JPWO2004092221A1 - 免疫原及び免疫用組成物、並びにそれらを使用する抗体の製造方法 - Google Patents

免疫原及び免疫用組成物、並びにそれらを使用する抗体の製造方法 Download PDF

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Abstract

種々の原因により有効な免疫応答を誘導できないとされている抗原蛋白であっても、十分な免疫応答を誘導することができる免疫原及び免疫用組成物、並びにそれらを使用する抗体の製造方法を提供する。本発明の免疫原は、所望の抗原蛋白の全長又は一部と、折り畳み因子又はそのサブユニットが、1又は複数のペプチド結合を介して連結された融合蛋白質を含む。折り畳み因子の作用により、融合蛋白質に含まれる抗原蛋白は正しい立体構造を有し、可溶性蛋白として得られる。また、その抗原蛋白が接種動物の血中で速やかに分解されてしまうことを防ぐことができる。さらに、単独の抗原蛋白に比べて、動物において一層高い免疫応答が引き起こされる。折り畳み因子の例として、シャペロニンとPPIaseが挙げられる。

Description

本発明は、免疫原及び免疫用組成物、並びにそれらを使用する抗体の製造方法に関し、さらに詳細には、所望の抗原蛋白と折り畳み因子とを融合させた融合蛋白質を含む免疫原及び免疫用組成物、並びにそれらを使用する抗体の製造方法に関する。本発明の免疫原によれば、種々の原因により有効な免疫応答を誘導できないとされている抗原蛋白であっても、十分な免疫応答を誘導することができる。
バイオテクノロジーの発展に伴い、抗体の重要性はますます高くなってきている。例えば、抗体の特異的な抗原抗体反応を利用した技術として、エンザイムイムノアッセイやラジオイムノアッセイ法等の各種免疫測定法、さらに蛋白質の有効な精製手段であるアフィニティークロマトグラフィーがよく用いられている。抗体は、抗原蛋白を免疫原として動物に接種して免疫反応を起こさせ、動物に抗体を産生させることによって作製されている。最近では、生体試料から抗原蛋白を精製するのではなく、遺伝子組換え技術によって抗原蛋白をコードする遺伝子を取得し、該遺伝子を有する組換え体によって抗原蛋白を発現させて抗原蛋白を得ることもよく行われている。
しかし、このようにして取得した抗原蛋白を免疫原に用いても、目的の抗体が得られない場合がある。例えば、以下の場合が挙げられる。
(a)抗原蛋白が宿主細胞にとって有毒な蛋白であるためにその抗原蛋白を産生すべき組換え体が死滅し、免疫原として充分な蛋白量を確保することが非常に困難な場合。
(b)宿主細胞内で抗原蛋白が正しい立体構造をとることができず、異常型蛋白としてしか得られない場合。
(c)抗原蛋白が疎水性アミノ酸を多く含む不溶性蛋白のため、このままでは免疫原として充分な免疫応答を引き起こせない場合。
(d)免疫原として使用した抗原蛋白が接種動物の血中で速やかに分解されてしまうため、充分な免疫応答を引き起こせない場合。
このような問題を解決する方法として、抗原決定基と考えられる部位を人工的に合成した、いわゆるペプチド抗原の利用や、蛋白質に脂質を付加修飾することにより免疫原性を高め充分な免疫応答を引き起こす試み等がなされている。しかし、上記全ての問題を同時に解決する方法は開発されていない(例えば、国際公開第02/052029号パンフレット参照)。とりわけ免疫原として使用した抗原蛋白が接種動物の血中で速やかに分解されてしまう場合を解決する試みはなされていないのが現状である。
本発明は、種々の原因により有効な免疫応答を誘導できないとされている抗原蛋白であっても、十分な免疫応答を誘導することができる免疫原及び免疫用組成物、並びにそれらを使用する抗体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、抗原蛋白と折り畳み因子とが融合した融合蛋白質を免疫原として使用すると、以下の効果が得られることを見出した。
(a)抗原蛋白が宿主細胞にとって有毒な蛋白質であっても、所望する抗原蛋白を産生すべき組換え体が死滅することを防ぐことができる。したがって、免疫原として充分量の抗原蛋白を容易に確保することができる。
(b)抗原蛋白がより正しい立体構造をとりやすくなるので、より正しい免疫応答を引き起こすことができる。
(c)抗原蛋白が疎水性アミノ酸を多く含むものであり、単独では不溶性となる場合でも、融合蛋白質とすることにより可溶性となる。したがって、免疫原として充分な免疫応答を引き起こすことができる。
(d)その抗原蛋白が接種動物の血中で速やかに分解されてしまうことを防ぐことができ、充分な免疫応答を引き起こすことができる。
(e)単独の抗原蛋白に比べて、動物において一層高い免疫応答が引き起こされる。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 所望の抗原蛋白に対する免疫応答を誘導するための免疫原であって、前記抗原蛋白の全長又は一部と、折り畳み因子又はそのサブユニットが、1又は複数のペプチド結合を介して連結された融合蛋白質を含む免疫原。
(2) 前記折り畳み因子が複数のシャペロニンサブユニットにより構成されるシャペロニンであることを特徴とする(1)に記載の免疫原。
(3) 前記シャペロニンサブユニットの一部又は全部は、互いにペプチド結合を介して直列に連結されていることを特徴とする(2)に記載の免疫原。
(4) 前記抗原蛋白は、前記シャペロニンサブユニットのN末端及び/又はC末端に連結されていることを特徴とする(2)又は(3)に記載の免疫原。
(5) 前記抗原蛋白は、前記シャペロニンサブユニット同士の間に連結されていることを特徴とする(3)又は(4)に記載の免疫原。
(6) 前記シャペロニンサブユニットと前記抗原蛋白との間に蛋白質分解酵素の切断アミノ酸配列を有することを特徴とする(2)乃至(5)のいずれかに記載の免疫原。
(7) 前記シャペロニンサブユニット同士の連結部に蛋白質分解酵素の切断アミノ酸配列を有することを特徴とする(3)乃至(6)のいずれかに記載の免疫原。
(8) 前記シャペロニンサブユニットは、バクテリア、古細菌又は真核生物に由来することを特徴とする(2)乃至(7)のいずれかに記載の免疫原。
(9) 前記抗原蛋白は、前記シャペロニンサブユニットが形成するシャペロニンリングの内部に格納されていることを特徴とする(2)乃至(8)のいずれかに記載の免疫原。
(10) 前記シャペロニンリングは、5〜10個のシャペロニンサブユニットから構成されることを特徴とする(9)に記載の免疫原。
(11) 2個のシャペロニンリングがリング面又は側面を介して非共有結合的に会合していることを特徴とする(9)又は(10)に記載の免疫原。
(12) 前記折り畳み因子がフォルダーゼであることを特徴とする(1)に記載の免疫原。
(13) 前記抗原蛋白が前記フォルダーゼのN末端及び/又はC末端に連結されていることを特徴とする(12)に記載の免疫原。
(14) 前記フォルダーゼがPPIaseであることを特徴とする(12)又は(13)に記載の免疫原。
(15) 前記PPIaseが大腸菌又は古細菌に由来することを特徴とする(14)に記載の免疫原。
(16) 前記抗原蛋白は、セロトニンレセプター5−HT1aRであることを特徴とする(1)乃至(15)のいずれかに記載の免疫原。
(17) 前記融合蛋白質は、セロトニンレセプター5−HT1aRの全長又は6残基以上の部分蛋白質を含有することを特徴とする(16)に記載の免疫原。
(18) 前記抗原蛋白の全長又は一部をコードする遺伝子と前記折り畳み因子又はそのサブユニットをコードする遺伝子とを含有する融合遺伝子を転写・翻訳することにより製造されることを特徴とする(1)乃至(17)のいずれかに記載の免疫原。
(19) 前記抗原蛋白の一部をコードする遺伝子は、該抗原蛋白の6残基以上の部分蛋白質をコードする遺伝子であることを特徴とする(18)に記載の免疫原。
(20) (1)乃至(19)のいずれかに記載の免疫原とアジュバントとを混合してなる免疫用組成物。
(21) (1)乃至(19)のいずれかに記載の免疫原をヒトを除く動物に免疫し、該動物から抗原蛋白に特異的な抗体を採取することを特徴とする抗体の製造方法。
(22) (20)に記載の免疫用組成物をヒトを除く動物に免疫し、該動物から抗原蛋白に特異的な抗体を採取することを特徴とする抗体の製造方法。
図1は、シャペロニン−抗原蛋白複合体における抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの組み合わせの第1の例を示す図である。
図2は、シャペロニン−抗原蛋白複合体における抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの組み合わせの第2の例を示す図である。
図3は、シャペロニン−抗原蛋白複合体における抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの組み合わせの第3の例を示す図である。
図4は、シャペロニン−抗原蛋白複合体における抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの組み合わせの第4の例を示す図である。
図5は、シャペロニン−抗原蛋白複合体における抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの組み合わせの第5の例を示す図である。
図6は、ベクターpTrc(GroEL)7の構成を表す図である。
図7は、ベクターpTF(TCPβ)8の構成を表す図である。
図8は、ベクターTcFKfusion2の構成を表す図である。
図9は、大腸菌シャペロニン(GroEL)の立体構造を模式的に表す図である。
本発明の免疫原は、抗原蛋白の全長又は一部と折り畳み因子又はそのサブユニットが1又は複数のペプチド結合を介して連結された融合蛋白質を含む。
ここで折り畳み因子とは、ポリペプチドの折り畳み(folding)を助ける一連の蛋白質をいう。折り畳み因子は、分子シャペロンとフォルダーゼに大別される。
分子シャペロンの多くは、細胞に熱ショック等のストレスを与えることによりその発現が誘導される。分子シャペロンは、エネルギー物質であるATPの存在下又は非存在下で蛋白質の折り畳みを支援したり、蛋白質の構造安定化に貢献したりする作用を有する。分子シャペロンの例としては、シャペロニンに属するもの、Hsp70システムに属するもの、スモールヒートショックプロテインに属するもの、Hsp90に属するもの、プレフォルディン(Prefoldin)に属するもの等が挙げられる。本発明の免疫原においては、折り畳み因子としていずれの分子シャペロンも適用可能である。以下、本発明の免疫原に適用可能な各分子シャペロンについて説明する。
まず、シャペロニンについて説明する。シャペロニンは分子量が約60kDaのサブユニット(シャペロニンサブユニット)複数個から構成される複合体である。シャペロニンは、バクテリア、古細菌、真核生物等の全ての生物に存在し、蛋白質の折り畳み支援や変性防御の機能を有している。
シャペロニンはグループ1型とグループ2型とに大別される。バクテリアや真核生物のオルガネラに存在するシャペロニンはグループ1型に分類され、コシャペロニンと称される分子量約10kDaの蛋白質の環状複合体を補因子とする。一方、グループ2型シャペロニンは、真核生物の細胞質や古細菌に見られ、それらの構造や機能に関しては不明な点が多く残されており、グループ1型のコシャペロニンに相当する蛋白質も現在のところ見つかっていない。(Gupta、Mol.Microbiol.、15、1−、1995年)。本発明の免疫原においては、いずれのシャペロニンも使用可能である。例えば、グループ1型のシャペロニンとしては大腸菌のGroEL、グループ2型のシャペロニンとしては古細菌由来のTCPを使用することができる。
代表的なシャペロニンは、5〜10個のシャペロニンサブユニットが環状に連なったリング状の複合体(シャペロニンリング)を2個有する、合計10〜20個のシャペロニンサブユニットからなる複合体である。そして、これら2個のシャペロニンリングがリング面を介して非共有結合的に会合して、2層のリング構造を形成する。シャペロニンは、該リング構造の内部にポリペプチドや変性した蛋白質を格納し、ATP等のヌクレオチド3リン酸の消費をともなって蛋白質の折り畳み反応を促進する。一方、1個のシャペロニンリングのみを有し、1層のリング構造を有するシャペロニン(シングルリングシャペロニン)も知られている。シングルリングシャペロニンは一部の生物で見つかっている他、アミノ酸置換等の蛋白工学的手法によって人工的に作ることができる。本発明の免疫原が上記した(a)〜(d)の作用を有する要因の一つは、抗原蛋白がシャペロニンの内部に格納されていることであると考えられる。
大腸菌由来のシャペロニンであるGroELは、図9に示すように、内径4.5nm、高さ14.5nmの空洞(キャビティ)を有する。1層のシャペロニンリングのキャビティは60kDaの球状蛋白質1つが充分に納まる空間を有する。シャペロニンはこのキャビティ内部に、ポリペプチドや変性した蛋白質を一時的に格納し、その折り畳み構造形成を助け、構造を安定化させる機能をもつ。
種々の細胞由来のシャペロニンの立体構造が近年、X線結晶構造解析によって詳細に明らかにされつつある。隣接するシャペロニンサブユニット間及びシャペロニンリング間の相互作用により形成されるシャペロニンの構造は、非共有結合的な相互作用、例えばアミノ酸間の疎水的相互作用や静電相互作用等によって保持されている。また、シャペロニンサブユニットのN末端及びC末端はともにキャビティ側に位置し、フレキシビリティの高い構造となっており、特に大腸菌由来シャペロニンGroELは、C末端の少なくとも23アミノ酸残基がフレキシビリティの高い構造を示すことがわかっている。
また、シャペロニンが高濃度(1mg/mL以上)であり、かつMg−ATPが存在する場合、シャペロニンはリング面又は側面を介して非共有結合的に会合し、繊維状構造を形成する場合がある(Trent、J.D.、et al.、1997、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94、5383−5388:Furutani、M.et al.、1998、J.Biol.Chem.273、28399−28407)。
本発明の免疫原において、シャペロニンは、シャペロニンサブユニットからなるシャペロニンリングがリング面を介して非共有結合的に会合した2層リング構造を形成しているか、又は、シャペロニンリングがリング面又は側面を介して非共有結合的に会合し、繊維状構造を形成していることが好ましい。ただし、シングルリングシャペロニンも使用可能である。
バクテリア、古細菌由来のシャペロニンは、遺伝子組換え手法により大腸菌等の宿主細胞内で生産されることができる。例えば宿主細胞が大腸菌の場合は、その細胞質可溶性画分に容易に大量生産させることが可能である。さらに、大腸菌の細胞質可溶性画分に発現したシャペロニンの精製品を電子顕微鏡観察することによって、大腸菌によって生産された異種生物由来のシャペロニンが自己集合し、2層リング構造の複合体を形成することが確認されている。
本発明の免疫原で用いられるシャペロニンの由来は、バクテリア、古細菌及び真核生物のいずれであってもよい。また、シャペロニンは天然から採取したものの他、遺伝子組換え手法によって適宜の宿主細胞内で発現させて生産したものでもよい。また、シャペロニンのリング構造への自己集合能が維持されていれば、野生型のみならずアミノ酸変異体を使用することも可能である。例えば、シャペロニンリングの内部に収納された抗原蛋白を早く放出したい場合には、シャペロニンの各サブユニットの会合力が弱められた変異体を使用することもできる。
次に、Hsp70システムに属する分子シャペロンについて説明する。Hsp70システムに属する分子シャペロンと抗原蛋白を複合体とすれば、該抗原は不可逆的な凝集形成を抑制され免疫原として好適である。
Hsp70システムに属する代表的な蛋白質は、大腸菌由来のDnaK、DnaJ及びGrpEである。また、DnaK、DnaJ及びGrpEのホモログは生物種を問わず幅広く存在している。大腸菌のDnaK/DnaJ/GrpE系のタンパク質フォールディングシステムはよく研究されている。提案されている反応メカニズムとしては、リボゾームで生合成された新生ポリペプチドがDnaKと結合し、ATP存在下でさらにDnaJが結合することで、不可逆的な凝集形成が抑制される。さらにGrpEに依存したヌクレオチドの解離に伴い、新生ポリペプチドも解離され、シャペロニンのフォールディングシステムに受け渡されるというものである(Fink、Molecular chaperones in the life cycle of proteins、MARCEL DEKKER,INC、1998)。本発明の免疫原においては、これら大腸菌由来のDnaK、DnaJ及びGrpE並びにこれらと同じ働きをするホモログであれば使用可能である。
次に、スモールヒートショックプロテインに属する分子シャペロンについて説明する。スモールヒートショックプロテインはシャペロニンのリング構造のような複雑で高次の会合体でない、単純な会合体を形成する。そして、スモールヒートショックプロテインと抗原蛋白を複合体とすれば、該抗原蛋白は会合体に巻き込まれて保護される。その結果、免疫原として使用した場合でも、抗原蛋白が接種動物の血中で速やかに分解されることがなく、より確実に免疫応答を誘導することができる。スモールヒートショックプロテインは、分子量約15〜30kDaのサブユニットが、24〜32個程度集まって巨大な分子構造をとり、分子シャペロン活性を有することが報告されている(Jakob、J.Biol.Chem.268,1517−、1993年)。例えば、スモールヒートショックプロテインのひとつであるHsp25はサブユニット16個またはそれ以上が会合ししている(Ehrnsperger,M et al.,The Journal of Biological Chemistry vol.274,No.21,pp.14867−14874)。また、これらと相同性の高い領域をそのC末端領域に有するクリスタリンもまた、スモールヒートショックタンパク質と同様の性質を有している。そして、抗原蛋白とこれらのスモールヒートショックタンパク質を融合蛋白質とすることにより、本発明の免疫原に適用可能である。
次に、プレフォルディンに属する分子シャペロンについて説明する。プレフォルディンもスモールヒートショックプロテインと同様に単純な会合体を形成する。そして、プレフォルディンと抗原蛋白を複合体とすれば、該抗原蛋白は会合体に巻き込まれて保護される。その結果、免疫原として使用した場合でも、抗原蛋白が接種動物の血中で速やかに分解されることがなく、より確実に免疫応答を誘導することができる。プレフォルディンは、真核生物のチューブリンのタンパク質折り畳みに関与する因子として見いだされた分子シャペロンであり(Lopez、J.Struct.Biol.135,219−、2001年)、6量体を形成し、インビトロでは、変性したタンパク質と相互作用するシャペロン活性を有することが知られている(Siegert,Cell 103,621−、2000年)。そして、抗原蛋白とプレフォルディンを融合蛋白質とすることにより、本発明の免疫原に適用可能である。
次に、別の折り畳み因子であるフォルダーゼについて説明する。フォルダーゼは酵素的に働く折り畳み因子である。フォルダーゼと抗原蛋白を融合した融合蛋白質は、該抗原蛋白がより正しい立体構造をとりやすくなるので、免疫原として好適である。フォルダーゼの例としては、ペプチジルプロリルシス−トランスイソメラーゼ(Peptidyl−prolyl cis−trans isomerase。以下、PPIaseと略記する。)、プロテインジスルフィドイソメラーゼ等が挙げられる。PPIaseは蛋白質の折り畳みにおけるプロリルペプチド結合の異性化反応を触媒する酵素である。また、プロテインジスルフィドイソメラーゼはジスルフィド結合の形成を促進する作用を有する酵素である。本発明の免疫原においては使用する折り畳み因子に特に制限はないが、PPIaseを使用することがより好ましい。
PPIaseはその阻害剤に対する感受性から、FK506 Binding Protein型(FKBP型)、シクロフィリン型、及びパーブリン型の3種類に分類される。FKBP型PPIaseは免疫阻害剤の1つであるFK506により活性が阻害されるPPIase及びそのホモログである。シクロフィリン型PPIaseは、免疫阻害剤シクロスポリンに対して感受性を持つPPIase又はそのホモログである。一方、パーブリン型PPIaseは、いずれの免疫阻害剤に対しても感受性を示さず、ジュグロン(juglone)によりその活性が阻害されるものである。これら3種類のPPIaseは、アミノ酸一次配列上の相同性はほとんどないことが知られている。本発明の免疫原においては、上記した全ての型のPPIaseが使用可能である。
さらに、一部のPPIaseは、本来の活性であるプロリルペプチド結合の異性化反応を触媒する活性(PPIase活性)のみならず分子シャペロン活性をも有する。ここで分子シャペロン活性とは、変性した蛋白質を元の天然型にリフォールディングさせる活性、又は変性した蛋白質の不可逆的な凝集を抑制する活性をいう。このPPIaseが有する分子シャペロン活性は、その活性発現のためにATP等のヌクレオチド3リン酸を要求しない点で、分子シャペロンが有する分子シャペロン活性と異なる。分子シャペロン活性を有するPPIaseは分子シャペロン活性を有さない通常のPPIaseに比べて蛋白質をより確実に折り畳むことができるので、本発明の免疫原に使用するためにはさらに好適である。
分子シャペロン活性を有するPPIaseの例としては、古細菌由来のFKBP型PPIaseが挙げられる。すなわち、古細菌由来のFKBP型PPIaseは、PPIase活性とATP非依存的な分子シャペロン活性の両方を有するので、抗原蛋白との融合蛋白質とすることにより、該抗原蛋白はより確実に正常型の立体構造をとりやすくなる。古細菌由来FKBP型PPIaseは、分子量が16〜18kDa程度のショートタイプと分子量が26〜33kDa程度のロングタイプに分類される。本発明の免疫原においては両方のタイプが使用可能であるが、ショートタイプの古細菌由来FKBP型PPIaseはより強い分子シャペロン活性を有するので、本発明の免疫原には特に好適である。さらに、ショートタイプの古細菌由来FKBP型PPIaseは分子量が小さいので、遺伝子組み換え手法により抗原との融合蛋白質を宿主細胞内で発現させる場合に有利である。なお、上記した分子量の幅はこれまで見いだされている古細菌由来のFKBP型PPIaseの分子量幅であり、本発明の免疫原に使用するための古細菌由来FKBP型PPIaseは、この分子量幅に限定されず、実質的に同じグループに属するものであればいずれであってもよい。
本発明の免疫原に使用するための古細菌由来FKBP型PPIaseの由来となる古細菌としては特に限定はない。例えば、ショートタイプのFKBP型PPIaseの由来としては、好熱性及又は超好熱性古細菌であるMethanococcus thermolithotrophicus、Thermococcus sp.KS−1、Methanococcus jannaschii等が挙げられる。さらに、常温性古細菌であるMethanosarcina mazei、Methanosarcina acetivorans、Methanosarcina barkeri等が挙げられる(Maruyama、Front.Biosci 5、821−、2000)。また、ロングタイプのFKBP型PPIaseの由来としては、好熱性又は超好熱性古細菌であるPyrococcus horikoshii、Aeropyrum pernix、Sulfolobus solfataricus、Methanococcus jannaschii、Archaeoglobus fulgidus、Methanobacterium autotrophicum、 Thermoplasma acidophilum等が挙げられる。さらに、常温性好塩菌であるHalobacterium cutirubrum等が挙げられる(Maruyama、Front.Biosci 5、821−、2000年)。
分子シャペロン活性を有するPPIaseの他のタイプについて説明する。FKBP型PPIaseにはトリガーファクタータイプ、FkpAタイプ、FKBP52タイプがある。また、シクロフィリン型PPIaseにはCyP40タイプPPIaseがある。さらに、パーブリン型PPIaseにはSurAタイプPPIaseがある。
トリガーファクタータイプPPIaseはほとんど全てのバクテリアのゲノム上でその遺伝子が見つかっている。トリガーファクタータイプPPIaseの由来の例としては、大腸菌、Mycoplasma genitalium、Bacillus subtilis、Salmonella enterica、Staphylococcus aureus、Mycobacterium leprae、Agrobacterium tumefacium、Lactococcus lactis、Campyrobacter jejuni、Streptococcus pyogenes、Corynebacterium diphtheriae等が挙げられる。
FkpAタイプPPIase及びSurAタイプPPIaseは、いずれも大腸菌をはじめとするグラム陰性バクテリアのペリプラズム領域に存在しているPPIaseである。FkpAタイプPPIase及びSurAタイプPPIaseの由来の例としては、大腸菌、Pyrobaculum aerophilium、Pseudomonas aeruginosa、Xylella fastidiosa、Neisseria meningitides、Mesorhizobium loti、Heamophilus influenzae、Ralstonia solanacearum等が挙げられる。また、これらのバクテリア由来のものだけでなく、それらと同じグループに属し、実質的に同等の活性を有するものであれば、いずれの生物由来のPPIaseであってもよい。例えば、酵母等の真核生物のゲノムでもそのホモログの遺伝子が見つかっている。
FKBP52タイプPPIase及びCyP40タイプPPIaseは、いずれも真核生物中に見いだされるPPIaseである。FKBP52タイプPPIaseは、約52kDa程度のFKBP型PPIaseであり、p59又はHSP56等とも呼ばれている。またCyP40タイプPPIaseは40kDa程度の分子量を持つ。FKBP52タイプPPIase及びCyP40タイプPPIaseの由来としては特に限定されず、例えば、ヒト、マウス、ウシ、ブタ、ウサギ、ラット等の真核生物が挙げられる。また本発明の免疫原で用いられるFKBP52タイプPPIase及びCyP40タイプPPIaseは、真核生物由来のものだけでなく実質的に同じ物と認められるグループに属するものであれば、いずれの生物由来のPPIaseであってもよい。
なお、上記したPPIaseはその全長だけでなく、同様の活性を保持する部分ペプチドも使用可能である。例えば、ショートタイプの古細菌由来FKBP型PPIaseは、FK506との結合に関与するFKBPドメインとIF(Insert in the flap)ドメインを有しており、これらのドメインが分子シャペロン活性を司っている。したがって、これらのドメインを有する部分ペプチドでPPIase活性を有するものであれば、分子シャペロン活性を有するPPIaseとして使用可能である。また、ロングタイプの古細菌由来FKBP型PPIaseは、上記のFKBPドメインとIFドメインの他に、C末端ドメインも分子シャペロン活性を司っている。したがって、これらのドメインを有する部分ペプチドでPPIase活性を有するものであれば、分子シャペロン活性を有するPPIaseとして使用可能である。また、分子シャペロン活性を有しないPPIase、例えばヒトFKBP12に、上記の古細菌由来PPIaseのIFドメインやC末端ドメインを蛋白工学的手法によって導入すれば、分子シャペロン活性を有するキメラPPIaseを作製することができる。
次に、本発明の免疫原に含まれる融合蛋白質について説明する。上記のとおり、該融合蛋白質は抗原蛋白の全長又は一部と折り畳み因子の融合蛋白質である。
まず、折り畳み因子がシャペロニンである場合について説明する。シャペロニンは複数のシャペロニンサブユニットの複合体であるが、本発明の免疫原に使用される融合蛋白質においては、抗原蛋白がシャペロニンサブユニットとペプチド結合を介して連結されている。抗原蛋白が連結される位置としては、シャペロニンサブユニットのN末端、C末端のいずれでもよい。シャペロニンサブユニット同士が連結されたシャペロニンサブユニット連結体に抗原蛋白が連結される場合は、連結体のN末端、C末端、連結体のシャペロニンサブユニット間のいずれでもよい。また抗原蛋白が複数の場合は、これらの部位から選択される複数の部位に連結すればよい。特に、抗原蛋白がシャペロニンリングのキャビティ内に確実に納まるように、抗原蛋白の連結部位を選択することが望ましい。
例えば、抗原蛋白が、天然においてホモ又はヘテロの形態で2量体又はそれ以上の四次構造を形成するものである場合には、抗原蛋白を構成する1種又は2種のサブユニットが、互いに連結したシャペロニンサブユニットのN末端及びC末端にペプチド結合を介して連結されることが好ましい。例えば、抗原蛋白が2量体を形成することにより抗原性を発現するものであり、8個のシャペロニンサブユニットから構成される古細菌由来シャペロニンとの複合体を免疫原とする場合は、シャペロニンサブユニットを8個連結した8量体シャペロニン(シャペロニンサブユニット8回連結体)のN末端及びC末端に、抗原蛋白のそれぞれのサブユニットをペプチド結合を介して連結すればよい。このようにすると、シャペロニンリング内の極めて近接した領域にそれぞれのサブユニットが存在するため、2量体からなる四次構造を形成しやすく、安定した抗原性の発現が可能となる。
シャペロニンと抗原蛋白の複合体(以下、「シャペロニン−抗原蛋白複合体」と呼ぶ。)における、融合蛋白質とシャペロニンサブユニットの組み合わせの例を、シャペロニンサブユニットの数が8個の例をもって図1〜5を参考にしながら順に説明する。図中、白丸はシャペロニンサブユニット、黒丸は抗原蛋白、実線はペプチド結合である。第1の例は、シャペロニン−抗原蛋白複合体が融合蛋白質のみで構成される場合である。図1にいくつかの例の概念図を示す。すなわち、図1(a)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット8連結体が連結されている融合蛋白質で構成されている。図1(b)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、2個の抗原蛋白がシャペロニンサブユニット8連結体のN末端とC末端に連結されている融合蛋白質で構成されている。図1(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット4連結体が連結された融合蛋白質2個で構成されている。図1(d)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット2連結体が連結された融合蛋白質4個で構成されている。図1(e)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白に1個のシャペロニンサブユニットが連結された融合蛋白質8個で構成されている。
第2の例は、シャペロニン−抗原蛋白複合体が融合蛋白質と単独のシャペロニンサブユニットから構成される場合である。ここで単独のシャペロニンサブユニットとは、他の分子が共有結合で連結されていないシャペロニンサブユニット、すなわちシャペロニンサブユニットモノマーのことをいう。図2にいくつかの例の概念図を示す。すなわち、図2(a)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白と1個のシャペロニンサブユニットからなる融合蛋白質と、単独のシャペロニンサブユニット7個で構成されている。図2(b)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット4連結体が連結された融合蛋白質と、単独のシャペロニンサブユニット3個で構成されている。図2(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット2連結体が連結された融合蛋白質2個と、単独のシャペロニンサブユニット2個で構成されている。図2(d)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白に1個のシャペロニンサブユニットが連結された融合蛋白質、2個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット2連結体のN末端とC末端に連結された融合蛋白質、1個の抗原蛋白にシャペロニンサブユニット3連結体が連結された融合蛋白質、及び単独のシャペロニンサブユニット2個で構成されている。
第3の例は、シャペロニン−抗原蛋白複合体が融合蛋白質とシャペロニンサブユニット連結体から構成される場合である。図3にいくつかの例の概念図を示す。すなわち、図3(a)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白と1個のシャペロニンサブユニットからなる融合蛋白質と、シャペロニンサブユニット7回連結体で構成されている。図3(b)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白と1個のシャペロニンサブユニットからなる融合蛋白質、シャペロニンサブユニット3回連結体、及びシャペロニンサブユニット4回連結体で構成されている。図3(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、2個の抗原蛋白がシャペロニンサブユニット5連結体のN末端とC末端に連結されている融合蛋白質、及びシャペロニンサブユニット3連結体で構成されている。図3(d)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、2個の抗原蛋白がシャペロニンサブユニット2連結体のN末端とC末端に連結されている融合蛋白質、2個の抗原蛋白がシャペロニンサブユニット4連結体のN末端とC末端に連結されている融合蛋白質、及びシャペロニンサブユニット2回連結体で構成されている。
第4の例は、シャペロニン−抗原蛋白複合体が融合蛋白質、単独のシャペロニンサブユニット、及びシャペロニンサブユニット連結体で構成されるシャペロニン−抗原蛋白複合体である。図4にいくつかの例の概念図を示す。すなわち、図4(a)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白と1個のシャペロニンサブユニットからなる。融合蛋白質、1個の単独のシャペロニンサブユニット、及び1個のシャペロニンサブユニット6回連結体で構成されている。図4(b)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、1個の抗原蛋白と1個のシャペロニンサブユニットからなる融合蛋白質、2個の単独のシャペロニンサブユニット、1個のシャペロニンサブユニット2回連結体、及び1個のシャペロニンサブユニット3回連結体でされている。図4(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、2個の抗原蛋白がシャペロニンサブユニット5連結体のN末端とC末端に連結されている融合蛋白質、1個の単独のシャペロニンサブユニット、及び1個のシャペロニンサブユニット2回連結体で構成されている。図4(d)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、2個の抗原蛋白がシャペロニンサブユニット2連結体のN末端とC末端に連結されている融合蛋白質が2個、2個の単独のシャペロニンサブユニット、及び1個のシャペロニンサブユニット2回連結体で構成されている。
さらに、抗原蛋白がシャペロニンサブユニット連結体のシャペロニンサブユニット間に連結されている場合を第5の例として、図5にいくつかの例の概念図を示す。図5(a)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、図1(a)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体の変形例である。図5(b)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、図2(b)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体の変形例である。図5(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、図3(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体の変形例である。図5(d)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体は、図4(c)に示されるシャペロニン−抗原蛋白複合体の変形例である。
また、シャペロニン−抗原蛋白複合体においては、シャペロニンサブユニットと抗原蛋白との間やシャペロニンサブユニット同士の連結部に蛋白質分解酵素の切断アミノ酸配列を設けてもよい。すなわち、この場合のシャペロニンと抗原蛋白の融合蛋白質においては、抗原蛋白とシャペロニンサブユニットが複数のペプチド結合を介して連結される。この場合、動物に接種されたシャペロニン−抗原蛋白複合体は、生体内の蛋白質分解酵素によって、まず、シャペロニンサブユニット同士の結合部位が攻撃されてそのリング構造が徐々に破壊され、その次に、抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの結合部位が攻撃されて抗原蛋白が放出される。すなわち、抗原蛋白自身への蛋白質分解酵素の攻撃は最後となるため、該抗原蛋白の免疫原性の発揮を延長させることができる。蛋白質分解酵素の切断アミノ酸配列としては特に限定されず、例えば、PreScissionプロテアーゼ、トロンビン、Factor Xa、プラスミン、キモトリプシン等の蛋白質分解酵素の認識部位が挙げられる。
次に、融合蛋白質の折り畳み因子がフォルダーゼである場合について説明する。PPIase等のフォルダーゼは単量体であるので、抗原蛋白の結合部位はそのN末端及び/又はC末端である。したがって、フォルダーゼのC末端及び/又はN末端に所望の抗原蛋白を連結して融合蛋白質を形成すればよい。
また、シャペロニン以外の分子シャペロンについても抗原蛋白との融合蛋白とすることにより免疫原として使用可能である。
なお、本発明の免疫原においては、融合蛋白質は必ずしも抗原蛋白の全長を含む必要はなく、抗原蛋白の一部と折り畳み因子を連結したものでもよい。すなわち、その抗原蛋白の一部によって抗原蛋白の全長と同等の免疫応答を誘導することができる場合は、抗原蛋白の一部と折り畳み因子の融合蛋白質によって本発明の免疫原を構成することができる。例えば、抗原蛋白の特定の抗原決定基に対する抗体を取得するために本発明の免疫原を使用する場合は、その抗原決定基を含む抗原蛋白の一部と折り畳み因子を連結した融合蛋白質によって本発明の免疫原を構成すればよい。例えば、抗原蛋白の一部としては、その抗原蛋白のアミノ酸配列のうち6残基以上を含むことが好ましい。
なお、本発明の免疫原に含まれる所望の抗原蛋白としては特に限定はなく、抗原性を有する蛋白質であれば全て適用可能である。特に好適な抗原蛋白としては、例えば、宿主細胞に有毒な抗原蛋白、精製方法が確立されていない抗原蛋白、非常に変性しやすい抗原蛋白、その他組換え体を作製することが困難な抗原蛋白、組換え体内で合成すると間違った立体構造をとってしまう抗原蛋白が挙げられる。すなわち、これらの蛋白質はそのままでは免疫原として使用することが困難であるが、折り畳み因子との融合蛋白質とすることにより免疫原として使用可能となる。
次に、本発明の免疫原の製造方法について説明する。本発明の免疫原は、抗原蛋白と折り畳み因子の融合蛋白質を含むものである。該融合蛋白質を製造する方法としては、抗原蛋白をコードする遺伝子と折り畳み因子をコードする遺伝子を連結させた融合遺伝子を作製し、該融合遺伝子を適宜の宿主細胞内で発現させることによって融合蛋白質を合成することが挙げられる。例えば、該融合遺伝子をプラスミドベクターに組込み、該組換えプラスミドベクターを宿主細胞に導入して組換え体を作製する。そして該組換え体を培養して該融合遺伝子を発現させ、組換え体抽出物から融合蛋白質を得ることができる。なお、折り畳み因子がシャペロニンの場合は、抗原蛋白とシャペロニンサブユニットの融合蛋白質の他に、単独のシャペロニンサブユニット及び/又はシャペロニンサブユニット連結体が必要な場合がある。これらの場合は、例えば、単独のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び/又はシャペロニン連結体をコードする遺伝子を宿主細胞内で別途発現させればよい。例えば、プラスミドベクターにこれらの遺伝子を組込んで宿主細胞に導入することができる。なお、前記融合遺伝子と、単独のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子及び/又はシャペロニン連結体をコードする遺伝子は、同一のプラスミドベクター上にポリシストロニックに連結してもよいし、同一の宿主内で共存・複製することが可能な2種の異なるプラスミド上にそれぞれに導入して、同一の宿主内で共発現させてもよい。さらに、単独のシャペロニンサブユニットは天然に存在するものなので、宿主細胞のゲノムDNA上のシャペロニンサブユニットをコードする遺伝子から転写・翻訳させて、宿主細胞由来のシャペロニンサブユニットを供給してもよい。さらに、融合遺伝子、単独のシャペロニンサブユニット、シャペロニンサブユニット連結体をそれぞれ別の宿主細胞で発現させて、別々に精製した後に混合してもよい。どのような抗原蛋白でもシャペロニンと融合した融合蛋白質とすれば、シャペロニン−抗原蛋白複合体を形成することができる。
なお、一般に、宿主細胞に外来遺伝子を導入して発現させる際は、外来遺伝子のサイズが大きすぎる場合には宿主細胞に過度の負担がかかり、外来遺伝子の発現量が低下することがある。例えば、シャペロニンサブユニット8個でリングを構成する古細菌由来シャペロニンの場合、シャペロニンサブユニットをコードする遺伝子を8個連結した遺伝子に抗原蛋白をコードする遺伝子を連結した融合遺伝子を発現させようとすると、宿主細胞の種類によっては効率的な発現ができないことがある。したがって、本発明の免疫原を構成する融合蛋白質においても、大量生産の観点ではそのサイズはできるだけ小さい方がよい。そのためには、例えば、抗原蛋白の全長ではなくその一部を折り畳み因子との融合蛋白質とすることが挙げられる。さらに折り畳み因子がシャペロニンである場合は、融合蛋白質に含まれるシャペロニンサブユニットの数を調節することにより、融合蛋白質のサイズをより小さくすることができる。
上記の融合遺伝子等を導入する宿主細胞としては特に限定はなく、例えば、バクテリア等の原核生物、酵母、真菌、植物、昆虫細胞、ほ乳類細胞等を使用することができる。より好適には、大腸菌等のバクテリアを宿主細胞に使用すれば、組換え体の増殖が他の宿主細胞に比べて格段に速く、融合蛋白質等を大量に生産することができる。大腸菌の場合は、融合蛋白質は細胞質へ発現されてもよいし、ペリプラズム領域へ分泌発現されてもよい。ペリプラズム領域に折り畳み因子と抗原蛋白との融合蛋白質を分泌発現させる場合は、該融合蛋白質の5’末端に分泌シグナル配列領域を設ける必要がある。該分泌シグナル配列によって、融合蛋白質はペリプラズム領域に分泌発現される。
また、本来的に細胞内では膜に存在する折り畳み因子を用いれば、融合蛋白質の発現量がさらに向上することがある。そのような折り畳み因子の例として、FKBP型PPIaseであるFkpAタイプPPIaseや、パーブリン型PPIaseであるSurAタイプPPIase等が挙げられる。これらのPPIaseは、元々は生体内においてグラム陰性菌のペリプラズム領域に存在しているものである。したがって、抗原蛋白が膜蛋白質などの場合、本来これらのタンパク質は細胞質外に発現している蛋白質であるため、上記FkpAタイプPPIaseやSurAタイプPPIaseとの融合蛋白質として発現させれば、その発現量が向上させるのに好適である。
その他の宿主細胞を用いる場合においても、その細胞質に融合蛋白質を発現させてもよいし、細胞外に分泌発現させてもよい。この際、宿主細胞と発現ベクターの組み合わせには、より好適なものを選ぶ必要がある。例えば、ほ乳類細胞系において融合蛋白質を発現する場合、発現ベクターのプロモーターは、ほ乳類細胞のゲノムから単離された、例えばマウスメタロチオネインプロモーター等のプロモーターや、これらの細胞で成長するウイルスから単離された、例えばバキュロウイルスプロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター等のプロモーターであることが好ましい。
プラスミドベクターを宿主細胞に導入する方法としては特に限定はなく、公知の種々の方法を用いることがでる。例えば、トランスフェクションとしてリン酸カルシウム沈殿法、電気穿孔、リポソーム融合、核注入、ウイルス又はファージ感染等が挙げられる。
一方、宿主細胞を用いることなく、バクテリアまたは真核生物抽出液等を用いた無細胞翻訳系(Spirin,A.S.,1991,Science 11,2656−2664:Falcone,D.et al.,1991,Mol.Cell.Biol.11,2656−2664)にて、融合蛋白質を可溶性蛋白質として発現させることも可能である。
次に、本発明の免疫原を構成する融合蛋白質を精製する方法について説明する。融合蛋白質を精製する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、抗原蛋白とシャペロニンの融合蛋白質の場合には、以下の方法等が挙げられる。すなわち、組換え体内で融合蛋白質を発現させた後、該組換え体を回収して破砕し、細胞抽出液を回収する。細胞抽出液中の融合蛋白質を硫安塩析で回収したのち、適当な緩衝液に溶解し、イオン交換クロマトグラフィーや疎水性クロマトグラフィー等によって該融合蛋白質を回収する。これを限外濾過によって濃縮したのち、濃縮液を5〜50mM程度の塩化マグネシウムと50〜300mM程度の塩化ナトリウム又は塩化カリウムが含有された緩衝液を展開液としてゲル濾過をおこない、排出限界値直後のフラクションを回収することにより該融合蛋白質を精製することができる。融合蛋白質のN末端又はC末端に6−10個のヒスチジン(「ヒスチジンタグ」と呼ばれる)を連結させた場合には、ニッケル等の金属キレートカラムを用いれば、融合蛋白質の精製はより簡便で効率的となる。また用いるシャペロニンに対する抗体を用いて、免疫沈降又はアフィニティークロマトグラフィーを行うことによっても迅速・簡便に精製することができる。ただし、リング構造を形成した融合蛋白質のみを回収するには、イオン交換クロマトグラフィーとゲル濾過を組み合わせることが好ましい。シャペロニンが耐熱性のものである場合には、宿主からの抽出液を60〜80℃で加熱処理することによって宿主由来の夾雑蛋白質の大部分を沈殿させて除去することができ、融合蛋白質の精製をより簡略化することができる。このとき、抗原蛋白自身が耐熱性を有していなくても、該融合蛋白質はシャペロニンの内部に保持されているので変性することはない。
上記のいずれの方法によっても、得られた融合蛋白質の形態は透過型電子顕微鏡によって観察することができる。所望の抗原蛋白がシャペロニンリングの内部に収納されていると、外径約14〜16nm程度のシャペロニン特有のリング構造が観察される。融合蛋白質のリング構造が不安定な場合は、精製の過程でマグネシウム及びATPを存在させておくことで、リング構造をもつ融合蛋白質を効率的に回収できる。
目的とする抗原蛋白が膜結合性蛋白質又は膜貫通性蛋白質である場合には、融合蛋白質を精製した後、疎水性アルキル基がオクチル(C8)からドデシル(C12)である非イオン性界面活性剤を作用させると、ミセルの直径がほぼ生体膜に相当し、シャペロニン内部で正しい構造を形成しやすい。上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、β−オクチルグルコシド、Triton X100、Nonidet P−400、Tween20等が挙げられる。
シャペロニン−抗原蛋白複合体が、融合蛋白質だけでなく、単独のシャペロニンサブユニットやシャペロニンサブユニット連結体を含む場合は、それぞれを別々の宿主細胞で発現させて、別々に精製してから混合する方法によってもシャペロニン−抗原蛋白複合体を得ることができる。
本発明の免疫原は、そのまま動物に接種しても高い免疫応答を誘導することができるが、アジュバントと混合して免疫用組成物とすることで、さらに免疫原性を高めることができる。すなわち、該免疫用組成物を用いることにより、より高効率で抗体を産生させることができる。アジュバントの例としては、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、アルミニウムアジュバント、百日咳菌アジュバント等が挙げられる。
次に、本発明の免疫原を使用することによる抗体の製造方法について説明する。
本発明の免疫原を使用して動物に免疫する方法としては、通常公知の免疫法を用いることができる。例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウマ等の動物に、本発明の免疫原を静脈内、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内に注射等の手段で投与することで、動物を目的の抗原蛋白で免疫しうる。
ポリクローナル抗体を製造する場合には、上記の方法で本発明の免疫原を動物に投与し、該動物の血液を採取し血清を得る。そして、この血清からポリクローナル抗体を取得することができる。血清からポリクローナル抗体を精製する方法としては、例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。
一方、モノクローナル抗体を製造する場合は、まず、抗体産生細胞(脾臓細胞)と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマの集団を作製する。そして該ハイブリドーマの集団から目的の抗原蛋白と結合する抗体を分泌するハイブリドーマをスクリーニングし、目的とする抗体を産生する単一クローンを分離する。この方法は細胞融合法と呼ばれ、現在では日常的にこの方法によりモノクローナル抗体の製造が行われている(富山朔二、安東民衛編「単クローン抗体実験マニュアル」、講談社発行、1987)。
さらに詳細には、本発明の免疫原を上記手段で免疫の対象となる動物に投与して免疫することにより、モノクローナル抗体製造のための免疫細胞、例えば、免疫後の脾臓細胞を得ることができる。さらにこの免疫細胞と動物の骨髄腫細胞とのハイブリドーマを作製し、所望する抗原決定基を認識する抗体を産生するクローンを選択し、このクローンを培養することにより目的とするモノクローナル抗体を製造することができる。この免疫細胞と細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細胞としては、既に公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、SP2/0−Ag14、P3−NS1−1−Ag4−1、MPC11−45、6.TG1.7(以上、マウス由来);210.RCY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−007、GM15006TG−A12(以上、ヒト由来)等が挙げられる。
上記の免疫細胞とこれらの骨髄腫細胞との細胞融合は、例えば、ケーラーとミルシュタインの方法(Koehler、G. and Milstein、C.、Nature、256、495(1975))等の通常公知の方法に準じて行うことができる。より具体的には、この細胞融合は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等の通常公知の融合促進剤の存在下において、融合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に応じて添加した通常の培養培地中で行われ、ハイブリドーマの集団が調製される。
ハイブリドーマの集団からの所望のハイブリドーマの分離は、例えば、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)培地等の通常の選別用培地でハイブリドーマを培養することにより行うことができる。すなわち、この選別用培地において目的とするハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに充分な時間をかけて培養することによりハイブリドーマの分離を行う。このようにして得られたハイブリドーマは、通常の限界希釈法により目的とするモノクローナル抗体の検索及び単一クローン化に供することができる。
得られたハイブリドーマの中から目的とするモノクローナル抗体産生株を検索するには、例えば、ELISA法、プラーク法、スポット法、凝集反応法、オクタロニー法、RIA法等の一般的な検索法を用いることができる。
ハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することが可能であり、さらに液体窒素中で長時間保存することもできる。
ハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を採取するには、ハイブリドーマを常法に従って培養して、その培養上清から得る方法や、このハイブリドーマに適合性が認められる動物に投与して増殖させ、その腹水から得る方法等を用いることができる。このようにして得られたモノクローナル抗体は、さらに塩析、ゲル濾過法、アフィニティークロマトグラフィー等の通常の手段により精製することができる。このようにして得られたモノクローナル抗体は、免疫した融合蛋白質が有する抗原決定基を特異的に認識するモノクローナル抗体である。
一方近年は、抗体産生細胞(脾臓細胞)から抗体遺伝子をクローニングすることによりモノクローナル抗体を生産する技術が開発されている。例えば、遺伝子組換え技術により、抗体産生細胞から抗体をコードする遺伝子でファージを形質転換し、ファージ表面に目的の抗体を発現させて所望の抗体の遺伝子を簡便にスクリーニングするファージディスプレイ法が挙げられる。
ファージディスプレイ法で目的とするモノクローナル抗体を作製する場合には、特開平7−502167号公報に開示されている方法を用いることができる。すなわち上記の融合蛋白質で免疫した動物の抗体産生細胞からmRNAを分離し、抗体の相補性決定領域(CDR)をはさむ部分に特異的なプライマーを用いたRT−PCR法でFabに相当する部分を増幅し、ファージミッドベクターに組み込んで多様性を高度に保持した抗体ライブラリーを作製することができる。ヘルパーファージの存在下にFabを発現させ、免疫抗原を用いて特異Fab産生クローンを濃縮及び選別し、目的Fabを大腸菌で大量に発現させる。免疫学的活性を充分に検索した後、Fc部分を含んだ発現ベクターに組込み、培養細胞に完全型IgGを発現させることができる。
抗原蛋白としてセロトニンレセプターを用いた本発明の免疫原について、例に挙げて以下に説明する。しかしながら、本発明は、この特定の抗原蛋白に限られるものではない。当業者であればセロトニンレセプターを他の所望の抗原蛋白と置き換えることにより不必要な実験を行うことなく本発明の利点を得ることは容易である。
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミンとも呼ぶ)は、セロトニン作動性神経細胞にて見られる細胞表面レセプターを介してその効果を発揮する、有効な天然に存在する神経伝達物質である。セロトニンは中枢神経系(CNS)及び末梢系の両方で哺乳動物の体の機能に重要な役割を演じていることが明らかにされてきている。CNSでは脳幹を起点とするセロトニン作動性ニューロンが脳及び脊髄の殆どの領域に広がる非常に広汎性の系を形成することが解明されている。このような広汎性の系であることから、セロトニンが、生理学的応答、及びCNSから生ずる疾病の発現、すなわち、睡眠、食餌、痛みの知覚、体温調節、血圧の調節、抑欝、分裂病等の幾つかの行動に関与していると考えられている。
セロトニンは末梢系においても同様に重要な役割を演じている。例えば、多くのセロトニンが胃腸系に見いだされ、セロトニンはこの系において種々の収縮、分泌、及び電気生理作用を仲介する。セロトニンに対して極めて感受性の強いもう一つの例として心血管系が挙げられる。
セロトニンは、細胞表面のレセプターに結合することにより、細胞生理学上の作用を引き起こす。現在、多数のタイプのセロトニンレセプターが存在することが確認されている。セロトニンレセプターとしては、少なくとも4種の主要ファミリー(5−HT1R−4R)が知られており、各ファミリーは薬理学的及び/又は構造的な相違に基づいて分類された8ないし10のレセプターを含んでいる。各ファミリーは、例えば、5−HT1aR、5−HT1bR、5−HT1cR、5−HT1dR又は5−HT1eRと称される1又はそれ以上のタイプからなる。さらには、あるタイプのセロトニンレセプターには、5−HT1dαR又は5−HT1dβRのような種々のサブタイプが知られている。
多数の構造的に分化したセロトニンレセプターの存在は、サブタイプ選択性の薬理学的物質が生成され得る可能性を提供している。個々のレセプターのサブタイプは中枢末梢セロトニン作動性系の異なった部分に特異的な作用を及ぼすよう機能し得ることから、サブタイプ選択性の薬理学的物質を開発することにより、副作用のより少ない、選択性を増した新しい治療物質が得られる。一例として或る血管系において、内皮細胞上の5−HT1レセプターの刺激は血管拡張を引き起し、一方平滑筋細胞上の5−HT2レセプターの刺激は血管収縮を引き起こす。いろいろな型のセロトニンレセプターの薬理作用及び臨床的知見は、例えば、グレノン(Glennon RA.)等、ニューロサイエンス・アンド・ビヘイビラル・レビューズ(Neuroscience and Behavioral Reviews)14(1)巻:35ページ(1990)に詳述されている。
セロトニンは広い体内分布を示すことから、セロトニン作動性系に影響を及ぼす薬物の開発に大きな関心が持たれている。とりわけ、レセプター特異性アゴニスト及びアンタゴニストは、不安、欝、高血圧、偏頭痛、強迫性疾患、及び、癌の化学療法によって誘発される嘔吐を含む広範囲の疾病の治療薬としての関心がもたれている。セロトニンレセプターに対する抗体は研究上有用であるのみならず、治療薬としてのレセプター特異性アゴニスト及びアンタゴニストのひとつの候補となるものである。
このようなセロトニンレセプターのひとつである5−HT1aRは7回膜貫通性の膜蛋白質であり、現在のところ組換え蛋白質を入手することが難しく、また良い抗体を得がたい抗原蛋白として知られている。
本発明を適用して、折り畳み因子と5−HT1aRとの複合体を作製し免疫原として用いれば、免疫動物において高い免疫反応が引き起こされる。とりわけFKBP型PPIaseあるいはシャペロニンと5−HT1aRとの融合蛋白質を作製し、これを免疫原として用いることが好適である。シャペロニンとしては大腸菌シャペロニンGroELまたは古細菌シャペロニンTCPを用いることが好適である。この場合、抗原蛋白としては、セロトニンレセプター5−HT1aRの全長又はその6残基以上の部分蛋白質が用いられる。
いずれの場合にも、5−HT1aRが折り畳み因子との融合蛋白質である場合にのみ特異的な免疫応答が見られることから、本発明の免疫原が5−HT1aRに対する免疫応答の強化に有効であることは明らかである。
本発明はいかなる抗原蛋白であっても、折り畳み因子との融合蛋白質とすることによって、折り畳み因子を用いない対応の抗原蛋白に比べて一層高い免疫応答を引き起こすことができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお以下の実施例においては、分子生物学、蛋白質化学及び免疫学の分野における当業者によく知られ利用可能な多くの技術を用いているが、そのような方法は、必ずしも詳細には記載していない。酵素等の試薬類は市販のものを入手し、供給者のプロトコールに従って使用した。その他の実験手法は、サンブルック(Sambrook)らのモレキュラー・クローニング:ア ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、CSHプレス、1989年)等に記載の方法を用いた。
(実施例1)大腸菌シャペロニンGroELと抗原蛋白の複合体からなる免疫原
1.GroELとの融合蛋白質を発現するためのベクターの構築
大腸菌シャペロニンGroELの遺伝子の塩基配列は既知であり、その配列を配列番号1に示した。この塩基配列情報を元に配列番号2と3に示されるオリゴヌクレオチドを作製した。大腸菌HMS174株(Novagen社)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号2と3に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、GroEL遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお、この増幅DNA断片の両端には、プライマーに由来するSpeIサイトとXbaIサイトが導入されている。この増幅DNA断片をpT7BlueTベクター(Novagen社)にTAクローニングによって導入し、塩基配列を決定したところ、配列番号1に示される塩基配列と一致していた。
一方、互いに相補的な塩基配列をもつ配列番号4と5に示される合成DNAをアニーリングさせ、2本鎖DNAを調製した。該2本鎖DNAは順番に、XbaIサイト、プレシジョンプロテアーゼ認識部位をコードする塩基配列、BglIIサイトを有する。この2本鎖DNAをXbaIとBglIIで処理して回収し、あらかじめXbaIとBglIIで処理したpTrc99ALTCF(Pharmacia社)に導入し、プラスミドpTRC99−PSを作成した。すなわち、pTRC99−PSは、XbaIサイトとBglIIサイトの間にプレシジョンプロテアーゼの切断部位をコードする塩基配列を含む発現用プラスミドである。
次に、増幅DNA断片が導入されたpT7BlueTベクターを制限酵素SpeIとXbaIで処理し、GroEL遺伝子を含むDNA断片を回収した。該DNA断片を、あらかじめXbaIで処理したpTRC99−PSに導入し、pTrcGroELベクターを作製した。
次に、pTrcGroELベクターをXbaIで処理し、再度上記増幅DNA断片が導入されたpT7BlueTベクターを制限酵素SpeIとXbaIで処理することにより得たGroEL遺伝子を含むDNA断片を導入して、GroEL2回連結体を発現するベクターpTrc(GroEL)2を作製した。さらに同様の操作を繰り返すことにより、GroEL7回連結体を発現するベクターpTrc(GroEL)7を作製した。図6にpTrc(GroEL)7の構成を示す。すなわち、pTrc(GroEL)7はtrcプロモーターとrrnBターミネーターを有している。そして、trcプロモーターの下流に7個のGroEL遺伝子がタンデムに並んだGroEL7回連結体の遺伝子、プレシジョンプロテアーゼの認識アミノ酸配列をコードする塩基配列、及びFLAGのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む。
一方、所望の抗原蛋白としてヒト由来のセロトニンレセプター5−HT1aRを選択した。5−HT1aR遺伝子の塩基配列は既知であり、その配列を配列番号6に示した。この塩基配列情報を元に配列番号7と8に示されるオリゴヌクレオチドを作製した。ヒト脳cDNAライブラリー(タカラバイオ社)を鋳型とし、配列番号7と8に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、5−HT1aR遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお、この増幅DNA断片の両端には、プライマーに由来するBglIIサイトとXhoIサイトが導入されている。この増幅DNA断片をpT7BlueTベクターにTAクローニングによって導入し、塩基配列を決定したところ、配列番号6に示される塩基配列と一致していた。次いで、この増幅DNA断片をあらかじめBglIIとXhoIで処理したpTrc(GroEL)7に導入し、GroEL7回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質を発現するベクターpTrc(GroEL)7・5HT1ARを作製した。一方、コントロールとして融合蛋白質ではなく5−HT1aR遺伝子のみを単独で組み込んだ発現ベクターpTHT1ARを作製した。
2.GroEL7回連結体とセロトニンレセプター5−HT1aRの融合蛋白質の発現
得られた発現ベクターpTrc(GroEL)7・5HT1ARで大腸菌BL21(DE3)株(Novagen社)を形質転換し、GroEL7回連結体とセロトニンレセプター5−HT1aRの融合蛋白質を発現する組換え体を得た。
得られた組換え体のコロニー20〜25個を500mLの2×YT培地(16g/L酵母エキス、20g/L バクトトリプトン、15g/L NaCl、0.1mg/mLアンピシリン)に接種した。25℃、110rpmで24時間培養し、培養液を得た。培養液を10000rpmで10分間遠心分離し、菌体を回収した。
得られた菌体をFLAG結合緩衝液(50mM トリス−HCl pH7.5、150mM NaCl、5mM MgCl、1mM EDTA)に懸濁し、超音波処理を行って菌体を破砕した。この菌体破砕液を、30000rpmで1時間遠心分離し、可溶画分である上清を得た。一方、コントロールとして、ベクターpTHT1ARを導入した大腸菌BL21(DE3)株を使用して、同様の操作を行った。
大腸菌抽出液の上清と沈澱画分とをSDS−PAGEによって分析したところ、発現ベクターpTrc(GroEL)7・5HT1ARを保持する大腸菌の抽出液サンプルのみにおいて、可溶性画分に融合蛋白質の分子量に相当する位置にバンドが検出された。一方、コントロールの発現ベクターpTHT1ARを保持する大腸菌の抽出液サンプルでは可溶性画分に抗原蛋白は検出されなかった。ただし、pTHT1ARを保持する大腸菌の抽出液サンプルでは不溶性画分に弱い強度のバンドが検出された。以上のことから、5−HT1aR遺伝子は単独では大腸菌可溶性画分で発現することはできないが、GroEL7回連結体との融合蛋白質として発現させることで、可溶性蛋白質として発現することがわかった。
次に、得られた上清に対して塩析し、沈澱した融合蛋白質を回収した。沈殿を50mM Tris−HCl(pH7.5)緩衝液に溶解し、5mM MgClを含む50mM Tris−HCl(pH7.5)に対して透析した。透析後、透析内液をDEAE−セファロース(Amersham Bioscience社)及びTSKgel SuperQ−5PWカラム(東ソー社)によるアニオン交換クロマトグラフィー及びSuperose6(Amersham Bioscience社)によるゲルろ過によって、融合蛋白質を精製した。これによりGroEL7回連結体とセロトニンレセプター5−HT1aRとが融合した融合蛋白質を得ることができた。
3.電子顕微鏡観察による融合蛋白質の構造確認
得られたGroEL7回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質の構造を確認するために、以下の手順で透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。まず、約0.05mg/mLの濃度に調整した該融合蛋白質の精製標品10μLをカーボン蒸着済み銅メッシュグリッドに固定化し、2%酢酸ウラニル溶液で染色し加速電圧75kVで観察した。その結果、融合蛋白質はシャペロニン特有のリング構造をとっており、5−HT1aRはGroELリングの内部に1分子ごとに格納されていることが確認された。すなわち、該融合蛋白質は天然のGroELと同様にリング構造の複合体を形成していることが確認された。
4.プロテアーゼによる消化
得られた融合蛋白質のGroEL7回連結体と5−HT1aRとの間に存在するプレシジョンプロテアーゼの認識配列が、プレシジョンプロテアーゼにより認識されるかどうかを検討した。得られた融合蛋白質を2.5M尿素の存在下でインキュベートした後、50mM K−リン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析を行った。透析後の溶液にプレシジョンプロテアーゼを作用させ、15℃で一昼夜インキュベーションした。その後、その反応液をSDS−PAGEで分析したところ、5−HT1aRに相当するバンドが検出され、プレシジョンプロテアーゼによって融合蛋白質が切断されていた。一方、尿素処理を行わなかった場合は、5−HT1aRに相当するバンドは検出されず、プレシジョンプロテアーゼによって融合蛋白質は切断されていなかった。以上より、融合蛋白質はGroELと5−HT1aRの複合体を形成しており、そのために5−HT1aRがGroELによって保護されていると考えられた。
5.免疫原としての評価
得られたGroEL7回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質の5−HT1aRに対する免疫応答を誘導する能力を、以下の手順で評価した。まず、得られた融合蛋白質と不完全フロイントアジュバントを混合して免疫用組成物を調製し、ウサギの皮下に注射した。通常、抗体価は感作後7−10日に上昇すると考えられているので、免疫応答の強さを評価するために、免疫後3,5,7、10日目に血清を回収しELISA法により分析した。ELISAでは、96穴プレートに5−HT1aR溶液(Eurosecreen S.A.社)を添加し、30℃にて3時間インキュベーションすることにより、5−HT1aRをプレート上に固定化した。リン酸緩衝液(PBS)で洗浄したのち、PBS中の1%BSAでブロックした。採取した血清を、0.05%トゥイーン20を含有する1%BSA/PBS中で系列希釈した。希釈した血清を5−HT1aRでコーティングしたウエルに加え、室温にて1時間インキュベートした。プレートを、0.05%トゥイーン20を含有するPBSで洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Vector社)を加え、室温にて1時間インキュベートした。各ウエルに100μLのペルオキシダーゼ基質(ABTS)溶液(KPL社)を加え、波長410nmにおける吸光度(A410)を測定した。血清のELISA力価の終点は、対照ウサギの平均値に比べて吸光度の値が2SD大きい血清希釈となるように設計した。対照実験として、5−HT1aRをウサギに注射し同様の実験を行った。その結果、5−HT1aRとシャペロニンとの融合蛋白を免疫原として用いた場合、5−HT1aRのみを用いた場合に比べて、ウサギにおいて高い免疫反応が引き起こされることが明らかになった(表1)。
以上より、5−HT1aRはGroEL7回連結体との融合蛋白質にすることによって可溶性となり免疫原として使用可能になること、及びGroEL7回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質からなる免疫原が、5−HT1aRに対する免疫応答の強化にも有効であることが明らかになった。
Figure 2004092221
(実施例2)古細菌シャペロニンTCPと抗原蛋白の複合体からなる免疫原
1.TCPβ8回連結体との融合蛋白質を発現するためのベクターの構築
超高熱性古細菌Thermococcus sp.KS−1株(JCM No.11816)のシャペロニンβサブユニット(TCPβ)の遺伝子の塩基配列は既知であり、その配列を配列番号9に示した。この塩基配列情報を元に配列番号10と11に示されるオリゴヌクレオチドを作製した。Thermococcus sp.KS−1株(JCM No.11816)のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号10と11に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、TCPβ遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお、この増幅DNA断片の両端には、プライマーに由来するBglIIサイトとBamHIサイトが導入されている。この増幅DNA断片をpT7BlueTベクターにTAクローニングによって導入してpT7(TCPβ)を作製した。pT7(TCPβ)に挿入されているDNA断片の塩基配列を決定したところ、配列番号9に示される塩基配列と一致していた。次に、pT7(TCPβ)を制限酵素BglIIとBamHIで処理し、TCPβ遺伝子を含むDNA断片を回収した。このDNA断片同士をT4DNAリガーゼによって連結し、反応液を電気泳動によって分離し、TCPβ遺伝子が同一方向に2個連結した遺伝子(TCPβ)2遺伝子を回収した。(TCPβ)2遺伝子をあらかじめBglIIとBamHIで切断したプラスミドpKF3(タカラバイオ社)に導入し、pKF(TCPβ)2を作製した。同様にして、pKF(TCPβ)2を制限酵素BglIIとBamHIで処理し、(TCPβ)2遺伝子を含むDNA断片を回収した。このDNA断片同士をT4DNAリガーゼによって連結し、反応液を電気泳動によって分離し、TCPβ遺伝子が同一方向に4個連結した(TCPβ)4遺伝子を回収した。(TCPβ)4遺伝子をあらかじめBglIIとBamHIで切断したプラスミドpKF3に導入し、pKF(TCPβ)4を作製した。同様にして、pKF(TCPβ)4を制限酵素BglIIとBamHIで処理し、(TCPβ)4遺伝子を含むDNA断片を回収した。このDNA断片同士をT4DNAリガーゼによって連結し、反応液を電気泳動によって分離し、TCPβ遺伝子が同一方向に8個連結した(TCPβ)8遺伝子を回収した。
次に、互いに相補的な塩基配列をもつ配列番号12と13に示される合成DNAをアニーリングさせ、2本鎖DNAを調製した。該2本鎖DNAは順番に、NdeIサイト、BamHIサイト、トロンビン認識部位をコードする塩基配列、BglIIサイト、XhoIサイト、6個の連続したヒスチジン(Hisタグ)をコードする塩基配列、及びEcoRIサイトを有する。
上記2本鎖合成DNAをNdeIとEcoRIで処理し、あらかじめNdeIとEcoRIで処理したプラスミドpET21d(Novagen社)に導入して、プラスミドpTFを作製した。さらに、プラスミドpTFをBamHIで処理し、(TCPβ)8遺伝子を導入してプラスミドpTCP8を作製した。図7にpTCP8の構成を示す。すなわち、pTCP8はT7プロモーターとT7ターミネーターを有する。そして、T7プロモーターの下流に、8個のTCPβ遺伝子がタンデムに並んだTCPβ8回連結体(TCPβ)8の遺伝子、トロンビンの認識アミノ酸配列をコードする塩基配列、及びHisタグをコードする塩基配列を含む。
一方、所望の抗原蛋白として実施例1と同様に5−HT1aRを選択した。実施例1で取得した5−HT1aR遺伝子を含む増幅DNA断片をBglIIとXhoIで処理し、あらかじめBamHIで処理したpTCP8に導入し、TCPβ8回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質を発現するベクターpTCP8・5HT1ARを作製した。すなわち、pTCP8・5HT1ARによれば、TCPβ8回連結体がトロンビン切断アミノ酸配列を介して5−HT1aRが連結された融合蛋白質を得ることができる。一方、コントロールとしては実施例1と同様に5−HT1aR遺伝子のみを単独で組み込んだ発現ベクターpTHT1ARを使用した。
2.TCPβ8回連結体とセロトニンレセプター5−HT1aRの融合蛋白質の発現
得られた発現ベクターpTCP8・5HT1ARで大腸菌BL21(DE3)株を形質転換し、TCPβ8回連結体とセロトニンレセプター5−HT1aRの融合蛋白質を発現する組換え体を得た。
得られた組換え体の10個のコロニーを500mLの2×YT培地に接種した。35℃で培養し、菌濃度がOD600=0.6〜1.0になった時点でIPTGを添加して発現誘導し、さらに10時間培養した。実施例1と同様にして菌体を回収した。
得られた菌体をHisタグ結合緩衝液(20mM Na−リン酸緩衝液 pH7.4、500mM NaCl、10mM イミダゾール)に懸濁し、超音波処理を行って菌体を破砕した。この菌体破砕液を、10000rpmで1時間遠心分離し、可溶画分である上清を得た。一方、コントロールとして、ベクターpTHT1ARを導入した大腸菌BL21(DE3)株を使用して、同様の操作を行った。
大腸菌抽出液の上清と沈澱画分とをSDS−PAGEによって分析したところ、発現ベクターpTCP8・5HT1ARを保持する大腸菌の抽出液サンプルのみにおいて、可溶性画分に融合蛋白質の分子量に相当する位置にバンドが検出された。一方、コントロールの発現ベクターpTHT1ARを保持する大腸菌の抽出液サンプルでは可溶性画分に抗原蛋白は検出されなかった。ただし、pTHT1ARを保持する大腸菌の抽出液サンプルでは不溶性画分に弱い強度のバンドが検出された。以上のことから、5−HT1aR遺伝子は単独では大腸菌可溶性画分で発現することはできないが、TCPβ8回連結体との融合蛋白質として発現させることで、可溶性蛋白質として発現することがわかった。
得られた上清の一部を、HiTrap Chelating 5mL カラム(Amersham Bioscience社)にアプライした。次に、上記Hisタグ結合緩衝液でカラムを洗浄した後、Hisタグ溶出緩衝液(20mM Na−リン酸緩衝液 pH7.4、500mM NaCl、500mM イミダゾール)にて融合蛋白質を溶出させた。この画分を50mM MgCl、0.2mM ATP、及び150mM NaClを含む緩衝液に対して透析を行なった。次に、同じ緩衝液を展開液としてTSKGelG4000(東ソー社)によるゲルろ過クロマトグラフィーを行い、排除限界値直後のピークし、精製されたTCPβ8回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質を得た。
3.電子顕微鏡観察による融合蛋白質の構造確認
得られたTCPβ8回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質の構造を確認するために、実施例1と同様にして透過型電子顕微鏡による観察を行った。その結果、融合蛋白質はシャペロニン特有のリング構造をとっており、5−HT1aRはTCPリングの内部に1分子ごとに格納されていることが確認された。すなわち、該融合蛋白質は天然のTCPと同様にリング構造の複合体を形成していることが確認された。
4.プロテアーゼによる消化
得られた融合蛋白質のTCPβ8回連結体とセロトニンレセプター5−HT1aRのとの間に存在するトロンビンプロテアーゼの認識配列が、トロンビンにより認識されるかどうかを検討した。まず、得られた融合蛋白質を10mM EDTAの存在下でインキュベートした後、50mM K−リン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析を行った。透析後の溶液にトロンビンを作用させ、15℃で一昼夜インキュベーションした。その後、その反応液をSDS−PAGEで分析したところ、5−HT1aRに相当するバンドが検出され、トロンビンによって融合蛋白質が切断されていた。一方、EDTA処理を行わなかった場合は、5−HT1aRに相当するバンドは検出されず、トロンビンによって融合蛋白質は切断されていなかった。以上より、融合蛋白質はTCPと5−HT1aRの複合体を形成しており、そのために5−HT1aRがTCPによって保護されていると考えられた。
5.免疫原としての評価
得られたTCPβ8回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質の5−HT1aRに対する免疫応答を誘導する能力を、実施例1と同様にして行った。その結果、5−HT1aRとTCPβ8回連結体との融合蛋白を免疫原として用いた場合、5−HT1aRのみを用いた場合に比べて、ウサギにおいて高い免疫反応が引き起こされることが明らかになった(表2)。よって本実施例により作製されたTCPβ8回連結体と5−HT1aRの融合蛋白質からなる免疫原が、5−HT1aRに対する免疫応答の強化に有効であることが明らかになった。
Figure 2004092221
(実施例3)超好熱性古細菌Thermococcus sp.KS−1由来ショートタイプFKBP型PPIase(TcFKBP18)との融合蛋白質を発現するためのベクターの構築
1.TcFKBP18との融合蛋白質を発現するためのベクターの構築
超好熱性古細菌Thermococcus sp.KS−1由来ショートタイプFKBP型PPIase(TcFKBP18)(Ideno et al.、Biochem.J.、357、465−、2001)の塩基配列は既知であり、その配列を配列番号14に示した。この塩基配列情報を元に配列番号15と16に示されるオリゴヌクレオチドを作製した。TcFKBP18を含有するプラスミドpEFE1−3(Iida et al.、Gene、222、249−、1998)を鋳型とし、配列番号15と16に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、TcFKBP18遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお、この増幅DNA断片の両端には、プライマーに由来するNcoIサイトとSpeIサイトが導入されている。この増幅DNA断片をpT7BlueTベクターにTAクローニングによって導入し、塩基配列を決定したところ、配列番号14に示される塩基配列と一致していた。
一方、配列番号17及び18に示されるオリゴヌクレオチドを合成した。これらのオリゴヌクレオチドは互いに相補的な配列を有している。これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングして、2本鎖のDNA断片Throm−F2を作成した。Throm−F2はSpeIサイト、トロンビンの切断アミノ酸配列をコードする塩基配列、BamHIサイト、NdeIサイト、およびEcoRIサイトを含んでいる。
得られたTcFKBP18遺伝子を含むDNA断片をNcoIとSpeIで、Throm−F2断片をSpeIとEcoRIで処理し、それぞれのDNA断片を回収した。回収したそれぞれのDNA断片を、あらかじめNcoIとEcoRIにて処理したプラスミドpET21d(Novagen社)に、TcFKBP18遺伝子−Thermo−F2断片の順で導入し、TcFKBP18との融合蛋白質を発現できるプラスミドTcFKfusion2を構築した。図8にTcFKfusion2の構成を示す。すなわち、TcFKfusion2はT7プロモーターとT7ターミネーターを有している。そして、T7プロモーターの下流にTcFKBP18遺伝子、トロンビンの認識アミノ酸配列をコードする塩基配列、及びpET21d由来のマルチクローニングサイトを含む。そして、目的の抗原蛋白の遺伝子をTcFKfusion2のマルチクローニングサイトに導入することにより、TcFKBP18と抗原蛋白の融合蛋白質を得ることができる。
一方、所望の抗原蛋白として実施例1及び2と同様に5−HT1aRを選択した。ただし、5−HT1aR遺伝子を取得するためのPCRは、配列番号19及び20に示すオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。これにより、5−HT1aR遺伝子の5’末端にNdeIサイト、3’末端にHisタグをコードする塩基配列とSacIサイトが導入された。この増幅DNA断片をpT7BlueTベクターにTAクローニングによって導入し、塩基配列を決定したところ、配列番号6に示される塩基配列と一致していた。次いで、この増幅DNA断片をあらかじめNdeIとSacIで処理したTcFKfusion2に導入し、TcFKBP18と5−HT1aRの融合蛋白質を発現するベクターTcFKfusion2・5HT1aRを作製した。
2.TcFKBP18とセロトニンレセプター5−HT1aRの融合蛋白質の発現
得られた発現ベクターTcFKfusion2・5HT1aRで大腸菌BL21(DE3)株を形質転換し、TcFKBP18とセロトニンレセプター5−HT1aRの融合蛋白質を発現する組換え体を得た。
得られた組換え体1〜2白金耳を700mLの2×YT培地に接種した。35℃、110rpmで24時間培養し、培養液を得た。培養液を10000rpmで10分間遠心分離し、菌体を回収した。得られた菌体をHisタグ結合緩衝液(20mM Na−リン酸緩衝液 pH7.4、500mM NaCl、10mM イミダゾール)に懸濁し、超音波処理を行って菌体を破砕した。この菌体破砕液を、10000rpmで10分間遠心分離し、可溶画分である上清を得た。この上清の一部をSDS−PAGEによって分析したところ、TcFKBP18と5−HT1aRの融合蛋白質の分子量に相当する位置にバンドが検出された。さらに、このバンドについて抗セロトニンレセプター抗体(コスモバイオ社)を用いてウエスタンブロッティングを行い、このバンドが5−HT1aRを含んでいることを確認した。
得られた上清の一部を、HiTrap Chelating 5mL カラム(Amersham Bioscience社)にアプライした。次に、上記Hisタグ結合緩衝液でカラムを洗浄した後、Hisタグ溶出緩衝液にてTcFKBP18と5−HT1aRの融合蛋白質を溶出させた。
3.免疫原としての評価
得られたTcFKBP18と5−HT1aRの融合蛋白質の5−HT1aRに対する免疫応答を誘導する能力を、実施例1と同様にして行った。その結果、TcFKBP18と5−HT1aRとの融合蛋白を免疫原として用いた場合、5−HT1aRのみを用いた場合に比べて、ウサギにおいて高い免疫反応が引き起こされることが明らかになった(表3)。よって本実施例により作製されたTcFKBP18と5−HT1aRの融合蛋白質からなる免疫原が、5−HT1aRに対する免疫応答の強化に有効であることが明らかになった。
Figure 2004092221
本発明の免疫原によれば、種々の原因により有効な免疫応答を誘導できないとされている抗原蛋白であっても、十分な免疫応答を誘導することができる。したがって、所望の抗原蛋白に対する抗体をより確実に製造することができる。
【配列表】
Figure 2004092221
Figure 2004092221
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Figure 2004092221
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Claims (22)

  1. 所望の抗原蛋白に対する免疫応答を誘導するための免疫原であって、前記抗原蛋白の全長又は一部と、折り畳み因子又はそのサブユニットが、1又は複数のペプチド結合を介して連結された融合蛋白質を含む免疫原。
  2. 前記折り畳み因子が複数のシャペロニンサブユニットにより構成されるシャペロニンであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫原。
  3. 前記シャペロニンサブユニットの一部又は全部は、互いにペプチド結合を介して直列に連結されていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の免疫原。
  4. 前記抗原蛋白は、前記シャペロニンサブユニットのN末端及び/又はC末端に連結されていることを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載の免疫原。
  5. 前記抗原蛋白は、前記シャペロニンサブユニット同士の間に連結されていることを特徴とする請求の範囲第3項又は第4項に記載の免疫原。
  6. 前記シャペロニンサブユニットと前記抗原蛋白との間に蛋白質分解酵素の切断アミノ酸配列を有することを特徴とする請求の範囲第2項乃至第5項のいずれかに記載の免疫原。
  7. 前記シャペロニンサブユニット同士の連結部に蛋白質分解酵素の切断アミノ酸配列を有することを特徴とする請求の範囲第3項乃至第6項のいずれかに記載の免疫原。
  8. 前記シャペロニンサブユニットは、バクテリア、古細菌又は真核生物に由来することを特徴とする請求の範囲第2項乃至第7項のいずれかに記載の免疫原。
  9. 前記抗原蛋白は、前記シャペロニンサブユニットが形成するシャペロニンリングの内部に格納されていることを特徴とする請求の範囲第2項乃至第8項のいずれかに記載の免疫原。
  10. 前記シャペロニンリングは、5〜10個のシャペロニンサブユニットから構成されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の免疫原。
  11. 2個のシャペロニンリングがリング面又は側面を介して非共有結合的に会合していることを特徴とする請求の範囲第9項又は第10項に記載の免疫原。
  12. 前記折り畳み因子がフォルダーゼであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の免疫原。
  13. 前記抗原蛋白が前記フォルダーゼのN末端及び/又はC末端に連結されていることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の免疫原。
  14. 前記フォルダーゼがPPIaseであることを特徴とする請求の範囲第12項又は第13項に記載の免疫原。
  15. 前記PPIaseが大腸菌又は古細菌に由来することを特徴とする請求の範囲第14項に記載の免疫原。
  16. 前記抗原蛋白は、セロトニンレセプター5−HT1aRであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第15項のいずれかに記載の免疫原。
  17. 前記融合蛋白質は、セロトニンレセプター5−HT1aRの全長又は6残基以上の部分蛋白質を含有することを特徴とする請求の範囲第16項に記載の免疫原。
  18. 前記抗原蛋白の全長又は一部をコードする遺伝子と前記折り畳み因子又はそのサブユニットをコードする遺伝子とを含有する融合遺伝子を転写・翻訳することにより製造されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第17項のいずれかに記載の免疫原。
  19. 前記抗原蛋白の一部をコードする遺伝子は、該抗原蛋白の6残基以上の部分蛋白質をコードする遺伝子であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の免疫原。
  20. 請求の範囲第1項乃至第19項のいずれかに記載の免疫原とアジュバントとを混合してなる免疫用組成物。
  21. 請求の範囲第1項乃至第19項のいずれかに記載の免疫原をヒトを除く動物に免疫し、該動物から抗原蛋白に特異的な抗体を採取することを特徴とする抗体の製造方法。
  22. 請求の範囲第20項に記載の免疫用組成物をヒトを除く動物に免疫し、該動物から抗原蛋白に特異的な抗体を採取することを特徴とする抗体の製造方法。
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