JPWO2004113405A1 - 高品質なカチオン性アクリルアミドポリマーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
高粘度かつ高溶解性な高分子量のカチオン性アクリルアミド系重合体の製造方法を提供する。本発明の方法は、ニトリルヒドラターゼの触媒作用によりアクリロニトリルを水和して得られるアクリルアミドとカチオン性モノマーとを含むモノマー混合物をpH2〜6で重合することを特徴とする。
Description
本発明は、汚泥脱水用の高分子凝集剤等に好適な高分子量で溶解性が良好なカチオン性アクリルアミド系ポリマーの製造方法に関する。
アクリルアミド系重合体は高分子凝集剤、製紙用薬剤、土壌改良剤、石油回収用薬剤、掘削汚水用増粘剤、高分子吸収体等多くの分野において広く使用されている。特に、カチオン性のアクリルアミド系ポリマーは汚泥脱水用高分子凝集剤等として用いられている。例えば、下水処理過程において発生する汚泥をフィルタープレスや遠心脱水機等で脱水する前に、その汚泥の脱水性を向上させるためにカチオン性アクリルアミド系ポリマーが脱水性向上助剤として添加される。このようなカチオン性アクリルアミド系ポリマーには、高い脱水性能を有すること、水に素早く溶解すること、及び水不溶分がないこと等が求められる。
高い脱水性能を達成するためには、高分子量であること、即ち水溶液の粘度が高いことが必要である。また、高い水溶解性及び水不溶分を含まないことも重要であり、溶解速度が低い場合には溶解時間を長くすることによってある程度解決されるが、水不溶性の架橋性ポリマー等が生成した場合には、膨潤するのみで溶解せず、水不溶性の架橋ポリマーが粒子状に多く残ってしまい、その結果低い脱水性能しか示さなくなってしまう。
したがってカチオン性アクリルアミド系ポリマーには、その水溶液が高粘度で水溶解性の高い、即ち高分子量で水不溶物を有しないことが求められている。
しかしながら、一般的に粘度を上げるために該ポリマーの分子量を上げていった場合、ある程度分子量が大きくなると急激に架橋ゲル等の水不溶物が増加して該ポリマーの溶解性が低下してくる。すなわち、高分子量ポリマーを得ようとすればポリマーの溶解性が低下し、一方で、高い水溶解性を有するポリマーを得ようとすればポリマーの分子量を低くせざるを得ず、該ポリマーの分子量と水溶解性とはトレードオフの関係にある。そのため、従来は高分子量で且つ高い水溶解性を有するアクリルアミド系ポリマーを得ることは極めて困難であった。
アクリルアミド系ポリマーの上記のような性質を改善するために、不溶化防止剤の添加が提案されてきた。例えば、エチレントリチオカーボネート、フェノチアジン、チオニコチン酸アミドなどの硫黄化合物を添加する方法(特開平5−230141号公報)、アスコルビン酸誘導体を添加する方法(特開平5−247136号公報)、ピリジン及びピリジン誘導体を添加する方法(特開平8−208720号公報)等が挙げられる。しかしながら、このような不溶化防止剤を添加する方法は、重合反応や得られたポリマーの品質に微妙な影響を与えることがあり、さらにはポリマー製造工程にこのような添加剤を計量・調合し、定量的に精度良く添加する設備を付帯させる必要があり、製造工程・設備の複雑化を招くため産業上好ましい方法とは言い難い。
このような状況下、ニトリルヒドラターゼの作用により製造したアクリルアミドをモノマーとして用いることにより、優れた溶解性を有するアクリルアミド系ポリマーが得られるという画期的事実が見出され、アクリルアミドポリマー及びアクリルアミドとアクリル酸の共重合ポリマーについて報告されている(特開平10−316714)。
しかしながら、凝集剤用途に使用されるカチオン性のポリアクリルアミドについて、近年では、さらに高い水溶解性を有することが求められており、高分子量(即ち、水溶液としたときの粘度が高粘度となる)で、且つ水への溶解性が高く、水不溶分のないカチオン性ポリアクリルアミドの開発が待たれていた。
特開平10−316714号公報
高い脱水性能を達成するためには、高分子量であること、即ち水溶液の粘度が高いことが必要である。また、高い水溶解性及び水不溶分を含まないことも重要であり、溶解速度が低い場合には溶解時間を長くすることによってある程度解決されるが、水不溶性の架橋性ポリマー等が生成した場合には、膨潤するのみで溶解せず、水不溶性の架橋ポリマーが粒子状に多く残ってしまい、その結果低い脱水性能しか示さなくなってしまう。
したがってカチオン性アクリルアミド系ポリマーには、その水溶液が高粘度で水溶解性の高い、即ち高分子量で水不溶物を有しないことが求められている。
しかしながら、一般的に粘度を上げるために該ポリマーの分子量を上げていった場合、ある程度分子量が大きくなると急激に架橋ゲル等の水不溶物が増加して該ポリマーの溶解性が低下してくる。すなわち、高分子量ポリマーを得ようとすればポリマーの溶解性が低下し、一方で、高い水溶解性を有するポリマーを得ようとすればポリマーの分子量を低くせざるを得ず、該ポリマーの分子量と水溶解性とはトレードオフの関係にある。そのため、従来は高分子量で且つ高い水溶解性を有するアクリルアミド系ポリマーを得ることは極めて困難であった。
アクリルアミド系ポリマーの上記のような性質を改善するために、不溶化防止剤の添加が提案されてきた。例えば、エチレントリチオカーボネート、フェノチアジン、チオニコチン酸アミドなどの硫黄化合物を添加する方法(特開平5−230141号公報)、アスコルビン酸誘導体を添加する方法(特開平5−247136号公報)、ピリジン及びピリジン誘導体を添加する方法(特開平8−208720号公報)等が挙げられる。しかしながら、このような不溶化防止剤を添加する方法は、重合反応や得られたポリマーの品質に微妙な影響を与えることがあり、さらにはポリマー製造工程にこのような添加剤を計量・調合し、定量的に精度良く添加する設備を付帯させる必要があり、製造工程・設備の複雑化を招くため産業上好ましい方法とは言い難い。
このような状況下、ニトリルヒドラターゼの作用により製造したアクリルアミドをモノマーとして用いることにより、優れた溶解性を有するアクリルアミド系ポリマーが得られるという画期的事実が見出され、アクリルアミドポリマー及びアクリルアミドとアクリル酸の共重合ポリマーについて報告されている(特開平10−316714)。
しかしながら、凝集剤用途に使用されるカチオン性のポリアクリルアミドについて、近年では、さらに高い水溶解性を有することが求められており、高分子量(即ち、水溶液としたときの粘度が高粘度となる)で、且つ水への溶解性が高く、水不溶分のないカチオン性ポリアクリルアミドの開発が待たれていた。
本発明は、高粘度かつ高溶解性な高分子量のカチオン性アクリルアミド系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酵素法で製造されたアクリルアミド水溶液を使用し、なおかつ、重合開始時及び/又は重合中の反応系内のpHを6以下として重合することにより、高粘度かつ高溶解性を有する高分子量のカチオン性アクリルアミド系重合体の製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)ニトリルヒドラターゼの触媒作用によりアクリロニトリルを水和して得られるアクリルアミドとカチオン性モノマーとを含むモノマー混合物をpH2〜6で重合することを特徴とするカチオン性アクリルアミド系ポリマーの製造方法。
(2)製造されるカチオン性アクリルアミド系ポリマー中の構成モノマーが、アクリルアミドモノマーの含有量が5mol%〜99mol%であり、かつカチオン性モノマー含有量が1mol%〜95mol%である前記(1)記載の製造方法。
本発明の方法では、アクリロニトリルをニトリルヒドラターゼの触媒作用により水和して得られたアクリルアミドをモノマーとして用いる。
まずニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を対応するアミド化合物に変換する酵素であり、例えば、バチルス(Bacillus)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、マイクロコッカス(Micrococcus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属(特公昭62−21519号)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ノカルディア(Nocardia)属(特公昭56−17918号)、シュードモナス(Pseudomonas)属(特公昭59−37951号)、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属(特公平4−4873号)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特公平4−40948号)、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)種(特公平6−55148号、SU 1731814号)、フザリウム(Fusarium)属(特開昭64−86889号)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属(特開平5−103681号、特開平6−14786号)等に属する微生物由来のものが挙げられる。
また、前記した微生物由来のニトリルヒドラターゼ遺伝子を取得し、そのまま又は人為的に改良し、任意の宿主に該遺伝子を導入した形質転換体から得られるニトリルヒドラターゼを使用しても良い。
前記形質転換体としては、アクロモバクター(Achromobacter)属のニトリルヒドラターゼで形質転換した大腸菌MT10770(FERM P−14756)(特開平8−266277号)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属のニトリルヒドラターゼで形質転換した大腸菌MT10822(FERM BP−5785)(特開平9−275978号)またはロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)種のニトリルヒドラターゼ(特開平4−211379号)で形質転換した微生物を例示することができる。
ニトリルヒドラターゼの使用形態としては、前記微生物を培養することにより得られた微生物菌体若しくはその休止菌体、微生物破砕物、微生物菌体抽出液等の菌体処理物、並びにニトリルヒドラターゼ産生微生物から得られる粗ニトリルヒドラターゼ及び精製ニトリルヒドラターゼ、さらにこれらのうちの少なくともひとつを含む水溶液、緩衝液等の溶液又は懸濁液等が挙げられる。また、必要に応じて、ニトリルヒドラターゼ又はそれを産生する微生物を、ポリアクリルアミドゲル、アルギン酸塩、カラギーナン等の担体に固定化してもよい。微生物触媒の使用形態は、酵素の安定性、生産規模等により適宜選択される。
ニトリルヒドラターゼによるアクリロニトリルのアクリルアミドへの水和反応は常法により行なうことができる。この水和反応条件は、常温、常圧で反応する酵素法の条件に準ずるものであれば特に制限されず、例えば、以下のようにして水和反応を行なうことができる。
炭素源(例えば、グルコース等の糖類)、窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機窒素源、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等の有機窒素)及び必要に応じて無機塩類、金属塩、ビタミン等を添加した培地中で、20〜40℃、pH5〜9でニトリルヒドラターゼ生産微生物を培養する。培養は、適宜、振盪培養や回転培養としてもよい。培養終了後、菌体をリン酸緩衝液等で洗浄して菌体懸濁液を調製する。その菌体懸濁液にアクリルアミド等のモノマーを添加し、これを重合させることにより固定化菌体を得る。
次いで、反応容器に水及び固定化菌体を添加し、これをpH5〜9.5、5〜50℃に調整し、そこに基質となるアクリロニトリルを添加する。アクリロニトリルは、反応溶液中のアクリロニトリル濃度が0.1〜10質量%の範囲が維持されるように連続的に添加することが好ましい。また、酵素反応の進み具合により適宜酵素を更に添加してもよい。
この酵素反応は、一般に反応溶液中にアクリロニトリルが検出されなくなるまで継続するが、好ましい実施形態では、反応系内に蓄積するアクリルアミドが目的の濃度(30質量%以上、好ましくは40〜60質量%)に達したところでアクリロニトリルの添加を止め、その後反応溶液中のアクリロニトリルが検出されなくなるまで酵素反応を継続する。
酵素法でアクリロニトリルからアクリルアミドを製造する場合、反応溶液中により高濃度にアクリルアミドを蓄積させるのがより経済的であり、またより高品質のアクリルアミド系ポリマーを製造することができる。
次いで、上記のようにして製造されたアクリルアミドを重合反応に供する。アクリルアミドは水和反応(酵素反応)後のアクリルアミド水溶液をそのまま用いてもよいが、必要であれば蒸発濃縮等により濃縮したり、又は活性炭処理、イオン交換処理若しくはろ過等により精製したものを用いてもよい。
本発明で用いられるカチオン性モノマーとしては、アクリルアミドと共重合可能なカチオン性のモノマーであればよく、例えば、以下の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
アクリルアミドと共重合可能なカチオン性のモノマーとしては、例えば、第三級アミンの塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。第三級アミンの塩としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第三級アミンを塩酸、硫酸等の酸で中和されることにより得られる塩が例示できる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウム塩、ジエチルジアリルアンモニウム塩などが挙げられ、また、上記第三級アミンをメチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、メチルヨーダイド等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸塩などで四級化して得られる塩が例示できる。
その他、N,N’−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N’−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドおよびこれらの四級塩などが挙げられ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド四級塩等が例示できる。
また、カチオン性モノマー以外にもその求められる物性に応じて、更にアクリルアミドと共重合可能なモノマーと共重合させても構わない。例えば、カチオン性モノマーとアクリルアミドモノマーにアクリル酸モノマーを共重合することで両性ポリマーとしても構わない。
アクリルアミド及びカチオン性モノマーの重合は、例えば、以下のようにして実施することができる。
アクリルアミド水溶液にカチオン性モノマーを添加する。水溶液中のモノマー濃度は、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。10質量%以上とすることにより、高分子量のアクリルアミド系ポリマーが得られ、90質量%以下とすることにより、ポリマーの溶解性低下や不溶化を抑えることができる。
本発明の方法では、モノマー混合溶液のpHを2〜6、好ましくは2.5〜5.5、更に好ましくは2.5〜5.0として重合することを特徴とする。このpHは、モノマー混合液を調製し、必要に応じて重合開始剤等の添加剤を添加した段階でのモノマー混合液のpHであり、pHメータ等で測定した値である。pHの調整には、例えば、酸を用いることができ、例えば、硫酸、塩酸、又は必要に応じて有機酸等を用いることができる。
アクリルアミドとカチオン性モノマーとの重合は、例えば、重合開始剤を用いてラジカル重合により重合することができる。本発明の製造方法において使用される重合開始剤としては、公知のものが使用可能であり、例えば、過硫酸カリウムなどの過硫酸アルカリ金属、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、t−ブチルハイドロペルオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1オン等の光分解型の重合開始剤、更には、上記過酸化物とレドックス反応により開始剤を形成する亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ハイドロスルファイトナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第1鉄等の還元剤も使用することができる。これらの重合開始剤の1種又は2種以上を常法に従って使用することができる。
本発明における重合方法は水系溶媒中で重合する方法が好ましい。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、逆相乳化重合、懸濁重合などを使用できる。重合温度は、0〜120℃の範囲で、好ましくは10〜90℃の範囲で、断熱重合方式あるいはベルト上で除熱しながらシート重合する方式などを必要に応じて採用できる。
得られた重合体はミートチョッパーなどの解砕機を用いて解砕した後、乾燥し、更に、常法に従って粉砕器で粉砕して粉末状のポリアクリルアミド系乾燥品を得る。乾燥装置は特に制限はなく、棚段式乾燥機、ベルト乾燥機、回転乾燥機、流動乾燥機、赤外線乾燥機、高周波乾燥機など、適宜使用できる。
本発明の方法により製造されるカチオン性アクリルアミド系ポリマーの構成モノマー比は特に制限はないが、アクリルアミドモノマーの含有量が5mol%〜99mol%で、かつカチオン性モノマー含有量が1mol%〜95mol%であることが好ましい。求められるカチオン性モノマーの物性、例えば脱水用凝集剤として用いる場合には汚泥の種類や性状により選択される。
本発明の方法により製造されるカチオン性アクリルアミドポリマーは高粘度(高分子量)であるにもかかわらず、水不溶解分がほとんどなく水溶解性に優れる。例えば、本発明の方法により製造されるカチオン性アクリルアミドポリマーの粘度は、その重合体粉末を0.5質量%濃度で4質量%食塩水中に溶解した水溶液をB型粘度計No.2ロータにて60rpm、25℃で粘度測定した場合、通常100mPa・s以上を示し、そしてその水溶解性に関しては、その重合体乾燥粉末をイオン交換水500g中に0.1質量%の濃度で溶解した後、80メッシュの金網で濾過して、金網上に残った不溶解分の重量を測定した場合、不溶解分重量は通常5g以下、好ましくは3g以下、特に好ましくは1g以下しか測定されない。
本明細書は本願の優先権の基礎である特願2003−178492号の明細書に記載される内容を包含する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酵素法で製造されたアクリルアミド水溶液を使用し、なおかつ、重合開始時及び/又は重合中の反応系内のpHを6以下として重合することにより、高粘度かつ高溶解性を有する高分子量のカチオン性アクリルアミド系重合体の製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)ニトリルヒドラターゼの触媒作用によりアクリロニトリルを水和して得られるアクリルアミドとカチオン性モノマーとを含むモノマー混合物をpH2〜6で重合することを特徴とするカチオン性アクリルアミド系ポリマーの製造方法。
(2)製造されるカチオン性アクリルアミド系ポリマー中の構成モノマーが、アクリルアミドモノマーの含有量が5mol%〜99mol%であり、かつカチオン性モノマー含有量が1mol%〜95mol%である前記(1)記載の製造方法。
本発明の方法では、アクリロニトリルをニトリルヒドラターゼの触媒作用により水和して得られたアクリルアミドをモノマーとして用いる。
まずニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を対応するアミド化合物に変換する酵素であり、例えば、バチルス(Bacillus)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、マイクロコッカス(Micrococcus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属(特公昭62−21519号)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ノカルディア(Nocardia)属(特公昭56−17918号)、シュードモナス(Pseudomonas)属(特公昭59−37951号)、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属(特公平4−4873号)、ロドコッカス(Rhodococcus)属(特公平4−40948号)、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)種(特公平6−55148号、SU 1731814号)、フザリウム(Fusarium)属(特開昭64−86889号)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属(特開平5−103681号、特開平6−14786号)等に属する微生物由来のものが挙げられる。
また、前記した微生物由来のニトリルヒドラターゼ遺伝子を取得し、そのまま又は人為的に改良し、任意の宿主に該遺伝子を導入した形質転換体から得られるニトリルヒドラターゼを使用しても良い。
前記形質転換体としては、アクロモバクター(Achromobacter)属のニトリルヒドラターゼで形質転換した大腸菌MT10770(FERM P−14756)(特開平8−266277号)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属のニトリルヒドラターゼで形質転換した大腸菌MT10822(FERM BP−5785)(特開平9−275978号)またはロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)種のニトリルヒドラターゼ(特開平4−211379号)で形質転換した微生物を例示することができる。
ニトリルヒドラターゼの使用形態としては、前記微生物を培養することにより得られた微生物菌体若しくはその休止菌体、微生物破砕物、微生物菌体抽出液等の菌体処理物、並びにニトリルヒドラターゼ産生微生物から得られる粗ニトリルヒドラターゼ及び精製ニトリルヒドラターゼ、さらにこれらのうちの少なくともひとつを含む水溶液、緩衝液等の溶液又は懸濁液等が挙げられる。また、必要に応じて、ニトリルヒドラターゼ又はそれを産生する微生物を、ポリアクリルアミドゲル、アルギン酸塩、カラギーナン等の担体に固定化してもよい。微生物触媒の使用形態は、酵素の安定性、生産規模等により適宜選択される。
ニトリルヒドラターゼによるアクリロニトリルのアクリルアミドへの水和反応は常法により行なうことができる。この水和反応条件は、常温、常圧で反応する酵素法の条件に準ずるものであれば特に制限されず、例えば、以下のようにして水和反応を行なうことができる。
炭素源(例えば、グルコース等の糖類)、窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機窒素源、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等の有機窒素)及び必要に応じて無機塩類、金属塩、ビタミン等を添加した培地中で、20〜40℃、pH5〜9でニトリルヒドラターゼ生産微生物を培養する。培養は、適宜、振盪培養や回転培養としてもよい。培養終了後、菌体をリン酸緩衝液等で洗浄して菌体懸濁液を調製する。その菌体懸濁液にアクリルアミド等のモノマーを添加し、これを重合させることにより固定化菌体を得る。
次いで、反応容器に水及び固定化菌体を添加し、これをpH5〜9.5、5〜50℃に調整し、そこに基質となるアクリロニトリルを添加する。アクリロニトリルは、反応溶液中のアクリロニトリル濃度が0.1〜10質量%の範囲が維持されるように連続的に添加することが好ましい。また、酵素反応の進み具合により適宜酵素を更に添加してもよい。
この酵素反応は、一般に反応溶液中にアクリロニトリルが検出されなくなるまで継続するが、好ましい実施形態では、反応系内に蓄積するアクリルアミドが目的の濃度(30質量%以上、好ましくは40〜60質量%)に達したところでアクリロニトリルの添加を止め、その後反応溶液中のアクリロニトリルが検出されなくなるまで酵素反応を継続する。
酵素法でアクリロニトリルからアクリルアミドを製造する場合、反応溶液中により高濃度にアクリルアミドを蓄積させるのがより経済的であり、またより高品質のアクリルアミド系ポリマーを製造することができる。
次いで、上記のようにして製造されたアクリルアミドを重合反応に供する。アクリルアミドは水和反応(酵素反応)後のアクリルアミド水溶液をそのまま用いてもよいが、必要であれば蒸発濃縮等により濃縮したり、又は活性炭処理、イオン交換処理若しくはろ過等により精製したものを用いてもよい。
本発明で用いられるカチオン性モノマーとしては、アクリルアミドと共重合可能なカチオン性のモノマーであればよく、例えば、以下の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
アクリルアミドと共重合可能なカチオン性のモノマーとしては、例えば、第三級アミンの塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。第三級アミンの塩としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第三級アミンを塩酸、硫酸等の酸で中和されることにより得られる塩が例示できる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウム塩、ジエチルジアリルアンモニウム塩などが挙げられ、また、上記第三級アミンをメチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、メチルヨーダイド等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸塩などで四級化して得られる塩が例示できる。
その他、N,N’−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N’−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドおよびこれらの四級塩などが挙げられ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド四級塩等が例示できる。
また、カチオン性モノマー以外にもその求められる物性に応じて、更にアクリルアミドと共重合可能なモノマーと共重合させても構わない。例えば、カチオン性モノマーとアクリルアミドモノマーにアクリル酸モノマーを共重合することで両性ポリマーとしても構わない。
アクリルアミド及びカチオン性モノマーの重合は、例えば、以下のようにして実施することができる。
アクリルアミド水溶液にカチオン性モノマーを添加する。水溶液中のモノマー濃度は、通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%である。10質量%以上とすることにより、高分子量のアクリルアミド系ポリマーが得られ、90質量%以下とすることにより、ポリマーの溶解性低下や不溶化を抑えることができる。
本発明の方法では、モノマー混合溶液のpHを2〜6、好ましくは2.5〜5.5、更に好ましくは2.5〜5.0として重合することを特徴とする。このpHは、モノマー混合液を調製し、必要に応じて重合開始剤等の添加剤を添加した段階でのモノマー混合液のpHであり、pHメータ等で測定した値である。pHの調整には、例えば、酸を用いることができ、例えば、硫酸、塩酸、又は必要に応じて有機酸等を用いることができる。
アクリルアミドとカチオン性モノマーとの重合は、例えば、重合開始剤を用いてラジカル重合により重合することができる。本発明の製造方法において使用される重合開始剤としては、公知のものが使用可能であり、例えば、過硫酸カリウムなどの過硫酸アルカリ金属、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、t−ブチルハイドロペルオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1オン等の光分解型の重合開始剤、更には、上記過酸化物とレドックス反応により開始剤を形成する亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ハイドロスルファイトナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第1鉄等の還元剤も使用することができる。これらの重合開始剤の1種又は2種以上を常法に従って使用することができる。
本発明における重合方法は水系溶媒中で重合する方法が好ましい。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、逆相乳化重合、懸濁重合などを使用できる。重合温度は、0〜120℃の範囲で、好ましくは10〜90℃の範囲で、断熱重合方式あるいはベルト上で除熱しながらシート重合する方式などを必要に応じて採用できる。
得られた重合体はミートチョッパーなどの解砕機を用いて解砕した後、乾燥し、更に、常法に従って粉砕器で粉砕して粉末状のポリアクリルアミド系乾燥品を得る。乾燥装置は特に制限はなく、棚段式乾燥機、ベルト乾燥機、回転乾燥機、流動乾燥機、赤外線乾燥機、高周波乾燥機など、適宜使用できる。
本発明の方法により製造されるカチオン性アクリルアミド系ポリマーの構成モノマー比は特に制限はないが、アクリルアミドモノマーの含有量が5mol%〜99mol%で、かつカチオン性モノマー含有量が1mol%〜95mol%であることが好ましい。求められるカチオン性モノマーの物性、例えば脱水用凝集剤として用いる場合には汚泥の種類や性状により選択される。
本発明の方法により製造されるカチオン性アクリルアミドポリマーは高粘度(高分子量)であるにもかかわらず、水不溶解分がほとんどなく水溶解性に優れる。例えば、本発明の方法により製造されるカチオン性アクリルアミドポリマーの粘度は、その重合体粉末を0.5質量%濃度で4質量%食塩水中に溶解した水溶液をB型粘度計No.2ロータにて60rpm、25℃で粘度測定した場合、通常100mPa・s以上を示し、そしてその水溶解性に関しては、その重合体乾燥粉末をイオン交換水500g中に0.1質量%の濃度で溶解した後、80メッシュの金網で濾過して、金網上に残った不溶解分の重量を測定した場合、不溶解分重量は通常5g以下、好ましくは3g以下、特に好ましくは1g以下しか測定されない。
本明細書は本願の優先権の基礎である特願2003−178492号の明細書に記載される内容を包含する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において「部」は質量部を示す。
(酵素法によるアクリルアミドの製造)
製造例1
(1)ニトリルヒドラターゼ産生菌(J−1菌株)の生体触媒の調製
下記培地に、前記特公平6−55148号公報記載のロドコッカス ロドクロウス J−1株(微工研条寄第1478号)を接種し、30℃で72時間培養した。
グルコース 10g/l
K2HPO4 0.5g/l
KH2PO4 0.5g/l
MgSO4・7H2O 0.5g/l
イーストエキス 1.0g/l
ペプトン 7.5g/l
尿素 7.5g/l
CoCl2 10mg/l
得られた菌体を分離し、洗浄した後、常法によりポリアクリルアミドゲルで固定化し生体触媒とした。
(2)アクリルアミド水溶液の調製
上記で得られたJ−1菌株の生体触媒をイオン交換水中に懸濁し、撹拌下、pH7、5℃でアクリロニトリルを逐次添加し、アクリルアミド濃度約30%の水溶液を得た。反応終了後、生体触媒を分離してから、0.45ミクロンのフィルターで濾過した後、減圧濃縮し50%アクリルアミド水溶液(試料1)を得た。
製造例2
(1)ニトリルヒドラターゼ産生菌(B−23菌株)の生体触媒の調製
下記培地に、前記特公昭59−37951号公報記載のシュードモナス クロロラフィス B−23株(微工研条寄第187号)を接種し、25℃で48時間培養した。
シュークロース 30g/l
K2HPO4 1.0g/l
KH2PO4 1.0g/l
MgSO4・7H2O 1.0g/l
FeSO4・7H2O 0.05g/l
イーストエキス 1.0g/l
味液 20g/l
メタクリルアミド 9.5g/l
得られた菌体を分離し、洗浄した後、常法によりポリアクリルアミドゲルで固定化し生体触媒とした。
(2)アクリルアミド水溶液の調製
B−23菌株を生体触媒として用いて製造例1(2)と同様な操作を行い、50%アクリルアミド水溶液(試料2)を得た。
(酵素法によるアクリルアミドの製造)
製造例1
(1)ニトリルヒドラターゼ産生菌(J−1菌株)の生体触媒の調製
下記培地に、前記特公平6−55148号公報記載のロドコッカス ロドクロウス J−1株(微工研条寄第1478号)を接種し、30℃で72時間培養した。
グルコース 10g/l
K2HPO4 0.5g/l
KH2PO4 0.5g/l
MgSO4・7H2O 0.5g/l
イーストエキス 1.0g/l
ペプトン 7.5g/l
尿素 7.5g/l
CoCl2 10mg/l
得られた菌体を分離し、洗浄した後、常法によりポリアクリルアミドゲルで固定化し生体触媒とした。
(2)アクリルアミド水溶液の調製
上記で得られたJ−1菌株の生体触媒をイオン交換水中に懸濁し、撹拌下、pH7、5℃でアクリロニトリルを逐次添加し、アクリルアミド濃度約30%の水溶液を得た。反応終了後、生体触媒を分離してから、0.45ミクロンのフィルターで濾過した後、減圧濃縮し50%アクリルアミド水溶液(試料1)を得た。
製造例2
(1)ニトリルヒドラターゼ産生菌(B−23菌株)の生体触媒の調製
下記培地に、前記特公昭59−37951号公報記載のシュードモナス クロロラフィス B−23株(微工研条寄第187号)を接種し、25℃で48時間培養した。
シュークロース 30g/l
K2HPO4 1.0g/l
KH2PO4 1.0g/l
MgSO4・7H2O 1.0g/l
FeSO4・7H2O 0.05g/l
イーストエキス 1.0g/l
味液 20g/l
メタクリルアミド 9.5g/l
得られた菌体を分離し、洗浄した後、常法によりポリアクリルアミドゲルで固定化し生体触媒とした。
(2)アクリルアミド水溶液の調製
B−23菌株を生体触媒として用いて製造例1(2)と同様な操作を行い、50%アクリルアミド水溶液(試料2)を得た。
(1)使用アクリルアミドモノマー
試料1 (酵素法による50%アクリルアミド水溶液)
(2)カチオン性ポリアクリルアミドの製造
試料1及びジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩(DME)(三菱レイヨン(株)製)を用いて、50%アクリルアミド水溶液850g、80%DME水溶液119gにイオン交換水を加えて1300gとし、水溶液中の亜リン酸濃度が120ppmとなるように亜リン酸を加えて充分混合し、16℃に冷却した。この水溶液を攪拌しながら硫酸を用いてpHを3.8に調整した後、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを115ppmとなるよう添加した。底面23cm×23cm(ステンレス製)で断面が上辺27mm、下辺45mm、高さ30mmの台形ゴム堰で囲まれた部分にPETフィルムを敷いた容器を用意し、窒素置換により脱酸素した上記水溶液を入れた。水溶液表面を、PETフィルムの表面を塩化ビニリデンでコーティングしたフィルムで覆い、上面より蛍光ケミカルランプ(三菱電機(株)製)を用いて、表面温度が4℃上昇するまで10W/m2で照射し、その後0.3W/m2で40分間照射した。照射中は、底面下側より16℃の冷水を噴霧した。得られた重合体を5mm×5mm×10mm程度の大きさに裁断し、65℃で16時間温風乾燥器にて乾燥したものをウイレー型粉砕器にて粉砕し、重合体乾燥粉末試料を得た。
(3)水溶解性及び粘度の評価
重合体乾燥粉末をイオン交換水500g中、0.1質量%に溶解した後、80メッシュの金網で濾過して、金網上に残った不溶解分の重量を測定し、不溶解分の重量で重合体の水溶解性を評価した。また、重合体粉末を0.5質量%濃度で4質量%食塩水中に溶解したものを、B型粘度計No.2ロータにて60rpm、25℃で粘度測定した。
試料1 (酵素法による50%アクリルアミド水溶液)
(2)カチオン性ポリアクリルアミドの製造
試料1及びジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド4級塩(DME)(三菱レイヨン(株)製)を用いて、50%アクリルアミド水溶液850g、80%DME水溶液119gにイオン交換水を加えて1300gとし、水溶液中の亜リン酸濃度が120ppmとなるように亜リン酸を加えて充分混合し、16℃に冷却した。この水溶液を攪拌しながら硫酸を用いてpHを3.8に調整した後、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを115ppmとなるよう添加した。底面23cm×23cm(ステンレス製)で断面が上辺27mm、下辺45mm、高さ30mmの台形ゴム堰で囲まれた部分にPETフィルムを敷いた容器を用意し、窒素置換により脱酸素した上記水溶液を入れた。水溶液表面を、PETフィルムの表面を塩化ビニリデンでコーティングしたフィルムで覆い、上面より蛍光ケミカルランプ(三菱電機(株)製)を用いて、表面温度が4℃上昇するまで10W/m2で照射し、その後0.3W/m2で40分間照射した。照射中は、底面下側より16℃の冷水を噴霧した。得られた重合体を5mm×5mm×10mm程度の大きさに裁断し、65℃で16時間温風乾燥器にて乾燥したものをウイレー型粉砕器にて粉砕し、重合体乾燥粉末試料を得た。
(3)水溶解性及び粘度の評価
重合体乾燥粉末をイオン交換水500g中、0.1質量%に溶解した後、80メッシュの金網で濾過して、金網上に残った不溶解分の重量を測定し、不溶解分の重量で重合体の水溶解性を評価した。また、重合体粉末を0.5質量%濃度で4質量%食塩水中に溶解したものを、B型粘度計No.2ロータにて60rpm、25℃で粘度測定した。
水溶液中の亜リン酸濃度を150ppmとする以外は実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
水溶液中の亜リン酸濃度を190ppmとする以外は実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
使用アクリルアミドモノマーとして試料1に代えて試料2を用いる以外は、実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例1
使用する原料アクリルアミドとして比較試料1(銅触媒法により製造した50%アクリルアミド水溶液(ダイヤニトリックス(株)製))を用いる以外は実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例2
使用する原料アクリルアミドとして比較試料1(銅触媒法により製造した50%アクリルアミド水溶液(ダイヤニトリックス(株)製))を用いる以外は実施例2と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例3
使用する原料アクリルアミドとして比較試料1(銅触媒法により製造した50%アクリルアミド水溶液(ダイヤニトリックス(株)製))を用いる以外は実施例3と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例4
水溶液のpHを6.5として重合する以外は実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例5
水溶液のpHを6.5として重合する以外は実施例2と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例6
水溶液のpHを6.5として重合する以外は実施例3と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
上記実施例1〜4及び比較例1〜6の結果を以下の表1に示す。
上記の結果に示されるとおり、従来法(比較例1〜6参照)では、高粘度で且つ不溶解分が少ないカチオン性ポリアクリルアミドポリマーは得られなかったが、本発明の方法(実施例1〜4参照)によれば高粘度(高分子量)で且つ不溶解分が殆ど生成しないカチオン性アクリルアミドポリマーを製造できることが分かる。従来法では粘度が高くなると不溶解分が多くなるが、本発明の方法では粘度が高くなっても不溶解分は発生しない。
本発明の効果は、原料として酵素法により製造されたアクリルアミドを使用し、且つpH2〜6で重合することによって初めて得られるものであり、従来の銅又は銅化合物を触媒として用いる接触水和法(以下、銅触媒法という)によって製造されたアクリルアミド水溶液製品の使用によっては達成できない。このような両者の相違は、それぞれのアクリルアミドの製法の相違に基づく何らかの不純物の有無に起因するものと推察される。
即ち、銅触媒法においては高温、高圧で水和反応を行うためアクリロニトリルのアクリルアミドへの水和反応以外にも、アセトンシアンヒドリン、β−ヒドロキシプロピオンアミド等に代表される複数の有機物が副生するのに対して、酵素法では、基質特異性が厳密であるという酵素反応の特性により有機の副生物が極めて少ないために、酵素法によるアクリルアミドの純度が高いことに起因するものと推察される。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用の可能性
本発明の方法によれば、原料アクリルアミドとして酵素法(ニトリルヒドラターゼ)により製造したアクリルアミドを用い、且つpH2〜6の条件下で重合させることにより、高粘度(高分子量)であり、なお且つ不溶解分の生成が少ない非常に高品質のカチオン性アクリルアミド系重合体を得ることができるという優れた特徴を有する。
比較例1
使用する原料アクリルアミドとして比較試料1(銅触媒法により製造した50%アクリルアミド水溶液(ダイヤニトリックス(株)製))を用いる以外は実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例2
使用する原料アクリルアミドとして比較試料1(銅触媒法により製造した50%アクリルアミド水溶液(ダイヤニトリックス(株)製))を用いる以外は実施例2と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例3
使用する原料アクリルアミドとして比較試料1(銅触媒法により製造した50%アクリルアミド水溶液(ダイヤニトリックス(株)製))を用いる以外は実施例3と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例4
水溶液のpHを6.5として重合する以外は実施例1と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例5
水溶液のpHを6.5として重合する以外は実施例2と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
比較例6
水溶液のpHを6.5として重合する以外は実施例3と同様にして重合体乾燥粉末試料を得て、該重合体の水溶解性及び粘度を評価した。
上記実施例1〜4及び比較例1〜6の結果を以下の表1に示す。
上記の結果に示されるとおり、従来法(比較例1〜6参照)では、高粘度で且つ不溶解分が少ないカチオン性ポリアクリルアミドポリマーは得られなかったが、本発明の方法(実施例1〜4参照)によれば高粘度(高分子量)で且つ不溶解分が殆ど生成しないカチオン性アクリルアミドポリマーを製造できることが分かる。従来法では粘度が高くなると不溶解分が多くなるが、本発明の方法では粘度が高くなっても不溶解分は発生しない。
本発明の効果は、原料として酵素法により製造されたアクリルアミドを使用し、且つpH2〜6で重合することによって初めて得られるものであり、従来の銅又は銅化合物を触媒として用いる接触水和法(以下、銅触媒法という)によって製造されたアクリルアミド水溶液製品の使用によっては達成できない。このような両者の相違は、それぞれのアクリルアミドの製法の相違に基づく何らかの不純物の有無に起因するものと推察される。
即ち、銅触媒法においては高温、高圧で水和反応を行うためアクリロニトリルのアクリルアミドへの水和反応以外にも、アセトンシアンヒドリン、β−ヒドロキシプロピオンアミド等に代表される複数の有機物が副生するのに対して、酵素法では、基質特異性が厳密であるという酵素反応の特性により有機の副生物が極めて少ないために、酵素法によるアクリルアミドの純度が高いことに起因するものと推察される。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用の可能性
本発明の方法によれば、原料アクリルアミドとして酵素法(ニトリルヒドラターゼ)により製造したアクリルアミドを用い、且つpH2〜6の条件下で重合させることにより、高粘度(高分子量)であり、なお且つ不溶解分の生成が少ない非常に高品質のカチオン性アクリルアミド系重合体を得ることができるという優れた特徴を有する。
Claims (2)
- ニトリルヒドラターゼの触媒作用によりアクリロニトリルを水和して得られるアクリルアミドとカチオン性モノマーとを含むモノマー混合物をpH2〜6で重合することを特徴とするカチオン性アクリルアミド系ポリマーの製造方法。
- 製造されるカチオン性アクリルアミド系ポリマー中の構成モノマーが、アクリルアミドモノマーの含有量が5mol%〜99mol%であり、かつカチオン性モノマー含有量が1mol%〜95mol%である請求の範囲第1項記載の製造方法。
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