JPWO2004111302A1 - 放電表面処理方法および放電表面処理装置 - Google Patents

放電表面処理方法および放電表面処理装置 Download PDF

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Abstract

金属粉末または金属の化合物の粉末、またはセラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体の電極を用いて、気体雰囲気中において放電表面処理を行うに際して、電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させ、そのエネルギによりワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料がパルス状の放電のエネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する。

Description

この発明は、放電表面処理技術に関するものであり、詳細には、金属粉末または金属の化合物の粉末、または、セラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体電極を電極として、電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギにより、ワーク表面に電極の材料からなる被膜または電極の材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成する放電表面処理方法および放電表面処理装置に関するものである。
従来の放電表面処理は、常温での耐磨耗に主眼をおいており、TiC(炭化チタン)などの硬質材料の被膜を形成していた。しかしながら、近年、金属材料をワーク表面に緻密に厚く盛る技術への要求が高まっている。
その背景には高温環境下での耐磨耗性能、または、潤滑性能を持った被膜に対する要求が強くなっていることがある。その一例として第10図に示す航空機用ガスタービンエンジンのタービンブレードの場合について説明する。
第10図に示されるように、タービンブレード101は複数のブレードが接触して固定されており軸(図示せず)の回りを回転するように構成されている。このブレード同士の接触部分が、ブレードが回転した際に高温環境下で激しく擦られたりたたかれたりする。
このようなタービンブレードが使用されるような高温環境下(700℃以上)においては、常温において用いられる通常の耐磨耗被膜、または潤滑作用を有する被膜は高温環境下において酸化してしまうためほとんど効果を発揮できない。このため、高温環境下において使用される部材においては、高温において潤滑性を発揮する酸化物を生成する金属を含んだ合金材料の被膜(厚膜)を溶接、溶射などの方法により形成している。
これらの方法は、人手による熟練作業が要求される、ワークへの集中的な入熱があるために(溶接の場合)変形や割れなどが生じやすい、等の問題が多い。そこで、これらの方法に代わる被膜形成技術が必要とされていた。
一方、被膜形成技術として、パルス状の放電によりワーク麦面に被膜を形成する方法(以下、放電表面処理と称する。)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来、放電表面処理は常温での耐磨耗に主眼をおいており、TiC(炭化チタン)などの硬質材料の被膜を形成していた。
しかしながら、近年、常温での耐磨耗を目的とした硬質セラミックス被膜だけではなく、放電表面処理を用いて膜厚が100μm程度以上の厚膜を形成に対する要求が強くなっている。しかし、加工液、特に油の中で、放電表面処理を行なうと、油の中の炭素と金属が反応して炭化物を形成してしまう。このため、放電表面処理によるTi(チタン)などの炭化物を形成しやすい材料の被膜の厚盛りは極めて困難であった。
また、その他にも気体雰囲気中での放電を利用した被膜成形技術が提案されている(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。しかしながら、これらの方法は、人手により、回転する電極とワークとの間に80V〜200Vの電圧を印加して、放電と接触を繰り返すことで被膜を形成する方法であり、安定した被膜形成は困難であった。
特許第3227454号公報 特開平6−269936号公報 特開平11−264080号公報 このような背景のもとに、近年、人手による熟練作業を必要とすることなく、ライン化できる放電表面処理を用いて、常温での耐磨耗を目的とした硬質セラミックス被膜だけでなく、膜厚が100μm程度以上の厚膜を形成する技術が切望されている。
しかしながら、前述の特許文献1に示された電極製造方法では、薄膜の形成を主な対象としていたため、高温環境下での耐磨耗性能、または、潤滑性能を有した被膜を形成することはできない。また、粉末の圧縮成形の際に電極の硬さを均一に成形することについて考慮されておらず、電極自体の硬さにばらつきが生じる場合がある。
放電表面処理による厚膜の形成では、電極側からの電極材料の供給と、その供給された材料のワーク表面での溶融の仕方と、が被膜性能に最も影響を与える。この電極材料の供給に影響を与えるのが電極の強度、すなわち硬さである。特許文献1に示された技術を用いて薄膜を形成する場合には、形成される被膜の膜厚が薄いため、多少電極の硬さが均一でなくとも被膜性能にはほとんど影響を与えない。
しかしながら、このような電極の強度が均一でない電極を用いて厚膜の放電表面処理を行った場合には、均一な厚みの被膜が形成できない。放電表面処理による厚膜の形成では、大量の電極材料をワーク側の処理範囲に均一に供給することではじめて厚みの一定な被膜ができる。このため、電極の硬さに多少でも不均一があると、その部分の被膜の形成のされかたが変わってしまい、均一な厚みの被膜が形成できなくなってしまうためである。
また、放電表面処理の際に使用する電極の場所によって被膜の形成速度、被膜の性質にばらつきが生じるなど、一定の品質の表面処理が行えないという問題が生じてしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、パルス放電を利用してワーク表面に被膜を形成する放電表面処理において、安定して良質な被覆を形成する放電表面処理方法および放電表面処理装置を提供することを目的とする。
また、油中でのパルスを放電利用した放電表面処理では、炭化物になってしまいやすい材料を炭化物にすることなく良質な被覆を形成する放電表面処理方法および放電表面処理装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる放電表面処理方法にあっては、金属粉末または金属の化合物の粉末、またはセラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として用いて、気体雰囲気中において電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させ、そのエネルギによりワーク表面に電極材料または電極材料が放電エネルギにより反応した物質からなる被膜を形成することを特徴とする。
この発明によれば、気体雰囲気中において電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させて放電表面処理を行うため、極間距離、すなわち電極とワークの間の距離を適正な距離に保つことができる。これにより、気体雰囲気中での放電を安定して進めることが可能となり、気体雰囲気中においても良好な厚膜を形成することができる。
第1図は、放電表面処理用電極の製造プロセスの概念を示す断面図であり、第2図は、放電表面処理を行なう様子を示す概念図であり、第3A図は、放電表面処理が行われている際の電圧波形を示す特性図であり、第3B図は、第3A図の電圧波形に対応する電流波形を示す特性図であり、第4図は、加工液中での放電状態を示す図であり、第5図は、アルゴン中での放電の際の、無負荷電圧と極間距離との関係を示す特性図であり、第6図は、実施の形態2において放電表面処理を行なう様子を示す概念図であり、第7図は、実施の形態3において放電表面処理を行なう様子を示す概念図であり、第8図は、実施の形態4において放電表面処理を行なう様子を示す概念図であり、第9図は、実施の形態5において放電表面処理を行なう様子を示す概念図であり、第10図は、航空機用ガスタービンエンジンのタービンブレードを説明する図である。
以下に、本発明にかかる放電表面処理方法および放電表面処理装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、添付の図面においては、理解の容易のため、各部材における縮尺が異なる場合がある。
本発明における放電表面処理によって形成される厚膜に要求される機能としては、高温環境下での耐磨耗性、潤滑性などがある。したがって、本発明は、高温環境下でも使用される部品などへの転用が可能である放電表面処理技術を対象とする。
このような厚膜の形成のためには、従来の如く硬質セラミックスの膜を形成するために用いるセラミックスを主成分とした電極とは異なり、金属成分を主成分とした粉末を圧縮成形し、その後必要に応じて加熱処理を行って形成した電極を使用する。
なお、放電表面処理により厚膜を形成するには、放電のパルスにより電極材料を多量にワーク側に供給するために、電極の硬さをある程度低くするなど、電極の材質や硬さ等の所定の特徴を電極に持たせる必要がある。
パルス放電による厚膜の形成の際には、前述のように金属成分を主成分とした材料を電極として用いるが、炭化物を形成しやすい材料が電極中に大量に含まれていると該炭化物を形成しやすい材料が加工液である油に含まれる炭素と反応して炭化物になってしまうために厚膜を形成しにくいということが発明者の研究により見出された。
すなわち、発明者の研究では、数μm程度の粉末を圧縮形成して製造した電極により被膜を形成する場合には、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)などの炭化物を作りにくい材料を電極中に含ませないと、安定して緻密な厚膜を形成することは困難であることが見出されている。
しかしながら、厚膜を形成したいという産業界における要求の中には、Ti(チタン)のような極めて炭化しやすい材料を用いた補修のような用途もある。このような炭化しやすい材料を用いた場合においてもパルス放電により安定して緻密な厚膜を形成することを可能とする技術が本発明である。
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1における放電表面処理方法について説明する。第1図は、この発明の実施の形態1にかかる放電表面処理用電極の製造プロセスの概念を示す断面図である。まず、第1図を参照して本発明に用いられる電極の一例として電極材料にCo合金の粉末を使用した場合について説明する。第1図において、金型の上パンチ2、金型の下パンチ3、金型のダイ4で囲まれた空間には、粒径が1μm程度のCo粉末1が充填される。そして、この粉末を圧縮成形することにより圧粉体を形成する。放電表面処理にあたっては、この圧粉体が放電電極とされる。
第1図に示す電極の製作工程は以下の通りである。まず、Co粉末1を金型に入れて、上パンチ2及び下パンチ3により該Co粉末1に所定の圧力をかけてプレスする。このようにして所定のプレス圧をCo粉末1にかけることで該Co粉末1は固まり、圧粉体となる。
プレスの際にCo粉末1の内部へのプレスの圧力の伝わりを良くするためにCo粉末1にパラフィンなどのワックスを重量比で1%から10%程度混入するとCo粉末1の成形性を改善することができる。しかし、電極内のワックスの残留量が多くなるほど放電表面処理時の電気伝導度が悪くなる。このため、Co粉末1にワックスを混入した場合には、後の工程でワックスを除去することが好ましい。
上記のようにして圧縮成形された圧粉体は、圧縮により所定の硬さ、導電性が得られている場合にはそのまま放電表面処理用の電極として使用することができる。また、圧縮成形された圧粉体は、所定の硬さが得られていない場合には加熱することで強度、すなわち硬さを増し、電気抵抗を下げることができる。
なお、圧粉体に加熱を施して用いる場合は、加熱により圧粉体の硬さを白墨程度の硬さにして放電表面処理用の電極とすることが取り扱いの点からも好ましい。また、上述したように圧縮成形の際にワックスを混入した場合には、電極(圧粉体)を加熱してワックスを除去する必要がある。
この際、金型に入れるCo粉末1は、平均粒系3μm程度以下とし、より好ましくは本実施の形態の如く1μm程度以下が良い。
以上の工程で製作された厚膜形成用の硬さの低い放電表面処理用の電極を用いた本発明にかかる放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子の概念図を第2図に示す。第2図では、パルス状の放電が発生している様子を示している。
第2図に示すように本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、上述した放電表面処理用電極であり、Co粉末1を圧縮成形した圧粉体、またはこの圧粉体を加熱処理した圧粉体からなる放電表面処理用電極5(以下、単に電極5と称する場合がある。)と、電極5とワーク6とを覆う気体であるアルゴン7と、電極5とワーク6との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱8)を発生させる放電表面処理用電源9とを備えて構成される。なお、第2図では、極間距離、すなわち電極5とワーク6との距離を制御するためのサーボ機構、アルゴン7を貯留する貯留槽などは本発明とは直接関係しないので省略している。
この放電表面処理装置によりワーク表面に被膜を形成するには、電極5とワーク6とをアルゴン雰囲気中で対向配置する。そして、アルゴン雰囲気中において、放電表面処理用電源9を用いて電極5とワーク6との間にパルス状の放電を発生させる。具体的には、電極5とワーク6との間に電圧を印加し、放電を発生させる。放電のアーク柱8は第2図に示すように電極5とワーク6との間に発生する。
そして、電極5とワーク6との間に発生させた放電の放電エネルギにより電極材料の被膜をワーク表面に形成し、または放電エネルギにより電極材料が反応した物質の被膜をワーク表面に形成する。極性は、電極5側がマイナスの極性、ワーク6側がプラスの極性として使用する。
このような構成を有する放電表面処理装置において、放電表面処理を行う場合の放電のパルス条件の一例を第3A図と第3B図とに示す。第3A図と第3B図は、放電表面処理時における放電のパルス条件の一例を示す図であり、第3A図は、放電時の電極11とワーク12の間にかかる電圧波形(極間電圧波形)を示し、第3B図は、放電時に放電表面処理装置に流れる電流の電流波形を示している。電流値は第3A図、第3B図の矢印の向き、すなわち縦軸の上方向を正としている。また、電圧値は、電極5側がマイナスの極性、ワーク6側がプラスの極性電極とした場合を正としている。
第3A図に示されるように時刻t0で両極間に無負荷電圧uiがかけられるが、放電遅れ時間td経過後の時刻t1に両極間に電流Iが流れ始め、放電が始まる。このときの電圧が放電電圧ueであり、このとき流れる電流がピーク電流値ieである。そして時刻t2で両極間への電圧の供給が停止されると、電流は流れなくなる。
時刻t2−t1を放電パルス幅teという。この時刻t0〜t2における電圧波形を、休止時間toをおいて繰り返して両極間に印加する。つまり、この第3A図に示されるように、電極5とワーク6との間に、パルス状の電圧を印加させる。
本実施の形態で使用した放電のパルス条件は、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsである。
このような気体雰囲気中(本実施の形態においてはアルゴン雰囲気中)の放電が、液中(加工液中)の放電と異なる点は、電極とワークとの間の距離、すなわち極間距離が短い点である。加工液(油)63などの液中での放電では、第4図に示すように放電により電極61から放出される電極材料またはワーク62が溶融して生成された粉末(加工屑)64が極間(電極61とワーク62との間)に滞在することで放電を誘発するため、極間距離が長くなる。
参考までに、上記のピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μs、無負荷電圧80Vの条件では、放電中の極間距離はおよそ40μm〜50μm程度である。
次に、第2図の構成で気体雰囲気中(本実施の形態においてはアルゴン雰囲気中)における本方法(放電表面処理方法)の原理について説明する。放電が発生すると、電極5およびワーク6のアーク柱8の部分が加熱される。電極5は、1μm程度のCo粉末を圧縮形成して構成されているため熱伝導が悪く、局部的に加熱されて一部気化するまでになる。この電極材料の一部が気化した際の爆発力により電極材料がワーク側に吹き飛ばされてワーク側に移行し、ワーク表面に被膜を形成する。
気体雰囲気中における放電表面処理は、以上のような原理であるため、ワーク表面に被膜を形成するためには電極は粉末材料から構成されることが好ましい。仮に、粉末材料から作られたものでない電極を用いて放電表面処理を行う場合には、ワーク側に電極材料を飛ばすには、大きなエネルギの放電パルスが必要になる。しかしながら、そのような大きな放電パルスではワーク側を除去加工してしまう。すなわち、粉末材料から作られたものでない電極を用いて放電表面処理を行う場合には、本実施の形態のような小さなエネルギの放電パルスで電極を溶融し、ワーク側に飛ばすことは困難である。
また、気体雰囲気中での放電では加工液中のように加工屑を介しての放電誘発作用が期待できない。したがって、印加電圧により放電が発生する距離まで、ワークおよび電極を近づける必要がある。
しかしながら、放電により放電痕の盛り上がりが生成されるので、余り極間、すなわち電極とワークとの間の距離を狭くしすぎると、極間距離よりも放電痕の盛り上がり量が大きくなってしまう。この場合には、放電により電極材料がワークに移行した時点で極間が短絡してしまう。
加工液中、気体雰囲気中を問わず、上記条件に基づく放電痕の盛り上がり量は、10μm〜20μm程度となる。そして、極間の位置決め制御の応答速度(応答周波数)がそれほど高くないこと(例えば数10Hz程度)を考慮すると、極間距離は30μm程度以上を確保しないと安定して放電を発生させることは困難になる。
第5図に気体雰囲気中(アルゴン雰囲気中)での放電の際の、無負荷電圧(極間電圧)と極間距離との関係のグラフを示す。本グラフは、レーザー変位計や渦電流センサーなどの極間を測定する装置により極間距離を測定しながら、放電発生の際の位置を計測する試験を行い、計測したものである。
なお、本グラフは、ピーク電流値ie=10A、放電持続時間(放電パルス幅)te=64μs、休止時間to=128μsの加工条件のもと、極間電圧(無負荷電圧)を変化させていき、その無負荷電圧(極間電圧)で放電が発生した場合の極間距離をまとめたものである。
第5図からわかるように、無負荷電圧と極間距離とは相関があり、無負荷電圧が高くなるに従い、極間距離は広くなる。したがって、気体雰囲気中での放電を安定して進めるためには、少なくとも500V以上の電圧が必要であり、好ましくは、1000V程度以上の無負荷電圧(極間電圧)を印加することが好ましい。これは、極間距離を30μm程度以上に保つために必要であるためである。
30μmの極間距離に制御するためには、極間距離制御の応答周波数が極めて高い状態に保てるならば、無負荷電圧(極間電圧)は300V程度以上でもよい。しかしながら、実際の処理装置を構成する場合には、得られる応答周波数はせいぜい10Hz〜20Hz程度である。このため、極間電圧としては、余裕を持った500V程度以上の極間電圧が必要になる。
無負荷電圧(極間電圧)が500V以上、好ましくは1000V以上必要であるのは、放電を安定して発生させるための電圧であり、電極の材料等には因らない。しかし、電極の強度が弱く、放電により電極材料が過多に極間に供給されるような場合などは、さらに高い無負荷電圧(極間電圧)が必要な場合もある。
なお、気体雰囲気中放電を利用した被覆処理方法として、特開平6−269936号公報、特開平6−269939号公報、特開平9−108834号公報などがある。これらの発明は、気体雰囲気中での放電を利用しているが、高速回転の金属電極とワークとの間に放電を発生させ、放電により溶融した電極材料をワークに接触させて付着させるという原理である。しかしながら、これらの発明は本発明のように圧粉体の電極を用いて、ワークと該電極との間で所定の極間を形成し、パルス放電により、電極材料をワーク表面に移行させるものとは異なる。
なお、これら、従来の技術は、人手による作業が必要であり、被膜を安定して形成することは困難である。また、自動化には対応できない。
本実施の形態によれば、気体雰囲気中において電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させて放電表面処理を行うことにより気体雰囲気中においても良好な厚膜を形成することができる。したがって、加工液中での被膜形成ではなく、気体雰囲気中における放電表面処理技術を確立することができた。これにより、加工液である油などが無くとも被膜形成が可能になった。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2における放電表面方法について、第6図を用いて説明する。第6図は、本実施の形態にかかる放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子の概念を示す図である。第6図では、パルス状の放電が発生している様子を示している。
第6図に示す本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、チャンバー21内に、放電表面処理用電極23(以下、単に電極23と称する場合がある。)、ワーク25などが収納されている。電極23は、チタン(Ti)粉末から構成された電極である。電極23、ワーク25はそれぞれチャンバー21の外部に設けられ、電極23とワーク25との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱33)を発生させる放電表面処理用電源27に接続されている。この構成においては、放電時の電流Iは電極23から放電表面処理用電源27に向かう方向に流れる。
また、チャンバー21には、チャンバー21内に気体を供給する気体供給口29が設けられており、該気体供給口29を通してチャンバー21内に気体が供給される。すなわち、この放電表面処理装置においては、放電表面処理は、気体雰囲気中において行われる。本実施の形態においては、気体供給口29を通してチャンバー21内にアルゴン(Ar)ガス31が導入され、チャンバー内はアルゴン雰囲気とされている。
なお、第6図では、極間距離、すなわち電極23とワーク25との距離を制御するためのサーボ機構などは本発明とは直接関係しないので省略している。
ここで、電極23を構成するチタン(Ti)粉末は、微細化することが困難である。そこで、本実施の形態においては、水素化チタン(TiH)粉末を粉砕して2μm〜3μm程度に大きさにしたものを圧縮成形し、加熱して、水素を放出させることにより電極23を製造した。
次に、この放電表面処理装置における放電表面処理の概要について説明する。電極23とワーク25との間にパルス状の放電を発生させて、電極材料をワーク側に移行させ被膜を形成する原理は、加工条件を含めて上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、電極23とワーク25とを、外気から遮断されたチャンバー21に収納しており、該チャンバー21内に、気体供給口29から不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガス31を供給している。
実施の形態1では、Co電極を使用した場合について説明した。Coは酸化し難い材料である。このため、Co電極を使用して放電表面処理を行い、空気中で放電させてもワーク上にCo被膜を形成することができる。
ところが、本実施の形態のように、化学反応をおこしやすいチタン(Ti)のような材料を電極として用いた場合には、空気中で放電を発生させるとTiは直ちに酸化チタン(TiO)となる。
酸化チタンは、セラミックスであり、熱伝導が悪いなど、金属とは異なる性質を有する。このため、空気中で放電させて、チタンを主成分とした厚膜を形成することは不可能である。
そこで、本実施の形態においては、このような放電による電極材料の化学反応を抑えるためにArガス31を使用している。Arガス31などの不活性ガス(希ガス)は、電極材料が他の物質に変化するのを抑える。これにより、Arガス31などの不活性ガス(希ガス)を用いることにより、Tiのように化学反応を起こしやすい電極材料でも、金属Tiの状態のままワーク側に移行させ、Ti被膜をワーク表面に形成することができる。
すなわち、この放電表面処理装置は、不活性なガス雰囲気中において放電表面処理を行うため、Tiのように化学反応を起こしやすい材料でも、金属Tiの状態のままワーク側に移行させ、Ti被膜をワーク表面に形成することができるという効果を奏するものである。
なお、この目的を達成するためには、チャンバー21内に導入するガスは、Arガスに限定されるものではなく、ヘリウム(He)ガスや、ネオン(Ne)ガスなど、他の不活性ガス(希ガス)や、窒素などの不活性なガスも用いることができる。
また、本実施の形態では、チャンバー21内に電極23、ワーク25などを収納して放電表面処理を行なったが、電極23、ワーク25などは必ずしもチャンバー21に収納する必要はなく、放電が発生している環境が、Arなどの不活性なガス雰囲気とすることができればよい。例えば、電極23の近くから放電点近傍に向けて不活性なガスを供給するような構成、方法でもよい。このような場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
気体雰囲気中での放電での問題点のひとつとして、放電による電極の加熱がある。液中で放電を行う場合は、電極が放電のエネルギにより局部的に加熱されても、加工液ですぐに冷却される。しかしながら、気体雰囲気中で放電を行う場合は、冷却が進み難い。このため、気体雰囲気中で放電を行う場合は電極の温度が上昇し、電極の硬さ(硬度)が増す。電極の硬度が増した場合には、該電極の電気抵抗は小さくなり、これに起因して放電電圧は正常な値よりも低い電圧になる。
このように電極の硬度が硬い場合、すなわち放電電圧が正常な値よりも低い場合には、被膜の形成が遅くなる、ワークを除去加工してしまう、などの現象が生じてしまう。そこで、気体雰囲気中で放電を行う場合は電極の冷却が必要になる。
本実施の形態においては、第7図を用いて電極の冷却方法について説明する。第7図は、本実施の形態にかかる放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子の概念を示す図である。第7図では、パルス状の放電が発生している様子を示している。
第7図に示す本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、チャンバー41内に、放電表面処理用電極43(以下、単に電極43と称する場合がある。)、ワーク45などが収納されている。電極43、ワーク45はそれぞれチャンバー41の外部に設けられ、電極43とワーク45との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱53)を発生させる放電表面処理用電源47に接続されている。この構成においては、放電時の電流Iは電極43から放電表面処理用電源47に向かう方向に流れる。
また、チャンバー41には、チャンバー21内に気体を供給すると同時に電極を冷却するための気体供給口49が設けられている。したがって、この放電表面処理装置においては、該気体供給口49を通してチャンバー41内に気体が供給される。また、気体供給口49から供給された気体は、電極43に当たるようにセッティングされている。本実施の形態においては、気体供給口49を通してチャンバー41内にアルゴン(Ar)ガス51が導入され、チャンバー内はアルゴン雰囲気とされている。
なお、第7図では、極間距離、すなわち電極43とワーク45との距離を制御するためのサーボ機構などは本発明とは直接関係しないので省略している。
次に、この放電表面処理装置における放電表面処理の概要について説明する。電極43とワーク45との間にパルス状の放電を発生させて、電極材料をワーク側に移行させ被膜を形成する原理は、加工条件を含めて上述した実施の形態1と同様である。
気体供給口49から供給されたArガス51は、電極43に当たるようにセッティングされている。これにより、この放電表面処理装置においては、Arガス51でチャンバー41を充満させると同時に電極A3を冷却し、電極43の加熱を防止することができる。
この結果、電極43を効果的に冷却することが可能となり、電極43の硬さが硬くなることを防ぐことができる。したがって、この放電表面処理装置は、放電表面処理の過程での電極43の状態の変化を防止することができ、処理時間が経過しても、安定して被膜を形成できるという効果を奏する。
実施の形態4.
本実施の形態も上述した実施の形態3と同様に、気体雰囲気中での放電での問題点である放電による電極の加熱を解決することを目的とするものである。第8図を用いて本実施の形態にかかる電極の冷却方法について説明する。第8図は、本実施の形態にかかる放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子の概念を示す図である。第8図では、パルス状の放電が発生している様子を示している。
第8図に示す本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、チャンバー61内に、放電表面処理用電極63(以下、単に電極63と称する場合がある。)、ワーク65などが収納されている。電極63は、チタン(Ti)粉末から構成された電極である。電極63、ワーク65はそれぞれチャンバー61の外部に設けられ、電極63とワーク65との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱73)を発生させる放電表面処理用電源67に接続されている。この構成においては、放電時の電流Iは電極63から放電表面処理用電源67に向かう方向に流れる。
また、チャンバー61には、チャンバー61内に気体を供給すると同時に電極を冷却するための気体供給口69が設けられている。したがって、この放電表面処理装置においては、該気体供給口69を通してチャンバー61内に気体が供給される。また、気体供給口69から供給される気体は、チャンバー61内に導入される際に電極63に当たるようにセッティングされている。本実施の形態においては、気体供給口69を通してチャンバー61内にアルゴン(Ar)ガス71が導入され、チャンバー61内はアルゴン雰囲気とされている。
なお、第8図では、極間距離、すなわち電極63とワーク65との距離を制御するためのサーボ機構などは本発明とは直接関係しないので省略している。
次に、この放電表面処理装置における放電表面処理の概要について説明する。電極63とワーク65との間にパルス状の放電を発生させて、電極材料をワーク側に移行させ被膜を形成する原理は、加工条件を含めて上述した実施の形態1と同様である。
本実施の形態においては、気体供給口69にArガス71を供給することにより、電極63を通してArガス71をチャンバー61内に供給する構造になっている。電極63は粉末から構成されたポーラスな構造であり、気体を通過させることができる。これにより、この放電表面処理装置においては、Arガス71でチャンバー61を充満させると同時に電極63を冷却し、電極63の加熱を防止することができる。
そして、この際、第8図に示すように電極63の周辺を、気体を通さない材質からなる部材で覆うことで、放電が発生する部分により効果的にArガスを導くことができる。一例としては第8図に示すように電極を筒体内に収納することにより実現できる。これにより、Arガス71でチャンバー61内を充満させると同時に電極63を冷却し、電極63の加熱を防止することができる。
この結果、電極63をより効果的に冷却することが可能となり、電極63の硬さが硬くなることを防ぐことができる。したがって、この放電表面処理装置は、放電表面処理の過程での電極63の状態の変化を防止することができ、処理時間が経過しても、安定して被膜を形成できるという効果を奏する。
本実施の形態によれば、電極をより効率的に冷却することが可能であるため、加工液中における放電時に加工液により冷却される場合に匹敵するほど、効率的に電極を冷却することが可能となる。その結果、電極の温度は常に良好な状態に保たれるため、電極の温度の変化が放電被膜形成特性に影響を及ぼすことが無く、より良い被膜の形成が可能となる。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5おける放電表面処理方法について、第9図を用いて説明する。第9図は、本実施の形態にかかる放電表面処理装置により放電表面処理を行なう様子の概念を示す図である。第9図では、パルス状の放電が発生している様子を示している。
第9図に示すように本実施の形態にかかる放電表面処理装置は、放電表面処理用電極83(以下、単に電極5と称する場合がある。)と、電極83とワーク85とを覆う加工液である液体アルゴン89と、電極83とワーク85との間に電圧を印加してパルス状の放電(アーク柱91)を発生させる放電表面処理用電源87とを備えて構成される。なお、第9図では、極間距離、すなわち電極83とワーク85との距離を制御するためのサーボ機構、液体アルゴン89を貯留する貯留槽などは本発明とは直接関係しないので省略している。
次に、この放電表面処理装置における放電表面処理の概要について説明する。電極63とワーク65との間にパルス状の放電を発生させて、電極材料をワーク側に移行させ被膜を形成する原理は、加工条件を含めて上述した実施の形態1と同様である。
そして、放電のエネルギにより溶融した電極材料を炭化または酸化させない方法として、上述した実施の形態において不活性な気体雰囲気中での放電表面処理について説明したが、不活性なガスを液化したものを加工液とすることで液中の放電表面処理の要領で被膜の形成ができる。
ただし、放電表面処理装置の温度が極めて低い状態になるので、その対策が必要になるという欠点があるのも事実である。
また、気体雰囲気中での処理の場合には、窒素ガス雰囲気でも比較的容易に処理が可能であったが、液体窒素中での処理では、被膜の窒化が進みやすいという問題もあった。
以上のような欠点があるものの、この放電表面処理装置では、液中で放電表面処理が行われるため、放電の安定性、被膜形成の安定性は優れており、気体雰囲気中での放電にはない利点、例えば、無負荷電圧(極間電圧)を500Vに上げなくても安定した放電が可能であるので回路構成が簡単になる等、がある。
すなわち、液体アルゴン中での放電表面処理の場合は、上述した実施の形態で説明した如く加工条件を500Vにしなければならないということはなく、500Vよりも低い無負荷電圧(極間電圧)(通常の放電加工の無負荷電圧(極間電圧))でも処理可能である。
なお、不活性なガスを液化した液中で放電表面処理を行う場合に無負荷電圧(極間電圧)を低くできるのは、放電により発生した加工粉が液中に滞在することで、放電を誘発するためである。
実施の形態6.
上述した実施例1から実施例5は、放電表面処理用電極として粉末から構成されている放電表面処理用電極を使用したが、放電表面処理用電極が容易に消耗する場合には、粉末にしない金属の状態でも同様の効果を実現できることが発明者の試験によりわかった。
例えば、放電表面処理用電極にアルミニウム(アルミニウム100%、アルミ合金)を使用した場合には、放電表面処理用電極は放電パルスにより容易に消耗し、ワーク側へ移行する。ここで、アルミニウム電極の場合には、放電による電極消耗が極めて大きいため、他の材料の粉末電極と同じぐらい沢山の電極材料がワーク側に飛ぶ。
そして、ワーク側に飛んだアルミニウムがワークを覆うと、高温環境下においてアルミニウム表面が酸化し、ワークの酸化を防止することができる。これは、表面のアルミが酸化されると緻密な酸化被膜を形成し、該酸化被膜により、ワークの内部まで酸化が進むのを防ぐためである。
従来はアルミナイズ処理という複雑な工程を経てワークにアルミ被膜を形成することがあったが、パルス放電により容易にアルミ被膜を形成することができるようになった。
油などの加工液中で上記のような参加被膜を形成する処理を行なうと、炭素が被膜中に入り場合によっては好ましくないときもある。炭素が被膜中に入ると、時間が経過した際に炭素が析出して被膜強度を下げる場合や、被膜中で炭化物を作る場合などがある。このため、放電表面処理は、アルゴン中で行うことが好ましいが、油中でも一般的には、十分な効果を発揮できる場合もある。
また、気体雰囲気中において放電表面処理を行う場合は、上記の実施例と同様に、電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させて放電表面処理を行うことが好ましい。これにより気体雰囲気中においてもアルミニウム電極を用いて良好な厚膜を形成することができる。
本実施の形態によれば、アルミニウムを粉末にすることなく放電表面処理用電極として使用することができ、容易にアルミニウム被膜をワーク上に形成することができる。
以上のように、本発明にかかる放電表面処理用電極は、被加工物表面に被膜を形成する表面処理関連産業に用いられるのに適しており、特に被加工物表面に厚膜を形成する表面処理関連産業に用いられるのに適している。

Claims (14)

  1. 金属粉末または金属の化合物の粉末、またはセラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として用いて、気体雰囲気中において電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させ、そのエネルギによりワーク表面に電極材料または電極材料が前記パルス状の放電のエネルギにより反応した物質からなる被膜を形成することを特徴とする放電表面処理方法。
  2. 前記気体雰囲気が不活性なガス雰囲気であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の放電表面処理方法。
  3. 前記電極を冷却しながら放電を発生させることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の放電表面処理方法。
  4. 前記電極中に気体を通して、前記電極を冷却しながら放電を発生させることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の放電表面処理方法。
  5. 前記電極を気体不透過性の筒体内に収納し、該筒体内へ気体を供給することにより前記電極を冷却するとともに前記放電の発生領域に前記気体を供給することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の放電表面処理方法。
  6. 金属粉末または金属の化合物の粉末、またはセラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体からなる電極と、
    上記電極とワークとの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させる電源と、
    上記電極とワークに気体を供給する気体供給手段と、
    を有し、
    前記パルス状の放電のエネルギにより前記電極の材料からなる被膜、または前記電極の材料が前記パルス状の放電のエネルギにより反応した物質からなる被膜をワーク表面に形成することを特徴とする放電表面処理装置。
  7. 前記気体供給手段から供給される気体が不活性なガスであることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の放電表面処理装置。
  8. 前記電極およびワークを封入する筐体を備え、前記気体供給手段が該筐体内に不活性なガスを供給し、不活性なガス雰囲気中で被膜を形成することを特徴とする請求の範囲第6項または第7項のいずれか1つに記載の放電表面処理装置。
  9. 前記気体供給手段が前記電極に対して気体を当てることにより前記電極を冷却することを特徴とする請求の範囲第6項〜第8項のいずれか1つに記載の放電表面処理装置。
  10. 前記電極を気体不透過性の筒体内に収納し、該筒体内に前記気体供給手段から気体を供給することにより前記電極を冷却することを特徴とする請求の範囲第6項〜第9項に記載の放電表面処理装置。
  11. 金属粉末または金属の化合物の粉末、またはセラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体を電極として用いて、液体状態にした不活性なガス雰囲気中において前記電極とワークの間にパルス状の放電を発生させ、そのエネルギによりワーク表面に前記電極の材料からなる被膜または前記電極の材料が前記パルス状の放電のエネルギにより反応した物質からなる被膜を形成することを特徴とする放電表面処理方法。
  12. 金属粉末または金属の化合物の粉末、またはセラミックスの粉末を圧縮成形した圧粉体からなる電極と、
    液体状態にした不活性なガスを貯留する貯留手段と、
    前記電極とワークの間にパルス状の放電を発生させる電源と
    を有し、
    前記パルス状の放電エネルギにより前記電極の材料からなる被膜、または前記電極の材料が前記パルス状の放電のエネルギにより反応した物質からなる被膜をワーク表面に形成することを特徴とする放電表面処理装置。
  13. アルミニウムを主成分とする金属を電極として用いて、気体雰囲気中において前記電極とワークの間に500V以上の電圧を印加してパルス状の放電を発生させ、または加工液中でパルス状の放電を発生させ、そのエネルギによりワーク表面に前記電極の材料または前記電極の材料が前記パルス状の放電のエネルギにより反応した物質からなる被膜を形成することを特徴とする放電表面処理方法。
  14. 前記気体雰囲気が不活性なガス雰囲気であることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の放電表面処理方法。
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