JP2008247979A - 高品質の(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のアクリルアミド系重合体の製造方法は、銅の濃度が0.01ppm以下である(メタ)アクリルアミドを単独重合もしくは共重合、または該(メタ)アクリルアミドを、(メタ)アクリルアミドと共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合させることを特徴とする。上記(メタ)アクリルアミドは、上記水和反応により得られた反応液を陽イオン交換樹脂により処理して、銅の濃度が0.01ppm以下に低減された(メタ)アクリルアミドであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明の目的は、高い重合速度で、高品質、特に高分子量の(メタ)アクリルアミド系重合体を製造する方法を提供することにある。
水性媒体中で、(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒により水和反応させて得られ、かつ、銅の濃度が0.01ppm以下である(メタ)アク
リルアミドを単独重合もしくは共重合して、または
該(メタ)アクリルアミドを、(メタ)アクリルアミドと共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合して、上記重合体を製造することを特徴とする。
本発明に係る(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法では、銅の濃度が0.01ppm以下である(メタ)アクリルアミドを用いる。この(メタ)アクリルアミドは、(メタ)アクリロニトリルを銅系の触媒により水和反応させて製造してもよいが、水性媒体中で、(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒により水和反応させて製造することが好ましい。以下に、微生物触媒により水和反応させて得られる(メタ)アクリルアミドの製造方法について具体的に説明する。
本発明に用いられる水性媒体とは、(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒により水和反応させるときに用いる水をいう。なお、後述するように、(メタ)アクリロニトリルが水溶液の状態で添加されるときや微生物触媒が水溶液・懸濁液の状態で添加されるときは、これらの水溶液・懸濁液に含まれる水も上記水性媒体に該当する。さらに、水和反応の際に、リン酸塩等の緩衝剤、硫酸塩、炭酸塩等の無機塩、アルカリ金属の水酸化物、アミド化合物などを適当な濃度で溶解させた水溶液が添加されるときは、これらの水溶液に含まれる水も上記水性媒体に該当する。
アミドに含まれる銅の濃度をすべて合計した量をいう。また、銅の濃度が0.01ppm以下である(メタ)アクリルアミドとは、(メタ)アクリルアミド1kg中に含まれる銅の量が0.01mg以下であることを意味する。
を酢酸n−ブチルで抽出し、波長430nmにて吸光度を測定し、銅の定量を行う方法を用いる。
<(メタ)アクリロニトリル>
本発明においては、市販されている(メタ)アクリロニトリルを適宜用いればよい。(メタ)アクリロニトリルは、あらかじめ(メタ)アクリロニトリル水溶液としておき、上記水和反応に用いてもよい。
本発明に用いられるニトリルヒドラターゼを含む微生物は、ニトリルヒドラターゼを産生する微生物であれば特に制限されない。ここで、ニトリルヒドラターゼとは、(メタ)アクリロニトリルを水和させて(メタ)アクリルアミドを生成する能力を有する酵素である。
レブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、サーモフィラ(thermophila)
種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する微生物などが挙げられる。これらの微生物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
菌等の他の微生物菌株などが挙げられる。上記菌株としては、具体的には、MT−10822(本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現:独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター))に受託番号FERM BP−5785として、特許手続き上の微生物の寄託
の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。)が挙げられる。
上記水和反応による(メタ)アクリルアミドの製造は常法により行われるが、例えば、以下のように実施できる。
上記のような製造方法により、高品質の(メタ)アクリルアミドが得られる。すなわち、得られた(メタ)アクリルアミドにおいては、上述した銅の濃度の低減方法を適宜用いることにより、銅の濃度が0.01ppm以下に低減されている。
本発明の(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法では、上記のようにして得られた(メタ)アクリルアミドを単独重合もしくは共重合、または該(メタ)アクリルアミドを、(メタ)アクリルアミドと共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合する。
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およびそれらの塩;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびそれらの塩;
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートアクリル酸などの(メタ)アクリル酸のアルキルアミノアルキルエステル、またはそれらの第4級アンモニウム誘導体;
N−N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのN−N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらの4級アンモニウム誘導体;
アセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミドなどの親水性アクリルアミド;
N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン;
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート;
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン;N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体;
N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(
4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミドなどのN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート誘導体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、αメチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとこれら不飽和単量体とを共重合する場合の混合比率については特に制限はないが、通常(メタ)アクリルアミド100モルに対して、不飽和単量体が100モル以下であり、好ましくは50モル以下である。
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−アミジノプロパン)2塩酸塩、4
,4'−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)等のアゾ系遊離基開始剤;上記
過酸化物と、重亜硫酸ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第一鉄アンモニウム等の還元剤とを併用するいわゆるレドックス系触媒などが挙げられる。
重合温度は、単一重合開始剤の場合には、通常−10〜120℃の範囲であり、レドックス系重合開始剤の場合の重合開始温度は、通常0〜90℃の範囲である。また、重合温度は常に一定の温度に保つ必要はなく、重合の進行に伴い適宜変更してもよいが、通常は重合の進行に伴い、重合熱が発生して重合温度が上昇する傾向にあるため、必要に応じ、冷却する場合もある。
重合時間は特に限定はないが、通常1〜20時間の範囲である。
1000万以上、特に1500万程度の高分子量の重合体を得るためには、アクリルアミドおよび他の単量体の合計濃度、使用する重合開始剤の種類、その濃度、反応温度など
を適宜調整すればよい。また、未反応アクリルアミドを例えば0.2重量%以下とするための方法としては、例えば、2種類以上の重合開始剤を異なった温度領域で作用させる方法などが挙げられる。
[実施例]
[実施例1]
[ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒の調製]
特開2001−340091号の実施例1に記載の方法に従い、No.3クローン菌体を取得し、同じく、同実施例1の方法、すなわち下記の方法で培養してニトロリルヒドラターゼを含む湿菌体を得た。
ポリペプトン 10.0g/L
NaCl 5.0g/L
塩化コバルト・六水和物 10.0mg/L
硫酸第二鉄・七水和物 40.0mg/L
pH7.5
[アクリルアミドの製造]
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、以下の条件で反応を行った。
運転を開始してから2日目に各反応器の反応液(反応液(I))をサンプリングし、以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が90%、かつ第2反応器出口でのアクリルニトリル濃度が検出限界以下(100重量ppm以下)、アクリルアミド濃度が53.5重量%となった。
アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR-101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05 %(容積基準)−リン酸水溶液
アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム :Wakosil-II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、
0.1mM−酢酸、0.2mM−酢酸ナトリウムを
各濃度で含有する水溶液
アクリルアミド濃度は以下のようにして求めた。市販のアクリルアミドを、純水に溶解して、濃度既知のアクリルアミド水溶液を調製し、HPLCにおけるアクリルアミド濃度分析用検量線を作成した。これを用いて、被験液のHPLC分析時の面積値を、アクリルアミド濃度に換算した(絶対検量線法)。また、HPLC測定に用いる反応液の量は5μLであった。なお、各反応液の密度の影響はほとんどないため、このようにしてアクリルアミド濃度(重量%)が得られた。
粉状活性炭PM−SX)を30g添加し、0.5重量%−アクリル酸水溶液160gを加えた後、1M−NaOH水溶液でpHを5に調整した。これを25℃で5時間撹拌したあと、濾紙にて濾過を行い、活性炭を除去した。その後、活性炭に付着したアクリルアミドを回収するため、300gの純水で活性炭を洗浄し、先の活性炭処理液と混合して、1M−NaOH水溶液で中和し、pHを7として約7900gの製品(反応液(II))を得た。この活性炭処理後の製品(反応液(II))中の最終アクリルアミド濃度は、50.6重量%であった。
得られたアクリルアミド水溶液を500ml分液ロートに200ml採取し、クエン酸アンモニウム20gを75gの水に溶解した液を10ml取り、混合した。10%-アン
モニア水を加え、pHを9に調整した。これにN、N-ジエチルカルバミド酸ナトリウム・3水和物を0.2g添加したあと混合した。その後酢酸n−ブチルを10ml加え、さらに
シェーカーで1分間振盪したあと10分静置し、酢酸n-ブチル層を分離した。
セルを用いて吸光度を測定(対象は酢酸n-ブチル)し、また純水200mlを用いて実
施した空試験の吸光度も測定し、予め濃度既知の標準試料(原子吸光度用銅標準溶液等)から求めておいた検量線を用いて分析値を計算した。その結果、分析値は検出限界(0.002ppm)以下であった。
上記の方法で得られたアクリルアミド水溶液に、水を加え濃度20重量%のアクリルアミド水溶液とした。この20重量%アクリルアミド水溶液500gを1Lポリエチレン容器に入れ、18℃に保ちながら、窒素を通じて液中の溶存酸素を除き、直ちに、発泡スチロール製の保温用ブロックの中に入れた。
アクリルアミド中の銅の濃度が、それぞれ0.005、0.01、0.1ppmであるアクリルアミドを用いた他は実施例1と同様にして、アクリルアミドポリマーを製造した。なお、0.005ppmであるアクリルアミドは、前記「アクリルアミドの製造」で得られたアクリルアミド(純分)に対し硫酸銅(II)・5水和物を0.019ppmとなるように添加し、さらに0.01%−水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整して得た。0.01ppmであるアクリルアミドは、アクリルアミド(純分)に対し硫酸銅(II)・5水和物を0.039ppmとなるように添加し、0.1ppmであるアクリルアミドは、アクリルアミド(純分)に対し硫酸銅(II)・5水和物を0.39ppmとなるように添加したほかは、銅の濃度が0.005ppmであるアクリルアミドと同様にして調製した。
[アクリルアミドポリマーの試験法]
上記ポリマーサンプル製造時の重合速度は最高温度に到達するまでの時間で評価した。
水溶性:水溶性は、1Lビーカーに水600mLを入れ、定められた形状の攪拌羽根で25℃で攪拌しながらポリマーサンプル0.66g(ポリアクリルアミド純分0.6g)を添加し、400rpmで2時間攪拌を行い、得られた溶液を150メッシュの金網で濾過し、不溶解分の量の多少と濾過性とから、水溶性を判断した。即ち、完溶のものを◎、完溶に近いものを○、不溶解分があるが、それを濾別できるものを△、濾液の通過が遅く、不溶解分の濾過が事実上出来ないものを×とした。
高く、得られるポリマーも高分子量であった。
Claims (5)
- 水性媒体中で、(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒により水和反応させて得られ、かつ、銅の濃度が0.01ppm以下である(メタ)アクリルアミドを、単独重合もしくは共重合して、または
該(メタ)アクリルアミドを、(メタ)アクリルアミドと共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合して、(メタ)アクリルアミド系重合体を製造する方法。 - 前記(メタ)アクリルアミドが、陽イオン交換樹脂により処理した水性媒体中で、(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒により水和反応させて得られ、かつ、銅の濃度が0.01ppm以下に低減された(メタ)アクリルアミドである請求項1に記載の(メタ)アクリルアミド系重合体を製造する方法。
- 前記(メタ)アクリルアミドが、水性媒体中で、陽イオン交換樹脂により処理した(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含む微生物触媒により水和反応させて得られ、かつ、銅の濃度が0.01ppm以下に低減された(メタ)アクリルアミドである請求項1または2に記載の(メタ)アクリルアミド系重合体を製造する方法。
- 前記(メタ)アクリルアミドが、前記水和反応により得られた反応液を陽イオン交換樹脂により処理して、銅の濃度が0.01ppm以下に低減された(メタ)アクリルアミドである請求項1に記載の(メタ)アクリルアミド系重合体を製造する方法。
- 請求項1に記載の(メタ)アクリルアミド系重合体を製造する方法によって得られる(メタ)アクリルアミド系重合体。
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