JPWO2004104184A1 - 内胚葉系幹細胞の調製 - Google Patents
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- C12N2506/02—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from embryonic cells
Abstract
本発明の課題は、多能性幹細胞から内胚葉系幹細胞を分化させ、単離調製することである。本発明では、多能性幹細胞から分化させた種々の内胚葉系幹細胞を、特別な細胞表面マーカー、オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンの発現様式を指標に選別することにより、上記課題を解決する。
Description
本発明は、多能性幹細胞からインビトロにおいて分化した中間幹細胞の混合物から高度に精製された内胚葉系幹細胞、および目的の幹細胞を調製する方法に関する。
発明の背景
哺乳類では、原腸胚形成期にダイナミックな形態の変化と共に、内胚葉、中胚葉、外胚葉と呼ばれる3胚葉が形成される。内胚葉は将来、胃、腸管、肝臓、膵臓、大腸に分化する組織である。他の組織同様に重要な組織であり、したがって内胚葉を分離し増殖させるシステムの開発は、薬物の開発、ホルモンや生理活性物質等の産生細胞、例えばインスリン産生細胞の開発、そして臨床的にも重要な課題である。
1部の内胚葉組織はマウスにおけるオルガナイザー領域から分化することが判明している。オルガナイザー(形成体)とは1924年、SpemannとMangoldらによりその存在が報告された体軸形成の指導的役割を果たす細胞組織群の総称である。すなわち、1つの胚の原口背唇(dorsal blastoporal lip)を別の胚に移植すると移植場所に二次軸の形成が起こる。その後の研究によりオルガナイザーはゼブラフィッシュ、ニワトリなど種を超えて存在することが明らかとなった。マウスにおいては、原条(primitive streak)の先端部分に形成される特別な組織形態をもつ結節(Node)がこの役割の1部を担うことが判明している(Cell,1999,Vol.196,pp.195−209)。Node細胞は体軸形成に関わるだけでなく、将来軸索中内胚葉(axial mesendoderm)と呼ばれる組織へと分化するが、ここからは主に中胚葉と内胚葉組織が分化増殖してくる。
マウスではオルガナイザー特異的な細胞は1個体あたりの細胞数が少ないことから、その取り扱いは困難であり、よってオルガナイザー関連細胞についての分化、増殖に関する分子生物学的メカニズムは不明な点が多い。そこで、限られた細胞数しか分離できないという問題点を解決するために、直接個体から分離することが困難な細胞を胚性幹細胞を用いて純化する研究を行った。
胚性幹細胞(Embryonic stem cell,ES細胞)とは、初期胚に存在する分化多能性を有する細胞であり、他の胚盤胞中に注入されると生殖細胞をも含む種々の細胞に分化する。最も研究が進んでいるマウスの胚性幹細胞は、発生3.5日の胞胚内の内部細胞塊より樹立された多能性と自己複製能を持つ細胞である。この細胞は、通常の培養培地に血清と白血病阻害因子(leukemia inhibitory factor:LIF)と呼ばれる増殖因子を加えるだけで、未分化の状態を保持しつつ、増殖を維持できる。マウス胚性幹細胞は、発生3.5日目の胞胚に注入し、その胞胚を母体に戻すことによって、インビボで再びすべての組織細胞に分化することができ、キメラマウスやノックアウトマウスの作成に利用されている。また、近年、胚性幹細胞をインビトロで操作して、様々な成熟組織細胞へ分化させることが可能になっている(例えば、西川伸一ら、Development,1998,125号、pp.1747−1757、仲野徹ら、Science,1994、265号、pp.1098−1101、江良択実ら、Blood,2000,95号,pp.870−878)。このような、胚性幹細胞の持つ分化多能性と簡単な操作性から、将来の医療において、細胞を用いる移植治療の材料としての利用が期待されている。
胚性幹細胞を強制的にインビトロで分化させた場合、成熟細胞が出現することは本発明者や他のグループの研究で明らかとなった。現在、胚性幹細胞は様々な分化段階にある幹細胞(中間幹細胞)を経て完全な成熟細胞に至ると考えられているが、その分化過程には未だ不明な点が多い。
そして、現在までにこの胚性幹細胞から純度の高い内胚葉細胞を直接分離した報告はなく、その開発は急務である。
発明の背景
哺乳類では、原腸胚形成期にダイナミックな形態の変化と共に、内胚葉、中胚葉、外胚葉と呼ばれる3胚葉が形成される。内胚葉は将来、胃、腸管、肝臓、膵臓、大腸に分化する組織である。他の組織同様に重要な組織であり、したがって内胚葉を分離し増殖させるシステムの開発は、薬物の開発、ホルモンや生理活性物質等の産生細胞、例えばインスリン産生細胞の開発、そして臨床的にも重要な課題である。
1部の内胚葉組織はマウスにおけるオルガナイザー領域から分化することが判明している。オルガナイザー(形成体)とは1924年、SpemannとMangoldらによりその存在が報告された体軸形成の指導的役割を果たす細胞組織群の総称である。すなわち、1つの胚の原口背唇(dorsal blastoporal lip)を別の胚に移植すると移植場所に二次軸の形成が起こる。その後の研究によりオルガナイザーはゼブラフィッシュ、ニワトリなど種を超えて存在することが明らかとなった。マウスにおいては、原条(primitive streak)の先端部分に形成される特別な組織形態をもつ結節(Node)がこの役割の1部を担うことが判明している(Cell,1999,Vol.196,pp.195−209)。Node細胞は体軸形成に関わるだけでなく、将来軸索中内胚葉(axial mesendoderm)と呼ばれる組織へと分化するが、ここからは主に中胚葉と内胚葉組織が分化増殖してくる。
マウスではオルガナイザー特異的な細胞は1個体あたりの細胞数が少ないことから、その取り扱いは困難であり、よってオルガナイザー関連細胞についての分化、増殖に関する分子生物学的メカニズムは不明な点が多い。そこで、限られた細胞数しか分離できないという問題点を解決するために、直接個体から分離することが困難な細胞を胚性幹細胞を用いて純化する研究を行った。
胚性幹細胞(Embryonic stem cell,ES細胞)とは、初期胚に存在する分化多能性を有する細胞であり、他の胚盤胞中に注入されると生殖細胞をも含む種々の細胞に分化する。最も研究が進んでいるマウスの胚性幹細胞は、発生3.5日の胞胚内の内部細胞塊より樹立された多能性と自己複製能を持つ細胞である。この細胞は、通常の培養培地に血清と白血病阻害因子(leukemia inhibitory factor:LIF)と呼ばれる増殖因子を加えるだけで、未分化の状態を保持しつつ、増殖を維持できる。マウス胚性幹細胞は、発生3.5日目の胞胚に注入し、その胞胚を母体に戻すことによって、インビボで再びすべての組織細胞に分化することができ、キメラマウスやノックアウトマウスの作成に利用されている。また、近年、胚性幹細胞をインビトロで操作して、様々な成熟組織細胞へ分化させることが可能になっている(例えば、西川伸一ら、Development,1998,125号、pp.1747−1757、仲野徹ら、Science,1994、265号、pp.1098−1101、江良択実ら、Blood,2000,95号,pp.870−878)。このような、胚性幹細胞の持つ分化多能性と簡単な操作性から、将来の医療において、細胞を用いる移植治療の材料としての利用が期待されている。
胚性幹細胞を強制的にインビトロで分化させた場合、成熟細胞が出現することは本発明者や他のグループの研究で明らかとなった。現在、胚性幹細胞は様々な分化段階にある幹細胞(中間幹細胞)を経て完全な成熟細胞に至ると考えられているが、その分化過程には未だ不明な点が多い。
そして、現在までにこの胚性幹細胞から純度の高い内胚葉細胞を直接分離した報告はなく、その開発は急務である。
本発明者らは、胚性幹細胞のインビトロ分化システムを用い、内胚葉細胞の同定、純化と分化能の解析を行った。残念ながら、現在まで内胚葉特異的な細胞表面マーカーは発見されていない。そこで、上記オルガナイザーに特異的に発現する遺伝子の1つであるグースコイド(goosecoid、Gsc)遺伝子にマーカー遺伝子として緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をノックイン(Knock−in)した胚性幹細胞を作製し、内胚葉細胞の同定、純化を試みた。その結果、胚性幹細胞から分化させた内胚葉系幹細胞が、オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンを発現していることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1) 多能性幹細胞からインビトロにおいて分化させた内胚葉系幹細胞であって、オルガナイザー特異的マーカー陽性およびE−カドヘリン陽性である細胞;好ましくは、
多能性幹細胞が胚性幹細胞である、オルガナイザー特異的マーカーがグースコイドである、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質(GFP)である、および/またはオルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質が融合されている細胞;
(2) a)多能性幹細胞を培養し、b)オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンを発現している細胞を選別し分離することを特徴とする、内胚葉系幹細胞の調製方法; 好ましくは選別段階においてセルソーターを用いる方法、さらに好ましくは、コラーゲンIVでコートした培養プレート上の無血清培地中、アクチビンの存在下に多能性幹細胞を培養することにより、多能性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させる方法;
(3) 本発明の内胚葉系幹細胞を分化させ、目的の内胚葉細胞を調製する方法;好ましくはコラーゲンIVでコートした培養プレート上の無血清培地中、アクチビンの存在下に内胚葉系幹細胞を培養することにより、内胚葉系幹細胞を内胚葉細胞に分化させる方法;さらに好ましくは、アクチビンとともbFGF(塩基性フィブロブラスト成長因子)の存在下に内胚葉系幹細胞を培養することにより、内胚葉系幹細胞を内胚葉細胞に分化させる方法;より好ましくは、アクチビンとしてアクチビンAを用いる方法;およびこれらの調製方法により得られる内胚葉細胞;ならびに
(4) 多能性幹細胞から目的の幹細胞を調製する方法であって、a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにし、b)該標識タンパク質の標識を指標に目的の幹細胞を選別し分離することを特徴とする方法; 好ましくは、多能性幹細胞が胚性幹細胞であり、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質である方法、に関する。
即ち、本発明は、
(1) 多能性幹細胞からインビトロにおいて分化させた内胚葉系幹細胞であって、オルガナイザー特異的マーカー陽性およびE−カドヘリン陽性である細胞;好ましくは、
多能性幹細胞が胚性幹細胞である、オルガナイザー特異的マーカーがグースコイドである、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質(GFP)である、および/またはオルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質が融合されている細胞;
(2) a)多能性幹細胞を培養し、b)オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンを発現している細胞を選別し分離することを特徴とする、内胚葉系幹細胞の調製方法; 好ましくは選別段階においてセルソーターを用いる方法、さらに好ましくは、コラーゲンIVでコートした培養プレート上の無血清培地中、アクチビンの存在下に多能性幹細胞を培養することにより、多能性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させる方法;
(3) 本発明の内胚葉系幹細胞を分化させ、目的の内胚葉細胞を調製する方法;好ましくはコラーゲンIVでコートした培養プレート上の無血清培地中、アクチビンの存在下に内胚葉系幹細胞を培養することにより、内胚葉系幹細胞を内胚葉細胞に分化させる方法;さらに好ましくは、アクチビンとともbFGF(塩基性フィブロブラスト成長因子)の存在下に内胚葉系幹細胞を培養することにより、内胚葉系幹細胞を内胚葉細胞に分化させる方法;より好ましくは、アクチビンとしてアクチビンAを用いる方法;およびこれらの調製方法により得られる内胚葉細胞;ならびに
(4) 多能性幹細胞から目的の幹細胞を調製する方法であって、a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにし、b)該標識タンパク質の標識を指標に目的の幹細胞を選別し分離することを特徴とする方法; 好ましくは、多能性幹細胞が胚性幹細胞であり、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質である方法、に関する。
図1A グースコイド遺伝子のノックイン胚性幹細胞を組立てるスキームである。
図1B GSC遺伝子をプローブに用いた、相同組換え胚性幹細胞のサザーンブロッティング分析の結果を示す。
図2 分化誘導によるGFP陽性細胞の出現を示す細胞選別、およびGFP陽性細胞でのみグースコイドが発現していることを示すRT−PCRの結果である。
図3 細胞選別して得られたGFP陽性細胞における遺伝子発現パターンを示す。
図4 アクチビンAを添加した無血清培地によるGsc−GFP陽性細胞の分化誘導の結果を示す。
図5 アクチビンAの濃度依存的にGFP陽性細胞の割合が増加する結果を示す。
図6 GFP陽性細胞の分化誘導に与えるBMP−4とbFGFの影響を示す。
図7 GFP陽性細胞のE−カドヘリンの発現パターンを示す。
図8A GFP陽性E−カドヘリン陽性細胞からの上皮様細胞の分化およびその細胞形態を示す。
図8B GFP陽性E−カドヘリン(cadherin)陽性細胞からの上皮様細胞における細胞系列特異的な遺伝子の発現を示す。
図1B GSC遺伝子をプローブに用いた、相同組換え胚性幹細胞のサザーンブロッティング分析の結果を示す。
図2 分化誘導によるGFP陽性細胞の出現を示す細胞選別、およびGFP陽性細胞でのみグースコイドが発現していることを示すRT−PCRの結果である。
図3 細胞選別して得られたGFP陽性細胞における遺伝子発現パターンを示す。
図4 アクチビンAを添加した無血清培地によるGsc−GFP陽性細胞の分化誘導の結果を示す。
図5 アクチビンAの濃度依存的にGFP陽性細胞の割合が増加する結果を示す。
図6 GFP陽性細胞の分化誘導に与えるBMP−4とbFGFの影響を示す。
図7 GFP陽性細胞のE−カドヘリンの発現パターンを示す。
図8A GFP陽性E−カドヘリン陽性細胞からの上皮様細胞の分化およびその細胞形態を示す。
図8B GFP陽性E−カドヘリン(cadherin)陽性細胞からの上皮様細胞における細胞系列特異的な遺伝子の発現を示す。
(1)本発明は、多能性幹細胞からインビトロにおいて分化させた内胚葉系幹細胞であって、オルガナイザー特異的マーカー陽性およびE−カドヘリン陽性である細胞を提供する。
本明細書において、「多能性幹細胞」とは、外胚葉、中胚葉および内胚葉系幹細胞から選ばれる少なくとも1つに分化する能力を有する自己複製可能な幹細胞を意味し、これには、胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)、胚性生殖細胞(embryonic germ cell:EG細胞)、胚性癌細胞(embryonal carcinoma cell:EC細胞)、多能性成体前駆細胞(multipotent adult progenitor cells:MAP細胞)、成体多能性幹細胞(adult pluripotent stem cell:APS細胞)、骨髄幹細胞などが含まれる。ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、ウシ、ブタ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、ヒツジを含む哺乳類、鳥類、爬虫類などの多様な動物に由来する多能性幹細胞を使用し得るが、通常は哺乳類に由来するものを使用する。
本明細書において、「胚性幹細胞」は、初期胚に存在する分化多能性を有する細胞であって、他の胚盤胞中に注入されると生殖細胞をも含む種々の細胞に分化し得る細胞を意味する。本発明では、胞胚内の内部細胞塊より新たに樹立した胚性幹細胞を使用してもよく、あるいは既に樹立された細胞系統を使用してもよい。
本明細書において、「内胚葉系幹細胞」は、内胚葉系の組織に属する細胞に分化する中間幹細胞であって、中胚葉および外胚葉系の組織に属する細胞には分化しない細胞を意味する。母体内のマウスの発生では、発生6.5日から7.5日にかけて起こる原腸胚形成の際、胞胚を形成する上皮組織の一定領域から離脱した予定中胚葉細胞が胚の内部に入り込み、予定外胚葉と予定内胚葉の間を移動して予定中胚葉を形成する。これら予定外胚葉、予定内胚葉および予定中胚葉を構成する細胞がそれぞれ、外胚葉系幹細胞、内胚葉系幹細胞および中胚葉系幹細胞である。
本明細書において、「中間幹細胞」は、多能性幹細胞の分化が進んだ細胞であって、外胚葉、中胚葉または内胚葉系幹細胞のいずれか1つ、あるいはこれらの混合物を意味する。従って、中間幹細胞は、外胚葉、中胚葉または内胚葉細胞のいずれか1つに分化する能力を有する細胞と表すことができる。
細胞移植治療のためには、試験管内(インビトロ)において胚性幹細胞を分化させ、特定の胚葉系に分化する中間幹細胞を出現させ、さらにそれを精製して1種類の中間幹細胞を調製することが求められる。細胞移植治療に利用される細胞材料として、中間幹細胞は成熟細胞よりも以下の点において利用価値が高い。
1.ほとんどの組織の成熟細胞の増殖能は低いが、中間幹細胞のインビトロでの増殖能ははるかに高い。即ち、適切な条件さえ整えば、インビトロで強制的に増幅させることが可能となる。
2.1種類の中間幹細胞が多種類の成熟細胞に分化するので、治療効果を比較した場合、少ない細胞でより高い成果をあげることが可能である。
本明細書において、「オルガナイザー特異的マーカー」とはオルガナイザーに特異的に発現しているタンパク質を意味し、マウスの場合、グースコイド(goosecoid、Gsc)、HNF−3β、およびLim1を包含する。グースコイド遺伝子はホメオボックスドメインをもつ転写因子であり、オルガナイザーに発現する遺伝子の中でもオルガナイザーに特異的に発現することが判明している(Principles of Development Lewis Wolpert OXFORD Press,2002,p105)。本発明に使用するオルガナイザー特異的マーカーは1つであっても、2以上であってもよい。
オルガナイザー特異的マーカーであるHNF−3βはAng,S.−L.and Rossant,J.(1994),Cell 78,561−574、およびWeinstein,D.C.,et al.,(1994),Cell 78,575−588)等に、Lim1はShawlot,W et al.,(1995)Nature 374,425−430にそれぞれ記載されている。
E−カドヘリンは、細胞間の接着を担う膜貫通型の膜タンパク質であり(Annu.Rev.Cell,Dev.Biol.1997:13,119−146)、E−Cadを欠損したマウスは、極めて早い時期の胎生致死であることが知られている。
この態様では、オルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質が融合されているか、あるいはマーカー遺伝子が標識タンパク質遺伝子で置き換えられている(ジーンノックアウト法)細胞が好ましい。標識タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、あるいは蛍光活性化セルソーター(FACS)にて利用可能なあらゆるタンパク質、例えばdsREDを利用できる。融合は当業者に周知の遺伝子工学的手法、例えば相同組換え、遺伝子導入により行うことができる。
本明細書において、ある分子について「陽性(+)」とは、細胞が当該分子を発現していることを意味し、「陰性(−)」とは、発現していないことを意味する。細胞がある分子を発現しているか否かは、FACS等により判定できる。
本明細書において、「インビトロ」とは、反応や培養が胚を含む生体外で実施されることを意味する。インビトロで細胞を培養および/または分化させる際には、細胞の成育に適するあらゆる培地、試薬及び容器を使用し得る。また、本明細書における「インビボ」は、反応や培養が胚を含む生体内で実施されること、またはある現象が生体内で起こることを意味する。
(2)本発明は別の態様として、a)多能性幹細胞を培養し、b)オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンを発現している細胞を選別し分離することを特徴とする、内胚葉系幹細胞の調製方法を提供する。
上記の調製方法では、好ましくはオルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質を融合させておくか、あるいはマーカー遺伝子を標識タンパク質遺伝子で置き換えておく(ジーンノックアウト法)。この場合、標識タンパク質の標識を指標としてセルソーター、好ましくは蛍光活性化セルソーター(FACS)により目的の細胞を選別する。
FACSは、通常、フローサイトメーター、レーザー発生装置、光学系、データ処理装置および細胞分取装置を備えている。FACSの機能は、蛍光標識細胞の自動分離および、蛍光強度のコンピューターによる分析である。FACSにより、特定物質で蛍光標識した細胞に、細い流路の途中でレーザー光を照射し、散乱光(前方散乱光や側方散乱光)や蛍光のシグナル情報を個々の細胞ごとに測定し、その結果を、例えば度数分布として表示し、特定のシグナル情報を発する細胞を分取することができる。FACSの装置はBecton−Dickinson等から市販されており、製造者の指示に従って当業者が操作することが可能である。
E−カドヘリン陽性は、抗E−Cad抗体を使用して判定する。また、その分子発現に基づいて細胞を選別するためには、蛍光活性化セルソーター(FACS)を使用できる。
本発明で使用する抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれでもよいが、FACSで使用する場合、モノクローナル抗体が好ましい。そのような抗体は、実施例に記載の方法を参照して当業者が作成することができるが、市販のものを使用してもよい。抗E−カドヘリンモノクローナル抗体は宝酒造から市販されており(品番M108)、あるいは当業者に周知の手法により容易に調製できる。
E−カドヘリン陽性は、E−カドヘリンの細胞内mRNAの存在を指標にして選別することも可能である。
胚性幹細胞の培養には、細胞の維持または分化の目的に適する組成の培地を使用する。胚性幹細胞維持用培地は、通常、細胞培養用の最小培地に、血清、LIF、L−グルタミン、2−メルカプトエタノール等を添加したものであり、組成の一例を挙げると、85%KNOCKOUT D−MEM、15%FBS、10−4M 2−ME、2mM L−グルタミン、0.1mM NEAA、1000U/ml LIFである。また、胚性幹細胞分化用培地は、通常、細胞培養用の最小培地に、血清、L−グルタミン、2−メルカプトエタノール等を添加したものであり、LIFを含有しない。組成の一例を挙げると、90%αMEM、10%FBS、5x10−5M 2−ME、2mM L−グルタミンである。各培地には、抗生物質などの培養に有用な他の物質を添加することができ、各成分に代えて、同等の機能を有する代替物を使用してもよい。また、培地の各成分は、各々適する方法で滅菌して使用する。
本発明による胚性幹細胞の培養方法における具体的な操作は、当該技術分野で常套の操作及び条件に従って行うことができる。例えば、中辻憲夫編:実験医学別冊・ポストゲノム時代の実験講座4「幹細胞・クローン研究プロトコール」、羊土社(2001年)、Hogan,G.ら編:マウス胚の操作:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,NY(1994)、Robertson,E.J.編:奇形ガンおよび胚性幹細胞、A Practical Approach,IRL Press Oxford,UK(1987)などの記載を参酌して適宜に決定することができる。
本発明のある実施態様では、胚性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させる段階が含まれる。当分野で既知のいかなる方法で分化させてもよいが、典型的には、コラーゲンIVでコートした培養容器内、アクチビンの存在下に、LIF不含の無血清培地を使用して胚性幹細胞を培養する。ここに使用するアクチビンはTGFβ(トランスフォーミング増殖因子ベーター)ファミリーに属する大きさ24kDのペプチド性細胞増殖、分化因子であり、2個のベーターサブユニットがSS結合を介して2量体を構成している(Ling,N.,et al.,(1986)Nature 321,779−782;Vale,W.,et al.,(1986)Nature 321,776−779)、本発明においてはアクチビンA、B、C、Dのいずれでも、またヒト、マウス等いずれの動物由来のものをも使用でき、これらはR&Dから市販されている。このなかで、アクチビンAが好適に用いられる。使用する多能性幹細胞の由来する動物種と同じ由来のアクチビンを用いるのが好ましく、例えばヒト由来の多能性幹細胞を出発原料とする場合、ヒトアクチビンAを用いるのが好ましい。アクチビンの濃度は10ng/ml以上が好ましく、10ng/mlが最も好ましい。それよりも低濃度でも誘導は起こるが、陽性細胞の割合が低い。
また、アクチビンとともbFGF(塩基性フィブロブラスト成長因子)の存在下に多能性幹細胞を培養すれば、より好適に内胚葉系幹細胞へと分化させることができる。bFGFはR&Dから入手できる。bFGFの濃度は10ng/ml以上が好ましく、10ng/mlが最も好ましい。
このような条件で胚性幹細胞を培養すると、マウスの胚性幹細胞では、通常4−6日目に本発明による精製に適する内胚葉系幹細胞の数が最適となる。あるいは、従来から行われている胚体形成法(Embryoid body formation method)によっても、胚性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させることができる。また、効率は低いが、コラーゲンIVをゼラチンやフィブロネクチン等に代えても胚性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させることができる(例えば、Wiles,M.et al.Development 111,259−267,1991参照)。
(3)本発明は別の態様として、本発明の内胚葉系幹細胞を分化させ、目的の内胚葉細胞を調製する方法、およびこの調製方法により得られる内胚葉細胞を提供する。
この分化方法は上記と同様の手法により行えばよい。
本発明の内胚葉系幹細胞から分化して得られる内胚葉細胞は、将来、胃、十二指腸、腸管、肝臓、膵臓、大腸に分化する細胞であり、それは、薬物の開発、ホルモンや生理活性物質等の産生細胞、例えばインスリン産生細胞としての利用、あるいは臨床的な利用があり得る。
(4)本発明は別の態様として、多能性幹細胞から目的の中間幹細胞を調製する方法を提供する。この態様における目的の中間幹細胞は外胚葉、中胚葉または内胚葉細胞のいずれか1つに分化する能力を有する。この方法は、a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにする。所定のマーカー遺伝子としては外胚葉、中胚葉、内胚葉系幹細胞のいずれか1つに特異的に発現するマーカー、例えば外胚葉系幹細胞であれば特異的マーカー遺伝子SOX1を、中胚葉系幹細胞であれば特異的マーカー遺伝子BrachyuryまたはMesogenin1を、内胚葉系幹細胞であれば特異的マーカー遺伝子GATA4またはSOX17を用いることができる。標的タンパク質の遺伝子導入は通常、相同組換えが用いられ、他にプロモーターをつないだTransgenic法を用いることができる。
次いで、該標識タンパク質の標識を指標に目的の中間幹細胞を選別し分離する。ここでは、多能性幹細胞が胚性幹細胞であり、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質である方法が好ましい。
この態様における方法は、多能性幹細胞から中間幹細胞の前駆細胞(外胚葉、中胚葉または内胚葉系幹細胞のいずれか2つに分化できる段階の細胞)を調製する方法にも応用可能である。即ち、本発明は、多能性幹細胞から中間幹細胞の前駆細胞を調製する方法であって、a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにし、b)該標識タンパク質の標識を指標に目的の中間幹細胞を選別し分離することを特徴とする方法をも包含する。
以下の実施例は、本発明の1態様を示すと共に、本発明の方法によって調製した内胚葉系幹細胞が成熟細胞への分化能を有することを証明するものである。
本明細書において、「多能性幹細胞」とは、外胚葉、中胚葉および内胚葉系幹細胞から選ばれる少なくとも1つに分化する能力を有する自己複製可能な幹細胞を意味し、これには、胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)、胚性生殖細胞(embryonic germ cell:EG細胞)、胚性癌細胞(embryonal carcinoma cell:EC細胞)、多能性成体前駆細胞(multipotent adult progenitor cells:MAP細胞)、成体多能性幹細胞(adult pluripotent stem cell:APS細胞)、骨髄幹細胞などが含まれる。ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、ウシ、ブタ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、ヒツジを含む哺乳類、鳥類、爬虫類などの多様な動物に由来する多能性幹細胞を使用し得るが、通常は哺乳類に由来するものを使用する。
本明細書において、「胚性幹細胞」は、初期胚に存在する分化多能性を有する細胞であって、他の胚盤胞中に注入されると生殖細胞をも含む種々の細胞に分化し得る細胞を意味する。本発明では、胞胚内の内部細胞塊より新たに樹立した胚性幹細胞を使用してもよく、あるいは既に樹立された細胞系統を使用してもよい。
本明細書において、「内胚葉系幹細胞」は、内胚葉系の組織に属する細胞に分化する中間幹細胞であって、中胚葉および外胚葉系の組織に属する細胞には分化しない細胞を意味する。母体内のマウスの発生では、発生6.5日から7.5日にかけて起こる原腸胚形成の際、胞胚を形成する上皮組織の一定領域から離脱した予定中胚葉細胞が胚の内部に入り込み、予定外胚葉と予定内胚葉の間を移動して予定中胚葉を形成する。これら予定外胚葉、予定内胚葉および予定中胚葉を構成する細胞がそれぞれ、外胚葉系幹細胞、内胚葉系幹細胞および中胚葉系幹細胞である。
本明細書において、「中間幹細胞」は、多能性幹細胞の分化が進んだ細胞であって、外胚葉、中胚葉または内胚葉系幹細胞のいずれか1つ、あるいはこれらの混合物を意味する。従って、中間幹細胞は、外胚葉、中胚葉または内胚葉細胞のいずれか1つに分化する能力を有する細胞と表すことができる。
細胞移植治療のためには、試験管内(インビトロ)において胚性幹細胞を分化させ、特定の胚葉系に分化する中間幹細胞を出現させ、さらにそれを精製して1種類の中間幹細胞を調製することが求められる。細胞移植治療に利用される細胞材料として、中間幹細胞は成熟細胞よりも以下の点において利用価値が高い。
1.ほとんどの組織の成熟細胞の増殖能は低いが、中間幹細胞のインビトロでの増殖能ははるかに高い。即ち、適切な条件さえ整えば、インビトロで強制的に増幅させることが可能となる。
2.1種類の中間幹細胞が多種類の成熟細胞に分化するので、治療効果を比較した場合、少ない細胞でより高い成果をあげることが可能である。
本明細書において、「オルガナイザー特異的マーカー」とはオルガナイザーに特異的に発現しているタンパク質を意味し、マウスの場合、グースコイド(goosecoid、Gsc)、HNF−3β、およびLim1を包含する。グースコイド遺伝子はホメオボックスドメインをもつ転写因子であり、オルガナイザーに発現する遺伝子の中でもオルガナイザーに特異的に発現することが判明している(Principles of Development Lewis Wolpert OXFORD Press,2002,p105)。本発明に使用するオルガナイザー特異的マーカーは1つであっても、2以上であってもよい。
オルガナイザー特異的マーカーであるHNF−3βはAng,S.−L.and Rossant,J.(1994),Cell 78,561−574、およびWeinstein,D.C.,et al.,(1994),Cell 78,575−588)等に、Lim1はShawlot,W et al.,(1995)Nature 374,425−430にそれぞれ記載されている。
E−カドヘリンは、細胞間の接着を担う膜貫通型の膜タンパク質であり(Annu.Rev.Cell,Dev.Biol.1997:13,119−146)、E−Cadを欠損したマウスは、極めて早い時期の胎生致死であることが知られている。
この態様では、オルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質が融合されているか、あるいはマーカー遺伝子が標識タンパク質遺伝子で置き換えられている(ジーンノックアウト法)細胞が好ましい。標識タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、あるいは蛍光活性化セルソーター(FACS)にて利用可能なあらゆるタンパク質、例えばdsREDを利用できる。融合は当業者に周知の遺伝子工学的手法、例えば相同組換え、遺伝子導入により行うことができる。
本明細書において、ある分子について「陽性(+)」とは、細胞が当該分子を発現していることを意味し、「陰性(−)」とは、発現していないことを意味する。細胞がある分子を発現しているか否かは、FACS等により判定できる。
本明細書において、「インビトロ」とは、反応や培養が胚を含む生体外で実施されることを意味する。インビトロで細胞を培養および/または分化させる際には、細胞の成育に適するあらゆる培地、試薬及び容器を使用し得る。また、本明細書における「インビボ」は、反応や培養が胚を含む生体内で実施されること、またはある現象が生体内で起こることを意味する。
(2)本発明は別の態様として、a)多能性幹細胞を培養し、b)オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンを発現している細胞を選別し分離することを特徴とする、内胚葉系幹細胞の調製方法を提供する。
上記の調製方法では、好ましくはオルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質を融合させておくか、あるいはマーカー遺伝子を標識タンパク質遺伝子で置き換えておく(ジーンノックアウト法)。この場合、標識タンパク質の標識を指標としてセルソーター、好ましくは蛍光活性化セルソーター(FACS)により目的の細胞を選別する。
FACSは、通常、フローサイトメーター、レーザー発生装置、光学系、データ処理装置および細胞分取装置を備えている。FACSの機能は、蛍光標識細胞の自動分離および、蛍光強度のコンピューターによる分析である。FACSにより、特定物質で蛍光標識した細胞に、細い流路の途中でレーザー光を照射し、散乱光(前方散乱光や側方散乱光)や蛍光のシグナル情報を個々の細胞ごとに測定し、その結果を、例えば度数分布として表示し、特定のシグナル情報を発する細胞を分取することができる。FACSの装置はBecton−Dickinson等から市販されており、製造者の指示に従って当業者が操作することが可能である。
E−カドヘリン陽性は、抗E−Cad抗体を使用して判定する。また、その分子発現に基づいて細胞を選別するためには、蛍光活性化セルソーター(FACS)を使用できる。
本発明で使用する抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれでもよいが、FACSで使用する場合、モノクローナル抗体が好ましい。そのような抗体は、実施例に記載の方法を参照して当業者が作成することができるが、市販のものを使用してもよい。抗E−カドヘリンモノクローナル抗体は宝酒造から市販されており(品番M108)、あるいは当業者に周知の手法により容易に調製できる。
E−カドヘリン陽性は、E−カドヘリンの細胞内mRNAの存在を指標にして選別することも可能である。
胚性幹細胞の培養には、細胞の維持または分化の目的に適する組成の培地を使用する。胚性幹細胞維持用培地は、通常、細胞培養用の最小培地に、血清、LIF、L−グルタミン、2−メルカプトエタノール等を添加したものであり、組成の一例を挙げると、85%KNOCKOUT D−MEM、15%FBS、10−4M 2−ME、2mM L−グルタミン、0.1mM NEAA、1000U/ml LIFである。また、胚性幹細胞分化用培地は、通常、細胞培養用の最小培地に、血清、L−グルタミン、2−メルカプトエタノール等を添加したものであり、LIFを含有しない。組成の一例を挙げると、90%αMEM、10%FBS、5x10−5M 2−ME、2mM L−グルタミンである。各培地には、抗生物質などの培養に有用な他の物質を添加することができ、各成分に代えて、同等の機能を有する代替物を使用してもよい。また、培地の各成分は、各々適する方法で滅菌して使用する。
本発明による胚性幹細胞の培養方法における具体的な操作は、当該技術分野で常套の操作及び条件に従って行うことができる。例えば、中辻憲夫編:実験医学別冊・ポストゲノム時代の実験講座4「幹細胞・クローン研究プロトコール」、羊土社(2001年)、Hogan,G.ら編:マウス胚の操作:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,NY(1994)、Robertson,E.J.編:奇形ガンおよび胚性幹細胞、A Practical Approach,IRL Press Oxford,UK(1987)などの記載を参酌して適宜に決定することができる。
本発明のある実施態様では、胚性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させる段階が含まれる。当分野で既知のいかなる方法で分化させてもよいが、典型的には、コラーゲンIVでコートした培養容器内、アクチビンの存在下に、LIF不含の無血清培地を使用して胚性幹細胞を培養する。ここに使用するアクチビンはTGFβ(トランスフォーミング増殖因子ベーター)ファミリーに属する大きさ24kDのペプチド性細胞増殖、分化因子であり、2個のベーターサブユニットがSS結合を介して2量体を構成している(Ling,N.,et al.,(1986)Nature 321,779−782;Vale,W.,et al.,(1986)Nature 321,776−779)、本発明においてはアクチビンA、B、C、Dのいずれでも、またヒト、マウス等いずれの動物由来のものをも使用でき、これらはR&Dから市販されている。このなかで、アクチビンAが好適に用いられる。使用する多能性幹細胞の由来する動物種と同じ由来のアクチビンを用いるのが好ましく、例えばヒト由来の多能性幹細胞を出発原料とする場合、ヒトアクチビンAを用いるのが好ましい。アクチビンの濃度は10ng/ml以上が好ましく、10ng/mlが最も好ましい。それよりも低濃度でも誘導は起こるが、陽性細胞の割合が低い。
また、アクチビンとともbFGF(塩基性フィブロブラスト成長因子)の存在下に多能性幹細胞を培養すれば、より好適に内胚葉系幹細胞へと分化させることができる。bFGFはR&Dから入手できる。bFGFの濃度は10ng/ml以上が好ましく、10ng/mlが最も好ましい。
このような条件で胚性幹細胞を培養すると、マウスの胚性幹細胞では、通常4−6日目に本発明による精製に適する内胚葉系幹細胞の数が最適となる。あるいは、従来から行われている胚体形成法(Embryoid body formation method)によっても、胚性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させることができる。また、効率は低いが、コラーゲンIVをゼラチンやフィブロネクチン等に代えても胚性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させることができる(例えば、Wiles,M.et al.Development 111,259−267,1991参照)。
(3)本発明は別の態様として、本発明の内胚葉系幹細胞を分化させ、目的の内胚葉細胞を調製する方法、およびこの調製方法により得られる内胚葉細胞を提供する。
この分化方法は上記と同様の手法により行えばよい。
本発明の内胚葉系幹細胞から分化して得られる内胚葉細胞は、将来、胃、十二指腸、腸管、肝臓、膵臓、大腸に分化する細胞であり、それは、薬物の開発、ホルモンや生理活性物質等の産生細胞、例えばインスリン産生細胞としての利用、あるいは臨床的な利用があり得る。
(4)本発明は別の態様として、多能性幹細胞から目的の中間幹細胞を調製する方法を提供する。この態様における目的の中間幹細胞は外胚葉、中胚葉または内胚葉細胞のいずれか1つに分化する能力を有する。この方法は、a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにする。所定のマーカー遺伝子としては外胚葉、中胚葉、内胚葉系幹細胞のいずれか1つに特異的に発現するマーカー、例えば外胚葉系幹細胞であれば特異的マーカー遺伝子SOX1を、中胚葉系幹細胞であれば特異的マーカー遺伝子BrachyuryまたはMesogenin1を、内胚葉系幹細胞であれば特異的マーカー遺伝子GATA4またはSOX17を用いることができる。標的タンパク質の遺伝子導入は通常、相同組換えが用いられ、他にプロモーターをつないだTransgenic法を用いることができる。
次いで、該標識タンパク質の標識を指標に目的の中間幹細胞を選別し分離する。ここでは、多能性幹細胞が胚性幹細胞であり、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質である方法が好ましい。
この態様における方法は、多能性幹細胞から中間幹細胞の前駆細胞(外胚葉、中胚葉または内胚葉系幹細胞のいずれか2つに分化できる段階の細胞)を調製する方法にも応用可能である。即ち、本発明は、多能性幹細胞から中間幹細胞の前駆細胞を調製する方法であって、a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにし、b)該標識タンパク質の標識を指標に目的の中間幹細胞を選別し分離することを特徴とする方法をも包含する。
以下の実施例は、本発明の1態様を示すと共に、本発明の方法によって調製した内胚葉系幹細胞が成熟細胞への分化能を有することを証明するものである。
参考例1 胚性幹細胞の維持
a.材料
胚性幹細胞の維持には、表1の試薬および器具を使用した。
胚性幹細胞の維持用培地の組成は、89% G−MEM、1% FBS、10% KSR、10−4M 2−ME、2mM L−グルタミン、0.1mM NEAAおよび1000U/ml LIFであった。
胚性幹細胞としては、マウス129系統由来のEB5細胞(Niwa H,et al.,Genes and Development 1998,12;2048−2060)を使用した。
b.操作
6cmディッシュをゼラチンでコートした。このディッシュに2x105のEB5胚性幹細胞を播種した。翌日、1度培地を交換した。2日目でコンフレントになったら、トリプシンを使用して細胞をディッシュから分離し、再び2x105の濃度で、ゼラチンコートされたディッシュに播種した。培養は、37℃、5%CO2のインキュベーター内で行った。
参考例2 胚性幹細胞の無血清培地での分化誘導
a.材料
胚性幹細胞の分化誘導には、表2の材料を使用した。
b. 胚性幹細胞の分化用培地
SF−03粉末に1リットルの蒸留水を加え、付属のNaHCO3 2.2gを加えて撹拌した。次に、二酸化炭素ガスを培地の色がオレンジ色になるまで加えた。BSAを濃度が0.1%、2MEが10−4Mになるように加え、30分以上撹拌した。最後にろ過滅菌した。
c.分化誘導操作
BIOCOATコラーゲンIV被覆10cmディッシュに1x105のEB5胚性幹細胞を播種した。3−6日目に細胞分離緩衝液(Invitrogen)を使用して細胞を分離し、その後の実験に使用した。
参考例3 FacsVantageによるGFP陽性細胞あるいはGFP陽性E−カドヘリン陽性細胞の選別
a.試薬の調製
表3の試薬を使用した。
脱イオン水900mlに対して100mlの10xハンクス緩衝液と10gのBSA(終濃度1%)を加えてよく撹拌した。BSAが溶解した後、0.2μmフィルターを用いて滅菌した。得られた溶液を以下、BSAハンクス緩衝液と称する。
b.操作
分化3−6日目の分化誘導した胚性幹細胞を細胞分離緩衝液を用いてばらばらに分離した後、1度1%BSAハンクス緩衝液で洗浄した。次に、106あたり1mlの1%BSAハンクス緩衝液に溶解し、GFP陽性細胞を細胞選別にて回収する。また、E−カドヘリンに対する抗体染色を行う場合には、マウス血清を106あたり10μl加え、氷上にて20分インキュベートしてブロッキングを行った。次に、ビオチン標識したE−カドヘリンの抗体を加え、氷上にて20分インキュベートした。20分後、1度1%BSAハンクス緩衝液で洗浄した。ストレプトアビジン−アロピコシアニン(Allopycocyanine)(APC)を含む500μlの1%BSAハンクス緩衝液に再溶解し、氷上にて20分インキュベートした。最後に、2回1%BSAハンクス緩衝液で洗浄し、106あたり1mlの1%BSAハンクス緩衝液に溶解し、細胞選別に使用した。なお、標識色素がPE(フィコエリスリン)でも同様の結果であった。
FacsVantage(Becton−Dickinson)の使用方法は、付属のガイドブックに準じた。ノズルの振動の頻度は26000程度、レベルは3V、drop delayは約12−14で行った。
参考例4 グースコイド陽性細胞の維持・分化
グースコイド(Gsc)陽性細胞の維持・分化には、表4の試薬および器具を使用した。
b.操作
BIOCOATコラーゲンIV被覆10cmディッシュに、細胞選別したGFP陽性細胞を播種した。
c.Gsc陽性細胞 維持・分化培地
維持・分化用培地の組成は、90% αMEM、10% FBS、5x10−5M 2−ME、および2mM L−グルタミンであった。
a.材料
胚性幹細胞の維持には、表1の試薬および器具を使用した。
胚性幹細胞の維持用培地の組成は、89% G−MEM、1% FBS、10% KSR、10−4M 2−ME、2mM L−グルタミン、0.1mM NEAAおよび1000U/ml LIFであった。
胚性幹細胞としては、マウス129系統由来のEB5細胞(Niwa H,et al.,Genes and Development 1998,12;2048−2060)を使用した。
b.操作
6cmディッシュをゼラチンでコートした。このディッシュに2x105のEB5胚性幹細胞を播種した。翌日、1度培地を交換した。2日目でコンフレントになったら、トリプシンを使用して細胞をディッシュから分離し、再び2x105の濃度で、ゼラチンコートされたディッシュに播種した。培養は、37℃、5%CO2のインキュベーター内で行った。
参考例2 胚性幹細胞の無血清培地での分化誘導
a.材料
胚性幹細胞の分化誘導には、表2の材料を使用した。
b. 胚性幹細胞の分化用培地
SF−03粉末に1リットルの蒸留水を加え、付属のNaHCO3 2.2gを加えて撹拌した。次に、二酸化炭素ガスを培地の色がオレンジ色になるまで加えた。BSAを濃度が0.1%、2MEが10−4Mになるように加え、30分以上撹拌した。最後にろ過滅菌した。
c.分化誘導操作
BIOCOATコラーゲンIV被覆10cmディッシュに1x105のEB5胚性幹細胞を播種した。3−6日目に細胞分離緩衝液(Invitrogen)を使用して細胞を分離し、その後の実験に使用した。
参考例3 FacsVantageによるGFP陽性細胞あるいはGFP陽性E−カドヘリン陽性細胞の選別
a.試薬の調製
表3の試薬を使用した。
脱イオン水900mlに対して100mlの10xハンクス緩衝液と10gのBSA(終濃度1%)を加えてよく撹拌した。BSAが溶解した後、0.2μmフィルターを用いて滅菌した。得られた溶液を以下、BSAハンクス緩衝液と称する。
b.操作
分化3−6日目の分化誘導した胚性幹細胞を細胞分離緩衝液を用いてばらばらに分離した後、1度1%BSAハンクス緩衝液で洗浄した。次に、106あたり1mlの1%BSAハンクス緩衝液に溶解し、GFP陽性細胞を細胞選別にて回収する。また、E−カドヘリンに対する抗体染色を行う場合には、マウス血清を106あたり10μl加え、氷上にて20分インキュベートしてブロッキングを行った。次に、ビオチン標識したE−カドヘリンの抗体を加え、氷上にて20分インキュベートした。20分後、1度1%BSAハンクス緩衝液で洗浄した。ストレプトアビジン−アロピコシアニン(Allopycocyanine)(APC)を含む500μlの1%BSAハンクス緩衝液に再溶解し、氷上にて20分インキュベートした。最後に、2回1%BSAハンクス緩衝液で洗浄し、106あたり1mlの1%BSAハンクス緩衝液に溶解し、細胞選別に使用した。なお、標識色素がPE(フィコエリスリン)でも同様の結果であった。
FacsVantage(Becton−Dickinson)の使用方法は、付属のガイドブックに準じた。ノズルの振動の頻度は26000程度、レベルは3V、drop delayは約12−14で行った。
参考例4 グースコイド陽性細胞の維持・分化
グースコイド(Gsc)陽性細胞の維持・分化には、表4の試薬および器具を使用した。
b.操作
BIOCOATコラーゲンIV被覆10cmディッシュに、細胞選別したGFP陽性細胞を播種した。
c.Gsc陽性細胞 維持・分化培地
維持・分化用培地の組成は、90% αMEM、10% FBS、5x10−5M 2−ME、および2mM L−グルタミンであった。
グースコイド−GFPノックイン胚性幹細胞の樹立
常法(例えば、Gu H,Zou YR,Rajewsky K.,Cell,1993,73,1155−1164)に従い、マウスグースコイド遺伝子の開始コドンATGに合わせて緑色蛍光タンパク質(Green Fluorecene protein(GFP))遺伝子を挿入した組立て物を作成し、胚性幹細胞に導入して相同組換えクローンを得た(図1A)。
目的のクローンであることは、GSC(グースコイド)遺伝子をプローブに用いたサザーンブロッティング分析により選別した。相同組換えが起こっていない正常細胞ではHindIII消化により6.5kb長の断片が出現するのに対し、相同組換えクローンでは6.5および5.5kb長の2種類の断片が出現する(図1B)。さらに、NEO遺伝子が完全に除かれているかを確認するため、NEOプローブでサザンブロッティングを行い、シグナルの消失を認めた(図1B右)。
上記操作を行った胚性幹細胞を、コラーゲンIV被覆培養プレートにLIFなしで、血清を加えた分化用培地とともに加え、37℃、5%CO2の培養器で培養すると、4日目に約3%のGFP陽性細胞を認めた。この細胞をFacsVantageを用いて細胞選別し、RT−PCR法にてグースコイド遺伝子の発現を調べた。その結果、GFP陽性細胞でのみグースコイドの発現が見られた(図2)。これにより、GFPの発現がグースコイドの発現と一致していることが確認された。
次いで、このGFP陽性細胞が他のNode(結節)細胞特異的遺伝子を発現しているかを同様にRT−PCRを用いて検討した(図3)。興味深いことにこの細胞はNode細胞特異的遺伝子のみならず内胚葉特異的マーカー遺伝子(GATA4、Sox17)も特異的に発現していた。この遺伝子発現のパターンはNode細胞とその子孫細胞のパターンに類似している。これにより、この細胞群がいわゆる中内胚葉の細胞を含んでいることが判明した。
常法(例えば、Gu H,Zou YR,Rajewsky K.,Cell,1993,73,1155−1164)に従い、マウスグースコイド遺伝子の開始コドンATGに合わせて緑色蛍光タンパク質(Green Fluorecene protein(GFP))遺伝子を挿入した組立て物を作成し、胚性幹細胞に導入して相同組換えクローンを得た(図1A)。
目的のクローンであることは、GSC(グースコイド)遺伝子をプローブに用いたサザーンブロッティング分析により選別した。相同組換えが起こっていない正常細胞ではHindIII消化により6.5kb長の断片が出現するのに対し、相同組換えクローンでは6.5および5.5kb長の2種類の断片が出現する(図1B)。さらに、NEO遺伝子が完全に除かれているかを確認するため、NEOプローブでサザンブロッティングを行い、シグナルの消失を認めた(図1B右)。
上記操作を行った胚性幹細胞を、コラーゲンIV被覆培養プレートにLIFなしで、血清を加えた分化用培地とともに加え、37℃、5%CO2の培養器で培養すると、4日目に約3%のGFP陽性細胞を認めた。この細胞をFacsVantageを用いて細胞選別し、RT−PCR法にてグースコイド遺伝子の発現を調べた。その結果、GFP陽性細胞でのみグースコイドの発現が見られた(図2)。これにより、GFPの発現がグースコイドの発現と一致していることが確認された。
次いで、このGFP陽性細胞が他のNode(結節)細胞特異的遺伝子を発現しているかを同様にRT−PCRを用いて検討した(図3)。興味深いことにこの細胞はNode細胞特異的遺伝子のみならず内胚葉特異的マーカー遺伝子(GATA4、Sox17)も特異的に発現していた。この遺伝子発現のパターンはNode細胞とその子孫細胞のパターンに類似している。これにより、この細胞群がいわゆる中内胚葉の細胞を含んでいることが判明した。
GSC陽性細胞の純化条件の確立
実施例1にて示されるように、血清添加培地ではGFP陽性細胞が2−3%と出現はするもののその割合は低い。まず血清ありの状態でアクチビンA、BMP−4(骨形成タンパク質−4)、BMP−2、LiCl等の添加で変化が見られるか比較検討した。しかし、アクチビンAで多少の効果が見られたのみであり、大きな効果は観察できなかった。そこでGSC−GFP陽性細胞を出現させる培養条件の検討を無血清培地を使い、同様のアクチビンA、BMP−4、BMP−2、LiCl等で比較検討した。詳細には、BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを10ng/mlの濃度で0日目から添加しておいた。2日目から6日目までのGFPの発現をFacsを用いて解析した。その結果、アクチビンAを加えた場合、6日目に97%の細胞にGFPの発現が誘導された(図4)。一方、BMP−4、BMP−2、LiClでは誘導されなかった。さらに、アクチビンAを0、0.3、1、10ng/mlの濃度で0日目から添加しておく実験を同様に行い、4日目でGFPの発現をFacsを用いて解析した。これにより、アクチビンAの濃度依存的にGFP陽性細胞の割合が増加することが判明した(図5)。このようにして得られた細胞の遺伝子発現は、血清添加時に得られたGFP陽性細胞と同じく、Node細胞特異的遺伝子であるHNF−3β,Lim1、および内胚葉特異的遺伝子であるGATA−4,Sox17を発現していた。
次に、GFP陽性細胞の分化誘導に与えるBMP−4とbFGF(塩基性フィブロブラスト成長因子)の影響を調べた。
BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを3ng/mlと一定の濃度で、BMP4とbFGFを10ng/mlの濃度で加えた。BMP4添加時では、Gsc−GFP陽性細胞の割合が減少し、抑制効果があるのに対し、bFGF添加時では、逆にアクチビンA単独添加時よりも増強された(図6)。このことから、GFP陽性細胞の分化誘導はあらゆる成長因子で誘導されるわけではなく、アクチビンAとbFGFがその能力をもつことが分かる(bFGFは補助的であるが)。
実施例1にて示されるように、血清添加培地ではGFP陽性細胞が2−3%と出現はするもののその割合は低い。まず血清ありの状態でアクチビンA、BMP−4(骨形成タンパク質−4)、BMP−2、LiCl等の添加で変化が見られるか比較検討した。しかし、アクチビンAで多少の効果が見られたのみであり、大きな効果は観察できなかった。そこでGSC−GFP陽性細胞を出現させる培養条件の検討を無血清培地を使い、同様のアクチビンA、BMP−4、BMP−2、LiCl等で比較検討した。詳細には、BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを10ng/mlの濃度で0日目から添加しておいた。2日目から6日目までのGFPの発現をFacsを用いて解析した。その結果、アクチビンAを加えた場合、6日目に97%の細胞にGFPの発現が誘導された(図4)。一方、BMP−4、BMP−2、LiClでは誘導されなかった。さらに、アクチビンAを0、0.3、1、10ng/mlの濃度で0日目から添加しておく実験を同様に行い、4日目でGFPの発現をFacsを用いて解析した。これにより、アクチビンAの濃度依存的にGFP陽性細胞の割合が増加することが判明した(図5)。このようにして得られた細胞の遺伝子発現は、血清添加時に得られたGFP陽性細胞と同じく、Node細胞特異的遺伝子であるHNF−3β,Lim1、および内胚葉特異的遺伝子であるGATA−4,Sox17を発現していた。
次に、GFP陽性細胞の分化誘導に与えるBMP−4とbFGF(塩基性フィブロブラスト成長因子)の影響を調べた。
BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを3ng/mlと一定の濃度で、BMP4とbFGFを10ng/mlの濃度で加えた。BMP4添加時では、Gsc−GFP陽性細胞の割合が減少し、抑制効果があるのに対し、bFGF添加時では、逆にアクチビンA単独添加時よりも増強された(図6)。このことから、GFP陽性細胞の分化誘導はあらゆる成長因子で誘導されるわけではなく、アクチビンAとbFGFがその能力をもつことが分かる(bFGFは補助的であるが)。
GFP陽性細胞から内胚葉細胞の分離と増殖
GFP陽性細胞の分化能を解析するため、内胚葉と外胚葉に発現しているE−カドヘリンの発現パターンが胚性幹細胞の分化に伴ってどのように変化するか解析した。BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを10ng/mlの濃度で0日目から添加しておいた。4日目、5日目、6日目にGFPの発現とE−カドヘリンの発現をFacsを用いて解析した。4日目ではGFP陽性細胞のほとんどE−カドヘリン陽性であった。分化が進むにつれ、GFP陽性E−カドヘリン陰性細胞が出現し、その割合が増加した(図7)。この結果は、グースコイドが中内胚葉に発現することと考えあわせるとGFP陽性E−カドヘリン陽性の細胞は内胚葉系の細胞であることを示すと考えられた。
次いで、GFP陽性の中でE−カドヘリン陽性と陰性の細胞からの上皮様細胞への分化を試みた。
BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを10ng/mlの濃度で0日目から添加しておいた。6日目にGFP陽性細胞E−カドヘリン陽性細胞とGFP陽性E−カドヘリン陰性細胞をそれぞれ、E−カドヘリンの抗体で染色し、FacsVantageを用いて細胞選別により純化した。これらの細胞を血清入りの分化用培地で培養するとE−カドヘリン陽性分画からは上皮様の細胞のみが効率に出現してきたのに対し、E−カドヘリン陰性分画からは、このようなの上皮様の細胞の出現はほとんど観察できなかった(図8A)。これは、GFP陽性細胞E−カドヘリン陽性細胞のほうから優先的に上皮様細胞が出現してくることを意味する。
次に、この上皮様の細胞の細胞系列を調べるために、細胞系列特異的な遺伝子の発現をRT−PCR法にて解析した。その結果、内胚葉特異的マーカーであるHNF3b、Sox17、GATA4が発現しているものの、肝細胞や膵臓の細胞で発現する分子の発現は見られなかった(図8B)。細胞形態(図8A)と、この遺伝子発現のパターンより、6日目のGFP陽性E−カドヘリン陽性から分化した上皮様の細胞は、内胚葉細胞であることが示された。
GFP陽性細胞の分化能を解析するため、内胚葉と外胚葉に発現しているE−カドヘリンの発現パターンが胚性幹細胞の分化に伴ってどのように変化するか解析した。BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを10ng/mlの濃度で0日目から添加しておいた。4日目、5日目、6日目にGFPの発現とE−カドヘリンの発現をFacsを用いて解析した。4日目ではGFP陽性細胞のほとんどE−カドヘリン陽性であった。分化が進むにつれ、GFP陽性E−カドヘリン陰性細胞が出現し、その割合が増加した(図7)。この結果は、グースコイドが中内胚葉に発現することと考えあわせるとGFP陽性E−カドヘリン陽性の細胞は内胚葉系の細胞であることを示すと考えられた。
次いで、GFP陽性の中でE−カドヘリン陽性と陰性の細胞からの上皮様細胞への分化を試みた。
BIOCOATコラーゲンIV被覆ディッシュにグースコイドノックイン胚性幹細胞をLIFなしで無血清の状態で分化誘導用培地を用いて分化誘導を開始した。このときアクチビンAを10ng/mlの濃度で0日目から添加しておいた。6日目にGFP陽性細胞E−カドヘリン陽性細胞とGFP陽性E−カドヘリン陰性細胞をそれぞれ、E−カドヘリンの抗体で染色し、FacsVantageを用いて細胞選別により純化した。これらの細胞を血清入りの分化用培地で培養するとE−カドヘリン陽性分画からは上皮様の細胞のみが効率に出現してきたのに対し、E−カドヘリン陰性分画からは、このようなの上皮様の細胞の出現はほとんど観察できなかった(図8A)。これは、GFP陽性細胞E−カドヘリン陽性細胞のほうから優先的に上皮様細胞が出現してくることを意味する。
次に、この上皮様の細胞の細胞系列を調べるために、細胞系列特異的な遺伝子の発現をRT−PCR法にて解析した。その結果、内胚葉特異的マーカーであるHNF3b、Sox17、GATA4が発現しているものの、肝細胞や膵臓の細胞で発現する分子の発現は見られなかった(図8B)。細胞形態(図8A)と、この遺伝子発現のパターンより、6日目のGFP陽性E−カドヘリン陽性から分化した上皮様の細胞は、内胚葉細胞であることが示された。
本発明の内胚葉系幹細胞は内胚葉細胞に分化し、得られた内胚葉細胞は、将来、胃、十二指腸、腸管、肝臓、膵臓、大腸に分化する細胞である。この内胚葉細胞は薬物の開発に利用でき、あるいはホルモンや生理活性物質等の産生細胞、例えばインスリン産生細胞としての利用、または臨床的に利用することができる。
Claims (14)
- 多能性幹細胞からインビトロにおいて分化させた内胚葉系幹細胞であって、オルガナイザー特異的マーカー陽性およびE−カドヘリン陽性である細胞。
- 多能性幹細胞が胚性幹細胞である、請求項1記載の細胞。
- オルガナイザー特異的マーカーがグースコイドである、請求項1または2記載の細胞。
- オルガナイザー特異的マーカーに標識タンパク質が融合されている、請求項3記載の細胞。
- 標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項4記載の細胞。
- a)多能性幹細胞を培養し、
b)オルガナイザー特異的マーカーおよびE−カドヘリンを発現している細胞を選別し分離する、
ことを特徴とする、内胚葉系幹細胞の調製方法。 - 選別段階においてセルソーターを用いる、請求項6記載の方法。
- コラーゲンIVでコートした培養プレート上の無血清培地中、アクチビンの存在下に多能性幹細胞を培養することにより、多能性幹細胞を内胚葉系幹細胞に分化させる、請求項6または7記載の方法。
- 請求項1から5までのいずれか記載の内胚葉系幹細胞を分化させ、目的の内胚葉細胞を調製する方法。
- コラーゲンIVでコートした培養プレート上の無血清培地中、アクチビンの存在下に内胚葉系幹細胞を培養することにより、内胚葉系幹細胞を内胚葉細胞に分化させる、請求項9記載の方法。
- 請求項9または10記載の調製方法により得られる内胚葉細胞。
- 多能性幹細胞から目的の中間幹細胞を調製する方法であって、
a)多能性幹細胞のゲノム中、所定のマーカー遺伝子の発現系に適合するように標識タンパク質の遺伝子を導入し、それにより所定のマーカー遺伝子の代わりに、またはそれとともに該標識タンパク質が発現されるようにし、
b)該標識タンパク質の標識を指標に目的の中間幹細胞を選別し分離する、
ことを特徴とする方法。 - 多能性幹細胞が胚性幹細胞であり、標識タンパク質が緑色蛍光タンパク質である、請求項11記載の方法。
- 中間幹細胞が内胚葉系幹細胞である、請求項12または13記載の方法。
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