JPWO2004077141A1 - 粒子回転型表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

回転粒子型表示装置(20)は、透明な樹脂フィルム(21)上に電極が形成された下部電極(22)及び上部電極(23)と、下部電極(22)と上部電極(23)との間に設けられた透明基体(24)と、透明基体(24)中に形成された空隙(25)と、空隙(25)に充填された誘電性液体26中で回転可能な回転粒子(30)などから構成され、回転粒子(30)の色分けされた領域(28A)、(28B)の境界面を水平視して得られる2次元像の円の直径Rと2色の境界線の長さLとの関係が1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上とする。

Description

本発明は、粒子回転型表示装置およびその製造方法に係り、特に、回転動作の安定性及び制御性の良好な2色からなる回転粒子を備えた粒子回転型表示装置およびその製造方法に関する。
シート型表示装置は、可撓性を有し、表示した情報の保持するための電源も必要がないことから、紙のように取り扱えるので、電子ペーパ、ペーパライクディスプレイ、デジタルペーパなどと呼ばれている。シート型表示装置は、例えば、電界により光学的吸収や光学的反射を変化させて像表示を行う表示素子として、(1)電気泳動粒子と着色剤を分散させた溶媒を内包したマイクロカプセル、(2)2色性色素とスメクチック液晶を含む液晶/高分子複合膜、(3)色と電気的特性の双方が異なる2つの半球からなる回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセルが提案されている。
これらのシート状表示装置は、不揮発性で保持動作を必要とせず、表示素子を電極が形成されたPETフィルムにより挟んだ構成となっているので薄く、軽く、可撓性を有する。
特に電界により回転粒子を回転させ、色分けされた回転粒子の光学的コントラストにより情報を表示する。良好な光学的コントラストを得るためには、回転粒子の動作安定性や制御性が良好であることが必要不可欠である。
米国特許第4126854号公報、及び第4143103号公報においては、色と電気的特性の双方が異なる2つの半球からなる回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセルを表示素子として用いた表示装置が開示されている。この表示装置は、図1に示すように、光学的に透明な基材中に誘電性液体を充填した空隙を複数有し、1つの空隙に1つの回転粒子が格納される構造をしている。1つの回転粒子は、異なる色及び帯電特性の2つの領域より形成されているため、電界を印加すると、図3に示すように、粒子の電気泳動と回転運動が起き、回転粒子の向きが反転し、表示面側の色が変化し像表示を行うことができる。
このような回転粒子の製造方法としては、(1)色の異なる2種類の溶融したワックス粒子を結合させ、表面張力により球形化し固化させる方法(参照:米国特許第5262098号公報)、(2)ガラス、樹脂などの粒子の表面に、金属、カーボンブラック、硫化アンチモンなどを蒸着あるいは塗布する方法(参照:特開平11−85067号公報、特開平11−85068号公報)、(3)感光材料からなる粒子を用い、写真あるいは電子写真方式の露光、現像、定着処理等により発色させる方法(参照:特開平11−161206号公報、特開平11−85069号公報)が挙げられる。
これらのうち、特開平1−282589号公報において、着色した樹脂により回転粒子を形成する方法として、ローラやプレス機により2色の着色樹脂板を貼り合わせた圧延シートを作製したのち、ターボ型粉砕機により粉砕処理し、熱風による加熱処理、分級により回転粒子を製造する方法が開示されている。しかしながら、粉砕処理がターボ型粉砕機により行われており、粉砕された個々の樹脂片の形状、及び大きさのばらつきが大きくなり、分級により所望の粒径の回転粒子は得られるものの、歩留まりが低くなる。また、得られた回転粒子のそれぞれの色の樹脂が占める体積比や色の境界は、粉砕時の端面形状に影響されるが、本公報ではターボ型粉砕機を使用しているので、粉砕して得られたブロック体の端面の乱れにより、体積比のばらつきが大となり、2色の境界が蛇行するなどの乱れが生じてしまう。その結果、回転粒子の回転動作にばらつきが生じ、所望の表示像をコントラスト良く表示できないという問題を生ずる。
また、特開2002−122893号公報において、2色の着色樹脂板を貼り合わせ、これをPETフィルムなどの基材で挟み回転刃により切断して大きさの揃った樹脂片を作製し、次いで加熱溶融して球状化することにより回転粒子を製造する方法が開示されている。本公報によれば、樹脂片の大きさが揃っているので、直径の揃った回転粒子を得易いという特徴があるとされている。しかしながら、球形化するための加熱工程において、樹脂片同士が溶融した際融着する可能性があり、結局粒径のばらつきが大となってしまう。その結果、回転粒子の回転動作にばらつきが生じ、所望の表示像をコントラスト良く表示できないという問題を生ずる。
また、特許2860790号公報において、低比重のワックス状物質を用いて回転粒子を形成し、回転粒子の球形度、回転粒子及び回転粒子を包含する空隙の直径の関係、色分け面積比等を規定した回転粒子が開示されている。本公報によれば、応答性及び回転粒子の運動性能が良好であるとされている。
しかしながら、本公報においては回転粒子の球形度、色分け面積等を制御する製造方法について具体的に記載されていない。
特許文献1 特開平1−282589号公報
特許文献2 特開2002−122893号公報
特許文献3 特開2002−162652号公報
そこで、本発明は上記の課題を解決した新規かつ有用な粒子回転型表示装置及びその製造方法を提供することを概括課題とする。
本発明のより具体的な課題は、回転動作の制御性が優れ、動作安定性が良好な回転粒子を備え、コントラストの高い粒子回転型表示装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、電界に応じて回転する回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置であって、
前記回転粒子は、略半球ごとに互いに異なる色及び帯電特性を有する第1の領域及び第2の領域よりなり、
前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置が提供される。
本発明によれば、粒子回転型表示装置において、第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、第1の領域の面積と第2の領域の面積が略同一になるような方向から回転粒子を視た2次元像において、第1の領域と第2の領域との境界線の長さLと、回転粒子の輪郭に相当する円の直径Rと比L/Rが、1.0≦L/R≦1.2である回転粒子が全体に対して80%以上あるものである。
例えば、L/R=1の場合は境界線が円の中心を通る直線の場合である。L/R値が大となるほど、境界線が曲線状あるいは凹凸状となる。回転粒子は第1の領域と第2の領域の帯電特性が異なることにより、印加された電界に応じて、クーロン力により回転モーメントが発生し約180度回転し停止する。したがって、第1の領域と第2の領域の境界が曲線状になると、回転モーメントが一定の方向に働かなくなり回転停止位置がずれ、さらには回転動作が不安定となってしまう。本発明は1.0≦L/R≦1.2である回転粒子が全体に対して80%以上とすることで、回転動作の安定性が良好であり、その結果コントラストの高い粒子回転型表示装置を実現することができる。
本発明の他の観点によれば、第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極との間に設けられた透明基体と、
前記透明基体中に形成された複数の空隙と、
前記空隙中に充填された誘電性液体と、2色に色分けされた第1の領域及び第2の領域とを有する回転粒子とを含み、
前記電極により印加される電界に対応して回転粒子が2色のいずれかを表示する粒子回転型表示装置であって、
前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置が提供される。
本発明によれば、上述したように1.0≦L/R≦1.2である回転粒子が全体に対して80%以上とすることで、回転動作の安定性が良好であり、その結果コントラストの高い粒子回転型表示装置を実現することができる。
本発明のその他の観点によれば、電界に応じて回転し、2色からなる回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置の製造方法であって、
前記2色の各々の色が着色された樹脂材を用いて単色樹脂板を形成する工程と、
2色の各々の前記単色樹脂板を貼り合わせて2色積層樹脂板を形成する工程と、
前記2色積層樹脂板を切断して樹脂片とする工程と、
前記樹脂片を液体中で熱処理することにより球形化して回転粒子を形成する工程と、
前記回転粒子の粒径に基づいて該回転粒子を分級する工程と、を含むことを特徴とする粒子回転型表示装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、2色の単色樹脂板を貼り合わせ形成した2色積層樹脂板を切断して得た樹脂片を液体中で加熱して球形化し、形成された回転粒子を粒径に基づいて分級している。したがって、樹脂片を液体中で加熱して球形化しているので、回転粒子の2色の境界が単調となり、また、分級処理により回転粒子の粒径分布を狭小化する。その結果、回転動作及び回転停止位置の安定化を図った回転粒子を形成することができる。
また、前記2色の樹脂材の190℃における溶融粘度の比が0.5〜2である。2色の樹脂材の溶融粘度を制御することにより、球形化において2色の樹脂材が溶融する際に、2色の樹脂材が均衡を保持して自己球形化するので、2色の境界をさらに単調にすることができる。
図1A及び図1Bは本発明の原理を説明するための図である。図1A及び図1Bにおける回転粒子の2次元像は、電界が回転粒子11、12の上側から下側へあるいはその逆方向に印加され、観察位置がその電界と垂直な面内としたときのものである。図1A及び図1Bの上段に示すように、回転粒子11、12は、白色と黒色に着色された2つの領域11A、11B、12A、12Bがそれぞれ回転粒子の表面積の略半分を占めている。回転粒子11、12は、外部より電界が一度も印加されていない場合は、任意の方向を向いている。なお、回転粒子11、12は、その周囲の空間が図示されない誘電性液体により満たされている。
次に、図1Aの上段に示す回転粒子11に、図1Aの中段に示すように矢印Eの方向(−Z方向)に電界を印加すると、回転粒子11表面がマイナスに帯電している白色領域11Aには、上方にクーロン力が働き、プラスに帯電している黒色領域11Bには下方にクーロン力が働く。これらのクーロン力による回転モーメントにより回転動作が生じ、白色領域11Aが上側、黒色領域11Bが下側となり、エネルギー的に安定な位置で回転が停止する。回転粒子11は、白色領域12Aと黒色領域12Bの境界BDが単調な場合は、回転の停止位置が、図1Aの中段に示すように、白色領域11Aの半球が上側、黒色領域11Bの半球が下側となる位置で停止する。したがって、図の上方(表示装置の観察側)から観察すると回転粒子11は白色の円に見える。
次に図1Aの中段の状態から、図1A下段に示すように電界の方向を反転して矢印Eの方向(Z方向)に電界を印加すると、Z方向に垂直な方向を回転軸として回転粒子11が回転し、プラスに帯電している黒色領域11Bが上側となる。マイナスに帯電している白色領域11Aは下側となる。図の上方から観察すると回転粒子11は黒色の円に見える。
しかし、図1Bの上段に示すように、白色領域12Aと黒色領域12Bの境界BDが乱れている回転粒子12の場合は、図1Bの中段に示すように電界Eを印加すると回転粒子12は回転粒子11のように回転して白色領域12Aを上側、黒色領域12Bを下側に向けるものの、回転の停止位置がずれ、境界の正常な位置が境界BD’に対して、境界BDになってしまう。
図2は、図1B中段の回転粒子12を矢印Xの方向から見た図である。図2を参照すると、回転粒子は、白色領域11Aと黒色領域11Bの境界BD’が傾いた状態で停止しており、図2の上方から観察すると回転粒子12は白色の一部に黒色が見えてしまう。このようになると、表示される画像にノイズが生じてしまう。
図1Bの下段に戻り、図1Bの中段より、電界を反転して矢印Eの方向(Z方向)に電界を印加すると、回転粒子12は同様に停止位置がずれてしまう。
このような回転粒子12の回転停止位置は以下のように考えられる。回転粒子12の回転モーメントは、表面の電荷分布に依存し、特にクーロン力と半径方向が略直角となる白色領域と黒色領域との境界BD付近の表面電荷分布、すなわち境界BDの形状が回転モーメントの方向及び大きさを決定づけると考えられる。回転粒子11のように境界BDが単調である場合は、上下方向のクーロン力が均一に発生するので回転モーメントの均衡が、白色領域11Aの半球が上側、黒色領域11Bの半球が下側となる位置でとれるものの、回転粒子12のように境界BDが複雑である場合は、上下方向のクーロン力が不均一となり、白色領域12Aおよび黒色領域12Bの半球が傾いた状態で回転モーメントの均衡がとれるものと推察される。
そこで、本願発明者は、実験、及び上述の考察に基づいて本発明をするに至ったものである。
図1A及び図1Bは、本発明の原理を説明するための図である。
図2は、図1Bの中段の回転粒子のX矢視図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る回転粒子型表示装置の概略断面図である。
図4は、本実施の形態の回転粒子型表示装置の製造工程を示すフローチャートである。
図5Aは、回転粒子の静止画像の一例を示す図である。
図5Bは、図5Aの静止画像をエッジ強調処理した画像を示す図である。
図6は、第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例係る回転粒子のL/R値及び回転粒子型表示装置のコントラストの評価結果を示す図である。
発明を実施するための最良の態様
以下に、本発明を実施の形態を挙げて詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る回転粒子型表示装置の概略断面図である。
図3を参照するに、回転粒子型表示装置20は、透明な樹脂フィルム21上に電極が形成された下部電極22及び上部電極23と、下部電極22と上部電極23との間に設けられた透明基体24と、透明基体24中に形成された空隙25と、空隙25に充填された誘電性液体26中で回転可能な回転粒子28などから構成されている。
回転粒子型表示装置20は、回転粒子28が略半球ずつ色分けされた領域28A、28Bから構成されている。それぞれの領域は、顔料、染料等の着色剤により着色されており、着色剤及び結合剤としてのバインダなどのゼータ準位の差違により、帯電する電荷が異なってくる。下部電極と上部電極との間に電圧を印加して、透明基体及び誘電性液体を介して回転粒子に電界が印加されると、電界の方向に対応して回転粒子が回転し、観察者30が所望の表示像を観察することができる。
回転粒子28は、粒径の平均値(平均粒径)が2μm〜500μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲に設定される。500μmより大きいと、回転させるための印加電圧が過度に大となり経済的ではなく、また、高精度な表示ができない。また、100μm以下とすることで回転粒子を保持する透明基体の厚さも薄層化可能となり、印加電圧も低電圧化可能となる。一方10μmより小さいと回転粒子28の粒径分布の制御が困難となる。
また、回転粒子28の粒径分布の変動係数は、標準偏差/平均粒径×100(%)で表される。変動係数を20%以下(好ましくは15%以下)とする。変動係数が20%を超えると回転粒子の停止位置がずれコントラストが低下する。すなわち、印加される電界の大きさが一定の場合、粒径のより小なる回転粒子の静止位置がずれる傾向にある。変動係数を低減するためには樹脂片を形成する際の切断精度の向上及び分級処理が有効である。
なお、本願発明における回転粒子28の粒径分布の測定はコールター法によるベックマン・コールター社製マルチサイザーIIE装置を用いて、下記の測定条件下で体積平均粒径及び標準偏差を測定した。
アパーチャ径:200μm
サンプリング数:10000
上述したように、本願発明者は、鋭意検討の結果、回転粒子の2色の境界が複雑になると回転粒子の回転停止位置がずれ、さらに回転動作が正常に行われないことを見出した。そこで、種々の検討の結果、互いに異なる色からなる第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、第1の領域の面積と第2の領域の面積が略同一になるような方向から回転粒子を視た2次元像において、2色の境界線の長さLと粒径Rとの比であるL/R値と回転動作及び回転停止位置が密接に関係することを知見した。L/R値が1.0の場合は、境界線は直線であり、回転動作及び停止位置が正常である。1.0<L/R≦1.2の場合は、穏やかな波状となり、回転動作はするものの回転停止時の位置が若干傾く。1.2<L/R≦1.4の場合は、境界線は極端な凹凸が目立ち、回転粒子は、電界に応じて回転はするものの、回転停止位置は境界線が観察側になり、観察側からみると所望の色の他に、他方の色が見えてしまう。またL/R値が1.4を超えると境界線の凹凸が大となると共に一方の色が他方の色の領域に斑点状になって現れる場合もある。このような場合は電界に対応する回転動作をせず、例えば回転軸が2色の領域のそれぞれの中央を貫くように形成され、白色又は黒色の表示が区別ができない等、回転動作が異常となる。
表示装置のコントラスト、すなわち一方の色を表示した場合と他方の色を表示した場合の反射率の比は、個々の回転粒子が有するL/R値により変化する。本願発明者は1.0≦L/R≦1.2の範囲のL/R値を有する回転粒子の個数が全体の80%以上あれば、表示装置としての視認性が十分であることを知得した。すなわち、1.2<L/Rの割合が20%未満であれば、所望の色の中にノイズとして他の色が混在することになってもその割合が少ないので、視認性が確保される。もちろん、1.0≦L/R≦1.2の範囲のL/R値を有する回転粒子の割合が大であればあるほど、例えば90%以上であることが、コントラストの観点からは好ましい。
以下、本発明に係る回転粒子および粒子回転型表示装置の構成と共に、それらの製造方法について説明する。
始めに回転粒子の構成及び製造方法について図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態の回転粒子型表示装置の製造工程を示すフローチャートである。
まず、2色の樹脂材をそれぞれ作製する(S102)。樹脂材は、バインダ、及び着色剤などをロールミル、エクストルーダ等で加熱して練合等することにより形成する。バインダとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ナイロンなどの公知の熱可塑性樹脂を用いる。後に樹脂片に切断する工程におけるカット性の観点からはバインダはポリエチレン、ポリプロピレンが好適である。
また、着色剤としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸カルシム、及びアルミナなどの白色顔料、カーボンブラック、及びマグネタイトなどの黒色顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、及びペリノン顔料などの公知の顔料や、酸性染料、塩基性染料、反応染料、直接染料、及び分散染料などの公知の染料を用いる。
白色顔料の二酸化チタンは、アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、白色度および光反射率の観点からは、隠蔽性の高いルチル型二酸化チタンが好適である。また、二酸化チタンは、その表面を含水酸化アルミニウム、含水酸化珪素等の無機物質で表面処理したもの、多価アルコール、多価アミン、金属石鹸、アルキルチタネート、ポリシロキサン等の有機物質で表面処理したもの等を使用することができる。二酸化チタンのバインダ中での分散性が向上し、より一層高い白色度が得られる。また、蛍光増白剤を添加するとさらに好ましい。
ここで帯電制御剤は添加していないが、上述した着色剤を添加することにより、帯電傾向、帯電量が変化する。また帯電制御剤を添加してもよく、例えばカリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系など正帯電性、負帯電性の帯電制御剤を使用することができる。
樹脂材の配合は、2色の樹脂材の軟化点から220℃の温度範囲における溶融粘度の比を0.5〜2.0に調整するように設定する。後述する球形化処理において、2色の樹脂材の溶融粘度の比を0.5〜2.0にすることにより、回転粒子の2色の樹脂材の境界、すなわち2色の領域の境界を単調とすることができる。この溶融粘度の比が0.5より小さいか又は2より大きくなると溶融粘度のより低い樹脂材が他方の樹脂材を不規則に覆う等、2色の領域の境界が複雑になってしまう。なお、球形化処理における自己球形化のメカニズムに基づけば溶融粘度を設定する温度は、球形化処理の際の熱処理の温度に関連するが、熱処理温度は100℃〜220℃の範囲であるので、190℃での溶融粘度の比を設定すれば十分である。2色の樹脂材のうち少なくとも一方の軟化点が190℃より高い場合は、溶融粘度の比を軟化点以上の温度で設定する。
具体的には、溶融粘度を増加あるいは減少させる手法としては着色剤などの配合比をそれぞれ増加あるいは減少させることが挙げられる。なお、本願発明における溶融粘度の測定は粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製、商品名:ARES)を用いて、下記の測定条件下で行い、複素粘性率を測定しその実数部を溶融粘度とした。
プレート:パラレルプレート(直径25mm)
測定モード:Dynamicモード
測定周波数:1Hz
また、樹脂材の軟化点の測定はJIS K7206に基づいて行い、ビカット軟化点を用いた。
次に、2色の樹脂材をキャスト成形、圧延等によりそれぞれ単層の樹脂板に成形する(S104)。例えばキャスト成形法によれば、具体的には、キャストフィルム成形製造装置(例えば、SHIモダンマシナリー社製)を用いる。キャストフィルム成形製造装置は、樹脂材を加熱し圧力を付与する押出機と、所定の厚さの薄板に成形するT−ダイと、T−ダイから供給される樹脂板を冷却するキャストローラなどにより構成されている。上記に樹脂材を押出機に投入し、150℃に加熱し、押出速度を約30kg/時間に設定し、樹脂材をT−ダイに供給する。T−ダイは開口幅が例えば0.5mmのものを用いる。キャストローラ(ローラ径(直径)300mm)を、温度20℃、キャスト速度8m/分に設定して、シート状の樹脂材を冷却し安定化させ、厚さ約20μmの樹脂板を形成する。なお、樹脂板の厚さはキャストローラのギャップにより制御可能である。T−ダイを用いることにより厚さの均一なシート状の樹脂材を形成することができ、キャストローラにより精度良く所望の厚さの樹脂材が得られると共に、厚さの均一性を向上することができる。その結果、2色の領域の境界線の乱れを抑制することができる。なお、樹脂板の厚さは後述する樹脂片の大きさに対応させて適宜設定する。
また、樹脂材を2枚のフィルムに挟んで圧延により樹脂板を形成してもよい。具体的には、略平板状にした樹脂材を、PETフィルム(厚さ10μm)に挟み、ギャップが100μm、40μmの2段の、温度が150℃の圧延ロールを通過させ、最後に冷却ロールにより冷却し厚さ約20μmの樹脂板を形成する。
次に、2色の樹脂板を融着して貼合わせ、2色積層樹脂基材を形成する(S106)。具体的には、それぞれの色の樹脂板を重ね合わせ、さらに耐熱性のフィルム、例えばカプトンフィルムに挟んで、ローラやプレスなどの機器を用いて、加熱しながら加圧する。加熱温度を100℃〜150℃、圧力を9.8×10Pa〜4.9×10Pa、加圧時間を1分〜10分に設定する。
また、樹脂材を溶解して塗布あるいは浸漬法により、一方の樹脂材を形成後、その上に他方の樹脂材を積層して2色積層樹脂基材を形成してもよい。具体的には、2色の樹脂材を有機溶媒を用いて溶解して塗料を作製し、スピンコータ、ドクターブレード、バーコータ、ディップコータ等により、厚さ約20μmの一方の樹脂材を先ず形成し、乾燥後、他方の樹脂材を厚さ約20μmになるようにその上に塗布し乾燥する。この場合、樹脂としては、アクリル、ポリスチレン等の有機溶媒に溶解する公知の材料を用いることができる。また有機溶媒としては、アルコール、ケトン、炭化水素、およびハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
次に、2色積層樹脂基材を金属刃、ワイヤー、レーザなどを用いたカッターにより大きさ数十μm〜数百μmの樹脂片に切断する(S108)。具体的には、2色積層樹脂基材を粘着性のフィルムに貼り、粘着性のフィルムをカッターの加工台に固定する。この状態で、レーザカッタ、回転刃等により2色積層樹脂基材を切断する。このようにすると切断後の樹脂片が剥離・移動等により他の樹脂片の切断の妨害となることなく、所望の大きさに切断可能である。なお、回転刃としては鉄鋼又はセラミック製が好適であり、樹脂片の切断面の乱れを抑制できるので、後の回転粒子が形成された際の2色の境界線を、直線状又は緩やかな波状にすることができる。また、レーザカッタを用いる場合は、COレーザ、YAGレーザ(高調波を含む。)等を用いることができる。
次に、粘着性のフィルムから剥離して樹脂片を回収する。具体的には、粘着性のフィルムの基材あるいは基材上の粘着剤を溶解することにより樹脂片を粘着性のフィルムから分離する。ここで用いる溶媒は2色積層樹脂基材が溶解しない溶媒とする。例えば、粘着剤がポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエステルの場合、水、アルコール等を用いることができる。樹脂片が変形することなく、また機械的ストレスを加えることなく分離することができる。さらに、樹脂片を回収する際にシリコーンオイル等を剥離剤として用いてもよい。樹脂片の変形を一層防止することができる。この際シリコーンオイルは、次に説明する球形化処理に用いるシリコーンオイルと同種であることが好ましい。
また、粘着性のフィルムの替わりに金属板を用いてもよい。2色積層樹脂基材とステンレス、アルミニウムの金属板と重ね合わせて加熱して接着し、上述した方法により樹脂片に切断後、冷媒により冷却して金属板より剥離する。金属板と樹脂片の熱膨張率の差により、冷却すると金属板が収縮し樹脂片も硬くなるので、樹脂片から金属板から分離する。冷媒としてはエタノール、イソプロピルアルコール、フロン、液化窒素などを用いることができる。
次に、回収した樹脂片は乾燥した後、球形化処理を行う(S110)。球形化処理は熱媒体の入ったステンレスビーカ等の容器に樹脂片を分散させ、加熱して軟化・溶融させ、自己球形化させることにより行う。具体的には、熱媒体としてシリコーンオイルを用いる。シリコーンオイルを介して加熱することにより樹脂片の表面を均一に加熱できるので、真球度の高い回転粒子を形成することができると共に、シリコーンオイルにより離型作用及び樹脂片同士の凝集を防止できる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーン、各種変性シリコーンオイルなどを用いることができる。円形度が高くかつ樹脂片同士の凝集を防止する観点からは、25℃における動粘度が3×10−4/s〜1×10−2/s(300cSt〜10000cSt)であることが好ましく、3×10−4/s〜1×10−3/s(300cSt〜1000cSt)であることがさらに好ましい。3×10−4/sより小さいと樹脂片が沈降し凝集し易くなる。1×10−2/sより大きいと樹脂片を回収するためのプロセス時間が過度に大となってしまう。
また、シリコーンオイルは、25℃における比重が樹脂片の比重との差が0.3以下のものを用いる。0.3より大きいと、シリコーンオイル中で樹脂片が浮上や沈降し易くなり、凝集し易くなってしまう。
また、熱媒体中で樹脂片を加熱しながら、振とう機や超音波ホモジナイザ等で振とう・撹拌してもよい。樹脂片の凝集や容器の内壁への付着を防止し、回転粒子の粒径分布を狭小化し、分級処理における歩留まりを向上することができる。
球形化処理の加熱温度は、樹脂片の軟化点より高く設定し、100℃〜220℃(好ましくは100℃〜200℃)である。また球形化処理の時間は10秒から120秒に設定する。
次いで、球形化処理により球形化された回転粒子の形状を固定化するために、25℃〜100℃のシリコーンオイルを混合して、回転粒子を構成する樹脂材の軟化点の温度以下に冷却する。軟化点以下に冷却することにより、回転粒子が互いに融着することを防止して、形状や粒径のばらつきを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。この際、冷却に使用するシリコーンオイルは加熱に用いたシリコーンオイルと同種のシリコーンオイルを使用することが好ましい。混合した際に、加熱及び冷却に用いたシリコーンオイルが互いに分離することを防止することができる。
次に、ストレーナーを用いて回転粒子の分級処理及び回収を行う(S112)。分級はメッシュの開口径が10μm〜200μmのものを用いて数段階行う。回転粒子の粒径分布を狭くする観点からは分級処理が有効である。しかし、分級処理のパス数を多くすればするほど歩留まりが低下してしまう。歩留まりは上述した、カット性、球形化処理等に密接に関係する。次いで、得られた回転粒子をSH200−0.65cst(東レ・ダウコーニング社製)により洗浄し、真空乾燥器等を用いて乾燥する。
次に回転粒子を透明基体の空隙に分散・充填する(S114)。先ず、未硬化のシリコーンエラストマー、例えば2成分硬化型のシリコーンゴムKE106(東レ・ダウコーニング社製)に50体積%〜55体積%となるように回転粒子を撹拌・分散し、テフロンコートフィルムにブレード法等により厚さ数百μmとなるように塗布し、加熱硬化させ、回転粒子が分散した硬化したシリコーンエラストマー(透明基体と呼ぶ。)が形成される。
次に、透明基体をシリコーンオイル等の誘電性液体により膨潤させ、透明基体の回転粒子の周囲に誘電性液体を充填する(S116)。具体的には、透明基体とシリコーンオイルとをビニール袋等に密封する。この際、透明基体とシリコーンオイルとの体積比を例えば1:2とする。次にこのビニール袋を水を満たした超音波洗浄機に投入し、数分間超音波を印加する。次いで透明基体を取り出し、室温で乾燥後シリコーンオイルに数時間〜十数時間浸漬する。
なお、空隙に回転粒子及び誘電体液体を充填する他の方法としては、特開平8−234686号公報に記載の界面重合を用いて、誘電性液体と回転粒子を樹脂膜で覆い、マイクロカプセルを形成し、このマイクロカプセルを透明基体中に分散する方法が挙げられる。
次いでITO電極をストライプ状に形成したPETフィルムをシリコーンゴムの両面に、ITO電極が直角に交叉するように貼り付ける(S118)。ITO電極に選択的に電圧を印加する給電回路を設ける。以上により回転粒子型表示装置が形成される。
本実施の形態によれば、2色の領域を構成する樹脂材の溶融粘度の比を0.5〜2の範囲にしているので、球形化処理の加熱により、2色の領域がシリコーンオイル中で均等な圧力を受けながら、一方の領域の樹脂材が他方の領域の樹脂材を覆うことを防止することができる。したがって、2色の領域の境界線を直線状又は緩やかな波状にすることができる。その結果、回転動作の制御性が優れ、動作安定性が良好な回転粒子を備え、コントラストの高い粒子回転型表示装置を実現することができる。
また、球形化処理の際に、シリコーンオイルの動粘度を上記の範囲に設定することにより、真球度を向上し、かつ溶融した樹脂片同士の凝集・融着を防止して、回転粒子の粒径分布を狭くすることができる。さらに分級処理により確実に粒径の過度に大なる回転粒子を除去して、一層粒径分布を狭くすることができる。
[第1実施例]
低密度ポリエチレンであるペトロセン353(東ソー社製、メルトインデックス150)80重量部に、疎水化した二酸化チタン(アナターゼ型、粒径120nm)20重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練し、白色の着色樹脂を作製した。
一方、ペトロセン353(東ソー社製)82重量部に、カーボンブラック2重量部とマグネタイト16重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練し、黒色の着色樹脂を作製した。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比(=白色着色樹脂の溶融粘度/黒色着色樹脂の溶融粘度)は、1.28であった。
次に、キャストフィルム成形製造装置(例えば、SHIモダンマシナリー社製)の押出機に白色の着色樹脂を投入し、加熱温度150℃、押出速度を32.9kg/時間、開口幅:0.5mmのT−ダイを用いて、厚さ20μmの白色樹脂板に成形した。また、押出速度を24.6kg/時間とした以外は白色樹脂フィルムと総て同条件より、厚さ20μmの黒色樹脂フィルムを成形した。
次に、白色樹脂フィルムと黒色樹脂フィルムを重ね合わせ、厚さ125μmのカプトンフィルムに挟み、厚さ1mmのシリコンラバークッションを敷いて、加熱温度105℃、圧力25kg/cmを印加して融着させ、積層フィルムを形成した。この積層フィルムを回転刃(エヌティー社製)により積層フィルムを70×70μmの大きさに切断し、シリコーンオイルFS1265−300cst(東レ・ダウコーニング社製)を離型剤として用い、樹脂片を回収した。
次にこの樹脂片を、190℃に加熱したシリコーンオイルFS1265−300cstに投入し、ゆるやかに振とうさせながら2分間加熱した。次に、25℃のシリコーンオイルFS1265−300cstを加熱されたシリコーンオイルと等量を混合して、冷却し回転粒子を作製した。
次に、回転粒子を、メッシュの開口寸法がそれぞれ98μm、83μm、77μmのふるいで分級後、さらに開口寸法77μmのふるいで分級し、開口寸法63μmのふるいで回収した。得られた回転粒子は、平均粒径が71.2μm、変動係数が13.8%であった。
次に、作製した回転粒子を、2成分硬化型シリコーンゴムKE106(東レ・ダウコーニング社製)に、52体積%の濃度で混合し、十分に撹拌・分散させた後、テフロンコートフィルムにブレード法で均一に厚さ200μmで塗布し、温度50℃の大気雰囲気下で8時間かけて硬化し、回転粒子が分散された透明基体が形成された。
次に、透明基体とシリコーンオイルSH200−0.65cst(東レ・ダウコーニング社製)とをビニール袋に密封した。この際、透明基体とシリコーンオイルとの体積比を1:2とした。次にこのビニール袋を水を満たした超音波洗浄機(本田電子(株)製、型式W−113 MK−II、出力110W)に投入し、発信周波数24kHzに設定して2分間印加した。次いで透明基体を取り出し、室温下で20分間乾燥した。
次に、このシリコーンゴムをシリコーンオイルSH200−20cst(東レ・ダウコーニング製)に12時間浸漬した。
次に、このように形成した透明基体に、ITO電極が形成されたPETフィルムの上部シート、及び銅箔を貼り付けたイミドフィルムを貼り合わせ、第1実施例に係る回転粒子型表示装置を作製した。
[第2実施例]
ペトロセン353(東ソー社製)59.6重量部に、疎水化した二酸化チタン(ルチル型、粒径280nm)40重量部と蛍光増白剤ニッカフローEFS(日本化学工業所製)0.4重量部をロールミルで105℃に加熱しながら混練し、白色の着色樹脂を作製した。
一方、ペトロセン353(東ソー社製)62重量部に、カーボンブラック2重量部、マグネタイト36重量部をロールミルで105℃に加熱しながら混練し、黒色の着色樹脂を作製した。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比(=白色着色樹脂の溶融粘度/黒色着色樹脂の溶融粘度)は、1.90であった。
次に、キャストフィルム成形製造装置を用いて、第1実施例と同条件により白色樹脂及び黒色樹脂の厚さ20μmのフィルムを成形し、第1実施例と同様の条件で、回転粒子を作成した。
次に、回転粒子を、メッシュの開口寸法がそれぞれ98μm、83μm、77μmのふるいで分級後、さらに開口寸法77μmのふるいで2回分級し、開口寸法63μmのふるいで回収した。得られた回転粒子は、平均粒径が72.5μm、変動係数が11.5%であった。
次に、作製した回転粒子を、2成分硬化型シリコーンゴムKE106(東レ・ダウコーニング社製)に、52体積%の濃度で混合し、十分に撹拌・分散させた後、テフロンコートフィルムにブレード法で均一に厚さ200μmになるように塗布し、温度50℃の大気雰囲気下で8時間かけて硬化し、回転粒子が分散された透明基体が形成された。
以後、第1実施例と同様にして第2実施例に係る回転粒子型表示装置を作製した。
[第3実施例]
分級処理をメッシュの開口寸法がそれぞれ98μm、83μmのふるいで分級し、開口寸法63μmのふるいで回収した以外は第1実施例の回転粒子と同様の条件により回転粒子を作製した。得られた回転粒子は、平均粒径が78.4μm、変動係数が19.1%であった。
[第1比較例]
第1実施例と同様の配合及び条件により白色及び黒色の着色樹脂を作製した。この着色樹脂の190℃における溶融粘度の比(=白色の着色樹脂の溶融粘度/黒色の着色樹脂の溶融粘度)は、1.28であった。
次に、第1実施例と同じキャストフィルム成形製造装置を用いて、加熱温度170℃、押出速度を32.9kg/時間、開口幅:0.5mmのT−ダイを用いて、厚さ35μmの白色樹脂板に成形した。また、押出速度を24.6kg/時間とした以外は白色樹脂フィルムと総て同条件より、厚さ35μmの黒色樹脂フィルムを成形した。
次に第1実施例と同様の条件で融着させ積層フィルムを形成した。この積層フィルムを、回転を固定した丸刃によりフィルムを70×70μmの大きさに切断し、カッター刃で樹脂片を回収した。
次に、第1実施例と同様の条件でシリコーンオイル中で加熱し、回転粒子を形成した。
次に、回転粒子を、メッシュの開口寸法が98μmのふるいで分級後、開口寸法63μmのふるいで回収した。得られた回転粒子は、平均粒径が81.6μm、変動係数が20.7%であった。
以後、第1実施例と同様にして第1比較例に係る回転粒子型表示装置を作製した。
[第2比較例]
ペトロセン353(東ソー社製)16重量部に、疎水化した二酸化チタン(アナターゼ型)20重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練した。この混練物を、融点125℃の溶融状態にあるエチレンワックス64重量部でロールミルを用いて希釈することで、白色のポリエチレン/エチレンワックス混合物を作製した。
一方、ペトロセン353(東ソー社製)16.4重量部に、マグネタイト16重量部、カーボンブラック2重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練した。この混練物を、融点125℃の溶融状態にあるエチレンワックス65.6重量部をロールミルを用いて混練することで、黒色のポリエチレン/エチレンワックス混合物を作製した。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比(=白色の着色樹脂の溶融粘度/黒色の着色樹脂の溶融粘度)は、2.95であった。
温度130℃の加圧プレス機で、各々の着色したポリエチレン/エチレンワックスを厚さ15μmのフィルムを作製した。このフィルムを温度110℃で融着させ積層フィルムを作製した。この積層フィルムを液体窒素に浸漬した後、超音波ホモジナイザを用いて粉砕したところ、平均サイズで50μm×50μm、大きさの分布が10μm〜120μmの樹脂片を形成した。
樹脂片を、150℃のシリコーンオイルSH200−100cst(東レ・ダウコーニング社製)に投入し3分間加熱した。次に、25℃のシリコーンオイルSH200−100cstを加熱されたシリコーンオイルと等量を混合して、冷却し回転粒子を作製した。
[第3比較例]
樹脂片(比重1.3)の加熱の工程において、シリコーンオイルをSH200−100cst(比重0.96)東レ・ダウコーニング社製)を用い、シリコーンオイルの振とうをしない以外は、第2実施例と同じ工程で回転粒子を作製した。この際回転粒子の沈降に伴い、凝集、容器への付着が発生し、回収ができなかった。
(回転粒子の直径R及び2色の境界線の長さLの評価方法)
第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例の回転粒子型表示装置に係る回転粒子の直径R及び2色の境界線の長さLを測定しL/R値の評価を行った。
回転粒子の直径R及び境界線の長さLは、回転粒子型表示装置に1Hz程度の交番電圧を印加し、回転動作する回転粒子の透過像及び反射像をビデオ撮影し、その画像をPCに取り込んで、画像処理ソフトにより求めた。以下、具体的に評価方法を説明する。
まず、第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例の回転粒子型表示装置に1Hzの交番電圧を印加する。回転動作をする回転粒子の透過像及び反射像を光学顕微鏡(オリンパス社製STM−UM−BDZ−100(S))により拡大し、この画像をCCDカメラ(池上通信機製)によりに取り込みビデオレコーダーにより画像を記録する。この画像をMPEGレコーダ(アイオーデータ製USB−MPG)によりPCに取り込む。
次に、PC上でMPEG画像再生ソフトにより、回転粒子の回転動作の連続画像より、2色の境界線が回転粒子の略中央を切り、かつ2色の面積がほぼ同一となる時の画像を静止画像として取り込む。この作業を繰り返し、50個〜100個の回転粒子の静止画像を得る。
次に、静止画像を総合倍率5000倍程度、例えば回転粒子の粒子径が70μmの場合350mmに拡大して、画像処理ソフト(アドビ社製、商品名:Photoshop)を用いて、エッジ強調処理(設定:デフォルト)を行い、次いで、回転粒子の直径Rおよび2色の境界線の長さLを求める。例えば、図5Aは、回転粒子の静止画像の一例を示す図であり、図5Bは、図5Aの静止画像をエッジ強調処理した画像を示す図である。図5A及び図5Bに示すように、エッジ強調処理により回転粒子の白色と黒色の境界線と輪郭が得られる。この境界線の長さをLとし、輪郭より直径Rを求める。輪郭は厳密には真円に近い楕円であるが、円形度が0.8以上の場合は真円として直径Rを求め、円形度が0.8より小さい場合は、楕円の短径aと長径bを求め、(a+b)/2を直径Rとする。
次に、境界線の長さと直径の比であるL/R値について統計処理を行い、L/R値が1.0以上1.2未満、1.2以上1.4未満、及び1.4以上のそれぞれに分類しL/R値の分布を求めた。
なお、上述した回転粒子の画像を得る際に、表示装置としてではなく回転粒子単体が得られる場合は、静止状態の回転粒子の透過像及び反射像を上記光学顕微鏡にデジタルカメラ(オリンパス社製DP−10)に取り込んでもよい。
(回転粒子型表示装置のコントラストの評価方法)
第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例の回転粒子型表示装置のコントラストを評価した。
コントラストの評価は、色彩計(Gretag Macbeth社製SpectroEye、光源:D65、視野:2度)を用い、回転粒子型表示装置のITO電極と他方の銅箔の電極に200Vの電圧を正負の両方向を印加し、白表示と黒表示の反射濃度を測定して反射率に変換し、反射率の比(=白表示の反射率/黒表示の反射率)を求めた。
(L/R値とコントラストの評価)
図6は、第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例係る回転粒子のL/R値及び回転粒子型表示装置のコントラストの評価結果を示す図である。なお、図中の「−」は測定不能の場合を示している。
図6を参照するに、第1〜第3実施例に係る回転粒子においては、L/R値が1.0以上1.2以下の範囲にある回転粒子の割合が80%以上あり、それらの回転粒子を用いた回転粒子型表示装置のコントラストは7以上あることが分かる。なお、コントラストが5以上である場合は視認性は良好であり合格である。特に第2実施例に係る回転粒子においては、77μmふるいを用いた分級処理の回数が多いので、平均粒径の分布がシャープとなりかつL/R値が1.0以上1.2以下の範囲における回転粒子の割合が85%となっている。その結果、コントラストが10と良好な結果を示していることが分かる。
一方、第1比較例に係る回転粒子は、L/R値が1.0以上1.2以下の範囲にある回転粒子の割合が62%である。第1比較例に係る表示装置のコントラストは3と低い値であることが分かる。
また、第2比較例に係る回転粒子は、白色の領域が表面全体の80%程度を占め、回転動作が不安定なためL/R値が測定できなかった。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比が2.95と大きく、球形化処理において白色樹脂材が黒色樹脂材を覆うと共に2色の境界が複雑化したためである。
したがって、L/R値が1.0以上1.2以下の範囲にある回転粒子が占める割合が高い程、コントラストが高い回転粒子型表示装置を実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上記実施の形態及び実施例では、白色と黒色の2色の回転粒子を一例として説明したが、白色及び黒色に限定されず、回転粒子の一方の領域と他方の領域とが異なる色相でさえあればよい。
本発明によれば、粒子回転型表示装置において、回転動作の制御性が優れ、動作安定性が良好な回転粒子を備え、コントラストの高い粒子回転型表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【書類名】明細書
【技術分野】
本発明は、粒子回転型表示装置およびその製造方法に係り、特に、回転動作の安定性及び制御性の良好な2色からなる回転粒子を備えた粒子回転型表示装置およびその製造方法に関する。
シート型表示装置は、可撓性を有し、表示した情報の保持するための電源も必要がないことから、紙のように取り扱えるので、電子ペーパ、ペーパライクディスプレイ、デジタルペーパなどと呼ばれている。シート型表示装置は、例えば、電界により光学的吸収や光学的反射を変化させて像表示を行う表示素子として、(1)電気泳動粒子と着色剤を分散させた溶媒を内包したマイクロカプセル、(2)2色性色素とスメクチック液晶を含む液晶/高分子複合膜、(3)色と電気的特性の双方が異なる2つの半球からなる回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセルが提案されている。
これらのシート状表示装置は、不揮発性で保持動作を必要とせず、表示素子を電極が形成されたPETフィルムにより挟んだ構成となっているので薄く、軽く、可撓性を有する。
特に電界により回転粒子を回転させ、色分けされた回転粒子の光学的コントラストにより情報を表示する。良好な光学的コントラストを得るためには、回転粒子の動作安定性や制御性が良好であることが必要不可欠である。
【背景技術】
米国特許第4126854号公報、及び第4143103号公報においては、色と電気的特性の双方が異なる2つの半球からなる回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセルを表示素子として用いた表示装置が開示されている。この表示装置は、図1に示すように、光学的に透明な基材中に誘電性液体を充填した空隙を複数有し、1つの空隙に1つの回転粒子が格納される構造をしている。1つの回転粒子は、異なる色及び帯電特性の2つの領域より形成されているため、電界を印加すると、図3に示すように、粒子の電気泳動と回転運動が起き、回転粒子の向きが反転し、表示面側の色が変化し像表示を行うことができる。
このような回転粒子の製造方法としては、(1)色の異なる2種類の溶融したワックス粒子を結合させ、表面張力により球形化し固化させる方法(参照:米国特許第5262098号公報)、(2)ガラス、樹脂などの粒子の表面に、金属、カーボンブラック、硫化アンチモンなどを蒸着あるいは塗布する方法(参照:特開平11−85067号公報、特開平11−85068号公報)、(3)感光材料からなる粒子を用い、写真あるいは電子写真方式の露光、現像、定着処理等により発色させる方法(参照:特開平11−161206号公報、特開平11−85069号公報)が挙げられる。
これらのうち、特開平1−282589号公報において、着色した樹脂により回転粒子を形成する方法として、ローラやプレス機により2色の着色樹脂板を貼り合わせた圧延シートを作製したのち、ターボ型粉砕機により粉砕処理し、熱風による加熱処理、分級により回転粒子を製造する方法が開示されている。しかしながら、粉砕処理がターボ型粉砕機により行われており、粉砕された個々の樹脂片の形状、及び大きさのばらつきが大きくなり、分級により所望の粒径の回転粒子は得られるものの、歩留まりが低くなる。また、得られた回転粒子のそれぞれの色の樹脂が占める体積比や色の境界は、粉砕時の端面形状に影響されるが、本公報ではターボ型粉砕機を使用しているので、粉砕して得られたブロック体の端面の乱れにより、体積比のばらつきが大となり、2色の境界が蛇行するなどの乱れが生じてしまう。その結果、回転粒子の回転動作にばらつきが生じ、所望の表示像をコントラスト良く表示できないという問題を生ずる。
また、特開2002−122893号公報において、2色の着色樹脂板を貼り合わせ、これをPETフィルムなどの基材で挟み回転刃により切断して大きさの揃った樹脂片を作製し、次いで加熱溶融して球状化することにより回転粒子を製造する方法が開示されている。本公報によれば、樹脂片の大きさが揃っているので、直径の揃った回転粒子を得易いという特徴があるとされている。しかしながら、球形化するための加熱工程において、樹脂片同士が溶融した際融着する可能性があり、結局粒径のばらつきが大となってしまう。その結果、回転粒子の回転動作にばらつきが生じ、所望の表示像をコントラスト良く表示できないという問題を生ずる。
また、特許2860790号公報において、低比重のワックス状物質を用いて回転粒子を形成し、回転粒子の球形度、回転粒子及び回転粒子を包含する空隙の直径の関係、色分け面積比等を規定した回転粒子が開示されている。本公報によれば、応答性及び回転粒子の運動性能が良好であるとされている。
しかしながら、本公報においては回転粒子の球形度、色分け面積等を制御する製造方法について具体的に記載されていない。
【特許文献1】特開平1−282589号公報
【特許文献2】特開2002−122893号公報
【特許文献3】特開2002−162652号公報
【発明の開示】
そこで、本発明は上記の課題を解決した新規かつ有用な粒子回転型表示装置及びその製造方法を提供することを概括課題とする。
本発明のより具体的な課題は、回転動作の制御性が優れ、動作安定性が良好な回転粒子を備え、コントラストの高い粒子回転型表示装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、電界に応じて回転する回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置であって、
前記回転粒子は、略半球ごとに互いに異なる色及び帯電特性を有する第1の領域及び第2の領域よりなり、
前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置が提供される。
本発明によれば、粒子回転型表示装置において、第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、第1の領域の面積と第2の領域の面積が略同一になるような方向から回転粒子を視た2次元像において、第1の領域と第2の領域との境界線の長さLと、回転粒子の輪郭に相当する円の直径Rと比L/Rが、1.0≦L/R≦1.2である回転粒子が全体に対して80%以上あるものである。
例えば、L/R=1の場合は境界線が円の中心を通る直線の場合である。L/R値が大となるほど、境界線が曲線状あるいは凹凸状となる。回転粒子は第1の領域と第2の領域の帯電特性が異なることにより、印加された電界に応じて、クーロン力により回転モーメントが発生し約180度回転し停止する。したがって、第1の領域と第2の領域の境界が曲線状になると、回転モーメントが一定の方向に働かなくなり回転停止位置がずれ、さらには回転動作が不安定となってしまう。本発明は1.0≦L/R≦1.2である回転粒子が全体に対して80%以上とすることで、回転動作の安定性が良好であり、その結果コントラストの高い粒子回転型表示装置を実現することができる。
本発明の他の観点によれば、第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極との間に設けられた透明基体と、
前記透明基体中に形成された複数の空隙と、
前記空隙中に充填された誘電性液体と、2色に色分けされた第1の領域及び第2の領域とを有する回転粒子とを含み、
前記電極により印加される電界に対応して回転粒子が2色のいずれかを表示する粒子回転型表示装置であって、
前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置が提供される。
本発明によれば、上述したように1.0≦L/R≦1.2である回転粒子が全体に対して80%以上とすることで、回転動作の安定性が良好であり、その結果コントラストの高い粒子回転型表示装置を実現することができる。
本発明のその他の観点によれば、電界に応じて回転し、2色からなる回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置の製造方法であって、
前記2色の各々の色が着色された樹脂材を用いて単色樹脂板を形成する工程と、
2色の各々の前記単色樹脂板を貼り合わせて2色積層樹脂板を形成する工程と、
前記2色積層樹脂板を切断して樹脂片とする工程と、
前記樹脂片を液体中で熱処理することにより球形化して回転粒子を形成する工程と、
前記回転粒子の粒径に基づいて該回転粒子を分級する工程と、を含むことを特徴とする粒子回転型表示装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、2色の単色樹脂板を貼り合わせ形成した2色積層樹脂板を切断して得た樹脂片を液体中で加熱して球形化し、形成された回転粒子を粒径に基づいて分級している。したがって、樹脂片を液体中で加熱して球形化しているので、回転粒子の2色の境界が単調となり、また、分級処理により回転粒子の粒径分布を狭小化する。その結果、回転動作及び回転停止位置の安定化を図った回転粒子を形成することができる。
また、前記2色の樹脂材の190℃における溶融粘度の比が0.5〜2である。2色の樹脂材の溶融粘度を制御することにより、球形化において2色の樹脂材が溶融する際に、2色の樹脂材が均衡を保持して自己球形化するので、2色の境界をさらに単調にすることができる。
図1A及び図1Bは本発明の原理を説明するための図である。図1A及び図1Bにおける回転粒子の2次元像は、電界が回転粒子11、12の上側から下側へあるいはその逆方向に印加され、観察位置がその電界と垂直な面内としたときのものである。図1A及び図1Bの上段に示すように、回転粒子11、12は、白色と黒色に着色された2つの領域11A、11B、12A、12Bがそれぞれ回転粒子の表面積の略半分を占めている。回転粒子11、12は、外部より電界が一度も印加されていない場合は、任意の方向を向いている。なお、回転粒子11、12は、その周囲の空間が図示されない誘電性液体により満たされている。
次に、図1Aの上段に示す回転粒子11に、図1Aの中段に示すように矢印E1の方向(−Z方向)に電界を印加すると、回転粒子11表面がマイナスに帯電している白色領域11Aには、上方にクーロン力が働き、プラスに帯電している黒色領域11Bには下方にクーロン力が働く。これらのクーロン力による回転モーメントにより回転動作が生じ、白色領域11Aが上側、黒色領域11Bが下側となり、エネルギー的に安定な位置で回転が停止する。回転粒子11は、白色領域12Aと黒色領域12Bの境界BD1が単調な場合は、回転の停止位置が、図1Aの中段に示すように、白色領域11Aの半球が上側、黒色領域11Bの半球が下側となる位置で停止する。したがって、図の上方(表示装置の観察側)から観察すると回転粒子11は白色の円に見える。
次に図1Aの中段の状態から、図1A下段に示すように電界の方向を反転して矢印E2の方向(Z方向)に電界を印加すると、Z方向に垂直な方向を回転軸として回転粒子11が回転し、プラスに帯電している黒色領域11Bが上側となる。マイナスに帯電している白色領域11Aは下側となる。図の上方から観察すると回転粒子11は黒色の円に見える。
しかし、図1Bの上段に示すように、白色領域12Aと黒色領域12Bの境界BD2が乱れている回転粒子12の場合は、図1Bの中段に示すように電界E1を印加すると回転粒子12は回転粒子11のように回転して白色領域12Aを上側、黒色領域12Bを下側に向けるものの、回転の停止位置がずれ、境界の正常な位置が境界BD2’に対して、境界BD2になってしまう。
図2は、図1B中段の回転粒子12を矢印Xの方向から見た図である。図2を参照すると、回転粒子は、白色領域11Aと黒色領域11Bの境界BD2’が傾いた状態で停止しており、図2の上方から観察すると回転粒子12は白色の一部に黒色が見えてしまう。このようになると、表示される画像にノイズが生じてしまう。
図1Bの下段に戻り、図1Bの中段より、電界を反転して矢印E2の方向(Z方向)に電界を印加すると、回転粒子12は同様に停止位置がずれてしまう。
このような回転粒子12の回転停止位置は以下のように考えられる。回転粒子12の回転モーメントは、表面の電荷分布に依存し、特にクーロン力と半径方向が略直角となる白色領域と黒色領域との境界BD2付近の表面電荷分布、すなわち境界BD2の形状が回転モーメントの方向及び大きさを決定づけると考えられる。回転粒子11のように境界BD1が単調である場合は、上下方向のクーロン力が均一に発生するので回転モーメントの均衡が、白色領域11Aの半球が上側、黒色領域11Bの半球が下側となる位置でとれるものの、回転粒子12のように境界BD2が複雑である場合は、上下方向のクーロン力が不均一となり、白色領域12Aおよび黒色領域12Bの半球が傾いた状態で回転モーメントの均衡がとれるものと推察される。
そこで、本願発明者は、実験、及び上述の考察に基づいて本発明をするに至ったものである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明を実施の形態を挙げて詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る回転粒子型表示装置の概略断面図である。
図3を参照するに、回転粒子型表示装置20は、透明な樹脂フィルム21上に電極が形成された下部電極22及び上部電極23と、下部電極22と上部電極23との間に設けられた透明基体24と、透明基体24中に形成された空隙25と、空隙25に充填された誘電性液体26中で回転可能な回転粒子28などから構成されている。
回転粒子型表示装置20は、回転粒子28が略半球ずつ色分けされた領域28A、28Bから構成されている。それぞれの領域は、顔料、染料等の着色剤により着色されており、着色剤及び結合剤としてのバインダなどのゼータ準位の差違により、帯電する電荷が異なってくる。下部電極と上部電極との間に電圧を印加して、透明基体及び誘電性液体を介して回転粒子に電界が印加されると、電界の方向に対応して回転粒子が回転し、観察者30が所望の表示像を観察することができる。
回転粒子28は、粒径の平均値(平均粒径)が2μm〜500μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲に設定される。500μmより大きいと、回転させるための印加電圧が過度に大となり経済的ではなく、また、高精度な表示ができない。また、100μm以下とすることで回転粒子を保持する透明基体の厚さも薄層化可能となり、印加電圧も低電圧化可能となる。一方10μmより小さいと回転粒子28の粒径分布の制御が困難となる。
また、回転粒子28の粒径分布の変動係数は、標準偏差/平均粒径×100(%)で表される。変動係数を20%以下(好ましくは15%以下)とする。変動係数が20%を超えると回転粒子の停止位置がずれコントラストが低下する。すなわち、印加される電界の大きさが一定の場合、粒径のより小なる回転粒子の静止位置がずれる傾向にある。変動係数を低減するためには樹脂片を形成する際の切断精度の向上及び分級処理が有効である。
なお、本願発明における回転粒子28の粒径分布の測定はコールター法によるベックマン・コールター社製マルチサイザーIIE装置を用いて、下記の測定条件下で体積平均粒径及び標準偏差を測定した。
アパーチャ径:200μm
サンプリング数:10000
上述したように、本願発明者は、鋭意検討の結果、回転粒子の2色の境界が複雑になると回転粒子の回転停止位置がずれ、さらに回転動作が正常に行われないことを見出した。そこで、種々の検討の結果、互いに異なる色からなる第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、第1の領域の面積と第2の領域の面積が略同一になるような方向から回転粒子を視た2次元像において、2色の境界線の長さLと粒径Rとの比であるL/R値と回転動作及び回転停止位置が密接に関係することを知見した。L/R値が1.0の場合は、境界線は直線であり、回転動作及び停止位置が正常である。1.0<L/R≦1.2の場合は、穏やかな波状となり、回転動作はするものの回転停止時の位置が若干傾く。1.2<L/R≦1.4の場合は、境界線は極端な凹凸が目立ち、回転粒子は、電界に応じて回転はするものの、回転停止位置は境界線が観察側になり、観察側からみると所望の色の他に、他方の色が見えてしまう。またL/R値が1.4を超えると境界線の凹凸が大となると共に一方の色が他方の色の領域に斑点状になって現れる場合もある。このような場合は電界に対応する回転動作をせず、例えば回転軸が2色の領域のそれぞれの中央を貫くように形成され、白色又は黒色の表示が区別ができない等、回転動作が異常となる。
表示装置のコントラスト、すなわち一方の色を表示した場合と他方の色を表示した場合の反射率の比は、個々の回転粒子が有するL/R値により変化する。本願発明者は1.0≦L/R≦1.2の範囲のL/R値を有する回転粒子の個数が全体の80%以上あれば、表示装置としての視認性が十分であることを知得した。すなわち、1.2<L/Rの割合が20%未満であれば、所望の色の中にノイズとして他の色が混在することになってもその割合が少ないので、視認性が確保される。もちろん、1.0≦L/R≦1.2の範囲のL/R値を有する回転粒子の割合が大であればあるほど、例えば90%以上であることが、コントラストの観点からは好ましい。
以下、本発明に係る回転粒子および粒子回転型表示装置の構成と共に、それらの製造方法について説明する。
始めに回転粒子の構成及び製造方法について図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態の回転粒子型表示装置の製造工程を示すフローチャートである。
まず、2色の樹脂材をそれぞれ作製する(S102)。樹脂材は、バインダ、及び着色剤などをロールミル、エクストルーダ等で加熱して練合等することにより形成する。バインダとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ナイロンなどの公知の熱可塑性樹脂を用いる。後に樹脂片に切断する工程におけるカット性の観点からはバインダはポリエチレン、ポリプロピレンが好適である。
また、着色剤としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸カルシム、及びアルミナなどの白色顔料、カーボンブラック、及びマグネタイトなどの黒色顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、及びペリノン顔料などの公知の顔料や、酸性染料、塩基性染料、反応染料、直接染料、及び分散染料などの公知の染料を用いる。
白色顔料の二酸化チタンは、アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、白色度および光反射率の観点からは、隠蔽性の高いルチル型二酸化チタンが好適である。また、二酸化チタンは、その表面を含水酸化アルミニウム、含水酸化珪素等の無機物質で表面処理したもの、多価アルコール、多価アミン、金属石鹸、アルキルチタネート、ポリシロキサン等の有機物質で表面処理したもの等を使用することができる。二酸化チタンのバインダ中での分散性が向上し、より一層高い白色度が得られる。また、蛍光増白剤を添加するとさらに好ましい。
ここで帯電制御剤は添加していないが、上述した着色剤を添加することにより、帯電傾向、帯電量が変化する。また帯電制御剤を添加してもよく、例えばカリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系など正帯電性、負帯電性の帯電制御剤を使用することができる。
樹脂材の配合は、2色の樹脂材の軟化点から220℃の温度範囲における溶融粘度の比を0.5〜2.0に調整するように設定する。後述する球形化処理において、2色の樹脂材の溶融粘度の比を0.5〜2.0にすることにより、回転粒子の2色の樹脂材の境界、すなわち2色の領域の境界を単調とすることができる。この溶融粘度の比が0.5より小さいか又は2より大きくなると溶融粘度のより低い樹脂材が他方の樹脂材を不規則に覆う等、2色の領域の境界が複雑になってしまう。なお、球形化処理における自己球形化のメカニズムに基づけば溶融粘度を設定する温度は、球形化処理の際の熱処理の温度に関連するが、熱処理温度は100℃〜220℃の範囲であるので、190℃での溶融粘度の比を設定すれば十分である。2色の樹脂材のうち少なくとも一方の軟化点が190℃より高い場合は、溶融粘度の比を軟化点以上の温度で設定する。
具体的には、溶融粘度を増加あるいは減少させる手法としては着色剤などの配合比をそれぞれ増加あるいは減少させることが挙げられる。なお、本願発明における溶融粘度の測定は粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製、商品名:ARES)を用いて、下記の測定条件下で行い、複素粘性率を測定しその実数部を溶融粘度とした。
プレート:パラレルプレート(直径25mm)
測定モード:Dynamicモード
測定周波数:1Hz
また、樹脂材の軟化点の測定はJIS K7206に基づいて行い、ビカット軟化点を用いた。
次に、2色の樹脂材をキャスト成形、圧延等によりそれぞれ単層の樹脂板に成形する(S104)。例えばキャスト成形法によれば、具体的には、キャストフィルム成形製造装置(例えば、SHIモダンマシナリー社製)を用いる。キャストフィルム成形製造装置は、樹脂材を加熱し圧力を付与する押出機と、所定の厚さの薄板に成形するT−ダイと、T−ダイから供給される樹脂板を冷却するキャストローラなどにより構成されている。上記に樹脂材を押出機に投入し、150℃に加熱し、押出速度を約30kg/時間に設定し、樹脂材をT−ダイに供給する。T−ダイは開口幅が例えば0.5mmのものを用いる。キャストローラ(ローラ径(直径)300mm)を、温度20℃、キャスト速度8m/分に設定して、シート状の樹脂材を冷却し安定化させ、厚さ約20μmの樹脂板を形成する。なお、樹脂板の厚さはキャストローラのギャップにより制御可能である。T−ダイを用いることにより厚さの均一なシート状の樹脂材を形成することができ、キャストローラにより精度良く所望の厚さの樹脂材が得られると共に、厚さの均一性を向上することができる。その結果、2色の領域の境界線の乱れを抑制することができる。なお、樹脂板の厚さは後述する樹脂片の大きさに対応させて適宜設定する。
また、樹脂材を2枚のフィルムに挟んで圧延により樹脂板を形成してもよい。具体的には、略平板状にした樹脂材を、PETフィルム(厚さ10μm)に挟み、ギャップが100μm、40μmの2段の、温度が150℃の圧延ロールを通過させ、最後に冷却ロールにより冷却し厚さ約20μmの樹脂板を形成する。
次に、2色の樹脂板を融着して貼合わせ、2色積層樹脂基材を形成する(S106)。具体的には、それぞれの色の樹脂板を重ね合わせ、さらに耐熱性のフィルム、例えばカプトンフィルムに挟んで、ローラやプレスなどの機器を用いて、加熱しながら加圧する。加熱温度を100℃〜150℃、圧力を9.8×105Pa〜4.9×106Pa、加圧時間を1分〜10分に設定する。
また、樹脂材を溶解して塗布あるいは浸漬法により、一方の樹脂材を形成後、その上に他方の樹脂材を積層して2色積層樹脂基材を形成してもよい。具体的には、2色の樹脂材を有機溶媒を用いて溶解して塗料を作製し、スピンコータ、ドクターブレード、バーコータ、ディップコータ等により、厚さ約20μmの一方の樹脂材を先ず形成し、乾燥後、他方の樹脂材を厚さ約20μmになるようにその上に塗布し乾燥する。この場合、樹脂としては、アクリル、ポリスチレン等の有機溶媒に溶解する公知の材料を用いることができる。また有機溶媒としては、アルコール、ケトン、炭化水素、およびハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
次に、2色積層樹脂基材を金属刃、ワイヤー、レーザなどを用いたカッターにより大きさ数十μm〜数百μmの樹脂片に切断する(S108)。具体的には、2色積層樹脂基材を粘着性のフィルムに貼り、粘着性のフィルムをカッターの加工台に固定する。この状態で、レーザカッタ、回転刃等により2色積層樹脂基材を切断する。このようにすると切断後の樹脂片が剥離・移動等により他の樹脂片の切断の妨害となることなく、所望の大きさに切断可能である。なお、回転刃としては鉄鋼又はセラミック製が好適であり、樹脂片の切断面の乱れを抑制できるので、後の回転粒子が形成された際の2色の境界線を、直線状又は緩やかな波状にすることができる。また、レーザカッタを用いる場合は、CO2レーザ、YAGレーザ(高調波を含む。)等を用いることができる。
次に、粘着性のフィルムから剥離して樹脂片を回収する。具体的には、粘着性のフィルムの基材あるいは基材上の粘着剤を溶解することにより樹脂片を粘着性のフィルムから分離する。ここで用いる溶媒は2色積層樹脂基材が溶解しない溶媒とする。例えば、粘着剤がポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエステルの場合、水、アルコール等を用いることができる。樹脂片が変形することなく、また機械的ストレスを加えることなく分離することができる。さらに、樹脂片を回収する際にシリコーンオイル等を剥離剤として用いてもよい。樹脂片の変形を一層防止することができる。この際シリコーンオイルは、次に説明する球形化処理に用いるシリコーンオイルと同種であることが好ましい。
また、粘着性のフィルムの替わりに金属板を用いてもよい。2色積層樹脂基材とステンレス、アルミニウムの金属板と重ね合わせて加熱して接着し、上述した方法により樹脂片に切断後、冷媒により冷却して金属板より剥離する。金属板と樹脂片の熱膨張率の差により、冷却すると金属板が収縮し樹脂片も硬くなるので、樹脂片から金属板から分離する。冷媒としてはエタノール、イソプロピルアルコール、フロン、液化窒素などを用いることができる。
次に、回収した樹脂片は乾燥した後、球形化処理を行う(S110)。球形化処理は熱媒体の入ったステンレスビーカ等の容器に樹脂片を分散させ、加熱して軟化・溶融させ、自己球形化させることにより行う。具体的には、熱媒体としてシリコーンオイルを用いる。シリコーンオイルを介して加熱することにより樹脂片の表面を均一に加熱できるので、真球度の高い回転粒子を形成することができると共に、シリコーンオイルにより離型作用及び樹脂片同士の凝集を防止できる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーン、各種変性シリコーンオイルなどを用いることができる。円形度が高くかつ樹脂片同士の凝集を防止する観点からは、25℃における動粘度が3×10-42/s〜1×10-22/s(300cSt〜10000cSt)であることが好ましく、3×10-42/s〜1×10-32/s(300cSt〜1000cSt)であることがさらに好ましい。3×10-42/sより小さいと樹脂片が沈降し凝集し易くなる。1×10-22/sより大きいと樹脂片を回収するためのプロセス時間が過度に大となってしまう。
また、シリコーンオイルは、25℃における比重が樹脂片の比重との差が0.3以下のものを用いる。0.3より大きいと、シリコーンオイル中で樹脂片が浮上や沈降し易くなり、凝集し易くなってしまう。
また、熱媒体中で樹脂片を加熱しながら、振とう機や超音波ホモジナイザ等で振とう・撹拌してもよい。樹脂片の凝集や容器の内壁への付着を防止し、回転粒子の粒径分布を狭小化し、分級処理における歩留まりを向上することができる。
球形化処理の加熱温度は、樹脂片の軟化点より高く設定し、100℃〜220℃(好ましくは100℃〜200℃)である。また球形化処理の時間は10秒から120秒に設定する。
次いで、球形化処理により球形化された回転粒子の形状を固定化するために、25℃〜100℃のシリコーンオイルを混合して、回転粒子を構成する樹脂材の軟化点の温度以下に冷却する。軟化点以下に冷却することにより、回転粒子が互いに融着することを防止して、形状や粒径のばらつきを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。この際、冷却に使用するシリコーンオイルは加熱に用いたシリコーンオイルと同種のシリコーンオイルを使用することが好ましい。混合した際に、加熱及び冷却に用いたシリコーンオイルが互いに分離することを防止することができる。
次に、ストレーナーを用いて回転粒子の分級処理及び回収を行う(S112)。分級はメッシュの開口径が10μm〜200μmのものを用いて数段階行う。回転粒子の粒径分布を狭くする観点からは分級処理が有効である。しかし、分級処理のパス数を多くすればするほど歩留まりが低下してしまう。歩留まりは上述した、カット性、球形化処理等に密接に関係する。次いで、得られた回転粒子をSH200−0.65cst(東レ・ダウコーニング社製)により洗浄し、真空乾燥器等を用いて乾燥する。
次に回転粒子を透明基体の空隙に分散・充填する(S114)。先ず、未硬化のシリコーンエラストマー、例えば2成分硬化型のシリコーンゴムKE106(東レ・ダウコーニング社製)に50体積%〜55体積%となるように回転粒子を撹拌・分散し、テフロンコートフィルムにブレード法等により厚さ数百μmとなるように塗布し、加熱硬化させ、回転粒子が分散した硬化したシリコーンエラストマー(透明基体と呼ぶ。)が形成される。
次に、透明基体をシリコーンオイル等の誘電性液体により膨潤させ、透明基体の回転粒子の周囲に誘電性液体を充填する(S116)。具体的には、透明基体とシリコーンオイルとをビニール袋等に密封する。この際、透明基体とシリコーンオイルとの体積比を例えば1:2とする。次にこのビニール袋を水を満たした超音波洗浄機に投入し、数分間超音波を印加する。次いで透明基体を取り出し、室温で乾燥後シリコーンオイルに数時間〜十数時間浸漬する。
なお、空隙に回転粒子及び誘電体液体を充填する他の方法としては、特開平8−234686号公報に記載の界面重合を用いて、誘電性液体と回転粒子を樹脂膜で覆い、マイクロカプセルを形成し、このマイクロカプセルを透明基体中に分散する方法が挙げられる。
次いでITO電極をストライプ状に形成したPETフィルムをシリコーンゴムの両面に、ITO電極が直角に交叉するように貼り付ける(S118)。ITO電極に選択的に電圧を印加する給電回路を設ける。以上により回転粒子型表示装置が形成される。
本実施の形態によれば、2色の領域を構成する樹脂材の溶融粘度の比を0.5〜2の範囲にしているので、球形化処理の加熱により、2色の領域がシリコーンオイル中で均等な圧力を受けながら、一方の領域の樹脂材が他方の領域の樹脂材を覆うことを防止することができる。したがって、2色の領域の境界線を直線状又は緩やかな波状にすることができる。その結果、回転動作の制御性が優れ、動作安定性が良好な回転粒子を備え、コントラストの高い粒子回転型表示装置を実現することができる。
また、球形化処理の際に、シリコーンオイルの動粘度を上記の範囲に設定することにより、真球度を向上し、かつ溶融した樹脂片同士の凝集・融着を防止して、回転粒子の粒径分布を狭くすることができる。さらに分級処理により確実に粒径の過度に大なる回転粒子を除去して、一層粒径分布を狭くすることができる。

[第1実施例]
低密度ポリエチレンであるペトロセン353(東ソー社製、メルトインデックス150)80重量部に、疎水化した二酸化チタン(アナターゼ型、粒径120nm)20重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練し、白色の着色樹脂を作製した。
一方、ペトロセン353(東ソー社製)82重量部に、カーボンブラック2重量部とマグネタイト16重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練し、黒色の着色樹脂を作製した。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比(=白色着色樹脂の溶融粘度/黒色着色樹脂の溶融粘度)は、1.28であった。
次に、キャストフィルム成形製造装置(例えば、SHIモダンマシナリー社製)の押出機に白色の着色樹脂を投入し、加熱温度150℃、押出速度を32.9kg/時間、開口幅:0.5mmのT−ダイを用いて、厚さ20μmの白色樹脂板に成形した。また、押出速度を24.6kg/時間とした以外は白色樹脂フィルムと総て同条件より、厚さ20μmの黒色樹脂フィルムを成形した。
次に、白色樹脂フィルムと黒色樹脂フィルムを重ね合わせ、厚さ125μmのカプトンフィルムに挟み、厚さ1mmのシリコンラバークッションを敷いて、加熱温度105℃、圧力25kg/cm2を印加して融着させ、積層フィルムを形成した。この積層フィルムを回転刃(エヌティー社製)により積層フィルムを70×70μmの大きさに切断し、シリコーンオイルFS1265−300cst(東レ・ダウコーニング社製)を離型剤として用い、樹脂片を回収した。
次にこの樹脂片を、190℃に加熱したシリコーンオイルFS1265−300cstに投入し、ゆるやかに振とうさせながら2分間加熱した。次に、25℃のシリコーンオイルFS1265−300cstを加熱されたシリコーンオイルと等量を混合して、冷却し回転粒子を作製した。
次に、回転粒子を、メッシュの開口寸法がそれぞれ98μm、83μm、77μmのふるいで分級後、さらに開口寸法77μmのふるいで分級し、開口寸法63μmのふるいで回収した。得られた回転粒子は、平均粒径が71.2μm、変動係数が13.8%であった。
次に、作製した回転粒子を、2成分硬化型シリコーンゴムKE106(東レ・ダウコーニング社製)に、52体積%の濃度で混合し、十分に撹拌・分散させた後、テフロンコートフィルムにブレード法で均一に厚さ200μmで塗布し、温度50℃の大気雰囲気下で8時間かけて硬化し、回転粒子が分散された透明基体が形成された。
次に、透明基体とシリコーンオイルSH200−0.65cst(東レ・ダウコーニング社製)とをビニール袋に密封した。この際、透明基体とシリコーンオイルとの体積比を1:2とした。次にこのビニール袋を水を満たした超音波洗浄機(本田電子(株)製、型式W−113 MK−II、出力110W)に投入し、発信周波数24kHzに設定して2分間印加した。次いで透明基体を取り出し、室温下で20分間乾燥した。
次に、このシリコーンゴムをシリコーンオイルSH200−20cst(東レ・ダウコーニング製)に12時間浸漬した。
次に、このように形成した透明基体に、ITO電極が形成されたPETフィルムの上部シート、及び銅箔を貼り付けたイミドフィルムを貼り合わせ、第1実施例に係る回転粒子型表示装置を作製した。

[第2実施例]
ペトロセン353(東ソー社製)59.6重量部に、疎水化した二酸化チタン(ルチル型、粒径280nm)40重量部と蛍光増白剤ニッカフローEFS(日本化学工業所製)0.4重量部をロールミルで105℃に加熱しながら混練し、白色の着色樹脂を作製した。
一方、ペトロセン353(東ソー社製)62重量部に、カーボンブラック2重量部、マグネタイト36重量部をロールミルで105℃に加熱しながら混練し、黒色の着色樹脂を作製した。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比(=白色着色樹脂の溶融粘度/黒色着色樹脂の溶融粘度)は、1.90であった。
次に、キャストフィルム成形製造装置を用いて、第1実施例と同条件により白色樹脂及び黒色樹脂の厚さ20μmのフィルムを成形し、第1実施例と同様の条件で、回転粒子を作成した。
次に、回転粒子を、メッシュの開口寸法がそれぞれ98μm、83μm、77μmのふるいで分級後、さらに開口寸法77μmのふるいで2回分級し、開口寸法63μmのふるいで回収した。得られた回転粒子は、平均粒径が72.5μm、変動係数が11.5%であった。
次に、作製した回転粒子を、2成分硬化型シリコーンゴムKE106(東レ・ダウコーニング社製)に、52体積%の濃度で混合し、十分に撹拌・分散させた後、テフロンコートフィルムにブレード法で均一に厚さ200μmになるように塗布し、温度50℃の大気雰囲気下で8時間かけて硬化し、回転粒子が分散された透明基体が形成された。
以後、第1実施例と同様にして第2実施例に係る回転粒子型表示装置を作製した。

[第3実施例]
分級処理をメッシュの開口寸法がそれぞれ98μm、83μmのふるいで分級し、開口寸法63μmのふるいで回収した以外は第1実施例の回転粒子と同様の条件により回転粒子を作製した。得られた回転粒子は、平均粒径が78.4μm、変動係数が19.1%であった。

[第1比較例]
第1実施例と同様の配合及び条件により白色及び黒色の着色樹脂を作製した。この着色樹脂の190℃における溶融粘度の比(=白色の着色樹脂の溶融粘度/黒色の着色樹脂の溶融粘度)は、1.28であった。
次に、第1実施例と同じキャストフィルム成形製造装置を用いて、加熱温度170℃、押出速度を32.9kg/時間、開口幅:0.5mmのT−ダイを用いて、厚さ35μmの白色樹脂板に成形した。また、押出速度を24.6kg/時間とした以外は白色樹脂フィルムと総て同条件より、厚さ35μmの黒色樹脂フィルムを成形した。
次に第1実施例と同様の条件で融着させ積層フィルムを形成した。この積層フィルムを、回転を固定した丸刃によりフィルムを70×70μmの大きさに切断し、カッター刃で樹脂片を回収した。
次に、第1実施例と同様の条件でシリコーンオイル中で加熱し、回転粒子を形成した。
次に、回転粒子を、メッシュの開口寸法が98μmのふるいで分級後、開口寸法63μmのふるいで回収した。得られた回転粒子は、平均粒径が81.6μm、変動係数が20.7%であった。
以後、第1実施例と同様にして第1比較例に係る回転粒子型表示装置を作製した。

[第2比較例]
ペトロセン353(東ソー社製)16重量部に、疎水化した二酸化チタン(アナターゼ型)20重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練した。この混練物を、融点125℃の溶融状態にあるエチレンワックス64重量部でロールミルを用いて希釈することで、白色のポリエチレン/エチレンワックス混合物を作製した。
一方、ペトロセン353(東ソー社製)16.4重量部に、マグネタイト16重量部、カーボンブラック2重量部をロールミルを用いて105℃に加熱しながら混練した。この混練物を、融点125℃の溶融状態にあるエチレンワックス65.6重量部をロールミルを用いて混練することで、黒色のポリエチレン/エチレンワックス混合物を作製した。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比(=白色の着色樹脂の溶融粘度/黒色の着色樹脂の溶融粘度)は、2.95であった。
温度130℃の加圧プレス機で、各々の着色したポリエチレン/エチレンワックスを厚さ15μmのフィルムを作製した。このフィルムを温度110℃で融着させ積層フィルムを作製した。この積層フィルムを液体窒素に浸漬した後、超音波ホモジナイザを用いて粉砕したところ、平均サイズで50μm×50μm、大きさの分布が10μm〜120μmの樹脂片を形成した。
樹脂片を、150℃のシリコーンオイルSH200−100cst(東レ・ダウコーニング社製)に投入し3分間加熱した。次に、25℃のシリコーンオイルSH200−100cstを加熱されたシリコーンオイルと等量を混合して、冷却し回転粒子を作製した。

[第3比較例]
樹脂片(比重1.3)の加熱の工程において、シリコーンオイルをSH200−100cst(比重0.96)東レ・ダウコーニング社製)を用い、シリコーンオイルの振とうをしない以外は、第2実施例と同じ工程で回転粒子を作製した。この際回転粒子の沈降に伴い、凝集、容器への付着が発生し、回収ができなかった。

(回転粒子の直径R及び2色の境界線の長さLの評価方法)
第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例の回転粒子型表示装置に係る回転粒子の直径R及び2色の境界線の長さLを測定しL/R値の評価を行った。
回転粒子の直径R及び境界線の長さLは、回転粒子型表示装置に1Hz程度の交番電圧を印加し、回転動作する回転粒子の透過像及び反射像をビデオ撮影し、その画像をPCに取り込んで、画像処理ソフトにより求めた。以下、具体的に評価方法を説明する。
まず、第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例の回転粒子型表示装置に1Hzの交番電圧を印加する。回転動作をする回転粒子の透過像及び反射像を光学顕微鏡(オリンパス社製STM−UM−BDZ−100(S))により拡大し、この画像をCCDカメラ(池上通信機製)によりに取り込みビデオレコーダーにより画像を記録する。この画像をMPEGレコーダ(アイオーデータ製USB−MPG)によりPCに取り込む。
次に、PC上でMPEG画像再生ソフトにより、回転粒子の回転動作の連続画像より、2色の境界線が回転粒子の略中央を切り、かつ2色の面積がほぼ同一となる時の画像を静止画像として取り込む。この作業を繰り返し、50個〜100個の回転粒子の静止画像を得る。
次に、静止画像を総合倍率5000倍程度、例えば回転粒子の粒子径が70μmの場合350mmに拡大して、画像処理ソフト(アドビ社製、商品名:Photoshop)を用いて、エッジ強調処理(設定:デフォルト)を行い、次いで、回転粒子の直径Rおよび2色の境界線の長さLを求める。例えば、図5Aは、回転粒子の静止画像の一例を示す図であり、図5Bは、図5Aの静止画像をエッジ強調処理した画像を示す図である。図5A及び図5Bに示すように、エッジ強調処理により回転粒子の白色と黒色の境界線と輪郭が得られる。この境界線の長さをLとし、輪郭より直径Rを求める。輪郭は厳密には真円に近い楕円であるが、円形度が0.8以上の場合は真円として直径Rを求め、円形度が0.8より小さい場合は、楕円の短径aと長径bを求め、(a+b)/2を直径Rとする。
次に、境界線の長さと直径の比であるL/R値について統計処理を行い、L/R値が1.0以上1.2未満、1.2以上1.4未満、及び1.4以上のそれぞれに分類しL/R値の分布を求めた。
なお、上述した回転粒子の画像を得る際に、表示装置としてではなく回転粒子単体が得られる場合は、静止状態の回転粒子の透過像及び反射像を上記光学顕微鏡にデジタルカメラ(オリンパス社製DP−10)に取り込んでもよい。

(回転粒子型表示装置のコントラストの評価方法)
第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例の回転粒子型表示装置のコントラストを評価した。
コントラストの評価は、色彩計(Gretag Macbeth社製SpectroEye、光源:D65、視野:2度)を用い、回転粒子型表示装置のITO電極と他方の銅箔の電極に200Vの電圧を正負の両方向を印加し、白表示と黒表示の反射濃度を測定して反射率に変換し、反射率の比(=白表示の反射率/黒表示の反射率)を求めた。

(L/R値とコントラストの評価)
図6は、第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例係る回転粒子のL/R値及び回転粒子型表示装置のコントラストの評価結果を示す図である。なお、図中の「−」は測定不能の場合を示している。
図6を参照するに、第1〜第3実施例に係る回転粒子においては、L/R値が1.0以上1.2以下の範囲にある回転粒子の割合が80%以上あり、それらの回転粒子を用いた回転粒子型表示装置のコントラストは7以上あることが分かる。なお、コントラストが5以上である場合は視認性は良好であり合格である。特に第2実施例に係る回転粒子においては、77μmふるいを用いた分級処理の回数が多いので、平均粒径の分布がシャープとなりかつL/R値が1.0以上1.2以下の範囲における回転粒子の割合が85%となっている。その結果、コントラストが10と良好な結果を示していることが分かる。
一方、第1比較例に係る回転粒子は、L/R値が1.0以上1.2以下の範囲にある回転粒子の割合が62%である。第1比較例に係る表示装置のコントラストは3と低い値であることが分かる。
また、第2比較例に係る回転粒子は、白色の領域が表面全体の80%程度を占め、回転動作が不安定なためL/R値が測定できなかった。190℃における着色樹脂の溶融粘度の比が2.95と大きく、球形化処理において白色樹脂材が黒色樹脂材を覆うと共に2色の境界が複雑化したためである。
したがって、L/R値が1.0以上1.2以下の範囲にある回転粒子が占める割合が高い程、コントラストが高い回転粒子型表示装置を実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上記実施の形態及び実施例では、白色と黒色の2色の回転粒子を一例として説明したが、白色及び黒色に限定されず、回転粒子の一方の領域と他方の領域とが異なる色相でさえあればよい。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、粒子回転型表示装置において、回転動作の制御性が優れ、動作安定性が良好な回転粒子を備え、コントラストの高い粒子回転型表示装置及びその製造方法を提供することができる。
本発明は、以下の内容を含むものとする。
(付記1)
電界に応じて回転する回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置であって、
前記回転粒子は、略半球ごとに互いに異なる色及び帯電特性を有する第1の領域及び第2の領域よりなり、
前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置。
(付記2)
第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極との間に設けられた透明基体と、
前記透明基体中に形成された複数の空隙と、
前記空隙中に充填された誘電性液体と、2色に色分けされた第1の領域及び第2の領域とを有する回転粒子とを含み、
前記電極により印加される電界に対応して回転粒子が2色のいずれかを表示する粒子回転型表示装置であって、
前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置。
(付記3)
前記回転粒子の粒径の平均値が10μm〜100μmであり、かつ変動係数が20%以下であることを特徴とする付記1または2記載の粒子回転型表示装置。
(付記4)
回転粒子の第1の領域及び第2の領域は、熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂材よりなり、
該第1の領域を形成する樹脂材の190℃における溶融粘度MV1と第2の領域を形成する樹脂材の190℃における溶融粘度MV2との比MV1/MV2が0.5〜2.0であることを特徴とする付記1または2記載の粒子回転型表示装置。
(付記5)
前記第1及び第2の領域の一方の領域がルチル型の二酸化チタンと蛍光増白剤とを含み白色に着色されていることを特徴とする付記1または2記載の粒子回転型表示装置。
(付記6)
前記透明基体はシリコーンゴムよりなり、前記誘電性液体はシリコーンオイルであることを特徴とする付記2記載の粒子回転型表示装置。
(付記7)
電界に応じて回転し、2色からなる回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置の製造方法であって、
前記2色の各々の色が着色された樹脂材を用いて単色樹脂板を形成する工程と、
2色の各々の前記単色樹脂板を貼り合わせて2色積層樹脂板を形成する工程と、
前記2色積層樹脂板を切断して樹脂片とする工程と、
前記樹脂片を液体中で熱処理することにより球形化して回転粒子を形成する工程と、
前記回転粒子の粒径に基づいて該回転粒子を分級する工程と、を含むことを特徴とする粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記8)
前記回転粒子を形成する工程において、前記熱処理が液体を介して加熱すると共に振とうすることを特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記9)
前記液体は25℃における動粘度が3×10-42/s〜1×10-22/sであることを特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記10)
前記液体の比重と、前記樹脂片の比重との差が25℃において0.3以下であることを特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記11)
前記2色の樹脂材の190℃における溶融粘度の比が0.5〜2であることを特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記12)
前記回転粒子を形成する工程において、前記液体がシリコーンオイルであることを特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記13)
前記回転粒子を形成する工程において、前記熱処理後に熱処理に用いたシリコーンオイルと同種のシリコーンオイルを混合して、前記樹脂材の軟化点より低温に冷却することを特徴とする付記12記載の粒子回転型表示装置の製造方法
(付記14)
前記樹脂片を形成する工程は、前記2色積層樹脂板を回転刃により所定の大きさに切断することを特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
(付記15)
前記樹脂片を形成する工程は、樹脂片に切断した後、離型剤を用いて樹脂片を回収すること特徴とする付記7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
図1A及び図1Bは、本発明の原理を説明するための図である。
図2は、図1Bの中段の回転粒子のX矢視図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る回転粒子型表示装置の概略断面図である。
図4は、本実施の形態の回転粒子型表示装置の製造工程を示すフローチャートである。
図5Aは、回転粒子の静止画像の一例を示す図である。
図5Bは、図5Aの静止画像をエッジ強調処理した画像を示す図である。
図6は、第1〜第3実施例及び第1〜第2比較例係る回転粒子のL/R値及び回転粒子型表示装置のコントラストの評価結果を示す図である。

Claims (15)

  1. 電界に応じて回転する回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置であって、
    前記回転粒子は、略半球ごとに互いに異なる色及び帯電特性を有する第1の領域及び第2の領域よりなり、
    前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
    前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置。
  2. 第1の電極及び第2の電極と、
    前記第1の電極と第2の電極との間に設けられた透明基体と、
    前記透明基体中に形成された複数の空隙と、
    前記空隙中に充填された誘電性液体と、2色に色分けされた第1の領域及び第2の領域とを有する回転粒子とを含み、
    前記電極により印加される電界に対応して回転粒子が2色のいずれかを表示する粒子回転型表示装置であって、
    前記第1の領域と第2の領域との境界が略中央を通り、前記第1の領域及び前記第2の領域の面積が略同一となる方向より視た2次元像において、
    前記第1の領域と第2の領域との境界線の長さをL、回転粒子の輪郭に相当する円の直径をRとした場合に、1.0≦L/R≦1.2の範囲にある回転粒子の個数が全体の個数の80%以上であることを特徴とする粒子回転型表示装置。
  3. 前記回転粒子の粒径の平均値が10μm〜100μmであり、かつ変動係数が20%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の粒子回転型表示装置。
  4. 回転粒子の第1の領域及び第2の領域は、熱可塑性樹脂と着色剤とを含む樹脂材よりなり、
    該第1の領域を形成する樹脂材の190℃における溶融粘度MVと第2の領域を形成する樹脂材の190℃における溶融粘度MVとの比MV/MVが0.5〜2.0であることを特徴とする請求項1または2記載の粒子回転型表示装置。
  5. 前記第1及び第2の領域の一方の領域がルチル型の二酸化チタンと蛍光増白剤とを含み白色に着色されていることを特徴とする請求項1または2記載の粒子回転型表示装置。
  6. 前記透明基体はシリコーンゴムよりなり、前記誘電性液体はシリコーンオイルであることを特徴とする請求項2記載の粒子回転型表示装置。
  7. 電界に応じて回転し、2色からなる回転粒子により情報を表示する粒子回転型表示装置の製造方法であって、
    前記2色の各々の色が着色された樹脂材を用いて単色樹脂板を形成する工程と、
    2色の各々の前記単色樹脂板を貼り合わせて2色積層樹脂板を形成する工程と、
    前記2色積層樹脂板を切断して樹脂片とする工程と、
    前記樹脂片を液体中で熱処理することにより球形化して回転粒子を形成する工程と、
    前記回転粒子の粒径に基づいて該回転粒子を分級する工程と、を含むことを特徴とする粒子回転型表示装置の製造方法。
  8. 前記回転粒子を形成する工程において、前記熱処理が液体を介して加熱すると共に振とうすることを特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
  9. 前記液体は25℃における動粘度が3×10−4/s〜1×10−2/sであることを特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
  10. 前記液体の比重と、前記樹脂片の比重との差が25℃において0.3以下であることを特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
  11. 前記2色の樹脂材の190℃における溶融粘度の比が0.5〜2であることを特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
  12. 前記回転粒子を形成する工程において、前記液体がシリコーンオイルであることを特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
  13. 前記回転粒子を形成する工程において、前記熱処理後に熱処理に用いたシリコーンオイルと同種のシリコーンオイルを混合して、前記樹脂材の軟化点より低温に冷却することを特徴とする請求項12記載の粒子回転型表示装置の製造方法
  14. 前記樹脂片を形成する工程は、前記2色積層樹脂板を回転刃により所定の大きさに切断することを特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
  15. 前記樹脂片を形成する工程は、樹脂片に切断した後、離型剤を用いて樹脂片を回収すること特徴とする請求項7記載の粒子回転型表示装置の製造方法。
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