JPWO2004109082A1 - 可変吸気弁を備えた内燃機関 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、壁面への燃料付着を防止し、燃料噴霧微粒化を可能として、未然燃料を低減できる可変吸気弁を備えた内燃機関を提供することにある。エンジンコントロールユニット(20)は、低負荷運転時には、吸気弁(7)の開時期を吸気行程に設定して、吸気弁(7)の開口期間とリフト量を制御することにより吸入空気量を調節する。また、エンジンコントロールユニット(20)は、燃料噴射弁(31)の燃料噴射期間が吸気弁(7)の開口期間よりも長い場合に、燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構(32)を備えた燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくして、燃料噴射弁(11)の燃料噴射期間が吸気弁(7)の開口期間以下となるように制御する。
Description
本発明は、吸気弁の開時期,開口期間,リフト量を変更可能な可変吸気弁を備えた内燃機関に係り、特に、冷機始動時の制御に適用するに好適な可変吸気弁を備えた内燃機関に関する。
従来の内燃機関においては、冷機始動時の触媒温度が低い未活性状態では浄化能力が小さく、エンジンから排出される未燃燃料がそのまま大気中に排出され環境悪化の要因となる。そのため、排気低減にはこの未燃燃料を最小限に抑えることが必要である。
しかし、排気行程中に燃料を噴射するポート噴射エンジンの場合、噴射された燃料の殆どが吸気管や吸気弁に付着するが、冷機時は壁面からの受熱が殆ど無いため燃料の気化が悪く、壁面に付着した燃料が壁流となって燃焼室に流入したものがエンジンオイルに希釈され気化が不十分となって未燃燃料として排出される。
そこで、例えば、特開2002−242713号公報に記載のように、水温が50℃以下の始動時において吸気弁の開時期を遅角して吸入空気の流速を上げ、吸気弁が開く時期に燃料が吸気弁に到達するように燃料噴射時期を設定し、吸気弁が開いた時に生成される空気流動によって吸気管に付着する燃料を少なくするものが知られている。
しかし、排気行程中に燃料を噴射するポート噴射エンジンの場合、噴射された燃料の殆どが吸気管や吸気弁に付着するが、冷機時は壁面からの受熱が殆ど無いため燃料の気化が悪く、壁面に付着した燃料が壁流となって燃焼室に流入したものがエンジンオイルに希釈され気化が不十分となって未燃燃料として排出される。
そこで、例えば、特開2002−242713号公報に記載のように、水温が50℃以下の始動時において吸気弁の開時期を遅角して吸入空気の流速を上げ、吸気弁が開く時期に燃料が吸気弁に到達するように燃料噴射時期を設定し、吸気弁が開いた時に生成される空気流動によって吸気管に付着する燃料を少なくするものが知られている。
しかしながら、特開2002−242713号公報に記載されたものでは、吸気弁の開口期間より燃料噴射時期が長くなった場合には、燃料の一部が燃焼室に入りきらずに吸気弁に付着して液膜を形成することにより壁流が生じて排気が悪化し、また気流との間に生じるせん断力による微粒化が無いため気化が悪く不均質な混合気が形成され燃焼性が悪化するといった問題があった。
本発明の目的は、壁面への燃料付着を防止し、燃料噴霧微粒化を可能として、未燃燃料を低減できる可変吸気弁を備えた内燃機関を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、吸気弁の開時期,開口期間,リフト量を変更可能な可変吸気弁を備えた内燃機関において、燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間よりも長い場合に、単位時間当たりの燃料噴射量若しくは吸入空気量を可変して、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御する制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となり、壁面への燃料付着を防止し、燃料噴霧微粒化を可能として、未燃燃料を低減し得るものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、低負荷運転時には、前記吸気弁の開時期を吸気行程に設定して、前記吸気弁の開口期間とリフト量を制御することにより吸入空気量を調節し、さらに、前記制御手段は、燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構を備えた燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくして、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御するようにしたものである。
(3)上記(2)において、好ましくは、前記燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構は、燃料の吐出を制御する燃料噴射弁の弁体のリフト量を変更可能な機構であり、前記制御手段は、この弁体のリフト量を大きくして、燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくするようにしたものである。
(4)上記(2)において、好ましくは、前記燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構は、高圧の燃料フィードポンプの燃料圧力を変更可能な機構であり、前記制御手段は、この燃料圧力を大きくして、燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくするようにしたものである。
(5)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、低負荷運転時には、前記吸気弁の開時期を吸気行程に設定して、前記吸気弁の開口期間とリフト量および吸気管の上流に設けられた絞り弁の開度を制御することにより単位時間当たりの吸入空気量を小さくして、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御するようにしたものである。
(6)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、燃料噴射終了時期を、吸気弁の閉時期に対し、噴射された燃料噴霧が吸気弁に到達するのに要する時間だけ早い時期としたものである。
本発明の目的は、壁面への燃料付着を防止し、燃料噴霧微粒化を可能として、未燃燃料を低減できる可変吸気弁を備えた内燃機関を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、吸気弁の開時期,開口期間,リフト量を変更可能な可変吸気弁を備えた内燃機関において、燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間よりも長い場合に、単位時間当たりの燃料噴射量若しくは吸入空気量を可変して、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御する制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となり、壁面への燃料付着を防止し、燃料噴霧微粒化を可能として、未燃燃料を低減し得るものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、低負荷運転時には、前記吸気弁の開時期を吸気行程に設定して、前記吸気弁の開口期間とリフト量を制御することにより吸入空気量を調節し、さらに、前記制御手段は、燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構を備えた燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくして、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御するようにしたものである。
(3)上記(2)において、好ましくは、前記燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構は、燃料の吐出を制御する燃料噴射弁の弁体のリフト量を変更可能な機構であり、前記制御手段は、この弁体のリフト量を大きくして、燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくするようにしたものである。
(4)上記(2)において、好ましくは、前記燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構は、高圧の燃料フィードポンプの燃料圧力を変更可能な機構であり、前記制御手段は、この燃料圧力を大きくして、燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくするようにしたものである。
(5)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、低負荷運転時には、前記吸気弁の開時期を吸気行程に設定して、前記吸気弁の開口期間とリフト量および吸気管の上流に設けられた絞り弁の開度を制御することにより単位時間当たりの吸入空気量を小さくして、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御するようにしたものである。
(6)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、燃料噴射終了時期を、吸気弁の閉時期に対し、噴射された燃料噴霧が吸気弁に到達するのに要する時間だけ早い時期としたものである。
図1は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
図2は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
図3は、バルブの開閉時期,リフト量の説明図である。
図4は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられるリフト量可変機構を備えた燃料噴射弁のボール弁リフト量FVLと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図5は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関のクランキング時の動作を示すタイミングチャートである。
図6は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。
図7は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
図8は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
図9は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図10は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの関係の説明図である。
図11は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。
図12は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
図13は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
図14は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。
図2は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
図3は、バルブの開閉時期,リフト量の説明図である。
図4は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられるリフト量可変機構を備えた燃料噴射弁のボール弁リフト量FVLと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図5は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関のクランキング時の動作を示すタイミングチャートである。
図6は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。
図7は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
図8は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
図9は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図10は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの関係の説明図である。
図11は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。
図12は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
図13は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
図14は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。
以下、図1〜図6を用いて、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成について説明する。なお、本実施形態では、気筒毎に燃料噴射弁を設けたマルチポイントインジェクション(MPI)を用いている。
図1は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
燃焼室4は、シリンダヘッド1と、シリンダブロック2と、シリンダブロック2に挿入されたピストン3とにより形成される。燃焼室4の中心上部には、点火プラグ31が設けられている。ピストン3は、コンロッド17を介してクランク軸18と連結されている。クランク軸18には、クランク角度とエンジン回転数を検出可能なクランク角センサ19が設置されている。
シリンダブロック2には、冷却水の温度を検出する水温センサ12が設置されている。燃焼室4には、吸気管5と排気管6がそれぞれ開口している。吸気管5及び排気管6の開口部を、それぞれ開閉する吸気弁7と排気弁8が設けられている。
アクセルペダル9には、運転者の踏み込み量を検出するアクセル開度センサ(SACC)10を備えている。吸気管5には、吸気弁7に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁11と、燃焼室4へ吸入する空気量を調節可能な絞り弁13が設けられている。排気管6には、三元触媒14を備えており、その上流側には空燃比センサ15を、下流にはO2センサ16が設けられている。吸気弁7には、バルブの開時期,開口期間,リフト量を変更可能なバルブ可変機構(VV)26を備えている。燃料噴射弁11には、燃料配管28によって燃料タンク29内に設置された低圧ポンプ(PL)30が接続されている。燃料配管28の途中には、燃料圧力を検出可能な燃料圧力センサ(SFU)27が設置されている。
電子制御装置(ECU)20は、設定されたプログラムに従って演算処理を実行する中央処理装置(CPU)21と、制御プログラムや演算に必要なデータを記憶しているリードオンリーメモリ(ROM)22と、演算結果を一時的に格納するためのランダムアクセスメモリ(RAM)23と、各センサからの信号を受信する入力回路(IN)24と、演算結果から各装置に信号を送信する出力回路(OUT)25で構成されている。
燃料噴射弁11の内部には、上下することによって燃料噴射量を制御する弁体が設けられている。弁体のリフト量と開口期間を変えることによって、燃料噴射量が制御される。弁体は磁歪材料で作られており、磁界を発生させることにより弁体の長さを変える事ができる。燃料噴射弁11には磁界の強弱を制御するリフト量可変機構(VL)32が設けられおり、これにより開口期間一定で燃料噴射量を変えることが可能である。バルブ可変機構26は、機械的に吸気弁のカム軸を動かし、バルブの開時期,開口期間,リフト量を制御する機構となっている。
次に、図2〜図6を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
イグニッションスイッチがオンになりエンジンが始動すると、ステップs100において、ECU20は、アクセル開度センサ10の信号を入力回路24を取り込み、CPU21はアクセル開度ACDを算出する。
次に、ステップs110において、ECU20は、水温センサ12の信号を入力回路24を取り込み、CPU21は水温TWを算出する。
次に、ステップs120において、ECU20は、クランク角センサ19の信号を入力回路24を取り込み、CPU21はエンジン回転数NEを算出する。
次に、ステップs130において、ECU20は、燃料圧力センサ27の信号を入力回路24を取り込み、CPU21は燃料圧力RPを算出する。
次に、ステップs140において、ECU20のCPU21は、アクセル開度ACDを用いて、低負荷か否かを判定する。中高負荷と判定されるとステップs150に進み、低負荷と判定されるとステップs170に進む。
中高負荷であるとCPU21が判定すると、ステップs150において、CPU21は、吸気弁7の開時期VOT2,リフト量VL2,開口期間VT2を決定し、バルブ可変機構26を制御する。中高負荷であるので、吸気弁7の開時期VOT2,リフト量VL2,開口期間VT2は、それぞれ予め設定されている最大値となるように、設定される。
ここで、図3を用いて、バルブの開閉時期,リフト量について説明する。
図3は、バルブの開閉時期,リフト量の説明図である。図3において、横軸はクランク角θ(deg)を示し、縦軸はバルブのリフト量を示している。クランク角θが0〜90度が膨張行程EXPであり、90〜180が掃気工程EXHであり、180〜270度が吸気行程INTであり、270〜360度が圧縮行程COMである。図中、実線INが吸気弁のリフト量を示し、点線EXが排気弁のリフト量を示している。中高負荷の時は、例えば、吸気弁の開時期VOT2は360度とし、リフト量VL2は図示する量とし、開口期間VT2は210度となる。
次に、ステップs160において、CPU21は、アクセル開度ACDと水温TWとエンジン回転数NEから、目標となる燃料噴射量MF2,空燃比A/F2,絞り弁開度THA2,燃料噴射時期FIT2,点火時期IGT2を算出する。そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16を制御する。
ここで、燃料噴射時期FIT2は、従来のMPIエンジンに用いられるような排気行程中に燃料噴射が終了する時期に設定される。点火時期IGT2は、水温TWが80℃未満の場合は排気温度の上昇を目的に上死点付近に、また水温TWが80℃以上の場合は上死点前20°付近に決定される。空燃比A/F2は、ガソリンの理論混合比である14.7になるように決定される。運転中の空燃比は空燃比センサ15により検出され、目標空燃比A/F2と誤差が生じた場合は絞り弁開度THA2を補正する。
なお、上述の例では、排気弁のリフト量と作動角は一定としているが、排気弁にもバルブ可変機構を取り付けてもよいものである。
一方、ステップs140の判定により、アクセル開度ACDが低負荷であるとCPU21が判定すると、ステップs170において、CPU21は、絞り弁13の開度が最大(全開)となる絞り弁開度THA1に設定する。また、CPU21は、水温TW,エンジン回転数NE,アクセル開度ACDから、目標となる燃料噴射量MF1,空燃比A/F1,点火時期IGT1を算出する。
次に、ステップs180において、CPU21は、燃料噴射量MF1と空燃比A/F1から計算された空気量から吸気弁7の開時期VOT1,開口期間VT1,リフト量VL1を算出する。運転中の空燃比は空燃比センサ15により検出され、空燃比A/F1と誤差が生じた場合は、開口期間VT1とバルブリフト量VL1を補正する。
次に、ステップs190において、CPU21は、燃料噴射弁11の単位時間当たりの燃料噴射量である燃料噴射率IRTを算出する。
ここで、図4を用いて、リフト量可変機構21を備えた燃料噴射弁11のボール弁リフト量FVLと燃料噴射率IRTの関係について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられるリフト量可変機構を備えた燃料噴射弁のボール弁リフト量FVLと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図4において、横軸はボール弁リフト量FVLを示し、縦軸は燃料噴射率IRTを示している。図4の原点Nは、標準値の状態を示している。標準値とはボール弁の弁体に磁界が発生し弁体が伸びている状態を表し、通常はこの状態で使用する。ボール弁リフト量FVLが標準値から増加するに従って、燃料噴射率IRTも標準値から直線的に増加する。
ステップs190では、ボール弁リフト量LF1の初期値は最小である標準値となっており、燃料噴射率IRTも標準値に設定される。
次に、ステップs200において、CPU21は、燃料噴射率IRTと燃料噴射量MF1から燃料噴射期間T1を算出する。
次に、ステップs210において、CPU21は、噴射時期補正時間T2を算出する。噴射時期補正時間T2は、燃料噴射弁11から燃料が噴射された後、この燃料が燃焼室4に到着するまでの時間である。噴射時期補正時間T2は、噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まり、次式(1)によって算出される。
T2=L/VF …(1)
ここで、燃料噴霧の平均速度VFは、燃料圧力RPから求められ、燃料ポンプPLの性能によって決定される。通常、燃料圧力レギュレータを用いる構成では燃料圧力RPは一定保たれている。燃料噴射弁と吸気弁までの距離Lはエンジンの構成によって決まるため、燃料圧力RPが一定ならば、噴射時期補正時間T2はROM22に予め記憶した値を用いることができる。なお、燃料圧力センサ27によって燃料圧力RPを検出する場合には、燃料圧力RPと噴射時期補正時間T2の関係のマップをROM22に予め記憶しておき、マップを用いて、噴射時期補正時間T2を算出することもできる。
次に、ステップs220において、CPU21は、吸気弁7のバルブの開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上か否かを判定する。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合にはステップs230に進み、以下の場合はステップs240に進む。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以下の場合、バルブの開口期間が燃料噴射期間より短いため、バルブが閉じても燃料が噴射されることになる。したがって、噴射された燃料が吸気管5に付着するため、これを防止するための処理をステップs240以降にて実行する。
開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合には、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
一方、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満の場合、ステップs240において、CPU21は、燃料噴射期間T1と開口期間VT1と同じとなるための燃料噴射率IRTを算出する。
また、ステップs250において、CPU21は、燃料噴射期間がバルブの開口期間VT1と等しくなるように、燃料噴射期間T1を再算出する。
そして、ステップs260において、CPU21は、図4に示した特性を用いて、ステップs240で求められた燃料噴射率IRTから、ボール弁リフト量LFIを求める。
次に、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16,バルブ可変機構26,リフト量可変機構32を制御する。
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の具体的な動作について説明する。なお、以下の説明においては、冷機始動時とし、エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件とする。
図5は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関のクランキング時の動作を示すタイミングチャートである。図6は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。図5,図6の横軸は、時間T(ms)を示している。なお、括弧書きでクランク角を示している。図5及び図6の上側は、燃料噴射弁のリフト量FVL(μm)を示している。図5及び図6の下側は、吸気弁のリフト量VL(mm)を示している。
最初に、図2及び図5を用いて、スタータによるクランキング状態での動作を説明する。
エンジンが始動し、クランキング状態になると、図2のステップs100,s110,s120の処理により、アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力される。なお、燃料圧力RPは一定に保たれているものとするので、ステップs130の処理は行わないものとする。ここで、例えば、アクセル開度ACD=0度、水温TW=20℃、エンジン回転数NE=200r/minが算出されたものとする。この結果はRAM23に保存され、逐次更新される。
エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件としているので、図2のステップs140の判定からステップs170に進み、アクセル開度ACDから燃料噴射量MF1が算出され、また、この燃料噴射量MF1に対して、空燃比A/F1が14.7となるよう吸入空気量が計算される。ここでは、例えば、一気筒500ccのエンジンとし燃料量12mg、空気量176mgとする。絞り弁13には出力回路25から信号が出力され、絞り弁開度THA1が全開になるよう制御される。点火時期IGT1は排気ガスの温度上昇を目的に上死点に設定され、クランク角度が上死点になったときに点火プラグ31に信号を出力するよう制御する。
次に、ステップs180の処理により、目標吸入空気量から予めROM22に記憶されたマップを参照することにより、吸気弁の開時期VOT1,開口期間VT1,最大リフト量VL1を決定する。ここでは、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC、開口期間をクランク角50°、最大リフトを0.8mmとする。すなわち、図5の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフトを0.8mmとする。
なお、吸気時に発生する空気流動が非常に高速な場合、吸気管を飛翔中の燃料噴霧がその流れの影響を受け吸気管に付着することになる。そのため、開時期VOT1はザウター平均粒径50μm以上の燃料噴霧において、燃料噴霧の速度と吸気時に発生する空気の速度差が200m/sec以下になる設定とする。この範囲であれば吸気時の気流の影響を受けにくいものである。
次に、ステップs190,s200の処理により、ボール弁リフト量LF1の初期値は最小である標準値となっており、標準値の燃料噴射率IRTから燃料噴射期間T1が計算される。ここでは、標準値の燃料噴射率IRT=1.2mg/msをすると、ステップs170で求めた燃料量12mgから、燃料噴射期間T1は10msとなる。
次に、ステップs210の処理により、噴霧平均速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lから噴射時期補正時間T2は2.5msとする。これは、燃料噴射弁11から噴射される燃料液滴の平均粒径は60μm、噴霧平均速度VFは40m/secとし、燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lが0.1mとしたためである。回転数200r/minではクランク角3度に相当する。なお、噴射時期補正時間T2は、予めROM22に記憶されている。
次に、ステップs220の判定において、回転数200r/minで吸気弁の開口期間であるクランク角50°は42msになり、開口期間VT1(42ms)が、ステップ200で求めた燃料噴射期間T1(10ms)より長くなっており、燃料噴射率IRTの変更は必要ないと判断され、ステップs210の処理に進む。
ステップs230の処理において、燃料噴射期間T1は10msであり回転数200r/minでクランク角12度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCであるため、燃料噴射時期は、吸気弁閉時期は110°ATDCから燃料噴射期間T1(10ms=12°)と、噴射時期補正時間T2(2.5ms=3°)を引いて、95°ATDCに設定され、クランク角が95°ATDCにおいて、出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。すなわち、図5の上側に示すように、燃料噴射弁11からは、95°ATDCから噴射を開始し、12°の間噴射して、107°ATDCに噴射を終了する。噴射終了時の107°ADTCは、吸気弁が閉弁する110°ATDCよりも、3°早い時期である。また、燃料噴射弁のリフト量FVLは40μmである。
CPU21により上記結果が演算されると同時に吸気行程が始まる。ピストン3が上死点に位置する状態では、吸気弁7,排気弁8はどちらも閉じている状態である。ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少していく。
そして、図5に示すように、60°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を40〜50m/secに保つことができる。
95°ATDCになると燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は2.5ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。
107°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。圧縮行程が終了し、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火されエンジンが完爆し、スタータによらずに回転を始める。
次に、図2及び図6を用いて、完爆直後の持続運転時の動作を説明する。なお、図6の上側において、実線Bが図2のステップs240〜s260の補正が行われた場合の燃料噴射弁のリフト量を示し、破線Aは、補正が行われる前のリフト量を示している。
アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度ACD=0,水温TW=20℃,エンジン回転数NE=1200r/minが算出される。負荷は一定のため燃料量と空気量は上述の例と同じである。吸入空気量は開時期と開口期間によって決まり、エンジン回転数の影響は小さいため、上述の例と同じく、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC,開口期間をクランク角50°,最大リフトを0.5mmとする。すなわち、図6の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフト量を0.8mmとする。
ボール弁リフト量LF1の初期値は標準値になっており、燃料噴射率IRT=1.2mg/ms、燃料噴射期間T1は10msとなる。
次に、ステップs220の判定において、回転数1200r/minで吸気弁の開口期間であるクランク角50°は6.94msになり、開口期間VT1(6.92ms)が、燃料噴射期間T1(10ms)より短くなっており、燃料噴射率IRTの変更が必要となるため、ステップs240の処理に進む。
そして、ステップs240,s250の処理により、CPU21は、燃料噴射期間T1が開口期間VT1と同じになるように燃料噴射率IRTを再設定する。開口期間6.94ms,燃料噴射量12mgなので、目標燃料噴射率IRTは1.73mg/msとなる。
また、ステップs260の処理により、目標燃料噴射率IRTを満足するボール弁リフト量FVLがROM22に記憶されたマップから導き出される。燃料噴射期間T1が6.94msになるようボール弁リフト量FVLがリフト量可変機構32により制御される。
噴霧平均速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lから噴射時期補正時間T2は2.5msとなり、回転数1200r/minではクランク角18度に相当する。燃料噴射期間T1は6.94msであり回転数1200r/minでクランク角50度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCでありCPU21により燃料噴射時期が42°ATDCに設定され、クランク角が42°ATDCにおいて出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。
ステップs230の処理において、燃料噴射期間T1は6.94msであり回転数1200r/minでクランク角50度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCであるため、燃料噴射時期は、吸気弁閉時期は110°ATDCから燃料噴射期間T1(6.94ms=50°)と、噴射時期補正時間T2(2.5ms=18°)を引いて、42°ATDCに設定され、クランク角が42°ATDCにおいて、出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。すなわち、図6の上側に示すように、燃料噴射弁11からは、42°ATDCから噴射を開始し、50°の間噴射して、92°ATDCに噴射を終了する。噴射終了時の92°ADTCは、吸気弁が閉弁する110°ATDCよりも、18°早い時期である。また、燃料噴射弁のリフト量FVLは58μmである。
吸気行程が始まり、ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少していく。そして、図6の下側に示すように、60°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を200m/secに保つことができる。
42°ATDCになると、図6の上側に示すように、燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は2.5ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。
92°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。そのため、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火後に安定して燃焼する。
以上説明したように、本実施形態によれば、燃料噴射期間T1を吸気弁の開期間VT1以下とすることにより、シリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気を形成して燃焼させることにより、排出される未燃燃料を低減することができる。
次に、図7〜図11を用いて、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成及び動作について説明する。
最初に、図7を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成について説明する。なお、本実施形態では、気筒毎に燃料噴射弁を設けたマルチポイントインジェクション(MPI)を用いている。
図7は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態において、図1に示した構成と異なる点は、次の点である。すなわち、燃料ポンプとしては、高圧ポンプ(PH)33を用いている。また、燃料配管28に、配管内の流量を調節することにより燃料圧力を変更することが可能な燃料圧力可変機構(VFP)34が備えられている。燃料噴射弁はリフト量の可変機構が無い従来用いられている燃料噴射弁35が備えられている。
次に、図8〜図11を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。なお、図2と同一ステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップs100〜s180の処理内容は、図2と同一である。
ステップs190Aにおいて、CPU21は、燃料噴射率IRTを算出する。ここで、本実施形態においては、図9に示す燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの特性図から燃料噴射率IRTを求めるようにしている。
ここで、図9を用いて、燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの関係について説明する。
図9は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図9において、横軸は燃料圧力RPを示し、縦軸は燃料噴射率IRTを示している。図9の原点Nは、標準値の状態を示している。標準値とは最低燃料圧力時を示している。燃料圧力RPが標準値から増加するに従って、燃料噴射率IRTも標準値から増加する。
ステップs190Aでは、燃料圧力RPの初期値は最小である標準値となっており、燃料噴射率IRTも標準値に設定される。
次に、ステップs200において、CPU21は、燃料噴射率IRTと燃料噴射量MF1から燃料噴射期間T1を算出する。
次に、ステップs205において、CPU21は、噴霧平均速度VFを求める。噴霧平均速度VFは燃料圧力RPによって変化するため、噴霧平均速度VFは図10に示す燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの特性図から求められる。
ここで、図10を用いて、燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの関係について説明する。
図10は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの関係の説明図である。
図10において、横軸は噴霧平均速度VFを示し、縦軸は燃料噴射率IRTを示している。図10の原点Nは、標準値の状態を示している。標準値とは最低燃料圧力時を示している。燃料圧力RPが標準値から増加するに従って、噴霧平均速度VFも標準値から増加する。
次に、ステップs210Aにおいて、CPU21は、噴射時期補正時間T2を算出する。噴射時期補正時間T2は、噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まり、次式(1)によって算出される。
T2=L/VF …(1)
噴射時期補正時間T2は噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まるが、噴霧速度VFは燃圧RPにより変化するためROM22には記憶せず、吸気弁までの距離LをROM22に記憶する。運転時には燃料圧力センサ27の結果から噴霧平均速度VFを算出し、CPU21は式(1)により噴射時期補正時間T2を算出する。
ステップs220の判定により、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満と判定されると、ステップs240において、CPU21は、燃料噴射期間T1が開口期間VT1と同じとなるための燃料噴射率IRTを算出する。そして、ステップs270において、CPU21は、算出された燃料噴射率IRTになるよう図9より目標燃料圧力RPを再度求める。
次に、ステップs275において、CPU21は、再度、噴霧平均速度VFを求める。また、ステップs280において、CPU21は、再度、噴射時期補正時間T2を算出する。
そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16,バルブ可変機構26,燃料圧力可変機構34を制御する。
次に、図11を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の具体的な動作について説明する。なお、以下の説明においては、冷機始動時とし、エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件とする。
図11は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。図11の横軸は、時間T(ms)を示している。なお、括弧書きでクランク角を示している。図11の上側は、燃料噴射弁のリフト量FVL(μm)を示している。図11の下側は、吸気弁のリフト量VL(mm)を示している。
最初に、スタータによるクランキング状態での動作を説明する。なお、このときの動作は、図5に示したものと同様になる。
エンジンが始動し、クランキング状態になると、アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度ACD=0,水温TW=20℃,エンジン回転数NE=200r/minが算出される。
次に、CPU21は、アクセル開度ACDから燃料噴射量MF1と、空燃比A/F1が14.7となるよう吸入空気量を計算する。ここで燃料量12mg,空気量176mgとする。絞り弁13には出力回路25から信号が出力され、絞り弁開度THA1が全開になるよう制御される。点火時期IGT1は排気ガスの温度上昇を目的に上死点に設定され、クランク角度が上死点になったときに点火プラグ31に信号を出力するよう制御する。
燃料圧力RPの標準値は最小流量が確保できる数値とし、初期値はこの標準値となっており、燃料圧力RPから燃料噴射率IRTが算出される。そして、算出された燃料噴射率IRTから燃料噴射期間T1がCPU21により計算される。ここでは初期値として燃料圧力RP=300kPa,燃料噴射率IRT=1.2mg/msを用い、燃料噴射期間T1は10msとなる。
次に、図8及び図11を用いて、完爆直後の持続運転時の動作を説明する。なお、図11の上側において、実線Bが図8のステップs240〜s280の補正が行われた場合の燃料噴射弁のリフト量を示し、破線Aは、補正が行われる前のリフト量を示している。
アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度ACD=0,水温TW=20℃,エンジン回転数NE=1200r/minが算出される。ここで、負荷は一定のため燃料量と空気量はクランキング時と同じとし、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC,開口期間をクランク角50°,最大リフトを0.8mmとする。すなわち、図11の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフト量を0.8mmとする。
ボール弁リフト量LF1は40μmとしており、燃料噴射率IRT=1.2mg/ms,燃料噴射期間T1は10msとなるが、回転数1200r/minでは開口期間であるクランク角50°は6.94msになり、ステップs220の判定により、1200r/minでは開口期間VT1が燃料噴射期間T1より短いと判断される。
そこで、ステップs240において、CPU21は、燃料噴射期間T1が開口期間VT1と同じになるように燃料噴射率IRTを再設定する。開口期間6.94ms,燃料噴射量12mgなので、目標燃料噴射率IRTは1.73mg/msとなる。
次に、ステップs270において、CPU21は、ROM22に記憶されたマップから燃料圧力RPを参照して、目標燃料噴射率IRTとなる燃料圧力RPを求める。燃料圧力RPは、例えば、620kPaとなる。
次に、ステップs275において、CPU21は、ROM22に記憶されたマップから噴霧平均速度VFを参照する。燃料圧力RPが620kPaの場合、噴霧平均速度VFは58m/secとする。
そして、ステップs280において、燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lから噴射時期補正時間T2は1.7msとなり、回転数1200r/minではクランク角12度に相当する。燃料噴射期間T1は6.94msであり回転数1200r/minでクランク角50度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCでありCPU21により燃料噴射時期が48°ATDCに設定され、クランク角が48°ATDCにおいて出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。
すなわち、図11の上側に示すように、燃料噴射弁11からは、48°ATDCから噴射を開始し、50°の間噴射して、98°ATDCに噴射を終了する。噴射終了時の98°ADTCは、吸気弁が閉弁する110°ATDCよりも、12°早い時期である。燃料噴射弁のリフト量FVLは40μmで変わらないが、燃料圧力RPを増加することにより、所定の燃料噴射量を得ることができる。
吸気行程が始まり、ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少する。そして、図11の下側に示すように、60°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を200〜250m/secに保つことができる。
一方、図11の上側に示すように、48°ATDCになると燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は1.7ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。
そして、98°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。そのため、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火後に安定して燃焼する。
以上説明したように、本実施形態によれば、燃料噴射期間T1を吸気弁の開期間VT1以下とすることにより、シリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気を形成して燃焼させることにより、排出される未燃燃料を低減することができる。
次に、図12〜図14を用いて、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成及び動作について説明する。
最初に、図12を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成について説明する。なお、本実施形態では、気筒毎に燃料噴射弁を設けたマルチポイントインジェクション(MPI)を用いている。
図12は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態において、図1に示した構成と異なる点は、次の点である。すなわち、燃料噴射弁35は、リフト量の可変機構の無い従来用いられている噴射弁である。それ以外は、図1と同じ構成である。
次に、図13を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。なお、図2と同一ステップ番号は、同一処理内容を示している。
本実施形態では、図1,図7に示した例とは異なり、燃料噴射率IRTを変更する手段を有していない。そこで、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満の場合、絞り弁13の開度THA1を絞って吸気管5内に負圧を発生させ、単位時間当たりの吸入空気量を減少させることにより、開口期間VT1が燃料噴射期間T1と等しくなるよう絞り弁13の開度THA1を制御する。
ステップs100〜s170,s180,s230の処理内容は、図2と同一である。
本実施形態では、ステップs140の判定により、アクセル開度ACDが低負荷であるとCPU21が判定すると、ステップs170において、CPU21は、絞り弁13の開度が最大(全開)となる絞り弁開度THA1に設定する。また、CPU21は、水温TW,エンジン回転数NE,アクセル開度ACDから、目標となる燃料噴射量MF1,空燃比A/F1,点火時期IGT1を算出する。
次に、ステップs175において、CPU21は、燃料噴射弁11の単位時間当たりの燃料噴射量である燃料噴射率IRTを算出する。燃料噴射弁11は、リフト量を可変できる機構を備えていないため、燃料噴射率IRTは、予め設定されている値である。また、CPU21は、燃料噴射率IRTと燃料噴射量MF1から燃料噴射期間T1を算出する。さらに、CPU21は、噴射時期補正時間T2を算出する。噴射時期補正時間T2は、噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まり、上述の式(1)によって算出される。
次に、ステップs180において、CPU21は、燃料噴射量MF1と空燃比A/F1から計算された空気量から吸気弁7の開時期VOT1,開口期間VT1,リフト量VL1を算出する。運転中の空燃比は空燃比センサ15により検出され、空燃比A/F1と誤差が生じた場合は、開口期間VT1とバルブリフト量VL1を補正する。
次に、ステップs220において、CPU21は、吸気弁7のバルブの開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上か否かを判定する。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合にはステップs230に進み、以下の場合はステップs240に進む。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以下の場合、バルブの開口期間が燃料噴射期間より短いため、バルブが閉じても燃料が噴射されることになる。したがって、噴射された燃料が吸気管5に付着するため、これを防止するための処理をステップs240以降にて実行する。
開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合には、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
一方、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満の場合、ステップs290において、CPU21は、燃料噴射期間T1と開口期間VT1と同じとなるための吸気バルブの開口期間VT1を再算出する。また、バルブリフト量VL1を算出する。
また、ステップs295において、CPU21は、吸気バルブの開口期間VT1が長くなった分、絞り弁の開度を小さくして、吸入される空気量が同じとなるように、絞り弁開度THA1を再算出する。
次に、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16,バルブ可変機構26を制御する。
次に、図13および図14を用いて、具体的な動作について説明する。ここでは、図1の実施形態と同様に冷機始動時とし、エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件とする。
図14は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。横軸は、時間T(ms)を示している。なお、括弧書きでクランク角を示している。図14の上側は、燃料噴射弁のリフト量FVL(μm)を示している。図14の下側は、吸気弁のリフト量VL(mm)を示している。なお、図14市側において、実線Bが図2のステップs290〜s295の補正が行われた場合の吸気弁の開口期間を示し、破線Aは、補正が行われる前の開口期間を示している。
スタータによるクランキング状態での動作は、図1に示した実施形態と同様である。次に、完爆直後の持続運転時の動作を説明する。
ステップs100〜s120の処理により、アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度,水温TW,エンジン回転数NEが算出される。なお、燃料圧力RPは一定に保たれているものとするので、ステップs130の処理は行わないものとする。ここで、例えば、アクセル開度ACD=0度、水温TW=20℃、エンジン回転数NE=1200r/minが算出されたものとする。この結果はRAM23に保存され、逐次更新される。
ステップs175の処理が実行されるが、燃料噴射量はクランキング時と同じであり、燃料噴射率IRT=1.2mg/msであり、図14の上側にしめすように、燃料噴射期間T1=10msとなる。
ステップs180の処理により、吸入空気量は開時期と開口期間によって決まり、エンジン回転数の影響は小さいため、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC,開口期間をクランク角50°,最大リフト量を1mmとする。すなわち、図14の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフト量を0.8mmとする。
次に、ステップs220の判定において、回転数1200r/minで吸気弁の開口期間であるクランク角50°は6.94msになり、開口期間VT1(6.92ms)が、燃料噴射期間T1(10ms)より短くなっており、吸気弁の開口期間VT1の変更が必要となるため、ステップs290の処理に進む。
そして、ステップs290の処理により、CPU21は、開時期は一定で、開口期間VT1が燃料噴射期間T1と同じになるように開口期間VT1,バルブリフト量VL1を制御し、同時に、ステップs295の処理により、絞り弁開度THA1を閉じて吸気管5内に負圧を生じさせて吸入空気量MF1が目標値になるよう絞り弁開度THA1を制御する。ここで、開口期間VT1はクランク角72°、リフト量VL1は1mmになり、CPU21は、図14の下側に実線Aで示すように、吸気弁の開時期VOT1=38°ATDC、開口期間VT1=72°となるように制御する。また、絞り弁開度THA1は40°閉じた状態となる。開口期間VT1と絞り弁開度THA1の関係はROM22にマップとして記憶しておくか、空燃比センサ15によるフィードバック制御を用いる。
また、CPU21は、図14の上側に示すように、燃燃料噴射時期を20°ATDCに設定し、クランク角が20°ATDCにおいて出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。
吸気行程が始まり、ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少していく。そして、図14の下側に示すように、38°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を180〜200m/secに保つことができる。
一方、図14の上側に示すように、20°ATDCになると燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は2.5ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。92°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。そのため、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火後に安定して燃焼する。
以上説明したように、本実施形態によれば、吸気弁の開期間VT1を燃料噴射期間T1以下とすることにより、シリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気を形成して燃焼させることにより、排出される未燃燃料を低減することができる。
なお、上述の各実施形態において、電磁弁としては機械式でなく、電磁式の可変動弁を用いても同様の効果を得ることができる。
最初に、図1を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成について説明する。なお、本実施形態では、気筒毎に燃料噴射弁を設けたマルチポイントインジェクション(MPI)を用いている。
図1は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。
燃焼室4は、シリンダヘッド1と、シリンダブロック2と、シリンダブロック2に挿入されたピストン3とにより形成される。燃焼室4の中心上部には、点火プラグ31が設けられている。ピストン3は、コンロッド17を介してクランク軸18と連結されている。クランク軸18には、クランク角度とエンジン回転数を検出可能なクランク角センサ19が設置されている。
シリンダブロック2には、冷却水の温度を検出する水温センサ12が設置されている。燃焼室4には、吸気管5と排気管6がそれぞれ開口している。吸気管5及び排気管6の開口部を、それぞれ開閉する吸気弁7と排気弁8が設けられている。
アクセルペダル9には、運転者の踏み込み量を検出するアクセル開度センサ(SACC)10を備えている。吸気管5には、吸気弁7に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁11と、燃焼室4へ吸入する空気量を調節可能な絞り弁13が設けられている。排気管6には、三元触媒14を備えており、その上流側には空燃比センサ15を、下流にはO2センサ16が設けられている。吸気弁7には、バルブの開時期,開口期間,リフト量を変更可能なバルブ可変機構(VV)26を備えている。燃料噴射弁11には、燃料配管28によって燃料タンク29内に設置された低圧ポンプ(PL)30が接続されている。燃料配管28の途中には、燃料圧力を検出可能な燃料圧力センサ(SFU)27が設置されている。
電子制御装置(ECU)20は、設定されたプログラムに従って演算処理を実行する中央処理装置(CPU)21と、制御プログラムや演算に必要なデータを記憶しているリードオンリーメモリ(ROM)22と、演算結果を一時的に格納するためのランダムアクセスメモリ(RAM)23と、各センサからの信号を受信する入力回路(IN)24と、演算結果から各装置に信号を送信する出力回路(OUT)25で構成されている。
燃料噴射弁11の内部には、上下することによって燃料噴射量を制御する弁体が設けられている。弁体のリフト量と開口期間を変えることによって、燃料噴射量が制御される。弁体は磁歪材料で作られており、磁界を発生させることにより弁体の長さを変える事ができる。燃料噴射弁11には磁界の強弱を制御するリフト量可変機構(VL)32が設けられおり、これにより開口期間一定で燃料噴射量を変えることが可能である。バルブ可変機構26は、機械的に吸気弁のカム軸を動かし、バルブの開時期,開口期間,リフト量を制御する機構となっている。
次に、図2〜図6を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。
イグニッションスイッチがオンになりエンジンが始動すると、ステップs100において、ECU20は、アクセル開度センサ10の信号を入力回路24を取り込み、CPU21はアクセル開度ACDを算出する。
次に、ステップs110において、ECU20は、水温センサ12の信号を入力回路24を取り込み、CPU21は水温TWを算出する。
次に、ステップs120において、ECU20は、クランク角センサ19の信号を入力回路24を取り込み、CPU21はエンジン回転数NEを算出する。
次に、ステップs130において、ECU20は、燃料圧力センサ27の信号を入力回路24を取り込み、CPU21は燃料圧力RPを算出する。
次に、ステップs140において、ECU20のCPU21は、アクセル開度ACDを用いて、低負荷か否かを判定する。中高負荷と判定されるとステップs150に進み、低負荷と判定されるとステップs170に進む。
中高負荷であるとCPU21が判定すると、ステップs150において、CPU21は、吸気弁7の開時期VOT2,リフト量VL2,開口期間VT2を決定し、バルブ可変機構26を制御する。中高負荷であるので、吸気弁7の開時期VOT2,リフト量VL2,開口期間VT2は、それぞれ予め設定されている最大値となるように、設定される。
ここで、図3を用いて、バルブの開閉時期,リフト量について説明する。
図3は、バルブの開閉時期,リフト量の説明図である。図3において、横軸はクランク角θ(deg)を示し、縦軸はバルブのリフト量を示している。クランク角θが0〜90度が膨張行程EXPであり、90〜180が掃気工程EXHであり、180〜270度が吸気行程INTであり、270〜360度が圧縮行程COMである。図中、実線INが吸気弁のリフト量を示し、点線EXが排気弁のリフト量を示している。中高負荷の時は、例えば、吸気弁の開時期VOT2は360度とし、リフト量VL2は図示する量とし、開口期間VT2は210度となる。
次に、ステップs160において、CPU21は、アクセル開度ACDと水温TWとエンジン回転数NEから、目標となる燃料噴射量MF2,空燃比A/F2,絞り弁開度THA2,燃料噴射時期FIT2,点火時期IGT2を算出する。そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16を制御する。
ここで、燃料噴射時期FIT2は、従来のMPIエンジンに用いられるような排気行程中に燃料噴射が終了する時期に設定される。点火時期IGT2は、水温TWが80℃未満の場合は排気温度の上昇を目的に上死点付近に、また水温TWが80℃以上の場合は上死点前20°付近に決定される。空燃比A/F2は、ガソリンの理論混合比である14.7になるように決定される。運転中の空燃比は空燃比センサ15により検出され、目標空燃比A/F2と誤差が生じた場合は絞り弁開度THA2を補正する。
なお、上述の例では、排気弁のリフト量と作動角は一定としているが、排気弁にもバルブ可変機構を取り付けてもよいものである。
一方、ステップs140の判定により、アクセル開度ACDが低負荷であるとCPU21が判定すると、ステップs170において、CPU21は、絞り弁13の開度が最大(全開)となる絞り弁開度THA1に設定する。また、CPU21は、水温TW,エンジン回転数NE,アクセル開度ACDから、目標となる燃料噴射量MF1,空燃比A/F1,点火時期IGT1を算出する。
次に、ステップs180において、CPU21は、燃料噴射量MF1と空燃比A/F1から計算された空気量から吸気弁7の開時期VOT1,開口期間VT1,リフト量VL1を算出する。運転中の空燃比は空燃比センサ15により検出され、空燃比A/F1と誤差が生じた場合は、開口期間VT1とバルブリフト量VL1を補正する。
次に、ステップs190において、CPU21は、燃料噴射弁11の単位時間当たりの燃料噴射量である燃料噴射率IRTを算出する。
ここで、図4を用いて、リフト量可変機構21を備えた燃料噴射弁11のボール弁リフト量FVLと燃料噴射率IRTの関係について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられるリフト量可変機構を備えた燃料噴射弁のボール弁リフト量FVLと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図4において、横軸はボール弁リフト量FVLを示し、縦軸は燃料噴射率IRTを示している。図4の原点Nは、標準値の状態を示している。標準値とはボール弁の弁体に磁界が発生し弁体が伸びている状態を表し、通常はこの状態で使用する。ボール弁リフト量FVLが標準値から増加するに従って、燃料噴射率IRTも標準値から直線的に増加する。
ステップs190では、ボール弁リフト量LF1の初期値は最小である標準値となっており、燃料噴射率IRTも標準値に設定される。
次に、ステップs200において、CPU21は、燃料噴射率IRTと燃料噴射量MF1から燃料噴射期間T1を算出する。
次に、ステップs210において、CPU21は、噴射時期補正時間T2を算出する。噴射時期補正時間T2は、燃料噴射弁11から燃料が噴射された後、この燃料が燃焼室4に到着するまでの時間である。噴射時期補正時間T2は、噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まり、次式(1)によって算出される。
T2=L/VF …(1)
ここで、燃料噴霧の平均速度VFは、燃料圧力RPから求められ、燃料ポンプPLの性能によって決定される。通常、燃料圧力レギュレータを用いる構成では燃料圧力RPは一定保たれている。燃料噴射弁と吸気弁までの距離Lはエンジンの構成によって決まるため、燃料圧力RPが一定ならば、噴射時期補正時間T2はROM22に予め記憶した値を用いることができる。なお、燃料圧力センサ27によって燃料圧力RPを検出する場合には、燃料圧力RPと噴射時期補正時間T2の関係のマップをROM22に予め記憶しておき、マップを用いて、噴射時期補正時間T2を算出することもできる。
次に、ステップs220において、CPU21は、吸気弁7のバルブの開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上か否かを判定する。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合にはステップs230に進み、以下の場合はステップs240に進む。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以下の場合、バルブの開口期間が燃料噴射期間より短いため、バルブが閉じても燃料が噴射されることになる。したがって、噴射された燃料が吸気管5に付着するため、これを防止するための処理をステップs240以降にて実行する。
開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合には、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
一方、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満の場合、ステップs240において、CPU21は、燃料噴射期間T1と開口期間VT1と同じとなるための燃料噴射率IRTを算出する。
また、ステップs250において、CPU21は、燃料噴射期間がバルブの開口期間VT1と等しくなるように、燃料噴射期間T1を再算出する。
そして、ステップs260において、CPU21は、図4に示した特性を用いて、ステップs240で求められた燃料噴射率IRTから、ボール弁リフト量LFIを求める。
次に、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16,バルブ可変機構26,リフト量可変機構32を制御する。
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の具体的な動作について説明する。なお、以下の説明においては、冷機始動時とし、エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件とする。
図5は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関のクランキング時の動作を示すタイミングチャートである。図6は、本発明の第1の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。図5,図6の横軸は、時間T(ms)を示している。なお、括弧書きでクランク角を示している。図5及び図6の上側は、燃料噴射弁のリフト量FVL(μm)を示している。図5及び図6の下側は、吸気弁のリフト量VL(mm)を示している。
最初に、図2及び図5を用いて、スタータによるクランキング状態での動作を説明する。
エンジンが始動し、クランキング状態になると、図2のステップs100,s110,s120の処理により、アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力される。なお、燃料圧力RPは一定に保たれているものとするので、ステップs130の処理は行わないものとする。ここで、例えば、アクセル開度ACD=0度、水温TW=20℃、エンジン回転数NE=200r/minが算出されたものとする。この結果はRAM23に保存され、逐次更新される。
エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件としているので、図2のステップs140の判定からステップs170に進み、アクセル開度ACDから燃料噴射量MF1が算出され、また、この燃料噴射量MF1に対して、空燃比A/F1が14.7となるよう吸入空気量が計算される。ここでは、例えば、一気筒500ccのエンジンとし燃料量12mg、空気量176mgとする。絞り弁13には出力回路25から信号が出力され、絞り弁開度THA1が全開になるよう制御される。点火時期IGT1は排気ガスの温度上昇を目的に上死点に設定され、クランク角度が上死点になったときに点火プラグ31に信号を出力するよう制御する。
次に、ステップs180の処理により、目標吸入空気量から予めROM22に記憶されたマップを参照することにより、吸気弁の開時期VOT1,開口期間VT1,最大リフト量VL1を決定する。ここでは、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC、開口期間をクランク角50°、最大リフトを0.8mmとする。すなわち、図5の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフトを0.8mmとする。
なお、吸気時に発生する空気流動が非常に高速な場合、吸気管を飛翔中の燃料噴霧がその流れの影響を受け吸気管に付着することになる。そのため、開時期VOT1はザウター平均粒径50μm以上の燃料噴霧において、燃料噴霧の速度と吸気時に発生する空気の速度差が200m/sec以下になる設定とする。この範囲であれば吸気時の気流の影響を受けにくいものである。
次に、ステップs190,s200の処理により、ボール弁リフト量LF1の初期値は最小である標準値となっており、標準値の燃料噴射率IRTから燃料噴射期間T1が計算される。ここでは、標準値の燃料噴射率IRT=1.2mg/msをすると、ステップs170で求めた燃料量12mgから、燃料噴射期間T1は10msとなる。
次に、ステップs210の処理により、噴霧平均速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lから噴射時期補正時間T2は2.5msとする。これは、燃料噴射弁11から噴射される燃料液滴の平均粒径は60μm、噴霧平均速度VFは40m/secとし、燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lが0.1mとしたためである。回転数200r/minではクランク角3度に相当する。なお、噴射時期補正時間T2は、予めROM22に記憶されている。
次に、ステップs220の判定において、回転数200r/minで吸気弁の開口期間であるクランク角50°は42msになり、開口期間VT1(42ms)が、ステップ200で求めた燃料噴射期間T1(10ms)より長くなっており、燃料噴射率IRTの変更は必要ないと判断され、ステップs210の処理に進む。
ステップs230の処理において、燃料噴射期間T1は10msであり回転数200r/minでクランク角12度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCであるため、燃料噴射時期は、吸気弁閉時期は110°ATDCから燃料噴射期間T1(10ms=12°)と、噴射時期補正時間T2(2.5ms=3°)を引いて、95°ATDCに設定され、クランク角が95°ATDCにおいて、出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。すなわち、図5の上側に示すように、燃料噴射弁11からは、95°ATDCから噴射を開始し、12°の間噴射して、107°ATDCに噴射を終了する。噴射終了時の107°ADTCは、吸気弁が閉弁する110°ATDCよりも、3°早い時期である。また、燃料噴射弁のリフト量FVLは40μmである。
CPU21により上記結果が演算されると同時に吸気行程が始まる。ピストン3が上死点に位置する状態では、吸気弁7,排気弁8はどちらも閉じている状態である。ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少していく。
そして、図5に示すように、60°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を40〜50m/secに保つことができる。
95°ATDCになると燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は2.5ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。
107°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。圧縮行程が終了し、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火されエンジンが完爆し、スタータによらずに回転を始める。
次に、図2及び図6を用いて、完爆直後の持続運転時の動作を説明する。なお、図6の上側において、実線Bが図2のステップs240〜s260の補正が行われた場合の燃料噴射弁のリフト量を示し、破線Aは、補正が行われる前のリフト量を示している。
アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度ACD=0,水温TW=20℃,エンジン回転数NE=1200r/minが算出される。負荷は一定のため燃料量と空気量は上述の例と同じである。吸入空気量は開時期と開口期間によって決まり、エンジン回転数の影響は小さいため、上述の例と同じく、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC,開口期間をクランク角50°,最大リフトを0.5mmとする。すなわち、図6の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフト量を0.8mmとする。
ボール弁リフト量LF1の初期値は標準値になっており、燃料噴射率IRT=1.2mg/ms、燃料噴射期間T1は10msとなる。
次に、ステップs220の判定において、回転数1200r/minで吸気弁の開口期間であるクランク角50°は6.94msになり、開口期間VT1(6.92ms)が、燃料噴射期間T1(10ms)より短くなっており、燃料噴射率IRTの変更が必要となるため、ステップs240の処理に進む。
そして、ステップs240,s250の処理により、CPU21は、燃料噴射期間T1が開口期間VT1と同じになるように燃料噴射率IRTを再設定する。開口期間6.94ms,燃料噴射量12mgなので、目標燃料噴射率IRTは1.73mg/msとなる。
また、ステップs260の処理により、目標燃料噴射率IRTを満足するボール弁リフト量FVLがROM22に記憶されたマップから導き出される。燃料噴射期間T1が6.94msになるようボール弁リフト量FVLがリフト量可変機構32により制御される。
噴霧平均速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lから噴射時期補正時間T2は2.5msとなり、回転数1200r/minではクランク角18度に相当する。燃料噴射期間T1は6.94msであり回転数1200r/minでクランク角50度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCでありCPU21により燃料噴射時期が42°ATDCに設定され、クランク角が42°ATDCにおいて出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。
ステップs230の処理において、燃料噴射期間T1は6.94msであり回転数1200r/minでクランク角50度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCであるため、燃料噴射時期は、吸気弁閉時期は110°ATDCから燃料噴射期間T1(6.94ms=50°)と、噴射時期補正時間T2(2.5ms=18°)を引いて、42°ATDCに設定され、クランク角が42°ATDCにおいて、出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。すなわち、図6の上側に示すように、燃料噴射弁11からは、42°ATDCから噴射を開始し、50°の間噴射して、92°ATDCに噴射を終了する。噴射終了時の92°ADTCは、吸気弁が閉弁する110°ATDCよりも、18°早い時期である。また、燃料噴射弁のリフト量FVLは58μmである。
吸気行程が始まり、ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少していく。そして、図6の下側に示すように、60°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を200m/secに保つことができる。
42°ATDCになると、図6の上側に示すように、燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は2.5ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。
92°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。そのため、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火後に安定して燃焼する。
以上説明したように、本実施形態によれば、燃料噴射期間T1を吸気弁の開期間VT1以下とすることにより、シリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気を形成して燃焼させることにより、排出される未燃燃料を低減することができる。
次に、図7〜図11を用いて、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成及び動作について説明する。
最初に、図7を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成について説明する。なお、本実施形態では、気筒毎に燃料噴射弁を設けたマルチポイントインジェクション(MPI)を用いている。
図7は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態において、図1に示した構成と異なる点は、次の点である。すなわち、燃料ポンプとしては、高圧ポンプ(PH)33を用いている。また、燃料配管28に、配管内の流量を調節することにより燃料圧力を変更することが可能な燃料圧力可変機構(VFP)34が備えられている。燃料噴射弁はリフト量の可変機構が無い従来用いられている燃料噴射弁35が備えられている。
次に、図8〜図11を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。なお、図2と同一ステップ番号は、同一処理内容を示している。
ステップs100〜s180の処理内容は、図2と同一である。
ステップs190Aにおいて、CPU21は、燃料噴射率IRTを算出する。ここで、本実施形態においては、図9に示す燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの特性図から燃料噴射率IRTを求めるようにしている。
ここで、図9を用いて、燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの関係について説明する。
図9は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと燃料噴射率IRTの関係の説明図である。
図9において、横軸は燃料圧力RPを示し、縦軸は燃料噴射率IRTを示している。図9の原点Nは、標準値の状態を示している。標準値とは最低燃料圧力時を示している。燃料圧力RPが標準値から増加するに従って、燃料噴射率IRTも標準値から増加する。
ステップs190Aでは、燃料圧力RPの初期値は最小である標準値となっており、燃料噴射率IRTも標準値に設定される。
次に、ステップs200において、CPU21は、燃料噴射率IRTと燃料噴射量MF1から燃料噴射期間T1を算出する。
次に、ステップs205において、CPU21は、噴霧平均速度VFを求める。噴霧平均速度VFは燃料圧力RPによって変化するため、噴霧平均速度VFは図10に示す燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの特性図から求められる。
ここで、図10を用いて、燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの関係について説明する。
図10は、本発明の一実施形態による内燃機関に用いられる燃料噴射弁の燃料圧力RPと噴霧平均速度VFの関係の説明図である。
図10において、横軸は噴霧平均速度VFを示し、縦軸は燃料噴射率IRTを示している。図10の原点Nは、標準値の状態を示している。標準値とは最低燃料圧力時を示している。燃料圧力RPが標準値から増加するに従って、噴霧平均速度VFも標準値から増加する。
次に、ステップs210Aにおいて、CPU21は、噴射時期補正時間T2を算出する。噴射時期補正時間T2は、噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まり、次式(1)によって算出される。
T2=L/VF …(1)
噴射時期補正時間T2は噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まるが、噴霧速度VFは燃圧RPにより変化するためROM22には記憶せず、吸気弁までの距離LをROM22に記憶する。運転時には燃料圧力センサ27の結果から噴霧平均速度VFを算出し、CPU21は式(1)により噴射時期補正時間T2を算出する。
ステップs220の判定により、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満と判定されると、ステップs240において、CPU21は、燃料噴射期間T1が開口期間VT1と同じとなるための燃料噴射率IRTを算出する。そして、ステップs270において、CPU21は、算出された燃料噴射率IRTになるよう図9より目標燃料圧力RPを再度求める。
次に、ステップs275において、CPU21は、再度、噴霧平均速度VFを求める。また、ステップs280において、CPU21は、再度、噴射時期補正時間T2を算出する。
そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16,バルブ可変機構26,燃料圧力可変機構34を制御する。
次に、図11を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の具体的な動作について説明する。なお、以下の説明においては、冷機始動時とし、エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件とする。
図11は、本発明の第2の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。図11の横軸は、時間T(ms)を示している。なお、括弧書きでクランク角を示している。図11の上側は、燃料噴射弁のリフト量FVL(μm)を示している。図11の下側は、吸気弁のリフト量VL(mm)を示している。
最初に、スタータによるクランキング状態での動作を説明する。なお、このときの動作は、図5に示したものと同様になる。
エンジンが始動し、クランキング状態になると、アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度ACD=0,水温TW=20℃,エンジン回転数NE=200r/minが算出される。
次に、CPU21は、アクセル開度ACDから燃料噴射量MF1と、空燃比A/F1が14.7となるよう吸入空気量を計算する。ここで燃料量12mg,空気量176mgとする。絞り弁13には出力回路25から信号が出力され、絞り弁開度THA1が全開になるよう制御される。点火時期IGT1は排気ガスの温度上昇を目的に上死点に設定され、クランク角度が上死点になったときに点火プラグ31に信号を出力するよう制御する。
燃料圧力RPの標準値は最小流量が確保できる数値とし、初期値はこの標準値となっており、燃料圧力RPから燃料噴射率IRTが算出される。そして、算出された燃料噴射率IRTから燃料噴射期間T1がCPU21により計算される。ここでは初期値として燃料圧力RP=300kPa,燃料噴射率IRT=1.2mg/msを用い、燃料噴射期間T1は10msとなる。
次に、図8及び図11を用いて、完爆直後の持続運転時の動作を説明する。なお、図11の上側において、実線Bが図8のステップs240〜s280の補正が行われた場合の燃料噴射弁のリフト量を示し、破線Aは、補正が行われる前のリフト量を示している。
アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度ACD=0,水温TW=20℃,エンジン回転数NE=1200r/minが算出される。ここで、負荷は一定のため燃料量と空気量はクランキング時と同じとし、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC,開口期間をクランク角50°,最大リフトを0.8mmとする。すなわち、図11の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフト量を0.8mmとする。
ボール弁リフト量LF1は40μmとしており、燃料噴射率IRT=1.2mg/ms,燃料噴射期間T1は10msとなるが、回転数1200r/minでは開口期間であるクランク角50°は6.94msになり、ステップs220の判定により、1200r/minでは開口期間VT1が燃料噴射期間T1より短いと判断される。
そこで、ステップs240において、CPU21は、燃料噴射期間T1が開口期間VT1と同じになるように燃料噴射率IRTを再設定する。開口期間6.94ms,燃料噴射量12mgなので、目標燃料噴射率IRTは1.73mg/msとなる。
次に、ステップs270において、CPU21は、ROM22に記憶されたマップから燃料圧力RPを参照して、目標燃料噴射率IRTとなる燃料圧力RPを求める。燃料圧力RPは、例えば、620kPaとなる。
次に、ステップs275において、CPU21は、ROM22に記憶されたマップから噴霧平均速度VFを参照する。燃料圧力RPが620kPaの場合、噴霧平均速度VFは58m/secとする。
そして、ステップs280において、燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lから噴射時期補正時間T2は1.7msとなり、回転数1200r/minではクランク角12度に相当する。燃料噴射期間T1は6.94msであり回転数1200r/minでクランク角50度に相当する。吸気弁閉時期は110°ATDCでありCPU21により燃料噴射時期が48°ATDCに設定され、クランク角が48°ATDCにおいて出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。
すなわち、図11の上側に示すように、燃料噴射弁11からは、48°ATDCから噴射を開始し、50°の間噴射して、98°ATDCに噴射を終了する。噴射終了時の98°ADTCは、吸気弁が閉弁する110°ATDCよりも、12°早い時期である。燃料噴射弁のリフト量FVLは40μmで変わらないが、燃料圧力RPを増加することにより、所定の燃料噴射量を得ることができる。
吸気行程が始まり、ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少する。そして、図11の下側に示すように、60°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を200〜250m/secに保つことができる。
一方、図11の上側に示すように、48°ATDCになると燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は1.7ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。
そして、98°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。そのため、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火後に安定して燃焼する。
以上説明したように、本実施形態によれば、燃料噴射期間T1を吸気弁の開期間VT1以下とすることにより、シリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気を形成して燃焼させることにより、排出される未燃燃料を低減することができる。
次に、図12〜図14を用いて、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成及び動作について説明する。
最初に、図12を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成について説明する。なお、本実施形態では、気筒毎に燃料噴射弁を設けたマルチポイントインジェクション(MPI)を用いている。
図12は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の構成を示す構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態において、図1に示した構成と異なる点は、次の点である。すなわち、燃料噴射弁35は、リフト量の可変機構の無い従来用いられている噴射弁である。それ以外は、図1と同じ構成である。
次に、図13を用いて、本実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の動作を示すフローチャートである。なお、図2と同一ステップ番号は、同一処理内容を示している。
本実施形態では、図1,図7に示した例とは異なり、燃料噴射率IRTを変更する手段を有していない。そこで、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満の場合、絞り弁13の開度THA1を絞って吸気管5内に負圧を発生させ、単位時間当たりの吸入空気量を減少させることにより、開口期間VT1が燃料噴射期間T1と等しくなるよう絞り弁13の開度THA1を制御する。
ステップs100〜s170,s180,s230の処理内容は、図2と同一である。
本実施形態では、ステップs140の判定により、アクセル開度ACDが低負荷であるとCPU21が判定すると、ステップs170において、CPU21は、絞り弁13の開度が最大(全開)となる絞り弁開度THA1に設定する。また、CPU21は、水温TW,エンジン回転数NE,アクセル開度ACDから、目標となる燃料噴射量MF1,空燃比A/F1,点火時期IGT1を算出する。
次に、ステップs175において、CPU21は、燃料噴射弁11の単位時間当たりの燃料噴射量である燃料噴射率IRTを算出する。燃料噴射弁11は、リフト量を可変できる機構を備えていないため、燃料噴射率IRTは、予め設定されている値である。また、CPU21は、燃料噴射率IRTと燃料噴射量MF1から燃料噴射期間T1を算出する。さらに、CPU21は、噴射時期補正時間T2を算出する。噴射時期補正時間T2は、噴霧速度VFと燃料噴射弁の先端から吸気弁までの距離Lによって決まり、上述の式(1)によって算出される。
次に、ステップs180において、CPU21は、燃料噴射量MF1と空燃比A/F1から計算された空気量から吸気弁7の開時期VOT1,開口期間VT1,リフト量VL1を算出する。運転中の空燃比は空燃比センサ15により検出され、空燃比A/F1と誤差が生じた場合は、開口期間VT1とバルブリフト量VL1を補正する。
次に、ステップs220において、CPU21は、吸気弁7のバルブの開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上か否かを判定する。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合にはステップs230に進み、以下の場合はステップs240に進む。開口期間VT1が燃料噴射期間T1以下の場合、バルブの開口期間が燃料噴射期間より短いため、バルブが閉じても燃料が噴射されることになる。したがって、噴射された燃料が吸気管5に付着するため、これを防止するための処理をステップs240以降にて実行する。
開口期間VT1が燃料噴射期間T1以上の場合には、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
一方、開口期間VT1が燃料噴射期間T1未満の場合、ステップs290において、CPU21は、燃料噴射期間T1と開口期間VT1と同じとなるための吸気バルブの開口期間VT1を再算出する。また、バルブリフト量VL1を算出する。
また、ステップs295において、CPU21は、吸気バルブの開口期間VT1が長くなった分、絞り弁の開度を小さくして、吸入される空気量が同じとなるように、絞り弁開度THA1を再算出する。
次に、ステップs230において、CPU21は、燃料噴射期間T1の終了時期が、開口期間VT1の終了時期に対し、噴射時期補正時間T2だけ早くなるように、燃料噴射時期FIT1を算出する。
そして、CPU21は、これらの算出値となるように、燃料噴射弁11、絞り弁13、点火プラグ16,バルブ可変機構26を制御する。
次に、図13および図14を用いて、具体的な動作について説明する。ここでは、図1の実施形態と同様に冷機始動時とし、エンジン始動直後はアクセルを開かない運転条件とする。
図14は、本発明の第3の実施形態による可変吸気弁を備えた内燃機関の完爆時の動作を示すタイミングチャートである。横軸は、時間T(ms)を示している。なお、括弧書きでクランク角を示している。図14の上側は、燃料噴射弁のリフト量FVL(μm)を示している。図14の下側は、吸気弁のリフト量VL(mm)を示している。なお、図14市側において、実線Bが図2のステップs290〜s295の補正が行われた場合の吸気弁の開口期間を示し、破線Aは、補正が行われる前の開口期間を示している。
スタータによるクランキング状態での動作は、図1に示した実施形態と同様である。次に、完爆直後の持続運転時の動作を説明する。
ステップs100〜s120の処理により、アクセル開度センサ10,水温センサ12,クランク角センサ19からの信号が入力回路24に入力され、これら信号からCPU21によりアクセル開度,水温TW,エンジン回転数NEが算出される。なお、燃料圧力RPは一定に保たれているものとするので、ステップs130の処理は行わないものとする。ここで、例えば、アクセル開度ACD=0度、水温TW=20℃、エンジン回転数NE=1200r/minが算出されたものとする。この結果はRAM23に保存され、逐次更新される。
ステップs175の処理が実行されるが、燃料噴射量はクランキング時と同じであり、燃料噴射率IRT=1.2mg/msであり、図14の上側にしめすように、燃料噴射期間T1=10msとなる。
ステップs180の処理により、吸入空気量は開時期と開口期間によって決まり、エンジン回転数の影響は小さいため、吸気弁の開時期VOT1を60°ATDC,開口期間をクランク角50°,最大リフト量を1mmとする。すなわち、図14の下側に示すように、吸気弁は、60°ATDCで開き始め、110°ATDCまでの50°の間開いており、そのときの最大リフト量を0.8mmとする。
次に、ステップs220の判定において、回転数1200r/minで吸気弁の開口期間であるクランク角50°は6.94msになり、開口期間VT1(6.92ms)が、燃料噴射期間T1(10ms)より短くなっており、吸気弁の開口期間VT1の変更が必要となるため、ステップs290の処理に進む。
そして、ステップs290の処理により、CPU21は、開時期は一定で、開口期間VT1が燃料噴射期間T1と同じになるように開口期間VT1,バルブリフト量VL1を制御し、同時に、ステップs295の処理により、絞り弁開度THA1を閉じて吸気管5内に負圧を生じさせて吸入空気量MF1が目標値になるよう絞り弁開度THA1を制御する。ここで、開口期間VT1はクランク角72°、リフト量VL1は1mmになり、CPU21は、図14の下側に実線Aで示すように、吸気弁の開時期VOT1=38°ATDC、開口期間VT1=72°となるように制御する。また、絞り弁開度THA1は40°閉じた状態となる。開口期間VT1と絞り弁開度THA1の関係はROM22にマップとして記憶しておくか、空燃比センサ15によるフィードバック制御を用いる。
また、CPU21は、図14の上側に示すように、燃燃料噴射時期を20°ATDCに設定し、クランク角が20°ATDCにおいて出力回路25から燃料噴射弁11に信号を出力するよう制御される。
吸気行程が始まり、ピストン3が上死点位置から下がり始めると、吸気弁7が閉じているため燃焼室4内の圧力は減少していく。そして、図14の下側に示すように、38°ATDCになると吸気弁7が開くが、燃焼室4内の圧力が吸気管5内の圧力より低くなっているため、吸気弁開口直後は吸気管5から燃焼室4へ高速の気流が発生する。また、吸気弁7のリフト量を微小にすることで、ピストン3が下がることにより燃焼室4へ吸入される気流の速度を180〜200m/secに保つことができる。
一方、図14の上側に示すように、20°ATDCになると燃料噴射弁11から燃料が噴射され、燃料噴霧は2.5ms前後で吸気弁7付近に到達し、微小リフトにすることによって生成された高速気流によって燃焼室4へ流入する。この時、吸気弁7と燃焼室4の隙間を通過するところで高速気流とのせん断力により微粒化する。92°ATDCで燃料噴射が終了し、110°において燃料噴霧最後尾が燃焼室4に流入したところで吸気弁7が閉じる。高速気流によって微粒化された噴霧は気化しやすく、また空気の流れに乗りやすいことからシリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気が形成される。そのため、ピストンが上死点へ到達したところで点火プラグ31により点火後に安定して燃焼する。
以上説明したように、本実施形態によれば、吸気弁の開期間VT1を燃料噴射期間T1以下とすることにより、シリンダ壁面への付着が無く、均質な混合気を形成して燃焼させることにより、排出される未燃燃料を低減することができる。
なお、上述の各実施形態において、電磁弁としては機械式でなく、電磁式の可変動弁を用いても同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、吸気弁の開口期間よりも燃料噴射期間を短くして燃料供給時の壁面への燃料付着を防止し、燃料噴霧微粒化を可能として、未燃燃料を低減できるものとなる。
Claims (6)
- 吸気弁の開時期,開口期間,リフト量を変更可能な可変吸気弁を備えた内燃機関において、
燃料噴射弁(11)の燃料噴射期間が前記吸気弁(7))の開口期間よりも長い場合に、単位時間当たりの燃料噴射量若しくは吸入空気量を可変して、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御する制御手段(20)を備えたことを特徴とする可変吸気弁を備えた内燃機関。 - 請求項1記載の可変吸気弁を備えた内燃機関において、
前記制御手段(20)は、低負荷運転時には、前記吸気弁(7)の開時期を吸気行程に設定して、前記吸気弁の開口期間とリフト量を制御することにより吸入空気量を調節し、
さらに、前記制御手段(20)は、燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構(32;34)を備えた燃料噴射弁(7)の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくして、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御することを特徴とする内燃機関。 - 請求項2記載の可変吸気弁を備えた内燃機関において、
前記燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構は、燃料の吐出を制御する燃料噴射弁の弁体のリフト量を変更可能な機構(32)であり、
前記制御手段は、この弁体のリフト量を大きくして、燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくすることを特徴とする内燃機関。 - 請求項2記載の可変吸気弁を備えた内燃機関において、
前記燃料の噴射率を変更可能な噴射率可変機構は、高圧の燃料フィードポンプの燃料圧力を変更可能な機構(34)であり、
前記制御手段は、この燃料圧力を大きくして、燃料噴射弁の単位時間当たりの燃料噴射量を大きくすることを特徴とする内燃機関。 - 請求項1記載の可変吸気弁を備えた内燃機関において、
前記制御手段(20)は、低負荷運転時には、前記吸気弁の開時期を吸気行程に設定して、前記吸気弁の開口期間とリフト量および吸気管の上流に設けられた絞り弁(13)の開度を制御することにより単位時間当たりの吸入空気量を小さくして、前記燃料噴射弁の燃料噴射期間が前記吸気弁の開口期間以下となるように制御することを特徴とする内燃機関。 - 請求項1記載の可変吸気弁を備えた内燃機関において、
前記制御手段(20)は、燃料噴射終了時期を、吸気弁の閉時期に対し、噴射された燃料噴霧が吸気弁に到達するのに要する時間だけ早い時期としたことを特徴とする内燃機関。
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