ケーブルの接地導体は接地導体711に電気的に接続される。これにより、無線通信機回路90から無線信号が同軸ケーブルを介して給電点712aに給電される。また、方形導波管803aとアンテナ素子813aとにより導波管アンテナ部903aが構成される。
また、天井導体715bはスロット716bを有して終端導体717bと仕切壁導体718b及び718cの上に設けられ、天井導体715cはスロット716cを有して終端導体717cと仕切壁導体718c及び718dの上に設けられ、天井導体715dはスロット716cを有して終端導体717dと仕切壁導体718d及び718aの上に設けられ、アンテナ素子713b,713c及び713dを含む導波管アンテナ部903b乃至903dも、同様に構成される。
さらに、アンテナ素子713aの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715cと接地導体711との間に、アンテナ素子713aの入力インピーダンスを調整するための整合導体714aが接続されている。また、アンテナ素子713bの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715bと接地導体711との間に、アンテナ素子713bの入力インピーダンスを調整するための整合導体714bが接続されている。さらに、アンテナ素子713cの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715cと接地導体711との間に、アンテナ素子713cの入力インピーダンスを調整するための整合導体714cが接続されている。またさらに、アンテナ素子713dの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715dと接地導体711との間に、アンテナ素子713dの入力インピーダンスを調整するための整合導体714dが接続されている。なお、1つのアンテナ部に対して1本の整合導体を設けているが、複数本の整合導体を設けてもよい。
図53の構成例では、互いに隣接する2つの方形導波管の側面導体をそれぞれ仕切壁導体731a乃至731dとして一体化されているので、その構造が簡単化されたアンテナ装置を提供できる。アンテナ装置の構造をさらに簡単化するために、天井導体715a乃至715dは、一体化された単一の導体板にて構成されてもよい。
図53の構成例において、各アンテナ部701a乃至701dから放射される電波の位相を揃えるためにスロット716a乃至716dを形成しているが、本発明はこれに限らず、スロット716a乃至716dを形成しなくともよい。
ここで、天井導体715a乃至715dと終端導体717a乃至717dと接地導体711にてなる筐体部で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、天井導体715a乃至715d、終端導体717a乃至717d、又は接地導体711に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部という。なお、アンテナ内部の少なくとも一部を所定の誘電体を充填してもよく、この場合、アンテナ装置のサイズを小型化できる。
図53の構成例では、一例として、接地導体711と終端導体717a乃至717dと天井導体715a乃至715dが電気的に接続され、各給電点712a乃至712dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子712a乃至712dがXY面に垂直な導体線で構成されている場合を示している。
以上のように構成されたアンテナ装置では、例えば、図54に示すように、アンテナ素子713aに給電すると、+Z軸方向でかつ+X軸方向の方向により強い指向性が得られる。従って、図53においてアンテナ素子713bに給電すると+Y軸方向により強い電波が放射され、アンテナ素子713cに給電すると−X軸方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子713dに給電すると−Y軸方向により強い電波が放射される。なお、短絡導体717a乃至717dはそれぞれアンテナ素子713a乃至713dと給電点712a乃至712dとのインピーダンス整合をとり、高効率のエネルギー伝達を行うためのものであり、アンテナ装置の寸法、形状により不要の場合がある。
図56及び図57は図55の試作例のセクタパターンアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける測定結果であって、図56は図55のセクタパターンアンテナ装置の入力端反射係数の周波数特性を示すグラフであり、図57は図55のセクタパターンアンテナ装置のアイソレーションの周波数特性を示すグラフである。ここで、図56は一例としてアンテナ素子713aの場合を示している。他のアンテナ素子713b乃至713dにおいてはそれぞれ、その給電点712b乃至712dは負荷インピーダンス素子703b乃至703dによりインピーダンス整合されている。図56から明らかなように、本試作アンテナ装置では周波数2.5GHzにおいて−24dBのきわめて小さい入力端反射係数が得られ、効率よく放射できることがわかる。
また、図57はアンテナ素子713aと他のアンテナ素子713b乃至713d間におけるアイソレーションの周波数特性を示している。図57から明らかなように、アンテナ素子713aとアンテナ素子713b間のアイソレーション、及びアンテナ素子713aとアンテナ素子713d間のアイソレーションは同じであることがわかる。これは、セクタパターンアンテナ装置の対称性によるものである。また、周波数2.5GHzにおいて、アンテナ素子713aとアンテナ素子713c間のアイソレーションは8dBであり、アンテナ素子713aとアンテナ素子713b間のアイソレーション、及びアンテナ素子713aとアンテナ素子713d間のアイソレーションは12dBである。これにより、1対のアンテナ素子713a,713cが対向する、アンテナ素子713aとアンテナ素子713c間のアイソレーションが最も悪いことがわかる。すなわち、アンテナ素子713aが動作する場合、アンテナ素子713cの影響を最も受ける。
図58及び図59は図55のセクタパターンアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける測定結果であって、図58は図55のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図59は図55のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。なお、図58及び図59では、一例としてアンテナ素子713aの場合を示している。また、他のアンテナ素子713b乃至713dの給電点712b乃至712dは負荷インピーダンス素子703b乃至703dによりインピーダンス整合されている。
図58に示すように、−X軸方向に強い指向性が確認できる。最大放射利得は7.1dBiで、水平面における利得として、−X軸方向に4.1dBi、+X軸方向に2.7dBiが得られている。通信を行っている無線通信装置間では、通常は無線通信装置の置かれている高さの差よりも無線通信装置間の距離の方がきわめて大きい。従って、このような場合、水平面及び低仰角方向における利得の大きいアンテナ部を用いることで、カバーエリアを広げることができる。当該アンテナ装置では、−X軸方向に4.1dBiの比較的大きな利得を得ており、水平面に強く放射する基本アンテナの1つであるダイポールアンテナの利得2.2dBiよりも1.9dB強く放射が得られている。しかしながら、逆方向にも2.7dBiの比較的大きな利得がある。従って、受信の場合には、背後からの不要な妨害波を受ける可能性があり、送信の場合には背後への不要放射が問題になる。そこで、水平面における利得の向上のみならず、アンテナのカバー方向以外における利得との差も大きいことが重要である。なお、当該アンテナ装置の場合には水平面での利得差は1.4dBである。
図53のアンテナ装置を用いて図52に示すセクタパターンアンテナ装置を構成した場合において、図52における負荷インピーダンス素子703a乃至703dを変化させたときの、セクタパターンを構成するアンテナ装置の放射特性の変化を調べる。ここでは、図53におけるアンテナ素子713aに給電したときの放射利得を調べる。このとき、図53におけるアンテナ素子713b乃至713dにはそれぞれ負荷インピーダンス素子703b乃至703dが接続される。負荷インピーダンス素子703a乃至703dのインピーダンス値はそれぞれZa乃至Zdで表され、次式で表される。
Figure 2005043676
ここで、jは虚数単位である。
第12の実施形態の第1の実施例.
図60は本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
図60に示すように、アンテナ素子713aに最も影響が大きいアンテナ素子713cの負荷インピーダンス素子703c(インピーダンス値Zc)のみを変化させた場合の検討を行う。ここで、負荷インピーダンス素子703cには、損失がないように抵抗成分Rcは0とし、リアクタンス値成分Xcのみを持たせた。すなわち、アンテナ部701b及び701dはその入力インピーダンスに等しい抵抗値(例えば、50Ω)を有する負荷インピーダンス素子703b,703dを用いて整合終端されている。
図61は図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値Xcに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。また、他の負荷インピーダンス素子703b及び703dのインピーダンス値Zb,Zdを50Ωとし、無反射となるようにした。アンテナ素子713aに給電した場合における放射利得の変化を図61に示している。図61において、G180は−X軸方向(180度方向)の放射利得[dBi](なお、dBiで示す放射利得は、アイソトロピックアンテナを基準とする絶対利得である。)で所望方向の利得である。また、G0は+X軸方向(0度方向)の利得[dBi]であり、主ビーム方向のセクタパターン外における最大の放射利得となる。Gmaxは最大放射利得[dBi]であり、(G180−G0)[dB]は所望方向の利得と、不要方向の利得との利得差である相対利得である。
図61から明らかなように、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値Xcを変化させることにより、放射利得(G180−G0)、Gmaxともに変化することがわかる。特に、放射利得G180とG0にはそれぞれ最大値を与えるリアクタンス値Xcが存在することがわかる。所望波方向(0度方向)に最大利得の主ビームを有する放射利得G180に関しては、リアクタンス値Xcが−20≦Xc≦0[Ω」において、最大値5.4dBiを得る。また、リアクタンス値Xcが−50≦Xc≦30[Ω」において4.5dBi以上の高利得な指向特性を得ることができる。一方、放射利得G0は小さいことが望まれる。例えば2dBi以下となるリアクタンス値Xcの範囲はXc≦−30[Ω」である。また、所望方向と不要方向の利得差である相対利得(G180−G0)は大きいことが望まれるが、リアクタンス値Xcが大きくなるに伴い小さくなることがわかる。一方、最大放射利得Gmaxは、リアクタンス値Xc≧0において7dBiの高利得特性を得ている。なお、図61には示していないが、この範囲内における最大放射利得はアンテナ部701aの主ビームのセクタパターン内にある。
本実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置においては、所望方向への比較的大きな利得と不要方向への低利得の放射特性が望まれている。そこで、ここでは、放射利得G180が4dBi以上、最大放射利得Gmaxが7dBi以上で、放射利得G0が2dBi以下となることを目安にする。この範囲に含まれるのは、リアクタンス値が−50≦Xc≦−30[Ω」であるときである。このとき、放射利得G180は4.6〜5.2dBi、放射利得G0は0.3〜1.9dBiであり、最大放射利得Gmaxは7.8〜7.9dBiである。
図62及び図63は図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、図62は図60のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図63は図60のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。本発明の第12の実施形態の第1の実施例における最適値としてリアクタンス値Xc=−40[Ω」とする。このときの放射パターンを図62及び図63に示しており、放射利得G180は4.9dBiで、放射利得G0は1.1dBiで、相対利得(G180−G0)は3.8dBとなり、最大放射利得Gmaxは7.9dBiであった。
図64は、本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。図60の装置構成では、1つのアンテナ部に対して2つの負荷インピーダンス素子値を選択的に切り換えて設定する必要があるために、図64に示すように、例えばアンテナ部701aに接続される負荷インピーダンス素子を2つ用意する必要がある。図64の構成例では、図52のスイッチ702aに代えて1対3のスイッチ702a−1を設ける必要があり、スイッチ702a−1の接点aはスイッチ704の接点aを介して出力端子706に接続され、スイッチ702a−1の接点bは負荷インピーダンス素子703a1を介して接地され、スイッチ702a−1の接点cは負荷インピーダンス素子703a2を介して接地される。ここで、例えば、負荷インピーダンス素子703a1のインピーダンス値を−j40Ωとし、負荷インピーダンス素子703a2のインピーダンス値を50Ωにすれば、図60の装置構成を実現できる。なお、図64の構成例では、アンテナ素子713aに給電する場合、すなわちアンテナ部701aを動作させる場合について説明したが、他のアンテナ部701b乃至701dにおいても、図64の装置構成を用いる。
負荷インピーダンス素子703bのインピーダンス値Zcは50[Ω]である、図53のアンテナ装置では、図58及び図59に示すように、最大放射利得Gmaxは7.1dBiで、放射利得G180は4.1dBi、放射利得G0は2.7dBi、相対利得(G180−G0)は1.4dBが得られていた。従って、図64の装置によれば、最大放射利得Gmaxは0.8dBの向上、放射利得G180は0.7dBの向上、放射利得G0は−1.6dBの減少、相対利得(G180−G0)は2.4dBが向上し、いずれの特性も良好な特性が得られていた。このように、対向する各対のアンテナ部に適切な負荷インピーダンス素子を備えることによりセクタパターンアンテナ装置としての放射特性を向上できる。
図65は本発明の第12の実施形態の第2の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第2の実施例では、図65に示すように、リアクタンス値Xc=Xb=Xd≡Xとした場合の特性を調べる。このとき、すべての負荷インピーダンス素子703a乃至703dは同じであるため、図64のように負荷インピーダンス素子をそれぞれ2つ用意する必要はなく、図52に示すように1つの負荷インピーダンス素子でよい。
図66は図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xc=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。図66から明らかなように、図61の場合と若干異なるが、負荷インピーダンス素子703b乃至703dのリアクタンス値Xb=Xc=Xdを変化させることにより、図61の場合とほぼ同様の結果が得られていることがわかる。放射利得G180と放射利得G0が図61の場合に比較して若干小さくなっているが、全体的に放射利得G180よりも放射利得G0の減少幅は大きく、相対利得(G180−G0)は図61の場合に比較して大きくなった。また、最大放射利得Gmaxも図61の場合に比較して大きくなっている。
図61の場合と同様に、放射利得G180が4dBi以上、最大放射利得Gmaxが7dBi以上で、放射利得G0が2dBi以下となることを目安にすると、この範囲に含まれるのは、リアクタンス値Xが−50≦X≦−20[Ω]であるときである。このとき、放射利得G180は4.2〜4.8dBiで、放射利得G0は0.4〜1.6dBiであり、最大放射利得Gmaxは7.8〜8.1dBiである。そこで、ここでは最適値としてX=−40[Ω」とする。
図67及び図68は図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、図67は図65のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図68は図65のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。
図67及び図68から明らかなように、放射利得G180は4.4dBiで、放射利得G0は0.6dBiであり、これより相対利得(G180−G0)は3.8dBとなり、最大放射利得Gmaxは8.0dBiであった。このように、図60に示す構成とほぼ同様の結果が得られた。放射利得G180は、第12の実施形態の第1の実施例に比較して若干低くなったが、第12の実施形態の第2の実施例では負荷インピーダンス素子を1つにできるために1対2のスイッチ702a乃至702dを使用できるという利点がある。また、第12の実施形態の第1の実施例に比べて負荷インピーダンス素子のインピーダンス値Xに対して利得の変化量が少ないために、素子ばらつきの影響を受けにくいという利点もある。
以上においては、アンテナ素子713aに給電する場合、すなわちアンテナ部701aを動作させる場合について説明したが、他のアンテナ部701b乃至701dについても同様に構成すれば、同様の効果が得られる。
第12の実施形態の第3の実施例.
図69は本発明の第12の実施形態の第3の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第3の実施例においては、図69に示すように、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値Xcを一定にし、リアクタンス値Xb=Xd≡Xとしてリアクタンス値Xを変化させた場合の特性を調べる。ここで、リアクタンス値Xc=−40[Ω]とした。このとき、図64の構成例のように負荷インピーダンス素子をそれぞれ2つ用意する必要がある。
図70は図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。図70から明らかなように、負荷インピーダンス素子703b,703dのリアクタンス値Xb=Xd=Xを変化させても、放射利得G180はほとんど変化しないことが分かった。しかしながら、放射利得G0はリアクタンス値X=20〜30[Ω]で極小となることがわかる。すなわち、相対利得(G180−G0)はこのとき極大値を得る。最大放射利得Gmaxも緩やかに減少することがわかる。
第12の実施形態の第1及び第2の実施例と同様に、放射利得G180が4dBi以上、最大放射利得Gmaxが7dBi以上で、放射利得G0が2dBi以下となることを目安にすると、この範囲に含まれるのは、負荷インピーダンス素子703b,703dのリアクタンス値Xb=Xd=Xが50≦X≦30[Ω]である。このとき、放射利得G180は4.0〜4.5dBiで、放射利得G0は−1.4〜1.0dBiであり、最大放射利得Gmaxは7.0〜8.1dBiである。そこで、ここでは最適値としてX=20[Ω]とする。
図71及び図72は、図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、図71は図69のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図72は図69のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。図71及び図72から明らかなように、放射利得G180は4.0dBiで、放射利得G0は−1.4dBiとなり、これにより相対利得(G180−G0)は5.4dBとなり、最大放射利得Gmaxは7.2dBiであった。このように、上述の第12の実施形態の第1及び第2の実施例に比べて放射利得G180はより小さい結果となった。
本実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置では、水平面を4つのセクタパターンに分割しているために、1つのアンテナ部がカバーする水平面の角度は90度である。従って、本来この半値幅が90度であることが最も望ましい。従って、セクタパターンを有するアンテナ部において、放射利得の他に水平面における半値幅をカバーエリアの角度(本実施形態のとき、90度)に近づけることが望まれる。しかしながら、図62と図67の水平面放射パターンでは、利得の最大値よりも半分になる角度幅である半値幅がいずれも65度と若干狭い値であった。この値が90度に近い方が望まれるが、図71の放射パターンは図62と図67に比べて広く、半値幅は75度であった。
図73は図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対するセクタパターンの半値幅を示すグラフである。図73では、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値XcをXc=−40[Ω]とした場合における他の負荷インピーダンス素子703b,703dの各リアクタンス値X(≡Xb=Xd)を変化させたときの半値幅の変化を示す。図73から明らかなように、リアクタンス値X=30[Ω]のときに、半値幅は76度と最大値を取ることがわかる。また、第12の実施形態の第3の実施例において放射特性を示したX=20[Ω]のときも半値幅は75度とほぼ最大値に近い値が得られていることがわかる。このように構成することにより半値幅も可変なセクタパターンアンテナ装置を構成できる。
以上の第12の実施形態の各実施例では、アンテナ素子713aに給電する場合、すなわちアンテナ部701aを動作させる場合について説明したが、他のアンテナ部701b乃至701dに給電する場合であっても同様に構成して同様の効果を得ることができる。
上述の第12の実施形態の第1乃至第3の実施例において、負荷インピーダンス素子703a乃至703dとして、可変容量コンデンサ又は可変容量ダイオードを用いることで、2つの静電容量を1つの素子で実現できる。この場合、負荷インピーダンス素子を1つにできるために素子数の低減のみならず、1対2のスイッチ702a乃至702dを使用できるという利点がある。
第12の実施形態の第1の変形例.
図74は本発明の第12の実施形態の第1の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第1の変形例では、スイッチ704の各接点a乃至dに入力される無線信号を比較し、その比較結果に基づき、コントローラ705はスイッチ702a乃至702dとスイッチ704を制御する。この場合、まず、スイッチ702a乃至702dをすべて接点a側に切り替えてアンテナ部701a乃至701dをそれぞれスイッチ704の接点a乃至dと接続し、比較器707は、各アンテナ部701a乃至701dで受信された4つの無線信号の信号レベル(又は電力レベル)を比較し、最大の信号レベルを有するアンテナ部の情報をコントローラ705に出力する。これに応答して、コントローラ705は、最大の信号レベルを有するアンテナ部を出力端子706に接続するようにスイッチ702a乃至702d及びスイッチ704を制御し、他の信号レベルを有するアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するようにスイッチ702a乃至702dを制御する。これにより、使用するアンテナ部の判定の高速化が図れる。また、図74の装置によれば、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
第12の実施形態の第2の変形例.
図75は本発明の第12の実施形態の第2の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第2の変形例では、図74のスイッチ703に代えて信号分配合成器708を用いたことを特徴としている。各アンテナ部701a乃至701dからの無線信号は、信号分配合成器708により合成され、合成後の無線信号は出力端子706を介して無線通信機回路90に出力される。また、無線通信機回路90から出力端子706を介して入力される送信すべき無線信号は、信号分配合成器708により4分配され、分配後の4つの無線信号はそれぞれスイッチ702a乃至702dの各接点aを介して各アンテナ部701a乃至701dに出力される。そして、比較器707Aは、一度に検出可能な4つの無線信号の信号レベルを検出してかつ互いに比較して最大の信号レベルを有するアンテナ部を判断でき、その情報をコントローラ705に出力する。
以上のように構成されたセクタパターンアンテナ装置では、コントローラ705からのスイッチ704への制御信号線を減らすことができ、当該制御回路の小型化を実現できる。また、コントローラ705の制御処理も軽減できる。
第12の実施形態の第3の変形例.
図76は本発明の第12の実施形態の第3の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第3の変形例では、図75に図示された第12の実施形態の第2の変形例に比較して、アンテナ部701a乃至701dでそれぞれ受信された各無線信号の信号レベルを直接に比較器707Bにより比較し、比較器707Bは最大の信号レベルを有するアンテナ部の情報をコントローラ705に出力することを特徴としている。その他の構成は、第12の実施形態の第2の変形例と同様である。第12の実施形態の第3の変形例によれば、使用するアンテナ部の判定の高速化が図れるとともに、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
第12の実施形態の第4の変形例.
図77は本発明の第12の実施形態の第4の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第4の変形例は、第12の実施形態の第2の変形例と第3の変形例とを組み合わせたものであり、図76のスイッチ704に代えて、信号合成分配器708を備えて構成したことを特徴としている。当該第12の実施形態の第4の変形例によれば、コントローラ705からのスイッチ704への制御信号線を減らすことができ、当該制御回路の小型化を実現できる。また、コントローラ705の制御処理も軽減できる。
第12の実施形態の第5の変形例.
図78は本発明の第12の実施形態の第5の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。当該第12の実施形態の第5の変形例では、スイッチ702a乃至702d及びスイッチ704に代えて、4対4のスイッチ装置702Aを設けたことを特徴としている。
図78において、スイッチ702Aは4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を備えて構成される。ここで、アンテナ部701aは、端子T11を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点aに接続され、アンテナ部701bは、端子T12を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点bに接続され、アンテナ部701cは、端子T13を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点cに接続され、アンテナ部701dは、端子T14を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点dに接続される。スイッチSW1の共通端子T21は出力端子706及び比較器707に接続される。また、スイッチSW2の共通端子T22は負荷インピーダンス素子703aを介して接地され、スイッチSW3の共通端子T23は負荷インピーダンス素子703bを介して接地され、スイッチSW4の共通端子T24は負荷インピーダンス素子703cを介して接地される。
コントローラ705は、比較器705からの最大の信号レベルの無線信号を受信したアンテナ部(701a乃至701dのうちの1つ)の情報に基づいて、そのアンテナ部を出力端子706に接続する一方、他のアンテナ部をそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703dに選択的に接続するようにスイッチ装置702AのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御する。
以上のように構成された第12の実施形態の第5の変形例では、4対4のスイッチ装置702Aを用いることにより、部品点数の大幅削減と回路の簡単化が図れる。また、図78の装置によれば、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
第12の実施形態の第6の変形例.
図79は本発明の第12の実施形態の第6の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第6の比較例では、図78の比較器707に代えて、図76の比較器707Bを備えたことを特徴としている。すなわち、アンテナ部701a乃至701dでそれぞれ受信された各無線信号の信号レベルを直接に比較器707Bにより比較し、比較器707Bは最大の信号レベルを有するアンテナ部の情報をコントローラ705に出力し、コントローラ705は、比較器705からの最大の信号レベルの無線信号を受信したアンテナ部の情報に基づいて、そのアンテナ部を出力端子706に接続する一方、他のアンテナ部をそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703dに選択的に接続するようにスイッチ装置702AのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御する。以上のように構成された第12の実施形態の第6の変形例によれば、使用するアンテナ部の判定の高速化が図れるとともに、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
以上説明したように、本発明に係る実施形態や変形例によれば、複数の導波管アンテナ部とスイッチ又はスイッチ装置とを備えることにより、小形で薄型形状を維持するとともに簡単な構造で、電波を放射したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現でき、送受信したい所望方向に最大の放射利得を有する主ビームを設定するように制御できるアンテナ装置を実現できる。
第12の実施形態の他の変形例.
以上の第12の実施形態の実施例及び変形例においては、互いに主ビーム方向が異なりかつ互いに直交するセクタパターンを有する4つのアンテナ部701a乃至701dを備えたセクタパターンアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、以下のように、互いに主ビーム方向が異なる複数のセクタパターンを有する複数のアンテナ部を備えて構成してもよい。例えば、細長い空間をカバーするためには2方向に強く放射するアンテナが必要になるので、2つのセクタパターンのアンテナ部を備えたセクタパターンアンテナ装置を構成してもよい。この場合、送信又は受信で使用されていない方のアンテナ部に負荷インピーダンス素子を接続する。また、例えば、2つ又は5つ以上のセクタパターンのアンテナ部を備えたセクタパターンアンテナ装置を構成してもよい。セクタパターン数を増やすことにより、1つのセクタパターンの主ビームを鋭くし、エネルギーを集中させより大きな利得のセクタパターンを有するアンテナ装置を実現できる。
また、負荷インピーダンス素子は、チップの抵抗やコイルやコンデンサを用いて一端を接地することにより構成してもよい。このように構成することにより、回路の小型化が図れる。また、負荷インピーダンス素子がリアクタンス値成分のみである場合は、マイクロストリップラインや同軸線路等の高周波伝送線路の一端を短絡又は開放することにより、構成してもよい。これにより、損失の少ない、理想的な負荷インピーダンス素子を実現できる。
なお、上述の第12の実施形態とその実施例又は変形例に係る装置構成を、第1乃至第11の実施形態とその実施例又は変形例に係る装置構成に適用してもよい。
以上詳述したように、本発明に係るアンテナ装置によれば、それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備える。従って、小形で薄型形状を維持するとともに簡単な構造で、電波を放射したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現でき、送受信したい所望方向に最大の放射利得を有する主ビームを設定するように制御できるアンテナ装置を実現できる。
本発明は、並置された複数のアンテナ部を備え、セクタパターンの主ビームを放射できるアンテナ装置と、それを用いた無線通信装置に関する。
従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置の一例が、例えば特許文献1において開示されている。当該従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置では、セクタ化三次元コーナリフレクタアンテナ装置において、当該装置を小型化するとともに、セクタ間のアンテナ特性を均一化したアンテナ装置を提供するために、セクタのそれぞれが、地板と、放射素子と、該放射素子の両側及び背面に設けられる反射板とから構成され、放射素子の両側の反射板は少なくともの1つのフィンを有することを特徴としている。ここで、好ましくは、地板と反射板とフィンは同一の金属で一体化して構成され、各セクタは円形に放射状に配置され、スイッチにより1つのセクタが選択される。フィンの数及び大きさは要求されるアンテナ特性に従って設計される。
従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置において、側面導体の長さを2λ(λは、送受信する電波の基準周波数f0の波長)、側面導体間のコーナ角を30°、側面導体と反射導体の高さを0.6λとしたときの試作アンテナの放射指向性が特許文献1の図2において開示されている。なお、この試作アンテナにおいて、導体フィンは2枚で、導体フィンの幅は0.2λでその長さは1λに設定され、放射素子の後ろの反射導体とアンテナ素子の間隔を0.4λとしている。このとき、水平面内放射指向性は、特許文献1の図2(a)から、3dBビーム幅36°のセクタパターンビームとなっている。一方、垂直面内放射指向性はその図2(b)からチルト角26°、3dBビーム幅34°となる。導体フィンがない場合、3dBビーム幅42°のセクタパターンビームとなり、導体フィンにより6°狭くなっていることがわかる。また、導体フィンがない場合の垂直面内放射指向性はチルト角26°、3dBビーム幅32°となる、導体フィンがある場合と同じである。
従って、特許文献1において開示された導体フィン付き三次元コーナリフレクタアンテナであるセクタパターンアンテナ装置では、導体フィンによる電磁界分布制御の効果により、垂直面内放射指向性の形状やチルト角をほとんど変えることなく、水平面内放射指向性のみビーム幅を鋭くすることができることが開示されている。以上説明したように、特許文献1記載のセクタパターンアンテナ装置によれば、簡単な構造で、所望の水平面指向性を持つ小型で優れたアンテナ装置を実現できる。
日本国特許出願公開平成9年135115号公報。
しかしながら、従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置においては、次のような問題点があった。上述のように、従来技術に係るセクタパターンアンテナ装置は、アンテナ高(反射導体高)が0.6波長あり、薄型アンテナとは言えない。室内の天井等にアンテナを配置する場合は人目に付かないように小型で薄型の形状が望まれる。例えば、無線の周波数が900MHzである場合、0.6波長は198mmであり、アンテナ装置のカバーを考えると、少なくとも200mm以上の高さになる。従って、薄型の形状にすることのできないために、人目に付きやすいという問題点があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して低いアンテナ高を有し、小型・軽量であって、所望の一方向に非常に強い指向性のセクタパターンの主ビームを放射することができ、しかもその指向性を切り替えることができるアンテナ装置とそれを用いた無線通信装置を提供することにある。
本発明に係るアンテナ装置は、それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、
少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、
上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、各アンテナ部の主ビーム方向が互いに異なるように配置されたことを特徴とする。
また、上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、各アンテナ部の主ビーム方向が互いに直交するように配置されたことを特徴とする。
さらに、上記アンテナ装置において、上記制御手段は、上記各アンテナ部で受信された無線信号のうち最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部を上記無線通信機回路に接続するように制御することを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
また、上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする。
さらに、上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする。
またさらに、上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記側面導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする。
ここで、上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする。
また、上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする。
さらに、上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする。
またさらに、上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
上記仕切壁導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする。
従って、第1の発明に係るアンテナ装置によれば、それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備える。従って、小形で薄型形状を維持するとともに簡単な構造で、電波を放射したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現でき、送受信したい所望方向に最大の放射利得を有する主ビームを設定するように制御できるアンテナ装置を実現できる。
また、第2の発明に係るアンテナ装置によれば、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置であって、上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信する。従って、小形軽量であってかつ薄型形状を有し、しかも、しかも簡単な構造であって、上記各導波管アンテナ部のアンテナ素子を切り替え、又は上記各アンテナ素子からの出力信号を制御して合成することにより、従来技術に比較してより強い主ビームを所望の無線信号方向に向けることができる。
さらに、上記各方形導波管にスロットを形成することにより、より大きな利得を有する主ビームを有する指向特性を実現できる。またさらに、上記各方形導波管を例えば直方体形状の筐体内に配置することができ、より小型で実現できる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。また、説明のために、各図に示す三次元のXYZ座標系を参照する。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
この導波管アレーアンテナ装置は、単一の接地導体11上に設けられ、4つの方形導波管501a,501b,501c,501dとアンテナ素子13a,13b,13c,13dにてそれぞれ構成される4つの導波管アンテナ部601a,601b,601c,601dを備える。これら4つの導波管アンテナ部601a乃至601dは、その放射指向特性の主ビームがそれぞれ異なる方向であって互いに直交する方向を向くように設けられているので、無線信号を送受信するアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えることによって、導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化できる。ここで、各方形導波管501a乃至501dは、接地導体11と、この接地導体11に対向する天井導体15a,15b,15c,15dと、接地導体11と天井導体15a乃至15dとを連結する側面導体(16a1,16a2),(16b1,16b2),(16c1,16c2),(16d1,16d2)とから構成され、終端導体14a,14b,14c,14dにより短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、各方形導波管501a乃至501dの開放された端部は、接地導体11上の正方形(図示せず。)の辺上に位置するように設けられ、各方形導波管501a乃至501dは接地導体11上のこの正方形の辺から外側に向かって延在する。
また、アンテナ素子13a乃至13dは、一端が天井導体15a乃至15dであって各方形導波管501a乃至501dの開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が接地導体11上に位置する給電部12a,12b,12c,12dに電気的に接続されている。さらに、各導波管アンテナ部601a乃至601dは、当該各導波管アンテナ部601a乃至601dを構成する各方形導波管501a乃至501dの開放された端部において所定の放射指向特性で無線信号を送受信する。各方形導波管501a乃至501dは接地導体11上に異なる向きであって互いに直交するように設けられているので、これら4つの導波管アンテナ部601a乃至601dの放射指向特性の主ビームはそれぞれ異なる方向であって互いに直交するように向き、ゆえに、無線信号を送受信する各アンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えることで導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化できる。
図2は、図1の導波管アレーアンテナ装置の一部であって、アンテナ素子13aを含む導波管アンテナ部601aの詳細構成を示す斜視図である。
図2において、導波管アンテナ部601aは、XY平面上に位置する底面の接地導体11と、当該導波管アレーアンテナ装置の上面にこの接地導体11に対向して配置された矩形形状の天井導体15aと、上記接地導体11及び上記天井導体15aをそれぞれ連結しかつ互いに対向する矩形形状の側面導体16a1及び16b2とにより形成された方形導波管501aを備える。上記方形導波管501aの一方の端部は、矩形形状の終端導体14aによって終端密閉されて短絡される一方、上記方形導波管501aの他方の端部は、終端導体で終端されていないので開放状態となっている(以下、当該端部を開放端という。)。ここで、これら接地導体11と側面導体16a1及び16b2と天井導体15aと終端導体14aとは、互いに機械的かつ電気的に接続されるように連結されて、X方向に平行な方向に無線信号を伝搬しかつ左端(すなわち−X方向の端部)が閉じられた略直方体形状の方形導波管501aを構成している。
次いで、天井導体15aの下面の右端近傍(すなわち+X方向の端部近傍)でありかつY方向の中心における接続点10a(この接続点10aから終端導体14cまでの長さは、終端導体14cから管内波長の1/4波長又はその奇数倍の長さに設定される。)に、導体線からなるアンテナ素子13aの一端が半田付けにより機械的及び電気的に接続される。一方、アンテナ素子13aは接続点10aから下方に向かって垂直に延在し、さらに、アンテナ素子13aの他端は、接地導体11上のX軸上に形成された円形孔において、接地導体11とは電気的に絶縁された給電点12aに接続される。当該給電点12aはさらに、例えば同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続され、また、同軸ケーブルの接地導体は接地導体11に電気的に接続される。これにより、無線通信機回路90から無線信号が同軸ケーブルを介して給電点12aに給電される。
この方形導波管501aのサイズは、放射しようとする無線信号の最低周波数に依存し、すなわち、当該最低周波数の無線信号を伝搬できるような方形導波管501aのサイズを有することが必要とされる。
さらに、アンテナ素子13b,13c及び13dを含む導波管アンテナ部601b,601c,601dも同様に構成される。図1の導波管アレーアンテナ装置において、アンテナ素子13a及び13cをそれぞれ含む各導波管アンテナ部601a,601cは、開放端を互いに対向させてX軸上に配置され、アンテナ素子13b及び13dをそれぞれ含む各導波管アンテナ部601b,601dは、開放端を互いに対向させてY軸上に配置される。このとき、各方形導波管501a乃至501dの開放端は、接地導体11上の正方形の対応する辺上に位置するように設けられる。従って、側面導体16a1及び16d2が方形導波管501a,501dの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。同様に、側面導体16a2及び16b1が方形導波管501a,501bの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。また、側面導体16b2及び16c1が方形導波管501b,501cの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。さらに、側面導体16c2及び16d1が方形導波管501c,501dの開放端において互いに電気的かつ機械的に接続される。
ここで、天井導体15a乃至15dと終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と接地導体11にてなる筐体部で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、天井導体15a乃至15d、終端導体14a乃至14d、側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2、又は接地導体11に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部という。
本実施形態では、一例として、接地導体11と終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と天井導体15a乃至15dが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成されている場合を示している。
次に、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の動作を図1乃至図5を参照して説明する。
まず、アンテナ素子13aのみに給電されたときの本実施形態における導波管アレーアンテナ装置の動作原理を示す。図3は図2の導波管アンテナ部601aの電界分布を示す斜視図であり、図4は図2の導波管アンテナ部601aの磁流分布を示す斜視図である。
この導波管アンテナ部601aにおいて、電波の放射はアンテナ素子13aを励振することによって行われ、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101により電波は放射される。天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101の向きは図3のようになる。この電界101を磁流に置き換えて説明すると、図4のようにY軸と平行な線状磁流102に置き換えることができる。すなわち、電波の放射は、この磁流102による放射とも見ることができる。この磁流102の振幅はY方向の両端で零であってその中央部で最大値となるように正弦関数的に変化する。すなわち、この導波管アンテナ部601aは、Y軸と平行な線状磁流102のダイポールの指向特性を示す。このダイポールにより、XY平面とYZ平面で垂直偏波の双指向性を得て、ZX平面において無指向性を得る。
図2の導波管アンテナ部601aには磁流102のダイポールに対して−Z方向に接地導体11があり、これが反射板となる。このために電波は+Z方向に強く放射される。さらに、当該導波管アンテナ部601aには−X方向に終端導体14aがあり、これが反射板となるために、+X方向により強い指向性を示す。すなわち、当該導波管アンテナ部601aの構成により、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向により強い指向性が得られる。
従って、図1の導波管アレーアンテナ装置においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、各アンテナ素子13a乃至13dに接続され、給電するアンテナ素子を切り換えるためのスイッチ(図示せず。)を用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を動作させることによって、電波の放射される方向を切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
また、上記の実施形態においては、当該導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合を一例として説明したが、電波(無線信号)を受信する場合も同様である。図5は、図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を選択的に切り替えるためのスイッチの構成の一例を示すブロック図である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子(13a乃至13dのうちの1つ)に、給電端子9及び給電ケーブルを介して無線通信機回路90を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。
図5において、無線通信機回路90は、無線送信回路92と、無線受信回路93と、これらの回路92,93の各動作を制御するコントローラ91と、サーキュレータ94とを備えて構成される。無線送信回路92は無線搬送波を入力されるディジタルデータ信号(例えば、音声、画像、各種データなどを含む)に従ってディジタル変調した後、電力増幅することにより無線信号を発生し、当該無線信号はサーキュレータ94を介して、上述のように選択された1つのアンテナ素子(13a乃至13dのうちの1つ)から放射される一方、選択された1つのアンテナ素子(13a乃至13dのうちの1つ)により受信された無線信号は、無線通信機回路90内のサーキュレータ94を介して無線受信回路93に入力され、無線受信回路93は受信された無線信号に対して、高周波増幅、周波数変換、中間周波増幅、復調などの処理を実行して、当該受信された無線信号に含まれるディジタルデータ信号を抽出する。ここで、図5の装置全体を無線通信装置として構成される。なお、詳細後述される装置においても、複数のアンテナ素子を含むアンテナ装置と、無線通信機回路90とを含み、無線通信装置として構成してもよい。
図5において、例えば、+X方向から電波が到来する場合は、切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aに給電ケーブルを接続すればよい。すなわち、図5に示すように、受信信号電力判定部18が各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さ(なお、電波の信号レベルでもよい。)を判定して、受信される電波の電力が最大であるアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、主ビームを電波の到来する方向に選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
第1の実施形態の第1の実施例.
次に、実際に試作した導波管アレーアンテナ装置を図6に示す。図6は、本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
図6において、一例として、各方形導波管501a乃至501dの幅に対応する終端導体14a乃至14dのXY平面内の長さが120mmであり、各方形導波管501a乃至501dの高さに対応する終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のZ軸方向の長さが12mmである。また、各方形導波管501a乃至501dの奥行きに対応する側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のXY平面内の長さと天井導体15a乃至15dの幅が40mmである。各給電部12a乃至12dはそれぞれX軸上又はY軸上に配置されている。
以下、図7乃至図10の各特性図において、導波管アレーアンテナ装置が図のような寸法を有するときの特性を示す。図7は、図6の導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図7に示したように、本実施形態の試作器である図6の導波管アレーアンテナ装置は周波数2.5GHzで共振し、良好な反射特性を示していることがわかる。当該導波管アレーアンテナ装置は対称な形状をしているので、各アンテナ素子13b,13c,13dに給電した場合も同じ特性が得られる。
図8及び図9は、図6の導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに周波数2.5GHzの無線信号を給電した場合の放射指向特性を示す特性図であり、図8はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図9はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。図8及び図9において、放射指向特性に関する特性図の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にしたdBiである。図9より、電波の放射は+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、しかも簡単な構造であって、一方向により強い指向性を実現していることがわかる。最大放射方向は垂直面においてZ軸から+Xの方向に向かって35度の角度にあって、この角度では9.5dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上で正の方向に1.0dBiの利得が得られた。
図10は、図6のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。この特性図では、放射指向特性の主ビームのみを図示し、サイドローブは省略している。このように、給電するアンテナ素子を変えることにより、電波の放射方向を変えることができる。また、上記実施形態においては、当該導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合を一例として説明したが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。
以上のように構成された本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置により、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、2.5GHzの動作周波数においてZ軸方向の高さが0.1波長となるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄い厚さを有するアンテナ装置である。
以上の実施形態や実施例においては、当該導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
以上説明したように、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、小形軽量であって薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、より強い指向性を有する主ビームを異なる方向に向けて選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
第1の実施形態の第2の実施例.
図11は、本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
本実施形態の第1の実施例においては、導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、図11に示すようにY方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。図11では、アンテナ素子12a及び12cを含む導波管アンテナ部601a,601cの幅(すなわち、終端導体14a及び14cと、天井導体15a及び15cのY軸方向の長さ)が伸長されて160mmになっていて、それに応じて接地導体11もY軸方向に拡張されている。一方、アンテナ素子12b及び12dを含む導波管アンテナ部601b,602dの幅は図6の実施例と同じであり、その他の寸法も図6の寸法と同様である。
図12及び図13は、図11の導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに給電したときの放射指向特性を示す特性図であり、図12はXY平面の放射指向特性を示す特性図であり、図13はZX平面の放射指向特性を示す特性図である。このとき、最大放射方向は垂直面においてZ軸から+Xの方向に向かって35度の角度にあって、10.5dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上で正の方向に3.0dBiの利得が得られた。図11の構造により、±X方向に指向性が強くなる。図12と図8を比べると、導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13a及び13cを含む方形導波管501a及び501cの部分の幅を40mmだけY軸方向に長くすることにより、水平面において2dBの利得が増加していることがわかる。
図14は、図11のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。この特性図では、放射指向特性の主ビームのみを図示し、サイドローブは省略している。図14から明らかなように、本実施例の導波管アレーアンテナ装置は、X方向により強い指向性が得られ、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナとなる。このように、導波管アレーアンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、当該導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造を有してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成された導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dを板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
第1の実施形態の変形例.
図15は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。
所望の入力インピーダンス特性を得るために、図15に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて整合導体19aを備えてもよい。図15の導波管アンテナ部601aでは、線状の導体である整合導体19aは、アンテナ素子13aと平行でかつアンテナ素子13aから−X方向に若干ずれた接地導体11のX軸上の位置(すなわち、アンテナ素子13aから終端導体14aに向う方向に若干ずれた位置であって給電点12aの近傍)において接地導体11に電気的に接続され、その接地導体11上の接続点から上方に向かって延在し、方形導波管501aの高さ(すなわち終端導体14aと側面導体16a1及び16a2の高さ)よりも短い長さを有する。この整合導体19aを備えたことにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させ、それによって、例えば導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに実質的に一致するように、導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを変化できる。従って、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという特有の効果がある。
図16は本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。所望のインピーダンス特性を得るために、図16に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて、アンテナ素子13aと同じ長さの整合導体19a−1を、アンテナ素子13aと平行になるように接続してもよい。この場合、整合導体19a−1の一端は接地導体11に接続される一方、整合導体19a−1の他端は天井導体15aに接続される。
図17は本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。
所望のインピーダンス特性を得るために、図17に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて整合導体19a−2を備えてもよい。図17において、線状の導体である整合導体19a−2は、接地導体11上に電気的に接続され、その接地導体11上の接続点から上方に向かって延在した後、実質的に直角で折り曲げられ、アンテナ素子13aの略中央部の接続点81aに電気的に接続される。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を整合導体19a−2を用いて直接的に変化できるために、インピーダンス特性を大幅に変化できるという特有の効果がある。従って、例えば導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに実質的に一致するように、導波管アレーアンテナ装置の入力インピーダンスを変化でき、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できる。なお、図15乃至図17を参照して、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法を一例として説明したが、それぞれの変形例は、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果をもたらす。
図18は、本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性を変化させるために、図18に示すように、図2の導波管アンテナ部601aの構成に加えて、指向特性制御導体20aを備えたことを特徴としている。
図18において、線状導体の指向特性制御導体20aは、接地導体11の上面のX軸上において、アンテナ素子13aに対してX軸上で正の方向に位置するように設けられ、指向特性制御導体20aの一端は接地導体11と接続点10aにおいて接続され、指向特性制御導体20aはその一端から上方に向かって延在し、方形導波管501aの高さ又はそれよりも若干短い長さを有する。当該導波管アンテナ部601aから放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを備えないときよりも、+X方向に指向性がより鋭くなるという特有の効果が得られる。なお、アンテナ素子13aの指向特性調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
図18の第4の変形例においては、指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aを、螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で構成してもよいし、L字型に折れ曲がった導体線で構成してもよい。これにより、上述の鋭い指向性を有する効果を損なうことなく導波管アレーアンテナ装置を薄型化できる。
図19は、本発明の第1の実施形態の第5の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。
図19においては、図2の導波管アンテナ部601aの構成において、アンテナ素子13aから+X方向にずれたX軸上の接地導体11の位置の接続点に、指向特性制御導体20a−1を設けたことを特徴としている。ここで、指向特性制御導体20a−1は、Z軸に平行な線状導体91と、Y軸に平行な線状導体92とから構成され、線状導体91の一端は接地導体11に電気的に接続され、線状導体91はさらに上方に向かって延在し、方形導波管501aの高さ又はその高さよりも若干短い長さを有し、線状導体91の他端は線状導体92の中間部に接続される。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央部で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さと、Y軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。線状導体91及び92の長さをこのように構成することにより、当該導波管アレーアンテナ装置への給電時において、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、他の長さの設定のときよりも鋭い指向性について大きな効果を得る。図18の指向特性制御導体20aを備えた導波管アンテナ部601aの構成は、主として、導波管アレーアンテナ装置のZX平面内の指向特性を改善する技術であるが、図19の構成にすることにより、導波管アレーアンテナ装置のXY平面での指向特性も変化できる。
図20は、本発明の第1の実施形態の第5の変形例の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作された導波管アレーアンテナ装置を示している。図20は、図6の構成の導波管アレーアンテナ装置に2.5GHzの動作周波数を有する指向特性制御導体20a−1を備えた場合を示している。図21及び図22は、図20の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であり、図21はXY平面の放射指向特性を示す特性図であり、図22はZX平面の放射指向特性を示す特性図である。図21及び図22の放射指向特性を参照すると、指向特性制御導体20a−1を備えたことによって、図8及び図9に示された図6の導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性に比べて、水平面(XY面)においてはY軸方向への放射が増えていることがわかる。これにより、水平面においても、指向特性を大きく変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
なお、第1の実施形態の第5の変形例や実施例では、アンテナ素子13aに対して指向特性制御導体20a−1が1個だけ存在する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、複数のアンテナ素子13a乃至13dに対して少なくとも1つ、又は2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。この場合において、導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく変化させて制御できる。なお、指向特性制御導体20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
また、本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造のアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は、長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせ、もしくはその他の形状を有してもよい。
さらに、当該導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、当該アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、当該導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。この問題点を解決するために、以下の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置を提案する。
図23は、本発明の第1の実施形態の第6の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図23に示した変形例の導波管アレーアンテナ装置は、図1の導波管アレーアンテナ装置をレドーム21により被覆したことを特徴としている。接地導体11が接する底面が概略円形状(それ以外の楕円形状など他の形状であってもよい。)であるレドーム21を用いることにより、アンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎ導波管アレーアンテナ装置の特性を安定化させるとともに、当該導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなく導波管アレーアンテナ装置を設置できるという特有の利点がある。さらに、導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化できる。この場合において、電波の放射方向を調整することが可能になり、導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射指向特性を得ることができる。
図24は、図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化させるための合成回路の一例を示すブロック図である。
以上の実施形態においては、図5の切り替えスイッチ17により受信電力のより強いアンテナ素子に給電ケーブルを接続する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すように、本実施形態の合成回路は、アンテナ素子13a乃至13dにそれぞれ振幅調整回路22a乃至22dを接続し、振幅調整回路22a乃至22dにそれぞれ移相器23a乃至23dを接続し、各移相器23a乃至23dを合成器24に接続するように構成されてもよい。振幅調整回路22a乃至22dは、アンテナ素子13a乃至13dで受信された無線信号の振幅(又は信号レベル)を調整し、移相器23a乃至23dは、振幅調整回路22a乃至22dで振幅調整されて出力された無線信号の位相(又は位相量、もしくは移相量)を調整し、合成器24は、移相器23a乃至23d及び振幅調整回路22a乃至22dで振幅と位相が調整されて出力された無線信号の電力を合成し、給電端子9及び給電ケーブルを介して無線通信機回路90に出力する。
またさらに、アンテナコントローラ25を備えてもよい。この場合において、アンテナコントローラ25は、合成器24からの出力信号の電力(又は信号レベル)が最大となるような、振幅調整回路22a乃至22dにおける振幅調整量と、移相器23a乃至23dにおける位相調整量(位相量又は移相量)を算出し、この算出された振幅及び位相の調整量に基づいて振幅調整回路22a乃至22dと移相器23a乃至23dを制御する。このように構成することにより、さらに受信電力の増加を実現できる。
以上の実施形態や変形例においては、1個の導波管アレーアンテナ装置について説明しているが、本発明はこれに限らず、複数の当該導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
第2の実施形態.
図2は、本発明の第2の実施形態に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図2のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図1の導波管アレーアンテナ装置に比較すると、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置に含まれる4つの方形導波管502a,502b,502c,502dを構成する各天井導体15a乃至15dにおいて、各方形導波管502a乃至502d内の無線信号の伝搬方向に垂直な長手方向(すなわち、各方形導波管502a乃至502dの幅方向と同じ方向)を有し、管内波長の1/4波長に対して十分に小さい幅を有する1つのスロット30a乃至30dをそれぞれ備えている点が異なっている。ここで、スロット30a乃至30dは、各天井導体15a乃至15dにおいて、アンテナ素子13a乃至13dの接続部10a乃至10dと、終端導体14a乃至14dとの間に設けられている。ここで、アンテナ素子13aを有する方形導波管502aは導波管アンテナ部602aを構成し、アンテナ素子13bを有する方形導波管502bは導波管アンテナ部602bを構成し、アンテナ素子13cを有する方形導波管502cは導波管アンテナ部602cを構成し、アンテナ素子13dを有する方形導波管502dは導波管アンテナ部602dを構成する。
本実施形態では、一例として、接地導体11がXY平面上にあり、接地導体11と終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と天井導体15a乃至15dとが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸上又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成され、スロット30a乃至30dが各天井導体15a乃至15d上に1つずつ存在する場合を示している。
次に、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aのみに給電されたときの動作原理を図26乃至図29を用いて説明する。図26は、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の一部であって、アンテナ素子13aを含むスロット付き導波管アンテナ部602aの詳細構成を示す斜視図であり、図27は、図26のスロット付き導波管アンテナ部602aのXZ平面によって切断された断面図である。図28は図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの電界分布を示す斜視図であり、図29は図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの磁流分布を示す斜視図である。
本実施形態においては、電波の放射はアンテナ素子13aを励振させることによって行われ、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界と、スロット30aに発生する電界とにより電波は放射される。従って、図28に示すように、アンテナ素子13aによって天井導体15aと接地導体11との間に発生される電界101は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合の図3と同様になる。スロット30aに発生する電界101aは、その振幅がスロット30aの長手方向の端部で0であり、スロット30aの長手方向の中央で最大となる正弦関数的な分布になる。すなわち、当該スロット付き導波管アンテナ部602aのスロット30aは、Y方向と平行な線状磁流のダイポールの指向特性を示す。このダイポールにより、XY平面とYZ平面で垂直偏波の双指向性を得て、XZ平面において無指向性を得る。一方、図27に本実施形態のスロット付き導波管アンテナ部602aに流れる電流分布を示す。電流110は、給電部12aからアンテナ素子13aに沿って流れ、スロット30aと天井導体15aを介して終端導体14aへ流れ、終端導体14aから接地導体11に流れ給電部12aに戻る。従って、このスロット付き導波管アンテナ部602aに発生する電界分布は図28のようになり、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101の向きと、スロット30aに発生する電界101aの向きとが一致する。すなわち、スロット30aは放射される電波の位相を揃える作用効果を有する。
この電界101及び101aを磁流に置き換えて説明すると、図29に示すように、Y軸と平行な線状磁流源102及び102aに置き換えることができる。つまり、電波の放射は、これらの磁流源102及び102aによる放射と見ることができる。従って、このスロット付き導波管アレーアンテナ装置の指向特性は、この2つの磁流102及び102aによる同相励振のアレーとして得られる。天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界101による指向特性としては、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様で、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向の向きにより強い指向性が得られる。スロット30aに発生する電界101aによる指向特性としても、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向の向きにより強い指向性が得られる。従って、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置では、この2つの指向特性の同相のアレーとなるので、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向の向きにさらにより強い指向性が得られる。
従って、図25においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。
また、上記実施形態においては、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合を一例として説明したが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図5に示すような受信電力判定装置18により各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さを判定して、受信される電波の電力が最大のアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、主ビーム方向を電波の到来する方向に選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、受信時にも、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
図30は、本発明の第2の実施形態の実施例に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作されたスロット付き導波管アレーアンテナ装置を示している。一例として、以下の場合の特性を示す。図30に示されたように、終端導体14a乃至14d天井導体15a乃至15dの、XY平面に平行な長手方向の長さが120mmであり、終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のZ軸方向の高さが12mmであり、側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2のXY平面に平行な方向の長さと天井導体15a乃至15dの幅とが40mmである。また、スロット30a乃至30dの長手方向の長さが120mmであって幅が6mmであり、スロット30a乃至30dの幅方向の中心が各方形導波管502a乃至502dの開放端から5mmだけ離れた位置にある(従って、各方形導波管502a乃至502dの開放端側における天井導体15a乃至15dの端部から、スロット30a乃至30dの端部までの幅が2mmである)。ここで、各給電部12a乃至12dはそれぞれX軸上又はY軸上に配置されている。従って、図30のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成は、スロット30a乃至30dをさらに備えたことのほかは、図6の導波管アレーアンテナ装置の構成と同様である。
図31は、図30のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図31に示したように、本実施例のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は周波数2.5GHzで共振し、良好な反射特性を示していることがわかる。当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置は対称な形状をしているので、各アンテナ素子13b乃至13dに給電した場合も同様の周波数特性が得られる。
図32及び図33は、図26のスロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに周波数2.5GHzの無線信号を給電した場合の放射指向特性を示す特性図であり、図32はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図33はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。ここで、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の利得を表す半径方向の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にした相対利得の単位dBiである。図33から明らかなように、電波の放射は、XYZ座標系の+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、しかも簡単な構造であって、一方向により強い指向性を実現していることがわかる。最大放射方向(すなわち、ビーム方向)では、垂直面においてZ軸から+X方向に向かって40度だけ回転した方向において10.6dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上の正の方向に2.6dBiの利得が得られた。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、各アンテナ素子13a乃至13dに接続された、給電するアンテナ素子を切り替えるためのスイッチを用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を選択的に選択して動作させることによって、電波の放射される方向を選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
以上のように構成された本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置により、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置によれば、2.5GHzの動作周波数のときにZ軸方向の高さが0.1波長となるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄い厚さを有するアンテナ装置である。
以上の実施形態や実施例においては、スロット付き導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置に比べて広帯域なインピーダンス特性が得られるという効果がある。これは、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置には、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構造に特有の共振周波数に加えて、スロット30a乃至30dに起因する共振周波数が存在するためである。この2つの共振周波数に若干の周波数差を与えることにより広帯域な特性が得られる。
また、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同じサイズであるにもかかわらず、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置に比べて最大放射方向において1.1dBの利得を有し、水平面内の最大放射方向でも1.6dBの利得を有する、高利得な特性が得られた。これは、上述したように、各方形導波管502a乃至502dの開放端からの放射とスロット30a乃至30dからの放射の重ね合わせによるものである。
以上説明したように、本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置によれば、小形で薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、従来技術に比較してより強い指向性を有して、その主ビーム方向を選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
以上の本実施形態においては、スロット付き導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、Y方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。この装置構造により、±X方向に指向性が強くなり、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナとなる。このように、アンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を、ZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造で形成してもよい。このような装置構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成されたアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dが板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
さらに、所望の入力インピーダンス特性を得る方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合と同様に整合導体を備えてもよい。例えば、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図15に示すような整合導体19aを備えてもよい。図15においては、整合導体19aが線状の導体であり、接地導体11と接続された例を示している。これにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させることにより、アンテナ素子13aのインピーダンスを変化できる。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。なお、所望のインピーダンス特性を得るために、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図16に示すような整合導体19aが接地導体11及び天井導体15aと接続された構成、図17に示すように整合導体19aが接地導体11及びアンテナ素子13aと接続された構成で形成してもよい。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を直接的に変化できるために、スロット付き導波管アレーアンテナ装置のインピーダンス特性を大幅に変えることができるという効果がある。なお、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の放射特性を変化させる方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図18に示すような指向特性制御導体20aを備えてもよい。
図18においては、指向特性制御導体20aは、X軸上の正の位置において接地導体11と接続されて設けられた例を示している。放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを設けないときに比較して、+X方向に指向性がより鋭くなる効果が得られる。なお、図18では指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aが螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で形成してもよく、L字型に折れ曲がった導体線で形成してもよい。これにより、指向特性制御導体20aを設けたことによる効果を損なうことなくアンテナ装置を薄型化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20aを一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
さらに、スロット付き導波管アレーアンテナ装置には、図19に示すように、Z軸に平行な線状導体91とY軸に平行な線状導体92により構成される指向特性制御導体20a−1が設けられてもよい。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さとY軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。この長さにすることにより、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、指向特性を制御することに関して、より大きな効果を得る。図18のような指向特性制御導体20aを設ける場合は主に、アンテナ装置の垂直面(ZX面)の指向特性を改善する技術であるが、図19のような指向特性制御導体20a−1を備えた構成にすることにより、アンテナ装置のXY面での指向特性も変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20a−1を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
以上の実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dのそれぞれに対して指向特性制御導体が1個だけ存在する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。これにより、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく変化させて制御できる。なお、指向特性制御導体20a又は20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造のスロット付き導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせもしくはその他の形状を有してもよい。また、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。そこで、図23に示された第1の実施形態の第6の変形例のように、接地導体11が接する底面が概略円形(又は楕円などその他の形状でもよい。)であるレドーム21を用いることによりアンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎアンテナ装置の特性を安定化させる事とともに、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなくスロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置できるという特有の利点がある。さらに、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、スロット付き導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化させてもよい。これにより、電波の放射方向を調整することが可能になり、スロット付き導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射特性を得ることができる。
また、本実施形態においては、図5のような切り替えスイッチを用いて選択的に切り替えることにより、所定の方位角から到来する無線信号に対する受信電力がより強いアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すような合成回路を備えて、上述のごとく、各アンテナ素子13a乃至13dで受信される4つの無線信号を制御して合成してもよい。
さらに、複数個の本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
またさらに、本実施形態においては、1つの天井導体15a乃至15dにつきスロット30a乃至30dが1つだけ存在する場合を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、天井導体15a乃至15dのうちの1つに2つ以上のスロットを備えてもよい。これにより、各スロットで送受信される電波の位相が揃い、より強い指向性を実現できる。また、各天井導体15a乃至15dに対して、異なる個数のスロットを設けてもよい。
第3の実施形態.
図34は、本発明の第3の実施形態に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。この筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、図1の導波管アレーアンテナ装置と比較すると、図1の側面導体16d2及び16a1と、16a2及び16b1と、16b2及び16c1と、16c2及び16d1とが、本実施形態ではそれぞれ単一の仕切壁導体31a乃至31dとして一体化され、それによって4つの方形導波管503a,503b,503c,503dを含むアンテナ装置の筐体部の構造が簡単化されていることを特徴とする。
図34において、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、XY平面上に位置した正方形形状の接地導体11上に設けられ、方形導波管503a,503b,503c,503dとアンテナ素子13a乃至13dにてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部603a,603b,603c,603dを備える。ここで、各方形導波管503a乃至503dは、接地導体11と、この接地導体11に対向する天井導体15a乃至15dと、接地導体11と天井導体15a乃至15dとを連結する仕切壁導体31a乃至31dとから構成され、互いに隣接する2つの方形導波管(503a,503b),(503b,503c),(503c,503d),(503d,503a)の間で仕切壁導体を共有するように隣接して並置される(例えば、天井導体15aを含む方形導波管503aと、天井導体15dを含む方形導波管503dとの間で、仕切壁導体31aを共有している)。
各方形導波管503a乃至503dは、終端導体14a乃至14dにより短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、終端導体14a乃至14dにより短絡された端部は、正方形の接地導体11の辺上に位置するように設けられ、開放された端部は、正方形の接地導体11の対角線上の、より小さい正方形(図示せず。)の辺上に位置するように設けられ、各方形導波管503a乃至503dは接地導体11上の小さい正方形の辺から外側に向かって延在する。また、アンテナ素子13a乃至13dは、一端が天井導体15a乃至15dであって各方形導波管503a乃至503dの開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が接地導体11上に位置する給電部12a乃至12dに電気的に接続されている。各導波管アンテナ部603a乃至603dは、当該導波管アンテナ部603a乃至603dを構成する各方形導波管503a乃至503dの開放された端部において所定の放射指向特性で無線信号を送受信する。各方形導波管503a乃至503dは接地導体11上に異なる向きで設けられているので、これら4つの導波管アンテナ部603a乃至603dの放射指向特性の主ビームはそれぞれ異なる方向を向き、ゆえに、無線信号を送受信するアンテナ素子を選択的に切り替えることによって筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化できる。
図34において、正方形形状の接地導体11の四辺上に、接地導体11と同じ長さの辺と所定長さ(すなわち高さ)の垂直方向の辺とを有する矩形形状の終端導体14a乃至14dがXY平面に垂直にそれぞれ設けられ、接地導体11の対角線上に、終端導体14a乃至14dの高さと同じ長さの辺と所定長さの辺とを有する矩形形状の仕切壁導体31a乃至31dが、XY平面に垂直に、かつ頂点を接地導体11の頂点に合わせて設けられる。さらに、終端導体14a乃至14d及び仕切壁導体31a乃至31d上に、接地導体11に対向して台形形状の天井導体15a乃至15dが設けられる。従って、仕切壁導体31aは、その上端において台形形状の天井導体15a及び15dの斜辺と接続され、その下端において接地導体11と接続され、その左右端部において終端導体14a及び14dと接続されている。
ここで、天井導体15aは終端導体14aと仕切壁導体31a及び31bの上に設けられ、詳しくは、底面の接地導体11と、当該導波管アレーアンテナ装置の上面にこの接地導体11に対向して配置された台形形状の天井導体15aと、天井導体15aの台形の2つの斜辺において上記接地導体11及び上記天井導体15aをそれぞれ連結する仕切壁導体31a及び31bとにより矩形断面が小さくなるテーパー形状の方形導波管503aが形成され、この方形導波管503aの、より広い断面を有する側の端部は、矩形形状の終端導体14aによって終端密閉されて短絡される一方、上記方形導波管503aの、より狭い断面を有する側の端部は開放状態となっている(以下、こちらの端部を開放端という。)。ここで、これら接地導体11と仕切壁導体31a及び31bと天井導体15aと終端導体14aとは、互いに機械的かつ電気的に接続されるように連結されて、X軸方向に平行な方向に無線信号を伝搬しかつ−X方向の端部が閉じられた方形導波管503aを構成している。
次いで、天井導体15aの下面の、+X方向の端部近傍でありかつY方向の中心における接続点10aに、導体線からなるアンテナ素子13aの一端が半田付けにより機械的及び電気的に接続される。一方、アンテナ素子13aは接続点10aから下方に向かって垂直に延在し、さらに、アンテナ素子13aの他端は、接地導体11上のX軸上に形成された円形孔において、接地導体11とは電気的に絶縁された給電点12aに接続される。当該給電点12aはさらに、例えば同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続され、また、同軸ケーブルの接地導体は接地導体11に電気的に接続される。これにより、無線通信機回路90から無線信号が同軸ケーブルを介して給電点12aに給電される。上述された方形導波管503aとアンテナ素子13aとにより、図2に示された第1の実施形態と同様に動作する導波管アンテナ部603aが構成される。
また、天井導体15bは終端導体14bと仕切壁導体31b及び31cの上に設けられ、天井導体15cは終端導体14cと仕切壁導体31c及び31dの上に設けられ、天井導体15dは終端導体14dと仕切壁導体31d及び31aの上に設けられ、アンテナ素子13b,13c及び13dを含む導波管アンテナ部603b乃至603dも、同様に構成される。
本実施形態では、第1の実施形態における側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2に相当する構成要素が仕切壁導体31a乃至31dとして一体化されているので、第1の実施形態よりも構造が簡単化されたアンテナ装置を提供できる。アンテナ装置の構造をさらに簡単化するために、天井導体15a乃至15dは、一体化された単一の導体板にて構成されてもよい。
ここで、天井導体15a乃至15dと終端導体14a乃至14dと接地導体11にてなる筐体部で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、天井導体15a乃至15d、終端導体14a乃至14d、又は接地導体11に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部という。
本実施形態では、一例として、接地導体11と終端導体14a乃至14dと天井導体15a乃至15dが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子12a乃至12dがXY面に垂直な導体線で構成されている場合を示している。
本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の動作は第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様である。すなわち、本実施形態に係る構成の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置においてアンテナ素子13aに給電すると、+Z方向でかつ+X方向の方向により強い指向性が得られる。従って、図34においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、各アンテナ素子13a乃至13dに接続された、給電するアンテナ素子を選択的に切り替えるためのスイッチを用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を選択して動作させることによって、電波の放射される方向を選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
また、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合について説明してきたが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子を給電ケーブル(図示せず。)に接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。すなわち、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図5に示すような受信電力判定装置18により各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さを判定して、受信される電波の電力が強いアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、受信時にも、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
図35は、本発明の第3の実施形態の実施例に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を示している。一例として、接地導体11のX方向の長さが120mmでありY方向の幅が120mmであって、終端導体14a乃至14dの、XY平面に平行な方向の長さが120mmである。また、終端導体14a乃至14dと仕切壁導体31a乃至31dのZ方向の高さが12mmであり、台形形状の天井導体15a乃至15dの上底から下底までの距離が20mmである。アンテナ素子13a乃至13dの上端の各接続点10a乃至10dは、各アンテナ素子13a乃至13dを含む各方形導波管503a乃至503dの開放端から2mmの位置に設けられ、各アンテナ素子13a乃至13dは接続点10a乃至10dから下方に延在して、X軸上又はY軸上にそれぞれ配置された各給電部12a乃至12dに接続される。筐体一体型導波管アレーアンテナ装置が以上のように構成されたときの特性を図36に示す。
図36及び図37は、図35の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに2.6GHzの無線信号を給電したときの放射指向特性を示す特性図であり、図36はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図37はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。放射指向特性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にしたdBiである。図37より、電波の放射は+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、しかも簡単な構造であって、一方向へ強い指向性を実現していることがわかる。水平面においてX軸上の負の方向に1.0dBiの利得が得られた。
以上のように構成された、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置により、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、2.6GHzの動作周波数のときにZ軸方向の高さが0.1波長であるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄型なアンテナである。また、図26の実施例に示されたように、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置によれば、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置に比較して、さらに小型のアンテナ装置を実現できる。
以上の実施形態や実施例においては、当該筐体一体型導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
以上説明したように、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置によれば、小形で薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、従来技術に比較してより強い指向性を有し、その主ビーム方向を選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
なお、本実施形態においては、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置として例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、Y方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。動作原理は第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様であり、この構造により、±X方向に指向性が強くなり、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナ装置となる。このように、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置として一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造で形成してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
さらに、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dが板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
またさらに、所望の入力インピーダンス特性を得る方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合と同様に整合導体を備えてもよい。例えば、図34の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図15に示すような整合導体19aを備えてもよい。図15においては、整合導体19aが線状の導体であり、接地導体11と接続された例を示している。これにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させることにより、アンテナ素子13aのインピーダンスを変化できる。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。なお、所望のインピーダンス特性を得るために、図25のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図16に示すような整合導体19aが接地導体11及び天井導体15aと接続された構成、図17に示すように整合導体19aが接地導体11及びアンテナ素子13aと接続された構成で形成してもよい。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を直接的に変化できるために、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のインピーダンス特性を大幅に変えることができるという効果がある。なお、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の放射特性を変化させる方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図18に示すような指向特性制御導体20aを備えてもよい。図18においては、指向特性制御導体20aが、X軸上の正の位置において接地導体11と接続されて設けられた例を示している。放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを設けないときに比較して、+X方向に指向性がより鋭くなる効果が得られる。なお、図18では指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aが螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で形成してもよく、L字型に折れ曲がった導体線で形成してもよい。これにより、指向特性制御導体20aを設けたことによる効果を損なうことなくアンテナ装置を薄型化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20aを一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
さらに、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置には、図19に示すように、Z軸に平行な線状導体91とY軸に平行な線状導体92により構成される指向特性制御導体20a−1が設けられてもよい。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さとY軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。この長さにすることにより、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、指向特性を制御することに関して、より大きな効果を得る。図18のような指向特性制御導体20aを設ける場合は主に、アンテナ装置の垂直面(ZX面)の指向特性を改善する技術であるが、図19のような指向特性制御導体20a−1を備えた構成にすることにより、アンテナ装置のXY面での指向特性も変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20a−1を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
以上において、アンテナ素子13a乃至13dのそれぞれに対して指向特性制御導体が1個だけ存在する場合について説明したが、2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。これにより、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく制御できる。なお、指向特性制御導体20a又は20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせ又はその他の形状を有してもよい。また、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。そこで、図23に示された第1の実施形態の第6の変形例のように、接地導体11が接する底面が概略円形(又は楕円などその他の形状でもよい。)であるレドーム21を用いることによりアンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎアンテナ装置の特性を安定化させる事とともに、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなく筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を設置できるという利点がある。さらに、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化させてもよい。これにより、電波の放射方向を調整でき、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射特性を得ることができる。
また、本実施形態においては、図5のような切り替えスイッチを用いて選択的に切り替えることにより、所定の方位角から到来する無線信号に対する受信電力がより強いアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続する構成について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すような合成回路を備え、筐体一体型導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13a乃至13dにそれぞれ振幅調整回路22a乃至22dを接続し、振幅調整回路22a乃至22dにそれぞれ移相器23a乃至23dを接続し、アンテナ素子13a乃至13dで受信された電波の振幅と位相を変化させて合成器24において電力を合成する構成としても良い。さらに、アンテナコントローラ25を備えてもよい。アンテナコントローラ25は合成回路からの出力信号の電力が最大となるように振幅調整回路22a乃至22dによる振幅調整量と移相器23a乃至23dによる位相調整量を算出し、これを基に振幅調整回路22a乃至22dと上記移相器23a乃至23dを制御する。このように構成することにより、さらに受信電力の増大を実現できる。
さらに、複数個の本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
第4の実施形態.
図38は、本発明の第4の実施形態に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図38において、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図34の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置に比較すると、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置に含まれる4つの方形導波管504a,504b,504c,504dを構成する各天井導体15a乃至15dにおいて、各方形導波管504a乃至504d内の無線信号の伝搬方向に垂直な長手方向(すなわち、各方形導波管504a乃至504dの幅方向と同じ方向)を有し、管内波長の1/4波長に対して十分に小さい幅を有する1つのスロット30a乃至30dがそれぞれ設けられている点が異なっている。ここで、スロット30a乃至30dは、各天井導体15a乃至15dにおいて、アンテナ素子13a乃至13dの接続部10a乃至10dと、終端導体14a乃至14dとの間に設けられている。ここで、アンテナ素子13aを有する方形導波管504aにより導波管アンテナ部604aを構成し、アンテナ素子13bを有する方形導波管504bにより導波管アンテナ部604bを構成する。また、アンテナ素子13cを有する方形導波管504cにより導波管アンテナ部604cを構成し、アンテナ素子13dを有する方形導波管504dにより導波管アンテナ部604dを構成する。
本実施形態においては、一例として、接地導体11がXY平面上にあり、接地導体11と終端導体14a乃至14dと仕切壁導体31a乃至31dと天井導体15a乃至15dとが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸上又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成され、スロット30a乃至30dが各天井導体15a乃至15d上に1つずつ存在する場合を示している。
本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作は、第2の実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置と同様である。すなわち、本実施形態に係る構成を備えた筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置においてアンテナ素子13aに給電すると、天井導体15aと接地導体11の間に発生する電界と、スロット30aに発生する電界により電波は放射され、+Z方向でかつ+X方向の方向により強い指向性が得られる。同様に、図38においてアンテナ素子13bに給電すると+Y方向により強い電波が放射され、アンテナ素子13cに給電すると−X方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子13dに給電すると−Y方向により強い電波が放射される。
本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、各アンテナ素子13a乃至13dに接続された、給電するアンテナ素子を選択的に切り替えるためのスイッチを用いて、所望方向により強い指向性を有するアンテナ素子を選択して動作させることによって、電波の放射される方向を選択的に切り替えることが可能な指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
また、上記実施形態においては、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置から電波を放射する場合について説明したが、電波を受信する場合も同様である。この場合、電波が到来してくる方向により強い指向性を持つアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続することにより、より大きな受信電力が得られる。例えば、+X方向から電波が到来する場合は、図5のような切り替えスイッチ17によりアンテナ素子13aを給電ケーブルに接続すればよい。本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置においても、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図5に示すような受信電力判定装置18により各アンテナ素子13a乃至13dで受信される電波の電力の強さを判定して、受信される電波の電力が強いアンテナ素子を動作させるように切り替えスイッチ17を制御することにより、指向性切り替えアンテナ装置を実現できる。これにより、受信時にも、水平面内で360度の範囲をカバーできる。
図39は、本発明の第4の実施形態の第1の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らにより実際に試作された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を示している。接地導体11と終端導体14a乃至14dと仕切壁導体31a乃至31dと天井導体15a乃至15dにてなる筐体部の寸法及びアンテナ素子13a乃至13dの位置は、図38の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の実施例と同じである。本実施例では、天井導体15a乃至15d上にそれぞれスロット30a乃至30dがさらに設けられ、スロット30a乃至30dは2mmの幅を有して各方形導波管504a乃至504b内の無線信号の伝搬方向に垂直な方向に延在し、スロット30a乃至30dの幅方向の中心は、各方形導波管504a乃至504dの開放端から5mmだけ離れた位置にある。筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置がこのように構成されたときの特性を以下に示す。
図40は、図39の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aにおける反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図40に示したように、本実施例の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は2.3GHzで共振していることがわかる。本実施例の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は対称な形状をしているので、各アンテナ素子13b乃至13dに給電した場合も同じ特性が得られる。
図41及び図42は、図39の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置のアンテナ素子13aに2.3GHzの無線信号を給電した場合の放射指向特性を示す特性図であり、図41はXY平面(水平面)の放射指向特性を示す特性図であり、図42はZX平面(垂直面)の放射指向特性を示す特性図である。放射指向特性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は理想的な点波源の放射電力を基準にしたdBiである。図42から明らかなように、電波の放射は+Z方向でかつ+X方向により強い指向性を示し、しかも簡単な構造であって、一方向へ強い指向性を実現していることがわかる。最大放射方向は垂直面においてZ軸から−X方向に45度だけ回転した方向に、8.7dBiの比較的大きな利得が得られ、水平面においてもX軸上の負の方向に3.4dBiの利得が得られた。
以上説明したように、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、無線信号を送信したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現できる。さらに本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、2.3GHzの動作周波数においてZ軸方向の高さが0.1波長となるアンテナ装置を実現しており、これは非常に薄い厚さを有するアンテナ装置である。
また、実施形態や実施例においては、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置がZX面及びZY面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置からの放射電波の指向特性がZX面及びZY面に対して対称になるという効果がある。
さらに、本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置によれば、小形で薄型形状を有するとともに、しかも簡単な構造であって、従来技術に比較してより強い指向性を有して、その主ビーム方向を選択的に切り替えることが可能なアンテナ装置を実現できる。
以上の実施形態においては、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称で、ZX面での断面形状とZY面での断面形状が同じであるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、放射対象空間が±X方向に長い場合、Y方向に長いアンテナ装置に形成してもよい。その動作原理は第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様であり、この構造により、±X方向に指向性が強くなり、±X方向に長い放射対象空間に適したアンテナとなる。このように、アンテナ装置のX方向とY方向の長さを変えることにより、放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
本実施形態においては、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置について、ZX面及びZY面に対して対称な構造であるアンテナ装置として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZX面のみに対して対称な構造又はZY面のみに対して対称な構造で形成してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
また、本実施形態においては、アンテナ素子13a乃至13dが導体線で構成されたアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンテナ素子13a乃至13dが板状の導体で形成してもよい。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。
さらに、所望の入力インピーダンス特性を得る方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の場合と同様に整合導体を備えてもよい。例えば、図38の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図15に示すような整合導体19aを備えてもよい。図15においては、整合導体19aが線状の導体であり、接地導体11と接続された例を示している。これにより、アンテナ素子13a近傍の電界を変化させ、アンテナ素子13aに流れる電流を変化させることにより、アンテナ素子13aのインピーダンスを変化できる。これにより、所望の入力インピーダンス特性が得られ、反射損失の少ない高効率なアンテナ装置を実現できるという効果がある。なお、所望のインピーダンス特性を得るために、図38の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成に加えて、図16に示すような整合導体19aが接地導体11及び天井導体15aと接続された構成、図17に示すように整合導体19aが接地導体11及びアンテナ素子13aと接続された構成で形成してもよい。これにより、アンテナ素子13aに流れる電流を直接的に変化できるために、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置のインピーダンス特性を大幅に変えることができるという効果がある。なお、アンテナ素子13aのインピーダンス調整法について説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dについても同様の効果が得られる。
図43は、本発明の第4の実施形態の第2の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図であって、本発明者らによって試作された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を示す。この筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図39のアンテナ装置の構成に加えて、図16と同様の整合導体19a−1乃至19d−1をさらに備えている。整合導体19a−1乃至19d−1は、各方形導波管504a乃至504dの開放端から当該方形導波管504a乃至504dの内部に2mmだけ挿入されて設けられ、各アンテナ素子13a乃至13dから3mmだけ離れた位置に、各アンテナ素子13a乃至13dと平行に設けられる。図39に示す第1の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成では、図40に示したように反射損失が−3.7dB程度であり、アンテナ装置に効率よく電力を供給できない。そこで、図43に示すように整合導体19a−1乃至19d−1を備え、給電ケーブル(図示せず。)とのインピーダンスを整合し、高効率なアンテナ装置を実現する。図44は、図43の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。図44から明らかなように、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の共振周波数である2.4GHzでは、反射損失は−13.5dBであり、反射損失の少ない良好な特性が得られていることがわかる。
本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の放射特性を変化させる方法として、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、図18に示すような指向特性制御導体20aを備えてもよい。図18においては、指向特性制御導体20aが、X軸上の正の位置において接地導体11と接続されて設けられた例を示している。放射される電波は、指向特性制御導体20aが導波器として動作する結果、指向特性制御導体20aを設けないときに比較して、+X方向に指向性がより鋭くなる効果が得られる。なお、図18では指向特性制御導体20aを直線状の導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成してもよい。例えば、指向特性制御導体20aが螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で形成してもよく、L字型に折れ曲がった導体線で形成してもよい。これにより、指向特性制御導体20aを設けたことによる効果を損なうことなくアンテナ装置を薄型化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20aを一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
さらに、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置には、図19に示すように、Z軸に平行な線状導体91とY軸に平行な線状導体92により構成される指向特性制御導体20a−1が設けられてもよい。このとき、最も望ましいのは、Z軸に平行な線状導体91がY軸に平行な線状導体92の中央で接続され、Z軸に平行な線状導体91の長さとY軸に平行な線状導体92の半分の長さとの和が約1/4波長となる場合である。この長さにすることにより、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置と同様に、指向特性制御導体20a−1において共振が起こり、指向特性を制御することに関して、より大きな効果を得る。図18のような指向特性制御導体20aを設ける場合は主に、アンテナ装置の垂直面(ZX面)の指向特性を改善する技術であるが、図19のような指向特性制御導体20a−1を備えた構成にすることにより、アンテナ装置のXY面での指向特性も変化できる。なお、アンテナ素子13aの指向特性を調整するための指向特性制御導体20a−1を一例として説明したが、他のアンテナ素子13b乃至13dに対して指向特性制御導体を設けても同様の効果が得られる。
以上において、アンテナ素子13a乃至13dのそれぞれに対して指向特性制御導体が1個だけ存在する場合について説明したが、2個以上の指向特性制御導体を設けてもよい。これにより、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構造の自由度が増え放射指向特性をさらに大きく変化させて制御できる。なお、指向特性制御導体20a又は20a−1を、図15乃至図17に示された整合導体19a,19a−1,19a−2とともに備えてもよい。
また、本実施形態においては、接地導体11が多角形(すなわち正方形)で構成された構造の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11は長方形又はその他の多角形、半円の組み合わせ、もしくはその他の形状を有してもよい。また、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井等に設置する場合、アンテナ装置が目立たないように、アンテナ装置の形状と、天井面の升目又は部屋の形状とを揃えてほしいという要望がある。しかしながら、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の形状が長方形やその他の多角形の場合、天井面の升目又は部屋の形状は固定のため、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置する方向には制限が生じてしまう。
そこで、図23に示された第1の実施形態の第6の変形例のように、接地導体11が接する底面が概略円形(楕円形状など他の形状であってもよい。)であるレドーム21を用いることによりアンテナ特性を劣化させる湿気や埃等の進入を防ぎアンテナ装置の特性を安定化させる事とともに、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を天井に設置する際に、天井面の升目又は部屋の形状に気を使うことなく筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を設置できるという利点がある。さらに、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の底面が円形状の場合、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を回転させ取り付け方向を変化させてもよい。これにより、電波の放射方向を調整することが可能になり、筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の設置位置に最適な放射特性を得ることができる。
本実施形態においては、図5のような切り替えスイッチを用いて選択的に切り替えることにより、所定の方位角から到来する無線信号に対する受信電力がより強いアンテナ素子に給電ケーブル(図示せず。)を接続する構成を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図24に示すような合成回路を備えて、上述のごとく、各アンテナ素子13a乃至13dで受信された4つの無線信号を制御して合成してもよい。
また、複数個の本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよい。これにより、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
なお、本実施形態においては、1つの天井導体15a乃至15dにつきスロット30a乃至30dが1つだけ存在する場合を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、天井導体15a乃至15dのうちの1つに2つ以上のスロットを備えてもよい。これにより、各スロットで送受信される電波の位相が揃い、より強い指向性を実現できる。また、各天井導体15a乃至15dに対して、異なる個数のスロットを設けてもよい。
本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、第2の実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置と同様に、第3の実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構造に特有の共振周波数と、スロット30a乃至30dに起因する共振周波数との間に、若干の周波数差を与えることにより、第3の実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置に比べて広帯域なインピーダンス特性が得られるという効果もある。
第5の実施形態.
図45は、本発明の第5の実施形態であって、第1の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図45において、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、図1に示された第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第1の実施形態に係る作用効果に加えて、誘電体40内を伝搬する電磁波の実効波長を短くすることができるので、当該導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、誘電体基板上に金属導体を公知の導体パターン形成方法を用いて高精度で当該導波管アレーアンテナ装置を製造できる、また、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。
一例として、接地導体11と終端導体14a乃至14dと側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と天井導体15a乃至15dが電気的に接続され、各給電部12a乃至12dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子13a乃至13dがXY面に垂直な導体線で構成され、誘電体40がアンテナ内部の全てに充填されている場合を示している。
本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の動作は、第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の動作と同様である。
本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、アンテナ内部に誘電体40を挿入している。真空での誘電率ε0に対する誘電体40の誘電率の比(比誘電率)をεrとすると、誘電体40内での波長は、真空中の波長に比べて
Figure 2005043676
倍となる。εrは1以上であるから誘電体40内では、波長は短くなる。このため、誘電体40をアンテナ内部に挿入することにより、導波管アレーアンテナ装置をより小形で薄型である構造に形成できる。
第6の実施形態.
図46は、本発明の第6の実施形態であって、第2の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填されたスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図46の導波管アレーアンテナ装置は、図45の導波管アレーアンテナ装置に比較して、天井導体15a乃至15dにスロット30a乃至30dを備えたことを特徴としている。
図46において、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、図25に示された第2の実施形態に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第2の実施形態に係る作用効果に加えて、当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、誘電体基板上に金属導体を公知の導体パターン形成方法を用いて高精度で当該スロット付き導波管アレーアンテナ装置を製造できる、また、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。本実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作は、第2の実施形態のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作と同様である。
第7の実施形態.
図47は、本発明の第7の実施形態であって、第3の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図47において、本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置は、図34に示された第3の実施形態に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第3の実施形態に係る作用効果に加えて、当該筐体一体型導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。本実施形態の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の動作は、第3の実施形態の筐体一体型アレーアンテナ装置の動作と同様である。
第8の実施形態.
図48は、本発明の第8の実施形態であって、第4の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図48において、本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置は、図38に示された第4の実施形態に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置において、そのアンテナ内部を誘電体40によって充填したことを特徴としている。このように構成することにより、第4の実施形態に係る作用効果に加えて、当該筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置を小型化かつ軽量化して形成できるとともに、アンテナ内部に誘電体40が充填されているので、ごみが入らず清掃が不要であるという利点がある。本実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作は、第4の実施形態の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の動作と同様である。
以上の第5乃至第8の実施形態においてそれぞれ、第1乃至第4の実施形態において、アンテナ内部に誘電体40を充填しているが、第1乃至第4の実施形態の各変形例や各実施例においても、アンテナ内部に誘電体40を充填してもよい。
第9の実施形態.
図49は、本発明の第9の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。第5乃至第8の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置はまた、誘電体40をアンテナ内部に挿入した構造になっているので、両面にそれぞれパターン導体である接地導体11及び天井導体15(導体箔にてなる)が形成されている誘電体基板41を用いて作成してもよい。図49の実施形態においては、図45の側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2と終端導体14a乃至14dの代わりに、互いに所定間隔だけ離れてかつ互いに平行に(垂直方向に、すなわち厚さ方向に)形成された複数のスルーホール導体42cを形成したことを特徴としており、図45の導波管アレーアンテナ装置と同様の作用効果を有する。なお、アンテナ素子13a乃至13dもまたスルーホール導体で形成している。ここで、スルーホール導体42cは、下面に接地導体11が形成され、かつ上面に天井導体15a乃至15dが形成された誘電体に厚さ方向に貫通するスルーホール42を形成し、そのスルーホール42に金属導体を充填することにより形成される。本実施形態に係る製造方法においては、エッチング加工等のような公知の導体パターン形成方法を用いることができるので、高精度で天井導体15a乃至15dやスルーホール導体42cを形成することができ、これにより、誘電体40が充填された導波管アレーアンテナ装置の製作精度が向上し、さらに量産によるコストを削減できる。
次いで、図49の導波管アレーアンテナ装置の製作手順の一例を示す。上面と下面にそれぞれ導体パターンの層が形成された誘電体基板を接地導体11の大きさに切断し、上面の導体パターンを例えばエッチング又は機械加工で削ることにより導体パターンの天井導体15a乃至15dを形成する。次いで、誘電体基板において厚さ方向に貫通するようにスルーホールを形成した後、各スルーホールに金属導体を充填することにより、複数のスルーホール導体32にてなる側面導体16a1,16a2乃至16d1,16d2及び終端導体14a乃至14dと、アンテナ素子13とを形成する。ここでは、天井導体15a乃至15dが形成された面を誘電体基板の上面とする。誘電体基板のもう一方の導体パターンが接地導体11となる。さらに、この接地導体11において、アンテナ素子13a乃至13dを構成するスルーホールのある位置に適当な円形孔を形成して給電点12a乃至12dを形成することにより、本実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置を作成できる。図47の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の場合も、仕切壁導体31a乃至31d等の構成要素を同様に作製できる。また、図46及び図48の場合も、表面に導体パターンが形成された誘電体基板に対して、スロット30a乃至30dをエッチング又は機械加工で導体パターンを削ることにより、同様に作成可能である。
以上の第5乃至第9の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、しかも簡単な構造であって、小形で薄型な形状で、かつ工作精度が良く、アンテナ特性の劣化の少ない、一方向により強い指向性を備えたアンテナ装置を実現できる。
また、第5乃至第9の実施形態やその実施例においては、当該導波管アレーアンテナ装置がZX面に対して対称な構造である場合を示した。この場合、導波管アレーアンテナ装置から放射される電波の指向特性がZX面に対して対称になるという効果がある。
さらに、第5乃至第9の実施形態においては、ZX面に対して対称な構造である導波管アレーアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、ZY面にのみ対称な構造、又は、ZY面、ZX面に対して非対称な構造で形成してもよい。このような構造により放射対象空間に最適な放射指向特性を持つアンテナ装置を実現できる。
第5乃至第9の実施形態においては、導体で囲まれたアンテナ内部が誘電体40ですべて満たされている構造の導波管アレーアンテナ装置について説明したが、本発明はこれに限らず、アンテナ内部の少なくとも一部に誘電体40が存在する場合も可能である。例えば、天井導体15a乃至15dと終端導体14a乃至14dと接地導体11で囲まれた空間のみを誘電体基板を用いて形成してもよい。
第10の実施形態.
図50は、本発明の第10の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。本発明の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置は、以上の実施形態のように、接地導体11が正方形又は長方形の底面形状、又はそれらの形状を組み合わせた底面形状を有するアンテナ装置のみに限定されるのではない。例えば、所望の放射指向特性又は所望の入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11はその他の多角形、又は半円の組み合わせ、その他の形状で形成してもよい。本実施形態においては、そのような変形例として、アンテナ素子13a乃至13cをそれぞれ含む3つの方形導波管501a乃至501cの開放端が、上から見たときに正三角形の形状になるように配置された導波管アレーアンテナ装置が提供される。ここで、アンテナ素子13aを有する方形導波管501aが導波管アンテナ部601aを構成し、アンテナ素子13bを有する方形導波管501bが導波管アンテナ部601bを構成し、アンテナ素子13cを有する方形導波管501cが導波管アンテナ部601cを構成する。
図50では、アンテナ素子13a乃至13c(図示せず。)は接続点10a乃至10cから下方に垂直に延在して設けられ、アンテナ素子13a乃至13cをそれぞれ含む3つの方形導波管501a乃至501cは、図2に示された導波管アンテナ部501a乃至501dと同様に構成される。また、アンテナ素子13a及び13bを含む各方形導波管501a及び501bはそれぞれの開放端において、当該方形導波管501a及び501bを構成する側面導体のうちの互いに隣接する2つの側面導体の端部が互いに接続される。また、アンテナ素子13b及び13cを含む各方形導波管501b及び501cはそれぞれの開放端において、当該方形導波管501b及び501cを構成する側面導体のうちの互いに隣接する2つの側面導体の端部が互いに接続される。さらに、アンテナ素子13c及び13aを含む各方形導波管501c及び501aはそれぞれの開放端において、当該方形導波管501c及び501aを構成する側面導体のうちの互いに隣接する2つの側面導体の端部が互いに接続される。従って、3つの方形導波管501a乃至501cは、それぞれの開放端が正三角形の対応する辺上に位置するように、その開放端を内側に向け、終端導体を外側に向けて設けられる。このように導波管アレーアンテナ装置を製作することによって、所望の放射指向特性を有し、また第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置よりも簡単な構成のアンテナ装置を提供できる。
第11の実施形態.
図51は、本発明の第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。本実施形態では、第10の実施形態と同様の変形例として、アンテナ素子13a,13b,13c,13d,13e,13fをそれぞれ含む6つの導波管アンテナ部601a,601b,601c,601d,601e,601fの開放端が、上から見たときに正六角形の形状になるように配置された導波管アレーアンテナ装置を構成している。このように導波管アレーアンテナ装置を製作することによって、所望の放射指向特性を有するアンテナ装置を提供できる。
第10及び第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置において、第5乃至第9の実施形態と同様にアンテナ内部に誘電体40を埋め込んでもよい。
第5乃至第11の実施形態において、さらに、第1乃至第4の実施形態と同様に、図15乃至図17で図示した整合導体19a,19a−1,19a−2を備えてもよい。また、第1乃至第4の実施形態と同様に、図18及び図19で図示した指向特性制御導体20a,20a−1を備えてもよい。この場合、整合導体19a,19a−1,19a−2又は指向特性制御導体20a,20a−1は、誘電体基板のスルーホール導体や導体パターンのパターンにより形成してもよい。
なお、第1乃至第4の実施形態で説明した変形例は、第5乃至第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置においてすべて適用可能である。
また、第5乃至第11の実施形態に係る複数の当該導波管アレーアンテナ装置をアレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナ及びアダプティブアンテナアレーを構成してもよく、さらなる放射電波の指向特性を制御できる。
以上の各実施形態や変形例において、1個の整合導体19a,19a−1,19a−2を備えているが、本発明の実施形態はこれに限らず、複数の整合導体19a,19a−1,19a−2を備えてもよい。また、以上の各実施形態や変形例において、1個の指向特性制御導体20a,20a−1を備えているが、本発明はこれに限らず、複数の指向特性制御導体20a,20a−1を備えてもよい。
以上説明したように、本発明に係る実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置によれば、薄型である構造のアンテナ装置であって、かつ一方向により強い指向性を有する複数の導波管アンテナ部601a乃至601fを選択的に切り替えて動作させることにより、所望方向に対してより強い指向性を有するアンテナ装置を実現できる。また、上記選択的な切り替えに代えて、複数の無線信号を制御して合成することにより所望方向に対してより強い指向性を有するアンテナ装置を実現できる。
第12の実施形態.
図52は本発明の第12の実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
図52において、セクタパターンアンテナ装置は、例えば互いに異なる(好ましくは、互いに直交する)主ビーム方向のセクタパターンをそれぞれ有する4個のアンテナ部(本実施形態において、1つのアンテナ部によりアンテナ素子装置を構成する。)701a,701b,701c,701dを並置して構成される。ここで、アンテナ部701aはスイッチ702aの接点a、スイッチ704の接点a及び出力端子706を介して、無線受信回路及び無線送信回路を含む無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702aの接点bは負荷インピーダンス素子703aを介して接地される。アンテナ部701bはスイッチ702bの接点a、スイッチ704の接点b及び出力端子706を介して無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702bの接点bは負荷インピーダンス素子703bを介して接地される。アンテナ部701cはスイッチ702cの接点a、スイッチ704の接点c及び出力端子706を介して無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702cの接点bは負荷インピーダンス素子703cを介して接地される。アンテナ部701dはスイッチ702dの接点a、スイッチ704の接点d及び出力端子706を介して無線通信機回路90に接続されるとともに、比較器707に接続される。また、スイッチ702dの接点bは負荷インピーダンス素子703dを介して接地される。
コントローラ705は、スイッチ704を順次、接点aから接点b、接点c、接点dの順序で切り換えるが、これらの場合において、スイッチ702a,702b,702c,702dを以下のように切り換えるように制御する。
(1)スイッチ704が接点a側に切り替えられているとき、スイッチ702aを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702b,702c,702dをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701aにより受信された無線信号はスイッチ702aの接点a、スイッチ704の接点a及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701b,701c,701dはそれぞれ負荷インピーダンス素子703b,703c,703dを介して接地される。
(2)スイッチ704が接点b側に切り替えられているとき、スイッチ702bを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702a,702c,702dをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701bにより受信された無線信号はスイッチ702bの接点a、スイッチ704の接点b及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701a,701c,701dはそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703c,703dを介して接地される。
(3)スイッチ704が接点c側に切り替えられているとき、スイッチ702cを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702a,702b,702dをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701cにより受信された無線信号はスイッチ702cの接点a、スイッチ704の接点c及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701a,701b,701dはそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703dを介して接地される。
(4)スイッチ704が接点d側に切り替えられているとき、スイッチ702dを接点a側に切り替える一方、他のスイッチ702a,702b,702cをそれぞれ接点b側に切り換える。これにより、アンテナ部701dにより受信された無線信号はスイッチ702dの接点a、スイッチ704の接点d及び出力端子706を介して無線通信機回路90に出力されるとともに、比較器707に出力される。一方、他のアンテナ部701a,701b,701cはそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703cを介して接地される。
以上のようにスイッチ704が順次切り替えられるときに、比較器707は、各アンテナ部701a,701b,701c,701dにより受信される各無線信号の信号レベル(又は電力レベル)を比較器707内のメモリに一時的に格納して、各無線信号の信号レベルを比較し、最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部に関する情報をコントローラ705に出力する。これに応答して、コントローラ705は、最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部を出力端子706に接続するように、スイッチ702a,702b,702c,702d及びスイッチ704を制御する。このとき、スイッチ702a,702b,702c,702dにおいては、上述のように、1つのスイッチ(702a,702b,702c,702dのうちの1つ)が接点a側に接続されているとき、他のスイッチは接点b側に接続される。なお、上記のコントローラ705の処理は、本来の通信に先立って実行してもよいし、通信の実行中においてその中で実行してもよい。
本実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置においては、水平面又は垂直面において空間を分割し、それぞれの空間をカバーするアンテナ部の組により構成される。空間を分割することにより電波の放射方向を絞ることが可能になり、強い指向性を実現し高感度化が図れる。従って、セクタパターンアンテナ装置では、セクタパターンの数だけのアンテナ部が必要で、このうち最も強く受信したアンテナ部のみを出力端子706に接続して動作させることが好ましい。また、出力端子706に接続していないアンテナ部については負荷インピーダンス素子を接続しているので、アンテナ部間におけるアイソレーションによる放射特性の劣化を防止し、負荷インピーダンス素子の素子値を適当に選ぶことにより当該アンテナ装置の感度又は放射利得を向上できる。
なお、図52の実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置においては、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dを備えた場合について説明しているが、本発明はこれに限らず、2つ以上の複数個のアンテナ部を並置して備えてもよい。ここで、複数個のアンテナ部はそれぞれ互いに異なる主ビーム方向のセクタパターンを有し、より好ましくは、複数個のアンテナ部はそれぞれ互いに直交する主ビーム方向のセクタパターンを有する。
図53は図52のセクタパターンアンテナ装置の具体的構成例の外観を示す斜視図であり、図54は図53のセクタパターンアンテナ装置の一部の外観を示す斜視図である。また、図55は図53のセクタパターンアンテナ装置の試作機の設計例を示す斜視図である。
図53乃至図55において図示された構成例において、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dにより水平面を4つのセクタパターンに分割して送受信可能なセクタパターンアンテナ装置を構成している。すなわち、このセクタパターンアンテナ装置では、1つのアンテナ部が水平面において90度のエリアをカバーしている。すなわち、アンテナ部701aは−X軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有し、アンテナ部701bは−Y軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有し、アンテナ部701cはX軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有し、アンテナ部701dはY軸方向に主ビーム方向を有するセクタパターンを有する。従って、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dは互いに直交する主ビーム方向を有するセクタパターンを有する。
図53のセクタパターンアンテナ装置は以下に示すような、いわゆる「筐体一体型導波管アレーアンテナ装置」を構成している。図53において、4つのアンテナ部701a,701b,701c,701dはそれぞれ、XY平面上に位置した正方形形状(最も好ましくは、正方形形状であるが、矩形形状であってもよい。)の接地導体711上に設けられ、方形導波管803a,803b,803c,803dとアンテナ素子713a乃至713dを備えて、いわゆる「導波管アンテナ部」を構成する。ここで、各方形導波管803a乃至803dは、接地導体711と、この接地導体711に対向する天井導体715a乃至715dと、接地導体711と天井導体715a乃至715dとを連結する仕切壁導体718a乃至718dとから構成され、互いに隣接する2つの方形導波管(803a,803b),(803b,803c),(803c,803d),(803d,803a)の間で仕切壁導体を共有するように隣接して並置される(例えば、天井導体715aを含む方形導波管803aと、天井導体715dを含む方形導波管803dとの間で、仕切壁導体718aを共有している)。
各方形導波管803a乃至803dは、終端導体717a乃至717dにより短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、終端導体717a乃至717dにより短絡された端部は、正方形の接地導体711の辺上に位置するように設けられ、開放された端部は、正方形の接地導体711の対角線上の、より小さい正方形(図示せず。)の辺上に位置するように設けられ、各方形導波管803a乃至803dは接地導体711上の小さい正方形の辺から外側に向かって延在する。また、アンテナ素子713a乃至713dは、一端が天井導体715a乃至715dであって各方形導波管803a乃至803dの開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が接地導体711上に位置する給電点712a乃至712dに電気的に接続されている。各アンテナ部701a乃至701dは、当該アンテナ部701a乃至701dを構成する各方形導波管803a乃至803dの開放された端部において所定の放射指向特性で無線信号を送受信する。各方形導波管803a乃至803dは接地導体711上に異なる向きで設けられているので、これら4つのアンテナ部701a乃至701dの放射指向特性の主ビームはそれぞれ異なる方向を向き、ゆえに、無線信号を送受信するアンテナ素子を選択的に切り替えることによって当該アンテナ装置の指向特性を変化できる。
また、図53において、正方形形状の接地導体711の四辺上に、接地導体711と同じ長さの辺と所定長さ(すなわち高さ)の垂直方向の辺とを有する矩形形状の終端導体717a乃至717dがXY平面に垂直にそれぞれ設けられ、接地導体711の対角線上に、終端導体717a乃至717dの高さと同じ長さの辺と所定長さの辺とを有する矩形形状の仕切壁導体718a乃至718dが、XY平面に垂直に、かつ頂点を接地導体711の頂点に合わせて設けられる。さらに、終端導体717a乃至717d及び仕切壁導体718a乃至718d上に、接地導体711に対向して台形形状の天井導体715a乃至715dが設けられる。従って、仕切壁導体718aは、その上端において台形形状の天井導体715a及び715dの斜辺と接続され、その下端において接地導体711と接続され、その左右端部において終端導体717a及び717dと接続されている。
ここで、天井導体715aは終端導体717aと仕切壁導体718a及び718bの上に設けられ、詳しくは、底面の接地導体711と、当該導波管アレーアンテナ装置の上面にこの接地導体711に対向して配置された台形形状の天井導体715aと、天井導体715aの台形の2つの斜辺において上記接地導体711及び上記天井導体715aをそれぞれ連結する仕切壁導体718a及び718bとにより矩形断面が小さくなるテーパー形状の方形導波管803aが形成され、この方形導波管803aの、より広い断面を有する側の端部は、矩形形状の終端導体717aによって終端密閉されて短絡される一方、上記方形導波管803aの、より狭い断面を有する側の端部は開放状態となっている(以下、こちらの端部を開放端という。)。ここで、これら接地導体711と仕切壁導体718a及び718bと天井導体715aと終端導体717aとは、互いに機械的かつ電気的に接続されるように連結されて、X軸方向に平行な方向に無線信号を伝搬しかつ−X軸方向の端部が閉じられた方形導波管803aを構成している。また、天井導体715aであって、方形導波管803aの開放端及びアンテナ素子713cの近傍であって、方形導波管803aの長手の伝搬方向に対して垂直な方向に長手方向を有するスロット716cが形成されている。
次いで、天井導体715aの下面の、+X軸方向の端部近傍でありかつY軸方向の中心における接続点710aに、導体線からなるアンテナ素子713aの一端が半田付けにより機械的及び電気的に接続される。一方、アンテナ素子713aは接続点710aから下方に向かって垂直に延在し、さらに、アンテナ素子713aの他端は、接地導体711上のX軸上に形成された円形孔において、接地導体711とは電気的に絶縁された給電点712aに接続される。当該給電点712aはさらに、例えば同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続され、また、同軸ケーブルの接地導体は接地導体711に電気的に接続される。これにより、無線通信機回路90から無線信号が同軸ケーブルを介して給電点712aに給電される。また、方形導波管803aとアンテナ素子813aとにより導波管アンテナ部903aが構成される。
また、天井導体715bはスロット716bを有して終端導体717bと仕切壁導体718b及び718cの上に設けられ、天井導体715cはスロット716cを有して終端導体717cと仕切壁導体718c及び718dの上に設けられ、天井導体715dはスロット716cを有して終端導体717dと仕切壁導体718d及び718aの上に設けられ、アンテナ素子713b,713c及び713dを含む導波管アンテナ部903b乃至903dも、同様に構成される。
さらに、アンテナ素子713aの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715cと接地導体711との間に、アンテナ素子713aの入力インピーダンスを調整するための整合導体714aが接続されている。また、アンテナ素子713bの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715bと接地導体711との間に、アンテナ素子713bの入力インピーダンスを調整するための整合導体714bが接続されている。さらに、アンテナ素子713cの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715cと接地導体711との間に、アンテナ素子713cの入力インピーダンスを調整するための整合導体714cが接続されている。またさらに、アンテナ素子713dの近傍であってそれに対して平行となるように、天井導体715dと接地導体711との間に、アンテナ素子713dの入力インピーダンスを調整するための整合導体714dが接続されている。なお、1つのアンテナ部に対して1本の整合導体を設けているが、複数本の整合導体を設けてもよい。
図53の構成例では、互いに隣接する2つの方形導波管の側面導体をそれぞれ仕切壁導体731a乃至731dとして一体化されているので、その構造が簡単化されたアンテナ装置を提供できる。アンテナ装置の構造をさらに簡単化するために、天井導体715a乃至715dは、一体化された単一の導体板にて構成されてもよい。
図53の構成例において、各アンテナ部701a乃至701dから放射される電波の位相を揃えるためにスロット716a乃至716dを形成しているが、本発明はこれに限らず、スロット716a乃至716dを形成しなくともよい。
ここで、天井導体715a乃至715dと終端導体717a乃至717dと接地導体711にてなる筐体部で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、天井導体715a乃至715d、終端導体717a乃至717d、又は接地導体711に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部という。なお、アンテナ内部の少なくとも一部を所定の誘電体を充填してもよく、この場合、アンテナ装置のサイズを小型化できる。
図53の構成例では、一例として、接地導体711と終端導体717a乃至717dと天井導体715a乃至715dが電気的に接続され、各給電点712a乃至712dがX軸又はY軸上に配置され、アンテナ素子712a乃至712dがXY面に垂直な導体線で構成されている場合を示している。
以上のように構成されたアンテナ装置では、例えば、図54に示すように、アンテナ素子713aに給電すると、+Z軸方向でかつ+X軸方向の方向により強い指向性が得られる。従って、図53においてアンテナ素子713bに給電すると+Y軸方向により強い電波が放射され、アンテナ素子713cに給電すると−X軸方向により強い電波が放射される。また、アンテナ素子713dに給電すると−Y軸方向により強い電波が放射される。なお、短絡導体717a乃至717dはそれぞれアンテナ素子713a乃至713dと給電点712a乃至712dとのインピーダンス整合をとり、高効率のエネルギー伝達を行うためのものであり、アンテナ装置の寸法、形状により不要の場合がある。
図56及び図57は図55の試作例のセクタパターンアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける測定結果であって、図56は図55のセクタパターンアンテナ装置の入力端反射係数の周波数特性を示すグラフであり、図57は図55のセクタパターンアンテナ装置のアイソレーションの周波数特性を示すグラフである。ここで、図56は一例としてアンテナ素子713aの場合を示している。他のアンテナ素子713b乃至713dにおいてはそれぞれ、その給電点712b乃至712dは負荷インピーダンス素子703b乃至703dによりインピーダンス整合されている。図56から明らかなように、本試作アンテナ装置では周波数2.5GHzにおいて−24dBのきわめて小さい入力端反射係数が得られ、効率よく放射できることがわかる。
また、図57はアンテナ素子713aと他のアンテナ素子713b乃至713d間におけるアイソレーションの周波数特性を示している。図57から明らかなように、アンテナ素子713aとアンテナ素子713b間のアイソレーション、及びアンテナ素子713aとアンテナ素子713d間のアイソレーションは同じであることがわかる。これは、セクタパターンアンテナ装置の対称性によるものである。また、周波数2.5GHzにおいて、アンテナ素子713aとアンテナ素子713c間のアイソレーションは8dBであり、アンテナ素子713aとアンテナ素子713b間のアイソレーション、及びアンテナ素子713aとアンテナ素子713d間のアイソレーションは12dBである。これにより、1対のアンテナ素子713a,713cが対向する、アンテナ素子713aとアンテナ素子713c間のアイソレーションが最も悪いことがわかる。すなわち、アンテナ素子713aが動作する場合、アンテナ素子713cの影響を最も受ける。
図58及び図59は図55のセクタパターンアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける測定結果であって、図58は図55のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図59は図55のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。なお、図58及び図59では、一例としてアンテナ素子713aの場合を示している。また、他のアンテナ素子713b乃至713dの給電点712b乃至712dは負荷インピーダンス素子703b乃至703dによりインピーダンス整合されている。
図58に示すように、−X軸方向に強い指向性が確認できる。最大放射利得は7.1dBiで、水平面における利得として、−X軸方向に4.1dBi、+X軸方向に2.7dBiが得られている。通信を行っている無線通信装置間では、通常は無線通信装置の置かれている高さの差よりも無線通信装置間の距離の方がきわめて大きい。従って、このような場合、水平面及び低仰角方向における利得の大きいアンテナ部を用いることで、カバーエリアを広げることができる。当該アンテナ装置では、−X軸方向に4.1dBiの比較的大きな利得を得ており、水平面に強く放射する基本アンテナの1つであるダイポールアンテナの利得2.2dBiよりも1.9dB強く放射が得られている。しかしながら、逆方向にも2.7dBiの比較的大きな利得がある。従って、受信の場合には、背後からの不要な妨害波を受ける可能性があり、送信の場合には背後への不要放射が問題になる。そこで、水平面における利得の向上のみならず、アンテナのカバー方向以外における利得との差も大きいことが重要である。なお、当該アンテナ装置の場合には水平面での利得差は1.4dBである。
図53のアンテナ装置を用いて図52に示すセクタパターンアンテナ装置を構成した場合において、図52における負荷インピーダンス素子703a乃至703dを変化させたときの、セクタパターンを構成するアンテナ装置の放射特性の変化を調べる。ここでは、図53におけるアンテナ素子713aに給電したときの放射利得を調べる。このとき、図53におけるアンテナ素子713b乃至713dにはそれぞれ負荷インピーダンス素子703b乃至703dが接続される。負荷インピーダンス素子703a乃至703dのインピーダンス値はそれぞれZa乃至Zdで表され、次式で表される。
Figure 2005043676
ここで、jは虚数単位である。
第12の実施形態の第1の実施例.
図60は本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
図60に示すように、アンテナ素子713aに最も影響が大きいアンテナ素子713cの負荷インピーダンス素子703c(インピーダンス値Zc)のみを変化させた場合の検討を行う。ここで、負荷インピーダンス素子703cには、損失がないように抵抗成分Rcは0とし、リアクタンス値成分Xcのみを持たせた。すなわち、アンテナ部701b及び701dはその入力インピーダンスに等しい抵抗値(例えば、50Ω)を有する負荷インピーダンス素子703b,703dを用いて整合終端されている。
図61は図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値Xcに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。また、他の負荷インピーダンス素子703b及び703dのインピーダンス値Zb,Zdを50Ωとし、無反射となるようにした。アンテナ素子713aに給電した場合における放射利得の変化を図61に示している。図61において、G180は−X軸方向(180度方向)の放射利得[dBi](なお、dBiで示す放射利得は、アイソトロピックアンテナを基準とする絶対利得である。)で所望方向の利得である。また、G0は+X軸方向(0度方向)の利得[dBi]であり、主ビーム方向のセクタパターン外における最大の放射利得となる。Gmaxは最大放射利得[dBi]であり、(G180−G0)[dB]は所望方向の利得と、不要方向の利得との利得差である相対利得である。
図61から明らかなように、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値Xcを変化させることにより、放射利得(G180−G0)、Gmaxともに変化することがわかる。特に、放射利得G180とG0にはそれぞれ最大値を与えるリアクタンス値Xcが存在することがわかる。所望波方向(0度方向)に最大利得の主ビームを有する放射利得G180に関しては、リアクタンス値Xcが−20≦Xc≦0[Ω」において、最大値5.4dBiを得る。また、リアクタンス値Xcが−50≦Xc≦30[Ω」において4.5dBi以上の高利得な指向特性を得ることができる。一方、放射利得G0は小さいことが望まれる。例えば2dBi以下となるリアクタンス値Xcの範囲はXc≦−30[Ω」である。また、所望方向と不要方向の利得差である相対利得(G180−G0)は大きいことが望まれるが、リアクタンス値Xcが大きくなるに伴い小さくなることがわかる。一方、最大放射利得Gmaxは、リアクタンス値Xc≧0において7dBiの高利得特性を得ている。なお、図61には示していないが、この範囲内における最大放射利得はアンテナ部701aの主ビームのセクタパターン内にある。
本実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置においては、所望方向への比較的大きな利得と不要方向への低利得の放射特性が望まれている。そこで、ここでは、放射利得G180が4dBi以上、最大放射利得Gmaxが7dBi以上で、放射利得G0が2dBi以下となることを目安にする。この範囲に含まれるのは、リアクタンス値が−50≦Xc≦−30[Ω」であるときである。このとき、放射利得G180は4.6〜5.2dBi、放射利得G0は0.3〜1.9dBiであり、最大放射利得Gmaxは7.8〜7.9dBiである。
図62及び図63は図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、図62は図60のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図63は図60のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。本発明の第12の実施形態の第1の実施例における最適値としてリアクタンス値Xc=−40[Ω」とする。このときの放射パターンを図62及び図63に示しており、放射利得G180は4.9dBiで、放射利得G0は1.1dBiで、相対利得(G180−G0)は3.8dBとなり、最大放射利得Gmaxは7.9dBiであった。
図64は、本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。図60の装置構成では、1つのアンテナ部に対して2つの負荷インピーダンス素子値を選択的に切り換えて設定する必要があるために、図64に示すように、例えばアンテナ部701aに接続される負荷インピーダンス素子を2つ用意する必要がある。図64の構成例では、図52のスイッチ702aに代えて1対3のスイッチ702a−1を設ける必要があり、スイッチ702a−1の接点aはスイッチ704の接点aを介して出力端子706に接続され、スイッチ702a−1の接点bは負荷インピーダンス素子703a1を介して接地され、スイッチ702a−1の接点cは負荷インピーダンス素子703a2を介して接地される。ここで、例えば、負荷インピーダンス素子703a1のインピーダンス値を−j40Ωとし、負荷インピーダンス素子703a2のインピーダンス値を50Ωにすれば、図60の装置構成を実現できる。なお、図64の構成例では、アンテナ素子713aに給電する場合、すなわちアンテナ部701aを動作させる場合について説明したが、他のアンテナ部701b乃至701dにおいても、図64の装置構成を用いる。
負荷インピーダンス素子703bのインピーダンス値Zcは50[Ω]である、図53のアンテナ装置では、図58及び図59に示すように、最大放射利得Gmaxは7.1dBiで、放射利得G180は4.1dBi、放射利得G0は2.7dBi、相対利得(G180−G0)は1.4dBが得られていた。従って、図64の装置によれば、最大放射利得Gmaxは0.8dBの向上、放射利得G180は0.7dBの向上、放射利得G0は−1.6dBの減少、相対利得(G180−G0)は2.4dBが向上し、いずれの特性も良好な特性が得られていた。このように、対向する各対のアンテナ部に適切な負荷インピーダンス素子を備えることによりセクタパターンアンテナ装置としての放射特性を向上できる。
第12の実施形態の第2の実施例.
図65は本発明の第12の実施形態の第2の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第2の実施例では、図65に示すように、リアクタンス値Xc=Xb=Xd≡Xとした場合の特性を調べる。このとき、すべての負荷インピーダンス素子703a乃至703dは同じであるため、図64のように負荷インピーダンス素子をそれぞれ2つ用意する必要はなく、図52に示すように1つの負荷インピーダンス素子でよい。
図66は図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xc=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。図66から明らかなように、図61の場合と若干異なるが、負荷インピーダンス素子703b乃至703dのリアクタンス値Xb=Xc=Xdを変化させることにより、図61の場合とほぼ同様の結果が得られていることがわかる。放射利得G180と放射利得G0が図61の場合に比較して若干小さくなっているが、全体的に放射利得G180よりも放射利得G0の減少幅は大きく、相対利得(G180−G0)は図61の場合に比較して大きくなった。また、最大放射利得Gmaxも図61の場合に比較して大きくなっている。
図61の場合と同様に、放射利得G180が4dBi以上、最大放射利得Gmaxが7dBi以上で、放射利得G0が2dBi以下となることを目安にすると、この範囲に含まれるのは、リアクタンス値Xが−50≦X≦−20[Ω]であるときである。このとき、放射利得G180は4.2〜4.8dBiで、放射利得G0は0.4〜1.6dBiであり、最大放射利得Gmaxは7.8〜8.1dBiである。そこで、ここでは最適値としてX=−40[Ωとする。
図67及び図68は図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、図67は図65のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図68は図65のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。
図67及び図68から明らかなように、放射利得G180は4.4dBiで、放射利得G0は0.6dBiであり、これより相対利得(G180−G0)は3.8dBとなり、最大放射利得Gmaxは8.0dBiであった。このように、図60に示す構成とほぼ同様の結果が得られた。放射利得G180は、第12の実施形態の第1の実施例に比較して若干低くなったが、第12の実施形態の第2の実施例では負荷インピーダンス素子を1つにできるために1対2のスイッチ702a乃至702dを使用できるという利点がある。また、第12の実施形態の第1の実施例に比べて負荷インピーダンス素子のインピーダンス値Xに対して利得の変化量が少ないために、素子ばらつきの影響を受けにくいという利点もある。
以上においては、アンテナ素子713aに給電する場合、すなわちアンテナ部701aを動作させる場合について説明したが、他のアンテナ部701b乃至701dについても同様に構成すれば、同様の効果が得られる。
第12の実施形態の第3の実施例.
図69は本発明の第12の実施形態の第3の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第3の実施例においては、図69に示すように、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値Xcを一定にし、リアクタンス値Xb=Xd≡Xとしてリアクタンス値Xを変化させた場合の特性を調べる。ここで、リアクタンス値Xc=−40[Ω]とした。このとき、図64の構成例のように負荷インピーダンス素子をそれぞれ2つ用意する必要がある。
図70は図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。図70から明らかなように、負荷インピーダンス素子703b,703dのリアクタンス値Xb=Xd=Xを変化させても、放射利得G180はほとんど変化しないことが分かった。しかしながら、放射利得G0はリアクタンス値X=20〜30[Ω]で極小となることがわかる。すなわち、相対利得(G180−G0)はこのとき極大値を得る。最大放射利得Gmaxも緩やかに減少することがわかる。
第12の実施形態の第1及び第2の実施例と同様に、放射利得G180が4dBi以上、最大放射利得Gmaxが7dBi以上で、放射利得G0が2dBi以下となることを目安にすると、この範囲に含まれるのは、負荷インピーダンス素子703b,703dのリアクタンス値Xb=Xd=Xが50≦X≦30[Ω]である。このとき、放射利得G180は4.0〜4.5dBiで、放射利得G0は−1.4〜1.0dBiであり、最大放射利得Gmaxは7.0〜8.1dBiである。そこで、ここでは最適値としてX=20[Ω]とする。
図71及び図72は、図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、図71は図69のセクタパターンアンテナ装置の水平面放射特性を示すグラフであり、図72は図69のセクタパターンアンテナ装置の垂直面放射特性を示すグラフである。図71及び図72から明らかなように、放射利得G180は4.0dBiで、放射利得G0は−1.4dBiとなり、これにより相対利得(G180−G0)は5.4dBとなり、最大放射利得Gmaxは7.2dBiであった。このように、上述の第12の実施形態の第1及び第2の実施例に比べて放射利得G180はより小さい結果となった。
本実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置では、水平面を4つのセクタパターンに分割しているために、1つのアンテナ部がカバーする水平面の角度は90度である。従って、本来この半値幅が90度であることが最も望ましい。従って、セクタパターンを有するアンテナ部において、放射利得の他に水平面における半値幅をカバーエリアの角度(本実施形態のとき、90度)に近づけることが望まれる。しかしながら、図62と図67の水平面放射パターンでは、利得の最大値よりも半分になる角度幅である半値幅がいずれも65度と若干狭い値であった。この値が90度に近い方が望まれるが、図71の放射パターンは図62と図67に比べて広く、半値幅は75度であった。
図73は図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対するセクタパターンの半値幅を示すグラフである。図73では、負荷インピーダンス素子703cのリアクタンス値XcをXc=−40[Ω]とした場合における他の負荷インピーダンス素子703b,703dの各リアクタンス値X(≡Xb=Xd)を変化させたときの半値幅の変化を示す。図73から明らかなように、リアクタンス値X=30[Ω]のときに、半値幅は76度と最大値を取ることがわかる。また、第12の実施形態の第3の実施例において放射特性を示したX=20[Ω]のときも半値幅は75度とほぼ最大値に近い値が得られていることがわかる。このように構成することにより半値幅も可変なセクタパターンアンテナ装置を構成できる。
以上の第12の実施形態の各実施例では、アンテナ素子713aに給電する場合、すなわちアンテナ部701aを動作させる場合について説明したが、他のアンテナ部701b乃至701dに給電する場合であっても同様に構成して同様の効果を得ることができる。
上述の第12の実施形態の第1乃至第3の実施例において、負荷インピーダンス素子703a乃至703dとして、可変容量コンデンサ又は可変容量ダイオードを用いることで、2つの静電容量を1つの素子で実現できる。この場合、負荷インピーダンス素子を1つにできるために素子数の低減のみならず、1対2のスイッチ702a乃至702dを使用できるという利点がある。
第12の実施形態の第1の変形例.
図74は本発明の第12の実施形態の第1の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第1の変形例では、スイッチ704の各接点a乃至dに入力される無線信号を比較し、その比較結果に基づき、コントローラ705はスイッチ702a乃至702dとスイッチ704を制御する。この場合、まず、スイッチ702a乃至702dをすべて接点a側に切り替えてアンテナ部701a乃至701dをそれぞれスイッチ704の接点a乃至dと接続し、比較器707は、各アンテナ部701a乃至701dで受信された4つの無線信号の信号レベル(又は電力レベル)を比較し、最大の信号レベルを有するアンテナ部の情報をコントローラ705に出力する。これに応答して、コントローラ705は、最大の信号レベルを有するアンテナ部を出力端子706に接続するようにスイッチ702a乃至702d及びスイッチ704を制御し、他の信号レベルを有するアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するようにスイッチ702a乃至702dを制御する。これにより、使用するアンテナ部の判定の高速化が図れる。また、図74の装置によれば、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
第12の実施形態の第2の変形例.
図75は本発明の第12の実施形態の第2の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第2の変形例では、図74のスイッチ703に代えて信号分配合成器708を用いたことを特徴としている。各アンテナ部701a乃至701dからの無線信号は、信号分配合成器708により合成され、合成後の無線信号は出力端子706を介して無線通信機回路90に出力される。また、無線通信機回路90から出力端子706を介して入力される送信すべき無線信号は、信号分配合成器708により4分配され、分配後の4つの無線信号はそれぞれスイッチ702a乃至702dの各接点aを介して各アンテナ部701a乃至701dに出力される。そして、比較器707Aは、一度に検出可能な4つの無線信号の信号レベルを検出してかつ互いに比較して最大の信号レベルを有するアンテナ部を判断でき、その情報をコントローラ705に出力する。
以上のように構成されたセクタパターンアンテナ装置では、コントローラ705からのスイッチ704への制御信号線を減らすことができ、当該制御回路の小型化を実現できる。また、コントローラ705の制御処理も軽減できる。
第12の実施形態の第3の変形例.
図76は本発明の第12の実施形態の第3の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第3の変形例では、図75に図示された第12の実施形態の第2の変形例に比較して、アンテナ部701a乃至701dでそれぞれ受信された各無線信号の信号レベルを直接に比較器707Bにより比較し、比較器707Bは最大の信号レベルを有するアンテナ部の情報をコントローラ705に出力することを特徴としている。その他の構成は、第12の実施形態の第2の変形例と同様である。第12の実施形態の第3の変形例によれば、使用するアンテナ部の判定の高速化が図れるとともに、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
第12の実施形態の第4の変形例.
図77は本発明の第12の実施形態の第4の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第4の変形例は、第12の実施形態の第2の変形例と第3の変形例とを組み合わせたものであり、図76のスイッチ704に代えて、信号合成分配器708を備えて構成したことを特徴としている。当該第12の実施形態の第4の変形例によれば、コントローラ705からのスイッチ704への制御信号線を減らすことができ、当該制御回路の小型化を実現できる。また、コントローラ705の制御処理も軽減できる。
第12の実施形態の第5の変形例.
図78は本発明の第12の実施形態の第5の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。当該第12の実施形態の第5の変形例では、スイッチ702a乃至702d及びスイッチ704に代えて、4対4のスイッチ装置702Aを設けたことを特徴としている。
図78において、スイッチ702Aは4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を備えて構成される。ここで、アンテナ部701aは、端子T11を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点aに接続され、アンテナ部701bは、端子T12を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点bに接続され、アンテナ部701cは、端子T13を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点cに接続され、アンテナ部701dは、端子T14を介して4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4の各接点dに接続される。スイッチSW1の共通端子T21は出力端子706及び比較器707に接続される。また、スイッチSW2の共通端子T22は負荷インピーダンス素子703aを介して接地され、スイッチSW3の共通端子T23は負荷インピーダンス素子703bを介して接地され、スイッチSW4の共通端子T24は負荷インピーダンス素子703cを介して接地される。
コントローラ705は、比較器705からの最大の信号レベルの無線信号を受信したアンテナ部(701a乃至701dのうちの1つ)の情報に基づいて、そのアンテナ部を出力端子706に接続する一方、他のアンテナ部をそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703dに選択的に接続するようにスイッチ装置702AのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御する。
以上のように構成された第12の実施形態の第5の変形例では、4対4のスイッチ装置702Aを用いることにより、部品点数の大幅削減と回路の簡単化が図れる。また、図78の装置によれば、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
第12の実施形態の第6の変形例.
図79は本発明の第12の実施形態の第6の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
当該第12の実施形態の第6の比較例では、図78の比較器707に代えて、図76の比較器707Bを備えたことを特徴としている。すなわち、アンテナ部701a乃至701dでそれぞれ受信された各無線信号の信号レベルを直接に比較器707Bにより比較し、比較器707Bは最大の信号レベルを有するアンテナ部の情報をコントローラ705に出力し、コントローラ705は、比較器705からの最大の信号レベルの無線信号を受信したアンテナ部の情報に基づいて、そのアンテナ部を出力端子706に接続する一方、他のアンテナ部をそれぞれ負荷インピーダンス素子703a,703b,703dに選択的に接続するようにスイッチ装置702AのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御する。以上のように構成された第12の実施形態の第6の変形例によれば、使用するアンテナ部の判定の高速化が図れるとともに、図60の装置構成と、図65の装置構成と、図69の装置構成とを組み合わせた装置構成を実現できる。
以上説明したように、本発明に係る実施形態や変形例によれば、複数の導波管アンテナ部とスイッチ又はスイッチ装置とを備えることにより、小形で薄型形状を維持するとともに簡単な構造で、電波を放射したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現でき、送受信したい所望方向に最大の放射利得を有する主ビームを設定するように制御できるアンテナ装置を実現できる。
第12の実施形態の他の変形例.
以上の第12の実施形態の実施例及び変形例においては、互いに主ビーム方向が異なりかつ互いに直交するセクタパターンを有する4つのアンテナ部701a乃至701dを備えたセクタパターンアンテナ装置を一例として説明したが、本発明はこれに限らず、以下のように、互いに主ビーム方向が異なる複数のセクタパターンを有する複数のアンテナ部を備えて構成してもよい。例えば、細長い空間をカバーするためには2方向に強く放射するアンテナが必要になるので、2つのセクタパターンのアンテナ部を備えたセクタパターンアンテナ装置を構成してもよい。この場合、送信又は受信で使用されていない方のアンテナ部に負荷インピーダンス素子を接続する。また、例えば、2つ又は5つ以上のセクタパターンのアンテナ部を備えたセクタパターンアンテナ装置を構成してもよい。セクタパターン数を増やすことにより、1つのセクタパターンの主ビームを鋭くし、エネルギーを集中させより大きな利得のセクタパターンを有するアンテナ装置を実現できる。
また、負荷インピーダンス素子は、チップの抵抗やコイルやコンデンサを用いて一端を接地することにより構成してもよい。このように構成することにより、回路の小型化が図れる。また、負荷インピーダンス素子がリアクタンス値成分のみである場合は、マイクロストリップラインや同軸線路等の高周波伝送線路の一端を短絡又は開放することにより、構成してもよい。これにより、損失の少ない、理想的な負荷インピーダンス素子を実現できる。
なお、上述の第12の実施形態とその実施例又は変形例に係る装置構成を、第1乃至第11の実施形態とその実施例又は変形例に係る装置構成に適用してもよい。
以上詳述したように、本発明に係るアンテナ装置によれば、それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備える。従って、小形で薄型形状を維持するとともに簡単な構造で、電波を放射したい方向に電波の電力を集中して放射することが可能なアンテナ装置を実現でき、送受信したい所望方向に最大の放射利得を有する主ビームを設定するように制御できるアンテナ装置を実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図1のアンテナ素子13aを含む導波管アンテナ部601aの詳細構成を示す斜視図である。 図2の導波管アンテナ部601aの電界分布を示す斜視図である。 図2の導波管アンテナ部601aの磁流分布を示す斜視図である。 図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を選択的に切り替えるためのスイッチの構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図6の導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 図6の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図6の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 図6のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図11の導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図11の導波管アレーアンテナ装置の放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 図11のアンテナ素子13a乃至13dを選択的に切り替えて動作させたときの導波管アレーアンテナ装置のXY平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第5の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置における1つの導波管アンテナ部601aの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態の第5の変形例の実施例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図20の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図20の導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施形態の第6の変形例に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図1の導波管アレーアンテナ装置の指向特性を変化させるための合成回路の一例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図25のアンテナ素子13aを含むスロット付き導波管アンテナ部602aの詳細構成を示す斜視図である。 図26のスロット付き導波管アンテナ部602aのXZ平面によって切断された断面図である。 図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの電界分布を示す斜視図である。 図26のスロット付き導波管アンテナ部602aの磁流分布を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態の実施例に係るスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図30のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 図26のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図26のスロット付き導波管アレーアンテナ装置の周波数2.5GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第3の実施形態に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態の実施例に係る筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図35の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の2.6GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図35の筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の2.6GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第4の実施形態に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態の第1の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図39の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 図32の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の2.3GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、XY平面の放射指向特性を示す特性図である。 図32の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の2.3GHzにおける放射指向特性を示す特性図であって、ZX平面の放射指向特性を示す特性図である。 本発明の第4の実施形態の第2の実施例に係る筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 図35の筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す特性図である。 本発明の第5の実施形態であって、第1の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態であって、第2の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填されたスロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第7の実施形態であって、第3の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第8の実施形態であって、第4の実施形態のアンテナ内部に誘電体が充填された筐体一体型スロット付き導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第9の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第10の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。 本発明の第11の実施形態に係る導波管アレーアンテナ装置の構成を示す上面図である。 本発明の第12の実施形態に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 図52のセクタパターンアンテナ装置の具体的構成例の外観を示す斜視図である。 図53のセクタパターンアンテナ装置の一部の外観を示す斜視図である。 図53のセクタパターンアンテナ装置の試作機の設計例を示す斜視図である。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その入力端反射係数の周波数特性を示すグラフである。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、そのアイソレーションの周波数特性を示すグラフである。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図55のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xcに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。 図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図60のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第1の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第2の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。 図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xc=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。 図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図65のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第3の実施例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対する放射利得及び相対利得を示すグラフである。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その水平面放射特性を示すグラフである。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、その垂直面放射特性を示すグラフである。 図69のセクタパターンアンテナ装置の測定結果であって、リアクタンス値Xb=Xdに対するセクタパターンの半値幅を示すグラフである。 本発明の第12の実施形態の第1の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第2の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第3の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第4の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第5の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第12の実施形態の第6の変形例に係るセクタパターンアンテナ装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
9…給電端子、
10a,10b,10c,10d,10e,10f,81a…接続点、
11…接地導体、
12a,12b,12c,12d…給電点、
13a,13b,13c,13d…アンテナ素子、
14a,14b,14c,14d…終端導体、
15a,15b,15c,15d,15e,15f…天井導体、
16a1,16a2,16b1,16b2,16c1,16c2,16d1,16d2…側面導体、
17…切り替えスイッチ、
18…受信信号電力判定部、
19a,19a−1,19b−1,19c−1,19d−1,19a−2…整合導体、
20a,20a−1,91,92…指向特性制御導体。
21…レドーム、
22a,22b,22c,22d…振幅調整回路、
23a,23b,23c,23d…移相器、
24…合成器、
25…アンテナコントローラ、
30a,30b,30c,30d…スロット、
31a,31b,31c,31d…仕切壁導体、
40…誘電体、
42…スルーホール、
42c…スルーホール導体、
90…無線通信機回路、
91…コントローラ、
92…無線送信回路、
93…無線受信回路、
94…サーキュレータ、
501a乃至501f,502a乃至502d,503a乃至503d,504a乃至504d…方形導波管、
601a乃至601f,602a乃至602d,603a乃至603d,604a乃至604d…導波管アンテナ部、
701a,701b,701c,701d…アンテナ部、
702a,702b,702c,702d,704…スイッチ、
702A…スイッチ装置、
703a,703b,703c,703d,703a1,703a2…負荷インピーダンス素子、
705…コントローラ、
706…出力端子、
707,707A,707B…比較器、
708…信号分配合成器、
711…接地導体、
712a,712b,712c,712d…給電点、
713a,713b,713c,713d…アンテナ素子、
714a,714b,714c,714d…整合導体、
715a,715b,715c,715d…天井導体、
716a,716b,716c,716d…スロット、
717a,717b,717c,717d…終端導体、
718a,718b,718c,718d…仕切壁導体、
801a,801b,801c,801d…方形導波管、
SW1,SW2,SW3,SW4…スイッチ、
T11,T12,T13,T14,T21,T22,T23,T24…端子。

Claims (54)

  1. それぞれセクタパターンの主ビームを用いて無線信号を送受信する複数のアンテナ部と、
    少なくとも1つの負荷インピーダンス素子と、
    上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 上記複数のアンテナ部は、各アンテナ部の主ビーム方向が互いに異なるように配置されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 上記複数のアンテナ部は、各アンテナ部の主ビーム方向が互いに直交するように配置されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  4. 上記制御手段は、上記各アンテナ部で受信された無線信号のうち最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ部を上記無線通信機回路に接続するように制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  5. 上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  6. 上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置。
  7. 上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  8. 上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項7記載のアンテナ装置。
  9. 上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする請求項7又は8記載のアンテナ装置。
  10. 上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする請求項5乃至9のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  11. 上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記側面導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする請求項10記載のアンテナ装置。
  12. 上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  13. 上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項12記載のアンテナ装置。
  14. 上記複数のアンテナ部は、接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置により形成され、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  15. 上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項14記載のアンテナ装置。
  16. 上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする請求項14又は15記載のアンテナ装置。
  17. 上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする請求項12乃至16のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  18. 上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記仕切壁導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする請求項17記載のアンテナ装置。
  19. 上記各アンテナ部において、上記各アンテナ素子の近傍であって、上記各天井導体と上記接地導体との間に接続され、当該各アンテナ素子の入力インピーダンスを調整するための整合導体をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至18のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  20. 上記各アンテナ部において、上記接地導体と電気的に接続され、上記アンテナ装置の入力インピーダンスを調整するための少なくとも1つの整合導体をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至18のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  21. 上記アンテナ素子のうちの少なくとも1つは、上記整合導体のうちの少なくとも1つと電気的に接続されたことを特徴とする請求項20記載のアンテナ装置。
  22. 上記天井導体のうちの少なくとも1つは、上記整合導体のうちの少なくとも1つと電気的に接続されたことを特徴とする請求項20記載のアンテナ装置。
  23. 上記各アンテナ部において、上記接地導体と電気的に接続され、上記アンテナ装置の指向特性を変化させるための少なくとも1つの指向特性制御導体をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至22のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  24. 上記指向特性制御導体は、
    上記接地導体に電気的に接続され、上記接地導体に対して実質的に垂直となるように設けられ、上記接地導体に対して実質的に垂直な平面の指向特性を制御するための第1の導体部分と、
    上記第1の導体部分に接続され、上記接地導体に対して実質的に平行となるように設けられ、上記接地導体に対して実質的に平行な平面の指向特性を制御するための第2の導体部分とを備えたことを特徴とする請求項23記載のアンテナ装置。
  25. 上記指向特性制御導体の上記第2の導体部分は、当該第2の導体部分の長手方向の中央において上記指向特性制御導体の上記第1の導体部分と接続され、
    上記第1の導体部分の長さと上記第2の導体部分の半分の長さとの和は、上記指向特性制御導体によって指向特性が制御される導波管アンテナ部の共振周波数に対応する波長の概略4分の1の長さであることを特徴とする請求項24記載のアンテナ装置。
  26. 上記制御手段は、
    上記各アンテナ部に対応して設けられた複数の第1のスイッチ手段と、
    上記第1のスイッチ手段に接続された第2のスイッチ手段とを備え、
    上記各第1のスイッチ手段は、上記各アンテナ部を、上記第2のスイッチ手段と、上記負荷インピーダンス素子のうちのいずれか1つに選択的に接続し、
    上記第2のスイッチ手段は、上記複数の第1のスイッチ手段のうちのいずれか1つを選択的に上記無線通信機回路に接続し、
    上記制御手段は、上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように上記複数の第1のスイッチ手段と上記第2のスイッチ手段とを制御することを特徴とする請求項1乃至25のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  27. 上記制御手段は、
    上記各アンテナ部に対応して設けられた複数の第1のスイッチ手段と、
    上記第1のスイッチ手段に接続された信号合成分配手段とを備え、
    上記各第1のスイッチ手段は、上記各アンテナ部を、上記信号合成分配手段と、上記負荷インピーダンス素子のうちのいずれか1つに選択的に接続し、
    上記信号合成分配手段は、上記複数の第1のスイッチ手段から出力される各無線信号を合成して上記無線通信機回路に出力し、
    上記制御手段は、上記複数のアンテナ部のうち無線信号の送受信を行うアンテナ部を無線通信機回路に接続する一方、他のアンテナ部を負荷インピーダンス素子に接続するように上記複数の第1のスイッチ手段を制御することを備えたことを特徴とする請求項1乃至25のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  28. 上記複数のアンテナ素子を選択的に切り替えることにより、当該アンテナ装置の指向特性を変化させるスイッチ手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至25のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  29. 上記制御手段は、上記複数のアンテナ素子で受信される各無線信号の信号レベルを検出し、最大の信号レベルを有する無線信号を受信したアンテナ素子を選択するように上記スイッチ手段を制御することを特徴とする請求項28記載のアンテナ装置。
  30. 上記複数のアンテナ素子で受信された各無線信号の信号レベルを調整する複数の調整回路と、
    上記各調整回路からの出力信号の位相量を調整する複数の移相器と、
    上記各移相器からの出力信号を合成して、合成後の信号を出力する信号合成器とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至25のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  31. 上記制御手段は、上記信号合成器からの出力信号の信号レベルが最大となるような、上記各調整回路における信号レベルの調整量と、上記各移相器における位相量とを計算し、上記計算した調整量と位相量とに基づいて上記複数の調整回路と上記複数の移相器とを制御することを特徴とする請求項30記載のアンテナ装置。
  32. 接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置であって、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とするアンテナ装置。
  33. 上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項32記載のアンテナ装置。
  34. 接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置であって、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの側面導体とからそれぞれ構成され、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とするアンテナ装置。
  35. 上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項34記載のアンテナ装置。
  36. 上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする請求項34又は35記載のアンテナ装置。
  37. 上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする請求項32乃至36のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  38. 上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記側面導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする請求項37記載のアンテナ装置。
  39. 接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置であって、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とするアンテナ装置。
  40. 上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項39記載のアンテナ装置。
  41. 接地導体上に設けられ、方形導波管とアンテナ素子にてそれぞれ構成される複数の導波管アンテナ部を備えた導波管アレーアンテナ装置であって、
    上記各方形導波管は、上記接地導体と、上記接地導体に対向する天井導体と、上記接地導体と上記天井導体とを連結しかつ互いに対向する2つの仕切壁導体とからそれぞれ構成され、互いに隣接する2つの方形導波管の間で上記仕切壁導体を共有するように隣接して並置され、上記各方形導波管は、終端導体により短絡された端部と開放された端部とをそれぞれ有し、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の多角形の対応する辺から外側に向かって延在し、少なくとも1つの上記方形導波管は、上記天井導体において、上記方形導波管の幅方向にわたって形成された少なくとも1つのスロットとを備え、
    上記各アンテナ素子は、一端が上記各天井導体であって上記各方形導波管の開放された端部の近傍に電気的に接続されかつ他端が上記接地導体に位置する複数の給電部のうちの1つにそれぞれ電気的に接続され、
    上記各導波管アンテナ部は、当該導波管アンテナ部を構成する上記方形導波管の開放された端部において所定の指向特性で無線信号を送受信することを特徴とするアンテナ装置。
  42. 上記導波管アレーアンテナ装置は上記給電部の個数の整数倍の個数のスロットを備え、上記スロットが同じ個数ずつ上記給電部と同じ個数の上記導波管アンテナ部を構成する上記天井導体に設けられ、上記複数の導波管アンテナ部の構造が互いに等しく、上記各方形導波管の開放された端部は、上記方形導波管の個数と同じ個数の辺を有する上記接地導体上の正多角形の対応する辺上に配置され、上記各方形導波管は上記接地導体上の正多角形の対応する辺から外側に向かって延在していることを特徴とする請求項41記載のアンテナ装置。
  43. 上記各スロットは、上記各天井導体におけるアンテナ素子との接続点と、上記各終端導体との間の位置に形成されたことを特徴とする請求項41又は42記載のアンテナ装置。
  44. 上記方形導波管の内部空間の少なくとも一部の空間を誘電体で充填したことを特徴とする請求項39乃至43のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  45. 上記接地導体は互いに対向する第1と第2の面を有する誘電体基板の第1の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記各天井導体は上記誘電体基板の第2の面上に形成された導体パターンにより形成され、
    上記仕切壁導体と上記終端導体は上記誘電体基板をその厚さ方向に形成されたスルーホールに導体を充填してなる複数のスルーホール導体により形成されたことを特徴とする請求項44記載のアンテナ装置。
  46. 上記各アンテナ部において、上記各アンテナ素子の近傍であって、上記各天井導体と上記接地導体との間に接続され、当該各アンテナ素子の入力インピーダンスを調整するための整合導体をさらに備えたことを特徴とする請求項32乃至45のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  47. 上記接地導体と電気的に接続され、上記アンテナ装置の入力インピーダンスを調整するための少なくとも1つの整合導体をさらに備えたことを特徴とする請求項32乃至45のうちの1つに記載のアンテナ装置。
  48. 上記アンテナ素子のうちの少なくとも1つは、上記整合導体のうちの少なくとも1つと電気的に接続されたことを特徴とする請求項47記載のアンテナ装置。
  49. 上記天井導体のうちの少なくとも1つは、上記整合導体のうちの少なくとも1つと電気的に接続されたことを特徴とする請求項47記載のアンテナ装置。
  50. 上記接地導体と電気的に接続され、上記アンテナ装置の指向特性を変化させるための少なくとも1つの指向特性制御導体をさらに備えたことを特徴とする請求項32乃至49のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  51. 上記指向特性制御導体は、
    上記接地導体に電気的に接続され、上記接地導体に対して実質的に垂直となるように設けられ、上記接地導体に対して実質的に垂直な平面の指向特性を制御するための第1の導体部分と、
    上記第1の導体部分に接続され、上記接地導体に対して実質的に平行となるように設けられ、上記接地導体に対して実質的に平行な平面の指向特性を制御するための第2の導体部分とを備えたことを特徴とする請求項50記載のアンテナ装置。
  52. 上記指向特性制御導体の上記第2の導体部分は、当該第2の導体部分の長手方向の中央において上記指向特性制御導体の上記第1の導体部分と接続され、
    上記第1の導体部分の長さと上記第2の導体部分の半分の長さとの和は、上記指向特性制御導体によって指向特性が制御される導波管アンテナ部の共振周波数に対応する波長の概略4分の1の長さであることを特徴とする請求項51記載のアンテナ装置。
  53. 請求項1乃至31のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置と、
    上記アンテナ装置に接続され、無線信号を発生して上記アンテナ装置を介して送信する無線送信回路と、上記アンテナ装置に接続され、無線信号を上記アンテナ装置を介して受信する無線受信回路とを含む無線通信機回路とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
  54. 請求項32乃至52のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置と、
    上記アンテナ装置に接続され、無線信号を発生して上記アンテナ装置を介して送信する無線送信回路と、上記アンテナ装置に接続され、無線信号を上記アンテナ装置を介して受信する無線受信回路とを含む無線通信機回路とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
JP2005515142A 2003-10-30 2004-10-28 アンテナ装置 Withdrawn JPWO2005043676A1 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003370138 2003-10-30
JP2003370138 2003-10-30
JP2003375601 2003-11-05
JP2003375601 2003-11-05
PCT/JP2004/016000 WO2005043676A1 (ja) 2003-10-30 2004-10-28 アンテナ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2005043676A1 true JPWO2005043676A1 (ja) 2007-11-29

Family

ID=34554741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005515142A Withdrawn JPWO2005043676A1 (ja) 2003-10-30 2004-10-28 アンテナ装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2005043676A1 (ja)
WO (1) WO2005043676A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7123625B2 (ja) * 2018-05-22 2022-08-23 キヤノン株式会社 アンテナ装置

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6040205B2 (ja) * 1980-12-18 1985-09-10 日本電信電話株式会社 無線機用アンテナ
JPS6382002A (ja) * 1986-09-25 1988-04-12 Koden Electronics Co Ltd 無線方向探知用アンテナ装置
JPH03230603A (ja) * 1990-02-05 1991-10-14 Hiroyuki Arai 平面型アンテナ
JPH0897632A (ja) * 1994-09-21 1996-04-12 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 無線送受信装置
JP3429597B2 (ja) * 1995-03-28 2003-07-22 日本電信電話株式会社 小形無線機
JP3870220B2 (ja) * 1996-03-18 2007-01-17 アイシン精機株式会社 双指向性アンテナ
JP3519599B2 (ja) * 1997-05-09 2004-04-19 日本電信電話株式会社 アンテナ装置およびその製造方法
SE517218C2 (sv) * 1999-09-03 2002-05-07 Ericsson Telefon Ab L M En lågprofilantennstruktur samt en anordning innefattande trådlöst kommunikationsmedel, en trådlös mobil terminal, ett datorkort lämpligt för införande i en elektronisk anordning och ett lokalt nätverkssystem innefattande en basstation och ett flertal terminaler vilka är i trådlös kommunikation med basstationen innefattande en sådan lågprofilantennstruktur
JP3469834B2 (ja) * 1999-12-02 2003-11-25 東洋通信機株式会社 広帯域アレーアンテナ
EP1137192B1 (en) * 2000-03-18 2005-11-23 Siemens Aktiengesellschaft Radio station for transmitting signals
JP4234296B2 (ja) * 2000-03-30 2009-03-04 株式会社日立国際電気 受信制御装置
JP4435371B2 (ja) * 2000-04-17 2010-03-17 国立大学法人横浜国立大学 指向性制御無線通信装置
JP2001352214A (ja) * 2000-06-07 2001-12-21 Hitachi Cable Ltd V/h偏波ダイバーシチアンテナ
JP3980859B2 (ja) * 2000-10-13 2007-09-26 松下電器産業株式会社 アンテナ

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005043676A1 (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6163306A (en) Circularly polarized cross dipole antenna
US9246235B2 (en) Controllable directional antenna apparatus and method
US6057802A (en) Trimmed foursquare antenna radiating element
US7180465B2 (en) Compact smart antenna for wireless applications and associated methods
US7358920B2 (en) Cavity embedded antenna
JP5745582B2 (ja) アンテナ及びセクタアンテナ
US6600455B2 (en) M-shaped antenna apparatus provided with at least two M-shaped antenna elements
JP3189735B2 (ja) ヘリカルアンテナ
US6573874B1 (en) Antenna and radio device
US4972196A (en) Broadband, unidirectional patch antenna
US20060119527A1 (en) Radial constrained lens
US20200244327A1 (en) Spherical coverage antenna systems, devices, and methods
JP2006519545A (ja) マルチバンド分岐放射器アンテナ素子(multibandbranchradiatorantennaelement)
WO2003038946A1 (en) Broadband starfish antenna and array thereof
US6486847B1 (en) Monopole antenna
JP3169325B2 (ja) アレーアンテナ
US6850205B2 (en) Waveguide antenna apparatus provided with rectangular waveguide and array antenna apparatus employing the waveguide antenna apparatus
WO2004068635A1 (ja) アンテナ装置
JPH03231503A (ja) 湾曲ダイポール素子アンテナ
US20070182634A1 (en) Antenna device
JPWO2005043676A1 (ja) アンテナ装置
US6469675B1 (en) High gain, frequency tunable variable impedance transmission line loaded antenna with radiating and tuning wing
JP2005160061A (ja) アダプティブアンテナ装置
JP7372460B2 (ja) 受動素子を備えたスマートアンテナによるビームダイバーシティ
WO1993000724A1 (en) Active integrated microstrip antenna

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071016

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090629