JPWO2005003744A1 - 分光測定による特定成分の測定方法 - Google Patents

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Abstract

試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液表面に、測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止して当該光を測定し、その測定値に基づいて当該特定成分の量を求めることを特徴とする測定方法及びそれに用いられる装置を開示する。 本発明に係る測定方法によれば、分光測定装置を用いて行う試料中の特定成分の測定に於いて、シグナル値の日差変動が起きることや、バックグラウンドが高くなる等の問題を解決し、微量成分を高精度且つ高感度の測定を行うことができる。

Description

本発明は、例えば血清、血漿等の生体試料中の微量成分を、測定装置を用いて測定する方法に関する。詳しくは、発光,蛍光,燐光等を分光測定装置を用いて測定する際に、測定環境中、特に反応容器周辺の雰囲気中に荷電の偏りが生じることにより測定に与える測定誤差、バックグラウンドが高くなる等の影響を排除し、目的成分を高精度に定量し得る測定方法及びそれに用いられる装置に関する。
発光,蛍光,燐光等を利用した特定成分の分析・測定は、その測定感度が高いため特に環境ホルモンや生体内分子等の微量成分の測定に良く利用されているが、このような高感度な分光測定に於いては、シグナルの変動が少ないことが望まれる。
しかし、このような高感度な分光測定に用いられている光検出器は高感度であるため、目的測定とは無関係な微弱なシグナルも検出してしまい、正確な測定ができないという問題点がある。このような目的の測定に無関係な微弱なシグナルによる測定誤差を防止する手段として、光検出器の光電変換アンプにアースをとり不正電流の影響を除外する方法、あらかじめ不正電流をカウントし、これを差し引くことで目的のシグナルのみを検出する方法等が実施されている。
しかし、これらの手段を用いても測定毎にバックグラウンド値が変動するために、測定毎に濃度既知の標準品等を試料として求めた濃度とシグナル値との関係を示す検量線を設定しなければ正確な測定値が得られない等、測定対象の微量成分を高精度に測定することが妨げられるという問題があった。
例えば、ルミノールの発光特性を利用して微量成分を測定する場合、例えば測定対象物量に応じたペルオキシダーゼ(POD)等の酸化酵素によって、過酸化水素等の存在下ルミノールは酸化されて蛍光を発する(発光する)。しかし、測定対象物濃度がゼロでPOD等の酸化酵素がない場合でもルミノールはわずかに酸化されて発光する。このような、POD等の酸化酵素以外の要因によって引き起こされたルミノールのエネルギー変動量(バックグラウンド値)や、また、POD等の酸化酵素によって引き起こされたエネルギー変動量(これらを総称してシグナル値という場合がある。)が測定日や測定時、測定場所等の測定環境が変化することにより大きく変動するという問題もあった。
以上のような現象は、発光,蛍光又は燐光等の、物質のエネルギー変動のシグナル値を測定する方法に於いて見られ、問題となっている。
そのため、このようなシグナル値の変動の少ない測定方法及び機器の開発が望まれている現状にあった。
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、分光測定装置を用いて行う試料中の特定成分の測定に於いて、測定環境中に生じる、反応容器周辺の雰囲気の荷電の影響を抑制あるいは低減することにより、測定対象の特定成分を高精度に再現性良く簡便に測定できる方法及びそれに用いられる装置を提供することをその目的とする。
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、以下の構成よりなる。
(1)試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液表面に、測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止して当該光を測定し、その測定値に基づいて当該特定成分の量を求めることを特徴とする測定方法。
(2)反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にし、当該測光室の当該反応容器中で、試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により生じる光を測定し、その測定値に基づいて試料中の特定成分の量を求めることを特徴とする測定法方法。
(3)溶液中に於ける物質のエネルギー変動により生じる光の量を測定する装置であって、当該溶液表面に測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止する機構を備えた装置。
(4)物質のエネルギー変動により生じる光の量を測定する装置であって、反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にするための処理をする機構を備えた装置。
即ち、本発明者等は、分光測定装置を用いて分光測定を実施する際に生じるシグナル値の変動等の影響を抑制、或いは回避して、測定対象の微量成分等の特定成分を高精度に測定しうる方法を見出すべく鋭意研究の結果、試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液表面に、測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止することにより、シグナル値の変動が抑えられ、所期の目的が達せられることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明に係る測定方法とは、試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液表面に、測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止して、当該光を測定し、その測定値に基づいて当該特定成分の量を求めることを特徴とする測定方法の発明である。
本発明に係る測定方法に於いて、試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液表面に、測光室内の雰囲気中の荷電が移動することを防止する方法としては、反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にすること、又は測光室内の雰囲気と反応容器内の当該溶液との接触を遮断することが挙げられる。
反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気とは、分光測定装置内で、反応容器が接触する大気、又は分光測定機器に設けられた測光室内の大気等をいう。
本発明に係る試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により生じる光としては、発光、蛍光又は燐光が挙げられる。
本発明に於いて分光測定とは、発光,蛍光,燐光等の光の、スペクトルの強度分布を測定することであり、検出器に例えばフォトダイオード、光電子倍増管、CCDカメラなどが、また出力法としてフォトカウンティング法、電流出力法、電圧出力法などが挙げられるが、特に限定されない。
本発明に於いて用いられる分光測定装置としては、通常この分野で用いられる汎用の分光測定装置であれば、分光機能のみを備えたものであっても、試薬分注機能と分光機能を併せ持つものであっても、さらに試薬分注機能とB/F分離機能と分光機能を併せ持つ自動分析装置であっても良く、特に限定されない。分光機能のみを備えたものの具体例としては、例えばサファイア(テカン社)、試薬分注機能と分光機能を併せ持つものとしては、例えばLB953(ベルトールド社)、自動分析装置としては、例えば自動化学発光免疫装置Sphere Light 180(スフィアライト180、オリンパス社製)等が挙げられる。
本発明に係る測光室とは、光検出器を備えた、分光測定装置内の実際に光を測定する際に測定対象物(反応容器)がセットされる部分である。
本発明に係る反応容器としては、種々のものが使用でき、例えばガラス又はポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック製の容器等が挙げられるが、使用する分光測定装置で使用できるものであれば特に限定されず、使用する分光測定装置に専用の反応容器でも良い。尚、自動分析装置に於ける反応容器には、例えばカートリッジ式の容器であって、そのカートリッジに溶液を分注する複数の凹部(反応槽又は試薬セルという)が設けられているものもあるが、そのような形状のものも本発明に用いることができる。
本発明に於いて、「反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にする」とは、分光測定直前又は/及び分光測定時に、一旦若しくはその間中、反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室中の反応容器周辺の電気的環境の荷電を除去する、荷電の偏りを抑制する、或いは荷電を一定にする、という場合の何れかを指す。
反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にする方法としては、この目的を達成し得る方法であれば良く、特に限定されないが、例えば反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を
(1)荷電が一定の気体、
(2)除電装置、
(3)除電効果のある素材、
から選択される一以上のものを用いて処理する方法等が挙げられる。
本発明に係る荷電が一定の気体としては、電荷を持たない気体又はそれ自体荷電が一定の気体で、且つ分光測定に悪影響を与えないものであれば良く特に限定されないが、例えば市販の気体ボンベに入った例えば空気や、窒素,アルゴン,ヘリウム等の不活性ガス等が挙げられる。また、コンプレッサーやポンプ等の自体公知の装置を使用して供給される、測定装置周辺の外部環境の空気や他の種類の気体、例えばイオナイザー等により供給されるイオン化した気体等も挙げられる。安全面、衛生面、および反応容器内の気体置換の効率等の面から、好ましいものとしては空気、窒素、アルゴン等の気体が挙げられる。更に利用のし易さ、経済性等を考慮した場合には、分光測定装置の外部環境の空気を利用することが好ましい。
これらの気体を供給する装置としては、気体を目的の部位に移送できるものであれば良く特に限定されないが、例えばイオナイザー、高圧ボンベ、コンプレッサーやポンプ等の自体公知の装置、これらに接続する特定部位に気体を誘導するための通気管等がある。
イオナイザーの具体例としては、例えば正イオン又は負イオンを発生させる放電電極等の部位と、正イオン又は負イオンを放出する放電管部を備えた機器であれば特に限定されず、市販のイオナイザーや、イオン送風器等が使用可能である。
例えばポンプによって気体を流通させる場合は、例えばピストン方式のポンプが本願に用いることができる。
本発明に係る除電装置としては、例えば正イオンと負イオンの両イオンを発生させて放電部から放出し、反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気の荷電を除去できる静電気除去装置であって、使用する分光測定装置内に設置できる大きさであれば良い。例えば交流除電器等の電圧印加式の除電器、帯電物体の電位により除電器電極の突端部に電界を集中させて放電を起こす自己放電式除電器等が挙げられる。また直流除電器でも交流除電器等でも良く、バー型であっても送風型であっても良い。例えば市販の静電気除去装置(SJ01 SJ020、キーエンス社製等)を用いれば良い。
本発明に係る除電効果のある素材としては、除電性能をもつシートが挙げられ、除電テープとして市販されているもの(例えば「除電テープ」、日本バイリーン(株)製等)等を用いれば良い。例えば、導電層と導電層の支持体を構成要件として含んでいるもの、具体的には特開平5−174991号公報、特開平7−243174号公報、特開平5−263318号公報、特開平6−215854号公報等に記載されたようなものが挙げられる。
更に詳述すれば、導電層の支持体としては、例えば絹,羊毛,綿,麻等の天然繊維、レーヨン繊維等の再生繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、ポリアミド繊維,ポリビニルアルコール繊維,アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維,ポリウレタン繊維,ポリエチレン繊維,ポリプロピレン繊維等の一成分からなる合成繊維、2成分以上の樹脂成分からなる芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維等から構成される絡合不織布、織物、編み物等が挙げられる。
導電層を形成するものとしては、アセチレン、ベンゼン、アニリン、フェニルアセチレン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール及びこれらモノマーの誘導体、等のモノマーを重合して得られたポリマーが挙げられる。これらポリマーは、上記支持体への被覆処理の前又は後に導電性物質(例えばステンレス、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、銀等の金属やカーボン等)で加工を施したものであっても良い。これらが上記支持体を略全体的に被覆して、導電層を形成する。
更に当該除電シートは、非導電層を含んでいるものが好ましい。例えば除電処理を行う部位に装備するために支持体に接着剤の層を設けているものが挙げられる。具体的には、アクリル酸エステル,酢酸ビニル,塩化ビニル,塩化ビニリデン,アクリル系モノマー,スチレン,オレフィン等のモノマーに由来するホモポリマー,コポリマー等の熱可塑性合成樹脂、天然ゴム,天然合成ゴム,ニトリルゴム,スチレン・ブタジエンゴム,クロロプレンゴム,ブチルゴム等のゴム、尿素−ホルマリン樹脂,メラミン−ホルマリン樹脂,フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、等から構成される接着剤の層を形成していても良い。
より具体的には、例えば絡合不織布が電子共役系ポリマーにより略全体的に被覆されており、しかも該電子共役系ポリマーよりも導電性に優れた導電層を形成しているような構成の除電シート(特開平5−174991号公報)、合成ゴム及び/又はエラストマーを主体とする繊維シート表面が、電子共役経ポリマーで被覆されているような構成である除電シート(特開平7−243174号公報)、保護ポリマー層、隠蔽ポリマー層、導電性ポリマー層から構成される導電性複合繊維を用いた除電性能を有する布帛(特開平5−263318号公報)等が挙げられる。また、金属製メッキ等の導電加工した繊維、金属繊維、カーボン繊維、金属イオン混入繊維等の導電性繊維をシート状に形成したもの、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維等の繊維から繊維シートを形成した後、この繊維シートを導電加工して得られるもの(特開平6−215854号公報)のようなものであっても良いが、これらに限定されるものではない。
本発明に於いて、上記(1)〜(3)の方法を単独、又は複数組み合わせるのは任意である。
以下に、各方法についてより具体的に説明する。
(1)荷電が一定の気体で処理する方法
当該方法の具体例としては、例えば(i)反応容器に荷電が一定の気体を一定量以上吹き付ける方法、(ii)測光室内に荷電が一定の気体を流通させ、測光室内の雰囲気を、荷電が一定の気体で置換する方法、等が挙げられる。
(i)の方法としては、例えば自動分析装置を用いる場合、当該装置の反応容器が測光室に移動される前の部分に荷電が一定の気体を供給する装置(ポンプ、イオナイザー等)からひいた通気管等を設置しておき、反応容器が測光室に移動される前の段階で、反応容器に当該気体を吹き付ける等すれば良い。
尚、該反応容器が順次荷電が一定の気体を吹き付ける通気管等の前を通過する度に当該気体を反応容器に吹き付けるような設定をしても良いが、分光測定の間継続してこのような部分に当該気体が流通し得るようにしておけば、あえてそのような設定をしなくても良い。
用手法により反応させた試料を分光測定装置で測定する場合には、反応容器に荷電が一定の気体を吹き付け、その後反応容器を測光部にセットする等すれば良い。
(ii)の方法としては、例えば自動分析装置の場合、下記の方法が一例として挙げられる。即ち、荷電が一定の気体を供給する装置(ポンプ、イオナイザー等)からひいた通気管等を自動分析装置に設置し、当該気体を測光室に流通させるようにすれば良い。但し、測光室は遮光する必要があるため、測光室内に通気管等を設置するよりも、例えば測光室の手前に当該通気管等を設置し、測定の間、当該気体を測光室に向けて流通させておく。すると、試料及び試薬が導入された反応容器が測光室に移動して測光室の遮蔽板が開いたときに、通気管等から測光室内に当該気体が供給され、次いで遮蔽板が閉じて測光室の遮光も維持されるため、好ましい方法である。
また、遮蔽板が開く度に気体を流通させても良いが、分光測定の間継続して当該気体を流通させておけば、あえて遮蔽板が開く度に気体を流通させるような複雑な設定とする必要はない。
用手法により反応させた試料を分光測定装置で測定する場合には、当該分光測定装置の測光室周辺に、荷電が一定の気体を供給する装置からひいた通気管等を自動分析装置に於ける場合と同様に設置し、当該気体を、通気管を通して測光部に流通させれば良い。
(i)の方法を実施する場合の、反応容器に吹き付ける荷電が一定の気体の量及び強さ(流速)は、反応容器の荷電が除去される程度であれば良い。また(ii)の方法を実施する場合の、測光部に流通させる荷電が一定の気体の量及び流速は、目的の測光室中の気体が荷電が一定の気体に置換されるような量を導入できるように設定すれば良い。
(2)除電装置を用いる方法
当該方法の具体例としては、例えば自動分析装置を用いる場合、当該装置の反応容器が測光室に移動される直前の部分に除電装置を設置しておき、反応容器が測光室に移動される前の段階で、使用する除電装置が除電できる範囲(除電領域)を通過するようにすれば良い。
上記方法を実施する場合、反応容器はターンテーブルに配置された反応容器が順次除電装置のイオン放電部前を通過する度に反応容器がイオンに曝されるような設定をしても良いが、分光測定の間継続して除電装置を稼働させて反応容器が順次除電領域にはいるようにすれば、あえてそのような設定をしなくても良い。
当該方法を実施する場合の、反応容器に曝すイオンの量は、反応容器の荷電が除去される程度であれば良い。
(3)除電効果のある素材を用いる方法
当該方法としては、例えば測光室の内壁に除電効果のある素材(例えば除電シート)を貼付する方法がある。除電シートを貼付する位置としては、測定操作を妨げなければ、測光室内のどこでも良い。また、貼付する除電シートの大きさは、特に限定されないが、あまり大きくても無駄であり、経済的でない。また、測光室内壁全面に張り巡らす必要はない。例えば、測光室の容積が4cm×3cm×8cm程度である場合、2〜3cm幅のテープ状のものを、帯状に測光室内壁に貼付すれば良い。
また、反応容器がカートリッジ式である場合には、カートリッジの外側側面に、該除電シートを貼付してもよい。カートリッジの外側側面と測光室の内壁の両方に除電シートを貼付してもよい。中でもカートリッジを側面から挟むような貼付位置に除電テープを貼付するのが効果的である。具体的には、例えば(i)カートリッジの縦側面に平行する測光室のに壁面に、除電テープを貼付する方法、(ii)カートリッジの外側縦側面に除電テープを貼付する方法、(iii)(i)と(ii)の両方を実施する方法、が挙げられる。
本発明に係る以上(1)〜(3)の処理方法の中でも、除電効果のある素材を用いる方法(3)が、最も簡便である。
また、反応容器が測光室に移動される前の段階で、当該反応容器に荷電が一定の気体を吹き付ける方法や、除電装置を用いる方法も、簡便で好ましい方法である。
本発明に於いて、「測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する方法」としては、例えば(1)試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液を保持した反応容器の開口部をシートで覆う方法、又は(2)該溶液の液面を反応容器内の溶液に不溶な物質で覆う方法が挙げられる。
(1)の当該溶液を保持した反応容器の開口部をシートで覆う方法としては、例えばセロハンテープ、アルミシール、アルミ箔、紙テープ、ビニールテープ等の測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断し得るシートで溶液を保持した反応容器の開口部を覆う方法が挙げられる。その際には、反応容器内の雰囲気が外に漏れないように開口部全体を覆い密閉することが望ましいが、完全に密閉されていなくてもよい。
当該溶液を保持した反応容器に用いられる反応容器の好ましい実施態様は前記したとおりである。
(2)の試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液の液面を、反応容器内の溶液に不溶な物質で覆う方法としては、(i)反応容器内の溶液に不溶であって、該溶液液面を覆うように広がる性質のある溶液で覆い、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する方法や、(ii)反応容器内の溶液に不溶であって、該溶液液面に浮く性質のある、該溶液より比重の低い物質を適用する(浮かべる)方法によって反応容器内の溶液液面を覆い、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する方法等が挙げられる。
(i)の方法に用いられる、反応容器内の溶液に不溶であって、該溶液液面を覆うように広がる性質のある溶液としては、反応容器内の溶液が水系溶液であった場合には、例えばシリコンオイル、ヘキサン、流動パラフィン等が挙げられるが、これに限定されない。反応容器内の溶液が非水系溶液であった場合には、例えばヘキサン、ベンゼン等が挙げられるが、これに限定されない。
(ii)の方法に用いられる、反応容器内の溶液に不溶であって、該溶液液面に浮く性質のある、該溶液より比重の低い物質としては、例えばコルク、発泡スチロール等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明に係る試料中の特定成分の測定方法を実施するには、本発明に係る方法で反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を処理するか、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する以外は、自体公知の分光測定装置並びに測定用試薬を用い、自体公知のELISA法等の測定条件(例えば反応時間、測定波長等)や測定操作法に従って、試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動、例えば、発光、蛍光、燐光等の測定を行えば良く、特に限定されない。詳しくは各機器並びに各測定用試薬のマニュアルに従えば良い。
実際に試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動を生じさせる測定方法としては、測定対象の特定成分を含有する試料と共に上記した如き光を生じる物質を溶液中に存在させ、当該物質の存在下で各種のエネルギー変動を生じさせる反応を行わせ、その結果生じる発光,蛍光,燐光等を測定し、その測定値を用いて、試料中の特定成分を測定する方法であれば特に限定されない。
このような反応としては、例えば適当な緩衝液等の溶液中で、特定成分とこれを基質とする酸化酵素を反応させて過酸化水素を発生させ、この過酸化水素と適当な化合物とを反応させて適当なエネルギー変動を生じさせる反応、POD等の酸化酵素等で標識した特定成分に対する抗体と特定成分とを反応させて特定成分と標識抗体の免疫複合体を生じさせ、次いで当該免疫複合体(PODが結合している)と過酸化水素及びルミノール等の基質とを反応させ、その結果生じるエネルギー変動(例えば発光,蛍光,燐光等)を測定する等の常法が挙げられる。
尚、上記方法に於いて、特定成分は、主反応に直接関与するものであっても、また、主反応に副次的に(間接的に)関与するものであっても良い。
また、試料中に含まれる特定成分以外の物質の影響を回避する、あるいは特定物質の検出感度を高くする目的等の為に、測定系に界面活性剤、賦活化剤等の、通常この分野に於いて用いられる通常の添加物を添加してもかまわない。
このような測定法としては、例えば化学的測定法(例えばキレート発色法等)、例えば酵素学的測定法(例えば酸化還元発色法等)、免疫学的測定法〔例えば酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、免疫阻害法、化学発光法等〕等の例えば臨床検査分野、生化学分野、生物分野、化学分野、食品分野、環境調査分野等で通常行われている方法が挙げられる。また、その測定原理としては、サンドイッチ法、競合法、二抗体法等種々のものが挙げられる。
本発明の測定法に於いて用いられる測定対象物に起因して生じる発光、蛍光、燐光を測定するための発光物質、蛍光物質、燐光を生じる物質としては、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)等の、通常この分野で用いられるものであれば良い。
例えば化学発光物質としては、イソルミノール,ルミノール,アミノエチルイソルミノール,アミノエチルエチルイソルミノール,アミノプロピルイソルミノール,アミノブチルイソルミノール,アミノヘキシルエチルイソルミノール等のルミノール誘導体、ルシフェリン、ビス(2,4,6−トリフロロフェニル)オキザレート等が挙げられる。
例えば蛍光物質としては、例えば蛍光イムノアッセイに於いて用いられるフルオレセイン,ダンシル,フルオレスカミン,クマリン,ナフチルアミン,フルオレセインイソチオシアネート,ローダミン,ローダミンXイソチオシアネート,スルフォローダミン101,ルシファーイエロー,アクリジン,アクリジンイソチオシアネート,リボフラビン或いはこれらの誘導体、ユウロピウム(Eu)等が挙げられる。
例えば燐光特性を有する物質としては、アルカリ土類金属(カルシウム等)の硫化物に微量の重金属(銅等)を混合したもの、メチル置換体ベンズオキサゾール、ベンゾフェノン等が挙げられる。
測定に当たっては、上記した測定方法によって試料中の特定成分の量に応じて発光性物質による発光、蛍光物質による蛍光、燐光特性を有する物質による燐光を発生させ、そのシグナル値を測定すれば良い。
例えば、本発明の方法により試料中のTSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定する方法を例にとって説明すると、例えば以下の如くなる。
本発明に係る反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を一定にする機構を備えた自動分析装置に、試料、モノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズ、POD結合モノクローナル抗TSH抗体溶液、5mMルミノール溶液、H溶液を夫々装填する。次いで機械を始動させて、TSHを含有する試料とモノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズを加えて反応させ、B/F分離した後、POD結合モノクローナル抗TSH抗体を加えて反応させる。続いて、B/F処理を行ったビーズに5mMルミノール溶液(発光基質液)とH溶液を添加し、混合後、試料の発光を測定すれば良い。
自動分析装置の代わりに一般の分光測定装置を用いて上記のTSHの測定を行う場合には、用手法で試料と各種試薬等を反応させ、発光反応を起こさせた後、反応容器を本発明に係る反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を一定にする機構を備えた分光測定装置にセットして、試料の発光を測定すれば良い。
また、本発明に係る測定方法の別の実施態様としては、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する機構を備えた分光測定装置を用いて、試料の発光を測定すればよい。具体的には、例えば下記の(i)、(ii)又は(iii)の方法が挙げられる。
(i)本発明に係る反応容器の開口部をシートで覆う機構を備えた自動分析装置に、試料、モノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズ、ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体溶液、5mMルミノール溶液、H溶液を夫々装填する。次いで機械を始動させて、TSHを含有する試料とモノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズを加えて反応させ、B/F分離した後、ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体を加えて反応させる。続いて、B/F処理を行ったビーズに5mMルミノール溶液(発光基質液)とH溶液を添加し、混合後、自動分析装置に備わった機構により反応容器の開口部をシートで覆う処理を施した後、溶液の発光を測定すれば良い。
自動分析装置の代わりに一般の分光測定装置を用いて上記のTSHの測定を行う場合には、用手法で試料と各種試薬等を反応させ、発光反応を起こさせた後、反応容器の開口部にセロハンテープ等を貼付するなどして覆い、分光測定装置にセットして、試料の発光を測定すれば良い。
(ii)本発明に係る反応容器内の溶液液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面を覆うように広がる性質のある溶液を滴下する(又は流し込む)機構を備えた自動分析装置に、試料、モノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズ、ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体溶液、5mMルミノール溶液、H溶液を夫々装填する。次いで機械を始動させて、TSHを含有する試料とモノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズを加えて反応させ、B/F分離した後、ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体を加えて反応させる。続いて、B/F処理を行ったビーズに5mMルミノール溶液(発光基質液)とH溶液を添加し、混合後、自動分析装置に備わった機構により反応容器中の溶液の液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面を覆うように広がる性質のある溶液を滴下して(又は流し込んで)水不溶性溶液の膜を形成させた後、溶液の発光を測定すれば良い。
自動分析装置の代わりに一般の分光測定装置を用いて上記のTSHの測定を行う場合には、用手法で試料と各種試薬等を反応させ、発光反応を起こさせた後、反応容器の溶液液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面を覆うように広がる性質のある溶液を、滴下し、又は反応容器の壁面に沿わせるようにして静かに流し込み、該溶液液面に水不溶性溶液の膜を形成させた後、分光測定装置にセットして、試料の発光を測定すれば良い。
(iii)本発明に係る、反応容器内の溶液液面に、反応容器内の溶液に不溶であって、該溶液液面に浮く性質のある、該溶液より比重の低い物質を適用する(浮かべる)機構を備えた自動分析装置に、試料、モノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズ、ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体溶液、5mMルミノール溶液、H溶液を夫々装填する。次いで機械を始動させて、TSHを含有する試料とモノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズを加えて反応させ、B/F分離した後、ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体を加えて反応させる。続いて、B/F処理を行ったビーズに5mMルミノール溶液(発光基質液)とH溶液を添加し、混合後、自動分析装置に備わった機構により反応容器内の溶液液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面に浮く性質のある、該溶液より比重の低い物質を適用して(浮かべて)該溶液液面を覆った後、該溶液の発光を測定すれば良い。
自動分析装置の代わりに一般の分光測定装置を用いて上記のTSHの測定を行う場合には、用手法で試料と各種試薬等を反応させ、発光反応を起こさせた後、反応容器の溶液液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面に浮く性質のある、該溶液より比重の低い物質を浮かべて該溶液液面を覆った後、分光測定装置にセットして、試料の発光を測定すれば良い。
得られたシグナル値から、試料中の特定成分の量を求める方法は、用いた各分光測定装置のプロトコルに従えば良い。例えば、上記で得られたそのシグナル値を、予め濃度既知の標準品等を試料として上記方法と同様にして求めた、濃度とシグナル値との関係を示す検量線に当てはめることによって、試料中の特定成分の量を算出すれば良い。また、上記方法に於いて、シグナル測定値から、特定成分を含まない試料を用いて上記と同様にして求めたシグナル測定値を盲検として差し引けば、より精度良く試料中の特定成分を検出することができる。
本発明の方法により測定可能な測定対象物質としては、測定対象の特定物質の量に対応した発光、蛍光、燐光、吸光を生じさせる反応が存在し(特定成分は、当該反応の主反応に直接関与しても、また、主反応に副次的に(間接的に)関与しても良い。)、且つ生じた発光等に基づく分光測定を行うことにより測定可能なものであれば何れにても良く、特に限定されないが、例えばエストロゲン、ビスフェノールA等の環境ホルモン、α−プロテイン(AFP),CA19−9、前立腺特異抗原(PSA)、癌胎児性抗原(CEA)等の癌マーカー、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、β2−ミクログロブリン、アルブミン等の血清タンパク質、アミラーゼ、アルカリフォスフォターゼ等の酵素タンパク、コレステロール、トリグリセリド、クレアチニン、尿酸等の生体内物質、ステロイド、アセトアミノフェン類、ジゴキシン化合物の薬剤、エストラジオール,プロラクチン等の非ペプチドホルモン、各種微生物、マイコプラズマ、各種ウィルスに由来する核酸成分に相補的なオリゴヌクレオチド等のDNA測定試薬等が挙げられる。
また、試料としては、上記した如き測定対象物質を含むものが挙げられるが、臨床検査分野、生化学分野、生物分野、化学分野、食品分野等で用いられる、例えば血清、血漿、髄液、睡液、膵液等の各種体液、尿、糞便(その希釈物等)等の排泄物、リンパ球、血球、各種細胞類、各種生体組織の抽出液等の生体由来試料、例えば植物の組織、細胞の抽出液等の植物由来試料、例えば微生物培養液や抽出液等の微生物由来試料、例えば食品又はその抽出液等の食品由来試料等が挙げられる。
本発明に係る装置としては、物質のエネルギー変動により生じる光の量を測定する装置であって、(a)反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にするための処理をする機構を備えた装置、又は(b)測光室内の雰囲気と反応容器内の当該溶液との接触を遮断する機構を備えた装置が挙げられる。
(a)の反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にするための処理をする機構の具体例としては、
(1)反応容器又は/及び測光室に荷電が一定の気体を流通させる装置、
(2)除電装置
(3)除電効果のある素材を貼付した測光室、
から選択される一以上のものが具体的に挙げられるが、前記した如き本発明に係る反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にし得る機構であれば良く、上記具体例に限定されない。尚、各具体例に於ける核構成要件の実施態様等は前記したとおりである。即ち、前記した如き本発明に用いられる分光測定装置に、上記から選ばれた機構を単独或いは複数装備すれば、本発明の測定装置とすることができる。
(b)の測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する機構の具体例としては、
(1)該溶液を保持した反応容器の開口部をシートで覆う装置、
(2)該溶液の液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面を覆う様に広がる性質のある溶液を滴下して(又は流し込んで)、該溶液の表面を不溶性溶液で覆う装置、
又は
(3)該溶液液面に、該溶液に不溶であって、該溶液液面に浮く性質のある、該溶液より比重の低い物質を適用する(浮かべる)装置、
が具体的に挙げられるが、前記した如き本発明に係る測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する機構であれば良く、上記具体例に限定されない。尚、各具体例に於ける核構成要件の実施態様等は前記したとおりである。
尚、本発明に係る装置は、上記した(a)反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にする装置、又は(b)測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する装置を、単独で備えるものであっても良いし、(a)と(b)の両方の装置を備えたものであっても良い。また、(a)の装置の複数と、(b)の装置の複数を共に備えたものであっても良いことは言うまでもない。
従って、本発明によれば、従来から用いている分光測定装置にこれらの上記装置を備えるだけで良く、特殊な除電機構を備えた測定装置である必要がないという利点が得られる。
本発明によれば、反応容器周辺の雰囲気や測光室の反応容器周辺の雰囲気の荷電を一定にするか、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断するだけで、簡単にシグナル値の日差変動や、バックグラウンド値の低減を行うことができる。言い換えれば、本発明によれば、従来、発光、蛍光、燐光等を測定して生体内の微量成分を測定する場合に、シグナル値が変動して正確な測定ができないという問題があり、種々の検討がなされてきたが、あらゆる対策を講じてもなおシグナルの変動が起きて問題となっていたことを容易に解決し得るのであり、実に意外であった。
本発明の方法によれば、分光測定装置を用いた、エネルギー変動により生じる光の分光測定による試料中の特定成分の測定に於いて、シグナル値の日差変動が起きることや、バックグラウンドが高くなる等の問題を解決し、微量成分を高精度且つ高感度の測定を行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない
実験例1
環境変化による測定値変動の検討
[試薬の調製]
下記の試薬を調製した。
蒸留水、
試薬A:5mMルミノール溶液(スフィアライト180専用緩衝液、pH8.5、和光純薬工業(株)製)、
試薬B:0.02%H水溶液、
試薬C:試薬Aと試薬Bを等量で混和させたもの。
[発光の測定]
測定機器として自動化学発光免疫装置スフィアライト180(Sphere Light 180、オリンパス社製)を用い、上記で調製した各試薬140μLの発光測定を行った。測定は、同一試料について、同一間隔で10回(本例では20秒毎)繰り返した。
また、日を変えて同様に10回測定を行い、測定値(シグナル値)の測定回毎の変動及び日差変動の程度を調べた。
[結果]
結果を表1−1及び表1−2に示す。表1−1は測定1日目の結果、表1−2は測定2日目の結果を夫々示す(単位:cps)。
Figure 2005003744
Figure 2005003744
Figure 2005003744
表1−1及び表1−2から明らかな如く、水、及びHを含有する試薬Bは、異なった日に発光を測定した場合でも、シグナル値の変動がなかった(水:0.3cps、H:0.1cps)が、ルミノールを含有する試薬A及び試薬Cは、シグナル値の日差変動が激しかった(試薬Aの日差変動:59.9cps、試薬Cの日差変動:1242.4cps)。
水について測定を行った場合にはシグナル値の変動が見られなかったことから、測定時の環境による変動要因が、電流電圧変換アンプに流れる雑音・不正電流ではないことが推察された。またルミノールを含有する試薬についてだけ、シグナル値の変動が確認されたことから、測定時の環境変化によりルミノールのエネルギー状態が変化し、バックグラウンドの変動を引き起こすことが推察された。
除電テープを用いた除電効果
[試薬の調製]
下記の試薬を調製した。
発光基質溶液:5mMルミノール溶液(スフィアライト180専用緩衝液、pH8.5、和光純薬工業(株)製)、
溶液:0.02%H溶液(スフィアライト180専用酸性緩衝液、pH3.0、和光純薬工業(株)製)
[測定機器]
自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)の、測光室の内壁四面に除電テープ(25mm幅、日本バイリーン(株)製)を横に貼付した機器と、除電テープを貼付していない機器を用意した。
[発光の測定]
上記で調製した発光基質溶液70μL、H溶液70μLをスフィアライト180で試薬カートリッジの反応槽に自動分注後、反応液計140μLの発光測定を行った。尚、前記試薬カートリッジには、試薬溶液を分注する凹部が設けてあり、これを反応槽という(測定セルともいう)。
測定は、同一反応液について、同一間隔で4回(本例では20秒毎)繰り返した。
[結果]
結果を表2に示す(単位:cps)。表2に於いて、コントロールとは、除電テープを貼付していない測定機器を用いて(除電対策なし)発光測定を行った結果を示す。また、コントロールのシグナル値の平均値に対する、除電テープを貼付した測定機器を用いて発光測定を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示す。
Figure 2005003744
表2から明らかな如く、除電テープを貼付した測定機器を用いて測定した場合のシグナル値は、コントロールの約58%であり、除電テープを用いたことによりバックグラウンドを抑制できることがわかる。
除電テープの貼付位置の検討
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[測定機器]
自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)の、測光室の内壁の様々な位置に除電テープ(25mm幅、日本バイリーン(株)製)を貼付した場合(表3のパターン2〜8)と、除電テープを貼付しない場合(表3のパターン1)を設定した。
また、各パターン1〜8に於ける測光室内の除電テープの貼付位置を、表3の、測光室と試薬カートリッジのセット位置を示した図中に、太線で示した(尚、パターン3〜5は、貼付した除電テープの総面積が同じになるようにした。)。
即ち、パターン1〜8は、それぞれ下記の状態に除電テープを貼付した位置を示す。
パターン1:除電テープを貼付していない場合。(除電対策なし。コントロール)
パターン2:測光室の四面(A〜D面)に除電テープを貼付した場合。
パターン3:測光室のA面とB面に除電テープを貼付した場合
パターン4:測光室のC面とD面に除電テープを貼付した場合。
パターン5:測光室のA面のみに除電テープを貼付した場合。
パターン6:測光室のB面のみに除電テープを貼付した場合。
パターン7:試薬カートリッジの、測光室のA面とB面に平行する縦側両側面に除電テープを貼付した場合
パターン8:試薬カートリッジの測光室のA面とB面に平行する縦側両側面、及び測光室のA面とB面に、除電テープを貼付した場合
更に、パターン5の場合の測光室の模式図を図1に示す。図1に於いて、測光室の内壁の四面をそれぞれA、B、C、Dとして示したが、これら記号は表3の、パターン1の除電テープ貼付位置の図に示したA、B、C、Dとそれぞれ対応する。また、図1には除電テープの貼付位置、測光室の位置、測光室に対するフォトマル(光電子増倍管)の位置、反応液が入った試薬カートリッジのセット位置を示した。即ち、除電テープは測光室に貼付した。また、フォトマルは測光室の壁面A側にある。
[発光の測定]
上記で調製した発光基質液70μL、H溶液70μLをスフィアライト180で試薬カートリッジの反応槽に自動分注後、反応液計140μLの発光測定を行った。
測定は、同一反応液について、同一間隔で5回(本例では20秒毎)繰り返した。
[結果]
結果を表3に示す(単位:cps)。尚、表3に於いて、パターン1の除電テープ貼付位置の図に示したA、B、C、Dは、図1のA、B、C、Dとそれぞれ対応する。
また、除電テープを貼付しない測定機器を用いて発光測定を行った結果(パターン1)をコントロールとした。コントロールのシグナル値の平均値に対する、各パターンの測定機器を用いて発光測定を行って得られたシグナル値の割合を、対コントロール(%)で示した。
Figure 2005003744
表3から明らかな如く、除電テープを貼付した測定機器を用いて測定した場合、バックグラウンドを抑制できることがわかる。
また、特に表3のパターン2,3,4,7,8に於いて、バックグラウンドを50%以下に抑制する効果が認められた(対コントロール値が低い)ことから、除電テープを、試薬カートリッジを側面から挟むような貼付位置に貼付するのが特に効果的であることが判った。
試薬カートリッジの帯電が測定に及ぼす影響及びアースの効果
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[測定機器]
自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)の、測光室の底面にアルミ箔を設置した(図2、アルミ箔の設置位置を斜線で示した。)。また、測光室の内壁四面に除電テープ(25mm幅、日本バイリーン(株)製)を貼付した。
尚、試薬カートリッジをセットした場合には(図1)、試薬カートリッジは測光室の底面に設置したアルミ箔と接触する。そして、そのアルミ箔は装置の測光室の底面にあるネジと接触し、そのネジは装置本体のアースに接続している。そのため、試薬カートリッジが帯電していた場合、電荷はアルミ箔を通して除かれる。
他に、アルミ箔を設置していない場合等、表4に記載の各場合を設定した。
[発光の測定]
上記で調製した発光基質液70μL、H溶液70μLをスフィアライト180で試薬カートリッジの反応槽に自動分注後、反応液計140μLの発光測定を行った。
測定は、同一反応液について、同一間隔で5回(本例では20秒毎)繰り返した。
[結果]
結果を表4に示す(単位:cps)。表4に於いて、除電対策を全く施していない測定機器を用いて発光測定を行った結果をコントロールとし、コントロールのシグナル値に対する、各除電対策を施した測定機器を用いて発光測定を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示した。
Figure 2005003744
Figure 2005003744
表4から明らかな如く、測光室の底面にアルミ箔を設置して、試薬カートリッジの帯電を除去しても、バックグラウンドを抑えることは出来なかった(対コントロールが高い)。このことから、バックグラウンドが高くなるのは、試薬カートリッジの帯電が影響しているのではないことが明らかになった。そして、このことから測光室にアースを取り付けても、バックグラウンドを抑制することはできないことも判った。これに対し、測光室に除電シートを貼付すると、アースがなくてもバックグラウンドを抑制することが出来ることが判った。
測光室内にある反応容器の周辺を荷電が一定の気体に置換することによる効果
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[測定機器]自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)を用い、ポンプ(xx5510000、ミリポア社製)を用いて大気からの空気が測光室に対して送風されるように、測光室に送風チューブを備え付けた。
[発光の測定]
上記装備の測定機器を用いて除電処理を行う以外は実施例1と同様の方法で、発光測定を行った。即ち測光室に対して、外部空気をポンプで測定中継続して送風することで、測光室内の反応容器周辺の雰囲気の荷電を一定化した。
尚、測定は、同一反応液について、同一間隔で4回(本例では20秒毎)繰り返した。
[結果]
結果を表5に示す(単位:cps)。表3に於いて、コントロールとは、空気を送風しない状態で(除電対策なし)発光測定を行った結果を示す。
また、コントロールのシグナル値の平均値に対する、空気置換を行って発光測定を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示す。
Figure 2005003744
表5から明らかな如く、測光室内の反応容器周辺の大気を外部空気へ置換した場合のシグナル値は、コントロールの約67%であり、反応容器周辺の大気を外部空気へ置換することによって、バックグラウンドを抑制できたことがわかる。
除電装置を用いたことによる効果
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[測定機器]自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)を用い、測光直前に試薬カートリッジの反応槽周辺が除伝可能な位置に、除電装置(SJ01 SJ020、キーエンス社製)を設置し、試薬カートリッジ周辺の除電を行った。
[発光の測定]
上記の除電対策を施した装置を使用する以外は、実施例1と同様の方法で、発光測定を行った。
尚、測定は、同一反応液について、同一間隔で4回(本例では20秒毎)繰り返した。
[結果]
結果を表6に示す(単位:cps)。表4に於いて、コントロールとは、除電装置を設置していない測定機器を用いて(除電対策なし)発光測定を行った結果を示す。また、コントロールのシグナル値の平均値に対する、除電装置を設置した測定機器を用いて発光測定を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示す。
Figure 2005003744
表6から明らかな如く、除電装置を用いて試薬カートリッジの除電処理を行った場合のシグナル値は、コントロールの約51%であり、本発明の除電処理を行うことによって、バックグラウンドを抑制できたことがわかる。
除電処理を行った場合の測定対象物の測定
[試料及び試薬の調製]
試料として、0、0.01、0.1、2.5、10、100μIU/mlのTSH(甲状腺刺激ホルモン)試料(溶媒:検体希釈液 和光純薬工業(株)製)を用意した。
試薬には、下記の構成のスフィアライトTSHIII−測定試薬キット(和光純薬工業(株)製)を用いた。
固相:モノクローナル抗TSH抗体結合ポリスチレンビーズ(1/8インチ)、
標識抗体溶液:ペルオキシダーゼ(POD)結合モノクローナル抗TSH抗体
検体希釈液:スフィアライト180専用検体希釈液
発光基質液:5mMルミノール溶液(スフィアライト180専用緩衝液、pH8.5、和光純薬工業(株)製)、
溶液:0.02%H溶液(スフィアライト180専用酸性緩衝液、pH3.0、和光純薬工業(株)製)
[測定装置]
自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)を用い、下記のように設定した機器を用いた。
(1)除電対策なし
(2)実施例1と同じ、測光室の内壁四面に除電テープを横に貼付したもの
(除電法a)
(3)測光室の内壁四面に除電テープを横に貼付し、且つ試薬及び試料を試薬カートリッジの反応槽周辺が除電可能な位置に、除電装置(SJ01 SJ020、キーエンス社製)を設置し、試薬カートリッジ周辺の除伝を行ったもの(除電法b)
[発光の測定]
上記で調製した各濃度のTSH試料50μLと、検体希釈液90μLを上記の抗TSH抗体結合ビーズが入った反応槽に添加、混合後、37℃で7分間反応させた。反応終了後、ビーズの洗浄を行い、次にPOD結合抗TSH抗体溶液を140μl添加、混合し、さらに37℃で7分間反応させた。反応後、ビーズの洗浄を行った。このビーズに発光基質液70μL、H溶液70μLを添加し、混合した。混合後、試料の発光を測定した。
[結果]
結果を表7に示す(単位:cps)。
Figure 2005003744
Figure 2005003744
表7より明らかな如く、本発明による除電を行うことにより、発光測定に於ける感度の向上(S/N比の向上)が認められた。また二種類の除電方法を組み合わせることにより(除電法bの場合)、より感度向上の効果(S/N比の向上)が得られることから、除電方法を適宜組み合わせて用いることにより、感度向上効果がより上がることが示唆された。
環境変化によるシグナル値の変動の抑制
実施例1と同じ試薬を用い、異なった日の三日間(環境A、環境B、環境Cとする。)測定を行った。測定は同一反応液について、同一間隔で4回(本例では20秒毎)繰り返した。
尚、測定に当たっては、実施例1と同じ、測光室の内壁四面に除電テープを横に貼付した測定機器を用いて測定を行った。また、除電テープを貼付しない測定機器を用いて同様に測定を行った場合(除電対策なし)の結果をコントロールとした。
結果を表8−1及び表8−2に夫々示す。表8−1はコントロールを、表8−2は除電テープを貼付した機器を用いて測定を行った結果を夫々示す。表8−1及び表8−2に於いて、「/環境A」とは、測定1日目(環境A)に於いて4回測定を行った場合の平均値を100とした場合の、各環境に於ける測定値の百分率(%)を示す。
Figure 2005003744
Figure 2005003744
表8−1及び表8−2の結果から明らかな如く、除電対策を施していない機器を用いた場合には、測定日(環境変化)によって測定値の変動が著しかったが(表8−1)、除電テープを貼付した機器を用いた場合には、測定日が異なっても、言い換えれば測定時の環境が変化しても測定値の変動が少なく(表8−2)、安定した測定が行えることが判る。
除電処理を行うことによる、測定値の再現性の向上
実施例6と同じ測定キットを用い、TSHを0.02、0.1μIU/mL含有する試料を用いて、発光測定を行った。測定は、同一反応液について、同一間隔で10回(本例では20秒毎)繰り返した。
尚、測定機器は実施例1と同じ、測光室の内壁四面に除電テープを横に貼付した測定機器と、除電テープを貼付しない測定機器(除電対策なし)を用いた。
結果を表9に示す。
Figure 2005003744
表9より明らかな如く、除電対策を施した機器を用いた方が、測定値のばらつきがなく、測定値の再現性が向上することが判る。
溶液を保持した反応容器の開口部をシートで覆う方法の検討
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[測定機器]
実施例1と同じく、自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)を用意した。除電対策は行っていない。
[発光の測定]
下記の条件で、発光測定を行った。測定は、同一反応液について、同一間隔で5回(本例では20秒毎)繰り返した。尚、測定に用いた試薬カートリッジには、試薬溶液を分注する凹部が設けてあり、反応槽という(測定セルともいう)。
(1)上記で調製した試薬を試薬カートリッジの反応槽に分注混和(反応液計140μL)後、スフィアライト180にセットして発光測定を行った。
(2)(1)の測定を行った後、試薬カートリッジを回収し、反応槽開口部にセロハンテープを貼付し覆った(密閉した)後、再度スフィアライト180にセットして発光測定を行った。
(3)(2)の測定を行った後、試薬カートリッジを回収し、セロハンテープを剥がした後、再度、スフィアライト180にセットして発光測定を行った。
(4)(3)の測定を行った後、試薬カートリッッジを回収して、試薬カートリッジの反応槽開口部にセロハンテープを貼付し覆った(密閉した)後、スフィアライト180にセットして発光測定を行った。
[結果]
結果を表10に示す(単位:cps)。表10に於いて、反応槽の密封を行わないで発光測定を行った結果をコントロールとし、コントロールのシグナル値の平均値に対する、各測定方法を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示した。
Figure 2005003744
Figure 2005003744
表10から明らかな如く、反応槽の開口部をセロハンテープを貼付して、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断することにより、バックグラウンドを抑制できた(2)。
また、バックグランドを抑制できたことを確認した後、セロハンテープを剥がして再度測定すると、再びバックグラウンドが高くなった(3)が、再度セロハンテープで反応槽の開口部を密閉してから蛍光を測定すると、やはりバックグラウンドを抑制できた(4)。このことから、バックグラウンドが、測光室内の大気が試薬に接触することにより変動していることが示唆された。
反応容器の開口部を覆うシートの種類の検討
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[測定機器]自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)を用いた。除電対策は行っていない。
[発光の測定]
上記で調製した試薬を試薬カートリッジの反応槽に分注混和(反応液計140μL)後、反応槽開口部にアルミシール又はセロハンテープを貼付して覆った(密封した)後、スフィアライト180にセットして発光測定を行った。また、反応槽開口部を開口させたままで同様に測定を行い、コントロールとした。測定は、同一反応液について、同一間隔で5回(本例では20秒毎)繰り返した。
[結果]
結果を表11に示す(単位:cps)。表11に於いて、コントロールのシグナル値の平均値に対する、反応槽開口部を密閉した試薬カートリッジを用いて発光測定を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示した。
Figure 2005003744
表11から明らかな如く、反応槽の開口部を覆って(密閉して)、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断することにより、バックグラウンドを抑制できた。
また、アルミシールで覆った場合も、セロハンテープで覆った場合も、同程度にバックグランドを抑制できたことが判る。
反応溶液の液面を水不溶性溶液で覆う方法の検討
[試薬の調製]実施例1と同じ試薬を用いた。
[発光の測定]
上記で調製した試薬を試薬カートリッジの反応槽に分注混和(反応液計140μL)後、混和した反応液の液面に、シリコンオイル(信越シリコーン社製)を、ピペットで反応槽の壁面に沿わせながら静かに流し込み、反応液の液面をシリコンオイルで油膜を張ったように覆った。
その後、試薬カートリッジをスフィアライト180にセットし、発光を測定した。また、反応液の液面をシリコンオイル膜で覆わずに、同様に測定を行い、コントロールとした。測定は、同一反応液について、同一間隔で5回(本例では20秒毎)繰り返した。
[測定機器]
自動化学発光免疫装置スフィアライト180(オリンパス社製)の、測光室の内壁四面に除電テープ(25mm幅、日本バイリーン(株)製)を横に貼付した機器と、除電テープを貼付していない機器を用意した。
[結果]
結果を表12に示す(単位:cps)。表12に於いて、コントロールのシグナル値の平均値に対する、反応液の液面をシリコンオイルの膜で覆う処理を施したものについて発光測定を行って得られたシグナル値の平均値の割合を、対コントロール(%)で示した。
Figure 2005003744
表12から明らかな如く、反応溶液の液面をシリコンオイルの膜で覆うことによって、測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断することにより、バックグラウンドを抑制できたことが判る
実施例2のパターン5において用いられた、自動化学発光免疫装置スフィアライト180の測光部の模式図である。図1に於いて、測光室の内壁の四面をそれぞれA、B、C、Dとして示した。また、除電テープの貼付位置、測光室の位置、測光室に対するフォトマル(光電子増倍管)の位置、及び反応液が入った試薬カートリッジのセット位置を示した。 実施例3に於いて用いられた自動化学発光免疫装置スフィアライト180の測光部の模式図である。図2に於いて、測光室の内壁の四面をそれぞれA、B、C、Dとして示した。また、測光室のアルミ箔設置位置を斜線で示した。

Claims (15)

  1. 試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により光を生じさせる溶液表面に、測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止して当該光を測定し、その測定値に基づいて当該特定成分の量を求める
    ことを特徴とする測定方法。
  2. 溶液表面に測光室内の雰囲気中の荷電が移動することを防止することが、反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にすること、又は測光室内の雰囲気と反応容器内の当該溶液との接触を遮断することである、請求1記載の測定方法。
  3. 反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を一定にする方法が、反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を
    (1)荷電が一定の気体、
    (2)除電装置、
    (3)除電効果のある素材、
    から選択される一以上のものを用いて処理することである、請求項2記載の測定方法。
  4. 反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にする方法が、測光室を取り囲む壁面に除電効果のある素材を貼付することである、請求項2記載の測定方法。
  5. 反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にする方法が、反応容器が測光室に移動される前の段階で、反応容器周辺の雰囲気を
    (1)荷電が一定の気体、
    (2)除電装置
    (3)除電効果のある素材、
    から選択される一以上のものを用いて処理する方法である、請求項2記載の方法。
  6. 測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する方法が、溶液を保持した反応容器の開口部をシートで覆う方法、又は、反応容器内の溶液の液面を、該溶液に不溶な物質で覆う方法である、請求項2に記載の方法。
  7. 物質のエネルギー変動により生じる光が、試料中の特定成分の存在に対応して生ずる発光、蛍光又は燐光である、請求項1に記載の方法。
  8. 溶液中に於ける物質のエネルギー変動により生じる光の量を測定する装置であって、当該溶液表面に測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止する機構を備えた装置。
  9. 溶液表面に測光室内の雰囲気中の電荷が移動することを防止するための機構が、反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にするための機構であるか、又は測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断する機構である、請求項8記載の測定装置。
  10. 反応容器周辺の雰囲気又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にするための処理をする機構が、
    (1)反応容器周辺又は/及び測光室に荷電が一定の気体を流通させる装置、
    (2)除電装置、
    (3)除電効果のある素材を貼付した測光室、
    から選択される一以上のものである、請求項9記載の測定装置。
  11. 測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断するための処理をする機構が、溶液を保持した反応容器の開口部をシートで覆う機構である、請求項9記載の測定装置。
  12. 測光室内の雰囲気と反応容器内の溶液との接触を遮断するための処理をする機構が、該溶液液面を、該溶液に不溶な物質で覆う機構である、請求項9記載の測定装置。
  13. 物質のエネルギー変動により生じる光が、試料中の特定成分の存在に基づく発光、蛍光又は燐光である、請求項8に記載の測定装置。
  14. 反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にし、当該測光室の当該反応容器中で、試料中の特定成分に起因する物質のエネルギー変動により生じる光を測定し、その測定値に基づいて試料中の特定成分の量を求めることを特徴とする測定法方法。
  15. 物質のエネルギー変動により生じる光の量を測定する装置であって、反応容器又は/及び測光室の反応容器周辺の雰囲気を電気的に一定にするための処理をする機構を備えた装置。
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