JPWO2004064512A1 - 釣竿の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、竿体を製造するための繊維強化樹脂素材を部分的に積層させながら巻回する技術(例えば、日本国:特開2002−209477号公報,図2参照)や、軸方向で部分的に弾性の異なる繊維強化樹脂素材を巻回する技術(例えば、日本国:特開平11−289925号公報,図2参照)などが提案されている。
ところで、釣人が最も良好な「竿の調子」を有すると感じる釣竿の1つが、天然竹などの天然素材からなる釣竿である。上述のように、繊維強化樹脂素材から製造される釣竿の「竿の調子」を良好なものとするべく種々の工夫が開発されているが、未だ、釣人が欲する天然素材からなる釣竿のような「竿の調子」を実現するに至っていない。
即ち、竿体の肉厚・素材の弾性率・繊維の配向方法などの種々のパラメーターを設定変更して、良好な「竿の調子」を設定しようと試みられているが、必ずしも釣人の欲するような釣竿を十分に提供するには至っていない。
本発明の課題は、天然素材から製造される釣竿と同様の良好な竿の調子を演出できる釣竿を工業的に製造する方法を提供することにある。また、任意の竿の調子を有する釣竿を工業的に製造し得る方法を提供することにある。
ここで、共振振動特性とは、共振振動数及び共振振動の際のモードの形状(特に、腹及び節の位置)を意味するものである。そして、この共振振動特性は、釣竿の重量分布や釣竿の曲げ剛性の分布によって決定される特性である。
本発明は係る知見に基づくものであり、釣竿の第1次〜第3次の共振振動数を予め設定して所定の共振振動特性を有する釣竿を製造するものである。さらに、本発明は、釣竿を構成する釣竿の曲げ剛性をも考慮した上で所定の共振振動特性を有する釣竿を製造するものである。このように共振振動特性を設定して製造された釣竿は、一定の振動数において、第1次〜第3次の共振振動を起こすことになる。また、所定の曲げ剛性を有するものとなる。
(共振振動数について)
ここでいう「第1次〜第3次の共振振動数」とは、以下のような方法で測定された釣竿の振動数である。まず、釣竿の竿元側端部から80mmの範囲を挟持体で挟持して固定して固定端とし、穂先側端部を自由端として、釣竿を水平方向に維持する。この挟持体を介して加振器から釣竿に振動を加える(釣竿の振動数)。この加振器における加速度を加速度センサーで検知して入力加速度(A)とする。一方、釣竿の竿元側端部より180mmの位置における加速度を加速度センサーで検知して出力加速度(B)とする(図4参照)。そして、このB/Aの比を釣竿の振動数に対してプロットし、このB/Aの比がピークとなった状態(共振振動状態)の振動数を、釣竿の振動数の小さい方から順に第1次,第2次,第3次の共振振動数とした。参考までに、釣竿の第1次〜第3次の共振振動のモードの形状を示した図を図5に示す。
また、B/Aの比を釣竿の振動数に対してプロットしたグラフの一例を以下に示す(なお、この表1は例示であり、その数値は本件発明における具体的数値に関連するものではない)。
例えば、目標とする良好な竿の調子を有する釣竿の共振振動数を上述のような方法で測定しておき、製造する釣竿をかかる共振振動特性を有するように設計することで、目標とする竿の調子を奏する釣竿を工業的に量産可能となる。
この両者の関係は、釣竿の全長・釣竿を構成する竿体の素材・肉厚・テーパ・重量分布などの種々の要素によって変化する。そこで、構成する竿体の軸方向における径の変化・長さ・プリプレグ素材の弾性・重さなどから、第1次〜第3次の共振振動となる際の釣竿の振動数(共振振動数)が特定の振動数となるような(即ち、所定の共振振動特性を釣竿が有するように)各竿体における重量分布をシミュレートして算出する。そして、材料配置・材料の比重などから予定の重量分布を実現して、所定の共振振動特性を実現し、良好な「竿の調子」を有する釣竿を設計する。
本発明に係る具体的な方法の1つは、複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第1次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算する工程と、芯材にプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して計算された重量バランスを図り、プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程とを含む。
別の方法は、複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第2次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算する工程と、芯材にプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して計算された重量バランスを図り、プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程とを含む。
さらに別の方法は、複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第3次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算する工程と、芯材にプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して計算された重量バランスを図り、プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程とを含む。
なお、各竿体を形成する工程では、芯材にプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の周面に部分的に高比重プリプレグを巻回し、軸方向における重量分布を調整してもよい。
(曲げ剛性について)
さらに、上述のように重量バランスのみではなく、本発明の別の方法は、目標とする良好な竿の調子を有する釣竿の曲げ剛性を以下のような方法で測定する。そして、製造する釣竿の竿体を所定の曲げ剛性を有するように設計することで、本発明では、所定の共振振動特性を有する釣竿を製造できる。即ち、本発明では、目標とする竿の調子を奏する釣竿を工業的に量産できる。
釣竿の曲げ剛性は、釣竿を構成する竿体の素材(プリプレグ素材と呼ばれる繊維強化樹脂)・肉厚・テーパなどの種々の要素によって変化する。そこで、釣竿を構成する竿体の軸方向における径の変化・長さ・プリプレグ素材の弾性(特に、プリプレグ素材内で軸方向に引き揃えられている強化繊維の弾性)などを選択し、釣竿が所定の曲げ剛性を有するようにする。
なお、このような釣竿の曲げ剛性は、上述の共振振動特性にも影響を与えるものであり、共振振動特性を決定するための要素である。そこで、釣竿の曲げ剛性をも含めて、第1次〜第3次の共振振動となる際の釣竿の共振振動特性が特定の共振振動特性となるような各竿体における重量分布をシミュレートして算出する。そして、材料配置・材料の比重などから予定の重量分布を実現して釣竿を設計する。
例えば、本発明の1つの方法は、複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第1次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択して曲げ剛性を決定する工程と、芯材に選択されたプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して計算された重量バランスを図り、プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程とを含む。
また、別の方法は、複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第2次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択して曲げ剛性を決定する工程と、芯材に選択されたプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して計算された重量バランスを図り、プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程とを含む。
さらに、別の方法は、複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第3次の共振振動数に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択して曲げ剛性を決定する工程と、芯材に選択されたプリプレグ素材を巻回し、プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して計算された重量バランスを図り、プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程とを含む。
図2:図1の中竿2の断面図である。
図3:図2の竿体の製造工程を示した図である。
図4:本発明の於ける釣竿の共振振動数を測定する状態を示した図である。
図5:釣竿の第1次〜第3次の共振振動のモードの形状を示した図である。
図6:有限要素モデルにおける参考図である。
図7:リンクモデルにおける参考図である。
図8:釣人の釣竿の調子に対する評価を横軸に、調子指数を縦軸にした回帰分析の結果を示すグラフである。
(ヘラ竿の構造)
この釣竿はヘラ鮒釣りに用いられるヘラ竿である。図1に示すように、手元側から順に、元竿1、中竿2、穂先竿3の3本の竿体から構成される。これらの竿体は炭素繊維若しくはガラス繊維などの強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材を焼成して形成されている。後に詳しく説明するように、部分的に高比重プリプレグも積層される。これらの竿体は、それぞれ外観を天然竹に似せて塗装されており、例えば、竹の節や枝跡などを立体的に塗装してもよい(図2参照)。
各竿体は、いわゆる並継形式によって順次連結され、例えば、元竿1の穂先側端部に中竿2の竿元側端部が部分的に挿入され連結される。もっとも、この竿体同士の連結方法は並継形式に限定されるものではなく、周知の手法(例えば、振出形式,インロー継ぎ形式など)を適用することも当然に可能である。また、元竿1の竿元側端部にはウレタン樹脂等を含浸させた紐体を巻回して形成されるグリップ4が設けられ、穂先竿3の穂先側端部には釣糸係止具5が装着されている。なお、これら3本の竿体を順次連結した際のヘラ竿の全長は9尺(2700mm)となる。
次に、図2において、このヘラ竿を構成する竿体の構造を、中竿2を例に説明する。
中竿2は、本層11と、本層11の外周層として軸方向の一定の範囲において積層されている重量層12と、これら本層11と重量層12との周面に積層される塗料層13とを有する。
本層11は、プリプレグ素材を積層してなる層である。プリプレグ素材は同一のものを積層する場合や、異なる種類のものを積層する場合がある。例えば、炭素繊維が周方向乃至周方向から一定の角度をもった方向に配向されるようにしてエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ素材をテープ状に加工したものや、炭素繊維を軸方向に配向しエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ素材をシート状に加工したものなどが例示できる。
重量層12は、比重の大きな高比重プリプレグ素材から構成される。高比重プリプレグ素材とは、例えば、ガラススクリームにエポキシ樹脂を含浸させてさらにタングステンなどの金属粉末を混入したものである。そして、この高比重プリプレグは500〜600g/m2、厚さ0.100〜0.150mm程度のものである。この高比重プリプレグ素材を、後述のように計算して得る所定の軸方向位置において、上述の本層11上に積層する。
塗料層13は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の合成樹脂塗材を塗布して形成される。本層11と重量層12との段差はこの塗料層13によって解消される。また、図2に示すように、中竿2を天然竹のような外観を有するように、竹の節などを形成する場合には、部分的にプリプレグ素材を巻回して焼成し、若しくはエポキシ樹脂を厚塗りして、所定の形状に削って竹の節などを形成する。なお、他の竿体もその径等を異にするが同様の構造であり、その説明は省略する。
(ヘラ竿の第1の製造方法)
次に、このヘラ竿の第1の製造方法について説明する。
この共振振動特性は、例えば、異なる幾つかの共振振動特性を有するヘラ竿を製造し、釣人に実用してもらう感性試験を行い、竿の調子に優れるとされた値などを採用する。釣人の多くが良好な竿の調子を有するとする天然竹からなるヘラ竿を目標値として採用してもよい。このような目標とする釣竿の全長と共振振動数との関係として、例えば、全長が2700mmであり、その第2次の共振振動数を5.45Hzに設定する場合を説明する。
まず、予定する元竿1〜穂先竿3を連結して一本のヘラ竿とした際の釣竿の第2次の共振振動数が5.45Hzとなるように、竿体上の重量バランスを計算する。即ち、予定する元竿1〜穂先竿3の径・長さ・プリプレグ素材・高比重プリプレグ素材の弾性・重さなどから、第2次の共振振動となる際の釣竿の振動数(共振振動数)が5.45Hzとなるような各竿体における重量分布をシミュレートし、上述の高比重プリプレグ素材を積層するべき軸方向範囲を個々の竿体毎に算出する。このような重量分布をシミュレートするには、有限要素法あるいはリンクモデル等の手法を用いることが出来る。
例えば、有限要素法による解析としては、図6に示すように、釣竿を節点で並進方向と回転方向との2つの自由度を有するN個の一次元のはり要素から構成される片持ちの弾性はりでモデル化する。各はり要素では要素内で一様断面であると仮定する。一端を固定端とし、他端を自由端としての境界条件のもとで共振振動数それに対応するモード形状を計算する。
また、リンクモデルによる解析としては、釣竿は使用中に大きな変形を起こすので大変形(幾何学的非線形性)に対応したマルチボディダイナミクスによるモデル化を行う。図7に示すように、ここでは、節点に回転バネを有するN個の剛体リンクからなるマルチボディを用いてモデル化する。リンクモデルを用いて釣竿をモデル化することにより、隣り合う剛体リンク同士の姿勢角に制限がなくなるので、どのような大変形でも記述することができる。拘束条件付きの釣竿の運動方程式は、式1として導出できる。
(式1)
次に、図3(a)に示すように、それぞれの竿体の径乃至テーパ変化にあわせて設けられているマンドレル100に必要なプリプレグ素材P1を巻回し(上述のように、テープ状のものやシート状のものを巻回できる)、上記算出した所定の軸方向範囲には高比重プリプレグ素材P2を巻回する(図3(b))。重量を十分に演出するために高比重プリプレグ素材P2を数プライ巻回してもよい。また、図3(b)では一枚の高比重プリプレグ素材P2のみをプリプレグ素材P1上に巻回しているが、軸方向に間隔を隔てて2以上の高比重プリプレグ素材P2を巻回してもよい。
さらに、元竿1〜穂先竿3に相当する竿素材をそれぞれ作成し、これらを炉内において焼成する。焼成後、周面を研磨加工し、両端を切断して所定の軸方向長さとして、各竿体を製造する。
この実施形態では、第2次の共振振動の共振振動特性を基に、釣竿を設定調整する場合を例示しているが、第1次,第3次の共振振動の共振振動特性において釣竿を設定調整してもよい。この場合も、上記方法と同様に、目標とする釣竿の第1次,第3次の共振振動数を測定し、これを目標として、各竿体における重量分布をシミュレートし、上述の高比重プリプレグ素材を積層するべき軸方向範囲を個々の竿体毎に算出することになる。
なお、この実施形態では、ヘラ竿において説明しているが、釣竿の種類はこれに限定されるものではない。ヘラ竿以外の種類の釣竿であっても、一般に、釣竿では「竿の調子」が重要な要素とされるのであるから、他の種類の釣竿に本発明を適用することは当然に可能である。例えば、フライ用の釣竿,ルアー用の釣竿などに本発明を適用することも極めて効果的である。
(ヘラ竿の第2の製造方法)
次に、ヘラ竿の第2の製造方法について説明する。
この製法は、釣人の所望する竿の調子を有する釣竿を提供するための釣竿の製造方法である。
ヘラ竿においては、竿の調子を示すために、特に、先調子,本調子,胴調子と呼ばれる表現がある。先調子とは釣竿の穂先側が特に良好に曲がり易い調子をいう。本調子とは釣竿の軸方向の中央付近が特に良好に曲がり易い調子をいう。胴調子とは釣竿の手元側が特に良好に曲がり易い調子をいう。釣人は、好みの竿の調子を有するヘラ竿を選択する。この製造方法は、釣竿の曲げ剛性をも考慮して上述の共振振動特性を設定することで、このような所定の竿の調子を有する釣竿を製造するものである。
具体的な製造方法は上述の第1の製造方法に準ずる。即ち、上述の第1の製造方法と同様に、予定する元竿1〜穂先竿3の径・長さ・プリプレグ素材・高比重プリプレグ素材の弾性・重さ、さらに、プリプレグ素材の軸方向に配向されている強化繊維の種類、強化繊維の含有量等から、第1次共振振動若しくは第2次,第3次の共振振動となる際の釣竿の共振振動特性が所定の値となるような各竿体における重量分布及び曲げ剛性をシミュレートし、上述の高比重プリプレグ素材を積層するべき軸方向範囲を個々の竿体毎に算出する。このような重量分布をシミュレートするには、有限要素法あるいはリンクモデル等の手法を用いることが出来る。
そして、シミュレートにより算出された重量分布などに基づき、上記第1の製法で説明したのと同様に、マンドレルに必要なプリプレグ素材を巻回して焼成し、各竿体を製造する。
さらに、別の具体的な製造方法の1つとして、特に、曲げ剛性指数を考慮して製造する方法を以下に示す。
まず、「曲げ剛性」を数値化する。ここで、数値化された「曲げ剛性」を「曲げ剛性指数」と呼ぶこととする。そして、本発明での「曲げ剛性指数」とは、以下のような方法で測定され算出された数値を意味する。
この数値は、複数の竿体を連結した釣竿において、その穂先側端部を水平方向から75度の角度に向けて手元側端部を固定し、釣竿の穂先側端部に200gの錘を取り付けて釣竿を湾曲させ、この状態での以下の式2により算出した値である。
(式2)
さらに、市販の80本程度の釣竿に関して、a)曲げ剛性指数,b)第2次の共振振動特性,c)第3次の共振振動特性を測定して、これらの値と釣人の釣竿の調子に対する評価との対応度合いを解析した。そして、釣人の釣竿の調子に対する評価と上記3つのファクターとの対応のとれた釣竿の調子を示す「調子指数」を得た。このような対応を図った解析結果を示すグラフを図8に示す。
このような第2次の共振振動特性及び第3次の共振振動特性は、竿体上の重量バランスの計算及び竿体の曲げ剛性から計算される。即ち、上述の第1の製造方法と同様に、予定する元竿1〜穂先竿3の径・長さ・プリプレグ素材・高比重プリプレグ素材の弾性・重さ、さらに、プリプレグ素材の軸方向に配向されている強化繊維の種類、強化繊維の含有量等から、第2次共振振動及び第3次の共振振動となる際の釣竿の共振振動特性が所定の値となるような各竿体における重量分布をシミュレートし、上述の高比重プリプレグ素材を積層するべき軸方向範囲を個々の竿体毎に算出する。このような重量分布をシミュレートするには、有限要素法あるいはリンクモデル等の手法を用いることが出来る。
シミュレートにより算出された重量分布などに基づき、上記第1の製法で説明したのと同様に、マンドレルに必要なプリプレグ素材を巻回して焼成し、各竿体を製造する。
そして、具体的な個々の釣竿毎の竿の調子を、その共振振動特性との関係を明らかにして釣竿の購入者に示すことで、購入者は自分の欲する「竿の調子」を奏する釣竿を購入できることになる。例えば、購入者が従前に所有している釣竿と異なる「竿の調子」を奏する釣竿を購入したり、破損してしまった従前に所有していた釣竿と同様の「竿の調子」を奏する釣竿を購入することが容易となる。
Claims (8)
- 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第1次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算する工程と、
芯材にプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。 - 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第2次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算する工程と、
芯材にプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。 - 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第3次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算する工程と、
芯材にプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。 - 前記各竿体を形成する工程は、芯材にプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の周面に部分的に高比重プリプレグを巻回し、軸方向における重量分布を調整している、請求項1〜3の何れかに記載の釣竿の製造方法。
- 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第1次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択して曲げ剛性を決定する工程と、
芯材に前記選択されたフリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。 - 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第2次の共振振動に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択して曲げ剛性を決定する工程と、
芯材に前記選択されたプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。 - 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第3次の共振振動数に関する共振振動特性を定め、この共振振動特性に必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択して曲げ剛性を決定する工程と、
芯材に前記選択されたプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。 - 複数の竿体を連結してなる釣竿の製造方法であって、
複数の竿体を連結して一本の釣竿とした際の釣竿の第2次の共振振動特性,第3次の共振振動特性,及び釣竿の曲げ剛性指数とを決定して、これらの共振振動特性を釣竿が奏するために必要な竿体上の重量バランスを計算すると共に素材を構成するプリプレグ素材を選択する工程と、
芯材に前記選択されたプリプレグ素材を巻回し、前記プリプレグ素材の軸方向における重量分布を調整して前記計算された重量バランスを図り、前記プリプレグ素材を焼成して、釣竿を構成する筒状体である各竿体をそれぞれ形成する工程と、
を含む、釣竿の製造方法。
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