JPWO2004102244A1 - プラスチック光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
環境温度等の変化によって生じるマイクロベンドの発生を抑制し、かつ、細径のプラスチック光ファイバケーブルを提供する。このプラスチック光ファイバケーブルは、複数のPOFと、抗張力体とで構成され、POFおよび抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成している。抗張力体は集合体の中央に配置されていることが好ましい。
Description
本発明は、複数のプラスチック光ファイバで構成されている通信用プラスチック光ファイバケーブルに関する。
大容量の通信媒体として用いられている光ファイバは、石英ガラス光ファイバ(Silica Glass Fiber)と、プラスチック光ファイバ(以下POFと記す)に大別される。このうちPOFは、石英ガラス光ファイバに比較してコア径が大きく、端末処理等の作業性に優れていることから各種用途が拡大している。特に、屈折率分布型のフッ素樹脂からなるPOFは、伝送損失が10dB/km以下で、数百m以上での適用が可能である。具体的な用途としては、インテリジェントビル(Intelligent Building)等のLAN(Local Area Network)用通信媒体として実用化が進められている。
光ファイバは、裸のまま(以下光ファイバ素線(Bare Fiber)と記す)では実用的ではない。光ファイバの保護、多芯化、コネクタ付け等の必要性から、光ファイバ素線に被覆を施したり、抗張力材等と複合化、すなわちケーブル化されて使用される。
このケーブル化において留意しなければならない特性の1つに、環境温度等の変化によって光ファイバにマイクロベンドが発生し、その結果伝送損失が劣化する現象がある。特に、通常のプラスチック光ファイバケーブルでは、コア径が100μm以上のPOFが使用されている。光ファイバでは、コア径が大きくファイバ径が小さくなると、微小曲がりによる損失は急激に増加することが知られている(R.Olshansky,APPLIED OPTICS Vol.14,1975,pp20−21)。そのため、石英ガラス光ファイバに比べてPOFではマイクロベンドの発生を抑制する対策が必要となっている。
光ファイバのマイクロベンド抑制に関しては、いくつかの提案がなされている。例えば、特開2000−221373号公報には、光ファイバ素線に3層被覆された複数の光ファイバ心線を、抗張力体と一体化されたチューブ内にルースに収納し、防水用ジェリー状混和物を充填し、光ファイバ心線が他の固形物と接触することを避けた光ファイバユニットが開示されている。
また、特開2000−275482号公報には、光ファイバに一次被覆層が形成された複数の光ファイバ心線を中心テンションメンバーの周りに撚り合わせ、これらの周囲に低ヤング率でガラス転移温度が低温の一体化材を一括被覆した光ファイバユニットが開示されている。
更に特開2002−328279号公報には、耐熱性、屈曲による機械的特性に優れ、伝送損失が増加しない光ファイバケーブルとして、外被層で囲まれた空間内に、軸芯部と複数の仕切り板部を有し、かつその断面が該軸芯部から外被層の内周面に向けて複数の仕切り板部が放射状に形成された形状を有し、外被層の内周面と接する先端に形成された拡大部と、該拡大部と軸芯部を連絡する連絡部とを有する仕切り板部によって前記空間内が複数の仕切り条溝に区画され、2本以上の光ファイバが仕切り条溝内に分散配置されている構成が開示されている。
また、特開2002−350696号公報には、可撓性を有して取扱いが容易な光ファイバケーブルとして、複数本のプラスチック光ファイバおよび抗張力性補強部材を有する芯層、該芯層を包囲するようにフッ素樹脂製テープを巻回してなる緩衝層、並びに、該緩衝層の外側に設けられかつフッ素樹脂の溶融押出し被覆で形成された保護層を有する構成が開示されている。
上記の従来技術のうち、特開2000−221373号公報のケーブルは、光海底ケーブルに用いられるため石英ガラス光ファイバが使用される。この構成でPOFを用いた場合、高温ではPOFの伸びがチューブより大きいためマイクロベンドが発生しやすくなり、石英ガラス光ファイバよりはるかに大きな損失増加が生じてしまうという問題があった。また、チューブ内径を大きくする方式も考えられるが、チューブ内径を大きくすると、ケーブル外径が大きくなり細径の実現は不可能となる。また、チューブ内にジェリー状混和物を注入すると、POFとジェリー状混和物の線膨張係数の違いにより、温度変化に対してさらに損失増加が生じてしまう。
また、特開2000−275482号公報のケーブルも、光海底ケーブルに用いられるために石英ガラス光ファイバが使用される。よって、この構成にPOFを用いた場合も、POFと一体化材の線膨張係数の差から温度変化に対してマイクロベンドが生じやすくなる。また、高温では中心のテンションメンバーよりPOFの伸びが大きく一体化材のヤング率が小さいため伸びが抑制されず、やはりPOFにマイクロベンドが発生しやすくなる。なお、上記同様にPOFの外径を大きくする方式や、被覆を施すことにより外径を大きくする方式も考えられるが、結果的にケーブル外径が大きくなり細径のケーブルの実現が不可能となる。
また、特開2002−328279号公報のケーブル構成においては仕切りスペーサを用い、特開2002−350696号公報のケーブル構成においては緩衝槽および保護層が必要であるため、共にケーブルの構成が複雑で結果的にケーブル外径が大きくなってしまうという問題があった。
光ファイバは、裸のまま(以下光ファイバ素線(Bare Fiber)と記す)では実用的ではない。光ファイバの保護、多芯化、コネクタ付け等の必要性から、光ファイバ素線に被覆を施したり、抗張力材等と複合化、すなわちケーブル化されて使用される。
このケーブル化において留意しなければならない特性の1つに、環境温度等の変化によって光ファイバにマイクロベンドが発生し、その結果伝送損失が劣化する現象がある。特に、通常のプラスチック光ファイバケーブルでは、コア径が100μm以上のPOFが使用されている。光ファイバでは、コア径が大きくファイバ径が小さくなると、微小曲がりによる損失は急激に増加することが知られている(R.Olshansky,APPLIED OPTICS Vol.14,1975,pp20−21)。そのため、石英ガラス光ファイバに比べてPOFではマイクロベンドの発生を抑制する対策が必要となっている。
光ファイバのマイクロベンド抑制に関しては、いくつかの提案がなされている。例えば、特開2000−221373号公報には、光ファイバ素線に3層被覆された複数の光ファイバ心線を、抗張力体と一体化されたチューブ内にルースに収納し、防水用ジェリー状混和物を充填し、光ファイバ心線が他の固形物と接触することを避けた光ファイバユニットが開示されている。
また、特開2000−275482号公報には、光ファイバに一次被覆層が形成された複数の光ファイバ心線を中心テンションメンバーの周りに撚り合わせ、これらの周囲に低ヤング率でガラス転移温度が低温の一体化材を一括被覆した光ファイバユニットが開示されている。
更に特開2002−328279号公報には、耐熱性、屈曲による機械的特性に優れ、伝送損失が増加しない光ファイバケーブルとして、外被層で囲まれた空間内に、軸芯部と複数の仕切り板部を有し、かつその断面が該軸芯部から外被層の内周面に向けて複数の仕切り板部が放射状に形成された形状を有し、外被層の内周面と接する先端に形成された拡大部と、該拡大部と軸芯部を連絡する連絡部とを有する仕切り板部によって前記空間内が複数の仕切り条溝に区画され、2本以上の光ファイバが仕切り条溝内に分散配置されている構成が開示されている。
また、特開2002−350696号公報には、可撓性を有して取扱いが容易な光ファイバケーブルとして、複数本のプラスチック光ファイバおよび抗張力性補強部材を有する芯層、該芯層を包囲するようにフッ素樹脂製テープを巻回してなる緩衝層、並びに、該緩衝層の外側に設けられかつフッ素樹脂の溶融押出し被覆で形成された保護層を有する構成が開示されている。
上記の従来技術のうち、特開2000−221373号公報のケーブルは、光海底ケーブルに用いられるため石英ガラス光ファイバが使用される。この構成でPOFを用いた場合、高温ではPOFの伸びがチューブより大きいためマイクロベンドが発生しやすくなり、石英ガラス光ファイバよりはるかに大きな損失増加が生じてしまうという問題があった。また、チューブ内径を大きくする方式も考えられるが、チューブ内径を大きくすると、ケーブル外径が大きくなり細径の実現は不可能となる。また、チューブ内にジェリー状混和物を注入すると、POFとジェリー状混和物の線膨張係数の違いにより、温度変化に対してさらに損失増加が生じてしまう。
また、特開2000−275482号公報のケーブルも、光海底ケーブルに用いられるために石英ガラス光ファイバが使用される。よって、この構成にPOFを用いた場合も、POFと一体化材の線膨張係数の差から温度変化に対してマイクロベンドが生じやすくなる。また、高温では中心のテンションメンバーよりPOFの伸びが大きく一体化材のヤング率が小さいため伸びが抑制されず、やはりPOFにマイクロベンドが発生しやすくなる。なお、上記同様にPOFの外径を大きくする方式や、被覆を施すことにより外径を大きくする方式も考えられるが、結果的にケーブル外径が大きくなり細径のケーブルの実現が不可能となる。
また、特開2002−328279号公報のケーブル構成においては仕切りスペーサを用い、特開2002−350696号公報のケーブル構成においては緩衝槽および保護層が必要であるため、共にケーブルの構成が複雑で結果的にケーブル外径が大きくなってしまうという問題があった。
本発明の目的は、POFのマイクロベンド発生を抑制し、かつ、細径のプラスチック光ファイバケーブルを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの1つは、複数のプラスチック光ファイバで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
また、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの他の1つは、複数のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバと同様な線膨張係数を有するダミーファイバとで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバおよび前記ダミーファイバとが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
更に、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の1つは、複数のプラスチック光ファイバと、抗張力体とで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバおよび前記抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
また、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の1つは、複数のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバと同様な線膨張係数を有するダミーファイバと、抗張力体とで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバと前記ダミーファイバと前記抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
この場合、前記抗張力体が前記集合体の中心部に配置されていることが好ましい。また、前記抗張力体が金属線または繊維強化プラスチックであることが好ましい。
更に、前記集合体が、テープ状物で巻き付けられて一体化されているか、糸状物で巻き付けられて一体化されているか、または、集束された状態で互いに接触する接触部近傍のみが接着されて一体化されていることが好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルによれば、複数のPOF同士、POFとダミーファイバまたは抗張力体とが、集束して一体化されて集合体を形成するようにしたので、POFの実効断面積が増加して、外力に対する曲がり難さが大幅に向上する。その結果、環境温度変化等によるマイクロベンドが生じ難くなる。
また、POFは、曲がりに対しては石英ガラス光ファイバに比較して損失増加が生じやすいが、直線的な引張り、圧縮、側圧に対しては、石英ガラス光ファイバと同様に損失増加は生じ難い。そのため、複数のPOF同士、POFとダミーファイバまたは抗張力体とを一体化して集合体を形成しても損失増加が生じることはない。
また、ケーブルの構成が単純であるので細径のプラスチック光ファイバケーブルを提供することができる。
更に、集合体の断面方向の中心部に抗張力体を配置した構成では、温度変化等の環境変化に対して、POFの伸び、縮みを抑制し、残留応力をPOFの直線的応力に変換させることを目的にしている。
例えば、この集合体の温度が上昇した場合、POFの伸びは、集合体と抗張力体の引張弾性率の差に応じて抑制され、POF内には長手方向での直線的な圧縮応力が残存する。逆に温度が低下した場合はPOF内に直線的な引張応力が残存する。POFは前述のように長手方向での直線的な外力に対しては損失増加を生じにくいために、これらの残存応力によって損失増加が生じることはない。
上記目的を達成するため、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの1つは、複数のプラスチック光ファイバで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
また、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの他の1つは、複数のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバと同様な線膨張係数を有するダミーファイバとで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバおよび前記ダミーファイバとが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
更に、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の1つは、複数のプラスチック光ファイバと、抗張力体とで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバおよび前記抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
また、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の1つは、複数のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバと同様な線膨張係数を有するダミーファイバと、抗張力体とで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバと前記ダミーファイバと前記抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とする。
この場合、前記抗張力体が前記集合体の中心部に配置されていることが好ましい。また、前記抗張力体が金属線または繊維強化プラスチックであることが好ましい。
更に、前記集合体が、テープ状物で巻き付けられて一体化されているか、糸状物で巻き付けられて一体化されているか、または、集束された状態で互いに接触する接触部近傍のみが接着されて一体化されていることが好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルによれば、複数のPOF同士、POFとダミーファイバまたは抗張力体とが、集束して一体化されて集合体を形成するようにしたので、POFの実効断面積が増加して、外力に対する曲がり難さが大幅に向上する。その結果、環境温度変化等によるマイクロベンドが生じ難くなる。
また、POFは、曲がりに対しては石英ガラス光ファイバに比較して損失増加が生じやすいが、直線的な引張り、圧縮、側圧に対しては、石英ガラス光ファイバと同様に損失増加は生じ難い。そのため、複数のPOF同士、POFとダミーファイバまたは抗張力体とを一体化して集合体を形成しても損失増加が生じることはない。
また、ケーブルの構成が単純であるので細径のプラスチック光ファイバケーブルを提供することができる。
更に、集合体の断面方向の中心部に抗張力体を配置した構成では、温度変化等の環境変化に対して、POFの伸び、縮みを抑制し、残留応力をPOFの直線的応力に変換させることを目的にしている。
例えば、この集合体の温度が上昇した場合、POFの伸びは、集合体と抗張力体の引張弾性率の差に応じて抑制され、POF内には長手方向での直線的な圧縮応力が残存する。逆に温度が低下した場合はPOF内に直線的な引張応力が残存する。POFは前述のように長手方向での直線的な外力に対しては損失増加を生じにくいために、これらの残存応力によって損失増加が生じることはない。
図1は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図である。
図2は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。
図3は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の実施形態を示す断面図である。
図4は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の実施形態を示す断面図である。
図5は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の実施形態を示す断面図である。
図2は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。
図3は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の実施形態を示す断面図である。
図4は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の実施形態を示す断面図である。
図5は、本発明のプラスチック光ファイバケーブルの更に他の実施形態を示す断面図である。
1:POF、 2:ダミーファイバ、 3:抗張力体、 4:テープ、
8:繊維抗張力体、 9:被覆部、
10、20、30、40、50:プラスチック光ファイバケーブル、
15、25、35、45、55:集合体。
8:繊維抗張力体、 9:被覆部、
10、20、30、40、50:プラスチック光ファイバケーブル、
15、25、35、45、55:集合体。
以下、本発明のプラスチック光ファイバケーブルについて、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、このプラスチック光ファイバケーブル10は、中心部にほぼ正方形状に集束されている4本のPOF1を、テープ4で一体化して得られる集合体15と、集合体15の外周を囲むように配置される繊維抗張力体8と、更に繊維抗張力体8の外周に被覆される被覆部9とで構成される4心ケーブルとなっている。
集合体15を構成するPOF1の材質としては特に限定されず、例えば、フッ素樹脂からなる中心部とその外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型のプラスチック光ファイバ(以下フッ素樹脂系POFという)や、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が使用できる。なかでも上記のフッ素樹脂系POFを用いることが、伝送損失が低く、使用できる光の波長領域が広いことから好ましい。また、POF1の外径としては400〜1000μmであることが好ましい。
このPOF1は、4本が断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で、テープ4によって巻きつけられて一体化されて集合体15を形成している。
このような集合体15を形成することにより、4本のPOF1が一体化されてPOFの実効断面積はおよそ4倍となるので、外力に対する曲がり難さが大幅に向上する。その結果、環境温度変化等によるマイクロベンドは生じ難くなる。
集合体15を構成するPOF1の本数は、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束されていればよく特に限定されないが、3〜6本であることが好ましく、4本であることがより好ましい。
テープ4は、集合体15を一体化する手段として用いられる。テープ4の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル不織布、紙等を用いることができる。テープ4の幅や厚さも適宜選択可能である。このうちテープの幅は2〜10mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。またテープの厚さは、3〜100μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。テープの厚さは、長手方向で均一な厚さとなることが好ましい。厚さが上記範囲より厚くなったり、長手方向で厚さが不均一な場合、POF1とテープ4との線膨張係数の差により、環境温度等の変化でPOF1にマイクロベンドが発生し、結果的に伝送損失を増大させる可能性があるので好ましくない。
巻きつけピッチはテープ幅と同等かそれ以上が好ましく、テープ幅の4〜12倍がより好ましく、5〜10倍が特に好ましく、6〜9倍が最も好ましい。ここで巻きつけピッチとは、1本のテープを巻く場合に、集合体の軸線を含む断面において、互いに隣り合うテープの相対応する2点(例えば幅方向の中心)を軸線に平行に計った距離をいう。例えばテープ幅が4mmの場合に、巻きつけピッチが8mmであれば、巻きつけピッチはテープ幅の2倍である。巻きつけピッチをこのような範囲にすることにより、集合体の一体化によるマイクロベンドの発生を抑制しつつ、ケーブル製造時における損失の増加も抑制できる。また、テープ4の長手方向には若干の弾性を有することが好ましい。
なお、本発明においては、集合体15を一体化する手段はテープ4のようなテープ状物以外に、糸状物を巻きつけてもよい。このような糸状物としては、綿糸、絹糸等の天然糸、アクリル、ポリエステル等の合成繊維糸、アラミド繊維糸等が挙げられる。
また、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触する接触部近傍のみを接着によって一体化してもよい。このような接着は、例えば、エポキシ系接着剤、シリコンシーリング剤によって行なうことができる。この場合、接着は接触部近傍のみが好ましい。広い外周面積での接着を行なうと、POFと樹脂剤等との線膨張係数の差により、温度変化に応じてマイクロベンドが生じ、結果的に損失が増大してしまうので好ましくない。
集合体15における、POF同士、または、POFと後述するダミーファイバまたは抗張力体との側面の密着強度は、ファイバ外径500μmで、集合体からのPOF1本の長さ30mmあたりの引き抜き張力として、30〜1000gが好ましく、100〜600gがより好ましく、100〜350gが特に好ましく、200〜300gが最も好ましい。密着強度が30g未満であると実効断面積の増大効果がなく、また、1000gを超えるとテープ4等によってPOF1の外周部に変形を生じさせて集合体15の加工時(実際にはケーブルの製造時)に損失増加が生じるので好ましくない。すなわち本発明において、集合体が一体化しているとは、好適には集合体からのPOF1本の長さ30mmあたりの引き抜き張力が上記範囲であることを好ましく意味する。
なお、集合体15の周囲に配置される繊維抗張力体8としては、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が使用できる。また、繊維抗張力体8の外周に被覆される被覆部9としては、例えば、ポリ塩化ビニルや難燃性ポリエチレン等が使用可能であり特に限定されない。
以上のように、このプラスチック光ファイバケーブル10によれば、環境温度等の変化によって生じるマイクロベンドの発生を抑制し、かつ、細径のプラスチック光ファイバケーブルを提供できる。具体的には、上記の構成によれば、マイクロベンドの発生を抑制しつつ、2〜5mm、好適には2〜3.5mmの外径の、細いプラスチック光ファイバケーブル10を得ることができる。
図4には、本発明の別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。なお、以下の実施形態の説明においては、前記実施形態と同一部分には同符合を付して、その説明を省略することにする。
このプラスチック光ファイバケーブル40においては、図1に示された態様に加えて、さらに4本のPOF1の間の空隙の位置に、後述する抗張力体3を配置したものである。このとき例えばPOF1のファイバ外径が500μmである場合に、外径が約200μmの抗張力体を配置することが好ましい。この場合に被覆部の外径を2.6mmとすることができ、細く耐久性に優れたプラスチック光ファイバケーブルが得られる。この構成にするとマイクロベンドの発生をより抑制することが可能である。
図2には、本発明の別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。
このプラスチック光ファイバケーブル20においては、2本のPOF1と2本のダミーファイバ2とが交互に配置されている点が、図1のプラスチック光ファイバケーブル10と異なっている。すなわち2本のPOF1と2本のダミーファイバ2によって、集合体25が構成されている。POF1とダミーファイバとの合計の本数は3〜6本であることが好ましい。
このように、本発明においては、ダミーファイバを用いて実効断面積を増大させてもよく、これによっても、温度変化等によるマイクロベンドの発生を抑制することができる。
この場合、ダミーファイバ2は、POF1と全く同じものを用いてもよく、異なる構成のものを用いてもよいが、ダミーファイバ2はPOF1と同様な線膨張係数を有することが好ましい。線膨張係数が異なると、温度変化に対してマイクロベンドが生じやすくなり、伝送損失の増加が生じるので好ましくない。
POFと異なる構成のダミーファイバ2としては、具体的には、例えば、POFとして上記のフッ素樹脂系POFを用いる場合、これと同程度の外径を有するアクリルファイバ等を用いることができる。この場合、両者の線膨張係数は共に8×10−5/℃程度である。
なお、本発明における、POFおよびダミーファイバとが断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態とは、図2のような接触状態を含む概念であり、接触箇所には、POF同士の接触箇所のみならず、POFとダミーファイバとの接触箇所も含まれる。
図5には、本発明の別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。このプラスチック光ファイバケーブル50においては、図2に示された態様に加えて、さらに集合体45の中心の空隙の位置に、後述する抗張力体3を配置したものである。
図3には、本発明の更に別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。このプラスチック光ファイバケーブル30においては、集合体35が、中心部の抗張力体3の周囲に6本のPOF1が撚り合せられ、その外周がテープ4で巻きつけられて一体化され、集合体35が形成されている6心ケーブルである。
抗張力体3としては、例えば、亜鉛メッキ硬鋼線、銅合金線、ステンレス線等の金属線や、アラミド繊維、ガラス繊維等を樹脂で固化した繊維強化プラスチック等が好ましく用いられる。抗張力体として金属線を用いると、材料が入手しやすい等の点で好ましい。また抗張力体として繊維強化プラスチックを用いると、抗張力体と繊維抗張力体との線膨張係数を合わせやすく、導電体を用いないプラスチック光ファイバケーブルが得られる点で好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルにおいて、集合体の中心部に抗張力体を配置し、さらに集合体の外周を囲むように繊維抗張力体が配置される場合に、該抗張力体および該繊維抗張力体のそれぞれの線膨張係数がほぼ等しいことが好ましい。ここでほぼ等しいとは、一方の線膨張係数が他方の線膨張係数の5倍以内、好ましくは3倍以内であることを意味する。例えば抗張力体として金属線を用い、繊維抗張力体としてアラミド繊維を用いる場合に、金属線としては銅合金線を用いることが、抗張力体と繊維抗張力体とのそれぞれの線膨張係数が近い点から好ましい。
この集合体35で温度変化が生じると、POF1の伸びまたは縮みは、中心部の抗張力体3によって制約を受け、伸縮方向は横弾性率の大きい抗張力体3に沿った方向となり、かつ伸び量も抑制される。その結果、POF1には温度変化に応じた圧縮または引張り応力が発生する。
例えば、常温に対して45℃の温度低下が生じた時、集合体35の縮みは0.4%となり、一本あたりのPOF1の引張応力は伸び率で0.35%に相当する値となる。
POF1は、直線的な引張応力に対しては約3%の伸びまでは損失増加が生じることはないので、上記の0.35%程度の引張応力では損失増加が生じることはない。一方、逆に高温側への温度変化があった場合は、POF1の伸びが抑制され、その結果POF1へは圧縮応力が発生する。引張応力と同様にPOF1は圧縮に対しても損失増加は生じない。したがって、この構成によれば、特に温度変化に対して優れた伝送特性を実現することができる。
図1に示すように、このプラスチック光ファイバケーブル10は、中心部にほぼ正方形状に集束されている4本のPOF1を、テープ4で一体化して得られる集合体15と、集合体15の外周を囲むように配置される繊維抗張力体8と、更に繊維抗張力体8の外周に被覆される被覆部9とで構成される4心ケーブルとなっている。
集合体15を構成するPOF1の材質としては特に限定されず、例えば、フッ素樹脂からなる中心部とその外周を被覆するアクリル系樹脂とからなる屈折率分布型のプラスチック光ファイバ(以下フッ素樹脂系POFという)や、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が使用できる。なかでも上記のフッ素樹脂系POFを用いることが、伝送損失が低く、使用できる光の波長領域が広いことから好ましい。また、POF1の外径としては400〜1000μmであることが好ましい。
このPOF1は、4本が断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で、テープ4によって巻きつけられて一体化されて集合体15を形成している。
このような集合体15を形成することにより、4本のPOF1が一体化されてPOFの実効断面積はおよそ4倍となるので、外力に対する曲がり難さが大幅に向上する。その結果、環境温度変化等によるマイクロベンドは生じ難くなる。
集合体15を構成するPOF1の本数は、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束されていればよく特に限定されないが、3〜6本であることが好ましく、4本であることがより好ましい。
テープ4は、集合体15を一体化する手段として用いられる。テープ4の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル不織布、紙等を用いることができる。テープ4の幅や厚さも適宜選択可能である。このうちテープの幅は2〜10mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。またテープの厚さは、3〜100μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。テープの厚さは、長手方向で均一な厚さとなることが好ましい。厚さが上記範囲より厚くなったり、長手方向で厚さが不均一な場合、POF1とテープ4との線膨張係数の差により、環境温度等の変化でPOF1にマイクロベンドが発生し、結果的に伝送損失を増大させる可能性があるので好ましくない。
巻きつけピッチはテープ幅と同等かそれ以上が好ましく、テープ幅の4〜12倍がより好ましく、5〜10倍が特に好ましく、6〜9倍が最も好ましい。ここで巻きつけピッチとは、1本のテープを巻く場合に、集合体の軸線を含む断面において、互いに隣り合うテープの相対応する2点(例えば幅方向の中心)を軸線に平行に計った距離をいう。例えばテープ幅が4mmの場合に、巻きつけピッチが8mmであれば、巻きつけピッチはテープ幅の2倍である。巻きつけピッチをこのような範囲にすることにより、集合体の一体化によるマイクロベンドの発生を抑制しつつ、ケーブル製造時における損失の増加も抑制できる。また、テープ4の長手方向には若干の弾性を有することが好ましい。
なお、本発明においては、集合体15を一体化する手段はテープ4のようなテープ状物以外に、糸状物を巻きつけてもよい。このような糸状物としては、綿糸、絹糸等の天然糸、アクリル、ポリエステル等の合成繊維糸、アラミド繊維糸等が挙げられる。
また、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触する接触部近傍のみを接着によって一体化してもよい。このような接着は、例えば、エポキシ系接着剤、シリコンシーリング剤によって行なうことができる。この場合、接着は接触部近傍のみが好ましい。広い外周面積での接着を行なうと、POFと樹脂剤等との線膨張係数の差により、温度変化に応じてマイクロベンドが生じ、結果的に損失が増大してしまうので好ましくない。
集合体15における、POF同士、または、POFと後述するダミーファイバまたは抗張力体との側面の密着強度は、ファイバ外径500μmで、集合体からのPOF1本の長さ30mmあたりの引き抜き張力として、30〜1000gが好ましく、100〜600gがより好ましく、100〜350gが特に好ましく、200〜300gが最も好ましい。密着強度が30g未満であると実効断面積の増大効果がなく、また、1000gを超えるとテープ4等によってPOF1の外周部に変形を生じさせて集合体15の加工時(実際にはケーブルの製造時)に損失増加が生じるので好ましくない。すなわち本発明において、集合体が一体化しているとは、好適には集合体からのPOF1本の長さ30mmあたりの引き抜き張力が上記範囲であることを好ましく意味する。
なお、集合体15の周囲に配置される繊維抗張力体8としては、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、炭素繊維、ガラス繊維等が使用できる。また、繊維抗張力体8の外周に被覆される被覆部9としては、例えば、ポリ塩化ビニルや難燃性ポリエチレン等が使用可能であり特に限定されない。
以上のように、このプラスチック光ファイバケーブル10によれば、環境温度等の変化によって生じるマイクロベンドの発生を抑制し、かつ、細径のプラスチック光ファイバケーブルを提供できる。具体的には、上記の構成によれば、マイクロベンドの発生を抑制しつつ、2〜5mm、好適には2〜3.5mmの外径の、細いプラスチック光ファイバケーブル10を得ることができる。
図4には、本発明の別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。なお、以下の実施形態の説明においては、前記実施形態と同一部分には同符合を付して、その説明を省略することにする。
このプラスチック光ファイバケーブル40においては、図1に示された態様に加えて、さらに4本のPOF1の間の空隙の位置に、後述する抗張力体3を配置したものである。このとき例えばPOF1のファイバ外径が500μmである場合に、外径が約200μmの抗張力体を配置することが好ましい。この場合に被覆部の外径を2.6mmとすることができ、細く耐久性に優れたプラスチック光ファイバケーブルが得られる。この構成にするとマイクロベンドの発生をより抑制することが可能である。
図2には、本発明の別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。
このプラスチック光ファイバケーブル20においては、2本のPOF1と2本のダミーファイバ2とが交互に配置されている点が、図1のプラスチック光ファイバケーブル10と異なっている。すなわち2本のPOF1と2本のダミーファイバ2によって、集合体25が構成されている。POF1とダミーファイバとの合計の本数は3〜6本であることが好ましい。
このように、本発明においては、ダミーファイバを用いて実効断面積を増大させてもよく、これによっても、温度変化等によるマイクロベンドの発生を抑制することができる。
この場合、ダミーファイバ2は、POF1と全く同じものを用いてもよく、異なる構成のものを用いてもよいが、ダミーファイバ2はPOF1と同様な線膨張係数を有することが好ましい。線膨張係数が異なると、温度変化に対してマイクロベンドが生じやすくなり、伝送損失の増加が生じるので好ましくない。
POFと異なる構成のダミーファイバ2としては、具体的には、例えば、POFとして上記のフッ素樹脂系POFを用いる場合、これと同程度の外径を有するアクリルファイバ等を用いることができる。この場合、両者の線膨張係数は共に8×10−5/℃程度である。
なお、本発明における、POFおよびダミーファイバとが断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態とは、図2のような接触状態を含む概念であり、接触箇所には、POF同士の接触箇所のみならず、POFとダミーファイバとの接触箇所も含まれる。
図5には、本発明の別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。このプラスチック光ファイバケーブル50においては、図2に示された態様に加えて、さらに集合体45の中心の空隙の位置に、後述する抗張力体3を配置したものである。
図3には、本発明の更に別の態様の1つであるプラスチック光ファイバケーブルの断面構造が示されている。このプラスチック光ファイバケーブル30においては、集合体35が、中心部の抗張力体3の周囲に6本のPOF1が撚り合せられ、その外周がテープ4で巻きつけられて一体化され、集合体35が形成されている6心ケーブルである。
抗張力体3としては、例えば、亜鉛メッキ硬鋼線、銅合金線、ステンレス線等の金属線や、アラミド繊維、ガラス繊維等を樹脂で固化した繊維強化プラスチック等が好ましく用いられる。抗張力体として金属線を用いると、材料が入手しやすい等の点で好ましい。また抗張力体として繊維強化プラスチックを用いると、抗張力体と繊維抗張力体との線膨張係数を合わせやすく、導電体を用いないプラスチック光ファイバケーブルが得られる点で好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルにおいて、集合体の中心部に抗張力体を配置し、さらに集合体の外周を囲むように繊維抗張力体が配置される場合に、該抗張力体および該繊維抗張力体のそれぞれの線膨張係数がほぼ等しいことが好ましい。ここでほぼ等しいとは、一方の線膨張係数が他方の線膨張係数の5倍以内、好ましくは3倍以内であることを意味する。例えば抗張力体として金属線を用い、繊維抗張力体としてアラミド繊維を用いる場合に、金属線としては銅合金線を用いることが、抗張力体と繊維抗張力体とのそれぞれの線膨張係数が近い点から好ましい。
この集合体35で温度変化が生じると、POF1の伸びまたは縮みは、中心部の抗張力体3によって制約を受け、伸縮方向は横弾性率の大きい抗張力体3に沿った方向となり、かつ伸び量も抑制される。その結果、POF1には温度変化に応じた圧縮または引張り応力が発生する。
例えば、常温に対して45℃の温度低下が生じた時、集合体35の縮みは0.4%となり、一本あたりのPOF1の引張応力は伸び率で0.35%に相当する値となる。
POF1は、直線的な引張応力に対しては約3%の伸びまでは損失増加が生じることはないので、上記の0.35%程度の引張応力では損失増加が生じることはない。一方、逆に高温側への温度変化があった場合は、POF1の伸びが抑制され、その結果POF1へは圧縮応力が発生する。引張応力と同様にPOF1は圧縮に対しても損失増加は生じない。したがって、この構成によれば、特に温度変化に対して優れた伝送特性を実現することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
以下の構成材料によって、図1に示すような構成の4心のプラスチック光ファイバケーブル10を製造した。
POF1としては、フッ素樹脂系POF(ファイバ外径500μm、コア径120μm、クラッド径250μm、クラッドの外周をファイバ外径500μmとなるようにアクリル系樹脂で被覆、NAが0.185、旭硝子株式会社製:商品名「ルキナ」)を用いた。線膨張係数は、8×10−5/℃である。
これを図1のように4本集束して、テープ4を用いてテープ幅と同じ巻きつけピッチで隙間なく4本のPOF1を一体化して集合体15を得た。テープ4としては、テープ厚5μm、テープ幅4mmのポリエチレンテレフタレート(PET)テープを用いた。なお、集合体15でのPOF1の引き抜き張力は400g/30mmであった。
繊維抗張力体8としてはアラミド繊維(1270デシテックス、4本使用)を用いた。被覆部9としては軟質塩化ビニル樹脂を用い、内径が2.0mm、外径が3.0mmとなるように被覆した。
POF1としては、フッ素樹脂系POF(ファイバ外径500μm、コア径120μm、クラッド径250μm、クラッドの外周をファイバ外径500μmとなるようにアクリル系樹脂で被覆、NAが0.185、旭硝子株式会社製:商品名「ルキナ」)を用いた。線膨張係数は、8×10−5/℃である。
これを図1のように4本集束して、テープ4を用いてテープ幅と同じ巻きつけピッチで隙間なく4本のPOF1を一体化して集合体15を得た。テープ4としては、テープ厚5μm、テープ幅4mmのポリエチレンテレフタレート(PET)テープを用いた。なお、集合体15でのPOF1の引き抜き張力は400g/30mmであった。
繊維抗張力体8としてはアラミド繊維(1270デシテックス、4本使用)を用いた。被覆部9としては軟質塩化ビニル樹脂を用い、内径が2.0mm、外径が3.0mmとなるように被覆した。
図1の構成において、対角線上の2本のPOF1の代わりに2本のダミーファイバ2を用いた以外は実施例1と同様にして、図2のような構成の、集合体25を有するプラスチック光ファイバケーブル20を製造した。ダミーファイバ2としては、外径500μmのアクリルファイバ(線膨張係数:8×10−5/℃)を用い、POF1、テープ4、繊維抗張力体8、被覆部9は実施例1と同様のものを用いた。なお、集合体25でのPOF1の引き抜き張力は400g/30mmであった。
図3に示すような構成の、中央の抗張力体3の周囲に6本のPOF1が配置された構成である集合体35を作成し、6心のプラスチック光ファイバケーブル30を製造した。抗張力体3としては、線径500μmの亜鉛メッキ硬鋼線を用い、POF1、テープ4、繊維抗張力体8は実施例1と同様のものを用い、被覆部9としては軟質塩化ビニル樹脂を用い、内径が2.2mm、外径が3.2mmとなるように被覆した。なお、集合体35でのPOF1の引き抜き張力は600g/30mmであった。
図4に示すような構成の、中央の抗張力体3の周囲に4本のPOF1が配置された構成である集合体45を作成し、4心のプラスチック光ファイバケーブル40を製造した。抗張力体3としては、線径200μmの銅合金(銅/銀の比率は90/10)線を用いた。POF1、繊維抗張力体8は実施例1と同様のものを用いた。テープ4としては、厚さが4μm、テープ幅が2.5mmのPETテープを用い、巻きつけピッチはテープ幅と同じ2.5mmとして隙間なく巻きつけた。被覆部9としては軟質塩化ビニル樹脂を用い、内径が1.8mm、外径が2.6mmとなるように被覆した。なお、集合体45でのPOF1の引き抜き張力は600g/30mmであった。
テープの巻きつけピッチを10mm(テープ幅の4倍)とした以外は、実施例4と同様にしてプラスチック光ファイバケーブルを製造した。集合体でのPOFの引き抜き張力は400g/30mmであった。
テープの巻きつけピッチを20mm(テープ幅の8倍)とした以外は、実施例4と同様にしてプラスチック光ファイバケーブルを製造した。集合体でのPOFの引き抜き張力は300g/30mmであった。
テープの巻きつけピッチを25mm(テープ幅の10倍)とした以外は、実施例4と同様にしてプラスチック光ファイバケーブルを製造した。集合体でのPOFの引き抜き張力は100g/30mmであった。
比較例1
実施例1と同じ寸法を持つ軟質塩化ビニル樹脂の被覆チューブ内に4本のPOF1をルーズに収納し、更に被覆チューブ内に実施例1のアラミド繊維4本を配置した。
比較例2
テープの巻きつけピッチを40mm(テープ幅の16倍)とした以外は、実施例4と同様にしてプラスチック光ファイバケーブルを製造した。しかし集合体はところどころで一体化していない部分が見られた。集合体でのPOFの引き抜き張力は20g/30mmであった。
試験例
実施例1〜7の集合体、比較例2の集合体、およびPOF1の単体について、微小曲がり損失を測定した。また、実施例1〜7、比較例1〜2のプラスチック光ファイバケーブルについて、ケーブル製造時の損失増加(dB/km)、ケーブルの損失変化(dB/km)の温度特性をJIS C−6823に規定されるカットバック法により測定した。
微小曲がり損失測定は、平板上に設置した外径0.4mmの鋼線上に集合体または1本のPOFを設置して1mm厚のゴム板を介して550g/40mmの荷重をかけた時の損失増加を測定した。また、温度特性測定は、25℃を基準として70℃と−20℃での損失変化を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例における集合体の微小曲がり損失は、単体のプラスチック光ファイバに比較して小さく、POFを一体化して集合体とすることによって微小曲がり損失が生じにくくなっている。また、温度特性も比較例1に比較して小さく、集合体とすることによりマイクロベンドの発生が抑制されている。さらに、中心部に抗張力体を配置した構成の実施例3〜7においては、抗張力体がない構成である実施例1、2に比較して温度特性がさらに改善されている。またテープの巻きつけピッチを広くし適切な範囲にした実施例5〜7においては、ケーブル製造時の損失増加も低く抑制できている。
比較例1
実施例1と同じ寸法を持つ軟質塩化ビニル樹脂の被覆チューブ内に4本のPOF1をルーズに収納し、更に被覆チューブ内に実施例1のアラミド繊維4本を配置した。
比較例2
テープの巻きつけピッチを40mm(テープ幅の16倍)とした以外は、実施例4と同様にしてプラスチック光ファイバケーブルを製造した。しかし集合体はところどころで一体化していない部分が見られた。集合体でのPOFの引き抜き張力は20g/30mmであった。
試験例
実施例1〜7の集合体、比較例2の集合体、およびPOF1の単体について、微小曲がり損失を測定した。また、実施例1〜7、比較例1〜2のプラスチック光ファイバケーブルについて、ケーブル製造時の損失増加(dB/km)、ケーブルの損失変化(dB/km)の温度特性をJIS C−6823に規定されるカットバック法により測定した。
微小曲がり損失測定は、平板上に設置した外径0.4mmの鋼線上に集合体または1本のPOFを設置して1mm厚のゴム板を介して550g/40mmの荷重をかけた時の損失増加を測定した。また、温度特性測定は、25℃を基準として70℃と−20℃での損失変化を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例における集合体の微小曲がり損失は、単体のプラスチック光ファイバに比較して小さく、POFを一体化して集合体とすることによって微小曲がり損失が生じにくくなっている。また、温度特性も比較例1に比較して小さく、集合体とすることによりマイクロベンドの発生が抑制されている。さらに、中心部に抗張力体を配置した構成の実施例3〜7においては、抗張力体がない構成である実施例1、2に比較して温度特性がさらに改善されている。またテープの巻きつけピッチを広くし適切な範囲にした実施例5〜7においては、ケーブル製造時の損失増加も低く抑制できている。
以上説明したように、本発明によれば、POF同士、POFとダミーファイバまたは抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成している。これにより、実質的なファイバ断面積が増大し、POF内の残留応力が直線的な引張または圧縮応力となっている。このため、環境温度等の変化に対するマイクロベンドが抑制され、安定な伝送特性を有するプラスチック光ファイバケーブルを提供することができる。
Claims (10)
- 複数のプラスチック光ファイバで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。
- 複数のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバと同様な線膨張係数を有するダミーファイバとで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバおよび前記ダミーファイバとが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。
- 複数のプラスチック光ファイバと、抗張力体とで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバおよび前記抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。
- 複数のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバと同様な線膨張係数を有するダミーファイバと、抗張力体とで構成されるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、前記プラスチック光ファイバと前記ダミーファイバと前記抗張力体とが、断面方向で互いに2ヶ所以上で接触するように集束された状態で一体化されて集合体を形成していることを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記抗張力体が前記集合体の中心部に配置されている請求項3または4に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記抗張力体が金属線である請求項3〜5のいずれか1つに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記抗張力体が繊維強化プラスチックである請求項3〜5のいずれか1つに記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記集合体がテープ状物で巻き付けられて一体化されている請求項1〜7に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記集合体が糸状物で巻き付けられて一体化されている請求項1〜7に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記集合体が、前記集束された状態で互いに接触する接触部近傍のみが接着されて一体化されている請求項1〜7に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
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