JPWO2005004926A1 - 樹状細胞浸潤能活性化組成物及び免疫賦活剤 - Google Patents

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Abstract

本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物はレチノイドを含有する。レチノイドは、樹状細胞が浸潤能を発揮するために必要なMMP−9の産生を増大し、それにより、樹状細胞の浸潤能を活性化する。従って、免疫賦活化作用を有し、動物の感染症、癌の予防・治療に用いることができる。

Description

本発明は、樹状細胞の浸潤能を活性化するための組成物、免疫賦活剤等に関する。
これまでの腫瘍免疫療法では、インターロイキン−2(IL−2)等を投与する免疫賦活療法や、患者の末梢リンパ球から誘導されたリンホカイン活性化キラー細胞(LAK)や腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)を輸注する養子免疫療法、抗腫瘍抗原モノクローナル抗体を用いたミサイル療法等、種々の免疫療法が試みられている。
また、癌に対する遺伝子治療も盛んに行われており、特に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)等のサイトカイン遺伝子を導入した癌細胞を移植して、癌に対する免疫を誘導し、癌を治療する細胞ワクチン療法が注目されている。一方、樹状細胞は代表的な抗原提示細胞として知られている。樹状細胞は造血幹細胞由来の樹枝状形態をとる細胞集団であり、生体内に広く分布している。ヘルパーT細胞の活性化は、樹状細胞による抗原提示に依存しており、樹状細胞は、末梢血液中の抗原をとらえ、リンパ節に移動し、最終的にリンパ節で成熟すると考えられている。
一般に、未成熟樹状細胞は、抗原となる異物を取り込み、その抗原を消化する能力が高いが、抗原提示能は低い。これに対し、成熟樹状細胞は、抗原の取り込み能が低いが、抗原提示能が高いということが知られている。生体内においては、未成熟樹状細胞が異物を取り込み、細胞内においてその異物を消化し、その刺激によって分化した成熟樹状細胞は、消化した異物の一部を細胞外に提示して、リンパ球に特定の抗原情報を伝えると考えられている。
生体内において、樹状細胞は骨髄の造血幹細胞から誘導されることが知られている。樹状細胞の前駆細胞及び未成熟樹状細胞は、血液及びリンパ球中に存在しており、成熟樹状細胞は脾臓及びリンパ節に存在している。末梢組織の単核が顆粒球コロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−4(IL−4)で刺激されると、未成熟樹状細胞へ分化することが知られており、更に未成熟樹状細胞を腫瘍壊死因子(TNF)で刺激すると成熟樹状細胞へと分化することが知られている。
異物が生体内に侵入した場合、樹状細胞が異物を貧食し、抗原をT細胞に提示する機能を有しており、抗原を提示されたT細胞が抗原を貧食する。このような機能を発揮するために、樹状細胞は、生体内に異物が侵入した時に、末梢組織から所属リンパ節まで移動し、異物が侵入したことを提示している。
一般に、癌患者の癌細胞中の酸素濃度は正常細胞に比較して20%程度に低下していることが知られている。このような低酸素状態で分化した樹状細胞は、細胞外マトリックスタンパク質を溶解するマトリックスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)の産生が低下している。生体内においては、樹状細胞が末梢組織を移動する時や、血管やリンパ管を通り抜ける時にも、このマトリックスメタロプロテイナーゼ−9が必要であることが知られている。
従って、低酸素状態下で分化した樹状細胞は末梢組織からリンパ節に移動することができず、上述したような抗原提示能を発揮することができなくなる。このため、癌細胞内では樹状細胞の抗原提示能が発揮されないため、T細胞が癌細胞を死滅することができない。
従って、本発明の目的は、癌細胞等の酸素濃度の低い状態で産生された樹状細胞がリンパ節まで移動することを可能にする、すなわち樹状細胞浸潤能を活性化する組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、免疫賦活剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、レチノイドが樹状細胞の浸潤能を活性化することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、レチノイドを含有する、樹状細胞浸潤能活性化組成物を提供するものである。
また、本発明は、哺乳動物に対して、レチノイドを投与することを特徴とする、樹状細胞の浸潤能を活性化する方法を提供するものである。
また、本発明は、哺乳動物に対して、上記樹状細胞浸潤能活性化組成物を投与することを特徴とする、樹状細胞の浸潤能を活性化する方法を提供するものである。
また、本発明は、レチノイドを含有する、免疫賦活剤を提供するものである。
また、本発明は、レチノイド及び樹状細胞を含有する、免疫賦活剤を提供するものである。
また、本発明は哺乳動物細胞に対して、レチノイドを投与することを特徴とする、哺乳動物の免疫を賦活化する方法を提供するものである。
また、本発明は哺乳動物に対して、上記免疫賦活剤を投与することを特徴とする、哺乳動物の免疫を賦活化する方法を提供するものである。
また、本発明は上記樹状細胞浸潤能活性化組成物、又は上記免疫賦活剤を、投与又は使用することを特徴とする、動物の感染症、癌の予防・治療方法を提供するものである。
図1はフローサイトメーターによる表面抗原解析の結果を示す図である。
図2は、リアルタイムPCRの結果を示す図である。
図3は、ウェスタンブロット解析の結果である。
図4は、ゼラチンザイモグラフィー法の結果である。
図5は、ゼラチンザイモグラフィー法の結果である。
図6は、リアルタイムPCRの結果を示す図である。
図7は未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞の浸潤能の活性を測定した結果を示すグラフである。
図8は、TIMP−1タンパク質による樹状細胞の浸潤能活性の変化を調べた結果を示すグラフである。
図9は、分化誘導後、細胞中のMMP−9のmRNA濃度を測定した結果を示すグラフである。
図10は、低酸素下で分化した樹状細胞の浸潤能活性を測定した結果である
以下、先ず本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物について説明する。
本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物はレチノイドを含有する。本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物に用いられるレチノイドとしては、例えばレチノイン酸、レチナール、レチノールおよび脂肪酸レチニルエステル、ならびにデヒドロレチノール、デヒドロレチノール、脂肪酸デヒドロレチニルエステル等が挙げられる。
上記レチノイン酸としては、以下のレチノイン酸の異性体、すなわち全トランスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、11−シスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、3,4−デヒドロ−レチノイン酸等が挙げられる。
また、レチノールとしては、以下のレチノールの異性体、すなわち全トランスレチノール、13−シスレチノール、11−シスレチノール、9−シスレチノール、3,4−デヒドロ−レチノール等が挙げられる。広く市販されているため、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸が好適である。
本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物中のレチノイドの含有量は、必要な患者に投与した際に、樹状細胞浸潤能を活性化するための量であると定義される。患者に投与すべき投与量は、一般に、患者の体表面積、体重、病状等に基づいて決定される。本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物の投与量は、レチノイドの量として、約20mg/m〜約50mg/m程度である。なお、投与量は、投与方法、賦形剤の量、他の薬剤を併用する場合には変えることが好ましい。
本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物は、皮下、腹膜腔内、筋肉内、静脈等の非経口的に投与することができる。非経口投与製剤の形態の例として、例えば等張塩溶液中に、5%程度の濃度のグルコース又は他の公知の医薬的に使用可能な賦形剤と、活性剤を含む水溶液が挙げられる。シクロデキストリン等の可溶化剤や当業者に公知の他の可溶剤を賦形剤として添加してもよい。
次に、本発明の免疫賦活剤について説明する。
本発明の免疫賦活剤は、レチノイドを含有する。本発明の免疫賦活剤に用いられるレチノイドとしては、上述した樹状細胞浸潤能活性化組成物に用いられるものが使用可能である。
また、免疫賦活剤中のレチノイドの含有量、投与量、投与形態等についても、上述した樹状細胞浸潤能活性化組成物と同様である。
本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物及び免疫賦活剤は、樹状細胞の浸潤に必要なタンパク質であるMMP−9の産生を促進することにより、樹状細胞の浸潤能を活性化する作用を有する。樹状細胞の浸潤能が活性化され、樹状細胞がリンパ節までの移動が活性化され免疫賦活作用を発揮する。このような作用を有するため、本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物及び免疫賦活剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ネコ、イヌ、牛、馬、羊、山羊、家兎、ヒト等)に対して用いられる。各種白血病、悪性リンパ腫、膵癌、肝癌、肺癌、胃癌、大腸癌、骨肉腫、悪性黒色腫、悪性繊毛上皮、筋肉腫、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、頸頭部腫瘍、脳腫瘍等の各種の癌、及び各種ウイルス、細菌等による感染症等の治療及び予防に対して用いることができる。
本発明の免疫賦活剤は、更に樹状細胞を含有していてもよい。
樹状細胞は、樹状細胞の前駆細胞である単核細胞を培養することによって得ることができる。樹状細胞の前駆細胞である単核細胞の原料としては、例えば末梢血、骨髄液、臍帯血等が使用可能である。本発明の免疫賦活剤に用いられる樹状細胞は、成熟樹状細胞であっても未成熟樹状細胞であってもよい。例えば、単核細胞をGM−CSF、IL−4及びTNF−αで刺激して培養することにより、成熟細胞へと分化誘導することができる。
本発明の免疫賦活剤に用いられる樹状細胞は、上記単核細胞を、分化誘導剤の存在下で培養することにより得ることができる。樹状細胞の原料として、例えば末梢血の単核細胞を用いる。樹状細胞の前駆細胞である単核細胞を、採血等により採取し、採取した血液より分離精製することができる。単核細胞を赤血球から分離する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が用いられる。
例えば、末梢血単核細胞をフィコール−パック(Ficoll−Paqul)密度勾配又は溶出を利用する方法が一般的に用いられる。また、その他に血液細胞を、成人の赤血球を選択的に溶解する溶液、例えばアンモニウムクロライド−カリウム、アンモニウムオキサレート等に懸濁し、分離することができる。
樹状細胞の分化誘導の培養には、RPMI−1640培地、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イスコフ培地(IMDM)等、適当な市販されている培地を用いることができる。培地中には血清を加えてもよく、例えば、5−20%程度の牛血清、牛胎児血清、もしくはヒト血清などが使用しうる。無血清で培養してもよいが、必要に応じ牛アルブミン(BSA)、ヒトアルブミン(HSA)などを添加してもよい。また、培地には、必要に応じ適当な抗生物質、抗体、ピルビン酸(0.1〜5mM程度)、グルタミン(0.5〜5mM程度)、2−メルカプトエタノール(10〜100μM程度)を含んでいてもよい。これらの培地に分化誘導剤を添加し、約37℃、約5%炭酸ガス雰囲気下で5日〜21日程度培養する。培養日数は7日〜14日程度が好ましい。培養温度(34〜38℃)、ガスの混合比(炭酸ガス2〜10%、さらには窒素ガス、もしくは酸素ガスを適宜混合しうる。)は、適切な条件を設定し行うことができる。
樹状細胞の前駆細胞を含む細胞群から樹状細胞へ分化誘導するには、適切な誘導剤を使用する必要がある。誘導剤としては、サイトカイン類を用いることができる。サイトカインとして、適当なものを使用すれば良いが、例えばGM−CSF、IL−4、ステムセルファクター(SCF)、インターロイキン−13(IL−13)、TNF−α、Flt3−Ligand等が使用可能である。上記サイトカインの濃度は、培地中、好ましくは1〜1000ng/ml程度である。
培養に用いられるサイトカインは、マウスなどの異種動物由来の因子も使用可能であるが、ヒト由来の因子を用いることが好ましい。
本発明の免疫賦活剤に用いる樹状細胞は、ヒト体内に接種して用いられるものであるため、細胞増殖性をなくしておくとより安全である。単核細胞は、分化誘導することにより増殖能が低下することが知られているが、より安全に利用するために加熱処理、放射線処理又はマイトマイシンCで処理しておくことが好ましい。
例えば、X線照射をする場合、X線照射器の管球の下に樹状細胞を含む容器を置き、総放射線量1000〜3300Rad程度で照射することが好ましい。マイトマイシンCで処理する場合、例えば、樹状細胞を1〜3×10細胞/mlの密度で懸濁して細胞浮遊液を得、この細胞浮遊液1ml当たりマイトマイシンCを25〜50μgの比で添加して、37℃の温度で30〜60分程度保温する。また、加熱処理方法は、例えば樹状細胞を1×10細胞/ml程度に懸濁して細胞浮遊液を得、この細胞浮遊液を50〜65℃の温度で20分程度加熱処理を行う。
上述した、本発明の、樹状細胞を含有する免疫賦活剤は、レチノールによって樹状細胞の浸潤能が活性化され、免疫賦活作用が発揮される。従って、上記免疫賦活剤は哺乳動物(例えば、マウス、ネコ、イヌ、牛、馬、羊、山羊、家兎、ヒト等)の各種白血病、悪性リンパ腫、膵癌、肝癌、肺癌、胃癌、大腸癌、骨肉腫、悪性黒色腫、悪性繊毛上皮、筋肉腫、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、頸頭部腫瘍、脳腫瘍等の各種の癌、及び各種ウイルス、細菌等による感染症等に対して用いられる。樹状細胞を含有する免疫賦活剤の投与量は、患者の年齢、体重、性別、癌の種類及び癌の進行度、症状等によって異なり、一概には決定できないが、例えば投与は週に一度、患者一人あたり、樹状細胞が1×10細胞となるような量を、10週間にわたって投与する方法が挙げられる。
次に、本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法について説明する。
本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法は、哺乳動物に対して、レチノイドを投与することを特徴とする。本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法において用いられるレチノイドとしては、例えばレチノイン酸、レチナール、レチノールおよび脂肪酸レチニルエステル、ならびにデヒドロレチノール、デヒドロレチノール、脂肪酸デヒドロレチニルエステル等が挙げられる。
上記レチノイン酸としては、以下のレチノイン酸の異性体、すなわち全トランスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、11−シスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、3,4−デヒドロ−レチノイン酸等が挙げられる。
また、レチノールとしては、以下のレチノールの異性体、すなわち全トランスレチノール、13−シスレチノール、11−シスレチノール、9−シスレチノール、3,4−デヒドロ−レチノール等が挙げられる。広く市販されているため、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸が好適である。
本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法に用いられるレチノイドとしては、上述した本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物を用いることができる。
本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法が適用される哺乳動物としては、例えばマウス、ネコ、イヌ、牛、馬、羊、山羊、家兎、ヒト等が挙げられる。本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法において用いられるレチノイドの量としては、必要な患者に投与した際に、樹状細胞浸潤能を活性化するための量であると定義される。患者に投与すべき投与量は、一般に、患者の体表面積、体重、病状等に基づいて決定される。本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物の投与量は、レチノイドの量として、約20mg/m〜約50mg/m程度である。なお、投与量は、投与方法、賦形剤の量、他の薬剤を併用する場合には変えることが好ましい。投与方法としては、皮下、腹膜腔内、筋肉内、静脈等の非経口的な投与が好ましい。
本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法によれば、樹状細胞の浸潤に必要なタンパク質であるMMP−9の産生が促進され、樹状細胞の浸潤能が活性化され、樹状細胞のリンパ節への移動が活性化されることにより、免疫賦活作用を発揮する。従って、本発明の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法は、上記哺乳動物に対して用いることができ、各種白血病、悪性リンパ腫、膵癌、肝癌、肺癌、胃癌、大腸癌、骨肉腫、悪性黒色腫、悪性繊毛上皮、筋肉腫、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、頸頭部腫瘍、脳腫瘍等の各種の癌、及び各種ウイルス、細菌等による感染症等の治療及び予防に対して用いることができる。すなわち、本発明によれば、本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物を投与又は使用することを特徴とする、動物の感染症、癌の予防・治療方法が提供される。
次に、本発明の免疫を賦活化する方法について説明する。
本発明の免疫を賦活化するする方法は、哺乳動物に対して、レチノイドを投与することを特徴とする。本発明の免疫を賦活化する方法において用いられるレチノイドとしては、例えばレチノイン酸、レチナール、レチノールおよび脂肪酸レチニルエステル、ならびにデヒドロレチノール、デヒドロレチノール、脂肪酸デヒドロレチニルエステル等が挙げられる。
上記レチノイン酸としては、以下のレチノイン酸の異性体、すなわち全トランスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸、11−シスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、3,4−デヒドロ−レチノイン酸等が挙げられる。
また、レチノールとしては、以下のレチノールの異性体、すなわち全トランスレチノール、13−シスレチノール、11−シスレチノール、9−シスレチノール、3,4−デヒドロ−レチノール等が挙げられる。広く市販されているため、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸が好適である。
本発明の免疫を賦活化する方法に用いられるレチノイドとしては、上述した本発明の免疫賦活剤を用いることができる。
本発明の免疫を賦活化する方法が適用される哺乳動物としては、上述した、本発明の樹状細胞浸潤能活性化方法が適用される哺乳動物が挙げられる。また、使用されるレチノイドの量、投与方法などについても、上述した、樹状細胞浸潤能活性化方法と同様である。
本発明の免疫を賦活化する方法によれば、樹状細胞の浸潤に必要なタンパク質であるMMP−9の産生が促進され、樹状細胞の浸潤能が活性化され、樹状細胞のリンパ節への移動が活性化されることにより、免疫賦活作用を発揮する。従って、本発明の免疫を賦活化する方法は、上記哺乳動物に対して用いることができ、各種白血病、悪性リンパ腫、膵癌、肝癌、肺癌、胃癌、大腸癌、骨肉腫、悪性黒色腫、悪性繊毛上皮、筋肉腫、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、食道癌、頸頭部腫瘍、脳腫瘍等の各種の癌、及び各種ウイルス、細菌等による感染症等の治療及び予防に対して用いることができる。すなわち、本発明によれば、本発明の免疫賦活剤を投与又は使用することを特徴とする、動物の感染症、癌の予防・治療方法が提供される。
以下に、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
健常者由来の末梢単核細胞(PBMC)をフィコール−パック密度交配遠心分離により分離した。末梢単核細胞を、完全RPMI−1640培地中に、2×10細胞/mlになるように分散させ、37℃で1時間インキュベートすることにより付着性細胞を得た。非付着性細胞は、RPMI−1640培地で5回洗浄して除去した。付着性細胞を、1000U/mlのGM−CSF及び1000U/mlのIL−4、10%FBS、25mM HEPES、2mM L−グルタミン酸、50μM 2−ME、1%非必須アミノ酸及び2mMピルビン酸ナトリウムを含むRPMI培地中で、低酸素状態(1%酸素濃度、以下本明細書において、低酸素状態とは、1%酸素濃度状態をいう)及び正常酸素状態(20%酸素濃度、以下本明細書において、正常酸素状態とは、20%酸素濃度状態をいう)で、毎日、培地を半分交換しながら37℃、5%炭酸ガス雰囲気下で6日間培養した。6日目に、細胞を集め、2つのグループに分けた。1つ目のグループはIL−4及びGM−CSFを含む培地で1日培養し、未成熟樹状細胞として用いた。2つ目のグループはLPS(1μg/ml)で1日処理し、成熟樹状細胞として用いた。
実施例1で得られた樹状細胞の表面抗原の検出をフローサイトメーターを用いて行った。抗原の検出は未成熟細胞及び成熟細胞について行った。測定する細胞(5×10個)を、CD83、CD80、CD14、HLA−ABC、HLA−DRに対する、FITC結合マウスモノクローナル抗体、及びヒトCD1a及びCD86に対するマウスモノクローナル抗体と4℃で30分インキュベートした。用いたモノクローナル抗体はImmunotech社から購入した。次いで、細胞を生理食塩加リン酸緩衝液(PBS、pH7.0)で2回洗浄して過剰のモノクローナル抗体を除去した。次いで、フルオレセイン結合抗マウスIgG+IgM(H+L)山羊抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories社製)と45分間インキュベートし、フローサイトメーターを用いて解析を行った。結果を図1に示す。図1はフローサイトメーターによる表面抗原解析の結果を示す図であり、図1においてimDCsは未成熟樹状細胞を示し、mDCsは成熟樹状細胞を示す。
図1に示すように、単球細胞のマーカーであるCD14は未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞に発現されていなかった。樹状細胞マーカーであるCD83は、未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞に発現していた。共刺激性分子、CD80及びCD86は、未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞に発現していた。HLA−DR、HLA−ABC及びCD1aは、未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞に発現していた。これらの結果は、IL−4及びGM−CSFの存在下で正常酸素状態及び低酸素状態で分化した細胞は未成熟樹状細胞(imDCs)であると判断され、正常酸素状態及び低酸素状態で分化したLPSで処理された細胞は成熟樹状細胞(mDCs)であると判断される。
実施例1で得られた未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞を、低酸素状態及び正常酸素状態で分化し、それぞれの細胞中のMMP−9のmRNAの発現をリアルタイムPCR法により調べた。なお、低酸素状態及び正常酸素状態での分化は、それぞれ1%酸素濃度、20%酸素濃度において、培養チャンバーを用いて7日間行った。リアルタイムPCRは以下のように行った。細胞は、3名のドナー由来の未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞を用いた。培養して得られた細胞(1×10細胞)からトリゾル試薬(TRIZOL reagent、LIFE TECHNOLOGIES社)を用いて全RNAを分離した。75mM KCl、50mM Tris−HCl(pH8.3)、3mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、0.5mMの各dNTP、2μM ランダムプライマー、及び1000UのTaqMan Reverse転写試薬を含む50μlの反応混合物中で各RNA試料(2μg)をcDNAに変換した。各cDNA(10ng)をSYBR−Green PCR assay kitを用いて3組増幅し、ABI PRISM 7900HT sequence Detection Systemで配列を決定した。PCR反応は、50℃で2分、95℃で15分インキュベートし、次いで95℃での15サイクルの変性、60℃での30サイクルのアニーリング、及び72℃での1分間の伸長を行った。プライマーとして配列番号1及び配列番号2に示すものを用いた。
結果を図2に示す。図2は、リアルタイムPCRの結果を示す図である。図2において、imDCsは未成熟樹状細胞を示し、mDCsは成熟樹状細胞を示し、Nは正常酸素状態、Hは低酸素状態を示す。図2に示すように、正常酸素状態下で分化した未成熟樹状細胞及び成熟細胞は、低酸素状態で分化したものよりも2〜5倍高いレベルでMMP−9のmRNAを発現した。
実施例1で得られた未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞を、5×10細胞/mlになるように、血清を含まないRPMI1640培地で希釈し、37℃の温度で低酸素状態及び正常酸素状態で24時間培養を行った。培地を遠心分離して上清を集め、−70℃に保存した。MMP−9タンパク質の生産量を定量するため、同量のタンパク質濃度の樹状細胞の培養上清を7.5w/vのポリアクリルアミドゲル上にロードし、SDS−PAGEを行った。ヒト繊維肉腫細胞株HT1080の培地を、ポジティブコントロールとして用いた(β−アクチンを生産する)。SDS−PAGEの後、タンパク質をニトロセルロース膜(Bio−Red、Hercules、CA)上にセミドライ法によりブロッティングした。通常のブロッキング及び洗浄を行った後、その膜を濃度1μg/mlのヒトMMP−9に対する一次抗体を用いて、室温で1時間インキュベートした。用いた一次抗体は、ヒトMMP−9に対して生じるマウスポリクローナルIgGであり、二次抗体は1:2000の希釈率でホースラディッシュ・ペルオキシダーゼにより標識されたウサギanti−mouse IgG(H&L)である。細胞内のMMP−9プロテインを検出するために、15μgのタンパク質を含むそれぞれの細胞溶解物をロードし、ウェスタンブロット解析を行った。膜はペルオキシダーゼで標識されたヤギ anti−mouse IgGを用いてインキュベートし、ECL検出キット(Amersham、東京、日本)を用いて現像した。
結果を図3に示す。図3は、ウェスタンブロット解析の結果であり、図3に示すように、正常酸素状態下で分化した未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞は、低酸素状態下で分化したものよりも、高いレベルでMMP−9タンパク質を産生していた。
実施例4で培養した、未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞いついて、ゼラチンザイモグラフィー法を実施した。その方法を以下に説明する。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びゼラチンを含有するポリアクリルアミドゲル中での電気泳動法によって検定した。簡単に説明すると、同じタンパク質含有物を含む細胞培養の上澄から分離した培養上清を3倍のバッファーと混合して、1mg/mlのゼラチンを含有する10%w/vポリアクリルアミドゲルにて電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルを100mlの再生バッファー(2.5% Triton X−100 脱イオン水溶液)中で攪拌しながらインキュベートした。次に、そのゲルを100mlのdevelopmentバッファー(0.15MのNaCl、50mMのTris−HCl、10mMのCacl、0.05%のNaN)中で、37℃で一晩インキュベートした。ゲルは、0.5%Coomassie Blue R−250 40%メタノール/10%酢酸溶液で、室温で1時間染色した。続いて4時間、時々脱色液(40%メタノール/10%酢酸 脱イオン水溶液)を換えながら脱色を行った。蛋白質分解活性のバンドは、紺青色のバックグラウンドに対してクリアバンドとして明らかに見られた。ポジティブコントロールとして、ヒト繊維肉腫細胞株HT1080の培地を用いた。
図4に示すように、正常酸素状態下で分化した未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞は、低酸素状態下で分化したものよりも高いレベルでMMP−9タンパク質を分泌した。MMP−9の活性形態は、正常酸素状態で分化した樹状細胞にのみ検出された。次いで、正常酸素状態及び低酸素状態で分化した未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞から分泌されたMMP−9のタンパク質の分解活性を調べた。図5に示すように、ゼラチンザイモグラフィは、低酸素状態下で分化した樹状細胞よりも正常酸素状態で分化した樹状細胞の方がより高いレベルでpro−MMP−9を分泌したことを示している。MMP−9タンパク質の活性形態は、正常酸素状態で分化した樹状細胞にのみ分泌された。これらの結果は、低酸素状態で分化した樹状細胞が正常酸素状態で分化した樹状細胞よりもタンパク質分解活性が低いことを示している。
実施例1で得られた未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞を、低酸素状態及び正常酸素状態で分化し、それぞれの細胞中のMMP−9の特異的阻害剤である、TIMP−1、TIMP−2及びTIMP−3の発現をリアルタイムPCR法により調べた。方法は実施例3と同様に行った。TIMP−1のプライマーとしては配列番号3及び配列番号4に示すものを、TIMP−2のプライマーとしては配列番号5及び配列番号6に示すものを、TIMP−3のプライマーとしては配列番号7及び配列番号8に示すものを用いた。
結果を図6に示す。図6は、リアルタイムPCRの結果を示す図である。図6に示すように、TIMP−1は低酸素状態で分化した樹状細胞において、正常酸素状態で分化した樹状細胞よりも高いレベルで発現した。TIMP−2及びTIMP−3は、正常酸素状態及び低酸素状態の両方で培養された樹状細胞において同レベルで発現した。TIMP−1は、MMP−9の特異的阻害剤であるから、この結果は、低酸素状態で分化した樹状細胞が正常酸素状態で分化した樹状細胞よりも低いタンパク質分解活性を有することを示す。
Transwell Chamber法を用いて上室と下室をくぎるメンブレン上にマトリゲルを固相化し、洗浄後、上室に樹状細胞を入れ、下室には未成熟樹状細胞の場合にはリコンビナントヒトRANTESを100ng/ml入れ、成熟樹状細胞の場合にはリコンビナントヒトMCP−3を100ng/ml入れ、下室に移動してきた細胞数を計測し、樹状細胞の浸潤能の活性を測定した。
結果を図7に示す。図7は未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞の浸潤能の活性を測定した結果を示すグラフである。図7に示すように、未成熟樹状細胞及び成熟細胞は、いずれも正常酸素状態で分化した方が、低酸素状態で分化したものよりも高い浸潤能の活性を有していた。
TIMP−1タンパク質による浸潤能活性の低下を調べるため、実施例7で行った系にTIMP−1タンパク質を10ng/ml加えて同様に試験を行った。
結果を図8に示す。図8は、TIMP−1タンパク質による樹状細胞の浸潤能活性の変化を調べた結果を示すグラフである。図8において、+はTIMP−1タンパク質を加えた場合の結果であり、−はTIMP−1タンパク質を加えない場合の結果である。図8に示すように、正常酸素状態で分化した未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞の浸潤能活性は、TIMP−1タンパク質によって低下することがわかる。これに対し、低酸素状態で分化した未成熟樹状細胞及び成熟樹状細胞の浸潤能活性はTIMP−1タンパク質によって変化しなかった。
実施例1で得られた成熟樹状細胞を、全トランスレチノイン酸を培地に1μM濃度になるように添加し、3日間培養するか、全トランスレチノイン酸を培地に5μM濃度になるように添加して1日培養し、次いで全トランスレチノイン酸を培地に1μM濃度に添加して2日培養して、樹状細胞の分化を行った。分化誘導後、細胞中のMMP−9のmRNA濃度を測定した。結果を図9に示す。図9に示すように、MMP−9のmRNA濃度は、培地中に全トランスレチノイン酸を添加することにより上昇した。
実施例1で得られた成熟樹状細胞を、全トランスレチノイン酸を培地に1μM濃度になるように添加して培養を行い分化誘導を行った。次いで、実施例7と同様に操作を行い、樹状細胞の浸潤能の活性を測定した。結果を図10に示す。図10は、低酸素下で分化した樹状細胞の浸潤能活性を測定した結果である。図10に示すように、樹状細胞の浸潤能は培地中に全トランスレチノイン酸を添加することにより向上した。
以上詳述した通り、レチノイドである全トランスレチノイン酸は、樹状細胞が浸潤能を発揮するために必要なMMP−9の産生を増大し、それにより樹状細胞の浸潤能を活性化することが見出された。この効果は、低酸素状態においても発揮され、酸素濃度が低下している癌細胞においても発揮される。従って、本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物は免疫賦活化作用を発揮し、哺乳動物の免疫を賦活化するためにも用いられる。また、本発明の樹状細胞浸潤能活性化組成物及び免疫賦活剤は、動物の感染症、癌の予防・治療に用いることができる。
【配列表】
Figure 2005004926
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Claims (12)

  1. レチノイドを含有する、樹状細胞浸潤能活性化組成物。
  2. レチノイドが、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸からなる群より選択される、請求項1に記載の樹状細胞浸潤能活性化組成物。
  3. 哺乳動物に対して、レチノイドを投与することを特徴とする、樹状細胞の浸潤能を活性化する方法。
  4. レチノイドが、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸からなる群より選択される、請求項3に記載の樹状細胞の浸潤能を活性化する方法。
  5. 哺乳動物に対して、請求項1又は2に記載の樹状細胞浸潤能活性化組成物を投与することを特徴とする、樹状細胞の浸潤能を活性化する方法。
  6. レチノイドを含有する、免疫賦活剤。
  7. レチノイド及び樹状細胞を含有する、免疫賦活剤。
  8. レチノイドが、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸からなる群より選択される、請求項6又は7に記載の免疫賦活剤。
  9. 哺乳動物細胞に対して、レチノイドを投与することを特徴とする、哺乳動物の免疫を賦活化する方法。
  10. 哺乳動物に対して、請求項6〜8のいずれか1項に記載の免疫賦活剤を投与することを特徴とする、哺乳動物の免疫を賦活化する方法。
  11. レチノイドが、全トランスレチノール、13−シスレチノール、全トランスレチノイン酸及び13−シスレチノイン酸からなる群より選択される、請求項10に記載の哺乳動物の免疫を賦活化する方法。
  12. 請求項1又は2に記載の樹状細胞浸潤能活性化組成物、又は請求項6〜8のいずれか1項に記載の免疫賦活剤を、投与又は使用することを特徴とする、動物の感染症、癌の予防・治療方法。
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